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Title:
DIRECT FUEL-INJECTION ENGINE
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/113518
Kind Code:
A1
Abstract:
In a direct fuel-injection engine including a pent roof type piston having, at any position in the circumferential direction, a cavity with a uniform cross sectional shape including the central axis (Lp) of the piston, the cavity (25) being depressed in a central part of the piston (13) the height of the top surface of which varies in the circumferential direction, a lip (26) is provided in a protruding manner in the inward radial direction at an opening edge of the cavity (25), the cross sectional shape of the lip (26) being uniform at any position in the circumferential direction to prevent spillover of fuel from the cavity (25). Due to the configuration, inconsistency of any cross-sectional shape of the cavity (25) including the central axis (Lp) of the piston can be prevented, and uniform mixing of the fuel inside the cavity can be secured by providing the lip (26). Further, the durability can be strengthened by making the thermal load to be applied to the lip (26) at a time of combustion of air-fuel mixture in the circumferential direction uniform, and the casting accuracy can be enhanced by making the cooling speed of molten metal at the lip (26) at a time of casting of the piston (13) uniform.

Inventors:
IKEYA KENICHIRO (JP)
KATAYAMA GOICHI (JP)
UCHIMOTO TATSUYA (JP)
KANEKO YOSHIMASA (JP)
SASAKI NOBUHIKO (JP)
YAMAYA YUKIHISA (JP)
YAMAGUCHI AKIHIRO (JP)
TAJIMA YUTAKA (JP)
SONO HIROSHI (JP)
SHIBATA MITSUHIRO (JP)
Application Number:
PCT/JP2009/054503
Publication Date:
September 17, 2009
Filing Date:
March 10, 2009
Export Citation:
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Assignee:
HONDA MOTOR CO LTD (JP)
IKEYA KENICHIRO (JP)
KATAYAMA GOICHI (JP)
UCHIMOTO TATSUYA (JP)
KANEKO YOSHIMASA (JP)
SASAKI NOBUHIKO (JP)
YAMAYA YUKIHISA (JP)
YAMAGUCHI AKIHIRO (JP)
TAJIMA YUTAKA (JP)
SONO HIROSHI (JP)
SHIBATA MITSUHIRO (JP)
International Classes:
F02B23/06; F02F3/26
Foreign References:
JPS62255523A1987-11-07
JP2008038650A2008-02-21
JPS62255524A1987-11-07
JPH0517370A1993-01-26
JP2008002443A2008-01-10
Other References:
See also references of EP 2251532A4
Attorney, Agent or Firm:
OCHIAI, Takeshi et al. (JP)
Ochiai 健 (JP)
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Claims:
 頂面のピストン中心軸(Lp)方向の高さが円周方向に変化するピストン(13)と、前記ピストン(13)の頂面の中央部に凹設されたキャビティ(25)と、前記キャビティ(25)の開口縁からピストン中心軸(Lp)に向けて環状に突出し、該キャビティ(25)の開口径を縮径するリップ部(26)と、前記キャビティ(25)内に燃料を噴射するフュエルインジェクタ(23)とを備えた燃料直噴エンジンにおいて、
 ピストン中心軸(Lp)から放射方向に延びる任意の半平面における前記リップ部(26)の断面形状を、該リップ部(26)の円周方向全域に亘って略等しくしたことを特徴とする燃料直噴エンジン。
 頂面のピストン中心軸(Lp)方向の高さが円周方向に変化するピストン(13)と、前記ピストン(13)の頂面の中央部に凹設されたキャビティ(25)と、前記キャビティ(25)の開口縁からピストン中心軸(Lp)に向けて環状に突出し、該キャビティ(25)の開口径を縮径するリップ部(26)と、前記キャビティ(25)内に燃料を噴射するフュエルインジェクタ(23)とを備えた燃料直噴エンジンにおいて、
 Nを2以上の自然数とし、前記リップ部(26)の外壁面と、ピストン中心軸(Lp)から放射方向に延びて互いに均等な挟み角を有するN個の半平面(X1~X6)とで、前記リップ部(26)をN個の仮想的なリップ部区分(26A~26F)に区画したとき、前記各々の仮想的なリップ部区分(26A~26F)の容積が略等しくなるように、前記リップ部(26)の外壁面の形状を設定したことを特徴とする燃料直噴エンジン。
 Nを2以上の自然数とし、前記キャビティ(25)の内壁面と、ピストン中心軸(Lp)から放射方向に延びて互いに均等な挟み角を有するN個の半平面(X1~X6)とで、前記キャビティ(25)をN個の仮想的なキャビティ区分(25A~25F)に区画したとき、前記各々の仮想的なキャビティ区分(25A~25F)の容積が略等しくなるように、前記キャビティ(25)の内壁面の形状を設定したことを特徴とする、請求項2に記載の燃料直噴エンジン。
 前記フュエルインジェクタ(23)は円周方向に離間する複数の燃料噴射軸(Li1,Li2)を備え、
 n番目の燃料噴射軸(Li1,Li2)を通る前記キャビティ(25)の断面を燃料噴射断面Snとし、
 前記燃料噴射断面Snと前記キャビティ(25)の開口縁との交点を第1特定点Anとし、
 前記第1特定点Anを通りかつ前記燃料噴射断面Snにおけるシリンダヘッド(16)の下面と平行な線上には第2特定点Bnが存在し、
 前記燃料噴射断面Snにおける前記キャビティ(25)の底壁部(25c)上には第3特定点Cnが存在し、
 前記第2特定点Bnは前記第1特定点Anよりもピストン中心軸(Lp)に近い位置にあり、
 前記第3特定点Cnは前記キャビティ(25)の底壁部(25c)の最大外径位置よりもピストン中心軸(Lp)に近い位置にあり、
 前記第1、2特定点An,Bnを前記燃料噴射断面Snにおける前記シリンダヘッド(16)の下面に沿う線で結ぶ経路AnBnと、前記第1、第3特定点An,Cnを前記燃料噴射断面Snにおける前記キャビティ(25)の壁面に沿って結ぶ経路AnCnと、前記第2、第3特定点Bn,Cnを最短直線で結ぶ経路BnCnとで囲まれる断面形状が、各燃料噴射断面Snにおいて略等しくしたものを基準断面形状とし、
 前記ピストン(13)の頂面のピストン中心軸(Lp)方向の高さが低い方向に存在する燃料噴射軸(Li1,Li2)を通る前記燃料噴射断面Snほど、前記基準断面形状が拡大するように前記キャビティ(25)の内壁面の形状を変化させることで、前記各々の仮想的なキャビティ区分(25A~25F)の容積を略等しくし、
 前記燃料噴射断面Snにおける前記経路AnBn上の前記第1特定点Anから前記第2特定点Bn側に距離rだけ離れた点g1,g2と、前記点g1,g2から前記経路AnBnと直交する方向に前記キャビティ(25)の底壁部(25c)側に距離Heだけ離れた点h1,h2とを規定し、前記第1特定点Anおよび前記点g1,g2を結ぶ線分と、前記点g1,g2および前記点h1,h2を結ぶ線分と、前記点h1,h2および前記キャビティ(25)の周壁部(25a)を滑らかに結ぶ曲線とにより、前記リップ部(26)の形状を設定したことを特徴とする、請求項3に記載の燃料直噴エンジン。
Description:
燃料直噴エンジン

