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Title:
DEODORANT FIBROUS STRUCTURE AND AIR FILTER
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/122975
Kind Code:
A1
Abstract:
A deodorant fibrous structure is provided which efficiently removes aldehydes such as acetaldehyde and is extremely small in the risk of secondary odor emission. The deodorant fibrous structure comprises a fibrous structure and, deposited thereon, inorganic particles and a water-soluble amine compound. In an environment having a temperature and relative humidity regulated to 25°C and 75%, respectively, the structure has an equilibrium moisture content of 15 mass% or lower. When the deodorant fibrous structure is immersed in water in an amount of 3 mass% of the water, this water has a pH of 3.5-7.

Inventors:
ASADA YASUHIRO (JP)
ANDO KEIICHI (JP)
MIYOSHI KENGO (JP)
Application Number:
PCT/JP2009/055875
Publication Date:
October 08, 2009
Filing Date:
March 25, 2009
Export Citation:
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Assignee:
TORAY INDUSTRIES (JP)
ASADA YASUHIRO (JP)
ANDO KEIICHI (JP)
MIYOSHI KENGO (JP)
International Classes:
D06M11/79; A61L9/01; A61L9/16; B01D39/14; B01J20/22; B01J20/28; D06M13/422; D06M15/263
Domestic Patent References:
WO2007074816A12007-07-05
WO2007066438A12007-06-14
WO2001062309A12001-08-30
Foreign References:
JP2008148804A2008-07-03
JP2009028207A2009-02-12
JPH10292263A1998-11-04
JPH10292258A1998-11-04
JPH11172574A1999-06-29
JPH05317703A1993-12-03
JP2007167632A2007-07-05
Other References:
See also references of EP 2261417A4
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Claims:
繊維構造物に無機粒子および水溶性アミン系化合物が担持されてなり、温度25℃、相対湿度75%に調整された環境下における平衡水分率が15質量%以下で、かつ水に対して3質量%となるように浸漬した際のpHが3.5~7である脱臭性繊維構造物。
前記無機粒子の温度25℃、相対湿度75%に調整された環境下における平衡水分率が10質量%以下である、請求項1記載の脱臭性繊維構造物。
前記無機粒子が疎水性多孔質粒子である、請求項1または2記載の脱臭性繊維構造物。
前記疎水性多孔質粒子の平均細孔径が2~50nmである、請求項3記載の脱臭性繊維構造物。
前記無機粒子と前記水溶性アミン系化合物とで繊維の表面上に細孔を形成してなり、細孔径20nm以下の細孔の占める容積が全細孔容積の40%以下であり、比表面積が1~30m 2 /gである、請求項1~4のいずれか記載の脱臭性繊維構造物。
前記無機粒子は、数平均粒径が1μm以下で、かつ、BET法による比表面積が15~250m 2 /gである、請求項1~5のいずれか記載の脱臭性繊維構造物。
前記無機粒子が、二酸化ケイ素、アルミナおよび二酸化チタンから選ばれる群からなる少なくとも1種を含有する、請求項1~6のいずれか記載の脱臭性繊維構造物。
前記水溶性アミン系化合物が酸ヒドラジド化合物を含有する、請求項1~7のいずれか記載の脱臭性繊維構造物。
水難溶性のpH調整剤が含有されている、請求項1~8のいずれか記載の脱臭性繊維構造物。
前記水難溶性のpH調整剤が難燃剤である、請求項9記載の脱臭性繊維構造物。
前記無機粒子と前記水溶性アミン系化合物とがバインダーにて繊維表面上に担持されている、請求項1~10のいずれか記載の脱臭性繊維構造物。
前記無機粒子は、数平均粒径が50~2000μmであり、該無機粒子に前記水溶性アミン系化合物が添着された状態で繊維間に挟持されている、請求項1~10のいずれか記載の脱臭性繊維構造物。
請求項1~12のいずれか記載の脱臭性繊維構造物を用いて構成されていることを特徴とするエアフィルター。
Description:
脱臭性繊維構造物およびエアフ ルター

 本発明は、脱臭性繊維構造物およびエア ィルターに関する。

 空気中の汚染物質はその種類が多岐に渡 。その中でも特にアセトアルデヒド等のア デヒド類が大きな問題となっている。アセ アルデヒドはタバコ煙や自動車の排気ガス に含まれる代表的な悪臭成分であり、閾値 低く低濃度でも臭気を感じ易いことに加え 人体への悪影響が指摘されている。空気中 悪臭成分の除去には、従来から、大きな表 積と細孔容積を有する活性炭が一般に使用 れている。しかしながら、アセトアルデヒ の活性炭への平衡吸着量は他の悪臭成分に べて著しく小さく、実用性能を有していな 。

 そこで活性炭によるアセトアルデヒドの 着除去性能を向上させる手段として、例え アミン類を活性炭に添着してその性能を向 させる方法が開示されている(特許文献1参 )。しかし、当該技術を用いたエアフィルタ は、アセトアルデヒド以外の物質に起因す 臭気が温湿度の変化等によって発生(二次発 臭)するという問題があった。すなわち、活 炭は物理吸着能をベースとしているため、 去対象とするアセトアルデヒド以外の物質 も吸着濃縮してしまう。しかしながら、こ らの臭気成分は化学結合によりトラップさ ているわけではないため、温湿度変化等の 境要因によって、濃縮されていた臭気成分 一気に放出される。その結果、本来の存在 度では問題とならなかった臭気成分が悪臭 して認知されてしまう。

 また活性炭を用いないアセトアルデヒドの 着除去手段として、メソ孔を主体とする多 質シリカと酸ヒドラジド類を繊維表面に担 させた繊維シートが開示されている(特許文 献2参照)。この繊維シートは、優れたアセト ルデヒドの除去性能を有するとともに、活 炭のような有機ガスの物理吸着がほとんど じないため、二次発臭リスクを大幅に軽減 ている。しかしながら従来の多孔質シリカ 強い吸湿性を有する。そのため、水溶性の 気成分については、多孔質シリカが吸脱着 る水分に伴って吸放出され、本技術を以っ しても完全に二次発臭を抑制できるもので なかった。

特開平5-317703号公報

特開2007-167632号公報

 本発明は、アセトアルデヒド等のアルデ ド類を効率よく除去し、かつ二次発臭のリ クの極めて少ない脱臭性繊維構造物を提供 ることを目的とする。

 上記課題を解決するための本発明は、以下 いずれかの構成を特徴とするものである。
(1)繊維構造物に無機粒子および水溶性アミン 系化合物が担持されてなり、温度25℃、相対 度75%に調整された環境下における平衡水分 が15質量%以下で、かつ水に対して3質量%と るように浸漬した際のpHが3.5~7である脱臭性 維構造物。
(2)前記無機粒子の温度25℃、相対湿度75%に調 された環境下における平衡水分率が10質量% 下である、前記(1)記載の脱臭性繊維構造物
(3)前記無機粒子が疎水性多孔質粒子である、 前記(1)または(2)記載の脱臭性繊維構造物。
(4)前記疎水性多孔質粒子の平均細孔径が2~50nm である、前記(3)記載の脱臭性繊維構造物。
(5)前記無機粒子と前記水溶性アミン系化合物 とで繊維の表面上に細孔を形成してなり、細 孔径20nm以下の細孔の占める容積が全細孔容 の40%以下であり、比表面積が1~30m 2 /gである、前記(1)~(4)のいずれか記載の脱臭性 繊維構造物。
(6)前記無機粒子は、数平均粒径が1μm以下で かつ、BET法による比表面積が15~250m 2 /gである、前記(1)~(5)のいずれか記載の脱臭性 繊維構造物。
(7)前記無機粒子が、二酸化ケイ素、アルミナ および二酸化チタンから選ばれる群からなる 少なくとも1種を含有する、前記(1)~(6)のいず か記載の脱臭性繊維構造物。
(8)前記水溶性アミン系化合物が酸ヒドラジド 化合物を含有する、前記(1)~(7)のいずれか記 の脱臭性繊維構造物。
(9)水難溶性のpH調整剤が含有されている、前 (1)~(8)のいずれか記載の脱臭性繊維構造物。
(10)前記水難溶性のpH調整剤が難燃剤である、 前記(9)記載の脱臭性繊維構造物。
(11)前記無機粒子と前記水溶性アミン系化合 とがバインダーにて繊維表面上に担持され いる、前記(1)~(10)のいずれか記載の脱臭性繊 維構造物。
(12)前記無機粒子は、数平均粒径が50~2000μmで り、該無機粒子に前記水溶性アミン系化合 が添着された状態で繊維間に挟持されてい 、前記(1)~(10)記載の脱臭性繊維構造物。
(13)前記(1)~(12)のいずれか記載の脱臭性繊維構 造物を用いて構成されていることを特徴とす るエアフィルター。

