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Title:
DAMPING STRUCTURE, AND DESIGNING METHOD OF DAMPING STRUCTURE
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/017162
Kind Code:
A1
Abstract:
A high-rise building (10) as one structure is sectioned into an upper structure section (12) and a lower structure section (14).Vibration of the high-rise building (10) is damped by controlling the period of the upper structure section (12) to be in tune with the period of the lower structure section (14) by utilizing the period elongation effect where the period of the whole upper structure section (12) is elongated by the amplified inertial mass (artificial mass) generated by an inertial mass damper (100) provided in the upper structure section (12).

Inventors:
ISHIMARU SHINJI (JP)
FURUHASHI TAKESHI (JP)
HATA IPPEI (JP)
KIMIDUKA MASAYUKI (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/063677
Publication Date:
February 05, 2009
Filing Date:
July 30, 2008
Export Citation:
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Assignee:
UNIV NIHON (JP)
I2S2 CO LTD (JP)
ISHIMARU SHINJI (JP)
FURUHASHI TAKESHI (JP)
HATA IPPEI (JP)
KIMIDUKA MASAYUKI (JP)
International Classes:
E04H9/02; F16F15/02
Foreign References:
JP2006125110A2006-05-18
JPH05248117A1993-09-24
JP2000145162A2000-05-26
JP2005213887A2005-08-11
Attorney, Agent or Firm:
NAKAJIMA, Jun et al. (NAKAJIMA & KATOSeventh Floor, HK-Shinjuku Bldg.,3-17, Shinjuku 4-chom, Shinjuku-ku Tokyo 22, JP)
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Claims:
 構造物を上部構造部と下部構造部とに区分し、前記上部構造部における少なくとも最下階に設けられた付加質量体と、
 前記付加質量体が設けられた階における外乱によって生じる第一部位と第二部位との相対移動に伴う直線運動を、前記付加質量体の回転運動に変換する回転機構と、
 を有し、
 前記付加質量体が前記回転機構により回転されることで発生する慣性質量によって、前記上部構造部の周期を前記下部構造部の周期に同調させて制振する制振構造物。
 前記上部構造部と前記下部構造部との応答を低減させる減衰部を備える請求項1に記載の制振構造物。
 前記付加質量は、前記上部構造部における前記最下階から連続した複数階に設けられている請求項1、又は請求項2に記載の制振構造物。
 前記回転機構は、
 前記第一部位に連結された軸体と、
 前記軸体が挿入される回転体と、
 前記第二部位に連結され前記回転体を回転可能に保持する保持体と、
 前記軸体の外周面と前記回転体の内周面とに設けられ、該軸体の軸方向の直線運動を前記回転体の軸周りの回転運動に変換する螺合部と、
 前記回転体と一体となって軸周りに回転する前記付加質量体と、
 を有する請求項1~請求項3のいずれか1項に記載の制振構造物。
 前記第一部位又は前記第二部位のいずれか一方は、前記付加質量体が設けられた階における床部又は下梁であり、
 前記第一部位又は前記第二部位のいずれか他方は、前記付加質量体が設けられた階における天井部又は上梁である請求項1~請求項4のいずれか1項に記載の制振構造物。
 前記第一部位又は前記第二部位のいずれか一方は、前記付加質量体が設けられた階における梁と柱とから構成された架構の上梁、又は前記上梁と前記柱との隅部であり、
 前記第一部位又は前記第二部位のいずれか他方は、前記付加質量体が設けられた階における前記架構の下梁、又は前記下梁と前記柱との隅部である請求項1~請求項4のいずれか1項に記載の制振構造物。
 前記架構の前記上梁又は前記上梁と前記柱との隅部に一端が回転可能に取り付けられた第一アームと、
 前記架構の前記下梁又は前記下梁と前記柱との隅部に一端が回転可能に取り付けられ、他端と前記第一アームの他端とが所定の角度を持って回転可能に連結された第二アームと、
 前記第一アームと前記第二アームとの連結部分に回転可能に連結される第一部材と、
 前記架構における上梁、下梁、前記上梁と前記柱との隅部、前記下梁と前記柱との隅部、のいずれかに回転可能に連結される第二部材と、
 を有し、
 前記第一部材と前記第二部材との間の軸方向の相対的な直線運動を前記付加質量の回転運動に変換する前記回転機構が設けられている請求項6に記載の制振構造物。
 前記付加質量と前記回転機構とをそれぞれ一対配置すると共に、前記付加質量が互いに反対回りに回転する請求項1~請求項7のいずれか1項に記載の制振構造物。
 構造物を上部構造部と下部構造部とに区分し、前記上部構造部における最下階又は前記最下階から連続した複数階に設けられた付加質量体と、
 前記付加質量体が設けられた階における外乱によって生じる第一部位と第二部位との相対移動に伴う直線運動を、前記付加質量体の回転運動に変換する回転機構と、
 を有し、
 前記付加質量体が前記回転機構により回転されることで発生する慣性質量によって、前記上部構造部の周期を前記下部構造部の周期に同調させて制振する制振構造物の設計方法であって、
 当該制振構造物の慣性質量を含む振動方程式を、各階の質量に慣性質量を含めた2質点系の振動方程式に変換し、前記上部構造部の周期と前記下部構造部の周期とが同調する最適同調条件として最適振動数比及び最適減衰定数を適用し、前記上部構造部の最適慣性質量と最適減衰係数を決定する制振構造物の設計方法。
 前記上部構造部を構成する質量の一部を、前記下部構造部の最上層に移動させて、2質点系の振動方程式に変換する請求項9に記載の制震構造物の設計方法。
 
