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Patent Searching and Data


Title:
CYCLIC OLEFIN RESIN AND FILM COMPRISING THE RESIN
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/139293
Kind Code:
A1
Abstract:
Disclosed is a cyclic olefin resin suitable for the production of a film having high heat resistance and high tensile properties.  Also disclosed is a film produced by using the cyclic olefin resin. The cyclic olefin resin has a glass transition temperature of 150°C or higher, and contains a repeating unit derived from a cyclic olefin monomer at a ratio of 50 to 80 mol% and a repeating unit derived from a non-cyclic olefin monomer at a ratio of 20 to 50 mol%.  In the cyclic olefin resin, the ratio of a dimer of the repeating unit derived from the cyclic olefin monomer in the cyclic olefin component is 40 mol% or more, the ratio of a meso dyad to a rasemo dyad [i.e., a (meso dyad)/(raceme dyad) ratio] in the dimer is 10 or more, and the ratio of a trimer of the repeating unit derived from the cyclic olefin monomer in the cyclic olefin component is 20 mol% or less.

Inventors:
SHIWAKU TOSHIO (JP)
KUNIMOTO EIKI (JP)
ISHIKAWA SAE (JP)
BRUCH MATTHIAS (DE)
SCHAUWIENOLD ANNE-MEIKE (DE)
KANAI HIROYUKI (DE)
BERGHAUSER KLAUS-GEORG (DE)
BERGER KLAUS (DE)
STEHLING UDO MANFRED (DE)
Application Number:
PCT/JP2009/058352
Publication Date:
November 19, 2009
Filing Date:
April 28, 2009
Export Citation:
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Assignee:
POLYPLASTICS CO (JP)
DAICEL CHEM (JP)
TOPAS ADVANCED POLYMERS GMBH (DE)
SHIWAKU TOSHIO (JP)
KUNIMOTO EIKI (JP)
ISHIKAWA SAE (JP)
BRUCH MATTHIAS (DE)
SCHAUWIENOLD ANNE-MEIKE (DE)
KANAI HIROYUKI (DE)
BERGHAUSER KLAUS-GEORG (DE)
BERGER KLAUS (DE)
STEHLING UDO MANFRED (DE)
International Classes:
C08F232/00; G02B5/30
Domestic Patent References:
WO2006030797A12006-03-23
Foreign References:
JP2007010863A2007-01-18
JP2006011361A2006-01-12
JP2009003439A2009-01-08
JP2009051922A2009-03-12
Attorney, Agent or Firm:
SHOBAYASHI, Masayuki et al. (JP)
Right wood Masayuki (JP)
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Claims:
 環状オレフィン系モノマーに由来する繰り返し単位と、非環式オレフィン系モノマーに由来する繰り返し単位と、を含む環状オレフィン系樹脂であって、
 ガラス転移点が、150℃以上であり、
 前記環状オレフィン系モノマーに由来する繰り返し単位の割合が、50mol%から80mol%であり、
 前記非環式オレフィン系モノマーに由来する繰り返し単位の割合が、20mol%から50mol%であり、
 環状オレフィン系成分中における、前記環状オレフィン系モノマーに由来する繰り返し単位が二量体として存在する割合が、40mol%以上であり、
 環状オレフィン系成分中における前記環状オレフィン系モノマーに由来する繰り返し単位が三量体として存在する割合が20mol%以上である環状オレフィン系樹脂。
 前記環状オレフィン系モノマーに由来する繰り返し単位の割合が、50mol%から65mol%であり、
 前記二量体において、メソ型二連鎖部位とラセモ型二連鎖部位との比(メソ型二連鎖部位/ラセモ型二連鎖部位)が10以上である請求項1に記載の環状オレフィン系樹脂。
 請求項1又は2に記載の環状オレフィン系樹脂からなるフィルム。
 請求項1又は2に記載の環状オレフィン系樹脂からなる位相差フィルム。
 一軸延伸倍率1.2倍、厚さ70μm換算で、波長590nmにおける位相差が170nm以上である請求項4に記載の位相差フィルム。
Description:
環状オレフィン系樹脂及び当該 脂を用いたフィルム