 本発明に係る脱臭性繊維構造物は、アル ヒド類との反応速度と吸着容量に優れる。 らに、当該脱臭製繊維構造物に担持される 機粒子は、活性炭とは異なり、物理吸着が めて少なく、また従来の無機多孔質体に比 吸湿性も抑制されている。そのため、アル ヒド類以外のガス成分については、親水性 疎水性を問わず吸着濃縮が抑えられ、使用 境の温湿度に大きな変動が生じたとしても 気成分を再放出(二次発臭)する可能性が低 。したがって、特にエアフィルター用途に いて優れた性能を発揮することができる。

実施例における脱臭性繊維構造物のア トアルデヒド除去効率の経時変化を示した ラフである。 比較例における脱臭性繊維構造物のア トアルデヒド除去効率の経時変化を示した ラフである。

 本発明の脱臭性繊維構造物は、無機粒子 よび水溶性アミン系化合物が担持されてな 、温度25℃、相対湿度75%に調整された環境 における平衡水分率が15質量%以下であるこ が重要である。

 活性炭ではなくメソ孔を主体とする多孔 体、例えば多孔質シリカを用いた従来技術 繊維シートは、活性炭を用いたものと比較 れば二次発臭を大幅に軽減しているものの 完全に二次発臭を抑制できるものではない 本発明者らは、これが多孔質シリカの特性 起因することをつきとめた。つまり、メソ を主体とする多孔質シリカは、活性炭に比 してミクロ孔の比率が圧倒的に小さいため 機ガス等の物理吸着をほとんど生じないが 細孔表面の化学的特性が親水性であること ら強い吸湿性を有している。本発明者らは 多孔質シリカが吸着する水分に水溶性の臭 成分が一旦溶解し、再び多孔質シリカから 分が脱離するのに伴って二次発臭が起きて ることをつきとめた。

 そこで本発明においては、二次発臭の原 となる水分の脱臭剤による吸着を抑えるた 以下の二つの方法を採用し、無機粒子と水 性アミン系化合物を脱臭性繊維構造物に担 させるとともに、当該脱臭性繊維構造物の 衡水分率を15質量%以下にする。具体的に第 の方法は、無機粒子として、多孔質粒子の 孔表面を疎水性に改質した疎水性多孔質粒 を用いる方法(以下、第一の方法という)で る。そして第二の方法は、数平均粒径が1μm 下の無機粒子同士を凝集させることにより 細孔径が特定範囲に制御された細孔構造を 成させる方法(以下、第二の方法という)で る。これらの方法により、添加する薬品の 応場(アミン系化合物によるアルデヒド類の 学吸着)として実効的な面積を確保しながら 、水溶性臭気成分の二次発臭を抑制すること が可能となるのである。

 以下、第一の方法における無機粒子につ て説明する。

 第一の方法を採用する場合、疎水性多孔 粒子の存在により、後述する水溶性アミン 合物を十分な量添着させることができる。 の結果、処理エアと水溶性アミン化合物が 触可能な表面積を高めることができ、アル ヒド類の除去効率を高めることができる。

 疎水性多孔質粒子の平均細孔径としては 2~50nmが好ましい。平均細孔径を2nm以上、よ 好ましくは5nm以上とすることにより、細孔 部への水溶性アミン化合物の添着が可能と り、また細孔内へのガスの拡散が容易であ ため、添着薬品と対象ガスの接触が良好に われ、反応を効率良く進められる。また平 細孔径を50nm以下、より好ましくは30nm以下 することで、添着薬品の反応場として必要 表面積を確保することができる。

 また、疎水性多孔質粒子は、BET法による比 面積が50~600m 2 /gであることが好ましい。50m 2 /g以上、より好ましくは100m 2 /g以上とすることで、添加する薬品の反応場 して実効的な面積が得られ、除去しようと るガス成分との実効的な反応速度が得られ 。また600m 2 /g以下、より好ましくは500m 2 /g以下とすることで、多孔質粒子の機械的強 の低下による取り扱い性の不便を防ぐこと できる。なお、BET法による比表面積とは、J IS R1626-1996に規定のBET多点法に従って測定し 値をいう(吸着質:N 2 、定容法)。

 さらに、かかる多孔質粒子は細孔表面を 水性とすることで、二次発臭の原因となる 分の吸着脱離を防ぐことができる。疎水性 孔質粒子の疎水性の程度としては、温度25 、相対湿度75%に調整された環境下における 衡水分率が10質量%以下であることが好まし 、より好ましくは8質量%以下である。一方、 撥水性を示すような極端な疎水性は、後述す る水溶性のアミン系薬剤を無機粒子の細孔内 部まで添着させることが難しくなるため、か かる観点からは、前記平衡水分率は2質量%以 であることが好ましい。

 疎水性多孔質粒子としては、疎水性多孔 シリカが好ましい。無機多孔質体として、 孔質シリカ、ゼオライト、活性アルミナ、 イ酸アルミニウム、アルミナゲル、活性白 、リン酸ジルコニウム、ポリトリリン酸ア モニウム等が挙げられるが、通常、これら 無機多孔質体は、その多くが親水性である しかし多孔質シリカは、細孔表面のシラノ ル基数をコントロールすることにより、表 の疎水度を調整することができる。シラノ ル基は、他の分子と水素結合を作りやすい 性基であるため、水分子に代表される極性 子を選択的に吸着し、疎水度に影響する。 孔質シリカのシラノール基を減少させる方 としては、シラノール基にシランカップリ グ剤等の疎水性化合物を反応させる方法や 約400℃の加熱処理によりシラノール基を脱 縮合する方法がある。しかしながら、シラ ール基に別の化合物を反応させる方法では 処理後の無機粒子が撥水性を示すような極 な疎水性となり易く、後述する水溶性のア ン系薬剤を無機粒子の細孔内部まで添着さ ることが難しくなる。そのため、熱処理に りシラノール基を減少させる方法がより好 しい。

 疎水性多孔質粒子の数平均粒径としては0 .01~100μmが好ましく、より好ましくは0.1~50μm ある。100μm以下、さらに好ましくは50μm以下 とすることで、処理エアとの接触効率を上げ ることができるとともに、繊維表面に均一に 担持させることができる。一方、0.01μm以上 より好ましくは0.1μm以上とすることで、繊 表面への担持に使用するバインダー樹脂等 粒子が埋没してしまうのを防ぐことができ 。数平均粒径の測定方法は、例えば、SEM(走 型電子顕微鏡)を用いた観察による粒子径測 定方法(個数基準による)を採用することがで る。

 本発明の脱臭性繊維構造物における疎水 多孔質粒子の担持量としては、基材の繊維 造物に対して10~100質量%が好ましい。10質量% 以上、より好ましくは20質量%以上とすること で、薬品の反応場として実効的な表面積を得 て吸着性能を向上させることができる。また 100質量%以下、より好ましくは50質量%以下と ることで、エアフィルターとしての通気特 を阻害するのを防ぐことができる。

 次に、第二の方法における無機粒子つい 説明する。

 脱臭性繊維構造物による水分の吸着を抑 する第二の方法では、無機粒子同士を繊維 表面に凝集させることにより、細孔径が特 範囲に制御された細孔構造を繊維構造物に 成させる。さらに、その細孔構造を、細孔 が20nm以下の細孔の占める容積が全細孔容積 の40%以下となるように制御することで、二次 発臭の原因となる水分の吸着を抑えることが できる。