Description:
制振構造物、及び制振構造物の 計方法

 本発明は、制振構造物、及び制振構造物 設計方法に関する。

 制振装置として広く普及しているTMD(Tuned Mass Damper)は、例えば、図26Aに示すように、 造物900の最上部等に付加質量(おもり)902を け、付加質量902の振動を構造物900の振動に 調させて制振している。

 しかし、TMDにおける付加質量は、制振対 の構造物と比較すると質量が小さく(通常は 、構造物の1%以下)、付加質量の構造物に対す る質量比μが非常に小さい。このため、一般 には、TMDは風力等による微振動の制振に対 ては効果的であるが、大地震などの制振に 効果が得られないとされている。

 そこで、図26Bに示すように、構造物900を下 構造部914と上部構造部912とに分割すると共 、下部構造部914と上部構造部912と間に中間 震層916(例えば、積層ゴム)を設ける構造と 、中間免震層916の剛性を調整して下部構造 914と上部構造部912の周期を同調させて制振 るBMD(Building Mass Damper)が提案されている(例 ば、特許文献1を参照)。

特開昭62-273374号公報

 しかし、このように中間免震層を設ける 成のBMDは、中間免震層が建築計画に及ぼす 響が大きい。また、地震時に中間免震層が 形するので、中間免震層を通るエレベータ 給排水管などの変形追従を考慮する必要が る。

 更に、構造物が高層になるほど風力の影 を大きく受けるため、制振性能として求め れる最適剛性が風力に対抗するために必要 剛性と大きく離れてしまう。つまり、風力 よる揺れ防止と地震時の制振とを両立させ ことが困難である。

 本発明は、上記課題を解決すべく成され もので、施工が容易で高い制振効果を得る とが目的である。

 第1の態様は、構造物を上部構造部と下部 構造部とに区分し、前記上部構造部における 少なくとも最下階に設けられた付加質量体と 、前記付加質量体が設けられた階における外 乱によって生じる第一部位と第二部位との相 対移動に伴う直線運動を、前記付加質量体の 回転運動に変換する回転機構と、を有し、前 記付加質量体が前記回転機構により回転され ることで発生する慣性質量によって、前記上 部構造部の周期を前記下部構造部の周期に同 調させて制振する制震構造物を提供する。

 第1の態様では、構造物を上部構造部と下 部構造部とに区分し、上部構造部における少 なくとも最下階に付加質量体が設けられてい る。この付加質量体が設けられた階における 外乱によって生じる第一部位と第二部位との 相対移動に伴う直線運動を、回転機構によっ て付加質量体の回転運動に変換される。そし て、付加質量体が回転機構により回転される ことで発生する慣性質量(擬似質量)によって 上部構造部の周期を下部構造部の周期に、 調させて制振させる。

 このように制振することで、質量効果と て働く上部構造部の建物に対する質量比μ 大きくとることが可能となり、幅広い周波 帯で大きな制振効果(応答低減効果)が得られ る。

 また、例えば、上部構造部と下部構造部 の間に中間免震層を設ける構成のように局 的に大きな変化が生じることなく制振する とができるので、例えば、エレベータや給 水管などの追従を考慮する必要がない。ま 、新築に限らず既存の建物にも容易に導入 可能である。

 したがって、従来よりも施工が容易で高 制振効果が得られる。

 第2の態様は、第1の態様において、前記 部構造部と前記下部構造部との応答を低減 せる減衰部を備える制震構造物を提供する

 第2の態様では、減衰部によって、地震な どの揺れが短時間で制振(収束)される。

 第3の態様は、第1の態様又は第2の態様に いて、前記付加質量は、前記上部構造部に ける前記最下階から連続した複数階に設け れている制振構造物を提供する。

 第3の態様では、付加質量が上部構造部に おける最下階から連続した複数階に設けられ ているので、慣性質量(擬似質量)が大きくな 、質量効果として働く上部構造部の建物に する質量比μを大きくとることが可能とな 。

 また、連続して設けることで、上部構造 の周期の制御(設計)が容易になる。

 第4の態様は、第1の態様~第3の態様のいず れかの一つの態様において、前記回転機構は 、前記第一部位に連結された軸体と、前記軸 体が挿入される回転体と、前記第二部位に連 結され前記回転体を回転可能に保持する保持 体と、前記軸体の外周面と前記回転体の内周 面とに設けられ、該軸体の軸方向の直線運動 を前記回転体の軸周りの回転運動に変換する 螺合部と、前記回転体と一体となって軸周り に回転する前記付加質量体と、を有する制振 構造物を提供する。

 第4の態様では、軸体の直線運動を軸体が 挿入される回転体が螺合部によって回転変位 する。そして、回転体と一体となって付加質 量が軸周りに回転することで、慣性質量が発 生する。

 第5の態様は、第1の態様~第4の態様のいず れか一つの態様において、前記第一部位又は 前記第二部位のいずれか一方は、前記付加質 量体が設けられた階における床部又は下梁で あり、前記第一部位又は前記第二部位のいず れか他方は、前記付加質量体が設けられた階 における天井部又は上梁である制振構造物を 提供する。

 第6の態様は、第1の態様~第4の態様のいず れか一つの態様において、前記第一部位又は 前記第二部位のいずれか一方は、前記付加質 量体が設けられた階における梁と柱とから構 成された架構の上梁、又は前記上梁と前記柱 との隅部であり、前記第一部位又は前記第二 部位のいずれか他方は、前記付加質量体が設 けられた階における前記架構の下梁、又は前 記下梁と前記柱との隅部である制振構造物を 提供する。

