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Title:
DISPERSION OF ELECTROCONDUCTIVE COMPOSITION, ELECTROCONDUCTIVE COMPOSITION, AND SOLID ELECTROLYTIC CAPACITOR
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/131012
Kind Code:
A1
Abstract:
Disclosed is an electroconductive composition that has high electroconductivity and excellent heat resistance and is suitable for use as a solid electrolyte in a solid electrolytic capacitor. Also disclosed is a solid electrolytic capacitor that uses the electroconductive composition as a solid electrolyte and has low ESR and high reliability under high temperature conditions. A dispersion of the electroconductive composition comprises an electroconductive polymer produced by oxidation polymerization of thiophene or a derivative of thiophene in water or an aqueous liquid formed of a mixture composed of water and a water-miscible solvent in the presence of polystyrenesulfonic acid and at least one material selected from phenolsulfonic acid novolak resins comprising repeating units represented by general formula (I) [wherein R represents hydrogen or a methyl group] and sulfonated polyesters; and a high-boiling solvent. The solid electrolytic capacitor comprises the electroconductive composition as a solid electrolyte.

Inventors:
SUGIHARA RYOUSUKE (JP)
HIROTA KEI (JP)
Application Number:
PCT/JP2009/057242
Publication Date:
October 29, 2009
Filing Date:
April 09, 2009
Export Citation:
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Assignee:
TAYCA CORP (JP)
SUGIHARA RYOUSUKE (JP)
HIROTA KEI (JP)
International Classes:
C08L65/00; B32B27/00; B32B27/42; C08G61/12; C08K5/36; H01B1/12; H01B1/20; H01G9/028
Domestic Patent References:
WO2007091656A12007-08-16
WO2005014692A12005-02-17
WO2004106404A12004-12-09
WO2008132955A12008-11-06
Foreign References:
JP2006028214A2006-02-02
JP2007529608A2007-10-25
JP2009001624A2009-01-08
JP2008171761A2008-07-24
Other References:
See also references of EP 2270092A4
Attorney, Agent or Firm:
MIWA, TETSUO (JP)
Tetsuo Miwa (JP)
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Claims:
 ポリスチレンスルホン酸と、下記の一般式(I)で表される繰り返し単位を有するフェノールスルホン酸ノボラック樹脂およびスルホン化ポリエステルよりなる群から選ばれる少なくとも1種との存在下で、チオフェンまたはその誘導体を水中または水と水混和性溶剤との混合物からなる水性液中で、酸化重合することにより得られた導電性高分子と、高沸点溶剤とを含有することを特徴とする導電性組成物の分散液。
(式中、Rは水素またはメチル基である)
 ポリスチレンスルホン酸の存在下で、チオフェンまたはその誘導体を水中または水と水混和性溶剤との混合物からなる水性液中で酸化重合することにより得られた導電性高分子と、下記の一般式(I)で表される繰り返し単位を有するフェノールスルホン酸ノボラック樹脂およびスルホン化ポリエステルよりなる群から選ばれる少なくとも1種の存在下で、チオフェンまたはその誘導体を水中または水と水混和性溶剤との混合物からなる水性液中で酸化重合することにより得られた導電性高分子と、高沸点溶剤とを含有することを特徴とする導電性組成物の分散液。
(式中、Rは水素またはメチル基である)
 ポリスチレンスルホン酸と、一般式(I)で表される繰り返し単位を有するフェノールスルホン酸ノボラック樹脂およびスルホン化ポリエステルよりなる群から選ばれる少なくとも1種との比率が、質量比で、1:0.05~1:10であることを特徴とする請求項1または請求項2記載の導電性組成物の分散液。
 チオフェンの誘導体が、3,4-エチレンジオキシチオフェンであることを特徴とする請求項1~3のいずかに記載の導電性組成物の分散液。
 高沸点溶剤の沸点が、150℃以上であることを特徴とする請求項1~4のいずれかに記載の導電性組成物の分散液
 高沸点溶剤が、ジメチルスルホキシドであることを特徴とする請求項1~5のいずれかに記載の導電性組成物の分散液。
 さらにバインダを含むことを特徴とする請求項1~6に記載の導電性組成物の分散液。
 請求項1~7のいずれかに記載の導電性組成物の分散液を乾燥して得られたことを特徴とする導電性組成物。
 請求項8記載の導電性組成物を固体電解質として用いたことを特徴とする固体電解コンデンサ。
 タンタル、ニオブ、アルミニウムなどの弁金属の多孔体からなる陽極と、前記弁金属の酸化皮膜からなる誘電体層と、固体電解質層を有してなる固体電解コンデンサであって、前記固体電解質層が、前記誘電体層上に非鉄塩系酸化剤兼ドーパントの存在下でチオフェンまたはその誘導体を化学酸化重合することにより形成した導電性高分子層と、その上に形成した請求項8記載の導電性組成物層とからなることを特徴とする固体電解コンデンサ。
Description:
導電性組成物の分散液、導電性 成物および固体電解コンデンサ