 また、無機粒子同士の凝集によって得られ 細孔構造においては、比表面積が1.00m 2 /g以上であることで、添加する薬品の反応場( アミン系化合物によるアルデヒド類の化学吸 着)として実効的な面積が得られ、除去しよ とするガス成分との実効的な反応速度が得 れる。また30.00m 2 /g以下とすることで、二次発臭の原因となる 分や水溶性臭気成分の吸着脱離を抑えるこ ができる。

 第二の方法により得られる脱臭性繊維構 物においては、基材となる繊維構造物の繊 表面で無機粒子同士が凝集して細孔を形成 、その細孔にアミン系化合物が担持された 態となる。一般に、細孔は、IUPAC(国際純正 よび応用化学連合)の規格により、細孔径50n m超のマクロ孔、細孔径2~50nmのメソ孔、細孔 2nm未満のミクロ孔に分類される。水分の吸 特性は細孔径がミクロ孔側に近づくにつれ 強まり、水分を吸着蓄積しやすくなる。第 の方法においては、無機粒子自身の多孔質 造に頼るのではなく、無機粒子同士が凝集 て形成する細孔構造を利用する。そのため 全細孔容積の中でミクロ孔に近い細孔が占 る細孔容積の割合が、粒子そのものが多孔 体である場合においてミクロ孔に近い細孔 占める細孔容積の割合に比べ、少なくなり その結果、水分の吸着を抑えることができ と考えられる。具体的には細孔径が20nm以下 細孔の占める容積を全細孔容積の40%以下に えることにより二次発臭の原因となる水分 吸着を抑えることが可能となる。なお、細 容積及び細孔径分布はBET法により求めるこ ができる。また、無機粒子が多孔質構造の 合、ここでいう細孔には、その無機粒子自 の細孔も含まれる。

 第二の方法における無機粒子は、数平均 径が1μm以下の超微粒子である。このような 超微粒子を採用することにより、繊維構造物 の繊維表面を覆うように無機粒子を担持させ ることができ、後述する水溶性アミン系化合 物を十分な量を無機粒子の表面に添着するこ とができる。その結果、処理エアと水溶性ア ミン系化合物との接触可能な表面積を大きく でき、アルデヒド類の除去効率を高めること ができる。一方、繊維表面への担持に使用す るバインダー樹脂に無機粒子が埋没してしま うのを防ぐために。超微粒子の数平均粒径は 0.005μm以上であることが好ましい。より好ま くは0.01~0.5μmである。なお、数平均粒径の 定方法は、例えば、SEM(走査型電子顕微鏡)を 用いた観察による粒子径測定方法(個数基準 よる)を採用することができる。

 また、超微粒子は、後述する薬剤の添着 の点から、比較的水と馴染みやすい無機系 粒子とすることが好ましい。

 超微粒子の材質としては、例えば二酸化 イ素、アルミナ、二酸化チタンが挙げられ これらの中から目的に応じて選択すること できる。中でも、二酸化ケイ素、アルミナ 好ましい。また、これらの超微粒子を混合 て用いることもできる。

 超微粒子の形状としては球状、楕円球状 針状、棒状、りん片状、板状、破砕状が挙 られる。

 また、本発明で採用する超微粒子は、BET法 よる比表面積が15.00~250.0m 2 /gであることが好ましく、より好ましくは30.0 0~200.0m 2 /gである。15.00m 2 /g以上とすることで、添加する薬品の反応場( 水溶性アミン系化合物によるアルデヒド類の 化学吸着)として実効的な面積が得られ、除 しようとするガス成分との実効的な反応速 が得られる。また250.0m 2 /g以下とすることで、二次発臭の原因となる 分や親水性ガスの吸着脱離を抑えることが きる。なお、BET法による比表面積とは、JIS R1626-1996に規定のBET多点法に従って測定した をいう(吸着質:N 2 、定容法)。

 超微粒子の温度25℃、相対湿度75%環境下 の平衡水分率は、10質量%以下であることが ましく、8質量%以下であることがより好まし い。10質量%以下とすることで超微粒子への水 分や親水性ガスの吸着を抑制することが可能 となり、二次発臭を抑制することが可能とな る。

 超微粒子の表面化学特性としては、親水 であっても、超微粒子の水酸基をシランカ プリング剤と反応させ、疎水化処理されて るものでもよい。具体的なシランカップリ グ剤としてはエポキシシランやアミノシラ を挙げることができる。

 超微粒子の担持量としては、基材である 維構造物の質量に対して10~100質量%が好まし く、より好ましくは20~50質量%である。10質量% 以上とすることで、薬品の反応場として実効 的な表面積を得て吸着性能を向上させること ができる。100質量%以下とすることで、エア ィルターとしての通気特性を阻害するのを ぐことができる。

 次に、繊維構造物を構成する繊維として 、第一の方法、第二の方法において同じ繊 が使用できる。具体的には、天然繊維、合 繊維、あるいはガラス繊維や金属繊維等の 機繊維を使用することができ、中でも溶融 糸が可能な熱可塑性樹脂の合成繊維が好ま く使用される。

 かかる合成繊維を形成する熱可塑性樹脂 例としては、ポリエステル、ポリアミド、 リオレフィン、アクリル、ビニロン、ポリ チレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリ ン、ポリ乳酸等を挙げることができ、用途 に応じて選択して使用することができる。 た、複数種を組み合わせて使用してもよい

 かかる合成繊維としては、たとえば異型 面形状の繊維や、繊維表面に多数の孔やス ットを有するものなども好ましく使用され 。そのような形状とすることにより、繊維 表面積を大きくし、上記疎水性多孔質粒子 上記超微粒子などの無機粒子、および水溶 アミン系化合物の担持性を向上させること できる。なお、ここでいう異型断面形状と 、円形以外の断面形状を指し、例えば扁平 、略多角形、楔型等を挙げることができる かかる異型断面形状の繊維は、異型孔を有 る口金を用いて紡糸することにより得るこ ができる。また、繊維表面に多数の孔やス ットを有する繊維は、溶剤に対する溶解性 異なる2種類以上のポリマーをアロイ化して 紡糸し、溶解性の高い方のポリマーを溶剤で 溶解除去することにより得ることができる。

 繊維構造物を構成する繊維の繊維径とし は、エアフィルターとして使用する用途に いて目標とする通気性や集塵性能に応じて 択すればよいが、好ましくは1~2000μmである 繊維径を1μm以上、より好ましくは5μm以上 することで、無機粒子が繊維構造物表面で 詰まりするのを防ぎ、通気性の低化を防ぐ とができる。また2000μm以下、より好ましく 100μm以下とすることで、繊維表面積の減少 よる該無機粒子の担持能力の低下や処理エ との接触効率の低下を防ぐことができる。

 繊維構造物の形態としては例えば、綿状 、編織物、不織布、紙およびその他の三次 網状体(例えば多孔性ポリウレタン発泡体や 、モノフィラメントが不規則に三次元状のル ープを形成して積み重なった構造体等)を使 することができる。要するに、エアフィル ーとして使用するのに適した通気性を確保 つつ、表面積を大きくとることができる繊 構造物であれば良い。

 繊維構造物の目付けとしては、10~500g/m 2 が好ましく、より好ましくは30~200g/m 2 である。目付けを10g/m 2 以上、より好ましくは30g/m 2 以上とすることで、無機粒子を担持するため の加工に耐える十分な強度が得られ、エアを 通気させた際にフィルター構造を維持するの に必要な剛性が得られる。また目付けを500g/m 2 以下、より好ましくは200g/m 2 以下とすることで、繊維構造物の内部まで疎 水性多孔質粒子を均一に担持させることがで き、またプリーツ形状やハニカム形状に二次 加工する際の取扱い性にも優れる。

