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Patent Searching and Data


Title:
CYANINE DYE AND OPTICAL RECORDING MEDIUM
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2008/105238
Kind Code:
A8
Abstract:
Disclosed is an optical recording medium on/from which high-density optical information is recorded/reproduced by short wavelength light such as blue laser. Specifically disclosed is an optical recording medium having a substrate and a recording layer formed on the substrate and capable of recording or reproducing information by irradiation of light. This optical recording medium is characterized in that the recording layer contains a cyanine dye represented by the following general formula [I]. (In the formula [I], A1 and B1 independently represent an optionally substituted aromatic ring, and at least one aromatic ringof A1 and B1 contains a nitrogen atom; R1 and R2 independently represent a substituent, and R1 and/or R2 may be bonded with another cation; X1, X2, X3 and X4 independently represent an organic group, and X1 and X2 and/or X3 and X4 may combine together to form a ring structure; Y1 represents a hydrogen atom or an organic group; and Z- represents an anion.)

Inventors:
SHODA HISASHI (JP)
UCHIDA NAOYUKI (JP)
FUROMOTO SHIGEYUKI (JP)
AIZAWA YASUSHI (JP)
DAN-OH YASUFUMI (JP)
TOKI MASAHIKO (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/052368
Publication Date:
August 06, 2009
Filing Date:
February 13, 2008
Export Citation:
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Assignee:
MITSUBISHI KAGAKU MEDIA CO LTD (JP)
HAYASHIBARA BIOCHEM LAB (JP)
SHODA HISASHI (JP)
UCHIDA NAOYUKI (JP)
FUROMOTO SHIGEYUKI (JP)
AIZAWA YASUSHI (JP)
DAN-OH YASUFUMI (JP)
TOKI MASAHIKO (JP)
International Classes:
C09B23/00; B41M5/26; C09B45/14; C09B45/20; G11B7/24035; G11B7/244; G11B7/2467; G11B7/2472; G11B7/249; G11B7/2542
Attorney, Agent or Firm:
SENMYO, Kenji (SIA Kanda Square 17, Kanda-konyacho, Chiyoda-k, Tokyo 35, JP)
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Claims:
 下記一般式[I]で表わされることを特徴とするシアニン色素。
(一般式[I]中、
A 1 及びB 1 は各々独立に、置換基を有していてもよい芳香環を表わす。但し、A 1 及びB 1 のうち少なくとも一方の芳香環は、窒素原子を含む。
R 1 及びR 2 は各々独立に、置換基を表わす。R 1 及び/又はR 2 は他のカチオンと結合していてもよい。
X 1 、X 2 、X 3 及びX 4 は各々独立に、有機基を表わす。但し、X 1 とX 2 の組、及び/又は、X 3 とX 4 の組が、互いに結合して環構造を形成していてもよい。
Y 1 は、水素原子又は有機基を表わす。
Z - は、アニオンを表わす。)
 一般式[I]中、Z - がアゾ系金属錯体の陰イオンであることを特徴とする、請求項1に記載のシアニン色素。
 一般式[I]中、X 1 、X 2 、X 3 及びX 4 のうち少なくとも1つが、複素環又は芳香環で置換されたアルキル基であることを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載のシアニン色素。
 一般式[I]中、A 1 がベンゼン環、B 1 がピリジン環、X 1 、X 2 、X 3 及びX 4 のうちいずれか1つが芳香環で置換されたアルキル基であることを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載のシアニン色素。
 一般式[I]中、X 1 、X 2 、X 3 及びX 4 のうちの芳香環で置換されたアルキル基以外のX 1 、X 2 、X 3 及びX 4 と、R 1 及びR 2 が、炭素数1~3のアルキル基であり、Y 1 が水素原子であることを特徴とする、請求項4に記載のシアニン色素。
 一般式[I]中、X 1 又はX 2 の何れか一方が、芳香環で置換されたアルキル基であることを特徴とする、請求項5に記載のシアニン色素。
 基板と、前記基板上に設けられ、光が照射されることにより情報の記録又は再生が可能な記録層とを有し、該記録層が請求項1~6の何れか一項に記載のシアニン色素を含有することを特徴とする光学記録媒体。
 波長300nm以上、500nm以下の光により記録再生を行なうことを特徴とする、請求項7に記載の光学記録媒体。
Description:
シアニン色素及び光学記録媒体

 本発明はアザインドレニン骨格を有する 規なモノメチンシアニン色素及びそれを用 た光学記録媒体に関する。より詳しくは、 色レーザーによる記録及び再生が可能な耐 性に優れた光学記録媒体の記録層に好適に いられるアザインドレニン骨格を有する新 なモノメチンシアニン色素、さらにそれを いた光学記録媒体に関する。

 情報化時代の到来に伴い、紫外領域から赤 領域にかけての光を吸収する有機化合物の 要が急増している。その用途は、今や、フ ルター用材料におけるがごとく、有機化合 が光を吸収し遮断する性質を利用する用途 ら、有機化合物を介して光のエネルギーを 極的に利用する情報記録、太陽光発電など 用途へと広がることとなった。
 情報記録の分野では、マルチメディア時代 到来に伴い、CD-R(追記型CD)、DVD-R(追記型DVD) どに代表される光学記録媒体が脚光を浴び いる。これら光学記録媒体は、光磁気記録 体、相変化記録媒体、カルコゲン酸化物光 記録媒体、有機系光学記録媒体に大別する とができる。中でも、有機色素が含有され 記録層を設けた有機色素系光学記録媒体は 低コストで且つ製造も容易であるという点 、優位性を有するものと考えられている。

 有機系光学記録媒体における緊急の課題 、マルチメディア時代に対応するための更 る記録密度の高密度化と記録速度の高速化 ある。記録密度の高密度化のためには、記 及び再生光を短波長化することが進められ いる。一方、記録速度の高速化のためには より感度の高い色素を用いることが望まれ 。しかしながら、色素の高感度化は、再生 号の時間方向の揺らぎ(ジッター)の増加や 光安定性(耐光性)の低下を伴う傾向にあり、 従来公知の色素では、感度、ジッター及び光 安定性の全てを十分に満足することが困難と なりつつある。

 近年、開発が著しい青色レーザー光等の 振波長の短いレーザー光を用いた高密度で 録再生が可能な光学記録媒体が提唱されつ ある。Blu-ray DiscやHD DVD(High Definition DVD)な ど、かかる青色レーザー対応の光学記録媒体 に関しては幾つかの報告例があるが、記録装 置や記録条件の統一がなされていない状況が 続いており、望ましい光学記録媒体の像が見 え難いのが現状である。

 かかる状況下において、例えば、下記特 文献1~4には、波長405~430nm程度の発信波長が いレーザー光により情報の記録・再生が可 な光学記録媒体の記録層用の有機色素が示 れている。しかしながら、特許文献1~4に記 されたような従来の青色レーザー用の有機 素では、現在求められている高密度化、高 度化による高速化に対応できず、充分な記 感度が得られ難いなどの課題があった。

 また、特許文献5~7にはモノメチンシアニン 素を光記録材料として用いる例が記載され いるが、ここで開示されているようなシア ン色素では、光学記録媒体の高密度化、高 度化への対応は十分ではない。
 なお、ここで、高感度とは、レーザー波長4 05nm、NA(開口数)0.65において、記録線速度6.61m/ 秒を用いたときのHD DVD-R規格に準拠した記録 において、記録感度が8mW以下であることを目 安とする。これは、2倍速記録(13.22m/s)を行な たときに記録感度が1倍速の√2倍となるこ を考慮し、一般的な青色半導体レーザーの せる記録パワー12mW以下で2倍速記録が可能で あることを意味する。
 また、2層媒体においては、照射されたレー ザーのエネルギーが目的とする記録層以外に 分配される影響を考慮し、1倍速条件で記録 た場合の記録感度が12mW以下であればよいも とする。

特開平11-105423号公報

特開平11-78239号公報

国際公開第2006-035554号パンフレット

特開2001-301333号公報

国際公開第2001-044374号パンフレット

特開2006-044277号公報

特開2005-297406号公報

 本発明は上述の課題に鑑みてなされたも で、その目的は、青色レーザー等の短波長 によって高速且つ高密度の光情報記録・再 が可能な光学記録媒体を提供するとともに この光学記録媒体に好適に用いられる新規 色素を提供することに存する。

 本発明者らは鋭意検討の結果、特定の構 を有するモノメチンシアニン色素を光学記 媒体の記録層に用いることにより、青色レ ザー等の短波長光によって高速且つ高密度 光情報記録・再生が可能になり、特にLow to  High記録による新たな光学記録媒体の実用化 が可能になることを見出し、本発明を完成さ せた。

