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Title:
DETACHABLE ADHESIVE CONTAINING REACTION PRODUCT OF OXIDIZING AGENT AND AMINE COMPOUND
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/011421
Kind Code:
A1
Abstract:
Disclosed is a detachable adhesive containing an organic adhesive component and a reaction product which is obtained by reacting an onium salt containing an oxidizing anion with an amine group of an amine compound at a reaction ratio of not less than 50%.

Inventors:
SUGIMOTO MASAHIKO (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/063011
Publication Date:
January 22, 2009
Filing Date:
July 18, 2008
Export Citation:
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Assignee:
ASAHI KASEI CHEMICALS CORP (JP)
SUGIMOTO MASAHIKO (JP)
International Classes:
C09J201/00; C09J11/06; C09J163/00
Domestic Patent References:
WO2007083566A12007-07-26
Foreign References:
JP2003286464A2003-10-10
JPS5398926A1978-08-29
JP2005239966A2005-09-08
JPS56163175A1981-12-15
JPS5122731A1976-02-23
JPS5084695A1975-07-08
JPH09508095A1997-08-19
Attorney, Agent or Firm:
ASAMURA, Kiyoshi et al. (New Ohtemachi Bldg.2-1, Ohtemachi 2-chome,Chiyoda-k, Tokyo 04, JP)
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Claims:
 有機系接着剤成分、及び
 酸化性陰イオンを含有するオニウム塩とアミン系化合物のアミン基を反応率が50%以上となるように反応させて得られる反応物
を含んでなる解体性接着剤。
 前記有機系接着剤成分がアミン基を含有する有機系接着剤成分である請求項1記載の解体性接着剤。
 前記有機系接着剤成分がエポキシ系又はウレタン系主剤と、アミン系硬化剤とを含む請求項1又は2記載の解体性接着剤。
 前記オニウム塩が、過塩素酸塩、塩素酸塩、硝酸塩、及び亜硝酸塩からなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項1記載の解体性接着剤。
 請求項1~4のいずれか1項に記載の解体性接着剤で被接着体と被接着体とを接着してなる構造体。
 外的刺激によって接着強度を消失又は減少させることを含む、請求項5記載の構造体の解体方法。
 外的刺激が加熱である請求項6記載の解体方法。
Description:
酸化剤とアミン系化合物の反応 を含有する解体性接着剤

 本発明は、物品をその接着部において簡 に解体させることを可能にする解体性接着 又は該接着剤によって組み立てられた構造 に関する。

 接着剤は、構造用接着剤をはじめとして より接着力が強く、より耐久性が長く、さ には、耐熱性、温度環境の変動にも強いも が求められ、開発が進められてきた。しか ながら、限り有る資源を有効に使用しよう するリサイクルの観点からは、組み立てら た部品を再利用するために、解体可能な接 剤の開発が必須である。

 解体性接着剤とは、使用期間後に何らかの 置を施すことにより、接着された物品どう をその接合部ではがすことができるような 着剤を言う。
 このような接着剤として、熱可塑性接着剤 、加熱により接合部の解体が可能であるが いったん冷却すると再び接着力が復活する 解体の場合は、接着剤だけを加熱すること 困難であるため、高い雰囲気温度で解体さ るが、高温となった接合物の解体は、危険 の高いものであった。

 この問題を解決するため、熱可塑性接着 より高い接着力が要求される熱硬化性接着 にも適用可能な、熱膨張性マイクロバルー 、熱膨張性黒鉛、又は分解性高分子(ポリペ ルオキシド)などの開発が進められている(非 許文献1参照)。しかしながら熱膨脹性マイ ロバルーンは耐熱性、初期接着強度が依然 く、熱膨張性黒鉛は粒径が大きいため実用 接着剤として使用が困難であり、解体時の 熱温度が高いといった課題が残されている( 許文献2参照)。