 本発明の脱臭性繊維構造物は、上述の無 粒子の表面や細孔内部、あるいは繊維表面 水溶性アミン系化合物を有していることが 要である。水溶性アミン系化合物の存在に り、ホルムアルデヒドやアセトアルデヒド のアルデヒド類を選択的に吸着することが きる。ここで「水溶性」とは25℃で中性の に対し、1質量%(10g/L)以上溶解することをい が、十分な担持量を得るためにより好まし 溶解度は5質量%(50g/L)以上である。アミン系 合物を水溶性とすることで、無機粒子の表 や細孔内部、あるいは繊維表面に十分に担 されることが可能となる。そして、水溶性 アミン系化合物が、無機粒子の表面や細孔 部に存在することにより、ホルムアルデヒ やアセトアルデヒド等のアルデヒド類に対 る化学吸着能が飛躍的に向上する。

 水溶性アミン系化合物のアルデヒド類に する化学吸着メカニズムとしては、次のと りであると考えられる。すなわち、水溶性 ミン系化合物のアミノ基の窒素原子が有す 非共有電子対がアルデヒド類のカルボニル 素原子を求核的に攻撃して反応し、イミン たはエナミン等の誘導体として固定化する

 水溶性アミン系化合物としては例えば、酸 ドラジド、ヒドラジン類、脂肪族アミン類 芳香族アミン類、尿素類、アミノ酸などが げられ、中でも酸ヒドラジドがアルデヒド 対する化学吸着能の点から好ましい。酸ヒ ラジドは、カルボン酸とヒドラジンとから 導される-CO-NHNH 2 で表される酸ヒドラジド基を有する化合物で あり、ヒドラジド末端の窒素原子のα位に、 に非共有電子対を有する窒素原子が結合し おり、これにより求核反応性が著しく向上 ている。アルデヒド類の中でもアセトアル ヒドは、カルボニル炭素のα位に電子供与 のアルキル基を有するために、カルボニル 素の求電子性が低く化学吸着されにくいが 酸ヒドラジド類は前述のとおり求核反応性 高いため、アセトアルデヒドに対しても良 な化学吸着性能を発現する。

 酸ヒドラジドとしては例えば、カルボジ ドラジド、アジピン酸ジヒドラジド、コハ 酸ジヒドラジド、グルタミン酸ジヒドラジ 等が挙げられる。

  水溶性アミン系化合物の担持量として 、後述のように脱臭剤粒子を予め成形する 合を除いて、無機粒子の質量に対して2質量% 以上が好ましい。2質量%以上、より好ましく 4質量%以上、さらには10質量%とすることで アルデヒド類の除去効率および吸着容量の 上の実効を得ることができる。ただし、水 性アミン化合物の担持量の増加に伴い除去 率および吸着容量も向上するが、ある程度 飽和する。水溶性アミン化合物の過剰な添 は、結晶化した水溶性アミン化合物の崩落 繊維構造物の空隙率を減少させ、通気特性 低下させるとともに、粉落ちの原因ともな 。そのため、200質量%以下とすることが好ま く、より好ましくは150質量%以下、さらに好 ましくは100質量%以下である。

 また、アルデヒド除去性能を向上させる 的で、酸ヒドラジド化合物に加えて別の水 性アミン系化合物を添加することも好まし 、酸ヒドラジド化合物とスルファミン酸グ ニジンを併用すると、特に優れた効果を発 する。

 併用するスルファミン酸グアニジンの担 量としては、繊維構造物に対して0.5~2.5質量 %であることが好ましい。0.5質量%以上とする とで、アルデヒド類の除去効率および吸着 量の向上の実効を得ることができる。スル ァミン酸グアニジンは吸湿性を有するため 2.5質量%以下とすることで繊維構造物の吸湿 量を抑えることができ、二次発臭の原因とな る水分量を抑えることができる。

 酸ヒドラジド化合物とスルファミン酸グ ニジンを併用する場合、スルファミン酸グ ニジンの酸ヒドラジド化合物に対する質量 としては0.05~0.20であることが好ましい。

 また本発明の脱臭性繊維構造物は、バイ ダー樹脂を含有することが好ましい。バイ ダー樹脂は、無機粒子を繊維構造物に強固 担持させることができる。また、バインダ 樹脂を使用することは、脱臭性繊維構造物 形状保持性、強度、寸法安定性等の点でも ましい。

 バインダー樹脂としては、アクリル系、 クリルスチレン系、アクリルシリコン系、 リウレタン系、ポリエステル系、ポリアミ 系、ポリオレフィン系、エチレン-酢酸ビニ ル共重合体系の樹脂等を挙げることができる 。バインダー樹脂の態様としては、エマルシ ョン、ディスパーション、パウダー、等いず れでも使用できるが、微小な無機粒子を強固 に繊維表面に担持させるうえでは、エマルシ ョンが好ましく、なかでもアルデヒド除去性 能が優れる点からアクリル系エマルション樹 脂が好ましく使用される。

 バインダー樹脂の添加量としては、無機 子に対して5~200質量%が好ましい。5質量%以 、より好ましくは10質量%以上とすることで 無機粒子の繊維構造物への定着性を向上さ ることができる。また、200質量%以下、より ましくは100質量%以下とすることで、無機粒 子がバインダー樹脂に埋没したり被覆された りしてガスとの接触が阻害されるのを防ぐこ とができる。

 また本発明の脱臭性繊維構造物は、水に して3質量%となるように浸漬した際のpHが3.5 ~7であることが重要である。そうすることで アルデヒド類の除去性能が向上する。pHが7 下、好ましくは6.5以下であることで、アミ 系化合物の非共有電子対によるアルデヒド のカルボニル炭素原子への求核的攻撃によ 反応から生成した中間体が、酸性の反応場 おいてプロトン化され脱水し易く、誘導体 の固定化反応が十分に進む。また、pHが3.5 上、好ましくは4以上であることで、アミン 化合物の非共有電子対がアルデヒド類のカ ボニル炭素原子を求核的に攻撃する活性を 分に維持することができる。

 脱臭性繊維構造物のpHは、たとえばpH調整 剤を添加したり上記バインダー樹脂として適 切なpHのバインダー樹脂を選択したりするこ により調整できる。

 pH調整剤としては、それ自体は臭気を発 しないもの、また吸湿性の低いものを採用 ることが好ましい。pH調整剤は、水分散体に 混合させて添加する場合、水溶性の小さいも の(水難溶性のもの)が分散液の安定性を保つ とができ好ましい。なお、水難溶性のpH調 剤とは、25℃で中性の水に対し、1質量%(10g/L) 未満しか溶解しない物質を指す。

 水難溶性のpH調整剤の具体的な例として 、以下のようなものが挙げられる。例えば 水溶性アミン系化合物としてアジピン酸ジ ドラジドを用い、かかる水溶性アミン系化 物と無機粒子とをバインダー樹脂とともに 分散体として繊維構造物に含浸加工する場 には、アジピン酸を好ましく採用すること できる。アジピン酸は上記水分散体のバラ スを安定に保ち、また臭気の発生や吸湿性 発現を伴わないため好ましい。また、リン メラミンも、臭気の発生や吸湿性の発現が く、好ましく採用することができる。さら 、リン酸メラミンは、難燃剤としても機能 、脱臭性繊維構造物の難燃性を向上させる とができる。

 以上のような本発明の脱臭性繊維構造物 、たとえば以下のいずれかの方法により得 ことができる。すなわち、(i)無機粒子と水 性アミン系化合物をバインダーとともに水 散体として同時に繊維に塗布する方法、(ii) 先に無機粒子を繊維表面に担持させた後、水 溶性アミン系化合物の水溶液を繊維に塗布す る方法、(iii)水溶性アミン系化合物を無機粒 に添着した脱臭剤粒子を作製し、その脱臭 粒子を繊維表面に担持させる方法等である

 具体的に、(i)においては、上述の無機粒 、水溶性アミン系化合物、さらに好ましく バインダー樹脂を含み、かつ、必要に応じ pH調整剤によりpHを3.5~7に調整した水分散体 、繊維構造物に塗布して含浸させた後、乾 させることによって得ることができる。ま 上記以外の方法としては、例えば、上記の うな水分散体を繊維構造物にコーティング スプレー等して、乾燥してもよい。これら 方法によれば、無機粒子と水溶性アミン系 合物、さらにpH調整剤が添加されている場 はpH調整剤が、バインダーにて繊維表面上に 担持された脱臭性繊維構造物が得られる。

