ユニタック株式会社 (〒33 兵庫県尼崎市南武庫之荘3丁目23-21 Hyogo, 66100, JP)
| 中心角120度で3区分した際の区分形状が等しくなる3回対称性を持つ厚板状であって、ドリルヘッドへの取付状態で穿孔方向に臨む刃先が刃長の短い内切刃と刃長の長い外切刃とで前記1区分に相当する山形をなすと共に、外切刃が外切刃角の小さい前記山形における山頂側外切刃部と外切刃角の大きい山裾側外切刃部との連続した2つの切刃部より構成されてなる深穴切削用スローアウェイチップ。 |
| 前記山裾側外切刃部に沿う逃げ面の逃げ角が5~15度の範囲に設定されてなる請求項1に記載の深穴切削用スローアウェイチップ。 |
| 内切刃に沿ってマージンが形成されてなる請求項1に記載の深穴切削用スローアウェイチップ。 |
| ドリルヘッドへの取付状態でヘッド軸心側に臨む前記1区分の刃先における山裾側外切刃部と、同取付状態でヘッド外周側に臨む前記1区分の刃先における内切刃とが、互いに平行に配置するか、もしくは互いの刃先縁の穿孔方向前方側への延長線が交わるように配置してなる請求項1に記載の深穴切削用スローアウェイチップ。 |
| 円筒形のヘッド本体の先端面の少なくとも中央側と周辺側とを含む複数箇所にそれぞれ、協働して被削材を穿孔する刃体がねじ止め固着され、少なくとも中央側刃体が前記請求項1に記載の深穴切削用スローアウェイチップからなることを特徴とする深穴切削用ドリルヘッド。 |
| 前記中央側のスローアウエイチップは、刃先全体がヘッド軸心を中心とする半径線と平行して且つ該半径線よりも切削回転方向前方の芯上がり位置に配置すると共に、穿孔方向に臨む前記1区分の刃先における内切刃の内端がヘッド軸心から離間して該軸心付近に非切削ゾーンを形成する請求項5に記載の深穴切削用ドリルヘッド。 |
| 前記中央側のスローアウエイチップは、切刃全体がヘッド軸心を中心とする半径線よりも切削回転方向前方へ0.2~1.5mmの芯上がり位置に配置すると共に、穿孔方向に臨む前記1区分の刃先における内切刃の内端がヘッド軸心から0.05~0.5mm離間してなる請求項6に記載の深穴切削用ドリルヘッド。 |
| 前記中央側のスローアウエイチップは、切刃全体がヘッド軸心を中心とする半径線に沿うと共に、穿孔方向に臨む前記1区分の刃先における内切刃の内端がヘッド軸心を越える位置に配置してなる請求項5に記載の深穴切削用ドリルヘッド。 |
| 周辺側刃体が前記請求項2に記載の深穴切削用スローアウェイチップからなり、そのヘッド外周側に臨む前記1区分の刃先における内切刃がヘッド軸心と平行に配置してなる請求項5に記載の深穴切削用ドリルヘッド。 |
| 中央側及び周辺側と中間部との少なくとも3個の刃体を備え、全ての刃体が前記請求項1~4のいずれかに記載の深穴切削用スローアウェイチップからなる請求項5~9のいずれかに記載の深穴切削用ドリルヘッド。 |
本発明は、3回対称性を持つ深穴切削用ス ローアウェイチップと、このスローアウェイ チップを用いた深穴切削用ドリルヘッドに関 する。
従来、刃体にスローアウェイチップを用 た深穴切削用ドリルヘッドとして、例えば 8(A)(B)に示すものがある。このドリルヘッド 50は、ヘッド本体51が基端側に開放した中空 52を有する略円筒状であり、その略鈍角円錐 形のヘッド先端面51aに中心角90°の略扇形を して中空部52に連通する大小2つの切屑排出 53A,53Bを有し、大きい切屑排出口53Aのヘッド 方向Dに沿う開口側縁に中央側刃体54A及び周 辺側刃体54Bが、小さい切屑排出口53Bの同じヘ ッド径方向Dに沿う開口側縁に中間部刃体54C 、それぞれヘッド本体51側の凹陥した取付座 へのスローアウェイチップ60のねじ止めによ て形成されている。また、ヘッド本体51の 周面51bには、先端側にガイドパッド55A~55Dが じ止めされると共に、基端側に雄ねじ56が 設されている。
そして、深穴切削加工においては、ドリ ヘッド50の基部側を雄ねじ56によって図示省 略した中空状ボーリングバーの先端部に螺入 して取り付け、該ボーリングバーを工作機械 のスピンドル等の駆動軸に連結して回転させ るか、逆に被削材側を回転させることにより 、切刃54A~54Cで被削材を切削して深穴を形成 る。なお、ドリルヘッド50の相対回転方向は 図8(A)における反時計回り方向である。この 削加工中、クーラントを切削穴とボーリン バーとの隙間を通して高圧で切削部位へ供 し、切削部位で発生する切り屑と共に切屑 出口53A,53Bより中空部52内へ流入させ、中空 ボーリングバー内を通して外部へ排出する