 また、同様に熱硬化性接着剤に適用可能な 化剤混入接着剤の開発も進められている(特 許文献3参照)。当該特許文献に記載の酸化剤 入接着剤の解体温度は、酸化剤の分解温度 依存する。酸化剤は比較的感度が高いため 接着剤との混合時の取扱いに注意を要する いう安全面での問題があった。またアミン 硬化剤を含む接着剤を用いた場合、酸化剤 種類によっては、硬化時に酸化剤と硬化剤 反応により生じた気泡が接着剤層中に残存 るため、初期強度が低下するという問題が った。
佐藤千明,高分子,2005年,6月号,390頁

特開2004-189856号公報

WO 2007/083566 A1公報

 本発明は、有機系接着剤において、酸化 陰イオンを含有するオニウム塩自体よりも 全性の高い、酸化性陰イオンを含有するオ ウム塩とアミン基を反応させて得られる反 物を添加することによって混合時の安全性 高く、且つアミン基を含有する有機系接着 においてアミン基と酸化性陰イオンを含有 るオニウム塩の反応による発泡を抑制する とにより、初期強度の低下を抑制すること 可能な接着剤を提供することを目的とする

 本発明者は、前記従来技術の問題点を克服 るため、鋭意研究した結果、酸化性陰イオ を含有するオニウム塩とアミン化合物との 応物を、アミン基を含有する有機系接着剤 含有させることにより、硬化時に発生する 泡を抑制し、接着剤の初期強度低下を軽減 せることを見出し、本発明を完成するに至 た。
 本発明は下記に記載するとおりの、アミン 合物と酸化性陰イオンを含有するオニウム の反応物を含む解体可能な接着剤、その製 方法及びその硬化方法を提供する。

(1) 有機系接着剤成分、及び
 酸化性陰イオンを含有するオニウム塩とア ン系化合物のアミン基を反応率が50%以上と るように反応させて得られる反応物
を含んでなる解体性接着剤。
(2) 前記有機系接着剤成分がアミン基を含有 る有機系接着剤成分である(1)記載の解体性 着剤。
(3) 前記有機系接着剤成分がエポキシ系又は レタン系主剤と、アミン系硬化剤とを含む( 1)又は(2)記載の解体性接着剤。
(4) 前記オニウム塩が、過塩素酸塩、塩素酸 、硝酸塩、及び亜硝酸塩からなる群から選 れる少なくとも1種である(1)記載の解体性接 着剤。
(5) (1)~(4)のいずれか1項に記載の解体性接着 で被接着体と被接着体とを接着してなる構 体。
(6) 外的刺激によって接着強度を消失又は減 させることを含む、(5)記載の構造体の解体 法。
(7) 外的刺激が加熱である(6)記載の解体方法

 本発明は、有機系接着剤において、酸化 陰イオンを含有するオニウム塩自体よりも 全性の高い、酸化性陰イオンを含有するオ ウム塩とアミン基を反応させて得られる反 物を添加することによって混合時の安全性 高く、且つアミン系硬化剤を用いる接着剤 おいて発泡を軽減することによって初期強 の低減を抑制するとともに、接着した接着 造体を外的刺激によって容易に解体し、280 以下での解体が可能となる効果を有する。

 本発明の解体性接着剤は、酸化性陰イオ を含有するオニウム塩とアミン系化合物の ミン基との反応物(以下、この反応物を解体 成分とも言う)を含む。

 本明細書で言うアミン系化合物とは、分 中に一級アミン又は二級アミンを一官能以 有した化合物のことである。単官能アミン して例示すれば、ベンジルアミン、ジベン ルアミン、ジエチルベンジルアミン、N-イ プロピルベンジルアミン等の芳香族単官能 ミン類、アセチルメチルアミン、プロピル ミン、ブチルアミン、t-ブチルアミン、ペン チルアミン等の脂肪族単官能アミン類、シク ロヘキシルアミン、シクロブチルアミン、シ クロペンタンメチルアミン等の環状単官能ア ミン類などが挙げられる。また多官能アミン としては、メタキシレンジアミン、ベンジル エチルジアミン、トリエチレンジアミン、ブ タンジアミン等のジアミン類、ジエチレント リアミン、ペンタメチルジエチレントリアミ ン等のトリアミン類、脂肪族ポリアミン、芳 香族ポリアミン等のポリアミン類などが挙げ られる。また、ジシアンジアミド等のアミド 系化合物であってもよい。アミン化合物は、 常温で液体のものが、酸化性陰イオンを含有 するオニウム塩との反応性が良いので好まし い。