 第7の態様は、第6の態様において、前記 構の前記上梁又は前記上梁と前記柱との隅 に一端が回転可能に取り付けられた第一ア ムと、前記架構の前記下梁又は前記下梁と 記柱との隅部に一端が回転可能に取り付け れ、他端と前記第一アームの他端とが所定 角度を持って回転可能に連結された第二ア ムと、前記第一アームと前記第二アームと 連結部分に回転可能に連結される第一部材 、前記架構における上梁、下梁、前記上梁 前記柱との隅部、前記下梁と前記柱との隅 、のいずれかに回転可能に連結される第二 材と、を有し、前記第一部材と前記第二部 との間の軸方向の相対的な直線運動を前記 加質量の回転運動に変換する前記回転機構 設けられている制振構造物を提供する。

 第7の態様では、上梁又は上梁と柱との隅 部と下梁又は下梁と柱との隅部との相対的な 移動は、第一部材と第二部材との間の軸方向 の相対的な移動に変換されると共に、移動量 が増幅されて大きくなる。よって、質量体が 回転することによる発生する慣性質量が増幅 される。

 第8の態様は、第1の様態~第6の様態のいず れか一つの様態において、前記付加質量と前 記回転機構とをそれぞれ一対配置すると共に 、前記付加質量が互いに反対回りに回転する 制振構造物を提供する。

 第8の態様では、付加質量と回転機構とを それぞれ一対配置すると共に、付加質量が互 いに反対回りに回転するので、回転慣性によ るジャイロ効果が打ち消される。このため、 例えば、ねじれ振動の誘発等が抑制される。

 第9の態様は、構造物を上部構造部と下部 構造部とに区分し、前記上部構造部における 最下階又は前記最下階から連続した複数階に 設けられた付加質量体と、前記付加質量体が 設けられた階における外乱によって生じる第 一部位と第二部位との相対移動に伴う直線運 動を、前記付加質量体の回転運動に変換する 回転機構と、を有し、前記付加質量体が前記 回転機構により回転されることで発生する慣 性質量によって、前記上部構造部の周期を前 記下部構造部の周期に同調させて制振する制 振構造物の設計方法であって、当該制振構造 物の慣性質量を含む振動方程式を、各階の質 量に慣性質量を含めた2質点系の振動方程式 変換し、前記上部構造部の周期と前記下部 造部の周期とが同調する最適同調条件とし 最適振動数比及び最適減衰定数を適用し、 記上部構造部の最適慣性質量と最適減衰係 を決定する制振構造物の設計方法を提供す 。

 第9の態様では、質量効果として働く上部 構造部の建物に対する質量比μを大きくとる とが可能となり、幅広い周波数帯で大きな 振効果(応答低減効果)が得られる設計方法 ある。

 そして、制振構造物の慣性質量を含む振 方程式を、各階の質量に慣性質量を含めた2 質点系の振動方程式に変換し、定点理論を使 用することを可能することで、最適同調条件 としての最適振動数比及び最適減衰定数を適 用して上部構造部の最適慣性質量と最適減衰 係数を決定する。

 或いは、上部構造部と下部構造部とに区 された構造物の固有値解析を行い、上部構 部と下部構造部の1次の有効質量及び有効剛 性を算出する。これにより擬似的に各階の質 量に慣性質量を含めた2質点系の振動方程式 変換(置換)し、定点理論を使用することを可 能にすることで、最適同調条件としての最適 振動数比及び最適減衰定数を適用し、上部構 造部の最適慣性質量と最適減衰係数を決定す る。よって、例えば、初期剛性比例型などの 法則によって、各階の慣性質量と減衰係数を 求めれば、上部構造部の最適慣性質量と最適 減衰係数とが決定される。

 したがって、設計が容易である。

 第10の態様は、前記上部構造部を構成す 質量の一部を、前記下部構造部の最上層に 動させて、2質点系の振動方程式に変換する 震構造物の設計方法を提供する。

 第10の態様では、付加質量体の回転運動 変換する回転機構によって回転質量が発生 ることによって、上部構造部を構成する質 の一部が見かけ上、下部構造部の最上層に 動することによる質量と剛性の変化が考慮 れる。よって、より正確に上部構造部の最 慣性質量と最適減衰係数が決定される。

