Login| Sign Up| Help| Contact|

Patent Searching and Data


Title:
DETECTION AND TREATMENT OF SCHIZOPHRENIA
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/025159
Kind Code:
A1
Abstract:
Disclosed is a schizophrenia detection method. Also disclosed is a schizophrenia detection reagent or apparatus for use in the method. Further disclosed is a therapeutic or ameliorating agent for schizophrenia, which is effective for the treatment or amelioration of schizophrenia. The therapeutic or ameliorating agent for schizophrenia comprises a carbonyl scavenger or an inhibitor of the production of a protein-modified product of a carbonyl compound as an active ingredient. The schizophrenia detection method is achieved by the step of measuring at least one item selected from the group consisting of the following items (1) to (4) in a subject: (1) the genetic abnormality of glyoxalase-I gene; (2) the expression level or activity of glyoxalase-I in a biological sample; (3) the quantity of a carbonyl compound or a protein-modified product thereof; and (4) and the quantity of pyridoxal in a biological sample.

Inventors:
ITOKAWA MASANARI (JP)
MIYATA TOSHIO (JP)
ARAI MAKOTO (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/063803
Publication Date:
February 26, 2009
Filing Date:
July 31, 2008
Export Citation:
Click for automatic bibliography generation   Help
Assignee:
UNIV TOKAI EDUCATIONAL SYSTEM (JP)
TOKYO METROPOLITAN ORG MED RES (JP)
RENASCIENCE CO LTD (JP)
MED & BIOLOGICAL LAB CO LTD (JP)
ITOKAWA MASANARI (JP)
MIYATA TOSHIO (JP)
ARAI MAKOTO (JP)
International Classes:
C12Q1/68; A61K31/415; A61K31/4152; A61K31/437; A61K31/4415; A61K31/4439; A61K45/00; A61P25/18; C12N15/09; G01N30/88; G01N33/15; G01N33/50
Domestic Patent References:
WO2004005935A12004-01-15
WO2005054205A12005-06-16
WO2005030737A12005-04-07
WO2007026962A12007-03-08
Foreign References:
JP2001245661A2001-09-11
JP2003038198A2003-02-12
JP2003212795A2003-07-30
JP2004251865A2004-09-09
JP2005055227A2005-03-03
JP2005278490A2005-10-13
Other References:
TURNER W.J. ET AL.: "Genetic markers for schizotaxia", BIOL.PSYCHIATRY, vol. 14, no. 1, 1979, pages 177 - 206, XP008132140
GALE C.P. ET AL.: "Common polymorphisms in the glyoxalase-1 gene and their association with pro-thrombotic factors", DIAB.VASC.DIS.RES., vol. 1, no. 1, 2004, pages 34 - 39, XP008132143
MIYATA T. ET AL.: "Glyoxalase I deficiency is associated with an unusual level of advanced glycation end products in a hemodialysis patient", KIDNEY INT., vol. 60, no. 6, 2001, pages 2351 - 2359, XP002355559
POLITI P. ET AL.: "Association analysis of the functional Ala111Glu polymorphism of the glyoxalase I gene in panic disorder", NEUROSCI.LETT., vol. 396, no. 2, 2006, pages 163 - 166, XP025023590
SACCO R. ET AL.: "Case-control and family-based association studies of candidate genes in autistic disorder and its endophenotypes: TPH2 and GLO1", BMC MED.GENET., vol. 8, no. 11, March 2007 (2007-03-01), pages 1 - 9, XP008132135
MCGLASHAN, SCHIZOPHR BULL, 1988
BRUCE ET AL.: "Geneme Analysis/A Laboratory Manual", vol. 4, 1999, COLD SPRING HARBOR LABORATORY
SAMBROOK J. ET AL.: "Molecular Cloning: A Laboratory Manual", COLD SPRING HARBOR LABORATORY
"Polymerase Chain Reaction-Single Strand Conformation Polymorphism Analysis", BIOTECHNIQUES, vol. 16, 1994, pages 296 - 297
BIOTECHNIQUES, vol. 21, 1996, pages 510 - 514
CLIN. CHIM. ACTA, vol. 189, 1990, pages 153 - 157
BIOTECHNIQUES, vol. 11, 1991, pages 246 - 249
NUC. ACIDS. RES., vol. 19, 1991, pages 3561 - 3567
NUC. ACIDS. RES., vol. 20, 1992, pages 4831 - 4837
BIOTECHNIQUES, vol. 27, 1999, pages 1016 - 1018
DNA CELL. BIOL., vol. 14, 1995, pages 87 - 94
BIOTECHNIQUES, vol. 21, 1996, pages 216 - 218
GENOME RES., vol. 8, 1998, pages 549 - 556
GENET. ANAL., vol. 14, 1999, pages 143 - 149
J. CLIN. MICROBIOL., vol. 34, 1996, pages 2933 - 2936
SCIENCE, vol. 5109, 1993, pages 778 - 783
J.BIOL.CHEM., vol. 30, 1999, pages 21387 - 21394
NAT. BIOTECHNOL., vol. 17, 1999, pages 292 - 296
GENOME RES., vol. 7, 1997, pages 378 - 388
EUR. J. CLIN. CHEM. CLIN. BIOCHEM., vol. 35, 1997, pages 545 - 548
PROC. NATL. ACAD. SCI. USA, vol. 94, 1997, pages 10756 - 10761
NAT. BIOTECHNOL., vol. 1, 1998, pages 49 - 53
GENE & MEDICINE, vol. 4, 2000, pages 46 - 48
NAT. BIOTECHNOL., vol. 1, 1999, pages 87 - 88
GENE & MEDICINE, vol. 4, 2000, pages 47 - 48
NAT. GENET., vol. 3, 1998, pages 225 - 232
GENE & MEDICINE, vol. 4, 2000, pages 50 - 51
KENICHI MATSUBARA; YOSHIKI SAKAKI: "Strategy for SNP genetic polymorphism", NALAYAMA-SHOTEN, pages: 128 - 135
ANAL. CHEM., vol. 72, 2000, pages 1334 - 1341
MCLELLAN AC; THORNALLEY PJ: "Glyoxalase activity in human red blood cells fractioned by age", MECH AGEING DEV, vol. 48, 1989, pages 63 - 71
SAMBROOK ET AL.: "Molecular Cloning", 1989, COLD SPRING HARBOUR LABORATORY PRESS
LIVAK KJ, GENE ANAL, vol. 14, 1999, pages 143
MORRIS T ET AL., J CLIN MICROBIOL, vol. 34, 1996, pages 2933
LYAMICHEV V. ET AL., NAT BIOTECHNOL, vol. 17, 1999, pages 292
NATURE BIOTECHNOLOGY, vol. 14, 1996, pages 303 - 308
MCLELLAN AC: "Thornalley PJ: Glyoxalase activity in human red blood cells fractioned by age", MECH AGEING DEV, vol. 48, 1989, pages 63 - 71
MIYATA, T. ET AL., PROC. NATL. ACAD. SCI. USA, vol. 93, 1996, pages 2353 - 2358
MIYATA, T ET AL., J. AM. SOC., NEPHROL., vol. 7, 1996, pages 1198 - 1206
MIYATA, T. ET AL., PROC. NATL. ACAD. SCI., USA, vol. 93, 1996, pages 2353 - 2358
"Diagnostic and Statistical Manual, Fourth Edition", AMERICAN PSYCHIATRIC ASSOCIATION
See also references of EP 2189537A4
Attorney, Agent or Firm:
Saegusa & Partners et al. (1-7-1 Doshomachi,Chuo-ku, Osaka-shi, Osaka 45, JP)
Download PDF:
Claims:
 被験者に対して、
(1)グリオキシラーゼI遺伝子の遺伝子異常、
(2)生体試料中のグリオキシラーゼIの発現量または活性、
(3)カルボニル化合物またはその蛋白修飾物の量、および
(4)生体試料中のピリドキサール量
からなる群から選択されるいずれか少なくとも1つを測定する工程を有する、統合失調症の検査方法。
 上記(4)生体試料中のピリドキサール量の測定に加えて、さらに(5)生体試料中のホモシステイン量を測定する工程を有する、請求項1記載の統合失調症の検査方法。
 上記被験者が、統合失調症の診断基準に定められる、統合失調症に特徴的な症状または所見を有するか、当該基準により統合失調症が疑われる者である、請求項1に記載する統合失調症の検査方法。
 上記被験者が、腎機能障害、糖尿病および炎症を有しない者である請求項1に記載する統合失調症の検査方法。
(1)グリオキシラーゼI遺伝子の遺伝子異常が、配列番号1に示すグリオキシラーゼI遺伝子のコード領域の塩基配列(配列番号2)において79位のアデニンと80位のシトシンの間へのアデニン挿入によるフレームシフト異常である、請求項1に記載する統合失調症の検査方法。
(1)グリオキシラーゼI遺伝子の遺伝子異常が、配列番号3に示すグリオキシラーゼIのアミノ酸配列において111番目のアミノ酸の変異(Glu→Ala)をもたらす塩基置換変異である、請求項1に記載する統合失調症の検査方法。
 グリオキシラーゼIの活性低下を招くグリオキシラーゼI遺伝子異常を有する被験者に対して、上記(2)~(4)からなる群から選択されるいずれか少なくとも1つを測定する工程を有する、請求項1に記載する統合失調症の検査方法。
 上記グリオキシラーゼI遺伝子異常が、配列番号1に示すグリオキシラーゼI遺伝子のコード領域の塩基配列(配列番号2)において79位のアデニンと80位のシトシンの間へのアデニン挿入によるフレームシフト異常か、または配列番号3に示すグリオキシラーゼIのアミノ酸配列において111番目のアミノ酸の変異(Glu→Ala)をもたらす塩基置換変異である、請求項7に記載する統合失調症の検査方法。
 被験者の(3)カルボニル化合物の蛋白修飾物(カルボニル蛋白修飾物)の量を測定する工程を有する、請求項1に記載する統合失調症の検査方法であって、当該カルボニル蛋白修飾物の測定方法として、抗-カルボニル蛋白修飾物抗体を用いた免疫学的手法、高速液体クロマトグラフィー、ガスクロマトグラフィー/マススペクトロメトリー、またはAGE-Reader法を用いることを特徴とする方法。
 カルボニル蛋白修飾物がペントシジンである請求項1に記載する統合失調症の検査方法。
 下記(A)および(B)の工程を有する、請求項1に記載する統合失調症の検査方法:
 (A)被験者について、(2)生体試料中のグリオキシラーゼIの発現量または活性、(3)カルボニル化合物またはその蛋白修飾物の量、および(4)生体試料中のピリドキサール量からなる群から選択されるいずれか少なくとも1つを測定する工程、および
 (B)上記工程で得られた被験者の測定値と、当該測定値に対応する健常者における測定値(対照値)とを対比する工程。
 被験者について測定した各測定値が下記に該当する場合に、当該被験者を統合失調症と認定する、請求項11に記載する統合失調症の検査方法:
 (2)被験者の生体試料中のグリオキシラーゼIの発現量または活性が、健常者の生体試料中の当該発現量または活性よりも低値である、
 (3)被験者のカルボニル化合物またはその蛋白修飾物の量が、健常者の当該量よりも多い、
 (4)被験者の生体試料中のピリドキサール量が、健常者の生体試料中の当該量よりも少ない。
 配列番号1に示すグリオキシラーゼI遺伝子において、そのコード領域の塩基配列(配列番号2)の79位のアデニンと80位のシトシンを含む16塩基長以上の連続したオリゴ若しくはポリヌクレオチド、または332位の塩基を含む16塩基長以上の連続したオリゴ若しくはポリヌクレオチド(但し、これらのオリゴヌクレオチド若しくはポリヌクレオチドがRNAである場合は、配列表中の塩基記号「t」は「u」に読み替えるものとする)にハイブリダイズし、当該オリゴ若しくはポリヌクレオチドを特異的に増幅するために用いられる15~35塩基長のオリゴヌクレオチドまたはその標識物。
 被験者について、配列番号1に示すグリオキシラーゼI遺伝子のコード領域の塩基配列(配列番号2)において、79位のアデニンと80位のシトシンの間へのアデニン挿入、または332位のアデニンからシトシンへの変異を識別して統合失調症を検査するために用いられる、請求項13に記載されるオリゴヌクレオチドまたはその標識物からなるプライマー。
 配列番号1に示すグリオキシラーゼI遺伝子において、そのコード領域の塩基配列(配列番号2)の79位のアデニンと80位のシトシンを含む16塩基長以上の連続したオリゴ若しくはポリヌクレオチド、または332位の塩基を含む16塩基長以上の連続したオリゴ若しくはポリヌクレオチド(但し、これらのオリゴヌクレオチド若しくはポリヌクレオチドがRNAである場合は、配列表中の塩基記号「t」は「u」に読み替えるものとする)にハイブリダイズし、当該オリゴ若しくはポリヌクレオチドを特異的に検出するために用いられる16~500塩基長のオリゴヌクレオチドまたはその標識物。
 被験者について、配列番号1に示すグリオキシラーゼI遺伝子のコード領域の塩基配列(配列番号2)の79位のアデニンと80位のシトシンの間へのアデニン挿入または332位のアデニンからシトシンへの変異を識別して統合失調症を検査するために用いられる、請求項15に記載されるオリゴヌクレオチドまたはその標識物からなるプローブ。
 請求項14に記載するプライマー、または/および、請求項16に記載するプローブを含む、統合失調症の検査試薬、または当該試薬を含むキット。
 被験者の生体試料中の (2)グリオキシラーゼIの発現量または活性を測定する工程を有する統合失調症の検査に用いる試薬であって、少なくとも抗グリオキシラーゼI抗体またはグリオキシラーゼIの反応基質を含有する検査試薬。
 被験者の生体試料中の(3)カルボニル化合物またはその蛋白修飾物の量を測定する工程を有する統合失調症の検査に用いる試薬であって、(a)既知濃度のカルボニル化合物またはその蛋白修飾物、または(b)標識されていてもよい抗-カルボニル蛋白修飾物抗体のいずれか少なくとも1つを含有する検査試薬。
 上記カルボニル蛋白修飾物がペントシジンである請求項19記載の検査試薬。
 被験者の(3)カルボニル蛋白修飾物の量を測定する工程を有する統合失調症の診断に用いることを特徴とする、皮膚中のカルボニル蛋白修飾物量を測定するAGE-Reader装置。
 統合失調症の診断に使用できることを記載した書類が添付された、請求項21に記載するAGE-Reader装置。
 皮膚中のカルボニル蛋白修飾物量を測定するAGE-Reader装置の、統合失調症の診断のための使用。
 被験者の生体試料中の (4)ピリドキサール量を測定する工程を有する統合失調症の検査に用いる試薬であって、(a)既知濃度のピリドキサール、または(b)ピリドキサール測定試薬のいずれか少なくとも1つを含有する検査試薬。
 カルボニル消去剤またはカルボニル蛋白修飾物生成抑制剤を有効成分とする、統合失調症の治療または改善剤。
 カルボニル消去剤がビタミンB 6 である、請求項25に記載する統合失調症の治療または改善剤。
 カルボニル蛋白修飾物生成抑制剤が、遊離形または塩形の1-置換または非置換-3-置換または非置換-2-ピラゾリン-5-オンの4位に、ビタミンB 6 分子の結合を妨げる置換基(ビタミンB 6 分子自体に由来するものを含む)を導入した化合物またはその転位体である、請求項25に記載する統合失調症の治療または改善剤。
 上記化合物が、遊離形または塩形の式(1):
または式(2):
[式中、Raは置換または非置換の芳香環基であり、Rb、RcおよびRdはそれぞれ水素原子または1価の有機基であるか、またはRbとRcは両者合して縮合環を形成するか、もしくはRcとRdは両者合して2価の有機基を表す。]
で示される化合物から選択されるものである、請求項27に記載する統合失調症の治療または改善剤。
 カルボニル蛋白修飾物生成抑制剤が、下記一般式(I):
〔式中、Aは下記一般式(A1)、(A2)又は(A3)
で表される基を示し、Bは1H-テトラゾール-5-イル基又は2,4-ジオキソ-1,3-チアゾリジン-5-イル基を示し、Xはメチレン、酸素原子又は硫黄原子を示し、Yは単結合又はC6~10アリーレン基を示し、R 1A は水素原子又はC1-6アルキル基を示し、R 2A 及びR 3A は同一若しくは異なって水素原子、カルボキシル基又はC1-6アルキル基を示し、R 4A 、R 5A 及びR 6A は同一若しくは異なって水素原子又はC1-6アルキル基を示し、R 7A はC1-10アルキルカルボニル基を示す。但し、Aが(A2)である場合、Bは2,4-ジオキソチアゾリジン-5-イル基を示す。〕
で表される化合物、又はその薬理上許容される塩若しくはエステルである、請求項25に記載する統合失調症の治療または改善剤。
 カルボニル蛋白修飾物生成抑制剤が、下記一般式(II):
 [式中、
Aは、下記一般式(A4)、(A5)、(A6)または(A7)
で表される基を示し、
 Bは、1H-テトラゾール-5-イル基または2,4-ジオキソ-1,3-チアゾリジン-5-イル基を示し;
 Xは、単結合またはC6-10アリーレン基を示し;
 Y 1 は、カルボニル、スルホニルまたは単結合を示し;
 Y 2 は、C1-6アルキレン基または単結合を示し;
 Y 3 は、メチレン、カルボニルまたは単結合を示し;
 Y 4 は、メチンまたは窒素原子を示し;
 Y 5 は、メチレン、カルボニルまたは単結合を示し;
 R 1 は、
 C1-8アルキル基(該C1-8アルキル基は、下記置換基群αから選択される基で1乃至3個置換されていても良い)、C6-14アリール基(該C6-14アリール基は、下記置換基群βから選択される基で1乃至5個置換されていても良い)、C6-14アリール-C1-6アルキル基(該C6-14アリール-C1-6アルキル基は、下記置換基群βから選択される基で1乃至5個置換されていても良い)、窒素原子、酸素原子および硫黄原子から選択される同一若しくは異なった1乃至3個のヘテロ原子を含む4乃至10員複素環基(該複素環基は、下記置換基群βから選択される基で1乃至5個置換されていても良い)、窒素原子、酸素原子および硫黄原子から選択される同一若しくは異なった1乃至3個のヘテロ原子を含む4乃至10員複素環-C1-6アルキル基(該複素環-C1-6アルキル基は、下記置換基群βから選択される基で1乃至5個置換されていても良い)、C3-7シクロアルキル基(該C3-7シクロアルキル基は、下記置換基群βから選択される基で1乃至5個置換されていても良い)、C3-7シクロアルキル-C1-6アルキル基(該C3-7シクロアルキル-C1-6アルキル基は、下記置換基群βから選択される基で1乃至5個置換されていても良い)、C6-14アリール-カルボニル-C1-6アルキル基(該C6-14アリール-カルボニル-Cl-6アルキル基は、下記置換基群βから選択される基で1乃至5個置換されていても良い)、またはC1-6脂肪族アシル基(該C1-6脂肪族アシル基は、下記置換基群βから選択される基で1乃至5個置換されても良い)を示し;
 R 2 は、水素原子、下記置換基群βから選択される基、カルボキシル基または-C(O)NR 13 R 14 で表される基を示し;
 R 3 は、水素原子、C1-8アルキル基(該C1-8アルキル基は下記置換基群αから選択される基で1乃至3個置換されていても良い)、C6-14アリール基(該C6-14アリール基は下記置換基群βから選択される基で1乃至5個置換されていても良い)、または窒素原子、酸素原子および硫黄原子から選択される同一若しくは異なった1乃至3個のヘテロ原子を含む4乃至10員複素環基(該複素環基は下記置換基群βから選択される基で1乃至5個置換されていても良い)を示し;
 R 4 およびR 5 は、同一または異なって、それぞれ水素原子またはC6-14アリール基(該C6-14アリール基は、下記置換基群βから選択される基で1乃至5個置換されていても良い)を示し;
 R 6 およびR 7 は、一緒になってC3-7シクロアルカンを形成するか、或いは同一または異なってそれぞれ水素原子またはC1-8アルキル基(該C1-8アルキル基は、下記置換基群αから選択される基で1乃至3個置換されていても良い)を示し;
 R 8 およびR 9 は、同一または異なってそれぞれ水素原子、下記置換基群βから選択される基、カルボキシル基または-C(O)NR 13 R 14 で表される基を示し;
 R 10 は、水素原子、C1-8アルキル基(該C1-8アルキル基は、下記置換基群αから選択される基で1乃至3個置換されていても良い)、C6-14アリール基(該C6-14アリール基は、下記置換基群βから選択される基で1乃至5個置換されていても良い)、または窒素原子、酸素原子および硫黄原子から選択される同一若しくは異なった1乃至3個のヘテロ原子を含む4乃至10員複素環基(該複素環基は、下記置換基群βから選択される基で1乃至5個置換されていても良い)を示し;
 R 11 およびR 12 は、同一または異なってそれぞれ水素原子、下記置換基群βから選択される基、カルボキシル基または-C(O)NR 13 R 14 で表される基を示し;
 R 13 およびR 14 は、一緒になって4乃至10員含窒素複素環(該含窒素複素環は、下記置換基群βから選択される基で1乃至5個置換されていても良い)を形成するか、或いは同一または異なってそれぞれ水素原子またはC1-8アルキル基(該C1-8アルキル基は、下記置換基群αから選択される基で1乃至3個置換されていても良い)を示す。
  但し、(1)R 1 がC1-8アルキル基であり、かつY 1 が単結合である場合、Bは2,4-ジオキソ-1,3-チアゾリジン-5-イル基であり、
(2)Y 2 がメチレンである場合、R 6 およびR 7 は共に水素原子ではなく、
(3)R 1 が無置換のC1-8アルキル基である場合、Y 1 はカルボニルではなく、
(4)R 1 が無置換のC1-6脂肪族アシル基である場合、Y 1 は単結合ではない。
 置換基群αは、ハロゲン原子、C1-6アルキルチオ基、C1-6脂肪族アシル基、C1-6アルキルスルホニル基、C1-6アルコキシ基、シアノ基およびニトロ基からなる群であり;
 置換基群βは、ハロゲン原子、C1-6アルキル基、ハロC1-6アルキル基、C1-6アルコキシ基、C1-6アルキルチオ基、C1-6アルキルスルホニル基、C1-6脂肪族アシル基、オキソ基、シアノ基、ニトロ基、C3-7シクロアルキル基、C6-14アリール基、C1-6アルコキシイミノ基、C6-14アリール-カルボール基、並びに窒素原子、酸素原子および硫黄原子から選択される同一若しくは異なった1乃至3個のへテロ原子を含む4乃至10員複素環基からなる群である。〕
で表される化合物、またはその薬理上許容される塩若しくはエステルである、請求項25に記載する統合失調症の治療または改善剤。
 被験物質の中から、カルボニル消去作用またはカルボニル蛋白修飾物生成抑制作用を有する物質を選択する工程を有する、統合失調症の治療または改善剤のスクリーニング方法。
Description:
統合失調症の検査および治療

 本発明は、統合失調症を検査する方法、 らびに当該方法に使用される統合失調症の 査試薬または検査機器に関する。また本発 は、統合失調症の治療または改善に有効な 合失調症の治療または改善剤に関する。

 統合失調症(Schizophrenia)は、かつては精神 裂症と称されていた幻覚や妄想を主症状と る精神科の代表的疾患である。障害罹患率1 %と頻度が高く、現在治療を受けている患者 日本国内で70万人にのぼる。発症年齢のピー クは17~27歳までの思春期~青年期にあり、その 後は慢性に経過するため、全病床の22%(1996年) がこの疾患で占められている。男性の発症ピ ークが15~24歳であるのに対して、女性が25~34 と初発年齢が遅く、また閉経期にもう一つ 発症ピークがあることなどから、女性ホル ンが統合失調症の病態に抑制的に働いてい とも言われているが、その原因はいまだに 明である。また、後述するように、治療法 主として対症療法的薬物投与が行われてい にすぎず、決め手になる治療方法は未だ確 されていない。

 一卵性双生児の発症一致率は35~58%と、二 性双生児の一致率13~27%より高いことから遺 的要因が統合失調症の発症に関与している とが示唆されている。遺伝率(heritability)は 約80%と算出されており、高血圧の30%、肥満 40~70%と比べても、遺伝要因の大きい疾患で る。このため1990年代から数多くの候補遺伝 研究が行われ、検討された遺伝子の数は3桁 におよんでいる。また、大規模な連鎖研究も 行われ、ポジショナルなアプローチによって 幾つかの候補遺伝子が同定されたが、生化学 を含めた病態の説明はつかず、さらに候補遺 伝子の関連解析結果も研究者間で一貫してい ないのが実情である。このため、統合失調症 はいわゆる遺伝病(単一遺伝子疾患)ではなく 複数の弱い発病効果の遺伝子の組み合わせ 、環境要因も加わって発症する複雑遺伝疾 と考えられている。

 統合失調症の症状として、主として、急 期に顕著な陽性症状(幻覚、妄想、思考滅裂 など)と、慢性期になって目立ってくる陰性 状(感情鈍麻、意欲・自発性欠如、社会的引 こもり)がある。

 現在のところ、統合失調症の診断は、患 との面接に基づいて、陳述内容や表情、と には家族からの情報などを総合して、世界 健機構(WHO)の「国際疾病分類・第10版」(ICD-1 0)(図1)または米国精神医学会(APA)の「診断・ 計マニュアル・第4版」(DSM-IV)(図2参照)を判 基準として行われる。このため、最終的な 定は、担当医の経験に基づく主観に頼らざ を得ず、診断の精度は十分であるとはいえ い。このため、統合失調症の原因遺伝子の 色体マッピングやその同定、ならびに患者 血液や尿などの生体試料を使用した研究が んに行われており、その結果、統合失調症 診断に利用可能な生物学的マーカーいくつ 報告されている(例えば、特許文献1~7等参照) 。しかしながら、未だに確立されたものはな い。

 統合失調症の治療は、抗精神病薬(図3参 )の投与が中心であり、ほぼ生涯にわたって 薬が必要とされる。抗精神病薬の幻覚・妄 に対する薬理効果は、ドーパミン受容体の 断作用に基づいている。しかし、ドーパミ 神経を抑制することにより、副作用として ーキンソン病様症状が発現するため、通常 パーキンソン薬が併用される。近年、統合 調症の陽性症状には効果があるものの陰性 状にはほとんど効果がなかった従来型の抗 神病薬に代えて、陰性症状にも効果がある される非定型抗精神病薬が開発され、従来 の薬剤に取って代わってきている。当該非 型抗精神病薬は、ドーパミン受容体への遮 作用が従来型に比べて強くないため、パー ンソン病様の副作用も少ないといった利点 備えている。

 抗精神病薬投与以外の治療方法としては 100Vの交流電流を5秒間頭部に通電して全身 攣を誘発させる治療法である電気痙攣療法(E CT)、ならびに農耕、木工、手芸、レクリエー ションなどの作業療法や社会生活技能訓練(SS T)等を行う精神科リハビリテーションを挙げ ことができる。前者のECTは、切迫した自殺 危険性、栄養不良、緊張病状態など迅速な 善が求められる症状や薬物治療に抵抗性の 例に適用される方法である。また後者の精 科リハビリテーションは生活技能を獲得す ことで社会生活でのストレスを軽減して再 予防をはかろうとするものである。

 しかしながら、いずれの治療も対症療法 しかなく、古いデータであるが、薬物治療 果のない慢性の難治例を対象に15年間追跡 査した結果として、回復6%。良好8%、中等度2 3%、境界23%、持続的障害41%と報告されている( 非特許文献1)。

 ところで、糖化最終産物(advanced glycation end  products:以下「AGEs」ともいう)は、高血糖や 化ストレス下において糖・脂質などから生 たカルボニル化合物とタンパク(アミノ基)と が非酵素学的に反応(メイラード反応)するこ によって体内で生成される物質である(本発 明でいう「カルボニル化合物の蛋白修飾物( ルボニル蛋白修飾物)」には、当該AGEsが含ま れる)。AGEsは、多数の構造体から成るheterogene ousな集合体であり、当該集合体を構成する構 造体の一つであるペントシジンは、1989年Sell によりヒト脳硬膜コラーゲン中から単離さ た蛍光性物質である。近年、これらのAGEsに 対する抗体(抗AGE抗体)を利用した解析結果に り、種々の病態で、組織や血中のAGEsが増加 していることが判明している。例えば、糖尿 病では高血糖のため、AGEsの前駆物質である 由来のカルボニル化合物およびその蛋白修 物(AGEs)の増加が認められる。腎不全ではカ ボニル化合物の排泄低下と酸化ストレスの 進により、また炎症性疾患では酸化ストレ の亢進によって、カルボニル化合物の産生 亢進し、その蛋白修飾物(AGEs)の増加が認め れる。さらにカルボニル化合物を消去する 素であるグリオキシラーゼを欠損する患者 もAGEs値が上昇することが報告されている。 のため血中のAGEs値は、糖尿病や腎不全の血 管合併症などの指標として、実際に臨床検査 に使用されている。AGEs値の測定方法として 、AGEsの構造体であるペントシジンの量を、 ペントシジン抗体を用いてELISA法で測定す 方法、皮膚中のペントシジン含量をAGE Reader 機器で測定する方法などが使用されている。

特開2001-245661号公報

特開2003-38198号公報

特開2003-212795号公報

WO2004/005935パンフレット

特開2004-251865号公報

特開2005-55227号公報

特開2005-278490号公報 McGlashan Schizophr Bull, 1988

 統合失調症は、病態が特殊であり、しか 前述するように病歴が長期にわたるため、 人およびその家族の精神的苦痛や負担は大 い。加えて、1%と罹患者数も多いことから この精神疾患による社会的損失ははかりし ない。さらに前述するように、全病床の22% 統合失調症の患者で占められているという 情は、医療経済の点からも大きな問題であ 。このため、早期診断、治療、社会復帰活 、および再発防止といった包括的な診断及 治療体系の早期確立が望まれている。

 本発明は、かかる課題を解決することを 的とするものであり、統合失調症の診断お び治療に有効に使用できる新規な手法を提 することを目的とする。具体的には、本発 は統合失調症の検査方法および当該方法に 効に使用できる検査試薬や検査機器、なら に統合失調症の治療および改善に有効に使 できる治療および改善剤を提供することを 的とする。

 本発明者の一人である糸川は、統合失調症 患者家系を対象とした遺伝子解析の結果、 合失調症の患者家系に、1つのアレルが点突 然変異のためフレームシフトし、グリオキシ ラーゼを欠損してなる患者家系が複数存在し ていることを見出した。そこで、かかる患者 の生物学的・化学的解析を、本発明者の一人 である宮田が行ったところ、この統合失調症 の家系では、赤血球グリオキシラーゼの活性 が健常者の半分程度まで低下していること、 腎不全や糖尿病・炎症といった他の病態がな いにも拘わらず血中カルボニル化合物とAGEs 高値(すなわちカルボニルストレス)にあるこ と、カルボニル消去のため体内のビタミンB 6 (ピリドキサール)が消費され低値になってお 、そのためホモシステイン量が増加してい など、統合失調症患者においてグリオキシ ーゼの遺伝子異常に基づいて一連の生化学 な異常が生じていることを確認することが きた。

 また本発明者らのさらなる研究により、カ ボニルストレスとビタミンB 6 欠乏は、上記グリオキシラーゼが欠損した統 合失調症患者のみならず、一部の一般の統合 失調症においても確認することができた。具 体的には、グリオキシラーゼIの111番目のア ノ酸変異(Glu→Ala)をホモ接合体として有する 統合失調症患者(1099例中、5例)において、赤 球グリオキシラーゼの活性が健常者の8割程 まで低下しており、さらに血中カルボニル 合物とAGEsの高値(カルボニルストレス)とビ ミンB 6 の低値が確認された。グリオキシラーゼI遺 子にはpolymorphismがあることが知られている (活性の低いpolymorphism有り)、上記111位のAla/Al aのホモ接合体は854例の健常者からは1例も検 されなかったことから、当該変異に基づく リオキシラーゼの活性の低下が、統合失調 に関連する一連の生化学的な異常を招いて るものと考えられた。