この場合のスローアウェイチップ60は、 角形の厚板状で、中心角120度で3区分した際 区分形状が等しくなる3回対称性を持ち、隣 接した刃長の短い内切刃62と刃長の長い外切 61とで一単位の山形刃部を構成している。 なわち、各スローアウェイチップ60は、中心 に設けたボルト挿通孔に通した固定ボルト63 より、一箇所の山形刃部が切削刃としてヘ ド本体の前端に臨むよう取り付けるが、そ 山形刃部が摩耗限界に達したり損傷を受け 際、取付け姿勢を120°転回して新たな山形 部を前端に臨ませることができ、もって刃 を更新して都合3回にわたって使用できて長 命となるという利点がある(特許文献1)。
ところで、このようなドリルヘッド50で 切削孔全体を切削形成する全切削を行うこ から、切削孔の中央部の切削を担う中央側 体54Aは、刃先がヘッド軸心Oを中心とした直 線Dに合致して、且つ内切刃62の内端62aがヘ ド軸心Oを少し越えて配置するように正確に 位置決めして取り付ける必要がある。しかる に、切削加工中におけるヘッド軸心Oでは、 削速度が理論的にゼロになるため、該軸心O 置の刃先部は所謂チゼルエッジとして切削 が働かず、被削材を押し潰す形になってス スト抵抗が負荷するため、切削能率を高め れない要因になっていた。
そこで、刃体として2回対称性、つまり平行
四辺形の厚板状で対向する2辺に切刃を有し
180°転回による刃先更新で都合2回にわたっ
使用できるスローアウェイチップを用いる
穴切削具については、本発明者が先に、切
内端側のチップ側面に没入部を設け、該切
内端をヘッド軸心から離間して配置するこ
により、該軸心付近に非切削ゾーンを形成
、この非切削ゾーンに生じる被削材の非切
コアを前記没入部の傾斜段部との押接によ
て折り取るようにしたものを提案している(
許文献2、3)。
しかしながら、図8で示すドリルヘッドに 用いるような3回対称性のスローアウェイチ プ60では、切刃内端がヘッド軸心から離間す るように配置した場合、前記2回対称性のス ーアウェイチップのように非切削ゾーンに じる被削材の非切削コアを折り取ることが きず、該非切削コアが長く成長して切屑排 性を悪化させ、更には切屑の詰まりを生じ 切削不能に陥る懸念があるため、通常の全 削方式にしか適用できなかった。
本発明は、上述の情況に鑑み、ドリルヘ ドの中央側刃体として、全切削方式と非切 コア折り取り方式のいずれにも適用できる3 回対称性の深穴切削用スローアウェイチップ と、このスローアウェイチップを用いた深穴 切削用ドリルヘッドを提供することを目的と している。
上記目的を達成するための手段を図面の 照符号を付して示せば、請求項1の発明に係 る深穴切削用スローアウェイチップは、中心 角120度で3区分した際の区分P1~P3形状が等しく なる3回対称性を持つ厚板状であって、ドリ ヘッドD1(図2~図4参照),D2(図5参照)への取付状 で穿孔方向に臨む刃先1が刃長の短い内切刃 11と刃長の長い外切刃12とで前記1区分(第1区 P1)に相当する山形をなすと共に、外切刃12が 外切刃角β1の小さい前記山形における山頂側 外切刃部12aと外切刃角β2の大きい山裾側外切 刃部12bとの連続した2つの切刃部より構成さ てなるものとしている。
請求項2の発明は、前記請求項1の深穴切 用スローアウェイチップにおいて、前記山 側外切刃部12bに沿う逃げ面13の逃げ角θが5~15 度の範囲に設定されてなるものとしている。
請求項3の発明は、前記請求項1の深穴切 用スローアウェイチップにおいて、内切刃11 に沿ってマージン14が形成されてなるものと ている。
請求項4の発明は、前記請求項1の深穴切 用スローアウェイチップにおいて、ドリル ッドD1,D2への取付状態でヘッド軸心O側に臨 前記1区分(第2区分P2)の刃先1における山裾側 切刃部12bと、同取付状態でヘッド外周側に む前記1区分(第3区分P3)の刃先1における内切 刃11とが、互いに平行に配置(図2~図5参照)す か、もしくは互いの刃先縁の穿孔方向前方 への延長線L1,L2が交わるように配置(図6~図7 照)してなるものとしている。
