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Patent Searching and Data


Title:
DENTURES AND MOUNTING ATTACHMENT THEREFOR
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2020/175295
Kind Code:
A1
Abstract:
Provided are: dentures that provide a superior fit to a denture wearer and a comfortable biting feeling during meals; and a mounting attachment for the dentures. The mounting attachment 20 comprises a metal crown 200 that attaches to one abutment, and a protruding part 300 comprising a magnetic material and being provided to the periphery of the metal crown 200. A denture comprises a recessed engagement part 130 that comprises a free-end denture 10 and is positioned on an end-side adjoining an abutment 80, and a magnet 140 that is accommodated on a joint-side joined to the free-end denture. The free-end denture joins with the abutment as a result of the protruding part engaging with the recessed engagement part, and a magnetic pulling force acting on the protrusion part of the magnet prevents the free-end denture separating from the abutment. The protruding part fits in the recessed engagement part and at least a portion of a curved section of the engagement part is retained inside the recessed engagement part due to a magnetic force, while the relative position and relative angle of the free-end denture is able to change with respect to the abutment within a prescribed range.

Inventors:
KAWAKITA TADASHI (JP)
Application Number:
PCT/JP2020/006652
Publication Date:
September 03, 2020
Filing Date:
February 19, 2020
Export Citation:
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Assignee:
KAWAKITA TADASHI (JP)
International Classes:
A61C13/235; A61C13/265
Foreign References:
JP2003135490A2003-05-13
JP2004097591A2004-04-02
JP3054058U1998-11-17
JP2001170081A2001-06-26
JPS612210U1986-01-08
JP2011092273A2011-05-12
US4362509A1982-12-07
Attorney, Agent or Firm:
MIYAKAWA Kohichi (JP)
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Claims:
\¥0 2020/175295 37 卩(:17 2020 /006652

請求の範囲

[請求項 1 ] _本の支台歯に _端が取り付けられるようになった遊離端義歯とそ の取付けアタツチメントにおいて、

残存歯に被せられることで前記支台歯を形成する金属冠であって、 前記遊離端義歯を前記支台歯に取り付けた状態で見て、 前記金属冠の 周面の所定位置から遊離端義歯の当該支台歯と対向する端部側に突出 した突出部を有する金属冠と、 当該金属冠の突出部に一端が取り付け 取り外し可能な遊離端義歯からなり、

前記金属冠の突出部は、 磁性体からなる略球状体と、 当該略球状体 と前記金属冠との接続部をなす固定部を有し、

前記固定部は、 前記金属冠内に配置された埋め込み固定部と、 当該 埋め込み固定部と一端が結合され前記金属冠の表面から露出して前記 略球状体を接続した接続固定部からなり、

前記接続固定部の太さは、 前記略球状体の外径よりも小さく、 かつ 当該接続固定部の中心軸線方向は、 前記遊離端義歯を前記支台歯に取 り付けた状態で見て、 前記金属冠の側方外周面から前記遊離端義歯の 前記金属冠と対向する一端側に向かって延在し、

前記遊離端義歯の前記金属冠と対向する一端側には、 前記略球状体 が出し入れ可能に収容される収容凹み部が形成されると共に、 当該収 容凹み部の近傍であって当該収容凹み部より前記遊離端義歯の他端側 に位置するように前記遊離端義歯の内部に設けられた磁石とを有し、 前記遊離端義歯を前記支台歯に取り付けた状態で見て、 前記略球状 体は、 当該略球状体の外周面が前記収容凹み部の内周面に係合しなが ら、 前記収容凹み部内に磁気引っ張り力で留まることで、 前記遊離端 義歯の義歯床の底部が歯肉の表面に接した状態で当該遊離端義歯が前 記支台歯に取り付けられるようになっており、

前記遊離端義歯の一端と反対側の端部を他端とした場合、 咬合時に 前記遊離端義歯に対して作用する咬合力に合わせて、 前記遊離端義歯 〇 2020/175295 38 卩(:171? 2020 /006652

の一端に備わる凹み部を支点として前記他端を自由端としながら、 前 記咬合力が作用する範囲内において前記遊離端義歯自体が動き、 前記 咬合時に前記遊離端義歯が咬合力の作用する方向に合わせて当該遊離 端義歯の義歯床の底部が、 前記義歯床を介して歯肉に押し付けられる ことで生じる当該歯肉からの圧縮反発力によって前記突出部や前記収 容凹み部に強度上の許容範囲を超える機械的応力を生じさせることな く前記前記咬合力を吸収しながら咬合可能となっており、

前記遊離端義歯を前記支台歯に装着して咬合した際、 咬合力の作用 する方向の変化に応じて、 前記突出部の外周面の少なくとも一部が前 記収容凹み部の内周面の少なくとも一部に直接接触しながら互いの相 対的接触状態を常に変化させ、 これによって咬合力の作用方向が上下 方向のみならず前後方向や左右方向に変化することに基づいて前記遊 離端義歯に生じる曲げモーメントのみならずねじりモーメントが発生 しても、 前記遊離端義歯の義歯床が前記歯肉に押し付けられた際に生 じる当該歯肉からの反発力と、 前記突出部の外周面と前記収容凹みの 内周面との間の直接接触部に生じる係合力を介してこれらのモーメン 卜を直接支台歯に作用させないようにした構造を有することを特徴と する義歯とその取付けアタッチメント。

[請求項 2] 前記金属冠の突出部は、 前記接続固定部の中心軸線の延長線が当該 略球状体の中心又はその近傍を通過するように、 当該接続固定部の他 端に結合されていることを特徴とする請求項 1 に記載の義歯とその取 付けアタッチメント。

[請求項 3] 咬合時に前記遊離端義歯に対して咬合力が三次元方向に作用した場 合であっても、 前記遊離端義歯の前記支台歯に対する装着状態を維持 できることを特徴とする請求項 1又は請求項 2に記載の義歯とその取 付けアタッチメント。

[請求項 4] 前記遊離端義歯を前記支台歯に取り付けた状態で見て、 咬合の際に 前記突出部に備わる略球状体の湾曲外周面の少なくとも一部の湾曲面 〇 2020/175295 39 卩(:171? 2020 /006652

が、 前記凹み部内の内周面に面接触していることを特徴とする請求項 1乃至請求項 3の何れかに記載の義歯とその取付けアタッチメント。

[請求項 5] 前記遊離端義歯を前記支台歯に取り付けた状態で見て、 咬合の際に 前記略球状体の湾曲部の外周面と前記遊離端義歯の凹み部内の内周面 の一部が線接触していることを特徴とする請求項 1乃至請求項 3の何 れかに記載の義歯とその取付けアタッチメント。

[請求項 6] 前記遊離端義歯を前記支台歯に取り付けた状態で見て、 咬合の際に 前記略球状体の湾曲部の外周面と前記遊離端義歯の凹み部内の内周面 の一部が点接触していることを特徴とする請求項 1乃至請求項 3の何 れかに記載の義歯とその取付けアタッチメント。

[請求項 7] 前記略球状体の代わりに略半球状体が前記突出部に備わったことを 特徴とする請求項 1乃至請求項 6の何れかに記載の義歯とその取付け アタッチメント。

[請求項 8] 金属冠を歯冠に被せて支台歯を構成する代わりにインプラントを利 用して前記金属冠と共に支台歯を構成することを特徴とする請求項 1 乃至請求項 7の何れかに記載の義歯とその取付けアタッチメント。

[請求項 9] 前記義歯とその取付けアタッチメントに実際の義歯の装着状態や使 用状況においては起こりえないほどの過大な咬合力が作用したことに よって前記支台歯を形成する磁性材料の破壊降伏点を超える内部応力 が生じた場合に、 前記固定部の部分が破断して前記突出部が 2分割す る疲労破断開始部としての役目を当該固定部が果たしていることを特 徴とする請求項 1乃至請求項 8の何れかに記載の義歯とその取付けア タッチメント。

[請求項 10] 前記請求項 1乃至請求項 8の何れかに記載の義歯とその取付けアタ ッチメントにのみ使用可能な請求項 1乃至請求項 8の何れかに記載の 金属冠。

[請求項 1 1 ] 前記請求項 1乃至請求項 8の何れかに記載の義歯とその取付けアタ ッチメントにのみ使用可能な請求項 1乃至請求項 8の何れかに記載の \¥0 2020/175295 40 卩(:17 2020 /006652

遊離端義歯。

〇 2020/175295 卩(:171? 2020 /006652

41

補正された請求の範囲

[2020年 5月 29日(29.05.2020)国際事務局受理]

[請求項 1] (補正後)

一本の支台歯に一端が取り付けられるようになった義歯とその取付けアタッチメントにおいて、 残存歯に被せられることで前記支台歯を形成する金属冠であって、 前記遊離端義歯を前記支台 歯に取り付けた状態で見て、 前記金属冠の周面の所定位置から遊離端義歯の当該支台歯と対向す る端部側に突出した突出部を有する金属冠と、 当該金属冠の突出部に一端が取り付け取り外し可 能な遊離端義歯からなり、

前記金属冠の突出部は、 磁性体からなる略球状体と、 当該略球状体と前記金属冠との接続部を なす固定部を有し、

前記固定部は、 前記金属冠内に配置された埋め込み固定部と、 当該埋め込み固定部と一端が結 合され前記金属冠の表面から露出して前記略球状体を接続した接続固定部からなり、

前記接続固定部の太さは、 前記略球状体の外径よりも小さく、 かつ当該接続固定部の中心軸線 方向は、 前記遊離端義歯を前記支台歯に取り付けた状態で見て、 前記金属冠の側方外周面から前 記遊離端義歯の前記金属冠と対向する一端側に向かって延在し、

前記遊離端義歯の前記金属冠と対向する一端側には、 前記略球状体が出し入れ可能に収容され る収容凹み部が形成されると共に、 当該収容凹み部の近傍であって当該収容凹み部より前記遊離 端義歯の他端側に位置するように前記遊離端義歯の内部に設けられた磁石とを有し、

前記遊離端義歯を前記支台歯に取り付けた状態で見て、 前記略球状体は、 当該略球状体の外周 面が前記収容凹み部の内周面に係合しながら、 前記収容凹み部内に磁気引っ張り力で留まること で、 前記遊離端義歯の義歯床の底部が歯肉の表面に接した状態で当該遊離端義歯が前記支台歯に 取り付けられるようになっており、

前記遊離端義歯の一端と反対側の端部を他端とした場合、 咬合時に前記遊離端義歯に対して作 用する咬合力に合わせて、 前記遊離端義歯の一端に備わる凹み部を支点として前記他端を自由端 としながら、 前記咬合力が作用する範囲内において前記遊離端義歯自体が動き、 前記咬合時に前 記遊離端義歯が咬合力の作用する方向に合わせて当該遊離端義歯の義歯床の底部が、 前記義歯床 を介して歯肉に押し付けられることで生じる当該歯肉からの圧縮反発力によって前記突出部や前 記収容凹み部に強度上の許容範囲を超える機械的応力を生じさせることなく前記咬合力を吸収し ながら咬合可能となっており、

前記遊離端義歯を前記支台歯に装着して咬合した際、 咬合力の作用する方向の変化に応じて、 前記突出部の外周面の少なくとも一部が前記収容凹み部の内周面の少なくとも一部に直接接触し ながら互いの相対的接触状態を常に変化させ、 これによって咬合力の作用方向が上下方向のみな

補正された用紙 (条約第 19条) \¥0 2020/175295 卩(:171? 2020 /006652

42 らず前後方向や左右方向に変化することに基づいて前記遊離端義歯に生じる曲げモーメントのみ ならずねじりモーメントが発生しても、 前記遊離端義歯の義歯床が前記歯肉に押し付けられた際 に生じる当該歯肉からの反発力と、 前記突出部の外周面と前記収容凹みの内周面との間の直接接 触部に生じる係合力を介してこれらのモーメントを直接支台歯に作用させないようにした構造を 有し、

咬合時に前記遊離端義歯に対して咬合力が三次元方向に作用した場合であっても、 前記遊離端 義歯の前記支台歯に対する装着状態を維持できるようになっており、

前記遊離端義歯は、 咬合時に咬合力が前記義歯本体に作用した際、 前記義歯床の前記支台歯と 反対側の端部が前記歯肉に押し付けられて動かなくなるまで、 前記凹み付き係合部に嵌合した前 記突出部を回転中心として動くようになっており、

前記磁石は、 前記遊離端義歯の内部において前記遊離端義歯の延在方向に合わせて延在するよ うに収容配置され、 その表面は前記遊離端義歯の使用中に当該遊離端義歯の外部に露出すること がなく、 かつ、 前記遊離端義歯の内部に配置された前記磁石の配置状態に基づく磁気引っ張り力 を前記遊離端義歯の長手方向に合致して磁性材からなる前記突出部に作用するようになったこと を特徴とする義歯とその取付けアタッチメント。

