WADA SHUSAKU (JP)
IWASA TAKAFUMI (JP)
KAKUTA YOSHIHISA (JP)
KAKITA KAZUAKI (JP)
WADA SHUSAKU (JP)
IWASA TAKAFUMI (JP)
KAKUTA YOSHIHISA (JP)
WO2006038587A1 | 2006-04-13 | |||
WO2006038587A1 | 2006-04-13 | |||
WO2006038587A1 | 2006-04-13 |
JPH01220380A | 1989-09-04 | |||
JP2003261536A | 2003-09-19 | |||
JP2004359677A | 2004-12-24 |
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See also references of EP 2311916A4
Katsuhiro Ito (JP)
下記一般式(1-1)で示される二核ルテニウム錯体色素。 |
下記一般式(2-1)で示される二核ルテニウム錯体色素。 |
下記一般式(3-1)で示される二核ルテニウム錯体色素。 |
前記疎水性の置換基が、アルキル基、アラルキル基又はアリール基である請求項3記載の二核ルテニウム錯体色素。 |
下記一般式(4-1)で示されるルテニウム-オスミウム錯体色素。 |
請求項1~4のいずれかに記載の二核ルテニウム錯体色素または請求項5記載のルテニウム-オスミウム錯体色素と、半導体微粒子を含むことを特徴とする光電変換素子。 |
前記半導体微粒子が、酸化チタン、酸化亜鉛及び酸化スズからなる群より選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項6記載の光電変換素子。 |
請求項6~7のいずれかに記載の光電変換素子を備えることを特徴とする光化学電池。 |
電極として請求項6~7のいずれかに記載の光電変換素子と対極とを有し、その間に電解質層を有することを特徴とする光化学電池。 |
請求項1~4のいずれかに記載の二核ルテニウム錯体色素または請求項5記載のルテニウム-オスミウム錯体色素を含む溶液に半導体微粒子を浸漬する工程を有することを特徴とする光電変換素子の製造方法。 |
導電性支持体上に、半導体微粒子を含む半導体層を形成する工程と、 この半導体層を、請求項1~4のいずれかに記載の二核ルテニウム錯体色素または請求項5記載のルテニウム-オスミウム錯体色素を含む溶液に浸漬する工程と を有することを特徴とする光電変換素子の製造方法。 |
下記一般式(1-2)で示される単核ルテニウム錯体前駆体。 |
下記一般式(1-3)で示される単核ルテニウム錯体。 |
下記一般式(2-2)で示される単核ルテニウム錯体前駆体。 |
下記一般式(2-3)で示される単核ルテニウム錯体。 |
下記一般式(2-4)で示される単核ルテニウム錯体。 |
下記一般式(3-2)で示される単核ルテニウム錯体前駆体。 |
下記一般式(3-3)で示される単核ルテニウム錯体。 |
下記一般式(3-4)で示される単核ルテニウム錯体。 |
下記一般式(4-2)で示される単核オスミウム錯体前駆体。 |
下記一般式(4-3)で示される単核オスミウム錯体。 |
下記一般式(4-4)で示される単核オスミウム錯体。 |
本発明は、二核ルテニウム錯体色素、及 ルテニウム-オスミウム錯体色素に関する。 また、本発明は、当該錯体色素を有する光電 変換素子、及びそれを用いた光化学電池に関 する。
太陽電池はクリーンな再生型エネルギー として大きく期待されており、単結晶シリ ン系、多結晶シリコン系、アモルファスシ コン系の太陽電池や、テルル化カドミウム セレン化インジウム銅などの化合物からな 太陽電池の実用化をめざした研究がなされ いる。しかしながら、家庭用電源として普 させるためには、いずれの電池も製造コス が高いことや、原材料の確保が困難なこと リサイクルの問題、また大面積化が困難で るなど克服しなければならない多くの問題 抱えている。そこで、大面積化や低価格化 目指して有機材料を用いた太陽電池が提案 れてきたが、いずれも変換効率が1%程度と 用化にはほど遠いものであった。
こうした状況の中、1991年にグレッツェル らにより、色素によって増感された半導体微 粒子を用いた光電変換素子および太陽電池、 ならびにこの太陽電池の作製に必要な材料お よび製造技術が開示された(例えば、非特許 献1、特許文献1参照)。この電池は、ルテニ ム色素によって増感された多孔質チタニア 膜を作用電極とする湿式太陽電池である。 の太陽電池の利点は、安価な材料を高純度 精製することなく用いることができるため 安価な光電変換素子として提供できること さらに用いられる色素の吸収がブロードで り、広い可視光の波長域にわたって太陽光 電気に変換できることである。しかしなが 、実用化のためにはさらなる変換効率の向 が必要であり、より高い吸光係数を有し、 り長波長域まで光を吸収する色素の開発が まれている。
特許文献2には、光電変換素子として有用 な金属錯体色素であるジピリジル配位子含有 金属単核錯体が開示されており、非特許文献 2には、多核β-ジケトナート錯体色素が開示 れている。
一方、特許文献3には、光などの活性光線 のエネルギーを受けて電子を取り出す光電変 換機能の優れた新規な複核錯体として、複数 の金属と複数の配位子を有し、その複数の金 属に配位する橋かけ配位子(BL)が複素共役環 有する配位構造と複素共役環を有しない配 構造を有する複核錯体が開示されている。
特許文献4には、高い光電変換効率を有す る光電変換素子が得られる金属錯体色素とし て、複素共役環を有する配位構造を有する二 核金属錯体が開示されている。
また、特にルテニウム-オスミウム錯体色素 の場合は、実用化のためにはさらなる長波長 域の光吸収能力の向上が必要であるが、長波 長域化に伴い色素のHOMO-LUMOと周辺部材[半導 微粒子と電解質(酸化還元対)]としてよく用 られるTiO 2 (CB)又はヨウ素レドックスとのエネルギー準 のミスマッチが生じやすくなり、効率的な 子移動が起こりにくくなる。したがって、 波長域までの光吸収能力を有し、しかも、 辺部材とエネルギー準位のマッチした色素 開発が望まれている。
本発明の第1の目的は、短い吸着時間で、 高い光電変換効率を有する光電変換素子、及 び光化学電池が得られる二核ルテニウム錯体 色素を提供することである。
本発明の第2の目的は、より長波長域まで 光吸収能力を有し、広い光波長域にわたって 太陽光を電気に変換することが可能となり得 る高効率の光電変換素子、及び光化学電池が 得られうる二核ルテニウム錯体色素を提供す ることである。
本発明の第3の目的は、疎水性置換基を有 する1,10-フェナントロリンを配位子とした二 ルテニウム錯体色素、特に水溶性電解液を いた場合にもルテニウム錯体色素1分子当た りの変換効率が高い光電変換素子、及び光化 学電池が得られうる二核ルテニウム錯体色素 を提供することである。
本発明の第4の目的は、より長波長域まで光 吸収能力を有し、しかも、TiO 2 (CB)およびヨウ素レドックス(I - /I 3 - )のエネルギー準位とマッチしたHOMO-LUMOのエ ルギー準位を有するルテニウム-オスミウム 体色素を提供することである。
本発明は以下の事項に関する。
1. 下記一般式(1-1)で示される二核ルテニ ム錯体色素。
2. 下記一般式(2-1)で示される二核ルテニウ
錯体色素。
3. 下記一般式(3-1)で示される二核ルテニウ
錯体色素。
4. 前記疎水性の置換基が、アルキル基、ア
ラルキル基又はアリール基である上記3記載
二核ルテニウム錯体色素。
5. 下記一般式(4-1)で示されるルテニウム- オスミウム錯体色素。
6. 上記1~4のいずれかに記載の二核ルテニウ
ム錯体色素または上記5記載のルテニウム-オ
ミウム錯体色素と、半導体微粒子を含むこ
を特徴とする光電変換素子。
7. 前記半導体微粒子が、酸化チタン、酸 化亜鉛及び酸化スズからなる群より選ばれる 少なくとも1種であることを特徴とする上記6 載の光電変換素子。
8. 上記6~7のいずれかに記載の光電変換素 子を備えることを特徴とする光化学電池。
9. 電極として上記6~7のいずれかに記載の 光電変換素子と対極とを有し、その間に電解 質層を有することを特徴とする光化学電池。
10. 上記1~4のいずれかに記載の二核ルテ ウム錯体色素または上記5記載のルテニウム- オスミウム錯体色素を含む溶液に半導体微粒 子を浸漬する工程を有することを特徴とする 光電変換素子の製造方法。
11. 導電性支持体上に、半導体微粒子を含
半導体層を形成する工程と、
この半導体層を、上記1~4のいずれかに記載
二核ルテニウム錯体色素または上記5記載の
ルテニウム-オスミウム錯体色素を含む溶液
浸漬する工程と
を有することを特徴とする光電変換素子の製
造方法。
12. 下記一般式(1-2)で示される単核ルテニ ウム錯体前駆体。
13. 下記一般式(1-3)で示される単核ルテニウ
ム錯体。
14. 下記一般式(2-2)で示される単核ルテニウ
ム錯体前駆体。
15. 下記一般式(2-3)で示される単核ルテニウ
ム錯体。
16. 下記一般式(2-4)で示される単核ルテニウ
ム錯体。
17. 下記一般式(3-2)で示される単核ルテニウ
ム錯体前駆体。
18. 下記一般式(3-3)で示される単核ルテニウ
ム錯体。
19. 下記一般式(3-4)で示される単核ルテニウ
ム錯体。
20. 下記一般式(4-2)で示される単核オスミウ
ム錯体前駆体。
21. 下記一般式(4-3)で示される単核オスミウ
ム錯体。
22. 下記一般式(4-4)で示される単核オスミウ
ム錯体。
第1の本発明の金属錯体色素(二核金属錯 色素(A)とも言う。)は、上記一般式(1-1)で示 れる置換ビピリジル基を有する二核ルテニ ム錯体色素である。この二核金属錯体色素(A )を用いることにより、置換基を有さないビ リジンを配位子とした二核ルテニウム錯体 素と比べて、短い吸着時間で、高い光電変 効率を有する光電変換素子、及び光化学電 を得ることができる。
