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Title:
DEEP SEA WATER LIFT-UP DEVICE
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/017021
Kind Code:
A1
Abstract:
Disclosed is a deep sea water lift-up device, which can be easily constructed and maintained. An intake portion (1) arranged in a deep portion of an ocean and a release portion (2) arranged in a surface portion of the ocean are connected by a lifting pipe (3). The intake portion (1) is fixed in the sea bottom by a supporting rope (4). The intake portion (1) has a diffuser portion for changing the velocity energy of the deep sea water inflow into a pressure energy, and the release portion (2) has a nozzle portion for converting the pressure energy of the deep sea water introduced from the lifting pipe (3), into the velocity energy. The lifting pipe (3) is constituted of a soft sheet tube. The lifting pipe (3) has an equivalent diameter of 10 m or more. Thus, the deep-sea water can be lifted up in a large quantity by the small power.

Inventors:
TANAKA SHOICHI (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/063268
Publication Date:
February 05, 2009
Filing Date:
July 24, 2008
Export Citation:
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Assignee:
TANAKA SHOICHI (JP)
International Classes:
F04B47/08; F03B3/04; F03B11/02; F03B13/00; F04D13/04; F04D29/54
Domestic Patent References:
WO2006132539A12006-12-14
Foreign References:
JPS5442697U1979-03-23
JPH0763155A1995-03-07
JP2007002721A2007-01-11
JPS56141282U1981-10-24
JPH0561492U1993-08-13
JPH06288336A1994-10-11
JP2004162566A2004-06-10
JPS62203894A1987-09-08
JPS6231792A1987-02-10
JP2003056772A2003-02-26
JP2006097633A2006-04-13
Attorney, Agent or Firm:
OHKAWA, Hiroshi (Nakamura-ku Nagoya-sh, Aichi 02, JP)
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Claims:
深海に配置されて取水口から深層水を取り込む筒状の取水部と、海洋表層部又は陸上に配置されて放水口から深層水を吹き出す筒状の放出部と、海中に配置されて前記取水部と前記放出部とを連通する揚水管とを備え、
 前記揚水管中の深層水は、前記取水部に設けられた水車の回転エネルギー又は深層水自身の速度エネルギーを利用して前記放出部に向けて流れる深層水リフトアップ装置において、
 前記揚水管は、直径5~100メートルの等価円に等しい流路断面積をもつことをその特徴とする深層水リフトアップ装置。
請求項1記載の深層水リフトアップ装置において、
 前記揚水管は、織布又は樹脂を主素材とする柔軟なシートにより構成される長尺のシート管によって構成され、
 前記取水部は、前記取水口と前記揚水管の入口との間に配置されて前記揚水管の入口に向けて連続的に流路直角断面積が増加するディフユーザ部を有し、
 前記放出部は、前記放水口と前記揚水管の出口との間に配置されて前記放水口に向けて連続的に流路直角断面積が減少するノズル部を有し、
 前記揚水管の内圧は、前記揚水管の外圧よりも高く設定されている深層水リフトアップ装置。
請求項1記載の深層水リフトアップ装置において、
 前記揚水管は、幅方向に湾曲し長手方向にほぼ平坦な長い湾曲板を幅方向に複数枚結合してなる長筒からなり、前記湾曲板の幅方向両端部は、径方向外側に突出する放射リブを有し、隣合う2つの湾曲板の放射リブは互いに結合されている深層水リフトアップ装置。
請求項1記載の深層水リフトアップ装置において、
 前記取水部は前記支持索により海底に固定され、
 前記取水部は、海流下流側へ延在して海流から受ける力により取水口近傍の筒部の延在方向を海流の流入方向と平行に保持する姿勢保持部材をもつことを特徴とする深層水リフトアップ装置。
請求項1記載の深層水リフトアップ装置において、
 前記取水部は前記支持索により海底に固定され、
 前記取水部は、内部の深層水の方向変換による垂直方向の分力と前記取水部の自重との合計よりも大きい浮力をもつ深層水リフトアップ装置。
請求項1記載の深層水リフトアップ装置において、
 内部の深層水を含む前記揚水管の比重は1未満とされる深層水リフトアップ装置。
請求項1記載の深層水リフトアップ装置において、
 海流中に延在する前記揚水管の水平断面における海流方向の幅は、海流方向と直角方向の幅よりも長く形成され、海流方向両側部分は海流方向中央部分よりも海流方向と直角方向に短く形成されている深層水リフトアップ装置。
請求項1記載の深層水リフトアップ装置において、
 前記放出部と前記揚水管との間に位置して、長手方向へ所定距離だけスライド可能なスライド管継ぎ手と、曲げ可能な曲げ継ぎ手とを順次に有する深層水リフトアップ装置。
請求項1記載の深層水リフトアップ装置において、
 前記取水部に設けられて前記取水部に流入した深層水を付勢するドライブ水車と、前記ドライブ水車に隣接して配置されて海流により駆動されるドリブン水車とを有し、前記ドリブン水車の軸は、前記ドライブ水車の軸に機械的に結合されていることを特徴とする深層水リフトアップ装置。
請求項1記載の深層水リフトアップ装置において、
 前記放出部の出口を囲んで前記放出部に固定されて水平方向に延在する厚板状の深層水拡散プレートを有する深層水リフトアップ装置。
請求項1記載の深層水リフトアップ装置において、
 海中から海面上の所定高さまで立設されるタワーと、前記タワーの上端部に設置された動力を発生する風車と、海洋表層部に位置して前記タワーに浮力を与えるフロートと、前記タワーを水底に固定する支持索とを有し、前記放出部は前記タワーに固定される浮遊風車装置を有し、
 前記支持索は、前記浮遊風車装置の重心とそれよりも所定距離だけ上方に設定された前記浮遊風車装置の浮力中心との略中間位置に結合されている深層水リフトアップ装置。
請求項1記載の深層水リフトアップ装置において、
 海中から海面上の所定高さまで立設されるタワーと、前記タワーの上端部に設置されて動力を発生する風車と、海洋表層部に位置して前記タワーに浮力を与えるフロートと、前記タワーを水底に固定する支持索とを有し、前記放出部は前記タワーに固定される浮遊風車装置を有し、
 前記浮遊風車装置は、風速を検出する風速センサと、検出した風速が所定しきい値以上の場合に前記風車を所定回転位置で停止させる停止制御装置とを有し、
 前記風車は、回転軸から互いに逆方向に延在する2翼式水平軸風車とされ、
 前記停止制御装置は、前記2翼式水平軸風車の2枚のブレードが略水平となる位置にて前記風車を停止させることを特徴とする深層水リフトアップ装置。
請求項1記載の深層水リフトアップ装置において、
 海中から海面上の所定高さまで立設されるタワーと、前記タワーの上端部に設置されて動力を発生する風車と、海洋表層部に位置して前記タワーに浮力を与えるフロートと、前記タワーを水底に固定する支持索とを有し、前記放出部は前記タワーに固定される浮遊風車装置を有し、
 前記浮遊風車装置は、風速を検出する風速センサと、検出した風速が所定しきい値以上の場合に前記風車及びタワーを海中に沈没させる昇降装置を有することを特徴とする深層水リフトアップ装置。
Description:
海洋深層水リフトアップ装置

 本発明は、海洋深層水リフトアップ装置 関する。

 近年における大気中の二酸化炭素濃度の 大による海面上昇や気候変動が問題となっ おり、今後、過去の公害問題をはるかに上 る深刻な重要課題として広く認識されるよ になるであろう。現在においても、この問 の解決のために先進国や企業には厳しい二 化炭素排出量削減が求められている。しか 、地球的には人口増大や経済成長により地 レベルでは、二酸化炭素の排出量は減るど ろか一層増大している。たとえば、太陽光 合成量の増大は二酸化炭素濃度に対する有 な解決策であるが、現状では地球上の太陽 光合成量は熱帯雨林の伐採により減少しつ ある。

今後の太陽光光合成量の増大が可能な未利 用の地球表面としては砂漠と海洋表層部とが その候補となるが、砂漠は植物の光合成に必 要な淡水が欠乏している。海洋表層部の大部 分は栄養塩の欠乏によりその光合成量は非常 に小さい。海洋深層水リフトアップによる光 合成は、二酸化炭素の吸収の他に太陽光によ る海水加熱を減らす。また、低温の海洋深層 水は、大気を冷やして海洋に溶け込む二酸化 炭素量を増大させる。海洋にて増産された有 機物は食料又は燃料などとして利用可能であ り、熱帯雨林やとうもろこしなどの有用資源 の他の用途への使用を促進したり、化石燃料 資源の可採年数を延長する。従来より、種々 の海洋深層水リフトアップ装置が提案されて いる。これらの海洋深層水リフトアップ装置 は、深海に取水部を、海洋表層部に放出部を もち、これら両筒部を鉛直乃至斜めに延在す る揚水管により連結して構成されている。

下記の特許文献1は、両端部に補強孔をもつ 数の短尺円筒状シートを補強孔の位置にて 合するとともに、接合部にリンクを嵌めて 状部材で補強孔を貫通しながらリング状の ンクに固定した各円筒状シートを順次連結 てなる揚水管を備える深層水リフトアップ 置を記載している。下記の特許文献2は、揚 管の下端にポンプを設け、海洋表層部を径 な揚水管を通じて押し上げることを記載し いる。下記の特許文献3は、水平に延在する 入口円錐管及び出口円錐管と、両者の境界部 に出口が連なる円筒状スロート管とをもつ水 平ベンチュリ管をもち、海流を入口円錐管に 流入させて円筒状スロート管で深層水を吸い 上げる構造を提案している。

特許2715253号公報

特開平08-4657号公報

特開昭59-106239号公報

以下、本発明及びその各態様の内容を説明 する。ただし、後述する本発明の各態様は、 本発明により限定された形態以外の実施形態 においても、その特徴的な効果を奏するため 将来において独立的にあるいは従属的に発明 として理解されるべきであることを理解され たい。

(本発明の深層水リフトアップ装置の説明)
 深層水をリフトアップするには、深海(好適 には深度300メートル以上)から表層(深度0~40メ ートル)まで深層水をリフトアップするため 長い揚水管の設置と、この揚水管への揚水 ための動力エネルギーの供給が必要となる 深層水の単位体積当たりの栄養塩含有量の 対量は決して大きくない。したがって、地 環境改善のためには莫大な数の揚水装置の 置と運営とが必要となる。これは、揚水装 一基当たりのイニシャルコスト及びランニ グコストの大幅な低減が必須であることを 味する。また、動力としては自然エネルギ を利用する以外にないが、自然エネルギー 、地域的又は時間的に偏在しており、しか 低密度であるため回収コストが大きく回収 は小さいという欠点をもつ。

自然エネルギーの一つとしての海流や風力 を利用した深層水リフトアップ技術は数少な いながらも過去に提案されている。しかし、 海流速度は極めて小さいため、海洋土木技術 や水力発電技術分野の熟練当業者にとって、 海流による傾斜を考慮すると約1000メートル 想定される長い揚水管中でのエネルギー消 を克服して地球環境改善規模での深層水リ トアップを実現することは到底実施困難と われていた。これが、このような深層水リ トアップ装置がせいぜい養殖用などの小規 用途への実施を目的とするものに止まって た原因であった。