[請求項 2]

前記金属冠の突出部は、 前記接続固定部の中心軸線の延長線が当該略球状体の中心又はその近 傍を通過するように、 当該接続固定部の他端に結合されていることを特徴とする請求項 1に記載 の義歯とその取付けアタッチメント。

[請求項 3] (削除)

[請求項 4] (補正後)

前記遊離端義歯を前記支台歯に取り付けた状態で見て、 咬合の際に前記突出部に備わる略球状 体の湾曲外周面の少なくとも一部の湾曲面が、 前記凹み部内の内周面に面接触していることを特 徴とする請求項 1又は請求項 2に記載の義歯とその取付けアタッチメント。

[請求項 5] (補正後)

前記遊離端義歯を前記支台歯に取り付けた状態で見て、 咬合の際に前記略球状体の湾曲部の外 周面と前記遊離端義歯の凹み部内の内周面の一部が線接触していることを特徴とする請求項 1又 は請求項 2に記載の義歯とその取付けアタッチメント。

[請求項 6] (補正後)

前記遊離端義歯を前記支台歯に取り付けた状態で見て、 咬合の際に前記略球状体の湾曲部の外 周面と前記遊離端義歯の凹み部内の内周面の一部が点接触していることを特徴とする請求項 1又 は請求項 2に記載の義歯とその取付けアタッチメント。

補正された用紙 (条約第 19条) \¥02020/175295 卩(:171?2020/006652

43

[請求項 7] (補正後)

前記略球状体の代わりに略半球状体が前記突出部に備わったことを特徴とする請求項 1、 請求 項 2、 請求項 4乃至請求項 6の何れかに記載の義歯とその取付けアタッチメント。

[請求項 8] (補正後)

金属冠を歯冠に被せて支台歯を構成する代わりにインプラントを利用して前記金属冠と共に支 台歯を構成することを特徴とする請求項 1、 請求項 2、 請求項 4乃至請求項 7の何れかに記載の 義歯とその取付けアタッチメント。

[請求項 9] (補正後)

前記義歯とその取付けアタッチメントに実際の義歯の装着状態や使用状況においては起こりえ ないほどの過大な咬合力が作用したことによって前記支台歯を形成する磁性材料の破壊降伏点を 超える内部応力が生じた場合に、 前記固定部の部分が破断して前記突出部が 2分割する疲労破断 開始部としての役目を当該固定部が果たしていることを特徴とする請求項 1、 請求項 2、 請求項

4乃至請求項 8の何れかに記載の義歯とその取付けアタッチメント。

[請求項 1 0] (補正後)

前記請求項 1、 請求項 2、 請求項 4乃至請求項 8の何れかに記載の義歯とその取付けアタッチ メントにのみ使用可能な請求項 1、 請求項 2、 請求項 4乃至請求項 8の何れかに記載の金属冠。 [請求項 1 1] (補正後)

前記請求項 1、 請求項 2、 請求項 4乃至請求項 8の何れかに記載の義歯とその取付けアタッチ メントにのみ使用可能な請求項 1、 請求項 2、 請求項 4乃至請求項 8の何れかに記載の遊離端義

補正された用紙 (条約第 19条)

Description:
\¥0 2020/175295 1 卩(:17 2020 /006652 明 細 書

発明の名称 : 義歯とその取付けアタッチメント

技術分野

[0001 ] 本発明は、 一本の支台歯に遊離端義歯の一端を取り外し 可能に装着する夕 イプの義歯とその取付けアタッチメントに関 するものである。

背景技術

[0002] —本の支台歯に磁性体からなる取付けアタッ チメントを備えて、 この磁性 体に引っ張り力を作用する磁石を基端側に設 け、 両者の磁気引っ張り力で義 歯を支台歯に取り外し可能に装着する遊離端 義歯については、 従来から知ら れている (例えば特許文献 1参照) 。

[0003] 特許文献 1 に記載の遊離端義歯は、 その図 5及び図 6に示すように支台歯 の金属冠の表面に!-型のキーパーを取り付 、 この!-型のキーパーの突出部 に設けた半球状のキーパー凹み部に対して遊 離端義歯の一端側に設けた凹み 部及びこれに対向する!-型キーパーの反対 の面にそれぞれ係合させる半球 状のキーパー表面係合用突起部とキーパー表 面の半球状凹み部に対向する部 分に係合する半球状凹み部を備えると共に、 この両者の間に磁石を挟み込ん だ磁石ユニッ トが開示されている。 そして磁石ユニッ トは、 支台歯と隣接す る義歯の表面に設けられ、 !_型キーパーと磁石ユニッ トとを互いに押し付け てラッチ係合させたり、 支台歯から遊離端義歯を引っ張ってラッチ係 合を解 除させたりして遊離端義歯を支台歯から着脱 させるようになっている。

[0004] 以下にこの特許文献 1のより具体的な構成について詳細に説明す 。 特許 文献 1の 4欄 2 0行目から 4 0行目において、 その具体的な構成として 「部 分義歯に関する本発明の他の具体例を図 5に示す。 図 5において、 !_型のキ —パー2 5は金属冠 3 0の表面に備わっており、 磁石ユニッ ト 3 5が取り外 し可能な義歯に取り付けられている。 キーパー 2 5は、 半球状の凹み部 4 2 と、 半球状に突出したキーパー面 4 3と、 咬合ストッパ _ 4 5を有している 。 磁石ユニッ ト 3 5は、 磁石 3 6と、 上側に半球状に突出したポール端 4 8 〇 2020/175295 2 卩(:171? 2020 /006652

と、 下側に半球状に凹んだポール部材 5 0を有している。 本発明の両具体例 は、 同様な材質で形成されている。 図 5に示す別の具体例の磁石組立体に置 き換えられたとき、 対応する半球状の表面が図 5に示すように形成され、 図 6に示す咬合力〇により咬合ストッパー 4 5が上側のポール端 4 8に接触し て更なる移動を阻止するまで磁石ユニッ トをヒンジ軸 1 ~ 1回りに少しの角度だ け回転するように動かすことができる。 このような配置を有することで、 咬 合力が作用している間、 打ち返しや跳ね上がり等の煩わしい現象が生 じるの を阻止する。 咬合力〇が加わらなくなると、 図 5に示す位置まで義歯全体が 元に戻る。 」 と記載されている。

先行技術文献

特許文献

[0005] 特許文献 1 :米国特許第 4 5 0 8 5 0 7号

発明の概要

発明が解決しようとする課題

[0006] 食べ物を細かく咬み砕いて飲み込んだ後の消 化器官への負担を減らすため 、 咬合の際には、 約 3 IV! 3 ~約 9 IV! 9 a り平均

( 1 2 当たり 3 0 0 トン〜 9 0 0 トン) ) と極めて大きい咬合力が上 下の歯の間に作用する。

[0007] そのため、 このような大きな咬合力が咬合の際に毎回作 用することになる ので、 義歯装着後に数え切れないほどの回数で上述 した咬合力が従来技術と して紹介した特許文献 1 に記載された義歯とこれを装着する支台歯及 びその 連結部分に加わることになる。

[0008] そのため、 従来技術の義歯の支台歯との接続部分の構成 要素の実際上可能 な範囲の寸法では、 短い期間だけ咬合を行った段階でこれらの構 成要素は互 いにすぐに剥離してバラバラになったり、 各構成要素自体が破断して細かい 異物となったりして食べ物と一緒に飲み込ん でしまう恐れが非常に高くなる 〇 2020/175295 3 卩(:171? 2020 /006652

[0009] この理由について以下により詳細に説明する 。 特許文献 1 において開示さ れた内容からその構造の各部品の寸法を必然 的に明らかにすることができる 。 その理由は以下の通りである。

[0010] 義歯を装着する支台歯や義歯自体の大きさと いうものは大体一定の大きさ となっている。 例えば、 小臼歯の場合、 一般的に幅が 8〇!〇!から 9〇!〇!であ るため、 上述した従来技術において開示された構成を この小臼歯に適用しよ うとすると、 従来技術としての特許文献 1の図 5におけるキーパー 2 5の水 平方向に延在する部分の図中縦方向の寸法は 約 1 . 7 6 〇1、 キーパー 2 5 の湾曲部の直径は〇. ポール部材 5 0や磁石 3 6を介してポール部 材 5 0と反対側に配置され端部に半球状のポール 部を有するポール部材 5 0と等価的な部材の図中縦方向の寸法は約 0 . となる。

[001 1 ] このようなことからも明らかなように、 従来技術である先行文献に記載さ れた義歯の接続部分の各構成要素は、 非常に小さい寸法を有しどのような強 度のある金属や樹脂等の材質を使っても少し でも大きな力が作用すると各構 成部品同士が剥離したりそれぞれの構成部品 自体が破損してバラバラになっ たりしてしまうことは明らかである。

[0012] 以上に加えて、 義歯を取り付けた後に食べ物を咬み砕くため には、 歯を上 下にするだけでなく、 前後左右にいわゆるすり潰すように咬み砕く ことが必 要である。 すなわち、 いわゆる直交座標系でいうと X軸、 丫軸、 軸の 3軸 方向の動きが義歯に対して加わり、 義歯もそれに応じて動くことが必要であ る。

[0013] 特に食べ物を咬む段階においては、 単に上の歯と下の歯を上下に咬み合わ せるだけの単純な咬合動作を行うことはまず 考えられず、 食べ物を細かく砕 いた後にすり潰して唾液と混ぜ合わせるため 、 上の歯と下の歯を横方向や前 後方向に動かしながら上下動作を行ういわゆ る 3次元的な咬合力が咬合の際 にそれぞれの歯に加わることになる。 即ち例えば直交座標系で考えてみると 単純な上下方向 ( 軸方向) の咬合力が加わるだけでなく、 前後方向 (X軸 方向) や左右方向 (丫軸方向) の力が合わさって 3次元的なベクトルの大き 〇 2020/175295 4 卩(:171? 2020 /006652

さと方向性を有した複雑な合力として加わ ることになる。 これに起因して咬 合時にはそれぞれの歯に曲げモーメントやね じりモーメントも作用すること になる。

[0014] 咬合に伴う非常に大きな力やモーメントが X V の直交座標系で見て複雑 なべクトルとして絶え間なく変化することに 関してより詳細に説明する。 食 ベ物を咀嚼するにあたって、 固定され動かない上顎骨に対して、 外側翼突筋 や関節頭、 関節窩同士が様々な組み合わせで互いに運動 することで、 食べ物 をせん断して咬みちぎったり、 圧願して嚙み砕いたり、 食べ物を臼磨してす りつぶしたりするという複雑な運動を行って いる。

[0015] そして、 このように食べ物を咀嚼していくにあたって 、 元々の大きさを有 していた食べ物は、 徐々に嚙み砕かれて小さく粉々になって潰れ ていくので 、 これらの運動がこの咀嚼の過程で複雑な方向 に変化しながら作用する。 こ のような理由から、 義歯を支台歯に装着して食べ物を阻嚼する場 合であって も、 通常の天然歯で咬合する場合と同様に、 咬合力が乂丫 の直交座標系の 複雑な合力のべクトルとなって大きさと方向 を常に変化させながら作用する 。 このように食べ物を咀嚼する際の咀嚼動作を 引き起こす下顎の咬み砕き動 作を考えてみると、 天然歯による咬合の場合と同様に義歯を装着 した後の咬 合も非常に複雑な運動になっていることが理 解できる。

[0016] このような理由からも、 咬合時に遊離端義歯や支台歯に単なる上下方 向に 作用するのではなく複雑な 3次元方向に作用する非常に大きな咬合力を 許 文献 1 に開示された構成で受け持つことが明らかに 不可能であることが分か る。 その結果、 遊離端義歯を支台歯に装着した後に通常の咬 合を何度か繰り 返していくうちに、 遊離端義歯を支台歯に取り付ける各構成要素 がバラバラ になったり粉々になったりしてしまう。

[0017] 特に、 近年では例えば工場の食品加工工程で生じた 異物が食品に混入して それを誤飲してしまうことが重大な社会問題 化しており、 特に金属片や樹脂 片などの混入はその誤飲により健康上に重大 な影響を与えるため、 このよう な発生を防ぐことは最重要課題とされている 。 そして、 上述の特許文献 1 に 〇 2020/175295 5 卩(:171? 2020 /006652

