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Title:
DISPERSANT FOR CALCIUM CARBONATE
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2008/142990
Kind Code:
A1
Abstract:
[PROBLEMS] To provide a dispersant for calcium carbonate which has an effect of highly stabilizing the dispersion of calcium carbonate and excellent handling properties and is particularly suitable as a dispersant in wet-milling heavy calcium carbonate. [MEANS FOR SOLVING PROBLEMS] A dispersant for calcium carbonate which comprises a (meth)acrylic acid-based copolymer (A) [a (meth)acrylic acid-based copolymer having a structural unit (a) derived from (meth)acrylic acid and a structural unit (b) derived from a (meth)acrylic acid ester represented by the formula: CH2=C(R1)-COO-(CH2)m-(R2-O)n-R3 (wherein R1 represents H or Mt; R2 represents a propylene group; R3 represents H or a monovalent C1-6 hydrocarbon group; m is from 0 to 4; and n is from 2 to 10), satisfying the relationship Xa/Xb=3 to 15 [wherein Xa stands for the content (mol %) of the structural unit (a); and Xb stands for [the content (mol %) of the structural unit (b)]x[n: the number of propylene oxide moles added in the structural unit (b)]], and having Mn of from 2000 to 4000]; or a dispersant for calcium carbonate wherein a (meth)acrylic acid-based copolymer (A) is mixed with a (meth)acrylic acid-based polymer (B) at a ratio of 8:2 to 2:8.

Inventors:
MATSUNAGA MORIKATSU (JP)
MORI YOSHIO (JP)
VICTOR LEUNG (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/058476
Publication Date:
November 27, 2008
Filing Date:
May 07, 2008
Export Citation:
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Assignee:
TOAGOSEI CO LTD (JP)
MATSUNAGA MORIKATSU (JP)
MORI YOSHIO (JP)
VICTOR LEUNG (JP)
International Classes:
C09K23/52; C01F11/18; C08F20/26; C09K23/42
Domestic Patent References:
WO2004087574A12004-10-14
Foreign References:
JPS60123564A1985-07-02
JPS59221387A1984-12-12
JP2005220492A2005-08-18
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Claims:
(i) (メタ)アクリル酸および/または(メタ)アクリル酸塩に由来する構造単位(a)および下記の一般式(I);
  CH 2 =C(R 1 )-COO-(CH 2 ) m -(R 2 -O) n -R 3      (I)
(式中、R 1 は水素原子またはメチル基、R 2 はプロピレン基、R 3 は水素原子または1価の炭素数1~6の炭化水素基を示し、mは0~4の数およびnは2~10の数である。)
で表される(メタ)アクリル酸エステル(I)に由来する構造単位(b)を有する(メタ)アクリル酸系共重合体であって;
(ii) 下記の数式(II);
     Xa/Xb=3~15       (II)
[式中、
 Xa=(メタ)アクリル酸系共重合体中の構造単位(a)の含有割合(モル%);
 Xb={(メタ)アクリル酸系共重合体中の構造単位(b)の含有割合(モル%)}×n;
 但し、nは上記の一般式(I)で表される(メタ)アクリル酸エステル(I)に由来する構造単位(b)におけるプロピレンオキサイド単位(R 2 -O)の付加モル数n、である。]
を満足し;且つ、
(iii) 数平均分子量(Mn)が2000~4000である;
(メタ)アクリル酸系共重合体(A)からなることを特徴とする炭酸カルシウム用分散剤。
 前記請求項1の(メタ)アクリル酸系共重合体(A)および(メタ)アクリル酸系重合体(B)からなる炭酸カルシウム用分散剤であって;
(メタ)アクリル酸系共重合体(A)と(メタ)アクリル酸系重合体(B)の混合比率が、質量比で8:2~2:8である;
ことを特徴とする炭酸カルシウム用分散剤。
 (メタ)アクリル酸系共重合体(A)が、水およびアルコールからなる混合溶媒中で重合してなる(メタ)アクリル酸系共重合体である請求項1または2に記載の炭酸カルシウム用分散剤。
 (メタ)アクリル酸系共重合体(A)の分子量分布(Mw/Mn)が2.7以下である請求項1~3のいずれか1項に記載の炭酸カルシウム用分散剤。
 (メタ)アクリル酸系重合体(B)の数平均分子量(Mn)が2000~5000である請求項1~4のいずれか1項に記載の炭酸カルシウム用分散剤。
 (メタ)アクリル酸系重合体(B)の分子量分布(Mw/Mn)が2.7以下である請求項1~5のいずれか1項に記載の炭酸カルシウム用分散剤。
 (メタ)アクリル酸系重合体(B)が、アクリル酸および/またはその塩に由来する構造単位を主体とする、上記の一般式(I)で表される(メタ)アクリル酸エステル(I)に由来する構造単位(b)を持たない(メタ)アクリル酸系重合体である請求項1~6のいずれか1項に記載の炭酸カルシウム用分散剤。
 重質炭酸カルシウムの湿式粉砕処理に用いる分散剤である請求項1~7のいずれか1項に記載の炭酸カルシウム用分散剤。
 請求項1~8のいずれか1項に記載の炭酸カルシウム用分散剤を用いて調製した炭酸カルシウム分散物。
Description:
炭酸カルシウム用分散剤

 本発明は炭酸カルシウム用分散剤に関す 。より詳細には、炭酸カルシウムの分散安 化効果が高くて、炭酸カルシウムを微粒子 で良好な流動性を維持しながら分散させる とができ、しかも炭酸カルシウムを水など 溶液体中に経時的な増粘を抑制しながら長 間にわたって安定に分散させることのでき 炭酸カルシウム用分散剤に関する。

 ポリアルキレングリコールの(メタ)アクリ 酸エステルと(メタ)アクリル酸(塩)の共重合 は従来から知られていて、洗剤ビルダー、 属腐食用防止剤、土壌用減水剤、電子部品 洗浄剤、脱墨剤、漂白助剤、フィルム形成 止剤、金属イオン封鎖剤、セメント分散剤 どとして用いられており、更に炭酸カルシ ム用分散剤として用いることも知られてい (特許文献1および2)。
 しかしながら、ポリアルキレングリコール (メタ)アクリル酸エステルと(メタ)アクリル 酸(塩)の共重合体からなる、特許文献1および 2に記載されている従来の炭酸カルシウム用 散剤では、(メタ)アクリル酸エステルにおけ るポリアルキレングリコール部分が主として ポリエチレングリコールに由来しており、近 年、炭酸カルシウム分散液において特に求め られている高濃度分散や微粒子状分散の際の 分散安定化効果を十分に有しておらず、炭酸 カルシウム分散物の経時的な増粘や炭酸カル シウムの凝集などを生じ易い。また、特許文 献1および2に記載されている炭酸カルシウム 分散剤のうちで、ポリアルキレングリコー の(メタ)アクリル酸エステルにおけるポリ ルキレングリコール部分がポリプロピレン リコールに由来する共重合体においては、 該共重合体の分子設計が、炭酸カルシウム 分散安定化のために十分に適合していると 言えず、炭酸カルシウムを微粒子状で分散 きず、また炭酸カルシウム分散液の経時的 増粘が大きくて品質の安定した炭酸カルシ ムの分散物が得られないというのが実状で る。

 また、ポリアクリル酸系重合体と、ポリエ レンオキサイド系のポリエーテル化合物に ノエチレン性不飽和カルボン酸系単量体を ラフト重合した水溶性グラフト重合体を含 する製紙用顔料分散剤および当該分散剤を いた製紙用軽質炭酸カルシウムスラリーが られている(特許文献3および4)。
 しかし、特許文献3および4に記載されてい 分散剤は、炭酸カルシウム、特に重質炭酸 ルシウムの分散安定化作用が不十分で、し も重質炭酸カルシウムの湿式粉砕処理に用 た際には発熱が大きくて湿式粉砕処理時の ネルギー消費量が多い。その上、特許文献3 よび4の分散剤を用いた炭酸カルシウムの分 散物(炭酸カルシウムスラリーなど)は、経時 定性が不十分で、経時増粘が大きい。

特開昭59-193126号公報

特公平4-69646号公報

特開2004-76164号公報

特開2005-220492号公報

 本発明の目的は、炭酸カルシウムの分散安 化効果に優れていて、炭酸カルシウムを微 子状で安定に分散させることのできる炭酸 ルシウム用分散剤を低コストで提供するこ である。
 そして、本発明の目的は、高濃度の炭酸カ シウム分散物(例えば炭酸カルシウムスラリ ーなど)、微粒子状の炭酸カルシウム分散物 あっても、粘度が低くて取り扱い性に優れ しかも経時的な増粘が少なくて、経時安定 に優れる炭酸カルシウム分散物を形成する とのできる炭酸カルシウム用分散剤を提供 ることである。
 さらに、本発明の目的は、炭酸カルシウム 特に重質炭酸カルシウムの湿式粉砕処理に いた際に、流動性に優れる炭酸カルシウム ラリーを形成し、発熱が少なくて粉砕時の ネルギー消費を低く抑えながら湿式粉砕処 を円滑に実施することができ、しかもそれ よって経時安定性および再分散性に優れる 質炭酸カルシウム分散物を円滑に得ること できる炭酸カルシウム用分散剤を提供する とである。
 また、本発明の目的は、微粒子状で安定に 散し、経時的な増粘が少なくて、長期にわ って良好な分散安定性および良好な取り扱 性を維持する炭酸カルシウムの分散物を提 することである。

 本発明者らは、前記した目的を達成するた に鋭意検討を重ねてきた。その結果、ポリ ルキレングリコールの(メタ)アクリル酸エ テルと(メタ)アクリル酸(塩)の共重合体から る炭酸カルシウム用分散剤において、当該 重合体を形成するポリアルキレングリコー の(メタ)アクリル酸エステルとして、特定 繰り返し単位数からなるポリプロピレング コールの(メタ)アクリル酸エステルを用いる と共に、当該共重合体における(メタ)アクリ 酸(塩)よりなる構造単位とポリプロピレン リコールの(メタ)アクリル酸エステルよりな る構造単位の含有比率を前記プロピレンオキ サイド単位の繰り返し単位数に応じて特定の 範囲にし、しかも当該共重合体の数平均分子 量を低分子量域にある特定の狭い範囲にする と、炭酸カルシウムの分散安定化効果に優れ る共重合体が得られることを見出した。
 さらに、本発明者らは、その共重合体は、 酸カルシウムを微粒子状で安定に分散させ ことができること、炭酸カルシウムの濃度 高くても粘度の低い分散物(例えば炭酸カル シウムスラリーなど)を形成すること、当該 重合体を用いて調製した炭酸カルシウム分 物は経時的な増粘が少なく、長期にわたっ 低い粘度を維持できることを見出した。
 特に、本発明者らは、当該共重合体を分散 として用いて重質炭酸カルシウムの湿粉砕 行うと、重質炭酸カルシウムスラリーの流 性を向上させて、発熱を抑制しながら低減 れたエネルギー消費量で重質炭酸カルシウ を湿式粉砕して微粒子化でき、当該湿式粉 処理により得られる重質炭酸カルシウム分 物(重質炭酸カルシウムスラリーなど)は、 過性に優れ、さらに経時的な増粘が少なく 経時安定性に優れることを見出した。

 そして、本発明者らは、更に研究を続け その結果、前記した特定の共重合体は、そ 単独で炭酸カルシウムの分散安定化効果に れるだけでなく、ポリアクリル酸(塩)など 汎用の(メタ)アクリル酸系重合体(塩)と併用 た場合にも、当該共重合体を単独で用いる 合と同等のまたはそれに近い良好な炭酸カ シウム分散安定化効果を有し、汎用の(メタ )アクリル酸系重合体(塩)を併用することで、 コストの低下などを図れることを見出して本 発明を完成した。

 すなわち、本発明は、
(1) (i) (メタ)アクリル酸および/または(メタ) アクリル酸塩に由来する構造単位(a)および下 記の一般式(I);
  CH 2 =C(R 1 )-COO-(CH 2 ) m -(R 2 -O) n -R 3      (I)
(式中、R 1 は水素原子またはメチル基、R 2 はプロピレン基、R 3 は水素原子または1価の炭素数1~6の炭化水素 を示し、mは0~4の数およびnは2~10の数である )
で表される(メタ)アクリル酸エステル(I)に由 する構造単位(b)を有する(メタ)アクリル酸 共重合体であって;
(ii) 下記の数式(II);
     Xa/Xb=3~15       (II)
[式中、
 Xa=(メタ)アクリル酸系共重合体中の構造単 (a)の含有割合(モル%);
 Xb={(メタ)アクリル酸系共重合体中の構造単 (b)の含有割合(モル%)}×n;
 但し、nは上記の一般式(I)で表される(メタ) クリル酸エステル(I)に由来する構造単位(b) おけるプロピレンオキサイド単位(R 2 -O)の付加モル数n、である。]
を満足し;および、
・ 数平均分子量(Mn)が2000~4000である;
 (メタ)アクリル酸系共重合体(A)からなるこ を特徴とする炭酸カルシウム用分散剤であ 。

 そして、本発明は、
(2)前記(1)の(メタ)アクリル酸系共重合体(A)お び(メタ)アクリル酸系共重合体(B)からなる 酸カルシウム用分散剤であって;
(メタ)アクリル酸系共重合体(A)と(メタ)アク ル酸系共重合体(B)の混合比率が、質量比で8: 2~2:8である;
ことを特徴とする炭酸カルシウム用分散剤で ある。

 そして、本発明は、
(3) (メタ)アクリル酸系共重合体(A)が、水お びアルコールからなる混合溶媒中で重合し なる(メタ)アクリル酸系共重合体である前記 (1)または(2)の炭酸カルシウム用分散剤;およ 、
(4) (メタ)アクリル酸系共重合体(A)の分子量 布(Mw/Mn)が2.7以下である前記(1)~(3)のいずれか の炭酸カルシウム用分散剤;
である。

 さらに、本発明は、
(5) (メタ)アクリル酸系重合体(B)の数平均分 量(Mn)が2000~5000である前記(1)~(4)のいずれかの 炭酸カルシウム用分散剤;
(6) (メタ)アクリル酸系重合体(B)の分子量分 (Mw/Mn)が2.7以下である前記(1)~(5)のいずれかの 炭酸カルシウム用分散剤;および、
(7) (メタ)アクリル酸系重合体(B)が、アクリ 酸および/またはその塩に由来する構造単位 主体とする、上記の一般式(I)で表される(メ タ)アクリル酸エステル(I)に由来する構造単 (b)を持たない(メタ)アクリル酸系重合体であ る前記(1)~(6)のいずれかの炭酸カルシウム用 散剤;
である。

 そして、本発明は、
(8) 重質炭酸カルシウムの湿式粉砕処理に用 る分散剤である前記(1)~(7)のいずれかの炭酸 カルシウム用分散剤;および、
(9) 前記(1)~(8)のいずれかの炭酸カルシウム用 分散剤を用いて調製した炭酸カルシウム分散 物;
である。