 本発明は、頂面のピストン中心軸方向の さが円周方向に変化するピストンと、前記 ストンの頂面の中央部に凹設されたキャビ ィと、前記キャビティの開口縁からピスト 中心軸に向けて環状に突出し、該キャビテ の開口径を縮径するリップ部と、前記キャ ティ内に燃料を噴射するフュエルインジェ タとを備えた燃料直噴エンジンに関する。

 一般的に燃料直噴ディーゼルエンジンの ストンの頂面は平坦に形成されているが、 ストンの頂面をペントルーフ状に突出させ 燃料直噴ディーゼルエンジンが、下記特許 献1により公知である。

 この燃料直噴ディーゼルエンジンは、ペン ルーフ型のピストンの頂面に凹設したキャ ティの開口縁から環状のリップ部を径方向 向きに突設するとともに、そのリップ部の ストン中心軸方向の厚さを円周方向に均一 することにより、キャビティの内部に噴射 れた燃料の吹き零れを防止してHCやスモー の発生を抑制するようになっている。

日本特公平5-17370号公報

 ところで上記従来のものは、キャビティ リップ部のピストン中心軸方向の厚さを円 方向に均一化しているが、ペントルーフ型 ピストンのキャビティの開口縁は円周方向 波打つように高さが変化しているため、リ プ部の断面形状やキャビティの断面形状が 周方向に不均一になり、リップ部の熱負荷 キャビティ内の混合気の濃度が円周方向に 均一になる問題があった。

 本発明は前述の事情に鑑みてなされたも で、ペントルーフ型ピストンを備えた燃料 噴エンジンにおいて、リップ部の熱負荷や ャビティ内の混合気の濃度を円周方向に可 的に均一化することを目的とする。

 上記目的を達成するために、本発明によ ば、頂面のピストン中心軸方向の高さが円 方向に変化するピストンと、前記ピストン 頂面の中央部に凹設されたキャビティと、 記キャビティの開口縁からピストン中心軸 向けて環状に突出し、該キャビティの開口 を縮径するリップ部と、前記キャビティ内 燃料を噴射するフュエルインジェクタとを えた燃料直噴エンジンにおいて、ピストン 心軸から放射方向に延びる任意の半平面に ける前記リップ部の断面形状を、該リップ の円周方向全域に亘って略等しくしたこと 第1の特徴とする燃料直噴エンジンが提案さ れる。

