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Title:
DIELECTRIC RESONATOR, DIELECTRIC RESONATOR FILTER AND METHOD FOR CONTROLLING DIELECTRIC RESONATOR
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/038200
Kind Code:
A1
Abstract:
Provided is a dielectric resonator having simple constitution applicable to multiple mode with no electrical signal transmission loss. A method for controlling a resonance state (coupling mode) of the dielectric resonator is also provided. The dielectric resonator is provided with a cylindrical or polygonal external conductor, and a dielectric resonant element arranged at substantially the center of the external conductor. The resonance state of the dielectric resonator is controlled by forming a notched section at a part of the dielectric resonant element.

Inventors:
KASASHIMA TAKASHI
SUGIMOTO NORIYASU
Application Number:
PCT/JP2008/067041
Publication Date:
March 26, 2009
Filing Date:
September 19, 2008
Export Citation:
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Assignee:
NGK SPARK PLUG CO (JP)
KASASHIMA TAKASHI
SUGIMOTO NORIYASU
International Classes:
H01P1/20; H01P1/208; H01P7/10
Foreign References:
GB2367952A2002-04-17
JP2002033605A2002-01-31
US20030076200A12003-04-24
Other References:
D.BAILLARGEAT ET AL.: "Slotted Dielectric Resonators for Rigorous Design of a Four-Poles Dual Mode Filter", IEEE MICROWAVE AND GUIDED WAVE LETTERS, vol. 4, no. 10, 1994, pages 332 - 334
Attorney, Agent or Firm:
OGURI, Shohei et al. (7-13 Niahi-Shimbashi 1-chom, Minato-ku Tokyo 03, JP)
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Claims:
 円筒状又は多角形状の外部導体と、
 前記外部導体の略中心部に配置された誘電体共振素子と、
 電気信号入力部及び電気信号出力部と、
を具備し、
 前記誘電体共振素子は、該誘電体共振素子の一部が切削されたことを特徴とする誘電体共振器。
 円筒状又は多角形状の外部導体と、前記外部導体の略中心部に配置された誘電体共振素子とを具える誘電体共振器の制御方法であって、
 前記誘電体共振素子の一部を切削することにより、前記誘電体共振器の共振状態を制御することを特徴とする誘電体共振器の制御方法。
 前記誘電体共振素子は、減衰極を発生させるための切欠きを有することを特徴とする請求項1に記載の誘電体共振器。
 前記電気信号入力部及び前記電気信号出力部は、前記外部導体の側面に略90度の角度をなすように配置され、
 前記切欠きは、前記電気信号入力部から略45度及び略225度の少なくとも一方の位置に配置される、
ことを特徴とする請求項3に記載の誘電体共振器。
 前記誘電体共振素子が円状,楕円状,または多角形状の断面を有する柱状または板状であることを特徴とする請求項3または4に記載の誘電体共振器。
 前記切欠きは、前記誘電体共振素子の、前記電気信号入力部及び前記電気信号出力部と相対向しないようにして形成したことを特徴とする請求項3乃至5のいずれか1項に記載の誘電体共振器。
 前記切欠きは、前記誘電体共振素子を高さ方向に沿って垂直に研削して形成し、前記誘電体共振素子は、前記切欠きに起因した高さ方向の垂直な断面を有することを特徴とする請求項3乃至6のいずれか1項に記載の誘電体共振器。
 前記切欠きは、前記誘電体共振素子を高さ方向に沿って垂直に研削して形成し、前記誘電体共振素子は、前記切欠きに起因した高さ方向の垂直な断面の溝部を有することを特徴とする請求項3乃至6のいずれか1項に記載の誘電体共振器。
 前記切欠きは、前記誘電体共振素子をその端部を含むようにして斜め45度に研削して形成し、前記誘電体共振素子は、前記切欠きに起因した斜め45度の断面を有することを特徴とする請求項3乃至6のいずれか1項に記載の誘電体共振器。
 前記誘電体共振素子の一部に切欠きを形成することより、前記誘電体共振器の共振状態を制御し減衰極を発生させることを特徴とする請求項2に記載の誘電体共振器の制御方法。
 前記電気信号入力部及び前記電気信号出力部は、前記外部導体の側面に略90度の角度をなすように配置され、
 前記切欠きは、前記電気信号入力部から略45度及び略225度の少なくとも一方の位置に配置される、
ことを特徴とする請求項10に記載の誘電体共振器の制御方法。
 前記誘電体共振素子が円状,楕円状,または多角形状の断面を有する柱状または板状であることを特徴とする請求項10または11に記載の誘電体共振器の制御方法。
 前記切欠きは、前記誘電体共振素子の、前記電気信号入力部及び前記電気信号出力部と相対向しないようにして形成したことを特徴とする請求項10乃至12のいずれか1項に記載の誘電体共振器の制御方法。
 前記切欠きは、前記誘電体共振素子が、前記切欠きに起因した高さ方向の垂直な断面を有するように、前記誘電体共振素子を高さ方向に沿って垂直に研削して形成することを特徴とする請求項10乃至13のいずれか1項に記載の誘電体共振器の制御方法。
 前記切欠きは、前記誘電体共振素子が、前記切欠きに起因した高さ方向の垂直な断面の溝部を有するようにして、前記誘電体共振素子を高さ方向に沿って垂直に研削して形成することを特徴とする請求項10乃至13のいずれか1項に記載の誘電体共振器の制御方法。
 前記切欠きは、前記誘電体共振素子が、前記切欠きに起因した斜め45度の断面を有するようにして、前記誘電体共振素子をその端部を含むようにして斜め45度に研削して形成することを特徴とする請求項10乃至13のいずれか1項に記載の誘電体共振器の制御方法。
 前記誘電体共振素子の一部に、導入された複数の電気信号に対する結合係数がピークを示すような位置及び大きさで切欠きを形成したことを特徴とする請求項1に記載の誘電体共振器。
 前記誘電体共振素子が円状,楕円状,または多角形状の断面を有する柱状または板状であることを特徴とする請求項17に記載の誘電体共振器。
 前記切欠きは、前記誘電体共振素子を高さ方向に沿って垂直に研削して形成し、前記誘電体共振素子は、前記切欠きに起因した高さ方向の垂直な断面を有することを特徴とする請求項17または18に記載の誘電体共振器。
 前記切欠きは少なくとも2つの切欠きであって、この2つの切欠きは前記誘電体共振素子の相対する面において形成され、前記誘電体共振素子は、前記2つの切欠きに起因した高さ方向に垂直であって、互いに平行な2つの断面を有することを特徴とする請求項19に記載の誘電体共振器。
 前記誘電体共振素子の一部に、導入された複数の電気信号に対する結合係数がピークを示すような位置及び大きさで切欠きを形成することを特徴とする請求項2に記載の誘電体共振器の制御方法。
 前記誘電体共振素子が円状,楕円状,または多角形状の断面を有する柱状または板状であることを特徴とする請求項21に記載の誘電体共振器の制御方法。
 前記切欠きは、前記誘電体共振素子が、前記切欠きに起因した高さ方向の垂直な断面を有するようにして、前記誘電体共振素子を高さ方向に沿って垂直に研削して形成することを特徴とする請求項21または22に記載の誘電体共振器の制御方法。
 前記切欠きは少なくとも2つの切欠きであって、前記誘電体共振素子が、前記2つの切欠きに起因した高さ方向に垂直であって、互いに平行な2つの断面を有するように、前記誘電体共振素子の相対する面において形成することを特徴とする請求項23に記載の誘電体共振器の制御方法。
 請求項1に記載の誘電体共振器を備える誘電体共振器フィルタであって、
 前記外部導体は、空洞を有し,
 前記誘電体共振素子は、前記空洞内に配置され,第1の底面と,第1の軸と,を有する柱状または板状の第1の2重モード誘電体共振素子と,前記空洞内に配置され,前記第1の底面と対向する第2の底面と,第2の軸と,を有する柱状または板状の第2の2重モード誘電体共振素子と,を有し、
 前記第1の2重モード誘電体共振素子上に,前記第1の軸から見て第1の方向に配置される第1の切欠きが形成され,前記第2の2重モード誘電体共振素子上に,前記第2の軸から見て,前記第1の方向となす角度が略直角の整数倍となる,第2の方向に配置される第2の切欠きとが形成され,
 前記電気信号入力部は、前記第1の2重モード誘電体共振素子の側面に対向する端部を有し,
 前記電気信号出力部は、前記第2の2重モード誘電体共振素子の側面に対向する端部を有する,
ことを特徴とする誘電体共振器フィルタ。
 前記第1,第2の2重モード誘電体共振素子の少なくともいずれかの断面形状が円状,楕円形状,または多角形状であることを特徴とする請求項25に記載の誘電体共振器フィルタ。
 前記角度が略直角であることを特徴とする請求項25または26に記載の誘電体共振器フィルタ。
 前記第1,第2の2重モード誘電体共振素子の間に配置され,前記第1,第2の面とそれぞれ対向する第3,第4の底面を有する柱状の第3の2重モード誘電体共振素子と,
 前記第3の2重モード誘電体共振素子上に,前記第3の軸から見て,第3の方向に配置される第3の切欠きと,
 をさらに具備することを特徴とする請求項25に記載の誘電体共振器フィルタ。
 前記第1,第2の切欠きがそれぞれ,前記第1,第2の軸に沿って配置される,
 ことを特徴とする請求項25乃至28のいずれか1項に記載の誘電体共振器フィルタ。
 前記誘電体共振素子の上面または底面に対向配置され、該誘電体共振素子との距離を調整可能に構成された誘電体調整片をさらに備え、
 前記誘電体共振素子は、前記外部導体に囲まれたキャビティー内に固定され、該誘電体共振素子の一部を切削することにより前記複数の共振モードを励振し、周波数特性に減衰極を有することを特徴とする請求項1に記載の誘電体共振器。
 前記誘電体共振素子の側面側の前記外部導体に前記電気信号入力部および前記電気信号出力部が取り付けられ、前記誘電体共振素子の円形断面内で中心軸から前記電気信号入力部と前記電気信号出力部をそれぞれ結ぶ方向が互いに直交するとともに、当該2つの方向に対し前記誘電体共振素子の切削された面の法線が略45度の角度をなすことを特徴とする請求項30に記載の誘電体共振器。
 前記誘電体共振素子は、円柱状に形成されていることを特徴とする請求項30または31に記載の誘電体共振器。
 前記誘電体共振素子は、多角形の断面形状を有することを特徴とする請求項30または31に記載の誘電体共振器。
 前記断面形状は、八角形であることを特徴とする請求項33に記載の誘電体共振器。
 前記誘電体調整片は、前記誘電体共振素子と同一の中心軸に配置された円柱状であることを特徴とする請求項30から34のいずれかに記載の誘電体共振器。
 前記誘電体調整片は、前記誘電体共振素子と同一の誘電体材料を用いて形成されることを特徴とする請求項35に記載の誘電体共振器。
 前記誘電体共振素子は、第1の周波数および当該第1の周波数より高い第2の周波数の前記共振モードをそれぞれ励振し、前記誘電体調整片の調整により、前記第1の周波数および前記第2の周波数がそれぞれ変化する一方、前記第1の周波数および前記第2の周波数の結合係数が一定に保たれることを特徴とする請求項30から36のいずれかに記載の誘電体共振器。
 請求項30に記載の誘電体共振器の調整方法であって、
 第1の周波数および当該第1の周波数より高い第2の周波数の前記共振モードをそれぞれ励振する前記誘電体共振素子に対し、前記誘電体調整片を調整し、前記第1の周波数および前記第2の周波数の結合係数を一定に保ちつつ、前記第1の周波数および前記第2の周波数をそれぞれ変化させて周波数特性を調整することを特徴とする調整方法。
Description:
誘電体共振器、誘電体共振器フ ルタ、及び誘電体共振器の制御方法

 本発明は、誘電体共振器、誘電体共振器 ィルタ、及び誘電体共振器の制御方法に関 る。

 近年、携帯情報端末や通信端末に代表さ る電子機器では、高機能化及び小型化がめ ましい。これら携帯情報端末や通信端末に 共振器フィルタが組み込まれており、上述 た携帯情報端末などの小型化に伴って、前 共振器フィルタにおいても小型化が要求さ 、その結果、誘電体共振器が用いられるよ になってきている。

 上記誘電体共振器としては、例えば特許 献1に記載されているように、空洞共振器内 に誘電体共振器素子を配置するとともに、前 記空洞共振器において、前記誘電体共振器素 子に向けて金属ねじを設け、共振結合モード を行うことによって、複数の周波数に対応し た多重モード誘電体共振器が開示されている 。しかしながら、このような誘電体共振器に おいては、共振器内に金属ねじが存在するた めに、共振に供する電気信号の伝送ロスが大 きくなってしまうという問題がある。