 (ii)においては、無機粒子を先に繊維構造 物の繊維表面に固定した後、水溶性アミン系 化合物とpH調整剤を混合した水溶液をディッ ング処理やスプレー処理で付着させればよ 。この場合の無機粒子の繊維表面への付与 法としては、バインダー樹脂で接着担持す 方法でも良いが、製糸段階で無機粒子を繊 表面に配置させてもよい。例えば、合成繊 の芯鞘複合紡糸において、鞘成分中に多孔 の無機粒子を大量配合することにより、芯 複合の表面近傍に無機粒子を偏在させるこ ができる。またこの方法において、無機粒 を表面に露出させるために、化学的あるい 物理的な処理により表面の樹脂成分を適量 り除くことも好ましい。

 (iii)においては、予め無機粒子に水溶性 ミン系化合物とpH調整剤を担持させた脱臭剤 粒子を得て、これをバインダー樹脂等で繊維 構造物に付着すればよい。脱臭剤粒子は、無 機粒子に水溶性アミン系化合物とpH調整剤を 解または分散させた水溶液を含浸させ、そ 後乾燥させることにより得ることができる このような方法によれば、無機粒子に水溶 アミン系化合物とpH調整剤が添着された脱 剤粒子が、繊維間に挟持され一体化された 臭性繊維構造物が得られる。

 予め脱臭剤粒子を製造するにあたって、 機粒子としては、基本的に前述のものを援 できるが、脱臭剤として取り扱いが容易な 子サイズに成型し、その後水溶性アミン系 剤とpH調整剤を添着することが好ましい。 溶性アミン系化合物は熱分解等による性能 化を避けるため、粒子成型の後比較的低温 添着することが好ましい。

 脱臭剤粒子の成型方法としては、無機粒 とバインダーや熱融着樹脂とを混合したも を造粒した後に加熱成型したり、粒状の多 質基材に無機粒子とバインダーや熱融着樹 を含むスラリーを含浸させた後に加熱結着 せる方法が挙げられる。

 脱臭剤粒子として適切な数平均粒径とし は、50~2000μmが好ましく、より好ましくは80~ 1000μmである。2000μm以下とすることで、薬品 当該脱臭剤粒子の内部にまで添着させるこ が可能となり、50μm以上とすることで、飛 が抑えられ脱臭剤としての取り扱いが容易 なり、脱臭剤粒子を繊維間に分散させたり 複数枚の基材繊維シート間に挟持させて本 明の脱臭性繊維構造物とすることができる さらに、脱臭剤粒子を1000μm以下とすること より、脱臭性繊維構造物の折り曲げ加工等 後加工が可能となり、また100μm以上とする とにより、脱臭性繊維構造物の空隙から脱 剤が脱落しないようにすることができる。

 脱臭剤粒子に添着する水溶性アミン系化 物としては、基本的に前述の水溶性アミン 薬剤の特徴を有するものであればよいが、 かる脱臭剤における水溶性アミン系化合物 添着量としては、脱臭剤を構成する無機粒 に対し1~50質量%が好ましく、より好ましく 2~40質量%である。1質量%以上とすることで、 ルデヒド類の除去効率および吸着容量の向 の実効を得ることができ、50質量%以下とす ことで、結晶化した水溶性アミン系薬剤が 臭剤から脱落したり、脱臭剤内部へのガス 拡散が阻害されるのを回避できる。

 また脱臭剤粒子におけるpH調整剤も、基 的には前述のpH調整剤の特徴を有するもので あればよい。

 脱臭剤粒子は、繊維間に分散させたり、 材となる繊維シート複数枚の間に挟持させ 脱臭性繊維構造物とするのが好ましい。前 の場合は、例えば熱融着繊維と上記脱臭剤 混合分散させたものを捕集ネット上に吸引 ることによりウエブ化し、さらに加熱炉で 着一体化させる所謂エアレイド法が挙げら る。後者の場合は、例えば繊維シート上に 維状または粉状の熱接着体とともに上記脱 剤粒子を定量散布し、カバーシートを積層 、加熱圧着することにより、一体化するこ ができる。なお、いずれの場合も、さらに インダー樹脂を併用することにより脱臭剤 子を強固に担持することができる。

 本発明の脱臭性繊維構造物は、エアフィ ターに好適に用いられる。その際、本発明 脱臭性繊維構造物にさらに異なる繊維構成 繊維構造物を積層することも好ましい。例 ば直行流型エアフィルターとしての使用に いて、上流側に嵩高で目の粗い不織布シー を積層すれば、ダスト保持量が向上し長寿 化が可能となる。また下流側に極細繊維か なる不織布シートを積層すれば、高捕集効 化が可能となる。

 さらにこの極細繊維からなる不織布シー がエレクトレット処理されていればなお好 しい。エレクトレット処理がされているこ により、通常では除去しにくいサブミクロ サイズやナノサイズの微細塵を静電気力に り捕集することができる。

 かかるエレクトレット不織布を構成する 料としては、ポリプロピレン、ポリエチレ 、ポリスチレン、ポリブチレンテレフタレ ト、ポリテトラフルオロエチレン等のポリ レフィン系樹脂、ポリエチレンテレフタレ ト等の芳香族ポリエステル系樹脂、ポリカ ボネート樹脂等の高い電気抵抗率を有する 料が好ましい。

 エアフィルターの形状としては、そのま 平面状で使用してもよいが、プリ-ツ型やハ ニカム型を採用することが好ましい。プリー ツ型は直行流型フィルターとしての使用にお いて、またハニカム型は平行流型フィルター としての使用において、処理エアの接触面積 を大きくして捕集効率を向上させるとともに 、低圧損化を同時に図ることができる。

 また本発明のエアフィルターは、枠体に めて使用することが、エアの処理効率や取 い性の点で好ましい。

 [測定方法]
 (1)BET比表面積および細孔径20nm以下の細孔容 積の全細孔容積に対する割合
 脱臭性繊維構造物および無機粒子の比表面 はユアサアイオニクス社製NOVA2200eを用い、J IS R 1626-1996に規定のBET多点法に従って測定 た。試料は脱臭性繊維構造物では約500mg、無 機粒子では約100mg採取し、100℃で10時間真空 気し、N 2 を吸着質とし、定容法にて測定した。なお、 比表面積は小数点以下3桁まで測定し、小数 以下3桁を四捨五入して小数点以下2桁に丸め た。

 また、液体窒素の沸点(-195.8℃)における 素ガスの吸着量を相対圧0.05~0.995の範囲で徐 に高めながら20点測定し、窒素吸着等温線 作成し、BET法により脱臭性繊維構造物の全 孔容積および各孔の容積を各々測定し、細 径20nm以下の細孔容積の全細孔容積に対する 合(%)を求めた。

 (2)平均細孔径
 多孔質体の細孔の形状を円筒状と仮定し、B ET比表面積測定の際に得られた細孔容積(V)か 、次式により、平均細孔径(D)を算出した。
D=4V/S 。

 (3)無機粒子、水溶性アミン系化合物、pH調 剤及びバインダー樹脂の担持量
 無機粒子、水溶性アミン系化合物、pH調整 及びバインダー樹脂を混合分散させた液に 浸させて乾燥させた後の脱臭性繊維構造物 目付けと、含浸・乾燥前の基材繊維構造物 目付けとの差から、総担持量を算出し、当 総担持量に各成分の仕込み量比を掛け、脱 性繊維構造物全体に対する担持量に換算し 算出した。

 (4)平衡水分率
 無機粒子の平衡水分率は熱風乾燥機にて温 50℃で4時間予備乾燥した試料5gをシャーレ 薄く広げ、温度25℃、湿度75%に調整された実 験室に24時間静置した後、水分率をケット社 水分計FD-600にて測定した。乾燥温度は80℃ 乾燥時間は30分に設定し、乾燥前の質量と乾 燥後の質量から次式より求めた。
Mr=(W 1 -W 2 )/W 2 ×100
ここに、Mr:水分率
    W 1 :乾燥前の質量(g)
    W 2 :乾燥後の質量(g)。