上記問題点に鑑みなされた本発明の基本的な 目的は、上記したような欠点をもつ深層水リ フトアップ装置を用いての深層水リフトアッ プを、養殖用途などの小規模用途を超えて大 規模かつ経済的に引き合う費用にて建設可能 とすることにある。
 この目的を解決するために、本発明は従来 同様に、深海に配置されて取水口から深層 を取り込む筒状の取水部と、海洋表層部又 陸上に配置されて放水口から深層水を吹き す筒状の放出部と、海中に配置されて前記 水部と前記放出部とを連通する揚水管とを え、前記揚水管中の深層水は、前記取水部 設けられた水車の回転エネルギー又は深層 自身の速度エネルギーを利用して前記放出 に向けて流れる深層水リフトアップ装置に 用される。

なお、本発明の深層水リフトアップ装置は 、深層水を海洋表層部にリフトアップする他 、陸上にリフトアップして発電所の冷却水な どとして用いても良い。この場合には、放出 部は波浪の影響を考慮して海洋表層部から陸 上に達する剛性管とされるべきであり、後述 するシート管は波浪の影響をほぼ無視できる 深さにのみ配置されることが好適である。

(大径の揚水管の採用)
 本発明は、上記深層水リフトアップ装置に いて、揚水管が、直径5~100メートル、更に 適には10~50メートルの等価円に等しい流路断 面積をもつことをその特徴としている。なお 、揚水管が柔軟性をもつ場合にはその流路直 角断面が真円形状をもつとは限らないため、 本発明では、面積が等しい真円の直径にて揚 水管の断面が定義されている。以下、本発明 について更に詳しく説明する。

上記課題を解決する優れた方法は、従来提 案されている深層水リフトアップ装置に比較 して格段に径が大きい揚水管を採用すること である。深層水リフトアップ流量は揚水管の 断面積s×速度vとの積となる。これに対して 流体のリフトアップには断面積×速度の3乗 比例する動力が必要であると従来考えられ きた。

しかしながら、深層水リフトアップは、深 層水の比重差を無視すれば厳密な意味での揚 水ではない。すなわち、深層水への位置エネ ルギーの追加は不要である。揚水管が非常に 長いために、必要動力のほとんどは揚水管中 で摩擦損失や渦損失として消費されてしまう 。重要な点は、層流状態において揚水管損失 のうちの摩擦損失は、径に反比例し速度の2 に比例することである。渦損失も速度の2乗 比例する。

 つまり、ある流量をリフトアップする深 水リフトアップ装置では、揚水管の断面積 5倍とすると速度が1/5となるために、摩擦損 失は125分の1、渦損失などの流体損失を含め も数十分の1となる。言い換えると、これは 揚水管の径を増大すればするほど、単位流 当たりの損失が加速度的に減少し、海流や 力といった小エネルギーを用いても大規模 深層水のリフトアップが可能であることを 味する。都合のよいことに、海流がもつ単 流量当たりの速度エネルギーは一定である これは、他のエネルギーとは異なり揚水管 断面積を増大したとしても深層水の速度エ ルギーが減少しないことを意味する。この とは、もしも従来想定されていた揚水管径 りも大幅に大径の揚水管を採用すれば、海 エネルギーや風力エネルギーといった現地 取得可能な小密度の自然エネルギーを用い も大量の深層水をリフトアップできること 意味する。

 そこで、本発明は、揚水管の直径を5~100 ートル以上、更に好適には10~70メートル、更 に好適には15メートル~50メートルとした点に の特徴がある。このようにすることにより めて、従来最大径として想定されていたた えば直径2メートルの揚水管と比べても、流 速を5分の1~50分の1とすることができ、それに 応じて上記説明のように揚水管の損失を大幅 に減らして小さい自然エネルギーにより大量 の深層水を海洋表層部に容易にリフトアップ することができる。つまり、従来の深層水リ フトアップ装置、特に海流型深層水リフトア ップ装置が抱えていた揚水量(深層水リフト ップ量)が小さいと言う問題は、従来認識さ ていなかった大径の揚水管を採用するとい 極めて簡単な手段により解決することがで る。

 なお、従来の深層水リフトアップ装置に いて、このような大径揚水管の利点が明確 認識されていなかった理由は、直径10メー ルと言うような大径の揚水管は大型でかつ 価であり経済的な建設は非現実的であると 誤解が無意識に存在したためではないかと えられる。

 しかし、深層水リフトアップ装置におい 重要な第1の点は、揚水管の内外の圧力差が ほとんど無いことである。これは、揚水管の 管厚は本質的に非常に小さくて良いことを意 味する。その第2の点は、海中では水の浮力 利用により、容易に大規模工作物の実質的 量を軽減することができる点である。たと ば、陸上では大規模構築物の各部特に下部 は大きな重量が掛かり、そのために大規模 なるほど各部の強度を大きく確保する必要 あり、単位体積当たりの建設コスト、材料 ストは規模増加に比例して増大してしまう 水中では、大規模構築物の各部に浮力が掛 るうえ、各部に軽比重部材たとえばフロー を分散配置することも容易であり、大規模 築物の重量問題はほとんど考慮する必要が い。その第3の点は、海洋の表層部を除く中 部や深海には地震や暴風雨などの陸上では 度上考慮が必要な問題が無いことである。 れらの点から、海中構築物に対する強度的 求は、たとえそれが非常に大規模であって 陸上に比べて格段に小さいことが理解され 。

 結局、本発明によれば、大規模ではある 簡単な設置費用で小さい深層水リフトアッ 装置を経済的に実現できるという優れた効 を奏することができる。

(シート管の採用)
 好適な態様において、揚水管は、布や樹脂 主素材とする軟質で筒状のシート管からな 。このようにすれば、上記した大径の揚水 を極めて安価に製造することができる。更 重要なことは、シート管は巻き取ったり畳 だりすることができるため、このような大 の揚水管であってもその輸送費用を大幅に 減できる点にある。

 柔軟なシート管を揚水管として用いるこ は特許文献1などにより公知となっている。 特許文献1はシート管をリング状のリンクで 強することを提案しているが、シート管の 壁の補強部位に局部的に応力が集中してシ ト管の疲労破損が問題となる。また、特許 献2は、揚水管の下端にポンプを設け、ポン から出た高速の深層水を揚水管に押し込む 、ポンプから吐出される高速の深層水は、 水管の長手方向へはその動圧(速度エネルギ ー)により強く押し込まれるが、揚水管の静 は深層水の速度に応じて減少するため、揚 管が軟弱なシート管の場合には、シート管 の振動や変形によりシート管の疲労破損、 路直角断面積の減少による流体抵抗の増大 より、深層水の速度エネルギーは揚水管内 急速に減衰し、これに打ち克つためポンプ 大きな動力を消費する。乏しい自然エネル ーを利用して発生させた貴重な動力をこの うに非効率に消費することは自然エネルギ による発電装置の高コスト化を招き、実用 が低下してしまう。

 すなわち、筒状シートからなるシート管 安価に製造輸送できるが軟弱であるため、 水や外部海流の速度変化や局部的な摩擦抵 による速度変化に起因する内外圧力差の変 により容易に変形する。このシート管の変 は、揚水流量の低下や揚水速度の一層の変 とそれによる圧力の周期的変化を招き、疲 破損が生じる。

 この問題を解決する好適な態様では、揚 管は、布や樹脂を主素材とする軟質で筒状 シート管からなり、取水部は、取水口と揚 管の入口との間に配置されて揚水管の入口 向けて連続的に流路直角断面積が増加する ィフユーザ部を有し、放出部は、放水口と 水管の出口との間に配置されて放水口に向 て連続的に流路直角断面積が減少するノズ 部を有し、揚水管の内圧は、揚水管の外圧 りも高く設定される。このようにすれば、 軟なシート管を機械的に補強する必要、更 言えばその管径を安定に保持する必要が実 的に無いため、コストの大幅な削減が可能 なる。以下、更に詳しく説明する。

 揚水管内の深層水は、進行方向へ静圧+動 圧とをもち、深層水の進行方向と反対方向へ 静圧-動圧をもち、その他の方向に静圧をも 。 ディフユーザ部は、揚水管に流入する深 層水の運動エネルギーを圧力エネルギーに効 率良く変換する。これにより、揚水管内部の 静圧を揚水管の外圧よりも高くすることがで きるため、布又は樹脂を主素材とするシート により構成される柔軟かつ長いシート管によ り揚水管を作製したとしても、シート管の全 面にわたって一定の張力を正確に与えること ができる。これにより、シート管の耐変形性 が強化されるので、揚水管内の深層水の速度 変動や管外の海流の速度変化などにより、シ ート管の内圧が変動してシート管壁が疲労に より破損するのを良好に抑止することができ る。なお、深海でのシート管の繰り返し変形 の大きな要因が、シート管内の深層水の局部 的速度変動に起因することを考えると、ディ フユーザ部による速度低下によりシート管の 繰り返し変形自体が小さくなり、ディフユー ザ部設置によるシート管耐久性向上効果は更 に向上する。併せてシート管中の流水速度の 低下と径の増加によりシート管内での摩擦損 失や渦損失が大幅に低下して深層水リフトア ップ量の増大も同時に実行することができる 。

 更に説明すると、揚水管内部の静圧(以下 、単に内圧とも言う)が外圧以下であると、 水管の局部的な突起などによる局部的な圧 変化に起因してシート管壁が振動する。つ り、シート管壁の局部的形状により水流速 が変化すると局部的圧力変動が生じ、特に の流路直角断面積縮小方向の変化は、揚水 内の水流速度の増大を招いてシート管の内 を低下させ、それにより水流速度を更に変 させ、これがシート管壁の振動に発展する  

 この態様では、シート管壁に一定の張力 付与されるため、このようにシート管壁の 動を良好に抑制することができ、シート管 が疲労破損するのを良好に防止することが きる。また、上記したシート管の流路直角 面積の減少は、揚水流量の減少も招く。上 理由により、製造費用、遠距離輸送費用が さく及び組み立てが容易なシート管にて大 の揚水管を耐久性良く実現することができ その結果として揚水エネルギーの消耗を防 つつ大量の深層水のリフトアップを安価に 現することができる。

 ノズル部は、揚水管から流出する深層水 圧力エネルギーを運動エネルギーに効率良 変換する。これにより、シート管から海面 傍に吹き出される深層水の速度を再び増加 せて流量を増大でき、上記圧力エネルギー 無駄な損失を防止することができる。