 本発明で言う酸化性陰イオンとは、「酸 を与える陰イオン」であり、外的刺激によ 酸素を放出するものであり、且つアミン系 合物と反応して解体成分中に塩として取り まれるものであればよい。具体的には、過 素酸イオン、塩素酸イオン、硝酸イオン、 硝酸イオンなどがある。これらの酸化性陰 オンは2種以上を組み合わせて用いてもよい 。

 また、本発明で言うオニウムイオンとは、 立電子対を持つ原子を含む化合物に他の陽 オン形の試薬などが配位結合して生ずる化 物イオンであり、アンモニウムイオン[R 3 NR’] + 、ホスホニウムイオン[R 3 PR’] + 、アルソニウムイオン[R 3 AsR7] + 、スチボウニウムイオン[R 3 SbR’] + 、オキソニウムイオン[R 3 OR’] + 、スルホニウムイオン[R 3 SR’] + 、セレノニウムイオン[R 3 SeR’] + 、スタンノニウムイオン[R 3 SnR’] + 、ヨードニウムイオン[R 3 IR’] + などが挙げられる。

 従って酸化性陰イオンを含有するオニウ 塩は、具体的には、過塩素酸塩(例えば、過 塩素酸アンモニウム、など)、塩素酸塩(塩素 アンモニウムなど)、硝酸塩(硝酸アンモニ ム、など)、亜硝酸塩、などがある。これら 2種以上を組み合わせて用いてもよい。

 酸化性陰イオンを含有するオニウム塩は 閉条件下で発熱分解することが好ましい。 着剤と酸化性陰イオンを含有するオニウム の熱分解により接着剤が解体されるので、 閉条件下で発熱分解する酸化性陰イオンを 有するオニウム塩を用いれば接着剤の解体 促進することができる。ここで言う密閉条 下で発熱分解する酸化性陰イオンを含有す オニウム塩とは、密閉セルを用いて示差走 熱量分析装置で測定した際に発熱分解する 化性陰イオンを含有するオニウム塩のこと ある。

 解体成分は密閉条件下で発熱分解するこ が好ましい。接着剤と解体成分の熱分解に り接着剤が解体されるので、密閉条件下で 熱分解する反応物を用いれば接着剤の解体 促進することができる。ここで言う密閉条 下で発熱分解する反応物とは、密閉セルを いて示差走査熱量分析装置で測定した際に 熱分解する解体成分のことである。

 過塩素酸系酸化剤、特にロケット用酸化 として用いられる過塩素酸アンモニウムは 密閉条件下で発熱分解し、入手しやすく、 つ、粉砕を必要とする場合に(接着剤に混合 する際、又は、接着剤の粘度を調整するよう な場合)安全性が高く、さらに好ましい。ま 、硝酸塩は、その分解ガスが主に窒素から り、環境面で好ましい。

 反応させる酸化性陰イオンを含有するオ ウム塩の粒径は大きすぎると反応性が悪く るため、1mm以下が好ましい。また粒径が細 くなると表面積が増大し、接着剤との反応 が向上することから、100μm以下がより好ま く、50μm以下がより好ましく、20μm以下がよ り好ましく、10μm以下がより好ましく、5μm以 下が更に好ましい。なお、本明細書において 粒径とは、レーザー回折式粒度分布計を用い て測定したメジアン径をいう。

 酸化性陰イオンを含有するオニウム塩と ミン系化合物との反応温度は、安全面を考 して酸化性陰イオンを含有するオニウム塩 分解温度以下であることが好ましく、さら アミン系化合物の沸点以下であることが好 しい。また、反応時間は、解体成分の反応 完全に終了する時間以上であることが好ま い。