 本発明の炭酸カルシウム用分散剤は、少量 使用でも、炭酸カルシウムの分散安定化効 に優れていて、炭酸カルシウムを微粒子状 安定に分散させることができる。
 また、本発明の炭酸カルシウム用分散剤は (メタ)アクリル酸系共重合体(A)と共に、そ よりもコストの安い汎用の(メタ)アクリル酸 系重合体(B)を併用した場合でも、(メタ)アク ル酸系共重合体(A)を単独で用いた場合と同 のまたはそれに近い優れた炭酸カルシウム 分散安定化効果を有しており、少量の使用 も、炭酸カルシウムを微粒子状で安定に分 させることができる。
 本発明の炭酸カルシウム用分散剤を用いて 酸カルシウム分散物を調製すると、炭酸カ シウムの濃度が高くても、また炭酸カルシ ムの粒径が極めて小さくても、粘度が低く 取り扱い性に優れ、しかも経時的な増粘が なくて、低い粘度を長期にわたって維持す ことができ、更に凝集のない、経時安定性 優れる炭酸カルシウム分散物を円滑に得る とができる。
 本発明の炭酸カルシウム用分散剤を用いて 酸カルシウムの分散物を調製すると、流動 、濾過性などのハンドリング性に優れる炭 カルシウム分散物を得ることができる。

 本発明の炭酸カルシウム用分散剤を用いて 質炭酸カルシウムの湿式粉砕処理を行うと 重質炭酸カルシウム分散物(重質炭酸カルシ ウムスラリーなど)の流動性が向上して、撹 翼への固形物の付着などを防止しながら、 には湿式粉砕時の発熱を抑制しながら、低 されたエネルギー消費量で、炭酸カルシウ の湿式粉砕を効率よく実施することができ 。
 本発明の炭酸カルシウム用分散剤を用いて 質炭酸カルシウムの湿式粉砕処理を行うこ によって、分散粒子の粒径が小さくて濾過 に優れ、しかも経時的な増粘が少なくて経 安定性に優れ、その上再分散性に優れる、 細に粉砕された重質炭酸カルシウムの分散 を円滑に得ることができる。
 本発明の炭酸カルシウム用分散剤は、(メタ )アクリル酸系共重合体(A)と共にコストの安 、汎用の(メタ)アクリル酸系重合体(B)を併用 できるので、上記した優れた特性を兼ね備え る炭酸カルシウム用分散剤を、低コストで提 供することができる。
 本発明の炭酸カルシウム用分散剤は、上記 た特性を活かして、製紙工業、プラスチッ 、ゴム、塗料、インキ、接着剤、シーラン などに用いられる炭酸カルシウムの分散安 剤として有効に使用することができる。

 以下に本発明について詳細に説明する。
《(メタ)アクリル酸系共重合体(A)》
 まず、本発明の炭酸カルシウム用分散剤に ける重合体成分である(メタ)アクリル酸系 重合体(A)について説明する。
 (メタ)アクリル酸系共重合体(A)は、
(i) (メタ)アクリル酸および/または(メタ)ア リル酸塩と、下記の一般式(I);
  CH 2 =C(R 1 )-COO-(CH 2 ) m -(R 2 -O) n -R 3      (I)
(式中、R 1 は水素原子またはメチル基、R 2 はプロピレン基、R 3 は水素原子または1価の炭素数1~6の炭化水素 を示し、mは0~4の数およびnは2~10の数である )
で表される(メタ)アクリル酸エステル(I)との 重合体であって、(メタ)アクリル酸および/ たは(メタ)アクリル酸塩に由来する構造単 (a)と、上記の一般式(I)で表される(メタ)アク リル酸エステル(I)に由来する構造単位(b)を有 する;
(ii) 下記の数式(II);
     Xa/Xb=3~15       (II)
[式中、
 Xa=(メタ)アクリル酸系共重合体(A)中の構造 位(a)の含有割合(モル%);
 Xb={(メタ)アクリル酸系共重合体(A)中の構造 位(b)の含有割合(モル%)}×n;
 但し、nは上記の一般式(I)で表される(メタ) クリル酸エステル(I)に由来する構造単位(b) おけるプロピレンオキサイド単位(R 2 -O)の付加モル数n、である。]
を満足する;および、
・ 数平均分子量(Mn)が2000~4000である;
 (メタ)アクリル酸系共重合体(A)からなるこ を特徴とする炭酸カルシウム用分散剤であ 。

 (メタ)アクリル酸系共重合体(A)における構 単位(a)は、アクリル酸、メタクリル酸、ア リル酸塩およびメタクリル酸塩のうちの1種 たは2種以上に由来する構造単位である。そ のうちでも、構造単位(a)は、アクリル酸およ び/またはアクリル酸塩に由来する構造単位 あることが、(メタ)アクリル酸系共重合体(A) を製造する際の重合性および水溶性の点から 好ましい。
 構造単位(a)が、(メタ)アクリル酸塩に由来 る構造単位である場合には、塩の形態とし は、(メタ)アクリル酸のアルカリ金属塩(ナ リウム塩、カリウム酸、リチウム塩など)、 ンモニウム塩、有機アミン塩(例えばジエタ ノールアミン塩、トリエタノールアミン塩な ど)などを挙げることができる。そのうちで 、(メタ)アクリル酸塩の形態としては、アル カリ金属塩、特にナトリウム塩の形態である ことが、製造コストと性能のバランスの点か ら好ましい。

 本発明の炭酸カルシウム用分散剤における 合体成分である(メタ)アクリル酸系共重合 (A)では、当該共重合体を構成する構造単位(a )中のカルボキシル基の全てが、未中和のカ ボキシル基のままであってもよいが、(メタ) アクリル酸系共重合体(A)を構成する構造単位 (a)が有するカルボキシル基の50~100モル%、特 70~100モル%が塩基によって中和されて塩の形 になっていることが、(メタ)アクリル酸系 重合体(A)の水溶性が増し、炭酸カルシウム 分散安定化効果が高くなることから好まし 。
 また、pHからいうと、(メタ)アクリル酸系共 重合体(A)の水溶液のpHが、4~10、特に7~9の範囲 になるような割合で、構造単位(a)中のカルボ キシル基が塩基によって中和されていること が、(メタ)アクリル酸系共重合体(A)の水溶性 高くなり、炭酸カルシウムの分散安定化効 が高くなり、更に構造単位(b)中のエステル のアルカリ加水分解を抑制できる点から好 しい。

 (メタ)アクリル酸系共重合体(A)を製造す ための重合前および重合段階では、(メタ)ア クリル酸のカルボキシル基の少なくとも40モ %(40~100モル%)が未中和の状態であるようにし て重合を行い、重合後に塩基性化合物を用い て(メタ)アクリル酸系共重合体(A)を構成する 造単位(a)が有するカルボキシル基の20モル% 上、更には40モル%以上、特に50~100モル%を塩 の形態にすることが、(メタ)アクリル酸系共 合体(A)を製造するための重合反応が円滑に 行する点から好ましい。

 (メタ)アクリル酸系共重合体(A)における構 単位(b)を形成する上記の一般式(I)で表され (メタ)アクリル酸エステル(I)において、R 1 は水素原子またはメチル基であり、そのうち でも水素原子であることが、すなわち(メタ) クリル酸エステル(I)がアクリル酸エステル あることが、重合性および水溶性の点から ましい。

 構造単位(b)を形成する(メタ)アクリル酸エ テル(I)において、R 3 の具体例としては、水素原子、メチル基、エ チル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基 、ヘキシル基、フェニル基、シクロヘキシル 基などを挙げることができ、そのうちでもR 3 は水素原子、メチル基、エチル基、特に水素 原子またはメチル基であることが、水溶性の 点から好ましい。

 構造単位(b)を形成する(メタ)アクリル酸エ テル(I)において、mは0~4の範囲内の数である そのなかでも、mは0~2の範囲内の数であるこ とが、水溶性の点から好ましい。
 また、(メタ)アクリル酸エステル(I)におい 、nは2~10の範囲内の数であり、nが2よりも小 いと(メタ)アクリル酸系共重合体(A)の界面 性が小さくなって、炭酸カルシウムへの濡 性が悪くなり、炭酸カルシウムの分散安定 能が低下する。一方、nが10よりも大きくな と(メタ)アクリル酸系共重合体(A)の疎水性が 強くなり過ぎて水溶性を保ちにくくなる。

 (メタ)アクリル酸エステル(I)の製法は特に 限されないが、一般的には、一般式:R 3 -OH[R 3 は一般式(I)におけるR 3 と同じ]で表される水またはアルコールとプ ピレンオキサイドとの付加反応によって形 される一般式:HO-(R 2 -O) n -R 3 [R 2 およびR 3 は一般式(I)におけるR 2 およびR 3 と同じ]で表される化合物(ポリプロピレング コールまたはポリプロピレングリコールの 末端の水酸基が1価の炭素数1~6の炭化水素基 R 3 でエーテル化された化合物)と(メタ)アクリル 酸とのエステル化反応、前記一般式:HO-(R 2 -O) n -R 3 で表される化合物と(メタ)アクリル酸エステ とのエステル交換反応によって製造するこ ができる。
 また、(メタ)アクリル酸エステル(I)は、一 式:CH 2 =C(R 1 )-COO-(CH 2 ) m -OH[式中、R 1 およびmは一般式(I)におけるR 1 およびmと同じ]で表される化合物を開始剤と るプロピレンオキサイドの開環反応によっ も製造することができる。

 上記した一般式:R 3 -OHで表される化合物としては、水、メチルア ルコール、エチルアルコール、プロピルアル コール、ブチルアルコール、ペンチルアルコ ール、ヘキシルアルコール、シクロヘキシル アルコールなどを挙げることができる。
 また、一般式:HO-(R 2 -O) n -R 3 [R 2 およびR 3 は一般式(I)におけるR 2 およびR 3 と同じ]で表される化合物としては、例えば ポリプロピレングリコール、片末端メトキ 化ポリプロピレングリコール、片末端エト シ化ポリプロピレングリコール、片末端プ ポキシ化ポリプロピレングリコール、片末 ブトキシ化ポリプロピレングリコール、片 端ペントキシ化ポリプロピレングリコール 片末端ヘキシロキシ化ポリプロピレングリ ール、片末端シクロヘキシロキシ化ポリプ ピレングリコールなどを挙げることができ 。

 本発明の炭酸カルシウム用分散剤の重合体 分である(メタ)アクリル酸系共重合体(A)は (メタ)アクリル酸系共重合体(A)中の構造単位 (a)の含有割合(Xa)(モル%)と、{(メタ)アクリル 系共重合体(A)中の構造単位(b)の含有割合(モ %)}×nの値(Xb)(モル%)との比(Xa/Xb)が上記の数 (II)を満足する、すなわち、Xa/Xb=3~15であるこ とが必要であり[上記の要件(ii)]、Xa/Xb=3~13で ることが好ましく、3~11であることがより好 しく、3~6であることが更に好ましい。
 Xa/Xbの値が3未満であると、(メタ)アクリル 系共重合体(A)が水溶性でなくなり、炭酸カ シウム用の分散剤として機能しなくなる。 方、Xa/Xbの値が15を超えると、(メタ)アクリ 酸系共重合体(A)の炭酸カルシウムへの吸着 が低下し、炭酸カルシウム分散物(炭酸カル ウムスラリーなど)の経時安定性および再分 散性が悪くなる。

 (メタ)アクリル酸系共重合体(A)では、構造 位(a)の含有割合が、(メタ)アクリル酸系共重 合体(A)の質量に基づいて70質量%以上であるこ とが好ましく、75質量%以上であることがより 好ましく、80質量%以上であることが更に好ま しい。構造単位(a)の含有割合が70質量%よりも 少ないと、(メタ)アクリル酸系共重合体(A)が 溶性でなくなり、炭酸カルシウムに対する 散安定化能が低下して、炭酸カルシウム分 物の経時安定性が低下し易くなる。
 また、(メタ)アクリル酸系共重合体(A)では 構造単位(b)の含有割合が、(メタ)アクリル酸 系共重合体(A)の質量に基づいて30質量%未満で あることが好ましく、25質量%未満であること がより好ましく、20質量%未満であることが更 に好ましい。構造単位(b)の含有割合が30質量% 以上であると、(メタ)アクリル酸系共重合体( A)が水溶性でなくなり、炭酸カルシウムに対 る分散安定化能が低下して、炭酸カルシウ 分散物の経時安定性が低下し易くなる。

 また、構造単位(b)を形成する(メタ)アク ル酸エステル(I)の分子量は200~800であること 好ましい。(メタ)アクリル酸エステル(I)の 子量が200未満であると、(メタ)アクリル酸エ ステル(I)に由来する構造単位(b)の界面活性が 低下して炭酸カルシウムへの濡れ性が悪くな り、一方(メタ)アクリル酸エステル(I)の分子 が800を超えると(メタ)アクリル酸エステル(I )に由来する構造単位(b)の疎水性が強くなり ぎて、(メタ)アクリル酸系共重合体(A)が水溶 性でなくなる。

 本発明の炭酸カルシウム用分散剤における 合体成分である(メタ)アクリル酸系共重合 (A)は、数平均分子量(Mn)が2000~4000であること 必要であり[上記要件(iii)]、2000~3000であるこ とが好ましい。
 (メタ)アクリル酸系共重合体(A)の数平均分 量(Mn)が2000未満であると、炭酸カルシウムへ の経時的な吸着性が低くなり、炭酸カルシウ ム分散物(炭酸カルシウムスラリーなど)の経 安定性が低下する。一方、(メタ)アクリル 系共重合体(A)の数平均分子量(Mn)が4000を超え ると、炭酸カルシウム粒子間の結合(架橋)を き起こし、その結果炭酸カルシウム分散物( 炭酸カルシウムスラリーなど)の経時的な増 を引き起こすので望ましくない。

 また、(メタ)アクリル酸系共重合体(A)は、 量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比(Mw/Mn )で表される分子量分布(Mw/Mn)が、2.7以下であ ことが好ましく、2.5以下であることがより ましく、2.4以下であることが更に好ましい (メタ)アクリル酸系共重合体(A)の分子量分 (Mw/Mn)が2.7を超えると、炭酸カルシウムへの 時的な吸着性の低い低分子量成分の量が増 し、また同時に炭酸カルシウム粒子同士の 合(架橋)を引き起こす高分子量成分の量も 加することになり、その結果として炭酸カ シウム分散物(炭酸カルシウムスラリーなど) の経時的な増粘を引き起こし易くなる。
 ここで、本明細書における(メタ)アクリル 系共重合体(A)の数平均分子量(Mn)および重量 均分子量(Mw)は、ポリアクリル酸を基準物質 とする水系のゲル浸透クロマトグラフ(GPC)に り求められる数平均分子量(Mn)および重量平 均分子量(Mw)を意味し、その具体的な測定方 は以下の実施例に記載するとおりである。