 また本発明によれば、頂面のピストン中 軸方向の高さが円周方向に変化するピスト と、前記ピストンの頂面の中央部に凹設さ たキャビティと、前記キャビティの開口縁 らピストン中心軸に向けて環状に突出し、 キャビティの開口径を縮径するリップ部と 前記キャビティ内に燃料を噴射するフュエ インジェクタとを備えた燃料直噴エンジン おいて、Nを2以上の自然数とし、前記リッ 部の外壁面と、ピストン中心軸から放射方 に延びて互いに均等な挟み角を有するN個の 平面とで、前記リップ部をN個の仮想的なリ ップ部区分に区画したとき、前記各々の仮想 的なリップ部区分の容積が略等しくなるよう に、前記リップ部の外壁面の形状を設定した ことを第2の特徴とする燃料直噴エンジンが 案される。

 また本発明によれば、前記第2の特徴に加 えて、Nを2以上の自然数とし、前記キャビテ の内壁面と、ピストン中心軸から放射方向 延びて互いに均等な挟み角を有するN個の半 平面とで、前記キャビティをN個の仮想的な ャビティ区分に区画したとき、前記各々の 想的なキャビティ区分の容積が略等しくな ように、前記キャビティの内壁面の形状を 定したことを第3の特徴とする燃料直噴エン ンが提案される。

 また本発明によれば、前記第3の特徴に加 えて、前記フュエルインジェクタは円周方向 に離間する複数の燃料噴射軸を備え、n番目 燃料噴射軸を通る前記キャビティの断面を 料噴射断面Snとし、前記燃料噴射断面Snと前 キャビティの開口縁との交点を第1特定点An し、前記第1特定点Anを通りかつ前記燃料噴 断面Snにおけるシリンダヘッドの下面と平 な線上には第2特定点Bnが存在し、前記燃料 射断面Snにおける前記キャビティの底壁部上 には第3特定点Cnが存在し、前記第2特定点Bnは 前記第1特定点Anよりもピストン中心軸に近い 位置にあり、前記第3特定点Cnは前記キャビテ ィの底壁部の最大外径位置よりもピストン中 心軸に近い位置にあり、前記第1、2特定点An,B nを前記燃料噴射断面Snにおける前記シリンダ ヘッドの下面に沿う線で結ぶ経路AnBnと、前 第1、第3特定点An,Cnを前記燃料噴射断面Snに ける前記キャビティの壁面に沿って結ぶ経 AnCnと、前記第2、第3特定点Bn,Cnを最短直線で 結ぶ経路BnCnとで囲まれる断面形状が、各燃 噴射断面Snにおいて略等しくしたものを基準 断面形状とし、前記ピストンの頂面のピスト ン中心軸方向の高さが低い方向に存在する燃 料噴射軸を通る前記燃料噴射断面Snほど、前 基準断面形状が拡大するように前記キャビ ィの内壁面の形状を変化させることで、前 各々の仮想的なキャビティ区分の容積を略 しくし、前記燃料噴射断面Snにおける前記 路AnBn上の前記第1特定点Anから前記第2特定点 Bn側に距離rだけ離れた点g1,g2と、前記点g1,g2 ら前記経路AnBnと直交する方向に前記キャビ ィの底壁部側に距離Heだけ離れた点h1,h2とを 規定し、前記第1特定点Anおよび前記点g1,g2を ぶ線分と、前記点g1,g2および前記点h1,h2を結 ぶ線分と、前記点h1,h2および前記キャビティ 周壁部を滑らかに結ぶ曲線とにより、前記 ップ部の形状を設定したことを第4の特徴と する燃料直噴エンジンが提案される。

 本発明の第1の特徴によれば、いわゆるペ ントルーフ型のピストンの頂面の中央部に凹 設したキャビティの開口縁に、ピストン中心 軸に向けて環状に突出するリップ部を設けた ものにおいて、リップ部の断面形状を円周方 向全域に亘って略等しくしたので、インジェ クタから噴射された燃料がキャビティから吹 き零れるのをリップ部により阻止できるだけ でなく、リップ部を設けたことでピストン中 心軸を含むキャビティの各断面形状が不一致 になるのを防止し、キャビティ内での燃料の 均一な混合を確保することができる。更に、 混合気の燃焼時にリップ部に加わる熱負荷を 円周方向全域に亘って均一にして耐久性を高 めることができ、しかもピストンの鋳造時に リップ部における溶湯の冷却速度を均一化し て鋳造精度を高めることができる。