 上記問題を解決すべく、特許文献2には、誘 電体共振器素子に対して円柱状の穴を開けて 共振結合モードを行い、複数の周波数に対応 した多重モード誘電体共振器が開示されてい る。しかしながら、これらの誘電体共振器は 切削などの加工を伴うために製造コストが増 大し、また、十分な共振結合モードを行うこ とができず、実用に足る複数の周波数に対応 した多重モードの共振器を実現することがで きないでいた。

特開昭57-194603号公報

特開昭62-204601号公報

 本発明は、電気信号の伝送ロスがなく、 重モードに対応した簡易な構成の誘電体共 器、誘電体共振器フィルタ、及びこの誘電 共振器における共振状態(結合モード)を制 する方法を提供することを目的とする。

 上記目的を達成すべく、本発明は、
 円筒状又は多角形状の外部導体と、
 前記外部導体の略中心部に配置され,かつ減 衰極を発生させるための切欠きを有する誘電 体共振素子と、
 電気信号入力部及び電気信号出力部とを具 ることを特徴とする誘電体共振器に関する

 また、本発明は、
 円筒状又は多角形状の外部導体と、前記外 導体の略中心部に配置された誘電体共振素 とを具える誘電体共振器の制御方法であっ 、
 前記誘電体共振素子の一部に切欠きを形成 ることより、前記誘電体共振器の共振状態 制御して減衰極を発生させることを特徴と る誘電体共振器の制御方法に関する。

 本発明によれば、外部導体内に円柱状又 多角形状の誘電体共振素子を設けるという 来類似の基本構成に対し、前記誘電体共振 子に切欠きを形成するようにして、誘電体 振器の共振状態(結合モード)を制御するよ にしている。したがって、従来のように、 振状態(結合モード)を制御するに際し、金属 ねじなどを用いないために、共振に供すべき 電気信号の伝送ロスなどを生じることがない 。また、誘電体共振素子の加工など煩雑な工 程を用いないので、上述のような共振状態( 合モード)を制御した誘電体共振器を簡易に ることができる。

 前記切欠きは、前記誘電体共振器のフィ タ特性に減衰極が発生する位置に設けられ 。これは、例えば、上記誘電体共振器にお る電気信号入力部及び電気信号出力部との 合性が小さい箇所とすることができる。具 的には、前記電気信号入力部及び前記電気 号出力部を、前記外部導体の側面に略90度 角度をなすようにして配置し、前記切欠き 、前記電気信号入力部から略45度及び225度の 少なくとも一方の位置に設ける。

 なお、上記のようにして、誘電体共振器 共振状態(結合モード)が変化する理由は、 電体共振器内に導入された電気信号に対す インダクタンス及び/又は結合容量が変化す ためと考えられる。

 本発明の一態様においては、前記切欠き 、前記誘電体共振素子の、前記誘電体共振 に設けられた電気信号入力部及び電気信号 力部と相対向しないようにして形成する。 れによって、前記誘電体共振器の共振状態( 結合モード)をより効果的に制御することが きる。なお、この場合は、前記誘電体共振 内に導入された電気信号の、モード間のイ ダクタンスはほとんど変化せず、主として 合容量が変化すると考えられる。

 また、前記切欠きは、前記誘電体共振素 が、前記切欠きに起因した高さ方向の垂直 断面を有するように、前記誘電体共振素子 高さ方向に沿って垂直に研削して形成する とができる。さらに、前記誘電体共振素子 、前記切欠きに起因した高さ方向の垂直な 面の溝部を有するようにして、前記誘電体 振素子を高さ方向に沿って垂直に研削して 成することができる。また、前記誘電体共 素子が、前記切欠きに起因した斜め45度の 面を有するようにして、前記誘電体共振素 をその端部を含むようにして斜め45度に研削 して形成することができる。

 上記態様によれば、より効果的に誘電体 振器の共振状態(結合モード)を制御するこ ができる。

 また、上記目的を達成すべく、本発明は、
 円筒状又は多角形状の外部導体と、
 前記外部導体の略中心部に配置された誘電 共振素子と、
 電気信号入力部及び電気信号出力部とを具 、
前記誘電体共振素子の一部に、導入された複 数の電気信号に対する結合係数がピークを示 すような位置及び大きさで切欠きを形成した ことを特徴とする誘電体共振器に関する。

 また、本発明は、
 円筒状又は多角形状の外部導体と、前記外 導体の略中心部に配置された誘電体共振素 とを具える誘電体共振器の制御方法であっ 、
 前記誘電体共振素子の一部に、導入された 数の電気信号に対する結合係数がピークを すような位置及び大きさで切欠きを形成す ことを特徴とする誘電体共振器の制御方法 関する。

 本発明によれば、外部導体内に円柱状又 多角形状の誘電体共振素子を設けるという 来類似の基本構成に対し、前記誘電体共振 子に切欠きを形成するようにしている。ま 、前記切欠きの形成位置及び大きさは、誘 体共振器内に導入された複数の電気信号に ける結合モードがピークを取るようにして 成している。したがって、従来のように、 合モード(共振状態)を制御するに際し、金 ねじなどを用いないために、共振に供すべ 電気信号の伝送ロスなどを生じることがな 、さらには、誘電体共振素子の加工など煩 な工程を用いることなく、上述のような結 モード(共振状態)を最適な状態となるように 制御した誘電体共振器を簡易に得ることがで きる。

 なお、上記のようにして、誘電体共振器 結合モード(共振状態)が変化する理由は、 電体共振器内に導入された電気信号に対す インダクタンス及び/又は結合容量が変化す ためと考えられる。

 本発明の一態様において、前記切欠きは 前記誘電体共振素子を高さ方向に沿って垂 に研削して形成し、前記誘電体共振素子は 前記切欠きに起因した高さ方向の垂直な断 を有するようにして形成することができる これによって、上記誘電体共振器の結合モ ド(共振状態)のピーク状態をより簡易に実 することができる。

 また、本発明の他の態様において、前記 欠きは少なくとも2つの切欠きであって、こ の2つの切欠きは前記誘電体共振素子の相対 る面において形成され、前記誘電体共振素 は、前記2つの切欠きに起因した高さ方向に 直であって、互いに平行な2つの断面を有す るようにすることができる。このような2つ 切欠きを形成することによって、上記誘電 共振器の結合モード(共振状態)のピーク状態 をより簡易に実現することができる。

 以上説明したように、本発明によれば、 気信号の伝送ロスがなく、多重モードに対 した簡易な構成の誘電体共振器、及びこの 電体共振器における共振状態(結合モード) 制御する方法を提供することができる。

第1の実施形態における誘電体共振器の 平面図である。 図1に示す誘電体共振器の側面図である 。 図1及び2に示す誘電体共振器の等価回 である。 第1の実施形態における誘電体共振器の 、電気信号の減衰状態を示すグラフである。 第2の実施形態における誘電体共振器の 平面図である。 図5に示す誘電体共振器の側面図である 。 第2の実施形態における誘電体共振器の 、電気信号の減衰状態を示すグラフである。 第3の実施形態における誘電体共振器の 平面図である。 図8に示す誘電体共振器の側面図である 。 実施例における誘電体共振器の結合係 数の、切欠き深さ依存性を示すグラフである 。 同じく、実施例における誘電体共振器 の結合係数の、切欠き深さ依存性を示すグラ フである。 変形例1における誘電体共振器の電気 号の減衰状態を示すグラフである。 変形例1における誘電体共振器の共振 波数および結合係数の、切欠き深さ依存性 示すグラフである。 変形例2における誘電体共振器の平面 である。 変形例2における誘電体共振器の電気 号の減衰状態を示すグラフである。 変形例2における誘電体共振器の電気 号の減衰状態を示すグラフである。 変形例2における誘電体共振器の共振 波数および結合係数の、幅依存性を示すグ フである。 変形例2における誘電体共振器の共振 波数および結合係数の、切欠き深さ依存性 示すグラフである。 変形例3における誘電体共振器の平面 である。 変形例3における誘電体共振器の電気 号の減衰状態を示すグラフである。 変形例3における誘電体共振器の電気 号の減衰状態を示すグラフである。 変形例3における誘電体共振器の共振 波数および結合係数の、厚さ依存性を示す ラフである。 変形例3における誘電体共振器の共振 波数および結合係数の、切欠き深さ依存性 示すグラフである。 変形例4における誘電体共振器の平面 である。 変形例4における誘電体共振器の電気 号の減衰状態を示すグラフである。 変形例4における誘電体共振器の共振 波数および結合係数の、切欠き深さ依存性 示すグラフである。 変形例5における誘電体共振器の平面 である。 変形例5における誘電体共振器の電気 号の減衰状態を示すグラフである。 変形例5における誘電体共振器の共振 波数および結合係数の、長さ依存性を示す ラフである。 変形例6における誘電体共振器の平面 である。 変形例6における誘電体共振器の電気 号の減衰状態を示すグラフである。 変形例6における誘電体共振器の共振 波数および結合係数の、切欠き深さ依存性 示すグラフである。 本発明の実施形態における誘電体共振 器の平面図である。 図33に示す誘電体共振器の側面図であ 。 図33及び34に示す誘電体共振器の等価 路である。 本発明の実施形態における、誘電体共 振器の、切欠きの深さと誘電体共振器内に導 入した2つのEHモード(EH1及びEH2)の結合係数と 相関を調べた図である。 変形例1における誘電体共振器の平面 である。 変形例1における誘電体共振器の電気 号の減衰状態を示すグラフである。 変形例1における誘電体共振器の共振 波数および結合係数の、切欠き深さ依存性 示すグラフである。 変形例2における誘電体共振器の平面 である。 変形例2における誘電体共振器の電気 号の減衰状態を示すグラフである。 変形例2における誘電体共振器の共振 波数および結合係数の、切欠き深さ依存性 示すグラフである。 変形例3における誘電体共振器の平面 である。 変形例3における誘電体共振器の電気 号の減衰状態を示すグラフである。 変形例3における誘電体共振器の共振 波数および結合係数の、切欠き深さ依存性 示すグラフである。 変形例4における誘電体共振器の平面 である。 変形例4における誘電体共振器の電気 号の減衰状態を示すグラフである。 変形例4における誘電体共振器の共振 波数および結合係数の、切欠き深さ依存性 示すグラフである。 誘電体共振器内の電界分布を表す模式 図である。 誘電体共振器内の電界分布を表す模式 図である。 本発明の第5の実施形態における誘電 共振器フィルタの斜視図である。 上段の誘電体共振器を示す平面図であ る。 下段の誘電体共振器を示す平面図であ る。 図51に示す誘電体共振器フィルタの等 回路の一例を示す回路図である。 誘電体共振器フィルタの電気特性の一 例を示すグラフである。 誘電体共振器フィルタの電気特性の一 例を示すグラフである。 誘電体共振器フィルタの電気特性の一 例を示すグラフである。 誘電体共振器フィルタの電気特性の一 例を示すグラフである。 本発明の第6の実施形態における誘電 共振器フィルタの斜視図である。 上段の誘電体共振器を示す平面図であ る。 中段の誘電体共振器を示す平面図であ る。 下段の誘電体共振器を示す平面図であ る。 図63に示す誘電体共振器フィルタの等 回路の一例を示す回路図である。 誘電体共振器フィルタの電気特性の一 例を示すグラフである。 誘電体共振器フィルタの電気特性の一 例を示すグラフである。 変形例1における上段の誘電体共振器 示す平面図である。 変形例1における下段の誘電体共振器 示す平面図である。 変形例1における誘電体共振器フィル の電気特性の一例を示すグラフである。 変形例2における上段の誘電体共振器 示す平面図である。 変形例2における下段の誘電体共振器 示す平面図である。 変形例2における誘電体共振器フィル の電気特性の一例を示すグラフ 変形例3における誘電体共振器フィル の電気特性の一例を示すグラフ 変形例4における誘電体共振器フィル の電気特性の一例を示すグラフである。 第7の実施形態の誘電体共振器の上面 である。 図72の誘電体共振器の側面図である。 第7の実施形態の誘電体共振器の等価 路を示す図である。 第7の実施形態の誘電体共振器におけ 伝送信号の周波数特性を示す図である。 第7の実施形態の誘電体共振器におい 距離Dと周波数特性の関係を示す図である。 第7の実施形態の誘電体共振器におい 距離Dの変化と平均周波数FAおよび結合係数k 関係を示す図である。 第7の実施形態の変形例に係る誘電体 振器の上面図である。 図78の誘電体共振器の側面図である。 第8の実施形態の誘電体共振器の上面 である。 図80の誘電体共振器の側面図である。 第8の実施形態の誘電体共振器におけ 伝送信号の周波数特性を示す図である。 第8の実施形態の誘電体共振器におい 距離Dの変化と平均周波数FAおよび結合係数k 関係を示す図である。 第8の実施形態の変形例に係る誘電体 振器の上面図である。 図84の誘電体共振器の側面図である。 第8の実施形態の変形例に係る誘電体 振器における伝送信号の周波数特性を示す である。 第8の実施形態の変形例に係る誘電体 振器において距離Dの変化と平均周波数FAお び結合係数kの関係を示す図である。