 本発明の炭酸カルシウム用分散剤におけ 重合体成分である(メタ)アクリル酸系共重 体(A)は、(メタ)アクリル酸および/またはそ 塩に由来する構造単位(a)と(メタ)アクリル酸 エステル(I)に由来する構造単位(b)のみからな っていてもよいし、または上記した要件(i)~(i ii)を満足し且つ本発明の効果を損なわない限 りは、構造単位(a)および構造単位(b)と共に、 他の共重合性単量体に由来する構造単位を必 要に応じて少量[通常(メタ)アクリル酸系共重 合体(A)の全質量に基づいて10質量%以下の割合 ]含有していてもよい。

 その際の他の共重合性単量体としては、 えば、(メタ)アクリル酸アルキル類、(メタ) アクリル酸ヒドロキシアルキル類、(メタ)ア リルアミド、酢酸ビニル、N-ビニルピロリ ン、(メタ)アクリロイルモルホリン、(メタ) クリロニトリル、(メタ)アクリルアミドア キルアルカンスルホン酸類、スルホン酸基 有ビニル単量体、リン酸基含有ビニル単量 、リン酸エステル基含有ビニル単量体など 1官能性単量体;メチレンビス(メタ)アクリル ミド、エチレンビス(メタ)アクリルアミド ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、エチ レングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリ チレングリコールジ(メタ)アクリレート、 リプロピレングリコールジ(メタ)アクリレー ト、トリメチロールプロパントリ(メタ)アク レート、ジ(メタ)アクリロキシエチルホス ェート、トリアリルシアヌレート、トリア ルイソシアヌレート、ジビニルベンゼン、 レイン酸ジアリルエステル、ポリアリルサ カロースなどの1分子中に2個以上のビニル基 を有する単量体などを挙げることができる。

 より詳細には、上記した(メタ)アクリル酸 ルキル類の具体例としては、(メタ)アクリル 酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ) クリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル 、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル、(メタ) アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル ラウリル、(メタ)アクリル酸ステアリルな を挙げることができる。
 (メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキル類の 体例としては、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキ エチル、(メタ)アクリル酸3-ヒドロキシプロ ピル、(メタ)アクリル酸4-ヒドロキシブチル (メタ)アクリル酸ω-ヒドロキシポリアルキレ ングリコール(n=2~30)、(メタ)アクリル酸ω-ヒ ロキシポリカプロラクトンなどを挙げるこ ができる。

 (メタ)アクリルアミドアルキルアルカンス ホン酸類の具体例としては、2-アクリルアミ ド-2-メチルプロパンスルホン酸、アクリルア ミドメタンスルホン酸、アクリルアミドエタ ンスルホン酸、アクリルアミドブタンスルホ ン酸などを挙げることができる。
 スルホン酸基含有単量体の具体例としては (メタ)アリルスルホン酸、スチレンスルホ 酸、α-メチルスチレンスルホン酸、イソプ ンスルホン酸、ビニルトルエンスルホン酸 (メタ)アリルオキシベンゼンスルホン酸、( タ)アリルオキシ2-ヒドロキシプロピルスル ン酸、(メタ)アクリル酸3-スルホプロピル、 タコン酸ビス(3-スルホプロピル)などを挙げ ることができる。

 リン酸基含有ビニル単量体の具体例とし は、モノ(2-ヒドロキシエチルアクリレート) アシッドホスフェート、モノ(2-ヒドロキシエ チルメタクリレート)アシッドホスフェート モノ(2-ヒドロキシプロピルアクリレート)ア ッドホスフェート、モノ(2-ヒドロキシプロ ルメタクリレート)アシッドホスフェート、 モノ(3-ヒドロキシプロピルアクリレート)ア ッドホスフェート、モノ(3-ヒドロキシプロ ルメタクリレート)アシッドホスフェートな を挙げることができる。

 リン酸エステル基含有ビニル単量体の具体 としては、ジフェニル-2-アクリロイルオキ エチルホスフェート、ジフェニル-2-メタク ロイルオキシエチルホスフェート、ジメチ -2-メタクリロイルオキシエチルホスフェー 、ジエチル-2-メタクリロイルオキシエチル スフェート、ジプロピル-2-メタクリロイル キシエチルホスフェートなどを挙げること できる。
 (メタ)アクリル酸系共重合体(A)は、上記し 他の共重合性単量体の1種または2種以上に由 来する構造単位を含有することができる。

 (メタ)アクリル酸系共重合体(A)の製造法は に制限されず、溶液重合法、水溶液重合法 イオン重合法、高温高圧重合法、逆相懸濁 合法などにより製造することができるが、 のうちでも溶液重合法、水溶液重合法、ま は160℃以下での高温高圧重合法が好ましく 用される。
 重合操作および分子量の調整が容易でしか (メタ)アクリル酸系共重合体(A)を安価に製 できる点から、(メタ)アクリル酸系共重合体 (A)は、ラジカル重合開始剤を用いて製造する ことが好ましい。
 特に、水およびアルコールからなる混合溶 中に、(メタ)アクリル酸(塩)、(メタ)アクリ 酸エステル(I)および必要に応じて他の共重 性単量体を溶解して、均一系で溶液重合し (メタ)アクリル酸系共重合体(A)を製造する とが、共重合性の点から好ましい。

 水との混合溶媒にして用いるアルコール しては、(メタ)アクリル酸(塩)、(メタ)アク ル酸エステル(I)および必要に応じて用いる の共重合性単量体の溶解力が高く、しかも 合後に減圧蒸留などによって簡単に除去で る比較的低沸点のアルコールが好ましく用 られる。そのようなアルコールとしては、 えば、メチルアルコール、エチルアルコー 、n-プロピルアルコール、イソプロピルア コール、n-ブチルアルコール、sec-ブチルア コール、tert-ブチルアルコールなどを挙げる ことができる。そのうちでも、重合温度を比 較的高く保つことができ、しかも重合後に留 去し易いという点から、沸点が75~100℃の範囲 にあるエチルアルコール、n-プロピルアルコ ル、イソプロピルアルコール、tert-ブチル ルコールがより好ましく用いられ、汎用性 点からエチルアルコール、n-プロピルアルコ ール、イソプロピルアルコールが更に好まし く用いられる。

 水およびアルコールからなる混合溶媒に ける両者の割合は、質量比で、水/アルコー ル=95/5~5/95であることが好ましく、70/30~30/70で あることがより好ましい。水とアルコールの 合計質量に基づいて、水の割合が5質量%未満 あると(アルコールの割合が95質量%を超える と)、(メタ)アクリル酸(塩)の溶解性が不十分 なり、一方水の割合が95質量%を超えると(ア ルコールの割合が5質量%未満であると)、(メ )アクリル酸エステル(I)の溶解性が不十分に り、いずれの場合も、目的とする(メタ)ア リル酸系共重合体(A)を円滑に製造されにく なる。

 (メタ)アクリル酸系共重合体(A)の製造に用 るラジカル重合開始剤としては、一般に用 られている過酸化物系のラジカル重合開始 を用いることができる。具体例としては、 硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム、過硫酸 ンモニウムなどの過硫酸塩類、t-ブチルハイ ドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオ キサイド、ジイソプロピベンゼンハイドロパ ーオキサイド、p-メンタンハイドロパーオキ イド、2,5-ジメチルヘキサン-2,5-ジハイドロ ーオキサイド、1,1,3,3-テトラメチルブチル イドロパーオキサイドなどのハイドロパー キサイド類、過酸化水素などの水溶性過酸 物;メチルエチルケトンパーオキサイド、シ ロヘキサノンパーオキサイドなどのケトン ーオキサイド類、ジ-t-ブチルパーオキサイ 、t-ブチルクミルパーオキサイド、ジクミ パーオキサイド、α,α’-ビス(t-ブチルパー キシ)-p-ジイソプロピルベンゼン、α,α’-ビ (t-ブチルパーオキシ)-n-ジイソプロピルヘキ シンなどのジアルキルパーオキサイド類、t- チルパーオキシアセテート、t-ブチルパー キシラウレート、t-ブチルパーオキシベンゾ エート、ジ-t-ブチルパーオキシイソフタレー ト、2,5-ジメチル-2,5-ジ(ベンゾイルパーオキ )ヘキサン、t-ブチルパーオキシイソプロピ カーボネートなどのパーオキシエステル類 n-ブチル-4,4-ビス(t-ブチルパーオキシ)バレエ ート、2,2-ビス(t-ブチルパーオキシ)ブタンな のパーオキシケタール類、ジベンゾイルパ オキサイドなどのジアシルパーオキサイド どの油溶性の過酸化物などを挙げることが きる。
 上記した過酸化物系のラジカル重合開始剤 1種類のみを使用してもまたは2種以上を併 してもよい。
 上記した過酸化物系ラジカル重合開始剤の ちで、分子量の制御が行い易い、分解温度 低い過酸化水素や過硫酸塩類系の過酸化物 好ましく用いられる。

 ラジカル重合開始剤の使用量は特に制限 れないが、(メタ)アクリル酸系共重合体(A) 製造に用いる全単量体の合計質量に基づい 、0.1~15質量%、特に0.5~10質量%の割合で使用す ることが好ましい。ラジカル重合開始剤の使 用量が少なすぎると、共重合率が低下し、一 方多すぎると重合後に(メタ)アクリル酸系共 合体(A)に残留して、(メタ)アクリル酸系共 合体(A)の安定性を損なったあり、分散剤と て性能に悪影響を及ぼすことがある。

 また、場合によっては、(メタ)アクリル 系共重合体(A)は、水溶性レドックス系重合 始剤を使用して製造してもよい。レドック 系重合開始剤としては、酸化剤(例えば上記 た過酸化物)と、重亜硫酸ナトリウム、亜硫 酸ナトリウム、イソアスコルビン酸、ホルム アルデヒド-スルホキシル酸ナトリウム、ハ ドロサルファイトナトリウムなどの還元剤 、鉄ミョウバン、カリミョウバンなどの組 合わせを挙げることができる。レドックス 重合開始剤を用いて(メタ)アクリル酸系共重 合体(A)を製造する場合は、(メタ)アクリル酸 共重合体(A)の製造に用いる全単量体の合計 量に基づいて0.05~8質量%、特に0.5~5質量%程度 の割合で用いることが好ましい。但し、レド ックス系重合開始剤は、(メタ)アクリル酸系 重合体(A)中に塩副生成物を生じ易いので、 の使用量を最小にすることが好ましい。

 (メタ)アクリル酸系共重合体(A)の製造に っては、分子量を調整するために、連鎖移 剤を重合系に適量添加してもよく、使用可 な連鎖移動剤としては、例えば、亜リン酸 トリウム、次亜リン酸ナトリウム、重亜硫 ナトリウム、メルカプト酢酸、メルカプト ロピオン酢酸、2-プロパンチオール、2-メル プトエタノール、チオフェノール、ドデシ メルカプタン、チオグリセロール、チオリ ゴ酸などを挙げることができる。

 (メタ)アクリル酸系共重合体(A)を製造する の重合温度は、50~150℃が好ましく、70~100℃ より好ましい。重合温度が50℃よりも低いと 共重合率が低下し易い。一方、150℃よりも高 いと、(メタ)アクリル酸エステル(I)の熱分解 生成した(メタ)アクリル酸系共重合体(A)の 分解などが生ずる恐れがある。
 重合時間は、3~25時間、特に3~10時間程度が ましい。

 (メタ)アクリル酸系共重合体(A)を製造す ための上記した重合反応は、前記したよう 、(メタ)アクリル酸のカルボキシル基の40モ %以上、更には70~100モル%、特に90~100モル%が 和されていないカルボキシル基のままの状 で行うことが、均一に重合するため好まし 。

 上記で得られる、(メタ)アクリル酸系共重 体(A)を含む溶液から蒸留、真空蒸留、乾燥 どによって有機溶媒を除去した後、塩基性 合物で中和して(メタ)アクリル酸系共重合体 (A)を構成する構造単位(a)が有するカルボキシ ル基を塩の形態にして、(メタ)アクリル酸系 重合体(A)を水溶化する。中和の程度は、構 単位(a)が有するカルボキシル基の50~100モル% 、特に70~100モル%が塩の形態になるようにし 行う。
 中和に用いる塩基性化合物としては、水酸 ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチ ムなどのアルカリ金属水酸化物、アンモニ 水、ジエタノールアミン、トリエタノール ミンなどの有機アミン類などを挙げること でき、これらのうちでも水酸化ナトリウム よび/または水酸化カリウム、特に水酸化ナ トリウムが好ましく用いられる。
 上記で得られる水溶化した(メタ)アクリル 系共重合体(A)は、炭酸カルシウム用分散剤 して、単独でそのまま用いてもよいし、水 アルコールなどの溶媒に溶解して用いても いし、または各種塩を添加して用いてよい 添加し得る塩としては、例えば、ナトリウ 塩、カリウム塩などのアルカリ金属塩、カ シウム塩などのアルカリ土類金属塩、アル ニウム塩などの3価金属塩、アンモニウム塩 モノエタノールアミン、トリエタノールア ンなどの有機アミンの塩などを挙げること できる。
 また、(メタ)アクリル酸系共重合体(A)を炭 カルシウム用分散剤として用いるに当って 、必要に応じて、他のエマルジヨン系ラテ クス、粘性調整剤、香料、酸化防止剤、紫 線吸収剤、殺菌剤、防腐剤などを配合する ともできる。これらを配合する際は、溶媒 して水が好ましく用いられる。

 上記の要件(i)~(iii)を備える(メタ)アクリ 酸系共重合体(A)よりなる本発明の炭酸カル ウム用分散剤は、重質炭酸カルシウム、軽 炭酸カルシウムなどの炭酸カルシウムの分 剤として有効に使用することができ、特に 質炭酸カルシウムの湿式粉砕処理において 適に用いられる。

 さらに、本発明の第2発明においては、上 記で得られる水溶化した(メタ)アクリル酸系 重合体(A)またはその水溶液を、下記に記載 る第2の重合体成分である(メタ)アクリル酸 重合体(B)またはその水溶液と混合する(併用 する)ことによって、炭酸カルシウム用分散 が得られる。

《(メタ)アクリル酸系重合体(B)》
 次に、第2発明の炭酸カルシウム用分散剤に おける第2の重合体成分である(メタ)アクリル 酸系重合体(B)について説明する。
 (メタ)アクリル酸系重合体(B)は、アクリル 、アクリル酸塩、メタクリル酸およびメタ リル酸塩のうちの1種または2種以上に由来す る構造単位を主体とする重合体であって、上 記の一般式(I)で表される(メタ)アクリル酸エ テル(I)に由来する構造単位(b)を重合体分子 に有していない重合体であることが好まし 。
 (メタ)アクリル酸系重合体(B)は、アクリル 、アクリル酸塩、メタクリル酸およびメタ リル酸塩のうちの1種または2種以上に由来す る構造単位を、(メタ)アクリル酸系重合体(B) 全質量に基づいて、70質量%以上の割合の割 で有していることが好ましく、80質量%以上 割合で有していることがより好ましく、90~1 00質量%の割合で有していることが更に好まし い。