 更に説明すると、放出部にノズル部を設 ない場合、効率良く放出口から放出される 層水に効率よく運動エネルギー(動圧)を与 ることができない。たとえば、放出部の管 が揚水管のそれと同じである場合には、上 したディフユーザ部により得られた揚水管 静圧は揚水管から放水口に至る経路で低効 で動圧に変換されてしまい、揚水管の深層 は放出部で動圧により外部の海流中に放出 れる。この時、放水口直後の海流と放出水 との衝突の影響などにより流体の乱れが生 、この乱れがシート管の上端部に波及する ノズル部が無いため、シート管の上端部の 圧は十分に確保されておらず、シート管壁 周期変動が大きくなってしまう。その他、 ート管の上端部は海洋表層部にあるため、 浪力の影響により振動しやすい。これに対 て、本発明は揚水管の圧力エネルギーを連 的に運動エネルギーに変換するノズル部を つため、シート管の上端部に静圧を与え、 ート管壁に張力を与えることができるため 上記問題点を良好に改善することができる 更に、ノズル部は、ディフユーザにより昇 された圧力エネルギーをノズルにより速度 ネルギーに効率良く変換して海面に向けて き出すので、増速した深層水を上方へ吹き すことができる。このことは、放出部を海 より所定深さに設けても深層水を海面近く で到達させることができることを意味する 放出部を海面又はその近くに配置すると、 浪エネルギーによるその損傷や劣化を考慮 なかればならないが、深層水を上方(斜め上 でもよい)へ効率よく吹き出すノズル部の設 置によりその分だけ放出部を深く設置できる ため、この問題を軽減することができる。な お、放出部は、直管形状でもよく、互いに異 なる複数の方向へ分岐する複数の分岐管でも よく、海流下流側へ曲げてもよい。なお、海 面表層の海流の吸い込み効果(エゼクタ効果) 利用しても良い。

(シート管の他の態様)
 好適な態様において、上記シート管の幅方 一端部にて長手方向へ延在する支持索を有 、シート管は、前記支持索を囲んで接合さ ている。このようにすれば、シート管は支 索の全長にわたって力を授受することがで るため、支持索がシート管を海流上流側に っ張る力がシート管に局部的に集中してシ ト管の耐久性が低下するのを抑止すること できる。

 好適な態様において、上記シート管は、 ール状に巻かれた一定幅の長尺シートを螺 状に接合して構成される。このようにすれ 、長尺のシートにより大径のシート管を簡 に形成することができる。

 好適な態様において、上記シート管は、 手方向に互いに隣接して螺旋状に延在する2 つのターン部の間の接合部が略水平となるよ うに海流中に斜めに配置されている。このよ うにすれば、上記接合部が略水平に延在する ため、海流抗力に対して好都合となり、シー ト管への局部的応力集中を低減することがで きる。なお、各ターン部はある一定幅だけ重 ねて接合されることができる。この場合、上 方へ向けて次第に径が増大する向きに巻く方 がよい。

 好適な態様において、上記ディフユーザ は、海流下流側に延在しつつ次第に上方へ 続的に湾曲して揚水管に達して内部の深層 の進行方向を変更する形状を有する。この 様の効果を以下に説明する。海流を用いる 合、取水口に水平に流入する深層水を斜め 方へ方向変換する必要がある。このように れば、ディフユーザ部と深層水方向を変更 る方向変換部とを一体化させるため、取水 を小型化することができ、その流体損失を 減することができる。なお、ディフユーザ の下流側へ単位距離当たりの流路直角断面 の増加はできるだけ小さい方が渦損失を減 して圧力変換効率を向上することができる また、上記方向変換において、下流側への 位距離当たりの方向変換量をできるだけ減 して緩やかに湾曲させるほど、方向変換に う流体乱れによる流体抵抗の増大を抑止す ことができる。この態様によれば、これら 同時に実施するため、取水部をコンパクト しつつ圧力変換と方向変換とを効率よく実 することができる。

(硬質組み立て管の採用)
 好適な態様において、前記揚水管は、幅方 に湾曲し長手方向にほぼ平坦な長い湾曲板 幅方向に複数枚結合してなる長筒からなり 前記湾曲板の幅方向両端部は、径方向外側 突出する放射リブを有し、隣合う2つの湾曲 板の放射リブは互いに結合されている。なお 、上記で言う湾曲板は、組み合わせて長筒と なるのであれば、円弧状に湾曲していなくて も可能であることは明白である。

 以下、この態様について説明する。FRPな からなる硬質管は、既述したシート管に比 て剛性に富むため、圧力変動の繰り返しに する耐疲労性に富む。しかし、本発明のよ な大径の硬質管は嵩張るため、船舶に多数 載することができず、輸送費用が増大する いう問題がある。コンパクトな輸送を行う めの良い方法は、硬質管を径方向に切断し 部分円筒体とし、複数の部分円筒体を組み わせ、各部分円筒体の幅方向両端部(硬質管 の周方向の両端部)をたとえばボルトなどで 結して一本の硬質管とすることである。し し、組み合わせられて硬質管を構成する各 分円筒体の幅方向両端部の締結部近傍には 水管内圧変動などにより応力変動が集中し 破損しやすいという問題がある。この態様 上記問題の解決のためになされたものであ 、次の構成をもつ。

 すなわち、この態様の揚水管は、略円弧 の断面をもつ部分円筒体を組み合わせてな 、隣り合う2つの前記部分円筒体の隣り合う 幅方向端部同士は径方向外側に突出するとと もに互いに結合される放射リブをそれぞれも つ。このようにすれば、各部分円筒体の幅方 向両端部に径方向(揚水管の断面中心から見 )外側に突出する放射リブをもつため、揚水 全体の剛性を強化できるとともに、応力が 中する部分円筒体の幅方向両端部の機械的 度を強化することができ、揚水管の管壁の 均厚さの増加を抑止しつつ揚水管の機械的 度を向上することができる。

(硬質管の他の態様)
 好適な態様において、2枚の湾曲板を向かい 合わせて接合することにより揚水管が毛永逝 され、各湾曲板の両端の放射リブは、海流上 流側と海流下流側に突出する。このようにす れば、放射リブにおける海流抵抗を低減する ことができる。

 好適な態様において、前記湾曲板は、上 する深層水に接する内壁部と、前記内壁部 外側に位置して外部の海水に接する外壁部 、前記内壁部及び前記外壁部とを繋ぐ隔壁 と、前記内壁部、外壁部及び隔壁部に区画 成された中空部とを有し、前記中空部には が充填されている。このようにすれば、揚 管の管壁の平均厚さの増加を抑止しつつ揚 管の機械的強度を更に一層向上することが きる。特に揚水管に掛かる応力変動に対し 中空部の内部の水は一種の慣性抵抗発生機 と圧力分散機能とをもつため、材料費の増 を防止しつつ揚水管の剛性を強化すること できる。なお、内壁部又は外壁部に中空部 連通する小孔を設けてもよい。

 好適な態様において、上記湾曲板の組み わせにより構成された揚水管の内圧すなわ 静圧は外圧よりも小さくされる。これによ 、湾曲板の幅方向両端部には幅方向(揚水管 の周方向)に圧縮応力が発生するため、隣り う部分円筒体同士が緊密に結合し、湾曲板 ばらけることを良好に防止することができ 。

 好適な態様において、取水部にはノズル が設けられるか又は回転翼が設けられ、放 部にはディフユーザ部が設けられる。この うにすれば、取水部のノズル又は回転翼に り深層水に与えられた速度エネルギーを放 部(揚水管の上端部でもよい)にて圧力エネ ギーとして効率良く回収することができ、 ネルギー損失を減らしつつ、揚水管の内圧 なわち静圧を外圧よりも低下させることが きる。なお、揚水管における内圧低下量は かでよく、この内圧低下による揚水管内で 摩擦損失や渦(流体)損失の増加は抑止するこ とができ、ディフユーザ部における境界層剥 離などによる圧力損失も小さくすることがで きる。

 海流エネルギーを用いて揚水する場合の 種態様が以下に説明される。なお、これら 態様は、上記各態様の従属態様としてのみ らず、上記各態様とは独立する発明として 握され得ることに留意されたい。

(取水部の姿勢保持部材)
 海流の速度エネルギーを用いた深層水リフ アップ技術の重要事項は、単位流量当たり 海流の速度エネルギーが小さいため、その 失を減らす必要がある。取水部の取水口近 の筒部が海流方向と略平行になっていない 、取水口近傍にて大きな渦損失が発生し、 流エネルギーが大きく減衰してしまう。つ り、海流エネルギーを利用して深層水をリ トアップする場合、取水口近傍の筒部の延 方向は、深層水のリフトアップ量及びシー 管の静圧確保に非常に重要な役割をもつ。 水部を海底に剛性部材により固定すること 可能であるが、海流方向が変化すると、取 口にて渦が発生して大きな損失が生じてし う。支持索などで取水部を姿勢自在に海底 定する場合、取水部が海流などにより動き すくなり、取水部の取水口近傍の筒部の延 方向を海流方向と一致させることが難しい 一致が取れないと、取水部の取水口で大き 渦電流損失が発生してしまう。海流の方向 しばしば変動することは知られている。異 る方向に延在する多数の支持索で取水部を 底に固定すれば、取水部の姿勢を安定させ れるが、設置、維持コストが増大する。

 この問題を解決するこの態様では、上部 揚水管に深層水を導入する取水部は支持索 より海底に固定され、取水部は、海流下流 へ延在して海流から受ける力により取水口 傍の筒部の延在方向を海流の流入方向と平 に保持する姿勢保持部材をもつ。このよう すると、海流が姿勢保持部材に接触してそ 延在方向を海流方向に保つ。これにより、 水部の取水口は常に海流に対向して開口す ことになる。この態様では、取水部の取水 近傍の筒部の延在方向と海流方向とを、海 により低コストで安定に一致させることが き、深層水リフトアップ量を向上すること できる。

 好適な態様において、姿勢保持部材は、 流の下流側へ向けて先細状に延在する形状 有する。このようにすれば、取水部の下流 に回り込む海流の乱れを低減することがで るため、取水部の流体抵抗を減らすことが きるため、揚水管の傾斜を減らして揚水管 長さを低減することができ、揚水管の損失 低減することができる。

(取水部のフロート)
 取水部を海底に係留する支持索又は取水部 連結される揚水管は長い部材であり、その ストダウンが重要である。この問題を解決 るこの態様は、次の構成をもつ。

 取水部は、支持索を通じて海底に固定さ 、取水部には等価的な自重より大きい浮力 与えられる。このようにすれば、取水部が 水管に張力を与えるのを防止することがで 、揚水管の耐久性を向上し、製造費用を低 することができる。この態様の作用効果を 下に説明する。

 取水部は、水平方向前方から取り込んだ 流を上方へ大角度でその進行方向を変換さ るため、斜め後方への大きな反力を受けて 降しようとする。この反力は上記等価的な 重に含まれるものとする。すなわち、この 力と取水部の重量とが揚水管に下方への大 な引っ張り応力を与える。この引っ張り応 は本発明のように大流量の揚水を行う場合 は大きくなり、揚水管の費用を増大させ、 命を低下させる。この態様では、取水部は の自重(空気中)よりも大きな浮力をもつた 揚水管を下方に引っ張ることがなく、取水 と上方のフロートを繋ぐ支持索を設ける必 もない。

 好適な態様において、取水部の浮力から 記した等価的な自重を差し引いた等価的な 力が、外部の海流に対する取水部の抗力と 部の深層水の方向変更による反力の水平成 との合計の0.5~2倍に設定される。このよう すれば、取水部と海底のシンカーとを結ぶ 持索を水平方向に対して大角度で延在させ ことができるため、支持索の長さを短縮す ことができる。