 斯くして本発明者らは、被験者の(1)グリ キシラーゼ遺伝子の遺伝子異常、(2)生体試 中のグリオキシラーゼ活性、(3)カルボニル 合物またはその蛋白修飾物(AGEs)の量、およ (4)生体試料中のピリドキサール量から選択 れるいずれか少なくとも一つ、好ましくは (1)グリオキシラーゼ遺伝子の遺伝子異常ま は(3)AGEs量の少なくとも一つを測定し、それ を指標とすることで、従来医師の問診による 主観的判断に頼っていた統合失調症の診断を 、簡便かつ客観的に行うことができることを 確認して、本発明を完成するに至った。さら に本発明者らは、上記知見から、カルボニル ストレスを抑制するカルボニル消去剤または AGEs生成抑制剤が、統合失調症の治療または 状の改善に有効であることを確信して、本 明を完成するに至った。

 すなわち、本発明は下記に示す、統合失 症を検査する方法、および当該方法に使用 れる統合失調症の検査薬;ならびに統合失調 症の治療または改善薬に関する。

  I.統合失調症を検査する方法
(I-1)被験者に対して、
(1)グリオキシラーゼI遺伝子の遺伝子異常、
(2)生体試料中のグリオキシラーゼIの発現量 たは活性、
(3)カルボニル化合物またはその蛋白修飾物の 量、および
(4)生体試料中のピリドキサール量
からなる群から選択されるいずれか少なくと も1つを測定する工程を有する、統合失調症 検査方法。

 (I-2)上記(4)生体試料中のピリドキサール の測定に加えて、さらに(5)生体試料中のホ システイン量を測定する工程を有する、(I-1) 記載の統合失調症の検査方法。

 (I-3)上記被験者が、統合失調症の診断基 に定められる、統合失調症に特徴的な症状 たは所見を有するか、当該基準により統合 調症が疑われる者である、(I-1)または(I-2)に 載する統合失調症の検査方法。

 (I-4)上記被験者が、腎機能障害、糖尿病 よび炎症を有しない者である(I-1)乃至(I-3)の ずれかに記載する統合失調症の検査方法。

 (I-5)(1)グリオキシラーゼI遺伝子の遺伝子 常が、配列番号1に示すグリオキシラーゼI 伝子の塩基配列(配列番号2)において79位のア デニンと80位のシトシンの間へのアデニン挿 によるフレームシフト異常である、(I-1)乃 (I-4)のいずれかに記載する統合失調症の検査 方法。

 (I-6)(1)グリオキシラーゼI遺伝子の遺伝子 常が、配列番号3に示すグリオキシラーゼI アミノ酸配列において111番目のアミノ酸の 異(Glu→Ala)をもたらす塩基置換変異である、 (I-1)乃至(I-4)のいずれかに記載する統合失調 の検査方法。

 (I-7)グリオキシラーゼIの活性低下を招く リオキシラーゼI遺伝子異常を有する被験者 に対して、上記(2)~(4)からなる群から選択さ るいずれか少なくとも1つを測定する工程を する、(I-1)乃至(I-4)のいずれかに記載する統 合失調症の検査方法。

 (I-8)上記グリオキシラーゼI遺伝子異常が 配列番号1に示すグリオキシラーゼI遺伝子 塩基配列(配列番号2)において79位のアデニン と80位のシトシンの間へのアデニン挿入によ フレームシフト異常か、または配列番号3に 示すグリオキシラーゼIのアミノ酸配列にお て111番目のアミノ酸の変異(Glu→Ala)をもたら す塩基置換変異である、(I-7)に記載する統合 調症の検査方法。

 (I-9)被験者の(3)カルボニル化合物の蛋白 飾物(カルボニル蛋白修飾物)の量を測定する 工程を有する、(I-1)乃至(I-8)のいずれかに記 する統合失調症の検査方法であって、当該 ルボニル蛋白修飾物の測定方法として、抗- ルボニル蛋白修飾物抗体を用いた免疫学的 法、高速液体クロマトグラフィー、ガスク マトグラフィー/マススペクトロメトリー、 またはAGE-Reader法を用いることを特徴とする 法。

 (I-10)カルボニル蛋白修飾物がペントシジ である(I-1)乃至(I-9)のいずれかに記載する統 合失調症の診断方法。

 (I-11)下記(A)および(B)の工程を有する、(I-1) 至(I-10)のいずれかに記載する統合失調症の 査方法:
(A)被験者について、(2)生体試料中のグリオキ シラーゼIの発現量または活性、(3)カルボニ 化合物またはその蛋白修飾物の量、および(4 )生体試料中のピリドキサール量からなる群 ら選択されるいずれか少なくとも1つを測定 る工程、および
(B)上記工程で得られた被験者の測定値と、当 該測定値に対応する健常者における測定値( 照値)とを対比する工程。

 (I-12)被験者について測定した各測定値が下 に該当する場合に、当該被験者を統合失調 と認定する、(I-11)に記載する統合失調症の 査方法:
(2)被験者の生体試料中のグリオキシラーゼI 発現量または活性が、健常者の生体試料中 当該発現量または活性よりも低値である、
(3)被験者のカルボニル化合物またはその蛋白 修飾物の量が、健常者の当該量よりも多い、
(4)被験者の生体試料中のピリドキサール量が 、健常者の生体試料中の当該量よりも少ない 。

  II.統合失調症の検査試薬または検 査機器、ならびにその使用
(II-1)配列番号1に示すグリオキシラーゼI遺伝 において、そのコード領域の塩基配列(配列 番号2)の79位のアデニンと80位のシトシンを含 む16塩基長以上の連続したオリゴ若しくはポ ヌクレオチド(但し、当該オリゴヌクレオチ ド若しくはポリヌクレオチドがRNAである場合 は、配列表中の塩基記号「t」は「u」に読み えるものとする)にハイブリダイズし、当該 オリゴ若しくはポリヌクレオチドを特異的に 増幅するために用いられる15~35塩基長のオリ ヌクレオチドまたはその標識物。

 (II-2)被験者について、配列番号1に示すグ リオキシラーゼI遺伝子のコード領域の塩基 列(配列番号2)の79位のアデニンと80位のシト ンの間へのアデニン挿入を識別して統合失 症を検査するために用いられる、(II-1)に記 されるオリゴヌクレオチドまたはその標識 からなるプライマー。

 (II-3)配列番号1に示すグリオキシラーゼI 伝子において、そのコード領域の塩基配列( 列番号2)の79位のアデニンと80位のシトシン 含む16塩基長以上の連続したオリゴ若しく ポリヌクレオチド、または332位の塩基を含 16塩基長以上の連続したオリゴ若しくはポリ ヌクレオチド(但し、これらのオリゴヌクレ チド若しくはポリヌクレオチドがRNAである 合は、配列表中の塩基記号「t」は「u」に読 み替えるものとする)にハイブリダイズし、 該オリゴ若しくはポリヌクレオチドを特異 に検出するために用いられる16~500塩基長の リゴヌクレオチドまたはその標識物。

 (II-4)被験者について、配列番号1に示すグ リオキシラーゼI遺伝子のコード領域の塩基 列(配列番号2)の79位のアデニンと80位のシト ンの間へのアデニン挿入または332位のアデ ンからシトシンへの変異を識別して統合失 症を検査するために用いられる、(II-3)に記 されるオリゴヌクレオチドまたはその標識 からなるプローブ。

 (II-5)(II-2)に記載するプライマー、または/ および、(II-4)に記載するプローブを含む、統 合失調症の検査試薬、または当該試薬を含む キット。

 (II-6)被験者の生体試料中の (2)グリオキ ラーゼIの発現量または活性を測定する工程 有する統合失調症の検査に用いる試薬であ て、少なくとも抗グリオキシラーゼI抗体ま たはグリオキシラーゼIの反応基質を含有す 検査試薬。

 (II-7)被験者の生体試料中の(3)カルボニル 合物またはカルボニル蛋白修飾物の量を測 する工程を有する統合失調症の検査に用い 試薬であって、(a)既知濃度のカルボニル化 物またはカルボニル蛋白修飾物、または(b) 識されていてもよい抗-カルボニル蛋白修飾 物抗体のいずれか少なくとも1つを含有する 査試薬。

 (II-8)上記カルボニル蛋白修飾物がペント ジンである(II-5)記載の検査試薬。

 (II-9)被験者の(3)カルボニル蛋白修飾物の を測定する工程を有する統合失調症の診断 用いることを特徴とする、皮膚中のカルボ ル蛋白修飾物量を測定するAGE-Reader装置。

 (II-10)統合失調症の診断に使用できること を記載した書類が添付された、(II-9)に記載す るAGE-Reader装置。

 (II-11)皮膚中のカルボニル蛋白修飾物量を 測定するAGE-Reader装置の、統合失調症の診断 ための使用。

 (II-12)被験者の生体試料中の (4)ピリドキ ール量を測定する工程を有する統合失調症 検査に用いる試薬であって、(a)既知濃度の リドキサール、または(b)ピリドキサール測 試薬のいずれか少なくとも1つを含有する検 査試薬。

  III.統合失調症の治療または改善
(III-1)カルボニル消去剤またはカルボニル蛋 修飾物生成抑制剤(以下、「AGEs生成抑制剤」 ともいう)を有効成分とする、統合失調症の 療または改善剤。

 (III-2)カルボニル消去剤がビタミンB 6 である、(III-1)に記載する、統合失調症の治 または改善剤。

 (III-3)AGEs生成抑制剤が、遊離形または塩形 1-置換または非置換-3-置換または非置換-2-ピ ラゾリン-5-オンの4位に、ビタミンB 6 分子の結合を妨げる置換基(ビタミンB 6 分子自体に由来するものを含む)を導入した 合物またはその転位体である、(III-1)に記載 る統合失調症の治療または改善剤。

 (III-4)上記化合物が、遊離形または塩形の 式(1):

または式(2):

[式中、Raは置換または非置換の芳香環基であ り、Rb、RcおよびRdはそれぞれ水素原子または 1価の有機基であるか、またはRbとRcは両者合 て縮合環を形成するか、もしくはRcとRdは両 者合して2価の有機基を表す。]
で示される化合物から選択されるものである 、(III-3)に記載する統合失調症の治療または 善剤。

 (III-5)上記化合物が、式(1)または(2)中、Ra 表される芳香環基が、4個を越えることのな いヘテロ原子を含むことがある、20個を越え ことのない環構成原子を有する炭素環また 異項環の芳香環基であって、3つを越えない 置換基を有することがあるものである、(III-4 )に記載する統合失調症の治療または改善剤

 (III-6)上記化合物が、式(1)または(2)中、Rb RcまたはRdで表される1価の有機基が、それ れ独立して、炭素数30個を越えない、鎖状ま たは環状の脂肪族、脂環式または芳香族炭化 水素基であって、3つを越えない置換基を有 ることのあるものであるか、またはハロゲ 基、ニトロ基、アミノ基、ヒドロキシ基、 オール基、カルボキシ基、カルボキシ(低級) アルキル基、低級アルコキシカルボニル基、 ホルミル基、低級アルカノイル基、低級アル キルアミノ基、ジ(低級)アルキルアミノ基、 級アルカノイルアミノ基、アリール(低級) ルカノイル基、アリールオキシアミノ基、 ルホン酸基または3~7員ヘテロ環基であって 置換基を有することのあるものである、(III- 4)または(III-5)に記載する統合失調症の治療ま たは改善剤。

 (III-7)上記化合物が、式(1)または(2)中、Rb Rcが両者合して形成する縮合環が、5~6員炭 飽和環であって、置換基を有することもあ ものである、(III-4)または(III-5)に記載する統 合失調症の治療または改善剤。

 (III-8)上記化合物が、式(1)または(2)中、Rc Rdが両者合して形成する2価の有機基が、フ ニルメチレン、フェニルアルケニルメチレ 、キノリニルメチレン、フラニルメチレン ジアゾリルメチレン、アミノメチレン、ジ( 低級)アルキルアミノメチレン、ピリジルメ レンおよびチオフェニルメチレンから選択 れたものであって、置換基を有することも るものである、(III-4)または(III-5)に記載する 統合失調症の治療または改善剤。

 (III-9)上記化合物が、式(1)または(2)中、置 換基が、低級アルキル基、低級アルケニル基 、低級アルコキシ基、低級アルケニルオキシ 基、低級アルカノイル基、ハロ(低級)アルキ 基、カルボキシル基、低級アルコキシカル ニル基、カルボキシ(低級)アルキル基、ハ ゲン基、ニトロ基、アミノ基、低級アルキ アミノ基、ジ(低級)アルキルアミノ基、低級 アルカノイルアミノ基、ヒドロキシ基、チオ ール基、ヒドロキシスルホニル基、アミノス ルホニル基、アリール(低級)アルカノイル基 アリールオキシアミノ基、アリール基、ア ール(低級)アルキル基、シクロ(低級)アルキ ル基、シクロ(低級)アルケニル基、シクロ(低 級)アルキル(低級)アルキル基および3~7員ヘテ ロ環基から選択されたものである、(III-4)乃 (III-8)のいずれかに記載する統合失調症の治 または改善剤。

 (III-10)上記化合物が、式(1)中、Raがフェニ ル基、Rbがメチル基、RcとRdが合して3-ヒドロ シ-5-ヒドロキシメチル-2-メチルピリジン-4- ルメチレン基である、(III-4)に記載する統合 失調症の治療または改善剤。

 (III-11)上記化合物が、式(2)中、Raがフェニ ル基、Rbがメチル基、Rcが6-メチル-1,3-ジヒド フロ[3,4-c]ピリジン-7-オール基である、(III-4 )に記載する統合失調症の治療または改善剤

 (III-12)上記化合物が、エダラボン(3-methyl-1 -phenyl-2-pyrazolin-5-one)である、(III-4)に記載する 統合失調症の治療または改善剤。

 (III-13)AGEs生成抑制剤が、下記一般式(I):

〔式中、Aは下記一般式(A1)、(A2)又は(A3)

で表される基を示し、Bは1H-テトラゾール-5- ル基又は2,4-ジオキソ-1,3-チアゾリジン-5-イ 基を示し、Xはメチレン、酸素原子又は硫黄 子を示し、Yは単結合又はC6~10アリーレン基 示し、R 1A は水素原子又はC1-6アルキル基を示し、R 2A 及びR 3A は同一若しくは異なって水素原子、カルボキ シル基又はC1-6アルキル基を示し、R 4A 、R 5A 及びR 6A は同一若しくは異なって水素原子又はC1-6ア キル基を示し、R 7A はC1-10アルキルカルボニル基を示す。但し、A が(A2)である場合、Bは2,4-ジオキソチアゾリジ ン-5-イル基を示す。〕
で表される化合物、又はその薬理上許容され る塩若しくはエステルである、(III-1)に記載 る統合失調症の治療または改善剤。

 (III-14)一般式(I)中、Bが1H-テトラゾール-5- ル基である、(III-13)に記載する統合失調症 治療または改善剤。

 (III-15)一般式(I)中、YがC6-10アリーレン基 ある、(III-13)または(III-14)に記載する統合失 症の治療または改善剤。

 (III-16)一般式(I)中、Yがフェニレン基であ 、(III-13)乃至(III-15)のいずれかに記載する統 合失調症の治療または改善剤。

 (III-17)一般式(I)中、Bが2,4-ジオキソ-1,3-チ ゾリジン-5-イル基である、(III-13)乃至(III-16) のいずれかに記載する統合失調症の治療また は改善剤。

 (III-18)一般式(I)中、Aが(A1)で表される基で あり、Bが1H-テトラゾール-5-イル基である、(I II-3)ないし(III-7)のいずれかに記載する統合失 調症の治療または改善剤。

 (III-19)一般式(I)中、Aが(A2)で表される基で あり、Bが2,4-ジオキソ-1,3-チアゾリジン-5-イ 基である、(III-13)乃至(III-18)のいずれかに記 する統合失調症の治療または改善剤。

 (III-20)AGEs生成抑制剤が、下記一般式(IA3):

[式中、Bは1H-テトラゾール-5-イル基又は2,4-ジ オキソ-1,3-チアゾリジン-5-イル基を示し、Yは 単結合又はC6-10アリーレン基を示し、R 7A はC1-10アルキルカルボニル基を示す。]で表さ れる化合物又はその薬理上許容される塩若し くはエステルである、(III-13)に記載する統合 調症の治療または改善剤。

 (III-21)一般式(IA3)中、Bが1H-テトラゾール-5- ル基である、上記(III-20)に記載する統合失調 症の治療または改善剤、
 (III-22)AGEs生成抑制剤が、3-[N-[[4-[2-(1H-テトラ ゾール-5-イル)フェニル]フェニル]メチル]-N- ンタノイルアミノ]安息香酸、3-[N-[[4-[2-(1H-テ トラゾール-5-イル)フェニル]フェニル]メチル ]-N-ブタノイルアミノ]安息香酸、3-[N-[[4-[2-(1H- テトラゾール-5-イル)フェニル]フェニル]メチ ル]-N-へブタノイルアミノ]安息香酸、2-オキ -3-プロピル-1-[[4-[2-(1H-テトラゾール-5-イル) ェニル]フェニル]メチル]-1,3,4-トリヒドロキ リン-7-カルボン酸、及び5-[4-[(2-エチル-5,7- メチルイミダゾ[4,5-b]ピリジン-3-イル)メチル ]フェニル]-1,3-チアゾリジン-2,4-ジオンからな る群より選ばれる化合物又はその薬理上許容 される塩若しくはエステルである、(III-13)に 載する統合失調症の治療または改善剤。

 (III-23)AGEs生成抑制剤が、3-[N-[4-(2,4-ジオキ ソチアゾリジン-5-イル)ベンジル]-N-ペンタノ ルアミノ]安息香酸、3-[N-[[4-[2-(1H-テトラゾ ル-5-イル)フェニル]フェニル]メチル]-N-オク ノイルアミノ]安息香酸又はそれらの薬理上 許容される塩若しくはエステルである、(III-1 3)に記載する統合失調症の治療または改善剤

 (III-24)AGEs生成抑制剤が、下記一般式(II):

[式中、
Aは、下記一般式(A4)、(A5)、(A6)または(A7)

で表される基を示し、
 Bは、1H-テトラゾール-5-イル基または2,4-ジ キソ-1,3-チアゾリジン-5-イル基を示し;
 Xは、単結合またはC6-10アリーレン基を示し;
 Y 1 は、カルボニル、スルホニルまたは単結合を 示し;
 Y 2 は、C1-6アルキレン基または単結合を示し;
 Y 3 は、メチレン、カルボニルまたは単結合を示 し;
 Y 4 は、メチンまたは窒素原子を示し;
 Y 5 は、メチレン、カルボニルまたは単結合を示 し;
 R 1 は、C1-8アルキル基(該C1-8アルキル基は、下記 置換基群αから選択される基で1乃至3個置換 れていても良い)、C6-14アリール基(該C6-14ア ール基は、下記置換基群βから選択される基 で1乃至5個置換されていても良い)、C6-14アリ ル-C1-6アルキル基(該C6-14アリール-C1-6アルキ ル基は、下記置換基群βから選択される基で1 乃至5個置換されていても良い)、窒素原子、 素原子および硫黄原子から選択される同一 しくは異なった1乃至3個のヘテロ原子を含 4乃至10員複素環基(該複素環基は、下記置換 群βから選択される基で1乃至5個置換されて いても良い)、窒素原子、酸素原子および硫 原子から選択される同一若しくは異なった1 至3個のヘテロ原子を含む4乃至10員複素環-C1 -6アルキル基(該複素環-C1-6アルキル基は、下 置換基群βから選択される基で1乃至5個置換 されていても良い)、C3-7シクロアルキル基(該 C3-7シクロアルキル基は、下記置換基群βから 選択される基で1乃至5個置換されていても良 )、C3-7シクロアルキル-C1-6アルキル基(該C3-7 クロアルキル-C1-6アルキル基は、下記置換 群βから選択される基で1乃至5個置換されて ても良い)、C6-14アリール-カルボニル-C1-6ア キル基(該C6-14アリール-カルボニル-Cl-6アル ル基は、下記置換基群βから選択される基 1乃至5個置換されていても良い)、またはC1-6 肪族アシル基(該C1-6脂肪族アシル基は、下 置換基群βから選択される基で1乃至5個置換 れても良い)を示し;
 R 2 は、水素原子、下記置換基群βから選択され 基、カルボキシル基または-C(O)NR 13 R 14 で表される基を示し;
 R 3 は、水素原子、C1-8アルキル基(該C1-8アルキル 基は、下記置換基群αから選択される基で1乃 至3個置換されていても良い)、C6-14アリール (該C6-14アリール基は、下記置換基群βから選 択される基で1乃至5個置換されていても良い) 、または窒素原子、酸素原子および硫黄原子 から選択される同一若しくは異なった1乃至3 のヘテロ原子を含む4乃至10員複素環基(該複 素環基は、下記置換基群βから選択される基 1乃至5個置換されていても良い)を示し;
 R 4 およびR 5 は、同一または異なって、それぞれ水素原子 またはC6-14アリール基(該C6-14アリール基は、 記置換基群βから選択される基で1乃至5個置 換されていても良い)を示し;
 R 6 およびR 7 は、一緒になってC3-7シクロアルカンを形成 るか、或いは同一または異なってそれぞれ 素原子またはC1-8アルキル基(該C1-8アルキル は、下記置換基群αから選択される基で1乃 3個置換されていても良い)を示し;
 R 8 およびR 9 は、同一または異なってそれぞれ水素原子、 下記置換基群βから選択される基、カルボキ ル基または-C(O)NR 13 R 14 で表される基を示し;
 R 10 は、水素原子、C1-8アルキル基(該C1-8アルキル 基は、下記置換基群αから選択される基で1乃 至3個置換されていても良い)、C6-14アリール (該C6-14アリール基は、下記置換基群βから選 択される基で1乃至5個置換されていても良い) 、または窒素原子、酸素原子および硫黄原子 から選択される同一若しくは異なった1乃至3 のヘテロ原子を含む4乃至10員複素環基(該複 素環基は、下記置換基群βから選択される基 1乃至5個置換されていても良い)を示し;
 R 11 およびR 12 は、同一または異なってそれぞれ水素原子、 下記置換基群βから選択される基、カルボキ ル基または-C(O)NR 13 R 14 で表される基を示し;
 R 13 およびR 14 は、一緒になって4乃至10員含窒素複素環(該 窒素複素環は、下記置換基群βから選択され る基で1乃至5個置換されていても良い)を形成 するか、或いは同一または異なってそれぞれ 水素原子またはC1-8アルキル基(該C1-8アルキル 基は、下記置換基群αから選択される基で1乃 至3個置換されていても良い)を示す。

  但し、
(1)R 1 がC1-8アルキル基であり、かつY 1 が単結合である場合、Bは2,4-ジオキソ-1,3-チ ゾリジン-5-イル基であり、
(2)Y 2 がメチレンである場合、R 6 およびR 7 は共に水素原子ではなく、
(3)R 1 が無置換のC1-8アルキル基である場合、Y 1 はカルボニルではなく、
(4)R 1 が無置換のC1-6脂肪族アシル基である場合、Y 1 は単結合ではない。

 ここで置換基群αは、ハロゲン原子、C1-6ア キルチオ基、C1-6脂肪族アシル基、C1-6アル ルスルホニル基、C1-6アルコキシ基、シアノ およびニトロ基からなる群であり;
 置換基群βは、ハロゲン原子、C1-6アルキル 、ハロC1-6アルキル基、C1-6アルコキシ基、C1 -6アルキルチオ基、C1-6アルキルスルホニル基 、C1-6脂肪族アシル基、オキソ基、シアノ基 ニトロ基、C3-7シクロアルキル基、C6-14アリ ル基、C1-6アルコキシイミノ基、C6-14アリー -カルボール基、並びに窒素原子、酸素原子 よび硫黄原子から選択される同一若しくは なった1乃至3個のへテロ原子を含む4乃至10 複素環基からなる群である。〕
で表される化合物、またはその薬理上許容さ れる塩若しくはエステルである、(III-13)に記 する統合失調症の治療または改善剤。

 (III-25)AGEs生成抑制剤が、下記一般式(II):

[式中、
Aは、下記一般式(A4)、(A5)、(A6)または(A7)

で表される基を示し、
 Bは、1H-テトラゾール-5-イル基または2,4-ジ キソ-1,3-チアゾリジン-5-イル基を示し;
 Xは、単結合またはC6-10アリーレン基を示し;
 Y 1 は、カルボニル、スルホニルまたは単結合を 示し;
 Y 2 は、Cl-6アルキレン基または単結合を示し;
 Y 3 は、メチレン、カルボニルまたは単結合を示 し;
 Y 4 は、メチンまたは窒素原子を示し;
 Y 5 は、メチレン、カルボニルまたは単結合を示 し;
 R 1 は、C1-8アルキル基(該C1-8アルキル基は、下記 置換基群αから選択される基で1乃至3個置換 れていても良い)、C6-14アリール基(該C6-14ア ール基は、下記置換基群βから選択される基 で1乃至5個置換されていても良い)、C6-14アリ ル-C1-6アルキル基(該C6-14アリール-C1-6アルキ ル基は、下記置換基群βから選択される基で1 乃至5個置換されていても良い);窒素原子、酸 素原子および硫黄原子から選択される同一若 しくは異なった1乃至3個のヘテロ原子を含む4 乃至10員複素環基(該複素環基は、下記置換基 群βから選択される基で1乃至5個置換されて ても良い);窒素原子、酸素原子および硫黄原 子から選択される同一若しくは異なった1乃 3個のヘテロ原子を含む4乃至10員複素環-C1-6 ルキル基(該複素環-C1-6アルキル基は、下記 換基群βから選択される基で1乃至5個置換さ ていても良い)、
C3-7シクロアルキル基、C3-7シクロアルキル-C1- 6アルキル基またはC6-14アリール-カルボニル-C 1-6アルキル基(該C6-14アリール-カルボニル-C1-6 アルキル基は、下記置換基群βから選択され 基で1乃至5個置換されていても良い)を示し;
 R 2 は、水素原子、下記置換基群βから選択され 基、カルボキシル基または-C(O)NR 13 R 14 で表される基を示し;
 R 3 は、水素原子、C1-8アルキル基(該C1-8アルキル 基は、下記置換基群αから選択される基で1乃 至3個置換されていても良い)、C6-14アリール (該C6-14アリール基は、下記置換基群βから選 択される基で1乃至5個置換されていても良い) 、または窒素原子、酸素原子および硫黄原子 から選択される同一若しくは異なった1乃至3 のヘテロ原子を含む4乃至10員複素環基(該複 素環基は、下記置換基群βから選択される基 1乃至5個置換されていても良い)を示し;
 R 4 およびR 5 は、同一または異なって、それぞれ水素原子 またはC6-14アリール基(該C6-14アリール基は、 記置換基群βから選択される基で1乃至5個置 換されていても良い)を示し;
 R 6 およびR 7 は、一緒になってC3-7シクロアルカンを形成 るか、或いは同一または異なってそれぞれ 素原子またはC1-8アルキル基(該C1-8アルキル は、下記置換基群αから選択される基で1乃 3個置換されていても良い)を示し;
 R 8 およびR 9 は、同一または異なってそれぞれ水素原子、 下記置換基群βから選択される基、カルボキ ル基または-C(O)NR 13 R 14 で表される基を示し;
 R 10 は、水素原子、C1-8アルキル基(該C1-8アルキル 基は、下記置換基群αから選択される基で1乃 至3個置換されていても良い)、C6-14アリール (該C6-14アリール基は、下記置換基群βから選 択される基で1乃至5個置換されていても良い) 、または窒素原子、酸素原子および硫黄原子 から選択される同一若しくは異なった1乃至3 のヘテロ原子を含む4乃至10員複素環基(該複 素環基は、下記置換基群βから選択される基 1乃至5個置換されていても良い)を示し;
 R 11 およびR 12 は、同一または異なってそれぞれ水素原子、 下記置換基群βから選択される基、カルボキ ル基または-C(O)NR 13 R 14 で表される基を示し;
 R 13 およびR 14 は、一緒になって4乃至10員含窒素複素環(該 窒素複素環は、下記置換基群βから選択され る基で1乃至5個置換されていても良い)を形成 するか、或いは同一または異なってそれぞれ 水素原子またはC1-8アルキル基(該C1-8アルキル 基は、下記置換基群αから選択される基で1乃 至3個置換されていても良い)を示す。
但し、
(1)R 1 がC1-8アルキル基であり、かつY 1 が単結合である場合、Bは2,4-ジオキソ-1,3-チ ゾリジン-5-イル基であり、
(2)Y 2 がメチレンである場合、R 6 およびR 7 は共に水素原子ではなく、
(3)R 1 が無置換のC1-8アルキル基である場合、Y 1 はカルボニルではなく、
(4)R 1 が無置換のCl-6脂肪族アシル基である場合、Y 1 は単結合ではない。

 ここで置換基群αは、ハロゲン原子、C1-6 ルキルチオ基、C1-6アルキルスルホニル基、 C1-6アルコキシ基、シアノ基およびニトロ基 らなる。

 また置換基群βは、ハロゲン原子、C1-6アル ル基、ハロC1-6アルキル基、C1-6アルコキシ 、C1-6アルキルチオ基、C1-6アルキルスルホニ ル基、C1-6脂肪族アシル基、シアノ基、ニト 基、C3-7シクロアルキル基、C6-14アリール基 ならびに窒素原子、酸素原子および硫黄原 から選択される同一若しくは異なった1乃至3 個のヘテロ原子を含む4乃至10員複素環基から なる。]
で表される化合物またはその薬理上許容され る塩若しくはエステルである、(III-13)に記載 る統合失調症の治療または改善剤。

 (III-25)一般式(II)中、Bが1H-テトラゾール-5- イル基であり、かつXがC6-10アリーレン基であ る、(III-23)または(III-24)に記載する統合失調 の治療または改善剤。

 (III-26)一般式(II)中、Xがフェニレンである 、(III-25)に記載する統合失調症の治療または 善剤。

 (III-27)一般式(II)中、2,4-ジオキソチアゾリ ジン-5-イル基であり、かつXが単結合である (III-23)または(III-24)に記載する統合失調症の 療または改善剤。

 (III-28)一般式(II)中、Aが上記一般式(A1)で表 れる基であって、R 2 が水素原子またはカルボキシル基である、(II I-23)または(III-24)に記載する統合失調症の治 または改善剤。

 (III-29)一般式(II)中、Aが上記一般式(A2)で表 れる基であって、かつR 3 が、水素原子またはC6-14アリール基(該C6-14ア ール基は(III-23)で定義された置換基群βから 選択される基で1乃至5個置換されていても良 )である、(III-23)または(III-24)に記載する統 失調症の治療または改善剤。

 (III-30)一般式(II)中、Aが上記一般式(A3)で表 れる基であって、Y3がカルボニルまたは単結 合であり、かつR 8 およびR 9 が、同一または異なってそれぞれ水素原子ま たはカルボキシル基である、(III-23)または(III -24)に記載する統合失調症の治療または改善 。

 (III-31)一般式(II)中、Aが上記一般式(A4)で表 れる基であって、Y 5 が、カルボニルまたは単結合であり、かつR 11 およびR 12 が、同一または異なってそれぞれ水素原子ま たはカルボキシル基である、(III-23)記載の統 失調症の治療または改善剤。