 (メタ)アクリル酸系重合体(B)中のカルボ シル基が、塩の形態になっている場合は、 の形態としては、アルカリ金属塩(ナトリウ 塩、カリウム酸、リチウム塩など)、アンモ ニウム塩、有機アミン塩(例えばジエタノー アミン塩、トリエタノールアミン塩など)な であることができ、そのうちでも、アルカ 金属塩、特にナトリウム塩の形態であるこ が、製造コストと性能のバランスの点から ましい。

 (メタ)アクリル酸系重合体(B)としては、メ クリル酸(塩)よりも、アクリル酸および/ま はアクリル酸塩に由来する構造単位を主体 する重合体が、(メタ)アクリル酸系重合体(B) を製造する際の重合性および水溶性の点から 好ましい。
 その際に、(メタ)アクリル酸系重合体(B)に けるアクリル酸および/またはアクリル酸塩 由来する構造単位の含有割合は、(メタ)ア リル酸系重合体(B)の全質量に基づいて、70質 量%以上であることが好ましく、80質量%以上 あることがより好ましく、90~100質量%である とが更に好ましい。

 本発明の第2発明である炭酸カルシウム用分 散剤における第2の重合体成分である(メタ)ア クリル酸系重合体(B)では、当該重合体中のカ ルボキシル基の全てが、未中和のカルボキシ ル基のままであってもよいが、重合体中のカ ルボキシル基の50~100モル%、特に70~100モル%が 基によって中和されて塩の形態になってい ことが、(メタ)アクリル酸系重合体(B)の水 性が増し、炭酸カルシウムの分散安定化効 が高くなることから好ましい。
 また、pHからいうと、(メタ)アクリル酸系重 合体(B)の水溶液のpHが、4~10、特に7~9の範囲に なるような割合で、(メタ)アクリル酸系重合 (B)中のカルボキシル基が塩基によって中和 れていることが、(メタ)アクリル酸系重合 (B)の水溶性が高くなり、炭酸カルシウムの 散安定化効果が高くなる点から好ましい。

 (メタ)アクリル酸系重合体(B)を製造する めの重合前および重合段階では、(メタ)アク リル酸のカルボキシル基の少なくとも40モル% (40~100モル%)が未中和の状態であるようにして 重合を行い、重合後に塩基性化合物を用いて (メタ)アクリル酸系重合体(B)中のカルボキシ 基の20モル%以上、更には40モル%以上、特に5 0~100モル%を塩の形態にすることが、(メタ)ア リル酸系重合体(B)を製造するための重合反 が円滑に進行する点から好ましい。

 本発明の第2発明である炭酸カルシウム用分 散剤における第2の重合体成分である(メタ)ア クリル酸系重合体(B)は、数平均分子量(Mn)が20 00~5000であることが好ましく、2000~4000である とがより好ましい。
 (メタ)アクリル酸系重合体(B)の数平均分子 (Mn)が2000未満であると、炭酸カルシウムへの 経時的な吸着性が低くなり、炭酸カルシウム 分散物(炭酸カルシウムスラリーなど)の経時 定性が低下する。一方、(メタ)アクリル酸 重合体(B)の数平均分子量(Mn)が5000を超えると 、炭酸カルシウム粒子間の結合(架橋)を引き こし、その結果炭酸カルシウム分散物(炭酸 カルシウムスラリーなど)の経時的な増粘な を引き起こすので望ましくない。

 また、(メタ)アクリル酸系重合体(B)は、重 平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比(Mw/Mn) 表される分子量分布(Mw/Mn)が、2.7以下である とが好ましく、2.6以下であることがより好 しく、2.5以下であることが更に好ましい。( メタ)アクリル酸系重合体(B)の分子量分布(Mw/M n)が2.7を超えると、炭酸カルシウムへの経時 な吸着性の低い低分子量成分の量が増加し また同時に炭酸カルシウム粒子同士の結合( 架橋)を引き起こす高分子量成分の量も増加 ることになり、その結果として炭酸カルシ ム分散物(炭酸カルシウムスラリーなど)の経 時的な増粘を引き起こし易くなる。
 ここで、本明細書における(メタ)アクリル 系重合体(B)の数平均分子量(Mn)および重量平 分子量(Mw)は、ポリアクリル酸を基準物質と する水系のゲル浸透クロマトグラフ(GPC)によ 求められる数平均分子量(Mn)および重量平均 分子量(Mw)を意味し、その具体的な測定方法 以下の実施例に記載するとおりである。

 本発明の第2発明である炭酸カルシウム用 分散剤における第2の重合体成分である(メタ) アクリル酸系重合体(B)は、(メタ)アクリル酸 よび/またはその塩に由来する構造単位のみ からなっていてもよいし、または(メタ)アク ル酸および/またはその塩に由来する構造単 位と共に、他の共重合性単量体に由来する構 造単位を必要に応じて少量であれば[(メタ)ア クリル酸系重合体(B)の全質量に基づいて、好 ましくは30質量%以下、より好ましくは20質量% 以下、更に好ましくは10質量%以下]有してい もよい。

 その際の他の共重合性単量体としては、 えば、(メタ)アクリル酸アルキル類、(メタ) アクリル酸ヒドロキシアルキル類、(メタ)ア リルアミド、酢酸ビニル、N-ビニルピロリ ン、(メタ)アクリロイルモルホリン、(メタ) クリロニトリル、(メタ)アクリルアミドア キルアルカンスルホン酸類、スルホン酸基 有ビニル単量体、リン酸基含有ビニル単量 、リン酸エステル基含有ビニル単量体など 1官能性単量体;メチレンビス(メタ)アクリル ミド、エチレンビス(メタ)アクリルアミド ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、エチ レングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリ チレングリコールジ(メタ)アクリレート、 リプロピレングリコールジ(メタ)アクリレー ト、トリメチロールプロパントリ(メタ)アク レート、ジ(メタ)アクリロキシエチルホス ェート、トリアリルシアヌレート、トリア ルイソシアヌレート、ジビニルベンゼン、 レイン酸ジアリルエステル、ポリアリルサ カロースなどの1分子中に2個以上のビニル基 を有する単量体などを挙げることができる。

 より詳細には、上記した(メタ)アクリル酸 ルキル類の具体例としては、(メタ)アクリル 酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ) クリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル 、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル、(メタ) アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル ラウリル、(メタ)アクリル酸ステアリルな を挙げることができる。
 (メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキル類の 体例としては、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキ エチル、(メタ)アクリル酸3-ヒドロキシプロ ピル、(メタ)アクリル酸4-ヒドロキシブチル (メタ)アクリル酸ω-ヒドロキシポリアルキレ ングリコール(n=2~30)、(メタ)アクリル酸ω-ヒ ロキシポリカプロラクトンなどを挙げるこ ができる。

 (メタ)アクリルアミドアルキルアルカンス ホン酸類の具体例としては、2-アクリルアミ ド-2-メチルプロパンスルホン酸、アクリルア ミドメタンスルホン酸、アクリルアミドエタ ンスルホン酸、アクリルアミドブタンスルホ ン酸などを挙げることができる。
 スルホン酸基含有単量体の具体例としては (メタ)アリルスルホン酸、スチレンスルホ 酸、α-メチルスチレンスルホン酸、イソプ ンスルホン酸、ビニルトルエンスルホン酸 (メタ)アリルオキシベンゼンスルホン酸、( タ)アリルオキシ2-ヒドロキシプロピルスル ン酸、(メタ)アクリル酸3-スルホプロピル、 タコン酸ビス(3-スルホプロピル)などを挙げ ることができる。

 リン酸基含有ビニル単量体の具体例とし は、モノ(2-ヒドロキシエチルアクリレート) アシッドホスフェート、モノ(2-ヒドロキシエ チルメタクリレート)アシッドホスフェート モノ(2-ヒドロキシプロピルアクリレート)ア ッドホスフェート、モノ(2-ヒドロキシプロ ルメタクリレート)アシッドホスフェート、 モノ(3-ヒドロキシプロピルアクリレート)ア ッドホスフェート、モノ(3-ヒドロキシプロ ルメタクリレート)アシッドホスフェートな を挙げることができる。

 リン酸エステル基含有ビニル単量体の具体 としては、ジフェニル-2-アクリロイルオキ エチルホスフェート、ジフェニル-2-メタク ロイルオキシエチルホスフェート、ジメチ -2-メタクリロイルオキシエチルホスフェー 、ジエチル-2-メタクリロイルオキシエチル スフェート、ジプロピル-2-メタクリロイル キシエチルホスフェートなどを挙げること できる。
 (メタ)アクリル酸系重合体(B)は、上記した の共重合性単量体の1種または2種以上に由来 する構造単位を含有することができる。

 (メタ)アクリル酸系重合体(B)の製造法は特 制限されず、従来から知られている方法で 造することができ、例えば、溶液重合法、 溶液重合法、イオン重合法、高温高圧重合 、逆相懸濁重合法などにより製造すること できる。そのうちでも、水溶液重合法が好 しく採用される。
 重合操作および分子量の調整が容易でしか (メタ)アクリル酸系重合体(B)を安価に製造 きる点から、(メタ)アクリル酸系重合体(B)は 、ラジカル重合開始剤を用いて製造すること が好ましい。

 (メタ)アクリル酸系重合体(B)の製造に用い ラジカル重合開始剤としては、一般に用い れている過酸化物系のラジカル重合開始剤 用いることができる。具体例としては、過 酸ナトリウム、過硫酸カリウム、過硫酸ア モニウムなどの過硫酸塩類、t-ブチルハイド ロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキ サイド、ジイソプロピベンゼンハイドロパー オキサイド、p-メンタンハイドロパーオキサ ド、2,5-ジメチルヘキサン-2,5-ジハイドロパ オキサイド、1,1,3,3-テトラメチルブチルハ ドロパーオキサイドなどのハイドロパーオ サイド類、過酸化水素などの水溶性過酸化 ;メチルエチルケトンパーオキサイド、シク ヘキサノンパーオキサイドなどのケトンパ オキサイド類、ジ-t-ブチルパーオキサイド t-ブチルクミルパーオキサイド、ジクミル ーオキサイド、α,α’-ビス(t-ブチルパーオ シ)-p-ジイソプロピルベンゼン、α,α’-ビス( t-ブチルパーオキシ)-n-ジイソプロピルヘキシ ンなどのジアルキルパーオキサイド類、t-ブ ルパーオキシアセテート、t-ブチルパーオ シラウレート、t-ブチルパーオキシベンゾエ ート、ジ-t-ブチルパーオキシイソフタレート 、2,5-ジメチル-2,5-ジ(ベンゾイルパーオキシ) キサン、t-ブチルパーオキシイソプロピル ーボネートなどのパーオキシエステル類、n- ブチル-4,4-ビス(t-ブチルパーオキシ)バレエー ト、2,2-ビス(t-ブチルパーオキシ)ブタンなど パーオキシケタール類、ジベンゾイルパー キサイドなどのジアシルパーオキサイドな の油溶性の過酸化物などを挙げることがで る。
 上記した過酸化物系のラジカル重合開始剤 1種類のみを使用してもまたは2種以上を併 してもよい。
 上記した過酸化物系ラジカル重合開始剤の ちで、分子量の制御が行い易い、分解温度 低い過酸化水素や過硫酸塩類系の過酸化物 好ましく用いられる。

 ラジカル重合開始剤の使用量は特に制限 れないが、(メタ)アクリル酸系重合体(B)の 造に用いる全単量体の合計質量に基づいて 0.1~15質量%、特に0.5~10質量%の割合で使用する ことが好ましい。ラジカル重合開始剤の使用 量が少なすぎると、共重合率が低下し、一方 多すぎると重合後に(メタ)アクリル酸系重合 (B)に残留して、(メタ)アクリル酸系重合体(B )の安定性を損なったあり、分散剤として性 に悪影響を及ぼすことがある。

 また、場合によっては、(メタ)アクリル 系重合体(B)は、水溶性レドックス系重合開 剤を使用して製造してもよい。レドックス 重合開始剤としては、酸化剤(例えば上記し 過酸化物)と、重亜硫酸ナトリウム、亜硫酸 ナトリウム、イソアスコルビン酸、ホルムア ルデヒド-スルホキシル酸ナトリウム、ハイ ロサルファイトナトリウムなどの還元剤や 鉄ミョウバン、カリミョウバンなどの組み わせを挙げることができる。レドックス系 合開始剤を用いて(メタ)アクリル酸系重合体 (B)を製造する場合は、(メタ)アクリル酸系重 体(B)の製造に用いる全単量体の合計質量に づいて0.05~8質量%、特に0.5~5質量%程度の割合 で用いることが好ましい。但し、レドックス 系重合開始剤は、(メタ)アクリル酸系重合体( B)中に塩副生成物を生じ易いので、その使用 を最小にすることが好ましい。

 (メタ)アクリル酸系重合体(B)の製造に当 ては、分子量を調整するために、連鎖移動 を重合系に適量添加してもよく、使用可能 連鎖移動剤としては、例えば、亜リン酸ナ リウム、次亜リン酸ナトリウム、重亜硫酸 トリウム、メルカプト酢酸、メルカプトプ ピオン酢酸、2-プロパンチオール、2-メルカ トエタノール、チオフェノール、ドデシル ルカプタン、チオグリセロール、チオリン 酸などを挙げることができる。

 (メタ)アクリル酸系重合体(B)を製造する際 重合温度は、50~150℃が好ましく、70~100℃が り好ましい。重合温度が50℃よりも低いと重 合率が低下し易い。一方、150℃よりも高いと 、生成した(メタ)アクリル酸系重合体(B)の熱 解などが生ずる恐れがある。
 重合時間は、10分~25時間、特に10分~5時間程 が好ましい。

 (メタ)アクリル酸系重合体(B)を製造する めの上記した重合反応は、前記したように (メタ)アクリル酸のカルボキシル基の40モル% 以上、更には70~100モル%、特に90~100モル%が中 されていないカルボキシル基のままの状態 行うことが、均一に重合するため好ましい

 上記で得られる、(メタ)アクリル酸系重合 (B)を含む水溶液に、塩基性化合物を添加し (メタ)アクリル酸系重合体(B)中のカルボキシ ル基を中和して塩の形態にする。中和の程度 は、(メタ)アクリル酸系重合体(B)が有するカ ボキシル基の50~100モル%、特に70~100モル%が の形態になるようにして行う。
 中和に用いる塩基性化合物としては、水酸 ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチ ムなどのアルカリ金属水酸化物、アンモニ 水、ジエタノールアミン、トリエタノール ミンなどの有機アミン類などを挙げること でき、これらのうちでも水酸化ナトリウム よび/または水酸化カリウム、特に水酸化ナ トリウムが好ましく用いられる。
 これにより得られる(メタ)アクリル酸系重 体(B)またはその水溶液を、第1の重合体成分 ある(メタ)アクリル酸系共重合体(A)または の水溶液と混合する(併用する)ことによって 、本発明の炭酸カルシウム用分散剤が得られ る。
 また、場合によっては、本発明では、(メタ )アクリル酸系重合体(B)として、アクリル酸 メタクリル酸および/またはそれらの塩から る構造単位を主体とする市販の(メタ)アク ル酸系重合体を用いてもよい。