おいて開示された発明を実施した場合も、 以上の説明から明らかなように、 これと同様の問題を発生させてしまう恐れが 十分に考えられる。 そのため、 特許文献 1 において開示されたような構成では、 義歯を支台歯に取り付ける ための各構成要素を実際の歯科医療に適用す ることは現実問題としては不可 能であることが明らかであると言える。

[0018] 本発明の目的は、 義歯の着脱が行い易く、 かつ義歯装着者に優れた装着感 と食事中の快適な咬み心地を与えながら長期 に亙って使い続けることが可能 な義歯とその取付けアタッチメントを提供す ることにある。

課題を解決するための手段

[0019] 上述の課題を解決するために、 本発明の請求項 1 に係る義歯とその取付け アタッチメントは、

_ 本の支台歯に _ 端が取り付けられるようになった遊離端 義歯とその取付 けアタッチメントにおいて、

残存歯に被せられることで前記支台歯を形成 する金属冠であって、 前記遊 離端義歯を前記支台歯に取り付けた状態で見 て、 前記金属冠の周面の所定位 置から遊離端義歯の当該支台歯と対向する端 部側に突出した突出部を有する 金属冠と、 当該金属冠の突出部に一端が取り付け取り外 し可能な遊離端義歯 からなり、

前記金属冠の突出部は、 磁性体からなる略球状体と、 当該略球状体と前記 金属冠との接続部をなす固定部を有し、

前記固定部は、 前記金属冠内に配置された埋め込み固定部と 、 当該埋め込 み固定部と一端が結合され前記金属冠の表面 から露出して前記略球状体を接 続した接続固定部からなり、

前記接続固定部の太さは、 前記略球状体の外径よりも小さく、 かつ当該接 続固定部の中心軸線方向は、 前記遊離端義歯を前記支台歯に取り付けた状 態 で見て、 前記金属冠の側方外周面から前記遊離端義歯 の前記金属冠と対向す る一端側に向かって延在し、

前記遊離端義歯の前記金属冠と対向する一端 側には、 前記略球状体が出し 〇 2020/175295 6 卩(:171? 2020 /006652

入れ可能に収容される収容凹み部が形成さ れると共に、 当該収容凹み部の近 傍であって当該収容凹み部より前記遊離端義 歯の他端側に位置するように前 記遊離端義歯の内部に設けられた磁石とを有 し、

前記遊離端義歯を前記支台歯に取り付けた状 態で見て、 前記略球状体は、 当該略球状体の外周面が前記収容凹み部の内 周面に係合しながら、 前記収容 凹み部内に磁気弓 Iっ張り力で留まることで、 前記遊離端義歯の義歯床の底部 が歯肉の表面に接した状態で当該遊離端義歯 が前記支台歯に取り付けられる ようになっており、

前記遊離端義歯の一端と反対側の端部を他端 とした場合、 咬合時に前記遊 離端義歯に対して作用する咬合力に合わせて 、 前記遊離端義歯の一端に備わ る凹み部を支点として前記他端を自由端とし ながら、 前記咬合力が作用する 範囲内において前記遊離端義歯自体が動き、 前記咬合時に前記遊離端義歯が 咬合力の作用する方向に合わせて当該遊離端 義歯の義歯床の底部が、 前記義 歯床を介して歯肉に押し付けられることで生 じる当該歯肉からの圧縮反発力 によって前記突出部や前記収容凹み部に強度 上の許容範囲を超える機械的応 力を生じさせることなく前記前記咬合力を吸 収しながら咬合可能となってお り、

前記遊離端義歯を前記支台歯に装着して咬合 した際、 咬合力の作用する方 向の変化に応じて、 前記突出部の外周面の少なくとも一部が前記 収容凹み部 の内周面の少なくとも一部に直接接触しなが ら互いの相対的接触状態を常に 変化させ、 これによって咬合力の作用方向が上下方向の みならず前後方向や 左右方向に変化することに基づいて前記遊離 端義歯に生じる曲げモーメント のみならずねじりモーメントが発生しても、 前記遊離端義歯の義歯床が前記 歯肉に押し付けられた際に生じる当該歯肉か らの反発力と、 前記突出部の外 周面と前記収容凹みの内周面との間の直接接 触部に生じる係合力を介してこ れらのモーメントを直接支台歯に作用させな いようにした構造を有すること を特徴としている。

[0020] これによって、 突出部や収容凹み部に強度上の許容範囲を超 える機械的応 〇 2020/175295 7 卩(:171? 2020 /006652

力を生じさせることなく長期間に亙って本 発明に係る遊離端義歯を支台歯に 装着して使用し続けることが可能となる。

[0021 ] また、 本発明の請求項 2に係る義歯とその取付けアタッチメントは 請求 項 1 に記載の義歯とその取付けアタッチメントに おいて、

前記金属冠の突出部は、 前記接続固定部の中心軸線の延長線が当該略 球状 体の中心又はその近傍を通過するように、 当該接続固定部の他端に結合され ていることを特徴としている。

[0022] また、 本発明の請求項 3に係る義歯とその取付けアタッチメントは 請求 項 1又は請求項 2に記載の義歯とその取付けアタッチメント おいて、 咬合時に前記遊離端義歯に対して咬合力が三 次元方向に作用した場合であ っても、 前記遊離端義歯の前記支台歯に対する装着状 態を維持できることを 特徴としている。

[0023] また、 本発明の請求項 4に係る義歯とその取付けアタッチメントは 請求 項 1乃至請求項 3の何れかに記載の義歯とその取付けアタッ メントにおい て、

前記遊離端義歯を前記支台歯に取り付けた状 態で見て、 咬合の際に前記突 出部に備わる略球状体の湾曲外周面の少なく とも一部の湾曲面が、 前記凹み 部内の内周面に面接触していることを特徴と している。

[0024] また、 本発明の請求項 5に係る義歯とその取付けアタッチメントは 請求 項 1乃至請求項 3の何れかに記載の義歯とその取付けアタッ メントにおい て、

前記遊離端義歯を前記支台歯に取り付けた状 態で見て、 咬合の際に前記略 球状体の湾曲部の外周面と前記遊離端義歯の 凹み部内の内周面の一部が線接 触していることを特徴としている。

[0025] また、 本発明の請求項 6に係る義歯とその取付けアタッチメントは 請求 項 1乃至請求項 3の何れかに記載の義歯とその取付けアタッ メントにおい て、

前記遊離端義歯を前記支台歯に取り付けた状 態で見て、 咬合の際に前記略 〇 2020/175295 8 卩(:171? 2020 /006652

球状体の湾曲部の外周面と前記遊離端義歯 の凹み部内の内周面の一部が点接 触していることを特徴としている。

[0026] また、 本発明の請求項 7に係る義歯とその取付けアタッチメントは 請求 項 1乃至請求項 6の何れかに記載の義歯とその取付けアタッ メントにおい て、

前記略球状体の代わりに略半球状体が前記突 出部に備わったことを特徴と している。

[0027] また、 本発明の請求項 8に係る義歯とその取付けアタッチメントは 請求 項 1乃至請求項 7の何れかに記載の義歯とその取付けアタッ メントにおい て、

前記金属冠を歯冠に被せて支台歯を構成する 代わりにインプラントを利用 して前記金属冠と共に支台歯を構成すること を特徴としている。

[0028] また、 本発明の請求項 9に係る義歯とその取付けアタッチメントは 請求 項 1乃至請求項 8の何れかに記載の義歯とその取付けアタッ メントにおい て、

前記義歯とその取付けアタッチメントに実際 の義歯の装着状態や使用状況 においては起こりえないほどの過大な咬合力 が作用したことによって前記支 台歯を形成する磁性材料の破壊降伏点を超え る内部応力が生じた場合に、 前 記固定部の部分が破断して前記突出部が 2分割する疲労破断開始部としての 役目を当該固定部が果たしていることを特徴 としている。

[0029] また、 本発明の請求項 1 0に係る金属冠は、 請求項 1乃至請求項 8の何れ かに記載の義歯とその取付けアタッチメント にのみ使用可能な請求項 1乃至 請求項 8の何れかに記載の金属冠である。

[0030] また、 本発明の請求項 1 1 に係る遊離端義歯は、 請求項 1乃至請求項 8の 何れかに記載の義歯とその取付けアタッチメ ントにのみ使用可能な請求項 1 乃至請求項 8の何れかに記載の遊離端義歯である。 発明の効果

[0031 ] 本発明によると、 義歯の着脱が行い易く、 かつ義歯装着者に優れた装着感 〇 2020/175295 9 卩(:171? 2020 /006652

と食事中の快適な咬み心地を与えながら長 期に亙って使い続けることが可能 な義歯とその取付けアタッチメントを提供す ることができる。

図面の簡単な説明

[0032] [図 1]本発明の第 1の実施形態に係る義歯とその取付けアタッ メントの構造 を一部断面で示す側面図である。

[図 2]図 1 に示した義歯とその取付けアタッチメントを 一部断面で示す平面図 である。

[図 3]図 1 に示した義歯とその取付けアタッチメントの 部分拡大図である。

[図 4]第 1の実施形態に係る義歯とその取付けアタッ メントの作用を説明す るための図 1 に対応する側面図である。

[図 5]第 1の実施形態の変形例に係る義歯とその取付 アタッチメントの部分 拡大図である。

[図 6]図 1乃至図 4に示した第 1の実施形態及びその変形例に係る義歯とそ 取付けアタッチメントの取付け位置の一例を 示す説明図である。

[図 7]本発明の第 2の実施形態に係る義歯とその取付けアタッ メントの構造 を一部断面で示す側面図である。

[図 8]図 7に示した義歯とその取付けアタッチメント 部分拡大図である。

[図 9]図 7に示した義歯とその取付けアタッチメント 一部断面で示す平面図 である

[図 10]本発明の第 1の実施形態及びその変形例並びに第 2の実施形態に共通 する義歯とその取付けアタッチメントの係合 状態を示す様々な説明図である

[図 1 1]図 1 0に続き、 本発明の第 1の実施形態及びその変形例並びに第 2の 実施形態に共通する義歯とその取付けアタッ チメントの係合状態を示す様々 な説明図である。

[図 12]図 1 1 に続き、 本発明の第 1の実施形態及びその変形例並びに第 2の 実施形態に共通する義歯とその取付けアタッ チメントの係合状態を示す様々 な説明図である。 〇 2020/175295 10 卩(:171? 2020 /006652

発明を実施するための形態

[0033] 以下、 本発明に係る義歯とその取付けアタッチメン トについて紹介する。

本発明は、 上述した通り片端が歯根膜負担型の遊離端義 歯及びその取付けア タッチメントに関するものである。 ここで本発明に係る遊離端義歯を取り付 ける前提条件としての歯の組織の構造につい て説明する。

[0034] 歯の組織に関して上顎と下顎のそれぞれの歯 肉の内側に埋め込まれたそれ それの歯の歯根の部分はその表面は堅いセメ ント質で覆われ、 歯根膜という 非常に硬い繊維結合組織によって上顎と下顎 のそれぞれの歯根の周囲の骨と つながっている。

[0035] それぞれの歯がこのような組織となっている ことで、 約 3 IV! 3〜約 9 IV!