第2の本発明の金属錯体色素(二核金属錯 色素(B)とも言う。)は、上記一般式(2-1)で示 れる置換ビピリジル基を有する二核ルテニ ム錯体色素である。この二核金属錯体色素(B )は、置換基を有さないビピリジンを配位子 した二核ルテニウム錯体色素と比べて、よ 長波長域まで光吸収能力を有しており、こ 二核金属錯体色素(B)を用いることにより、 い光波長域にわたって太陽光を電気に変換 ることができる高効率の光電変換素子、及 光化学電池が得られることが期待される。
第3の本発明の金属錯体色素(二核金属錯 色素(C)とも言う。)は、上記一般式(3-1)で示 れる疎水性置換基を有する1,10-フェナントロ リンを配位子とした二核ルテニウム錯体色素 である。この二核金属錯体色素(C)は、疎水性 置換基を有する1,10-フェナントロリンを配位 として有しており、この二核金属錯体色素( C)を用いることにより、疎水性置換基を有さ いものと比べて、ルテニウム錯体色素1分子 当たりの変換効率が高い光電変換素子、及び 光化学電池を得ることができる。
なお、本発明においてフェナントロリン は1,10-フェナントロリンを意味する。
第4の本発明の金属錯体色素(二核金属錯体 素(D)とも言う。)は、上記一般式(4-1)で示さ る置換ビピリジル基を有するルテニウム-オ ミウム錯体色素である。この二核金属錯体 素(D)は、置換基を有さないビピリジンを配 子としたルテニウム-オスミウム錯体色素と 比べて、より長波長域までの光吸収能力を維 持しつつ、そのHOMO-LUMOがTiO 2 (CB)及びヨウ素レドックス(I - /I 3 - )のエネルギー準位と好適な位置関係にある この二核金属錯体色素(D)を用いることによ 、色素増感型太陽電池の変換効率の向上が 待できる。
<本発明の第1の金属錯体色素(二核金属
体色素(A))>
本発明の第1の金属錯体色素(二核金属錯体
素(A))は、前記の一般式(1-1)で示される。そ
一般式(1-1)において、R 01
は、直鎖又は分枝状の炭素原子数2~18のアル
ル基を示す。R 01
は、例えば、エチル基、プロピル基、ブチル
基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、
オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシ
ル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデ
シル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、
ヘプタデシル基、オクタデシル基であり、好
ましくはブチル基、ペンチル基、ヘキシル基
、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基等の炭
素原子数4~9のアルキル基であり、更に好まし
くはt-ブチル基、n-ノニル基である。なお、
れらの基は各種異性体を含む。
又、Xは、対イオンを示し、例えば、ヘキ サフルオロリン酸イオン、過塩素酸イオン、 テトラフェニルホウ酸イオン、テトラフルオ ロホウ酸イオン、トリフルオロメタンスルホ ン酸イオン、チオシアン酸イオン、硫酸イオ ン、硝酸イオン、ハロゲン化物イオン等が挙 げられるが、好ましくはヘキサフルオロリン 酸イオン、テトラフルオロホウ酸イオン、ト リフルオロメタンスルホン酸イオン、硝酸イ オン、ハロゲン化物イオンであり、更に好ま しくはヘキサフルオロリン酸イオン、テトラ フルオロホウ酸イオン、硝酸イオン、ヨウ化 物イオンである。nは錯体の電荷を中和する に必要な対イオンの数を示す。
二核金属錯体色素(A)は、WO2006/038587等を参 考にして、例えば、以下の式に示すように、 異なる単核ルテニウム錯体同士を反応させる ことによって得られる。
(式中、R 01 は前記と同義であり、X - は対イオンである1価のアニオンを示し、Yは ロゲン原子を示す。)
なお、対イオン(X)は1価のアニオンに限ら れないが、他のものも同様にして合成するこ とができる。
なお、片方の単核ルテニウム錯体は、一 、単核ルテニウム錯体前駆体を経由して合 されるが、その合成中間体である、前記の 般式(1-2)で示される単核ルテニウム錯体前 体、及び前記の一般式(1-3)で示される単核ル テニウム錯体は新規化合物である。
なお、二核金属錯体色素(A)は、1又は複数の カルボキシル基(-COOH)のプロトン(H + )は解離していても良い。プロトン(H + )の解離は、主として溶液のpHを調整すること によってなされる。
<本発明の第2の金属錯体色素(二核金属
体色素(B))>
本発明の第2の金属錯体色素(二核金属錯体
素(B))は、前記の一般式(2-1)で示される。そ
一般式(2-1)において、R 02
は、直鎖又は分枝状の炭素原子数2~18のアル
ル基を示すか、または、同一のピリジン環
に存在するR 02
同士が一緒になってそれらが結合する炭素原
子と共に芳香族炭化水素環または脂肪族炭化
水素環を形成している。R 02
は、例えば、エチル基、プロピル基、ブチル
基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、
オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシ
ル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデ
シル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、
ヘプタデシル基、オクタデシル基であり、環
を形成する場合、形成される環としては、例
えば、シクロヘキサン環等の非共役系の環;
ンゼン環等の共役系の環が挙げられ、好ま
くは共役系の環、更に好ましくはベンゼン
である。同一のピリジン環上に存在するR 02
同士が一緒になってそれらが結合する炭素原
子と共に芳香族炭化水素環を形成しているこ
とが好ましく、ベンゼン環を形成しているこ
とが特に好ましい。なお、これらの基は各種
異性体を含む。また、形成される環は置換さ
れていてもよい。
又、Xは、対イオンを示し、例えば、ヘキ サフルオロリン酸イオン、過塩素酸イオン、 テトラフェニルホウ酸イオン、テトラフルオ ロホウ酸イオン、トリフルオロメタンスルホ ン酸イオン、チオシアン酸イオン、硫酸イオ ン、硝酸イオン、ハロゲン化物イオン等が挙 げられるが、好ましくはヘキサフルオロリン 酸イオン、テトラフルオロホウ酸イオン、ト リフルオロメタンスルホン酸イオン、硝酸イ オン、ハロゲン化物イオンであり、更に好ま しくはヘキサフルオロリン酸イオン、テトラ フルオロホウ酸イオン、硝酸イオン、ヨウ化 物イオンである。nは錯体の電荷を中和する に必要な対イオンの数を示す。
二核金属錯体色素(B)は、WO2006/038587等を参 考にして、例えば、以下の式に示すように、 異なる単核ルテニウム錯体同士を反応させる ことによって得られる(以下、合成法2-Aと称 る)。
(式中、R 02 は前記と同義であり、X - は対イオンである1価のアニオンを示し、Y及 Zはハロゲン原子を示す。)
又、二核金属錯体色素(B)は、以下の式に示
ような合成法によっても得られる(以下、合
成法2-Bと称する)。
(式中、R 02 、X - 、Y及びZは前記と同義である。)
なお、対イオン(X)は1価のアニオンに限ら れないが、他のものも同様にして合成するこ とができる。
なお、片方の単核ルテニウム錯体は、一 、単核ルテニウム錯体前駆体を経由して合 されるが、その合成中間体である、前記の 般式(2-2)で示される単核ルテニウム錯体前 体、前記の一般式(2-3)で示される単核ルテニ ウム錯体、及び前記の一般式(2-4)で示される 核ルテニウム錯体は新規化合物である。
なお、二核金属錯体色素(B)は、1又は複数の カルボキシル基(-COOH)のプロトン(H + )は解離していても良い。プロトン(H + )の解離は、主として溶液のpHを調整すること によってなされる。
<本発明の第3の金属錯体色素(二核金属
体色素(C))>
本発明の第3の金属錯体色素(二核金属錯体
素(C))は、前記の一般式(3-1)で示される。そ
一般式(3-1)において、R 1
、R 2
、R 3
、R 4
、R 5
、R 6
、R 7
及びR 8
は、水素原子又は疎水性の置換基、特に炭化
水素基を示す。但し、R 1
、R 2
、R 3
、R 4
、R 5
、R 6
、R 7
及びR 8
の全てが水素原子となることはない。疎水性
の置換基としては、例えば、メチル基、エチ
ル基、プロピル基、ブチル基等のアルキル基
;ベンジル基、フェネチル基等のアラルキル
;フェニル基、トリル基等のアリール基が挙
られる。疎水性の置換基としては、アルキ
基、アリール基(好ましくはフェニル基)が
ましく、アルキル基が更に好ましく、炭素
子数1~9のアルキル基が特に好ましく、メチ
基がより好ましい。なお、これらの基は各
異性体を含む。
R 1 ~R 8 は、R 3 及びR 6 が疎水性の置換基、好ましくは炭素原子数1~9 のアルキル基であり、残りが水素原子である こと、R 4 及びR 5 が疎水性の置換基、好ましくは炭素原子数1~9 のアルキル基であり、残りが水素原子である こと、R 2 、R 3 、R 6 及びR 7 が疎水性の置換基、好ましくは炭素原子数1~9 のアルキル基であり、残りが水素原子である ことが特に好ましい。
又、Xは、対イオンを示し、例えば、ヘキ サフルオロリン酸イオン、過塩素酸イオン、 テトラフェニルホウ酸イオン、テトラフルオ ロホウ酸イオン、トリフルオロメタンスルホ ン酸イオン、チオシアン酸イオン、硫酸イオ ン、硝酸イオン、ハロゲン化物イオン等が挙 げられるが、好ましくはヘキサフルオロリン 酸イオン、テトラフルオロホウ酸イオン、ト リフルオロメタンスルホン酸イオン、硝酸イ オン、ハロゲン化物イオンであり、更に好ま しくはヘキサフルオロリン酸イオン、テトラ フルオロホウ酸イオン、硝酸イオン、ヨウ化 物イオンである。nは錯体の電荷を中和する に必要な対イオンの数を示す。
二核金属錯体色素(C)は、WO2006/038587等を参 考にして、例えば、以下の式に示すように、 異なる単核ルテニウム錯体同士を反応させる ことによって得られる。