《炭酸カルシウム用分散剤》
 本発明の炭酸カルシウム用分散剤は、第1発 明は上記した(メタ)アクリル酸系共重合体(A) らなり、さらに、第2発明は(メタ)アクリル 系共重合体(A)および(メタ)アクリル酸系重 体(B)からなる。

 本発明の第2発明の炭酸カルシウム用分散剤 における(メタ)アクリル酸系共重合体(A)と(メ タ)アクリル酸系重合体(B)の混合比率[固形分 しての(メタ)アクリル酸系共重合体(A)と(メ )アクリル酸系重合体(B)の混合比率]は、質 比で、(A):(B)=8:2~2:8であることが必要であり 6:4~4:6であることが好ましく、5:5~7:3であるこ とがより好ましい。
 (メタ)アクリル酸系共重合体(A)と(メタ)アク リル酸系重合体(B)の混合比率を前記範囲にす ることによって、炭酸カルシウムの分散安定 化効果に優れていて、粘度が低くて取り扱い 性に優れ、しかも経時的な増粘が少なく、凝 集のない、経時安定性に優れる炭酸カルシウ ム分散物を与える炭酸カルシウム用分散剤を 得ることができる。
 (メタ)アクリル酸系共重合体(A)の混合割合 少なすぎると[(メタ)アクリル酸系重合体(B) 混合割合が多すぎると]、炭酸カルシウムの 散安定化効果が低くなって、炭酸カルシウ の水性分散液の経時的な増粘が大きくなり 炭酸カルシウムの湿式粉砕時の発熱が大き なり、炭酸カルシウムの濾過性、流動性な が低下する。
 一方、(メタ)アクリル酸系重合体(B)の混合 合が少なすぎると、(メタ)アクリル酸系重合 体(B)を用いることによるコスト低減効果が発 揮されなくなる。

 本発明の炭酸カルシウム用分散剤を得るた の混合方法としては、(メタ)アクリル酸系 重合体(A)と(メタ)アクリル酸系重合体(B)が均 一に混合された混合物が得られる混合方法で あれば、いずれの方法を採用してもよい。
 炭酸カルシウム用分散剤を調製するための 合方法の代表例としては、(1)(メタ)アクリ 酸系共重合体(A)の溶液(特に水性溶液)と(メ )アクリル酸系重合体(B)の溶液(特に水性溶液 )を混合する方法、(2)固体状の(メタ)アクリル 酸系共重合体(A)と固体状の(メタ)アクリル酸 重合体(B)を混合する方法、(3)(メタ)アクリ 酸系共重合体(A)の溶液(特に水性溶液)と固体 状の(メタ)アクリル酸系重合体(B)を混合する 法、(4)固体状の(メタ)アクリル酸系共重合 (A)と(メタ)アクリル酸系重合体(B)の溶液(特 水性溶液)を混合する方法を挙げることがで 、前記(1)~(4)のいずれの混合方法も採用可能 である。

 上記(1)~(4)の混合操作は、炭酸カルシウム に添加する前に予め行い、(メタ)アクリル酸 共重合体(A)と(メタ)アクリル酸系重合体(B) 本発明で規定する質量比で含む混合物(炭酸 ルシウム用分散剤)を予め調製しておき、当 該炭酸カルシウム用分散剤を炭酸カルシウム に添加して炭酸カルシウムの分散を行っても よい。または、炭酸カルシウムの分散処理時 に、(メタ)アクリル酸系共重合体(A)と(メタ) クリル酸系重合体(B)を上記(1)~(4)の方法にし がって固体状または液状で炭酸カルシウム 別々に混合し、炭酸カルシウムを含む混合 (炭酸カルシウム分散物)中に(メタ)アクリル 酸系共重合体(A)と(メタ)アクリル酸系重合体( B)の両方が本発明で規定する混合比率で含ま るようにしてもよい。

 上記(1)、(3)および(4)の混合方法によって(メ タ)アクリル酸系共重合体(A)と(メタ)アクリル 酸系重合体(B)を予め混合した場合には、(メ )アクリル酸系共重合体(A)と(メタ)アクリル 系重合体(B)を混合含有する溶液が得られる この溶液は、溶液状のままで炭酸カルシウ 用分散剤として用いてもよいし、または溶 から(メタ)アクリル酸系共重合体(A)と(メタ) クリル酸系重合体(B)の混合物を固体状で回 し、当該固体状の混合物を炭酸カルシウム 分散剤として用いてもよい。
 また、上記(2)の混合方法によって(メタ)ア リル酸系共重合体(A)と(メタ)アクリル酸系重 合体(B)を予め混合すると、(メタ)アクリル酸 共重合体(A)と(メタ)アクリル酸系重合体(B) 含有する固体状の混合物が得られる。この 体状の混合物は、固体状のままで炭酸カル ウム用分散剤として用いてもよいし、水や ルコールなどの溶媒に溶解して液状にして 酸カルシウム用分散剤として用いてもよい

 そのうちでも、本発明では、(メタ)アク ル酸系共重合体(A)の水性溶液と(メタ)アクリ ル酸系重合体(B)の水性溶液を、前記(1)の混合 方法に従って、予め混合するか、または炭酸 カルシウムの分散処理時にそれぞれの水性溶 液を炭酸カルシウムに添加する方法が、重合 操作によって得られる(メタ)アクリル酸系共 合体(A)の水性溶液と、(メタ)アクリル酸系 合体(B)の水性溶液を、必要に応じて水やア コールなどを加えながら、炭酸カルシウム 分散剤の調製および炭酸カルシウムの分散 理にそのまま直接使用できる点から好まし 採用される。

 (メタ)アクリル酸系共重合体(A)および(メタ) アクリル酸系重合体(B)からなる本発明の第2 明の炭酸カルシウム用分散剤は、重合体成 として、(メタ)アクリル酸系共重合体(A)と( タ)アクリル酸系重合体(B)の2種類のみを含有 していてもよいし、または必要に応じて他の エマルジヨン系ラテックス、粘性調整剤など を含有していてもよい。
 また、第2発明の炭酸カルシウム用分散剤は 、(メタ)アクリル酸系共重合体(A)と(メタ)ア リル酸系重合体(B)の2者のみからなり、他の 分を用いないものであってもよいし、また 必要に応じて、各種の塩、例えば、ナトリ ム塩、カリウム塩などのアルカリ金属塩、 ルシウム塩などのアルカリ土類金属塩、ア ミニウム塩などの3価金属塩、アンモニウム 塩、モノエタノールアミン、トリエタノール アミンなどの有機アミンの塩などの1種また 2種以上、香料、酸化防止剤、紫外線吸収剤 殺菌剤、防腐剤などの1種または2種以上を 用してもよい。これらの成分を配合する際 、溶媒として水が好ましく用いられる。

 本発明の炭酸カルシウム用分散剤は、重質 酸カルシウム、軽質炭酸カルシウムなどの 酸カルシウムの分散剤として有効に使用す ことができ、特に重質炭酸カルシウムの湿 粉砕処理において好適に用いられる。
 炭酸カルシウムを分散させる際の本発明の 酸カルシウム用分散剤の使用割合は、炭酸 ルシウムの種類や性状などに応じて調整で るが、一般的には、炭酸カルシウム100質量 に対して、(メタ)アクリル酸系共重合体(A) (メタ)アクリル酸系重合体(B)の合計量(固形 での合計量)が0.4~1質量部、更には0.5~0.8質量 、特に0.6~0.8質量部になるようにして用いる ことが、分散安定化効果を良好に発揮する点 から好ましい。
 炭酸カルシウムに対する本発明の炭酸カル ウム用分散剤の使用量が少なすぎると、分 安定化効果を発揮しにくくなり、一方多す ると、顔料間の架橋を引き起こして増粘す 。
 特に、本発明の炭酸カルシウム用分散剤を いて重質炭酸カルシウムの湿式粉砕処理を う場合は、重質炭酸カルシウムから濃度が6 0~80質量%、特に75~78質量%のスラリーを調製し 当該スラリー中に本発明の炭酸カルシウム 分散剤を、重質炭酸カルシウムの質量に基 いて、(メタ)アクリル酸系共重合体(A)と(メ )アクリル酸系重合体(B)の固体成分での合計 量で0.4~1質量%、更には0.5~0.8質量%、特に0.6~0.8 質量%の割合で添加して湿式粉砕処理を行う 、重質炭酸カルシウムを良好な分散安定性 維持しながら、円滑に湿式粉砕処理するこ ができる。

 以下に実施例などにより本発明について具 的に説明するが、本発明は以下の実施例に 定されるものではない。
 以下の例において、「%」および「部」は、 それぞれ「質量%」および「質量部」を示す
 また、以下の例において、(メタ)アクリル 系共重合体(A)および(メタ)アクリル酸系重合 体(B)の重量平均分子量(Mw)および数平均分子 (Mn)の測定、並びに炭酸カルシウム用分散剤[ (メタ)アクリル酸系共重合体(A)単独、(メタ) クリル酸系共重合体(A)と(メタ)アクリル酸系 重合体(B)の混合物、または(メタ)アクリル酸 重合体(B)単独]の炭酸カルシウムに対する分 散特性の測定または評価は次のようにして行 った。

[1](メタ)アクリル酸系共重合体(A)および(メタ )アクリル酸系重合体(B)の重量平均分子量(Mw) よび数平均分子量(Mn):
 以下の実施例および比較例で得られた中和 の(メタ)アクリル酸系共重合体(A)の水溶液 たは(メタ)アクリル酸系重合体(B)の水溶液か ら採取して、濃度を0.4wt/vol%に調整した試料10 0μLを、カラム[東ソー(株)製のカラム「TSKgel  G3000PW XL -TSKgel G4000PW XL -TSKgel G6000PW XL 」(各々長さ300mm、内径7.8mm)の3本を直列に連 したもの]に注入し、カラム温度35℃にて、 離液[0.1M NaCl、0.1M リン酸緩衝液(リン酸1N 2 水和物7.70g、リン酸2N 12水和物36.3g、NaCl8.63g 脱イオン水1476.4g)]を流速0.8mL/分でカラムに して、カラムに吸着した成分を溶離させる 系のゲル浸透クロマトグラフ(GPC)法を採用し て、(メタ)アクリル酸系共重合体(A)および(メ タ)アクリル酸系重合体(B)の重量平均分子量(M w)および数平均分子量(Mn)を測定した。その際 に、(メタ)アクリル酸系共重合体(A)および(メ タ)アクリル酸系重合体(B)の重量平均分子量(M w)および数平均分子量(Mn)は、重量平均分子量 (Mw)、数平均分子量(Mn)およびピークトップ分 量(Mp)が明らかなポリアクリル酸ナトリウム を基準物質として用いて予め作成しておいた 検量線から算出した。

[2]炭酸カルシウムに対する分散特性:
[2-a]重質炭酸カルシウムの湿式粉砕処理:
 分散機[サンドグラインダー(五十嵐機械製)] に、重質炭酸カルシウム[丸尾カルシウム社 「No.A 重炭」(42メッシュ残渣1%以下、100メッ シュ残渣90%以上)]を900gおよびアルミナビーズ (平均直径1.0mm;粉砕媒体)を2970gの量で充填し 更に以下の製造例で製造された中和された( タ)アクリル酸系共重合体(A)の水溶液および /または(メタ)アクリル酸系重合体(B)の水溶液 を、重質炭酸カルシウム900gに対して(メタ)ア クリル酸系共重合体(A)および/または(メタ)ア クリル酸系重合体(B)の固形分として6.75g[(メ )アクリル酸系共重合体(A)と(メタ)アクリル 系重合体(B)の両方を用いる場合は合計質量 それぞれを単独で用いる場合は単独の質量]( 重質炭酸カルシウムに対して0.75質量%)の量で 充填し、それに蒸留水を加えて、重質炭酸カ ルシウムの濃度が75質量%の重質炭酸カルシウ ムスラリーを分散機内で調製した後、分散機 内の撹拌翼を1000rpmの回転速度で回転させて50 分間湿式粉砕処理を行った。

[2-b]湿式粉砕処理中の重質炭酸カルシウムス リーの流動性の評価:
 上記[2-a]の湿式粉砕処理時に、重質炭酸カ シウムスラリーの流動性を以下の評価基準 したがって評価した。
 ◎:粉砕初期から粉砕後期を通して、分散機 の撹拌翼への付着物がなく、流動性に極めて 優れている。
 ○:粉砕初期から粉砕後期を通して、分散機 の撹拌翼への付着物が少なく、流動性に優れ ている。
 △:粉砕初期から粉砕後期を通して(特に粉 初期に)、分散機の撹拌翼への付着物がかな あり、流動性(特に粉砕初期における流動性 )が低い。

[2-c]重質炭酸カルシウムの湿式粉砕処理の終 直後の発熱:
 上記[2-a]の湿式粉砕処理の終了直後に重質 酸カルシウムスラリーの温度を測定して、 熱の多少を評価した。
 粉砕のために分散機に投入した媒体(アルミ ナビーズ)と重質炭酸カルシウムとの間の摩 が大きいと発熱量が多くなる。発熱量が少 いほど、摩擦が少なくて、撹拌翼を1000rpmで 転させるためのエネルギー量が少なくてす 、重質炭酸カルシウムの湿式粉砕を良好な ネルギー効率で実施できることを意味する
 なお、湿式粉砕処理を行う直前の重質炭酸 ルシウムスラリーの温度は20℃に調整して いた。

[2-d]重質炭酸カルシウムスラリー中の重質炭 カルシウム粒子の平均粒径:
 上記[2-a]の湿式粉砕処理によって得られた 式粉砕後の重質炭酸カルシウムスラリーを 散乱強度が適切になるように大量の脱イオ 水に分散させ、それを試料として用いて、 ーザー光散乱型粒度分布計(堀場製作所製「L A-920型」)を使用して、重質炭酸カルシウムス ラリー中の重質炭酸カルシウム粒子の平均粒 径を測定した。

[2-e]重質炭酸カルシウムスラリーの濾過性:
 上記[2-a]の湿式粉砕処理によって得られた 式粉砕後の重質炭酸カルシウムスラリーの 量を試料として用いて、それを、100目濾布 取り付けた円筒形の濾過装置(濾過部分は直 25cm)に平らに注ぎ込み、濾過開始から5分が 過時点での濾過量(g)を測定して、下記の評 基準に従って濾過性を評価した。
 ◎:試料の100質量%が濾布を通過し、濾過性 極めて優れている。
 ○:試料の80質量%以上100質量%未満が濾布を 過し、濾過性に優れている。
 △:濾布の通過量が試料の80質量%未満であり 、濾過性に劣っている。

[2-f]重質炭酸カルシウムスラリーの経時安定 :
 上記[2-e]で得られた、100目濾布を通過した 過物を試料として用い、当該試料中の重質 酸カルシウムの濃度が75質量%よりも高くな ている場合は蒸留水で希釈して重質炭酸カ シウムの濃度が75質量%の試料を調製した。 の試料を温度25℃で静置した状態に保ち、当 初(試料の調製直後)、静置1日後、静置7日後 粘度を、BM型粘度計(トキメック社製)を使用 て、温度25℃で、#3ローターまたは#4ロータ を使用(#3ローターは試料の粘度が1000mPa・s 下のときに、#4ローターは試料の粘度が1000~1 000mPa・sのときに使用)して、回転速度60rpmで 質炭酸カルシウムスラリーの粘度を測定し 。また、試料の粘度が10000mPa・s以上のとき 、#4ローターを使用して、回転速度30rpmで粘 を測定した。