9 a トン〜 9

0 0 トン) ) と極めて大きい咬合力に耐えて食べ物を咬み 砕くようになって いる。

[0036] しかしながら、 若い頃から強く咬む習慣のある人の場合、 長年にわたって 上述した大きな咬合力が歯根膜に加わり、 歯根膜自体が圧迫されて損傷し顎 骨の吸収を招き、 歯の動揺が発生して高齢になるに従って歯の 欠損が生じて しまう。

[0037] そのため、 遊離端義歯を装着して咬合するにあたって支 台歯の歯根膜に局 所的な応力やモーメントを作用させず、 健全な歯根膜については歯根膜自体 はその健全な状態を保つように、 あまり健全でない歯根膜についてはその歯 根膜自体の損傷が極力進まないようにするこ とが大切である。

[0038] そして、 本発明では支台歯自体、 特に歯根とその周りの骨の間を全体的に 結合させて歯根を顎骨にしっかりと固定する 歯根膜を極力傷めることなく、 かつ近年社会問題化している誤飲を生じさせ ないようにする遊離端義歯の構 造について発明者は着想したため、 その具体的構成を以下に説明する。

[0039] なお、 以下の第 1の実施形態及びその変形例並びに第 2の実施形態の説明 において、 各構成要素を図面においても示しているが、 各図面における各構 成要素の形状及び寸法についてはそれぞれを 厳密に一致させていない。 これ 〇 2020/175295 1 1 卩(:171? 2020 /006652

は、 これらの形状及び寸法のそれぞれの違いにつ いては、 当然に全て本発明 の範囲内に含まれるため、 説明の便宜上あえて分かり易く描いているた めで ある。 従って、 各図面における各構成要素の形状や寸法関係 の違いについて は、 本発明の範囲内に全く影響を与えるものでな いことを付言しておく。

[0040] また、 各図面と関連した説明において、 上下方向は、 上側を義歯の義歯本 体側 (人工歯側) 、 下側を義歯床側とした方向を基準として定め る。 また、 平面視とは、 義歯の歯の先端側から見た状態とする。 また、 図面中ハッチン グすべきところを説明の理解の容易化のため に適宜省略している。

[0041 ] 最初に本発明の第 1の実施形態に係る義歯とその取付けアタッ メントに ついて図面に基づいて詳細に説明する。 図 1は、 本発明の第 1の実施形態に 係る義歯とその取付けアタッチメントの構造 を一部断面で示す側面図である 。 また、 図 2は、 図 1 に示した義歯とその取付けアタッチメントを 一部断面 で示す平面図である。 また、 図 3は、 図 1 に示した義歯とその取付けアタッ チメントの部分拡大図である。 また、 図 4は、 第 1の実施形態に係る義歯と その取付けアタッチメントの作用を説明する ための図 1 に対応する側面図で ある。 また、 以下の説明において、 義歯と支台歯の係合部分の符号について は、 図 3に特に詳しく示している。

[0042] なお、 図 1乃至図 3において金属冠に備わった突出部の略球状 と義歯の 凹み付き係合部に備わった係合用凹み部との 間には隙間が描かれているが、 これは説明の都合上示したもので、 実際には磁石による十分な磁気弓 Iっ張り 力が磁性体でできた略球状体に作用した場合 、 後に詳細に説明するように両 者はそれぞれの所定の領域同士が面接触、 線接触、 点接触の何れかの状態で 係合し合うようになっている。

[0043] 本発明の第 1の実施形態に係る義歯とその取付けアタッ メント 1 (以下 、 適宜単に 「義歯とその取付けアタッチメント 1」 とする) は、 一本の支台 歯 8 0に取り付ける遊離端義歯 1 0とその取付けアタッチメント 2 0からな る。

[0044] そして、 取付けアタッチメント 2 0は、 一本の支台歯 8 0に取り付ける金 〇 2020/175295 12 卩(:171? 2020 /006652

属越 2 0 0と、 金属越 2 0 0の周囲の尸斤定位置に備わり少なくとも周 の _ 部が湾曲した磁性体からなる突出部 3 0 0を有している。

[0045] 金属冠 2 0 0は、 歯冠部分が虫歯などで損傷したときにその部 分を治療し て歯冠に被せる金属でできた冠 (クラウン) である。

[0046] 突出部 3 0 0は、 磁性体からなる略球状体 3 1 0と、 略球状体 3 1 0と金 属冠との接続部をなす固定部 3 2 0を有している。 固定部 3 2 0は、 金属冠 内に配置された埋め込み固定部 3 2 1 と、 埋め込み固定部 3 2 1 と一端が結 合され金属冠 2 0 0の表面から露出して略球状体 3 1 0と接続した接続固定 部 3 2 2からなる。

[0047] なお、 接続固定部 3 2 2は、 略球状体 3 1 0と埋め込み固定部 3 2 1 との 接続部分をなし、 金属冠 2 0 0の表面に接する部分の形態をなしたり、 この 表面から僅かに突出した部分をなしたり、 或いは所定の長さを有する円柱部 分をなしたりと、 本発明においては様々な形態をとっている。

[0048] 接続固定部 3 2 2の太さは、 略球状体 3 1 0の外径よりも小さく、 かつ接 続固定部 3 2 2の中心軸線方向は、 遊離端義歯 1 0を支台歯に取り付けた状 態で見て、 金属冠の側方外周面から前記遊離端義歯の金 属冠 2 0 0と対向す る一端側に向かって延在している。

[0049] 突出部 3 0 0は上述したように磁性材でできており、 かつ強度と耐久性や 耐食性に優れた例えばステンレス鋼や金の合 金、 白金の合金等が用いられて いる。 また、 突出部 3 0 0は、 その埋め込み固定部 3 2 1が金属冠 2 0 0の 周面の一部に金属冠 2 0 0の錶造時に第三合金による合着、 錶造金属による 把持、 又は蝋着され、 この金属冠 2 0 0の周面から突出部 3 0 0が遊離端義 歯 1 0の装着方向に突出するようになっている。

[0050] そして、 本実施形態においては、 金属冠 2 0 0の突出部 3 0 0は、 接続固 定部の中心軸線の延長線が略球状体の中心又 はその近傍を通過するように、 接続固定部 3 2 2の他端に結合されている。 これによって、 遊離端義歯 1 0 に加わった咬合力が略球状体 3 1 0及び接続固定部 3 2 2を介して金属冠 2 0 0に伝わる際に接続固定部 3 2 2において局所的な応力集中が生じるのを 〇 2020/175295 13 卩(:171? 2020 /006652

極力防止し、 咬合力が金属冠全体に分散して歯冠 8 1 を介して歯根 8 2や歯 根膜 8 3に極力均一に伝達するようにしている。

[0051 ] しかしながら、 本発明においては、 必ずしも金属冠 2 0 0の突出部 3 0 0 は、 接続固定部 3 2 2の中心軸線の延長線が略球状体 3 1 0の中心又はその 近傍を通過するように構成されている必要は 無い。 即ち、 このような構成で なくても遊離端義歯 1 〇に加わった咬合力を金属冠全体に伝え、 この伝達し た力が金属冠全体に分散して金属冠 2 0 0が歯冠 8 1 を介して歯根 8 2や歯 根膜 8 3にほぼ均一に伝達させることができる構成 有していれば本発明の 範囲に属する。

[0052] 突出部 3 0 0の略球状体 3 1 0は、 図 3に示すようにその基端側の下側部 分、 即ち接続固定部 3 2 2との連結部分に下側凹み部 3 2 3を有しており、 同図から分かるように、 この下側凹み部 3 2 3に後述する凹み付き係合部 1 3 0の下端から延在する下端部 1 3 5の先端 1 3 6が入り込んで係合するよ うになっている。

[0053] なお、 図 1 における下端部 1 3 5と図 3における下端部 1 3 5との図中左 側の部分の形状が異なっているが、 これは本発明では何れの形状でも良いこ とを表している。

[0054] そして、 後述する磁石 1 4 0が、 磁性体からなる突出部 3 0 0に磁気引っ 張り力を作用させて遊離端義歯 1 〇が支台歯 8 0から離れないようにしてい る。 また、 図 3に示す状態においては、 下端部 1 3 5の先端 1 3 6が突出部 3 0 0の下側凹み部 3 2 3に引っ掛かって遊離端義歯 1 0が支台歯 8 0から 離れないようにするのを補助している。

[0055] 遊離端義歯 1 0は、 少なくとも一本の義歯本体 1 1 0 ( 1 1 1 , 1 1 2 ,

1 1 3 , ) と、 義歯本体 1 1 0を支える義歯床 1 2 0と、 支台歯 8 0に 隣接させる端部に配置された凹み付き係合部 1 3 0と、 磁石ホルダー 1 5 0 に収容された上で義歯本体 1 1 〇や義歯床 1 2 0に埋め込まれ遊離端義歯 1 〇との結合部側に備わる磁石 1 4 0を有している。

[0056] 磁石 1 4 0は、 本実施形態においては図 1 に示すように 2本の義歯本体の 〇 2020/175295 14 卩(:171? 2020 /006652

内部に亙るように配置されており、 十分な大きさの磁気引っ張り力を磁性材 でできた突出部 3 0 0に向かって遊離端義歯 1 〇の延在方向と一致する方向 に作用させるようになっている。

[0057] なお、 本実施形態においては、 磁石 1 4 0は義歯本体の内部に配置されて いるが、 その一部が義歯床に配置されていたり、 義歯本体の大きさが小さい 場合は、 その義歯本体の下側の義歯床 1 2 0の内部のみに配置されたりして いるようになっていても良い。

[0058] また、 本発明においては、 磁石 1 4 0が遊離端義歯 1 〇の延在方向に合わ せて延在するように配置されているので、 遊離端義歯 1 〇に備わる義歯本体 の本数に応じて磁石 1 4 0の大きさ、 即ち磁性材からなる略球状体 3 1 0に 及ぼす磁気引っ張り力の大きさを調節できる 。 これによって、 義歯本体の本 数が多く長手方向に亙って長さの長い遊離端 義歯 1 〇を支台歯 8 0に装着す る際に簡単に外れにくい十分な大きさの磁気 引っ張り力を支台歯 8 0の金属 冠 2 0 0に備えた磁性体である突出部 3 0 0に作用させることができる。

[0059] 一方、 凹み付き係合部 1 3 0は、 磁石ホルダー 1 5 0と一体となって形成 されている。 凹み付き係合部 1 3 0及び磁石ホルダー 1 5 0は、 耐久性や強 度、 耐食性に優れた例えばステンレス鋼でできて おり、 磁石ホルダー 1 5 0 の部分は、 義歯用樹脂でできた義歯本体 1 1 〇及び義歯床 1 2 0の中に埋め 込まれている。 なお、 凹み付き係合部 1 3 0と磁石ホルダー 1 5 0は、 必ず しも一体に形成されている必要はなく、 これらを別体に形成して互いにしっ かりと結合しても良い。

[0060] 本実施形態がこのような構成を有することで 、 磁石 1 4 0が義歯装着者の 口の中に露出することがなく、 磁石 1 4 0の材質によって味覚に違和感を憶 えたり、 磁石 1 4 0の破片が口の中に入ったりするのを防いで る。

[0061 ] 凹み付き係合部 1 3 0は、 遊離端義歯 1 0を支台歯 8 0に取り付けた状態 で見て、 支台歯 8 0と対向する面側に突出部 3 0 0が嵌り込む係合凹み部 1 3 1 を有している。 更には、 凹み付き係合部 1 3 0の義歯床側の下端部 1 3 5 (図 1及び図 3の下側端) に、 遊離端義歯 1 0を支台歯 8 0に取り付けた 〇 2020/175295 15 卩(:171? 2020 /006652

状態で歯肉 8 5の表面と一定の間隔を隔てている (図 1及び図 3に示す空間 3 1参照) 。

[0062] 係合凹み部 1 3 1の大きさは、 係合凹み部 1 3 1 に突出部 3 0 0を係合さ せるために揷入する際に互いに干渉しない寸 法となっている。 これにより、 遊離端義歯 1 〇を支台歯 8 0に取り付けた状態において、 突出部 3 0 0は、 遊離端義歯 1 0に備わった磁石 1 4 0の吸引力や場合に応じてその下側凹み 部 3 2 3と下端部 1 3 5の先端 1 3 6との係合力によって係合凹み部 1 3 1 に押し付けられている。

[0063] そして、 突出部 3 0 0が略球状体 3 1 0を有することで、 凹み付き係合部

1 3 0は、 係合凹み部 1 3 1 に嵌合した突出部 3 0 0を支点として、 いわゆ るユニバーサルジョイントのように動くよう になっている。 具体的には、 突 出部 3 0 0を嵌合した状態で収容する凹み付き係合部 1 3 0が、 突出部 3 0 0の中心を回転中心として所定の中心角度範 内で動くことで、 遊離端義歯 1 〇の延在方向が、 支台歯 8 0の中心軸線に対して所定の延在角度範囲内 変化できるようになっている。

[0064] なお、 遊離端義歯 1 0を支台歯 8 0に装着した状態において、 突出部 3 0

0の略球状体 3 1 0と係合凹み部 1 3 1 とは、 磁石 1 4 0の磁気引っ張り力 によって互いに面接触するか、 線接触するか、 点接触するかの何れかの接触 状態を保つようになっている。 これについては後に詳細に説明する。

[0065] また、 下端部 1 3 5は、 遊離端義歯 1 0を支台歯 8 0に取り付けた状態に おいて、 遊離端義歯 1 〇の義歯床 1 2 0がその底面全体に唾液を介在させな がら接触している歯肉 8 5の上面に対して一定の空間 3 1 を隔てて対向配置 するようになっている。

[0066] また、 係合凹み部 1 3 1の下端部 1 3 5と反対側の端部、 即ち図 1及び図

3の上側端部は、 義歯本体 1 1 0の一部によって塞がれている。

[0067] 以上のような構成に基づいて、 遊離端義歯 1 〇を支台歯 8 0に取り付けた 状態で見て、 咬合前においては、 図 1 に示すように、 突出部 3 0 0が凹み付 き係合部 1 3 0に係合することで、 遊離端義歯 1 0が支台歯 8 0に結合する 〇 2020/175295 16 卩(:171? 2020 /006652