 (III-32)AGEs生成抑制剤が、下記に示す化合物 から選択される少なくとも一つまたはその 理上許容される塩若しくはエステルである (III-23)または(III-24)に記載する統合失調症の 治療または改善剤:
(1)3-{N-(3-フェニルプロピオール)一N-[2’-(1H-テ トラゾール-5-イル)ビフェニル-4-イルメチル] ミノ}安息香酸、
(2)3-{N-ペンチル-N-〔4-(2,4-ジオキソ-1,3-チアゾ ジン-5-イル)ベンジル〕アミノ}安息香酸、
(3)1-[4-(2,4-ジオキソ-1,3-チアゾリジン-5-イル) ンジル]-2-メチル-1,2,3,4-テトラヒドロキノリ -7-カルボン酸、
(4)5-[4-(N-メチルスルホニル-N-フェニルアミノ チル)フェニル]-1,3-チアゾリジン-2,4-ジオン
(5)5-[4-(N-ブチルスルホニル-N-フェニルアミノ チル)フェニル]-1,3-チアゾリジン-2,4-ジオン
(6)3-{N-〔4-(2,4-ジオキソ-1,3-チアゾリジン-5-イ )ベンジル〕-N-(メチルスルホニル)アミノ}安 息香酸、
(7)3-{N-ブチルスルホニル-N-〔4-(2,4-ジオキソ-1, 3-チアゾリジン-5-イル)ベンジル〕アミノ}安 香酸、
(8)5-{4-〔2-(2-ピリジル)ベンズイミダゾール-1- ルメチル〕フェニル}-1,3-チアゾリジン-2,4- オン、
(9)5-[4-(2-フェニルイミダゾール-1-イルメチル) フェニル]-1,3-チアゾリジン-2,4-ジオン、
(10)1-[4-(2,4-ジオキソ-1,3-チアゾリジン-5-イル) ンジル]-2-オキソ-3-プロピル-1,2-ジヒドロキ リン-7-カルボン酸、
(11)3-{N-シクロヘキサンカルボニル-N-〔4-(2,4- オキソ-1,3-チアゾリジン-5-イル)ベンジル〕 ミノ}安息香酸、
(12)3-{N-〔4-(2,4-ジオキソ-1,3-チアゾリジン-5-イ ル)ベンジル〕-N-(ピリジン-3-カルボニル)アミ ノ}安息香酸、
(13)3-{N-〔4-(2,4-ジオキソ-1,3-チアゾリジン-5-イ ル)ベンジル〕-N-(3-フェニルプロピオール)ア ノ}安息香酸)、
(14)3-{N-(ビフェニル-4-カルボニル)-N-〔4-(2,4-ジ オキソ-1,3-チアゾリジン-5-イル)ベンジル〕ア ミノ}安息香酸、
(15)3-{N-(フェニルスルホニル)-N-〔4-(2,4-ジオキ ソ-1,3-チアゾリジン-5-イル)ベンジル〕アミノ }安息香酸、
(16)3-{N-(4-メチルフェニルスルホニル)-N-〔4-(2, 4-ジオキソ-1,3-チアゾリジン-5-イル)ベンジル アミノ}安息香酸、
(17)3-{N-(ビフェニル-4-スルホニル)-N-〔4-(2,4-ジ オキソ-1,3-チアゾリジン-5-イル)ベンジル〕ア ミノ}安息香酸、
(18)3-{N-(2-ナフチルスルホニル)-N-〔4-(2,4-ジオ ソ-1,3-チアゾリジン-5-イル)ベンジル〕アミ }安息香酸、
(19)3-{N-(ベンジルスルホニル)-N-〔4-(2,4-ジオキ ソ-1,3-チアゾリジン-5-イル)ベンジル〕アミノ }安息香酸、
(20)1-[4-(2,4-ジオキソ-1,3-チアゾリジン-5-イル) ンジル]-2-オキソ-3-プロピル-2,3-1H-インドー -6-カルボン酸、
(21)1-[4-(2,4-ジオキソ-1,3-チアゾリジン-5-イル) ンジル]-2-オキソ-3-プロピル-2,3,4,5-テトラヒ ドロ-lH-ベンゾ[b]アゼピン-8-カルボン酸、
(22)3,3-ジメチル-1-[4-(2,4-ジオキソ-1,3-チアゾリ ジン-5-イル)ベンジル]-2-オキソ-1,2,3,4-テトラ ドロキノリン-7-カルボン酸、
(23)1’-[4-(2,4-ジオキソ-1,3-チアゾリジン-5-イ )ベンジル]-2’-オキソ-1’,4’-ジヒドロ-2’H- スピロ[シクロプロパン-1,3’-キノリン]-7’- ルボン酸、
(24)3-{N-フェネチル-N-〔2’-(lH-テトラゾール-5- イル)ビフェニル-4-イルメチル〕アミノ}安息 酸、
(25)3-{N-〔4-(2,4-ジオキソ-1,3-チアゾリジン-5-イ ル)ベンジル〕-N-〔(5-メチル-2-フェニル-1,3-オ キサゾール-4-イル)アセチル〕アミノ}安息香 、
(26) 3-{N-(3-シクロヘキシルプロパノイル)-N-〔 2’-(1H-テトラゾール-5-イル)ビフェニル-4-イ メチル〕アミノ}安息香酸、
(27)3-{N-(2-オキソ-2-フェニルエチル)-N-〔2’-(1H -テトラゾール-5-イル)ビフェニル-4-イルメチ 〕アミノ}安息香酸、
(28)3-{N-〔4-(2,4-ジオキソ-1,3-チアゾリジン-5-イ ル)ベンジル〕-N-〔4-(2-メチルチアゾール-4-イ ル)ベンゼンスルホニル〕アミノ}安息香酸、 よび
(29)3-{N-(ビフェニル-4-イルメチル)-N-〔4-(2,4-ジ オキソ-1,3-チアゾリジン-5-イル)ベンジル〕ア ミノ}安息香酸。

 (III-33)上記(III-1)乃至(III-32)のいずれかに 載する統合失調症の治療または改善剤、な びに当該治療または改善剤を統合失調症の 療または改善に使用できること又はその使 方法を記載した書類を含む商業的医薬包装 。

 (III-34)上記(III-1)乃至(III-32)のいずれかに 載する統合失調症の治療または改善剤を、 の薬理的な有効量、温血動物に投与する、 合失調症の治療または改善方法。

  IV.統合失調症の治療または改善剤 のスクリーニング方法
(IV-1)被験物質の中から、カルボニル消去作用 またはカルボニル蛋白修飾物生成抑制作用を 有する物質を選択する工程を有する、統合失 調症の治療または改善剤のスクリーニング方 法。

 本発明の診断方法によれば、被験者の(1) リオキシラーゼI遺伝子の遺伝子異常、(2)生 体試料中のグリオキシラーゼの発現量または 活性、(3)カルボニル化合物またはその蛋白修 飾物の量、および(4)生体試料中のピリドキサ ール量からなる群から選択される少なくとも 1つを指標とすることにより、従来医師の問 による主観的判断に頼っていた統合失調症 診断を、簡便かつ客観的に行うことができ 。また、本発明によれば、カルボニル消去 用(カルボニル捕捉作用)、またはAGEs生成抑 作用を有する化合物を用いて患者のカルボ ルストレスを抑制することにより、統合失 症を治療し、またはその症状を改善するこ が可能である。特に本発明の統合失調症の 療および改善剤は、グリオキシラーゼI遺伝 異常によるカルボニルストレスを原因とす 統合失調症に対して有効に奏功する。

 また、本発明のスクリーニング方法によ ば、カルボニル消去作用またはAGEs生成抑制 作用を指標とすることにより、被験物質の中 から簡便に統合失調症の治療または改善に有 効な物質、すなわち統合失調症の治療または 改善剤を選別し取得することができる。特に 本発明のスクリーニング方法は、グリオキシ ラーゼI遺伝子異常によるカルボニルストレ を原因とする統合失調症の治療および改善 有効な成分を探索する方法として有用であ 。

  I.統合失調症を検査する方法
 本発明の統合失調症の検査方法は、被験者 生体試料を材料として、下記のいずれか少 くとも1つを測定することによって行うこと ができる:
 (1)グリオキシラーゼI遺伝子の遺伝子異常、
 (2)グリオキシラーゼIの発現量または活性、
 (3)カルボニル化合物またはその蛋白修飾物( 例えば「advanced glycation end products」(AGEs))の 、
 (4)ピリドキサール量。

 また、(4)生体試料中のピリドキサール量 測定する場合は、さらに(5)生体試料中のホ システイン量を測定してもよい。

 ここで本発明の検査に供することができ 生体試料としては、例えば血液ならびに血 成分(血清、血漿、血球など)、尿、髄液、 液、涙液、汗などの生体由来の液体成分;毛 、バイオプシーなどで切除された組織の一 などの生体由来の固体成分を挙げることが きる。好ましくは血液または血液成分であ 、特に好ましくは血清である。なお、生体 ら採取された試料を直接使用しても、また かの処理を加えて調整した試料も本発明の 体試料の対象として使用することができる

 被験者としては、好ましくはヒトである ただし、これに限定されることなく、ヒト 外の哺乳動物、たとえばサル、マウス、ラ ト、モルモットなども対象となりえる。

 また被験者は、統合失調症の診断基準に められる、統合失調症に特徴的な症状また 所見を有するか、または当該診断基準によ 統合失調症が疑われる者であることができ 。ここで統合失調症の診断基準としては、 業界で通常使用されているものを挙げるこ ができるが、具体的には世界保健機構(WHO) 「国際疾病分類」(ICD)および米国精神医学会 (APA)の「診断・統計マニュアル」(DSM)を挙げ ことができる。前者「国際疾病分類」第10版 (ICD-10)による統合失調症の判断基準を図1に、 後者「診断・統計マニュアル」第4版(DSM-IV)に よる統合失調症の判断基準を図2に示す。

 上記(2)~(4)または(2)~(5)を指標として統合 調症を検査する場合、被験者は、グリオキ ラーゼI遺伝子の遺伝子異常を有するもので ってもよく、また予め下記(1)で説明するグ オキシラーゼI遺伝子の遺伝子異常を測定す る検査を受けた者であってもよい。ここで対 象とするグリオキシラーゼI遺伝子異常とは グリオキシラーゼIの欠損やグリオキシラー Iの発現不良など、結果としてグリオキシラ ーゼI活性の低下を招く遺伝子異常を意味す 。具体的には、グリオキシラーゼI遺伝子の なくとも一つのアレルが点突然変異し(グリ オキシラーゼI遺伝子のコード領域の塩基配 (配列番号2)の79位と80位の間へのアデニン挿 )、これによりフレームシフトしているケー ス、またはグリオキシラーゼIのアミノ酸配 (配列番号3)の111番目のアミノ酸の変異(Glu→A la)をホモ接合的に有するケースを挙げること ができる。前者の遺伝子異常の場合は、血液 中のグリオキシラーゼI活性が健常者に比し 約50%低下していること、また後者の遺伝子 常の場合は、血液中のグリオキシラーゼI活 が健常者に比して約20%低下していることが 認されている(実施例参照)。なお、これら 遺伝子異常に限らず、グリオキシラーゼI活 の低下を招く遺伝子異常であればよい。

 また、上記(3)~(4)または(3)~(5)を指標とし 統合失調症を検査する場合、被験者は、少 くとも腎機能障害、糖尿病および炎症を有 ない者であることが好ましい。本発明が検 の指標とする(3)カルボニル化合物またはそ 蛋白修飾物(AGEs)や、(4)ピリドキサール量お び (5)ホモシステイン量は、腎機能障害、糖 尿病または炎症の有無によって変動するから である。よって、上記(3)~(4)または(3)~(5)を指 として統合失調症を検査する場合は、事前 または本発明の検査と並行して、腎機能障 、糖尿病または炎症の有無を、問診または/ および生化学的検査により確認することが好 ましい。

  (1)グリオキシラーゼI遺伝子の遺 子異常の測定
 本発明が対象とするグリオキシラーゼI遺伝 子(以下、単に「GLO-I」遺伝子ともいう)の遺 子異常は、グリオキシラーゼI(GLO-I)の欠損や GLO-Iの発現不良など、結果としてGLO-I活性の 下を招く遺伝子異常である。その限りにお て特に制限されないが、具体的には、(1-1) G LO-I遺伝子のコード領域の塩基配列(配列番号2 )の少なくとも一つのアレルが点突然変異し(7 9位のアデニンと80位のシトシンの間へのアデ ニン挿入)、これによりフレームシフトして る遺伝子異常、および(1-2) GLO-Iのアミノ酸 列(配列番号3)の111番目のアミノ酸の変異(Glu Ala)をホモ接合的に起こす塩基置換変異を挙 げることができる。前述するように、前者の 遺伝子異常の場合は、血液中のGLO-I活性が健 者に比して約50%低下していること、また後 の遺伝子異常の場合は、血液中のGLO-I活性 健常者に比して約20%低下していることが確 されている(実施例参照)。

 かかる遺伝子異常の検出は、具体的には (i)遺伝子異常を含む領域でPCRを行い、SSCP法 で検出する方法、(ii)遺伝子異常を含む領域 PCRを行い、PCR産物に対する制限酵素の切断 式から検出する方法、(iii)同PCR産物を直接シ ーケンシングして、配列を決定する方法、(iv )遺伝子異常を有する領域にハイブリダイズ るオリゴヌクレオチドをプローブとして使 し、個体のDNAとハイブリダイズさせるASO(alle le specific oligonucleotide)法、(v) 遺伝子異常を する領域にハイブリダイズするオリゴヌク オチドをプローブとして使用して、質量分 装置等で検出する方法など、公知の方法を いることにより行うことができる。

 より具体的な検出方法として、(1-1)GLO-I遺伝 子のコード領域の塩基配列(配列番号2)の79位 アデニンと80位のシトシンの間への1塩基挿 (アデニン挿入)の有無を識別する方法、(1-2) GLO-Iのアミノ酸配列(配列番号3)の111番目のア ノ酸の変異(Glu→Ala)をもたらす遺伝子多型 一つである、GLO-I遺伝子のコード領域の塩基 配列(配列番号2)の332位の変異(a→c)を識別す 方法を例示することができる。当該検出方 は、以下の工程(a)及び(b)を行うことによっ 実施することができる:
 (a)被験者の生体試料からゲノムDNAを抽出す 工程、及び
 (b)抽出したゲノムDNAに含まれるGLO-I遺伝子 対象として、そのコード領域の塩基配列の79 -81位の領域の塩基配列または332位の塩基を識 別する工程。

 なお、(b)の工程は、実際は抽出したゲノ DNA上においてGLO-I遺伝子を特定して対象と る必要はなく、抽出したゲノムDNAそのもの 対象として、その塩基配列に存在する、配 番号4記載の塩基配列と配列番号5記載の塩基 配列により挟まれた塩基配列、または配列番 号6記載の塩基配列と配列番号7記載の塩基配 により挟まれた塩基を識別することによっ 行うこともできる。

 ここで、配列番号4で示される塩基配列は 、ヒトGLO-I遺伝子の塩基配列(配列番号1)(Genban k accession number NM_006708)において、そのコー 領域の塩基配列(配列番号2)の79-80位に位置 る塩基配列(ac)の5’側(上流側)に位置する200 基長の塩基配列に該当し、また配列番号5で 示される塩基配列は、ヒトGLO-I遺伝子の塩基 列(配列番号1)において、そのコード領域の 基配列(配列番号2)の79-80位に位置する塩基 列(ac)の3’側(下流側)に位置する300塩基長の 基配列に該当する。また、配列番号6および 7で示される塩基配列は、GLO-I遺伝子の塩基配 列(配列番号1)において、そのコード領域の塩 基配列(配列番号2)の332位に位置する塩基(a)の 、それぞれ5’側(上流側)に位置する300塩基長 の塩基配列および3’側(下流側)に位置する300 塩基長の塩基配列に該当する。

 上記本発明の(1-1)の方法は、さらに下記の 程(c-1)を有することが好ましい:
 (c-1) GLO-I遺伝子のコード領域の塩基配列(配 列番号2)の79位のアデニンと80位のシトシンの 間に、アデニンが挿入されているか否かを検 出する工程。

 当該検出によって、(1-1)GLO-I遺伝子のコー ド領域の塩基配列(配列番号2)の79位のアデニ と80位のシトシンの間にアデニンが挿入さ ている場合、当該ゲノムDNA試料を提供した 験者は、統合失調症であるか、または将来 合失調症を発症する可能性が高い。

 また上記本発明の(1-2)の方法は、さらに下 の工程(c-2)を有することが好ましい:
 (c-2) GLO-I遺伝子のコード領域の塩基配列(配 列番号2)の332位の塩基がアデニンであるかシ シンであるかを検出する工程。

 当該検出によって、(1-2)332位の塩基がシ シンのホモ接合体(C/C)である場合、当該ゲノ ムDNA試料を提供した被験者は、統合失調症で あるか、または将来統合失調症を発症する可 能性が高い。

 当該方法によれば、被験者について統合 調症の罹患の有無またはその発症の潜在的 険度を判定することができる。当該検査は 上記遺伝子異常を判断基準(判断指標)とし 医師等の専門知識を有する者の判断を要す ことなく、機械的に行なうことができる。 のため、本発明の方法は、統合失調症の検 方法と言うこともできる。

 なお、上記工程(a)(ゲノムDNAの抽出)と工 (b)(目的塩基の識別)は、公知の方法〔例えば 、Bruce, et al., Geneme Analysis/A laboratory Manual (vol.4), Cold Spring Harbor Laboratory, NY., (1999) を用いて行うことができる。

 工程(a)においてゲノムDNAの抽出を行う検 は、被験者および臨床検体等から単離され あらゆる細胞(培養細胞を含む。但し生殖細 胞は除く)、組織(例えば、肝臓、腎臓、副腎 子宮、脳など。培養組織を含む)、または体 液(例えば、唾液、リンパ液、気道粘膜、精 、汗、尿等)などを材料とすることができる 該材料としては末梢血から分離した白血球 たは単核球が好ましく、特に白血球が最も 適である。これらの材料は、臨床検査にお て通常用いられる方法に従って単離するこ ができる。

 例えば白血球を材料とする場合、まず被験 より単離した末梢血から常法に従って白血 を分離する。次いで、得られた白血球にプ ティナーゼKとドデシル硫酸ナトリウム(SDS) 加えてタンパク質を分解、変性させた後、 ェノール/クロロホルム抽出を行うことによ りゲノムDNA(RNAを含む)を得る。RNAは、必要に じてRNaseにより除去することができる。な 、ゲノムDNAの抽出は、上記の方法に限定さ ず、当該技術分野で周知の方法(例えば、Samb rook J. et. al., “Molecular Cloning: A Laboratry M anual (2 nd  Ed.)”Cold Spring Harbor Laboratory, NY)や、市販 DNA抽出キット等を利用して行なうことがで る。さらに必要に応じて、GLO-I遺伝子また これを含むDNAを単離してもよい。当該DNAの 離は、GLO-I遺伝子にハイブリダイズするプラ イマーを用いて、ゲノムDNAを鋳型としたPCR等 によって行うことができる。

 工程(b)において、上記のようにして得ら たヒトゲノムDNAを含む抽出物から、GLO-I遺 子のコード領域の塩基配列(配列番号2)の79位 と80位の間の挿入塩基の有無、またはGLO-I遺 子のコード領域の塩基配列(配列番号2)の332 の塩基を識別する。なお、当該塩基の識別 、ヒトゲノムDNAを含む試料からさらに単離 たGLO-I遺伝子のコード領域の塩基配列を直接 決定し、当該塩基配列の79位と80位との間に 置する塩基の有無、または332位の塩基の種 (アデニンまたはシトシン)を調べる方法によ ってもよい。

 例えば目的の塩基を識別する方法として 、上記のように該当領域の遺伝子配列を直 決定する方法の他に、多型配列が制限酵素 識部位である場合は、制限酵素切断パター の相違を利用して、遺伝子型を決定する方 (以下、RFLPという)、多型特異的なプローブ 用いたハイブリダイゼーションを基本とす 方法(例えば、チップやガラススライド、ナ イロン膜上に特定なプローブを張り付け、そ れらのプローブに対するハイブリダイゼーシ ョン強度の差を検出することによって、多型 の種類を決定する、または、特異的なプロー ブのハイブリダイゼーションの効率を、鋳型 2本鎖増幅時にポリメレースが分解するプロ ブの量を検出することにより遺伝子型を特 する方法、ある種の2本鎖特異的な蛍光色素 発する蛍光を、温度変化を追うことにより2 本鎖融解の温度差を検出し、これにより多型 を特定する方法、多型部位特異的なオリゴプ ローブの両端に相補的な配列を付け、温度に よって該当プローブが自己分子内で2次構造 つくるか、ターゲット領域にハイブリダイ するかの差を利用して遺伝子型を特定する 法など)がある。また、さらに鋳型特異的な ライマーからポリメレースによって塩基伸 反応を行わせ、その際に多型部位に取り込 れる塩基を特定する方法(ダイデオキシヌク レオタイドを用い、それぞれを蛍光標識し、 それぞれの蛍光を検出する方法、取り込まれ たダイデオキシヌクレオタイドをマススペク トロメトリーにより検出する方法)、さらに 型特異的なプライマーに続いて変異部位に 補的な塩基対または非相補的な塩基対の有 を酵素によって認識させる方法などがある

 以下、従来公知の代表的な遺伝子多型の 出方法を列記するが、本発明はこれらに何 限定されるものではない。

  (a)RFLP(制限酵素切断断片長多型)法、(b)PC R-SSCP法(一本鎖DNA高次構造多型解析)〔Biotechniq ues, 16, 296-297 (1994)、及びBiotechniques, 21, 510- 514 (1996)〕、(c)ASO(Allele Specific Oligonucleotide) イブリダイゼーション法〔Clin. Chim. Acta, 18 9, 153-157 (1990)〕、(d)ダイレクトシークエン 法〔Biotechniques, 11, 246-249 (1991)〕、(e)ARMS(Amp lification Refracting Mutation System)法〔Nuc. Acids. Res., 19, 3561-3567 (1991);Nuc. Acids. Res., 20, 483 1-4837 (1992)〕、(f)変性剤濃度勾配ゲル電気泳 (Denaturing Gradient Gel Electrophoresis;DGGE)法〔Bio techniques, 27, 1016-1018 (1999)〕、(g)RNaseA切断法 DNA Cell. Biol., 14, 87-94 (1995)〕、(h)化学切 法〔Biotechniques, 21, 216-218 (1996)〕、(i)DOL(Dye- labeled Oligonucleotide Ligation)法〔Genome Res., 8,  549-556 (1998)〕、(j)TaqMan-PCR法〔Genet. Anal., 14, 143-149 (1999);J. Clin. Microbiol., 34, 2933-2936 (19 96)〕、(k)インベーダー法〔Science, 5109, 778-783  (1993);J.Biol.Chem., 30,21387-21394 (1999);Nat. Biotech nol., 17, 292-296 (1999)〕、(l)MALDI-TOF/MS法(Matrix  Assisted Laser Desorption-time of Flight/Mass Spectrome try)法〔Genome Res., 7, 378-388 (1997);Eur.J.Clin.Chem .Clin.Biochem., 35, 545-548 (1997)〕、(m)TDI(Template-d irected Dye-terminator Incorporation)法〔Proc. Natl. A cad. Sci. USA, 94, 10756-10761 (1997)〕、(n)モレキ ュラー・ビーコン(Molecular Beacons)法〔Nat. Biot echnol., 1, p49-53 (1998);遺伝子医学、4, p46-48 ( 2000)〕、(o)ダイナミック・アレル-スペシフィ ック・ハイブリダイゼーション(Dynamic Allele-S pecific Hybridization;DASH)法〔Nat.Biotechnol.,1.p.87-88 (1999);遺伝子医学,4, 47-48 (2000)〕、(p)パドロ ク・プローブ(Padlock Probe)法〔Nat. Genet.,3,p22 5-232 (1998) ;遺伝子医学,4, p50-51 (2000)〕、(q)U CAN法〔タカラ酒造株式会社ホームぺージ(http: //www.takara.co.jp)参照〕、(r)DNAチップまたはDNA イクロアレイ(「SNP遺伝子多型の戦略」松原 一・榊佳之、中山書店、p128-135)、(s)ECA法〔A nal. Chem., 72, 1334-1341, (2000)〕。

 以上は代表的な遺伝子多型検出方法であ が、本発明の統合失調症の検査には、これ に限定されず、他の公知または将来開発さ る遺伝子異常検出方法を用いることもでき 。また、本発明の遺伝子異常検出に際して これらの遺伝子多型検出方法を単独で使用 てもよいし、また2以上を組み合わせて使用 することもできる。

 本発明の方法によって、統合失調症であ か、または統合失調症を発症する潜在的な 険度が相対的に高いことが判明した被験者 対しては、その旨を告知し、その治療若し は改善、またはその発症を防ぐための的確 対策を講じることができる。従って、本発 は、統合失調症の早期治療若しくは改善、 たは発症を予防するための、さらにはその 展(進行)を阻止するための検査方法として めて有用である。

 本発明の方法は、遺伝子異常を塩基配列 ら検出する方法に限らず、遺伝子異常の結 生じたGLO-Iのアミノ酸配列(配列番号3)の111 目のアミノ酸の変異(Glu→Ala)をそのまま検出 する方法であってもよい。かかる方法として は、被験者のGLO-I遺伝子の発現産物(例えば、 mRNA、GLO-I)について上記アミノ酸変異が生じ いるかどうかを測定する方法を挙げること できる。かかる方法としては、GLO-I遺伝子の 発現産物の配列を決定する方法のほか、GLO-I たは変異GLO-I(Glu111Ala)に対する抗体を用いた ウエスタンブロッティング法、ドットブロッ ティング法、免疫沈降法、酵素結合免疫測定 法(ELISA)、及び免疫蛍光法、またはGLO-Iのアミ ノ酸配列の111番目のアミノ酸変異(Glu→Ala)に って生じた(または消失した)活性を測定す 方法を例示することができる。

  (2)生体試料中のグリオキシラーゼ Iの発現量または活性の測定
 かかる測定は、好ましくは、血液、特に血 や血球を材料として行うことができる。

 GLO-Iの発現量は、通常GLO-Iに対する抗体( リクローナル抗体、モノクローナル抗体)を いて、ウエスタンブロッティング、EIA法、R IA法、FIA法、化学発光イムノアッセイ、また ECLIA法などの公知の免疫学的な手法を用い 測定することができる。好ましくはGLO-Iに対 するモノクローナル抗体を用いたウエスタン ブロッティング法である。具体的には、被験 試料をメルカプトエタノールで処理した後、 SDS-ポリアクリルアミドゲルに供して電気泳 し、次いでタンパク質をPVDF膜にトランスフ ーした後、抗GLO-I抗体、次いで標識した第2 体と反応させて発色させて視覚化する方法 挙げることができる。なお、ウエスタンブ ッティングにおいて必要に応じて、βアク ンなどのハウスキーピング遺伝子由来のタ パク質を内部標準物質として用いることに って、より正確にGLO-IのmRNAを定量すること できる。GLO-Iに対する抗体は、GLO-Iを用いて 法に従って調製することができるし、また 業的に入手することも可能である(例えば、 GLO1 polyclonal antibody [Abnova Corporation社製/Taipe i City 114 Taiwan)Catalog#: H00002739-A01]など)。

 GLO-Iの活性は、当業界で公知の方法を用い 行うことができる。制限はされないが、例 ば、実施例1に記載するように、McLellanらの 法(McLellan AC, Thornalley PJ:Glyoxalase activity in human red blood cells fractioned by age. Mech Agein g Dev 48 : 63-71, 1989)を挙げることができる かかる方法は、破壊した赤血球をメチルグ オキサールとグルタチオンから生成される ミチオアセタールと反応させて、生じたS-D- クトイルグルタチオン量を測定して、赤血 中のGLO-I活性を評価する方法である。なお かかる方法において1 unit は 赤血球10  6 が1分あたり、1μmol のS-D-lactoylglutathionを形成 する量を意味する。

 本発明の診断方法は、より具体的には、 記方法により被験者の生体試料中のGLO-Iの 現量または活性を測定した後、当該測定値 、健常者における対応のGLO-Iの発現量(対照 現量)または活性(対照活性)と対比し、高低 評価することによって行うことができる。 の場合、被験者が統合失調症罹患者である の判断は、被験者のGLO-Iの発現量または活性 が、対照発現量または対照活性より低いこと を指標とすることができる。

  (3)生体試料中のカルボニル化合物 またはその蛋白修飾物の測定
 かかる測定は、好ましくは、血液、特に血 や血漿を材料として行うことができる。

 対象とするカルボニル化合物としては、 ラビノース、GO、MGO、3-DG、グリコールアル ヒド、デヒドロアスコルビン酸、ヒドロキ ノネナール、マロンジアルデヒド、アクロ イン、5-ヒドロキシメチルフルフラール、 ルムアルデヒド、アセトアルデヒド、レプ ン酸、フルフラールなどを挙げることがで る。これらの量は、通常既知濃度の標準品 用いて、高速液体クロマトグラフィー(HPLC) ガスクロマトグラフィー/マススペクトロメ リー(GC/MS)などの機器分析を行うことによっ て測定することができる。

 またこれらのカルボニル化合物と生体の 白質とが反応して生成する蛋白修飾物(例え ば「AGEs」)(以下これを単に「AGEs」という)も 様に、通常既知濃度の標準品を用いて、HPLC やGC/MSなどの機器分析を行うことによって測 することができる。なお、AGEsは複数の構造 体(AGEs構造体)の集合体である。従って、AGEs 測定はAGEs構造体を測定することによって行 ことができる。AGEs構造体としては、ペント シジン、クロスリン、ピロピリジン、ベスペ ルリジンA,B,C、glyoxal-lysine dimmer(GOLD)、methylgly oxal-lysine dimmer(MOLD)(以上、蛍光性物質)、Nε-(c arboxymethyl)lysine(CML)、Nε-(carboxyethyl)lysine(CEL)、 ルグピリミジン、ピラリン、イミダゾロン GA-ピリジン(以上、非蛍光性物質)などを挙 ることができる。好ましくはペントシジン ある。

 ペントシジンはペントースと等モルのリ ンとアルギニンが架橋した構造を有し、酸 水分解に安定な蛍光性物質である。加齢や 尿病の発症に相関してヒトの皮膚に蓄積す ことが知られており、特に糖尿病の発症や 期の腎症において増加することが報告され いる。血液など蛋白質中に含まれるペント ジンは、酸加水分解後にその蛍光性(Ex:335nm Em:385nm)を指標としてHPLCで定量することがで きる。また、ペントシジンは、ペントシジン に対するモノクローナル抗体を用いた免疫化 学的な方法(例えばELISA法、特にサンドイッチ ELISA法や競合ELISA法など)を用いて定量するこ ができる。なお、ペントシジンに対するモ クローナル抗体およびポリクローナル抗体 、定法に従って調製することができるが、 便には商業的に入手することもできる(例え ば(株)トランスジェニック、伏見製薬(株)な )。そのほか、AGEs構造体であるカルボキシメ チルリジン、ならびにマロンジアルデヒドや ヒドロキシノネナールの蛋白修飾物に対する 抗体も商業的に入手することができる。

 競合ELISA法は、ペントシジンなどのAGEs構 体を固相化したマイクロプレートに蛋白分 酵素で前処理した検体(血漿)および標準AGEs 造体を加え、さらにAGEs構造体に対する抗体 を加えて反応させ、次いで洗浄後、酵素溶液 を加えて再洗浄し、発色剤を加えて吸光度を 測定することによって行うことができる。当 該方法はペントシジンの血液化学検査として 定められている方法であり、例えば「FSKペン トシジン」(製品名)((株)伏見製薬所)などの定 量キットを用いることで簡便に行うことがで きる。また、皮膚に蓄積したペントシジンな どのAGEs量は、市販のAGE-Reader機器(Diagn Optics) 用いて簡便に測定することができる。