 本発明は、導電性組成物の分散液、特に 体電解コンデンサの固体電解質として用い のに適した導電性組成物の分散液、前記導 性組成物の分散液を乾燥して得られた導電 組成物および前記導電性組成物を固体電解 として用いた固体電解コンデンサに関する

 導電性高分子は、その高い導電性により タンタル固体電解コンデンサ、ニオブ固体 解コンデンサ、アルミニウム固体電解コン ンサなどの固体電解コンデンサの固体電解 として用いられている。

 そして、この用途における導電性高分子 しては、例えば、チオフェンまたはその誘 体などの重合性モノマーを酸化重合するこ によって合成したものが用いられている。

 上記チオフェンまたはその誘導体などの 合性モノマーの酸化重合、特に化学酸化重 を行う際のドーパントとしては、主として 機スルホン酸が用いられ、その中でも、芳 族スルホン酸が適しているといわれており 酸化剤としては遷移金属が用いられ、その でも、第二鉄が適しているといわれていて 通常、芳香族スルホン酸の第二鉄塩がチオ ェンまたはその誘導体などの重合性モノマ の化学酸化重合にあたっての酸化剤兼ドー ント剤として用いられている。

 そして、その芳香族スルホン酸の第二鉄 の中でも、トルエンスルホン酸第二鉄塩や トキシベンゼンスルホン酸第二鉄塩などが に有用であるとされていて、それらを用い 導電性高分子の合成は、それらの酸化剤兼 ーパントをチオフェンまたはその誘導体な の重合性モノマーと混合することにより行 ことができ、簡単で、工業化に向いている 報告されている(特許文献1~2)。

 しかしながら、トルエンスルホン酸第二 塩を酸化剤兼ドーパントとして用いて得ら た導電性高分子は、初期抵抗値や耐熱性に いて、充分に満足できる特性を有さず、ま 、メトキシベンゼンスルホン酸第二鉄塩を 化剤兼ドーパントとして用いて得られた導 性高分子は、トルエンスルホン酸第二鉄塩 用いた導電性高分子に比べれば、初期抵抗 が低く、耐熱性も優れているが、それでも 充分に満足できる特性は得られなかった。

 これは、トルエンスルホン酸第二鉄塩や トキシベンゼンスルホン酸第二鉄塩が、固 であるため、一般にアルコールに溶解され 状態で用いられるが、これらの溶液は、保 している間に沈殿が生じるからである。

 すなわち、沈殿が生じてしまったトルエ スルホン酸第二鉄塩やメトキシベンゼンス ホン酸第二鉄塩のアルコール溶液を用いる 、均一性が低下し、得られた導電性高分子 用いた固体電解コンデンサのESR(等価直列抵 抗)が増加したり、高温条件下における信頼 が低下するためである。

 また、得られた導電性高分子を、固体電 コンデンサの固体電解質として用いる場合 化学酸化重合法で合成した導電性高分子は 通常、溶剤に対する溶解性がないため、タ タル、ニオブ、アルミニウムなどの弁金属 多孔体からなる陽極と、前記弁金属の酸化 膜からなる誘電体層とを有する素子の上に 接導電性高分子を形成する必要がある。

 しかしながら、このように素子上に直接 電性高分子を形成することは、条件的に非 に難しい作業を強いられることになり、再 性が乏しく、工程管理が非常に難しくなる いう問題があった。

 このような状況をふまえ、可溶化導電性 分子が積極的に検討されている(特許文献3) この特許文献3によれば、ポリスチレンスル ホン酸、過硫酸アンモニウム、鉄塩、エチレ ンジオキシチオフェンなどを混合して、反応 させれば、導電性高分子の分散液が得られる と報告されている。しかしながら、それによ って得られる導電性高分子は、固体電解コン デンサの固体電解質として用いるには、導電 率のさらなる向上が必要と考えられる。