 以上説明したように本発明によれば、従 よりも施工が容易で高い制振効果を得るこ ができる、という優れた効果を有する。

本発明の第一実施形態の高層ビルの全 を模式的に示す図である。 本発明の第一実施形態の高層ビルの上 構造部における慣性質量ダンパーが設けら た階を模式的に示す図である。 本発明の第二実施形態の高層ビルの全 を模式的に示す図である。 本発明の第二実施形態の高層ビルの上 構造部における慣性質量ダンパーが設けら た階を模式的に示す図である。 慣性質量ダンパーを示す部分断面斜視 である。 慣性質量ダンパーを示す縦断面図であ る。 慣性質量ダンパーを示す正面図である 。 慣性質量ダンパーの質量体の変形例を 示す図である。 慣性質量(D.M)を上部構造部に備える高 ビルをモデル化した振動モデルである。 図7の振動モデルを相似変換した振動モ デルである。 Originalモデルの設計パラメータを示す である。 Originalモデルの全体の固有値解析結果 示す表である。 Originalモデルの上部構造部の固有値解 析結果を示す表である。 Originalモデルの上部構造部の1次の有 質量と有効剛性を示す表である。 Originalモデルの下部構造部の固有値解 析結果を示す表であり Originalモデルの下部構造部の1次の有 質量と有効剛性を示す表である。 Originalモデルの全系刺激関数を示すグ フである。 Originalモデルの上部構造部の刺激関数 示すグラフである。 Originalモデルの下部構造部の刺激関数 示グラフである。 DMDSモデルの2質点系の設計パラメータ 示す表である。 DMDSモデルの2質点系による設計パラメ タを示す表である。 DMDSモデルの2質点系の固有値解析の結 を示す表である。 DMDSモデルの等価2質点系の刺激関数を す図である。 DMDSモデルの全体系の解析パラメータ 示す表である。 DMDSモデルの全体系の固有値解析の結 を示す表である DMDSモデルの全体系の刺激関数を示す ラフである 擬似スペクトルを示すグラフである。 OriginalモデルとDMDSモデルとにおける 対加速度を比較したグラフである。 OriginalモデルとDMDSモデルとにおける 答速度を比較したグラフである。 OriginalモデルとDMDSモデルとにおける ん断力を比較したグラフである。 OriginalモデルとDMDSモデルとにおける 答変位を比較したグラフである。 設計例モデルを示す図である。 一般的なTMDによって制振される構造 の例を模式的に示す図である。 BMDによって制振される構造物の例を 式的に示す図である。 上部構造部の応答倍率を示すグラフ ある。 下部構造部の応答倍率を示すグラフ ある。 BMD設計の流れを示すモデル図である。 振動数比を示すグラフである、 最適同調条件(最適設計条件)を求める 算方法の一例を示すフローチャートである

 本発明の第一実施形態に係る高層ビルに いて説明する。

 図1に示すように、基礎(図示略)の上に構 された制振構造物としての高層ビル10は、 定の階以上を構成する上部構造部12の各階に 、回転機構と減衰部を有する慣性質量ダンパ ー100が設けられている。なお、上部構造部12 ら下を下部構造部14とする。すなわち、高 ビル10は上部構造部12と下部構造部14とに区 けされている。

 ここで、慣性質量ダンパー100について詳 く説明する。

 図5と図6とに示すように、慣性質量ダン ー100は、軸体としてのシャフト102の外周面 、螺合部としての雌ネジ溝102Aが形成されて る。この雌ネジ溝102Aは、雌ネジ溝102Aに螺 する螺合部としての雄ネジ110Aが内周面に形 された円筒状の回転体110に挿入されている

 回転体110は、保持体としての一方が開口し 円筒状のホルダー104の内部に回転可能に保 されている。また、回転体110は円柱部111Dと 、円柱部111Dより径が大きな第一円盤部111A,第 二円盤部111B,第三円盤部111Cと、から構成され ている。
 回転体110の一方の端部側はホルダー104の開 から突出し、回転体110の一方の先端部には 一円盤部111Aが形成されている。また、回転 体110の他方の先端部には第三円盤部111Cが形 されている。更に、ホルダー105の内に、第 円盤部111Bと第三円盤部111Cが配置されている 。

 また、第二円盤部111B,第三円盤部111Cに対 するホルダー104の両端部分には、第二円盤 111B,第三円盤部111Cが嵌る凹部114、115が形成 れている。そして、凹部114、115には軸受け1 12,113が設けられている。このような構成によ り回転体110は、矢印Kで示す軸回りには回転 るが、矢印Sで示す軸方向への移動が規制さ ている。

 慣性質量ダンパー100には、ホルダー104と 周面と回転体110の円柱部110Dの外周面との間 にエネルギー吸収体を設けることで、慣性質 量ダンパー100は減衰部としての機能を併せ持 つことができる。本実施形態においては、ホ ルダー104と内周面と回転体110の円柱部110Dの 周面との間にエネルギー吸収体として粘性 が注入されている。なお、粘性液の液漏れ 防止するためオイルシール(図示略)等で封止 されている。

 回転体110の第一円盤部111Aには、付加質量 体としての円盤状の質量体120がボルト122で締 結されている。質量体120の中央部には円形の 開口部120Aが形成され、この開口部120Aの中を ャフト102が通っている。なお、開口部120Aの 内径はシャフト102の外径より十分に大きいの で、開口部120Aとシャフト102とは接していな 。また、回転体110(第一円盤部111A,第二円盤 111B,第三円盤部111C,円筒部111D)の軸心、質量 120の軸心、シャフト102の軸心、は同一軸線 にある。

 なお、図6C示すように、質量体120の変形 として、質量体120が半円形状の質量体120Bと 量体120Cとの二つの部材で構成されていても 良い。このような構成とすれば、質量体120B 120Cのみを容易に着脱可能である。よって、 ューニング(質量体の重さの調整作業)が容 である。

 慣性質量ダンパー100は、上述したような 成をしているので、図5と図6Aで示すように ホルダー104が固定された状態において、シ フト102が矢印Sで示すように軸方向に移動す ると、シャフト102の外周面の雌ネジ溝102Aと 転体110雄ネジ110Aとが螺合して回転体110が軸 りに回転し、更に、図5と図6Bとに示すよう 、回転体110とボルト122で締結された質量体1 20が矢印Kで示すように軸回りに回転する(回 体110と質量体120とが一体となって矢印K方向 回転する)。

 つまり、慣性質量ダンパー100は、シャフ 102の軸方向の直線変位(矢印S)を、慣性質量 ある質量体120の回転変位(矢印K)に変換する 構を有するダンパーとなっている。

 さて、図2に示すように、慣性質量ダンパ ー100は、慣性質量ダンパー100が設けられてい る階における天井部16と床部18とに連結され いる。

 床部18には、基台150が設けられ、この基 150に、慣性質量ダンパー100のシャフト102が 部18と平行となるように片持ち状態で固定さ れている。慣性質量ダンパー100のホルダー104 は、吊部材152で天井部16から懸架されている