 本発明は、特徴的な微小構造を有する新 な環状オレフィン系樹脂及び当該環状オレ ィン系樹脂を用いたフィルムに関する。

 近年液晶表示装置の進歩は著しく、液晶 示装置は、携帯電話、パソコンモニターと った小型、中型のものだけでなく、テレビ の大型のものまで広く用いられようとして る。液晶表示装置には様々な高分子フィル が用いられており、その中には、液晶の色 償のために用いられる位相差フィルムがあ 。位相差フィルムに用いる高分子素材とし はポリカーボネート等がよく使われてきた

 ところで、位相差フィルムは、鮮明な色 と精細な画像を得るために、位相差が全面 均一であり、高温や高湿度なる厳しい環境 においても光学特性が変化しないことが求 られる。通常ポリカーボネート(PC)からなる フィルムを延伸、配向させてなるフィルムが 位相差フィルムとして用いられているが、ポ リカーボネートはガラス域からガラス転移温 度以上の全般に渡る光弾性定数が大きいため 、複屈折が大きくなりすぎること、不均一と なること、組立時や環境変化に基づいて生じ た僅かな応力で位相差が変化すること等の問 題があった。またポリカーボネートフィルム は、表面硬度が小さいために、フィルム製造 時やデバイス組立時に傷がつきやすいという 問題もあった。

 そこで、最近では環状オレフィン系樹脂 呼ばれる樹脂が注目を浴びている。環状オ フィン系樹脂とは、脂環族構造を入れて耐 性を高め非晶性にしたポリオレフィンであ 、透明性が高くまた吸水率が低いため寸法 定性に優れるという特徴がある。さらに芳 族成分を含まないためガラス域での光弾性 数が極めて低いという特徴があり、テレビ 等液晶表示装置の大型化に伴いその優れた 性が次第に注目されるようになってきてい のが現状である。このような背景から、位 差フィルムとして好適な環状オレフィン系 脂に関する技術が開示されている(特許文献 1)。

 しかし、近年、様々な用途、多様な環境 偏光板が使用されるようになり、従来にな 過酷な使用状況にも耐えるような機能を持 た位相差フィルムが期待されている。その 果、位相差フィルムには高い耐熱性のみな ず、高い引張特性が求められるようになっ きている。位相差フィルムは、通常、粘着 を用いて偏光板や液晶セルと貼り合わされ いる。これが高温に曝されると、液晶セル と位相差フィルムとの熱膨張係数が異なる め、どうしても積層界面には応力が発生し 位相差フィルムの光学特性を損ねてしまう めである。

 そこで、従来の水準以上の位相差値を維 しつつ、高い耐熱性、引張特性を持ち、過 な使用環境にも耐えうる位相差フィルムが められている。

国際公開WO 2007/060723号パンフレット

 本発明は上記のような課題を解決するた になされたものであり、その目的は、高い 熱性、引張特性を備えた位相差フィルムを 造するのに適した環状オレフィン系樹脂及 当該環状オレフィン系樹脂を用いたフィル 、中でも位相差フィルムを提供することに る。

 本発明者らは上記課題を解決するために 意研究を重ねた。その結果、ガラス転移点 高く、環状オレフィン系モノマー成分に由 する繰り返し単位と、非環式オレフィン系 ノマーに由来する繰り返し単位との連続性 特定のものに制御された環状オレフィン系 脂であれば、上記課題を解決できることを 出し、本発明を完成するに至った。より具 的には、本発明は以下のものを提供する。

 (1) 環状オレフィン系モノマーに由来す 繰り返し単位と、非環式オレフィン系モノ ーに由来する繰り返し単位と、を含む環状 レフィン系樹脂であって、ガラス転移点が 150℃以上であり、前記環状オレフィン系モ マーに由来する繰り返し単位の割合が、50mol %から80mol%であり、前記非環式オレフィン系 ノマーに由来する繰り返し単位の割合が、20 mol%から50mol%であり、環状オレフィン系成分 における、前記環状オレフィン系モノマー 由来する繰り返し単位が二量体として存在 る割合が、40mol%以上であり、環状オレフィ 系成分中における前記環状オレフィン系モ マーに由来する繰り返し単位が三量体とし 存在する割合が20mol%以上である環状オレフ ン系樹脂。

 (2) 前記環状オレフィン系モノマーに由 する繰り返し単位の割合が、50mol%から65mol% あり、前記二量体において、メソ型二連鎖 位とラセモ型二連鎖部位との比(メソ型二連 部位/ラセモ型二連鎖部位)が10以上である(1) に記載の環状オレフィン系樹脂。