 また、ポリアニリンにフェノールスルホ 酸ノボラック樹脂をドーピングさせた導電 高分子が報告されている(特許文献4~5)。し しながら、それによって得られる導電性高 子も、導電性が充分に高いとはいえず、固 電解コンデンサの固体電解質として用いる は、さらなる導電性の向上が必要である。

 また、ポリアニリンに溶剤可溶型ポリエ テルスルホン酸をドーピングさせた導電性 分子が報告されている(特許文献6)。しかし がら、それによって得られる導電性高分子 、導電性が充分に高いとはいえず、固体電 コンデンサの固体電解質として用いるには さらなる導電性の向上が必要である。

特開2003-160647号公報

特開2004-265927号公報

特許第2636968号公報

特許第3906071号公報

特開2007-277569号公報

特開平8-41321号公報

 本発明は、上記のような事情に鑑み、固 電解コンデンサの固体電解質として用いる に適した導電性組成物を提供し、かつ、そ 導電性組成物の有する優れた特性を生かし 、ESRが小さく、かつ高温条件下における信 性が高い固体電解コンデンサを提供するこ を目的とする。

 本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭 研究を重ねた結果、ポリスチレンスルホン と、下記の一般式(I)で表される繰り返し単 を有するフェノールスルホン酸ノボラック 脂およびスルホン化ポリエステルよりなる から選ばれる少なくとも1種との存在下で、 チオフェンまたはその誘導体を、水中または 水と水混和性溶剤との混合物からなる水性液 中で酸化重合することにより得られた導電性 高分子と、高沸点溶剤を含有する導電性組成 物の分散液を乾燥して得られる導電性組成物 が、前記目的を達成するのに適していること を見出し、それに基づいて本発明を完成する にいたった。

(式中、Rは水素またはメチル基である)

 すなわち、本発明は、ポリスチレンスル ン酸と、一般式(I)で表される繰り返し単位 有するフェノールスルホン酸ノボラック樹 およびスルホン化ポリエステルよりなる群 ら選ばれる少なくとも1種との存在下で、チ オフェンまたはその誘導体を水中または水と 水混和性溶剤との混合物からなる水性液中で 酸化重合することによって得られた導電性高 分子と、高沸点溶剤とを含有することを特徴 とする導電性組成物の分散液に関する。

 また、本発明は、ポリスチレンスルホン の存在下で、チオフェンまたはその誘導体 水中または水と水混和性溶剤との混合液か なる水性液中で酸化重合することにより得 れた導電性高分子と、一般式(I)で表される り返し単位を有するフェノールスルホン酸 ボラック樹脂およびスルホン化ポリエステ よりなる群から選ばれる少なくとも1種との 存在下で、チオフェンまたはその誘導体を水 中または水と水混和性溶剤との混合物からな る水性液中で酸化重合することにより得られ た導電性高分子と、高沸点溶剤とを含有する ことを特徴とする導電性組成物の分散液に関 する。

 さらに、本発明は、上記導電性組成物の 散液を乾燥して得られる導電性組成物およ 上記導電性組成物を固体電解質として用い 固体電解コンデンサに関する。

 本発明の導電性組成物は、導電性が高く かつ耐熱性が優れ、固体電解コンデンサの 体電解質として用いるのに適していて、そ を固体電解コンデンサの固体電解質として いることにより、ESRが小さく、かつ高温条 下における信頼性が高い固体電解コンデン を提供することができる。

 本発明においては、導電性高分子の合成 あたって、ポリスチレンスルホン酸と、一 式(I)で表される繰り返し単位を有するフェ ールスルホン酸ノボラック樹脂およびスル ン化ポリエステルよりなる群から選ばれる なくとも1種とをドーパントとして用いるが 、これらは、導電性高分子の合成時、優れた 分散剤として機能し、酸化剤や重合性モノマ ーとしてのチオフェンまたはその誘導体など を水中または水性液中を均一に分散させ、か つ合成されるポリマー中にドーパントとして 取り込まれ、得られる導電性高分子を固体電 解コンデンサの固体電解質として用いるのに 適した高い導電性を有するものにさせる。そ して、上記ドーパントが、優れた分散剤とし て機能することが、得られる導電性高分子を 固体電解コンデンサの固体電解質として用い るのに適した優れた耐熱性を持たせるように し、また、透明性も高くするものと考えられ る。