 即ち、本発明の要旨は、以下のとおりであ 。
(1)下記一般式[I]で表わされることを特徴とす るシアニン色素。
(一般式[I]中、
A 1 及びB 1 は各々独立に、置換基を有していてもよい芳 香環を表わす。但し、A 1 及びB 1 のうち少なくとも一方の芳香環は、窒素原子 を含む。
R 1 及びR 2 は各々独立に、置換基を表わす。R 1 及び/又はR 2 は他のカチオンと結合していてもよい。
X 1 、X 2 、X 3 及びX 4 は各々独立に、有機基を表わす。但し、X 1 とX 2 の組、及び/又は、X 3 とX 4 の組が、互いに結合して環構造を形成してい てもよい。
Y 1 は、水素原子又は有機基を表わす。
Z - は、アニオンを表わす。)
(2)一般式[I]中、Z - がアゾ系金属錯体の陰イオンである、上記(1) に記載のシアニン色素。
(3)一般式[I]中、X 1 、X 2 、X 3 及びX 4 のうち少なくとも1つが、複素環又は芳香環 置換されたアルキル基である、上記(1)又は(2 )に記載のシアニン色素。
(4)一般式[I]中、A 1 がベンゼン環、B 1 がピリジン環、X 1 、X 2 、X 3 及びX 4 のうちいずれか1つが芳香環で置換されたア キル基である、上記(1)又は(2)に記載のシア ン色素。
(5)一般式[I]中、X 1 、X 2 、X 3 及びX 4 のうちの芳香環で置換されたアルキル基以外 のX 1 、X 2 、X 3 及びX 4 と、R 1 及びR 2 が、炭素数1~3のアルキル基であり、Y 1 が水素原子である、上記(4)に記載のシアニン 色素。
(6)一般式[I]中、X 1 又はX 2 の何れか一方が、芳香環で置換されたアルキ ル基である、上記(5)に記載のシアニン色素。
(7)基板と、前記基板上に設けられ、光が照射 されることにより情報の記録又は再生が可能 な記録層とを有し、該記録層が上記(1)~(6)の れか一項に記載のシアニン色素を含有する とを特徴とする光学記録媒体。
(8)波長300nm以上、500nm以下の光により記録再 を行なう、上記(7)に記載の光学記録媒体。

 本発明の光学記録媒体及び本発明のシア ン色素によれば、青色レーザー等の短波長 によって高速且つ高密度の光情報記録・再 が可能である。また、従来と異なる記録メ ニズムであるLow to High記録によって高密度 の光情報の記録・再生が可能である。

(a)は、本発明の第1実施形態に係る光学 記録媒体の層構成の一例を模式的に表わす部 分断面図であり、(b)は、本発明の第2実施形 に係る光学記録媒体の層構成の一例を模式 に表わす部分断面図である。 (a)~(f)は何れも、本発明の第3実施形態 係る2層型光学記録媒体の製造方法を説明す 図である。

符号の説明

1 基板
2 記録層
3 反射層
4 保護層
5 保護被膜
10,20 光学記録媒体
L レーザー光
201 第1の基板
202 第1の記録層
203 第1の反射層
204 中間層
204a 紫外線硬化性樹脂層
205 第2の記録層
206 第2の反射層
207 接着層
208 第2の基板(鏡面基板)
210 樹脂スタンパ

 以下、本発明の実施の形態について詳細 説明するが、本発明は以下の説明に限定さ るものではなく、本発明の範囲内において 々に変更して実施することができる。

 本発明の光学記録媒体は、基板と、前記基 上に設けられ、光が照射されることにより 報の記録又は再生が可能な記録層とを有し 前記記録層が、後述の一般式[I]で示される アニン色素を含有するものである。以下の 載では、まずは本発明の光学記録媒体の記 層に含有されるシアニン色素について説明 、続いて本発明の光学記録媒体について説 する。

[I.シアニン色素]
 本発明の光学記録媒体は、その記録層に、 記一般式[I]で表わされるシアニン色素(以下 、適宜「式[I]のシアニン色素」と略称する。 )を含有する。
 式[I]のシアニン色素は、波長350nm~530nmの青 光領域に適度の吸収を有するため、青色レ ザー光による記録に適し、実用に耐え得る 光性を有する色素化合物である。

(一般式[I]中、
A 1 及びB 1 は各々独立に、置換基を有していてもよい芳 香環を表わす。但し、A 1 及びB 1 のうち少なくとも一方の芳香環は、窒素原子 を含む。
R 1 及びR 2 は各々独立に、置換基を表わす。R 1 及び/又はR 2 は他のカチオンと結合していてもよい。
X 1 、X 2 、X 3 及びX 4 は各々独立に、有機基を表わす。但し、X 1 とX 2 の組、及び/又は、X 3 とX 4 の組が、互いに結合して環構造を形成してい てもよい。
Y 1 は、水素原子又は有機基を表わす。
Z - は、アニオンを表わす。)

 以下、前記一般式[I]について説明する。

 前記一般式[I]中、A 1 及びB 1 は各々独立に、置換基を有していてもよい芳 香環を表わす。但し、A 1 及びB 1 のうち少なくとも一方の芳香環は、窒素原子 を含む。
 窒素原子を含む芳香環は、A 1 及びB 1 のうち何れであってもよく、また、A 1 及びB 1 の双方であってもよい。A 1 及びB 1 のいずれか一方が窒素を含まない芳香環で、 他方が窒素を含む芳香環であることが、より 好ましい。
 芳香環の構造は限定されないが、環の炭素 が通常6以上、また、通常13以下、好ましく 10以下の芳香環が挙げられる。芳香環の具 例としては、ベンゼン環、ナフタレン環、 ントラセン環、フェナントレン環などが挙 られる。中でも好適なのは、ベンゼン環で る。
 また、窒素原子を含む芳香環とは、これら 芳香環を構成する炭素原子のうち1個以上を 窒素原子で置き換えた全ての構造を含み、置 換位置及び置換の数は限定されないが、1~2個 の窒素原子で置換された環が好ましい。窒素 原子を含む芳香環の具体例としては、ピリジ ン環、ピラジン環、キノリン環、イソキノリ ン環、ジクタムニン環などが挙げられる。中 でも、光学記録媒体用途において好適なのは 、ピリジン環である。

 A 1 及びB 1 の芳香環が有していてもよい置換基は限定さ れないが、その例としては、メチル基、エチ ル基、ビニル基、プロピル基、イソプロピル 基、イソプロペニル基、1-プロペニル基、2- ロペニル基、2-プロピニル基、ブチル基、イ ソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、2- テニル基、1,3-ブタジエニル基、ペンチル基 、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert-ペ チル基、1-メチルペンチル基、2-メチルペン チル基、2-ペンテニル基、2-ペンテン-4-イニ 基、ヘキシル基、イソヘキシル基、5-メチル ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニ ル基、デシル基、ドデシル基などの脂肪族炭 化水素基;
シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロ ペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘキ セニル基などの脂環式炭化水素基;
フェニル基、o-トリル基、m-トリル基、p-トリ ル基、キシリル基、メシチル基、o-クメニル 、m-クメニル基、p-クメニル基、ビフェニリ ル基などの芳香族炭化水素基;
メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イ ソプロポキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ 基、sec-ブトキシ基、tert-ブトキシ基、ペンチ ルオキシ基、フェノキシ基などのアルコキシ 基又はアリールオキシ基;
メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル 基、プロポキシカルボニル基、ブトキシカル ボニル基、アセチル基、ベンゾイルオキシ基 などのエステル基;
アミノ基、メチルアミノ基、ジメチルアミノ 基、エチルアミノ基、ジエチルアミノ基、プ ロピルアミノ基、ジプロピルアミノ基、イソ プロピルアミノ基、ジイソプロピルアミノ基 、ブチルアミノ基、ジブチルアミノ基、イソ ブチルアミノ基、ジイソブチルアミノ基、sec -ブチルアミノ基、tert-ブチルアミノ基、ペン チルアミノ基、ジペンチルアミノ基、アニリ ノ基、o-トリイジノ基、m-トルイジノ基、p-ト ルイジノ基、キシリジノ基、ジフェニルアミ ノ基などの無置換又は置換のアミノ基;
キノリル基、ピペリジノ基、ピリジル基、モ ルホリノ基などの複素環基;
フルオロ基、クロロ基、ブロモ基、ヨ-ド基 どのハロゲン基;ヒドロキシル基;カルボキシ ル基;スルホン酸基;シアノ基;及び
ニトロ基;更には、前記例示のうち二以上の 換基を組み合わせてなる置換基;などが挙げ れる。A 1 及びB 1 の芳香環は、無置換であることが好ましい。

 前記一般式[I]中、R 1 及びR 2 は各々独立に、置換基を表わす。具体的には 、R 1 及びR 2 は互いに独立に、脂肪族炭化水素基又は芳香 族炭化水素基であることが好ましい。

 上記脂肪族炭化水素基は限定されないが、 素数1以上、12以下であることが好ましく、 素数1以上、6以下が更に好ましい。
 脂肪族炭化水素基の例としては、メチル基 エチル基、ビニル基、プロピル基、イソプ ピル基、イソプロペニル基、1-プロペニル 、2-プロペニル基、2-プロピニル基、ブチル 、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル 、2-ブテニル基、1,3-ブタジエニル基、ペン ル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、t ert-ペンチル基、1-メチルペンチル基、2-メチ ペンチル基、2-ペンテニル基、2-ペンテン-4- イニル基、ヘキシル基、イソヘキシル基、5- チルヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基 ノニル基、デシル基、ドデシル基などの脂 族炭化水素基;
シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロ ペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘキ セニル基などの脂環式炭化水素基;
などが挙げられる。
 上記芳香族炭化水素基は限定されないが、 素数6以上、12以下であることが好ましく、 素数6が更に好ましい。
 芳香族炭化水素基の例としては、フェニル 、o-トリル基、m-トリル基、p-トリル基、キ リル基、メシチル基、o-クメニル基、m-クメ ニル基、p-クメニル基、ビフェニリル基、ベ ジル基、フェネチル基などが挙げられる。
 これらの脂肪族炭化水素基又は芳香族炭化 素基は、更に置換基を有していてもよい。 換基としては、例えば、前記のA 1 及びB 1 における置換基と同じものが挙げられる。
 R 1 及びR 2 は、アルキル基が好ましく、中でも炭素1~3の アルキル基が好ましく、メチル基が最も好ま しい。