 本発明の検査方法は、より具体的には、 記方法により被験者の生体試料中のカルボ ル化合物またはその蛋白修飾物(AGEs)の量を 定した後、当該測定値を、健常者における 応する量(対照量)と対比し、高低を評価す ことによって行うことができる。この場合 被験者が統合失調症罹患者であるか、また 将来それを発症する危険性が高いとの判断 は、被験者のカルボニル化合物またはAGEs量 、対照量より高いことを指標とすることが きる。なお、ペントシジンなどのAGEs構造体 の生体内の量は加齢に従って増加することが 知られている。よって比較する健常者の試料 は、被験者と同年齢または同年代のものを使 用することが好ましい。

  (4)生体試料中のピリドキサール量 および(4)ホモシステイン量の測定
 かかる測定は、好ましくは、血液、特に血 や血漿を材料として、公知方法に従って行 ことができる。例えば、通常既知濃度の標 品を用いて、HPLCやGC/MSなどの機器分析を行 ことによって測定することができる。

 本発明の検査方法は、より具体的には、 記方法により被験者の生体試料中のピリド サール量を測定した後、当該測定値を、健 者における対応する量(対照量)と対比し、 低を評価することによって行うことができ 。この場合、被験者が統合失調症罹患者で るか、または将来それを発症する危険性が いとの判断は、被験者のピリドキサール量 対照量より低いことを指標とすることがで る。なお、健常者のピリドキサールの血清 度は、男性で6.0-40.0ng/ml、女性で4.0-19.0 ng/ml ある。

 なお、ピリドキサール値はホモシステイ 値と連動しており、ピリドキサール値が低 になるとホモシステイン値は高値になる傾 にある。このため、ピリドキサール量を測 する場合は、併せてホモシステイン量を測 し、ピリドキサール量の測定値の精度・正 性を確認してもよい。この場合、被験者の リドキサール量が対照量より低く、また当 被験者のホモシステイン量が健常者のホモ ステイン量(対照量)よりも高い場合は、当 被験者が統合失調症罹患者であるか、また 将来それを発症する危険性が高いという蓋 性が高くなる。ホモシステイン量は、定法 従って測定することができ、例えば、通常 既知濃度の標準品を用いて、HPLCやGC/MSなど 機器分析を行うことによって測定すること できる。なお、健常者のホモシステインの 清濃度は、3.7-13.5nmol/mlである。

 本発明の検査方法は、前述する(1)~(4)のい ずれか少なくとも1つを行うことによって実 することができるが、これらの2以上、好ま くは3以上、より好ましくは4以上を組み合 せて行うこともできる。複数組み合わせて うことによって、より診断の精度を上げる とができる。好ましくは、少なくとも(1)GLO-I 遺伝子の遺伝子異常の測定、または(3)カルボ ニル化合物またはその蛋白修飾物の測定を行 うことである。より好ましくは当該(1)と(3)の 測定の組み合わせ、または(3)の測定と(2)グリ オキシラーゼIの発現量または活性測定との み合わせである。また、本発明の検査方法 、従来の主観的検査や診断方法(例えば、ICD DSMの基準に従ったBPRSスコア判定など)と併 して行うこともできる。

 本発明の検査方法によれば、被験者の生 試料を材料として客観的に統合失調症の罹 の有無を評価することができるので、法的 任能力の有無を調べるときの補助的証拠の とつとして、または法的責任能力の有無判 以外の目的で行われる場合でも、精神鑑定 適用することも可能である。

 また本発明の検査方法によれば、患者の 因や治療方法の決定、病態の判定および病 の経過観察、治療効果の有無の判定、予後 予測、精神疾患を含む他の疾患との判別を うことができる。特に、本発明の方法によ ば、GLO-I活性低下によって生じたカルボニ ストレスを原因とする統合失調症患者を選 することができることから、カルボニル消 剤やAGEs生成抑制剤などを用いたカルボニル トレス除去療法が有効な統合失調症患者を 確に選択して、的確かつ有効な治療を施す とが可能になる。

  II.統合失調症の検査試薬または検 査機器、ならびにその使用
 また本発明は、上記統合失調症の検査方法 使用される検査試薬および検査機器を提供 る。かかる試薬ならびに機器は、統合失調 の検査に用いる指標に応じて適宜選択する とができる。

 (1) GLO-I遺伝子の遺伝子異常を検査指標とす る場合の検査試薬
 例えば、(1) GLO-I遺伝子の遺伝子異常を検査 指標とする場合の検査試薬としては、下記に 説明する上記プローブまたはプライマー(な 、これらは標識されていても、また固相に 定化されていてもよい)を挙げることができ 。また当該試薬は、これらプローブまたは ライマーの他、必要に応じてハイブリダイ ーション用の試薬、プローブの標識、ラベ 体の検出剤、緩衝液など、本発明の検査に 要な他の試薬、器具などを適宜含む、キッ の形態を有していてもよい。

 (1-1)プローブ
 目的とするGLO-I遺伝子のコード領域の塩基 列(配列番号2)の79位と80位との間へのアデニ の挿入、または332位のアデニンからシトシ への変異の検出には、当該遺伝子のコード 域の塩基配列の79-80位の塩基配列または332 の塩基を含むオリゴまたはポリヌクレオチ に特異的にハイブリダイズし、当該塩基配 または塩基を検出することができるオリゴ たはポリヌクレオチドが用いられる。かか オリゴまたはポリヌクレオチドは、GLO-I遺伝 子(配列番号1)上において当該塩基配列(コー 領域(配列番号2)の79-80位の領域)または塩基( ード領域(配列番号2)の332位)を含む16~500塩基 長、好ましくは20~200塩基長、より好ましくは 20~50塩基長の連続した遺伝子領域と特異的に イブリダイズするように、上記塩基長を有 るオリゴまたはポリヌクレオチドとして設 される。

 ここで「特異的にハイブリダイズする」 は、通常のハイブリダイゼーション条件下 好ましくはストリンジェントなハイブリダ ゼーション条件下(例えば、サムブルックら 、Molecular Cloning, Cold Spring Harbour Laboratory P ress, New York, USA, 第2版、1989に記載の条件) おいて、他のDNAとクロスハイブリダイゼー ョンを有意に生じないことを意味する。好 には当該オリゴまたはポリヌクレオチドは 上記検出する塩基配列または塩基を含む遺 子領域の塩基配列に対して相補的な塩基配 を有することが望ましい。但し、かかる特 的なハイブリダイゼーションが可能であれ 、完全に相補的である必要はない。

 かかるオリゴまたはポリヌクレオチドと て、具体的には、GLO-I遺伝子のコード領域 塩基配列(配列番号2)において、79-80位に位置 する塩基配列(ac)を含む16~500塩基長の連続し オリゴまたはポリヌクレオチド(但し、当該 クレオチドがRNAである場合、配列表中の塩 記号「t」は「u」に読み替えるものとする) ハイブリダイズする16~500塩基長のオリゴま はポリヌクレオチド、または332位に位置す 塩基配列を含む16~500塩基長の連続したオリ またはポリヌクレオチド(但し、当該ヌクレ オチドがRNAである場合、配列表中の塩基記号 「t」は「u」に読み替えるものとする)にハイ ブリダイズする16~500塩基長のオリゴまたはポ リヌクレオチドを挙げることができる。

 当該オリゴまたはポリヌクレオチドは、 験者について統合失調症罹患の有無または の発症の潜在的可能性を判定するために、G LO-I遺伝子のコード領域の塩基配列(配列番号2 )の79-80位の領域または332位の塩基を含むオリ ゴヌクレオチドに、特異的にハイブリダイズ するオリゴまたはポリヌクレオチド「プロー ブ」として設計される。なお、これらのオリ ゴまたはポリヌクレオチドは、GLO-I遺伝子の 基配列(配列番号1)に基づいて、例えば市販 ヌクレオチド合成機によって常法に従って 成することができる。

 さらに好ましくは、後述するように、当 プローブは、放射性物質、蛍光物質、化学 光物質、または酵素等で標識されていても い。

 上記プローブ(オリゴまたはポリヌクレオ チド)は任意の固相に固定化して用いること できる。このため本発明はまた、上記プロ ブ(オリゴまたはポリヌクレオチド)を固定化 プローブ(例えばプローブを固定化した遺伝 チップ、cDNAマイクロアレイ、オリゴDNAアレ 、メンブレンフィルター等)として提供する ものである。当該プローブは、好適には統合 失調症検査用のDNAチップとして利用すること ができる。

 固定化に使用される固相は、オリゴまた ポリヌクレオチドを固定化できるものであ ば特に制限されることなく、例えばガラス 、ナイロンメンブレン、マイクロビーズ、 リコンチップ、キャピラリーまたはその他 基板等を挙げることができる。固相へのオ ゴまたはポリヌクレオチドの固定は、予め 成したオリゴまたはポリヌクレオチドを固 上に載せる方法であっても、また目的とす オリゴまたはポリヌクレオチドを固相上で 成する方法であってもよい。固定方法は、 えばDNAマイクロアレイであれば、市販のス ッター(Amersham社製など)を利用するなど、固 定化プローブの種類に応じて当該技術分野で 周知である〔例えば、photolithographic技術(Affyme trix社)、インクジェット技術(Rosetta Inpharmatics 社)によるオリゴヌクレオチドのin situ合成等 〕。

 ASO法の一例であるTaqMan PCR法〔Livak KJ. Ge ne Anal 14, 143 (1999), Morris T et al., J Clin M icrobiol 34, 2933 (1996)〕の場合、79-80位または3 32位を含む領域に相補的な20塩基長程度のオ ゴヌクレオチドがプローブとして設計され 。当該プローブは、5’末端を蛍光色素、3’ 末端を消光物質により標識され、検体DNAと特 異的にハイブリダイズするが、そのままでは 発光せず、別に加えられたPCRプライマーの上 流からの伸長反応により5’側の蛍光色素結 が切断され、遊離した蛍光色素により検出 れる。ASO法の別の1例であるInvade法〔Lyamichev V. et al., Nat Biotechnol 17, 292 (1999)〕では、 変異部位に隣接する配列(3’側と5’側の2種) 相補的なオリゴヌクレオチドがプローブと て設計される。検出は、これら2種のプロー ブと検体とは無関係な第3のプローブによっ 達成される。

 (1-2)プライマー
 本発明は、またGLO-I遺伝子のコード領域の 基配列(配列番号2)における変異(79位と80位と の間への塩基挿入、または332位のアデニンか らシトシンへの変異)を含む配列領域を特異 に増幅するためのプライマーとして用いら るオリゴヌクレオチドを提供する。このよ なプライマー(オリゴヌクレオチド)は、GLO-I 伝子において、そのコード領域の塩基配列 79-80位または332位のヌクレオチドを含む連 したオリゴまたはポリヌクレオチドの1部に 異的にハイブリダイズし、当該オリゴまた ポリヌクレオチドを特異的に増幅するため 15~35塩基長、好ましくは18~30塩基長程度のオ リゴヌクレオチドとして設計される。増幅す るオリゴまたはポリヌクレオチドの長さは、 用いられる検出方法に応じて適宜設定される が、一般的には15~1000塩基長、好ましくは20~50 0塩基長、より好ましくは20~200塩基長である

 かかるプライマーとして、具体的には、 トGLO-I遺伝子のコード領域の塩基配列(配列 号2)において、79-80位に位置するヌクレオチ ドを含む16塩基長以上の連続したオリゴまた ポリヌクレオチド(但し、当該ヌクレオチド がRNAである場合、配列表中の塩基記号「t」 「u」に読み替えるものとする)にハイブリダ イズし、当該オリゴまたはポリヌクレオチド を特異的に増幅するための15~35塩基長、好ま くは18~30塩基長程度のオリゴヌクレオチド ならびに332位に位置するヌクレオチドを含 16塩基長以上の連続したオリゴまたはポリヌ クレオチド(但し、当該ヌクレオチドがRNAで る場合、配列表中の塩基記号「t」は「u」に 読み替えるものとする)にハイブリダイズし 当該オリゴまたはポリヌクレオチドを特異 に増幅するための15~35塩基長、好ましくは18~ 30塩基長程度のオリゴヌクレオチドを例示す ことができる。

 なお、これらのオリゴヌクレオチドは、G LO-I遺伝子の公知の塩基配列(配列番号1)に基 いて、例えば市販のヌクレオチド合成機に って常法に従って作成することができる。

 (1-3)標識物
 上記本発明のプローブまたはプライマーに 、遺伝子異常検出のための適当な標識物、 えば蛍光色素、酵素、タンパク質、放射性 位体、化学発光物質、ビオチン等が付加さ たものが含まれる。

 なお、本発明において用いられる蛍光色 としては、一般にヌクレオチドを標識して 核酸の検出や定量に用いられるものが好適 使用でき、例えば、HEX(4,7,2’,4’,5’,7’-hex achloro-6-carboxylfluorescein、緑色蛍光色素)、フル オレセイン(fluorescein)、NED(商品名、アプライ バイオシステムズ社製、黄色蛍光色素)、あ るいは、6-FAM(商品名、アプライドバイオシス テムズ社製、黄緑色蛍光色素)、ローダミン(r hodamin)またはその誘導体〔例えば、テトラメ ルローダミン(TMR)〕を挙げることができる 、これらに限定されない。蛍光色素でヌク オチドを標識する方法は、公知の標識法の ち適当なものを使用することができる〔Natur e Biotechnology, 14, 303-308 (1996)参照〕。また、 市販の蛍光標識キットを使用することもでき る(例えば、アマシャム・ファルマシア社製 オリゴヌクレオチドECL 3’-オリゴラベリン システム等)。

 また、本発明のプライマーには、その末 に遺伝子異常の検出のためのリンカー配列 付加されたものも含まれる。このようなリ カー配列としては、例えば、前述したイン ーダー法で用いられるオリゴヌクレオチド5 ’末端に付加される、フラップ(多型近傍の 列とは全く無関係な配列)等が挙げられる。

 遺伝子異常測定法としてPCR-direct sequence を用いる場合、GLO-I遺伝子のコード領域の塩 基配列(配列番号2)の79-80位を含む塩基配列を 出するためのフォワードプライマー(順方向 のプライマー)としては、好適には配列番号8 示す塩基配列を有するオリゴヌクレオチド 、また、リバースプライマー(逆方向のプラ イマー)としては、好適には配列番号9に示す 基配列を有するオリゴヌクレオチドを例示 ることができる。また、GLO-I遺伝子のコー 領域の塩基配列(配列番号2)の332位を含む塩 配列を検出するためのフォワードプライマ としては、好適には配列番号10に示す塩基配 列を有するオリゴヌクレオチドを、また、リ バースプライマーとしては、好適には配列番 号11に示す塩基配列を有するオリゴヌクレオ ドを例示することができる。

 以上の、プローブまたはプライマー(標識 されていてもよい)は、統合失調症の罹患の 無または発症リスクを検出するための試薬 して利用することができる。

 (2)GLO-Iの発現量を検査指標とする場合の試
 (2)GLO-Iの発現量を検査指標とする場合の試 としては、抗GLO-I抗体(ポリクローナル抗体 モノクローナル抗体)を、またGLO-I活性を診 指標とする場合の試薬としては、GLO-Iの反応 基質(例えばヘミチオアセタール)を挙げるこ ができる。また、前者の場合、抗GLO-I抗体 加えて、ウエスタンブロッティング、EIA法 RIA法、FIA法、化学発光イムノアッセイ、ま はECLIA法などの免疫学的な手法を行うために 使用される試薬(例えば、標識第2抗体、SDS-PAG E、マイクロプレートなど)も含めることがで る。

 (3)カルボニル化合物またはその蛋白修飾物( AGEs)の量を検査指標とする場合の試薬または 器
 さらに、(3)カルボニル化合物またはAGEsの量 を検査指標とする場合の試薬としては、(a)既 知濃度のカルボニル化合物またはAGEs、また (b)標識されていてもよい抗AGEs抗体を挙げる とができる。カルボニル化合物および抗AGEs 抗体としては、前述のものを挙げることがで きる。また、(3)カルボニル化合物の蛋白修飾 物としてペントシジンを用いる場合、前述す るように皮膚に含まれるペントシジン量を検 査指標とすることができる。この場合、皮膚 中のペントシジン量が測定できる市販のAGE-Re ader装置は、統合失調症検査機器として好適 用いることができる。すなわち、本発明はAG E-Reader装置を、統合失調症を検査するための 査機器として提供するものである。この場 、当該機器には、統合失調症の検査に使用 きることを記載した書類を添付することが き、また当該書類には統合失調症の診断基 や診断のための使用方法に関する記載を含 ることができる。

 (4)ピリドキサール量を検査指標とする場合 試薬、(5)ホモシステイン量を検査指標とす 場合の試薬。
 さらにまた、(4)ピリドキサール量を検査指 とする場合の試薬としては、(a)既知濃度の リドキサール、または(b)ピリドキサール測 試薬を挙げることができる。さらに(5)ホモ ステイン量を検査指標とする場合の試薬と ては、(a)既知濃度のホモシステイン、また (b) ホモシステイン測定試薬を挙げること できる。

  III.統合失調症の治療または改善
 本発明の統合失調症の治療または改善剤は カルボニル消去剤またはAGEs生成抑制剤を有 効成分とすることを特徴とする。

  (1)カルボニル消去剤
 本発明が対象とするカルボニル消去剤は、 化ストレスなどによって体内の糖、脂質ま はアミノ酸から産生されるカルボニル化合 (例えば、アラビノース、GO、MGO、3-DG、グリ コールアルデヒド、デヒドロアスコルビン酸 、ヒドロキシノネナール、マロンジアルデヒ ド、アクロレイン、5-ヒドロキシメチルフル ラール、ホルムアルデヒド、アセトアルデ ド、レプリン酸、フルフラールなど)の体内 量を低減させる作用を有するものである。そ の作用機序は特に問わず、たとえばカルボニ ル化合物の産生を抑制する作用、産生された カルボニル化合物を捕捉して結果として体内 量を低減させる作用などを挙げることができ る。かかる作用を有するカルボニル消去剤と しては、ビタミンB 6 (ピリドキサール、ピリドキサミン、ピリド シンまたはこれらの薬学的に許容される塩 たはエステル)などが知られており、これら 広く用いることができる。

  (2)AGEs生成抑制剤
 前述するカルボニル化合物は、反応性が高 非酵素的に生体内の蛋白と反応し、糖化最 物(advanced glycation end products: AGEs)を生成す る(カルボニルストレス)。なお、AGEsは複数の 構造体の集合物であり、かかる構造体として ペントシジン、クロスリン、ピロピリジン、 ベスペルリジンA,B,C、glyoxal-lysine dimmer(GOLD)、 methylglyoxal-lysine dimmer(MOLD)(以上、蛍光性物質) 、Nε-(carboxymethyl)lysine(CML)、Nε-(carboxyethyl)lysine (CEL)、アルグピリミジン、ピラリン、イミダ ロン、GA-ピリジン(以上、非蛍光性物質)な が知られている。

 本発明が対象とするAGEs生成抑制剤は、体 内におけるかかるAGEsの生成を抑制する作用 有するものである。なお、ここで「AGEsの生 を抑制する」とは、カルボニル化合物をト ップする作用を有することによるものであ てもよく、蛋白修飾物(AGEs)を生成する反応 抑制することによるものであってもよく、 終的にAGEsの生成を抑制すればよく、その作 用機序には限定されない。

 なお、対象とする化合物が、AGEs生成抑制作 用を有するか否かは下記(i)または(ii)の試験 より確認することができる:
(i)代表的なAGEsであるペントシジンを指標と て、非糖尿病の腎不全透析患者から血漿を 取し、被験化合物を添加し、一定時間後の ントシジン生成量を測定する。
(ii)フェニルアラニンは、ヒドロキシラジカ 存在下でOHラジカルと結合し、o-またはm-チ シンを生成する。さらに、チロシンは、パ オキシナイトライト存在下でNOラジカルと反 応してニトロチロシンを生成する。一方、ラ ジカルは生体内で腎に障害を与えることが知 られている。そこで、フェニルアラニン-ラ カル反応系における被験化合物のラジカル 捉能を検証する。

 またなお、対象とする化合物はビタミンB 6 欠乏症を惹起しないことが好ましい。対象化 合物がビタミンB 6 欠乏症を惹起しないか否かは下記(a)または(b) の試験により確認することができる。
(a)ビタミンB 6 溶液に被験化合物を加え、一定時間後のビタ ミンB 6 残存量を測定する。
(b)正常ラットに被験化合物を投与し、一定期 間後のビタミンB 6 欠乏症発症の有無を確認する。

 本発明が対象とするAGEs生成抑制剤は、少な くともAGEs生成抑制作用を有するものであれ よく、その有効成分の一例として、遊離形 たは塩形の1-置換または非置換-3-置換または 非置換-2-ピラゾリン-5-オン化合物の4位に、 タミンB 6 分子の結合を妨げる置換基(ビタミンB 6 分子自体に由来するものを含む)を導入した 造を有する化合物または当該化合物の転位 を挙げることができる。これらの化合物は in vivo、ex vivoまたは/およびin vitroに拘わら ず、AGEsの生成を結果的に抑制することがで る。かかる化合物として、具体的には、下 一般式(1)および(2)で示されるエダラボン(3-me thyl-1-phenyl-2-pyrazolin-5-one)およびその類縁体を げることができる。また、本発明が対象と るAGEs生成抑制剤の有効成分には、一般式(I) で示されるフェニレン誘導体;および一般式(I I)で示されるフェニレン誘導体が含まれる。

  (2-1)エダラボンおよびその類縁体
 遊離形または塩形の式(1):

 または式(2):

[式中、Raは置換または非置換の芳香環基であ り、Rb、RcおよびRdはそれぞれ水素原子または 1価の有機基であるか、またはRbとRcは両者合 て縮合環を形成するか、もしくはRcとRdは両 者合して2価の有機基を表す。]
で示される化合物。

 式(1)または(2)において、Raは、水素原子 たは置換または非置換の芳香環(異項環を含 。)基を表わす。「芳香環基」には、20個を えることのない環構成原子数(そのなかに酸 素、硫黄、窒素などのヘテロ原子が存在して もよいが、それらの数が4個を越えることは い)を有するものが包含され、特に環構成炭 原子数6~10個を有するアリール(たとえばフ ニル、ナフチル)が好ましい。

 置換基としては、低級アルキル、低級ア ケニル、低級アルコキシ、低級アルケニル キシ、低級アルカノイル、ハロ(低級)アル ル、カルボキシル、低級アルコキシカルボ ル、カルボキシ(低級)アルキル、ハロ(たと ば塩素、臭素、ヨウ素、フッ素)、ニトロ、 ミノ、低級アルキルアミノ、ジ(低級)アル ルアミノ、低級アルカノイルアミノ、ヒド キシ、チオール、ヒドロキシスルホニル、 ミノスルホニル、アリール(低級)アルカノイ ル、アリールオキシアミノ、アリール、アリ ール(低級)アルキル、シクロ(低級)アルキル シクロ(低級)アルケニル、シクロ(低級)アル ル(低級)アルキル、3~7員ヘテロ環(たとえば キサジアゾリル、チアジアゾリル)などの中 から1種またはそれ以上が選択されてよい。 換基の数に制限はないが、通常、3個を越え ことはない。

 Raで表される置換または非置換の芳香環 の具体例を挙げると、次のとおりである:フ ニル、ナフチル、o-,m-またはp-低級アルキル フェニル(たとえばo-メチルフェニル、p-メチ フェニル、p-エチルフェニル)、o-,m-またはp- 低級アルコキシフェニル(たとえばo-,m-または p-メトキシフェニル、o-,m-またはp-エトキシフ ェニル)、o-,m-またはp-アミノフェニル、o-,m- たはp-ニトロフェニル、o-,m-またはp-ハロフ ニル(たとえばo-,m-またはp-クロロフェニル、 o-,m-またはp-フルオロフェニル)、o-,m-またはp- ハロ(低級)アルキルフェニル(たとえばo-,m-ま はp-トリフルオロメチルフェニル)、o-,m-ま はp-スルファモイルフェニル、o-,m-またはp- ルボキシフェニル、o-,m-またはp-低級アルコ シカルボニルフェニル(たとえばo-,m-またはp -メトキシカルボニルフェニル、o-,m-またはp- トキシカルボニルフェニル、o-,m-またはp-イ ソプロポキシカルボニルフェニル)、o-,m-また はp-低級アルカノイルフェニル(たとえばo-,m- たはp-アセチルフェニル)、ジ(低級)アルキ フェニル(たとえば3,4-ジメチルフェニル)、 ヒドロキシフェニル(たとえば2,4-ジヒドロキ シフェニル)、2-アミノ-4-カルボキシフェニル 、3-アミノ-5-カルボキシフェニル、3-低級ア コキシ-4-ヒドロキシフェニル(たとえば3-メ キシ-4-ヒドロキシフェニル)、3-カルボキシ-4 -ハロフェニル(たとえば3-カルボキシ-4-クロ フェニル)など。

 Rb、RcおよびRdは、それぞれ独立して、水 原子または1価の有機基を表わす。「1価の 機基」には、置換または非置換の炭化水素 、ハロ基、ニトロ基、アミノ基、ヒドロキ 基、チオール基、カルボキシ基、カルボキ (低級)アルキル基、低級アルコキシカルボニ ル基、ホルミル基、低級アルカノイル基、低 級アルキルアミノ基、ジ(低級)アルキルアミ 基、低級アルカノイルアミノ基、アリール( 低級)アルカノイル基、アリールオキシアミ 基、スルホン酸基、3~7員ヘテロ環基などが 含される。「炭化水素基」には、炭素数30個 を越えない(好ましくは8個を越えない)鎖状ま たは環状の、脂肪族、脂環式または芳香族炭 化水素基が包含され、具体的にはアルキル基 、アルケニル基、アルキニル基、シクロアル キル基、シクロアルケニル基、アリール基な どが例示される。「3~7員ヘテロ環基」は、環 構成原子として3個を越えないヘテロ原子を むものであり、たとえばピロリジノ、ピペ ジノ、モルホリノ、チアモルホリノなどが げられる。置換基の種類と数は、Raについて 説明したのと同様である。

 また、RbとRcは、両者合して縮合環を形成 することができる。当該縮合環は、5または6 飽和炭素環(すなわち、Rb+Rc=トリメチレンま たはテトラメチレン)が好ましく、置換基が 在していてもよい。なおまた、RcとRdは、両 合して2価の有機基を表わすことができる。 当該2価の有機基としては、たとえばメチレ タイプのものとスピロタイプのものを挙げ ことができる。メチレンタイプのものとし は、フェニルメチレン、フェニルアルケニ メチレン、キノリニルメチレン、フラニル チレン、ジアゾリルメチレン、アミノメチ ン、ジ(低級)アルキルアミノメチレン、ピリ ジルメチレン、チオフェニルメチレンなどが 例示され、それらは、適宜、置換基を有して いてもよい。これら縮合環や2価の有機基に 在しうる置換基の種類と数は、Raの場合と同 様であってよい。

 なお、上記において、アルキル、アルコ シ、アルカノイルなどの語に関連して使用 れた「低級」なる言葉は、通常、炭素数8個 まで、好ましくは炭素数5個までの基を指称 るものとして使用される。