 上記ポリスチレンスルホン酸としては、 の数平均分子量が10,000~1,000,000のものが好ま しい。

 すなわち、上記ポリスチレンスルホン酸 数平均分子量が10,000より小さい場合は、得 れる導電性高分子の導電性が低くなり、ま 、透明性も悪くなるおそれがある。また、 記ポリスチレンスルホン酸の数平均分子量 1,000,000より大きい場合は、導電性組成物の 散液の粘度が高くなり、固体電解コンデン の作製にあたって、使用しにくくなるおそ がある。そして、上記ポリスチレンスルホ 酸としては、その数平均分子量が上記範囲 で、20,000以上のものが好ましく、40,000以上 ものがより好ましく、また、800,000以下のも のが好ましく、300,000以下のものがより好ま い。

 また、上記一般式(I)で表される繰り返し 位を有するフェノールスルホン酸ノボラッ 樹脂としては、その数平均分子量が5,000~500, 000のものが好ましい。

 すなわち、上記フェノールスルホン酸ノ ラック樹脂の数平均分子量が5,000より小さ 場合は、得られる導電性高分子の導電性が くなり、また、透明性も悪くなるおそれが る。また、上記フェノールスルホン酸ノボ ック樹脂の数平均分子量が500,000より大きい 合は、導電性組成物の分散液の粘度が高く り、固体電解コンデンサの作製にあたって 用しにくくなるおそれがある。そして、こ フェノールスルホン酸ノボラック樹脂とし は、その数平均分子量が上記範囲内で、10,0 00以上のものが好ましく、また、400,000以下の ものが好ましく、80,000以下のものがより好ま しい。

 また、上記スルホン化ポリエステルは、 ルホイソフタル酸、スルホテレフタル酸な のジカルボキシベンゼンスルホン酸もしく スルホイソフタル酸エステル、スルホテレ タル酸エステルなどのジカルボキシベンゼ スルホン酸ジエステルと、アルキレングリ ールとの混合物を酸化アンチモンや酸化亜 などの触媒の存在下で縮重合させたもの、 たは上記ジカルボキシベンゼンスルホン酸 しくはジカルボキシベンゼンスルホン酸ジ ステルと、アルキレングリコールと、テレ タル酸もしくはテレフタル酸ジメチルとの 合物を酸化アンチモンや酸化亜鉛などの触 の存在下で縮重合させたものであり、この ルホン化ポリエステルとしては、その数平 分子量が5,000~300,000のものが好ましい。

 すなわち、スルホン化ポリエステルの数 均分子量が5,000より小さい場合は、得られ 導電性高分子の導電性が低くなり、透明性 悪くなるおそれがある。また、スルホン化 リエステルの数平均分子量が300,000より大き 場合は、導電性組成物の分散液の粘度が高 なり、固体電解コンデンサの作製にあたっ 使用しにくくなるおそれがある。そして、 の水溶性ポリエステルとしては、その数平 分子量が上記範囲内で、10,000以上のものが ましく、20,000以上のものがより好ましく、 た、100,000以下のものが好ましく、80,000以下 のものがより好ましい。

 本発明においては、ドーパントとなるポ スチレンスルホン酸、一般式(I)で表される り返し単位を有するフェノールスルホン酸 ボラック樹脂、スルホン化ポリエステルを 上記ポリスチレンスルホン酸と、上記フェ ールスルホン酸ノボラック樹脂およびスル ン化ポリエステルよりなる群からなる少な とも1種との組み合せで併用するが、このポ リスチレンスルホン酸と、フェノールスルホ ン酸ノボラック樹脂およびスルホン化ポリエ ステルよりなる群からなる少なくとも1種と 混合し、その混合物の存在下でチオフェン たはその誘導体の酸化重合を行ってもよい 、また、ポリスチレンスルホン酸の存在下 チオフェンまたはその誘導体の酸化重合を てポリマー中に取り込ませ、それとは別に 上記フェノールスルホン酸ノボラック樹脂 よびスルホン化ポリエステルよりなる群か なる少なくとも1種の存在下でチオフェンま はその誘導体を酸化重合してポリマー中に り込ませ、それらのポリマーを混合するこ によって、結果的に、ポリスチレンスルホ 酸と、上記フェノールスルホン酸ノボラッ 樹脂およびスルホン化ポリエステルよりな 群から選ばれる少なくとも1種とが併用され ている状態にしてもよい。