《実施例1》[炭酸カルシウム用分散剤である( メタ)アクリル酸系共重合体(A-1)の製造]
(1) 5つ口フラスコに、イソプロパノール239.0g および脱イオン水88.1gを充填し、フラスコの 容物を260rpmで回転撹拌しながら、内温を81 まで昇温した。内温が一定になった後、過 酸アンモニウム0.16gおよび脱イオン水2.72gを 度に添加し、その一分後から、アクリル酸3 02.3gとポリプロピレングリコールモノアクリ ート[ポリプロピレンオキサイドの付加モル 数n=3、末端水酸基(R 3 =H)]33.6gと脱イオン水84.0gからなる単量体混合 溶液(合計419.9g)と、過硫酸アンモニウム8.0g 脱イオン水42.3gからなる重合開始剤水溶液( 計50.3g)を、それぞれ4時間かけて連続的に供 給した。前記単量体混合水溶液および重合開 始剤水溶液の連続供給の開始時には、フラス コの内温を81℃に設定し、連続供給が終了す 4時間後にフラスコの内温が85℃になるよう 徐々に昇温した。連続供給終了後、内温を8 5℃に保って熟成を1.5時間行った後に、内温 50℃になるまで冷却した。反応液の500mgを採 してガスクロマトグラフィー分析を行った ころ、未反応のアクリル酸およびポリプロ レングリコールモノアクリレートは検出さ なかった。
(2) 次いで、圧力制御装置および真空ポンプ よりフラスコ内の圧力を80mmHgに制御してイ プロパノール239gを連続的に留去した。イソ プロパノールとの共沸で失われた量の脱イオ ン水をフラスコに追加した。

(3) 次に、氷水でフラスコを冷却し、pHを測 しながら、フラスコの内容物((メタ)アクリ 酸系共重合体水溶液)のpHが7.5となるまで48% 酸化ナトリウム水溶液を加えて中和した。 いて、フラスコの内容物(アクリル系共重合 水溶液)を155℃で45分間加熱して秤量を行っ 後、加熱後の水溶液中のアクリル系共重合 量を測定し、測定値に基づいて脱イオン水 加えて、固形分濃度[(メタ)アクリル酸系共 合体含有量]が35%の水溶液を調製した。
(4) 上記(3)で得られた固形分濃度[(メタ)アク ル酸系共重合体含有量]が35%の水溶液を用い て、水溶液中に含まれている(メタ)アクリル 系共重合体(以下「(メタ)アクリル酸系共重 体(A-1)」ということがある)の重量平均分子 (Mw)および数平均分子量(Mn)を上記[1]の方法 測定したところ、重量平均分子量(Mw)=6200、 平均分子量(Mn)=2700、分子量分布(Mw/Mn)=2.30で った。

《実施例2》[炭酸カルシウム用分散剤である( メタ)アクリル酸系共重合体(A-2)の製造]
(1) 実施例1の(1)において、5つ口フラスコに 初に加えるイソプロパノールの量を194.6gに え、脱イオン水の量を213.3gに変えると共に 単量体混合水溶液をアクリル酸226.9gとポリ ロピレングリコールモノアクリレート[ポリ ロピレンオキサイドの付加モル数n=6、末端 酸基(R 3 =H)]46.5gと脱イオン水84.0gからなる単量体混合 溶液(合計357.4g)に変えた以外は、実施例1の( 1)と同じ重合操作を行った。反応終了後、反 液の500mgを採取してガスクロマトグラフィ 分析を行ったところ、未反応のアクリル酸 よびポリプロピレングリコールモノアクリ ートは検出されなかった。
(2) 次いで、実施例1の(2)および(3)と同じ操作 を行って、固形分濃度[(メタ)アクリル酸系共 重合体含有量]が35%の水溶液を調製した。
(3) 上記(2)で得られた固形分濃度[(メタ)アク ル酸系共重合体含有量]が35%の水溶液を用い て、水溶液中に含まれている(メタ)アクリル 系共重合体(以下「(メタ)アクリル酸系共重 体(A-2)」ということがある)の重量平均分子 (Mw)および数平均分子量(Mn)を上記[1]の方法 測定したところ、重量平均分子量(Mw)=6000、 平均分子量(Mn)=2600、分子量分布(Mw/Mn)=2.31で った。

《実施例3》[炭酸カルシウム用分散剤である( メタ)アクリル酸系共重合体(A-3)の製造]
(1) 実施例1の(1)において、5つ口フラスコに 初に加えるイソプロパノールの量を194.6gに え、脱イオン水の量を213.3gに変えると共に 単量体混合水溶液をアクリル酸226.9gとポリ ロピレングリコールモノアクリレート[ポリ ロピレンオキサイドの付加モル数n=6、末端 酸基(R 3 =H)]46.5gと脱イオン水84.0gからなる単量体混合 溶液(合計357.4g)に変え、また単量体混合水 液と同時に連続的に供給する重合開始剤水 液を過硫酸アンモニウム5.3gと脱イオン水42.3 gからなる重合開始剤水溶液(合計47.6g)に変え 以外は、実施例1の(1)と同じ重合操作を行っ た。反応終了後、反応液の500mgを採取してガ クロマトグラフィー分析を行ったところ、 反応のアクリル酸およびポリプロピレング コールモノアクリレートは検出されなかっ 。
(2) 次いで、実施例1の(2)および(3)と同じ操作 を行って、固形分濃度[(メタ)アクリル酸系共 重合体含有量]が35%の水溶液を調製した。
(3) 上記(2)で得られた固形分濃度[(メタ)アク ル酸系共重合体含有量]が35%の水溶液を用い て、水溶液中に含まれている(メタ)アクリル 系共重合体(以下「(メタ)アクリル酸系共重 体(A-3)」ということがある)の重量平均分子 (Mw)および数平均分子量(Mn)を上記[1]の方法 測定したところ、重量平均分子量(Mw)=7400、 平均分子量(Mn)=2900、分子量分布(Mw/Mn)=2.55で った。

《実施例4》[炭酸カルシウム用分散剤である( メタ)アクリル酸系共重合体(A-4)の製造]
(1) 実施例1の(1)において、5つ口フラスコに 初に加えるイソプロパノールの量を181.0gに え、脱イオン水の量を146.1gに変えると共に 単量体混合水溶液をアクリル酸269.3gとポリ ロピレングリコールモノアクリレート[ポリ ロピレンオキサイドの付加モル数n=9、末端 酸基(R 3 =H)]66.5gと脱イオン水84.0gからなる単量体混合 溶液(合計419.8g)に変えた以外は、実施例1の( 1)と同じ重合操作を行った。反応終了後、反 液の500mgを採取してガスクロマトグラフィ 分析を行ったところ、未反応のアクリル酸 よびポリプロピレングリコールモノアクリ ートは検出されなかった。
(2) 次いで、実施例1の(2)および(3)と同じ操作 を行って、固形分濃度[(メタ)アクリル酸系共 重合体含有量]が35%の水溶液を調製した。
(3) 上記(2)で得られた固形分濃度[(メタ)アク ル酸系共重合体含有量]が35%の水溶液を用い て、水溶液中に含まれている(メタ)アクリル 系共重合体(以下「(メタ)アクリル酸系共重 体(A-4)」ということがある)の重量平均分子 (Mw)および数平均分子量(Mn)を上記[1]の方法 測定したところ、重量平均分子量(Mw)=7200、 平均分子量(Mn)=2800、分子量分布(Mw/Mn)=2.57で った。

《実施例5》[炭酸カルシウム用分散剤である( メタ)アクリル酸系共重合体(A-5)の製造]
(1) 実施例1の(1)において、5つ口フラスコに 初に加えるイソプロパノールの量を285.5gに え、脱イオン水の量を42.1gに変えると共に、 単量体混合水溶液をアクリル酸260.8gとポリプ ロピレングリコールモノアクリレート[ポリ ロピレンオキサイドの付加モル数n=5、末端 酸基(R 3 =H)]73.6gと脱イオン水84.0gからなる単量体混合 溶液(合計418.4g)に変えた以外は、実施例1の( 1)と同じ重合操作を行った。反応終了後、反 液の500mgを採取してガスクロマトグラフィ 分析を行ったところ、未反応のアクリル酸 よびポリプロピレングリコールモノアクリ ートは検出されなかった。
(2) 次いで、実施例1の(2)および(3)と同じ操作 を行って、固形分濃度[(メタ)アクリル酸系共 重合体含有量]が35%の水溶液を調製した。
(3) 上記(2)で得られた固形分濃度[(メタ)アク ル酸系共重合体含有量]が35%の水溶液を用い て、水溶液中に含まれている(メタ)アクリル 系共重合体(以下「(メタ)アクリル酸系共重 体(A-5)」ということがある)の重量平均分子 (Mw)および数平均分子量(Mn)を上記[1]の方法 測定したところ、重量平均分子量(Mw)=8100、 平均分子量(Mn)=3000、分子量分布(Mw/Mn)=2.70で った。

《実施例6》[炭酸カルシウム用分散剤である( メタ)アクリル酸系共重合体(A-6)の製造]
(1) 実施例1の(1)において、5つ口フラスコに 初に加えるイソプロパノールの量を181.0gに え、脱イオン水の量を146.1gに変えると共に 単量体混合水溶液をアクリル酸269.3gとメト シ化ポリプロピレングリコールモノアクリ ート[ポリプロピレンオキサイドの付加モル n=9、末端メトキシ基(R 3 =CH 3 )]66.5gと脱イオン水84.0gからなる単量体混合水 溶液(合計419.8g)に変えた以外は、実施例1の(1) と同じ重合操作を行った。反応終了後、反応 液の500mgを採取してガスクロマトグラフィー 析を行ったところ、未反応のアクリル酸お びポリプロピレングリコールモノアクリレ トは検出されなかった。
(2) 次いで、実施例1の(2)および(3)と同じ操作 を行って、固形分濃度[(メタ)アクリル酸系共 重合体含有量]が35%の水溶液を調製した。
(3) 上記(2)で得られた固形分濃度[(メタ)アク ル酸系共重合体含有量]が35%の水溶液を用い て、水溶液中に含まれている(メタ)アクリル 系共重合体(以下「(メタ)アクリル酸系共重 体(A-6)」ということがある)の重量平均分子 (Mw)および数平均分子量(Mn)を上記[1]の方法 測定したところ、重量平均分子量(Mw)=6200、 平均分子量(Mn)=2800、分子量分布(Mw/Mn)=2.21で った。

《実施例7》[炭酸カルシウム用分散剤である( メタ)アクリル酸系共重合体(A-7)の製造]
(1) 実施例1の(1)において、5つ口フラスコに 初に加えるイソプロパノールの量を239.0gに 、脱イオン水の量を88.0gに変えると共に、単 量体混合水溶液をアクリル酸302.3gとメトキシ 化ポリプロピレングリコールモノアクリレー ト[ポリプロピレンオキサイドの付加モル数n= 2、末端メトキシ基(R 3 =CH 3 )]33.6gと脱イオン水84.0gからなる単量体混合水 溶液(合計419.9g)に変えた以外は、実施例1の(1) と同じ重合操作を行った。反応終了後、反応 液の500mgを採取してガスクロマトグラフィー 析を行ったところ、未反応のアクリル酸お びポリプロピレングリコールモノアクリレ トは検出されなかった。
(2) 次いで、実施例1の(2)および(3)と同じ操作 を行って、固形分濃度[(メタ)アクリル酸系共 重合体含有量]が35%の水溶液を調製した。
(3) 上記(2)で得られた固形分濃度[(メタ)アク ル酸系共重合体含有量]が35%の水溶液を用い て、水溶液中に含まれている(メタ)アクリル 系共重合体(以下「(メタ)アクリル酸系共重 体(A-7)」ということがある)の重量平均分子 (Mw)および数平均分子量(Mn)を上記[1]の方法 測定したところ、重量平均分子量(Mw)=6800、 平均分子量(Mn)=2800、分子量分布(Mw/Mn)=2.43で った。

《実施例8》[炭酸カルシウム用分散剤である( メタ)アクリル酸系共重合体(A-8)の製造]
(1) 実施例1の(1)において、5つ口フラスコに 初に加えるイソプロパノールの量を116.2gに え、脱イオン水の量を292.0gに変えると共に 単量体混合水溶液をアクリル酸225.9gとポリ ロピレングリコールモノアクリレート[ポリ ロピレンオキサイドの付加モル数n=6、末端 酸基(R 3 =H)]46.3gと脱イオン水84.0gからなる単量体混合 溶液(合計356.2g)に変えた以外は、実施例1の( 1)と同じ重合操作を行った。反応終了後、反 液の500mgを採取してガスクロマトグラフィ 分析を行ったところ、未反応のアクリル酸 よびポリプロピレングリコールモノアクリ ートは検出されなかった。
(2) 次いで、実施例1の(2)および(3)と同じ操作 を行って、固形分濃度[(メタ)アクリル酸系共 重合体含有量]が35%の水溶液を調製した。
(3) 上記(2)で得られた固形分濃度[(メタ)アク ル酸系共重合体含有量]が35%の水溶液を用い て、水溶液中に含まれている(メタ)アクリル 系共重合体(以下「(メタ)アクリル酸系共重 体(A-8)」ということがある)の重量平均分子 (Mw)および数平均分子量(Mn)を上記[1]の方法 測定したところ、重量平均分子量(Mw)=7300、 平均分子量(Mn)=2500、分子量分布(Mw/Mn)=2.92で った。

《試験例1》[(メタ)アクリル酸系共重合体(A-1) ~(A-8)の性能評価]
 実施例1~8で得られた固形分濃度[(メタ)アク ル酸系共重合体含有量]が35%の水溶液を用い て、上記[2]の(a)に記載した方法で重質炭酸カ ルシウムの湿式粉砕処理を行った。
 そして、湿式粉砕処理中の重質炭酸カルシ ムスラリーの流動性を上記[2]の(b)の方法で 価すると共に、湿式粉砕処理の終了直後の 熱(重質炭酸カルシウムスラリーの温度)を 記[2]の(c)の方法で調べた。
 また、当該湿式粉砕処理により得られた重 炭酸カルシウムスラリーについて、当該ス リーに含まれる重質炭酸カルシウム粒子の 均粒径を上記[2]の(d)の方法で測定し、当該 ラリーの濾過性を上記[2]の(e)の方法で評価 、更に当該スラリーの経時安定性を上記[2] (f)の方法で評価した。
 それらの結果を、下記の表1に示す。