 以下、本発明の実施形態について説明す 。

(第1の実施形態)
 図1は、本実施形態における誘電体共振器の 平面図であり、図2は、図1に示す誘電体共振 の側面図である。また、図3は、図1及び2に す誘電体共振器の等価回路である。

 図1及び2に示すように、本実施形態にお る誘電体共振器10は、円筒状の外部導体11と 外部導体11の略中心部に配置された円柱状 誘電体共振素子12と、外部導体11の円周面上 おいて互いに90度の角度をなすようにして 置された電気信号入力部14及び電気信号出力 部15とを具えている。なお、誘電体共振素子1 2は、図示しない、例えばアルミナなどから 成される支持台上に配置されている。

 また、誘電体共振素子12には、誘電体共 器10に設けられた電気信号入力部14及び電気 号出力部15と相対向しないようにして、誘 体共振素子12を高さ方向に沿って垂直に研削 してなる切欠き12Aが形成されている。この結 果、誘電体共振素子12は、切欠き12Aに起因し 高さ方向の垂直な断面を有するようになる

 なお、図3におけるC1は、電気信号入力部1 4と誘電体共振器10の共振回路とを容量結合す る容量結合回路であり、C5は、電気信号出力 15と誘電体共振器10の共振回路とを容量結合 する容量結合回路である。また、C2及びL1並 にC4及びL2は、誘電体共振器10の共振回路を 成する容量結合回路及びインダクタンスで る。さらに、C3は、切欠き12Aによって形成さ れる断間結合容量である。

 図3における容量結合回路C1及びC5は、そ ぞれ電気信号入力部14、電気信号出力部15を 成する材料、並びにそれらの大きさなどに って変化する。また、図3における容量結合 回路C2、C4及びインダクタンスL1、L2は、切欠 12A及び外部導体11を構成する材料などによ て変化する。

 本実施形態においては、特に切欠き12Aを けることによって、容量結合回路C2及びC4、 並びにC3の値を制御しするとともに、インダ タンスL1及びL2の値を制御して、共振状態( 合モード)の制御を行う。

 図4は、本実施形態における誘電体共振器 10の、電気信号入力部14を基準とした、切欠 の相対的な位置関係に依存した電気信号の 衰状態を示すグラフである。図4から明らか ように、本実施形態では、電気信号入力部1 4からそれぞれ45度及び225度の位置において減 衰効果を呈している(周波数特性上,減衰極が 生している)ことが分かる。

 すなわち、このような位置に誘電体共振 子12の切欠き12Aを形成することによって、 気信号入力部14及び電気信号出力部15との結 性が小さくなり、さらに上述したように、 欠き12Aを電気信号入力部14及び電気信号出 部15と相対向しないように設けているので、 誘電体共振器10内に導入した電気信号の共振 態(結合モード)を良好な状態で制御するこ ができるようになる。本実施形態では、図1 び2に示すように、切欠き12Aを225度の位置に 設けているので、上述した作用効果を享受し ている。

 また、本実施形態では、図1中に示すよう に、2つのEHモード(EH1及びEH2)の結合を行って 重モードの共振状態を実現することができ 。

(第2の実施形態)
 図5は、本実施形態における誘電体共振器の 平面図であり、図6は、図5に示す誘電体共振 の側面図である。なお、図1及び2に示す誘 体共振器の構成要素と類似及び同一の構成 素に対しては同じ参照符号を用いて表して る。

 図5及び6に示すように、本実施形態にお る誘電体共振器20は、円筒状の外部導体11と 外部導体11の略中心部に配置された円柱状 誘電体共振素子12と、外部導体11の上面に設 られた電気信号入力部14と、外部導体11の円 周面上に設けられた電気信号出力部15とを具 ている。なお、電気信号入力部14及び電気 号出力部15は、上述のような配置の結果、互 いに90度の角度をなすようにして配置されて る。また、誘電体共振素子12は、図示しな 、例えばアルミナなどから構成される支持 上に配置されている。

 また、誘電体共振素子12には、誘電体共 器20に設けられた電気信号入力部14及び電気 号出力部15と相対向しないようにして、誘 体共振素子12の下端部を含むようにして斜め 45度に研削してなる切欠き12Aを有し、その結 、誘電体共振素子12は、切欠き12Aに起因し 斜め45度の断面を有するようになる。

 なお、特に図示しないが、本実施形態で 、上記実施形態と同様に、図3に示すような 等価回路が構成される。

 本実施形態では、上述のように、誘電体 振素子12の切欠き12Aは、電気信号入力部14及 び電気信号出力部15と相対向しないようにし 形成している。したがって、誘電体共振素 12において切欠き12Aを形成することによっ 、図3における等価回路では、主として容量 合回路C2が変化することによって、誘電体 振器20の共振状態(結合モード)が制御される のと考えられる。

 本実施形態では、上述のように、誘電体 振素子12の切欠き12Aは、電気信号入力部14及 び電気信号出力部15と相対向しないようにし 形成している。したがって、誘電体共振素 12において切欠き12Aを形成することによっ 、図3における等価回路では、主として容量 合回路C2が変化することによって、誘電体 振器20の共振状態(結合モード)が制御される のと考えられる。

 図7は、本実施形態における誘電体共振器 20の、電気信号入力部14を基準とした切欠き 相対的な位置関係に依存した電気信号の減 状態を示すグラフである。図7から明らかな うに、本実施形態では、電気信号入力部14 ら電気信号出力部15に向けた方向を正とした 場合において、それぞれ45度及び225度の位置 おいて減衰効果を呈している(周波数特性上 ,減衰極が発生している)ことが分かる。

 すなわち、このような位置に誘電体共振 子12の切欠き12Aを形成することによって、 気信号入力部14及び電気信号出力部15との結 性が小さくなり、さらに上述したように、 欠き12Aを電気信号入力部14及び電気信号出 部15と相対向しないように設けているので、 誘電体共振器20内に導入した電気信号の共振 態(結合モード)を良好な状態で制御するこ ができるようになる。本実施形態では、図5 び6に示すように、切欠き12Aを225度の位置に 設けているので、上述した作用効果を享受し ている。

 また、本実施形態では、TMモード及びEHモ ード(TM及びEH2)の結合を行って二重モードの 振状態を実現している。

(第3の実施形態)
 図8は、本実施形態における誘電体共振器の 平面図であり、図9は、図8に示す誘電体共振 の側面図である。なお、図1及び2に示す誘 体共振器の構成要素と類似及び同一の構成 素に対しては同じ参照符号を用いて表して る。

 図8及び9に示すように、本実施形態にお る誘電体共振器30は、円筒状の外部導体11と 外部導体11の略中心部に配置された円柱状 誘電体共振素子12と、外部導体11の円周面上 おいて互いに90度の角度をなすようにして 置された電気信号入力部14及び電気信号出力 部15とを具えている。なお、誘電体共振素子1 2は、図示しない、例えばアルミナなどから 成される支持台上に配置されている。

 また、誘電体共振素子12には、誘電体共 器30に設けられた電気信号入力部14及び電気 号出力部15と相対向しないようにして、誘 体共振素子12を高さ方向に沿って垂直に研削 することによって形成した溝部からなる切欠 き12Aを有している。なお、特に図示しないが 、本実施形態でも、上記実施形態と同様に、 図3に示すような等価回路が構成される。

 本実施形態では、上述のように、誘電体 振素子12の切欠き12Aは、電気信号入力部14及 び電気信号出力部15と相対向しないようにし 形成している。したがって、誘電体共振素 12において切欠き12Aを形成することによっ 、図3における等価回路では、主として容量 合回路C2が変化することによって、誘電体 振器30の共振状態(結合モード)が制御される のと考えられる。

 なお、本実施形態でも、切欠き12Aは、図4 に示すような減衰効果を示すような、電気信 号入力部14から225度の位置に形成されている したがって、電気信号入力部14及び電気信 出力部15との結合性が小さくなる。結果とし て、上述したような、切欠き12Aを電気信号入 力部14及び電気信号出力部15と相対向しない うに設けていることと相伴って、誘電体共 器30内に導入した電気信号の共振状態(結合 ード)を良好な状態で制御することができる うになる。

 また、本実施形態では、2つのEHモード(EH1 及びEH2)の結合を行って二重モードの共振状 を実現している。

 次に、上記第1の実施形態及び第3の実施 態における切欠き12Aの大きさと、誘電体共 器10、30内に導入された2つの電気信号(EH1モ ド及びEH2モード)の結合状態との相関につい 調べた。結果を図10及び11に示す。

 図10に示すように、第1の実施形態におい は、切欠き12Aの研削量(深さH)が増大するに れて上記結合係数が上昇し、約1.5-3mmの深さ Hにおいて前記結合係数が安定化しているこ が分かる。したがって、切欠き12Aを前述の 囲内に設定しておくことにより、EH1モード びEH2モードの結合状態が良好となり、二重 ードの共振を実現できることが判明した。

 また、図11に示すように、第3の実施形態 おいては、切欠き12Aの研削量(深さH)が増大 るにつれて上記結合係数が上昇し、約2-3.5mm の深さHにおいて前記結合係数が安定化して ることが分かる。したがって、切欠き12Aを 述の範囲内に設定しておくことにより、EH1 ード及びEH2モードの結合状態が良好となり 二重モードの共振を実現できることが判明 た。なお、切欠き12Aの幅は0.5mmとした。

(変形例)
 以下,変形例として,上記実施形態において, 電体共振フィルタまたは切り欠きの形状を 化させた場合を説明する。以下に示すよう ,これらの形状が異なっていても切り欠きの 角度を適切に規定することで,減衰極を発生 せ,特性の狭帯域化を図ることができる。

A.変形例1
 第1の実施形態において,切欠き12Aの高さHを 化させた場合(変形例1)につき説明する。図1 2は、誘電体共振器20の切欠き12Aの高さHを変 させた場合における、周波数と電気信号の 衰状態との対応関係を示すグラフである。 ラフG11~G17それぞれで,高さHが0.25,0.5,0.75,1.00,1 .50,1.75,2.00mmである。図13は,高さHと,共振周波 fk,結合係数kの関係を表すグラフである。高 さHを0.25~2.0mmの範囲で変化させることで,共振 周波数fkは2.015~2.035GHz,結合係数kは0.01~0.001の 囲で変化している。

B.変形例2
 第1の実施形態において,切欠き12Aを誘電体 振素子12の軸方向の溝形状とした場合(変形 2)につき説明する。図14は,変形例2に係る誘 体共振素子12を表す平面図である。変形例2 は,切欠き12Aは,1の底面および2つの側面を有 る略直方体形状の溝であり,誘電体共振素子 12の軸方向に配置される。図15,図16はそれぞ 、変形例2において誘電体共振器20の切欠き12 Aの高さHおよび幅Dを変化させた場合における 、周波数と電気信号の減衰状態との対応関係 を示すグラフである。グラフG21~G24それぞれ おいて,高さHが5mmで,幅Dが2.5,5.0,7.5,10.0mmであ 。グラフG25~G28それぞれにおいて,幅Dが5mmで, 高さHが2.5,5.0,7.5,10.0mmである。図17,図18はそれ ぞれ,幅Dおよび高さHと,共振周波数fk,結合係 kの関係を表すグラフである。変形例1の場合 と比較すると,高さHによる共振周波数fkの変 は大きく,結合係数kはほぼ同等の範囲で変化 している。なお,幅Dのみを変化させた場合,共 振周波数fkは変化する一方,結合係数kはほぼ 定である。

C.変形例3
 第1の実施形態において,切欠き12Aを誘電体 振素子12の径方向の溝形状とした場合(変形 3)につき説明する。図19は,変形例3に係る誘 体共振素子12を表す平面図である。変形例3 は,切欠き12Aは,1の底面および2つの側面を有 る略直方体形状の溝であり,誘電体共振素子 12の径方向に配置される。図20,図21はそれぞ 、変形例3において誘電体共振器20の切欠き12 Aの高さHおよび厚さTを変化させた場合におけ る、周波数と電気信号の減衰状態との対応関 係を示すグラフである。グラフG31~G33それぞ において,高さHが5mmで,厚さTが1,2,4mmである。 グラフG35~G38それぞれにおいて,厚さTが2mmで, さHが2.5,5.0,7.5,10.0mmである。図22,図23はそれ れ,厚さTおよび高さHと,共振周波数fk,結合係 kの関係を表すグラフである。変形例1の場 と比較すると,高さHによる共振周波数fkの変 は大きく,結合係数kはほぼ同等の範囲で変 している。