 そして、そのポリスチレンスルホン酸と 上記フェノールスルホン酸ノボラック樹脂 よびスルホン化ポリエステルよりなる群か なる少なくとも1種との比率としては、質量 比で、1:0.05~1:10が好ましい。

 すなわち、ポリスチレンスルホン酸に対 る上記フェノールスルホン酸ノボラック樹 およびスルホン化ポリエステルよりなる群 らなる少なくとも1種の比率が上記より小さ い場合は、固体電解コンデンサの固体電解質 として使用したときに、固体電解コンデンサ のESRが大きくなる上に、耐熱性が悪くなるお それがあり、また、ポリスチレンスルホン酸 に対する上記フェノールスルホン酸ノボラッ ク樹脂およびスルホン化ポリエステルよりな る群からなる少なくとも1種の比率が上記よ 大きい場合も、固体電解コンデンサの固体 解質として使用したときに、ESRが大きくな おそれがある。そして、このポリスチレン ルホン酸に対する上記フェノールスルホン ノボラック樹脂およびスルホン化ポリエス ルよりなる群からなる少なくとも1種との比 としては、上記範囲内で、1:0.1以上が好ま く、1:0.3以上がより好ましく、また、1:5以下 が好ましく、1:3以下がより好ましい。

 本発明の分散液には、高沸点溶剤を含有 せているが、このように高沸点溶剤を含有 せるのは、得られる導電性組成物の製膜性 向上させ、それによって、導電性を向上さ 、固体電解コンデンサの固体電解質として いたときに、ESRを小さくさせるためである これは、例えば、固体電解コンデンサの作 にあたって、固体電解コンデンサのコンデ サ素子を導電性組成物の分散液に浸漬し、 り出して乾燥したときに、高沸点溶剤も脱 出ていくが、その高沸点溶剤が脱け出る際 、導電性組成物の厚み方向の層密度を高く せ、それによって、導電性高分子間の面間 が狭くなり、導電性高分子の導電性が高く って、固体電解コンデンサの固体電解質と て用いたときにESRの小さいものにさせるこ ができるようになるものと考えられる。

 上記高沸点溶剤としては、沸点が150℃以 のものが好ましく、そのような高沸点溶剤 具体例としては、例えば、ジメチルスルホ シド(沸点:189℃)、γ-ブチロラクトン(沸点:20 4℃)、スルホラン(沸点:285℃)、N-メチルピロ ドン(沸点:202℃)、ジメチルスルホン(沸点:233 ℃)、エチレングリコール(沸点:198℃)、ジエ レングリコール(沸点:244℃)などが挙げられ が、特にジメチルスルホキシドが好ましい そして、この高沸点溶剤の含有量としては 分散液中の導電性高分子に対して質量基準 5~3,000%(すなわち、導電性高分子100質量部に して高沸点溶剤が5~3,000質量部)が好ましく、 特に20~700%が好ましい。高沸点溶剤の含有量 上記より少ない場合は、導電性組成物の製 性が低下し、その結果、導電性組成物の導 性を向上させる作用が低下するおそれがあ 、高沸点溶剤の含有量が上記より多い場合 、分散液の乾燥に時間を要するようになり また、かえって、導電性の低下を引き起こ おそれがある。

 なお、分散液中における導電性高分子の 有量は、コンデンサ素子を導電性組成物の 散液に浸漬し、取り出す時などの作業性に 響を与えるので、通常1~10質量%程度が好ま い。つまり、導電性高分子の含有量が上記 り少ない場合は、乾燥に時間を要するよう なるおそれがあり、また、導電性高分子の 有量が上記より多い場合は、分散液の粘度 高くなって、固体電解コンデンサの作製に たっての作業性が低下するおそれがある。

 導電性高分子と高沸点溶剤を含有する分 液を乾燥して得られる乾燥物は、導電性高 子が主剤となり、高沸点溶剤を若干含んで ると考えられるので、本書では、導電性組 物の分散液を乾燥して得られるものを導電 組成物と表現している。ただし、高沸点溶 も溶剤であるので、さらなる高温で乾燥す ば、ほとんど蒸発してしまう可能性がある 、本発明では、導電性高分子と高沸点溶剤 含有する導電性組成物の分散液を乾燥して られた乾燥物は、たとえ、その中に高沸点 剤をほとんど含んでいないものであっても 導電性組成物と表現することにしている。