 R 1 又はR 2 は、他のカチオンと連結してもよい。他のカ チオンとしては、後述する例示化合物(31)~(34) 等のシアニン色素のカチオンが挙げられる。
 R 1 又はR 2 が他のシアニン色素のカチオンと連結する場 合の連結位置は限定されないが、製造コスト の点から、連結するシアニン色素の窒素原子 と結合することが望ましい。
 2価の連結基の鎖長は、メチン系色素の合成 し易さと、有機溶剤に対するメチン系色素の 溶解性の点から、炭素原子などの構成原子の 数として、通常1個以上、好ましくは3個以上 また、通常9個以下、好ましくは8個以下の のが望ましい。
 なお、斯かる2価の連結基は、本発明の目的 を逸脱しない範囲で、その水素原子の1又は 数が、例えば、アミノ基、カルボキシル基 シアノ基、ニトロ基、ハロゲン基、ヒドロ シル基などによって置換されていてもよい

 前記一般式[I]中、X 1 、X 2 、X 3 及びX 4 は各々独立に、有機基を表わす。具体的には 、X 1 、X 2 、X 3 及びX 4 は互いに独立して、脂肪族炭化水素基又は芳 香族炭化水素基であることが好ましい。
 上記脂肪族炭化水素基は限定されないが、 素数1以上、12以下であることが好ましく、 素数1以上、6以下が更に好ましい。
 脂肪族炭化水素基の例としては、メチル基 エチル基、ビニル基、プロピル基、イソプ ピル基、イソプロペニル基、1-プロペニル 、2-プロペニル基、2-プロピニル基、ブチル 、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル 、2-ブテニル基、1,3-ブタジエニル基、ペン ル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、t ert-ペンチル基、1-メチルペンチル基、2-メチ ペンチル基、2-ペンテニル基、2-ペンテン-4- イニル基、ヘキシル基、イソヘキシル基、5- チルヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基 ノニル基、デシル基、ドデシル基などの脂 族炭化水素基;
シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロ ペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘキ セニル基などの脂環式炭化水素基;
などが挙げられる。脂肪族炭化水素基として は、アルキル基が好ましく、中でも炭素数1~3 のアルキル基が好ましく、メチル基が最も好 ましい。
 芳香族炭化水素基は限定されないが、炭素 6以上、12以下であることが好ましく、炭素 6が更に好ましい。
 芳香族炭化水素基の例としては、フェニル 、o-トリル基、m-トリル基、p-トリル基、キ リル基、メシチル基、o-クメニル基、m-クメ ニル基、p-クメニル基、ビフェニリル基、ベ ジル基、フェネチル基などが挙げられる。
 これらの脂肪族炭化水素基又は芳香族炭化 素基は、更に置換基を有していてもよい。 換基としては、例えば、前記のA 1 及びB 1 における置換基と同じものが挙げられる。

 また、X 1 とX 2 の組、及び/又は、X 3 とX 4 の組が、互いに結合して環構造を形成してい てもよい。環構造は限定されないが、3員環~7 員環であることが好ましい。環構造の具体例 としては、シクロプロパン環、シクロペンタ ン環、シクロヘキサン環、シクロペプタン環 などの飽和又は不飽和の環状構造が挙げられ る。

 また、X 1 とX 2 の組、及び/又は、X 3 とX 4 の組が、環構造を形成する場合、その環構造 は置換基を有していてもよい。置換基は限定 されないが、例えば、メチル基、エチル基、 ビニル基、プロピル基、イソプロピル基、イ ソプロペニル基、1-プロペニル基、2-プロペ ル基、2-プロピニル基、ブチル基、イソブチ ル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、2-ブテニ 基、1,3-ブタジエニル基、ペンチル基、イソ ペンチル基、ネオペンチル基、tert-ペンチル 、1-メチルペンチル基、2-メチルペンチル基 、2-ペンテニル基、2-ペンテン-4-イニル基、 キシル基、イソヘキシル基、5-メチルヘキシ ル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、 デシル基、ドデシル基などの脂肪族炭化水素 基;
フェニル基、o-トリル基、m-トリル基、p-トリ ル基、キシリル基などの芳香族炭化水素基;
ベンジル基、フェニルエチル基、フェニルプ ロピル基などのアリールアルキル基;などが げられる。
 また、これらの脂肪族炭化水素基、芳香族 化水素基、アリールアルキル基は、更に別 置換基を有していてもよい。この場合の置 基の例としては、アニリノ基、アミノ基、 ルキルアミノ基、ハロゲン基、ニトロ基、 ルコキシ基、シアノ基及びアルキル基、並 に、前記例示のうち二以上の置換基を組み わせてなる置換基などが挙げられる。

 本発明においては、X 1 、X 2 、X 3 及びX 4 の少なくとも1つが、複素環又は芳香環で置 されたアルキル基であることが望ましい。 体例としては、先にも挙げたベンジル基、 ェネチル基の他に、フェニルブチル基、フ ニルプロピル基などのフェニルアルキル基; チル基、エチル基、プロピル基、ブチル基 どの炭素数1~6のアルキル基の末端あるいは 中に、アズレン基、ナフタレン基などの芳 環や、ピリジン環、キノリン環、フラン環 チオフェン環、ピペリジン環、ピロリジン 、ピロール環、チアゾール環、オキサゾー 環、イミダゾール環、チアゾリン環、オキ ゾリン環、イミダゾリン環などの複素環を 換基として有するアルキル基などが挙げら る。
 本発明の効果を得る上で支障がない限り、 素環又は芳香環を置換基とするアルキル基 炭素数には限定はないが、通常1以上、また 、通常6以下、好ましくは3以下が望ましい。
 置換基としての複素環又は芳香環の種類に 定はないが、好適な置換基はベンゼン環で る。
 また、置換基としての複素環又は芳香環が に置換基を有していてもよい。置換基とし は、例えば、前記のA 1 及びB 1 における置換基と同じものが挙げられる。
 複素環又は芳香環で置換されたアルキル基 しては、ベンジル基が最も好ましい。また 本発明においては、A 1 がベンゼン環、B 1 がピリジン環、X 1 、X 2 、X 3 及びX 4 のうちいずれか1つが芳香環で置換されたア キル基であることが好ましい。その中でも X 1 、X 2 、X 3 及びX 4 のうちの芳香環で置換されたアルキル基以外 のX 1 、X 2 、X 3 及びX 4 と、R 1 及びR 2 が、炭素数1~3のアルキル基であり、Y 1 が水素原子であることが好ましく、X 1 又はX 2 の何れか一方が、芳香環で置換されたアルキ ル基であることが更に好ましい。

 前記一般式[I]中、Y 1 は水素原子又は有機基を表わす。中でも、Y 1 は水素原子(無置換)であることが好ましい。Y 1 としての有機基は限定されず、前記X 1 、X 2 、X 3 及びX 4 としての有機基と同様のものが挙げられるが 、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル 基など炭素数1~6のアルキル基や、フェニル基 、ナフタレン基などの芳香族炭化水素基など が好ましい。

 前記一般式[I]中、Z - は、アニオンを表わす。アニオンの種類は制 限されず、有機アニオンであっても無機アニ オンであってもよい。
 無機アニオンの例としては、六弗化燐酸イ ン、ハロゲンイオン、燐酸イオン、過塩素 イオン、過沃素酸イオン、六弗化アンチモ 酸イオン、六弗化錫酸イオン、四弗化硼素 イオンなどの無機酸イオンが挙げられる。
 有機アニオンの例としては、チオシアン酸 オン、ベンゼンスルホン酸イオン、ベンゼ ジスルホン酸イオン、ナフタレンスルホン イオン、p-トルエンスルホン酸イオン、ア キルスルホン酸イオン、ベンゼンカルボン イオン、ベンゼンジカルボン酸イオン、ベ ゼントリカルボン酸イオン、アルキルカル ン酸イオン、トリハロアルキルカルボン酸 オン、アルキル硫酸イオン、トリハロアル ル硫酸イオン、ニコチン酸イオンなどの有 酸イオンが挙げられる。