 (3) (1)又は(2)に記載の環状オレフィン系 脂、からなるフィルム。

 (4) (1)又は(2)に記載の環状オレフィン系 脂からなる位相差フィルム。

 (5) 一軸延伸倍率1.2倍、厚さ70μm換算で、 波長590nmにおける位相差が170nm以上である(4) 記載の位相差フィルム。

 本発明の環状オレフィン系樹脂は、ガラ 転移点が高く、環状オレフィン系モノマー 分に由来する繰り返し単位と、非環式オレ ィン系モノマーに由来する繰り返し単位と 連続性が特定のものに制御されている。こ ような、本発明の環状オレフィン系樹脂を いることで、高い耐熱性、引張特性を持つ ィルムを得ることができる。

 以下、本発明の一実施形態について詳細 説明するが、本発明は、以下の実施形態に ら限定されるものではなく、本発明の目的 範囲内において、適宜変更を加えて実施す ことができる。

 本発明は、耐熱性、引張特性の高いフィ ムを製造できるように、環状オレフィン系 ノマー成分に由来する繰り返し単位と、非 式オレフィン系モノマーに由来する繰り返 単位との連続性が特定のものに制御された 状オレフィン系樹脂である。以下この環状 レフィン系樹脂、これを用いて製造したフ ルムについて説明する。

<環状オレフィン系樹脂>
 本発明の環状オレフィン系樹脂は、ガラス 移点が150℃以上の範囲にあり、環状オレフ ン系モノマー成分に由来する繰り返し単位 、非環式オレフィン系モノマーに由来する り返し単位との連続性が特定のものに制御 れたことが特徴である。

 本発明に用いられる環状オレフィン系樹 は、環状オレフィン系モノマーを共重合成 として含むものであり、環状オレフィン系 ノマーを主鎖に含むポリオレフィン系樹脂 ある。(a1)環状オレフィンと非環式オレフィ ンの付加共重合体又はその水素添加物を挙げ ることができる。

 また、本発明に用いられる環状オレフィ 系モノマーを共重合成分として含む環状オ フィン系樹脂としては、(a2)上記の樹脂に、 さらに極性基を有する不飽和化合物をグラフ ト及び/又は共重合したもの、を含む。極性 としては、例えば、カルボキシル基、酸無 物基、エポキシ基、アミド基、エステル基 ヒドロキシル基等を挙げることができ、極 基を有する不飽和化合物としては、(メタ)ア クリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、無 水イタコン酸、グリシジル(メタ)アクリレー 、(メタ)アクリル酸アルキル(炭素数1から10) エステル、マレイン酸アルキル(炭素数1から1 0)エステル、(メタ)アクリルアミド、(メタ)ア クリル酸-2-ヒドロキシエチル等を挙げること ができる。

 本発明においては、(a1)環状オレフィンと α-オレフィンの付加共重合体又はその水素添 加物を好ましく用いることができる。

 本発明の組成物に好ましく用いられる(a1) 環状オレフィンと非環式オレフィンの付加共 重合体としては、特に限定されるものではな い。好ましい例としては、非環式オレフィン 系モノマーと、下記一般式(I)で示される環状 オレフィン系モノマー(ノルボルネン類)と、 含む共重合体を挙げることができる。

(式中、R 1 からR 12 は、それぞれ同一でも異なっていてもよく、 水素原子、ハロゲン原子、及び、炭化水素基 等からなる群より選ばれるものであり、R 9 とR 10 、R 11 とR 12 は、一体化して2価の炭化水素基を形成して よく、R 9 又はR 10 と、R 11 又はR 12 とは、互いに環を形成していてもよい。また 、nは、0又は正の整数を示し、nが2以上の場 には、R 5 からR 8 は、それぞれの繰り返し単位の中で、それぞ れ同一でも異なっていてもよい。)

 非環式オレフィン系モノマーとしては、 記環状オレフィン系モノマーと共重合可能 ものであれば特に限定されないが、α-オレ ィンであることが好ましく、より好ましく エチレンである。非環式オレフィン系モノ ーは単独で用いてもよいし、必要に応じて2 種以上を併用してもよい。