 本発明においては、導電性高分子を酸化 合によって合成するための重合性モノマー して、チオフェンまたはその誘導体を用い が、そのチオフェンまたはその誘導体にお るチオフェンの誘導体としては、例えば、3 ,4-エチレンジオキシチオフェン、3-アルキル オフェン、3-アルコキシチオフェン、3-アル キル-4-アルコキシチオフェン、3,4-アルキル オフェン、3,4-アルコキシチオフェンなどが げられ、そのアルキル基やアルコキシ基の 素数は1~16が好ましく、特に1~4が適している が、とりわけ炭素数が2の3,4-エチレンジオキ チオフェンが好ましい。

 ドーパントとなるポリスチレンスルホン 、フェノールスルホン酸ノボラック樹脂、 ルホン化ポリエステルのいずれも、水や水 水混和性溶剤との混合物からなる水性液に して溶解性を有していることから、酸化重 は水中または水性液中で行われる。

 上記水性液を構成する水混和性溶剤とし は、例えば、メタノール、エタノール、プ パノール、アセトン、アセトニトリルなど 挙げられ、これらの水混和性溶剤の水との 合割合としては、水性液全体中の50質量%以 が好ましい。

 導電性高分子を合成するにあたっての酸 重合は、化学酸化重合、電解酸化重合のい れも採用することができる。

 化学酸化重合を行うにあたっての酸化剤 しては、例えば、過硫酸塩が用いられるが その過硫酸塩としては、例えば、過硫酸ア モニウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリ ム、過硫酸カルシウム、過硫酸バリウムな が用いられる。

 化学酸化重合において、ドーパント、重 性モノマー、酸化剤の使用量は、特に限定 れることはないが、例えば、ドーパントと てポリスチレンスルホン酸と一般式(I)で表 れる繰り返し単位を有するフェノールスル ン酸ノボラック樹脂とを用い、重合性モノ ーとして3,4-エチレンジオキシチオフェンを 用い、酸化剤として過硫酸アンモニウムを用 いた場合、それらの使用比率としては、質量 比で、ドーパント:3,4-エチレンジオキシチオ ェン:酸化剤=1:0.1~10:0.1~10が好ましく、特に ドーパント:3,4-エチレンジオキシチオフェン :酸化剤=1:0.2~4:0.2~4が好ましい。化学酸化重合 時の温度としては、5~95℃が好ましく、10~30℃ がより好ましく、また、重合時間としては、 1時間~72時間が好ましく、8時間~24時間がより ましい。

 電解酸化重合は、定電流でも定電圧でも行 得るが、例えば、定電流で電解酸化重合を う場合、電流値としては0.05mA/cm 2 ~10mA/cm 2 が好ましく、0.2mA/cm 2 ~4mA/cm 2 がより好ましく、定電圧で電解酸化重合を行 う場合は、電圧としては0.5V~10Vが好ましく、1 .5V~5Vがより好ましい。電解酸化重合時の温度 としては、5~95℃が好ましく、特に10~30℃が好 ましい。また、重合時間としては、1時間~72 間が好ましく、8時間~24時間がより好ましい なお、電解酸化重合にあたっては、触媒と て硫酸第一鉄または硫酸第二鉄を添加して よい。

 上記のようにして得られる導電性高分子 、重合直後、水中または水性液中に分散し 状態で得られ、酸化剤としての過硫酸塩や 媒として用いた硫酸鉄塩やその分解物など 含んでいる。そこで、その不純物を含んで る導電性高分子の水分散液を超音波ホモジ イザーや遊星ボールミルなどの分散機にか て不純物を分散させた後、カチオン交換樹 で金属成分を除去する。このときの導電性 分子の粒径としては、100μm以下が好ましく 特に10μm以下が好ましい。その後、エタノ ル沈殿法、限外濾過法、陰イオン交換樹脂 どにより、酸化剤や触媒の分解により生成 た硫酸などを除去し、高沸点溶剤を添加す 。

 本発明の導電性組成物は、固体電解コン ンサの固体電解質として用いるのに適して て、アルミニウム固体電解コンデンサをは め、タンタル固体電解コンデンサ、ニオブ 体電解コンデンサなどの固体電解コンデン の固体電解質として好適に用いられ、ESRが さく、かつ高温条件下における信頼性が高 固体電解コンデンサを提供することができ 。

 上記のように、本発明の導電性組成物を 体電解コンデンサの固体電解質として用い 際は、それをそのままでも使用することも きるが、導電性組成物が水中または水性液 に分散した分散液で使用し、その後、乾燥 て得られた導電性組成物を固体電解質とし 使用に供する方が適している。そして、そ 際、導電性組成物とコンデンサ素子との密 性を高めるために、導電性組成物の分散液 バインダ樹脂を添加しておくことが好まし 。