 それらのうち、Z - としては、弗素原子を含む対イオン、例えば 、六弗化燐酸イオン(PF 6 - )、硼弗化水素酸イオン、四弗化硼素酸イオ (BF 4 - )、トリフルオロメタンスルホン酸アニオン ノナフルオロブタンスルホン酸アニオン、 (トリフルオロメチルスルフォニル)イミドア ニオン、ジ(2,2,2-トリフルオロエチルスルフ ニル)イミドアニオン、ジ(3,3,3,-トリフルオ プロピルスルフォニル)イミドアニオン、ジ( 4,4,4-トリフルオロブチルスルフォニル)イミ アニオン、ジ(ペルフルオロエチルスルフォ ル)イミドアニオン、ジ(ペルフルオロプロ ルスルフォニル)イミドアニオン、ジ(ペルフ ルオロブチルスルフォニル)イミドアニオン どが好ましい。

 また、Z - としては、陰電荷を有する金属錯体を好適に 用いることが出来る。個々の金属錯体として は、例えば、アセチルアセトナートキレート 系、アゾ系、サリチルアルデヒドオキシム系 、ジインモニウム系、ジチオール系、ジピロ メテン系、スクアリリウム系、チオカテコー ルキレート系、チオビスフェノレートキレー ト系、ビスジチオ-α-ジケトンキレート系、 スフェニレンジチオール系、ホルマザン系 遷移金属キレートなどが挙げられる。これ のうち、耐光性及び溶剤に対する溶解性の で、アゾ系金属錯体が好ましい。
 中でも、Z - としては、シアニン色素全体の耐久性及び溶 剤に対する溶解性の点で、ア ゾ系金属錯体 陰イオンが更に好ましい。特に、長周期型 期律表(以下、単に「周期律表」と記す。) 第5族から第12族に属する遷移元素を中心原 とするアゾ系金属錯体の陰イオンがとりわ 好ましい。
 上記したアゾ系金属錯体の陰イオンにおけ 遷移元素としては、例えば、バナジウム、 オブ、タンタル、クロム、モリブデン、タ グステン、マンガン、レニウム、鉄、ルテ ウム、オスミウム、コバルト、ロジウム、 リジウム、ニッケル、パラジウム、白金、 、銀、金、亜鉛、カドニウム、水銀などが げられる。中でも、経済性及び生体に対す 影響の点で、バナジウム、マンガン、鉄、 バルト、銅が好ましい。
 Z - として好ましいアゾ系金属錯体の陰イオンの 例としては、下記一般式[X]で表わされるアゾ 系金属錯体の陰イオンが挙げられる。
(前記一般式[X]中、
環C及び環Dは、各々独立に、芳香族環又は複 環を表わす。但し、環C及び環Dのうち少な とも一方の環は複素環である。
Y及びXは、各々独立に、活性水素を有する基 表わす。
Mは、3価の金属元素を表わす。
Y及びXの活性水素が脱離してアゾ系配位子が- 2の電荷を有し、このアゾ系配位子2個と+3の 荷の金属原子1個から、全体で-1の電荷の金 錯体が形成される。)
 前記一般式[X]中、C及びDで表わされる環は 各々独立に、芳香族環又は不飽和若しくは 和の複素環であり、Y及びX以外の置換基を更 に有していてもよい。C及びDで表わされる環 種類は特に限定されないが、例えば、ベン ン、ナフタレン等の芳香族環;ピリジン、ピ リミジン、チオフェン等の不飽和複素環;メ ドラム酸、バルビツール酸、ピリドン等の 和複素環;などが挙げられる。
 前記一般式[X]中、Y及びXで表わされる基は 各々独立に、活性水素を有する基であり、 ロトンが脱離して陰電荷を有するものであ ばよい。Y及びXで表わされる基の種類は特に 限定されないが、例えば、カルボン酸基、ス ルホン酸基、アミノ基、水酸基、アミド基、 ボロン酸基、リン酸基などが挙げられる。ま た、C及びDで表わされる環内に前記の基が含 れていてもよい。
 前記一般式[X]中、Mで表わされる元素は、3 の金属元素である。
 アゾ系配位子の有する基Y、X、及びアゾ結 の窒素原子の一つが金属に配位すると仮定 れば、1個の金属元素に3配座の配位子を2個 する金属錯体が、6配座で安定化すると考え れる。そのため、-2の配位子が2個と、+3の 属が1個とからなるアゾ系金属錯体が、最も 定であり、且つ、一般式[I]で表わされるシ ニン色素と等モルで対になることができる で好ましい。

 上記一般式[X]で表わされるアゾ系金属錯 の陰イオンの中でも好ましい例としては、 記一般式[II]~[V]で表わされるものが挙げら る。

 一般式[II]~[V]において、Mは、一般式[X]と同 、周期律表の第5族から第12族に属する遷移 素を表わす。

 一般式[II]~[V]において、R 4 、R 5 、R 7 ~R 10 、R 12 ~R 15 、R 18 及びR 19 は、各々独立に、炭化水素基を表わす。炭化 水素基の種類は制限されず、脂肪族炭化水素 基であってもよく、芳香族炭化水素基でもよ いが、脂肪族炭化水素基が好ましい。
 脂肪族炭化水素基の例としては、メチル基 エチル基、ビニル基、プロピル基、イソプ ピル基、イソプロペニル基、1-プロペニル 、2-プロペニル基、2-プロピニル基、ブチル 、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル 、2-ブテニル基、1,3-ブタジエニル基、ペン ル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、t ert-ペンチル基、1-メチルペンチル基、2-メチ ペンチル基、2-ペンテニル基、2-ペンテン-4- イニル基、ヘキシル基、イソヘキシル基、5- チルヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基 ノニル基、デシル基、ドデシル基などの、 素数1以上、6以下の直鎖状又は分岐鎖状の 肪族炭化水素基;シクロプロピル基、シクロ チル基、シクロペンチル基、シクロヘキシ 基、シクロヘキセニル基などの、炭素数3以 上、6以下の脂環式炭化水素基;などが挙げら る。
 上記炭化水素基において、一又は二以上の 素原子が、例えばフルオロ基、クロロ基、 ロモ基などのハロゲン基によって置換され いてもよい。
 本発明のシアニン色素は、溶剤の種類にも るが、R 4 、R 5 、R 7 ~R 10 、R 12 ~R 15 、R 18 及びR 19 の炭素数が多くなるほど、通常は溶剤に対す る溶解性が増大する。

 一般式[II]、[IV]及び[V]において、R 3 、R 6 、R 11 、R 16 、R 17 及びR 20 は、各々独立に、水素原子又は置換基を表わ す。これらの基が置換基である場合の例とし ては、メチル基、エチル基、ビニル基、プロ ピル基、イソプロピル基、イソプロペニル基 、1-プロペニル基、2-プロペニル基、2-プロピ ニル基、ブチル基、イソブチル基、sec-ブチ 基、tert-ブチル基、2-ブテニル基、1,3-ブタジ エニル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネ オペンチル基、tert-ペンチル基、1-メチルペ チル基、2-メチルペンチル基、2-ペンテニル 、2-ペンテン-4-イニル基、ヘキシル基、イ ヘキシル基、5-メチルヘキシル基、ヘプチル 基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ドデ シル基などの脂肪族炭化水素基;
更には、シクロプロピル基、シクロブチル基 、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シ クロヘキセニル基などの脂環式炭化水素基;
フェニル基、o-トリル基、m-トリル基、p-トリ ル基、キシリル基、メシチル基、o-クメニル 、m-クメニル基、p-クメニル基、ビフェニリ ル基などの芳香族炭化水素基;
メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イ ソプロポキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ 基、sec-ブトキシ基、tert-ブトキシ基、ペンチ ルオキシ基、フェノキシ基などのアルコキシ 基又はアリールオキシ基;
メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル 基、プロポキシカルボニル基、ブトキシカル ボニル基、アセチル基、ベンゾイルオキシ基 などのエステル基;
アミノ基、メチルアミノ基、ジメチルアミノ 基、エチルアミノ基、ジエチルアミノ基、プ ロピルアミノ基、ジプロピルアミノ基、イソ プロピルアミノ基、ジイソプロピルアミノ基 、ブチルアミノ基、ジブチルアミノ基、イソ ブチルアミノ基、ジイソブチルアミノ基、sec -ブチルアミノ基、tert-ブチルアミノ基、ペン チルアミノ基、ジペンチルアミノ基、アニリ ノ基、o-トリイジノ基、m-トルイジノ基、p-ト ルイジノ基、キシリジノ基、ジフェニルアミ ノ基などの無置換又は置換のアミノ基;
キノリル基、ピペリジノ基、ピリジル基、モ ルホリノ基などの複素環基;
フルオロ基、クロロ基、ブロモ基、ヨ-ド基 どのハロゲン基;
ヒドロキシル基; カルボキシル基; スルホン 酸基; シアノ基;及び
ニトロ基;
 更には、前記例示のうち二以上の置換基を み合わせてなる置換基;などが挙げられる。

 なお、一般式[II]及び[III]における二つのニ ロ基、並びに、一般式[IV]及び[V]におけるR 11 及びR 16 の各々がベンゼン環に結合する位置は、アゾ 基に対して、オルト位、メタ位、パラ位の何 れであっても構わない。但し、ニトロ基にお いては、合成上の観点から、メタ位であるこ とが好ましい。