と共に、 遊離端義歯 1 〇の義歯床 1 2 0の底面が口の中の唾液層 (図 1中ド ッ トロで示す部分参照) を介して歯肉 8 5の上面に全面的に密着することで 、 遊離端義歯 1 〇を支台歯 8 0に所定の遊びを保ちながらしっかりと取り けるようになっている。 なお、 図 1及び図 3にドッ トで示す唾液層 0の層の 厚みは、 本発明の作用の理解を容易化するために誇張 して厚く描いている。

[0068] また、 遊離端義歯 1 0を支台歯 8 0に取り付けた状態において、 凹み付き 係合部 1 3 0には、 突出部 3 0 0が嵌まり込むと共に、 突出部 3 0 0の湾曲 部の少なくとも一部 (本実施形態ではかなりの部分) が凹み付き係合部 1 3 〇内に磁気引っ張り力によって留まりながら 、 支台歯 8 0に対する遊離端義 歯 1 0の相対位置や相対角度が所定の範囲内で変 可能となっている。

[0069] なお、 遊離端義歯 1 0は、 咬合時に咬合力が義歯本体 1 1 0に作用した際 (図 4に示すカ 1参照) 、 義歯床 1 2 0の支台歯 8 0と反対側の端部 (図 4における右側端部) が歯肉 8 5に押し付けられて動かなくなるまで、 凹み 付き係合部 1 3 0に嵌合した突出部 3 0 0を回転中心として動くようになっ ている。

[0070] これにより、 咬合前に義歯床 1 2 0の下面全体に介在する唾液層 0のうち 、 咬合の際には支台歯 8 0と反対側の義歯床 1 2 0と歯肉 8 5との間に介在 した唾液がかなり押し出され、 この部分の義歯床 1 2 0と歯肉 8 5とが密着 することになる (図 4に示すドッ ト状の唾液層 0の介在位置参照) 。

[0071 ] 本発明の第 1の実施形態に係る義歯とその取付けアタッ メント 1が上述 のような構成を有することで、 以下の作用効果を発揮することができる。 具 体的には、 図 4に示すように咬合時において、 遊離端義歯 1 0の支台歯 8 0 と反対側の端部が歯肉 8 5に押し付けられて押さえられると共に、 遊離端義 歯 1 〇の支台歯側の端部が咬合力の一部を支台歯 8 0のほぼ軸線方向のみに 作用させることができる (図 1 に示す状態から図 4に示す状態の変化及び図 4における咬合カ 1参照) 。

[0072] これにより、 遊離端義歯 1 〇に加わる咬合力を支台歯 8 0と遊離端義歯 1

0の歯肉 8 5に押し付けられる部分で均等に負担するこ ができ、 咬合力が 〇 2020/175295 17 卩(:171? 2020 /006652

支台歯 8 0のみに加わるのを阻止でき、 支台歯 8 0の負担軽減に貢献する。

[0073] また、 従来例として説明したような特許文献 1の構成では、 その各構成要 素の具現化可能な寸法に鑑みると、 現実には人間の義歯として適用不可能と なる機械的強度の小ささを持ち合わせている のに過ぎない。 即ち、 実際の歯 科医療に利用できない構造上の脆弱性を要し ているという致命的欠点がある と言える。

[0074] そのため、 現実の歯科医療に実際に用いることができる 義歯としては、 金 属冠 2 0 0の突出部 3 0 0と凹み付き係合部 1 3 0の係合凹み部 1 3 1が特 有の構成を有した本発明のような義歯とその 取付けアタツチメントの結合構 造を有していることが必須要件であることが 理解できる。

[0075] また、 遊離端義歯 1 〇の延在方向が支台歯 8 0の中心軸線に対して咬合時 においても角度変化することなく咬合前と同 じような状態を維持する形態を 有する遊離端義歯において生じる好ましくな いモーメント、 即ち支台歯 8 0 をその咬合前の中心軸線に対して傾けるモー メントの発生を抑制する。

[0076] その結果、 歯根膜 8 3の遊離端義歯側が押し潰されて過度の圧縮 力が発 生したり、 歯根膜 8 3の遊離端義歯 1 0と反対側が無理やり引っ張られて過 度の引っ張り応力が発生したりするのを防止 する。

[0077] 即ち、 支台歯 8 0に対して、 これに遊離端義歯 1 0を取り付ける前の咬合 力が作用する力のかかり具合 (作用する力の大きさ及びその作用方向) と同 等の力のかかり具合 (作用する力の大きさ及びその作用方向) を維持するこ とができる。 これによって、 歯根膜 8 3の健全な状態を保ち、 支台歯 8 0を 傷めることなく長持ちさせると共に、 支台歯 8 0に取り付けた遊離端義歯 1 0を長期に亙って使い続けることができる。

[0078] また、 強く咬む癖のある人であっても、 残存歯の多い状態でこの歯根膜負 担型の遊離端義歯 1 0を支台歯 8 0に取り付けると共に強く咬む習慣を改め ていけば、 更なる残存歯の欠損を防ぐと共に、 この支台歯の歯根膜の状態を 悪化させずに支台歯 8 0の欠損を防ぎ、 かつ支台歯 8 0に取り付けられた遊 離端義歯 1 〇を長期に亙って使い続けることができる。 〇 2020/175295 18 卩(:171? 2020 /006652

[0079] また、 遊離端義歯 1 0の咬合時の傾きによって生じる突出部 3 0 0に及ぼ す力を、 義歯を備えない通常の咬合時と同じように支 台歯 8 0の軸線方向に 作用させることができる。 この作用により、 突出部 3 0 0を遊離端義歯 1 0 に向かって引っ張るような方向、 即ち支台歯 8 0の軸線方向と交差する横方 向に作用するのを抑える。 これにより、 咬合時においても支台歯 8 0を遊離 端義歯 1 〇に向かって引っ張りながら倒すような歯根 膜 8 3を破壊させるに 至る深刻な現象を生じさせずに済む。

[0080] 即ち、 支台歯 8 0の遊離端義歯側の歯根膜 (図 4における右側の歯根膜)

8 3 3 の線維組織を無理矢理潰したり、 支台歯 8 0の遊離端義歯 1 0と反対 側の歯根膜 (図 4における左側の歯根膜) 8 3 の線維組織を無理矢理引き 延ばしたりすることなく、 義歯を装着した後に長期間の咬合によって歯 根膜 8 3が傷むのを阻止し、 義歯を長期に亙って使用し続けることができ る。

[0081 ] また、 凹み付き係合部 1 3 0と遊離端義歯 1 0の義歯床 1 2 0が接触する 歯肉 8 5の間に空間 3 1 を形成することで、 遊離端義歯 1 0を支台歯 8 0に 取り付ける際や取り外す際に凹み付き係合部 1 3 0が歯肉 8 5に押し付けら れることなく、 遊離端義歯 1 〇の支台歯 8 0に対する着脱を簡単かつ快適に 行うことができる。

[0082] また、 凹み付き係合部 1 3 0と遊離端義歯 1 0の義歯床 1 2 0が接触する 歯肉 8 5の間に空間 3 1が形成されていることで、 義歯を外した後に金属冠 2 0 0の突出部 3 0 0とこれに対向する歯肉 8 5との間には更に広い隙間が 存在することになる。 このような隙間を生じさせることで、 義歯を外して支 台歯 8 0を歯ブラシ等で磨く際にこの隙間に溜まっ 食べ物の食べカスを容 易に取り除くことができる。 その結果、 この部分にこれら食べカスが詰まっ たままとならず、 その後の虫歯や口臭の発生を防止することが できる。

[0083] また、 係合凹み部 1 3 1の開口部の大きさが突出部 3 0 0を係合させるた めに揷入する際に干渉しない寸法となってお り、 磁石 1 4 0の吸引力のみで 突出部 3 0 0を係合凹み部 1 3 1 に嵌め込むようにすることで、 係合凹み部 1 3 1の開口部と突出部 3 0 0の間の寸法公差を厳密に管理する必要がな 〇 2020/175295 19 卩(:171? 2020 /006652

なる。 これにより、 遊離端義歯 1 0のコストダウンを図ることができると共 に、 遊離端義歯 1 〇を支台歯 8 0に取り付けたり取り外したりする際に簡単 に着脱することができる。

[0084] また、 略球状体 3 1 0と金属冠 2 0 0の下部に形成された凹み部 2 2 2を 利用して、 この凹み部 2 2 2に下端部 1 3 5の先端 1 3 6を係合させ、 磁石 1 4 0の吸引力に加えてこの係合力を補助的な力 して利用することで、 突 出部 3 0 0が係合凹み部 1 3 1から離れるのを確実に防止することができ

[0085] その結果、 義歯装着者に快適な装着感や咬み心地を与え ることができ、 食 ベ物を咬む間中気持ち良く咬み続けることが でき、 ストレスを受けることな く遊離端義歯 1 〇を装着し続けかつ食事を楽しむことができ るようになる。 これによって、 食べ物をきちんと消化することができ、 特に高齢者にとって 重要な健康の維持を図りつつ良好な体調の維 持や向上に貢献することができ る。

[0086] また、 咬合時に支台歯 8 0と遊離端義歯 1 0の間に余分な隙間ができるこ とはなく、 このような隙間に挟まって咬み潰すことがで きない食べ物がその まま飲み込まれて胃腸における消化不良を招 く虞もない。

[0087] 以上の通り、 遊離端義歯 1 〇の延在方向を支台歯 8 0の中心軸線に対して 所定の角度範囲内で無理なく変化させること ができる。 これにより、 咬合時 に支台歯 8 0と遊離端義歯 1 0の接続部分に無理な力を加えずに済む。 同様 に、 義歯装着者に快適な装着感を与えることがで きると共に、 支台歯 8 0に 過大な応力がかからずに支台歯 8 0を長持ちさせることができる。

[0088] その結果、 支台歯 8 0に過大な力がかかって歯根膜 8 3を痛めたり歯根膜 自体を潰したりしてしまうのを回避し、 貴重な支台歯 8 0の欠損を防ぐこと ができる。 また、 義歯の結合部の破損によって歯肉 8 5を傷つけることなく かつ破損部分の誤飲という問題も生じさせず に済む。

[0089] また、 咬合時に遊離端義歯 1 0の支台歯 8 0と反対側の端部が歯肉 8 5に 押し付けられて押さえられると共に、 遊離端義歯 1 0の支台歯側の端部が咬 〇 2020/175295 20 卩(:171? 2020 /006652

合力の一部を支台歯 8 0のほぼ軸線方向のみに作用させることがで る。 こ れにより、 遊離端義歯 1 〇の延在方向が支台歯 8 0の中心軸線に対して角度 変化することなく、 咬合前と同じような状態を維持し、 従来例の特許文献 1 で開示されたような遊離端義歯の使用に伴う 好ましくないモーメント、 即ち 支台歯をその中心軸線に対して傾けるモーメ ントの発生を抑制する。

[0090] その結果、 歯根膜 8 3の遊離端義歯側が押し潰されて過度の圧縮 力が発 生したり、 歯根膜 8 3の遊離端義歯と反対側が無理やり引っ張ら て過度の 引っ張り応力が発生したりするのを防止する 。

[0091 ] これにより、 歯根膜 8 3の健全な状態を保ち、 支台歯 8 0を傷めることな く長持ちさせると共に、 支台歯 8 0に取り付けた遊離端義歯 1 0を長期に亘 って使い続けることができる。

[0092] また、 強く咬む癖のある人であっても、 残存歯の多い状態でこの歯根膜負 担型の遊離端義歯 1 0を支台歯 8 0に取り付けると共に強く咬む習慣を改め ていけば、 更なる残存歯の欠損を防ぐと共に、 支台歯 8 0の歯根膜 8 3の状 態を悪化させずに支台歯 8 0の欠損を防ぎ、 かつ支台歯 8 0に取り付けられ た遊離端義歯 1 〇を長期に亙って使い続けることができる。

[0093] なお、 遊離端義歯 1 0を支台歯 8 0に取り付ける際には、 遊離端義歯 1 0 を指先でその延在方向周りに捻りながら支台 歯 8 0の突出部 3 0 0に遊離端 義歯 1 0の一方の端部に備わった係合凹み部 1 3 1 を押し付けて遊離端義歯 1 〇を支台歯 8 0に取り付ける。 一方、 遊離端義歯 1 0を支台歯 8 0から取 り外す際には、 遊離端義歯 1 〇を指先でその延在方向周りに捻りながら支 台 歯 8 0の突出部 3 0 0から遊離端義歯 1 0の一方の端部に備わった係合凹み 部 1 3 1 を外すことで遊離端義歯 1 0を支台歯 8 0から取り外す。 このよう な装着方法を身に付けることで、 高齢者で指先の感覚が衰えた人であっても 簡単かつ確実に義歯の装着を行うことができ る。