(式中、R 1 、R 2 、R 3 、R 4 、R 5 、R 6 、R 7 及びR 8 は前記と同義であり、X - は対イオンである1価のアニオンを示し、Yは ロゲン原子を示す。)
なお、対イオン(X)は1価のアニオンに限ら れないが、他のものも同様にして合成するこ とができる。
なお、片方の単核ルテニウム錯体は、一 、単核ルテニウム錯体前駆体を経由して合 されるが、その合成中間体である、前記の 般式(3-2)で示される単核ルテニウム錯体前 体、及び前記の一般式(3-3)で示される単核ル テニウム錯体は新規化合物である。
なお、一般式(3-3)で示される単核ルテニ ム錯体は、二核ルテニウム錯体を合成する 程において、塩基により脱プロトン化され 前記の一般式(3-4)で示される単核ルテニウム 錯体となるが、当該単核ルテニウム錯体も新 規化合物である。
なお、二核金属錯体色素(C)は、1又は複数の カルボキシル基(-COOH)のプロトン(H + )は解離していても良い。プロトン(H + )の解離は、主として溶液のpHを調整すること によってなされる。
<本発明の第4の金属錯体色素(二核金属
体色素(D))>
本発明の第4の金属錯体色素(二核金属錯体
素(D))は、前記の一般式(4-1)で示される。そ
一般式(4-1)において、R 04
は、疎水性の置換基であり、特に直鎖又は分
枝状の炭素原子数1~18のアルキル基、直鎖又
分枝状の炭素原子数1~18のアルコキシ基、炭
原子数6~15のアラルキル基、炭素原子数6~15
アリール基、炭素原子数6~15のアラルキルオ
シ基、又は炭素原子数6~15のアリールオキシ
基を示す。R 04
は、例えば、メチル基、エチル基、プロピル
基、ブチル基等のアルキル基;メトキシ基、
トキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等の
ルコキシ基;ベンジル基、フェネチル基等の
ラルキル基;フェニル基、トリル基等のアリ
ール基;ベンジルオキシ基、フェネチルオキ
基等のアラルキルオキシ基;フェノキシ基、
リルオキシ基等のアリールオキシ基であり
好ましくはアルキル基、アルコキシ基、ア
ール基、アリールオキシ基であり、更に好
しくは炭素原子数1~9のアルキル基、フェニ
基、トリル基、フェノキシ基であり、特に
ましくは炭素原子数1~9のアルキル基、より
ましくはメチル基である。なお、これらの
は各種異性体を含む。
又、Xは、対イオンを示し、例えば、ヘキ サフルオロリン酸イオン、過塩素酸イオン、 テトラフェニルホウ酸イオン、テトラフルオ ロホウ酸イオン、トリフルオロメタンスルホ ン酸イオン、チオシアン酸イオン、硫酸イオ ン、硝酸イオン、ハロゲン化物イオン等が挙 げられるが、好ましくはヘキサフルオロリン 酸イオン、テトラフルオロホウ酸イオン、ト リフルオロメタンスルホン酸イオン、硝酸イ オン、ハロゲン化物イオンであり、更に好ま しくはヘキサフルオロリン酸イオン、テトラ フルオロホウ酸イオン、硝酸イオン、ヨウ化 物イオンである。nは錯体の電荷を中和する に必要な対イオンの数を示す。
二核金属錯体色素(D)は、WO2006/038587等を参 考にして、例えば、以下の式に示すように、 単核ルテニウム錯体と単核オスミウム錯体と を反応させることによって得られる。
(式中、R 04 は前記と同義であり、X - は対イオンである1価のアニオンを示し、Yは ロゲン原子を示す。)
なお、対イオン(X)は1価のアニオンに限ら れないが、他のものも同様にして合成するこ とができる。
なお、片方の単核オスミウム錯体は、一 、単核オスミウム錯体前駆体を経由して合 されるが、その合成中間体である、前記の 般式(4-2)で示される単核オスミウム錯体前 体、及び前記の一般式(4-3)で示される単核オ スミウム錯体は新規化合物である。
なお、一般式(4-3)で示される単核オスミ ム錯体は、一般式(4-4)のように一つNHプロト を有していてもよい。
なお、二核金属錯体色素(D)は、1又は複数の カルボキシル基(-COOH)のプロトン(H + )は解離していても良い。プロトン(H + )の解離は、主として溶液のpHを調整すること によってなされる。
<本発明の光電変換素子および光化学電
>
本発明の光電変換素子は、前記二核ルテニ
ム錯体色素または前記ルテニウム-オスミウ
ム錯体色素と半導体微粒子とを含むものであ
る。前記二核ルテニウム錯体色素または前記
ルテニウム-オスミウム錯体色素は半導体微
子表面に吸着されており、半導体微粒子は
の金属錯体色素により増感されている。
より具体的には、本発明の光電変換素子 、上記のルテニウム錯体色素または上記の テニウム-オスミウム錯体色素により増感さ れた半導体微粒子を導電性支持体(電極)上に 定したものである。
導電性電極は、透明基板上に形成された 明電極であることが好ましい。導電剤とし は、例えば、金、銀、銅、白金、パラジウ 等の金属、スズをドープした酸化インジウ (ITO)に代表される酸化インジウム系化合物 フッ素をドープした酸化錫(FTO)に代表される 酸化スズ系化合物、酸化亜鉛系化合物等が挙 げられる。
半導体微粒子としては、例えば、酸化チ ン、酸化亜鉛、酸化スズ等が挙げられる。 、酸化インジウム、酸化ニオブ、酸化タン ステン、酸化バナジウム、チタン酸ストロ チウム、チタン酸カルシウム、チタン酸バ ウム、ニオブ酸カリウムなどの複合酸化物 導体、カドミウム又はビスマスの硫化物、 ドミウムのセレン化物又はテルル化物、ガ ウムのリン化物又はヒ素化物等も挙げられ 。半導体微粒子としては、酸化物が好まし 、例えば、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化ス 、又はこれらのいずれか1種以上を含む混合 物が特に好ましい。
半導体微粒子の一次粒子径は特に限定さ ないが、通常、1~5000nm、好ましくは2~500nm、 に好ましくは5~400nmである。
半導体微粒子に二核ルテニウム錯体色素 たはルテニウム-オスミウム錯体色素を吸着 させる方法としては、導電性支持体上に半導 体微粒子を含む半導体層(半導体微粒子膜)を 成した後、これを当該金属錯体色素を含む 液に浸漬する方法が挙げられる。半導体層 、導電性支持体上に半導体微粒子のペース を塗布し、加熱焼成して形成することがで る。そして、色素溶液に浸漬後、この半導 層が形成された導電性支持体を洗浄、乾燥 る。
色素溶液の溶媒としては、例えば、水;メ タノール、エタノール、イソプロピルアルコ ール、t-ブチルアルコール、エチレングリコ ル等のアルコール類;アセトニトリル、プロ ピオニトリル等のニトリル類;N,N-ジメチルア トアミド、N,N-ジメチルホルムアミド等のア ミド類;N-メチルピロリドン等の尿素類;ジメ ルスルホキシド等のスルホキシド類が挙げ れるが、好ましくは水、アルコール類、ニ リル類、更に好ましくは水、エタノール、 ソプロピルアルコール、t-ブタノール、アセ トニトリルが用いられる。なお、これらの溶 媒は単独で用いても良く、2種以上を混合し 用いてもよい。
本発明の第1の金属錯体色素(二核金属錯 色素(A))、第2の金属錯体色素(二核金属錯体 素(B))および第4の金属錯体色素(二核金属錯 色素(D))の場合、溶液中の色素の濃度は、好 しくは0.001mmol/l~各々の錯体色素の飽和濃度 更に好ましくは0.001~100mmol/l、特に好ましく 0.01~10mmol/l、より好ましくは0.05~1.0mmol/lであ 。
本発明の第3の金属錯体色素(二核金属錯 色素(C))の場合、溶液中の色素の濃度は、好 しくは0.001mmol/l~各々の錯体色素の飽和濃度 更に好ましくは0.02~0.05mmol/lである。
又、色素溶液には、例えば、コール酸、 オキシコール酸、ケノデオキシコール酸等 ステロイド骨格を有する化合物を添加して 良い。
色素を吸着させる際の温度は、通常、0~80 ℃とすれば良く、好ましくは20~40℃である。 素を吸着させる時間(色素溶液に浸漬する時 間)は、用いる金属錯体色素の種類、濃度等 条件に応じて適宜決定することができる。
本発明の光化学電池は、上記のような本 明の光電変換素子を用いたものである。よ 具体的には、電極として上記の本発明の光 変換素子と対極とを有し、その間に電解質 を有するものである。本発明の光電変換素 を用いた電極と対極の少なくとも片方は透 電極である。
対極は光電変換素子と組み合わせて光化 電池としたときに正極として作用するもの ある。対極としては、上記導電性電極と同 に導電層を有する基板を用いることもでき が、金属板そのものを使用すれば、基板は ずしも必要ではない。対極に用いる導電剤 しては、白金や炭素等の金属、フッ素をド プした酸化スズ等の導電性金属酸化物が挙 られる。
電解質(酸化還元対)としては特に限定さ ず、公知のものをいずれも用いることがで る。例えば、ヨウ素とヨウ化物(例えば、ヨ 化リチウム、ヨウ化カリウム等の金属ヨウ 物、またはヨウ化テトラブチルアンモニウ 、ヨウ化テトラプロピルアンモニウム、ヨ 化ピリジニウム、ヨウ化イミダゾリウム等 4級アンモニウム化合物のヨウ化物)の組み わせ、臭素と臭化物の組み合わせ、塩素と 化物の組み合わせ、アルキルビオローゲン その還元体の組み合わせ、キノン/ハイドロ ノン、鉄(II)イオン/鉄(III)イオン、銅(I)イオ ン/銅(II)イオン、マンガン(II)イオン/マンガ (III)イオン、コバルトイオン(II)/コバルトイ ン(III)等の遷移金属イオン対、フェロシア /フェリシアン、四塩化コバルト(II)/四塩化 バルト(III)、四臭化コバルト(II)/四臭化コバ ト(III)、六塩化イリジウム(II)/六塩化イリジ ウム(III)、六シアノ化ルテニウム(II)/六シア 化ルテニウム(III)、六塩化ロジウム(II)/六塩 ロジウム(III)、六塩化レニウム(III)/六塩化 ニウム(IV)、六塩化レニウム(IV)/六塩化レニ ム(V)、六塩化オスミウム(III)/六塩化オスミ ム(IV)、六塩化オスミウム(IV)/六塩化オスミ ム(V)等の錯イオンの組み合わせ、コバルト 鉄、ルテニウム、マンガン、ニッケル、レ ウムといった遷移金属とビピリジンやその 導体、ターピリジンやその誘導体、フェナ トロリンやその誘導体といった複素共役環 びその誘導体で形成されているような錯体 、フェロセン/フェロセニウムイオン、コバ トセン/コバルトセニウムイオン、ルテノセ ン/ルテノセウムイオンといったシクロペン ジエン及びその誘導体と金属の錯体類、ポ フィリン系化合物類等が使用できる。好ま い電解質は、ヨウ素とヨウ化リチウムや4級 ンモニウム化合物のヨウ化物とを組み合わ た電解質である。電解質の状態は、有機溶 に溶解した液体であっても、溶融塩、ポリ ーマトリックスに含浸漬したいわゆるゲル 解質や、固体電解質であっても良い。