請求項5の発明に係る深穴切削用ドリルヘ ッドは、円筒形のヘッド本体2の先端面2aの少 なくとも中央側と周辺側とを含む複数箇所に それぞれ、協働して被削材Wを穿孔する刃体3A ~3Cがねじ止め固着され、少なくとも中央側刃 体3Aが前記請求項1に記載の深穴切削用スロー アウェイチップT1,T2からなることを特徴とし いる。
請求項6の発明は、前記請求項5の深穴切 用ドリルヘッドにおいて、前記中央側のス ーアウエイチップT1,T2(中央側刃体3A)は、刃 全体がヘッド軸心Oを中心とする半径線Rと平 行して且つ該半径線Rよりも切削回転方向前 の芯上がり位置に配置すると共に、穿孔方 に臨む前記1区分(第1区分P1)の刃先1における 切刃11の内端11aがヘッド軸心Oから離間して 軸心O付近に非切削ゾーンZを形成する構成 している。
請求項7の発明は、前記請求項5の深穴切 用ドリルヘッドにおいて、中央側のスロー ウエイチップT1,T2(中央側刃体3A)は、切刃全 がヘッド軸心Oを中心とする半径線Rよりも切 削回転方向前方へ0.2~1.5mmの芯上がり位置に配 置すると共に、穿孔方向に臨む前記1区分(第1 区分P1)の刃先1における内切刃11の内端11aがヘ ッド軸心Oから0.05~0.5mm離間してなる構成とし いる。
請求項8の発明は、前記請求項5の深穴切 用ドリルヘッドにおいて、前記中央側のス ーアウエイチップT1,T2(中央側刃体3A)は、切 全体がヘッド軸心Oを中心とする半径線Rに沿 うと共に、穿孔方向に臨む前記1区分(第1区分 P1)の刃先1における内切刃11の内端11aがヘッド 軸心Oを越える位置に配置してなる構成とし いる。
請求項9の発明は、前記請求項5の深穴切 用ドリルヘッドにおいて、周辺側刃体3Bが前 記請求項2に記載の深穴切削用スローアウェ チップT1,T2からなり、そのヘッド外周側に臨 む前記1区分(第3区分P3)の刃先1における内切 11がヘッド軸心Oと平行に配置してなる構成 している。
請求項10の発明は、前記請求項5~9のいず かの深穴切削用ドリルヘッドにおいて、中 側及び周辺側と中間部との少なくとも3個の 体3A~3Cを備え、全ての刃体3A~3Cが前記請求項 1~4のいずれかに記載の深穴切削用スローアウ ェイチップT1,T2からなる構成としている。
本発明の効果について図面の参照符号を して説明する。まず請求項1の発明に係る深 穴切削用スローアウェイチップT1,T2では、3回 対称性で3区分される切刃の各1区分P1~P3が内 刃11と外切刃12とで山形をなすが、外切刃12 山頂側外切刃部12aと山裾側外切刃部12bとで 形になり、その山裾側外切刃部12bに沿う逃 面13の逃げ角θが特定範囲にあるため、ドリ ヘッドD1,D2の中央側刃体3Aとして用いる際、 非切削コア折り取り方式として、切刃全体を 芯上がり位置に配置すると共に、穿孔方向に 臨む前記1区分(第1区分P1)の切刃における内切 刃11の内端11aをヘッド軸心Oから離間させて非 切削ゾーンZを形成すれば、ヘッド軸心O側に む1区分(第2区分P2)の山裾側外切刃部12bに沿 逃げ面13が該非切削ゾーンZ内に入る込む形 なる。従って、非切削ゾーンZで生成する非 切削コアCは、該逃げ面13によって側方から押 接されて強制的に側方へ押しやられ、且つド リルヘッドD1,D2の回転に伴って押しやられる 向が変わって捩られると共に、該逃げ面13 非切削ゾーンZ内に入り込む分だけ縊られる とになるから、長く成長することなく小刻 に分断される。このため、深穴切削加工中 良好な切屑排出性が確保され、軸心位置の ゼルエッジの解消と相俟って高い切削能率 得られる。
一方、この深穴切削用スローアウェイチ プT1,T2は、通常の全切削方式による深穴切 加工においても、ドリルヘッドD2の中央側刃 体3Aとして用いることができる。すなわち、 般的にスローアウェイチップはチップ取付 を介してヘッド本体側の凹陥部に嵌合して じ止めするから、そのチップ取付板5として 、当該スローアウェイチップT1,T2の切刃全体 ヘッド軸心Oを中心とする半径線Rに沿い、 つ穿孔方向に臨む1区分(第1区分P1)の内切刃11 の内端11aがヘッド軸心Oを少し越える位置に 置できるものを用いることにより、全切削 式に支障なく適用できる。また、このチッ 取付板5としてスローアウェイチップT1,T2の 持位置が異なるものを用意すれば、既存の 切削方式仕様のドリルヘッドD2でも、元来の 全切削方式と非切削コア折り取り方式に共用 可能となる。