 つまり。地震動等により、高層ビル10(図1 参照)が揺れ、床部18と天井部16が水平方向に 対移動すると、シャフト102が床部18と一体 に移動すると共に、ホルダー104が天井部16と 一体的に移動する構成である。

 つぎに、本実施形態の作用について説明 る。

 前述したように、地震動等により、高層 ル10(図1参照)が揺れ、床部18と天井部16が水 方向に相対移動すると、シャフト102が床部1 8と一体的に移動すると共に、ホルダー104が 井部16と一体的に移動する。

 つまり、シャフト102が軸方向に移動する で、シャフト102の外周面の雌ネジ溝102Aと回 転体110の雄ネジ110Aとが螺合し、回転体110が 周りに回転する。更に、回転体110とボルト12 2で締結された質量体120が矢印Kで示すように 回りに回転する(回転体110と質量体120とが一 体となって矢印K方向に回転する)。これによ 、慣性質量が発生する。

 また、減衰部を併せ持つ慣性質量ダンパ 100には、ホルダー104と内周面と回転体110の 柱部110Dの外周面との間に粘性液が注入され ているので、粘性液のせん断抵抗によって抵 抗を受ける。よって、回転体110が回転するこ とにより粘性減衰力が発生し、建物の振動( れ)が減衰される。

 さて、回転体110の回転方向の接線方向の 位は、シャフト102の軸方向の変位を増幅可 とされている(回転増幅機構)。

 よって、軸方向の変位を質量体120の回転 変換して増幅されて発生する慣性質量(擬似 質量)は、質量体120に対して大幅に増幅され 。つまり、回転増幅機構を利用した慣性質 は、これまでの付加質量ではできなかった 常に大きな付加質量を、擬似質量(慣性質量) として付加することができる。

 なお、本実施形態においては、慣性質量 回転している物体が持つ擬似的な質量、す わち、回転慣性質量である。そして、この 転している物体のもつ擬似質量(慣性質量) 、物体自体の質量に比べ、回転半径又はリ ド長さに応じて増幅される。

 ここで、本実施形態においては、一つの 造物としての高層ビル10を上部構造部12と下 部構造部14とに区分けし、上部構造部12に設 られた、慣性質量ダンパー100により発生す 増幅された慣性質量(擬似質量)によって、上 部構造部12の全体の周期が伸長される周期伸 効果を利用し、上部構造部12の周期を下部 造部14の周期に、同調させることで、高層ビ ル10が制振されている。

 そして、このような構成とすることで、 量効果として働く上部構造部12の高層ビル10 に対する質量比μを大きくとることが可能と り、幅広い周波数帯で大きな制振効果(応答 低減効果)が得られる。

 例えば、図26Aに示すような構造物の最上 等に付加質量(おもり)を設けて制振してい TMD(質量比μ=0.02)と、本実施形態のように下 構造部と上部構造部とに区分けして制振す BMD(DMDS)(質量比μ=0.30)と、を比較すると、図27 のグラフの応答倍率が示すように、本実施形 態(BMD(DMDS))の方が幅広い周波数帯で大きな制 効果(応答低減効果)が得られることが判る

 ここで「同調させる」とは、完全に周期 同調する場合に限定されない。設計上、上 構造部の周期と下部構造部の周期との同調 多少ずれていても、構造的に問題なければ 本発明の周期伸長効果を利用した制振効果 得られる範囲において同調されるとする(略 同調されていればよい)。

 また、地震時においても、上部構造部と 部構造部との間に中間免震層を設ける構成 ように局所的に大きな変化が生じることな 制振することができるので、エレベータや 排水管などの追従を考慮する必要がない。 た、新築に限らず既存の建物にも容易に導 が可能である。

 つまり、従来よりも施工が容易で高い制 効果が得られる。

 また、中間免震層の剛性の調整でなく、 性質量の周期伸長効果を利用しているので 高層ビル10の剛性は維持される。このため 相対的な加速度に依存する慣性質量は、風 の場合、地震力と違い、加速度が極めて小 いため、慣性質量の周期伸長効果が発揮さ ない。よって、風力の影響を受けない(風力 よって建物が揺れない)。但し、微動分の風 力に対しては、制振効果が発揮される。

 更に、本実施形態においては、質量体120 質量や大きさを変えることで、慣性質量を 易に調整できる。例えば、図5、図6Aに示す うに、本実施形態の慣性質量ダンパー100に ける質量体120は、三枚の円盤で構成されて るが、この円盤の数を増減することで、質 体120の重さを容易に増減させることできる 更に、図6Cの構成とすれば、慣性質量ダン ー100を取り付けた状態のまま、質量体120(120B 、120C)のみを着脱可能であるので、更に容易 質量体120の重さを増減することができる。

 つぎに、本発明の第二実施形態について 明する。なお、第一実施形態と同一の部材 同一の符号を付し、重複する説明は省略す 。

 第一実施形態と同様に、図3に示すように 、基礎(図示略)の上に構築された制振構造物 しての高層ビル11は、所定の階以上を構成 る上部構造部13の各階に慣性質量ダンパー100 を備える慣性質量付きトグル型制震装置34が けられている。なお、上部構造部13から下 下部構造部15とする。すなわち、高層ビル11 上部構造部13と下部構造部15とに区分けされ ている。