 本発明の化合物(1)または(2)の具体例を挙げ ば、次のとおりである:
1. 2-(3-アミノ-5-オキソ-1-フェニル-4,5-ヒドロ- 1H-ピラゾール-4-イル)-2-オキソ-N-フェニル-ア トアミド;
2. 2-(3-アミノ5-オキソ-1-フェニル-4,5-ヒドロ-1 H-ピラゾール-4-イル)-2-オキソ-N-チアゾール-2- イル-アセトアミド;
3. 2-(3-アミノ-5-オキソ-1-フェニル-4,5-ヒドロ- 1H-ピラゾール-4-イル)-2-オキソ-アセトアミド;
4. 2-(3-アミノ-5-オキソ-1-フェニル-4,5-ヒドロ- 1H-ピラゾール-4-イル)-N-(3,4-ジメチル-フェニ )-4-オキソ-ブチルアミド;
5. 2-(4-アミノ-フェニル)-4-(2-ヒドロキシ-エチ ル)-5-メチル-2,4-ヒドロ-ピラゾール-3-オン;
6. 5-アミノ-2-フェニル-4-(1-フェニル-1H-テト ゾール-5-イルスルファニル)-2,4-ジヒドロ-ピ ゾール-3-オン;
7. 3-(3-メチル-5-オキソ-1-ペニル-4,5-ジヒドロ- 1H-ピラゾール-4-イル)-プロピオン酸;
8. N-(3-メチル-5-オキソ-1-フェニル-4,5-ジヒド -1H-ピラゾール-4-イル)-アセトアミド;
9. 4-[(5-ヒドロキシ-3-メチル-1-フェニル-1Hピ ゾール-4-イル)-フェニル-メチル]-5-メチル-2- ェニル-2,4-ジヒドロ-ピラゾール-3-オン;
10. 2-フェニル-3a,4,5,6-テトラヒドロ-2H-シクロ ペンタピラゾール-3-オン;
11. 4-メチル-N-(3-メチル-5-オキソ-1-フェニル-4 ,5-ジヒドロ-1H-ピラゾール-4-イル)-ベンゼンス ルホンアミド;
12. N-(3-メチル-5-オキソ-1-フェニル-4,5-ジヒド ロ-1H-ピラゾール-4-イル)-アセトアミド;
13. 5-メチル-2-(3-ニトロ-フェニル)-4-(1-フェニ ル-1H-テトラゾール-5-イルスルファニル)-2,4- ヒドロ-ピラゾール-3-オン;
14. N-[5-オキソ-1-フェニル-4-(1-フェニル-1H-テ ラゾール-5-イルスルファニル)-4,5-ジヒドロ- 1H-ピラゾール-3-イル]-ベンズアミド;
15. 4-(ヒドロキシ-フェニル-メチル)-2-フェニ -5-トリフルオロメチル-2,4-ジヒドロ-ピラゾ ル-3-オン;
16. 4-(1-ヒドロキシイミノ-エチル)-2,5-ジフェ ル-2,4-ジヒドロ-ピラゾール-3-オン;
17. 5,5’-ジメチル-2,2’-ジフェニル-2,4,2’,4 -テトラヒドロ-[4,4’]ビピラゾール-3,3’-ジ ン;
18. 2-(4-クロロ-フェニル)-4-エチル-5-メチル-2, 4-ジヒドロ-ピラゾール-3-オン;
19. 4-[4-(4-メトキシ-フェニル)-チアゾール-2- ルスルファニル]-5-メチル-5-フェニル-2,4-ジ ドロ-ピラゾール-3-オン;
20. 4-(2-オキソ-2-フェニル-エチル)-2-フェニル -5-プロピル-2,4-ジヒドロ-ピラゾール-3-オン;
21. 5-メチル-2-フェニル-4-(4-p-トルイル-チア ール-2-イルスルファニル)-2,4-ジヒドロ-ピラ ール-3-オン;
22. 2-(4-フルオロ-フェニル)-4-[[1-(4-フルオロ- ェニル)-5-ヒドロキシ-3-メチル-1H-ピラゾー -4-イル]-(2-ヒドロキシ-フェニル)-メチル]-5- チル-2,4-ジヒドロ-ピラゾール-3-オン;
23. N-(3,4-ジメチル-フェニル)-2-(3-メチル-5-オ ソ-1-フェニル-4,5-ジヒドロ-1H-ピラゾール-4- ル)-2-オキソ-アセトアミド;
24. 5-(4-クロロ-ベンゾイル)-4,4-ジヒドロキシ- 2-フェニル-2,4-ジヒドロ-ピラゾール-3-オン;
25. ソジウム;4-ヒドロキシ-3-メチル-5-オキソ- 1-フェニル-4,5-ジヒドロ-1H-ピラゾール-4-スル ン酸ナトリウム;
26. 5-メチル-4,4-ジ-モルホリン-4-イル-2-フェ ル-2,4-ジヒドロ-ピラゾール-3-オン;
27. 3-ベンゾイルアミノ-4-ヒドロキシ-5-オキ -1-フェニル-4,5-ジヒドロ-1H-ピラゾール-4-ス ホン酸ナトリウム;
28. 3-メチル-1-フェニル-5-オキソ-4-スピロ(3オ キソ-2,3-ジヒドロ-ベンゾ[b]チオフェン-2-イル )-4,5-ジヒドロ-1H-ピラゾール;
29. 4,4,5-トリメチル-2-フェニル-2,4-ジヒドロ- ラゾール-3-オン;
30. 4,10-ジメチル-2,8,11-トリフェニル-2,3,8,9-テ トラザ-ジスピロ[4.0.4.1]ウンデカ-3,9-ジエン-1, 7-ジオン;
31. 2-(2-クロロ-フェニル)-4-(3-エトキシ-4-ヒド ロキシ-ベンジリデン)-5-メチル-2,4-ジヒドロ- ラゾール-3-オン;
32. 2-(2-クロロ-フェニル)-4-(4-ジメチルアミノ -ベンジリデン)-5-メチル-2,4-ジヒドロ-ピラゾ ル-3-オン;
33. 5-メチル-4-(3-フェニル-アリリデン)-2-(3-ト リフルオロメチル-フェニル)-2,4-ジヒドロ-ピ ゾール-3-オン;
34. 3-{5-[3-メチル-5-オキソ-1-(4-スルファモイ -フェニル)-1,5-ジヒドロ-ピラゾール-4-イリデ ンメチル]-フラン-2-イル}-安息香酸;
35. 4-(4-ヂメチルアミノ-ベンジリデン)-2-(3-フ ルオロ-フェニル)-5-メチル-2,4-ジヒドロ-ピラ ール-3-オン;
36. 3-{4-[4-(3-クロロ-4,5-ジヒドロ-ピラゾール-1 -イル)-ベンジリデン]-3-メチル-5-オキソ-4,5-ジ ヒドロ-ピラゾール-1-イル}-安息香酸;
37. 3-[4-(2-ヒドロキシ-ベンジリデン)-5-オキソ -3-フェニル-4,5-ジヒドロ-ピラゾール-1-イル]- 息香酸;
38. 3-[1-(3-クロロ-フェニル)-3-メチル-5-オキソ -1,5-ジヒドロ-ピラゾール-4-イリデンメチル]-1 H-キノリン-2-オン;
39. 3-{5-[3-メチル-5-オキソ-1-(4-スルファモイ -フェニル)-1,5-ジヒドロ-ピラゾール-4-イリデ ンメチル]-フラン-2-イル}-安息香酸メチル;
40. 4-(4-ベンゾ[1,3]ジオキソール-5-イルメチレ ン-3-メチル-5-オキソ-4,5-ジヒドロ-ピラゾール -1-イル)-安息香酸メチル;
41. 4-{3-メチル-5-オキソ-4-[5-(4-スルファモイ -フェニル)-フラン-2-イルメチレン]-4,5-ジヒ ロ-ピラゾール-1-イル}-安息香酸メチル;
42. 2-(4-クロロ-フェニル)-4-(2,4-ジヒドロキシ- ベンジリデン)-5-メチル-2,4-ジヒドロ-ピラゾ ル-3-オン;
43. 2-(4-クロロ-フェニル)-4-(3-ヒドロキシ-ベ ジリデン)-5-メチル-2,4-ジヒドロピラゾール-3 -オン;
44. 4-(3,4-ジヒドロキシ-ベンジリデン)-5-メチ -2-p-トルイル-2,4-ジヒドロ-ピラゾール-3-オ ;
45. 3-[1-(4-アセチル-フェニル)-3-メチル-5-オキ ソ-1,5-ジヒドロ-ピラゾール-4-イリデン]-1,3-ジ ヒドロ-インドール-2-オン;
46. 2-(4-フルオロ-フェニル)-4-(5-ヒドロキシ-3- メチル-1-o-トルイル-1H-ピラゾール-4-イルメチ レン)-5-メチル-2,4-ジヒドロ-ピラゾール-3-オ ;
47. 2-(4-クロロ-フェニル)-4-(4-ヒドロキシ-3-メ トキシ-ベンジリデン)-5-トリフルオロメチル- 2,4-ジヒドロ-ピラゾール-3-オン;
48. 2-(4-エチル-フェニル)-4-(4-ヒドロキシ-ベ ジリデン)-5-メチル-2,4-ジヒドロ-ピラゾール- 3-オン;
49. 4-[4-(4-ヒドロキシ-ベンジリデン)-3-メチル -5-オキソ-4,5-ジヒドロ-ピラゾール-1-イル]-ベ ゼンスルホンアミド;
50. 4-(5-オキソ-4-チオフェン-2-イルメチレン-3 -トリフルオロメチル-4,5-ジヒドロ-ピラゾー -1-イル)-安息香酸エチル;
51. 4-[4-(4-ジメチルアミノ-ベンジリデン)-5-オ キソ-3-トリフルオロメチル-4,5-ジヒドロ-ピラ ゾール-1-イル]-ベンゼンスルホンアミド;
52. 4-イソプロピリデン-5-メチル-2-フェニル-2 ,4-ジヒドロ-ピラゾール-3-オン;
53. 4-(4-ヒドロキシ-ベンジリデン)-2-フェニル -5-トリフルオロメチル-2,4-ジヒドロ-ピラゾー ル-3-オン;
54. 4-(2,4-ジヒドロキシ-ベンジリデン)-2-(3,4- メチル-フェニル)-5-メチル-2,4-ジヒドロ-ピラ ゾール-3-オン;
55. 3-[4-(3-エトキシ-4-ヒドロキシ-ベンジリデ )-3-メチル-5-オキソ-4,5-ジヒドロ-ピラゾール -1-イル]-安息香酸;
56. 4-[4-(3,5-ジ- tert-ブチル-4-ヒドロキシ-ベン ジリデン)-3-メチル-5-オキソ-4,5-ジヒドロ-ピ ゾール-1-イル]-安息香酸;
57. 3-[3-(4-ヒドロキシ-3-メトキシ-ベンジリデ )-3-メチル-5-オキソ-4,5-ジヒドロ-ピラゾール -1-イル]-安息香酸;
58. 3-[3-ヒドロキシ-4-(4-ヒドロキシ-3-メトキ -ベンジリデン)-5-オキソ-ピラゾリジン-1-イ ]-安息香酸;
59. 4-(3-ヒドロキシ-2,4-ジメトキシ-ベンジリ ン)-5-メチル-2-フェニル-2,4-ジヒドロ-ピラゾ ル-3-オン;
60. 4-[4-(4-ヒドロキシ-3-メトキシ-ベンジリデ )-3-メチル-5-オキソ-ピラゾリジン-1-イル]-安 息香酸イソプロピル;
61. 2-クロロ-5-[4-(2-クロロ-4-ヒドロキシ-5-メ キシ-ベンジリデン)-3-メチル-5-オキソ-4,5-ジ ドロ-ピラゾール-1-イル]-安息香酸;
62. 4-[4-(4-ヒドロキシ-ベンジリデン)-3-メチル -5-オキソ-4,5-ジヒドロ-ピラゾール-1-イル]-安 香酸エチル;
63. 4-[4-(4-ヒドロキシ-ベンジリデン)-5-オキソ -3-トリフルオロメチル-4,5-ジヒドロ-ピラゾー ル-1-イル]-安息香酸エチル;
64. 4-[4-(4-ヒドロキシ-ベンジリデン)-3-メチル -5-オキソ-4,5-ジヒドロ-ピラゾール-1-イル]-安 香酸;
65. 4-ジメチルアミノメチレン-5-メチル-2-フ ニル-2,4-ジヒトロ-ピラゾール-3-オン;
66. 4-(5-ヒドロキシ-3-メチル-1-フェニル-1H-ピ ゾール-4-イルメチレン)-5-メチル-2-フェニル -2,4-ジヒドロ-ピラゾール-3-オン;
67. 4-(4-クロロ-ベンジリデン)-5-メチル-2-フェ ニル-2,4-ジヒドロ-ピラゾール-3-オン;
68. 1-(5-ヒドロキシ-3-メチル-1-フェニル-1H-ピ ゾール-4-イル)-6-メチル-1,3-ジヒドロ-フロ[3, 4-c]ピリジン-7-オール;
69. 1-(5-ヒドロキシ-3-メチル-1-フェニル-1H-ピ ゾール-4-イル)-6-メチル-1,3-ジヒドロ-フロ[3, 4-c]ピリジン-7-オール(塩酸塩);
70. 4-(4-ヒドロキシ-ベンジリデン)-5-メチル-2- フェニル-2,4-ジヒドロ-ピラゾール-3-オン;
71. 2-(3-クロロ-フェニル)-4-(4-ヒドロキシ-ベ ジリデン)-5-メチル-2,4-ジヒドロピラゾール-3 -オン;
72. 4-(4-ベンジルオキシ-ベンジリデン)-5-メチ ル-2-フェニル-2,4-ジヒドロピラゾール-3-オン;
73. 2-(3-クロロ-フェニル)-5-メチル-2H-ピラゾ ル-3,4-ジオン 4-オキシム;
74. 5-(5-オキソ-1,3-ジフェニル-1,5-ジヒドロ-ピ ラゾール-4-イリデン)-4-フェニル-4,5-ジヒドロ -[1,3,4]チアゾール-2-カルボン酸エチル;
75. 4-[1,3]ジチオラン-2-イリデン-5-メチル-2-フ ェニル-2,4-ジヒドロ-ピラゾール-3-オン;
76. 5-(4-クロロ-フェニルスルファニルメチル) -2-フェニル-4-[N’-(3-トリフルオロメチル-フ ニル)-ヒドラジノ]-2,4-ジヒドロ-ピラゾール-3 -オン;
77. 4-(5-ベンゾイル-3-フェニル-3H-[1,3,4]チアジ アゾール-2-イリデン)-2,5-ジフェニル-2,4-ジヒ ロ-ピラゾール-3-オン;
78. フォスフォリックアシッド モノ-[5-ヒド キシ-6-メチル-4-(3-メチル-5-オキソ-1-フェニ -1,5-ジヒドロ-ピラゾール-4-イリデンメチル) -ピリジン-3-イルメチル]エステル;
79.3-メチル-1-フェニル-2-ピラゾリン-5-オン。

 なおこれらの化合物(1)または(2)は、遊離 または塩形で用いてもよい。塩形としては 通常、薬剤学的に許容されているもの、た えば無機塩基や有機塩基との塩、無機酸、 機酸、塩基性または酸性アミノ酸などの酸 加塩などが挙げられる。無機塩基との塩と ては、たとえばアルカリ金属(ナトリウム、 カリウムなど)塩、アルカリ土類金属(カルシ ム、マグネシウムなど)塩、アルミニウム塩 、アンモニウム塩などが挙げられる。有機塩 基との塩としては、たとえば第1級アミン(エ ノールアミンなど)、第2級アミン(ジエチル ミン、ジエタノールアミン、ジシクロヘキ ルアミン、N,N’-ジベンジルエチレンジアミ ンなど)、第3級アミン(トリメチルアミン、ト リエチルアミン、ピリジン、ピコリン、トリ エタノールアミンなど)との塩が挙げられる 無機酸との塩としては、塩酸、臭化水素酸 硝酸、硫酸、リン酸などとの塩が例示され 有機酸との塩としては、ギ酸、酢酸、乳酸 トリフルオロ酢酸、フマール酸、シュウ酸 酒石酸、マレイン酸、安息香酸、クエン酸 コハク酸、リンゴ酸、メタンスルホン酸、 タンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p-ト ルエンスルホン酸などとの塩が例示される。 さらに、塩基性アミノ酸との塩としては、ア ルギニン、リジン、オルニチンなどとの塩が 例示され、酸性アミノ酸との塩としては、ア スパラギン酸、グルタミン酸などとの塩が例 示される。

 これらの化合物(1)および(2)ならびにその 理上許容される塩及びその薬理上許容され エステルは、例えば、国際公開公報WO2005/054 205パンフレットに記載される方法に従って公 知化合物を出発原料として用いて製造するこ とができる。なお、当該公開公報に記載され るこれらの化合物の製造方法は、そのまま本 明細書の内容として援用される。

  (2-2)フェニレン誘導体(I)
 本発明が対象とするフェニレン誘導体は、 般式(I)

[式中、Aは下記一般式(A1)、(A2)又は(A3)

で表される基を示し、Bは1H-テトラゾール-5- ル基又は2,4-ジオキソチアゾリジン-5-イル基 示し、Xはメチレン、酸素原子又は硫黄原子 を示し、Yは単結合又はC6-10アリーレン基を示 し、R 1A は水素原子又はC1-6アルキル基を示し、R 2A 及びR 3A は同一若しくは異なって水素原子、カルボキ シル基又はC1-6アルキル基を示し、R 4A 、R 5A 及びR 6A は同一若しくは異なって水素原子又はC1-6ア キル基を示し、R 7A はC1-10アルキルカルボニル基を示す。但し、A が(A2)である場合、Bは2,4-ジオキソチアゾリジ ン-5-イル基を示す。]で表される化合物であ 。

 ここで「C1-6アルキル基」とは、炭素原子を 1個乃至6個有する直鎖状又は分枝鎖状のアル ル基であり、例えば、メチル、エチル、プ ピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル s-ブチル、t-ブチル、ペンチル、1-メチルブ ル、2-メチルブチル、3-メチルブチル、1,1- メチルプロピル、1,2-ジメチルプロピル、2,2- ジメチルプロピル、1-エチルプロピル、へキ ル、1-メチルペンチル、2-メチルペンチル、 3-メチルペンチル、4-メチルペンチル、1,1-ジ チルブチル、1,2-ジメチルブチル、1,3-ジメ ルブチル、2,2-ジメチルブチル、2,3-ジメチル ブチル、3,3-ジメチルブチル、1-エチルブチル 、2-エチルブチル、1,1,2-トリメチルプロピル 1,2,2-トリメチルプロピルを挙げることがで る。R 1A においては、好適にはプロピル基である。R 2A 及びR 3A においては、好適にはC1-3アルキル基である R 4A においては、好適にはC1-3アルキル基であり 更に好適にはエチル基又はプロピル基であ 。R 5A 及びR 6A においては、好適にはC1-3アルキル基であり 更に好適にはメチル基である。

 「C6-10アリーレン基」とは、炭素数6乃至1 0個の2価の芳香族炭化水素基であり、例えば フェニレン、インデニレン、ナフチレン基 挙げることができ、Yにおいて好適にはフェ ニレン基である。

 「C1-10アルキルカルボニル基」とは、炭素 子を1個乃至10個有する直鎖状又は分枝鎖状 アルキル基がカルボニル基に結合した基で り、例えば、アセチル、プロピオニル、ブ リル、イソブチリル、ペンタノイル、ピバ イル、バレリル、イソバレリル、オクタノ ル、ノナノイル、デカノイル、3-メチルノナ ノイル、8-メチノレノナノイル、3-エチルオ タノイル、3,7-ジメチルオクタノイル及びウ デカノイルのようなアルキルカルボニル基 挙げることができ、R 7A においては、好適にはC4-7アルキルカルボニ 基であり、更に好適にはオクタノイル基で る。

 本発明において、Aとしては、好適には(A1 )又は(A3)で表される基であり、更に好適には( A3)で表される基である。

 本発明において、Bとしては、好適には1H- テトラゾール-5-イル基である。

 本発明において、Xとしては、好適にはメ チレン又は酸素原子であり、更に好適にはメ チレンである。

 本発明において、Yとしては、好適には単 結合又はフェニレンであり、更に好適にはフ ェニレンである。

 本発明において、R 1A としては、好適にはプロピル基又は水素原子 であり、更に好適にはプロピル基である。

 本発明において、R 2A 及びR 3A としては、同一又は異なって、好適には、水 素原子、カルボキシル基又はその薬理上許容 されるエステルである。

 本発明において、R 4A としては、好適には、エチル基又はプロピル 基である。

 本発明において、R 4A 及びR 6A としては、好適には、メチル基又は水素原子 である。

 本発明において、R 7A としては、好適にはC4~7アルキルカルボニル であり、更に好適にはオクタノイル基であ 。

 本発明のフェニレン誘導体(I)が塩基性基 有する場合には、常法に従って酸付加塩に ることができる。そのような塩としては、 えばフッ化水素酸、塩酸、臭化水素酸、沃 水素酸のようなハロゲン化水素酸の塩;硝酸 塩、過塩素酸塩、硫酸塩、燐酸塩のような無 機酸塩;メタンスルホン酸、トリフルオロメ ンスルホン酸、エタンスルホン酸のような 級アルカンスルホン酸の塩;ベンゼンスルホ 酸、P-トルエンスルホン酸のようなアリー スルホン酸の塩;グルタミン酸、アスパラギ 酸のようなアミノ酸の塩;酢酸、フマール酸 、酒石酸、蓚酸、マレイン酸、リンゴ酸、コ ハク酸、安息香酸、マンデル酸、アスコルビ ン酸、乳酸、グルコン酸、クエン酸のような カルボン酸の塩を挙げることができる。好適 にはハロゲン化水素酸の塩である。

 更に、上記フェニレン誘導体(I)がカルボ シル基を有する場合には、常法に従って金 塩にすることができる。そのような塩とし は、例えばリチウム、ナトリウム、カリウ のようなアルカリ金属塩;カルシウム、バリ ウム、マグネシウムのようなアルカリ土類金 属塩;アルミニウム塩を挙げることができる 好適にはアルカリ金属塩である。

 本発明のフェニレン誘導体(I)は、常法に って薬理上許容されるエステルにすること できる。そのようなエステルとしては、医 的に使用され、薬理上受け入れられるもの あれば特に限定はない。

 本発明のフェニレン誘導体(I)のエステル エステル残基としては、例えば炭素数1乃至 6個を有する直鎖状若しくは分枝鎖状のアル ル基(当該アルキル基は、トリアルキルシリ 基により置換されていてもよい)、炭素数7 至19個を有するアラルキル基、炭素数1乃至6 を有する直鎖状若しくは分枝鎖状のアルカ イルオキシが置換した炭素数1乃至5個を有 る直鎖状若しくは分枝鎖状のアルキル基、 素数1乃至6個を有する直鎖状若しくは分枝鎖 状のアルキルオキシカルボニルオキシが置換 した炭素数1乃至5個を有する直鎖状若しくは 枝鎖状のアルキル基、炭素数5乃至7個を有 るシクロアルキルカルボニルオキシが置換 た炭素数1乃至5個を有する直鎖状若しくは分 枝鎖状のアルキル基、炭素数5乃至7個を有す シクロアルキルオキシカルボニルオキシが 換した炭素数1乃至5個を有する直鎖状若し は分枝鎖状のアルキル基、炭素数6乃至10個 有するアリールカルボニルオキシが置換し 炭素数1乃至5個を有する直鎖状若しくは分枝 鎖状のアルキル基、炭素数6乃至10個を有する アリールオキシカルボニルオキシが置換した 炭素数1乃至5個を有する直鎖状若しくは分枝 状のアルキル基、5位に置換基として炭素数 1乃至6個を有する直鎖状若しくは分枝鎖状の ルキルを有する(2-オキソ-1,3-ジオキソレン-4 -イル)メチル基を挙げることができる。

 ここで、炭素数1乃至6個を有する直鎖状 しくは分枝鎖状のアルキル基としては、例 ばメチル、エチル、プロピル、イソプロピ 、ブチル、イソブチル、s-ブチル、t-ブチル ペンチル、1-メチルブチル、2-メチルブチル 、3-メチルブチル、1,1-ジメチルプロピル、1,2 -ジメチルプロピル、2,2-ジメチルプロピル、1 -エチルプロピル、へキシル、1-メチルペンチ ル、2-メチルペンチル、3-メチルペンチル、4- メチルペンチル、1,1-ジメチルブチル、1,2-ジ チルブチル、1,3-ジメチルブチル、2,2-ジメ ルブチル、2,3-ジメチルブチル、3,3-ジメチル ブチル、1-エチルブチル、2-エチルブチル、1, 1,2-トリメチルプロピル又は1,2,2-トリメチル ロピルを挙げることができ、好適には炭素 1乃至4個を有する直鎖状 若しくは分枝鎖状 アルキル基であり、更に好適にはメチル、 チル、プロピル、イソプロピル、ブチル又 イソブチルであり、最適にはメチル又はエ ルである。

 炭素数7乃至19個を有するアラルキル基と ては、例えばベンジル、フェネチル、3-フ ニルプロピル、4-フェニルブチル、1-ナフチ メチル、2-ナフチルメチル又はジフェニル チルを挙げることができ、好適にはベンジ である。

 炭素数5乃至7個を有するシクロアルキル としては、例えばシクロペンチル、シクロ キシル、シクロヘプチルを挙げることがで 、好適にはシクロヘキシルである。

 炭素数6乃至10個を有するアリール基とし は、例えばフェニル又はナフチルを挙げる とができ、好適にはフェニルである。

 好適なエステル残基の具体例としては、 えばメチル、エチル、プロピル、イソプロ ル、ブチル、イソブチル、t-ブチル、ベン ル、アセトキシメチル、1-(アセトキシ)エチ 、プロピオニルオキシメチル、1-(プロピオ ルオキシ)エチル、ブチリルオキシメチル、 1-(ブチリルオキシ)エチル、イソブチリルオ シメチル、1-(イソブチリルオキシ)エチル、 レリルオキシメチル、1-(バレリルオキシ)エ チル、イソバレリルオキシメチル、1-(イソバ レリルオキシ)エチル、ピバロイルオキシメ ル、1-(ピバロイルオキシ)エチル、メトキシ ルボニルオキシメチル、1-(メトキシカルボ ルオキシ)エチル、エトキシカルボニルオキ シメチル、1-(エトキシカルボニルオキシ)エ ル、プロポキシカルボニルオキシメチル、1- (プロポキシカルボニルオキシ)エチル、イソ ロポキシカルボニルオキシメチル、1-(イソ ロポキシカノレボニルオキシ)エチル、ブト キシカルボニルオキシメチル、1-(ブトキシカ ルボニルオキシ)エチル、イソブトキシカル ニルオキシメチル、1-(イソブトキシカルボ ルオキシ)エチル、t-ブトキシカルボニルオ シメチル、1-(t-ブトキシカルボニルオキシ) チル、シクロペンタンカルボニルオキシメ ル、1-(シクロペンタンカルボニルオキシ)エ ル、シクロヘキサンカルボニルオキシメチ 、1-(シクロヘキサンカルボニルオキシ)エチ ル、シクロペンチルオキシカルボニルオキシ メチル、1-(シクロペンチルオキシカルボニル オキシ)エチル、シクロヘキシルオキシカル ニルオキシメチル、1-(シクロヘキシルオキ カルボニルオキシ)エチル、ベンゾイルオキ メチル、1-(ベンゾイルオキシ)エチル、フェ ノキシカルボニルオキシメチル、1-(フェノキ シカルボニルオキシ)エチル、(5-メチル-2-オ ソ-1,3-ジオキソレン-4-イル)メチル、2-トリメ チルシリルエチル又はフタリジルであり、更 に好適には(5-メチル-2-オキソ-1,3-ジオキソレ -4-イル)メチル、ピバロイルオキシメチル又 は1-(イソプロボキシカルボニルオキシ)エチ である。

 なお、上記一般式(I)で表されるフェニレ 誘導体、その塩又はエステルが溶媒和物(例 えば水和物)を形成する場合には、これらの 媒和物もすべて本発明に含まれる。

 更に、生体内において代謝されて上記で されるフェニレン誘導体(I)、その塩又はエ テルに変換される化合物(例えばアミド誘導 体のような、いわゆるプロドラッグ)もすべ 本発明に含まれる。

 本発明の上記一般式(1)で表されるフェニ ン誘導体又はその薬理上許容される塩若し はエステルの具体例としては、後述する表 記載する化合物を例示することができる。 し、本発明はこれらの例示化合物に限定さ るものではない。

 なお、以下の表1~3において、「Me」はメ ル基を、「Et」はエチル基を、「Pr」はプロ ル基を、「Bu」はブチル基を、「t-Bu」はt- チル基を、「Hex」はへキシル基を、「-Ph-」 フェニレン基を、「DMDO」は(5-メチル-2-オキ ソ-1,3-ジオキソレン-4-イル)メチル基を、「PHT 」はフタリジル基を、「Tez」は1H-テトラゾリ ル-5-イル基を、「Tzd」は2,4-ジオキソチアゾ ジン-5-イル基を、「-」は単結合をそれぞれ す。

 上記表中、好適な化合物(I)としてはNo.1-1 1-8、1-10、1-19、1-20、1-25、1-29、1-30、2-2、2-3 2-12、2-18、3-3-、3-4、3-5、3-6、3-7、3-8、3-9、3 -10、3-13、3-25、3-29、およびNo.3-30が挙げられ 更に好適にはNo.1-1、2-2、3-7、3-6、3-3、3-9、3- 13、3-25およびNo.3-30が挙げられる。

 これらのフェニレン誘導体(I)、ならびに の薬理上許容される塩及びその薬理上許容 れるエステルは、例えば、国際公開公報WO20 05/030737パンフレットに記載される方法に従っ て公知化合物を出発原料として用いて製造す ることができる。なお、当該公開公報に記載 されるフェニレン誘導体(I)の製造方法は、そ のまま本明細書の内容として援用される。

  (2-3)フェニレン誘導体(II)
 本発明が対象とするフェニレン誘導体は、 般式(II)

[式中、Aは、下記一般式(A4)、(A5)、(A6)また (A7)

で表される基を示し、
 Bは、1H-テトラゾール-5-イル基または2,4-ジ キソ-1,3-チアゾリジン-5-イル基を示し;
 Xは、単結合またはC6-10アリーレン基を示し;
 Y 1 は、カルボニル、スルホニルまたは単結合を 示し;
 Y 2 は、C1-6アルキレン基または単結合を示し;
 Y 3 は、メチレン、カルボニルまたは単結合を示 し;
 Y 4 は、メチンまたは窒素原子を示し;
 Y 5 は、メチレン、カルボニルまたは単結合を示 し;
 R 1 は、C1-8アルキル基(該C1-8アルキル基は、下記 置換基群αから選択される基で1乃至3個置換 れていても良い)、C6-14アリール基(該C6-14ア ール基は、下記置換基群βから選択される基 で1乃至5個置換されていても良い)、C6-14アリ ル-C1-6アルキル基(該C6-14アリール-C1-6アルキ ル基は、下記置換基群βから選択される基で1 乃至5個置換されていても良い)、窒素原子、 素原子および硫黄原子から選択される同一 しくは異なった1乃至3個のヘテロ原子を含 4乃至10員複素環基(該複素環基は、下記置換 群βから選択される基で1乃至5個置換されて いても良い)、窒素原子,酸素原子および硫黄 子から選択される同一若しくは異なった1乃 至3個のヘテロ原子を含む4乃至10員複素環-C1-6 アルキル基(該複素環-C1-6アルキル基は、下記 置換基群βから選択される基で1乃至5個置換 れていても良い)、C3-7シクロアルキル基(該C3 -7シクロアルキル基は、下記置換基群βから 択される基で1乃至5個置換されていても良い )、C3-7シクロアルキル-C1-6アルキル基(該C3-7シ クロアルキル-C1-6アルキル基は、下記置換基 βから選択される基で1乃至5個置換されてい ても良い)、C6-14アリール-カルボニル-C1-6アル キル基(該C6-14アリール-カルボニル-Cl-6アルキ ル基は、下記置換基群βから選択される基で1 乃至5個置換されていても良い)、またはC1-6脂 肪族アシル基(該C1-6脂肪族アシル基は、下記 換基群βから選択される基で1乃至5個置換さ れても良い)を示し;
 R 2 は、水素原子、下記置換基群βから選択され 基、カルボキシル基または-C(O)NR 13 R 14 で表される基を示し;
 R 3 は、水素原子、C1-8アルキル基(該C1-8アルキル 基は、下記置換基群αから選択される基で1乃 至3個置換されていても良い)、C6-14アリール (該C6-14アリール基は、下記置換基群βから選 択される基で1乃至5個置換されていても良い) 、または窒素原子、酸素原子および硫黄原子 から選択される同一若しくは異なった1乃至3 のヘテロ原子を含む4乃至10員複素環基(該複 素環基は、下記置換基群βから選択される基 1乃至5個置換されていても良い)を示し;
 R 4 およびR 5 は、同一または異なって、それぞれ水素原子 またはC6-14アリール基(該C6-14アリール基は、 記置換基群βから選択される基で1乃至5個置 換されていても良い)を示し;
 R 6 およびR 7 は、一緒になってC3-7シクロアルカンを形成 るか、或いは同一または異なってそれぞれ 素原子またはC1-8アルキル基(該C1-8アルキル は、下記置換基群αから選択される基で1乃 3個置換されていても良い)を示し;
 R 8 およびR 9 は、同一または異なってそれぞれ水素原子、 下記置換基群βから選択される基、カルボキ ル基または-C(O)NR 13 R 14 で表される基を示し;
 R 10 は、水素原子、C1-8アルキル基(該C1-8アルキル 基は、下記置換基群αから選択される基で1乃 至3個置換されていても良い)、C6-14アリール (該C6-14アリール基は、下記置換基群βから選 択される基で1乃至5個置換されていても良い) 、または窒素原子、酸素原子および硫黄原子 から選択される同一若しくは異なった1乃至3 のヘテロ原子を含む4乃至10員複素環基(該複 素環基は、下記置換基群βから選択される基 1乃至5個置換されていても良い)を示し;
 R 11 およびR 12 は、同一または異なってそれぞれ水素原子、 下記置換基群βから選択される基、カルボキ ル基または-C(O)NR 13 R 14 で表される基を示し;
 R 13 およびR 14 は、一緒になって4乃至10員含窒素複素環(該 窒素複素環は、下記置換基群βから選択され る基で1乃至5個置換されていても良い)を形成 するか、或いは同一または異なってそれぞれ 水素原子またはC1-8アルキル基(該C1-8アルキル 基は、下記置換基群αから選択される基で1乃 至3個置換されていても良い)を示す。

  但し、
(1)R 1 がC1-8アルキル基であり、かつY 1 が単結合である場合、Bは2,4-ジオキソ-1,3-チ ゾリジン-5-イル基であり、
(2)Y 2 がメチレンである場合、R 6 およびR 7 は共に水素原子ではなく、
(3)R 1 が無置換のC1-8アルキル基である場合、Y 1 はカルボニルではなく、
(4)R 1 が無置換のC1-6脂肪族アシル基である場合、Y 1 は単結合ではない。

 ここで置換基群αは、ハロゲン原子、C1-6ア キルチオ基、C1-6脂肪族アシル基、C1-6アル ルスルホニル基、C1-6アルコキシ基、シアノ およびニトロ基からなり、また
 置換基群βは、ハロゲン原子、C1-6アルキル 、ハロC1-6アルキル基、C1-6アルコキシ基、C1 -6アルキルチオ基、C1-6アルキルスルホニル基 、C1-6脂肪族アシル基、オキソ基、シアノ基 ニトロ基、C3-7シクロアルキル基、C6-14アリ ル基、C1-6アルコキシイミノ基、C6-14アリー -カルボール基、および窒素原子、酸素原子 よび硫黄原子から選択される同一若しくは なった1乃至3個のへテロ原子を含む4乃至10 複素環基からなる。〕
で表される化合物である。

 上記一般式(II)で表されるフェニレン誘導 体において、「C6-10アリーレン基」とは、炭 原子を6乃至10個有する2価の芳香族炭化水素 基であり、例えば、1,2-フェニレン、1,3-フェ レン、1,4-フェニレン、1,2-ナフチレン、1,3- フチレン、1,4-ナフチレン、1,5-ナフチレン 1,6-ナフチレン、1,7-ナフチレン、1,8-ナフチ ン、2,3-ナフチレン、2,4-ナフチレン等が挙げ られる。