 本発明の環状オレフィン系樹脂は、環状 レフィン系モノマーに由来する繰り返し単 50mol%から80mol%と、非環式オレフィン系モノ ーに由来する繰り返し単位20mol%から50mol%と を含むものである。好ましくは、環状オレ ィン系モノマーに由来する繰り返し単位50mo l%から65mol%、非環式オレフィン系モノマーに 来する繰り返し単位35mol%から50mol%である。 状オレフィン系モノマーの含有量が80mol%を えると、加工に要する温度が高くなり成形 工時の着色が無視できない程度になるので ましくない。環状オレフィン系モノマーの5 0mol%未満になると耐熱性が十分でなくなる。

 本発明の環状オレフィン系樹脂は、環状 レフィン系モノマーの含有量に対して、環 オレフィン系モノマーに由来する繰り返し 位が二量体として存在する割合が40mol%以上 ある。また、本発明の環状オレフィン系樹 は、環状オレフィン系モノマーの含有量に して、環状オレフィン系モノマーに由来す 繰り返し単位が三量体として存在する割合 、20mol%以上である。

 環状オレフィン系モノマーの含有量に対 て、環状オレフィン系モノマーに由来する り返し単位が二量体として存在する割合が4 0mol%以上であり、三量体として存在する割合 20mol%以上であれば、Tgが150℃以上でも、フ ルム物性が良くなる。

 上記二量体の立体規則性には、下記式(II) のメソ型と下記式(III)のラセモ型とがあるこ が知られている。本発明の環状オレフィン 樹脂における上記立体異性体の存在比率(メ ソ型二連鎖部位/ラセモ型二連鎖部位)は特に 定されないが、10以上である。好ましくは15 以上である。メソ型の方が分子の対称性がよ く、直線状に並びやすいので、分子鎖が配向 しやすくなるため、位相差性能を向上させる ことができる。一方、ラセモ型であると、環 状オレフィン系モノマーの橋頭位の炭素同士 の立体障害のため環状オレフィン系モノマー 同士がねじれやすくなり、分子鎖が折れ曲が りやすくなる。結果として、上記立体異性体 の存在比率が上記好ましい範囲を下回ると位 相差発現性が低下しやすくなるため好ましく ない。

 上記の通り、環状オレフィン系モノマー 含有量に対して、メソ型二連鎖部の含有割 が多い方が好ましい。本発明の環状オレフ ン系樹脂であれば、環状オレフィン系モノ ーに由来する繰り返し単位が二量体として 在する割合が、40mol%以上であり、これら二 体において、メソ型二連鎖部位とラセモ型 連鎖部位との比(メソ型二連鎖部位/ラセモ 二連鎖部位)が10以上であり、環状オレフィ 系モノマーに由来する繰り返し単位が三量 として存在する割合が、20mol%以上であるも を得ることができる。

 本発明の環状オレフィン系樹脂は、上記 状オレフィン系モノマー、非環式オレフィ 系モノマーと共重合可能な他のモノマー成 に由来する繰り返し単位を含有してもよい このような他のモノマー成分としては、特 限定されない。また、本発明の環状オレフ ン系樹脂において、上記他のモノマーに由 する繰り返し単位の含有量は10mol%以下であ ことが好ましく、より好ましくは5mol%以下 あり、さらに好ましくは3mol%以下である。上 記好ましい範囲を超えると耐熱性等のフィル ムの性能に影響があるため好ましくない。

 本発明の環状オレフィン系樹脂のガラス 移点は、150℃以上である。ガラス転移点が1 50℃を下回ると得られる位相差フィルムの耐 性が低下してしまう。なお、ガラス転移点 190℃を上回るとフィルムの靭性が低下する 向にあり、また、共重合体の溶融粘度が高 なりすぎてフィルムの溶融製膜が困難にな 。その結果、好ましいガラス転移点の範囲 150℃から190℃である。

 また、本発明の環状オレフィン系樹脂の 子量は、Melt Volume Rate(MVR)を指標とするこ もできる。MVRは、ISO 1133に基づいて測定で 、温度260℃、荷重2.16kgで、10分間の間に排出 された樹脂の体積量(mL/10分)を意味する。本 明の環状オレフィン系樹脂のMVRの好ましい 限は0.5mL/10分、好ましい上限は40mL/10分であ 。0.5mL/10分未満であると、成形性に劣ること があり、40mL/10分を超えると、充分な強度を する成形体が得られないことがある。より ましい下限は0.8mL/10分、より好ましい上限は 30mL/10分である。