電解液の溶媒としては、例えば、水、ア コール類、ニトリル類、鎖状エーテル類、 状エーテル類、鎖状エステル類、環状エス ル類、鎖状アミド類、環状アミド類、鎖状 ルホン類、環状スルホン類、鎖状尿素類、 状尿素類、アミン類等が使用できる。なお 前記溶媒は、これらに限定されるものでは く、また、単独で使用してもよく、2種類以 上を混合して使用してもよい。
本発明の光化学電池は、従来から適用さ ている方法によって製造することができる
例えば、前述のように、透明電極上に酸 物等の半導体微粒子のペーストを塗布し、 熱焼成して半導体微粒子の薄膜を作製する 半導体微粒子の薄膜がチタニアの場合、例 ば温度450~500℃、加熱時間30分で焼成する。 の薄膜の付いた透明電極を色素溶液(本発明 の二核金属錯体色素を含む溶液)に浸漬し、 素を担持して光電変換素子を作製する。更 、この光電変換素子と対極として白金又は 素を蒸着した透明電極を合わせ、その間に 解質溶液を入れることにより本発明の光化 電池を製造することができる。
本発明を以下の実施例により更に詳細に 明するが、本発明の範囲はそれらに限定さ るものではない。
なお、実施例中の略語は以下の通りであ 。
H 2
dcbpy;2,2’-ビピリジン-4,4’-ジカルボン酸、
BiBzImH 2
;2,2’-ビベンズイミダゾール、
4,4’-dtbbpy;4,4’-ジ-t-ブチル-2,2’-ビピリジン
4,4’-dnbpy;4,4’-ジ-n-ノニル-2,2’-ビピリジン
bpy;2,2’-ビピリジン、
1,1’-biq;1,1’-ビイソキノリン、
Qxphen;ジピリド[3,2-a:2’,3’-c]フェナジン、
cod;1,5-シクロオクタジエン、
phen;1,10-フェナントロリン、
4,7-dmphen;4,7-ジメチル-1,10-フェナントロリン、
5,6-dmphen;5,6-ジメチル-1,10-フェナントロリン、
3,4,7,8-tmphen;3,4,7,8-テトラメチル-1,10-フェナン
ロリン、
4,7-dipphen;4,7-ジフェニル-1,10-フェナントロリ
、
4,4’-dmbpy;4,4’-ジ-メチル-2,2’-ビピリジン。
参考例1-1
(単核ルテニウム錯体(M-1)〔(H 2
dcbpy) 2
RuCl 2
〕の合成)
窒素雰囲気下、500ml三口フラスコに、市販
RuCl 3
・3H 2
O(2.53g,9.68mmol)、H 2
dcbpy(4.50g,18.4mmol)及びN,N-ジメチルホルムアミ
300mlを加え、2.45GHzのマイクロ波照射下にて
拌しながら45分間還流させた。反応液を放冷
後、濾過し、得られた濾液を減圧下で濃縮し
た。得られた濃縮物をアセトン/ジエチルエ
テル(1:4)で洗浄後、2mol/l塩酸300mlを加え、20
間超音波攪拌、更に超音波攪拌を止めて2時
攪拌した。攪拌終了後、不溶物を濾過し、2
mol/l塩酸、アセトン/ジエチルエーテル(1:4)及
ジエチルエーテルで洗浄した後、真空下で
燥させて、単核ルテニウム錯体(M-1)5.75gを得
た。
実施例A-1-2
(単核ルテニウム錯体(A-M-2a)〔[(BiBzImH)Ru(4,4’-d
tbbpy) 2
](PF 6
)〕(R 01
=t-ブチル基である式(1-3)の錯体)の合成)
窒素雰囲気下、100ml三口フラスコに、Ru(4,4
-dtbbpy) 2
Cl 2
3.49g(4.93mmol)、2,2’-ビベンズイミダゾール(BiBz
ImH 2
)1.2736g(5.44mmol)及び2-メトキシエタノール100ml
加え、2.45GHzのマイクロ波照射下15分間還流
せた。放冷後、100mlの水を加えて未反応のビ
ベンズイミダゾールを析出させ、これを濾過
し、得られた濾液にアンモニウムヘキサフル
オロホスフェート(NH 4
PF 6
)の水溶液を加えて固体を析出させた。析出
を濾過し、水及びジエチルエーテルで洗浄
た後、真空下で乾燥させて、単核ルテニウ
錯体前駆体(A-M-2aH)([(BiBzImH 2
)Ru(4,4’-dtbbpy) 2
](PF 6
) 2
)5.38gを得た。
次に、窒素雰囲気下、300mlナスフラスコに [(BiBzImH 2 )Ru(4,4’-dtbbpy) 2 ](PF 6 ) 2 5.00g(4.31mmol)及びメタノール100mlを加え、更に1 0%リチウムメトキシドメタノール溶液40mlを滴 下した。この懸濁液を攪拌しながら3時間還 した後、反応液を室温まで冷却させた。析 物を濾過し、冷却したメタノール及びジエ ルエーテルで洗浄した後、真空下で乾燥さ て、単核ルテニウム錯体(A-M-2a)3.19gを得た。
実施例A-1
(二核ルテニウム錯体色素(A-1a)〔[(H 2
dcbpy)(Hdcbpy)Ru(BiBzIm)Ru(4,4’-dtbbpy) 2
](PF 6
)〕(R 01
=t-ブチル基である式(1-1)の錯体)の合成)
アルゴンガスの雰囲気下、50mlサンプル管に
、単核ルテニウム錯体(M-1)1.01g(1.46mmol)及び水2
0mlを加えた後、1mol/lテトラブチルアンモニウ
ムヒドロキシド水溶液5.8mlを滴下して溶解さ
た。この溶液を減圧下で濃縮し、得られた
縮物を2-メトキシエタノール100mlに溶解させ
て、300ml三口フラスコに移した。更に、この
液に単核ルテニウム錯体(A-M-2a)1.26g(1.24mmol)
加え、2.45GHzのマイクロ波照射下にて攪拌し
がら20分間還流させた。反応液を放冷後、
過し、得られた濾液を減圧下で濃縮した。
られた濃縮物に水150ml及びメタノール250mlを
え、溶解させた。この溶液を濾過し、得ら
た濾液に0.5mol/lヘキサフルオロリン酸水溶
をpH2.5になるまで滴下した。4℃に冷却して
晩放置後、析出した固体を濾過し、pH2.5のヘ
キサフルオロリン酸水溶液、アセトン/ジエ
ルエーテル(4:1)及びジエチルエーテルで洗浄
した後、真空下で乾燥させて、粗二核ルテニ
ウム錯体色素(A-1a)2.15gを得た。
次に、150mlサンプル管に、得られた粗二 ルテニウム錯体色素(A-1a)2.14g及び水150mlを加 、1mol/l水酸化リチウム水溶液3.2mlを滴下し 溶解させた。この溶液を濾過し、得られた 液に0.5mol/lヘキサフルオロリン酸水溶液をpH2 .8になるまで滴下した。冷却して一晩放置後 析出した錯体を濾過し、pH2.8のヘキサフル ロリン酸水溶液、アセトン/ジエチルエーテ (4:1)及びジエチルエーテルで洗浄した後、 空下で乾燥させて、二核ルテニウム錯体色 (A-1a)1.68gを得た。
実施例A-2-2
(単核ルテニウム錯体(A-M-2b)〔[(BiBzImH)Ru(4,4’-d
nbpy) 2
](PF 6
)〕(R 01
=n-ノニル基である式(1-3)の錯体)の合成)
窒素雰囲気下、100ml三口フラスコに、Ru(4,4
-dnbpy) 2
Cl 2
0.979g(0.99mmol)、2,2’-ビベンズイミダゾール(BiB
zImH 2
)0.258g(1.10mmol)及びエチレングリコール40mlを加
え、2.45GHzのマイクロ波照射下にて攪拌しな
ら5分間還流させた。反応液を放冷後、水25ml
、エタノール25ml及びアンモニウムヘキサフ
オロホスフェート(NH 4
PF 6
)水溶液を加えて固体を析出させた。析出物
濾過し、水で洗浄した後、真空下で乾燥さ
て、単核ルテニウム錯体前駆体(A-M-2bH)([(BiBzI
mH 2
)Ru(4,4’-dnbpy) 2
](PF 6
) 2
)1.27gを得た。
次に、窒素雰囲気下、100mlナスフラスコに [(BiBzImH 2 )Ru(4,4’-dnbpy) 2 ](PF 6 ) 2 1.22g(0.88mmol)及びメタノール10mlを加えた後、10 %リチウムメトキシドメタノール溶液3.8mlを滴 下した。この懸濁液を攪拌しながら1時間還 させた。反応液を放冷後、これに水50mlを加 、不溶解物及び析出物を濾過し、水で洗浄 た後、真空下で乾燥させて、単核ルテニウ 錯体(A-M-2b)1.05gを得た。
実施例A-2
(二核ルテニウム錯体色素(A-1b)〔[(H 2
dcbpy)(Hdcbpy)Ru(BiBzIm)Ru(4,4’-dnbpy) 2
](PF 6
)〕(R 01
=n-ノニル基である式(1-1)の錯体)の合成)
窒素雰囲気下、300ml三口フラスコに、単核
テニウム錯体(M-1)0.25g(0.36mmol)及びエタノール
/水(3:1)100mlを加えた後、1mol/l水酸化リチウム
溶液1.45mlを滴下して溶解させた。この溶液
単核ルテニウム錯体(A-M-2b)0.457g(0.40mmol)を加
、2.45GHzのマイクロ波照射下にて攪拌しなが
ら30分間還流させた。反応液を放冷後、エタ
ール50mlを加え、再度2.45GHzのマイクロ波照
下にて攪拌しながら10分間還流させた。反応
液を放冷後、濾過し、得られた濾液を減圧下
で濃縮した。得られた濃縮物に水100mlを加え
セライトで濾過し、得られた濾液に0.5mol/l
キサフルオロリン酸水溶液をpH2.8になるまで
滴下した。4℃に冷却して一晩放置後、析出
た固体を濾過し、pH2.8のヘキサフルオロリン
酸水溶液、アセトン/ジエチルエーテル(4:1)及
びジエチルエーテルで洗浄した後、真空下で
乾燥させて、二核ルテニウム錯体色素(A-1b)0.5
3gを得た。
実施例A-3
実施例A-1で得られた二核ルテニウム錯体色
(A-1a)、実施例A-2で得られた二核ルテニウム