 一般式[I]のシアニン色素の好ましい例とし は、例えば、下記の構造式(1)~(46)で表わさ る化合物が挙げられる(なお、以下の記載で 、各構造式で示される化合物を、その構造 の番号を付して「例示化合物(1)」等のよう 略称する場合がある。)。以下に例示する化 合物は、何れも溶液状態において、波長400nm り長波長側の波長領域、通常、400~500nm付近 紫色から青色にかけての波長領域に主たる 収極大を有し、吸収極大波長における分子 光係数も5×10 4 以上と大きいことから、紫色から青色にかけ ての波長領域の可視光を効率良く吸収するこ ととなる。但し、以下の化合物はあくまでも 例示であって、本発明の光学記録媒体に使用 可能な一般式[I]のシアニン色素は、これらに 限定される訳ではない。

[II.光学記録媒体]
 本発明の光学記録媒体は、基板と、前記基 上に設けられ、光が照射されることにより 報の記録又は再生が可能な記録層とを少な とも有し、前記記録層が、上記一般式[I]の アニン色素を含有するものである。必要に じて、更に、下引き層、反射層、保護層な 、基板及び記録層以外の層を有していても い。

 以下、本発明の光学記録媒体について、 施形態を挙げて具体的に説明するが、以下 実施形態はあくまでも説明のために挙げる のであって、本発明は以下の実施形態に制 されず、本発明の趣旨に反しない限り自由 変形して実施することが可能である。

 まず、本発明の第1実施形態について説明 する。図1(a)は、本発明の第1実施形態に係る 学記録媒体の層構成の一例を模式的に表わ 部分断面図である。図1(a)に示される光学記 録媒体10は、光透過性材料からなる基板1と、 基板1上に設けられた記録層2と、記録層2上に 積層された反射層3及び保護層4とが順番に積 された構造を有している。光学記録媒体10 、基板1側から照射されるレーザー光Lにより 、情報の記録・再生が行われる。

 なお、説明の便宜上、光学記録媒体10に いて、保護層4が存在する側を上方、基板1が 存在する側を下方とし、これらの方向に対応 する各層の各面を、それぞれ各層の上面及び 下面とする。

 基板1の材料としては、基本的に記録光及 び再生光の波長において透過性を有する材料 であれば、様々な材料を使用することができ る。具体的には、例えば、アクリル系樹脂、 メタクリル系樹脂、ポリカーボネート樹脂、 ポリオレフィン系樹脂(特に、非晶質ポリオ フィン)、ポリエステル系樹脂、ポリスチレ 樹脂、エポキシ樹脂等の樹脂;ガラス等が挙 げられる。また、ガラス上に光硬化性樹脂等 の放射線硬化性樹脂からなる樹脂層を設けた 構造の基板を用いることもできる。中でも、 高生産性、コスト、耐吸湿性等の観点からは 、射出成型法にて使用されるポリカーボネー ト樹脂、耐薬品性及び耐吸湿性等の観点から は、非晶質ポリオレフィンが好ましい。更に 、高速応答等の観点からは、ガラスが好まし い。

 樹脂製の基板1を使用した場合、又は、記 録層と接する側(上側)に樹脂層を設けた基板1 を使用した場合には、上面に、記録再生光の 案内溝やピットを形成してもよい。案内溝の 形状としては、光学記録媒体10の中心を基準 した同心円状の形状やスパイラル状の形状 挙げられる。スパイラル状の案内溝を形成 る場合には、溝ピッチが0.2~1.2μm程度である ことが好ましい。

 記録層2は、基板1の上側に直接、又は必 に応じて基板1上に設けた下引き層等の上側 形成される層であって、上記式[I]のシアニ 色素を含有する。式[I]のシアニン色素は、 れか一種を単独で使用してもよく、二種以 を任意の組み合わせ及び比率で併用しても い。

 更に、記録層2には、式[I]のシアニン色素 に加え、必要に応じて他系統の色素を併用す ることもできる。他系統の色素としては、主 として記録用レーザー光の発振波長域に適度 な吸収を有するものであればよく、特に制限 されない。また、CD-R等に使用され、770~830nm 波長帯域中に発振波長を有する近赤外レー ー光を用いた記録・再生に適する色素や、DV D-R等に使用され、620~690nmの波長帯域中に発振 波長を有する赤色レーザー光を用いた記録・ 再生に適する色素等を、式[I]のシアニン色素 と併用して記録層2に含有させることにより 異なる波長帯域に属する複数種のレーザー を用いた記録・再生に対応する光学記録媒 10を製造することもできる。また、上記CD-R 或いはDVD-R用の色素の中で耐光性が良好なも のを選び、式[I]のシアニン色素と併用するこ とにより、耐光性を更に向上させることが可 能となる。

 式[I]のシアニン色素以外の他系統の色素 しては、含金属アゾ系色素、ベンゾフェノ 系色素、フタロシアニン系色素、ナフタロ アニン系色素、シアニン系色素、アゾ系色 、スクアリリウム系色素、含金属インドア リン系色素、トリアリールメタン系色素、 ロシアニン系色素、アズレニウム系色素、 フトキノン系色素、アントラキノン系色素 インドフェノール系色素、キサンテン系色 、オキサジン系色素、ピリリウム系色素等 挙げられる。

 また、記録層2には、式[I]のシアニン色素 に加えて、安定性や耐光性の向上のために、 一重項酸素クエンチャーとして遷移金属キレ ート化合物(例えば、アセチルアセトナート レート、ビスフェニルジチオール、サリチ アルデヒドオキシム、ビスジチオ-α-ジケト 等)等を含有させたり、記録感度の向上のた めに、金属系化合物等の記録感度向上剤を含 有させたりしてもよい。ここで、金属系化合 物とは、遷移金属等の金属が原子、イオン、 クラスター等の形で化合物に含まれるものを 言い、例えばエチレンジアミン系錯体、アゾ メチン系錯体、フェニルヒドロキシアミン系 錯体、フェナントロリン系錯体、ジヒドロキ シアゾベンゼン系錯体、ジオキシム系錯体、 ニトロソアミノフェノール系錯体、ピリジル トリアジン系錯体、アセチルアセトナート系 錯体、メタロセン系錯体、ポルフィリン系錯 体のような有機金属化合物が挙げられる。金 属原子としては特に限定されないが、遷移金 属であることが好ましい。

 更に、必要に応じてバインダー、レベリ グ剤、消泡剤等を併用することもできる。 ましいバインダーとしては、ポリビニルア コール、ポリビニルピロリドン、ニトロセ ロース、酢酸セルロース、ケトン系樹脂、 クリル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ウレ ン系樹脂、ポリビニルブチラール、ポリカ ボネート、ポリオレフィン等が挙げられる

 記録層2の成膜方法としては、真空蒸着法 、スパッタリング法、ドクターブレード法、 キャスト法、スピンコート法、浸漬法等、一 般に行なわれている様々な薄膜形成法が挙げ られる。量産性やコストの観点からは、スピ ンコート法が好ましく、均一な厚みの記録層 2が得られるという観点からは、塗布法より 真空蒸着法等の方が好ましい。スピンコー 法による成膜の場合、回転数は500~15000rpmが ましい。また、場合によっては、スピンコ トの後に、加熱する、溶媒蒸気にあてる等 処理を施してもよい。

 ドクターブレード法、キャスト法、スピ コート法、浸漬法等の塗布法により記録層2 を形成する場合に、式[I]のシアニン色素を溶 解させて基板1に塗布するために使用する塗 溶媒は、基板1を侵食しない溶媒であれば特 限定されない。具体的には、例えばジアセ ンアルコール、3-ヒドロキシ-3-メチル-2-ブ ノン等のケトンアルコール系溶媒;メチルセ ソルブ、エチルセロソルブ等のセロソルブ 溶媒;n-ヘキサン、n-オクタン等の鎖状炭化 素系溶媒;シクロヘキサン、メチルシクロヘ サン、エチルシクロヘキサン、ジメチルシ ロヘキサン、n-ブチルシクロヘキサン、tert- ブチルシクロヘキサン、シクロオクタン等の 環状炭化水素系溶媒;テトラフルオロプロパ ール、オクタフルオロペンタノール、ヘキ フルオロブタノール等のフルオロアルキル ルコール系溶媒;乳酸メチル、乳酸エチル、2 -ヒドロキシイソ酪酸メチル等のヒドロキシ ルボン酸エステル系溶媒等が挙げられる。 布法により記録層2を形成する場合、式[I]の アニン色素を溶解させて基板1に塗布するシ アニン色素の濃度は、溶媒に対し0.3~2.0重量% 好ましく、0.5~1.5重量%がより好ましい。

 真空蒸着法を用いる場合には、例えば、式[ I]のシアニン色素と、必要に応じて他の色素 各種添加剤等の記録層成分とを、真空容器 に設置されたるつぼに入れ、この真空容器 を適当な真空ポンプで10 -2 ~10 -5 Pa程度にまで排気した後、るつぼを加熱して 録層成分を蒸発させ、るつぼと向き合って かれた基板上に蒸着させることによって、 録層2を形成する。

 記録層2の膜厚は、記録方法等により適し た膜厚が異なる為、特に限定するものではな いが、記録を可能とするためにはある程度の 膜厚が必要とされるため、通常、少なくとも 1nm以上であり、好ましくは5nm以上である。但 し、あまり厚すぎても記録が良好に行なえな くなる場合があるので、通常300nm以下、好ま くは200nm以下、より好ましくは100nm以下であ る。