[0094] また、 上述した支台歯 8 0に対する遊離端義歯 1 0の着脱の際に、 下端部

1 3 5と遊離端義歯 1 0の義歯床 1 2 0が接触する歯肉 8 5の間に空間 3 1 が形成されているので、 下端部 1 3 5が歯肉 8 5に押し付けられることなく 〇 2020/175295 21 卩(:171? 2020 /006652

、 遊離端義歯 1 〇の支台歯 8 0の着脱を簡単かつ痛みを伴うことなく快適 行うことができる。

[0095] 特に、 突出部 3 0 0が略球状体 3 1 0の形態をなしていることで、 遊離端 義歯 1 〇を支台歯 8 0に取り付けたり取り外したりする際に略球 体 3 1 0 の湾曲面を利用して抵抗を受けることなく滑 らかに着脱を行うことができる 。 また、 義歯の着脱に伴って遊離端義歯 1 〇を支台歯 8 0に対して押し付け たり引っ張ったりする際に、 この押し付け方向や引っ張り方向にある程度 の 自由度を持たせることができ、 義歯の着脱が行い易くなる。 その結果、 特に 指先を器用に動かすことのできない義歯装着 者が遊離端義歯 1 0の支台歯 8 〇の着脱を一人で簡単に行うことができる。

[0096] 以上のことにより、 通常の使用状態では遊離端義歯 1 0が支台歯 8 0から 外れにくく、 遊離端義歯 1 〇を指でつまんで取り付ける際や取り外す際 の着 脱が大変行い易くなっている。

[0097] また、 上述したように、 下端部 1 3 5と遊離端義歯 1 0の義歯床 1 2 0が 接触する歯肉 8 5の間に空間 3 1が形成されていることで、 遊離端義歯 1 0 を外した後に金属冠 2 0 0の突出部 3 0 0とこれに対向する歯肉 8 5との間 には更に広い隙間が存在することになる。 このような隙間を生じさせること で、 遊離端義歯 1 〇を外した後に支台歯 8 0を歯ブラシ等で磨く際に、 突出 部 3 0 0と歯肉 8 5上面との間に十分な隙間を確保することが きる。 その 結果、 この隙間に溜まった食べ物の食べカスを容易 に取り除くことができ、 これらの食べカスが詰まったままとならず、 その後の虫歯や口臭の発生を防 止することができる。

[0098] また、 係合凹み部 1 3 1の下端部 1 3 5と反対側の端部 (図 1及び図 3中 上側端部) が義歯本体 1 1 0の一部で塞がれていることで、 食べ物を咬んで いる最中に係合凹み部 1 3 1の中に食べ物が入り込んで詰まるのを確実 防 止できる。

[0099] また、 係合凹み部 1 3 1の溝幅が突出部 3 0 0を係合させるために挿入す る際に干渉しない寸法となっており、 磁石 1 4 0の吸引力のみで突出部 3 0 〇 2020/175295 22 卩(:171? 2020 /006652

0を係合凹み部 1 3 1 によって保持するようにすることで、 係合凹み部 1 3 1 と突出部 3 0 0の間の寸法公差を厳密に管理する必要がな なる。 これに より、 義歯 1 0の凹み部加工上のコストダウンを図ること できると共に、 義歯 1 〇を支台歯 8 0に取り付けたり取り外したりする際に簡単 着脱する ことができる。

[0100] なお、 磁石 1 4 0の磁力をそれなりに強力なものとすれば、 磁力の吸引力 のみであっても遊離端義歯 1 〇を支台歯 8 0にしっかりと結合させておくこ とができる。

[0101 ] これは、 従来技術では見られない本発明特有の特徴点 である。 具体的には 、 上述した本発明特有の遊離端義歯 1 〇の内部に配置された磁石 1 4 0の特 別な配置構造 (配置場所及び配置方向並びにこれらに基づ く磁力線を利用し た磁気弓 Iっ張り力が遊離端義歯 1 〇の長手方向に合致して磁性材からなる突 出部 3 0 0に作用することから十分理解できる。

[0102] また、 接続固定部 3 2 2の太さは、 略球状体 3 1 0の外径よりも小さく、 かつ接続固定部 3 2 2の中心軸線方向は、 遊離端義歯 1 0を支台歯 8 0に取 り付けた状態で見て、 金属冠 2 0 0の側方外周面から遊離端義歯 1 0の金属 冠 2 0 0と対向する 端側に向かって延在している。

[0103] 本発明に係る義歯とその取付けアタッチメン トを用いた場合、 このような 特有の構成に基づいて通常の咬合力を長期間 受け続けても、 義歯の支台歯に 対する取付け部の破損を回避することが可能 であることが分かる。

[0104] 即ち、 通常の咬合を長期間続けても、 特に咬合力が大きく影響しやすい金 属冠 2 0 0に備わった突出部 3 0 0やこれが係合する遊離端義歯側の係合凹 み部 1 3 1 に強度上の許容範囲を超える機械適応力を生 じさせることがない

[0105] これによって、 突出部 3 0 0や係合凹み部 1 3 1 に強度上の許容範囲を超 える機械的応力を生じさせることなく長期間 に亙って本発明に係る遊離端義 歯を支台歯に装着して使用し続けることが可 能となる。

[0106] 一方、 万が一、 義歯を支台歯に装着して日常生活を送る上で ありえない状 〇 2020/175295 23 卩(:171? 2020 /006652

況、 例えば災害発生等の緊急時において思いっき り歯を食いしばって極めて 重たい家具が倒れたりするのを防止したり通 常では運び切れない重たい荷物 を移動させるようないわゆる火事場の馬鹿力 をもって行動するような場合に 、 その際の日常生活ではありえない想定外の状 況に応じて遊離端義歯に尋常 でない大きさの咬合力が加わり、 仮に突起部を形成する磁性材料の破壊降伏 点を超える内部応力が生じたとしても、 接続固定部 3 2 2の部分が破断して 突出部 3 0 0が 2分割する疲労破断開始部としての役目を接 固定部 3 2 2 が果たすようになっている。

[0107] これによって、 金属冠 2 0 0から分離した略球状体 3 1 0とこれにつなが る接続固定部 3 2 2の一部は磁石 1 4 0から受ける磁気引っ張り力によって 係合用凹み部内に留まり、 口腔内に脱落することがない。 また、 接続固定部 3 2 2の金属冠側の部分は、 埋め込み固定部 3 2 1 と一体となって金属冠 2 0 0に固定されたままとなる。 その結果、 分離した突出部 3 0 0の一部が口 腔内に脱落して誤って飲み込んでしまうよう な事態を避けることができる。

[0108] 図 5は、 第 1の実施形態の変形例に係る義歯とその取付 アタツチメント の部分拡大図である。 この変形例においては、 第 1の実施形態の下端部 1 3 5の形状をより簡単な構成の下端部 1 3 7に変更して示している。 この場合 、 同図からも明らかなように第 1の実施形態の突出部 3 0 0の下側部分であ って略球状体 3 1 0と接続固定部 3 2 2との間に形成された下側凹み部 3 2 3に下端部 1 3 7の先端 1 3 9が入り込む構成とはなっていない。

[0109] しかしながら、 第 1の実施形態に比べてより大きな磁気引っ張 力を生じ させる磁石 1 4 0を用いることで、 この変形例のような形状でも遊離端義歯 1 0を支台歯 8 0にしっかりと装着さしておくことができる 即ち、 上述し た第 1の実施形態のように突出部 3 0 0の接続固定部 3 2 2と略球状体 3 1 0との結合部に形成された下側の凹み部分に 端部 1 3 5の先端 1 3 6を係 合させて磁石 1 4 0の吸引力に加えてこの係合力を補助的な力 して利用す る必要がなくなる。 これによって、 突出部 3 0 0が係合凹み部 1 3 1から離 れるのを防止する複雑な構造を取らずに済む 。 即ち、 下端部 1 3 5の形状を 〇 2020/175295 24 卩(:171? 2020 /006652

より簡単なものとすることができ、 この部分の加エコストの低減を図ること ができる。

[01 10] 本発明においては、 磁石 1 4 0が遊離端義歯中において上述したような特 別な配置形態を有することで、 磁石 1 4 0の設計の自由度が高まり、 このよ うな変形でも容易に実現できることが分かる 。

[01 1 1 ] 図 6は、 図 1乃至図 3に示した本発明の第 1の実施形態に係る義歯とその 取付けアタッチメント 1の取付け位置の一例を示す説明図である。 この図に おいては、 この第 1の実施形態に係る遊離端義歯 1 0を支台歯 8 0に下側の 歯の両側の欠損した奥歯の部分に取り付けて いるが、 これと同じように上側 の歯の欠損した部分に取り付けても良い。

[01 12] 即ち、 遊離端義歯 1 0を取り付ける支台歯 8 0が 1本でも適当な場所に残 っていれば、 同図の取り付け状態には限定されず、 あらゆる部分に本発明を 適用することができる。 なお、 図 6に示す遊離端義歯の配置の態様は、 後述 する本発明の第 2の実施形態に係る義歯とその取付けアタッ メントにも適 用可能であることは言うまでもない。

[01 13] なお、 場合に応じて遊離端義歯 1 0の支台歯 8 0との結合側と反対になる 自由端部であって口を大きく開いても外から 見えにくい位置にクラスプ等の 固定具を備え、 この自由端部側の残存歯にも係合させて遊離 端義歯 1 0をよ りしっかりと取り付けるようにしても良い。

[01 14] 続いて、 本発明の第 2の実施形態に係る義歯とその取付けアタッ メント について図面に基づいて説明する。 図 7は、 本発明の第 2の実施形態に係る 義歯とその取付けアタッチメントの構造を一 部断面で示す側面図である。 ま た、 図 8は、 図 7に示した義歯とその取付けアタッチメント 構造を一部断 面で示す側面図である。 また、 図 9は、 図 8に示した義歯とその取付けアタ ッチメントを一部断面で示す平面図である。

[01 15] なお、 上述の実施形態と同等の構成に関しては、 必要に応じて対応する符 号を付してその構造の詳細な説明については 省略する。 また、 図 9において は説明の理解の容易化を図るために断面ハッ チングを省略する。 また、 第 1 〇 2020/175295 25 卩(:171? 2020 /006652

の実施形態と同様の構成については、 図面中符号の表示を適宜省略する。

[01 16] この第 2の実施形態においては、 突出部 4 0 0の略球状体 4 1 0の最大外 径が係合凹み部 1 6 1の略球状体揷入側開口部 1 6 2の幅 1 6 2 3 よりも僅 かに大きくなっている。 また、 突出部 3 0 0の接続用固定部 3 2 2の形状も 第 1の実施形態と異なり、 円柱状をなし、 その周囲は外部に露出する形態を とっている。

[01 17] 即ち、 係合凹み部 1 6 1の支台歯側開口部の幅 1 6 1 3 (図 9参照) は、 義歯装着者の指による押し込み力や引っ張り 力によって支台歯 8 0に対して 遊離端義歯 1 〇 を着脱可能とするために、 遊離端義歯 1 0 の装着時にお いて磁石 1 4 0が突出部 4 0 0に及ぼす磁気引っ張り力に加えて、 係合凹み 部 1 6 1の開口部が突出部 4 0 0に及ぼす係合力によって突出部 4 0 0が凹 み部 1 6 1から外れるのを防止する程度に寸法決めさ ている。

[01 18] 図 9に基づいて説明すると、 凹み付き係合部 1 6 0の係合凹み部 1 6 1の 支台歯側開口部の幅 1 6 1 3は、 突出部 4 0 0の最も幅広の部分、 即ち図 8 における略球状体 4 1 0の直径 4 1 0 3よりも若干狭く、 かつその凹み部内 の幅 1 6 1 匕は、 略球状体 4 1 0の最大外径である直径 4 1 0 3よりも若干 広くなっている。

[01 19] 凹み部 1 6 1 と突出部 4 0 0のそれぞれの大きさの相対関係がこのよう 互いにいわゆるラッチ係合するような寸法関 係を有することで、 突出部 4 0 0が凹み部 1 6 1 に一旦係合すると、 磁石 1 4 0から受ける吸引力と相まっ て突出部 4 0 0が凹み部 1 6 1から抜けにくくなる。

[0120] これによって、 遊離端義歯 1 0 を支台歯 8 0に一旦取付ければ支台歯 8

0から遊離端義歯 1 0 が簡単に外れることはなくなり、 比較的硬い食べ物 でも十分に味わいつつかつ消化し易いように しっかりと咬み込んで食べるこ とができる。 また、 磁石 1 4 0の小型化を図ることができ、 例えば義歯本体 の数が 1本や 2本と少なく義歯自体の大きさが小さい場合 好適に対応でき る。