D.変形例4
 第1の実施形態において,切欠き12Aを誘電体 振素子12の径方向の溝形状(半円柱状)とした 合(変形例4)につき説明する。図24は,変形例4 に係る誘電体共振素子12を表す平面図である 変形例4では,切欠き12Aは,半円状の側面を有 る溝であり,誘電体共振素子12の径方向に配 される。図25は、変形例4において誘電体共 器20の切欠き12Aの高さHを変化させた場合に ける、周波数と電気信号の減衰状態との対 関係を示すグラフである。グラフG41~G44それ ぞれにおいて,高さHが1.25,2.50,3.75,5.00mmである 図26は,高さHと,共振周波数fk,結合係数kの関 を表すグラフである。変形例1の場合と比較 すると,高さHによる共振周波数fkの変化は大 く,結合係数kはほぼ同等の範囲で変化してい る。

E.変形例5
 第1の実施形態において,誘電体共振素子12の 形状を楕円形状とした場合(変形例5)につき説 明する。図27は,変形例5に係る誘電体共振素 12を表す上面図である。変形例5では,誘電体 振素子12は楕円状の柱状であり,その長手側 両側面に切欠き12Aが配置される。図28は、 形例5において誘電体共振器20の楕円の長さLr を変化させた場合における、周波数と電気信 号の減衰状態との対応関係を示すグラフであ る。グラフG71~G77それぞれにおいて,長さLrが0. 25,0.375,0.5,0.625,0.75,0.875,1.0mmである。図29は,長 Lrと,共振周波数fk,結合係数kの関係を表すグ ラフである。変形例1の場合と比較すると,共 周波数fkは低周波側にシフトし,結合係数kの 変化量は小さくなる。

F.変形例6
 第1の実施形態において,誘電体共振素子12の 形状を正8角形状とした場合(変形例6)につき 明する。図30は,変形例6に係る誘電体共振素 12を表す上面図である。変形例6では,誘電体 共振素子12は正8角状の柱状であり,その1辺に って切欠き12Aが配置される。図31は、変形 6において切欠き12Aの高さHを変化させた場合 における、周波数と電気信号の減衰状態との 対応関係を示すグラフである。グラフG81~G84 れぞれにおいて,高さHが3,5,6,6.5mmである。図3 2は,高さHと,共振周波数fk,結合係数kの関係を すグラフである。高さHを3~6.5mmの変位で変 させることで,共振周波数fkは2.015~2.035GHz,結 係数kは0.01~0.1の範囲で変化する。

 以上、本発明について具体例を挙げなが 詳細に説明してきたが、本発明は上記内容 限定されるものではなく、本発明の範疇を 脱しない限りにおいてあらゆる変形や変更 可能である。

 既述のように,誘電体共振器および切欠き には種々の形状が適用できる。上記実施形態 に示したように,誘電体共振器として,円柱,楕 円柱,正8角柱を利用できる。これに加えて,こ れらの中間的な形状,例えば,4角柱を利用でき る。柱状以外に板状も利用できる。上記実施 形態に示したように,切欠きとして,平板状,溝 形状等種々の形状を利用できる。

 上記具体例では、誘電体共振素子片を外 導体の減衰効果を呈する箇所に配置してい が、必ずしも減衰効果を奏しない箇所に配 した場合においても、誘電体共振素子にお る切欠きの位置及び大きさを適宜に制御す ことによって、十分に共振状態(結合モード )の制御を行うことができるようになる。但 、上述のように、誘電体共振素子片を減衰 果の奏する箇所に配置することによって、 り簡易かつ効果的に共振状態(結合モード)を 制御することができる。

 また、上記具体例は、数々のシミュレー ョンやそれに基づいて実施した実験結果に づくものであって、実際に誘電体共振素子 おける切欠きの大きさをどの程度に調節す かなどの具体的な指針は、誘電体共振器の 成によって異なる。例えば、第1の実施形態 におけるような配置の電気信号入力部と電気 信号出力部とを有する誘電体共振器と、第2 実施形態におけるような配置の電気信号入 部と電気信号出力部とを有する誘電体共振 とでは、誘電体共振素子及び切欠きの大き の共振状態(結合モード)の依存性は全く異な るようになる。

 したがって、具体的な設定は、個別具体 な構成の誘電体共振器において独自に行う 要がある。但し、外部導体に対する、誘電 共振素子の大きさ(高さ及び直径)の選択が 本となることは従来と同様である。

 また、上記具体例では、誘電体共振器を 筒状の外部導体から構成する場合について み示したが、多角形状の外部導体から構成 た場合についても同様の作用効果を得るこ ができる。

 さらに、本発明においては、本発明の切 きによる作用効果を阻害しない範囲におい 、従来のように、金属ねじや樹脂製ねじを 電体共振素子に向けて外部導体に設けるこ を排除するものではない。

 また、電気信号入力部又は電気信号出力 と誘電体共振器とは、容量結合である必要 なく、誘導結合であっても良い。いずれの 合においても、上述した本発明の要件を満 する限り、本発明の作用効果を奏すること できる。

(第4の実施形態)
 以下、本発明の第4の実施形態について説明 する。

 図33は、本実施形態における誘電体共振 の平面図であり、図34は、図33に示す誘電体 振器の側面図である。また、図35は、図33及 び34に示す誘電体共振器の等価回路である。

 図33及び34に示すように、本実施形態にお ける誘電体共振器10は、円筒状の外部導体11 、外部導体11の略中心部Oに配置された円柱 の誘電体共振素子12と、外部導体11の円周面 において互いに90度の角度をなすようにし 配置された電気信号入力部14及び電気信号出 力部15とを具えている。なお、誘電体共振素 12は、図示しない、例えばアルミナなどか 構成される支持台上に配置されている。ま 、誘電体共振素子12は、外部導体11の略中心 Oに配置されていることから、前記略中心部 Oは誘電体共振素子12の中心とも共通する。

 また、誘電体共振素子12には、誘電体共 器10に設けられた電気信号入力部14及び電気 号出力部15と相対向しないようにして、誘 体共振素子12を高さ方向に沿って垂直に研削 してなる一対の切欠き12A及び12Bが形成されて いる。この結果、誘電体共振素子12は、2つの 切欠き12A及び12Bに起因した高さ方向に垂直で あって、互いに平行な2つの断面を有するこ になる。

 なお、図35におけるC1は、電気信号入力部 14と誘電体共振器10の共振回路とを容量結合 る容量結合回路であり、C5は、電気信号出力 部15と誘電体共振器10の共振回路とを容量結 する容量結合回路である。また、C2及びL1並 にC4及びL2は、誘電体共振器10の共振回路を 成する容量結合回路及びインダクタンスで る。さらに、C3は、切欠き12A及び12Bによっ 形成される断間結合容量である。

 図35における容量結合回路C1及びC5は、そ ぞれ電気信号入力部14、電気信号出力部15を 構成する材料、並びにそれらの大きさなどに よって変化する。また、図35における容量結 回路C2、C4及びインダクタンスL1、L2は、切 き12A、12B及び外部導体11を構成する材料など によって変化する。

 本実施形態においては、特に切欠き12A及 12Bを設けることによって、容量結合回路C2 びC4、並びにC3の値が変化するとともに、イ ダクタンスL1及びL2の値が変化して、共振状 態(結合モード)が変化するものと考えられる

 図36は、本実施形態における誘電体共振 10の、切欠き12A及び12Bの大きさ(深さH)と、誘 電体共振器10内に導入した2つのEHモード(EH1及 びEH2)の結合係数との相関を調べた図である 図36から明らかなように、切欠き12A及び12Bの 深さH、すなわち研削量が1.5-3mmの間において 記結合係数はピークを示すことが分かる。 なわち、図33に示す誘電体共振器10において は、切欠き12A及び12Bの深さHを1.5-3mmの範囲に 定することによって、誘電体共振器10内に 入した2つのEHモード(EH1及びEH2)の結合係数が おおよそ最大となり、所定の共振状態が実現 されることが分かる。

 なお、図36に示すグラフを得る前提とし 、誘電体共振素子12の直径は37mmとした。

A.変形例1
 第4の実施形態において,切欠き12Aを誘電体 振素子12の軸方向の溝形状とした場合(変形 1)につき説明する。図37は,変形例1に係る誘 体共振素子12を表す平面図である。変形例1 は,切欠き12Aは,1の底面および2つの側面を有 る略直方体形状の溝であり,誘電体共振素子 12の軸方向に配置される。図38は、変形例1に いて誘電体共振器20の切欠き12Aの高さHを変 させた場合における、周波数と電気信号の 衰状態との対応関係を示すグラフである。 ラフG11~G17それぞれにおいて,幅Dが5mmで,高さ Hが2.5,5.0,7.5,10.0,12.5,15.0,17.5mmである。図39は, さHと,共振周波数fk,結合係数kの関係を表す ラフである。高さHを増加させると共振周波 fkが増大する一方,結合係数kはピークを有す る(飽和する)。

B.変形例2
 第4の実施形態において,切欠き12Aを誘電体 振素子12の径方向の溝形状とした場合(変形 2)につき説明する。図40は,変形例3に係る誘 体共振素子12を表す平面図である。変形例2 は,切欠き12Aは,1の底面および2つの側面を有 る略直方体形状の溝であり,誘電体共振素子 12の径方向に配置される。図41は、変形例2に いて誘電体共振器20の切欠き12Aの高さHを変 させた場合における、周波数と電気信号の 衰状態との対応関係を示すグラフである。 ラフG21~G25それぞれにおいて,厚さTが2mmで,高 さHが2.5,5.0,7.5,10.0,12.5mmである。図42は,高さH ,共振周波数fk,結合係数kの関係を表すグラフ である。高さHを増加させると共振周波数fkが 増大する一方,結合係数kはピークを有する(飽 和する)。

C.変形例3
 第4の実施形態において,切欠き12Aを誘電体 振素子12の側面上の溝形状(円柱状)とし,かつ 誘電体共振素子12の中心に向かう径方向の溝 状とした場合(変形例3)につき説明する。図4 3は,変形例3に係る誘電体共振素子12を表す上 図および側面図である。変形例3では,切欠 12Aは,円状の側面を有する円柱状の溝であり, 誘電体共振素子12の中心に向かう径方向に配 される。図44は、変形例3において誘電体共 器20の切欠き12Aの高さHおよび径Dを変化させ た場合における、周波数と電気信号の減衰状 態との対応関係を示すグラフである。グラフ G31~G37それぞれにおいて,径Dが2mm,高さHが2.5,5.0 ,7.5,10.0,12.5mmである。図45は,高さHと,共振周波 数fk,結合係数kの関係を表すグラフである。 さHを増加させると共振周波数fkが増大する 方,結合係数kはピークを有する(飽和する)。

D.変形例4
 第4の実施形態において,誘電体共振素子12の 形状を正8角形状とした場合(変形例8)につき 明する。図46は,変形例8に係る誘電体共振素 12を表す上面図である。変形例8では,誘電体 共振素子12は正8角状の柱状であり,その1辺に って切欠き12Aが配置される。図47は、変形 4において切欠き12Aの高さHを変化させた場合 における、周波数と電気信号の減衰状態との 対応関係を示すグラフである。グラフG41~G47 れぞれにおいて,高さHが3,5,7,9,11,13,15mmである 。図48は,高さHと,共振周波数fk,結合係数kの関 係を表すグラフである。高さHを増加させる 共振周波数fkが増大する一方,結合係数kはピ クを有する(飽和する)。

(ピークの発生原因)
 結合係数kがピークを有する理由を説明する 。図49,図50はそれぞれH=2.5,5.0での誘電体共振 10内の電界分布を表す模式図である。図49, 50の(1),(2)はそれぞれ,誘電体共振素子12の径 向での2つのモードでの電界分布を表す。高 H(研削量)の増大により電界分布,即ち,共振 ードが変化していることが判る。この変化 結合係数kのピークの発生の原因となってい と考えられる。

 以上、本発明について具体例を挙げなが 詳細に説明してきたが、本発明は上記内容 限定されるものではなく、本発明の範疇を 脱しない限りにおいてあらゆる変形や変更 可能である。

 既述のように,誘電体共振器および切欠き には種々の形状が適用できる。上記実施形態 に示したように,誘電体共振器として,円柱,正 8角柱を利用できる。これに加えて,これらの 間的な形状,例えば,楕円柱,4角柱を利用でき る。柱状以外に板状も利用できる。上記実施 形態に示したように,切欠きとして,平板状,溝 形状等種々の形状を利用できる。