 反射層3は、記録層2の上に形成されてい 。反射層3の膜厚は、好ましくは50nm~300nmであ る。反射層3の材料としては、再生光の波長 おいて十分高い反射率を有する材料、例え 、Au、Al、Ag、Cu、Ti、Cr、Ni、Pt、Ta、Pd等の金 属を、単独或いは合金にして用いることがで きる。これらの中でもAu、Al、Agは反射率が高 く、反射層3の材料として適している。また これらの金属を主成分とした上で、他の材 を含有させてもよい。ここで「主成分」と 、含有率が50重量%以上のものをいう。主成 以外の他の材料としては、例えば、Mg、Se、H f、V、Nb、Ru、W、Mn、Re、Fe、Co、Rh、Ir、Cu、Zn Cd、Ga、In、Si、Ge、Te、Pb、Po、Sn、Bi、Ta、Ti Pt、Pd、Nd等の金属及び半金属を挙げること できる。中でもAgを主成分とするものは、 ストが安い点、高反射率が出易い点、後述 る印刷受容層を設けた場合に地色が白く美 いものが得られる点等から、特に好ましい 例えば、AgにAu、Pd、Pt、Cu、及びNdからなる から選ばれる一種以上を0.1原子%~5原子%程度 有させた合金は、高反射率、高耐久性、高 度且つ低コストであり好ましい。具体的に 、例えば、AgPdCu合金、AgCuAu合金、AgCuAuNd合 、AgCuNd合金等である。金属以外の材料とし は、低屈折率薄膜と高屈折率薄膜を交互に み重ねて多層膜を形成し、これを反射層3と て用いることも可能である。

 反射層3を形成する方法としては、例えば 、スパッタリング法、イオンプレーティング 法、化学蒸着法、真空蒸着法等が挙げられる 。また、基板1の上や反射層3の下に、反射率 向上、記録特性の改善、密着性の向上等の めに、公知の無機系又は有機系の中間層、 着層を設けることもできる。

 保護層4は、反射層3の上に形成される。保 層4の材料は、反射層3を外力から保護するも のであれば、特に限定されない。有機物質の 材料としては、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂 、電子線硬化性樹脂、紫外線(以下、「UV」と 略記ことがある。)硬化性樹脂等を挙げるこ ができる。また、無機物質としては、酸化 イ素、窒化ケイ素、フッ化マグネシウム(MgF 2 )、酸化スズ(SnO 2 )等が挙げられる。

 熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂等を用いる 合は、適当な溶剤に溶解して調製した塗布 を反射層3の上に塗布して乾燥させれば、保 護層4を形成することができる。UV硬化性樹脂 を用いる場合は、そのまま反射層3の上に塗 するか、又は適当な溶剤に溶解して調製し 塗布液を反射層3の上に塗布し、UV光を照射 て硬化させることによって、保護層4を形成 ることができる。UV硬化性樹脂としては、 えば、ウレタンアクリレート、エポキシア リレート、ポリエステルアクリレート等の クリレート系樹脂を用いることができる。 れらの材料は、単独で用いても、複数種を 合して用いてもよい。また、保護層は、単 として形成しても、多層として形成しても い。

 保護層4の形成方法としては、記録層2と 様に、スピンコート法やキャスト法等の塗 法や、スパッタリング法や化学蒸着法等の 法が用いられるが、中でもスピンコート法 好ましい。保護層4の膜厚は、その保護機能 果たすためにはある程度の厚みが必要とさ るため、通常0.1μm以上であり、好ましくは3 μm以上である。但し、あまり厚すぎると、効 果が変わらないだけでなく保護層4の形成に 間がかかったりコストが高くなる場合があ ので、通常100μm以下であり、好ましくは30μm 以下である。

 以上、光学記録媒体10の層構造として、 板、記録層、反射層、保護層をこの順に積 して成る構造を例に採って説明したが、こ 他の層構造を採っても構わない。

 例えば、上例の層構造における保護層4の 上面に、又は上例の層構造から保護層4を省 して反射層3の上面に、更に別の基板1を貼り 合わせてもよい。この際の基板1は、何ら層 設けていない基板そのものであってもよく 貼り合わせ面又はその反対面に反射層3等任 の層を有するものでもよい。また、同じく 例の層構造を有する光学記録媒体10や、上 の層構造から保護層4を省略した光学記録媒 10を、それぞれの保護層4及び/又は反射層3 上面を相互に対向させて2枚貼り合わせても い。

 次に、本発明の第2実施形態について説明 する。図1(b)は、本発明の第2実施形態に係る 学記録媒体の層構成の一例を模式的に表わ 部分断面図である。図1(b)中、図1(a)と共通 る要素については同じ符号を付し、説明を 略する。図1(b)に示される光学記録媒体20は 光透過性材料からなる基板1と、基板1上に設 けられた反射層3と、反射層3上に積層された 録層2及び保護被膜5とが順番に積層された 造を有している。光学記録媒体20は、保護被 膜5側から照射されるレーザー光Lにより、情 の記録・再生が行われる。

 保護被膜5は、フィルム又はシート状のも のを接着剤によって貼り合わせてもよく、ま た、前述の保護層4と同様の材料を用い、成 用の塗液を塗布し硬化又は乾燥することに り形成してもよい。保護被膜5の厚さは、そ 保護機能を果たすためにはある程度の厚さ 必要とされるため、通常0.1μm以上、好まし は3μm以上である。但し、あまり厚すぎると 、効果が変わらないだけでなく、保護被膜5 形成に時間がかかったり、コストが高くな 場合があるので、通常300μm以下、好ましく 200μm以下とすることが望ましい。

 尚、記録層2及び反射層3等の各層は、通 は第1実施形態の光学記録媒体10と同様のも が用い得る。但し、第2実施形態においては 基板1は透明である必要はなく、従って、前 述の材料以外にも、不透明な樹脂、セラミッ ク、金属(合金を含む)等が用いられる。この うな層構成においても、上記各層間には、 発明の特性を損なわない限り、必要に応じ 任意の層を有してよい。

 ところで、光学記録媒体10,20の記録密度 上げるための一つの手段として、対物レン の開口数を上げることがある。これにより 報記録面に集光される光スポットを微小化 きる。しかしながら、対物レンズの開口数 上げると、記録・再生を行なうためにレー ー光を照射した際に、光学記録媒体10,20の反 り等に起因する光スポットの収差が大きくな り易いため、良好な記録再生信号が安定して 得られない場合がある。

 このような収差は、レーザー光が透過す 透明基板や保護被膜の膜厚が厚いほど大き なり易いので、収差を小さくするためには 板や保護被膜をできるだけ薄くするのが好 しい。ただし、通常、基板1は光学記録媒体 10,20の強度を確保するためにある程度の厚み 要するので、この場合、第2実施形態の光学 記録媒体20の構造(基板1、反射層3、記録層2、 保護被膜5からなる基本的層構成の光学記録 体20)を採用するのが好ましい。第1実施形態 光学記録媒体10の基板1を薄くするのに比べ と、第2実施形態の光学記録媒体20の保護被 5は薄くし易いため、好ましくは第2実施形 の光学記録媒体20を用いる。

 但し、第1実施形態の光学記録媒体10の構 (基板1、記録層2、反射層3、保護層4からな 基本的層構成の光学記録媒体10)であっても 記録・再生用レーザー光が通過する透明な 板1の厚さを50~300μm程度にまで薄くすること より、収差を小さくして使用できるように る。

 また、他の各層の形成後に、記録・再生 ーザー光の入射面(通常は、基板1の下面)に 表面の保護やゴミ等の付着防止の目的で、 外線硬化樹脂層や無機系薄膜等を成膜形成 てもよく、記録・再生レーザー光の入射面 はない面(通常は、反射層3や保護層4の上面) に、インクジェット、感熱転写等の各種プリ ンタ、或いは各種筆記具を用いて記入や印刷 が可能な印刷受容層を設けてもよい。

 本実施の形態が適用される光学記録媒体1 0,20において、情報の記録・再生のために使 するレーザー光は、高密度記録を実現する 点から波長が短いほど好ましいが、特に波 350~530nmのレーザー光が好ましい。かかるレ ザー光の代表例として、中心波長が405nm、410 nm、515nmのレーザー光が挙げられる。

 波長350~530nmのレーザー光は、波長405nm、41 0nmの青色又は515nmの青緑色の高出力半導体レ ザー光を使用することによって得られる。 た、その他にも例えば(a)基本発振波長が740~ 960nmの連続発振可能な半導体レーザー光、及 (b)半導体レーザー光によって励起される基 発振波長740~960nmの連続発振可能な固体レー ー光の何れかの発振レーザー光を、第二高 波発生(Second-Harmonic Generation:SHG)素子により 長変換することによっても得られる。

 尚、SHG素子としては、反転対称性を欠くピ ゾ素子であればいかなるものでもよいが、K DP(KH 2 PO 4 )、ADP(NH 4 H 2 PO 4 )、BNN(Ba 2 NaNb 5 O 15 )、KN(KNbO 3 )、LBO(LiB 3 O 5 )、化合物半導体等が好ましい。第二高調波 具体例として、基本発振波長が860nmの半導体 レーザー光の場合には、その基本発振波長の 倍波である430nm、また、半導体レーザー光励 の固体レーザー光の場合には、Crドープし LiSrAlF 6 結晶(基本発振波長860nm)からの倍波の430nm等が 挙げられる。