 また本発明の第2の特徴によれば、いわゆ るペントルーフ型のピストンの頂面の中央部 に凹設したキャビティの開口縁に、ピストン 中心軸に向けて環状に突出するリップ部を設 けたものにおいて、ピストン中心軸から放射 方向に延びて互いに均等な挟み角を有するN の半平面でリップ部をN個の仮想的なリップ 区分に区画したとき、各々の仮想的なリッ 部区分の容積を略等しくしたので、インジ クタから噴射された燃料がキャビティから き零れるのをリップ部により阻止できるだ でなく、リップ部を設けたことでピストン 心軸を含むキャビティの各断面形状が不一 になるのを防止し、キャビティ内での燃料 均一な混合を確保することができる。更に 混合気の燃焼時にリップ部に加わる熱負荷 円周方向全域に亘って均一にして耐久性を めることができ、しかもピストンの鋳造時 リップ部における溶湯の冷却速度を均一化 て鋳造精度を高めることができる。

 また本発明の第3の特徴によれば、ピスト ン中心軸から放射方向に延びて互いに均等な 挟み角を有するN個の半平面で、キャビティ N個の仮想的なキャビティ区分に区画したと 、各々の仮想的なキャビティ区分の容積が 等しくなるようにキャビティの内壁面の形 を設定したので、キャビティにおける燃料 よび空気の混合状態を均一化してエンジン 出力向上および排気有害物質の低減を図る とができる。このとき、各々の仮想的なリ プ部区分の容積を略等しくしたので、リッ 部を設けたことで各々の仮想的なキャビテ 区分の容積が不均一になるのを防止するこ ができる。

 また本発明の第4の特徴によれば、先願発 明(日本特開2008-002443号公報参照)のキャビテ の断面形状を基準断面形状とし、ピストン 頂面のピストン中心軸方向の高さが低い方 に存在する燃料噴射軸を通る燃料噴射断面Sn ほど、前記基準断面形状が拡大するようにキ ャビティの内壁面の形状を変化させることで 、各々の仮想的なキャビティ区分の容積を略 等しくしたので、先願発明に比べて各燃料噴 射断面Snにおける燃料および空気の混合状態 より均一化することができる。

図1はディーゼルエンジンの要部縦断面 図である。(第1の実施の形態) 図2は図1の2-2線矢視図である。(第1の実 施の形態) 図3は図1の3-3線矢視図である。(第1の実 施の形態) 図4はピストンの上部斜視図である。( 1の実施の形態) 図5は図3の5-5線断面図である。(第1の実 施の形態) 図6は図3の6-6線断面図である。(第1の実 施の形態) 図7は図3の7-7線断面図である。(第1の実 施の形態) 図8は補正後のキャビティの断面形状を 示す、前記図5に対応する図である。(第1の実 施の形態) 図9は補正後のキャビティの断面形状を 示す、前記図6に対応する図である。(第1の実 施の形態) 図10は仮想的なキャビティ区分および ップ部区分の説明図である。(第1の実施の 態) 図11はキャビティ区分の方向を円周方 に変化させたときの、該キャビティ区分の 積の変化率を示すグラフである。(第1の実 の形態)

符号の説明

13                ピストン
23                フュエルインジェ タ
25                キャビティ
25a               周壁部
25c               底壁部
25A~25F        キャビティ区分
26                リップ部
26A~26F        リップ部区分
Li1               燃料噴射軸
Li2               燃料噴射軸
Lp                ピストン中心軸
X1~X6      半平面

  以下、本発明の実施の形態を添付の図 に基づいて説明する。

第1の実施の形態

 図1~図11は本発明の実施の形態を示すもの である。

 図1~図3に示すように、燃料直噴型のディ ゼルエンジンは、シリンダブロック11に形 されたシリンダ12に摺動自在に嵌合するピス トン13を備えており、ピストン13はピストン ン14およびコネクティングロッド15を介して 示せぬクランクシャフトに接続される。シ ンダブロック11の上面に結合されるシリン ヘッド16の下面に、ピストン13の頂面に対向 る2個の吸気バルブ孔17,17と、2個の排気バル ブ孔18,18とが開口しており、吸気バルブ孔17,1 7に吸気ポ-ト19が連通し、排気バルブ孔18,18に 排気ポート20が連通する。吸気バルブ孔17,17 吸気バルブ21,21で開閉され、排気バルブ孔18, 18は排気バルブ22,22で開閉される。ピストン 心軸Lp上に位置するようにフュエルインジェ クタ23が設けられるとともに、フュエルイン ェクタ23に隣接するようにグロープラグ24が 設けられる。

 図1および図4から明らかなように、ピス ン13の頂面と、そこに対向するシリンダヘッ ド16の下面とは平坦ではなく断面三角形のペ トルーフ状に傾斜しており、この形状によ 、吸気ポ-ト19および排気ポート20の湾曲度 小さくするとともに吸気バルブ孔17,17および 排気バルブ孔18,18の直径を確保し、吸気効率 よび排気効率を高めることができる。