請求項2の発明によれば、前記山裾側外切 刃部12bの逃げ面13の逃げ角が5°未満では、穿 方向に臨む第1区分P1における該山裾側外切 部12bの切削機能に支障を生じる。逆に該逃 角が15°を越えると、該逃げ面13の端縁13aの 切削ゾーンZ内への入り込みが不足し、非切 削コアCの分断性が悪化することになる。
請求項3の発明によれば、深穴切削用スロ ーアウェイチップT1,T2は、内切刃11に沿って ージン14が形成されているから、ドリルヘッ ドD1,D2の中央側刃体3Aと共に、周辺側刃体3Bと しても好適に使用できる。この場合、周辺側 刃体3Bでは、ヘッド周辺側に臨む1区分(第3区 P3)の内切刃11がヘッド回転軸と平行になる うに配置し、該内切刃11を切削孔の内周に線 接触させることになるが、該内切刃11はマー ン14で刃先角が大きくなって刃先が強化さ ることに加え、該マージン14部分も孔内周に 摺接するから、該内切刃11の摩耗が軽減され と共に損傷を生じにくく、もって線速度が きくなる周辺側刃体3Bとしても優れた耐久 が得られる。
請求項4の発明によれば、深穴切削用スロ ーアウェイチップT1,T2は、非切削コア折り取 方式におけるドリルヘッドD1の中央側刃体3A として、ヘッド周辺側に臨む1区分(第3区分P3) の内切刃11がヘッド回転軸と平行になるよう 配置した際、ヘッド軸心側に臨む1区分(第2 分P2)の山裾側外切刃部12bがヘッド軸心Oに対 して平行ないし後端側をヘッド軸心Oに接近 る傾斜状態に配置することになるから、非 削ゾーンZで生成する非切削コアCに対する該 山裾側外切刃部12bの逃げ面13による押接がよ 確実ないし強力になり、もって該非切削コ Cがより小刻みに効率よく分断される。
請求項5の発明によれば、円筒形のヘッド 本体2の先端面2aの少なくとも中央側と周辺側 とを含む複数箇所に切削刃体(中央側刃体3A, 辺側刃体3B,中間部刃体3C)がねじ止め固着さ た深穴切削用ドリルヘッドD1,D2において、少 なくとも中央側の切削刃体(中央側刃体3A)と て前記請求項1に記載の深穴切削用スローア ェイチップT1,T2を用いるため、該中央側の ローアウェイチップT1,T2の配置設定により、 非切削コア折り取り方式と全切削方式のいず れの深穴切削加工にも好適に使用できる。
請求項6の発明に係る深穴切削用ドリルヘ ッドD1によれば、非切削コア折り取り方式と て、中央側のスローアウエイチップT1,T2が 上がり位置で切刃内端11aをヘッド軸心Oから 間させて配置するから、非切削ゾーンZで生 成する非切削コアCを小刻みに効率よく分断 き、もって深穴切削加工中の良好な切屑排 性が確保され、ヘッド軸心O位置のチゼルエ ジの解消と相俟って高い切削能率が得られ 。
請求項7の発明に深穴切削用ドリルヘッド D1によれば、前記非切削コア折り取り方式に いて、中央側のスローアウエイチップT1,T2 芯上がり量と切刃内端11aの離心量を特定範 に設定するから、非切削ゾーンZで生成する 切削コアCの小刻みな折り取りがより確実に なされる。
請求項8の発明に係る深穴切削用ドリルヘ ッドD2によれば、中央側のスローアウエイチ プT1,T2を、切刃全体がヘッド軸心Oを中心と る半径線Rに沿い、穿孔方向に臨む1区分(第1 区分P1)における内切刃11の内端11aがヘッド軸 Oを越える位置に配置するから、全切削方式 による深穴切削加工を行える。
請求項9の発明に係る深穴切削用ドリルヘ ッドD1,D2によれば、周辺側刃体3Bに用いた前 請求項2に記載の深穴切削用スローアウェイ ップT1,T2は、そのヘッド外周側に臨む前記1 分(第3区分P3)における内切刃11をヘッド軸方 向Oと平行に配置するが、該内切刃11がマージ ン14によって強化されているから、該内切刃1 1の摩耗が軽減されると共に損傷を生じにく 、もって線速度が大きくなる周辺側刃体3Bと しても優れた耐久性が得られる。
請求項10の発明によれば、中央側及び周 側と中間部との少なくとも3個の切削刃体を える深穴切削用ドリルヘッドD1,D2において 全ての切削刃体が前記請求項1~3に記載の深 切削用スローアウェイチップT1,T2からなり、 且つこれらスローアウェイチップT1,T2を同じ 付姿勢に設定できるから、部品の共通化と 立操作の一律化によって製作コストを大き 低減できる。