 好適な態様において、取水部は、海流方 に長く延在する筒状フロートをもつ。この うにすれば、筒状フロートに生じる海流抗 が取水部の抗力として追加されるのを抑止 ることができる。

 好適な態様において、この筒状フロート 、既述した姿勢制御板を兼ねる。これによ 、取水部の構造を簡素化することができる

(支持索の構造)
 好適な態様において、支持索は、たとえばF RPなどにより成形された耐海水性をもち比重 軽い樹脂長板を鎖状に連結して構成される 長板の長さはたとえば10メートルとするこ ができる。このようにすれば、支持索のコ トダウンと耐久性向上とを実現することが きる。

(揚水管の比重)
 好適な態様において、内部の深層水を含む 水管の比重は1未満とされる。これにより、 放出部又は海面の浮体により揚水管を吊り下 げる必要がないため、内部の深層水を含む揚 水管の重量は揚水管各部の浮力により分散し て担持されることができる。その結果、揚水 管各部への局部的な応力集中や揚水管の上端 部に掛かる引っ張り力を減らすことができる 。なお、揚水管の内部の深層水は、摩擦力に より揚水管を上方へ持ち上げる作用をもつの で、この力も一種の浮力として考えることが できる。つまり、揚水管の総合比重が1より 大きいと、揚水管全体が放出部に吊り下げ れる状態となるため、揚水管の上端部に作 する引張り力は相当に大きくなり、これに するため揚水管の上端部の耐張力増大する め揚水管のコストが増大してしまう。

 特に、揚水管を海流中に配置する場合に 、海流が揚水管を寝かそうとし、揚水管の さが長くなってしまい、その流体損失が増 する。この問題は、揚水管に働く浮力を大 くすることにより改善される。この浮力は この海流抗力に抵抗して取水部を回動中心 して揚水管を立てる向き付勢するため、揚 管の全長を短縮し、揚水管の流体損失を減 すことができるという効果も得ることがで る。したがって、海流中では、海流に対し 揚水管が発生する抗力の0.5~2倍の浮力を揚 管がもつことが好ましい。もし揚水管の浮 がこれ以下である場合には、上部のフロー と海底のシンカーとの間を結ぶ支持索に揚 管各部を連結して揚水管を立てることが好 しい。

(揚水管の断面扁平化)
 海流中に配置される大径の揚水管には大き 海流抗力が発生し、揚水管の上端部は下流 に流されてしまい、揚水管の全長が増大し その流体損失が増大する。揚水管の長手方 各部を支持索により支持し、放出部に大き 浮力のフロートを設ければ、この問題は解 できる。しかし、揚水管の支持索結合部に 大きな応力集中が生じてしまう。

 この問題を改善する本発明の揚水管の断 は、海流方向の幅よりも海流直角方向の幅 狭くなる形状を有している。このようにす ば、長い揚水管の海流抵抗を減らせるため 揚水管の全長を減らすことができ、内部の 層水の流体損失を低減してリフトアップ流 を増大し、揚水管費用を低減することがで る。

 揚水管が硬質管である場合には海流中の 水管の流路直角断面は魚形断面又は楕円断 とされる。揚水管がシート管である場合に シート管内の流路直角断面は、複数の隔壁 シートにより区画されてシート管の流路直 断面が扁平化される。

(放出部の継ぎ手構造)
 放出部は海洋の表層部に配置されるため、 とえば暴風雨時に波浪により大きな力を受 る。放出部をFRPやそれを繊維強化コンクリ トで被覆した構造などにより耐波浪性を向 することは可能である。しかし、その結果 放出部に連結された揚水管には放出部から 下方向と水平方向に繰り返し応力が加えら る。揚水管特に上記したシート管に放出部 同程度の剛性を与えることはコスト的に非 実的である。この問題は、放出部と揚水管 の間に次に説明する継ぎ手構造を設けるこ により改善される。すなわち、この態様で 、放出部と揚水管との間にスライド管継ぎ 構造と曲げ継ぎ手構造とを設ける。

 スライド管継ぎ手構造は、揚水管の上端 に固定される硬質の第1の直管部と、放出部 に固定されて第1の直管部に相対的にスライ 可能に嵌合する硬質の第2の直管部と、第2の 直管部のスライド量を所定距離範囲に規制す るストッパとを有する。曲げ継ぎ手構造は、 上記スライド管継ぎ手構造の上方又は下方に 弾性に曲がるゴム管又はフレキシブルチュー ブからなる。ゴム管には繊維をリング状に配 置して径方向の剛性を強化してもよい。この 態様によれば、波浪により放出筒部が上下方 向及び水平方向に繰り返し移動しても、上記 2つの継ぎ手構造がそれを吸収するためシー 管のごとき揚水管の上端部に繰り返し張力 曲げ力が生じるのを防止でき、揚水管の疲 耐久性を更に向上することができる。

 好適な態様において、上記スライド継ぎ を更に利用して放出部だけを必要に応じて 降させる。これは放出部に昇降装置を設け ことにより実現できる。これにより、暴風 時や船舶接近検出時に放出部だけを沈降さ ることができる。昇降装置は、好適にはタ クと排出ポンプと開閉弁とをもち、上昇時 はタンク内の海水を外部に排出し、沈降時 は開閉弁を開いて外部の海水をタンクに取 入れる。この態様によれば、放出部だけを 降させ、長く疲労耐久性に劣る上記シート などの揚水管の昇降を行わないため、昇降 要する電力を低減でき、昇降速度を増大で 、シート管の寿命も向上することができる なお、船舶接近の検出は、周知の超音波水 レーダー技術の他、プロペラ音の三角測量 よっても行うことができる。排出ポンプへ 給電は、公知の自然エネルギー利用型発電 置を用いて行うのが好適であるが、必要電 が小さいことは、大電力の確保が容易では い自然エネルギー利用型発電装置にとって に好適である。

(海流駆動水車)
 海流を利用する深層水リフトアップ装置は 構成が簡単ではあるが、海流速度が小さい 上記した大径の揚水管は、海流中では大き 水平抗力を生じるために海流により寝かさ 、その結果、揚水管は1000メートル以上とい った長さになり、その流体損失が増大し、深 層水リフトアップ流量が減少する。この問題 を解決するこの態様は、取水部に設けられて 取水部に流入した深層水を付勢するドライブ 水車と、ドライブ水車に隣接して配置されて 海流により駆動されるドリブン水車とを有し 、ドリブン水車の軸は、ドライブ水車の軸に 機械的に結合されている点に特徴をもつ。こ のようにすれば、構造及び保守が簡単な構造 を追加するだけで、深層水のリフトアップ量 を大幅に増大することができる。そのうえ、 深層水の増幅された速度エネルギーを圧力エ ネルギーに変換することにより、柔軟で安価 なシート管に十分な正圧を与えることもでき 、シート管の耐久性も向上することができる 。

 両水車は、回転軸が平行に配置された2つ のプロペラ水車とすることができる。この2 のプロペラ水車の回転軸は、2つの直交歯車 構によりあるいはベルトやチエーンなどの 行軸間動力伝達機構により容易に動力授受 能に連結することができる。その他、両水 は、海流方向と直角に回転軸が配置された が直結された2つの縦型水車(回転軸が海流 向と直角配置される水車)により構成される とができる。

(深層水拡散プレート)
 放出部から放出された深層水は、塩分濃度 薄いものの低温であるため比重が重く、再 沈降するという問題をもつことが知られて る。この問題を改善するために、従来では 層水とは別にポンプで表層水を汲み上げ深 水に混ぜて放出していた。このような方法 、本発明が目的とする大規模深層水リフト ップでは自然エネルギー利用の電力を大量 浪費してしまい、非現実的となる。この問 を改善するこの態様は、深海の取水部と表 部の放出部とそれらを連通する揚水管とを つ深層水リフトアップ装置において、前記 出部の出口を囲んで前記放出部に固定され 水平方向に延在する厚板状の深層水拡散プ ートを有する。

 深層水拡散プレートの平面形状は輪板形 が好適であるが多角形板形状や楕円板形状 ど種々の形状でもよい。深層水拡散プレー の直径としては、100メートル以上が好適で る。このようにすれば、放出部の出口から た深層水は深層水拡散プレートの上を水平 向に低速で拡散しつつ太陽熱や空気や下部 表層水により暖められて軽比重となり、周 に拡散することができ、深層水拡散プレー の外周から出る深層水が再度沈降すること 良好に抑止することができる。

 好適な態様において、この深層水拡散プ ートは、海流存在環境において、放出部よ 海流下流側に略水平に延在する。これによ 、深層水拡散プレートの大型化を抑止しつ 海流存在下でも良好に深層水の表面拡散が 能となる。

 好適な態様において、深層水拡散プレー の比重は周囲の表層水の比重とほぼ同程度 される。これにより、深層水拡散プレート 、表層水に対する上方の深層水の相対重さ 差により小さな沈降力を受ける。この沈降 は、海面に浮かぶ多数の浮上フロートを深 水拡散プレートの各部に連結することによ 容易に分散することができる。

 好適な態様において、深層水拡散プレー は、ゴム又は布又は樹脂、更に好適には繊 強化された耐候性ゴムにより製造された軟 のシートと、このシートにプレート形状を える曲げ方向に柔軟性をもつ骨部とからな 。このようにすれば、素材使用量を低減し つ大面積の深層水拡散プレートを実現する とができる。

 好適な態様において、深層水拡散プレー は上下に水の連通を許容する多孔性のシー をもつ。このシートに平面的形状を与える 部を設けても良い。このようにすれば、深 水とその下の表層水との比重差や両者の速 差によるエゼクタ効果により深層水と表層 との混合を少ないエネルギー消費で実現で 、素材使用量も低減することができる。シ トの孔の直径および孔密度は適宜選択可能 事項であるが、数センチメートルといった 較的大きな孔を設けても、深層水は十分水 方向に拡散することができる。

 好適な態様において、骨部は水を封入す 軟質のパイプとされる。パイプは繊維強化 れた耐候性ゴム又は耐候性樹脂とすること できる。ただし、破損対策としてこのパイ は各所で分離されて互いに独立して水を収 することが好適である。このようにすれば 材料を低減しつつかつ波浪に応答して変形 容易な深層水拡散プレートを実現すること できる。深層水拡散プレートを波浪や船舶 近に応じて昇降させてもよい。

 好適な態様において、深層水拡散プレー は放出部に水平回動可能に嵌合している。 のようにすれば、深層水拡散プレートに対 る海流力により深層水拡散プレートが水平 動しても、放出部がねじれることがない。 お、放出部と揚水管とが既述のスライド継 手などにより相対回動可能な場合には、深 水拡散プレートを放出部に水平回動不能に 合してもよい。

 好適な態様において、深層水拡散プレー は、放出部に浮力を与えるフロートを兼ね ことができる。このようにすれば、深層水 散プレートとフロートとを一体化させるこ ができるため、構造が簡単となる。