 そのようなバインダ樹脂としては、例え 、ポリウレタン、ポリエステル、アクリル 脂、ポリアミド、ポリイミド、エポキシ樹 、ポリアクリロニトリル樹脂、ポリメタク ロニトリル樹脂、ポリスチレン樹脂、ノボ ック樹脂、シランカップリング剤などが挙 られ、特にポリエステル、ポリウレタン、 クリル樹脂などが好ましい。また、スルホ 化ポリアリル、スルホン化ポリビニル、ス ホン化ポリスチレンのように、スルホン基 付加されていると、導電性組成物の導電性 向上させることができるので、より好まし 。

 以下、本発明の導電性組成物を固体電解 として用いて固体電解コンデンサを作製す 例を説明する。

 まず、本発明の導電性組成物をタンタル 体電解コンデンサ、ニオブ固体電解コンデ サ、アルミニウム積層型固体電解コンデン などの固体電解質として用いる場合、タン ル、ニオブ、アルミニウムなどの弁金属の 孔体からなる陽極と、それらの弁金属の酸 皮膜からなる誘電体層を有するコンデンサ 子を、本発明の導電性組成物の分散液に浸 し、取り出した後、乾燥し、この分散液へ 浸漬と乾燥する工程を繰り返すことによっ 、導電性組成物からなる固体電解質層を形 した後、カーボンペースト、銀ペーストを け、乾燥した後、外装することによって、 ンタル固体電解コンデンサ、ニオブ固体電 コンデンサ、アルミニウム積層型固体電解 ンデンサなどを作製することができる。

 また、非鉄塩系の有機スルホン酸塩をド パントとして用い、重合性モノマー、酸化 を含む液に、前記のコンデンサ素子を浸漬 、取り出した後、重合を行い、水に浸漬し 引き上げ、洗浄した後、乾燥することで導 性高分子を合成した後、それら全体を本発 の導電性組成物の分散液に浸漬し、引き上 て乾燥する操作を繰り返して固体電解質層 形成してもよく、また、その逆の形態にし もよい。

 そして、そのようにして導電性組成物で われた素子をカーボンペースト、銀ペース で覆った後、外装することによって、タン ル固体電解コンデンサ、ニオブ固体電解コ デンサ、アルミニウム積層型固体電解コン ンサなどを作製することもできる。

 また、本発明の導電性組成物をアルミニ ム巻回型固体電解コンデンサの固体電解質 して用いる場合は、アルミニウム箔の表面 エッチング処理した後、化成処理を行って 電体層を形成した陽極にリード端子を取り け、また、アルミニウム箔からなる陰極に ード端子を取り付け、それらのリード端子 き陽極と陰極とをセパレータを介して巻回 て作製したコンデンサ素子を本発明の導電 組成物の分散液に浸漬し、取り出し、乾燥 た後、アルミニウム箔のエッチングにより 成された細孔に入っていない導電性組成物 取り除くため、純水に含浸し、取り出した 、乾燥し、これらの操作を繰り返したのち 外装材で外装して、アルミニウム巻回型固 電解コンデンサを作製することができる。

 上記のように、本発明の導電性組成物は 固体電解コンデンサの固体電解質として用 るのに適した高い導電性と優れた耐熱性を している上に、透明性も高いので、固体電 コンデンサの固体電解質として用いる以外 、帯電防止フィルム、帯電防止布、帯電防 樹脂などの帯電防止材の導電体として用い こともできる。また、本発明の導電性組成 は、そのような特性を利用して、それらの 途以外にも、バッテリーの正極活物質、耐 食用塗料の基材樹脂などとしても用いるこ ができる。

 例えば、本発明の導電性組成物を導電体 して用いて帯電防止フィルムを作製するに 、基材シートに前記の導電性組成物の分散 を塗布するか、基材シートを導電性組成物 分散液に浸漬し、引き上げた後、乾燥して 帯電防止フィルムを形成し、そのフィルム 基材シートから剥離すればよいが、むしろ 基材シートの一方の面または両面に形成し 帯電防止フィルムを基材シートから剥がさ に、基材シートを支持材とした帯電防止シ トとして使用に供する方が適している場合 ある。また、本発明の導電性組成物を導電 として用いて帯電防止布を作製するには、 に前記の導電性組成物の分散液を塗布する 、あるいは布を導電性組成物の分散液に浸 し、引き上げた後、乾燥すればよい。そし 、上記のように帯電防止シートや帯電防止 を作製するにあたっては、上記導電性組成 の分散液にバインダ樹脂を添加しておくと 基材シートや布に対する導電性組成物の密 性を向上させることができるので好ましい