1 刃先
11 内切刃
11a 内端面
12 外切刃
12a 山頂側外切刃部
12b 山裾側外切刃部
13 山裾側外切刃部に沿う逃げ面
14 マージン
15 ボルト挿通孔
2 ヘッド本体
2a 先端面
20 中空部
21,22 切屑排出口
2A 中央部切刃チップ(中心側の切削
担う切刃チップ)
20 刃先縁
20a 内端
3A 中央側刃体
3B 周辺側刃体
3C 中間部刃体
5 取付板
7 ガイドパッド
C 非切削コア
D1 非切削コア折り取り方式の深穴
削用ドリルヘッド
D2 全切削方式の深穴切削用ドリル
ッド
O ヘッド軸心
P1 穿孔方向に臨む第1区分
P2 ヘッド軸心側に臨む第2区分
P3 ヘッド周辺側に臨む第3区分
R 半径線
T1,T2 深穴切削用スローアウェイチップ
W 被削材
Z 非切削ゾーン
f 距離(芯上がり量)
s 距離(離心距離)
α 内切刃角
β1,β2 外切刃角
γ 交叉角
θ 逃げ角
以下、本発明の実施形態について、図面 参照して具体的に説明する。図1は本発明の 第一実施形態に係る深穴切削用スローアウェ イチップT1、図2は該スローアウェイチップT1 用いた非切削コア折り取り方式のドリルヘ ドD1、図3は同ドリルヘッドD1の先端側、図4 同ドリルヘッドD1における切削中心部の挙 、図5は第一実施形態のスローアウェイチッ T1を用いた全切削方式のドリルヘッドD2の先 端側、図6は本発明の第二実施形態に係る深 切削用スローアウェイチップT2、図7は同ス ーアウェイチップT2を用いた非切削コア折り 取り方式のドリルヘッドD1における切削中心 の挙動、をそれぞれ示す。
第一実施形態の深穴切削用スローアウェ チップT1は、図1(A)~(C)に示すように、中心角 120°で3区分したときの区分形状が等しくなる 3回対称性を持っており、大まかには略正三 形の厚板状をなすが、その正三角形の各辺 2箇所で少しずつ曲折して厳密には九角形に っている。そして、この九角形の輪郭をな 全周縁を同一平面内に位置した刃先1として 、該刃先1に臨む主面つまり図1(A)の正面がす い面10、周側面が逃げ面13を構成し、正面中 央に厚み方向に透通するボルト挿通孔15を有 ると共に、すくい面10には全周縁の刃先1に って段状のチップブレーカー16が形成され いる。
なお、図1(A)のスローアウェイチップT1は 面上方側を穿孔方向とした場合のドリルヘ ドへの取付姿勢で示しており、チップ頂端t を通る横線eは穿孔方向に垂直な面を表して る。ここで、前記3回対称性の区分形態は、 心Qと前記の略正三角形における各頂点cを ぶ3本の仮想線で示す分画線pによる区分を基 準とし、図示上方側を穿孔方向に臨む第1区 P1、図示右方側をヘッド軸心側に臨む第2区 P2、図示左方側をヘッド周辺側に臨む第3区 P3としている。そして、ドリルヘッドへの取 付状態において、第1区分P1の刃先1が深穴切 を担うが、この第1区分P1の刃先1が損傷した 摩耗限界に達した際には、取付姿勢を120度 転することにより、未使用の第2区分又は第 3区分の刃先1を第1区分の位置に移動させ、も って刃先1を更新して都合3回にわたって使用 る。
第1~第3区分P1~P3の各刃先1は、深穴切削を う第1区分P1においてヘッド軸心側に配置し 内向き下り勾配の内切刃角αを持つ刃長の い内切刃11と、同じくヘッド周辺側に配置し て外向き下り勾配の外切刃角を持つ刃長の長 い外切刃12とで山形をなしている。更に、外 刃12は、前記山形の山頂(チップ頂端t)側に 置して小さい外切刃角β1の山頂側外切刃部12 aと、大きい外切刃角β2の山裾側外切刃部12b の連続した2つの切刃部で構成され、山裾側 切刃部12bの刃長が山頂側外切刃部12aの刃長 りも短く設定されている。そして、第1区分 P1~第3区分P3の内切刃11、山頂側外切刃部12a、 裾側外切刃部12bは、それぞれ中心Q回りに回 転対称の等価な辺をなし、中心Q回りの120°回 転で完全に重なり合うと共に、これら等価な 辺の延長線交叉角が全て60°になっている。