体色素(A-1b)及び公知の二核ルテニウム錯体
素(A-2)〔[(H 2
dcbpy)(Hdcbpy)Ru(BiBzIm)Ru(bpy) 2
](PF 6
)〕(R 01
=Hである式(1-1)の錯体)を用い、以下のように
て光化学電池を作製した。
(多孔質チタニア電極の作製)
触媒化成製のチタニアペーストPST-18NRを透
層に、PST-400Cを拡散層に用い、旭硝子株式会
社製の透明導電性ガラス電極上にスクリーン
印刷機を用いて塗布した。得られた膜を25℃
相対湿度60%の雰囲気下で5分間エージングし
、このエージングした膜を450℃で30分間焼成
た。冷却した膜に対し、同じ作業を所定の
みになるまで繰り返し、16mm 2
の多孔質チタニア電極を作製した。
(色素を吸着した多孔質チタニア電極の作製)
0.2mmol/lの二核ルテニウム錯体色素の溶液(溶
媒:t-ブタノール/アセトニトリルの1:1混合溶
)を調製し、この色素溶液に多孔質チタニア
極を30℃で所定の時間浸漬した後、乾燥し
色素吸着多孔質チタニア電極を得た。
(光化学電池の作製)
得られた色素吸着多孔質チタニア電極と白
板(対極)を重ね合わせ、電解質溶液(3-メト
シプロピオニトリルにヨウ化リチウム、ヨ
素、4-t-ブチルピリジン及び1,2-ジメチル-3-プ
ロピルイミダゾリウムアイオダイドをそれぞ
れ0.1mol/l、0.05mol/l、0.5mol/l、0.6mol/lとなるよう
に溶解したもの)を両電極の隙間に毛細管現
を利用して染み込ませることにより光化学
池を作製した。
(変換効率の測定)
得られた光化学電池の光電変換効率を英弘
機株式会社製のソーラーシュミレーターを
い、100mW/cm 2
の擬似太陽光を照射し測定した。
図1に、二核ルテニウム錯体色素(A-1a)及び (A-1b)と、公知の二核ルテニウム錯体色素(A-2) 吸着時間(色素溶液に浸漬する時間)と変換 率の測定結果を示す。
図1の結果から、本発明の二核ルテニウム 錯体色素(A-1a)及び(A-1b)は吸着時間5時間で最 の変換効率を示したのに対して、公知の二 ルテニウム錯体色素(A-2)は変換効率が最高値 となるまでに20時間の吸着時間を要した。又 変換効率に関しては、本発明の二核ルテニ ム錯体色素(A-1a)が7.4%、(A-1b)が7.1%と高い値 示したのに対して、公知の二核ルテニウム 体色素(A-2)は最高で6.3%であった。これによ 、本発明の二核ルテニウム錯体色素(A-1a)及 (A-1b)が高性能の光化学電池を製造するため 色素となり得るとともに、これらの色素が 業的生産におけるメリットがあることが分 る。
実施例B-1A-2
(合成法2-Aによる単核ルテニウム錯体(B-M-2a)〔
[(BiBzIm)Ru(1,1’-biq) 2
]〕(同一のピリジン環上に存在するR 02
同士が結合してベンゼン環を形成している式
(2-3)の錯体)の合成)
窒素雰囲気下、300mL三口フラスコに、塩化
ッケル6水和物4.61g(19.4mmol)、トリフェニルホ
フィン20.2g(76.9mmol)及びN,N-ジメチルホルムア
ミド90mLを加え、さらに亜鉛粉末1.26g(19.2mmol)
加え、65℃で75分間攪拌した。その後、1-ブ
モイソキノリン4.00g(19.2mmol)を加え、140℃で5
間攪拌した。反応後、亜鉛粉末を濾別し、
液を減圧下で濃縮した後、ジクロロメタン5
0mL及び7%アンモニア水120mLを加え、室温で30分
間攪拌した。ジクロロメタン/7%アンモニア水
系でニッケルを除去した後、ジエチルエーテ
ル/9mol/l塩酸系で目的物を水相に移してトリ
ェニルホスフィンを除去した後、5mol/l水酸
ナトリウム水溶液で中和し、ジクロロメタ
で目的物を抽出した。減圧濃縮後、メタノ
ルで再結晶を行い、1,1’-ビイソキノリン(1,1
’-biq)1.52gを得た。
続いて、窒素雰囲気下、100mL三口フラスコ 、1,1’-ビイソキノリン1.02g(3.97mmol)、[Ru(cod)Cl 2 ] n 0.556g(1.99mmol)及びN,N-ジメチルホルムアミド60mL を加え、2.45GHzのマイクロ波照射下にて攪拌 ながら32分間還流させた。反応液を放冷後、 減圧下で濃縮し、得られた濃縮物にアセトン 15mLを加え、不溶物を濾取した。得られた不 物をジエチルエーテルで洗浄した後、真空 で乾燥して、[Ru(1,1’-biq) 2 Cl 2 ]0.965gを得た。
次に、窒素雰囲気下、300mL三口フラスコに [Ru(1,1’-biq) 2 Cl 2 ]0.896g(1.31mmol)、2,2’-ビベンズイミダゾール(Bi BzImH 2 )0.369g(1.57mmol)及びエチレングリコール140mLを え、2.45GHzのマイクロ波照射下にて攪拌しな ら32分間還流させた。放冷後、水140mLを加え 、室温で1時間攪拌した。その後、吸引濾過 よって不溶物を除去し、エチレングリコー /水(1:1)で洗浄した後、得られた濾液に水2mL 溶解したヘキサフルオロリン酸アンモニウ 0.854g(5.24mmol)を加え、室温で2時間40分攪拌し 。析出物を濾取し、エチレングリコール/水 (1:1)で洗浄した後、真空下で乾燥して、単核 テニウム錯体前駆体(B-M-2aH)([(BiBzImH 2 )Ru(1,1’-biq) 2 ](PF 6 ) 2 )1.30gを得た。
次に、窒素雰囲気下、50mL三口フラスコに 、単核ルテニウム錯体前駆体(B-M-2aH)0.499g(0.439 mmol)、メタノール23mL及び28%ナトリウムメトキ シドメタノール溶液0.853mL(4.42mmol)を加え、1.5 間還流させた。放冷後、不溶物を濾取し、3 .71%(反応溶液と同じ濃度)ナトリウムメトキシ ドメタノール溶液で洗浄した後、真空下で乾 燥して、単核ルテニウム錯体(B-M-2a)0.312gを得 。
実施例B-1A
(合成法2-Aによる二核ルテニウム錯体色素(B-1)
〔[(H 2
dcbpy) 2
Ru(BiBzIm)Ru(1,1’-biq) 2
](PF 6
) 2
〕(同一のピリジン環上に存在するR 02
同士が結合してベンゼン環を形成している式
(2-1)の錯体)の合成)
150mLサンプル管に、単核ルテニウム錯体(M-1)
0.201g(0.289mmol)、水50mL及び1N水酸化ナトリウム
溶液1.1mLを加え、pHを10.5に調整した後、200mL
三口フラスコに移した。そして、この溶液に
単核ルテニウム錯体(B-M-2a)0.296g(0.350mmol)及びN,
N-ジメチルホルムアミド50mLを加え、窒素脱気
した後、2.45GHzのマイクロ波照射下にて攪拌
ながら35分間還流させた。放冷後、不溶物を
濾別し、N,N-ジメチルホルムアミド:水=50mL:50mL
(1N水酸化ナトリウム水溶液1.1mLを添加)で洗い
込みを行い、得られた濾液を乾固させた。得
られた乾固物に水50mLを加え、室温で1時間攪
した後、不溶物を濾別し、水で洗浄した後
濾液を0.5Mヘキサフルオロリン酸水溶液と1.7
Mヘキサフルオロリン酸水溶液でpH2.2にし、一
晩静置した。析出物を濾取し、pH2.2のヘキサ
ルオロリン酸水溶液、アセトン/ジエチルエ
ーテル(1:4)及びジエチルエーテルで洗浄した
、真空下で乾燥して、二核ルテニウム錯体
素(B-1)0.156gを得た。
実施例B-1B-1
(合成法2-Bによる単核ルテニウム錯体[(H 2
dcbpy) 2
Ru(BiBzImH)](PF 6
)の合成)
100mLサンプル管に、単核ルテニウム錯体(M-1)
0.959g(1.378mmol)、水65mL及び1N水酸化ナトリウム
溶液5.68mLを加え、pHを10.2に調整した後、300m
L三口フラスコに移した。そして、この溶液
2,2’-ビベンズイミダゾール(BiBzImH 2
)0.423g(1.808mmol)及びN,N-ジメチルホルムアミド65
mLを加え、窒素脱気した後、2.45GHzのマイクロ
波照射下にて攪拌しながら30分間還流させた
放冷後、不溶物を濾別し、N,N-ジメチルホル
ムアミド:水=50mL:50mL(1N水酸化ナトリウム水溶
2.5mLを添加)で洗い込みを行い、得られた濾
を乾固させた。得られた乾固物に水65mLを加
え、室温で3時間攪拌した後、不溶物を濾別
、水で洗浄した後、濾液を0.5Mヘキサフルオ
リン酸水溶液と1.7Mヘキサフルオロリン酸水
溶液でpH2.5にし、一晩静置した。析出物を濾
し、pH2.5のヘキサフルオロリン酸水溶液、
セトン/ジエチルエーテル(1:4)及びジエチル
ーテルで洗浄した後、真空下で乾燥して、
核ルテニウム錯体[(H 2
dcbpy) 2
Ru(BiBzImH)](PF 6
)1.21gを得た。
実施例B-1B
(合成法2-Bによる二核ルテニウム錯体色素(B-1)
〔[(H 2
dcbpy) 2
Ru(BiBzIm)Ru(1,1’-biq) 2
](PF 6
) 2
〕(同一のピリジン環上に存在するR 02
同士が結合してベンゼン環を形成している式
(2-1)の錯体)の合成)
150mLサンプル管に、単核ルテニウム錯体[(H 2
dcbpy) 2
Ru(BiBzImH)](PF 6
)0.402g(0.416mmol)、水75mL及び1N水酸化ナトリウム
水溶液2.18mLを加え、pHを10.3に調整した後、300
mL三口フラスコに移した。そして、この溶液
Ru(1,1’-biq) 2
Cl 2
0.403g(0.589mmol)及びN,N-ジメチルホルムアミド75m
Lを加え、窒素脱気した後、2.45GHzのマイクロ
照射下にて攪拌しながら20分間還流させた
放冷後、不溶物を濾別し、N,N-ジメチルホル
アミド:水=50mL:50mL(1N水酸化ナトリウム水溶
1.25mLを添加)で洗い込みを行い、得られた濾
を乾固させた。得られた乾固物に水75mL及び
1N水酸化ナトリウム水溶液0.075mLを加え、室温
で30分間攪拌した後、不溶物を濾別し、水で
浄した後、濾液を0.5Mヘキサフルオロリン酸
水溶液と1.7Mヘキサフルオロリン酸水溶液でpH
2.4にし、一晩静置した。析出物を濾取し、pH2
.4のヘキサフルオロリン酸水溶液、アセトン/