 ピストン13の頂面には、ピストン中心軸Lp を中心とするキャビティ25が凹設される。キ ビティ25の径方向外側には、ピストンピン14 と平行に直線状に延びる頂部13a,13aから吸気 および排気側に向かって下向きに傾斜する 対の傾斜面13b,13bと、傾斜面13b,13bの下端近傍 に形成されてピストン中心軸Lpに直交する一 の平坦面13c,13cと、頂部13a,13aの両端を平坦 切り欠いた一対の切欠き部13d,13dとが形成さ る。

 ピストン中心軸Lpに沿って配置されたフ エルインジェクタ23は、ピストン中心軸Lp上 仮想的な点である燃料噴射点Oinjを中心とし て円周方向に60°間隔で離間する6つの方向に 料を噴射する。6本の燃料噴射軸のうちの2 の第1燃料噴射軸Li1は、ピストン中心軸Lp方 に見てピストンピン14と重なっており、他の 4本の第2燃料噴射軸Li2は、ピストンピン14の 向に対して60°の角度で交差している。また ストン中心軸Lpに直交する方向に見て、6本 第1、第2燃料噴射軸Li1,Li2は斜め下向きに傾 しており、その下向きの度合いは第1燃料噴 射軸Li1については小さく、第2燃料噴射軸Li1 ついては大きくなっている(図6および図7参 )。

 尚、フュエルインジェクタ23が実際に燃 を噴射する噴射点はピストン中心軸Lpから径 方向外側に僅かにずれているが、前記燃料噴 射点Oinjは前記第1、第2燃料噴射軸Li1,Li2がピ トン中心軸Lpと交差する点として定義される 。

 次に、図5~図7を参照して、本出願人の出 に係る先願発明(日本特開2008-002443号公報参 )のキャビティ25の断面形状を詳述する。先 発明のキャビティ25の断面形状を説明する 由は、先願発明のキャビティ25の断面形状を 補正した上で、キャビティ25の開口縁にリッ 部26を突設して本願発明のキャビティ25の断 面形状を得るからである。図5はピストンピ 14に対して直交する方向の断面であり、図6 ピストンピン14に対して60°で交差する方向 断面(第2燃料噴射軸Li2を含む断面)であり、 7はピストンピン14に沿う方向の断面(第1燃料 噴射軸Li1を含む断面)である。

 先願発明は、ピストン中心軸Lpを通る任 の断面において、キャビティ25の形状を可及 的に一致させることを狙ったものである。キ ャビティ25の断面形状はピストン中心軸Lpを んで左右二つの部分に分かれており、その つの部分は図7のピストンピン14方向の断面 は概ね直線状に繋がっているが、図5のピス ンピン14直交方向の断面と、図6のピストン ン14に対して60°で交差する方向の断面とで 、ピストン13のペントルーフ形状に応じて 型に繋がっている。但し、キャビティ25の断 面形状の主要部、つまり図5~図7に網かけをし て示す部分の形状は完全に一致している。

 図5~図7から明らかなように、ピストン中 軸Lpを中心として形成されたキャビティ25は 、ピストン13の頂面から下向きに直線状に延 る周壁部25aと、周壁部25aの下端からピスト 中心軸Lpに向かってコンケーブ状に湾曲す 曲壁部25bと、曲壁部25bの径方向内端からピ トン中心軸Lpに向かって斜め上方に直線状に 延びる底壁部25cと、ピストン中心軸Lp上で底 部25cの径方向内端に連なる頂部25dとで構成 れる。

 キャビティ25に対向するシリンダヘッド16 の下面を示す線L-R1,L-R2から下方に距離Haだけ れて平行に延びるラインをピストン頂面基 線L-a1,L-a2とする。同様にシリンダヘッド16 下面を示す線L-R1,L-R2から下方に距離Hbcだけ れて平行に延びる線をキャビティ底面基本 L-bc1,L-bc2とし、シリンダヘッド16の下面を示 線L-R1,L-R2から下方に距離Hdだけ離れて平行 延びる線をキャビティ頂部基本線L-d1,L-d2と る。

 燃料噴射点Oinjを中心とする半径Raの円弧 前記ピストン頂面基本線L-a1,L-a2との交点をa 1,a2とする。同様に燃料噴射点Oinjを中心とす 半径Rbの円弧と前記キャビティ底面基本線L- bc1,L-bc2との交点をb1,b2とし、燃料噴射点Oinjを 中心とする半径Rcの円弧と前記キャビティ底 基本線L-bc1,L-bc2との交点をc1,c2とし、燃料噴 射点Oinjを中心とする半径Rdの円弧と前記キャ ビティ頂部基本線L-d1,L-d2との交点をd1,d2とす 。交点e1,e2は、前記交点d1,d2からピストン頂 面基本線L-a1,L-a2に下ろした垂線が該ピストン 頂面基本線L-a1,L-a2に交差する点である。