 図4に示すように、上部構造部15における 側の柱20Lと、右側の柱20Rと、上梁22Aと、下 22Bと、で構成された架構24内に、慣性質量 きトグル型制震装置34Lと慣性質量付きトグ 型制震装置34Rとが左右に並んで配設されて る。また、慣性質量付きトグル型制震装置34 Lと慣性質量付きトグル型制震装置34Rとは、 構24内に左右対称に配置されている。なお、 以降、左右を区別する必要がある場合は、符 号の後にL,Rのいずれか付し、区別する必要が ない場合は、L,Rを省略する。

 慣性質量付きトグル型制震装置34は、上 22Aに取り付けられた回転支承36に一端が固定 された第一アーム38と、架構24の下隅部に配 され、下梁22Bと柱20とに取り付けられた回転 支承40に一端が固定された第二アーム42とを えている。

 第一アーム38及び第二アーム42の他端(自 端)は回転ヒンジ44で回動可能に所定の角度 持って連結されている。この回転ヒンジ44に は、慣性質量ダンパー100のシャフト102の端部 に設けられたヒンジ101(図5、図6A参照)が連結 れている。更に、慣性質量ダンパー100のホ ダー104の端部に設けられたヒンジ105が、架 24の上隅部に配置され、上梁22Aと柱20とに取 り付けられた回転支承52に連結されている。

 なお、慣性質量ダンパー100は、シャフト1 02の端部に取り付けられたヒンジ101が回転ヒ ジ44に連結され、ホルダー105の端部に取り けられたヒンジ105が回転支承52に連結されて いる。

 また、図4に示すように、本実施形態の慣 性質量付きトグル型制震装置34では、第一ア ム38と第二アーム42とで構成する角部は上方 側に凸形状となるように構成されている。換 言すると、第一アーム38と第二アーム42とが す角度Gが180°以下で構成されている。しか 、これに限定されない。図中の想像線Zで示 ように、第一アームと第二アームとで構成 る角部が下方側に凸形状となるように構成 れていてもよい。還元すると、第一アーム 第二アームがなす角度Gが180°以上であって よい。

 つぎに、本実施形態の作用について説明 る。

 地震動等により、高層ビル11が右側へ水 移動する。これにより、上梁22Aが水平移動 る(上梁22Aと下梁22Aとが相対移動する)。そし て、架構24内において、慣性質量付きトグル 制震装置34を構成する第一アーム38及び第二 アーム42が回転支承36,40を中心に回転変位を なうため回転ヒンジ44が変位する。このため 左側の慣性質量ダンパー106Lのシャフト102Lは 慣性質量ダンパー100の全長が伸びる軸方向 移動し、右側の慣性質量ダンパー100Rのシャ フト102Rは、慣性質量ダンパー100Rの全長が縮 ように軸方向に移動する。

 また、高層ビル11が左方向へ水平変形す と、架構24も左方向へ水平変形する。このと き、左側の慣性質量ダンパー100Lのシャフト10 2Lは、慣性質量ダンパー100Lの全長が縮む軸方 向に移動する。また、右側の慣性質量ダンパ ー100Rシャフト102Rは、慣性質量ダンパー100Rの 全長が伸びる軸方向に移動する。

 そして、トグル機構によって、上梁22Aの 転支承36の水平変位量より、回転ヒンジ44の 変位量、すなわち慣性質量ダンパー100のシャ フト102の移動量が増幅されて大きくなる。

 つまり、トグル機構によって、回転支承3 6の小さな変位が回転ヒンジ44の大きな変位( 性質量ダンパー100(のシャフト102の移動量)に 増幅され、小さい変位×大きな力=大きな変位 ×小さな力という関係が成立する。

 このとき、軸方向の変位を質量体120の回 に変換して増幅されて発生する慣性質量(擬 似質量)は、質量体120に対して大幅に増幅さ る。更に、トグル機構によって、増幅され 。つまり、慣性質量を、更に大きく増幅す ことができる。

 また、左右の慣性質量ダンパー100R,Lは、 方は縮み、他方は伸びる。よって、左側の 性質量ダンパー100Lの質量体120Lと右側の慣 質量ダンパー100Rの質量体120Rとは、互いに反 対回りに回転する。このため、回転慣性によ るジャイロ効果が打ち消される。よって、質 量体120が回転しても、高層ビル11にねじれ振 を誘発させない効果が得られる。

 なお、第一実施形態においても、慣性質 ダンパー100を二つ備え、質量体120が反対方 に回転する構成とすることで、ジャイロ効 を打ち消す作用を得ることが可能となる。

 また、第一実施形態及び第二実施形態に いて、慣性質量ダンパー100は、ホルダー104 内周面と回転体110の円柱部110Dの外周面との 間にエネルギー吸収体として、上記実施形態 のように、粘性液を注入すれば、質量(M)+粘 (C)の効果を持つダンパーとなる。ホルダー10 4と内周面と回転体110の円柱部110Dの外周面と 間にエネルギー吸収減衰部(エネルギー吸収 体)として、摩擦パット等を組み込めば質量(M )+剛性(K)の効果を持つダンパーとなる。更に れらを二つ組み合わせれば、質量(M)+粘性(C) +剛性(K)の効果を持つダンパーとなり、振動 程式の全てを制御できるようになる。なお ホルダー104と内周面と回転体110の円柱部110D 外周面との間に設けるエネルギー吸収体は エネルギー吸収できれば上記以外のもので っても良い。

 なお、本発明は上記実施形態に限定され い。

 例えば、上記実施形態では、慣性質量ダ パー100は、上部構造部12、13の各階に設けら れていたが、これに限定されない。少なくと も上部構造部12、13の最下階に設けられてい ばよい。