(浮遊風車装置の揺動防止構造)
 海流を利用する深層水リフトアップ装置は 構成が簡単ではあるが、海流速度が小さい め、揚水管を大径化してもこの海流エネル ーにより1000メートルといった長い揚水管を 通じてリフトアップできる深層水のリフトア ップ量には限界があった。揚水管に取り込ま れた深層水の速度エネルギーは揚水管内にて 次第に失われて海面近傍に吹き出す深層水の 速度は非常に小さくなってしまう。このため 、従来の海流型深層水リフトアップ装置は、 建設費用に見合う揚水量を期待できないとい う問題点があった。これに対して公知の浮遊 風車装置を利用して深層水リフトアップのた めのエネルギーを発生する場合、海流が存在 しない海域での深層水リフトアップを実現す る。深層水リフトアップ装置では、海底固定 の風車装置は建設コストが高くなり、建設地 域が限定される。風車の発生動力は、電力、 回転力、流体圧力として揚水管の水車側に転 送される。浮遊風車装置は、揚水管の上端部 に一体に設けても良く、深層水リフトアップ 装置から離れて設けて発電電力をケーブルで 伝送してもよいことは明らかである。

 従来の浮遊風車装置は、海洋表層部に配 されたフロートの浮力により支持されるタ ーと、このタワーの上端部に設けられ得た ロペラ風車と有し、フロートは支持索によ 海底に係留される。タワーの安定性を考え ば、風車装置の重心をその浮力中心よりも に配置することは当然である。しかしなが 、このような浮遊風車型深層水リフトアッ 装置では、タワーが波浪や風により容易に 斜したり、揺動したりする。この傾斜や揺 を防止するため、フロート各部を多数の支 索により海底各所に固定すればフロートの 斜を減らせるが、深海であることを考える 、それは非現実的である。海上の風速が陸 のそれよりも大きいこと、及び、波浪によ フロートの揺動がタワーを揺動させること より、たとえば暴風時において極めて深刻 問題となる。

 従来の浮遊式風車型深層水リフトアップ 置におけるタワー揺動防止は、タワーに固 されるとともに海面に存在するフロート(以 下、海面フロートとも言う)の姿勢復元力を 用している。タワーが傾斜すると、海面フ ートも傾斜し、海面フロートの傾斜側の部 は深く沈んでその浮力が大きくなり、海面 ロートの反傾斜側の部分は海面から浮き上 ってその浮力が小さくなる。この浮力差が ワーに回復向きへの回転モーメントを与え 。しかしながら、海面フロートを用いたこ 回復モーメント発生技術は、海面フロート 掛かる大波浪がフロートに回転モーメント 与えるという新しい問題を派生させる。つ り、波浪により、海面フロートには波浪進 方向両端において浮力差が生じてこの回転 ーメントが発生する。結局、波浪の周期的 化によりタワーの周期的な揺動が生じる。 ワーの周期的揺動は、風車のブレードの揚 及び抗力の周期変動をもたらしてブレード 周期変形を生じさせ、その結果としてブレ ドの疲労破損を生じさせる。また、ブレー の傾斜や揺動によりブレード先端が波浪の 高点に衝突する危険も発生する。この問題 、浮遊式風車型深層水リフトアップ装置だ でなく、近い将来実現されるであろう同様 浮遊式風車発電装置においても大きな問題 なる。

 この態様は、この浮遊式風車型深層水リ トアップ装置や浮遊式風車発電装置の波浪 強風に対する安全性を格段に向上すること その課題としている。

 この課題を達成するために、この態様は 海中から海面上の所定高さまで立設される ワーと、前記タワーの上端部に設置された 揚水動力を発生する風車と、海洋表層部に 置して前記タワーに浮力を与えるフロート 、前記タワーを水底に固定する支持索とを し、前記放出部は前記タワーに固定される 遊型風車型深層水リフトアップ装置に適用 れる。この態様では特に、フロートを水面 に保持しつつこの浮遊式風車装置の浮力が 置の重力よりも大きく設定なるようにフロ トの浮力を設定し、かつ、装置の重力中心 装置の浮力中心より所定距離だけ下方に設 し、かつ、支持索を重力中心と前記浮力中 との間にて装置に連結することをその特徴 している。なお、この態様の浮遊式風車装 は、深層水リフトアップ装置以外の負荷へ 電力供給も可能である。このようにすれば 風車を正規の姿勢に安定させようとする向 の回転モーメントを増強することができる め、タワーの周期的揺動や傾斜を低減して 疲労によるあるいは波浪への接触による風 のブレードの破損を防止可能な浮遊式風車 置を実現することができる。また、海面に 出する海面フロートを全廃乃至大幅に減少 せることができるため、この海面フロート 波浪により揺動することによるタワーの揺 を大幅に低減することができる。

 更に説明すると、上方の浮力中心と下方 重心との間の中間位置にてタワーに支持索 固定し、この支持索を海底に固定すると、 ワーの揺動により重心に作用する回転モー ントと浮力中心に作用する回転モーメント それぞれ傾斜回復側に作用するため、大き 回復復元力を得ることができる。これに対 て、タワーの下端を支持索に固定すると、 記二つの回転モーメントの差だけしか傾斜 復に利用できないため、タワーの傾斜が大 くかつ回復が遅くなる。なお、タワーが揚 管に囲包されかつ一体に固定されている場 には、揚水管に支持索を設けてもよい。

 好適な態様において、前記フロートより 所定距離だけ深い位置にてタワーにウエイ が固定される。これにより、装置の重心を 好に低下させて上記回復モーメントを一層 大することができる。

 好適な態様において、フロートの大部分 、水面下3メートル以下に配置される。この ようにすれば、フロートに対する波浪の影響 を大幅に低減することができる。これは、上 記態様が、タワーの傾斜回復モーメントとし て海面フロートの浮力偏在効果を利用しない ことにより可能となるものである。

 好適な態様において、タワーの下端部に ワーの揺動に対する水抵抗を増大するため 抵抗プレートが取り付けられる。このよう すれば、支持索の位置を揺動中心としたタ ーの揺動は、この抵抗プレートの大きな流 抵抗(渦形成作用)により良好に抑止される なお、支持索をタワーの下端に設ける場合 このような抵抗プレートをタワーの下端に けてもタワー揺動防止効果は得られないた 、抵抗プレートを海面近傍に設ける必要が る。しかし、この場合、波浪が抵抗プレー を破損させるという問題が新たに生じてし う。なお、タワーが揚水管に囲包されかつ 体に固定されている場合には、揚水管に抵 プレートを設けても良い。

(浮遊風車装置のブレード破損防止構造)
 上記説明したように、浮遊風車装置におけ 強風や波浪によるタワーの傾斜や揺動は、 車のブレードの破損問題を発生させる。こ 問題は、暴風雨時に波浪の最高点が非常に くなることにより、一層危険となる。また ブレードが波浪に直接接触しなくても、海 飛沫は海面近くほど多いため、タワーの傾 や揺動によりブレードが海水飛沫に衝突し 損傷する。

 この問題を解決するために、この態様は 海中から海面上の所定高さまで立設される ワーと、前記タワーの上端部に設置されて 力を発生する風車と、海洋表層部に位置し 前記タワーに浮力を与えるフロートと、前 タワーを水底に固定する支持索とを有し、 記放出部は前記タワーに固定される浮遊風 装置において、風速を検出する風速センサ 、検出した風速が所定しきい値以上の場合 前記風車を所定回転位置で停止させる停止 御装置とを有し、前記風車は、回転軸から いに逆方向に延在する2翼式水平軸風車とさ れ、前記停止制御装置は、前記2翼式水平軸 車の2つの翼が略水平となる位置にて前記風 を停止させることを特徴としている。上記 言う略水平とは水平線を基準として30度以 更に好適には15度以内を言うものとする。

 このようにすれば、強風大波浪下でフロ トが大きく揺れてポールが傾いても、ブレ ドの先端が高波の上端に接触するのを良好 防止することができるので、暴風雨に対す 浮遊式風車装置の安全性を向上することが きる。なお、この発明は浮遊風車式発電装 にも適用でき、この浮遊風車式発電装置の 電電力は、深層水リフトアップ装置以外の 荷への電力供給も可能である。また、この 様は、固定式風車発電装置にも適用するこ ができる。

 好適な態様において、検出した風速が所 しきい値以上の場合に風車の回転軸を風向 と略直角方向に変更する風車回動装置すな ちヨー制御装置を有する。このようにすれ 、風車のブレードに作用する力を大幅に低 することができるので、それによるブレー の変形疲労を低減することができる。

(浮遊風車装置の沈降構造)
 浮遊式風車装置における強風や波浪による ワーの傾斜や揺動による風車のブレード破 問題について上記に説明した。すなわち、 風雨時には、風力と波浪とによるフロート 揺動によりタワーに固定されたブレード先 が低下し、波浪の最高点に接触して破損す という問題を生じる。また、波浪に接触し くても、海水飛沫は海面近くほど多いため 海水飛沫がブレードに衝突してそれを損傷 せる。また、ブレード回転面の揺動は、ブ ードの揚力、抗力を大きく変動させるため ブレードが振動して破損してしまう。

 この問題を解決するために、この態様は 海中から海面上の所定高さまで立設される ワーと、前記タワーの上端部に設置された 動力を発生する風車と、海洋表層部に位置 て前記タワーに浮力を与えるフロートと、 記タワーを水底に固定する支持索とを有し 前記放出部は前記タワーに固定される浮遊 車型深層水リフトアップ装置において、風 を検出するセンサを有し、風速が所定しき 値を超えた場合にタワーを海中に沈降させ タワー昇降装置を有することをその特徴と ている。

 このようにすれば、暴風雨においても、 車及びそれを上端部に支持するタワーは海 の波浪の影響が小さい深さまで沈降するこ ができるため、波浪や強風による風車破損 良好に防止することができる。なお、ナセ 内の発電機や軸受け装置内にも海水が侵入 るため、それらは実質的に防水構造とされ 。

 好適な態様において、タワーの沈降前に 電機や軸受け装置の内部圧力は圧縮空気の 入などにより外圧より高くされ、これによ 発電機や軸受け装置内への海水侵入を良好 防止される。

 タワーの昇降は、タワーに固定したタン の浮力を調節して行うことができる。ポン によりタンク内の海水の排出によりタワー 容易に上昇することができ、開閉弁を開い 海水をタンクに導入することによりタワー 容易に沈降することができる。ポンプなど 駆動電力は風車により発電されバッテリに 電された電力により駆動される。なお、こ 態様は、浮遊風車型深層水リフトアップ装 の他に、浮遊風車型発電装置にも適用可能 ある。

 好適な態様において、風車は、互いに180度 れてハブに固定された2枚のブレードをもち 、2枚のブレードはタワーの沈降に際して垂 に固定される。これにより、沈降時の波浪 よりブレードが損傷するのを良好に防止す ことができる。
 