 キャビティ25の周壁部25aは直線a1b1,a2b2の にあり、キャビティ25の底壁部25cは直線c1d1,c 2d2に一致し、キャビティ25の曲壁部25bは直線a 1b1,a2b2および直線c1d1,c2d2を滑らかに接続する

 しかして、交点a1,c1,d1,e1あるいは交点a2,c2 ,d2,e2によって決まる網かけした断面形状が, ストン中心軸Lpを通る任意の断面において等 しくなるように、キャビティ25の形状が設定 れる。

 前記交点a1,a2は本発明の第1特定点Anに対 し、前記交点e1,e2は本発明の第2特定点Bnに対 応し、前記交点d1,d2は本発明の第3特定点Cnに 応するものである。

 図6および図7に示す第1、第2燃料噴射軸Li1 ,Li2を通る断面については、図7に示すピスト ピン14方向の断面(燃料噴射断面S1)における かけ部分と、図6に示すピストンピン14に対 て60°で交差する方向の断面(燃料噴射断面S2 )における網かけ部分とは同形になる。

 図7に示すピストンピン14方向の断面にお て、第1燃料噴射軸Li1がキャビティ25と交差 る点を燃料衝突点P1とし、図6に示すピスト ピン14に対して60°で交差する方向の断面に いて、第2燃料噴射軸Li2がキャビティ25と交 する点を燃料衝突点P2とする。二つの燃料 突点P1,P2は、網かけした同一形状の断面上の 同じ位置に存在している。従って、燃料衝突 点P2の位置は燃料衝突点P1の位置よりも低く り、燃料噴射点Oinjから延びる第2燃料噴射軸 Li2は第1燃料噴射軸Li1よりも更に下向きに燃 を噴射することになる。

 燃料噴射点Oinjから燃料衝突点P1までの距 D1は、燃料噴射点Oinjから燃料衝突点P2まで 距離D2に略一致する。また燃料衝突点P1にお るキャビティ25の接線と第1燃料噴射軸Li1と 成す燃料衝突角α1は、燃料衝突点P2におけ キャビティ25の接線と第2燃料噴射軸Li2とが す燃料衝突角α2に略一致する。

 以上のように先願発明によれば、ピスト 中心軸Lpを通る任意の断面において、燃料 射点Oinjの近傍のごく一部(交点e1,d1,d2,e2で囲 れた領域)を除いて、キャビティ25の断面形 が同一に形成されている。特に、第1、第2 料噴射軸Li1,Li2を含む二つの断面(図6および 7参照)においてもキャビティ25の断面形状が 一に形成されており、しかも前記二つの断 において燃料噴射点Oinjから燃料衝突点P1,P2 での距離D1,D2が略等しく設定され、かつ燃 衝突点P1,P2における燃料衝突角α1,α2が略等 く設定されるので、キャビティ25の各部にお ける空気および燃料の混合状態を円周方向に 均一化し、混合気の燃焼状態を改善してエン ジン出力の増加および排気有害物質の低減を 図ることができる。

 また図5および図6に示すピストン13の頂面 が傾斜する断面においても、キャビティ25の 口のエッジ(交点a2の部分)が成す角度が、図 7に示すピストン13の頂面が平坦な場合に比べ て鋭角化することがないため、その部分の熱 負荷を軽減して耐熱性を高めることができる 。

 ところで先願発明は、図5~図7におけるキ ビティ25の断面形状が、網かけをして示す 分では完全に一致しているものの、燃料噴 点Oinjの近傍の交点e1,d1,d2,e2で囲まれた白抜 の領域で不一致になっている。その理由は キャビティ25の断面形状のピストン中心軸Lp 挟む二つの部分が、図7のピストンピン14方 の断面では概ね直線状に繋がっているが、 5のピストンピン14直交方向の断面と、図6の ピストンピン14に対して60°で交差する方向の 断面とでは、ピストン13のペントルーフ形状 応じて山型に繋がっているため、交点e1,d1,d 2,e2で囲まれた白抜きの領域の面積が、図7の ストンピン14方向の断面で最も大きく、図6 ピストンピン14に対して60°で交差する方向 断面で減少し、図5のピストンピン14直交方 の断面で更に減少するためである。

 本実施の形態は、交点e1,d1,d2,e2で囲まれ 白抜きの領域の面積が最大になるピストン ン14方向のキャビティ25の断面形状(図7参照) 基準とし、その他の方向の断面形状を拡大 る方向(つまり、キャビティ25の深さを増加 せる方向)に補正することで、前記交点e1,d1, d2,e2で囲まれた白抜きの領域の面積の差異を 償し、キャビティ25の全ての方向の断面で 気および燃料の混合状態の一層の均一化を るものである。