 本発明の各実施の形態に係る光学記録媒 10、20に情報の記録を行なう際には、記録層 2に対して(通常は、図1(a)及び(b)において、記 録層2に対してレーザー光Lの方向から照射す 。)、通常0.4~0.6μm程度に集束したレーザー を照射する。記録層2のレーザー光が照射さ た部分は、レーザー光のエネルギーを吸収 ることによって分解、発熱、融解等の熱的 形を起こすため、光学的特性が変化する。

 一方、記録層2に記録された情報の再生を 行なう際には、同じく記録層2に対して(通常 、記録時と同じ方向からレーザー光Lは照射 する。)、よりエネルギーの低いレーザー光 照射する。記録層2において、光学的特性の 化が起きた部分(すなわち、情報が記録され た部分)の反射率と、変化が起きていない部 の反射率との差を読み取ることにより、情 の再生が行なわれる。

 次に、本発明の第3実施形態として、複数の 記録層を有する光学記録媒体及びその製造方 法について説明する。
 図2(a)~(f)は、本発明の第3実施形態に係る2層 型光学記録媒体の製造方法を説明する図であ る。先ず、図2(a)に示すように、表面に溝及 ランド、プリピットが形成された第1の基板2 01を、スタンパを用いた射出成型法等により 製する。次に、少なくとも有機色素を溶媒 溶解させた塗布液を第1の基板201の凹凸を有 する側の表面にスピンコート等により塗布し 、塗布液に使用した溶媒を除去するために加 熱(アニール)して第1の記録層202を成膜する。 第1の記録層202を成膜した後、Ag合金等をスパ ッタ又は蒸着することにより、第1の記録層20 2上に、半透明な第1の反射層203を成膜する。

 続いて、図2(b)に示すように、第1の反射 203の表面全体に紫外線硬化性樹脂層204aをス ンコート等により塗布して形成する。更に 図2(c)に示すように、紫外線硬化性樹脂層204 aをスピンコート等により塗布した後、樹脂 タンパ210を載置し、紫外線硬化性樹脂層204a 凹凸を転写する。このとき、紫外線硬化性 脂層204aの膜厚が所定範囲になるように調節 しつつ行なう。そして、この状態で樹脂スタ ンパ210側から紫外線を照射する等して紫外線 硬化性樹脂層204aを硬化させ、十分硬化した ころで樹脂スタンパ210を剥離し、表面に凹 を有する中間層204を形成する。

 尚、樹脂スタンパ210は、中間層204となる き樹脂に対して十分な剥離性を有していれ 良く、成形性が良く、形状安定性が良いこ が望ましい。生産性及びコストの観点から 望ましくは、樹脂スタンパ210は複数回の転 に使用可能であるのが望ましい。また、使 後のリサイクルが可能であることが望まし 。また、樹脂スタンパ210の材料としては、 えばアクリル系樹脂、メタクリル系樹脂、 リカーボネート樹脂、ポリオレフィン系樹 (特に非晶質ポリオレフィン)、ポリエステ 系樹脂、ポリスチレン樹脂、エポキシ樹脂 が挙げられる。これらの中でも、成形性等 高生産性、コスト、低吸湿性、形状安定性 の点から非晶質ポリオレフィンが好ましい

 続いて、図2(d)に示すように、有機色素を 溶媒に溶解させた塗布液をスピンコート等に より中間層204表面に塗布し、塗布液に使用し た溶媒を除去するために加熱(アニール)して 2の記録層205を成膜する。

 そして、図2(e)に示すように、Ag合金等をス ッタ、蒸着することにより第2の記録層205上 に第2の反射層206を成膜する。
 その後、図2(f)に示すように、ポリカーボネ ートを射出成型して得られた第2の基板208と ての鏡面基板を、接着層207を介して第2の反 層206に貼り合わせて光学記録媒体の製造が 了する。

 以上、本発明の第3実施形態に係る光学記 録媒体及びその製造方法について説明したが 、本実施の形態は上記の態様に限定されるも のではなく、種々変形することができる。例 えば、光学記録媒体が3つ以上の複数の記録 を有していてもよい。また、各層間や最外 として必要に応じて他の層を設けてもよい 基板入射型光ディスクに限られず、少なく も基板/反射層/第2の記録層/バッファー層/中 間層/半透明反射膜/第1の記録層/保護層から る積層構造を有し、保護層側(即ち、膜面側) からレーザー光を照射して情報の記録・再生 を行なう膜面入射型光ディスクにおいても適 用できる。

 多層媒体に用いられる色素として好適な要 としては、単層媒体に用いられる色素より 記録感度が良いことが挙げられる。なぜな ば各層に情報を記録する際に、記録する目 以外の層にも光が吸収、透過する現象が必 生じるためである。
 例えば、図2に例示した2層型光学記録媒体 場合、第1の反射層203は半透明反射膜である め、記録時に照射されるレーザー光のエネ ギーは、第1の反射層203において全て反射さ れるわけではない。このため、第1の記録層20 2へ照射されるレーザー光のエネルギーは、 1に例示した単層媒体における記録層2に較べ て小さいものとなる。従って、図2に例示し 2層型光学記録媒体における第1の記録層202を 構成する色素は、図1に例示した単層媒体に ける記録層2を構成する色素に較べて遥かに い記録感度が要求されるのである。
 この意味でも、本発明のシアニン色素は従 と比較して良好な記録感度を持つことから より好ましいと考えられる。

 この発明によるシアニン色素は諸種の方 により合成できるが、経済性を重視するの あれば、活性メチン基と適宜の脱離基との 核置換反応を利用する方法が好適である。 下、本発明について実施例を用いて更に詳 に説明するが、以下の実施例に限定して解 されるものではない。

[I.色素の合成及び評価]
 〔実施例1〕
「色素の合成1」
 下記化学式(47)で表わされる複素環誘導体3.7 gと、下記化学式(48)で表わされるニトロソ誘 体5.8gとを、無水酢酸(26ml)中、1時間加熱(90 )攪拌した。反応後、水を滴下し、冷却した 析出した結晶を濾取することにより、上記 例示化合物(1)2.6gを得た。

 結晶の一部をとり、熱特性として示差走 熱量計(DSC)分析により融点及び分解点を測 したところ、例示化合物(1)は255℃付近に融 と区別し難い分解点を示した。

 吸光特性として、常法によりメタノ-ル溶液 における吸収スペクトルを測定したところ、 例示化合物(1)は波長424.5nmに吸収極大(λ max )を示した(ε=3.74×10 5 )。

 ジメチルスルホキシド-d 6 溶液における例示化合物(1)の 1 H-核磁気共鳴スペクトルを測定したところ、 学シフトδ(ppm、TMS)が1.60(6H、s)、1.62(6H、s)、 3.18(3H、s)、3.43(3H、s)、5.87(1H、s)7.32(1H、dd)、7. 44(1H、t)、7.54(1H、t)、7.62(1H、d)、7.71(1H、d)、8. 03(1H、d)、8.38(1H、d)の位置にピ-クを示した。

 〔実施例2〕
「色素の合成2」
 前記化学式(47)で表わされる複素環誘導体70g と下記化学式(49)で表わされるニトロソ誘導 138gを無水酢酸(490ml)中、1時間加熱(90℃)攪拌 た。反応後、水を滴下し、冷却した。析出 た結晶を濾取することにより、上記の例示 合物(2)67gを得た。

 結晶の一部をとり、熱特性としてDSC分析 より融点及び分解点を測定したところ、例 化合物(2)は243℃付近に融点と区別し難い分 点を示した。

 吸光特性として、常法によりメタノ-ル溶液 における吸収スペクトルを測定したところ、 例示化合物(2)は波長432nmに吸収極大(λ max )を示した(ε=3.68×10 5 )。

 なお、ジメチルスルホキシド-d 6 溶液における例示化合物(2)の 1 H-核磁気共鳴スペクトルを測定したところ、 学シフトδ(ppm、TMS)が1.65(3H、s)、1.68(3H、s)、 1.72(3H、s)、2.98(6H、br)、3.45~3.65(2H、m)、6.10(1H s)、6.74(2H、d)、7.00~7.11(3H、m)、7.32~7.36(2H、m) 7.43~7.51(2H、m)、7.79(1H、d)、8.06(1H、d)、8.38(1H d)の位置にピ-クを示した。

 〔実施例3〕
「色素の合成3」
 上述の例示化合物(1)0.72gと、下記化学式(50) 表わされるアゾ錯体1.5gとを、アセトニトリ ル(45ml)中、加熱(80℃)攪拌し完溶させた。そ 後アセトニトリルを留去し、析出した結晶 濾取することにより、上記の例示化合物(35)1 .45gを得た。

 結晶の一部をとり、熱特性としてDSC分析 より融点及び分解点を測定したところ、例 化合物(35)は252℃付近に融点と区別し難い分 解点を示した。

 吸光特性として、常法によりメタノ-ル溶液 における吸収スペクトルを測定したところ、 例示化合物(35)は波長440nmに主たる吸収極大(λ max )を示した(ε=6.47×10 4 )。