 本発明の環状オレフィン系樹脂は、重合 媒、重合条件を最適化することにより製造 ることができる。

 本発明の環状オレフィン系樹脂の製造に 用される触媒としては、メタロセン触媒と 触媒としてのメチルアルモキサンとの複合 媒系が利用できる。メタロセン触媒の好適 例としては、ラセミ-エチリデン-ビス(イン ニル)ジルコニウムジクロライド、ラセミ- メチルシリル-ビス(2-メチル-ベンゾインデニ ル)ジルコニウムジクロライド、ラセミ-イソ ロピリデン-ビス(テトラヒドロインデニル) ルコニウムジクロライド、イソプロピリデ (1-インデニル)(3-イソプロピル-シクロペン ジエニル)ジルコニウムジクロライド等が挙 られる。なかでも、ラセミ-イソプロピリデ ン-ビス(テトラヒドロインデニル)ジルコニウ ムジクロライドが好適である。他の触媒系で あっても、上記特徴的な微小構造が得られる ものであれば、本発明の環状オレフィン系樹 脂の製造に使用することができる。

 上記環状オレフィン系樹脂の製造方法と ては、従来公知の方法を用いることができ 。具体的には、例えば、環状オレフィン系 ノマーと非環式オレフィン系モノマーとを 応器に導入し、そこに触媒系の溶液又は分 液を加え、所定の反応温度にすることで得 れる。得られる環状オレフィン系樹脂(A)中 モノマーに由来する繰り返し単位の比率等 、反応の温度と圧力とを最適に設定するこ により制御することができる。なお、非環 オレフィン系モノマーは気体状であること 多いことから、共重合体中のオレフィンモ マーの導入率を一定にするためにオレフィ の圧力を一定に保つことが好ましい。重合 応終了後には、アルコールを添加する等の 法により触媒を失活させ、反応系から除去 る。

 環状オレフィン系樹脂は、本発明の目的 阻害しない範囲で、その特性を改良するた に、他の相溶性又は非相溶性の重合体を含 で樹脂組成物にしてもよい。これらの重合 は、別の層を形成したり、又は環状オレフ ン系樹脂と混合したりすることができる。 合は溶融状態もしくは溶液状態で行うこと できる。このような樹脂としては特に限定 れず、例えば、ポリエチレン、ポリプロピ ン、スチレンブタジエンスチレンブロック 重合体、スチレンエチレンブチレンスチレ ブロック共重合体、スチレンエチレンプロ レンスチレンブロック重合体等が挙げられ 。

 環状オレフィン系樹脂は、平滑性、成形 の向上等を目的に、滑剤を含有することが ましい。滑剤を含有することにより、押出 形法にて製膜を行う際に、スクリューによ 剪断がかかってもペレット同士又はペレッ とバレルとの摩擦が低減され、ゲル粒子が 生するのを抑えることができる。

 滑剤は通常、成型機に投入される際に樹 ペレットとともに供給される(外添)か、又 、樹脂ペレットの内部に含有されている(内 )。本発明においては、滑剤を内添すること が好ましい。内添することにより、外添の場 合に押し出し機の根元で滑剤が滞留し、滑剤 が劣化することによって発生する欠点を抑え られる;外添の場合に滑剤の粉の飛散に伴う 造環境のクリーン度の低下を抑えることが きる;ペレタイズの際にフィルターを通すこ ができるので、滑剤中の異物を効果的に除 できる等の種々の効果を得ることができる

 環状オレフィン系樹脂は、通常、濃厚な 合溶液として得られることから、当該重合 液に、必要に応じて酸化防止剤、安定剤等 充填剤等に加え、滑剤を配合した後、脱溶 の過程を経て、例えばペレタイザー等を用 てペレット化することで、滑剤が内添され ペレットを得ることができる。上記滑剤と ては特に限定されないが、長鎖脂肪族炭化 素基を有する脂肪酸エステル化合物、長鎖 肪族炭化水素基を有するアミド化合物、及 、長鎖脂肪族炭化水素基を有する塩からな 群より選択される少なくとも1種以上が好適 である。

 環状オレフィン系樹脂組成物における滑 の含有量の好ましい下限は、上記環状オレ ィン系樹脂(A)100質量部に対して0.01質量部、 好ましい上限は3質量部である。より好まし 下限は0.03質量部、より好ましい上限は2.5質 部であり、さらに好ましい下限は0.05質量部 、さらに好ましい上限は2質量部である。