図1は、実施形態1の深層水リフトアッ 装置の模式側面図である。 図2は、図1の取水部の模式拡大側面図 ある。 図3は、図2のA-A線の模式水平断面図で る。 図4は、図1の揚水管の部分側面図であ 。 図5は、図4の揚水管の模式部分水平断 図である。 図6は、図1の放水部の模式拡大側面図 ある。 図7は、図6のフロートの模式拡大平面 である。 図8は、放出部の昇降装置を示すブロッ ク図である。 図9は、実施例2の揚水管の水平断面図 ある。 図10は、図9の揚水管の部分拡大水平断 面図である。 図11は、実施例2の深層水リフトアップ 装置の模式側面図である。 図12は、実施例3の取水部の模式正面図 である。 図13は、図12の取水部の模式拡大断面 である。 図14は、実施例4の風車発電装置の模式 垂直断面図である。 図15は、装置の傾斜回復動作を示す模 部分側面図である。(a)は、図14の装置の傾 回復動作を示す模式部分側面図である。(b) 従来の装置の傾斜回復動作を示す模式部分 面図である。 図16は、実施例5の風車発電装置の風車 部分の模式拡大垂直断面図である。 図17は、実施例5の風車発電装置のブレ ード保護装置を示すブロック図である。 図18は、図17のブレード保護装置の制 動作を示すフローチャートである。 図19は、実施例6の風車発電装置の模式 部分側面図である。 図20は、実施例6のタワー昇降装置のブ ロック図である。 図21は、図20のタワー昇降装置の制御 作を示すフローチャートである。 図22は、図20のナセル圧調節装置のブ ック図である。

上記説明した本発明の海洋生産装置の好適 実施態様を以下に説明する。ただし、本発明 は、以下の実施態様に限定されないことはも ちろんである。

(実施形態1)
 海流利用型深層水リフトアップ装置の実施 態を以下に説明する。

(全体構造)
 図1は、この実施例の深層水リフトアップ装 置の模式断面図である。この深層水リフトア ップ装置は、栄養塩が豊富な400~600メートル 深海に配置されて海流上流側から取水口11か ら深層水を取り込む筒状の取水部1と、0~40メ トルの海洋表層部に配置されて放水口21か 深層水を海流下流側へ吹き出す筒状の放出 2と、海洋中に斜め又は鉛直に配置されて取 部1と放出部2とを連通する揚水管3とを備え いる。この明細書では、海面より50メート 未満の海水領域を表層部、海面下200メート より深い海水領域を深層部又は深海と呼ぶ のとする。また、深層水リフトアップ装置 流入した海水は深層水と呼ばれる。

 4は、取水部1、放出部2及び揚水管3を海底 のシンカー(アンカー)に固定する支持索であ 。ただし、図1では、取水部1を海底に固定 るシンカーは図示されているが、揚水管3及 放出部2を海底に固定するための支持索の図 示は省略されている。なお、揚水管3を海底 固定するための支持索は別々に設けられて 良く、共通とされてもよい。揚水管3を海底 固定するための支持索は取水部1に固定され て、支持索4を通じて海底に固定されても良 。揚水管3を固定する支持索は省略されるこ もできる。

(取水部1の構造)
 取水部1の構造を図2、図3を参照して説明す 。

 取水部1は、FRPにより構成されている。取 水部1は、取水口11から揚水管3の下端とを連 する湾曲筒部12と、湾曲筒部12から海流下流 へ水平に長く延在する長筒状のフロート13 を有する。

 フロート13は、取水部1が存在する深さが 圧であるのでステンレス製とされ、取水部1 の浮力を大幅に増大させる。取水部1は、外 の海流及び内部の深層水から受ける抵抗力 、取水部1の有効浮力との合成力により斜め 方に付勢され、支持索4は、この合成力の反 対側に延在している。この有効浮力とは、静 水中にて浮力から自重を差し引いた浮力を言 う。取水部1は外部海流からほぼ海流下流側 の抵抗力を発生する。取水部1は水平方向前 (海流上流側)から取り込んだ深層水の方向 斜め上方へ変換させるため、水平方向後方 斜め下方への反力を受けて沈降しようとす 。なお、この反力の垂直分力は上記自重に まれるものとする。取水部1には、海流に対 る抵抗力及び深層水の方向変換に対する反 の水平分力の和に等しい水平抵抗力を発生 る。結局、取水部1の出口から出る深層水の 角度θは、上記有効浮力δFと上記水平抵抗力 Hとにより決定される。

 この実施形態では、有効浮力δFの絶対値 水平抵抗力δHの0.5~2倍、更に好適には水平 抗力δHに等しくなるように取水部1の重量と 力とが設定される。これにより、支持索4の 角度θを約45度とすることができ、支持索4の さを短縮することができる。また、取水部1 が揚水管3にぶら下がることが無いため、揚 管3の強度を減少することができる。

 フロート13は、湾曲筒部12から海流下流側 へ水平に長く伸びている。フロート13の海流 角方向の水平幅は海流下流側に向かうほど い換えれば湾曲筒部12から離れるほど小さ なっている。これにより、取水部1に掛かる 流抵抗力を減らすことができ、その分だけ ロート13を小型化することができる。フロ ト13は、本発明で言う姿勢保持部材を兼ねる 。すなわち、フロート13は長筒状に形成され いるため、海流は長筒状のフロート13を海 が流れる方向へ水平に保持する。これによ 、取水部1の姿勢を安定して保持することが きる。これにより、取水部1の取水口11を海 方向に対面させることができ、取水部1の海 流抵抗を最小とすることができる。

 湾曲筒部12は、取水口11から海流下流側へ 延在し、所定の曲率半径で斜め上方へ湾曲し ている。この曲率半径はできるだけ大きくさ れて内部の深層水の流れが乱れてその流体抵 抗が増大するのを防止する。また、湾曲筒部 12の流路直角断面積は所定の増加率で増加す 。すなわち、湾曲筒部12は本発明で言うデ フユーザ部を兼ねている。湾曲筒部12を円筒 と仮定した場合に、その軸方向の単位長さ当 たりの直径増加量は0.1以下とされることが好 ましい。これはディフユーザ部において境界 層剥離損失を低減するためである。これによ り、取水口11から流入した深層水の速度は半 以下たとえば毎秒0.1~0.2メートルまで減速さ れ、その分だけ取水部1から揚水管3に流入す 深層水の静圧が増大する。これにより、揚 管3内の摩擦損失や流体損失を大幅に低減で き、揚水管3から出る深層水の速度エネルギ を確保することができる。

(揚水管3)
 揚水管3を図4、図5を参照して説明する。

 揚水管3は、直径が10~100メートル好適には 直径が20~50メートルの流路直角断面積をもつ 揚水管3は、ナイロン製の織布層の両面に高 強度の樹脂フィルムを融着させた長尺シート の一端同士を接合して形成したシート管31か なる。複数層の織布で樹脂フィルムをサン イッチした構造としてもよい。この場合、 織布の繊維方向は異なるように配置される とが好適である。シート管31は、軟弱であ が、ディフユーザ部により静圧が高められ いるため、適度な変形抵抗力をもつ。これ より、深層水の流れに対する揚水管3の抵抗 失が減少する。

 シート管31の上流端には支持索5が設けら ている。この支持索5は取水部1に固定され いる。シート管31の管壁は、支持索5を囲ん 接合されている。このようにすれば、シー 管31は支持索5の全長にわたってシート管31を 支持することができるため、シート管31に掛 る力を分散させることができる。

 シート管31は、ロール状に巻かれた一定 の長尺シートを螺旋状に接合して形成され いる。シート管31の長手方向に互いに隣接し て螺旋状に延在する2つのターン部311、312の の接合部3130は略水平となるように海流中に めに配置されている。

 揚水管3には、外部の海流から水平方向へ の抵抗力が掛かる。この抵抗力は、斜め上方 へ延在する分力と、それと直角な分力とに分 けることができる。前者は揚水管3をその長 方向へ引っ張る力となり、後者は揚水管3を 直面で倒す方向に倒す回転モーメントとな 。内部の深層水の比重は大きいため、揚水 3を倒す回転モーメントとなる。揚水管3の 積に起因する浮力から揚水管3及びその内部 深層水の重さを差し引いた有効浮力は、揚 管3を立てる回転モーメントを生み出す。揚 水管3内の深層水が揚水管3に与える摩擦力も 水管3を立てる回転モーメントを生み出す。 明らかに、海流に抵抗して揚水管3をなるべ 立てることは揚水管3の全長を低減し、その 失を減らす。このため、揚水管3の有効浮力 を増大することが重要である。この実施例で は、揚水管3各部に働く海流下流側への抵抗 とほぼ等しい有効浮力を揚水管3に与える。 の結果、揚水管3の各部にはほぼ海流下流側 かつ上方へ45度角度で延在することになる。 水管3への有効浮力の付与は、揚水管3を構 するシート管31の外部に軽比重材料からなる 浮力発生シートを接合することにより行うこ とが好ましい。深海域では圧力が高いため、 空気が密閉された小球を浮力発生シートに設 けることが好ましい。その他、支持索5の各 に浮力発生部材を設けても良い。

 シート管31の水平断面は、シート管31の内 部に隔壁シートを設けることにより、海流方 向に長く、海流直角方向に狭く形成してもよ い。これにより、シート管31の海流抵抗を低 することができる。

(放出部2)
 放出部2を図6、図7を参照して説明する。

 放出部2は、FRPにより構成されている。放 出部2は、揚水管3の上端開口にスライド可能 つ曲げ可能に設けられた継ぎ手部20と、継 手部20の出口と放水口21と連通する湾曲筒部2 20と、湾曲筒部220から海流下流側へ水平に長 延在する長板状のフロート23とを有する。

(湾曲筒部220)
 放出部2の湾曲筒部220は、FRPパイプからなり 、継ぎ手部20の出口から海流下流側かつ水平 向に徐々に湾曲している。湾曲筒部220の流 直角断面は、下流側に向かうにつれて海流 角方向に次第に広く高さ方向へ次第に狭く るように扁平化されている。これは、湾曲 部220の海流抵抗を減らし、放出される深層 の拡散を促進するためである。湾曲筒部220 流路直角断面積は、放水口21に向けて徐々 減少して、ノズル部221を構成している。こ により、取水部1のディフユーザ部で昇圧さ た揚水管3の静圧エネルギーが速度エネルギ ーに変換され、深層水は増速されて外部に放 出される。ノズル部221は、揚水管から流出す る深層水の圧力エネルギーを運動エネルギー に効率良く変換する。これにより、シート管 から海面近傍に吹き出される深層水の速度を 再び増加させて流量を増大でき、深層水の圧 力エネルギーの無駄な損失を防止することが できる。また、揚水管3内の静圧を安定に確 することができる。

 次に、放出部2に作用する力について説明 する。

 外部の海流は、放出部2に海流下流側への 抵抗力を発生させる。また、湾曲筒部220によ る深層水の方向変換は、放出部2の海流上流 のスラストと上方へのスラストとを発生さ る。ノズル部221は、海流上流側へのスラス を発生させる。放出部2の浮力からその自重 差し引いた有効浮力は上方へのスラストを 生させる。これらの合成力が、放出部2を海 流下方かつ上方へ約45度の方向へ放出部2を引 っ張るように、浮力及び海流抵抗力を調整す る。すなわち、放出部2に作用する総合的な 方スラストと、海流下流側への水平スラス がほぼ等しくなるように放出部2の浮力及び 流抵抗力が設定される。つまり、放出部2に 掛かる力の方向と揚水管3に掛かる力の方向 がほぼ等しくなるように設定される。これ より、図5に示す揚水管3の支持索5を放出部2 接続した場合に揚水管3と放出部2との間に ましくない曲げ力が発生することがない。