また、図1(B),(C)に示すように、チップ周 面の各内切刃11に沿う部分には、幅0.1~2mm程 で、チップ厚み方向に対する傾角が1~6°程度 のマージン14が形成されている。そして、各 裾側外切刃部12bに沿う逃げ面13の逃げ角(チ プ厚み方向に対する傾角)θは5~15°に設定さ ているが、他のチップ周側面の逃げ角は10~3 0°程度の範囲にある。なお、チップ頂端tの 角は130°以上で、内切刃角αが山頂側外切刃 12aの外切刃角β1よりも大きいこと(α>β1) 望ましい。これらの角度設定の好適な例を げれば、逃げ面13の逃げ角θ=11°、チップ頂 tの頂角=138°、内切刃角α=30°、外切刃角β1=12 °、外切刃角β2=18°といったものである。
しかして、この第一実施形態のスローア ェイチップT1においては、第1区分P1の内切 11と第3区分P3の山裾側外切刃部12b、第2区分P2 の内切刃11と第1区分の山裾側外切刃部12b、第 3区分P3の内切刃11と第2区分P2の山裾側外切刃 12bは、それぞれ平行に配置すると共に、図1 (A)に示すドリルヘッドへの取付姿勢において 第3区分P3の内切刃11と第2区分P2の山裾側外切 部12bとが穿孔方向に沿うように設定されて る。
図2(A)(B)に示すドリルヘッドD1は、基端側 開放した中空部20を有する略円筒状のヘッ 本体2の略鈍角円錐形をなすヘッド先端面2a 、中空部20と連通する大小2つの略扇形の切 排出口21,22が相互に径方向に対向配置して形 成されており、大きい切屑排出口21のヘッド 心Oを通る半径線Rに沿う開口側縁の中央側 体3A及び周辺側刃体3Bと、小さい切屑排出口2 2の径方向反対側の半径線R’に沿う開口側縁 中間部刃体3Cとに、それぞれ前記の第一実 形態のスローアウェイチップT1が用いられ、 中央側刃体3AのスローアウェイチップT1が非 削コア折り取り方式の配置になっている。
そして、各スローアウェイチップT1は、 の中央のボルト挿通孔15を通した固定ボルト 4により、略角軸状のチップ取付板5の一側面 長手方向一方側に一部突出状態にねじ止め れており、該チップ取付板5をヘッド本体2 に設けた凹陥部23に嵌合し、ヘッド本体2の 周面2bから挿入した取付ボルト6を当該チッ 取付板5のねじ孔5aに螺合して引き付けるこ により、ヘッド本体2に固定されている。ま 、ヘッド本体2の先端側のヘッド外周面2bに 、中間部刃体3Cの取付側と中央側刃体3Aの背 方側とに超硬材製のガイドパッド7,7がねじ止 めされると共に、これらガイドパッド7,7とは 径方向に対向する位置にも補助ガイドパッド 8,8がねじ止めされている。しかして、該ヘッ ド本体2の先端側よりも外径を小さくした基 側のヘッド外周面2cには雄ねじ24が形成され おり、該基端側を図示省略した中空状ボー ングバーの雌ねじを有する先端部に螺入す ことにより、当該ドリルヘッドD1をボーリ グバーの先端に連結するようになっている
3個のスローアウェイチップT1は、いず も穿孔方向に臨む第1区分P1の刃長の長い外 刃12がヘッド軸心O側に高く傾斜して、且つ ッド外周側に臨む第3区分の内切刃11が穿孔 向に沿う取付状態になっている。そして、 3(A)に詳細に示すように、周辺側刃体3B及び 間部刃体3Cが刃先1をヘッド軸心Oを通る半径 R,R’に一致させた配置であるのに対し、中 側刃体3Aは、非切削コア折り取り方式のた に、刃先1が該半径線Rと平行して且つ該半径 線Rよりも距離fだけ切削回転方向前方になる 上がり位置において、第1区分P1の内切刃11 内端11aがヘッド軸心Oから距離sだけ離れるよ うに配置している。また、この配置状態で、 該中央側刃体3AのスローアウェイチップT1に けるヘッド中央側に臨む第2区分P2の山裾側 切刃部12b(図3(B)参照)は、ヘッド軸心Oと平行 なっている。
このような深穴切削用ドリルヘッドD1に る深穴加工では、既述のボーリングバーに 結した当該ドリルヘッドD1又は被削材Wを回 させながら、切削孔の内周と中空状ボーリ グバー及びドリルヘッドD1の外周との間隙を 通して供給されるクーラントを切削部位へ連 続的に送り込み、該切削部位で発生する切屑 を該クーラントに巻き込んで、当該ドリルヘ ッドD1の切屑排出口21,22から中空部20ならびに ボーリングバーの中空内部を通して外部へ排 出する。