[0121 ] なお、 この第 2の実施形態においても、 図 5に示した先端がフック状とな 〇 2020/175295 26 卩(:171? 2020 /006652

っていない下端部 1 3 7の形態を適用可能であることは言うまでも い。

[0122] 最後に、 義歯を支台歯に装着した状態において、 上述した第 1の実施形態 及びその変形例並びに第 2の実施形態のそれぞれにおいて共通する金 冠に 備わった突出部の略球状体と義歯の凹み付き 係合部に備わった係合凹み部と の係合状態がどのようになっているかについ て図面に基づいて説明する。

[0123] 図 1 0は、 本発明の第 1の実施形態及びその変形例並びに第 2の実施形態 に共通する義歯とその取付けアタッチメント の係合状態を示す様々な説明図 である。 また、 図 1 1は、 図 1 0に続き、 本発明の第 1の実施形態及びその 変形例並びに第 2の実施形態に共通する義歯とその取付けア ッチメントの 係合状態を示す様々な説明図である。 また、 図 1 2は、 図 1 1 に続き、 本発 明の第 1の実施形態及びその変形例並びに第 2の実施形態に共通する義歯と その取付けアタッチメントの係合状態を示す 様々な説明図である。

[0124] なお、 第 1の実施形態と異なる第 2の実施形態の上述した特有の構成部分 (略球状体と係合凹み部の挿入開口部の部分 の構造) については、 図示を省 略する。

[0125] 図 1 0乃至図 1 2において、 金属冠に備わった突出部の略球状体及びこれ を金属冠に固定する接続固定部と埋め込み固 定部からなる固定部や、 義歯の 凹み付き係合部に備わった係合用凹み部のそ れぞれの寸法や形状の大きさや 各構成要素の相互の接触関係については、 本発明の理解の容易化のために実 際とは異なる寸法関係や相互の接触関係でそ れぞれ描いている。

[0126] 特に接触関係については、 あえて実際とは異なり隙間を描いて相互の配 置 関係を分かり易く している。 同様に、 上述した各要素のうち特に突出部の略 球状体と凹み付き係合部に備わった係合凹み 部同士の大小関係及び密着や関 係については、 本発明の理解の容易化のために実際とは異な った模式的な関 係図として描いている。

[0127] また、 図 1 0乃至図 1 3に示す乂丫 の矢印はそれぞれにおける直交座標 系の方向を示し、 遊離端義歯を下顆側の支台歯に装着した状態 を前提として 、 X方向は、 装着した遊離端義歯の長手方向と直交する前 方方向、 丫方向は 〇 2020/175295 27 卩(:171? 2020 /006652

、 装着した遊離端義歯 1 〇の長手方向、 方向は、 下顎の支台歯 8 0 (図 1 0乃至図 1 3では一部のみ図示) に装着した遊離端義歯 1 0の上方向、 即ち これと垂直上方の上顎に備わった上側の歯の 方向を示している。

[0128] また、 図面においては、 本発明の説明と図示の都合上、 面接触や線接触の 状態であっても、 略球状体 3 1 0の外周面と係合凹み部 1 3 1の内周面との 間に僅かな隙間を介して描いている。

[0129] 図 1 0 (3— 1) 及び図 1 0 (3— 2) においては、 これらの図面から明 らかなように、 遊離端義歯 1 0を下顎の支台歯に取り付けた状態で見て、 咬 合の際に突出部 3 0 0に備わる略球状体 3 1 0の湾曲外周面の少なくとも一 部の湾曲面 (これらの図面においては、 球状体全体の湾曲面の内、 かなりの 領域の湾曲面) が、 凹み部内の内周面に面接触していることを示 している。

[0130] そして、 この状態によって、 図中右側の遊離端義歯が咬合に応じていわゆ るユニバーサルジョイントの動作のように実 際の義歯の可動範囲で略球状体 3 1 0が凹み付き係合部 1 3 0の係合凹み部 1 3 1の内周面に面接触を保っ て互いに摺動しながら、 遊離端義歯 1 0が動くようになっている。

[0131 ] そして、 遊離端義歯 1 0に作用した咬合力は、 遊離端義歯 1 0の義歯床 1

2 0が歯肉を押し付けることによって生じる歯 (図 1 0乃至図 1 3では図 示せず) からの反発力で吸収されると共に、 残りの咬合力は、 略球状体全体 に伝達され、 固定部 3 2 0を介して金属冠全体に伝わる。 これによって、 遊 離端義歯 1 〇に作用した咬合力が金属冠全体において分 散され、 金属冠 2 0 0を介して支台歯を下方に均一に押し込むよ になっている。

[0132] このように、 遊離端義歯 1 0に加わり、 略球状体 3 1 0及び固定部 3 2 0 を介して金属冠全体に拡散伝達された一部の 咬合力は支台歯 8 0の歯根膜全 体によって均一に支持されて吸収され、 歯根 (図 1 0乃至図 1 3では図示せ ず) の周囲全体を覆う歯根膜 (図 1 0乃至図 1 3では図示せず) の一部に局 所的に応力が集中してその部分の歯根膜 8 3の線維組織が潰されて破壊され たり、 この部分と反対側の歯根膜の線維組織が無理 矢理引っ張られたりして 歯根膜自体が永久損傷してしまうのを回避す ることができる。 〇 2020/175295 28 卩(:171? 2020 /006652

[0133] また、 図 1 0 (匕 _ 1) 乃至図 1 0 (匕 _ 4) においては、 これらの図面 から明らかなように、 遊離端義歯 1 0を支台歯 8 0に取り付けた状態で見て 咬合の際に略球状体 3 1 0の湾曲部の外周面と遊離端義歯 1 0の凹み部内の 内周面の _ 部が線接触している。

[0134] なお、 図 1 0 (3— 1) 乃至 1 0 (13— 4) においては、 固定部 3 2 0に おける接続固定部 3 2 2の長さが図 1乃至図 9に比べて若干長くなって円柱 状として形成されているが、 遊離端義歯 1 0の咬合での通常の僅かな動きを 阻害しなければ、 特にこのような形を限定されるものではなく 、 図 1乃至図 9と同様の形態をとっていても問題ないこと 言うまでもない。

[0135] 図 1 0 (13 _ 1) においては、 略球状体 3 1 0の湾曲部の外周面と遊離端 義歯 1 0の凹み部内の内周面の一部 (実際にはかなりの部分) が線接触して いる一方、 図 1 〇 (匕一2) においては、 略球状体 3 1 0の最も突出した部 分において略球状体 3 1 0の湾曲面と係合凹み部 1 3 1の内周面は、 点接触 していることを示している。 また、 図 1 0 (1〇- 3) 及び図 1 0 (13 - 4) においては、 上記の図 1 0 (匕一 1) 及び図 1 0 (匕一 2) の説明と逆の状 態となって図面に描かれている。

[0136] このような略球状体 3 1 0の湾曲面と係合凹み部 1 3 1の内周面とが線接 触する部分は、 遊離端義歯 1 〇が咬合した状態において咬合の態様に応じ て どのような 3次元方向の咬合力が作用するかに応じて、 略球状体 3 1 0の湾 曲面と係合凹み部 1 3 1の内周面との間において逐次変化していく

[0137] また、 図 1 1 (〇_ 1) 乃至図 1 1 (〇_ 6) においては、 これらの図面 から明らかなように、 遊離端義歯 1 0を支台歯 8 0に取り付けた状態で見て 、 咬合の際に略球状体 3 1 0の湾曲部の外周面と遊離端義歯 1 0の係合凹み 部 1 3 1の内周面の一部が点接触している。

[0138] 以下、 図 1 1 (〇- 1) 乃至図 1 1 (〇- 6) の略球状体 3 1 0の湾曲部 の外周面と遊離端義歯 1 〇の係合凹み部 1 3 1の係合態様の変化の過程につ いて図面に基づいて説明する。 なお、 以下に説明する各係合状態の説明はあ くまで参考的なもので、 その記載内容に限定されないことを付言して おく。 〇 2020/175295 29 卩(:171? 2020 /006652

[0139] 図 1 1 (〇- 1) 及び図 1 1 (〇- 2) に関しては、 上述したように遊離 端義歯 1 〇を支台歯 8 0に装着し咬合前の状態を示している。 同図から分か るように、 略球状体 3 1 0の湾曲面の先端部 (図中右側の部分) が磁石 1 4 〇の磁気引っ張り力によって係合凹み部 1 3 1の内周面のもっとも奥側の位 置において点接触している。

[0140] また、 図 1 1 (〇_ 3) 及び図 1 1 (〇_ 4) に関しては、 遊離端義歯 1 〇を支台歯 8 0に装着した後に上下の支台歯 8 0と遊離端義歯 1 0を咬合し て、 遊離端義歯 1 〇の義歯床 1 2 0を歯肉に向かって押し付けている状態を 示している。 これは、 凹み付き係合部 1 3 0が、 図 1 1 (〇_ 3) に示すよ うに下方向 ( 軸方向の一側) に移動していることからも分かる。

[0141 ] 次いで、 図 1 1 (〇_ 5) 及び図 1 1 (〇_ 6) に関しては、 図 1 1 (〇 - 3) 及び図 1 1 (〇_ 4) に示す状態から遊離端義歯 1 0を支台歯 8 0か らずらして咬んでいる食べ物をすり潰してい る状態を示している。

[0142] 即ち、 図 1 1 (〇_ 6) の点接触の位置から分かるように、 図 1 1 (〇_ 4) に示す状態から義歯 1 0が X軸の一方向に向かうと共に、 丫軸の十方向 に向かうように歯肉と平行に義歯をずらしな がら食べ物をすり潰すように咬 み砕いていることが理解できる。

[0143] 次いで、 図 1 2 (〇 - 7) 及び図 1 2 (〇 - 8) に関しては、 図 1 1 (〇 - 5) 及び図 1 1 (〇_ 6) に示す状態から、 遊離端義歯 1 0を支台歯 8 0 から離れる方向に引き戻すようにずらして咬 んでいる食べ物を先ほどの状態 と逆方向にすり潰している状態を示している 。

[0144] 即ち、 図 1 1 (〇- 8) の点接触の位置から分かるように、 図 1 1 (〇- 6) に示す状態から義歯 1 0が X軸の十方向に向かうと共に、 丫軸の一方向 に向かうように歯肉と平行に義歯をずらしな がら食べ物をすり潰すように咬 み砕いていることが理解できる。

[0145] 次いで、 図 1 2 (〇 - 9) 及び図 1 2 (〇 - 1 0) に関しては、 図 1 2 ( 〇- 7) 及び図 1 2 (〇- 8) に示す状態から遊離端義歯 1 0を口の中の内 側 (つまり支台歯 8 0) に向かって (即ち丫の一方向に向かって) 引き戻す 〇 2020/175295 30 卩(:171? 2020 /006652

ようにずらして咬んでいる食べ物を先ほど の状態と逆方向にすり潰している 状態を示している。

[0146] 即ち、 図 1 1 (〇_ 1 0) の点接触の位置から分かるように、 図 1 1

- 8) に示す状態から義歯 1 0が X軸の十方向に向かうと共に、 丫軸の十方 向に向かうように歯肉と平行に義歯をずらし ながら食べ物をすり潰すように 咬み砕いていることが理解できる。

[0147] なお、 図 1 2 ( _ 1) 及び図 1 2 ( _ 2) は、 突出部 3 0 0に備わる 略球状体 3 1 0の代わりに (いわゆるキノコ型の) 略半球状をなす略半球状 体 3 5 0を用いた場合の遊離端義歯 1 0の凹み付き係合部 1 3 0の係合凹み 部 1 3 1 との係合状態を示した説明図である。

[0148] このような形態であっても、 上述した略半球状体 3 5 0の少なくとも一部 に形成された湾曲部と係合凹み部 1 3 1の内面の湾曲面とが、 上述したよう に面接触、 線接触、 点接触を適宜行うことによって咬合時に遊離 端義歯 1 〇 に及ぼす非常に大きな咬合力を吸収して支台 歯 8 0の損傷を防ぎながら遊離 端義歯 1 〇を長期に亙って使用し続けることが可能で ある。

[0149] 以上説明したことからも明らかなように、 遊離端義歯 1 0を実際に支台歯

8 0に取り付けて咬合する際には、 中間欠損歯用義歯のように両端の支台歯 で固定されている訳ではないので、 上述したように一方の端部が支台歯 8 0 の突出部 3 0 0にユニバーサルジョイント的に接続され、 他方の端部が自由 端部として遊離端義歯 1 0の義歯床 1 2 0が歯肉 8 5に押し付けられてずれ る範囲内で絶え間なく移動していることが分 かる。