ジエチルエーテル(1:4)及びジエチルエーテル
洗浄した後、真空下で乾燥して、二核ルテ
ウム錯体色素(B-1)0.401gを得た。
参考例B-1-2
(単核ルテニウム錯体(B-M-2b)〔[(BiBzIm)Ru(Qxphen) 2
]〕の合成)
200mLナス型フラスコに、1,10-フェナントロリ
ン-5,6-ジオン1.09g(5.19mmol)及びエタノール10mLを
加えて懸濁液とした後、そこに1,2-フェニレ
ジアミン0.592g(5.20mmol)及びエタノール40mLを加
え、2時間還流させた。一晩放置後、不溶物
濾取し、冷エタノールで洗浄した後、エタ
ールで再結晶を行い、ジピリド[3,2-a:2’,3’-
c]フェナジン(Qxphen)0.808gを得た。
続いて、窒素雰囲気下、200mL三口フラスコ 、Qxphen2.01g(7.11mmol)、RuCl 3 ・3H 2 Oを0.929g(3.56mmol)、塩化リチウム1.22g(28.8mmol)及 N,N-ジメチルホルムアミド68mLを加え、150℃ 7時間攪拌した。一晩放置後、140mLの水を加 、不溶物を濾取し、水、アセトンで洗浄し 後、真空下で乾燥して、[Ru(Qxphen) 2 Cl 2 ]2.641gを得た。
次いで、窒素雰囲気下、200mL三口フラスコ 、[Ru(Qxphen) 2 Cl 2 ]0.334g(0.459mmol)、2,2’-ビベンズイミダゾール(B iBzImH 2 )0.129g(0.549mmol)及びエチレングリコール40mLを え、203℃で5時間攪拌した。放冷後、水40mLを 加え、室温で45分間攪拌した。その後、不溶 を濾別し、エチレングリコール/水(1:1)で洗 した後、得られた濾液に水1mLに溶解したヘ サフルオロリン酸アンモニウム0.299g(1.832mmol )を加え、室温で1時間攪拌した。析出物を濾 し、エチレングリコール/水(1:1)で洗浄した 、真空下で乾燥して、単核ルテニウム錯体 駆体(B-M-2bH)([(BiBzImH 2 )Ru(Qxphen) 2 ](PF 6 ) 2 )0.264gを得た。
次に、窒素雰囲気下、100mL三口フラスコ 、単核ルテニウム錯体前駆体(B-M-2bH)0.253g(0.21 3mmol)、メタノール15mL及び28%ナトリウムメト シドメタノール溶液0.411mL(2.13mmol)を加え、1 間還流させた。放冷後、不溶物を濾取し、2. 7%(反応溶液と同じ濃度)ナトリウムメトキシ メタノール溶液で洗浄した後、真空下で乾 して、単核ルテニウム錯体(B-M-2b)0.177gを得た 。
参考例B-1
(二核ルテニウム錯体色素(B-2)〔[(H 2
dcbpy) 2
Ru(BiBzIm)Ru(Qxphen) 2
](PF 6
) 2
〕の合成)
50mLサンプル管に、単核ルテニウム錯体(M-1)0
.109g(0.157mmol)、水30mL及び1N水酸化ナトリウム
溶液0.62mLを加え、pHを10.35に調整した後、200m
L三口フラスコに移した。そして、この溶液
単核ルテニウム錯体(B-M-2b)0.156g(0.173mmol)及びN
,N-ジメチルホルムアミド90mLを加え、窒素脱
した後、2.45GHzのマイクロ波照射下にて攪拌
ながら45分間還流させた。放冷後、不溶物
濾別し、N,N-ジメチルホルムアミド:水=30mL:30m
L(1N水酸化ナトリウム水溶液0.62mLを添加)で洗
込みを行い、得られた濾液を乾固させた。
られた乾固物に水50mL及び1N水酸化ナトリウ
水溶液0.1mLを加え、室温で30分間攪拌した後
、不溶物を濾別し、水で洗浄した後、濾液を
0.5Mヘキサフルオロリン酸水溶液と1.7Mヘキサ
ルオロリン酸水溶液でpH2.4にし、一晩静置
た。析出物を濾取し、pH2.4のヘキサフルオロ
リン酸水溶液、アセトン/ジエチルエーテル(1
:4)及びジエチルエーテルで洗浄した後、真空
下で乾燥して、二核ルテニウム錯体色素(B-2)0
.0867gを得た。
実施例B-2
(光化学電池の作製)
実施例B-1Bで得られた二核ルテニウム錯体色
素(B-1)、参考例B-1で得られた二核ルテニウム
体色素(B-2)を用い、実施例A-3と同様にして
化学電池を作製した。
実施例B-3
(紫外可視吸収スペクトル測定)
実施例B-1Bで得られた二核ルテニウム錯体色
素(B-1)、参考例B-1で得られた二核ルテニウム
体色素(B-2)及び公知の二核ルテニウム錯体
素(B-3)〔[(H 2
dcbpy)(Hdcbpy)Ru(BiBzIm)Ru(bpy) 2
](PF 6
)〕(R 02
=Hである式(2-1)の錯体)それぞれについて、濃
3×10 -5
mol/Lのエタノール溶液を調製し、紫外可視吸
スペクトルを測定した。その結果を図2に示
す。
図2の結果から、2,2’-ビピリジン環の3,4 及び3’,4’位の中心軸上に(即ち、下記式に いて矢印(→)の方向に)それぞれ形成させる (共役系の環)を伸ばした本発明の二核ルテ ウム錯体色素(B-1)は、公知の無置換の二核ル テニウム錯体色素(B-3)と比べて、光の吸収波 域が約100nm長波長側へシフトしており、よ 広範囲の光を電気へ変換できる金属錯体色 として期待できる。一方、2,2’-ビピリジン の3位および3’位を結合してその中心軸上 共役系の環を伸ばした二核ルテニウム錯体 素(B-2)では、光の吸収波長域が長波長側へシ フトしておらず、光の吸収波長域は、形成さ せる環、特に共役系の環を伸ばす方向に大き く依存することが判明した。
実施例C-1-1
(単核ルテニウム錯体(M-1)〔(H 2
dcbpy) 2
RuCl 2
〕の合成)
窒素雰囲気下、500ml三口フラスコに、市販 RuCl 3 ・3H 2 O(2.20g,8.42mmol)、H 2 dcbpy(3.89g,15.95mmol)及びN,N-ジメチルホルムアミ 300mlを加え、2.45GHzのマイクロ波照射下にて 拌しながら45分間還流させた。反応液を放 後、濾過し、得られた濾液を減圧下で濃縮 た。得られた濃縮物をアセトン/ジエチルエ テル(1:4)で洗浄後、2mol/l塩酸300mlを加え、30 間超音波攪拌、更に超音波攪拌を止めて2時 間攪拌した。攪拌終了後、不溶物を濾過し、 2mol/l塩酸、アセトン/ジエチルエーテル(1:4)及 びジエチルエーテルで洗浄した後、真空下で 乾燥させて、単核ルテニウム錯体(M-1)5.17gを た。なお、この実施例C-1-1で得られた単核ル テニウム錯体(M-1)は、実施例C-1、実施例C-2、 施例C-3、実施例C-4で用いた。
実施例C-1-2
(単核ルテニウム錯体(C-M-2a)〔[(BiBzImH)Ru(4,7-dmph
en) 2
](PF 6
)〕(R 1
=R 2
=R 4
=R 5
=R 7
=R 8
=水素原子、R 3
=R 6
=メチル基である式(3-3)の錯体)の合成)
窒素雰囲気下、100ml三口フラスコに、[Ru(4,7- dmphen) 2 Cl 2 ](Cl)0.50g(0.76mmol)、BiBzImH 2 0.21g(0.91mmol)及びエチレングリコール25mlを加 、2.45GHzのマイクロ波照射下にて攪拌しなが 5分間還流させた。反応液を放冷後、水50ml びアンモニウムヘキサフルオロホスフェー (NH 4 PF 6 )水溶液を加えて固体を析出させた。析出物 濾過し、水、アセトン/ジエチルエーテル(1:4 )及びジエチルエーテルで洗浄した後、真空 で乾燥させて、単核ルテニウム錯体前駆体(C -M-2aH)([(BiBzImH 2 )Ru(4,7-dmphen) 2 ](PF 6 ) 2 )0.69gを得た。
次に、窒素雰囲気下、100mlシュレンク管に [(BiBzImH 2 )Ru(4,7-dmphen) 2 ](PF 6 ) 2 1.81g(1.73mmol)及びメタノール30mlを加え、更に28 %ナトリウムメトキシドメタノール溶液3.47ml 滴下した。この懸濁液を攪拌しながら1時間 流した後、反応液を室温まで冷却させた。 出物を濾過し、冷却したメタノール及びジ チルエーテルで洗浄した後、真空下で乾燥 せて、単核ルテニウム錯体(C-M-2a)1.13gを得た 。
前記錯体は以下の物性値で示される新規 合物であった。
1 H-NMR(DMSO-d 6 ,δ(ppm));8.36-8.25(m,4H),8.03-7.94(dd,4H),7.59-7.51(dd,4H), 7.36(d,2H),6.66(t,2H),6.29(t,2H),5.15(t,2H),2.86-2.75(dd,12H ).
実施例C-1
(二核ルテニウム錯体色素(C-1a)〔[(H 2
dcbpy)(Hdcbpy)Ru(BiBzIm)Ru(4,7-dmphen) 2
](PF 6
)〕(R 1
=R 2
=R 4
=R 5
=R 7
=R 8
=水素原子、R 3
=R 6
=メチル基である式(3-1)の錯体)の合成)
窒素雰囲気下、500ml三口フラスコに、単 ルテニウム錯体(M-1)1.00g(1.44mmol)及び水50mlを えた後、1mol/l水酸化ナトリウム水溶液5.55ml 滴下して溶解させた。この溶液にN,N-ジメチ ホルムアミド200ml及び単核ルテニウム錯体(C -M-2a)1.08g(1.44mmol)を加え、2.45GHzのマイクロ波 射下にて攪拌しながら30分間還流させた。反 応液を放冷後、濾過し、得られた濾液を減圧 下で濃縮した。得られた濃縮物に水70mlを加 て溶解させた後、濾過し、濾液に0.5mol/lヘキ サフルオロリン酸水溶液をpH3.0になるまで滴 した。4℃に冷却して一晩放置後、析出した 固体を濾過し、pH3.0のヘキサフルオロリン酸 溶液、アセトン/ジエチルエーテル(1:4)及び エチルエーテルで洗浄した後、真空下で乾 させて、二核ルテニウム錯体色素(C-1a)0.57g 得た。
前記錯体は以下の物性値で示される新規 合物であった。
1
H-NMR(DMSO-d 6
,δ(ppm));9.06(brs,3H),8.52-8.12(m,10H),7.95-7.86(m,5H),7.73
-7.54(m,7H),6.59(dd,2H),6.49(dd,2H),5.52(t,2H),5.32(m,2H),2.