 フロート23は、内部に空気室をもつ多数 FRPパイプ231を海流下流側にそれぞれ延在さ て構成されている。各FRPパイプ231は海流と 角方向に伸びる結合部材232により結合され いる。フロート22は、湾曲筒部220と一体に固 定されている。海流直角方向に隣り合う2つ FRPパイプ231の間には隙間が設けられており この隙間から表層水が下方又は上方へ流れ 深層水と徐々に混合し、深層水の温度を上 る。フロート23は、放出部2に浮力を与える ともに本発明で言う深層水拡散プレートを ねている。すなわち、フロート23は海流方向 に延在するため、フロート23が固定された湾 筒部220の姿勢を安定に保持する。

 もちろん、フロート23と深層水拡散プレ トとを別々に構成しても良く、この場合に 、深層水拡散プレートは、ゴム又は布又は 脂、更に好適には繊維強化された耐候性ゴ により製造された軟質のシートと、このシ トにプレート形状を与える曲げ方向に柔軟 をもつ骨部とで構成しても良い。この場合 深層水拡散プレートは多くの孔をもつこと 望ましい。これは表層水と深層水とを混合 るためである。骨部は水を封入したあるい 空気を封入した軟質のFRPパイプとされるこ ができる。ただし、破損対策としてこのパ プは各所で分離されて互いに独立して水を 容することが好適である。

(継ぎ手部20)
 継ぎ手部20は、揚水管3の上端部に結合され スライド管継ぎ手201と、スライド管継ぎ手 放出部2の湾曲筒部220とを結合する曲げ継ぎ 手210とからなる。スライド管継ぎ手201は、揚 水管3の上端部に固定される硬質の第1の直管 202と、放出部2に固定されて第1の直管部202 相対的にスライド可能に嵌合する硬質の第2 直管部203と、第2の直管部202のスライド量を 所定距離範囲に規制するストッパ204、205とを 有する。第1の直管部202と第2の直管部203とは ライド可能である。206は第1の直管部202の先 端の内向の鍔部であり、ストッパ204、205によ りスライド量を規定する。これにより、放出 部2が揚水管3の長手方向に移動しても揚水管3 の変形を防止することができる。曲げ継ぎ手 210は、繊維をリング状に配置してなるゴム管 からなる。これにより、放出部2が揚水管3の 在方向と直角方向に変位しても揚水管3の曲 がりが減少する。

(放出部2の昇降構造)
 放出部2には昇降装置24が固定されている。 8を参照して昇降装置24を説明する。昇降装 24は、タンク241と、防水モータ駆動のポン 242と、電磁開閉弁243と、波浪センサ244と、 御装置245と、電源246とをもつ。電源246は、 とえば放出部2に固定された海流発電装置に り充電されるバッテリを有する。電磁開閉 243を閉じポンプ242を駆動することにより逆 弁247を通じてタンク241の海水を排出して放 部2の浮力を高めると放出部2は上昇する。 ンプ242を停止し電磁開閉弁243を開くと海水 タンク241に流入して放出部2が沈降する。制 装置245は波浪センサ244からの検出信号によ 、波浪が所定の大きさを超える場合にポン 242及び電磁開閉弁243を制御する。波浪セン はたとえば海面に浮かぶ小フロートと、こ 小フロートに接続されたロープの張力を検 する張力センサにより構成されるが、その 、種々の変形が可能である。この昇降装置2 4は放出部2の高さを調節するのにも用いるこ ができる。フロート23はタンク241を兼ねる とができる。

(実施形態2)
 海流利用型深層水リフトアップ装置の実施 態を図9~図11を参照して以下に説明する。こ の実施態様は、揚水管3を硬質管構造とし、 水部1にノズル部15を、放出部2にディフユー 部25を設けた点をその特徴としている。

(揚水管3)
 揚水管3は、FRP板により構成されて幅方向に 湾曲し長手方向にほぼ平坦な長い湾曲板310を 2枚向かい合わせに結合してなる長筒からな 。図9、図10では省略しているが実施例1と同 に、揚水管3の各部に支持索を接続しても良 い。湾曲板310の幅方向両端部には、外側に突 出する放射リブ32が突出している。

 隣合う2つの湾曲板310の放射リブ32は樹脂 ルトなどにより機械的に又は熱融着などに り接合されている。揚水管3の水平断面は、 略魚形断面を有している。これにより、揚水 管3の特に下流側に渦が生じて大きな海流抵 が発生するのを抑止し、揚水管3が海流下流 に流されるのを防止できるため、大きな海 抵抗力に耐えるため揚水管3の引っ張り強度 を高める必要がなく、長い揚水管3によるコ トアップ及び深層水の流体抵抗損失の低減 実現することができる。なお、真円の揚水 3を水平な海流に対して斜めに配置する場合 海流に対して揚水管3は楕円と見なすことが でき、多少は上記渦を低減することができる 。しかし、揚水管の長手方向直角断面におい て魚形断面又は楕円断面とすることにより、 更に大幅に海流抵抗を減らすことができる。 この実施形態では、放射リブ32は、海流方向 流側と海流方向下流側とに突出しており、 れにより、揚水管3の海流抵抗を低減するこ とができる。

 図11に示すように2枚の湾曲板310はそれぞ 、上昇する深層水に接する内壁部311と、内 部311の外側に位置して外部の海水に接する 壁部312と、内壁部311及び外壁部312とを繋ぐ 壁部313と、内壁部311、外壁部312及び隔壁部3 13に区画形成された密閉室からなる中空部3141 とを有している。中空部3141の内部には海水 は淡水が充填されている。海水を充填する 合には、中空部3141は内壁部311又は外壁部312 設けた小孔3140により外部と連通している。

 取水部1に設けたノズル部15と、放出部2に 設けたディフユーザ部25とにより、取水部1の 静圧は外部より僅かに小さくなり、揚水管3 構成する湾曲板310には圧縮方向に力が掛か 。これにより、揚水管3がばらけるのを防止 ることができる。ノズル部15により揚水管3 の深層水速度は増大するが、それはディフ ーザ部25により効率よく静圧に転換される

 なお、長手方向直角断面において魚形断 又は楕円断面とすることは、実施形態1のシ ート管においても好適である。ただし、軟弱 なシート管は何の機械的規制が無い場合には 、内圧により円形断面化するため、隔壁シー トにより内部の各部間の幅の増加を禁止する ことにより、その流路直角断面を海流方向に 長く海流直角方向に狭く形成することができ る。このようにするためには、隔壁シートは 、海流直角方向に配置されるべきである。

(実施形態3)
 海流利用型深層水リフトアップ装置の実施 態を図12、図13を参照して以下に説明する。 この実施態様は、取水部1に3つのプロペラ水 61~63を設けた点にその特徴がある。

 プロペラ水車61~63の回転軸は、ベルト640 より結合されている。もちろん、ベルト640 外の種々公知の機械的動力伝達機構、たと ばギヤなどを採用しても良い。プロペラ水 61は本発明で言うドリブン水車であって取水 口11の直後に設けられている。プロペラ水車6 2、63は本発明で言うドライブ水車であって取 水口11の両側に設けられている。ベルト640は ロペラ水車62、63の回転力をプロペラ水車61 伝達する。この方向への回転力の伝達のた に、プーリ650の径などが調節される。これ より、海流で回転するプロペラ水車62、63は プロペラ水車61を駆動し、プロペラ水車61は 水口11から流入した深層水の速度を増加させ 、装置の深層水リフトアップ量が増大する。

(実施形態4)
 浮遊深層水リフトアップ装置6の実施形態を 図14、図15を参照して以下に説明する。この 施態様は、610は取水部、620は放出部、630は 直に設けられた揚水管である。取水部610に 減速ギヤ機構内蔵の防水モータ64により駆動 されるプロペラ水車66が設けられている。放 部620はディフユーザ部67をもち、取水部610 ノズル部68をもつ。放出部620のディフユーザ 部67は径が大幅に増大する湾曲部となってい 。防水モータ64は、深層水リフトアップ装 6と一体に配置された浮遊風車発電装置7によ り駆動される。

 浮遊風車発電装置7は、風車71と、風車71 上端に固定されたタワー72とを有している。 浮遊風車発電装置7は本質的に従来のプロペ 風車発電装置と同じである。タワー72は海面 から約40メートル突出しており、揚水管63の 端部まで伸びている。長い円筒状の放出部62 0がタワー72の周囲に同軸上に固定されている 。タワー72の下端にはプロペラ水車66が固定 れている。プロペラ水車66は減速機構内蔵の 防水モータ75により駆動される。浮遊風車発 装置7が発電した3相交流電力はタワー72内の 図略の送電線により防水モータ75に送られる

 プロペラ水車66の回転により、放出部620 の深層水は上方に付勢される。これにより 取水口69から流入した深層水はノズル部68に り僅かに減圧増速されて揚水管630に送られ 。揚水管630から出た深層水はプロペラ水車6 6により付勢された後、ディフユーザ部67で圧 力回復されつつ放射方向へ進行方向を曲げら れて外部に放出される。

 放出部620は、海洋の表層部に位置して輪 状態の姿勢保持部材73を有している。姿勢 持部材73は、水面下8メートルに配置されて る。姿勢保持部材73は、深層水リフトアップ 装置6の放出部620及び浮遊風車発電装置7に浮 を与えるフロートを兼ねている。また、姿 保持部材73は、放出部620から放射方向に放 された深層水の再度の沈降を防ぎつつそれ 水平方向へ広く拡散させる。

 姿勢保持部材73は、円筒状の放出部620の 端部に回動自在に嵌合されている。ディフ ーザ部67は、ディフユーザ部67の下方にて放 部620に回動自在に嵌合する姿勢保持部材73 上方へ抜けるのを防止するストッパ機能も っている。ディフユーザ部67の最大径は姿勢 保持部材73の中心孔部よりも大幅に径大とな ている。フロートを兼ねる姿勢保持部材73 より、深層水リフトアップ装置6及び浮遊風 発電装置7の浮力中心Fは比較的上方に存在 ている。74は円筒状の放出部620の下端に固定 されたリング状のウエイトである。ウエイト 74は、浮遊風車発電装置7と一体となった浮遊 深層水リフトアップ装置6の重心Gを引き下げ ための耐腐食性の金属リングにより構成さ ている。ウエイト74の存在のため重心Gは比 的下方に存在している。取水部610及び揚水 630の重力により重心Gを引き下げても良い。 ウエイト74は、放出部620及びタワー72の揺動 対する水の抵抗を増大するための抵抗プレ トを兼ねている。

 海洋配置であることを考慮してナセル75 の図略の発電機や軸受けや減速機構などは 置は防水構造とされる。この防水構造は、 セル75を防水構造とし、この防水型のナセル 75から突出する風車軸76とナセル75の前端壁の 軸貫通孔との間に防水シール構造が設けられ ている。