[0150] そして、 咬合に際しては、 上述した通り、 X軸丫軸 軸の 3次元方向のあ らゆる方向にその方向の合力として約 3 IV! 8〜約 9 IV! 8

平均 3 0 1< 9 ~ 9 0 1< 9 (1 〇1 2 当たり 3 0 0 トン〜 9 0 0 トン) ) と極めて 大きい咬合力が作用する。

[0151 ] その結果、 特許文献 1 に記載されたような遊離端義歯 1 0の支台歯 8 0に 対する結合の構成では、 実際の歯科医療に全く適用できないことが十 分に理 解できる。 そればかりか、 もしもこのような特許文献 1 に記載された義歯と 〇 2020/175295 31 卩(:171? 2020 /006652

その取付けアタッチメントを実際の歯科医 療に適応したとすると、 咬合時に 取り付け対象である義歯に対して比較的上側 に備わった棒状部材の先端の極 めて小さな半球状凹み部に対して上述した極 めて大きい咬合力が作用するた め、 上述したような遊離端義歯における食べ物の すり潰し動作に伴って咬合 時に咬合力が局所的に作用したこの部分が支 台歯から離される方向に作用し てしまう。

[0152] これによって、 支台歯 8 0の金属冠 2 0 0の比較的上方部分に引っ張り力 が作用してしまい、 支台歯自体が倒れる方向にモーメントが加わ り、 支台歯 8 0の歯根膜 8 3の一部 (歯根の周囲を被う歯根膜 8 3の遊離端義歯側の線 維組織が潰れてしまうと共に、 これと反対方向の歯根膜 8 3の線維組織が引 っ張られてしてしまう。 即ち、 特許文献 1 に記載の遊離端義歯を装着したが 故に、 返って歯根膜 8 3を痛めて支台歯自体に揺動が生じてしまい これを 放置すると支台歯 8 0の歯根 8 2ごと抜け落ちてしまうという最悪の結果を 招いてしまう。

[0153] しかしながら、 本願発明の場合、 金属冠 2 0 0の側面のほぼ中央部から突 出した突出部 3 0 0を介してこれに遊離端義歯 1 0の係合凹み部 1 3 1 を係 合させて咬合の際の遊離端義歯特有の複雑な 動きに対応させながら、 非常に 大きな咬合力を突出部 3 0 0の略球状体 3 1 0及び接続固定部 3 2 2を介し て金属冠全体に咬合力を分散させ、 金属冠全体を介して支台歯 8 0を上方か ら歯根に向かって下方に向けて咬合力の一部 をほぼ垂直に作用させることが できる。

[0154] これによって、 咬合時において中間欠損歯用義歯とは異なり 遊離端義歯 1

0に対して特別に及ぼす 3次元的な咬合力によって支台歯自体の破損 進ん でしまうのを防止することができる。

[0155] その結果、 本発明によると遊離端義歯及びその取付けア タッチメントを実 際の歯科医療において用いることで、 支台歯 8 0の損傷を防ぎながら長期に 亙って遊離端義歯を使用することができると いう非常に大きなメリッ トを義 歯装着者は享有することが可能となる。 〇 2020/175295 32 卩(:171? 2020 /006652

[0156] 以上に加えて、 本発明に係る義歯とその取付けアタッチメン トを利用する ことで、 食事中の咬合の際に享有できるメリッ トに加えて、 遊離端義歯 1 0 の装着者は日常生活においても非常に大きな メリッ トを享有することができ る。 この点について以下に詳細に説明する。

[0157] クラスプ (飽) を支台歯に装着した従来の義歯と比較した場 合、 本発明の 解決すべき課題の欄で説明した審美性の問題 に加えて以下の義歯装着力不足 の問題も同時に解決できる。

[0158] 具体的には、 特許文献 1 に記載された遊離端義歯は、 磁石の力が極めて小 さく、 以下のような問題が生じる。 また、 クラスプ (飽) を支台歯に装着し た従来の義歯において、 審美性の観点からクラスプ (鈎) を例えばその太さ を遅く して口を開けたときにあまり目立たないよう にすると、 義歯の支台歯 への係合力が不十分となる。

[0159] 以上のような構成によると、 義歯の支台歯に対する保持力が小さくなって しまうので、 咬合の際とは関係ない日常生活において極め て不便な問題を生 じる。 具体的には、 義歯を前歯のあたりに装着した場合、 く しゃみをした際 にその際の体の口の周辺の急激な動きや肺の 中から口の中を介して口の外に 勢い良く出る息により義歯自体が外れて口か ら脱落してしまう恐れがある。 特に遊離端義歯を上顆の前歯のあたりに装着 しているとそのような恐れが高 くなる。

[0160] このような不都合な状態が家の中で起こって 義歯が床に落ちてしまう場合 はまだしも、 く しゃみ自体はいつ何時起こるか分からないの で、 外出時に公 共の場でこのようなことが生じると、 周囲の人たちに見られて大変恥ずかし い思いをしてしまう。

[0161 ] また、 人々の行き交う公共の場であると、 周囲の人たちに対して大変恥ず かしい思いをしてしまう。 また、 その場に落ちた遊離端義歯を慌てて洋服等 で拭いて再び装着し直すようなことは、 当然のことながら衛生上行うことが できず、 義歯を装着しないままでいなければならず、 その後に人と碟るのに 難儀する。 〇 2020/175295 33 卩(:171? 2020 /006652

[0162] これと同じような不都合なことが生じる場合 が他にも考えられる。 具体的 には、 例えば知り合い同士で会話をしている最中に 、 相手の聴覚能力が年齢 と共に低下して自分の話をなかなか理解して もらえなくなり、 思わず大きな 声で話している最中に遊離端義歯が勢い余っ て口から飛び出して脱落してし まう恐れがある。 このようなことが起こると、 友人たちとの楽しい会話中に は大変恥ずかしい思いをしてしまい、 この楽しい一時が後々恥ずかしい思い 出と化してしまう恐れがある。 同様に、 親しい友人同士でカラオケを楽しん でいて熱唱したあまり、 義歯が思わず外れて口から出てしまう恐れも ある。

[0163] また、 講演中や講義中に熱心に喋り続けるあまり口 の中が乾き、 唾液を介 した義歯床と歯肉との間の密着力が低下した 場合もこのようなことが起こる 恐れがある。 このように、 義歯の支台歯に対する係合力が不十分である と、 義歯が口から脱落するに至らなくても支台歯 から外れ易くなり、 講演中や講 義中にこれを中断せずに話し続けた場合、 口の中の舌で義歯を押さえながら 話し続けなければならなくなり、 聴講者にとって極めて聞き取りにくくなる 恐れが生じる。

[0164] 一方、 本発明に係る義歯とその取付けアタッチメン トによると、 義歯に備 わって支台歯の磁性体である突出部に磁気引 っ張り力を作用する棒状の磁石 が義歯の延在方向に合わせて延在するように 配置されている。 具体的には、 図 1、 図 2、 図 4、 図 7、 及び図 9に示すように、 義歯床の延在方向に沿っ て磁石が遊離端義歯の内部に配置されている 。 これによって、 磁石の左端か ら磁性体である突出部に向かう方向に十分な 大きさの磁気引っ張り力を効率 的に作用させるようになっている。

[0165] このような配置形態に基づいて、 義歯に備わる義歯本体の本数に応じて磁 石の大きさ、 即ち磁性材からなる略球状体に及ぼす磁気引 っ張り力の大きさ を調節できる。 これによって、 義歯本体の本数が多く長手方向に亙って長さ の長い遊離端義歯を支台歯に装着する際に簡 単に外れにくい十分な大きさの 磁気引っ張り力を支台歯の金属冠に備えた磁 性体である突出部に作用させる ことができる。 〇 2020/175295 34 卩(:171? 2020 /006652

[0166] その結果、 上述した本発明特有の構成とこれに伴う十分 な磁力による義歯 の支台歯へのしっかりした装着状態の維持に より、 上述したような咬合以外 に日常生活で突発的に起こり得る好ましくな い現象、 即ち遊離端義歯が予期 せず口の中から口の外に飛び出して脱落する ようなことを回避することがで きる。

[0167] 義歯の脱落に伴う上述したような非常に恥ず かしい思いを一旦してしまう と、 それが記憶に残って思い出す度に嫌な感情に 支配されてしまい、 その後 に家を出て様々な場所に外出したり旅行した り、 イベントに参加したり、 若 しくは旧知の友人達と会話を楽しんだりする のが億劫になってしまう。

[0168] しかしながら、 本発明によると、 義歯とその取付けアタッチメントを装着 することで、 このような事態に陥ることなく、 高齢になっても家の中に閉じ 籠ることなく外に出ていろいろな場所に行っ たり、 知り合いとの会話を楽し んだりして活動的な日々を送ることができ、 肉体的な健康を保つ上でもかつ 精神的な充実感を味わう上でも非常に有用な 役割を果たす。 これによって、 目の前に近付きつつある高齢化社会において 、 本発明に係る義歯とその取付 けアタッチメントを利用することで十分なク オリティー ·オブ · ライフを堪 能することができる。

[0169] なお、 上述の各実施形態及びこれに関連する各変形 例は、 本発明のあくま で例示的な態様を示したものに過ぎず、 本発明の作用効果を発揮し得る範囲 内であれば、 これらの形態と等価的な更なる各種変形例に ついても本発明に 含まれることを言うまでもない。

[0170] 従って、 例えば上述の各実施形態及びその変形例にお いて、 義歯本体は 2 本以上として説明したが、 これが 1本だけでも本発明の範囲に含まれる。 ま た、 第 1の実施形態やその変形例、 第 2の実施形態における略球状体や略円 形の定義は、 いわゆる卵型や楕円形を含むことは言うまで もない。

[0171 ] また、 本発明の場合、 磁石は、 いわゆる棒磁石としての永久磁石の形態を とって上述した特別な構造で配置されていれ ば良く、 磁石自体は細長い四角 柱の棒磁石、 賽子形状の磁石、 細長い円柱形状や端面視多角形の細長い柱状 〇 2020/175295 35 卩(:171? 2020 /006652

の何れの形態であっても構わない。

[0172] 更には、 上述の各実施形態及びその各種変形例におい て支台歯として天然 歯であることを前提に説明したが、 支台歯として天然歯の代わりにインブラ ントが用いられる場合であっても、 インプラントを利用して本発明に係る金 属冠を用いて本発明に記載した支台歯を構成 するようにしても本発明の効果 を十分に発揮することができる。

[0173] 具体的には、 上述したように義歯装着後、 咬合時において支台歯に対して これを倒そうとするモーメントの発生を抑え ることができるので、 インブラ ントを用いて支台歯を構成した場合でも咬合 時にインプラントの埋め込み部 の破損を防止することができる。

[0174] その結果、 強く咬合する癖をなかなか直すことができな い義歯装着者に対 して、 一旦破損してしまうと更なる処置が非常に困 難となるインプラントを 長持ちさせることができ、 インプラントの破損に起因して埋め込み部全 体が 欠損歯の部位として恒久的に残ってしまう最 悪の事態を回避しつつ、 インプ ラントを長く使用することができる。

[0175] 従って、 義歯が天然歯の代わりにインプラントであっ ても本発明をその十 分な作用効果を伴いながら適用可能であり、 本発明の範囲内に属することは 明らかである。

符号の説明

[0176] 1 義歯とその取付けアタッチメント、 1 0, 1 0 (遊離端) 義歯、 2 〇 取付けアタッチメント、 80 支台歯、 81 歯冠、 82 歯根、 83 (833, 83 b) 歯根膜、 85 歯肉、 1 1 0 (1 1 1 , 1 1 2, 1 1 3, ) 義歯本体、 1 20 義歯床、 1 30 凹み付き係合部、 1 3 1 係合凹み部、 1 35 下端部、 1 36 先端、 1 37 下端部、 1 40 磁石、 1 50 磁石ホルダー、 1 60 凹み付き係合部、 1 6 1 係合凹み 部、 1 6 1 3 支台歯側開口部の幅、 1 6 1 匕 凹み部内の幅、 200 金 属冠、 222 凹み部、 300 突出部、 3 1 0 略球状体、 320 固定 部、 32 1 埋め込み固定部、 322 接続固定部、 323 下側凹み部、 \¥02020/175295 36 卩(:17 2020 /006652

350 略半球状体、 400 突出部、 4 1 0 略球状体、 4 1 08 直径 、 31 空間、 唾液層