 図8は、図5のピストンピン14直交方向にお けるキャビティ25の断面形状の補正手法を説 するものであり、鎖線の形状は先願発明の のを示し、実線の形状は本実施の形態のも を示している。

 本実施の形態によるキャビティ25の断面 状の補正は、交点b1および交点c1の位置を、 れぞれ交点b1″および交点c1″となるように 下方に移動させることで、網かけ部分の面積 を増加させることにより行われる。

 先ずキャビティ底面基本線L-bc1と、直線e1 d1の下方への延長線との交点をf1として決定 る。続いて交点f1を通るキャビティ底面基本 線L-bc1を、交点f1を中心として所定角度βだけ 下方に回転させ、新たなキャビティ底面基本 線L-bc1″を設定する。続いて燃料噴射点Oinjを 中心とする半径Rbの円弧と新たなキャビティ 面基本線L-bc1″との交点を前記b1″として決 定し、燃料噴射点Oinjを中心とする半径Rcの円 弧と新たなキャビティ底面基本線L-bc1″との 点を前記c1″として決定する。

 しかして、補正後のキャビティ25の断面 状では、キャビティ25の周壁部25aは直線a1b1 の上にあり、キャビティ25の底壁部25cは直線 c1″d1に一致し、キャビティ25の曲壁部25bは直 線a1b1″および直線c1″d1を滑らかに接続して る。

 尚、キャビティ底面基本線L-bc1とピスト 中心軸Lpとの交点をfとし、この交点fを中心 してキャビティ底面基本線L-bc1を所定角度β だけ下方に回転させることで、新たなキャビ ティ底面基本線L-bc1″を設定しても良い。

 このように、キャビティ25の内壁面にお る経路AnCnのうち、経路AnCnの最下部から第3 定点Cnまでの区間は第2燃料噴射軸Li2と近接 るが、その区間の形状を変化させることで ャビティ25の内壁面への燃料の付着を抑制し て燃焼悪化を防止することができる。

 本実施の形態では、正味平均有効圧力NMEP が、煤が発生しない状態で、先願発明に対し て2%程度向上した。

 図9は、図6のピストンピン14に対して60° 交差する方向におけるキャビティ25の断面形 状の補正手法を説明するものであり、鎖線の 形状は先願発明のものを示し、実線の形状は 本実施の形態のものを示している。

 図7(ピストンピン14方向)および図5(ピスト ンピン14直交方向)における交点e1,d1,d2,e2で囲 れた白抜きの領域の面積の差異に比べ、図7 (ピストンピン14方向)および図6(ピストンピン 14に対して60°で交差する方向)の前記面積の 異は小さいため、図9(ピストンピン14に対し 60°で交差する方向)におけるキャビティ25の 断面形状の拡大量は、図8(ピストンピン14直 方向)におけるキャビティ25の断面形状の拡 量よりも小さなものとなる。

 以上、ピストン中心軸Lpの一側のキャビ ィ25の断面形状の補正について説明したが、 ピストン中心軸Lpの他側のキャビティ25の断 形状の補正も全く同様にして行われる。

 更に、本願発明のキャビティ25の開口縁 は、先願発明にない環状のリップ部26が径方 向内向きに突設され、このリップ部26によっ キャビティ25内に噴射された燃料の吹き零 を防止することができる。リップ部26の形状 はキャビティ25の円周方向に一定である。つ りピストン中心軸Lpを通る任意の面で切断 たリップ部26の断面形状は一定になる。

 即ち、図5~図9に示すように、リップ部26 形状は、ピストン頂面基本線L-a1,L-a2上の第1 定点Anから径方向内向きに距離rだけ離れた g1,g2を特定し、更に点g1,g2を通ってピストン 頂面基本線L-a1,L-a2に直交する方向の下側に距 離Heだけ離れた点h1,h2を特定し、更に点h1,h2を 通ってピストン頂面基本線L-a1,L-a2と平行なリ ップ下部基本線L-h1,L-h2を特定する。そして第 1特定点Anおよび点g1,g2を結ぶ線分と、前記点g 1,g2および点h1,h2を結ぶ線分と、リップ下部基 本線L-h1,L-h2およびキャビティ25の周壁部25aを らかに結ぶ曲線とにより、前記リップ部26 形状が確定する。

 尚、リップ部26を角のない滑らかな断面 状とするために、点g1,g2および点h1,h2の部分 角が丸められている。

 以上のように、本実施の形態によれば、 ャビティ25の開口縁に形成したリップ部26の 断面形状は円周方向に一定であるため、リッ プ部26を形成したことでキャビティ25の各断 形状が不一致になることはなく、しかも混 気の燃焼により薄肉のリップ部26が受ける熱 負荷を円周方向の全域に亘って一定にし、ピ ストン13の耐久性を高めることができる。更 、ピストン13の鋳造時に、リップ部26におけ る溶湯の冷却速度を均一化して鋳造精度を高 めることができる。