 当該解体成分と接着剤の硬化温度は、酸 性陰イオンを含有するオニウム塩が完全に 応している場合は何ら限定されるものでは いが、解体成分の分解温度以下に設定する とが好ましく、酸化性陰イオンを含有する ニウム塩が完全に反応していない場合は反 温度以上で硬化させてしまうと発泡する可 性があるため、酸化性陰イオンを含有する ニウム塩とアミン系硬化剤との反応温度以 となるように設定することが好ましい。要 るに発泡させない温度で硬化させることが ましい。また、当該硬化剤中に未反応アミ 、未反応の酸化性陰イオンを含有するオニ ム塩があっても硬化時に発泡しなければ構 ない。

 酸化性陰イオンを含有するオニウム塩の は、発泡抑制の観点から硬化剤と完全に反 する量以下であることが好ましい。また、 化性陰イオンを含有するオニウム塩よりも 反応させた解体成分の方が分子量が大きく り、安定した分子となり、それにより安全 物質となることからも、完全に反応する量 下であることが好ましい。完全に反応して ない場合でも反応温度以下で硬化させる場 においてはこの限りではない。そして、安 性の観点と、発泡抑制の観点から解体成分 反応率は50%以上が好ましく、70%以上がより ましく、更には90%以上がより好ましい。こ で言う反応率とは、反応後の重量減少測定 反応前後のFT-IR、GC-MS等から測定されたもの である。

 本発明において利用できる接着剤成分と ては、アミン基を含有する有機系接着剤で れば何ら限定されないが、本発明の主旨が 解体しにくいものを解体することにあるか 、構造用の接着剤を用いることが好ましい 構造用接着剤とは、「長期間破壊すること く、その最大破壊荷重に比較的近い応力を えることのできる信頼性の保証された接着 」であり(接着応用技術 日経技術図書株式 社発行 1991年 P93 接着剤の分類参照)、化 組成による分類によれば、熱硬化性、アロ がよい(同上図書 P99)。

 本発明の解体性接着剤に用いることがで る有機系接着剤成分を例示すれば、酢酸ビ ル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリウレタン樹 、ポリエステル樹脂、ユリア樹脂、メラミ 樹脂、レゾルシノール樹脂、フェノール樹 、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、ポリベ ズイミダゾール、アクリル(SGA)、アクリル ジエステル、シリコーンゴム系などを主成 とする接着剤を挙げることができる。アロ としては、エポキシフェノリック、エポキ ポリスルフィド、エポキシナイロン、ニト ルフェノリック、クロロプレンフェノリッ ビニルフェノリック等、又は上記物質を変 させた樹脂、上記物質を2種類以上混合した 脂が使用できる。

 特にエポキシ樹脂系接着剤は、副生成物 遊離せずに硬化し、高いせん断強さを有し おり、好ましい。ビスフェノールA型エポキ シ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂が 反応性及び作業性の面で特に好ましい。