 つぎに、地震時に慣性質量ダンパー100の 量体120が回転されることによって発生する 性質量による周期伸長効果を利用した最適 調条件(制振理論)について詳しく説明する

 図7は、慣性質量(D.M)を上部構造部に備え モデル化した振動モデルである。この振動 デルの振動方程式は、下記となる。

 なお、Mは振動マトリックス、Kは剛性マト ックス、M d は慣性質量マトリックス、C d は減衰マトリックスである。また、m 1 は下部構造部の質量、m 2 は上部構造部の質量、m d2 は上部構造部の慣性質量である。

 さて、下部構造部には慣性質量(付加質量 )を備えていないので、上記(1.1)式は、下記(1. 2)式のように外乱の質量マトリックスを変更 て表すことができる。

 最適条件を導くため、上記(1.2)式を各階 質量に慣性質量を含めた2質点系のVoigtモデ と同様なマトリックス形式に変換する。

 なお、慣性質量は上部構造部のみに設けら 、上部構造部のみに影響することから、入 低減係数η 2 を用いて次数変換を行なう。

 なお、相似変換後の振動モデルは、図8と なる。

 以上により、慣性質量を備える振動方程式 、各階の質量に慣性質量を含めた2質点系の Voigtモデル(通常の2質点系の運動方程式)にし ことにより、定点理論を使用することが可 となる。よって、制振装置として広く普及 ているTMD(Tuned Mass Damper)に用いられる最適 調条件としての最適振動数比及び最適減衰 数の適用が可能となる。
 すなわち、

(1.4)式に、(1.6)~(1.8)式を代入すると、最適振 数比を満足する入力低減係数η 2 は、

 と求められる。これにより、最適同調を満 するm 2d (上部構造部の最適慣性質量)、h(~) U (最適減衰係数)を決定することができる。

 なお、上記とは別の定点理論でも求める とができる。その場合、最適振動数比(1.4) 最適減衰定数(1.5)は、下記式(別解)のように される。

 また、同様に有効質量比(1.6)と上部の固 振動数(1.7)及び下部構造の固有振動数(1.8)は 下記式のように表わされる。

 そして、これらの式から、最適振動数比を 足する入力低減係数η 2 は、

 と求められる。そして、これからも最適同 を満足するm 2d (上部構造部の最適慣性質量)、h(~) U (最適減衰係数)を決定することができる。

 更に、下記、最適同調条件式を用いること よって、より正確に最適同調を満足する、 なわち、上部構造部と下部構造部とが同調 るような、m 2d (上部構造部の最適慣性質量)、h(~) U (最適減衰係数)を決定することができる。

     

     

 そして、λ=λoptとなるときが、最適同調 件となる。

 ここで、図28に示すように、上部構造部の スダンパー(DM)の影響により、上部構造部を 成している質量の一部質量δM T が、見かけ上、下部構造部の最上層に移動す る(図28の真中の図)。この質量δM T の見かけ上の移動によって、上部構造部及び 下部構造部と最適同調とにズレが生じる(λ≠ λopt)。このため図29のように、質量δM T の影響によって、λとλoptが変化してしまう

 そして、図29に示すように、これらλとλopt 2つの曲線が一致する点が、前述した最適同 調条件となる。よって、上部構造部と下部構 造部が同調するDM(m T、i )、h(~) U (最適減衰係数)から求められる各層の減衰係 を決定することが必要となる。

 図29のλ及びλoptの曲線が一致する点を求 ることで最適同調条件を求める計算方法の 例を、図30に示すフローチャートを用いて 明する。なお、フローチャートのiは層番号 示している。

 ステップ500でスタートし、ステップ510で各 のDM(m T、i )に0を入力する。ステップ520で各層のDM(m T、i )を0として、上部構造部の固有値解析を行い 上部構造部の各モードの一次の有効質量 1 M T と一次の有効剛性 1 K T を求める。ステップ530で一次の有効質量 1 M T と上部構造の全質量σm T を用いて、下部構造部に見かけ上移動する質 量δM T を求め、ステップ540で求められた質量δM T を下部構造部の最上層に追加する(図28の真中 の図を参照)。

 ステップ550で見かけ上移動する質量δM T が追加された下部構造部の固有値解析を行い 下部構造部の各モードの有効質量 1 M B と一次の有効剛性 1 K B を求める。ステップ560で上記[数式16]、[数式1 8]を用いて、λとλ OPT を求める。

 ステップ570でλとλ OPT とを比較する(図29を参照)。λとλ OPT とが異なる場合は、ステップ580に進み 1 ω(~) T を求めステップ590に進む。ステップ590では、 1 ω T となるように上部構造の各層のm T,i を設定し、一次の有効質量 1 M T と一次の有効剛性 1 K T を求めステップ592に進む。

 ステップ592で、 1 ω T 1 ω(~) T を比較する。 1 ω T 1 ω(~) T とが異なる場合は、ステップ590に戻る。

 そして、 1 ω T 1 ω(~) T とが略同じになると、ステップ530に戻り、ス テップ590で求めた一次の有効質量 1 M T と上部構造の全質量σm T を用いて、下部構造部に見かけ上移動する質 量δM T を求める。

 言い換えると、 1 ω T 1 ω(~) T となるように、上部構造の各層のDM(m T,i )を収れんさせる。

 一方、ステップ570でλとλ OPT とを比較し、λとλ OPT とが略同じである場合は(図29参照)、ステッ 600に進む。ステップ600で、h T,OPT を算出し、ステップ610で一次の有効粘性減衰 係数 1 C T 、すなわち、各層の減衰係数cが求められる