 脱臭性繊維構造物の平衡水分率は、タテ コ5cmにカットした試料3枚を用いて、上記無 機粒子の場合と同様に測定を行い、平均値を 算出した。

 (5)pH
 20℃の純水90ccに脱臭性繊維構造物が3重量% なるよう浸漬し、軽く攪拌した後10分間放置 し、液のpHをラコム社テスターpH計にて測定 た。測定は3回行い、平均値を採用した。

 (6)圧力損失
 平板状の脱臭性繊維構造物の試料を実験用 ダクトに取り付け、ダクトに温度23℃、湿 50%RHの空気を0.2m/secの速度で送風した。その の繊維シートの上流側と下流側との差圧をM ODUS社製デジタルマノメータMA2-04Pにて測定し 。

 (7)アセトアルデヒドの除去能力
 平板状の脱臭性繊維構造物の試料を実験用 ダクトに取り付け、ダクトに温度23℃、湿 50%RHの空気を0.2m/secの速度で送風した。さら 上流側から、標準ガスボンベによりアセト ルデヒドを上流側の濃度が10ppmとなるよう 添加した。繊維シートの上流側と下流側と おいてエアをサンプリングし、赤外吸光式 続モニターを使用してそれぞれのアセトア デヒド濃度を測定し、次式にて除去効率を 出した。
除去効率(%)=[(C 0 -C)/C 0 ]×100
ここに、C 0 :上流側のアセトアルデヒド濃度(ppm)
    C:下流側のアセトアルデヒド濃度(ppm)
除去効率はアセトアルデヒドの添加開始から 3分後の除去効率を初期除去効率とし、3分後 降の除去効率を経時的に測定した。また、 流側の濃度と下流側の濃度との差が5%にな までの吸着量を評価した。

 (8)アセトアルデヒド以外の臭気成分の吸着 と脱離濃度
 平板状の脱臭性繊維構造物の試料を実験用 ダクトに取り付け、ダクトに温度23℃、湿 50%RHの空気を0.04m/secの速度で送風した。さら に上流側から、疎水性の臭気成分の代表とし てトルエンを、親水性の臭気成分の代表とし て酢酸を、パーミエーターにより加温揮発さ せた。なお、それぞれ上流濃度80ppmとなるよ に調整した。脱臭性繊維構造物の上流側と 流側においてエアをサンプリングし、赤外 光式連続モニターを使用してそれぞれの臭 成分の濃度を上流側の濃度と下流側の濃度 の差が5%になるまで測定し、それぞれのガ の吸着量を評価した。

 次に、臭気成分を吸着させたサンプルを 別に準備しておいた清浄なラインに付け替 、サンプル取り外し1分以内に温度23℃、湿 50%RHの清浄空気を0.04m/secの速度で送風を再 した。このとき、下流側に脱離した臭気成 の濃度を測定し、最大となった時点の濃度 脱離濃度と見做した。これを相対比較する とにより、二次発臭の抑制効果の指標とし 。

 (9)無機粒子の数平均粒径
 無機粒子の数平均粒径は透過型電子顕微鏡( 日立製作所製TEM H7100)を用いて観察し、個々 粒子の最も長い対角線と最も短い対角線を 均したものをその粒子径とし、2000個の粒子 の平均値を無機粒子の数平均粒径とした。

 [実施例1]
 (無機粒子)
 無機粒子として疎水性多孔質粒子を使用し 。該疎水性多孔質粒子は、平均粒径4μm、比 表面積250m 2 /g、平均細孔径18nmの疎水性多孔質シリカ(水 化学工業社製ミズパールK-400)であり、平衡 分率は5.2%であった。

 (水溶性アミン系化合物)
 水溶性アミン系化合物として、アジピン酸 ヒドラジド(日本化成社製)を用いた。

 (pH調整剤)
 弱酸性側に添着液を調整するために、アジ ン酸を用いた。

 (基材繊維構造物)
 単繊維繊度1.5dtexのビニロン16.5質量%、単繊 繊度7.1dtexのビニロン22質量%、単繊維繊度2.0 dtexのポリエチレンテレフタレート16.5質量%、 リン系難燃剤含有アクリル樹脂バインダー45 量%からなる目付け50g/m 2 の不織布を、基材繊維構造物として用いた。

 (脱臭性繊維構造物)
 上記疎水性多孔質シリカ、上記アジピン酸 ドラジド、上記pH調整剤およびアクリルバ ンダー樹脂を表1に記載の仕込量で均一分散 せた水溶液中に上記基材繊維構造物を含浸 せ、その後、ロールで絞り、100℃で20分間 燥させて、脱臭性繊維構造物を得た。

 得られた脱臭性繊維構造物の評価結果を 1に示す。

 [実施例2]
 (無機粒子)
 実施例1で用いたのと同様の疎水性多孔質シ リカを用いた。

 (水溶性アミン系化合物)
 実施例1で用いたのと同様のアジピン酸ジヒ ドラジドを用いた。

 (pH調整剤)
 弱酸性側に添着液を調整するために、リン メラミンを用いた。

 (基材繊維構造物)
 実施例1で用いたのと同様のものを用いた。

 (脱臭性繊維構造物)
 上記疎水性多孔質シリカ、上記アジピン酸 ドラジド、上記pH調整剤およびアクリルバ ンダー樹脂を表1に記載の仕込量で均一分散 せた水溶液中に上記基材繊維構造物を含浸 せた後、ロールで絞り、100℃で20分間乾燥 せて、脱臭性繊維構造物を得た。

 得られた脱臭性繊維構造物の評価結果を 1に示す。

 [実施例3]
 (無機粒子)
 無機粒子として無孔質の超微粒子を使用し 。該超微粒子は、平均粒径0.008μm、比表面 98.21m 2 /gのアルミナ(日本アエロジル社製AEROXIDE Alu-C )であり、平衡水分率は4%であった。

 (水溶性アミン系化合物)
 実施例1で用いたのと同様のアジピン酸ジヒ ドラジドを用いた。

 (pH調整剤)
 弱酸性側に添着液を調整するために、アジ ン酸を用いた。

 (基材繊維構造物)
 実施例1で用いたのと同様のものを用いた。

 (脱臭性繊維構造物)
 上記アルミナ、上記アジピン酸ヒドラジド 上記pH調整剤およびアクリルバインダー樹 を表2に記載の仕込み量で均一分散させた水 液中に上記基材繊維構造物を含浸させ、そ 後、ロールで絞り、110℃で5分間乾燥させて 、脱臭性繊維構造物を得た。

 得られた脱臭性繊維構造物の評価結果を 2に示す。また、得られた脱臭性繊維構造物 は、BET比表面積および細孔容積の測定結果か ら、上記無機粒子が上記水溶性アミン系化合 物とで繊維の表面上に細孔を形成していたと 判断できる。

 [実施例4]
 無機粒子として、無孔質の超微粒子を使用 た。該超微粒子は、平均粒径0.04μm、比表面 積79.60m 2 /gの二酸化ケイ素(電気化学工業社製UFP-80)で り、平衡水分率は5%であった。

 (水溶性アミン系化合物)
 実施例1で用いたのと同様のアジピン酸ジヒ ドラジドを用いた。

 (pH調整剤)
 実施例1で用いたのと同様のアジピン酸を用 いた。

 (基材繊維構造物)
 実施例1で用いたのと同様のものを用いた。

 (脱臭性繊維構造物)
 上記二酸化ケイ素、上記アジピン酸ヒドラ ド、上記pH調整剤およびアクリルバインダ 樹脂を表2に記載の仕込み量で均一分散させ 水溶液中に上記基材繊維構造物を含浸させ その後、ロールで絞り、110℃で5分間乾燥さ せて、脱臭性繊維構造物を得た。

 得られた脱臭性繊維構造物の評価結果を 2に示す。また、得られた脱臭性繊維構造物 は、BET比表面積および細孔容積の測定結果か ら、上記無機粒子が上記水溶性アミン系化合 物とで繊維の表面上に細孔を形成していたと 判断できる。