 構造用接着剤の場合、実施例で示したよ な引張強度測定を常温で実施したときに10MP a以上の値を示すものが好ましい。

 エポキシ樹脂系接着剤に使用する硬化剤 何ら限定されるものでないが、構造用接着 の観点ではアミン系硬化剤又はアミド系硬 剤が好ましい。

 アミン系硬化剤として例示すれば、ジエ レントリアミン、トリエチレンテトラミン テトラエチレンペンタミン、m-キシレンジ ミン、トリメチルヘキサメチレンジアミン 2-メチルペンタメチレンジアミン、ジエチル アミノプロピルアミン等の脂肪族ポリアミン 類、イソホロンジアミン、1,3-ビスアミノメ ルシクロヘキサン、ビス(4-アミノシクロヘ シル)メタン、ノルボルネンジアミン、1,2-ジ アミノシクロヘキサン、ラロミン等の脂環式 ポリアミン類、ジアミノジフェニルメタン、 メタフェニレンジアミン、ジアミノジフェニ ルスルホン等の芳香族ポリアミン類、その他 としてポリオキシプロピレンジアミン、ポリ オキシプロピレンポリアミン、ポリシクロヘ キシルポリアミン混合物、N-アミノエチルピ ラジンなどが挙げられ、一部変性されてい ものでもよい。また、ジシアンジアミドと ったアミド系であってもよい。アミン系硬 剤は、常温で液体のものが、酸化性陰イオ を含有するオニウム塩との反応性が良いの 好ましい。これらは単独で使用されてもよ し、2種類以上の混合物であってもよい。解 体成分はこれらアミン系硬化剤と反応させて 硬化体中に化学的に取り込むことも可能であ るし、硬化剤では無いアミン化合物と反応さ せて物理的に取り込むことも可能である。

 解体成分の性状は液体でも固体でもよい 固体の場合は均一混合させるために粉砕し もよい。そして、固体の場合は分散性の観 から粒径は1mm以下のものが好ましい。接着 の厚さのことも考慮すると100μm以下がより ましく、50μm以下がより好ましく、20μm以下 がより好ましく、10μm以下がより好ましく、5 μm以下が更に好ましい。また、液体の場合は 接着剤中への分散が良いため、均一混合しや すい。

 解体成分の製造・添加と、接着剤成分で る主剤及び硬化剤の添加の順序としては、 一混合が可能であり、硬化時に発生する発 を抑制できるのであれば、特に制限はない 例えば、「酸化性陰イオンを含有するオニ ム塩」とアミン系化合物とを予め反応させ 解体成分を得ておき、後から主剤及び硬化 を添加することは、硬化時の発泡を効果的 抑制できるので好ましい。或いは、始めに 量のアミン系硬化剤と「酸化性陰イオンを 有するオニウム塩」とを混合、反応させて 体成分を得ておき、次いで主剤(例えばエポ キシ主剤)を添加して残りの未反応のアミン 硬化剤を硬化剤として利用することも、硬 時の発泡を抑制できるので好ましい。

 また、主剤、硬化剤を混合した後、解体 分を添加してもよいし、主剤、硬化剤と解 成分との全てを同時に混合してもよい。ま 、主剤と解体成分を混合した後、硬化剤を 加してもよいし、硬化剤と解体成分を混合 た後、主剤を添加してもよい。

 本発明の解体性接着剤は外的刺激によっ 接着性が低下又は消失するため、該接着剤 用いて接着した接着構造体は容易に解体す ことが可能となる。

 本明細書で言う外的刺激とは、熱、火等 物理的な刺激を言い、より具体的には、熱 加熱、赤外線照射、高周波加熱、化学反応 、摩擦熱等、ガスバーナーなどの火による 熱が挙げられる。本発明の接着剤によって 着された接着構造体に上記外的刺激が与え れると、接着剤の温度が上昇し、接着剤成 が有する接着力が低下するという現象に加 、外的刺激を受けることで、その際、該硬 剤(硬化剤、硬化促進剤)中の酸素が接着剤 熱分解・燃焼を促し、酸化性陰イオンを含 するオニウム塩が無添加の場合に比べ、接 剤の炭化を促進し、接着力を大きく低減、 は消失させることができる。

 大型の接着された構造体を均一加熱する いう点では、電気炉、ガス炉等の、内部構 に加熱部を有し、外部が断熱材で構成され 加熱炉の内部空間で構造体を加熱する方法 より好ましい。また、金属/FRP接合体、FRP/FR P接合体などについては、解体時の温度とし 、FRPの融点以下で短時間での解体を可能と ることが、極めて重要な課題である。例え 、複合材料に使用される樹脂PPS(ポリフェニ ンスルフィド、融点:280℃)、PEEK(ポリエーテ ルエーテルケトン、融点:335℃)などの接着構 体の解体においては、再利用(リユース)を 慮した場合に、樹脂に対して融点以上の温 での加熱を長時間行わないことが樹脂の変 を招かないために重要であり、加熱温度は35 0℃以下が好ましく、より好ましくは、300℃ 下である。