この深穴切削加工にあっては、中央側刃 3Aに用いたスローアウェイチップT1の穿孔方 向に臨む第1区分P1の内切刃11の内端11aがヘッ 軸心Oから離間していることにより、図4(A)(B )に示すように、該軸心O付近に離心距離sを半 径とする円形の非切削ゾーンZが形成され、 の非切削ゾーンZで被削材Wの非切削コアCを じる。しかるに、該スローアウェイチップT1 が芯上がりの位置にあって、且つその第2区 P2の山裾側外切刃部12bの逃げ面13が5~15°の逃 角θを有することにより、該逃げ面13におけ る穿孔方向の端縁13aのヘッド軸心Oに対する 短距離dが内切刃11の内端11aの離心距離sより 短くなり、図示の斜線部分Uだけ非切削ゾー ンZ内に入り込む形になる。
従って、非切削ゾーンZで生成する非切削 コアCは、図4(B)で示すように、生成直後に該 げ面13によって側方から押接されて強制的 側方へ押しやられ、且つドリルヘッドD1の回 転に伴って押しやられる方向が連続的に変わ って捩られると共に、該逃げ面13が非切削ゾ ンZ内に入り込む分だけ側方から押し切られ 、非切削ゾーンZよりも小さい半径dの円形Nに 縊られることから、長く成長することなく小 刻みに分断される。このため、深穴切削加工 中、良好な切屑排出性が確保され、軸心位置 のチゼルエッジの解消と相俟って高い切削能 率が得られる。しかして、このドリルヘッド D1の場合は、ヘッド軸心側に臨む第2区分P2の 裾側外切刃部12bに沿う逃げ面13がヘッド軸 Oに対して平行になっているから、非切削コ Cに対する該逃げ面13の押接がより確実にな 、該非切削コアCの小刻みな分断が効率よく なされる。
また、このドリルヘッドD1の中央側刃体3A に用いるスローアウェイチップT1は、適当な 上がり位置で、且つ第1区分P1における内切 11の内端11aもヘッド軸線Oから適当に離間し おればよく、ヘッド本体2での配置精度に厳 密さを要さず、それだけ取付板5の製作及び 工とスローアウェイチップT1の取付操作が容 易になる。
なお、山裾側外切刃部12bの逃げ面13の逃 角が5°未満では、穿孔方向に臨む第1区分P1 おける該山裾側外切刃部12bの切削機能に支 を生じる。逆に該逃げ角が15°を越えると、 逃げ面13の端縁13aの非切削ゾーンZ内への入 込みが不足し、非切削コアCの分断性が悪化 することになる。
図5(A)(B)に示すドリルヘッドD2は、全切削 式の仕様であり、前記の非切削コア折り取 方式のドリルヘッドD1と同じヘッド本体2に し、その中央側及び周辺側と中間部の全部 刃体3A~3Cとして同じスローアウェイチップT1 を取り付けているが、中央側刃体3Aも周辺側 び中間部刃体3B,3Cと同じく刃先1がヘッド軸 Oを通る半径線Rと一致するように配置する 共に、その穿孔方向に臨む第1区分P1の内切 11の内端11aがヘッド軸心Oを少し越える位置 配置している。従って、このドリルヘッドD2 によれば、通常の全切削方式による深穴切削 加工を支障なく行える。
上述したドリルヘッドD1,D2においては、 辺側刃体3Bに用いたスローアウェイチップT1 、その周辺側に臨む第3区分P3の内切刃11が 孔方向に沿って配置して切削孔内周に線接 で摺接するが、この内切刃11がマージン14に って大きな刃先角で高強度になっているこ に加え、該マージン14部分も切削孔内周に 接するから、該内切刃11の摩耗が軽減される と共に損傷を生じにくく、もって線速度が大 きくなる周辺側刃体3Bとしても優れた耐久性 発揮する。更に、中央側及び周辺側と中間 の全部の刃体3A~3Cに同じスローアウェイチ プT1を用い、これらを同じ取付姿勢にしてい ることから、部品の共通化と組立操作の一律 化によって製作コストを大きく低減できると 共に、いずれのスローアウェイチップT1も穿 方向に臨む第1区分P1の刃長の長い外切刃12 ヘッド軸心O側に高く傾斜しているから、切 反力の背分力がヘッド軸心側へ向いて芯振 を生じにくく、それだけ切削孔の穿孔精度 向上するという利点もある。
図6(A),(B)に示す第二実施形態の深穴切削 スローアウェイチップT2は、やはり大まかに は正三角形、厳密には九角形の厚板状で3回 称性を持つものであるが、第一実施形態の ローアウェイチップT1と一部を除いて略同様 の構成であるため、該第一実施形態との共通 部分には同一符号を付してその説明を省略す る。