 [実施例5]
 無機粒子として、無孔質の超微粒子を使用 た。該超微粒子は、平均粒径0.04μm、比表面 積79.80m 2 /gの二酸化ケイ素(電気化学工業社製UFP-80(ア ノシラン処理))であり、平衡水分率は4%であ た。

 (水溶性アミン系化合物)
 実施例1で用いたのと同様のアジピン酸ジヒ ドラジドを用いた。(pH調整剤)
 実施例1で用いたのと同様のアジピン酸を用 いた。

 (基材繊維構造物)
 実施例1で用いたのと同様のものを用いた。

 (脱臭性繊維構造物)
 上記二酸化ケイ素、上記アジピン酸ヒドラ ド、上記pH調整剤およびアクリルバインダ 樹脂を表2に記載の仕込み量で均一分散させ 水溶液中に上記基材繊維構造物を含浸させ その後、ロールで絞り、110℃で5分間乾燥さ せて、脱臭性繊維構造物を得た。

 得られた脱臭性繊維構造物の評価結果を 2に示す。また、得られた脱臭性繊維構造物 は、BET比表面積および細孔容積の測定結果か ら、上記無機粒子が上記水溶性アミン系化合 物とで繊維の表面上に細孔を形成していたと 判断できる。

 [実施例6]
 無機粒子として、無孔質の超微粒子を使用 た。該超微粒子は、平均粒径0.008μm、比表 積198.2m 2 /gの二酸化ケイ素(日本アエロジル社製AEROSIL20 0)であり、平衡水分率は5%であった。

 (水溶性アミン系化合物)
 実施例1で用いたのと同様のアジピン酸ジヒ ドラジドを用いた。

 (pH調整剤)
 実施例1で用いたのと同様のアジピン酸を用 いた。

 (基材繊維構造物)
 実施例1で用いたのと同様のものを用いた。

 (脱臭性繊維構造物)
 上記二酸化ケイ素、上記アジピン酸ヒドラ ド、上記pH調整剤およびアクリルバインダ 樹脂を表2に記載の仕込み量で均一分散させ 水溶液中に上記基材繊維構造物を含浸させ その後、ロールで絞り、110℃で5分間乾燥さ せて、脱臭性繊維構造物を得た。

 得られた脱臭性繊維構造物の評価結果を 2に示す。また、得られた脱臭性繊維構造物 は、BET比表面積および細孔容積の測定結果か ら、上記無機粒子が上記水溶性アミン系化合 物とで繊維の表面上に細孔を形成していたと 判断できる。

  [実施例7]
 無機粒子として、無孔質の超微粒子を使用 た。該超微粒子は、平均粒径0.02μm、比表面 積55.20m 2 /gの二酸化チタン(石原産業社製TTO-51(C))であ 、平衡水分率は5%であった。

 (水溶性アミン系化合物)
 実施例1で用いたのと同様のアジピン酸ジヒ ドラジドを用いた。

 (pH調整剤)
 実施例1で用いたのと同様のアジピン酸を用 いた。

 (基材繊維構造物)
 実施例1で用いたのと同様のものを用いた。

 (脱臭性繊維構造物)
 上記二酸化チタン、上記アジピン酸ヒドラ ド、上記pH調整剤およびアクリルバインダ 樹脂を表2に記載の仕込み量で均一分散させ 水溶液中に上記基材繊維構造物を含浸させ その後、ロールで絞り、110℃で5分間乾燥さ せて、脱臭性繊維構造物を得た。

 得られた脱臭性繊維構造物の評価結果を 2に示す。また、得られた脱臭性繊維構造物 は、BET比表面積および細孔容積の測定結果か ら、上記無機粒子が上記水溶性アミン系化合 物とで繊維の表面上に細孔を形成していたと 判断できる。

 [実施例8]
 (無機粒子)
 実施例3で用いたものと同様のアルミナを用 いた。

 (水溶性アミン系化合物)
 実施例1で用いたのと同様のアジピン酸ジヒ ドラジドを用いた。

 (pH調整剤)
 実施例1で用いたのと同様のアジピン酸を用 いた。

 (スルファミン酸グアニジン)
 スルファミン酸グアニジンには三和ケミカ 社製アピノン-101を用いた。

 (基材繊維構造物)
 実施例1で用いたのと同様のものを用いた。

 (脱臭性繊維構造物)
 上記アルミナ、上記アジピン酸ヒドラジド 上記pH調整剤、上記スルファミン酸グアニ ンおよびアクリルバインダー樹脂を表2に記 の仕込み量で均一分散させた水溶液中に上 基材繊維構造物を含浸させ、その後、ロー で絞り、110℃で5分間乾燥させて、脱臭性繊 維構造物を得た。

 得られた脱臭性繊維構造物の評価結果を 2に示す。また、得られた脱臭性繊維構造物 は、BET比表面積および細孔容積の測定結果か ら、上記無機粒子が上記水溶性アミン系化合 物とで繊維の表面上に細孔を形成していたと 判断できる。

 [実施例9]
 (無機粒子)
 無機粒子として無孔質粒子を使用した。該 孔質粒子は、平均粒径8μm、比表面積1.52m 2 /gの二酸化ケイ素(トクヤマ社製EXCELICA SE-8)で あり、平衡水分率は5%であった。

 (水溶性アミン系化合物)
 実施例1で用いたのと同様のアジピン酸ジヒ ドラジドを用いた。

 (pH調整剤)
 実施例1で用いたのと同様のアジピン酸を用 いた。

 (基材繊維構造物)
 実施例1で用いたのと同様のものを用いた。

 (脱臭性繊維構造物)
 上記二酸化ケイ素、上記アジピン酸ジヒド ジド、上記pH調整剤およびアクリルバイン ー樹脂を表2に記載の仕込み量で均一分散さ た水溶液中に上記基材繊維構造物を含浸さ 、その後、ロールで絞り、110℃で5分間乾燥 させて、脱臭性繊維構造物を得た。

 得られた脱臭性繊維構造物の評価結果を 2に示す。

 [実施例10]
 (脱臭剤粒子)
 脱臭剤粒子として無機粒子とアクリル樹脂 インダーとを混合し、造粒したものを使用 た。無機粒子としては実施例1で使用したも のと同じ疎水性多孔質シリカを使用し、バイ ンダーには固形分40質量%のアクリル樹脂バイ ンダーを使用した。まず疎水性多孔質シリカ の20質量%スラリーを調整する。この疎水性多 孔質シリカの固形分に対し、アクリル樹脂バ インダーの固形分が20質量部となるよう投入 、均一分散させたスラリーを試料液とする 次に加圧ノズル型スプレードライヤーを用 て試料液を噴霧乾燥させて、脱臭剤粒子を 粒した。得られた脱臭剤粒子は、数平均粒 86μm、比表面積160m 2 /g、平均細孔径19nmであり、平衡水分率は7.4% あった。

 (水溶性アミン系化合物)
 実施例1で用いたのと同様のアジピン酸ジヒ ドラジドを用いた。

 (pH調整剤)
 実施例1で用いたのと同様のアジピン酸を用 いた。

 (基材繊維構造物)
 実施例1で用いたのと同様のものを用いた。

 (脱臭性繊維構造物)
 上記アジピン酸ヒドラジドと上記pH調整剤 、表3に記載の仕込量で均一分散させた薬品 着用水溶液を作製し、次に上記脱臭剤粒子 同重量の該薬品添着用水溶液を、脱臭剤粒 に満遍なく噴霧し含浸させ、さらに100℃で6 0分間乾燥させて、薬品添着された脱臭剤粒 を得た。次に、該脱臭剤粒子とポリオレフ ン系熱接着樹脂パウダー(東京インキ社製パ ダーレジン1070)とを4:1の質量比となるよう 合したものを、上記基材繊維構造物の表面 に100g/m 2 となるよう散布し、さらにその上から目付30g /m 2 のポリエチレンテレフタレート樹脂からなる スパンボンド不織布を積層し、140℃の熱板で プレスして熱接着させることで脱臭性繊維構 造物を得た。