 本発明においては、該解体成分とともに、 解促進剤を接着剤に含有させてもよい。
 本明細書で言う分解促進剤とは、上記硬化 と併用して用いた場合、解体成分の分解反 を促進する物質を意味し、解体成分の分解 触媒作用や、熱伝導性の向上により解体成 の分解を促進する物質である。
 例えば、硝酸アンモニウムの分解は、クロ 酸塩によって、また、過塩素酸アンモニウ の分解は、MnO 2 、Fe 2 O 3 によって、促進されることが知られている( ロケット工学」日刊工業新聞社、昭和35年3 25日発行、P230~231参照)。
 そのほか、nBF(ノルマルブチルフェロセン) DnBF(ジノルマルブチルフェロセン)、FeO(OH)な が知られている(木村逸郎著「ロケット工学 」 養賢堂 1993年1月27日発行、P523参照)。

 分解促進剤は、解体成分と併用し、接着 に混合して用いるものであることから、固 粉末状であるもの、又は、常温で液体であ ものが好ましい。また分解促進剤は、その 能として、金属の熱伝導率の良さを利用し 解体成分の分解を促進するものであること ら、金属を含有する化合物であることが好 しい。具体的には、上記参考文献に記載さ た化合物のほか、粉末にできる、酸化第一 、酸化マグネシウム、酸化銅、酸化コバル 、銅クロマイトなどの金属酸化物、フェロ ン、ジメチルフェロセン、フェロシリコン どの分子内に金属を含む化合物が使用可能 ある。さらには、微細な表面構造に起因し 触媒作用を有する活性炭も使用可能である これらを2種類以上組み合わせて用いてもよ い。

 また、本発明においては解体成分、又は 体成分と分解促進剤とともに、発熱剤を接 剤に含有させてもよい。本明細書で言う発 剤とは、自己が分解温度に達すると発熱し がら分解するもので、上記解体成分、又は 体成分と分解促進剤を含有した接着剤の熱 解、燃焼を促進したり、上記解体成分、又 解体成分と分解促進剤を含有した接着剤を 体する際の雰囲気温度を低下させたりする とができる。

 具体的には、発熱剤としては、3-アジド チル-3-オキセタンポリマー(AMMO)、グリシジ アジドポリマー(GAP)、3,3-ビスアジドメチル キセタンポリマー(BAMO)などのアジド基含有 の他に、アゾジカルボンアミド、アゾジカ ボンアミドの金属塩、硝酸グアニジン、ビ カルバモイルヒドラジン、p,p’-オキシビス ンゼンスルホニルヒドラジド、ジニトロペ タメチレンテトラミン、p-トルエンスルホ ルヒドラジド、ベンゼンスルホニルヒドラ ド、ジニトロペンタメチレンテトラミン、 リメチレントリニトロアミン(RDX)、テトラメ チレンテトラニトロアミン(HMX)、ウラゾール トリアゾール類、テトラゾール類などが使 可能である。

 これらは、上述の通り、解体成分、又は解 成分と分解促進剤を含有した接着剤の熱分 、燃焼を促進し、解体温度を低下させるた 、発熱剤の分解温度は、解体成分の分解温 と同程度か、それ以下であることが好まし 。
 分解促進剤、発熱剤は、予め接着剤成分に 有させておいてもよいし、硬化前の接着剤 での長期安定性に問題がある場合等は、接 剤使用時に混合してもよい。

 酸化性陰イオンを含有するオニウム塩の 加量としては、解体性、接着剤の初期強度 接着剤の粘度の観点から、接着剤成分と酸 性陰イオンを含有するオニウム塩の重量比 、100/1~2/3が好ましい。この範囲の重量比で れば、酸化性陰イオンを含有するオニウム が少なすぎることによる解体性の低下がな 、酸化性陰イオンを含有するオニウム塩が すぎることによる接着剤の初期強度の低下 、接着剤の粘度上昇が著しくなることもな 。より好ましい接着剤成分と酸化性陰イオ を含有するオニウム塩の重量比は、75/1~2/1 あり、さらに好ましくは50/1~3/1である。