89(s,12H).
質量分析(ESI-MS,溶媒:メタノール);m/z 1339([M-P
F 6
] +
).
実施例C-2-2
(単核ルテニウム錯体(C-M-2b)〔[(BiBzImH)Ru(5,6-dmph
en) 2
](PF 6
)〕(R 1
=R 2
=R 3
=R 6
=R 7
=R 8
=水素原子、R 4
=R 5
=メチル基である式(3-3)の錯体)の合成)
窒素雰囲気下、100ml三口フラスコに、Ru(5,6-d mphen) 2 Cl 2 0.44g(0.73mmol)、BiBzImH 2 0.21g(0.89mmol)及びエチレングリコール25mlを加 、2.45GHzのマイクロ波照射下にて攪拌しなが 5分間還流させた。反応液を放冷後、水50ml びアンモニウムヘキサフルオロホスフェー (NH 4 PF 6 )水溶液を加えて固体を析出させた。析出物 濾過し、水及びジエチルエーテルで洗浄し 後、真空下で乾燥させて、単核ルテニウム 体前駆体(C-M-2bH)([(BiBzImH 2 )Ru(5,6-dmphen) 2 ](PF 6 ) 2 )0.71gを得た。
次に、窒素雰囲気下、50mlシュレンク管に、 [(BiBzImH 2 )Ru(5,6-dmphen) 2 ](PF 6 ) 2 0.70g(0.67mmol)及びメタノール15mlを加え、更に28 %ナトリウムメトキシドメタノール溶液1.34ml 滴下した。この懸濁液を攪拌しながら1時間 流した後、反応液を室温まで冷却させた。 出物を濾過し、冷却したメタノール及びジ チルエーテルで洗浄した後、真空下で乾燥 せて、単核ルテニウム錯体(C-M-2b)0.49gを得た 。
前記錯体は以下の物性値で示される新規 合物であった。
1 H-NMR(DMSO-d 6 ,δ(ppm));8.73(d,2H),8.58(d,2H),8.09(t,4H),7.78-7.74(d,2H),7 .70-7.66(dd,2H),6.70-6.66(t,2H),6.32-6.28(t,2H),5.10(d,2H),2 .79-2.74(d,12H).
実施例C-2
(二核ルテニウム錯体色素(C-1b)〔[(H 2
dcbpy)(Hdcbpy)Ru(BiBzIm)Ru(5,6-dmphen) 2
](PF 6
)〕(R 1
=R 2
=R 3
=R 6
=R 7
=R 8
=水素原子、R 4
=R 5
=メチル基である式(3-1)の錯体)の合成)
窒素雰囲気下、200ml三口フラスコに、単 ルテニウム錯体(M-1)0.19g(0.27mmol)及び水20mlを えた後、1mol/l水酸化ナトリウム水溶液1mlを 下して溶解させた。この溶液にN,N-ジメチル ルムアミド80ml及び単核ルテニウム錯体(C-M-2 b)0.20g(0.22mmol)を加え、2.45GHzのマイクロ波照射 下にて攪拌しながら30分間還流させた。反応 を放冷後、濾過し、得られた濾液を減圧下 濃縮した。得られた濃縮物に水60mlを加えて 溶解させた後、濾過し、濾液に0.5mol/lヘキサ ルオロリン酸水溶液をpH2.8になるまで滴下 た。4℃に冷却して一晩放置後、析出した固 を濾過し、pH2.8のヘキサフルオロリン酸水 液、アセトン/ジエチルエーテル(1:4)及びジ チルエーテルで洗浄した後、真空下で乾燥 せて、二核ルテニウム錯体色素(C-1b)0.32gを得 た。
前記錯体は以下の物性値で示される新規 合物であった。
1
H-NMR(DMSO-d 6
,δ(ppm));9.06(brs,3H),8.85-8.75(m,5H),8.63(d,1H),8.30(d,1H)
,8.21(d,1H),8.08-8.02(m,2H),7.75-7.69(m,8H),6.69(dd,2H),6.51
(dd,2H),5.57-5.52(t,2H),5.29(d,1H),5.22(d,1H),2.82-2.73(m,12
H).
質量分析(ESI-MS,溶媒:メタノール);m/z 1339([M-P
F 6
] +
).
実施例C-3-2
(単核ルテニウム錯体(C-M-3a)〔[(BiBzIm)Ru(3,4,7,8-t
mphen) 2
]〕(R 1
=R 4
=R 5
=R 8
=水素原子、R 2
=R 3
=R 6
=R 7
=メチル基である式(3-4)の錯体)の合成)
窒素雰囲気下、100ml三口フラスコに、[Ru(3,4, 7,8-tmphen) 2 Cl 2 ](Cl)0.47g(0.73mmol)、BiBzImH 2 0.21g(0.87mmol)及びエチレングリコール25mlを加 、2.45GHzのマイクロ波照射下にて攪拌しなが 5分間還流させた。反応液を放冷後、水50ml びアンモニウムヘキサフルオロホスフェー (NH 4 PF 6 )水溶液を加えて固体を析出させた。析出物 濾過し、水及びジエチルエーテルで洗浄し 後、真空下で乾燥させて、単核ルテニウム 体前駆体(C-M-3aH)([(BiBzImH 2 )Ru(3,4,7,8-tmphen) 2 ](PF 6 ) 2 )0.77gを得た。
次に、窒素雰囲気下、50mlシュレンク管に、 [(BiBzImH 2 )Ru(3,4,7,8-tmphen) 2 ](PF 6 ) 2 0.76g(0.69mmol)及びメタノール15mlを加え、更に28 %ナトリウムメトキシドメタノール溶液1.38ml 滴下した。この懸濁液を攪拌しながら1時間 流した後、反応液を室温まで冷却させた。 出物を濾過し、冷却したメタノール及びジ チルエーテルで洗浄した後、真空下で乾燥 せて、単核ルテニウム錯体(C-M-3a)0.41gを得た 。
前記錯体は以下の物性値で示される新規 合物であった。
1 H-NMR(DMSO-d 6 ,δ(ppm));8.35(m,4H),7.95-7.80(m,4H),7.37(d,2H),6.67(t,2H),6 .29(t,2H),5.09(m,2H),2.75(s,6H),2.64(s,6H),2.25(s,6H),2.12(s ,6H).
実施例C-3
(二核ルテニウム錯体色素(C-1d)〔[(H 2
dcbpy)(Hdcbpy)Ru(BiBzIm)Ru(3,4,7,8-tmphen) 2
](PF 6
)〕(R 1
=R 4
=R 5
=R 8
=水素原子、R 2
=R 3
=R 6
=R 7
=メチル基である式(3-1)の錯体)の合成)
窒素雰囲気下、500ml三口フラスコに、単 ルテニウム錯体(M-1)0.35g(0.50mmol)及び水40mlを えた後、1mol/l水酸化ナトリウム水溶液1.94ml 滴下して溶解させた。この溶液にN,N-ジメチ ホルムアミド160ml及び単核ルテニウム錯体(C -M-3a)0.40g(0.50mmol)を加え、2.45GHzのマイクロ波 射下にて攪拌しながら30分間還流させた。反 応液を放冷後、濾過し、得られた濾液を減圧 下で濃縮した。得られた濃縮物に水52mlを加 て溶解させた後、濾過し、濾液に0.5mol/lヘキ サフルオロリン酸水溶液をpH3.0になるまで滴 した。4℃に冷却して一晩放置後、析出した 固体を濾過し、pH3.0のヘキサフルオロリン酸 溶液、アセトン/ジエチルエーテル(1:4)及び エチルエーテルで洗浄した後、真空下で乾 させて、二核ルテニウム錯体色素(C-1d)0.16g 得た。
前記錯体は以下の物性値で示される新規 合物であった。
1
H-NMR(DMSO-d 6
,δ(ppm));9.15(brs,4H),8.42-7.75(m,16H),6.56(t,2H),6.44(t,2H
),5.50(t,2H),5.27-5.11(m,2H),2.82-2.70(m,14H),2.27-2.16(m,10
H).
質量分析(ESI-MS,溶媒:メタノール);m/z 1395([M-P
F 6
] +
).
実施例C-4-2
(単核ルテニウム錯体(C-M-4a)〔[(BiBzIm)Ru(4,7-dipph
en) 2
]〕(R 1
=R 2
=R 4
=R 5
=R 7
=R 8
=水素原子、R 3
=R 6
=フェニル基である式(3-4)の錯体)の合成)
窒素雰囲気下、100ml三口フラスコに、Ru(4,7-d ipphen) 2 Cl 2 0.51g(0.61mmol)、BiBzImH 2 0.17g(0.74mmol)及びエチレングリコール25mlを加 、2.45GHzのマイクロ波照射下にて攪拌しなが 5分間還流させた。反応液を放冷後、水50ml びアンモニウムヘキサフルオロホスフェー (NH 4 PF 6 )水溶液を加えて固体を析出させた。析出物 濾過し、水及びジエチルエーテルで洗浄し 後、真空下で乾燥させて、単核ルテニウム 体前駆体(C-M-4aH)([(BiBzImH 2 )Ru(4,7-dipphen) 2 ](Cl)(PF 6 ))0.70gを得た。
次に、窒素雰囲気下、50mlシュレンク管に、 [(BiBzImH 2 )Ru(4,7-dipphen) 2 ](Cl)(PF 6 )0.69g(0.53mmol)及びメタノール15mlを加え、更に2 8%ナトリウムメトキシドメタノール溶液1.06ml 滴下した。この懸濁液を攪拌しながら1時間 還流した後、反応液を室温まで冷却させた。 析出物を濾過し、冷却したメタノールで洗浄 した後、真空下で乾燥させて、単核ルテニウ ム錯体(C-M-4a)0.39gを得た。
前記錯体は以下の物性値で示される新規 合物であった。
1 H-NMR(DMSO-d 6 ,δ(ppm));8.49(d,2H),8.29(d,2H),8.17(t,4H),7.86(d,2H),7.79(d ,2H),7.71-7.52(m,20H),7.42(d,2H),6.72(t,2H),6.40(t,2H),5.27( d,2H).