 上記具体例では、誘電体共振素子12にお て一対の切欠き12A及び12Bを形成するように ているが、少なくとも1つの切欠き、例えば 欠き12A及び12Bの一方のみを形成することに っても本発明の作用効果を得ることができ 。しかしながら、上記具体例に従って、誘 体共振素子12の相対向する位置に切欠き12A び12Bを設けることによって、誘電体共振器10 における2つのEHモードの結合係数をより簡易 に制御して、ピーク値を得ることができるよ うになる。

 また、当然に3以上の切欠きを設けること もでき、切欠きの形状なども種々の形状とす ることができる。

 また、上記具体例は、数々のシミュレー ョンやそれに基づいて実施した実験結果に づくものであって、実際に誘電体共振素子 おける切欠きの位置及び大きさをどの程度 調節するかなどの具体的な指針は、誘電体 振器の構成によって異なる。例えば、誘電 共振器の電気信号入力部及び電気信号出力 の位置関係や、これらと切欠きとの位置関 などによって、結合係数のピークとなる切 きの深さは異なるとともに、前記結合係数 前記切欠きの深さとの関係も異なるように る。

 なお、誘電体共振器における結合係数は 外部導体に対する、誘電体共振素子の大き (高さ及び直径)の選択が基本となることは 来と同様である。

 また、上記具体例では、誘電体共振器を 筒状の外部導体から構成する場合について み示したが、多角形状の外部導体から構成 た場合についても同様の作用効果を得るこ ができる。

 さらに、本発明においては、本発明の切 きによる作用効果を阻害しない範囲におい 、従来のように、金属ねじや樹脂製ねじを 電体共振素子に向けて外部導体に設けるこ を排除するものではない。

 ところで、携帯電話の基地局等において, 送受信する無線周波数の帯域を規定するため のバンドパスフィルタとして共振器フィルタ が用いられている。基地局の小型化のために 共振器フィルタの小型化が要請され,誘電体 料を共振器とする誘電体共振器フィルタが 用されている。この誘電体共振器フィルタ さらなる小型化のために,多重モードの誘電 共振器(1つの誘電体共振器内で複数の共振 ードが共存する)を用いることが提案されて る。例えば,複数の多重モード誘電体共振器 を結合して構成されるフィルタの技術が開示 されている(例えば、特開2002-33605号公報参照) 。

 ここで,無線通信の周波数範囲の有効利用の ために,誘電体共振器フィルタの狭帯域化の 請がある。
 本発明は,さらに狭帯域化が図られた誘電体 共振器フィルタを提供することを目的として いる。

 本発明の一態様に係る誘電体共振器フィ タは,空洞を有する外部導体と,前記空洞内 配置され,第1の底面と,第1の軸と,を有する柱 状または板状の第1の誘電体共振素子と,前記 洞内に配置され,前記第1の底面と対向する 2の底面と,第2の軸と,を有する柱状または板 の第2の誘電体共振素子と,前記第1の誘電体 振素子上に,前記第1の軸から見て第1の方向 配置される第1の切欠きと,前記第2の誘電体 振素子上に,前記第2の軸から見て,前記第1の 方向となす角度が略直角の整数倍となる,第2 方向に配置される第2の切欠きと,前記第1の 電体共振器の側面に対向する端部を有する 気信号入力部と,前記第2の誘電体共振器の 面に対向する端部を有する電気信号出力部 ,を具備することを特徴とする。

 本発明によれば,狭帯域化が図られた誘電 体共振器フィルタを提供することができる。

 以下,本発明の実施形態について説明する 。

(第5の実施形態)
 図51は,本発明の第5の実施形態における誘電 体共振器フィルタ100の斜視図である。図52,図 53はそれぞれ,上段,下段の誘電体共振器111,121 軸Ax10の方向から見た状態を表す平面図であ る。

 誘電体共振器フィルタ100は,所望の周波数 帯域の信号を通過させる帯域通過フィルタと して機能し,外部導体101,誘電体共振器(誘電体 共振素子と称することがある)111,121,信号端子 14,15を有する。

 外部導体101は,略筒状であり,空洞(キャビテ )102を有する。なお,見やすさのために外部 体101は仮想線(二点鎖線)で表されている。
 本実施形態では,この空洞102を円柱形状とし ている。但し,空洞102を他の形状,例えば,角柱 形状としても良い。なお,空洞102の中心軸が 述の軸Ax10と一致することが好ましい。
 外部導体101が導電性であることから,空洞102 中に電界を閉じこめることが可能となる。即 ち,誘電体共振器111,121から漏れ出す電界が空 102内に閉じこめられる。その結果,外界から の影響が遮断され,誘電体共振器フィルタ100 特性が安定化する。

 誘電体共振器111,121は,柱状または板状の誘 体材料から構成され,空洞102内に,互いに略同 軸(軸Ax10)に配置される。即ち,誘電体共振器11 1,121それぞれの底面(ここでは,円形)の中心C101 ,C102が軸Ax10とほぼ一致する。
 本実施形態では,誘電体共振器111,121を円柱 状としている。但し,円柱形状に換えて,楕円 柱形状,角柱形状を採用しても良い。これら 誘電体共振器111,121はそれぞれ図示しないア ミナなどからなる支持台に固定される。

 誘電体共振器111,121はそれぞれ,所望の周 数帯域において2重のEHモードで共振するよ に寸法が規定される。即ち,誘電体共振器111, 121内で,互いの電場,磁場が直交する2つの共振 モード(EH1,EH2モード)が共存可能である。誘電 体共振器111,121全体として,4つの振動が共存し 得る。

 ここで,誘電体共振器111,121は,略同一の半 ,および高さを有する。この結果,誘電体共 器111,121での共振モードが共通性(略同一の共 振周波数)を有することになる。誘電体共振 111,121によって,略同一の共振周波数の4つの 振(実質的に4つの共振器)を利用することが 能となり,誘電体共振器フィルタ100の小型化 狭帯域化の両立が容易となる。

 誘電体共振器111,121は,互いの底面が対向 るように配置されることで,電気的に結合さ る。即ち,一方の誘電体共振器111,121の共振 成分の一部が伝達され,他方の誘電体共振器1 11,121での共振に寄与する。誘電体共振器111,12 1間での結合の強さは,誘電体共振器111,121間の 距離によって調節できる。また,誘電体共振 111,121間にスタッド,スロットを配置すること で,結合の強さを調節しても良い。スタッド ,導電性材料から構成される棒状体(例えば, 柱,角柱)である。スロットは,導電性の板状 材に配置される溝穴である。即ち,誘電体共 器111,121間へのスロットの配置は,スロット 有する板状部材の配置を意味する。

 誘電体共振器111,121はそれぞれ,切欠き112,1 22を有する。この切欠きは,誘電体共振器111,12 1それぞれ内での2つの共振モード(EH1,EH2モー )を結合させるためのものである。この切欠 112,122が無い場合,誘電体共振器111,121内でのE H1,EH2モードは互いに独立である。例えば,誘 体共振器111内でEH1モードが励起されても,EH2 ードが励起されることは無い。一方,この切 欠き112が有る場合,誘電体共振器111内でEH1,EH2 ードが結合され,例えば,誘電体共振器111内 EH1モードが励起されると,EH2モードも励起さ る。切欠き112,122の存在によって,一方の共 モード(EH1,EH2モード)の成分から他方の共振 ードの成分への変換が生じる(モード結合)。

 切欠き112,122はそれぞれ,誘電体共振器111,121 に,軸Ax10から見て,軸Ax10に垂直な方向A11,A12 配置される。この方向A11,A12は,切欠き112,122 面S11,S12(誘電体共振器111,121が切り欠かれた 面)の中心C11,C12(重心)を基準として規定する とができる。方向A11,A12は,軸Ax10に垂直な方 A10からの角度θ11,θ12によって規定すること できる。
 ここで,軸Ax10から見て方向A11,A12のなす角度 16(=θ12-θ11)が誘電体共振器フィルタ100の狭帯 域化の狭帯域化に際して重要な要素であるこ とが判った。具体的には,角度θ16が略直角の 数倍となるようにすることで,誘電体共振器 フィルタ100の狭帯域化が可能である。この詳 細は後述する。

 本実施形態では,切欠き112,122の面S11,S12は,図 51の左右に平行な辺を有する平面形状(矩形) ある。但し,面S11,S12として,これ以外の形状 採用することができる。切欠き112,122(面S11,S1 2)の形状を特定しなくとも,誘電体共振器111,12 1内でモード結合が生じるからである。例え ,面S11,S12を曲面とすることが可能である。な お,誘電体共振器111,121を同一の形状,寸法とし ,切欠き112,122を同一の形状,寸法とすると,誘 体共振器111,121それぞれでのモード結合の大 さを同一とすることができる。
 なお,切欠き112,122は,軸Ax10に沿って,誘電体 振器111,121を軸Ax10に向かって深さH11,H12研磨 ることで形成できる。

 信号端子14,15は信号を入出力する端子であ 。ここでは,信号端子14,15をそれぞれ,信号入 端子(電気信号入力部と称することがある), 号出力端子(電気信号出力部と称することが ある)とする。
 信号端子14,15は,誘電体共振器111,121の側面に 対向する端部を有する。信号端子14,15はそれ れ,誘電体共振器111,121と電界により結合さ る。信号端子14から誘電体共振器111に電界を 印加できる(信号端子14から誘電体共振器フィ ルタ100への信号の入力)。また,誘電体共振器1 21から信号端子15に電界を印加できる(誘電体 振器フィルタ100から信号端子15への信号の 力)。

 信号端子14,15はそれぞれ,誘電体共振器111, 121の側面に対向して,軸Ax10から軸Ax10に垂直な 方向A14,A15に配置される。この方向A14,A15は,信 号端子14,15の端部の中心を基準として規定す ことができる。方向A14,A15は,軸Ax10に垂直な 向A10からの角度θ14,θ15によって規定するこ ができる。

 信号端子14,15の方向A14,A15それぞれと,切欠 き112,122の方向A11,A12のなす角度θ18,θ19(θ18=θ14 -θ11,θ19=θ15-θ12)が,「略45°±90°×n」であるこ が好ましい(n:整数)。言い換えれば,信号端 14,15の方向A14,A15と,切欠き112,122の方向A11,A12 が平行,垂直でないことが好ましい。方向A14, A15を方向A11,A12の斜方向とすることで,誘電体 振器111,121内でのモード結合を大きくするこ とができるためである。方向A14,A15を方向A11,A 12に対して平行,垂直とすると,信号端子14,15か らの電界によって誘電体共振器111,121内に励 される共振モードEH1は,これと直交する共振 ードEH2と事実上結合しない。

 信号端子14,15は,軸Ax10を基準として,互い 略90°の整数倍の角度φ(=θ15-θ14)をなすよう 配置される。例えば,信号入出力のための配 の取り回しの関係で信号端子14,15が略同一 向(略平行)となるように配置される。誘電体 共振器111,121がE-Hモードで共振される関係で, 度θ19が略90°の整数倍となる。

 図54は,誘電体共振器フィルタ100の等価回 を表す回路図である。誘電体共振器111,121そ れぞれでの2重のEHモードに対応して,容量素 (コンデンサ)C111,C112,C121,C122,インダクタンス 子(コイル)L111,L112,L121,L122が4つの共振器(C111- L111,C112-L112,C121-L121,C122-L122)を構成する。誘電 共振器111,121それぞれ内の共振器は容量素子 C113,C123で結合される。容量素子C113,C123はそれ ぞれ,切欠き112,122に対応する。

 容量素子C14は,信号端子14と誘電体共振器1 11間での容量結合に対応する。容量素子C15は, 信号端子15と誘電体共振器121間での容量結合 対応する。容量素子C16は,誘電体共振器111,12 1間の容量結合に対応する。即ち,ここでは,誘 電体共振器111,121間が容量で結合される例を している。誘電体共振器111,121間にスリット 配置すれば、共振器111,121間は誘導結合され ,容量素子C16はインダクンス素子L16で置換さ る。

(実施例)
 上記実施形態の誘電体共振フィルタ100での 験結果につき説明する。なお,本実験におい て,各誘電体共振器111,121および切欠き112,122を 次のように規定した。
 ・誘電体共振器111,121の構成材料: チタン酸 カルシウム(比誘電率εr=44 )
 ・誘電体共振器111,121の直径D11,D12: 37mm
 ・誘電体共振器111,121の長さL11,L12:  10mm
 ・切欠き112,122の深さH11,H12:      1.75mm

 切欠き112,122,信号端子14,15の角度(θ11,θ12,θ14 ,θ15)と誘電体共振器フィルタ100の特性との対 応関係を調べた。
 表1,表2,図55~図58は,信号端子14,15の角度(θ14, 15)を一定とし,切欠き112,122の角度(θ11,θ12)を 化させたときの誘電体共振器フィルタ100の 性を表す。図55~58のグラフの縦軸が透過信 の強度[dB],横軸が周波数[GHz]を表す。