 これで、上部構造部と下部構造部の同調条 を満足するm 2d (上部構造部の最適慣性質量)、h(~) U (最適減衰係数)を決定することができる。

 なお、ステップ570におけるλとλ OPT との比較では、λとλ OPT とが一致することが望ましいが、必ずしも計 算された値が一致する必要ない。略同じであ ればよい。このとき、λとλ OPT がどの程度一致すればよいかは、他の設計条 件等を考慮して設計者が決定する。

 同様に、ステップ592における 1 ω T 1 ω(~) T との比較では、 1 ω T 1 ω(~) T とが一致することが望ましいが、必ずしも計 算された値が一致する必要ない。略同じであ ればよい。また、同様に、 1 ω T 1 ω(~) T がどの程度一致すればよいかは、他の設計条 件等を考慮して設計者が決定する。

 つぎに、図25に示す、上部三階(上部構造 952)に慣性質量(慣性質量ダンパー100)を備え 10層(10階)建ての建築物950をモデルとする設 例について説明する。なお、文字の後の記 (~)(例えば「ω(~)」)、は文字の上に記号の「 ~(破線符号(チルダ))」が付くことを意味する

 まず、Originalモデル(慣性質量(例えば、慣 性質量ダンパー100)を備えていない状態のモ ル)について説明する。

 モデルは、1層当たり1500m 2 、10階建の建築物とする。また、下部7層(1階~ 7階)を下部構造部954、上部3層(8階~10階)を上部 構造部952とする(図25を参照)。

 また、建物の質量1ton/m 2 とし、各層当たりの質量は1500tonとする。な 、1次固有周期を1.0s、各層の固有ベクトルが 同一であると仮定した場合の剛性を用いる。

 以上のOriginalモデルの設計パラメータを 9の表にまとめる。なお、内部減衰定数とし (1次振動形比例として)、h=0.02を与えるもの する。

 そして、図10の表に全体の固有値解析結 を示し、図11Aの表に上部構造部の固有値解 結果を示し、図12Aの表に下部構造部の固有 解析の結果を示す。図11Bの表に上部構造の 効質量と有効剛性を示し、図12Bの表に下部 造部の有効質量と有効剛性を示す。また、 13のグラフに全体系刺激関数を示し、図14の ラフに上部構造部の刺激関数を示し、図15 グラフに下部構造の刺激関数を示す。

 つぎに設計手法について説明する。

 設計は、Originalモデルに上部3層(上部構造 部952)のみに慣性質量(D.M)と減衰部(例えば、 ンパー)を付加すること(例えば、慣性質量ダ ンパー100を設けること)により周期の同調を なう。上部3層(上部構造部952)と下部7層(下部 構造部854)に分離(区分け)した時におけるそれ ぞれの1次有効質量と1次有効剛性を抽出し、2 質点系に置換して各パラメータを設定する。 なお、Originalモデルに慣性質量(D.M)と減衰部 付加した(例えば、慣性質量ダンパー100を設 た)モデルを、「DMDSモデル」とする(図25を 照)。

 図16の表に2質点系のDMDSモデルの各設計パ ラメータを示す。また、図17の表にDMDSモデル の2質点系の設計パラメータを示す。そして 図18の表にDMDSモデルの2質点系の固有値解析 結果を示す。また、図19のグラフに等価2質 系の刺激関数を示す。そして、これらの結 から、1次と2次の減衰定数が同一になって り、最適同調されている様子が判る。

 つぎに、2質点系から10質点系の拡張を行 うが、求められた慣性質量(D.M)と減衰係数 初期剛性比例型として上部三層に与えれば 1質点に集約した上部構造と固有値解析の結 は変わらない。よって制震効果は変わらな 。

 図20の表にDMDSモデルの全体系の解析パラ ータを示す。そして、図21の表にDMDSモデル 固有値解析の結果を示し、図22グラフに刺 関数を示す。この結果より、モードごとの 力低減係数が1.0以下となっており、入力低 効果が表れている。また、2次及び3次モード の刺激関数が0となっており、最適同調する とによりモード制御の効果がでている。以 のことから入力低減効果や、高次モードの 去により、建物の応答値を大きく低減でき 様子が伺える。

 つぎに、DMDSモデルの制振性能を把握する ために、時刻歴応答解析を行なう。なお、入 力地震動はBCJ-L2とし、図23のグラフに、擬似 度応答スペクトル(h=0.40)を示す。そして、 24に、OriginalモデルとDMDSモデルとにおける応 答解析結果を比較したグラフを示す。なお、 図24Aが絶対加速度を比較したグラフであり、 図24Bが応答速度を比較したグラフであり、図 24Cが、せん断力を比較したグラフであり、図 24Dが応答変位を比較したグラフである。

 この結果より、Originalモデルと、上部3層 慣性質量(D.M)と粘性部材を設置して最適同 させたDMDSモデルと、を比較するとの制震効 を明確に把握でき、本システムが有効であ ことが判る。

符号の説明

    10   高層ビル(制振構造物)
    11   高層ビル(制振構造物)
    12   上部構造部
    13   上部構造部
    16   天井部
    18   床部
    20L  柱
    20R  柱
    22A  上梁
    22B  下梁
    24   架構
    38   第一アーム
    42   第二アーム
   100   慣性質量ダンパー(回転機構、減 部)
   102   シャフト(軸体)
   102A  雌ネジ溝(螺合部)
   104   ホルダー(保持体)
   110   回転体
   110A  雄ネジ(螺合部)
   120   質量体(付加質量体)