 得られた脱臭性繊維構造物の評価結果を 3に示す。

 [比較例1]
 (無機粒子)
 無機粒子として親水性多孔質粒子を使用し 。該親水性多孔質粒子は、平均粒径5μm、比 表面積450m 2 /g、平均細孔径7nmの親水性多孔質シリカ(富士 シリシア社製サイリシア550)であり、平衡水 率は33%であった。

 (水溶性アミン系化合物)
 実施例1で用いたのと同様のアジピン酸ジヒ ドラジドを用いた。

 (pH調整剤)
 pH調整剤は用いなかった。

 (基材繊維構造物)
 実施例1で用いたのと同様のものを用いた。

 (脱臭性繊維構造物)
 上記親水性多孔質シリカ、上記アジピン酸 ドラジドおよびアクリルバインダー樹脂を 4に記載の仕込量で均一分散させた水溶液中 に上記基材繊維構造物を含浸させ、その後、 ロールで絞り、100℃で20分間乾燥させて、脱 性繊維構造物を得た。

 得られた脱臭性繊維構造物の評価結果を 4に示す。

  [比較例2]
 (無機粒子)
 無機粒子として親水性多孔質粒子を使用し 。該親水性多孔質粒子は、平均粒径5.7μm、 表面積288.0m 2 /g、平均細孔径18nmの多孔質シリカ(富士シリ ア社製サイリシア250)であり、平衡水分率は2 4%であった。

 (水溶性アミン系化合物)
 実施例1で用いたのと同様のアジピン酸ジヒ ドラジドを用いた。

 (pH調整剤)
 pH調整剤は用いなかった。

 (基材繊維構造物)
 実施例1で用いたのと同様のものを用いた。

 (脱臭性繊維構造物)
 上記多孔質シリカ、上記アジピン酸ジヒド ジドおよびアクリルバインダー樹脂を表4に 記載の仕込み量で均一分散させた水溶液中に 上記基材繊維構造物を含浸させ、その後、ロ ールで絞り、110℃で5分間乾燥させて、脱臭 繊維構造物を得た。

 得られた脱臭性繊維構造物の評価結果を 4に示す。

 [比較例3]
 (無機粒子)
 実施例1で用いたのと同様の疎水性多孔質シ リカを用いた。

 (水溶性アミン系化合物)
 実施例1で用いたのと同様のアジピン酸ジヒ ドラジドを用いた。

 (pH調整剤)
 pH調整剤は用いなかった。

 (基材繊維構造物)
 実施例1で用いたのと同様のものを用いた。

 (脱臭性繊維構造物)
 上記疎水性多孔質シリカ、上記アジピン酸 ドラジドおよびアクリルバインダー樹脂を 5に記載の仕込量で均一分散させた水溶液中 に上記基材繊維構造物を含浸させ、その後、 ロールで絞り、100℃で20分間乾燥させて、脱 性繊維構造物を得た。

 得られた脱臭性繊維構造物の評価結果を 5に示す。

  [比較例4]
 (無機粒子)
 無機粒子は用いなかった。

 (水溶性アミン系化合物)
 実施例1で用いたのと同様のアジピン酸ジヒ ドラジドを用いた。

 (pH調整剤)
 実施例1で用いたのと同様のアジピン酸を用 いた。

 (基材繊維構造物)
 実施例1で用いたのと同様のものを用いた。

 (脱臭性繊維構造物)
 上記アジピン酸ジヒドラジドおよび上記pH 整剤、アクリルバインダー樹脂を表6に記載 仕込み量で均一分散させた水溶液中に上記 材繊維構造物を含浸させ、その後、ロール 絞り、110℃で5分間乾燥させて、脱臭性繊維 構造物を得た。

 得られた脱臭性繊維構造物の評価結果を 6に示す。

 [比較例5]
 実施例1で用いたのと同様の基材繊維構造物 をそのまま評価した。繊維構造物の圧力損失 は5Paであった。また、繊維構造物の平衡水分 率は5.4%、pHは7.4であった。評価結果を表7に す。

 各実施例・比較例のアセトアルデヒド除 効率の経時推移を図1,図2に示す。

 実施例1~10は、アセトアルデヒドに関し、通 気開始3分後の初期除去効率が23%~55%と高く、 時的な除去効率の低下も緩やかであり、そ 結果、吸着容量も0.5~1.8g/m 2 と大きかった。アセトアルデヒド以外の臭気 成分についても、特に実施例1,2は、熱処理に よりシラノール基を削減した疎水性多孔質シ リカを用いたため、吸湿量が小さく、酢酸の 吸着量が、従来の親水性多孔質シリカを用い た比較例1,2に比べ、大幅に少なくなり、脱離 濃度を低く抑えることができたと考えられる 。また疎水性多孔質シリカは、トルエンを吸 着するほどの極端な疎水性では無いため、ト ルエンの吸着量が後述する比較例1,2に比べ、 逆に増加するようなことはなく、その結果脱 離濃度も低かった。

 そして、実施例3~9は無機粒子として無孔 粒子を採用することにより、全細孔容積の の20nm以下の細孔容積の割合を低くでき、そ の結果トルエン、酢酸とも吸着容量が小さく 、脱離濃度を低く抑えることができた。特に 実施例3~8は超微粒子を用いたことにより、比 表面積が大きくなりアセトアルデヒドの除去 性能も特に優れていた。

 また、実施例10は、実施例1~9とは加工方 が異なり、先に無機粒子とバインダー樹脂 混合して造粒した脱臭剤粒子に水溶性のア ン系薬剤を添着し、この脱臭剤粒子を基材 維構造物に担持させたものであるが、実施 1,2で用いたものと同じ疎水性多孔質シリカ 無機粒子に採用しているため、吸湿量が小 く、実施例1,2と同様に酢酸の吸着量、脱離 度とも低く抑えることができた。またトル ンについても同様に吸着量、脱離濃度とも かった。

 このように、実施例1~10は、いずれも、ア ルデヒドの吸着性能に優れたまま、疎水性臭 気成分、親水性臭気成分とも吸着しにくく、 二次発臭の起こりにくい材料であることがわ かった。

 一方、比較例1,2は、アセトアルデヒドに関 、通気開始3分後の初期除去効率が38%、51%と 高く、経時的な除去効率の低下も緩やかであ り、その結果、吸着容量も1.1g/m 2 ~1.3g/m 2 と大きくなっている。しかしながら、比較例 1,2は、親水性多孔質シリカの吸湿性により、 酢酸の吸着量が極端に多く、その結果、脱離 濃度が高く脱離臭の発生しやすい状態となっ ていた。また、比較例3は、熱処理によりシ ノール基を削減した疎水性多孔質シリカを いたため吸湿量が小さく、酢酸の吸着量、 離濃度を低く抑えることができたものの、 臭性繊維構造物のpHが7を超えていた。その め、アセトアルデヒドに関しては、通気開 3分後の初期除去効率が18%、吸着容量が0.35g/m 2 と、吸着性能が低かった。また比較例4は、 臭性繊維構造物の比表面積が小さいため、 ルエン、酢酸とも吸着量が少なく、脱離濃 も低かったが、無機粒子を使用しなかった めアセトアルデヒドの吸着容量が0.2g/m 2 と低かった。比較例5は、基材繊維構造物の であるため、トルエン、酢酸とも吸着量が なく、脱離濃度も低かったが、アセトアル ヒドに関して初期除去効率が9%、吸着容量が 0.08g/m 2 と殆ど吸着性能を有していなかった。

 本発明の脱臭性繊維構造物は、エアフィ ター用途に好適に用いることができる。特 、住宅や自動車車室内のような閉鎖空間で 、タバコ煙や、自動車の排気ガスに含まれ アルデヒド類が問題となるが、本発明の脱 性繊維構造体は、物理吸着や吸湿により目 外の臭気成分を蓄積しにくい。そのため、 アフィルター使用環境下で温湿度変化等が 生した場合においても狭い室内で二次発臭 にくい。したがって、かかる脱臭性繊維構 体は、住宅や自動車用途に好適に用いるこ ができる。




 
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