実施例C-4
(二核ルテニウム錯体色素(C-1e)〔[(H 2
dcbpy)(Hdcbpy)Ru(BiBzIm)Ru(4,7-dipphen) 2
](PF 6
)〕(R 1
=R 2
=R 4
=R 5
=R 7
=R 8
=水素原子、R 3
=R 6
=フェニル基である式(3-1)の錯体)の合成)
窒素雰囲気下、500ml三口フラスコに、単 ルテニウム錯体(M-1)0.58g(0.83mmol)及び水80mlを えた後、1mol/l水酸化ナトリウム水溶液3.50ml 滴下して溶解させた。この溶液にN,N-ジメチ ホルムアミド320ml及び単核ルテニウム錯体(C -M-4a)0.83g(0.83mmol)を加え、2.45GHzのマイクロ波 射下にて攪拌しながら30分間還流させた。反 応液を放冷後、濾過し、得られた濾液を減圧 下で濃縮した。得られた濃縮物に水220mlを加 て溶解させた後、濾過し、濾液に0.5mol/lヘ サフルオロリン酸水溶液をpH3.0になるまで滴 下した。4℃に冷却して一晩放置後、析出し 固体を濾過し、pH3.0のヘキサフルオロリン酸 水溶液で洗浄した後、真空下で乾燥させて、 二核ルテニウム錯体色素(C-1e)0.27gを得た。
前記錯体は以下の物性値で示される新規 合物であった。
1
H-NMR(DMSO-d 6
,δ(ppm));9.16(brs,4H),8.25-7.61(m,40H),6.76-6.58(m,4H),5.60
-5.28(m).
質量分析(ESI-MS,溶媒:メタノール);m/z 1587([M-P
F 6
] +
).
実施例C-5
(光化学電池の作製)
実施例C-1で得られた二核ルテニウム錯体色
(C-1a)、実施例C-2で得られた二核ルテニウム
体色素(C-1b)及び下記式で示される公知の二
ルテニウム錯体色素(C-1c)〔[(H 2
dcbpy)(Hdcbpy)Ru(BiBzIm)Ru(phen) 2
](PF 6
)〕(R 1
~R 8
=Hである式(3-1)の錯体)を用い、二核ルテニウ
錯体色素溶液の濃度を0.02mmol/l又は0.05mmol/l
した以外は、実施例A-3と同様にして光化学
池を作製した。
(変換効率の測定)
得られた光化学電池の光電変換効率を実施
A-3と同様にして測定した。
本発明の二核ルテニウム錯体色素(C-1a)及び( C-1b)、公知の二核ルテニウム錯体色素(C-1c)の1 分子当たりの変換効率は、それぞれ、46.7×10 7 %/mol、31.3×10 7 %/mol、27.3×10 7 %/molであった。このことから、疎水性の置換 、特にメチル基を導入することにより、ル ニウム錯体色素1分子当たりの変換効率が高 くなること、疎水性の置換基を有する本発明 の二核ルテニウム錯体色素が高性能の光化学 電池を製造するための色素となり得ることが 分かる。
実施例D-1-2
(単核オスミウム錯体(D-M-2)〔[(BiBzIm)Os(4,4’-dmb
py) 2
]〕(R 04
=メチル基である式(4-3)の錯体)の合成)
窒素雰囲気下、100ml三口フラスコに、Os(4,4
-dmbpy) 2
Cl 2
0.504g(0.800mmol)、2,2’-ビベンズイミダゾール(Bi
BzImH 2
)0.225g(0.960mmol)及びエチレングリコール21mlを
え、2.45GHzのマイクロ波照射下5分間還流させ
た。放冷後、21mlの水を加えて未反応のビベ
ズイミダゾールを析出させ、これを濾過し
得られた濾液にアンモニウムヘキサフルオ
ホスフェート(NH 4
PF 6
)の水溶液を加えて固体を析出させた。析出
を濾過し、水及びジエチルエーテルで洗浄
た後、真空下で乾燥させて、0.710gの錯体を
た。
続いて、得られた錯体をメタノール40ml、ア セトン20mlの混合溶媒に完全に溶解させ、こ にハイドロサルファイトナトリウム(Na 2 S 2 O 4 )の水溶液およびアンモニウムヘキサフルオ ホスフェート(NH 4 PF 6 )の水溶液を加えて攪拌処理することにより 体を析出させた。析出物を濾過し、水で洗 した後、真空下で乾燥させて、単核オスミ ム錯体前駆体(D-M-2H)([(BiBzImH 2 )Os(4,4’-dmbpy) 2 ](PF 6 ) 2 )0.570gを得た。
次に、窒素雰囲気下、100mlナスフラスコに [(BiBzImH 2 )Os(4,4’-dmbpy) 2 ](PF 6 ) 2 0.556g(0.513mmol)及びメタノール15mlを加え、更に 28%ナトリウムメトキシドメタノール溶液0.991m l(5.13mmol)を滴下した。この懸濁液を攪拌しな ら2時間還流した後、反応液を室温まで冷却 させた。析出物を濾過し、1.73%ナトリウムメ キシドメタノール溶液で洗浄した後、真空 で乾燥させて、単核オスミウム錯体(D-M-2)0.3 73gを得た。
実施例D-1
(ルテニウム-オスミウム錯体色素(D-1)〔[(H 2
dcbpy) 2
Ru(BiBzIm)Os(4,4’-dmbpy) 2
](PF 6
) 2
〕(R 04
=メチル基である式(4-1)の錯体)の合成)
窒素雰囲気下、200ml三口フラスコに、単核
テニウム錯体(M-1)0.222g(0.318mmol)及び水30mlを加
えた後、1mol/l水酸化ナトリウム水溶液1.25mlを
滴下して溶解させた。この溶液に単核オスミ
ウム錯体(D-M-2)0.302g(0.382mmol)及びエタノール30m
lを加え、2.45GHzのマイクロ波照射下にて攪拌
ながら40分間還流させた。反応液を放冷後
濾過し、濾液中のエタノールを減圧留去し
。得られた濃縮液を濾過し、不溶物を濾別
、濾液にヘキサフルオロリン酸水溶液をpH2.3
になるまで滴下した。4℃に冷却して一晩放
後、析出した固体を濾過し、pH2.3のヘキサフ
ルオロリン酸水溶液、アセトン/ジエチルエ
テル(1:4)及びジエチルエーテルで洗浄した後
、真空下で乾燥させて、ルテニウム-オスミ
ム錯体色素(D-1)0.184gを得た。
実施例D-2
(光化学電池の作製)
実施例D-1で得られたルテニウム-オスミウム
錯体色素(D-1)を用い、実施例A-3と同様にして
化学電池を作製した。
実施例D-3-1(色素のHOMO準位の測定)
実施例D-1で得られたルテニウム-オスミウム
錯体色素(D-1)及び公知のルテニウム-オスミウ
ム錯体色素(D-2)〔[(H 2
dcbpy)(Hdcbpy)Ru(BiBzIm)Os(bpy) 2
](PF 6
)〕(R 04
=Hである式(4-1)の錯体)それぞれについて、理
計器(株)製の大気中光電子分光装置AC-3を用
、イオン化ポテンシャル(Ip)を測定し、HOMO(e
V)として見積もった。
実施例D-3-2(色素のHOMO-LUMOギャップδEの算出)
実施例D-1で得られたルテニウム-オスミウム
錯体色素(D-1)及び公知のルテニウム-オスミウ
ム錯体色素(D-2)〔[(H 2
dcbpy)(Hdcbpy)Ru(BiBzIm)Os(bpy) 2
](PF 6
)〕(R 04
=Hである式(4-1)の錯体)それぞれについて、濃
3×10 -5
mol/Lのエタノール溶液を調製し、UV-visスペク
ルを測定した。そして、最も長波長側の最
吸収波長の吸光度Aに対し、(1-0.9)×Aとなる
長を吸収端λ(nm)として、下記の式よりδE(eV)
算出した。
δE(eV)=1240/λ(nm)
実施例D-3-3(色素のLUMO準位の算出)
実施例D-3-1および実施例D-3-2より、下記の式
よりLUMO(eV)を算出した。
LUMO(eV)=HOMO(eV)+δE(eV)
図3に、ルテニウム-オスミウム二核錯体色 (D-1)及び公知のルテニウム-オスミウム二核 体色素(D-2)のUV-visスペクトルを示す。また、 図4に、ルテニウム-オスミウム二核錯体色素( D-1)及び公知のルテニウム-オスミウム二核錯 色素(D-2)のHOMO-LUMOエネルギー準位をTiO 2 (CB)およびヨウ素レドックス(I - /I 3 - )のエネルギー準位と合わせて示す。
図3、4の結果から、公知のルテニウム-オス ウム錯体色素(D-2)はLUMO準位がTiO 2 (CB)とマッチしていないのに対して、本発明 ルテニウム-オスミウム錯体色素(D-1)は、よ 長波長域までの光吸収能力を維持しつつ、 のHOMO-LUMOのエネルギー準位がTiO 2 (CB)およびヨウ素レドックス(I - /I 3 - )を挟み込むような好適な位置関係にある。 テニウム-オスミウム錯体色素(D-1)を用いる とにより、効率的な電子移動が可能となり 変換効率の向上が期待できる。
第1の本発明により、短い吸着時間で、高 い光電変換効率を有する光電変換素子、及び 光化学電池が得られる二核ルテニウム錯体色 素を提供することができる。
第2の本発明により、より広範囲の光を吸 収することができ、広い光波長域にわたって 太陽光を電気に変換することが可能となり得 る高効率の光電変換素子、及び光化学電池が 得られる二核ルテニウム錯体色素を提供する ことができる。
第3の本発明により、疎水性置換基を有す る1,10-フェナントロリンを配位子とした二核 テニウム錯体色素、当該錯体色素を有する 電変換素子、及び光化学電池を提供するこ ができ、特に水溶性電解液を用いた場合に ルテニウム錯体色素1分子当たりの変換効率 が高い光電変換素子、及び光化学電池が得ら れる二核ルテニウム錯体色素を提供すること ができる。
第4の本発明により、長波長域まで光吸収能 力を有し、しかも、TiO 2 (CB)およびヨウ素レドックス(I - /I 3 - )のエネルギー準位とマッチしたHOMO-LUMOを有 るルテニウム-オスミウム錯体色素を提供す ことができ、効率的な電子移動の観点から 換効率の向上が期待できる。