 Xにおいては、好適にはフェニレンである 。

 フェニレン誘導体(II)において「C1-6アル レン基」とは、炭素原子数1個乃至6個の直鎖 状または分枝鎖状のアルキレン基であり、例 えば、メチレン、エチレン、プロピレン、ト リメチレン、1-エチル-1,2-エチレン、1-プロピ ル-1,2-エチレン、1-イソプロピル-1,2-エチレン 、1-ブチル-1,2-エチレン、1,2-ジメチル-1,2-エ レン、テトラメチレン、ペンタメチレン、 キサメチレン等が挙げられる。

 Y 2 においては、好適にはC1-3アルキレン基であ 、より好適にはメチレン、エチレンである

 フェニレン誘導体(II)において、「C1-8ア キル基」とは、炭素原子数1個乃至8個の直鎖 状または分枝鎖状のアルキル基であり、例え ば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピ ル、ブチル、イソブチル、s-ブチル、t-ブチ 、ペンチル、1-メチルブチル、2-メチルブチ 、3-メチルブチル、1,1-ジメチルプロピル、1 ,2-ジメチルプロピル、2,2-ジメチルプロピル 1-エチルプロピル、ヘキシル、1-メチルペン ル、2-メチルペンチル、3-メチルペンチル、 4-メチルペンチル、1,1-ジメチルブチル、1,2- メチルブチル、1,3-ジメチルブチル、2,2-ジメ チルブチル、2,3-ジメチルブチル、3,3-ジメチ ブチル、1-エチルブチル、2-エチルブチル、 1,1,2-トリメチルプロピル、1,2,2-トリメチルプ ロピル、ヘプチル、1-メチルペンチル、2-メ ルペンチル、n-ヘプチル、イソヘプチル、sec -ヘプチル、tert-ヘプチル、n-オクチル、イソ クチル、tert-オクチル、2-メチルヘキシル、 2-エチルヘキシル等が挙げられる。

 R 1 においては、
(1)Y 1 がスルホニル基の場合、好適にはC1-6アルキ 基であり、より好適にはメチル、エチル、 ロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシルであ 、さらに好適にはメチル、ブチルである。
(2)Y 1 が単結合またはカルボニル基の場合、好適に はC4-8アルキル基であり、より好適にはブチ 、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチ であり、さらに好適にはペンチルである。

 R 3 においては、好適にはC1-5アルキル基であり より好適にはメチル、エチル、プロピル、 チル、ペンチルである。

 R 6 およびR 7 においては、好適にはC1-3アルキル基であり より好適にはメチル、エチル、プロピルで る。

  R 10 においては、好適にはC1-4アルキル基であり より好適にはメチル、エチル、プロピル、 チルである。

  R 13 およびR 14 においては、好適にはC1-3アルキル基であり より好適にはメチル、エチルである。

 フェニレン誘導体(II)において「C1-6アル ル基」とは、炭素原子数1個乃至6個の直鎖状 または分枝鎖状のアルキル基であり、例えば 、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル 、ブチル、イソブチル、s-ブチル、t-ブチル ペンチル、1-メチルブチル、2-メチルブチル 3-メチルブチル、1,1-ジメチルプロピル、1,2- ジメチルプロピル、2,2-ジメチルプロピル、1- エチルプロピル、ヘキシル、1-メチルペンチ 、2-メチルペンチル、3-メチルペンチル、4- チルペンチル、1,1-ジメチルブチル、1,2-ジ チルブチル、1,3-ジメチルブチル、2,2-ジメチ ルブチル、2,3-ジメチルブチル、3,3-ジメチル チル、1-エチルブチル、2-エチルブチル、1,1 ,2-トリメチルプロピル、1,2,2-トリメチルプロ ピル等が挙げられる。

 置換基βにおいては、好適にはC1-3アルキ 基であり、より好適にはメチル、エチルで る。

 フェニレン誘導体(II)において「C6-14アリ ル基」とは、炭素原子数6個乃至14個の芳香 炭化水素基であり、例えば、フェニル、ナ チル、アントリル、フェナントリル、アセ フチレニル等が挙げられる。

 R 1 においては、好適にはC6-10アリール基であり より好適にはフェニル、ナフチルである。

 R 3 においては、好適にはC6-10アリール基であり より好適にはフェニル、ナフチルである。

 R 4 およびR 5 においては、好適にはC6-10アリール基であり より好適にはフェニルである。

 R 10 においては、好適にはC6-10アリール基であり より好適にはフェニルである。

 置換基βにおいては、好適にはC6-10アリー ル基であり、より好適にはフェニルである。

 フェニレン誘導体(II)において、「C6-14ア ール-C1-6アルキル基」とは、上記の「C6-14ア リール基」が上記の「C1-6アルキル基」に結 した基であり、例えば、ベンジル、1-フェネ チル、2-フェネチル、3-フェニルプロピル、4- フェニルブチル、5-フェニルペンチル、5-フ ニルヘキシル、1-ナフチルメチル、2-ナフチ エチル、アントリルメチル、フェナントリ メチル、アセナフチレニルメチル等が挙げ れる。

 R 1 においては、好適にはC6-10アリール-C1-3アル ル基であり、より好適にはベンジル、1-フェ ネチル、2-フェネチル、3-フェニルプロピル 1-ナフチルメチル、2-ナフチルメチル、2-(1- フチル)エチル、2-(2-ナフチルエチル)である

 フェニレン誘導体(II)において「窒素原子 、酸素原子および硫黄原子から選択される同 一若しくは異なった1乃至3個のヘテロ原子を む4乃至10員複素環基」としては、例えば、 ロリル、フリル、チエニル、ピラゾリル、 ミダゾリル、オキサゾリル、イソキサゾリ 、チアゾリル、イソチアゾリル、オキサジ ゾリル、チアジアゾリル、トリアゾリル、 トラゾリル、ピラニル、ピリジル、ピリダ ニル、ピリミジニル、ピラジニル、アゼピ ル、アゾシニル等の不飽和複素環基;アゼチ ジニル、ピロリジニル、ピロリニル、イミダ ゾリジニル、イミダゾリニル、ピラゾリジニ ル、ピラゾリニル、ピペリジル、ピペラジニ ル、モルホリニル、チオモルホリール、パー ヒドロアゼビニル、パーヒドロアゾシール、 1,4,5,6-テトラヒドロピリミジニル、1,2,3,6-テ ラヒドロピリジル等の、上記不飽和複素環 が部分的にもしくは完全に還元された基で よい。また、インドリル、インドリニル、 ンゾフラニル、ベンゾチエニル、ベンズイ ダゾリル、ベンズイソオキサゾリル、ベン イソキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベン イソチアゾリル、キノリル、イソキノリル キナゾリニル、キノキサリニル、ベンズオ サジアゾリル、ベンゾチアジアゾリル、ピ ロピロリル、ピロロオキサゾリル、ピロロ アゾリル、ピロロピリジル、フロピロリル フロピリジル、チエノピロリル、チエノピ ジル、イミダゾピロリル、イミダゾイミダ リル、イミダゾオキサゾリル、イミダゾイ キサゾリル、イミダゾチアゾリル、イミダ イソチアゾリル、イミダゾピリジル、イミ ゾピリダジニル、イミダゾピリミジニル、 ミダゾピラジニル、オキサゾオキサゾリル オキサゾイソキサゾリル、オキサゾチアゾ ル、オキサゾイソチアゾリル、オキサゾピ ジル、チアゾオキサゾリル、チアゾイソキ ゾリル、チアゾチアゾリル、チアゾイソチ ゾリル、チアゾピリジル等の、上記不飽和 素環同士が縮合した基またはベンゼン環と 記不飽和複素環とが縮合した基でもよい。

 R 1 においては、好適には窒素原子、酸素原子お よび硫黄原子から選択される同一若しくは異 なった1または2個のヘテロ原子を含む5または 6員複素環基(該複素環はベンゼン環と縮合し いても良い)であり、より好適にはピリジル 、オキサゾリル、チアゾリル、キノリルであ る。

 R 3 においては、好適には窒素原子、酸素原子お よび硫黄原子から選択される同一若しくは異 なった1または2個のへテロ原子を含む5または 6員複素環基 (該複素環はベンゼン環と縮合 ていても良い)であり、より好適にはピリジ 、キノリルである。

 R 10 においては、好適には窒素原子、酸素原子お よび硫黄原子から選択される同一若しくは異 なった1または2個のヘテロ原子を含む5または 6員複素環基(該複素環はベンゼン環と縮合し いても良い)であり、より好適にはピリジル 、キノリルである。

 置換基βにおいては、好適には窒素原子 酸素原子および硫黄原子から選択される同 若しくは異なった1または2個のヘテロ原子を 含む5または6員複素環基(該複素環はベンゼン 環と縮合していても良い)であり、好適には ミダゾリル、チアゾリル、オキサゾリル、 キサジアゾリル、ピリジルである。当該複 環基は、上記「C1-6アルキル基」で1乃至3個 換されていても良い。

 フェニレン誘導体(II)において「4乃至10員 含窒素複素環」としては、上記の「窒素原子 、酸素原子および硫黄原子から選択される同 一若しくは異なった1乃至3個のヘテロ原子を む4乃至10員複素環基」を構成する環のうち 少なくとも1つの窒素を含み、さらに窒素原 子、酸素原子および硫黄原子から選択される 同一若しくは異なった1または2個のヘテロ原 を含んでいてもよい環であり、例えば、ピ ール、ピラゾール、イミダゾール、トリア ール、テトラゾール等の不飽和複素環;アゼ チジン、ピロリジン、ピロリン、イミダゾリ ジン、イミダゾリン、ピラゾリジン、ピラゾ リン、ピペリジン、ピペラジン、モルホリン 、チオモルホリン、パーヒドロアゼピン、パ ーヒドロアゾシン、1,4,5,6-テトラヒドロピリ ジン、1,2,3,6-テトラヒドロピリジン等の、 記不飽和複素環が部分的にもしくは完全に 元された環でもよい。また、インドール、 ンドリン、ベンズイミダゾール、ピロロピ ール、ピロロオキサゾール、ピロロチアゾ ル、ピロロピリジン、フロピロール、チエ ピロール、イミダゾピロール、イミダゾイ ダゾール、イミダゾオキサゾール、イミダ イソキサゾール、イミダゾチアゾール、イ ダゾイソチアゾール、イミダゾピリジン、 ミダゾピリダジン、イミダゾピリミジン、 ミダゾピラジン等の、上記不飽和複素環同 が縮合した環またはベンゼン環と上記不飽 複素環環とが縮合した環でもよい。

 R 13 およびR 14 においては、好適にはイミダゾール、ピロリ ジン、ピペリジン、モルホリン、インドール 環であり、より好適にはピロリジン、ピペリ ジン、モルホリン環である。

 フェニレン誘導体(II)おいて「窒素原子、 酸素原子および硫黄原子から選択される同一 若しくは異なった1乃至3個のへテロ原子を含 4乃至10員複素環-C1-6アルキル基」とは、上 の「窒素原子、酸素原子および硫黄原子か 選択される同一若しくは異なった1乃至3個の ヘテロ原子を含む4乃至10員複素環基」が上記 の「C1-6アルキル基」に結合した基であり、 えば、ピロリルメチル、フリルメチル、チ ニルメチル、チエニルエチル、チエニルプ ピル、ピラゾリルメチル、イミダゾリルメ ル、オキサゾリルメチル、イソキサゾリル チル、チアゾリルメチル、イソチアゾリル チル、オキサジアゾリルメチル、チアジア リルメチル、トリアゾリルメチル、テトラ リルメチル、ピラニルメチル、ピリジルメ ル、ピリダジニルメチル、ピリミジニルメ ル、ピラジニルメチル、アゼピニルメチル アゾシニルメチル、アゼチジニルメチル、 ロリジニルメチル、ピロリニルメチル、イ ダゾリジニルメチル、イミダゾリニルメチ 、ピラゾリジニルメチル、ピラゾリニルメ ル、ピペリジルメチル、ピペラジニルメチ 、モルホリニルメチル、チオモルホリニル チル、パーヒドロアゼピニルメチル、パー ドロアゾシニルメチル、1,4,5,6-テトラヒドロ ピリミジニルメチル、1,2,3,6-テトラヒドロピ ジルメチル、インドリルメチル、インドリ ルメチル、ベンゾフラニルメチル、ベンゾ エニルメチル、ベンズイミダゾリルメチル ベンズイソオキサゾリルメチル、ベンズイ キサゾリルメチル、ベンゾチアゾリルメチ 、ベンズイソチアゾリルメチル、キノリル チル、イソキノリルメチル、キナゾリニル チル、キノキサリニルメチル、ベンズオキ ジアゾリ ルメチル、ベンゾチアジアゾリ メチル、ピロロピロリルメチル、ピロロオ サゾリルメチル、ピロロチアゾリルメチル ピロロピリジルメチル、フロピロリルメチ 、フロピリジルメチル、チエノピロリルメ ル、チエノピリジルメチル、イミダゾピロ ルメチル、イミダゾイミダゾリルメチル、 ミダゾオキサゾリルメチル、イミダゾイソ サゾリルメチル、イミダゾチアゾリルメチ 、イミダゾイソチアゾリルメチル、イミダ ピリジルメチル、イミダゾピリダジニルメ ル、イミダゾピリミジニルメチル、イミダ ピラジニルメチル、オキサゾオキサゾリル チル、オキサゾイソキサゾリルメチル、オ サゾチアゾリルメチル、オキサゾイソチア リルメチル、オキサゾピリジルメチル、チ ゾオキサゾリルメチル、チアゾイソキサゾ ルメチル、チアゾチアゾリルメチル、チア イソチアゾリルメチル、チアゾピリジルメ ル等が挙げられる。

 R 1 においては、好適には窒素原子、酸素原子お よび硫黄原子から選択される同一若しくは異 なった1または2個のヘテロ原子を含む5または 6員複素環-C1-3アルキル基(該複素環はベンゼ 環と縮合していても良い)であり、より好適 はオキサゾリルメチル、チアゾリルメチル ピリジルメチル、キノリルメチ ル、チエ ルエチル、チエニルプロピルである。

 フェニレン誘導体(II)において「C3-7シク アルキル基」とは、炭素原子数3個または7個 の環状アルキル基であり、例えば、シクロプ ロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シ クロヘキシル、シクロヘプチル等が挙げられ る。

 R 1 においては、好適にはC5-6シクロアルキル基 あり、より好適にはシクロペンチル、シク ヘキシルである。

 置換基βにおいては、好適にはC4-6シクロ ルキル基であり、最も好適にはシクロペン ル、シクロヘキシルである。

 フェニレン誘導体(II)において「C3-7シク アルキル-C1-6アルキル基」とは、上記の「C3- 7シクロアルキル基」が上記の「C1-6アルキル 」に結合した基であり、例えば、シクロプ ピルメチル、2-シクロプロピルエチル、シ ロブチルメチル、2-シクロブチルエチル、シ クロペンチルメチル、2-シクロペンチルエチ 、3-シクロペンチルプロピル、4-シクロペン チルブチル、5-シクロペンチルペンチル、6- クロペンチルヘキシル、シクロヘキシルメ ル、2-シクロヘキシルエチル、3-シクロヘキ ルプロピル、4-シクロヘキシルブチル、5-シ クロヘキシルペンチル、6-シクロヘキシルヘ シル、シクロヘプチルメチル、2-シクロヘ チルエチル等が挙げられる。

 R 1 においては、好適にはC5-6シクロアルキル-C1-3 アルキル基であり、より好ましくはシクロヘ キシルメチル、2-シクロヘキシルエチルであ 。

 フェニレン誘導体(II)において「C6-14アリ ル-カルボニル-C1-6アルキル基」とは、上記 「C6-14アリール基」がカルボニル基に結合 た基が、さらに上記の「C1-6アルキル基」に 合した基であり、例えば、ベンゾイルメチ 、2-ベンゾイルエチル、3-ベンゾイルプロピ ル、4-ベンゾイルブチル、5-ベンゾイルペン ル、6-ベンゾイルヘキシル、ナフトイルメチ ル、2-ナフトイルエチル等が挙げられる。

 R 1 においては、好適にはC6-10アリール-カルボニ ル-C1-3アルキル基であり、より好適にはベン イルメチル、ナフトイルメチルである。

 フェニレン誘導体(II)において「C1-6脂肪 アシル基」とは、水素原子または飽和若し は不飽和の炭素数2乃至5個の鎖状炭化水素基 がカルボニル基に結合した基を示し、例えば 、ホルミル、アセチル、プロピオニル、ブチ リル、イソブチリル、バレリル、イソバレリ ル、ピバロイル、ヘキサノイル、アクリロイ ル、メタクリロイル、クロトノイル等が挙げ られる。

 R 1 においては、好適にはC1-4脂肪族アシル基で り、さらに好適にはブチリルである。

 置換基αおよびβにおいては、好適にはC1- 4脂肪族アシル基であり、更に好適にはアセ ル、プロピオニルであり、最も好適にはア チルである。

 フェニレン誘導体(II)において「C3-7シク アルカン」とは、炭素原子数3個乃至7個の環 状アルカンであり、例えば、シクロプロパン 、シクロブタン、シクロペンタン、シクロヘ キサン、シクロヘプタン等が挙げられる。

 R 6 およびR 7 が一緒になって、好適にはC3-5シクロアルカ を形成し、より好適にはシクロプロパンを 成する。

 フェニレン誘導体(II)において「ハロゲン 原子」は、フッ素原子、塩素原子、臭素原子 、ヨウ素原子が挙げられる。

 置換基αおよびβにおいては、それぞれ好 適にはフッ素原子、塩素原子、臭素原子であ り、より好適にはフッ素原子、塩素原子であ り、最も好適にはフッ素原子である。

 フェニレン誘導体(II)において「C1-6アル キシ基」は、上記C1-6アルキル基で置換され 水酸基であり、例えば、メトキシ、エトキ 、1-プロポキシ、2-プロポキシ、1-ブトキシ 2-ブトキシ、2-メチル-1-プロポキシ、2-メチ -2-プロポキシ、1-ペンチルオキシ、2-ペンチ ルオキシ、3-ペンチルオキシ、2-メチル-2-ブ キシ、3-メチル-2-ブトキシ、1-へキシルオキ 、2-へキシルオキシ、3-ヘキシルオキシ、2- チル-1-ペンチルオキシ、3-メチル-1-ペンチ オキシ、2-エチル-1-ブトキシ、2,2-ジメチル-1 -ブトキシ、2,3-ジメチル-1-ブトキシ等が挙げ れる。

 置換基αおよびβにおいては、それぞれ好 適にはC1-4アルコキシ基であり、より好適に メトキシ、エトキシであり、最も好適には トキシである。

 フェニレン誘導体(II)において「C1-6アル ルチオ基」は、上記C1-6アルキル基で置換さ たメルカプト基であり、例えば、メチルチ 、エチルチオ、1-プロピルチオ、2-プロピル チオ、1-ブチルチオ、2-ブチルチオ、2-メチル -1-プロピルチオ、2-メチル-2-プロピルチオ、1 -ペンチルチオ、2-ペンチルチオ、3-ペンチル オ、2-メチル-2-ブチルチオ、3-メチル-2-ブチ ルチオ、1-ヘキシルチオ、2-ヘキシルチオ、3- へキシルチオ、2-メチル-1-ペンチルチオ、3- チル-1-ペンチルチオ、2-エチル-1-ブチルチオ 、2,2-ジメチル-1-ブチルチオ、2,3-ジメチル-1- チルチオ基等が挙げられる。

 置換基αおよびβにおいては、それぞれ好 適にはC1-4アルキルチオ基であり、より好適 はメチルチオ、エチルチオであり、最も好 にはメチルチオである。

 フェニレン誘導体(II)において「C1-6アルキ スルホニル基」は、上記C1-6アルキル基で置 されたスルホニル基(-SO 2 -)であり、例えば、メタンスルホニル、エタ スルホニル、1-プロパンスルホニル、2-プロ パンスルホニル、1-ブタンスルホニル、2-ブ ンスルホニル、2-メチル-1-プロパンスルホニ ル、2-メチル-2-プロパンスルホニル、1-ペン ンスルホニル、2-ペンタンスルホニル、3-ペ タンスルホニル、2-メチル-2-ブタンスルホ ル、3-メチル-2-ブタンスルホニル、1-ヘキサ スルホニル、2-ヘキサンスルホニル、3-ヘキ サンスルホニル、2-メチル-1-ペンタンスルホ ル、3-メチル-1-ペンタンスルホニル、2-エチ ル-1-ブタンスルホニル、2,2-ジメチル-1-ブタ スルホニル、2,3-ジメチル-1-ブタンスルホニ 基等が挙げられる。

 置換基αおよびβにおいては、好適にはC1- 4アルキルスルホニル基であり、より好適に メタンスルホニル、エタンスルホニルであ 、最も好適にはメタンスルホニルである。

 フェニレン誘導体(II)において「ハロC1-6 ルキル基」は、1乃至7個の上記ハロゲン原子 で置換された上記C1-6アルキル基であり、例 ば、フルオロメチル、ジフルオロメチル、 クロロメチル、ジブロモメチル、トリフル ロメチルミトリクロロメチル、2-フルオロエ チル、2-ブロモエチル、2-クロロエチル、2-ヨ ードエチル、2,2-ジフルオロエチル、2,2,2-ト フルオロエチル、2,2,2-トリクロロエチル、 ンタフルオロエチル、3-フルオロプロピル、 3-クロロプロピル、4-フルオロブチル、5-フル オロペンチル、6-フルオロヘキシル等が挙げ れる。

 置換基βにおいては、好適には1乃至5個の ハロゲン原子で置換されたC1-4アルキル基で り、より好適にはフルオロメチル、クロロ チル、ジフルオロメチル、トリフルオロメ ル、ペンタフルオロエチルであり、最も好 にはトリフルオロメチルである。

 フェニレン誘導体(II)において「C6-14アリ ル-カルボニル基」とは、上記の「C6-14アリ ル基」がカルボニル基に結合した基であり 例えば、ベンゾイル、ナフチルカルボニル フェナントリルカルボニル等が挙げられる

 置換基βにおいては、好適にはC6-10アリー ル-カルボニル基であり、最も好適にはベン イルである。

 フェニレン誘導体(II)において「C1-6アル キシイミノ基」とは、上記C1-6アルコキシ基 置換されたイミノ基であり、例えば、メト シイミノ、エトキシイミノ、1-プロポキシ ミノ、2-プロポキシイミノ、1-ブトキシイミ 、2-ブトキシイミノ、2-メチル-1-プロポキシ イミノ、2-メチル-2-プロポキシイミノ、1-ペ チルオキシイミノ、2-ペンチルオキシイミノ 、3-ペンチルオキシイミノ、2-メチル-2-ブト シイミノ、3-メチル-2-ブトキシイミノ、1-ヘ シルオキシイミノ、2-ヘキシルオキシイミ 、3-ヘキシルオキシイミノ、2-メチル-1-ペン ルオキシイミノ、3-メチル-1-ペンチルオキ イミノ、2-エチル-1-ブトキシイミノ、2,2-ジ チル-1-ブトキシイミノ、2,3-ジメチル-1-ブト シイミノ等が挙げられる。

 置換基βにおいては、好適にはC1-4アルコ シイミノ基であり、より好適にはメトキシ ミノ、エトキシイミノであり、最も好適に メトキシイミノである。

 フェニレン誘導体(II)においてAとしては 好適には上記一般式(A4)、(A5)または(A6)で表 れる基である。

 フェニレン誘導体(II)において、Xとして 、好適には単結合またはフェニレンである ここで、Xがフェニレンである場合、Bとして は、好適には1H-テトラゾール-5-イル基であり 、Xが単結合の場合、Bとしては、好適には2,4- ジオキソ-1,3-チアゾリジン-5-イル基である。

 フェニレン誘導体(II)において、Y 1 としては、好適にはスルホニルまたはカルボ ニルである。

 フェニレン誘導体(II)において、Y 2 としては、好適にはC1-3アルキレン基または 結合であり、より好適にはメチレン、エチ ンまたは単結合である。

 フェニレン誘導体(II)において、Y 3 としては、好適にはカルボニルまたは単結合 である。

 本発明において、Y 4 としては、好適には窒素原子である。

 フェニレン誘導体(II)において、Y 5 としては、好適にはカルボニルまたは単結合 である。

 フェニレン誘導体(II)において、R 1 としては、好適にはC1-8アルキル基(該C1-8アル キル基は、C1-6脂肪族アシル基で1乃至5個置換 されていても良い)、C6-14アリール基(該C6-14ア リール基は、C1-6アルキル基およびC6-14アリー ル基からなる群から選択される基で1乃至5個 換されていても良い)、C6-14アリール-C1-6ア キル基(該C6-14アリール-C1-6アルキル基は、C6- 14アリール基、ハロゲン原子、C1-6アルコキシ 基およびC6-14アリール-カルボニル基からなる 群から選択される基で1乃至5個置換されてい も良い)、窒素原子、酸素原子および硫黄原 子から選択される同一若しくは異なった1ま は2個のヘテロ原子を含む5乃至10員複素環基( 該複素環基は、C1-6アルキル基およびC6-14アリ ール基からなる群から選択される基で1乃至5 置換されていても良い)、窒素原子、酸素原 子および硫黄原子から選択される同一若しく は異なった,または2個のヘテロ原子を含む5乃 至10員複素環-C1-6アルキル基(該複素環-C1-6ア キル基は、C1-6アルキル基、C6-14アリール基 よびC1-6アルコキシイミノ基からなる群から 択される基で’乃至5個置換されていても良 い)、C3-7シクロアルキル基(該C3-7シクロアル ル基は、オキソ基で置換されていてもよい) C3-7シクロアルキル-C1-6アルキル基、C6-14ア ール-カルボニル-C1-6アルキル基、またはC1-6 肪族アシル基、であり、より好適には、C4-8 アルキル基(好適にはブチル、ペンチル、ヘ シル、ヘプチル、オクチル)(該C4-8アルキル は、C1-4脂肪族アシル基(好適にはアセチル、 プロピオニル)で1乃至5個置換されていても良 い)、C6-10アリール基(好適にはフェニル、ナ チル)(該C6-10アリール基は、C1-3アルキル基( 適にはメチル、エチル)およびC6-10アリール (好適にはフェニル)からなる群から選択され る基で1乃至5個置換されていても良い)、C6-10 リール-C1-3アルキル基(好適にはベンジル、1 -フェネチル、2-フェネチル、3-フェニルプロ ル、1-ナフチルメチル、2-ナフチルメチル、 2-(1-ナフチル)エチル、2-(2-ナフチルエチル))( C6-10アリール-C1-3アルキル基は、C6-10アリー 基(好適にはフェニル)、ハロゲン原子(好適 はフッ素原子、塩素原子、臭素原子)、C1-4 ルコキシ基(好適にはメトキシ、エトキシ)お よびC6-10アリール-カルボニル基(好適にはベ ゾイル)からなる群から選択される基で1乃至 5個置換されていても良い)、窒素原子、酸素 子および硫黄原子から選択される同一若し は異なった1または2個のヘテロ原子を含む5 たは6員複素環基(該複素環はベンゼン環と 合していても良い。好適にはピリジル、オ サゾリル、チアゾリル、キノリル)(該複素環 基はC1-3アルキル基(好適にはメチル、エチル) およびC6-10アリール基(好適にはフェニル)か なる群から選択される基で1乃至5個置換され ていても良い)、窒素原子、酸素原子および 黄原子から選択される同一若しくは異なっ 1または2個のヘテロ原子を含む5または6員複 環-C1-3アルキル基(該複素環はベンゼン環と 合していても良い。好適にはオキサゾリル チル、チアゾリルメチル、ピリジルメチル キノリルメチル、チエニルエチル、チエニ プロピル)(該複素環-C1-3アルキル基は、C1-3 ルキル基(好適にはメチル、エチル)、C6-10ア ール基(好適にはフェニル)、C1-4アルコキシ ミノ基(好適にメトキシイミノ、エトキシイ ミノ)からなる群から選択される基で1乃至5個 置換されていても良い)、C5-6シクロアルキル (好適にはシクロペンチル、シクロヘキシル )(該C5-6シクロアルキル基は、オキソ基で置換 されていてもよい)、C5-6シクロアルキル-C1-3 ルキル基(好適にはシクロヘキシルメチル、2 -シクロヘキシルエチル)、C6-10アリール-カル ニル-C1-3アルキル基(好適にはベンゾイルメ ル、ナフトイルメチル)、またはC1-4脂肪族 シル基(好適にはブチリル)である。

 フェニレン誘導体(II)において、R 2 としては、好適には水素原子、カルボキシル 基、フェニル基および一C(O)NR 13 R 14 で表される基である。

 フェニレン誘導体(II)において、R としては、好適には水素原子またはC6-14アリ ル基であり、より好適には水素原子またはC 6-10アリール基(好適にはフェニル、ナフチル) である。

 フェニレン誘導体(II)において、R 4 およびR 5 としては、好適には同一または異なってそれ ぞれ水素原子またはC6-10アリール基であり、 り好適には水素原子またはフェニルである

 フェニレン誘導体(II)において、R 6 およびR 7 としては、好適には、一緒になってC3-5シク アルカンを形成するか、或いは同一または なってそれぞれ水素原子または
Cl-3アルキル基であり、より好適には同一ま は異なってそれぞれ水素原子またはC1-3アル ル基(好適にはメチル、エチル、プロピル) ある。

 フェニレン誘導体(II)において、R 8 およびR 9 としては、好適には同一または異なってそれ ぞれ水素原子またはカルボキシル基であり、 より好適には一方が水素原子であり、他方が カルボキシル基である。

 フェニレン誘導体(II)において、R 10 としては、好適には、水素原子、C1-4アルキ 基、C6-10アリール基、または窒素原子、酸素 原子および硫黄原子から選択される同一若し くは異なった1または2個のヘテロ原子を含む5 または6員複素環基(該複素環基はベンゼン環 縮合していても良い)であり、より好適には 、C1-4アルキル基(好適にはメチル、エチル、 ロピル、ブチル)、C6-10アリール基(好適には フェニル)、または窒素原子、酸素原子およ 硫黄原子から選択される同一若しくは異な た1または2個のヘテロ原子を含む5または6員 素環基(該複素環基はベンゼン環と縮合して いても良い)(好適にはピリジル、キノリル)で ある。

 フェニレン誘導体(II)において、R 11 およびR 12 としては、好適には同一または異なってそれ ぞれ水素原子またはカルボキシル基であり、 より好適にはカルボキシル基である。

 フェニレン誘導体(II)において、R 13 およびR 14 としては、好適には一緒になって5または6員 窒素複素環(該含窒素複素環はベンゼン環と 縮合していても良い)(好ましくはイミダゾー 、ピロリジン、ピペリジン、モルホリン、 ンドール)を形成するか、或いは同一または 異なってそれぞれ水素原子またはC1-3アルキ 基(好適にはメチル、エチル)である。