《比較例1》[炭酸カルシウム用分散剤である( メタ)アクリル酸系共重合体(C-1)の製造]
(1) 実施例1の(1)において、5つ口フラスコに 初に加えるイソプロパノールの量を196.0gに え、脱イオン水の量を49.4gに変えると共に、 単量体混合水溶液をアクリル酸310.0gとポリプ ロピレングリコールモノアクリレート[ポリ ロピレンオキサイドの付加モル数n=5、末端 酸基(R 3 =H)]82.4gと脱イオン水84.0gからなる単量体混合 溶液(合計476.4g)に変えた以外は、実施例1の( 1)と同じ重合操作を行った。反応終了後、反 液の500mgを採取してガスクロマトグラフィ 分析を行ったところ、未反応のアクリル酸 よびポリプロピレングリコールモノアクリ ートは検出されなかった。
(2) 次いで、実施例1の(2)および(3)と同じ操作 を行って、固形分濃度[(メタ)アクリル酸系共 重合体含有量]が35%の水溶液を調製した。
(3) 上記(2)で得られた固形分濃度[(メタ)アク ル酸系共重合体含有量]が35%の水溶液を用い て、水溶液中に含まれている(メタ)アクリル 系共重合体(以下「(メタ)アクリル酸系共重 体(C-1)」ということがある)の重量平均分子 (Mw)および数平均分子量(Mn)を上記[1]の方法 測定したところ、重量平均分子量(Mw)=14500、 平均分子量(Mn)=6000、分子量分布(Mw/Mn)=2.42で った。

《比較例2》[炭酸カルシウム用分散剤である( メタ)アクリル酸系共重合体(C-2)の製造]
(1) 実施例1の(1)において、5つ口フラスコに 初に加えるイソプロパノールの量を239.0gに 、脱イオン水の量を88.0gに変えると共に、単 量体混合水溶液をアクリル酸312.4gとポリプロ ピレングリコールモノアクリレート[ポリプ ピレンオキサイドの付加モル数n=12、末端水 基(R 3 =H)]23.5gと脱イオン水84.0gからなる単量体混合 溶液(合計419.9g)にて、実施例1の(1)と同じ重 操作を行った。反応終了後、反応液の500mg 採取してガスクロマトグラフィー分析を行 たところ、未反応のアクリル酸およびポリ ロピレングリコールモノアクリレートは検 されなかった。
(2) 次いで、実施例1の(2)および(3)と同じ操作 を行って、固形分濃度[(メタ)アクリル酸系共 重合体含有量]が35%の水溶液を調製した。
(3) 上記(2)で得られた固形分濃度[(メタ)アク ル酸系共重合体含有量]が35%の水溶液を用い て、水溶液中に含まれている(メタ)アクリル 系共重合体(以下「(メタ)アクリル酸系共重 体(C-2)」ということがある)の重量平均分子 (Mw)および数平均分子量(Mn)を上記[1]の方法 測定したところ、重量平均分子量(Mw)=7700、 平均分子量(Mn)=3000、分子量分布(Mw/Mn)=2.57で った。

《比較例3》[炭酸カルシウム用分散剤である( メタ)アクリル酸系共重合体(C-3)の製造]
(1) 実施例1の(1)において、5つ口フラスコに 初に加えるイソプロパノールの量を239.0gに 、脱イオン水の量を88.1gにし、単量体混合水 溶液をアクリル酸319.1gとポリプロピレングリ コールモノアクリレート[ポリプロピレンオ サイドの付加モル数n=3、末端水酸基(R 3 =H)]16.8gと脱イオン水84.0gからなる単量体混合 溶液(合計419.9g)に変えて、実施例1の(1)と同 重合操作を行った。反応終了後、反応液の5 00mgを採取してガスクロマトグラフィー分析 行ったところ、未反応のアクリル酸および リプロピレングリコールモノアクリレート 検出されなかった。
(2) 次いで、実施例1の(2)および(3)と同じ操作 を行って、固形分濃度[(メタ)アクリル酸系共 重合体含有量]が35%の水溶液を調製した。
(3) 上記(2)で得られた固形分濃度[(メタ)アク ル酸系共重合体含有量]が35%の水溶液を用い て、水溶液中に含まれている(メタ)アクリル 系共重合体(以下「(メタ)アクリル酸系共重 体(C-3)」ということがある)の重量平均分子 (Mw)および数平均分子量(Mn)を上記[1]の方法 測定したところ、重量平均分子量(Mw)=6000、 平均分子量(Mn)=2500、分子量分布(Mw/Mn)=2.40で った。

《比較例4》[炭酸カルシウム用分散剤である( メタ)アクリル酸系共重合体(C-4)の製造]
(1) 実施例1の(1)において、5つ口フラスコに 初に加えるイソプロパノールの量を239.0gに 、脱イオン水の量を88.0gにし、単量体混合水 溶液をアクリル酸228.4gとポリプロピレングリ コールモノアクリレート[ポリプロピレンオ サイドの付加モル数n=6、末端水酸基(R 3 =H)]107.5gと脱イオン水84.0gからなる単量体混合 水溶液(合計419.9g)に変えて、実施例1の(1)と同 じ重合操作を行った。反応終了後、反応液の 500mgを採取してガスクロマトグラフィー分析 行ったところ、未反応のアクリル酸および リプロピレングリコールモノアクリレート 検出されなかった。
(2) 次いで、実施例1の(2)と同様にしてイソプ ロパノール239gを連続的に留去した後、実施 1の(3)と同様にして水酸化ナトリウム水溶液 加えて中和処理したが、生成した(メタ)ア リル酸系共重合体(以下「(メタ)アクリル酸 共重合体(C-4)」ということがある)が水溶性 ならなかったため、分子量の測定ができず さらに炭酸カルシウム用分散剤として用い ことができなかった。

《比較例5》[炭酸カルシウム用分散剤である( メタ)アクリル酸系共重合体(C-5)の製造]
(1) 実施例1の(1)において、5つ口フラスコに 初に加えるイソプロパノールの量を239.0gに 、脱イオン水の量を88.0gにし、単量体混合水 溶液をアクリル酸278.8gとポリエチレングリコ ールモノアクリレート(ポリエチレンオキサ ドの付加モル数n=10、末端水酸基)57.1gと脱イ ン水84.0gからなる単量体混合水溶液(合計419. 9g)に変えて、実施例1の(1)と同じ重合操作を った。
(2) 次いで、実施例1の(2)および(3)と同じ操作 を行って、固形分濃度[(メタ)アクリル酸系共 重合体含有量]が35%の水溶液を調製した。反 終了後、反応液の500mgを採取してガスクロマ トグラフィー分析を行ったところ、未反応の アクリル酸およびポリエチレングリコールモ ノアクリレートは検出されなかった。
(3) 上記(2)で得られた固形分濃度[(メタ)アク ル酸系共重合体含有量]が35%の水溶液を用い て、水溶液中に含まれている(メタ)アクリル 系共重合体(以下「(メタ)アクリル酸系共重 体(C-5)」ということがある)の重量平均分子 (Mw)および数平均分子量(Mn)を上記[1]の方法 測定したところ、重量平均分子量(Mw)=6600、 平均分子量(Mn)=2800、分子量分布(Mw/Mn)=2.36で った。

《比較例6》[炭酸カルシウム用分散剤である( メタ)アクリル酸系共重合体(C-6)の製造]
(1) 実施例1の(1)において、5つ口フラスコに 初に加えるイソプロパノールの量を239.0gに 、脱イオン水の量を88.0gにし、単量体混合水 溶液をアクリル酸272.1gとポリエチレングリコ ールモノアクリレート(ポリエチレンオキサ ドの付加モル数n=9、末端水酸基)63.8gと脱イ ン水84.0gからなる単量体混合水溶液(合計419.9 g)に変えて、実施例1の(1)と同じ重合操作を行 った。
(2) 次いで、実施例1の(2)および(3)と同じ操作 を行って、固形分濃度[(メタ)アクリル酸系共 重合体含有量]が35%の水溶液を調製した。反 終了後、反応液の500mgを採取してガスクロマ トグラフィー分析を行ったところ、未反応の アクリル酸およびポリエチレングリコールモ ノアクリレートは検出されなかった。
(3) 上記(2)で得られた固形分濃度[(メタ)アク ル酸系共重合体含有量]が35%の水溶液を用い て、水溶液中に含まれている(メタ)アクリル 系共重合体(以下「(メタ)アクリル酸系共重 体(C-6)」ということがある)の重量平均分子 (Mw)および数平均分子量(Mn)を上記[1]の方法 測定したところ、重量平均分子量(Mw)=6100、 平均分子量(Mn)=2700、分子量分布(Mw/Mn)=2.26で った。

《比較例7》[炭酸カルシウム用分散剤である( メタ)アクリル酸系共重合体(C-7)の製造]
(1) 実施例1の(1)において、5つ口フラスコに 初に加えるイソプロパノールの量を143.4gに え、脱イオン水の量を88.0gに変え、単量体混 合水溶液をアクリル酸299.6gとポリエチレング リコールモノアクリレート(ポリエチレンオ サイドの付加モル数n=4.5、末端水酸基)36.3gと 脱イオン水84.0gからなる単量体混合水溶液(合 計419.9g)に変えて、実施例1の(1)と同じ重合操 を行った。反応終了後、反応液の500mgを採 してガスクロマトグラフィー分析を行った ころ、未反応のアクリル酸およびポリエチ ングリコールモノアクリレートは検出され かった。
(2) 次いで、実施例1の(2)および(3)と同じ操作 を行って、固形分濃度[(メタ)アクリル酸系共 重合体含有量]が35%の水溶液を調製した。
(3) 上記(2)で得られた固形分濃度[(メタ)アク ル酸系共重合体含有量]が35%の水溶液を用い て、水溶液中に含まれている(メタ)アクリル 系共重合体(以下「(メタ)アクリル酸系共重 体(C-7)」ということがある)の重量平均分子 (Mw)および数平均分子量(Mn)を上記[1]の方法 測定したところ、重量平均分子量(Mw)=6500、 平均分子量(Mn)=2700、分子量分布(Mw/Mn)=2.41で った。

《試験例2》[(メタ)アクリル酸系共重合体(C-1) ~(C-7)の性能評価]
 比較例1~7で得られた固形分濃度[(メタ)アク ル酸系共重合体含有量]が35%の水溶液を用い て、上記[2]の(a)に記載した方法で重質炭酸カ ルシウムの湿式粉砕処理を行った。
 そして、湿式粉砕処理中の重質炭酸カルシ ムスラリーの流動性を上記[2]の(b)の方法で 価すると共に、湿式粉砕処理の終了直後の 熱(重質炭酸カルシウムスラリーの温度)を 記[2]の(c)の方法で調べた。
 また、当該湿式粉砕処理により得られた重 炭酸カルシウムスラリーについて、当該ス リーに含まれる重質炭酸カルシウム粒子の 均粒径を上記[2]の(d)の方法で測定し、当該 ラリーの濾過性を上記[2]の(e)の方法で評価 、更に当該スラリーの経時安定性を上記[2] (f)の方法で評価した。
 それらの結果を、下記の表2に示す。

 上記の表1の結果にみるように、実施例1~8の 炭酸カルシウム用分散剤は、上記した要件(i) ~(iii)を備える(メタ)アクリル酸系共重合体(A-1 )~(A-8)よりなっていることによって、炭酸カ シウムの分散能に優れている。
 具体的には、要件(i)~(iii)を備える(メタ)ア リル酸系共重合体(A-1)~(A-8)よりなる炭酸カル シウム用分散剤を添加して重質炭酸カルシウ ムを湿式粉砕処理した実施例1~8では、当該( タ)アクリル酸系共重合体(A-1)~(A-8)の優れた 散安定化効果によって、重質炭酸カルシウ の湿式粉砕処理時に、重質炭酸カルシウム ラリーの流動性を向上させて撹拌翼への付 を防止しながら、粉砕媒体として用いたア ミナビーズと重質炭酸カルシウムとの間の 度の摩擦を防ぎ、それによって湿式粉砕時 発熱を抑制しながら重質炭酸カルシウムを 微細な粒子状に良好なエネルギー効率で湿 粉砕することができる。
 しかも、要件(i)~(iii)を備える(メタ)アクリ 酸系共重合体(A-1)~(A-8)よりなる炭酸カルシウ ム用分散剤を用いて湿式粉砕処理して得られ る実施例1~8の重質炭酸カルシウムスラリーは 、濾過性能に優れており、その上経時的な増 粘が少なく、経時安定性に優れている。

 それに対して、比較例1の(メタ)アクリル酸 共重合体(C-1)は、数平均分子量が6000であっ 要件(iii)を備えていないことにより、当該 較例1の(メタ)アクリル酸系共重合体(C-1)を炭 酸カルシウム用分散剤として用いて重質炭酸 カルシウムの湿式粉砕処理を行ったときに、 重質炭酸カルシウムスラリーの温度上昇が実 施例1~8に比べて高く、湿式粉砕処理時に摩擦 が大きくエネルギー効率が悪い。しかも、( タ)アクリル酸系共重合体(C-1)を分散剤とし 用いて湿式粉砕処理して得られた重質炭酸 ルシウムスラリーは、経時的な増粘が著し 、経時安定性に大きく劣っている。
 また、比較例2の(メタ)アクリル酸系共重合 (C-2)は、(メタ)アクリル酸エステル(I)におけ るプロピレンオキサイドの付加モル数nが12で あって、要件(ii)を備えていないことにより 当該比較例2の(メタ)アクリル酸系共重合体(C -2)を炭酸カルシウム用分散剤として用いて重 質炭酸カルシウムの湿式粉砕処理を行ったと きに、湿式粉砕処理後の重質炭酸カルシウム スラリー中の重質炭酸カルシウムの粒径が実 施例1~8に比べて大きい。しかも、(メタ)アク ル酸系共重合体(C-2)を分散剤として用いて 式粉砕処理して得られた重質炭酸カルシウ スラリーは、経時的な増粘が大きく、保存 定性に劣っている。

 また、比較例3の(メタ)アクリル酸系共重合 (C-3)は、本発明で規定する上記したXa/Xbの値 が21.6であって、要件(ii)を備えていないこと より、当該比較例3の(メタ)アクリル酸系共 合体(C-3)を炭酸カルシウム用分散剤として いて重質炭酸カルシウムの湿式粉砕処理を ったときに、重質炭酸カルシウムスラリー 温度上昇が実施例1~8に比べてかなり高く、 式粉砕処理時に摩擦が大きくエネルギー効 が悪い。しかも、(メタ)アクリル酸系共重合 体(C-3)を分散剤として用いて湿式粉砕処理し 得られた重質炭酸カルシウムスラリーは、 時的な増粘が著しく、保存安定性に大きく っている。
 さらに、比較例4の(メタ)アクリル酸系共重 体(C-4)は、本発明で規定する上記したXa/Xbの 値が2.1であって、要件(ii)を備えていないこ により、当該比較例4の(メタ)アクリル酸系 重合体(C-4)は、水酸化ナトリウム中和しても 水溶性にならず、炭酸カルシウム用分散剤と しては使用できない。