 表1,2に示すように,試料G12,G14,G21,G23,G32,G34, G41,G43において,他の試料(試料G11,G13,G22,G24,G31,G 33,G42,G44)よりも波形が急峻となり,減衰極によ る狭帯域化が図られた。このとき,角度θ11,θ1 2の差θ16(θ12-θ11)の絶対値が90°であった。

 以上のように,誘電体共振器111,121に切欠 112,122を配置し,軸Ax10から切欠き112,122に向か 方向A11,A12の絶対値が略90°とすることで,誘 体共振器フィルタ100の狭帯域化を図ること できる。

(第6の実施形態)
 図59は,本発明の第6の実施形態における誘電 体共振器フィルタ200の斜視図である。図60~図 62はそれぞれ,上段,中断,下段の誘電体共振器2 11~231を軸Ax20の方向から見た状態を表す平面 である。

 誘電体共振器フィルタ200は,所望の周波数 帯域の信号を通過させる帯域通過フィルタと して機能し,外部導体201,隔壁210,220,誘電体共 器211~231,信号端子24,25を有する。

 外部導体201は,略筒状であり,空洞(キャビテ )202を有する。なお,見やすさのために外部 体101は仮想線(二点鎖線)で表されている。
 本実施形態では,この空洞202を円柱形状とし ている。但し,空洞202を他の形状,例えば,角柱 形状としても良い。なお,空洞202の中心軸が 述の軸Ax20と一致することが好ましい。

 隔壁210,220は,空洞202を3つの区画に区切り, 誘電体共振器211~231それぞれが個別の区画に 置されるようにする。隔壁210,220には誘電体 振器211~231を電気的に結合するためのスロッ ト(図示せず)が形成される。

 誘電体共振器211~231は,柱状または板状の誘 体材料から構成され,空洞102内に,互いに略同 軸(軸Ax20)に配置される。即ち,誘電体共振器21 1~231それぞれの底面(ここでは,円形)の中心C201 ~C203が軸Ax10とほぼ一致する。
 本実施形態では,誘電体共振器211~231を円柱 状としている。但し,円柱形状に換えて,楕円 柱形状,角柱形状を採用しても良い。これら 誘電体共振器211~231はそれぞれ図示しないア ミナなどからなる支持台に固定される。

 誘電体共振器211~231はそれぞれ,所望の周 数帯域において2重のEHモードで共振するよ に寸法が規定される。即ち,誘電体共振器211~ 231内で,互いの電場,磁場が直交する2つの共振 モード(EH1,EH2モード)が共存可能である。誘電 体共振器211~231全体として,6つの振動が共存し 得る。

 誘電体共振器211~231は,互いの底面が対向 るように配置されることで,隔壁210,220のスロ ットを介して電気的に結合される。

 誘電体共振器211~231はそれぞれ,切欠き212~2 32を有する。この切欠きは,誘電体共振器211~23 1それぞれ内での2つの共振モード(EH1,EH2モー )を結合させるためのものである(モード結合 )。

 切欠き212~232はそれぞれ,誘電体共振器211~2 31上に,軸Ax20から見て,軸Ax20に垂直な方向A21~A2 3に配置される。この方向A21~A23は,切欠き212~23 2の面S21~S23(誘電体共振器211~231が切り欠かれ 断面)の中心C21~C23(重心)を基準として規定す ことができる。方向A21~A23は,軸Ax20に垂直な 向A20からの角度θ21~θ23によって規定するこ ができる。

 本実施形態では,切欠き212~232の面S21~S23は,図 63の左右に平行な辺を有する平面形状(矩形) ある。但し,面S21~S23として,これ以外の形状, えば,曲面を採用することができる。切欠き 212~232(面S21~S23)の形状を特定しなくとも,誘電 共振器211~231内でモード結合が生じるからで ある。
 なお,切欠き212~232は,軸Ax20に沿って,誘電体 振器211~231を軸Ax20に向かって深さH21~H23研磨 ることで形成できる。

 信号端子24,25は信号を入出力する端子であ 。ここでは,信号端子24,25をそれぞれ,信号入 端子,信号出力端子とする。
 信号端子24,25は,誘電体共振器211,231の側面に 対向する端部を有する。信号端子24,25はそれ れ,誘電体共振器211,231と電界により結合さ る。

 信号端子24,25はそれぞれ,誘電体共振器211, 231の側面に対向して,軸Ax20から軸Ax20に垂直な 方向A24,A25に配置される。この方向A24,A25は,信 号端子24,25の端部の中心を基準として規定す ことができる。方向A24,A25は,軸Ax20に垂直な 向A20からの角度θ24,θ25によって規定するこ ができる。

 信号端子24,25の方向A24,A25それぞれと,切欠 き212,232の方向A21,A23のなす角度θ28,θ29(θ28=θ24 -θ21,θ29=θ25-θ22)が,「略45°±90°×n」であるこ が好ましい(n:整数)。

 信号端子24,25は,軸Ax20を基準として,互い 略90°の整数倍の角度φ(=θ25-θ24)をなすよう 配置される。例えば,信号入出力のための配 の取り回しの関係で信号端子24,25が略直交 るように配置される。

 図63は,誘電体共振器フィルタ200の等価回 を表す回路図である。誘電体共振器211~231そ れぞれでの2重のEHモードに対応して,容量素 (コンデンサ)C211,C212,C221,C222,C231,C232,インダク タンス素子(コイル)L211,L212,L221,L222,L231,L232が6 の共振器を構成する。誘電体共振器211~231そ れぞれ内の共振器は容量素子C213~C233で結合さ れる。容量素子C213~C233はそれぞれ,切欠き212~2 32に対応する。

 容量素子C24は,信号端子24と誘電体共振器2 11間での容量結合に対応する。容量素子C25は, 信号端子25と誘電体共振器231間での容量結合 対応する。インダクタンス素子L26,L27はそれ ぞれ,誘電体共振器211~231間の誘導結合に対応 る。この例では,隔壁210,220のスロットによ 誘電体共振器211~231間が誘導結合する。

(実施例)
 上記実施形態の誘電体共振器フィルタ200で 実験結果につき説明する。なお,本実験にお いて,各誘電体共振器211~231および切欠き212~232 を次のように規定した。
 ・誘電体共振器211~231の構成材料: チタン酸 カルシウム(比誘電率εr=44 )
 ・誘電体共振器211~231の直径D21~D23: 37mm
 ・誘電体共振器211~231の長さL21~L23:  10mm
 ・切欠き212~232の深さH21~H23:      1.75mm

 切欠き212~232,信号端子24,25の角度(θ11,θ12,θ14 ,θ15)と誘電体共振器フィルタ200の特性との対 応関係を調べた。
 図64,図65はそれぞれ,切欠き212~232の角度(θ21, θ22,θ23)を(0°,0°,0°),(0°,0°,90°)としたときの 電体共振器フィルタ200の特性を表す。なお, 減衰極の位置を下向きの矢印で表している。

 図64,図65において,2つの減衰極が出現し, に,図65において波形が急峻であった。この き,角度θ22,θ21の差θ26(θ22-θ21),角度θ23,θ21の 差θ27(θ23-θ21)はそれぞれ,0°,90°であった。

 以上のように,誘電体共振器211~231に切欠 212~232を配置し,軸Ax20から切欠き212~232に向か 方向A21~A23のなす角度差θ25,差θ26をそれぞれ ,0°,90°とすることで,誘電体共振器フィルタ20 0の狭帯域化を図ることができる。

(変形例)
 以下,変形例として,第1,第6の実施形態にお て,誘電体共振フィルタまたは切り欠きの形 を変化させた場合を説明する。以下に示す うに,これらの形状が異なっていても切り欠 きの角度を適切に規定することで,減衰極を 生させ,特性の狭帯域化を図ることができる

A.変形例1
 第5の実施形態において誘電体共振フィルタ の切欠きの形状を変化させた場合につき説明 する。本発明の第5の実施形態の変形例(変形 1)における誘電体共振器フィルタ100Aは,上段 ,下段の誘電体共振器111A,121Aを有する。図66A, 66Bはそれぞれ,誘電体共振器111A,121Aを軸方向 から見た状態を表す平面図である。

 ここで,誘電体共振器111A,121Aはそれぞれ,切 き112A,122Aを有する。第5の実施形態において, 切欠き112,122は平面形状の面S11,S12を有してい 。これに対し,変形例1では,切欠き112A,122Aは れぞれ,1の底面および2つの側面を有する略 方体形状の溝である。
 なお,誘電体共振器フィルタ100Aは,切欠き112A ,122Aの形状以外の点では,誘電体共振器フィル タ100と実質的な相違が無いので,斜視図を省 することとする。

 上記変形例1での実験結果につき説明する。 なお,本実験において,各誘電体共振器111A,121A よび切欠き112A,122Aを次のように規定した。
 ・誘電体共振器111A,121Aの構成材料: チタン カルシウム(比誘電率εr=44 )
 ・誘電体共振器111A,121Aの直径D11A,D12A: 37mm
 ・誘電体共振器111A,121Aの長さL11A,L12A:  10mm
 ・切欠き112A,122Aの深さH11A,H12A:      2.1mm
 ・切欠き112A,122Aの幅D11A,D12A:        3.0mm

 図67は,表1,表2のG14(θ11=0°,θ12=270°),G41(θ11= 270°,θ12=0°)それぞれと同一の角度条件のとき の誘電体共振器フィルタ100AのグラフGA1,GA2を す。図67のグラフの縦軸が透過信号の強度[d B],横軸が周波数[GHz]を表す。グラフGA1,GA2はほ ぼ重なり,いずれも1.92GHz付近に減衰極を有す (矢印で図示)。

B.変形例2
 第5の実施形態において誘電体共振フィルタ の形状を変化させた場合につき説明する。本 発明の第5の実施形態の変形例(変形例2)にお る誘電体共振器フィルタ100Bは,上段,下段の 電体共振器111B,121Bを有する。図68A,図68Bはそ ぞれ,誘電体共振器111B,121Bを軸方向から見た 状態を表す平面図である。

 ここで,誘電体共振器111B,121Bはそれぞれ,切 き112B,122Bを有する。第5の実施形態において, 誘電体共振器111B,121Bは円柱形状である。これ に対し,変形例2では,誘電体共振器111B,121Bはそ れぞれ,正4角柱形状である。
 なお,誘電体共振器フィルタ100Bは,誘電体共 器111B,121Bの形状以外の点では,誘電体共振器 フィルタ100と実質的な相違が無いので,斜視 を省略する。

 上記変形例2での実験結果につき説明する。 なお,本実験において,各誘電体共振器111A,121A よび切欠き112B,122Bを次のように規定した。
 ・誘電体共振器111B,121Bの構成材料: チタン カルシウム(比誘電率εr=44 )
 ・誘電体共振器111B,121Bの辺の長さX11B,X12B:26m m
 ・誘電体共振器111B,121Bの長さL11B,L12B:   10m m
 ・切欠き112B,122Bの深さH11B,H12B:        6m m

 図69は,表1,表2のG14(θ11=0°,θ12=270°),G41(θ11= 270°,θ12=0°)それぞれと同一の角度条件のとき の誘電体共振器フィルタ100BのグラフGB1,GB2を す。図69のグラフの縦軸が透過信号の強度[d B],横軸が周波数[GHz]を表す。グラフGB1,GB2はそ れぞれ,2.06GHz付近に1つおよび2つの減衰極を する(矢印で図示)。

C.変形例3
 第6の実施形態において誘電体共振フィルタ の切欠きの形状を変化させた場合につき説明 する。本発明の第6の実施形態の変形例(変形 3)における誘電体共振器フィルタ200Aは,誘電 体共振器211A~231Aを有する。

 ここで,誘電体共振器211A~231Aはそれぞれ,切 き212A~232Aを有する。切欠き212A~232Aはそれぞ ,変形例1と同様,1の底面および2つの側面を有 する略直方体形状の溝である。
 なお,誘電体共振器フィルタ200Aは,誘電体共 器の個数以外の点では,誘電体共振器フィル タ100Aと実質的な相違が無いので,図示を省略 ることとする。

 上記変形例3での実験結果につき説明する 。なお,本実験において,各誘電体共振器211A~23 1Aおよび切欠き212A~232Aそれぞれを第1の変形例 と同様に規定した。

 図70は,切欠き212~232の角度(θ21,θ22,θ23)を(0 °,0°,0°),(0°,0°,90°)としたときの誘電体共振 フィルタ200Aの特性(グラフGC1,GC2)を表す。グ ラフGC1は,1.75GHzおよび2.19GHz近傍,グラフGC2は,1 .86GHzおよび2.27GHz近傍にそれぞれ2つの減衰極 有する(矢印で図示)。