 本発明の環状オレフィン系樹脂を含む樹 組成物は、本発明の目的を阻害しない範囲 、フェノール系、リン系等の老化防止剤;フ ェノール系等の熱劣化防止剤;アミン系等の 電防止剤;ベンゾフェノン系、ベンゾトリア ール系等の紫外線吸収剤等の従来公知の添 剤を含有してもよい。

<位相差フィルムの製造方法>
 本発明の位相差フィルムは、上記環状オレ ィン系樹脂(A)、上記環状オレフィン系樹脂( A)を含む組成物からフィルムを作製した後、 伸処理を施すことにより製造することがで る。

 上記フィルムを作製する方法としては特 限定されず、例えば、溶融押出製膜法、カ ンダー製膜法、溶液キャスト(流延)製膜法 の従来公知の製膜法を用いることができる なかでも、生産性に優れ、環境共生的でも ることから、溶融押出製膜法が好適である

 上記フィルムに位相差を付与して位相差 ィルムとするためには、DSC法(JIS K7121、あ いはドイツ工業規格DIN53765、DIN51007記載の方 )によって求められるガラス転移点(Tg)付近 で温度を上げた状態で延伸することが必要 なる。上記延伸処理の方法としては特に限 されず、例えば、縦一軸延伸、横一軸延伸 同時二軸延伸、逐次二軸延伸等が挙げられ 。また、延伸のタイミングは特に限定され 、インライン延伸でもよくオフライン延伸 いが、好ましくは製膜後のインライン延伸 ある。

 上記延伸処理における温度は、延伸倍率 の条件にもよるが、ガラス転移点(Tg)付近で 行うことが好ましい。ガラス転移点(Tg)より 過度に低温で延伸を行うと、一般的には、 い位相差値を付与できるが、クレーズ等の 生による白化やフィルムの破断が起こる可 性が高くなる。また、白化が起きなくとも 位相差の軸方向を精度良くそろえることが 難になったり、高温雰囲気で耐久試験を行 と、位相差値の低下が起こり充分な耐久性 得られなかったりする等の不具合も生じや くなる。一方、ガラス転移点(Tg)よりも過度 高温で延伸を行うと、必要とされる位相差 を得にくくなる。

<位相差フィルム>
 上記のような方法で製造された本発明の位 差フィルムは、耐熱性が高い。例えば、フ ルムの状態で150℃程度の高温に曝されても ィルムがカールすることを防ぐことができ 。また、引張特性が高く、使用時に加わる に対しても柔軟に対応できる。

 位相差フィルムの厚さは特に限定されな が、厚みがあるほうが位相差は高くなる。 かし、近年では小型・薄型・軽量化の技術 求められており、位相差フィルムにおいて 薄いものが求められている。本発明の位相 フィルムは70μm程度の非常に薄い膜厚であ ても、極めて高い位相差を実現することが きる。

 以下、実施例及び比較例を示し、本発明 具体的に説明するが、本発明はこれらの実 例に限定されるものではない。

 原材料として、下記の方法で合成した製 実施例1、2の環状オレフィン系樹脂を実施 1、2に、また、市販の環状オレフィン系樹脂 6015S-04(Topas Advanced Polymers社製)、6013S-04(Topas  Advanced Polymers社製)をそれぞれ比較例3、4に用 いた。

<製造実施例>
 重合は、後述する方法によって、1.5L、最大 許容内部作業圧25barのスチールオートクレー を用いて行った。温度制御には、加熱蒸気 びプロセス水を循環させる循環ポンプを用 た。磁気クラッチにより間接的に駆動させ スターラを、材料混合のために用いた。

 重合は、溶媒としてトルエンを用い90℃ 行った。スターラ速度は、500rpmとした。触 及び助触媒は、空気中又は湿気中で不安定 あるため、触媒、助触媒、及びこれらの触 を含む単量体溶液の操作は、アルゴン又は 素不活性ガス雰囲気中で行った。メタロセ 触媒として、ラセミ-イソプロピリデン-ビス (テトラヒドロインデニル)ジルコニウムクロ イドを使用した。助触媒としてメチルアル ノキサン(MAO)(Chemtura Organometallics社製)を用 た。助触媒は10質量%のトルエン溶液として いた。