 フェニレン誘導体(II)として、具体的には、 以下の化合物が好適である。
(II-1)3-{N-(3-フェニルプロピオニル)-N-[2’-(1H- トラゾール-5-イル)ビフェニル4-イルメチル] ミノ}安息香酸、
(II-2)3-{N-フェニルアセチル-N-[2’-(1H-テトラゾ ール-5-イル)ビフェニル4-イルメチル]アミノ} 息香酸、
(II-3)3-{N-(4-フェニルブチリル)-N-[2’-(1H-テト ゾール-5-イル)ビフェニル4-イルメチル]アミ }安息香酸、
(II-4)3-{N-シクロヘキサンカルボニル-N-〔2’-(1 H-テトラゾール-5-イル)ビフェニル4-イルメチ 〕アミノ}安息香酸、
(II-5)3-{N-(ピリジン-3-カルボニル)一N-〔2’-(lH- テトラゾール-5-イル)ビフェニル4-イルメチル 〕アミノ}安息香酸、
(II-6)3-{N一ペンチル-N-〔4-(2,4-ジオキソ-1,3-チ ゾリジン-5-イル)ベンジル〕アミノ}安息香酸 、
(II-7)1-[4-(2,4-ジオキソ-1,3-チアゾリジン-5-イル )ベンジル]-2-メチル-1,2,3,4-テトラヒドロキノ ン-7-カルボン酸、
(II-8)5-[4-(N-メチルスルホニル-N-フェニルアミ メチル)フェニル]-1,3-チアゾリジン-2,4-ジオ 、
(II-9)5-[4-(N-ブチルスルホニル-N-フェニルアミ メチル)フェニル]-1,3-チアゾリジン-2,4-ジオ 、
(II-10) 3-{N-〔4-(2,4-ジオキソ-1,3-チアゾリジン- 5-イル)ベンジル〕-N-(メチルスルホニル)アミ }安息香酸、
(II-11)3-{N-ブチルスルホニル-N-〔4-(2,4-ジオキ -1,3-チアゾリジン-5-イル)ベンジル〕アミノ} 息香酸、
(II-12)5-{4-〔(2-オキソ-2H-キノリン-1-イル)メチ 〕フェニル}-1,3-チアゾリジン-2,4-ジオン、
(II-13)5-{4-〔(2-メチルベンズイミダゾール-1-イ ル)メチル〕フェニル}-1,3-チアゾリジン-2,4-ジ オン、
(II-14)5-{4-〔(2-プロピルベンズイミダゾール-1- イル)メチル〕フェニル}-1,3-チアゾリジン-2,4- ジオン、
(II-15)5-{4-〔2-(2-ピリジル)ベンズイミダゾール -1-イルメチル〕フェニル}-1,3-チアゾリジン-2, 4-ジオン、
(II-16)5-[4-(2-フェニルイミダゾール-1-イルメチ ル)フェニル]-1,3-チアゾリジン-2,4-ジオン、
(II-17)1-[4-(2,4-ジオキソ-1,3-チアゾリジン-5-イ )ベンジル]-2-オキソ-3-プロピル-1,2-ジヒドロ ノリン-7-カルボン酸、
(II-18)3-{N-シクロヘキサンカルボニル-N-〔4-(2,4 -ジオキソ-1,3-チアゾリジン-5-イル)ベンジル アミノ}安息香酸、
(II-19)3-{N一〔4-(2,4-ジオキソ-1,3-チアゾリジン- 5-イル)ベンジル〕-N-(ピリジン-3-カルボニル) ミノ}安息香酸、
(II-20)3-{N-〔4-(2,4-ジオキソ-1,3-チアゾリジン-5- イル)ベンジル〕-N-(3-フェニルプロピオニル) ミノ}安息香酸、
(II-21)3-{N-(ビフェニル4-カルボニル)-N-〔4-(2,4- オキソ-1,3-チアゾリジン-5-イル)ベンジル〕 ミノ}安息香酸、
(II-22)3-{N-(フェニルスルホニル)-N-〔4-(2,4-ジオ キソ-1,3-チアゾリジン-5-イル)ベンジル〕アミ ノ}安息香酸、
(II-23)3-{N-(4-メチルフェニルスルホニル)-N一〔 4-(2,4-ジオキソ-1,3-チアゾリジン-5-イル)ベン ル)アミノ)安息香酸、
(II-24)3-{N-(ビフェニル4-スルホニル)-N-〔4-(2,4- オキソ-1,3-チアゾリジン-5-イル)ベンジル〕 ミノ}安息香酸、
(II-25)3-{N-(2-ナフチルスルホール)-N-〔4-(2,4-ジ キソ-1,3-チアゾリジン-5-イル)ベンジル〕ア ノ}安息香酸、
(II-26)3-{N-(ベンジルスルホニル)-N-〔4-(2,4-ジオ キソ-1,3-チアゾリジン-5-イル)ベンジル〕アミ ノ}安息香酸、
(II-27)1-[4-(2,4-ジオキソ-1,3-チアゾリジン-5-イ )ベンジル]-2-オキソ-3-プロピル-2,3-1H-インド ル-6-カルボン酸、
(II-28)1-[4-(2,4-ジオキソ-1,3-チアゾリジン-5-イ )ベンジル]-2-オキソ-3-プロピル-2,3,4,5-テトラ ヒドロ-1H-ベンゾ[b]アゼピン-8-カルボン酸、
(II-29)3,3-ジメチル-1-[4-(2,4-ジオキソ-1,3-チアゾ リジン-5-イル)ベンジル]-2-オキソ-1,2,3,4-テト ヒドロキノリン-7-カルボン酸、
(II-30)1’-[4-(2,4-ジオキソ-1,3-チアゾリジン-5- ル)ベンジル]-2’-オキソ-1’,4’-ジヒドロ-2 H-スピロ[シクロプロパン-1,3’-キノリン]-7’ -カルボン酸、
(II-31)1-[4-(2,4-ジオキソ-1,3-チアゾリジン-5-イ )ベンジル]-2-プロピル-1,2,3,4-テトラヒドロキ ノリン-7-カルボン酸、
(II-32)3-{N-フェネチルN-〔2’-(1H-テトラゾール- 5-イル)ビフェニル-4-イルメチル〕アミノ}安 香酸、
(II-33)3-{N-〔4-(2,4-ジオキソ-1,3-チアゾリジン-5- イル)ベンジル〕-N-〔(5-メチル-2-フェニル1,3- キサゾール-4-イル)アセチル〕アミノ}安息 酸、
(II-34)3-{N-〔(2,5-ジメチル-1,3-オキサゾール-4- ル)カルボニル〕-N-〔4-(2,4-ジオキソ-1,3-チア リジン-5-イル)ベンジル〕アミノ}安息香酸
(II-35)2-オキソ-3-プロピル-1-[2,-(1H-テトラゾー -5-イルメチル)ビフェニル4-イルメチル]-2,3,4 ,5-テトラヒドロ-H-ベンゾ[b]アゼピン-8-カルボ ン酸、
(II-36)3-{N-(3-シクロヘキシルプロパノイル)-N- 2’-(1H-テトラゾール-5-イル)ビフェニル4-イ メチル〕アミノ}安息香酸、
(II-37)3-{N-〔(5-メチル-2-フェニル1,3-オキサゾ ル-4-イル)アセチル〕-N-〔2’-(1H-テトラゾー -5-イル)ビフェニル4-イルメチル〕アミノ}安 息香酸、
(II-38)5-[4’-(2-フェニルイミダゾール-1-イルメ チル)ビフェニル2-イル]-1H-テトラゾール、
(II-39)5-[4’-(4-フェニルイミダゾール-1-イルメ チル)ビフェニル2-イル]-1H-テトラゾール、
(II-40)5-[4’一(5-フェニルイミダゾール-1-イル チル)ビフェニル2-イル]-1H-テトラゾール、
(II-41)2-プロピル-1-[2’-(lH-テトラゾール-5-イ )ビフェニル4-イルメチル]-1,2,3,4-テトラヒド キノリン-7-カルボン酸、
(II-42)3-{N-(2-オキソ-2-フェニルエチル)-N-〔2’- (1H-テトラゾール-5-イル)ビフェニル4-イルメ ル〕アミノ}安息香酸、
(II-43)3-{N-(3-キノリンカルボニル)-N-〔2’-(lH- トラゾール-5-イル)ビフェニル4-イルメチル アミノ}安息香酸、
(II-44)3-{N-(2-ナフトイル)-N-〔2’-(1H-テトラゾ ル-5-イル)ビフェニル4-イルメチル〕アミノ} 息香酸、
(II-45)3-{N-(4-ビフェニルカルボニル)-N-〔2’-(lH -テトラゾール-5-イル)ビフェニル4-イルメチ 〕アミノ}安息香酸、
(II-46)3-{N-〔(2,5-ジメチル-1,3-オキサゾール-4- ル)カルボニル〕-N-〔2’-(1H-テトラゾール-5- ル)ビフェニル4-イルメチル〕アミノ}安息香 酸、
(II-47)3-{N-〔4-(5-メチル-1,2,4-オキサジアゾール -3-イル)ベンゾイル〕-N-〔2’-(1H-テトラゾー -5-イル)ビフェニル4-イルメチル〕アミノ}安 香酸、
(II-48)3-{N-〔4-(2-メチルチアゾール-4-イル)ベン ゼンスルホニル〕-N-〔2’-(1H-テトラゾール-5- イル)ビフェニル4-イルメチル〕アミノ}安息 酸、
(II-49)3-{N-〔4-(2-ピリジル)ベンゾイル〕一N-〔2 ’-(1H-テトラゾール-5-イル)ビフェニル4-イル チル〕アミノ}安息香酸、
(II-50)N-[3-(モルホリノカルボニル)フェニル]-N- [2’-(1H-テトラゾール-5-イル)ビフェニル4-イ メチル]-4-(2-ピリジル)ベンズアミド、
(II-51)3-{N-[4-(2-ピリジル)ベンゾイル]-N-[2’-(1H- テトラゾール-5-イル)ビフェニル4-イルメチル ]アミノ}ベンズアミド、
(II-52)N-[3-(モルホリノカルボニル)フェニル]-N- [2’-(1H-テトラゾール-5-イル)ビフェニル4-イ メチル]キノリン-3-カルボキサミド、
(II-53)3-{N-(3-キノリンカルボニル)-N-〔2’-(1H- トラゾール-5-イル)ビフェニル4-イルメチル アミノ}ベンズアミド、
(II-54)3-{N-ベンジルN-〔2’-(1H-テトラゾール-5- ル)ビフェニル-イルメチル〕アミノ}安息香 、
(II-55)3-{N-(ビフェニル4-イルメチル)-N-〔2’-(1H -テトラゾール-5-イル)ビフェニル4-イルメチ 〕アミノ}安息香酸、
(II-56)3-{N-(4-クロロベンジル)-N-〔2’-(1H-テト ゾール-5-イル)ビフェニル4-イルメチル〕ア ノ}安息香酸、
(II-57)3-{N-(3,4-ジメトキシベンジル)-N-〔2’-(1H- テトラゾール-5-イル)ビフェニル4-イルメチル 〕アミノ}安息香酸、
(II-58)3-{N-〔2’-(1H-テトラゾール-5-イル)ビフ ニル4-イルメチル〕一N-〔2-(2-チエニル)エチ 〕アミノ}安息香酸、
(II-59)3-{N-〔2-(3,4-ジメトキシフェニル)エチル -N-〔2’-(1H-テトラゾール-5-イル)ビフェニル 4-イルメチル〕アミノ}安息香酸、
(II-60)3-{N-(2-シクロヘキシルエチル)-N一〔2’-( 1H-テトラゾール-5-イル)ビフェニル4-イルメチ ル〕アミノ}安息香酸、
(II-61)N-[4-(2,4-ジオキソ-1,3-チアゾリジン-5-イ )ベンジル]-N-フェニル1-ナフタレンスルホン ミド、
(II-62)N-[4-(2,4-ジオキソ-1,3-チアゾリジン-5-イ )ベンジル]-N-フェニル2-ナフタレンスルホン ミド、
(II-63)3-{N-〔4-(2,4-ジオキソ-1,3-チアゾリジン-5- イル)ベンジル〕-N-〔4-(2-メチルチアゾール-4- イル)ベンゼンスルホニル〕アミノ}安息香酸
(II-64)3-{N-〔4-(2,4-ジオキソ-1,3-チアゾリジン-5- イル)ベンジル〕-N-〔4-(5-メチル-1,2,4-オキサ アゾール-3-イル)ベンゾイル〕アミノ}安息香 酸、
(II-65)3-{N-〔4-(2,4-ジオキソ-1,3-チアゾリジン-5- イル)ベンジル〕-N-〔4-(2-ピリジル)ベンゾイ 〕アミノ}安息香酸、
(II-66)3-{N-[4-(2,4-ジオキソ-1,3-チアゾリジン-5- ル)ベンジル]-N-(キノリン-3-カルボニル)アミ }安息香酸、
(II-67)N-[4-(2,4-ジオキソ-1,3-チアゾリジン-5-イ )ベンジル]-N-(2-ピフェニリル)ベンゼンスル ンアミド、
(II-68)3-{N-(ビフェニル4-イルメチル)-N-〔4-(2,4- オキソ-1,3-チアゾリジン-5-イル)ベンジル〕 ミノ}安息香酸、
(II-69)3-{N一(2-シクロヘキシルエチル)-N-〔4-(2,4 -ジオキソ-1,3-チアゾリジン-5-イル)ベンジル アミノ}安息香酸、
(II-70)3-{N-ブチルスルホニル-N-〔4-(2,4-ジオキ -1,3-チアゾリジン-5-イル)ベンジル〕アミノ} ンズアミド、
(II-71)5-{4-〔N-(3-モルホリノカルボニルフェニ )-N-(2-ナフタレンスルホニル)アミノメチル フェニル}-1,3-チアゾリジン-2,4-ジオン、
(II-72)5-{4-〔{2-(2-ナフチル)イミダゾール-1-イ }メチル〕フェニル}-1,3-チアゾリジン-2,4-ジ ン、
(II-73)5-{4-〔{2-(4-ビフェニリル)イミダゾール-1 -イル}メチル〕}フェニル1,3-チアゾリジン-2,4- ジオン、
(II-74)2-オキソ-N-フェニルN-[2’-(1H-テトラゾー ル-5-イル)ビフェニル4-イルメチル]バレルア ド、
(II-75)3-{N-(7-オキソオクタノイル)-N-〔2’-(1H- トラゾール-5-イル)ビフェニル4-イルメチル アミノ}安息香酸、
(II-76) 3-{N-〔4-(E)ーメトキシイミノ-4-(2-チエ ル)ブチリル〕-N-〔2’-(1H-テトラゾール-5-イ )ビフェニル4-イルメチル〕アミノ}安息香酸 、
(II-77)3-{N-〔4-(Z)メトキシイミノ-4-(2-チエニル) ブチリル〕-N-〔2’-(1H-テトラゾール-5-イル) フェニル4-イルメチル〕アミノ}安息香酸、
(II-78)3-{N-〔2-(3-ベンゾイルフェニル)プロピオ ニル〕-N-〔2’-(1H-テトラゾール-5-イル)ビフ ニル4-イルメチル〕アミノ}安息香酸、
および
(II-79)3-{N-(3-オキソ-1-シクロペンタンカルボニ ル)-N-〔2’-(1H-テトラゾール-5-イル)ビフェニ 4-イルメチル〕アミノ}安息香酸。

 上記フェニレン誘導体(II)のなかでも特に 好ましくは(II-1)、(II-6)、(II-7)、(II-8)、(II-9)、 (II-10)、(II-11)、(II-15)、(II-16)、(II-17)、(II-18)、 (II-19)、(II-20)、(II-21)、(II-22)、(II-23)、(II-24)、 (II-25)、(II-26)、(II-27)、(II-28)、(II-29)、(II-30)、 (II-32)、(II-33)、(II-36)、(II-42)、(II-63)、(II-68)に 掲げる化合物である。

 これらのフェニレン誘導体(II)、ならびに その薬理上許容される塩及びその薬理上許容 されるエステルは、例えば、国際公開公報WO2 007/026962パンフレットに記載される方法に従 て公知化合物を出発原料として用いて製造 ることができる。なお、当該公開公報に記 されるフェニレン誘導体の製造方法は、そ まま本明細書の内容として援用される。

 なお、フェニレン誘導体(I)と同様、フェ レン誘導体(II)が塩基性基を有する場合には 、常法に従って酸付加塩にすることができる 。かかる塩としては、フェニレン誘導体(I)と 同様のものを挙げることができる。好適には ハロゲン化水素酸の塩である。また上記フェ ニレン誘導体(II)がカルボキシル基を有する 合には、フェニレン誘導体(I)と同様、常法 従って金属塩にすることができる。そのよ な塩としては、フェニレン誘導体(I)と同様 ものを挙げることができる。好適にはアル リ金属塩である。

 本発明のフェニレン誘導体(II)は、常法に 従って薬理上許容されるエステルにすること ができる。そのようなエステルとしては、医 学的に使用され、薬理上受け入れられるもの であれば特に限定はない。好適なエステル残 基の具体例としては、例えばメチル、エチル 、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブ チル、t-ブチル、ベンジル、アセトキシメチ 、1-(アセトキシ)エチル、プロピオニルオキ シメチル、1-(プロピオニルオキシ)エチル、 チリルオキシメチル、1-(ブチリルオキシ)エ ル、イソブチリルオキシメチル、1-(イソブ リルオキシ)エチル、バレリルオキシメチル 、1-(バレリルオキシ)エチル、イソバレリル キシメチル、1-(イソバレリルオキシ)エチル ピバロイルオキシメチル、1-(ピバロイルオ シ)エチル、メトキシカルボニルオキシメチ ル、1-(メトキシカルボニルオキシ)エチル、 トキシカルボニルオキシメチル、1-(エトキ カルボニルオキシ)エチル、プロポキシカル ニルオキシメチル、1-(プロポキシカルボニ オキシ)エチル、イソプロポキシカルボニル オキシメチル、1-(イソプロポキシカノレボニ ルオキシ)エチル、ブトキシカルボニルオキ メチル、1-(ブトキシカルボニルオキシ)エチ 、イソブトキシカルボニルオキシメチル、1 -(イソブトキシカルボニルオキシ)エチル、t- トキシカルボニルオキシメチル、1-(t-ブト シカルボニルオキシ)エチル、シクロペンタ カルボニルオキシメチル、1-(シクロペンタ カルボニルオキシ)エチル、シクロヘキサン カルボニルオキシメチル、1-(シクロヘキサン カルボニルオキシ)エチル、シクロペンチル キシカルボニルオキシメチル、1-(シクロペ チルオキシカルボニルオキシ)エチル、シク ヘキシルオキシカルボニルオキシメチル、1 -(シクロヘキシルオキシカルボニルオキシ)エ チル、ベンゾイルオキシメチル、1-(ベンゾイ ルオキシ)エチル、フェノキシカルボニルオ シメチル、1-(フェノキシカルボニルオキシ) チル、(5-メチル-2-オキソ-1,3-ジオキソレン-4 -イル)メチル、2-トリメチルシリルエチル又 フタリジルであり、更に好適には(5-メチル-2 -オキソ-1,3-ジオキソレン-4-イル)メチル、ピ ロイルオキシメチル又は1-(イソプロボキシ ルボニルオキシ)エチルである。

 なお、一般式(II)で表されるフェニレン誘 導体、その塩又はエステルが溶媒和物(例え 水和物)を形成する場合には、これらの溶媒 物もすべて本発明に含まれる。更に、生体 において代謝されて上記で表されるフェニ ン誘導体(II)、その塩又はエステルに変換さ れる化合物(例えばアミド誘導体のような、 わゆるプロドラッグ)もすべて本発明に含ま る。

 以上の化合物(1)および(2)、ならびにフェ レン誘導体(I)および(II)は、いずれも必要に 応じて、アミノグアニジン、ピリドキサミン 誘導体、OPB-9195、ビグアナイド化合物、架橋 成阻害薬、アマドリ化合物を分解する酵素 GSH、システイン、アセチルシステイン、ビ ミンE、ユビキノール、アルドース還元酵素 阻害薬、カルボニル化合物トラップ剤など、 公知の薬物と共に使用されてもよく、これに よりAGEs生成抑制作用の持続性を高めること できる。

 本発明のカルボニル消去剤ならびにAGEs生 成抑制剤は、種々の形態で投与される。その 投与形態としては特に限定はなく、各種製剤 形態、患者の年齢、性別その他の条件、疾患 の程度等に応じて決定される。例えば錠剤、 丸剤、散剤、顆粒剤、シロップ剤、液剤、懸 濁剤、乳剤及びカプセル剤の場合には経口投 与される。また、注射剤の場合には単独であ るいはぶどう糖、アミノ酸等の通常の補液と 混合して静脈内投与され、更には必要に応じ て単独で筋肉内、皮内、皮下もしくは腹腔内 投与される。坐剤の場合には直腸内投与され る。好適には経口投与である。

 これらの各種製剤は、常法に従って主薬 賦形剤、結合剤、崩壊剤、潤沢剤、溶解剤 矯味矯臭、コーティング剤等の医薬製剤分 において通常使用しうる既知の補助剤を用 て製剤化することができる。

 錠剤の形態に成形するに際しては、担体 してこの分野で従来公知のものを広く使用 き、例えば乳糖、白糖、塩化ナトリウム、 どう糖、尿素、澱粉、炭酸カルシウム、カ リン、結晶セルロース、ケイ酸等の賦形剤 水、エタノール、プロパノール、ぶどう糖 、澱粉液、ゼラチン溶液、カルボキシメチ セルロース、セラック、メチルセルロース リン酸カリウム、ボリビニルピロリドン等 結合剤、乾燥澱粉、アルギン酸ナトリウム カンテン末、ラミナラン末、炭酸水素ナト ウム、炭酸カルシウム、ボリオキシエチレ ソルビタン脂肪酸エステル類、ラウリル硫 ナトリウム、ステアリン酸モノグリセリド 澱粉、乳糖等の崩壊剤、白糖、ステアリン 、カカオバター、水素添加油等の崩壊抑制 、第4級アンモニウム塩基、ラウリル硫酸ナ トリウム等の吸収促進剤、グリセリン、澱粉 等の保湿剤、澱粉、乳糖、カオリン、ベント ナイト、コロイド状ケイ酸等の吸着剤、精製 タルク、ステアリン酸塩、棚酸末、ボリエチ レングリコール等の滑沢剤等が例示できる。 更に錠剤は必要に応じ通常の剤皮を施した錠 剤、例えば糖衣錠、ゼラチン被包錠、腸溶被 錠、フィルムコーティング錠あるいは二重錠 、多層錠とすることができる。

  丸剤の形態に成形するに際しては、担 としてこの分野で従来公知のものを広く使 でき、例えばぶどう糖、乳糖、澱粉、カカ 脂、硬化植物油、カオリン、タルク等の賦 剤、アラビアゴム末、トラガント末、ゼラ ン、エタノール等の結合剤、ラミナランカ テン等の崩壊剤等が例示できる。

 坐剤の形態に成形するに際しては、担体 してこの分野で従来公知のものを広く使用 き、例えばボリエチレングリコール、カカ 脂、高級アルコール、高級アルコールのエ テル類、ゼラチン、半合成グリセライド等 挙げることができる。

 注射剤として調製される場合には、液剤 び懸濁剤は殺菌され、且つ血液と等張であ ものが好ましく、これら液剤、乳剤及び懸 剤の形態に成形するに際しては、希釈剤と てこの分野において慣用されているものを べて使用できる。 希釈剤としては、例え 水、エチルアルコール、プロピレングリコ ル、エトキシ化イソステアリルアルコール ポリオキシ化イソステアリルアルコール、 リオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステ 類等を挙げることができる。なお、この場 、等張性の溶液を調製するに十分な量の食 、ぶどう糖、あるいはグリセリンを医薬製 中に含有せしめてもよく、また通常の溶解 助剤、緩衝剤、無痛化剤等を添加してもよ 。

 更に必要に応じて着色剤、保存剤、香料 風味剤、甘味剤等や他の医薬品を含有せし てもよい。

 上記医薬製剤中に含まれる有効成分であ 上記化合物の量は、特に限定されず広範囲 適宜選択されるが、通常全組成物中1~70重量 部、好ましくは1~30重量部含まれる量とする が適当である。その投与量は、症状、年令 体重、投与方法及び剤型等によって異なる 、通常は成人に対して1日当たり、下限とし 0.01mg (好ましくは0.1mg、更に好ましくは1mg) 上限として2,000mg(好ましくは1,000mg、更に好 しくは200mg)を1回ないし数回に分けて投与す ることができる。

 かかる医薬製剤は、統合失調症の治療ま は改善を目的として、統合失調症と判断さ た患者に対して有効量投与して用いられる 従って、本発明の医薬製剤には、統合失調 の治療または改善に使用する場合の用法を 載した仕様書または説明書が添付されてい もよい。

  IV.統合失調症の治療または改善方 法
 本発明の統合失調症の治療または改善方法 、前述するカルボニル消去剤またはAGEs生成 抑制剤を有効成分とする統合失調症の治療ま たは改善剤を有効量、統合失調症と判断され る患者に投与することによって実施される。

 当該カルボニル消去剤またはAGEs生成抑制 剤は、統合失調症患者におけるカルボニルス トレスを除去し、統合失調症を改善または治 療するための有効な量を、薬学的に許容され る担体もしくはその他の添加剤ととともに、 医薬組成物の形態で使用することができる。 これら医薬組成物の投与対象者(被験者)、投 形態、投与経路、投与方法並びに当該医薬 成物の投与用量(有効成分の投与量)は前述 る通りである。

  V.統合失調症の治療または改善剤 スクリーニング方法
 本発明は、統合失調症を治療改善または発 を予防するために有用な医薬品や食品を開 するために有効な方法、具体的には統合失 症を治療改善または発症を予防するために 効な候補物質を選別するための方法(スクリ ーニング方法)を提供する。

 当該方法は、被験物質の中から、カルボ ル消去作用またはカルボニル蛋白修飾物生 抑制作用(AGEs生成抑制作用)を有する物質を 択することによって実施することができる 好ましくは、被験物質の中から、AGEs生成抑 制作用を指標として、当該作用を有する物質 を選別することによって実施することができ る。

 当該方法で用いられる被験物質は特に制 されない。例えば、天然化合物、有機化合 、無機化合物、タンパク質及びペプチド等 単一化合物;並びに化合物ライブラリー、遺 伝子ライブラリーの発現産物、細胞抽出物、 細胞培養上清、発酵微生物産生物、海洋生物 抽出物、植物抽出物等の組成物を例示するこ とができる。

 AGEs生成抑制作用の有無は、下記(i)の試験に より確認することができる:
(i)代表的なAGEsであるペントシジンを指標と て、非糖尿病の腎不全透析患者から血漿を 取し、被験物質を添加し、一定時間後のペ トシジン生成量を測定する。

 詳細な方法は、実験例1の記載を参考にす ることができる。この場合、被験物質のAGEs 成抑制作用は、被験物質に代えて陽性対照 してピリドキサミンを用いて測定したペン シジン生成量と対比することによって評価 ることができる。具体的には、陽性対照で るピリドキサミンのペントシジンの生成量 比較して、ペントシジンの生成量が同等ま は少ない被験物質はAGEs生成抑制作用がある 判断することができる。

 また、AGEs生成抑制作用の有無は、、下記(ii )の試験によっても確認することができる:
 (ii)フェニルアラニン-ラジカル反応系にお る被験物質のラジカル捕捉能を測定する。

 この方法は、過酸化水素と硫酸銅の反応 よって生じるヒドロキシラジカルが、フェ ルアラニンをヒドロキシル化してo-チロシ またはm-チロシンを生成することを利用した ものである。具体的には、当該方法は、過酸 化水素、硫酸銅およびフェニルアラニンを含 有する反応系に被験物質を添加した場合のo- ロシンまたはm-チロシンの生成量と、被験 質を添加しない場合のo-チロシンまたはm-チ シンの生成量とを対比することによって行 ことができ、被験物質を添加した場合にo- ロシンまたはm-チロシンの生成量の抑制が認 められれば、当該被験物質にはラジカル捕捉 能があり、AGEs生成抑制作用があると判断す ことができる。なお、具体的な測定方法を 記に示す。

  <ラジカル捕捉能の測定方法>
 最終濃度が、フェニルアラニン1mM、被験物 0.1mM、0.5mMおよび2.5mM、過酸化水素5mM、硫酸 0.1mMになるように200mMのリン酸緩衝液(pH7.4) 溶解(全量500μl)した調製液を、37℃で4時間イ ンキュベートして反応させる。反応終了後、 最終濃度が1mMになるようにDTPA(diethylene triamin e pentaacetic acid)および260 unitのカタラーゼを 加えて反応を停止させる。次いで、下記条件 のHPLCを用いてo-チロシンおよびm-チロシンの 成量を測定する。

  HPLC条件
カラム:C18逆相カラム(4.6×250mm、5μm:野村化学( 株)製)
移動相:バッファーA:0.10%トリフルオロ酢酸、
    バッファーB:0.08%トリフルオロ酢酸を含 む80%アセトニトリル
    グラジェント:25分間で、バファーB濃度 を6.5%から10%に上昇
流速: 0.6ml/分
検出:蛍光検出器(RF-10A、島津製作所)を用いて 励起波長275nm、蛍光波長305nmで検出。

 また候補物質はビタミンB 6 欠乏症を惹起しないことが好ましい。ゆえに 被験物質について、さらにビタミンB 6 欠乏症を惹起しないか否かを、下記(a)または (b)の試験により確認することが好ましい。

 (a)ビタミンB 6 溶液に被験物質を加え、一定時間後のビタミ ンB 6 残存量を測定する。

 (b)正常ラットに被験物質を投与し、一定期 後のビタミンB 6 欠乏症発症の有無を確認する。

 以上の方法(候補物質の選択)で選択され 候補物質は、必要に応じてさらに他の薬理 験や臨床試験並びに毒性試験を経ることに って、よりヒトに対して有効で且つ安全な 合失調症の治療改善または発症予防剤の有 成分として取得することができる。

 斯くして得られる候補物質は、公知の方 によって処方並びに製剤化することによっ 統合失調症の治療改善または発症予防剤と て提供することができる。

 以下、本発明をより詳細に示すために実 例を示す。但し、当該実施例は本発明の一 であって、本発明はかかる実施例になんら 限されるものではない。

  実施例1  重篤な統合失調症患者の遺伝子および生化 的解析
 精神病棟に入院中の統合失調症患者(男性、 60歳、体重75.5kg)(以下、患者Aという)について 、glyoxalase I遺伝子解析ならびに、赤血球glyox alase活性、血清AGEs値、および血清ビタミンB6 測定した。なお、上記患者Aは、兄弟4人の ち2名は自殺、2名は本人も含め現在精神病棟 に入院中であり、重篤な家族性統合失調症患 者であると診断されている。

 <測定方法>
 (1) 赤血球glyoxalase活性の測定
 McLellanらの方法に従って測定した(McLellan AC,  Thornalley PJ : Glyoxalase activity in human red b lood cells fractioned by age. Mech Ageing Dev 48 : 63-71, 1989)。具体的には、破壊させた赤血球 、methylglyoxal と glutathione から生成される hemi-thioacetal 溶液中に添加し、形成されるS-D -lactoylglutathion 量を分光光度計 を用いて、 収波長 240 nm で測定した。得られた測定値 から、モル吸光係数△ε 240  = 2.86 Mm  -1 cm  -1  に基づいてS-D-lactoylglutathion濃度を算出し、uni t 換算した。なお、1 unit は 赤血球10 6 が1分当たり、1μmol のS-D-lactoylglutathionを形成 する量である。

 (2) 血清AGEs値の測定
 AGEs値としてペントシジンを指標とした。ペ ントシジンの測定は、採取した血清を窒素下 、6N HCl中、110℃で16時間加水分解した後、既 知濃度の合成ペントシジンを標準品として用 いて、逆相高速液体クロマトグラフィー(HPLC) により、励起-吸収波長(335/385nm)で定量分析し た。

 (3) 血清ビタミンB 6 量の測定
 血清ビタミンB 6 量として、血清中のPyridoxamine 値、Pyridoxine値 、およびPyridoxal値を測定した。なお、測定は 委託検査会社(株式会社 SRL)に依頼し、逆相 速液体クロマトグラフィー(HPLC)により定量 析した。

 <測定結果>
(1) 赤血球glyoxalase活性(図4)
 10%ヘマトクリットの赤血球数を0.6 x 10 9  / mlとして計算したところ、患者Aの赤血球G lyoxalaseI活性は2.9 mUnit/10  6  RBCと、健常者(n=5)の赤血球GlyoxalaseI活性(6.1 ±  0.7 mUnit/10  6  RBC)より低値であった(図4)。