D.変形例4
 第6の実施形態において誘電体共振フィルタ の形状を変化させた場合につき説明する。本 発明の第6の実施形態の変形例(変形例4)にお る誘電体共振器フィルタ200Bは,誘電体共振器 211B~231Bを有する。誘電体共振器211B~231Bはそれ ぞれ,切欠き212B~232Bを有する。

 ここで,誘電体共振器211B~231Bはそれぞれ,変 例2と同様,正4角柱形状である。
 なお,誘電体共振器フィルタ200Bは,誘電体共 器の個数以外の点では,誘電体共振器フィル タ100Bと実質的な相違が無いので,図示を省略 ることとする。

 上記変形例4での実験結果につき説明する 。なお,本実験において,各誘電体共振器211B~23 1Bおよび切欠き212B~232Bを第2の変形例と同様に 規定した。

 図71はそれぞれ,切欠き212~232の角度(θ21,θ2 2,θ23)を(0°,0°,0°),(0°,0°,90°)としたときの誘 体共振器フィルタ200Cの特性(グラフGD1,GD2)を 表す。グラフGD1は,1.78GHzおよび2.04GHz近傍,グ フGD2は,1.66GHzおよび2.07GHz近傍にそれぞれ2つ 減衰極を有する(矢印で図示)。

(その他の実施形態)
 本発明の実施形態は上記の実施形態に限ら ず拡張,変更可能であり,拡張,変更した実施 態も本発明の技術的範囲に含まれる。

 既述のように,誘電体共振器および切欠き には種々の形状が適用できる。上記実施形態 に示したように,誘電体共振器として,円柱,正 4角柱を利用できる。これに加えて,これらの 間的な形状,例えば,八角柱,楕円柱を利用で る。柱状以外に板状も利用できる。上記実 形態に示したように,切欠きとして,平板状, 形状を利用できる。また,複数の誘電体共振 器間で別形状を用いることも可能である。誘 電体共振器間での電磁的な結合は,誘電体共 器間に配置するスタッドあるいはスロット 影響が大きく,誘電体共振器あるいは切り欠 自体の形状は電磁的な結合への影響がそれ ど大きくないと考えられる。

 角度関係には,多少の幅が認められる。例 えば,切欠き111,121の方向A11,A12のなす角度θ16( 12-θ11)は90°を中心として,実質的に±10°(好ま しくは,±5°)程度の幅が認められ,この範囲で 電体共振器フィルタ100の狭帯域化を図るこ ができる。他の角度についても同様の幅が められた。

 ところで、一般に、携帯電話等の基地局 は共振器フィルタが組み込まれている。こ ような共振器フィルタを小型かつ高性能に 成するため、複数の共振モードを励振させ 複数の周波数に対応可能な多重モード共振 が注目されている。このような多重モード 振器としては、その基本形状に円柱を用い 構造あるいは直方体を用いる構造など、種 の構造が提案されている(例えば、特開昭57- 194603号公報、特開昭61-121502号公報参照)。直 体形状を用いる構造で複数の共振モードを 振させるためには、複数の直方体を組み合 せた構造か、直方体の一部を3次元的に削除 た構造を採用する必要がある。また、円柱 状を用いる構造で複数の共振モードを励振 せるためには、共振器本体の特性調整のた のネジ部材や円柱穴等を設けた構造を採用 る必要がある。

 しかし、上述の多重モード共振器のうち 方体形状を用いる構造は、製造時に所望の ィルタ特性を調整するために複雑な形状を たせる必要があるので、製造コストの上昇 つながる。これに対し、上述の多重モード 振器のうち円柱構造を用いる構造は、共振 本体の構造は比較的単純で製造は容易であ 。しかし、上記の特性調整用の構造を設け ことを前提とすると、ネジ部材により伝送 号の損失が増大する恐れや、円柱穴を形成 るための複雑な加工などの問題がある。さ に、上記の特性調整用の構造を用いて多重 ード共振器の周波数調整を行うことは、設 条件に応じて複数の周波数が複雑に変化す ので、単一モードの共振器に比べて所望の ィルタ特性を実現することは容易ではない

 そこで、本発明は、さらに、比較的簡単 構造で伝送損失が少なく所望の特性を容易 調整可能な多重モード誘電体共振器を提供 ることを目的としている。

 上記課題を解決するために、本発明の誘 体共振器は、外部導体に囲まれたキャビテ ー内に固定され、複数の共振モードを励振 る柱状の誘電体共振素子と、前記誘電体共 素子の上面または底面に対向配置され、前 誘電体共振素子との距離を調整可能に構成 れた誘電体調整片とを備えて構成される。

 本発明の誘電体共振器によれば、柱状の 電体共振素子が複数の共振モードを励振し それに対応する周波数特性が伝送信号に付 される。そして、誘電体調整片を変位させ 誘電体共振素子との距離を調整することに り、最適な周波数特性を設定することがで る。従って、周波数特性を調整するための ジ部材や円柱穴などの特殊な構造を設ける 要がなく、複雑な加工が不要で複数の周波 を容易に調整可能な多重モード誘電体共振 を実現することができる。

 本発明において、前記誘電体共振素子の 部を切削することにより、前記複数の共振 ードを励振し、周波数特性に減衰極を持た てもよい。これにより、誘電体共振素子の 削面と電気信号入力部および電気信号出力 の位置関係に応じた複数の共振モードに対 する周波数特性を容易に実現することがで る。

 本発明において、前記誘電体共振素子の 面側の前記外部導体に電気信号入力部およ 電気信号出力部を取り付け、前記誘電体共 素子の円形断面内で中心軸から前記電気信 入力部と前記電気信号出力部をそれぞれ結 方向が互いに直交するとともに、当該2つの 方向に対し前記誘電体共振素子の切削された 面の法線が略45度の角度をなすように構成し もよい。これにより、電気信号入力部およ 電気信号出力部に対する切削面の配置の対 性から、2つの周波数を容易に調整可能な多 重モード誘電体共振器実現することができる 。

 本発明において、前記誘電体共振素子は 円柱状に形成してもよい。また、本発明に いて、前記誘電体共振素子は、多角形の断 形状を有するように形成してもよい。この 合、前記断面形状は、八角形としてもよい

 本発明において、前記誘電体調整片は、 記誘電体共振素子と同一の中心軸に配置さ た円柱状として構成してもよい。この場合 前記誘電体調整片は、前記誘電体共振素子 同一の誘電体材料を用いて形成してもよい

 本発明において、前記誘電体共振素子は 第1の周波数および当該第1の周波数より高 第2の周波数の前記共振モードをそれぞれ励 し、前記誘電体調整片の調整により、前記 1の周波数および前記第2の周波数がそれぞ 変化する一方、前記第1の周波数および前記 2の周波数の結合係数が一定に保たれるよう に構成してもよい。よって、第1の周波数と 2の周波数を連動して変化させることができ ので、通過周波数を自在に可変可能なフィ タ特性を容易に実現することができる。

 一方、本発明の多重モード誘電体共振器 調整方法は、第1の周波数および当該第1の 波数より高い第2の周波数の前記共振モード それぞれ励振する前記誘電体共振素子に対 、前記誘電体調整片を調整し、前記第1の周 波数および前記第2の周波数の結合係数を一 に保ちつつ、前記第1の周波数および前記第2 の周波数をそれぞれ変化させて周波数特性を 調整するものである。

 以上説明したように本発明によれば、柱 の誘電体共振器本体と、その上面または底 に対向配置される誘電体調整片を用いて多 モード誘電体共振器を構成したので、複数 共振モードが励振される周波数特性を簡単 構成で実現するとともに、誘電体共振器本 と誘電体調整片の距離の調整により周波数 性を容易に制御可能となる。この場合、誘 体共振器本体の一部を切削し、伝送信号の 出力用の各端子を適切に配置すれば、複数 共振モードに対応する各周波数を連動して 化させることができる。すなわち、結合係 を一定に保ちながら2つの周波数が同方向に 変化するフィルタ特性を実現できる。このよ うに本発明により、周波数調整用の複雑な加 工を不要として良好な製造性を確保し、伝送 損失が少なく高精度の周波数特性を容易に調 整でき、多様なフィルタに応用可能な多重モ ード誘電体共振器を実現することが可能とな る。

 本発明の実施形態について図面を参照し がら説明する。以下では、2つの共振モード (2重モード)に対応して周波数特性に2つのピ クを有する誘電体共振器に対して本発明を 用する場合に関し、構造が異なる2つの実施 態を説明する。

 (第7の実施形態)
 第7の実施形態の誘電体共振器の構造につい て図72および図73を用いて説明する。図72は、 第7の実施形態の誘電体共振器の上面図であ 、図73は、図72の誘電体共振器の側面図であ 。図72および図73に示されるように、第7の 施形態の誘電体共振器は、誘電体共振器本 (誘電体共振素子と称することがある)10と、 体ケース11と、支持台12と、入力端子(電気 号入力部と称することがある)13と、出力端 (電気信号出力部と称することがある)14と、 電体調整片15と、支持棒16とを備えて構成さ れる。

 誘電体共振器本体310は、円柱の一部が切 された形状を有し、円筒状の導体ケース11 囲まれたキャビティー内の略中心部に配置 れている。誘電体共振器本体310の底面は、 体ケース11に取り付けられた支持台312により 固定されている。誘電体共振器本体310は、所 定の比誘電率を有する誘電体材料を用いて形 成されている。誘電体共振器本体310と外部空 間の間は、周囲の導体ケース311により電気的 に遮断された状態にある。また、支持台312は 、例えばアルミナ等で形成され、円筒状の形 状を有する。

 入力端子313および出力端子314は、それぞ 導体ケース311の側面に取り付けられている 入力端子313は、外部から供給される入力信 が供給される端子であり、出力端子314は、 数の共振モードで励振された出力信号を外 に出力する端子である。図72の下部に便宜 X軸とY軸を示しているが、誘電体共振器本体 310の中心軸から見て、入力端子313の位置はX 向に配置されるとともに、出力端子314の位 はY方向に配置されている。すなわち、入力 子313と出力端子314は、誘電体共振器本体310 円形断面を含む平面内で、互いに直交する 置関係にある。なお、入力端子313および出 端子314を、互いに入れ替えて配置した構成 してもよい。

 誘電体共振本体310の切削面310aは、その法 線が水平面内において上記X軸とY軸のそれぞ に対し45度の角度をなすよう形成されてい 。このような角度で切削面310aを形成するこ は、誘電体共振器本体310が2つの共振モード を励振するための構造の一例である。図72に す切削面310aの切削量H、すなわち、切削前 誘電体共振器本体310の円形断面の外周位置 ら切削面310a中央位置までの距離は、共振モ ドの特性に大きく影響するので、所望の特 が得られる最適な切削量Hを定めることが望 ましい。

 誘電体調整片315は、誘電体共振器本体310 上面に対向配置され、誘電体共振器本体310 中心軸が一致する円柱状の形状を有する。 7の実施形態においては、誘電体調整片315の 円形断面の直径が誘電体共振器本体310より十 分小さく設定されるとともに、誘電体調整片 315は誘電体共振器本体310と同一の誘電体材料 を用いて形成される。また、誘電体調整片315 の上部には支持棒316が取り付けられ、誘電体 調整片315の垂直方向の位置を支持棒316により 変化させることができる。これにより、誘電 体共振器本体310と誘電体調整片315の間の距離 D(図73参照)を自在に調整可能である。

 第7の実施形態の構成において、入力端子 313および出力端子314の各配置と切削面310aの 置は垂直方向に沿って対称的な関係にある で、誘電体調整片315が垂直方向に変位した き、2つの共振モードの電界に対して概ね等 い作用を与える。その結果、2つの共振モー ドに対応する2つの周波数が連動して変化す ことになるが、この点について詳細は後述 る。

 次に図74は、第7の実施形態の誘電体共振 の等価回路を示す図である。図74に示す等 回路は、入力端子313と出力端子314の間に直 接続されたキャパシタンスC3、C4、C5と、ノ ドN1とグランドの間に並列接続されたキャパ シタンスC1およびインダクタンスL1と、ノー N2とグランドの間に並列接続されたキャパシ タンスC2およびインダクタンスL2により構成 れる。

 キャパシタンスC1およびインダクタンスL1 は、誘電体共振器の一方の共振モードに対応 する共振回路を構成する。また、キャパシタ ンスC2およびインダクタンスL2は、誘電体共 器の他方の共振モードに対応する第2の共振 路を構成する。キャパシタスC3は、入力端 313と第1の共振回路の間の結合容量であり、 ャパシタンスC5は、出力端子314と第2の共振 路の間の結合回路である。さらに、キャパ タンスC4は、切削面310aにより形成される断 結合容量である。