 重合に必要なメタロセンの量は、10g~30gの ポリマーが得られるように計算した。触媒溶 液調製のため、およそ10mgのメタロセン触媒 正確に量り取り、助触媒溶液と同様の溶液 なるように溶解させた。必須量の触媒溶液 、シリンジに入れた。次いで、全体で10mlのM AO溶液がオートクレーブに注入することがで るように第二のシリンジを助触媒溶液で満 した。ここで、10mlのMAO溶液は。0.884gのMAO(16 .4mmolのAl)に対応する。オートクレーブは、重 合の前に、90℃で10mlのMAO溶液と1LのExxol(登録 標)との混合溶液を撹拌することで洗浄した 。その後アルゴン雰囲気下で、ノルボルネン のトルエン溶液とMAO溶液(第二のシリンジ)と オートクレーブに加えた。オートクレーブ 設定温度まで加温した。その後、触媒溶液 、シリンジを用いてオートクレーブに注入 た。そして、オートクレーブを先ず水素ガ により、必要に応じて加圧し、次いでエチ ンガスにより加圧した。要求されるエチレ 圧は、撹拌とともに加えていき、減圧弁に って重合中は一定に保った。エチレンの消 量は流量計によって確認した。反応量600ml 反応時間15分であった。重合後、エチレンの 供給を止め、そして、余分な圧を放出した。 反応溶液をねじ口ビンに移した。その溶液を 、撹拌中の5mlの濃塩酸(37%)によって酸化され アセトン3Lに注いだ。沈降したポリマーは ブフナーロートを用いて、2Lのアセトン、次 いで水、最後にアセトンでかき混ぜながら分 離された。乾燥は真空中、80℃で一晩行った 製造条件は表1に示した。

<原材料の評価>
 ポリマーのマイクロストラクチャーは、後 する13C-NMRのスペクトルによって決定した。

 ガラス転移温度はDSC(示差走査熱量測定) よって測定した。DIN53765に基づく方法で評価 され、DIN51007に基づく方法で計算した。計測 としてMettlerDSC820を用いた。20℃/分の昇温及 び降温が適用され、第二の加熱サイクルを評 価した。

 これらの原材料の環状オレフィン系モノ ーに由来する繰り返し単位が二量体として 在する割合、環状オレフィン系モノマーに 来する繰り返し単位が三量体として存在す 割合、二量体として存在する環状オレフィ 系モノマーに由来する繰り返し単位の割合 環状オレフィン系モノマーに由来する繰り し単位の含有量を下記の方法で求めた。

 鎖状オレフィン系単量体と橋架環式シク アルケン系単量体(ノルボルネン系単量体) 割合、および二連子部位、三連子部位、並 にメソ-ラセモ比は、13C-NMRによって観測され たスペクトルの積分値より算出できる。ここ で、十分に分離していない複数のピークの積 分値を求める場合は、JEOL製NMRデータ処理ソ ト「ALICE for Windows(登録商標) Ver.5」を用い ピーク分割し、それぞれのピークの積分値 求めた。

 それぞれのスペクトルにより同定される リマーの一次構造は、「Maclomol. Chem. Phs. 1 999, Vol. 200, Page 1340」、「Macromolecules 2004,  Vol. 37, Page 9681」、「Macromolecules 2000, Vol. 3 3 , Page 8931」等に記載されている。

 鎖状オレフィン系単量体がエチレンで、 架環式シクロアルケン系単量体(ノルボルネ ン系単量体)がノルボルネンである場合を例 とって、以下に、具体的なパラメータの算 方法について説明する。

 まず、組成の算出について説明する。組成 、13C―NMRによって得られたスペクトルチャ トの
ケミカルシフト値44.5-56.0ppmに観測される積分 値:I C2,C3 (ノルボルネン環の2,3位に由来)、
ケミカルシフト値39.0-44.0ppmに観測される積分 値:I C1,C4 (ノルボルネン環の1,4位の炭素に由来)、
ケミカルシフト値33.0-39.0ppmに観測される積分 値:I C7 (ノルボルネン環の7位の炭素に由来)、
ケミカルシフト値27.5-33.0ppmに観測される積分 値:I C5,C6 +I E (ノルボルネン環の5,6位の炭素およびエチレ 部の炭素に由来)より、以下の式から求める とができる。

 二連子部位、三連子部位の量の比率は、 Maclomol. Chem. Phs. 1999, Vol. 200, Page 1340」 記載されている6つのトリアド(EEE、EEN、NEN、 NNN、NNE、ENE)の分布を求め、以下の式から算 することができる。