 図10は、本実施の形態によるキャビティ25 の断面形状の補正を、別の視点で捕らえる説 明図である。

 同図において、キャビティ25の中心を通る ストン中心軸Lpから、6個の半平面X1~X6が放射 状に延びている。隣接する2個の半平面X1~X6が 成す角度(挟み角)は全て60°であり、各半平面 X1~X6の間を2等分する6本の2等分線は、ピスト 中心軸Lpの方向に見て第1、第2燃料噴射軸Li1 ,Li2と重なっている。キャビティ25は6個の半 面X1~X6によって6個の仮想的なキャビティ区 25A~25Fに分割されており、本実施の形態によ ば、上述したキャビティ25の断面形状の補 により、6個のキャビティ区分25A~25Fの容積を 理論的には同一に設定することが可能である 。またリップ部26も6個の半平面X1~X6によって6 個の仮想的なリップ部区分26A~26Fに分割され おり、本実施の形態によれば6個のリップ部 分26A~26Fの断面形状を同一に設定することが 可能である
 しかしながら、6個のキャビティ区分25A~25F 容積を完全に同一に設定する必要はなく、 れを略同一に設定するだけでも、特許文献1 発明あるいは先願発明に比べて燃料の混合 態を円周方向により均一化することができ 。具体的には、6個のキャビティ区分25A~25F 容積のばらつき、つまり最大容積のキャビ ィ区分と最小容積のキャビティ区分の容積 の差分を特許文献1の発明あるいは先願発明 比べて小さくすれば、燃料の混合状態を円 方向により均一化することができる。また6 個の仮想的なリップ部区分26A~26Fの断面形状 完全に同一にする必要はなく、別の観点か 見れば、6個の仮想的なリップ部区分26A~26Fの 容積が略等しくなるように、リップ部26の外 面の形状を設定すれば、所望の作用効果を 成することができる。

 図11は、キャビティ区分の方向(つまり、 ャビティ区分の挟み角の2等分線の方向)を ストンピン14の方向を基準(0°)としてピスト 中心軸Lpまわりに左右に各60°の範囲で移動 せたとき、そのキャビティ区分の容積の変 率を示すものである。破線は従来例(特許文 献1の発明)に対応し、実線は本実施の形態に 応する。

 何れのものも、キャビティ区分の挟み角 2等分線の方向がピストンピン14の方向に対 て60°で交差するとき(図10のキャビティ区分 25B,25C,25E,25F参照)を基準とし、そのときの変 率を0%としている。破線で示す従来例では、 キャビティ区分の挟み角の2等分線の方向が ストンピン14の方向に一致するとき(図10のキ ャビティ区分25A,25D参照)、変化率は最大にな て7%程度であるが、実線で示す実施の形態 は、同じ位置で変化率は最大になるが、そ 値は大幅に減少して僅か0.5%に抑えられてい 。

 以上、本発明の実施の形態を説明したが 本発明はその要旨を逸脱しない範囲で種々 設計変更を行うことが可能である。

 例えば、実施の形態では、仮想的なキャ ティ区分25A~25Fおよびリップ部区分26A~26Fの を6個に設定しているが(N=6)、前記キャビテ 区分25A~25Fおよびリップ部区分26A~26Fの数は2 以上であれば良い(Nは2以上の自然数)。

 このとき、キャビティ区分25A~25Fの数と燃 料噴射軸の数とは、必ずしも一致させる必要 はないが、それを一致させることで、一つの キャビティ区分25A~25Fに一つの燃料噴射軸が 応することになり、燃料の混合状態を円周 向により均一化することができる。尚、キ ビティ区分25A~25Fの挟み角の2等分線を燃料噴 射軸に一致させれば、一つのキャビティ区分 25A~25Fの中心に燃料噴射軸が位置することに り、燃料の混合状態を更に均一化すること できる。

 また実施の形態では、仮想的なキャビテ 区分25A~25Fの容積には、上死点にあるピスト ン13の頂面とシリンダヘッド16の下面とに挟 れた部分の容積を含めず、キャビティ25の開 口端縁までの容積(即ち、ピストン頂面基本 L-a1,L-a2より下の容積)としたが、それを含め ものを仮想的なキャビティ区分25A~25Fの容積 として定義しても、同様の作用効果を奏する ことができる。

 また実施の形態ではディーゼルエンジン ついて説明したが、本願発明はディーゼル ンジンに限定されず、燃焼室内に燃料を直 噴射する任意の形式のエンジンに対して適 することができる。