 分解促進剤を添加する場合は、解体性、 着剤の耐熱性の観点から、酸化性陰イオン 含有するオニウム塩と分解促進剤の重量比 50/1~1/5が好ましい。この範囲の重量比であ ば、有効な分解促進効果が得られ、接着剤 耐熱性低下もない。より好ましい酸化性陰 オンを含有するオニウム塩と分解促進剤の 量比は45/1~1/3であり、さらに好ましくは40/1~1 /2である。

 発熱剤を添加する場合は、解体性の観点か 、酸化性陰イオンを含有するオニウム塩と 熱剤の重量比は、1/1~1/100が好ましい。より ましい酸化性陰イオンを含有するオニウム と発熱剤の重量比は1/2~1/80であり、さらに ましくは1/3~1/50である。
 また、解体成分と分解促進剤、発熱剤を併 する場合であっても、接着剤の初期強度、 着剤の粘度の観点から、接着剤成分と、解 成分、分解促進剤、発熱剤の総量の重量比 、2/3以下であることが好ましい。

 分解促進剤、発熱剤の粒径については、酸 性陰イオンを含有するオニウム塩の粒径に いて述べたと同様の理由により1mm以下であ ことが好ましい。また、粒径が細かくなる 表面積が増大し、接着剤との反応性が向上 ることや、接着剤中での分散性が向上する とから100μm以下がより好ましく、50μm以下 より好ましく、20μm以下がより好ましく、10 m以下がより好ましく、5μm以下が更に好まし い。
 本発明の接着剤の使用箇所は、特に制限さ るものではないが、リサイクル、リユース リワーク用途に使用することが可能であり 金属-FRPや、金属-ガラスのような異材質の 着に好適に用いることができる。また異種 金属-金属、FRP-FRPの接着に用いることも可能 である。

<接着剤の調製>
 構造用接着剤として、広く用いられるエポ シ樹脂系接着剤を用いた。用いたエポキシ 脂系接着剤は、以下のように調製した。
 主剤として(a)ビスフェノールF型エポキシ(AD EKA製、商品名アデカレジンEP-4901)、アミン系 化剤として、(b)変性脂肪族ポリアミン(ADEKA 、商品名アデカハードナーEH-463)を使用した 。接着硬化する組成配合としてa/b=76.6/23.4を 合し、接着剤組成(1)(基本接着剤)とした。
 解体成分として(b)変性脂肪族ポリアミンと( d)過塩素酸アンモニウムを混合して得た反応 を使用した。

 本発明の効果を示すために、表1に示すよう に、次の接着剤1~5を調製した。
接着剤1
 基本接着剤(1)のみを25℃1日で硬化させたも
接着剤2
 基本接着剤(1)に過塩素酸アンモニウム(粒径 10μm)を100/10の割合で配合し、25℃1日で硬化さ せて接着剤2を得た。
接着剤3
 前記硬化剤(b)に過塩素酸アンモニウム(粒径 10μm)を組成配合として23.4/10の割合で混合し 50℃2時間で反応させて解体成分と硬化剤の 合物を得た。これらを前記主剤(a)と混合し 後、25℃1日で硬化させて接着剤3を得た。
接着剤4
 基本接着剤(1)に過塩素酸カリウム(粒径10μm) を100/10の割合で配合し、25℃1日で硬化させて 接着剤4を得た。
接着剤5
 前記硬化剤(b)に過塩素酸アンモニウム(粒径 10μm)を配合組成10/20の割合で混合し、50℃2時 で反応させて解体成分を得た。これを基本 着剤(1)に100/10の割合で配合し、25℃1日で硬 させて接着剤5を得た。
 また、全ての接着剤において、硬化後、内 応力を排除するために120℃1時間のエージン グを行った。