二量体として存在する環状オレフィン系モノ マーに由来する繰返し単位の内、メソ型二連 鎖部位とラセモ型二連鎖部位の存在比率、す なわち、メソ/ラセモ比(M/R)、及び、メソ型二 連鎖部位の存在割合、すなわち、メソ含量(M/ (M+R))は、13C-NMRによって得られたスペクトル ENNEに由来する以下のピークから求めた。
すなわち、
28.3ppm(C5-メソ体)に観測されるピークの積分値 :I C5-m
29.7ppm(C5-ラセモ体)に観測されるピークの積分 値:I C5-r
31.6ppm(C6-メソ体)に観測されるピークの積分値 :I C6-m
31.3ppm(C6-ラセモ体)に観測されるピークの積分 値:I C6-r
33.1-33.4ppm(C7-メソ体)に観測されるピークの積 値:I C7-m
33.4-33.7ppm(C7-ラセモ体)に観測されるピークの 分値I C7-r
より、以下の式から算出することができるM びRから求めた。

 なお、本発明におけるサンプル調製条件お び測定条件の一例は以下の通りである。
溶媒:1,1,2,2-テトラクロロエタン-d2(10容量%ヘ サメチルジシラン含有)
濃度:70mg/mL
装置:Bruker AVANCE600(水素原子の共鳴周波数:600M Hz)
サンプルチューブ径:10mm
測定方法:パワーゲート式
パルス幅:15μsec
遅延時間:2.089sec
データ取り込み時間:0.911sec
観測周波数幅:35971.22Hz
デカップリング:完全デカップリング
積算回数:18000回
ケミカルシフトのリファレンス:ヘキサメチ ジシランのピークを-2.43ppmとする。

 MVRはISO 1133に基づいて測定でき、温度260 、荷重2.16kgで、10分間の間に排出された樹 の体積量(mL/10分)を測定した。

<フィルム成形>
 表2に示すエチレン-ノルボルネン共重合体 樹脂粉末あるいはペレットを、真空プレス を用いて、プレス温度は実施例1,2、および 較例1は260℃、比較例2は240℃、プレス圧力15M Pa、の条件でプレスし、厚み200μmのフィルム 得た。

<フィルムの延伸>
 恒温ユニットを備えた引っ張り試験機(ORIENT EC社製テンシロン UCT-5T)を用いて、フィルム 幅20mmに切り出し、チャック間20mmで貯蔵弾 率が5MPaになる温度で1分間予熱したのち、引 っ張り速度50mm/分で1.2倍の倍率に延伸し、設 倍率延伸後、速やかに室温に冷却すること より、延伸フィルムを得た。

 貯蔵弾性率が5MPaになる温度は、共重合体 組成物をフィルム状に製膜し、動的粘弾性測 定装置(TAインスツル社製 RSA3)を用いて該フ ルムに0.01%の歪みを10Hzで与え、20から200℃ま で5℃/分で昇温させたときに得られた貯蔵弾 率(E’)から見積もった。

<位相差の評価>
 得られた実施例1、2及び比較例1、2の延伸フ ィルム中央部の位相差値Reを、23℃、50%RH下で 、自動複屈折計(王子計測機器社製、KOBRA-WPR 測定波長590nm)を用いて測定した。測定によ 得られた数値は70μm厚に換算し、結果を表2 示した。

<フィルムの評価>
 得られた実施例1、2及び比較例1、2の未延伸 フィルムから、幅手方向又は長手方向の2号 試験片(JIS K7127)を採取して、つかみ具(チャ ク)間距離80mmで引張試験を行い破断点応力 破断点伸度を求めた。なお、伸度(%)は、チ ック間距離の変化とした。測定には、オリ ンテック社製テンシロン万能試験機UCT-5を用 い、クロスヘッドスピード2.5mm/分で測定した 。測定結果を表2に示した。

 さらに得られた実施例1、2及び比較例1、2 の未延伸フィルムから、50mm×50mmの試験片を 取し、アルミ製のバットに乗せて150℃に保 した高温槽内に入れ、所定時間経過後に形 を観察した。結果を表2に示した。

 非環式オレフィン系繰り返し単位の割合 、100mol%から表2中のノルボルネン量を差し いた値として得られる。

 表2から分かるように、本発明の環状オレ フィン系樹脂を用いて製造したフィルムは、 従来の水準以上の位相差値を示したまま、引 張特性(破断点応力、破断点伸度)と耐熱性が 上することが確認された。




 
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