 図74に示される各回路素子の定数は、誘 体共振器を構成する部材の材料やサイズに 存して変化する。特に、誘電体共振器本体31 0に形成される切削面310aの位置およびサイズ より、キャパシタンスC1、C2、C4とインダク ンスL1、L2のそれぞれの値が変化して共振モ ードの特性を左右するので、最適な切削面310 aを形成することが重要となる。

 次に、第7の実施形態の誘電体共振器の特 性について、図75~図77を参照して説明する。 こで、誘電体共振器本体310と誘電体調整片3 15のサイズとしては、例えば、誘電体共振器 体310は、直径が約40mmで高さが約10mm、誘電 調整片315は、直径が約10mmで高さが約0.25mmに 定され、誘電体調整片315の調整範囲は、誘 体共振器本体310との間の距離Dが1~5mmの範囲 変位する場合を想定する。

 図75は、誘電体共振器における伝送信号 周波数特性を示している。2GHz近辺の比較的 い周波数範囲において、入力端子313から出 端子314に伝送される信号の損失をグラフで している。また、図75においては、上述の 離Dとして3通りの場合(D=1、3、5mm)のそれぞれ の周波数特性を比較して示している。図75か わかるように低周波数側の第1の周波数と、 高周波側の第2の周波数で、それぞれ損失が0( dB)に近接するピークを有し、それ以外の周波 数では損失が大きくなる。

 図75の周波数特性における2つのピークは 誘電体共振器の2つの共振モードに対応して 生じるものである。第1の周波数をFL、第2の 波数をFHとしたとき、両者の間には200MHz程度 の周波数差がある。そして、誘電体調整片315 の距離Dが、1mm、3mm、5mmと増加していくにつ 、その周波数特性における第1および第2の周 波数FL、FHは、ともに高くなることがわかる

 また、図75の周波数特性には、上記周波 FL、FHの上向きの2つのピーク以外に、下向き のピークが存在する。これらの周波数特性の 下向きのピークは、減衰極と呼ばれる。一般 に、フィルタ特性には急峻さが要求されるの で、減衰極が存在することは好ましい。周波 数特性の減衰極は、誘電体共振器本体310に形 成される切削面310aの位置に応じて発生させ ことができる。

 図76は、距離Dの変化と周波数特性の関係 示している。図76に示すように、第1の周波 FLおよび第2の周波数FHに加え、これらの平 周波数FA(FA=(FL+FH)/2)の距離Dに対する変化をグ ラフで示している。上述の周波数特性を反映 して、距離Dが大きくなるにつれて各周波数FL 、FH、FAが緩やかに増加することがわかる。 た、各周波数FL、FH、FAの距離Dに対する変化 同様の傾向で互いに連動しているが、これ 上述したように2つの共振モードに対する誘 電体調整片315の変位の作用に基づいている。

 図77は、距離Dの変化と上述の平均周波数F Aおよび結合係数kの関係を示している。ここ 、結合係数kは、k=(FH-FK)/FAで求められ、第1 周波数FLと第2の周波数FHが相対的に離れてい る度合いを表す量である。なお、図77の周波 軸は、平均周波数FAの変化を拡大して示す め、図76よりも狭い範囲のスケールで表され る。平均周波数FAは、距離Dが小さいほど増加 量が大きく、D=5mmで最大となることがわかる また、結合係数kは、距離Dの全ての範囲内 安定的に約0.01の値を保つことがわかる。

 図77の例では結合係数kが約0.01の値を保っ ているが、誘電体共振器本体310に対する切削 量H(図72)を変えることにより異なる結合係数k を設定可能である。図77を基準に結合係数kを 大きくする場合は切削量Hを増加させ、結合 数kを小さくする場合は切削量Hを減少させれ ばよい。設定すべき結合係数kの適正な値は 第7の実施形態の誘電体共振器を組み込む回 において必要な周波数特性に応じて定まる

 なお、図75~図77においては、第7の実施形 の誘電体共振器を用いて得られる特性の一 を示したものであり、実際には設計条件に じて多様な特性を実現することができる。 に、誘電体共振器本体310と誘電体調整片315 それぞれのサイズについては周波数特性に える影響が大きいので、所望の設計条件を 適に設定することが望ましい。

 以上説明したように、第7の実施形態の誘 電体共振器が図75~図77に示す特性を有するの 、結合係数kを一定に維持しながら、誘電体 調整片315により第1および第2の周波数FL、FHを 連動して調整することが可能となる。例えば 、本実施形態の誘電体共振器を用いてフィル タを構成すれば、第1および第2の周波数FL、FH を含む通過周波数帯域を自在に可変させるこ とができる。この場合、距離Dの変化に対し 各周波数FL、FH、FA(図77)をきめ細かく変化さ ることができるので、高精度な周波数調整 可能な帯域可変型フィルタへの応用が容易 なる。また、周波数調整の手段として垂直 向に変位可能な誘電体調整片315を用いたの 、ネジ部材や円柱穴等の構造を採用する場 の伝送信号の損失や加工の困難性等を避け ことができる。

 次に、第7の実施形態の変形例について説 明する。図78は、第7の実施形態の変形例に係 る誘電体共振器の上面図であり、図79は、図7 8の誘電体共振器の側面図である。図78および 図79に示すように、第7の実施形態の変形例は 、図72および図73に示す誘電体共振器本体310 構造を変更したものである。図79において、 誘電体共振器本体10の切削面310bは、側面方向 から見て凹状の断面に形成されている。すな わち、誘電共振器本体310の側面のうち、中心 軸方向の中央付近が部分的に切削され、上面 側と底面側は切削されていない。なお、図78 よび図79において、誘電体共振器本体310と の切削面310b以外は、図72および図73と同様の 構造となっている。図78および図79の切削面31 0bの構造は一例であって、凹状の断面の位置 幅については変更可能である。第7の実施形 態の変形例において、図78および図79の切削 310bを形成する場合であっても、寸法条件等 適切に設定すれば、図75~図77に示すような 性を実現することができる。

 (第8の実施形態)
 次に、第8の実施形態の誘電体共振器の構造 について図80および図81を用いて説明する。 80は、第8の実施形態の誘電体共振器の上面 であり、図81は、図80の誘電体共振器の側面 である。第8の実施形態の誘電体共振器は、 第7の実施形態とは異なる形状の誘電体共振 本体320を備えている。なお、導体ケース311 支持台312、入力端子313、出力端子314、誘電 調整片315、支持棒316については、第7の実施 態と同様の構造となっている。

 図80に示すように、第8の実施形態の誘電 共振器本体320は、円柱ではなく八角形の断 形状を有し、その中心軸が図72と同様の位 となるように配置されている。また、図80の 誘電体共振器本体320において、中心軸から見 て図72の切削面310aと同じ方向の一辺に切削面 320aが形成されている。誘電体共振器本体320 断面内では、切削面320aの側の一辺が他の辺 比べて距離H’だけ中心軸との距離が近くな っている。また、誘電体調整片315については 、図72と同様の構造であり、支持棒316を誘電 共振器本体320の中心軸方向の回転軸に対し 回転させることで誘電体共振器本体320との 離D(図81)を調整することができる。

 次に、第8の実施形態の誘電体共振器の特 性について、図82および図83を参照して説明 る。図82は、第8の実施形態の誘電体共振器 おいて、第7の実施形態の図75と同様、伝送 号の周波数特性をグラフに示している。図82 においては、上述の距離Dとして、D=1mmと、D=4 .5mmの2通りの周波数特性を比較して示してい 。図82からわかるように低周波数側と高周 側でそれぞれピークを有する点については 図75と同様となる。なお、図82では、各ピー が現れる周波数や減衰領域の特性が図75と なっているが、これは各構成部材のサイズ の条件の相違によるものである。

 図83は、第8の実施形態の誘電体共振器に いて、第7の実施形態の図77と同様、距離Dの 変化と平均周波数FAおよび結合係数kの関係を 示している。図83からわかるように、距離Dが 増加するほど平均周波数FAが増加するととも 、結合係数kは距離Dが変化しても、ほぼ一 値を保つ。このように、図83の特性は、第7 実施形態の図77とほぼ同様の傾向で変化する 。

 次に、第8の実施形態の変形例について説 明する。図84は、第8の実施形態の変形例に係 る誘電体共振器の上面図であり、図85は、図8 4の誘電体共振器の側面図である。図84および 図85に示すように、第8の実施形態の変形例は 、図78および図79に示す第7の実施形態の変形 と同様の観点から、誘電体共振器本体320の 造を変更したものである。図85において、 電体共振器本体320の切削面20bは、図79と同様 、側面方向から見て凹状の断面に形成されて いる。なお、図84および図85において、誘電 共振器本体320とその切削面320b以外は、図80 よび図81と同様の構造となっている。図84お び図85の切削面320bの構造は一例であって、 状の断面の位置や幅については変更可能で る。

 次に、第8の実施形態の変形例に係る誘電 体共振器の特性について、図86および図87を 照して説明する。図86は、第8の実施形態の 形例において、図82と同様、伝送信号の周波 数特性をグラフに示している。図86において 、上述の距離Dとして、D=1mmと、D=4mmの2通り 周波数特性を比較して示している。図86の 性についても、図82の場合とほぼ同様の傾向 が現れることがわかる。

 図87は、第8の実施形態の変形例に係る誘 体共振器において、図83と同様、距離Dの変 と平均周波数FAおよび結合係数kの関係を示 ている。図87の特性についても、図83の場合 とほぼ同様の傾向が現れることがわかる。

 上述の2つの実施形態に基づいて本発明の 内容を具体的に説明したが、本発明は上記各 実施形態の限定されるものではなく、その要 旨を逸脱しない範囲で種々の変更を施すこと ができる。例えば、上記各実施形態では、誘 電体調整片315が誘電体共振器本体310、320の上 面に対向配置される場合を説明したが、支持 台312の構造を変えることで、誘電体調整片315 が誘電体共振器本体310、320の底面に対向配置 される構造としてもよい。この場合の作用効 果は、他の条件が同じである場合、概ね上記 各実施形態と同様である。また、上記各実施 形態では、誘電体調整片315が誘電体共振器本 体310より小さい直径の柱状に形成される場合 を説明したが、誘電体調整片315を他の形状で 形成することを排除するものではない。例え ば、断面が多角形の組み合わせからなる形状 で誘電体調整片315を形成してもよい。さらに 、上記各実施形態では、誘電体調整片315が誘 電体共振器本体310、320と同一の誘電体材料を 用いて形成される場合を説明したが、誘電体 共振器本体310、320と比誘電率が異なる誘電体 材料を用いて誘電体調整片315を形成してもよ い。

 一方、上記各実施形態では、誘電体共振 本体310、320が、切削面310a、310b、320a、320bで 切削される場合を説明したが、かかる切削方 法に限定されるものではない。誘電体共振器 本体310、320の切削面310a、310b、320a、320bの配 や切削方法は、本発明の作用効果が得られ 範囲内で自在に変更することができる。こ 場合、上記各実施形態では、誘電体共振器 体310が2つの共振モードを励振する構造を示 たが、切削方法の工夫により、さらに多く 共振モードを励振し、複数のピークを有す 周波数特性を実現してもよい。また、上述 各切削面310a、310b、320a、320bを形成すること は、誘電体共振器本体310、320が2つの共振モ ドを励振するための側面構造の一例であっ 、異なる側面構造を採用してもよい。

 さらに、上記各実施形態においては、誘 体調整片315により周波数特性を調整する構 を説明したが、誘電体調整片315に加えて、 の周波数調整機構を設けてもよい。すなわ 、誘電体調整片315では2つの周波数FL、FHが 動して変化するが、両者を個別に変化させ 必要がある場合は、上記の周波数調整機構 用いて調整することができる。例えば、入 端子313および出力端子314に対向する位置(反 側の導体ケース11の壁面)に金属ビスからな 周波数調整機構や、あるいはビスの先端に 属片および誘電体片を装荷した周波数調整 構を設けることができる。このような周波 調整機構は自由に設置できるが、本発明の 用効果を得られる範囲内であることが前提 ある。

 本発明を詳細にまた特定の実施態様を参 して説明したが、本発明の精神と範囲を逸 することなく様々な変更や修正を加えるこ ができることは当業者にとって明らかであ 。

 本出願は、2007年9月19日出願の日本特許出願 (特願2007-242092)、
2007年9月19日出願の日本特許出願(特願2007-24209 3)、
2007年9月19日出願の日本特許出願(特願2007-24209 4)、
2007年10月11日出願の日本特許出願(特願2007-2653 82)、
2008年9月4日出願の日本特許出願(特願2008-227550 )、
2008年9月4日出願の日本特許出願(特願2008-227551 )、
2008年9月4日出願の日本特許出願(特願2008-227552 )、
2008年9月4日出願の日本特許出願(特願2008-227644 )、
に基づくものであり、その内容はここに参照 として取り込まれる。




 
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