<解体成分の反応率測定>
 過塩素酸アンモニウムと変性脂肪族ポリア ンの反応前後の重量を測定し、その差より 応によって生成されたガス量を測定して反 率を求めた。
<接着強度の測定>
 接着強度の測定には、上記接着剤を硬化前 幅25mm、長さ100mm、厚さ1.6mmの金属板(SUS製)の 端部(長さ12.5mm、幅25mm)に塗布して張り合わせ 、得られた試料の引張強度(加熱前強度)を測 温度25℃、5mm/minの引張速度で測定した。測 結果を表2に示す。

<電気炉剥離試験>
 剥離試験時の加熱は、電気炉を用いて実施 た。280℃雰囲気にした加熱炉中試験片を入 、30分間加熱し、上記と同一の試験条件で 張強度(加熱後強度)を得た。試験には次の試 験機を用いた。
(試験機)
 SHIMADZU(島津製作所製)型式:AGS-J ロードセル: 1トン(10000N)用

<炭化度合い>
 前記電気炉剥離試験後の接着剤の炭化度合 を次の基準で評価した。
  A:炭化しており、光沢がない。
  B:炭化しておらず、光沢、透明性あり。茶 色に変色。

比較例1
 接着剤1の基本組成で接着した接着構造体試 料を280℃で加熱し、加熱による剥離程度を確 認した。結果を表2に示す。試験の結果、剥 はしていなかった(この場合の評価を表2の剥 離可否の欄で×と表現した。)。炭化度合いは Bであった。

比較例2
 接着剤2の接着剤を用いて接着した接着構造 体試料を硬化後、引張試験を行い強度を測定 したところ、接着剤1と比較して初期強度の 下が見られた。また剥離面の接着剤には細 な気泡の存在が確認された。結果を表2に示 。この結果から硬化剤と反応する酸化性陰 オンと非金属陽イオンからなる塩について 、同時に混合した場合、酸化性陰イオンと 金属陽イオンからなる塩と硬化剤の反応と 化剤と主剤の反応が同時に起こり、その結 発泡してしまい、初期強度が低下すること 実証された。また280℃で加熱し、加熱によ 剥離程度を確認した。結果を表2に示す。試 験体は電気炉に入れて30分後に剥離すること 確認された(この場合の評価を表2の剥離可 の欄で○と表現した。)。炭化度合いはAであ った。
実施例1
 接着剤3を用いて接着した接着構造体試料の 硬化後引張試験を行い、強度を測定したとこ ろ、接着剤1と同様の初期強度が得られた。 果を表2に示す。また、280℃で加熱し加熱に る剥離程度を確認した。電気炉に入れて30 後に剥離することが確認された。炭化度合 はAであった。また、この時の解体成分の反 率は90%であった。

比較例3
 接着剤4を用いて接着した接着構造体試料の 硬化後引張試験を行い、強度を測定したとこ ろ、接着剤1と同様の初期強度が得られた。 果を表2に示す。また280℃で加熱し加熱によ 剥離程度を確認した。電気炉に入れて30分 でも剥離はしておらず、炭化度合いはBであ た。
実施例2
 接着剤5を用いて接着した接着構造体試料の 硬化後引張試験を行い、強度を測定したとこ ろ、接着剤1と同様の初期強度が得られた。 果を表2に示す。また、280℃で加熱し加熱に る剥離程度を確認した。電気炉に入れて30 後に剥離することが確認された。炭化度合 はAであった。また、解体成分の反応率は92% あった。

 本発明を詳細にまた特定の実施態様を参 して説明したが、本発明の精神と範囲を逸 することなく様々な変更や修正を加えるこ ができることは当業者にとって明らかであ 。

 本発明の解体成分を用いた解体性接着剤 使用すれば、アミン系硬化剤を用いる接着 において発泡を抑制でき、初期強度の低下 軽減できる。また該接着剤を用いて接着し 接着構造体を外的刺激によって容易に解体 ることが可能となる。従って、本発明の接 剤は、リサイクル、リユース、リワーク用 に有用であり、金属-FRPや、金属-ガラスの うな異材質の接着に好適に用いることがで る。




 
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