 また、比較例5~7の(メタ)アクリル酸系共 合体(C-5)~(C-7)は、(メタ)アクリル酸(塩)と共 合した(メタ)アクリル酸エステルが、ポリエ チレングリコールの(メタ)アクリル酸エステ であって、ポリプロピレングリコールの(メ タ)アクリル酸エステルではなく、上記の要 (i)を備えていないことにより、当該比較例5~ 7の(メタ)アクリル酸系共重合体(C-5)~(C-7)を炭 カルシウム用分散剤として用いて重質炭酸 ルシウムの湿式粉砕処理を行ったときに、 質炭酸カルシウムスラリーの流動性に劣っ いて、撹拌翼に付着し、しかも重質炭酸カ シウムスラリーの温度上昇が実施例1~8に比 てかなり高く、湿式粉砕処理時に摩擦が大 くエネルギー効率が悪い。その上、(メタ) クリル酸系共重合体(C-5)~(C-7)を分散剤として 用いて湿式粉砕処理して得られた重質炭酸カ ルシウムスラリーは、濾過性に劣り、取り扱 い性が不良である。

《製造例1》[(メタ)アクリル酸系重合体(B-1)の 製造」
(1) 5つ口の2Lのセパラブルフラスコに、次亜 ン酸ナトリウム1水和物3.0gおよび脱イオン 275gを入れた。セパラブルフラスコの内容物 260rpmの速度で撹拌しながら、内温を80℃ま 昇温させた。内温が安定したら、内温を80℃ に保ったまま過硫酸ナトリウム0.5gおよび脱 オン水2.0gの混合物を一括添加し、その1分後 から、1)アクリル酸500gと脱イオン水125.0gを混 合した単量体水溶液、2)過硫酸アンモニウム4 .5gおよび脱イオン水18.0gを混合した開始剤水 液および3)次亜リン酸ナトリウム1水和物25.0 gと脱イオン水100gを混合した連鎖移動剤水溶 の3種類の水溶液のそれぞれを、同時に、各 々4時間かけてフラスコに連続的に供給した
(2) 前記1)~3)の水溶液の連続供給が終了した 、80℃に30分間維持して熟成を行い、次いで 温を80℃まで冷却した。
(3) 次いで、フラスコを氷水で冷却しpHを測 しながら、48%水酸化ナトリウム水溶液を用 て、液のpHが7.5となるまで中和した。155℃で 1分間加熱して得られた重合体水溶液中の残 (重合体の濃度)を測定し、固形分濃度が43%と なるように脱イオン水を添加して、(メタ)ア リル酸系重合体(B-1)(ポリアクリル酸ナトリ ム)の43%水溶液を得た。
(4) 上記(3)で得られた(メタ)アクリル酸系重 体(B-1)水溶液を用いて、当該水溶液に含まれ る(メタ)アクリル酸系重合体(B-1)の重量平均 子量Mwおよび数平均分子量Mnを上記した方法 測定したところ、重量平均分子量(Mw)=6800、 平均分子量(Mn)=2900、分子量分布(Mw/Mn)=2.34で った。

《製造例2》[(メタ)アクリル酸系重合体(B-2)の 製造」
(1) セパラブルフラスコに最初に仕込む次亜 ン酸ナトリウム1水和物の量を2.25gおよび脱 オン水の量を206.3gに変え、且つ連続的に供 する連鎖移動剤水溶液として次亜リン酸ナ リウム1水和物18.8gと脱イオン水75gを混合し 連鎖移動剤水溶液を用いた以外は、製造例1 の(1)~(3)と同様の操作を行って、固形分濃度 43%の(メタ)アクリル酸系重合体(B-2)(ポリアク リル酸ナトリウム)の水溶液を得た。
(2) 上記(1)で得られた(メタ)アクリル酸系重 体(B-2)水溶液を用いて、当該水溶液に含まれ る(メタ)アクリル酸系重合体(B-2)の重量平均 子量Mwおよび数平均分子量Mnを上記した方法 測定したところ、重量平均分子量(Mw)=8800、 平均分子量(Mn)=3500、分子量分布(Mw/Mn)=2.50で った。

《実施例9~14》
(1) 実施例1~3で得られた(メタ)アクリル酸系 重合体(A-1)~(A-3)の水溶液[(メタ)アクリル酸系 共重合体)の濃度=35%]のいずれかと、製造例1 たは2で得られた(メタ)アクリル酸系重合体(B -1)または(B-2)の水溶液[(メタ)アクリル酸系重 体の濃度=43%]を、(メタ)アクリル酸系共重合 体(A)[(メタ)アクリル酸系共重合体(A-1)~(A-3)の ずれか]:(メタ)アクリル酸系重合体(B)[(メタ) アクリル酸系重合体(B-1)または(B-2)]の含有割 が下記の表1に示す質量比になるようにして 混合して、炭酸カルシウム用分散剤を調製し た。
(2) 上記(1)で調製したそれぞれの炭酸カルシ ム用分散剤を用いて、上記[2-a]に記載した 法で重質炭酸カルシウムの湿式粉砕処理を った。
 そして、湿式粉砕処理中の重質炭酸カルシ ムスラリーの流動性を上記[2-b]の方法で評 すると共に、湿式粉砕処理の終了直後の発 (重質炭酸カルシウムスラリーの温度)を上記 [2-c]の方法で調べた。
 また、当該湿式粉砕処理により得られた重 炭酸カルシウムスラリーについて、当該ス リーに含まれる重質炭酸カルシウム粒子の 均粒径を上記[2-d]の方法で測定し、当該ス リーの濾過性を上記[2-e]の方法で評価し、更 に当該スラリーの経時安定性を上記[2-f]の方 で評価した。
 それらの結果を、下記の表3に示す。

《実施例15~19》
(1) 実施例4~8で得られた(メタ)アクリル酸系 重合体(A-4)~(A-8)の水溶液[(メタ)アクリル酸系 共重合体)の濃度=35%]のいずれかと、製造例1 得られた(メタ)アクリル酸系重合体(B-1)の水 液[(メタ)アクリル酸系重合体の濃度=43%]を (メタ)アクリル酸系共重合体(A)[(メタ)アクリ ル酸系共重合体(A-4)~(A-8)のいずれか]:(メタ)ア クリル酸系重合体(B)[(メタ)アクリル酸系重合 体(B-1)]の含有割合が下記の表2に示す質量比 なるようにして混合して炭酸カルシウム用 散剤を調製した。
(2) 上記(1)で得られたそれぞれの炭酸カルシ ム用分散剤を用いて、上記[2-a]に記載した 法で重質炭酸カルシウムの湿式粉砕処理を った。
 そして、湿式粉砕処理中の重質炭酸カルシ ムスラリーの流動性を上記[2-b]の方法で評 すると共に、湿式粉砕処理の終了直後の発 (重質炭酸カルシウムスラリーの温度)を上記 [2-c]の方法で調べた。
 また、当該湿式粉砕処理により得られた重 炭酸カルシウムスラリーについて、当該ス リーに含まれる重質炭酸カルシウム粒子の 均粒径を上記[2-d]の方法で測定し、当該ス リーの濾過性を上記[2-e]の方法で評価し、更 に当該スラリーの経時安定性を上記[2-f]の方 で評価した。
 それらの結果を、下記の表4に示す。

《比較例8~14》
(1) 製造例1で得られた(メタ)アクリル酸系重 体(B-1)の水溶液[(メタ)アクリル酸系重合体 濃度=43%]を単独で炭酸カルシウム用分散剤と して用いるか(比較例8)、或いは実施例2また 比較例3~7で得られた(メタ)アクリル酸系共重 合体(A-2)または(メタ)アクリル酸系共重合体(C -3)~(C-7)の水溶液[(メタ)アクリル酸系共重合体 )の濃度=35%]のいずれかと、製造例1で得られ (メタ)アクリル酸系重合体(B-1)の水溶液[(メ )アクリル酸系重合体の濃度=43%]を、(メタ)ア クリル酸系共重合体(A)[(メタ)アクリル酸系共 重合体(A-2)または(C-3)~(C-7)のいずれか]:(メタ) クリル酸系重合体(B)[(メタ)アクリル酸系重 体(B-1)]の含有割合が下記の表5に示す質量比 になるようにして混合して炭酸カルシウム用 分散剤を調製した(比較例9~14)。
(2) 上記(1)で得られたそれぞれの炭酸カルシ ム用分散剤を用いて、上記[2-a]に記載した 法で重質炭酸カルシウムの湿式粉砕処理を った。
 そして、湿式粉砕処理中の重質炭酸カルシ ムスラリーの流動性を上記[2-b]の方法で評 すると共に、湿式粉砕処理の終了直後の発 (重質炭酸カルシウムスラリーの温度)を上記 [2-c]の方法で調べた。
 また、当該湿式粉砕処理により得られた重 炭酸カルシウムスラリーについて、当該ス リーに含まれる重質炭酸カルシウム粒子の 均粒径を上記[2-d]の方法で測定し、当該ス リーの濾過性を上記[2-e]の方法で評価し、更 に当該スラリーの経時安定性を上記[2-f]の方 で評価した。
 それらの結果を、下記の表5に示す。

 上記の表3および4の結果にみるように、実 例9~19では、要件(i)~(iii)を備える(メタ)アク ル酸系共重合体(A-1)~(A-8)のいずれかと、(メ )アクリル酸系重合体(B-1)または(B-2)を、本発 明で規定する範囲内の質量比で混合して炭酸 カルシウム用分散剤を調製し、その炭酸カル シウム用分散剤を用いて重質炭酸カルシウム の湿式粉砕処理を行ったことによって、その 優れた分散安定化効果によって、重質炭酸カ ルシウムの湿式粉砕処理時に、重質炭酸カル シウムスラリーの流動性を向上させて撹拌翼 への付着を防止しながら、粉砕媒体として用 いたアルミナビーズと重質炭酸カルシウムと の間の過度の摩擦を防ぎ、それによって湿式 粉砕時の発熱を抑制しながら重質炭酸カルシ ウムを、微細な粒子状に良好なエネルギー効 率で湿式粉砕することができる。
 しかも、要件(i)~(iii)を備える(メタ)アクリ 酸系共重合体(A-1)~(A-8)のいずれかと、(メタ) クリル酸系重合体(B-1)または(B-2)を、本発明 で規定する範囲内の質量比で混合してなる実 施例9~19の炭酸カルシウム用分散剤を用いて 式粉砕処理して得られる実施例9~19の重質炭 カルシウムスラリーは、濾過性能に優れて り、その上経時的な増粘が少なく、経時安 性に優れている。

 それに対して、比較例8では、(メタ)アクリ 酸系重合体(B-1)を単独で用いて、重質炭酸 ルシウムの湿式粉砕処理を行ったために、 砕開始後30分後に凝集が激しくなって撹拌で きなくなり、湿式粉砕処理を中断せざるを得 なかった。
 また、比較例9では、(メタ)アクリル酸系共 合体(A-2)と(メタ)アクリル酸系重合体(B-1)を 用したが、両者の質量比が1:9であって、(メ タ)アクリル酸系共重合体(A-2)の割合が少なす ぎたため、重質炭酸カルシウムスラリーの温 度上昇が実施例9~19に比べて高く、湿式粉砕 理時に摩擦が大きくエネルギー効率が悪い しかも、比較例2では湿式粉砕処理時のスラ ーの流動性が悪く粉砕処理を円滑に行うこ ができず、粉砕処理後のスラリーの濾過性 悪く、しかも経時的な増粘が大きい。
 また、比較例10では、(メタ)アクリル酸系共 重合体として、本発明で規定する上記したXa/ Xbの値が21.6であって、要件(ii)を備えていな 、比較例3で得られた(メタ)アクリル酸系共 合体(C-3)を用いたことにより、重質炭酸カル シウムの湿式粉砕処理を行ったときに、重質 炭酸カルシウムスラリーの温度上昇が実施例 9~19に比べて高く、湿式粉砕処理時に摩擦が きくエネルギー効率が悪い。湿式粉砕処理 て得られた重質炭酸カルシウムスラリーは 実施例9~19に比べて経時的な増粘が大きい。

 比較例11では、(メタ)アクリル酸系共重合体 として、本発明で規定する上記したXa/Xbの値 2.1であって、要件(ii)を備えておらず、水酸 化ナトリウム水溶液を加えて中和処理しても 水溶性にならない、比較例4で得られた(メタ) アクリル酸系共重合体(C-4)を用いたために、 酸カルシウム用分散剤が得られなかった。
 また、比較例12~14では、(メタ)アクリル酸系 共重合体として、ポリプロピレングリコール の(メタ)アクリル酸エステルではなくて、ポ エチレングリコールの(メタ)アクリル酸エ テルを用いて製造した比較例5~7で得られた 上記の要件(i)を備えていない(メタ)アクリル 酸系共重合体(C-5)~(C-7)を用いたことによって 比較例12~14の炭酸カルシウム用分散剤とし 用いて重質炭酸カルシウムの湿式粉砕処理 行ったときに、重質炭酸カルシウムスラリ の流動性に劣っていて、撹拌翼に付着し、 かも重質炭酸カルシウムスラリーの温度上 が実施例9~19に比べて大幅に高く、湿式粉砕 理時に摩擦が大きくエネルギー効率が悪い その上、比較例12~14の炭酸カルシウム用分 剤を用いて湿式粉砕処理して得られた重質 酸カルシウムスラリーは、濾過性に劣り、 り扱い性が不良であり、しかも経時的な増 が大きい。

 本発明の炭酸カルシウム用分散剤は、少量 使用でも、炭酸カルシウムの分散安定化効 に優れていて、炭酸カルシウムを微粒子状 、経時的な増粘や凝集を生ずることなく、 期にわたって液体媒体中に安定に分散させ ことができる。
 本発明の炭酸カルシウム用分散剤を用いて 酸カルシウム分散物を調製すると、炭酸カ シウムの濃度が高くても、また炭酸カルシ ムの粒径が極めて小さくても、流動性や濾 性などのハンドリング性に優れ、しかも粘 が低くて取り扱い性に優れ、その上経時的 増粘や凝集が生じず、低い粘度を長期にわ って維持することができ、経時安定性に優 る炭酸カルシウム分散物を円滑に得ること できる。
 特に、本発明の炭酸カルシウム用分散剤を いて重質炭酸カルシウムの湿式粉砕処理を うと、重質炭酸カルシウム分散物(重質炭酸 カルシウムスラリーなど)の流動性が向上し 、撹拌翼への固形物の付着などを防止しな ら、更には湿式粉砕時の発熱を抑制しなが 、低減されたエネルギー消費量で、分散安 性、経時安定性に優れる炭酸カルシウム水 スラリーを円滑に得ることができる。
 さらに、本発明は、(メタ)アクリル酸系共 合体(A)と共に、低コストの(メタ)アクリル酸 系重合体(B)を併用することも可能であるので 、上記した優れた特性を有する炭酸カルシウ ム用分散剤を、経済的な価格で提供すること ができる。
 上記の優れた特性を活かして、本発明の炭 カルシウム用分散剤は、製紙工業、プラス ック、ゴム、塗料、インキ、接着剤、シー ントなどで用いられる炭酸カルシウムの分 剤として有効に使用することができる。