この第二実施形態のスローアウェイチッ T2では、第一実施形態の場合よりも各外切 12の山頂側外切刃部12aと山裾側外切刃部12bの 外切刃角β1,β2の差を大きくする(両外切刃部1 2a,12b間の曲折を大きくする)ことにより、第1 分P1の内切刃11と第3区分P3の山裾側外切刃部 12b、第2区分P2の内切刃11と第1区分の山裾側外 切刃部12b、第3区分P3の内切刃11と第2区分P2の 裾側外切刃部12bが、それぞれ非平行になっ いる。そして、図6(A)に示すドリルヘッドへ の取付姿勢において、第3区分P3の内切刃11が 孔方向に沿う一方、第2区分P2の山裾側外切 部12bは、その刃先縁の穿孔方向前方側への 長線L2が該内切刃11の同延長線L1と交わるよ に、穿孔方向に対して傾斜配置している。 の延長線Ll,L2の交叉角γは、5~30°程度である 。
このスローアウェイチップT2を既述の非 削コア折り取り方式のドリルヘッドD1に用い る場合、中央側刃体3Aでは、図7(A)(B)で示すよ うに、やはり刃先1が半径線Rと平行して且つ 半径線Rよりも距離fだけ切削回転方向前方 なる芯上がり位置として、穿孔方向に臨む 1区分P1の内切刃11の内端11aをヘッド軸心Oか 距離sだけ離して非切削ゾーンZを形成する。 しかるに、このスローアウェイチップT2では ヘッド周辺側に臨む第3区分の内切刃11が穿 方向に沿う取付姿勢とすれば、ヘッド軸心 に臨む第2区分P2の山裾側外切刃部12bが図7(B) の如くヘッド軸心Oに対して傾斜し、この山 側外切刃部12bに沿う逃げ面13も図7(A)の如く ッド軸心Oに対して傾斜することになる。
従って、非切削ゾーンZで生成する非切削 コアCは、第一実施形態のスローアウェイチ プT1の場合と同様に、生成直後に逃げ面13に って側方から押接されて強制的に側方へ押 やられ、その押しやられる方向が連続的に わって捩られると共に、該逃げ面13が非切 ゾーンZ内に入り込む分だけ側方から押し切 れ、非切削ゾーンZよりも小さい半径dの円 Nに縊られることになるが、更に加えて、逃 面13の傾斜によって非切削ゾーンZへの入り みが次第に拡大し、もって非切削コアCは長 くなるほどヘッド軸心Oから側方へ変位する 合が増すために長く成長できず、より確実 小刻みに効率よく分断される。
なお、第2区分P2の山裾側外切刃部12bのヘ ド軸心Oに対する傾斜角、つまり前記図6(A) おける延長線Ll,L2の交叉角γは、30°を越える と、非切削コアCの折り取りが困難になり、 削抵抗が著しく増大することになる。
ところで、図2~図4で例示したドリルヘッ D1では、第一実施形態のスローアウェイチ プT1の3個全部を、ヘッド周辺側に臨む第3区 P3の内切刃11が穿孔方向に沿う取付姿勢にし ているため、その中央側刃体3Aではヘッド中 側に臨む第2区分P2の山裾側外切刃部12bがヘ ド軸心Oと平行になっている。しかるに、切 削孔の内周面に接触しない中央側刃体3Aや中 部刃体3Cではヘッド周辺側に臨む第3区分P3 内切刃11を穿孔方向に沿わせる必要がないた め、第一実施形態のスローアウェイチップT1 用いた場合でも、中央側刃体3Aについては 2~図4の取付姿勢から反時計回り方向に僅か 回転させた取付姿勢に変えることにより、 述した第二実施形態のスローアウェイチッ T2を用いた場合と同様に、ヘッド中心側に臨 む第2区分P2の山裾側外切刃部12bをヘッド軸心 Oに対して傾斜させ、その逃げ面13の傾斜によ って非切削コアCの分断性を向上させること できる。
本発明の深穴切削用ドリルヘッドにおい 、中央側刃体3Aに用いるスローアウェイチ プT1,T2の離心距離、つまり穿孔方向に臨む第 1区分P1における内切刃11の内端11aのヘッド軸 Oからの離心距離sは0.05~0.5mmの範囲が好まし 、小さ過ぎては当該スローアウェイチップ 位置決めが困難になり、逆に大き過ぎては 切削コアCが太くなって折り取りに大きな力 を要して切削効率の低下に繋がる。更に、中 央側刃体3Aの芯上がり量、つまりヘッド軸心O を中心とする半径線Rに対する切刃1の距離fは 、非切削コアCの小刻みな折り取りをより確 にする上で、0.2~1.5mmの範囲が好適である。
なお、例示した深穴切削用ドリルヘッドD 1,D2は中央側及び周辺側と中間部の3つの刃体3 A~3Cを有するが、本発明は4個以上の刃体を備 るドリルヘッドにも同様に適用できる。そ 他、本発明のドリルヘッドでは、切屑排出 21,22の形状、取付板5の形状、ガイドパッド 取付位置と数等、細部構成については例示 外に種々設計変更可能である。