 (2) glyoxalase I遺伝子解析結果(図5)
 患者Aのglyoxalase I遺伝子解析結果を図5に示 。健常者のglyoxalase I遺伝子との対比からわ かるように、患者Aのglyoxalase I遺伝子は、80 にA(アデニン)が一つ挿入しており(点突然変 )、その結果フレームシフトが生じ、正常な glyoxalase Iが発現していないことが判明した このことから、上記患者Aの(1)赤血球glyoxalase 活性の低下は、glyoxalase I遺伝子異常(点突然 異によるフレームシフト)に起因しているこ とがわかった。

 (3) 血清AGEs値の測定(図6)
 血清AGEs値(ペントシジン量)を健常者と対比 た結果を図6に示す。この結果からわかるよ うに、患者Aの血清AGEs値0.368nmol/mlと、健常者( n=5)の血清AGEs値0.128 ± 0.04 nmol/mlより有意に かった。タンパク質1mg当たりのペントシジ 量に換算すると、患者Aの値は5 pmol/mg proten と、健常者の1.7 ± 0.4 pmol/mg protenよりも、3 倍高値であることが判明した。

 なお、この患者A(60歳、体重75.5kg、クレア チニン1.05 mg/dl)のestimated glomerular filtration r ate (eGFR)は、MDRD法で76.7 ml/min、estimated creatin in clearance (eCcr) はCockcroft-Gault法で79.9 ml/min あり、若干の腎臓機能低下が認められた。 かし、この程度の腎臓機能低下によって、 記のようなAGEs(ペントシジン)の増加は生じ ないことから、統合失調症ではAGEs(ペント ジン)を上昇させる、糖尿病や腎不全以外の 子が存在すると考えられた。前記のGlyoxalase  I欠損を考え合わせると、統合失調症患者に おける血清AGEsの高値は、Glyoxalase I活性低下 よってAGE 前駆体の解毒異常に起因すると えられる。

 (4) 血清ビタミンB 6
 血清ビタミンB 6 のうち、Pyridoxamine値と Pyridoxine 値は健常者 同様に検出限界以下であった(Pyridoxamineの検 出限界は0.2 ng/ml 、Pyridoxine の検出限界は3.0  ng/ml)。一方、Pyridoxal値は2.8 ng/ml で、健常 (14.8 ± 0.3ng/ml, n = 2)より有意に低値だっ 。ちなみに、男性の基準値は6.0~40.0ng/mlであ る。Pyridoxalには血中のカルボニルを消去する 作用がある。そこで、統合失調症の患者は、 カルボニルを消去する必要のため、体内でPyr idoxalが消費され、その結果血清中のPyridoxal( タミンB 6 )量が低下していると考えられた。

 以上のことから、統合失調症の病態には、G lyoxalase I欠損に基づくカルボニルストレスが 関係していると考えられた。すなわち、統合 失調症患者では、Glyoxalase I遺伝子異常によ てglyoxalase I活性が低下しており、これがカ ボニルストレスを増し(AGEsの増加)、これに りビタミンB 6 が枯渇して、統合失調症の病態が悪化してい ると考えられる。従って、glyoxalase I活性の 下、カルボニルストレスの亢進(AGEsの増加) およびビタミンB 6 の低下は、統合失調症の診断の指標となり得 る。また、AGEs阻害剤(AGEs生成抑制剤)、なら にビタミンB 6 やエダラボンなどのカルボニル消去剤は、統 合失調症の治療剤または病態改善剤として有 効であると考えられる。

  実施例2   皮膚中のAGEs含量の測定
 健常者(女性12名、男性12名、計24名;平均年 48.88+3.17歳)と統合失調症患者(女性12名、男性 12名、計24名;;平均年齢48.38+2.23歳)を対象とし 、AGE-Reader(Diagn Optics: The Netherlands社製)を いて皮膚中のAGEs含量を測定した。

 健常者と統合失調症患者とで皮膚中のAGEs 含量を対比した結果を図7に示す。この結果 ら、統合失調症患者では、健常者に比して 膚中のAGEs含量が有意に増加していることが かる。健常者と統合失調症患者とで年齢別 皮膚中のAGEs含量を対比した結果を図8のAとB に示す。この結果から、健常者では年齢とAGE s含量との間に強い正の相関が見られたが、 合失調症患者ではそれが認められなかった( 8A)。しかし、図8Bに示すように、50歳以下で は勿論、50歳より高年齢でも、統合失調症患 の皮膚中AGEs含量は、健常者より高い傾向に あった。 

 このことから、実施例1で示したように統 合失調症患者は、健常者に比してAGEs含量が く、その傾向は皮膚中のAGEs含量を測定するA GE-Readerによっても評価することができること が示された。

  実施例3  統合失調症患者のglyoxalase I遺伝子解析
(1)統合失調症患者(700名)および健常者(600名) 対象として、glyoxalase I(GLO-I)遺伝子の解析を 行った。

 なお、GLO-I遺伝子におけるフレームシフ 変異(GLO-I遺伝子のコード領域の塩基配列(配 番号1)の79位と80位の間への一塩基挿入)は、 Blend Taq (TOYOBO Cat#BTQ-101S)を用いて、PCRプラ マー F: 5’- GAGTTTGCCTCCTTTATGCG - 3’(配列番 8)およびR: 5’- AACAGATCCCCTCCACACTT - 3’(配列 番号9)により、(i)94℃、2分間を1サイクル、(ii )94℃、30秒―62.5℃、20秒―72℃、30秒のサイク ルを40サイクル、(iii)72℃、2分間を1サイクル 条件でPCRを行う、PCR-direct sequence法によっ 同定した。また、GLO-Iの111番目のアミノ酸の 変異(Glu→Ala)をもたらす塩基置換異常(GLO-I遺 子のコード領域の塩基配列(配列番号1)の332 のアラニンからシトシンへの変異)は、Blend Taq (TOYOBO Cat#BTQ-101S)を用いて、F: 5’- TCAGAG TGTGTGATTTCGTG - 3’(配列番号10)および R: 5’- CATGGTGAGATGGTAAGTGT - 3’(配列番号11)により、(i )94℃、2分間を1サイクル、(ii)94℃、30秒―62.5 、20秒―72℃、30秒のサイクルを40サイクル (iii)72℃、2分間を1サイクルの条件でPCRを行 、PCR-direct sequence法によって同定した。

 その結果、GLO-Iのアミノ酸配列(配列番号2 )111番目のGluがAlaに置換するSNPを中心に、有 な差が認められた。Ala/Alaのホモ接合体は、 合失調症患者(700名)中で4例検出されたが、 常者(600名)中には全く認められなかった。

 (2)4名のAla/Alaホモ接合体の統合失調症患者 うち、3名について、実施例1(1)の方法に従っ て赤血球glyoxalase活性を測定した。なお、当 3名は下記の病歴および病態を有している
(a)患者B(入院患者):女性、年齢50歳、CREAT0.57、 41歳発症
 現在は、幻覚妄想は消失しているが、陰性 状(意欲低下、感情平板化)が目立つ。
(b)患者C(入院患者):男性、年齢66歳、CREAT0.86、 15歳発症
 陰性症状がひどく、殆ど自発言語がない。 いかけには首を縦横に振るだけである。
(c)患者D(外来通院):男性、年齢50歳、CREAT0.72、 19歳発症
 「隣人の嫌がらせ」という妄想があり、転 を繰り返している。

 また、同様にして、Glu/Alaヘテロ接合体お よびGlu/Gluヘテロ接合体の統合失調症患者お び健常者の赤血球glyoxalase活性を測定した。 果を図9に示す。この結果からわかるように 、Ala/Alaホモ接合体の統合失調症患者は、有 に赤血球glyoxalase活性が低下していた。また GLO-Iのアミノ酸配列(配列番号2)の111位がAla ある変異GLO-IとGFPとのコンストラクト(pAcGFP-G LO1-Ala)、および当該111位がGluの正常GLO-IとGFP のコンストラクト(pAcGFP-GLO1-Glu)をそれぞれ定 法に従ってCOS細胞に発現させて、GLO-I活性を 定したところ、変異GLO-IのGLO-I活性は、正常 GLO-Iに比して有意に低下していることが確認 れた(図10)。

 (3)Ala/Alaのホモ接合体の統合失調症患者(4 )および実施例1の統合失調症患者A(GLO-I遺伝 の一つのアレル(GLO-I遺伝子のコード領域の 基配列の79位と80位の間)が点突然変異によ フレームシフトによってGLO-I欠損)について GLO-IのmRNAの発現量を測定した結果を図11に示 す。この結果からわかるように、フレームシ フト型の患者AはGLO-IのmRNAの発現量が50%低下 ていた。またAla/Alaホモ接合体の統合失調症 者も、GLO-IのmRNAの発現量が20%低下していた このことから、50%まで低下しないまでも、G LO-ImRNAの発現量(GLO-I活性)の20%の低下は、統合 失調症のリスクになる可能性が示唆された。

  実施例4  統合失調症患者のglyoxalase I遺伝子解析およ び生化学的解析(まとめ)
 統合失調症患者をタイプ毎(フレームシフト 型[n=2]、Ala/Alaホモ接合型[n=5]、Glu/Alaヘテロ接 合型[n=1])にわけ、各患者についてGlyoxalase I 性(mUnit/10 6 RBC)、ペントシジン活性(pmol/mg protein)、血中 タミンB 6 含量(ng/ml)(ピリドキサール、ピリドキサミン ピリドキシン)、血中ビタミンB12含量(pg/ml) 血中葉酸含量(ng/ml)、血中ホモシステイン含 (nmol/ml)、クレアチニン量(mg/dl)、およびeGFR(m l/min/1.73m 2 )を測定した。各活性および含有量の測定は 実施例1および定法に従って行った。また、 較対照のため、統合失調症に罹患していな 健常者(Glu/Gluホモ接合型)[n=7]についても、 様に測定した。

 結果を、各人の糖尿病の有無を含めて図1 2に示す。

 この結果から、統合失調症患者はどのタ プでも、GLO-I活性は低く、ペントシジン値(A GEs値)は健常者に比して高い傾向にあった。 ずれの患者もクレアチンおよびeGFRは正常で 糖尿病もないので、かかる高いペントシジ 値は、腎機能低下や高血糖では説明できず GLO-I活性の低下に基づくと考えられる。特 、ペントシジン値が高いMZ-65患者は陰性症状 がひどく、殆ど自発言語のない重篤な統合失 調症患者である。

 統合失調症患者のなかでも特にフレームシ ト型の患者は、健常者に比して、GLO-I活性 低く、ペントシジン値(AGEs値)が高く、ピリ キサール量が低く、且つホモシステイン含 が高い傾向が顕著に認められた。このこと ら、特にこのタイプの統合失調症患者の病 として、GLO-Iの低下が考えられた。すなわち 、上記の解析結果はすべて体内のGLO-Iの低下 起因するものであり、体内のGLO-Iの低下に って、カルボニルが高値となり、その結果 体内のAGEs値(ペントシジン含量)が高くなり それを消去するためのビタミンB 6 (ピリドキサール)量が低下していると考えら た。また、ホモシステインの形成にはビタ ンB 6 が重要であることから、ホモシステイン高値 もビタミンB 6 低下が反映しているものと考えられる。ゆえ にこれらの生化学的な値を指標とすることに より、簡便に統合失調症を診断することが可 能になる。

  試験例1  エダラボン類縁体のAGEs生成抑制効果
(1)1-(5-ヒドロキシ-3-メチル-1-フェニル-1H-ピラ ゾール-4-イル)-6-メチル-1,3-ジヒドロ-フロ[3,4- c]ピリジン-7-オール(以下、「TM-2002」という )について、代表的なAGEsであるペントシジン の生成抑制効果を調べた。

 血液透析患者の透析前の血漿を同意の下 透析前に採取し、濾過滅菌した。血漿(450μL )にTM-2002のジメチルスルホキシド溶液(50μL)を 加え(最終濃度:0.8、2.0、5.0mM)、37℃で1週間イ キュベートし、ペントシジンの生成量を測 した。

 ペントシジンの測定は、以下のようにし 行った。インキュベーション後の各試料(50 L)に、等容積の10%トリクロロ酢酸を加えた後 、5000gで5分間遠心分離した。上清を除去後、 ペレットを5%トリクロロ酢酸(300μL)で洗浄し 。ペレットを減圧下乾燥後、窒素雰囲気下 6N HCl溶液(100μL)中にて、110℃で16時間加水分 解を行った。次いで酸加水分解物に5N NaOH(100 μL)および0.5Mリン酸緩衝液(pH7.4)(200μL)を添加 た後、0.5μm孔のポアフィルタを通して濾過 、PBSで希釈した。遊離したペントシジンの 度は、蛍光検出器(RF-10A、島津製作所)を用 た逆相HPLCを用いて測定した(Miyata,T. et al. ;  Proc. Natl. Acad. Sci. USA, Vol.93, p.2353-2358, 19 96)。流出液を335/385nmの励起/発光波長でモニ ーした。合成ペントシジンを標準物質とし 使用した。ペントシジンの検出限界は、0.1pm ol/mgタンパク質であった。

 抑制効果は、化合物TM-2002と同様にして反 応させた陽性対照(ピリドキサミン(シグマ)) 比較することにより評価した。なお、アミ グアニジン、オルメサルタン、エダラボン ついても、同様に抑制効果を調べた。結果( ントシジン量nmol/ml)を、図13(図中、対照と るのは、溶媒のみを使用した陰性対照を意 する。以下、同じ。)に示す。この結果から TM-2002が陽性対照のピリドキサミンに比較し て有意にペントシジンの生成を抑制すること が理解される。

 (2)患者血漿に代え、BSAとアラビノースと もにインキュベートする以外は、上記(1)と 様にして、他のエダラボン類縁体(化合物(1) または(2))のペントシジン生成抑制活性を調 た。結果は、下記表に示すとおりであった なお、「-」は、試験を行わなかったことを す。

 この結果からわかるように、被験化合物( 1)~(78)はいずれもペントシジン産生抑制作用 示した。

  試験例2  フェニレン誘導体(I)のAGEs生成抑制効果
 本発明において一般式(I)で示すフェニレン 導体に属する下記の被験化合物について、A GEs生成抑制作用を調べた。
(1)3-[N-[[4-[2-(1H-テトラゾール-5-イル)フェニル] フェニル]メチル]-N-ペンタノイルアミノ]安息 香酸、
(2)3-[N-[[4-[2-(1H-テトラゾール-5-イル)フェニル] フェニル]メチル]-N-アセチルアミノ]安息香酸 、
(3)3-[N-[[4-[2-(1H-テトラゾール-5-イル)フェニル] フェニル]メチル]-N-プロパノイルアミノ]安息 香酸、
(4)3-[N-[[4-[2-(1H-テトラゾール-5-イル)フェニル] フェニル]メチル]-N-ブタノイルアミノ]安息香 酸、
(5)3-[N-[[4-[2-(1H-テトラゾール-5-イル)フェニル] フェニル]メチル]-N-オクタノイルアミノ]安息 香酸、
(6)3-[N-[[4-[2-(1H-テトラゾール-5-イル)フェニル] フェニル]メチル]-N-ペンタノイルアミノ]安息 香酸(5-メチル-2-オキソ-1,3-ジオキソレン-4-イ )メチル、
(7)3-[N-[[4-(1H-テトラゾール-5-イル)フェニル]メ チル]-N-ペンタノイルアミノ]安息香酸、
(8)2-[N-[[4-[2-(1H-テトラゾール-5-イル)フェニル] フェニル]メチル]-N-ペンタノイルアミノ]安息 香酸、
(9)4-[N-[[4-[2-(1H-テトラゾール-5-イル)フェニル] フェニルル]メチル]-N-ペンタノイルアミノ]安 息香酸、
(10)2-オキソ-3-プロピル-1-[[4-[2-(1H-テトラゾー -5-イル)フェニル]フェニル]メチル]-1,3,4-ト ヒドロキノリン-7-カルボン酸、
(11)2-オキソ-3-プロピル1-[[4-[2-(1H-テトラゾー -5-イル)フェニル]フェニル]メチル]-1,3,4-トリ ヒドロキノリン-6-カルボン酸、
(12)2-オキソ-3-プロピル-1-[[4-[2-(1H-テトラゾー -5-イル)フェニル]フェニル]メチル]-1,3,4-ト ヒドロキノリン-7-カルボン酸(5-メチル-2-オ ソ-1,3-ジオキソレン-4-イル)メチル、
(13)1-[[4-[2-(1H-テトラゾール-5-イル)フェニル] ェニル]メチル]-1,3,4-トリヒドロキノリン-2- ン、
(14)3-オキソ-2-プロピル-4-[[4-[2-(1H-テトラゾー -5-イル)フェニル]フェニル]メチル]-2H-ベン [e]1,4-オキサジン-6-カルボン酸、
(15)3-オキソ-2-プロピル-4-[4-[4-(1H-テトラゾー -5-イル)フェニル]メチル]2-H-ベンゾ[e]1,4-オキ サジン-6-カルボン酸、
(16)3-オキソ-2-プロピル-4-[[4-[2-(1H-テトラゾー -5-イル)フェニル]フェニル]メチル]-2H-ベン [e]1,4-チアジン-6-カルボン酸 (17)3-オキソ-2- ロピル-4-[[4-(1H-テトラゾール-5-イル)フェニ ]メチル]2-H-ベンゾ[e]1,4-チアジン-6-カルボン 、
(18)5-[4-[(2-エチル-5,7-ジメチルイミダゾ[4,5-b] リジン-3-イル)メチル]フェニル]-1,3-チアゾリ ジン-2,4-ジオン、
(19)5-[4-[(5,7-ジメチル-2-プロピルイミダゾ[4,5-b ]ピリジン-3-イル)メチル]フェニル]-1,3-チアゾ リジン-2,4-ジオン、
(20)3-[N-[4-(2,4-ジオキソチアゾリジン-5-イル)ベ ンジル]-N-ペンタノイルアミノ]安息香酸。

 蛋白質(インフォームド・コンセントが得 られた腎不全患者血清)450μlに、被験化合物 ジメチルスルホキシド溶液50μl を加え(最終 濃度5mM)、得られた混合物を37℃で1週間イン ュベーションした。次いで、生成するAGEsの つであるペントシジンの量を、以下のよう して測定した。

 まず蛋白質中に生成したペントシジンを 離させるため、反応後の試料50μlに10%トリ ロロ酢酸50μ1を加え、遠心して蛋白質を沈殿 させて回収した。回収した蛋白質を300μ1の5% リクロロ酢酸で洗浄し、乾燥させた後、6規 定塩酸を100μl添加し110℃で16時間加水分解を なった。蛍光検出器を用いたHPLC(ODS C18、4.6 ×250mm、335nm、385nm)を用い、0.1%トリフルオロ 酸添加蒸留水/0.08%トリフルオロ酢酸添加80% セトニトリルを移動相とするグラジェント (30分間、1.0ml/分)によりペントシジンの生成 (nmol/1)を測定した(Miyata, T et al.,:J.Am.Soc., N ephro1., 7, 1198-1206, 1996; Miyata,T., et al., Proc.  Natl. Acad. Sci.,USA,93 2353-2358,1996)。

 AGEs生成抑制効果を検討するため、コント ロールによるペントシジン産生量を100%とし 場合の、上述のペントシジン生成量の割合 ペントシジン産生率(%)として計算し、また の値からペントシジン産生抑制率(AGEs生成抑 制率)(%)を求めた。結果を表15に示す。この結 果からわかるように、被験化合物(1)~(20)はい れもペントシジン産生抑制作用を示した。

 ペントシジンはAGEs構造体のひとつであり 、本発明のフェニレン誘導体(I)はペントシジ ンの産生を抑制することから、AGEs生成抑制 果を有していることが分かった。このよう 本発明が提供するフェニレン誘導体(I)は、AG Es生成抑制作用を有しており、統合失調症の 療または改善に有効に利用できる。

  試験例3  フェニレン誘導体(II)のAGEs生成抑制効果
 本発明において一般式(II)で示すフェニレン 誘導体に属する下記の被験化合物について、 試験例1と同様に方法により、AGEs生成抑制作 を調べた。
(II-1)3-{N-(3-フェニルプロピオニル)-N-[2’-(1H- トラゾール-5-イル)ビフェニル4-イルメチル] ミノ}安息香酸、
(II-6)3-{N一ペンチル-N-〔4-(2,4-ジオキソ-1,3-チ ゾリジン-5-イル)ベンジル〕アミノ}安息香酸 、
(II-7)1-[4-(2,4-ジオキソ-1,3-チアゾリジン-5-イル )ベンジル]-2-メチル-1,2,3,4-テトラヒドロキノ ン-7-カルボン酸、
(II-8)5-[4-(N-メチルスルホニル-N-フェニルアミ メチル)フェニル]-1,3-チアゾリジン-2,4-ジオ 、
(II-9)5-[4-(N-ブチルスルホニル-N-フェニルアミ メチル)フェニル]-1,3-チアゾリジン-2,4-ジオ 、
(II-10) 3-{N-〔4-(2,4-ジオキソ-1,3-チアゾリジン- 5-イル)ベンジル〕-N-(メチルスルホニル)アミ }安息香酸、
(II-11)3-{N-ブチルスルホニル-N-〔4-(2,4-ジオキ -1,3-チアゾリジン-5-イル)ベンジル〕アミノ} 息香酸、
(II-15)5-{4-〔2-(2-ピリジル)ベンズイミダゾール -1-イルメチル〕フェニル}-1,3-チアゾリジン-2, 4-ジオン、
(II-16)5-[4-(2-フェニルイミダゾール-1-イルメチ ル)フェニル]-1,3-チアゾリジン-2,4-ジオン、
(II-17)1-[4-(2,4-ジオキソ-1,3-チアゾリジン-5-イ )ベンジル]-2-オキソ-3-プロピル-1,2-ジヒドロ ノリン-7-カルボン酸、
(II-18)3-{N-シクロヘキサンカルボニル-N-〔4-(2,4 -ジオキソ-1,3-チアゾリジン-5-イル)ベンジル アミノ}安息香酸、
(II-19)3-{N一〔4-(2,4-ジオキソ-1,3-チアゾリジン- 5-イル)ベンジル〕-N-(ピリジン-3-カルボニル) ミノ}安息香酸、
(II-20)3-{N-〔4-(2,4-ジオキソ-1,3-チアゾリジン-5- イル)ベンジル〕-N-(3-フェニルプロピオニル) ミノ}安息香酸、
(II-21)3-{N-(ビフェニル4-カルボニル)-N-〔4-(2,4- オキソ-1,3-チアゾリジン-5-イル)ベンジル〕 ミノ}安息香酸、
(II-22)3-{N-(フェニルスルホニル)-N-〔4-(2,4-ジオ キソ-1,3-チアゾリジン-5-イル)ベンジル〕アミ ノ}安息香酸、
(II-23)3-{N-(4-メチルフェニルスルホニル)-N-〔4- (2,4-ジオキソ-1,3-チアゾリジン-5-イル)ベンジ )アミノ)安息香酸、
(II-24)3-{N-(ビフェニル4-スルホニル)-N-〔4-(2,4- オキソ-1,3-チアゾリジン-5-イル)ベンジル〕 ミノ}安息香酸、
(II-25)3-{N-(2-ナフチルスルホール)-N-〔4-(2,4-ジ キソ-1,3-チアゾリジン-5-イル)ベンジル〕ア ノ}安息香酸、
(II-27)1-[4-(2,4-ジオキソ-1,3-チアゾリジン-5-イ )ベンジル]-2-オキソ-3-プロピル-2,3-1H-インド ル-6-カルボン酸、
(II-28)1-[4-(2,4-ジオキソ-1,3-チアゾリジン-5-イ )ベンジル]-2-オキソ-3-プロピル-2,3,4,5-テトラ ヒドロ-1H-ベンゾ[b]アゼピン-8-カルボン酸、
(II-29)3,3-ジメチル-1-[4-(2,4-ジオキソ-1,3-チアゾ リジン-5-イル)ベンジル]-2-オキソ-1,2,3,4-テト ヒドロキノリン-7-カルボン酸、
(II-30)1’-[4-(2,4-ジオキソ-1,3-チアゾリジン-5- ル)ベンジル]-2’-オキソ-1’,4’-ジヒドロ-2 H-スピロ[シクロプロパン-1,3’-キノリン]-7’ -カルボン酸、
(II-32)3-{N-フェネチルN-〔2’-(1H-テトラゾール- 5-イル)ビフェニル-4-イルメチル〕アミノ}安 香酸、
(II-33)3-{N-〔4-(2,4-ジオキソ-1,3-チアゾリジン-5- イル)ベンジル〕-N-〔(5-メチル-2-フェニル1,3- キサゾール-4-イル)アセチル〕アミノ}安息 酸、
(II-36)3-{N-(3-シクロヘキシルプロパノイル)-N- 2’-(1H-テトラゾール-5-イル)ビフェニル4-イ メチル〕アミノ}安息香酸、
(II-42)3-{N-(2-オキソ-2-フェニルエチル)-N-〔2’- (1H-テトラゾール-5-イル)ビフェニル4-イルメ ル〕アミノ}安息香酸、
(II-63)3-{N-〔4-(2,4-ジオキソ-1,3-チアゾリジン-5- イル)ベンジル〕-N-〔4-(2-メチルチアゾール-4- イル)ベンゼンスルホニル〕アミノ}安息香酸
(II-68)3-{N-(ビフェニル4-イルメチル)-N-〔4-(2,4- オキソ-1,3-チアゾリジン-5-イル)ベンジル〕 ミノ}安息香酸。

 結果を表16に示す。この結果からわかる うに、被験化合物はいずれもペントシジン 生抑制作用を示した。

 この結果から本発明のフェニレン誘導体( II)はペントシジンの産生を抑制することから 、AGEs生成抑制効果を有していることが分か た。このように本発明が提供するフェニレ 誘導体(II)は、AGEs生成抑制作用を有し、統合 失調症の治療または改善に有効に利用できる 。

  製剤例1  カプセル剤
*化合物(1)、化合物(2)、フェニレン誘導体(I) たは(II)。

 上記で示される各成分の粉末を良く混合し 60メッシュの篩い(メッシュの基準はTyler基 による)を通す。得られる粉末180mgをはかり け、ゼラチンカプセル(No.3)に充填し、カプ ル剤形態の統合失調症の治療または改善剤 調製する。
製剤例2  錠剤
*化合物(1)、化合物(2)、フェニレン誘導体(I) たは(II)。

 上記で示される各成分の粉末を良く混合し 各150mg重量の錠剤に圧縮成型する。必要な ば、これらの錠剤は糖またはフイルムで被 してもよい。かくして錠剤形態の統合失調 の治療または改善剤を調製する。
製剤例3  顆粒剤

*化合物(1)、化合物(2)、フェニレン誘導体(I) たは(II)。

 上記で示される各成分の粉末を良く混合 、純水で湿らし、バスケット式顆粒化機で 粒化し、乾燥して顆粒剤形態の統合失調症 治療または改善剤を調製する。

世界保健機構(WHO)の「国際疾病分類・ 10版」(ICD-10)による統合失調症の診断基準を す。 米国精神医学会(APA)の「診断・統計マ ュアル・第4版」(DSM-IV)による統合失調症の 断基準を示す。 統合失調症の治療に使用されている抗 神病薬を列記した図である。 重篤な統合失調症患者(n=1)と健常者(n=5) とで、赤血球glyoxalaseI活性を比較した結果を す図である(実施例1)。 重篤な統合失調症患者(患者A)のglyoxalase  I遺伝子解析結果を示す。図5AおよびB中、遺 伝子Mおよび遺伝子Xはいずれもglyoxalase I遺伝 子を意味する。また図Aにおいて症例2とは統 失調症患者(患者A)を意味する。 重篤な統合失調症患者(n=1)と健常者(n=5) とで、血清AGEs値(ペントシジン量)を比較した 結果を示す図である(実施例1)。 健常者(n=24、男性12名、女性12名、平均 齢48.88±3.17才)と統合失調症患者(n=24、男性12 名、女性12名、平均年齢48.38±2.23才)とで皮膚 のAGEs含量を対比した結果を示す図である( 施例2)。 健常者(n=24)と統合失調症患者(n=24)とで 年齢別(50歳以下、50歳より高齢)に皮膚中のA GEs含量を対比した結果を示す図である(実施 2)。 Ala/Alaホモ接合体の統合失調症患者、な らびにGlu/Alaヘテロ接合体およびGlu/Gluヘテロ 合体の統合失調症患者および健常者につい 、赤血球glyoxalase活性を測定した結果を示す 図である(実施例3)。 111位がAlaの変異GLO-IとGFPとのコンスト クト(pAcGFP-GLO1-Ala)および111位がGluの正常GLO-I とGFPとのコンストラクト(pAcGFP-GLO1-Glu)をそれ れCOS細胞に発現させてGLO-I活性を測定した 果を示す図である(実施例3)。 Ala/Alaホモ接合体の統合失調症患者(n=4) および重篤な統合失調症患者A(フレームシフ によるglyoxalase I欠損)について、glyoxalase I mRNAの発現量を測定した結果を示す図である 。 各タイプの統合失調症患者(フレームシフト [n=2]、Ala/Alaホモ接合型[n=5]、Glu/Alaヘテロ接 型[n=1])、ならびに健常者(Glu/Gluホモ接合型)[n =7]について、Glyoxalase I活性(mUnit/10 6 RBC)、ペントシジン活性(pmol/mg protein)、血中 タミンB 6 含量(ng/ml)(ピリドキサール、ピリドキサミン ピリドキシン)、血中ビタミンB12含量(pg/ml) 血中葉酸含量(ng/ml)、血中ホモシステイン含 (nmol/ml)、クレアチニン量(mg/dl)、およびeGFR(m l/min/1.73m 2 )を測定した結果をまとめたものである。 アミノグアニジン、ピリドキサミン、 オルメサルタン、エダラボンおよびTM2002につ いて、ペントシジン生成抑制作用を調べた結 果を示す(試験例1(2))。

配列番号4は、グリオキシラーゼI(GLO-I)遺伝子 の塩基配列(配列番号1)の201位〔コード領域の 塩基配列(配列番号2)の79位に相当〕のアデニ の上流1-200領域の塩基配列を示す。
配列番号5は、GLO-I遺伝子の塩基配列(配列番 1)の202位〔コード領域の塩基配列(配列番号2) の80位に相当〕のシトシンの下流203-502領域の 塩基配列を示す。
配列番号6は、GLO-I遺伝子の塩基配列(配列番 1)の454位〔コード領域の塩基配列(配列番号2) の332位に相当〕のアデニンの上流154-453領域 塩基配列を示す。
配列番号7は、GLO-I遺伝子の塩基配列(配列番 1)の454位〔コード領域の塩基配列(配列番号2) の332位に相当〕のアデニンの下流455-754領域 塩基配列を示す。
配列番号8は、GLO-I遺伝子のコード領域の塩基 配列(配列番号2)の79-80間の挿入変異を検出す ためのPCT-direct sequence に使用するフォワー ドプライマーの塩基配列を示す。
配列番号9は、GLO-I遺伝子のコード領域の塩基 配列(配列番号2)の79-80間の挿入変異を検出す ためのPCT-direct sequence に使用するリバース プライマーの塩基配列を示す。
配列番号10は、GLO-I遺伝子のコード領域の塩 配列(配列番号2)の332位の塩基置換変異を検 するためのPCT-direct sequence に使用するフォ ードプライマーの塩基配列を示す。
配列番号11は、GLO-I遺伝子のコード領域の塩 配列(配列番号2)の332位の塩基置換変異を検 するためのPCT-direct sequence に使用するリバ スプライマーの塩基配列を示す。