 760は、浮力中心Fと重心Gとの中間に位置 て放出部620の外周面から放射状に突出する4 の支持突起である。各支持突起760には支持 77がそれぞれ接続されている。放出部620は 支持索77を通じて海底のシンカーに係留され ている。このようにすると、図15(a)に模式図 するように、タワー72が傾斜した場合に、 力中心Fと重心Gとがそれぞれ姿勢回復向きの 回転モーメントを発生することができる。こ れに対して図15(b)に示すように、重心Gよりも 下方にてタワー72に支持索77を結合する場合 浮力中心Fは姿勢回復向きの回転モーメント 発生するが、重心Gは転倒側への回転モーメ ントを発生し、姿勢回復力が大幅に減少する 。これにより、風車71のブレード78の先端が 浪の最高点に接触する危険が大きくなる。

 なお、上記した浮遊風車発電装置7は、浮 遊深層水リフトアップ装置6とは独立に設置 能であり、この浮遊風車発電装置7で発電し 電力を周囲の複数の浮遊深層水リフトアッ 装置6に供給してもよい。あるいは、ある広 さの海域に行列状に配列された多数の浮遊深 層水リフトアップ装置6に対して海底ケーブ を通じて陸上の発電所から夜間電力を供給 てもよい。その他、ある広さの海域に行列 に配列された多数の浮遊風車発電装置7の発 電力を海底ケーブルを通じて陸上の送電系 発電電力を送電してもよい。なお、この装 では、浮遊風車発電装置7を用いたが、発電 機及び防水モータ64を省略して風車の回転力 2つの直交ギヤ機構を用いてプロペラ水車66 機械的に伝達してもよい。あるいは、風車 回転動力で高圧水流を形成し、この高圧水 によりプロペラ水車66に連結したタービン 回転させてもよい。

(実施形態5)
 浮遊深層水リフトアップ装置6の実施形態を 図16、図17を参照して以下に説明する。この 施態様は、実施例4の浮遊風車発電装置7のブ レード78の先端が波浪に接触するためのブレ ド保護装置9をもつ点にその特徴がある。こ のブレード保護装置9は、風速の強さ(波浪の さでもよい)を検出する風速センサ91と、浮 風車発電装置7の発電機92の回転軸93を拘束 る拘束装置94と、拘束装置94を制御する制御 置95とからなる。風速センサ91、発電機92、 束装置94及び制御装置95はナセル96内に内蔵 れている。発電機92の回転軸93は、風車98の 転数を増速して回転軸93に伝達するための ヤ機構97を介して風車98の回転軸99に連結さ 、回転軸99の先端のハブ100には2枚のブレー 78が互いに逆方向に固定されている。

 風速センサ91は、ピトー管構造の圧力差 検出する公知の構造をもつ。その他、タワ の揺動を検出する波浪センサを風速センサ して採用してもよい。制御装置95は、風速セ ンサ91が検出した風速が所定のしきい値を超 た場合に、発電機92の回転を減速させた後 その発電機92のロータ回転角がある角度にな った時にいわゆる電磁ブレーキ装置である拘 束装置94を通電して回転軸93の回転を拘束す 。これにより、強風時には発電機92の回転軸 93はあるロータ回転角で停止され、それによ 回転軸93にギヤ機構97を通じて連結された2 翼型の風車98の回転軸99もある回転角度で停 する。なお、発電機92にはロータ回転角を 出する回転角度センサを設けられており、 御装置95はこの回転角度センサが検出したロ ータ回転角に応じて発電機のステータの電流 を制御する。

 この実施形態の制御を図18を参照して以 に説明する。制御装置95からの指令により、 拘束装置94は2枚のブレード78が略水平となる 置にて発電機92の回転軸93を拘束する。この ようにすれば、2枚のブレード78は波浪から高 く離れて維持されるため、波浪がブレード78 破損させたり、変形させたりすることがな 。

 ナセル96内には、ヨー制御装置102が内蔵 れている。このヨー制御装置102は、通常発 時に風車を風の方向に正対させる装置であ て、図略の風向センサと、この風向センサ ら得た風向信号に基づいて浮遊風車発電装 7をタワー上にて水平回動させる。この種の ー制御装置自体は公知のため、これ以上の 明は省略する。この実施例では更に、強風 には水平状態に固定された2枚のブレード78 風と平行になるように制御する。これによ 、風によるブレード78の抵抗が最小となり 暴風雨時でもブレード78の破損、変形を更に 良好に防止することができる。なお、浮遊風 車発電装置7は浮遊深層水リフトアップ装置6 一体に形成されてもよく、別に形成されて よい。

(実施形態6)
 浮遊深層水リフトアップ装置6の実施形態を 図19、図20を参照して以下に説明する。この 施態様は、更に強大な暴風時に浮遊風車発 装置7を海中に保持するタワー昇降装置110を つ点をその特徴としている。

 浮遊風車発電装置7は、風車71と、風車71 上端に固定されたタワー72とを有している。 タワー72は、海面から約5メートルの深さにフ ロート111をもち、海面から約50メートルの深 にウエイト112をもつ。支持索4は、浮遊風車 発電装置7の浮力中心Fと重心Gとの中間に結合 されている。風車113の回転軸114には防水機能 をもつナセル115が設けられており、ナセル115 内には発電機、軸受け及びギヤ機構とともに 、タワー昇降装置110の制御装置1160が内蔵さ ている。ナセル115の軸孔と回転軸114との間 は防水シール構造が設けられている。

 タワー昇降装置110は、フロート111への海 の供給及び排出を制御するためのポンプ116 開閉弁117、逆止弁118及び波浪センサ119、120 制御装置1160とともに有している。

 波浪センサ119は、ナセル115から下方の海 に超音波を発射し、その反射波を検出し、 音波発射時点から反射波検出時点までの時 に基づいて海面からのナセル115の高さを測 し、それにより波浪の高さ又はタワーの傾 を測定する。波浪センサ120は、海中のナセ 115から上方の海面に超音波を発射し、その 射波を検出し、超音波発射時点から反射波 出時点までの時間に基づいて海面からのナ ル115の深さを測定し、それにより波浪の高 又はタワー72の傾斜を測定する。波浪セン 119はタワー72の沈降制御に用いられ、波浪セ ンサ120はタワー72の上昇浮上制御に用いられ 。タワー72の昇降を制御するセンサとして 速センサを用いても良い。センサ119による 浪又は風速の大きさを検出する方法自体は 述したのと同じであるが、その他の種々公 の方法を採用しても良い。

 制御装置1160によるタワー昇降装置110の動 作を図21を参照して以下に説明する。

 制御装置1160は、波浪センサ119からの検出 信号により波浪が所定のしきい値を超えたか どうかを判定する。波浪又は風速が所定しき い値を超えた場合には、実施例5で説明した 電機のロータ回転角の制御により二枚翼型 遊風車発電装置7の風車71の2枚のブレードが 直状態となるように発電機のロータ回転角 調整した状態にて発電機の回転軸を拘束す 。この風車71のブレードの回転角制御自体 実施例5の場合と同じであるため、これ以上 説明は省略する。次に、開閉弁117を所定時 開いてフロート111に海水を注入する。フロ ト111への海水注入量は浮遊風車発電装置7の 浮力がその重力よりも小さくなる程度とする 。これにより、浮遊風車発電装置7はゆっく と沈降する。2枚のブレードは垂直状態とな ているため、沈降時の波浪の影響は小さい 浮遊風車発電装置7の沈降深さは、フロート 111の上部にロープ1200により接続された沈降 止フロート121により停止される(図19参照)。 お、ロープ自動巻き取り装置をフロート11 設けておくことにより、ロープの最大長さ 、沈降時に海面にあるようにすることが好 である。

制御装置1160は、波浪センサ120からの検出 号により波浪が所定時間、所定のしきい値 満となったかどうかを判定する。波浪が所 時間、所定しきい値未満であれば、海面が かになったと判定して開閉弁117を閉じ、排 用のポンプ116を運転し、開閉弁118を開いて ロート111内の海水を排出する。これにより 浮遊風車発電装置7の浮力はその重力よりも きくなり、浮遊風車発電装置7はゆっくりと 浮上する。浮上に十分な海水排出が完了した 段階で開閉弁118が閉じられ、ポンプ116は停止 される。その後、ヨー制御を行い、回転軸の 拘束を開放して風車発電を再開する。

 この実施形態では、風車71及びタワー72の 沈降時に、ナセル75の軸孔からナセル内へ海 が侵入するのを防止するために、ナセル内 空気圧を常に外部の海水圧より高く調節す ナセル圧調節装置130が設けられている。こ ナセル圧調節装置130を図22を参照して以下 説明する。ナセル圧調節装置130は、ナセル75 に内蔵されており、圧縮空気タンク131と、コ ンプレッサ132と圧力センサ133、134と、制御装 置135とをもつ。圧力センサ133はナセル75外の 力を検出し、圧力センサ134はナセル75内部 圧力を検出する。制御装置135は、沈降前に 検出したナセル75内外の差圧に基づいて、電 磁開閉弁761を制御して圧縮空気タンク131から ナセル75内へ圧縮空気の放出を制御し、ナセ 75の内圧を常に外圧より僅かに高く維持す 。これにより、ナセル75の軸孔に設けたシー ル装置を超えてナセル75内に海水が侵入する を防止することができる。上昇によりナセ 75の外圧が低下すると、ナセル75に設けた逆 止弁762が開いてナセル75内の空気が外部に排 される。通常の風車運転時には、発電電力 コンプレッサ132に送られ、これにより圧縮 気タンク131の圧力は再び元の高圧に維持さ る。コンプレッサ132の制御によつ圧縮空気 ンク131の圧力調節自体は周知事項であるた 、これ以上の説明は省略する。なお、上記 た浮遊風車発電装置7は、浮遊深層水リフト アップ装置6と一体に又は独立に設置可能で り、浮遊風車発電装置7で発電した電力を周 の複数の浮遊深層水リフトアップ装置6に供 給してもよい。あるいは、ある広さの海域に 行列状に配列された多数の浮遊深層水リフト アップ装置6に対して海底ケーブルを通じて 上の発電所から夜間電力を供給してもよい その他、ある広さの海域に行列状に配列さ た多数の浮遊風車発電装置7の発電電力を海 ケーブルを通じて陸上の送電系に発電電力 送電してもよい。なお、この装置では、浮 風車発電装置7を用いたが、発電機及び防水 モータ75を省略して風車の回転力を2つの直交 ギヤ機構を用いてプロペラ水車66に機械的に 達してもよい。あるいは、風車の回転動力 高圧水流を形成し、この高圧水流によりプ ペラ水車66に連結したタービンを回転させ もよい。

(変形態様)
 海流位置の変更に応じて、図略のシンカー( アンカー)を一定距離引き上げた後、新しい 流位置まで水平移動させた後、再び、シン ー(アンカー)を海底にセットする作業を定期 的に又は不定期に行うことが好適である。こ の時、作業船により支持索4をつり上げて曳 することが簡単である。
 




 
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