 重クロロホルム溶液における例示化合物(35) の 1 H-核磁気共鳴スペクトルを測定したところ、 学シフトδ(ppm、TMS)が0.50(6H、t)、0.78~0.86(4H、 m)、0.94~1.10(4H、m)、1.67(12H、s)、2.94(6H、s)、3.31 (3H、s)、3.48(3H、s)、3.59~3.66(4H、m)、5.56(1H、s) 6.83(2H、d)、7.28(1H、dd)、7.43~7.56(4H、m)、7.76(1H dd)、7.99(2H、dd)、8.37(1H、dd)、9.13(2H、d)の位 にピ-クを示した。

 〔実施例4〕
「色素の合成4」
 上述の例示化合物(2)64gと前記化学式(50)で表 わされるアゾ錯体113gをアセトニトリル(3390ml) 中、加熱(80℃)攪拌し完溶させた。その後ア トニトリルを留去し、析出した結晶を濾取 ることにより、上述の例示化合物(36)108gを得 た。

 結晶の一部をとり、熱特性としてDSC分析 より融点及び分解点を測定したところ、例 化合物(36)は238℃付近に融点と区別し難い分 解点を示した。

 吸光特性として、常法によりメタノ-ル溶液 における吸収スペクトルを測定したところ、 例示化合物(36)は波長446nmに主たる吸収極大(λ max )を示した(ε=7.08×10 4 )。

 重クロロホルム溶液における例示化合物(36) の 1 H-核磁気共鳴スペクトルを測定したところ、 学シフトδ(ppm、TMS)が0.50(6H、t)、0.79~0.88(4H、 m)、0.94~1.01(4H、m)、1.67(3H、s)、1.69(3H、s)、1.78( 3H、s)、2.93(6H、s)、3.05(6H、br)、3.26~3.52(2H、m) 3.58~3.66(4H、m)、5.64(1H、s)、6.69(2H、d)、6.82(2H d)、7.05~7.30(5H、m)、7.52~7.55(3H、m)、7.77(1H、d) 7.99(2H、dd)、8.35(1H、d)、9.12(2H、d)の位置にピ- クを示した。

[II.光学記録媒体の作製及び評価]
 〔実施例5〕<記録層が単層である光学記 媒体>
 厚さ0.6mm、トラックピッチ0.4μm、溝幅260nm、 溝深さ60nmのポリカーボネート製の基板上に 実施例4で得られた例示化合物(36)をTFP(2,2,3,3- テトラフルオロ-1-プロパノール)に対し1.0重 %の濃度となるように混合した溶液をスピン ート法で塗布し、70℃で25分乾燥させること により、記録層を設けた。なお、空気をリフ ァレンスとして測定した470nmでの吸光度は0.30 であった。その後、この記録層の上に、スパ ッタリングにより厚さ120nmのAgBi 0.2 Nd 0.5 反射膜を設けた。更に、この反射層の上に、 紫外線硬化樹脂(ソニーケミカル社製SK7100)を いて、0.6mm厚のポリカーボネート製の裏板 接着して、光学記録媒体を作製した。

 得られた光学記録媒体に対し、レーザー波 405nm、NA(開口数)0.65のテスター(パルステッ 社製ODU-1000)を用い、線速度6.61m/s、最短マー 長204nmでランダムパターン記録を行なった 記録及び再生は、DVDフォーラムにより定め れたHD DVD-R規格Ver1.0に準拠した方式で、同 格にあるPRSNR(Partial Response Signal to Noise Rat io)及びSbER(Simulated bit error rate)の評価を行な った。
 その結果、記録メカニズムはLow to High型で あり、最適記録パワーは7.2mWであった。この の光学記録媒体のPRSNRは35.0と、規格の15を 回る結果であった。また、SbERは3.0×10 -11 と、規格の5.0×10 -5 以内で良好な結果であった。

 〔比較例1〕
 色素として、下記化学式(51)で表わされる化 合物を使用した以外は、実施例5と同様の条 で光学記録媒体を作製し、実施例5と同様の 件で評価を行なった。

 この結果、記録メカニズムはLow to High型で あり、PRSNRは32.0、SbERは4.5×10 -11 と、何れも規格の範囲内であった。しかしな がら、最適記録パワーは8.8mWであり、実施例5 と比較すると記録感度の点で有意な差のある ことが判った。

〔実施例6〕<記録層を2層有する光学記録媒 体>
 Layer 0色素として例示化合物(36)を用い、Laye r 1色素として下記化学式(52)で表わされる化 物を用いて2層媒体を作製し、Layer 0、Layer  1のそれぞれの記録層の記録特性を評価した ここで、Layer 0は「第1の記録層」(レーザー 射に近い側の記録層)を意味し、Layer 1は「 2の記録層」(レーザー入射に遠い側の記録 )を意味する。
 以下に媒体作製の手順を示す。使用する基 のトラックピッチは0.4μmとし、溝深さは、L ayer 0:60nm、Layer 1:65nm、溝幅は両者とも260nmと なるよう予め、基板及びスタンパを準備した 。

 まず、Layer 0用の溝が形成された厚さ0.59mm リカーボネート基板上に、上述の例示化合 (36)をTFP(2,2,3,3-テトラフルオロ-1-プロパノー )に対し1.0重量%の濃度となるように混合し 溶液を用いてスピンコート法で塗布し、70℃ で25分乾燥させることにより、Layer 0記録層 設けた。この時、470nmでの吸光度は0.280であ た。
 次いで、Layer 0に隣接する半透明反射膜と て、AgBi 10 を厚さ45nmでスパッタリング法により成膜し 。 
 次に、半透明反射膜の表面に、紫外線硬化 脂(大日本インキ社製SD6036)を厚さ約22μmでス ピンコート塗布した。一方、非晶質環状ポリ オレフィン樹脂からなるLayer 1の溝を転写す ためのスタンパ上に、紫外線硬化樹脂(日本 化薬社製MPZ388)を厚さ約8μmでスピンコート塗 した。その後、これら塗布面同士を接着さ た。接着後、非晶質環状ポリオレフィン樹 スタンパ側からUV光240mJ/cm 2 を照射して、2種類の紫外線硬化樹脂を同時 硬化させた。その後、非晶質環状ポリオレ ィン樹脂スタンパを紫外線硬化樹脂から剥 することにより、剥離面にLayer 1用の溝(溝 さ65nm、溝幅260nm、トラックピッチ0.4μm)が転 された中間層を形成した。この時、UV硬化 の中間層全体の厚さは28μmであった。
 次に、Layer 1用の溝が形成された中間層上 、Layer 0と同様にして、前記化学式(52)で表 される化合物をスピンコート法により塗布 、70℃で25分乾燥させることにより、Layer 1 録層を設けた。この時、Layer 1色素のみの470 nmでの吸光度は0.300であった。ここで、Layer 1 色素のみの吸光度とは、Layer 0色素及び半透 反射膜を形成しない状態、すなわち、基板 中間層、Layer 1色素の順に積層した場合の Layer 1色素の吸光度を意味する。
 更に、Layer 1に隣接する全反射膜として、Ag Cu 0.9 Nd 0.7 を、厚さ120nmでスパッタリング法により成膜 た。
 最後に、全反射層と厚さ0.6mmのポリカーボ ート製の裏板とを、貼り合わせ用の紫外線 化樹脂で接着、硬化させることにより、記 層を2層有する光学記録媒体を作製した。

 記録条件は単層媒体と同一であり、レー ー波長405nm、NA(開口数)0.65のテスター(パル テック社製ODU-1000)を用い、線速度6.61m/s、最 マーク長204nmで記録を行なった。記録、再 はDVDフォーラムにより定められたHD DVD-R規 Ver1.0に準拠した方式で行ない、同規格にあ PRSNR及びSbERの評価を行なった。

 評価の結果、記録メカニズムはLayer 0、Layer  1ともにLow to High型であった。Layer 0の最適 記録パワーは10.0mW、PRNSRは23.0、SbERは2.1×10 -8 であり、Layer 1の最適記録パワーは13.0mW、PRNS Rは24.5、SbERは5.1×10 -8 であった。PRSNRの値は、Layer 0、Layer 1ともに 規格の15.0を大きく上回る良好な結果であり また、SbERも同様に規格の5.0×10 -5 以内であり、Layer 0、Layer 1共に2層媒体に必 な記録特性を十分に確保できた。

〔比較例2〕
 Layer 0色素として上述の例示化合物(51)を使 した以外は、実施例6と同様の条件で2層媒 を作製し、実施例6と同様の条件で評価を行 った。
 この結果、Layer 0の最適記録パワーは12.5mW あり、実施例6よりも感度が悪かった。また PRNSRは13.8、SbERは4.2×10 -3 であり、記録特性の上でも規格を満たすこと ができなかった。

 本発明の適用分野は特に制限されないが、 色レーザー光等の発振波長の短いレーザー を用いて記録・再生を行なう光学記録媒体 分野において、好適に利用することが可能 ある。
 
 なお、2007年2月28日に出願された日本特許出 願2007-049968号の明細書、特許請求の範囲、図 及び要約書の全内容をここに引用し、本発 の明細書の開示として、取り入れるもので る。