 以下に実施例を挙げて本発明をより具体 に説明するが、本発明はそれらの実施例に 示のもののみに限定されることはない。な 、以下の実施例などにおいて濃度や使用量 示す際の%は特にその基準を付記しないかぎ り、質量基準による%である。

実施例1
 ポリスチレンスルホン酸(テイカ社製、数平 均分子量500,000)とスルホン化ポリエステル〔 応化学工業社製プラスコートZ-561(商品名)、 数平均分子量27,000〕とを質量比1:1で混合した 混合物の3%水溶液200gを内容積1Lの容器に入れ 酸化剤として過硫酸アンモニウムを2g添加 た後、攪拌機で攪拌して溶解した。次いで 硫酸第二鉄の40%水溶液を0.4g添加し、攪拌し がら、その中に3,4-エチレンジオキシチオフ ェン3mLをゆっくり滴下し、24時間かけて、3,4- エチレンジオキシチオフェンの重合を行った 。

 なお、上記ドーパント(ポリスチレンスル ホン酸とスルホン化ポリエステルとの質量比 1:1の混合物)と重合性モノマー(3,4-エチレンジ オキシチオフェン)と酸化剤(過硫酸アンモニ ム)との比率は、質量比で、ドーパント:重 性モノマー:酸化剤=6g:4g:2g=1:0.67:0.33である。

 上記重合後、水で4倍に希釈した後、超音 波ホモジナイザー〔日本精機社製、US-T300(商 名)〕で30分間分散処理を行った。その後、 ルガノ社のカチオン交換樹脂アンバーライ 120B(商品名)を100g添加して、1時間攪拌機で 拌し、次いで、東洋濾紙社製の濾紙No.131で 過し、このカチオン交換樹脂による処理と 過を3回繰り返して、液中のカチオン成分を べて除去した。

 上記処理後の液を孔径が1μmのフィルター に通し、その通過液を限外濾過装置〔ザルト リウス社製Vivaflow200(商品名)、分子量分画5万 で処理して、液中の遊離の低分子成分を除 した。この処理後の液を水で希釈して濃度 3%に調整し、その3%液40gに対し、高沸点溶剤 としてジメチルスルホキシドを4g添加し、攪 して、導電性組成物の分散液を得た。なお 上記ジメチルスルホキシドの含有量は導電 高分子に対して330%であった。

 つぎに、上記の導電性組成物の分散液を いてタンタル固体電解コンデンサを作製し その評価をする。詳細は以下の通りである ただし、その評価方法や評価結果は、他の 施例や比較例の記載の後で説明する。

 タンタル焼結体を濃度が0.1%のリン酸水溶 液に浸漬した状態で、20Vの電圧を印加するこ とによって化成処理を行い、タンタル焼結体 の表面に酸化皮膜を形成して誘電体層を構成 した。次に、濃度が35%の3,4-エチレンジオキ チオフェン溶液のエタノール溶液に上記タ タル焼結体を浸漬し、1分後に取り出し、5分 間放置した。その後、あらかじめ用意してお いた濃度が50%のフェノールスルホン酸ブチル アミン水溶液(pH5)と濃度が30%の過硫酸アンモ ウム水溶液とを質量比1:1で混合した混合物 らなる酸化剤兼ドーパント溶液中に浸漬し 30秒後に取り出し、室温で30分間放置した後 、50℃で10分間加熱して、重合を行った。

 重合後、水中に上記タンタル焼結体を浸 し、30分間放置した後、取り出して70℃で30 間乾燥した。この操作を6回繰り返した後、 この実施例1において前記のように調製した 電性組成物の分散液に浸漬し、30秒後に取り 出し、70℃で30分間乾燥した。この操作を2回 り返した後、150℃で60分間放置して、導電 組成物からなる固体電解質層を形成した。 の後、カーボンペースト、銀ペーストで上 固体電解質層を覆ってタンタル固体電解コ デンサを作製した。

実施例2
 ポリスチレンスルホン酸(テイカ社製、数平 均分子量100,000)と一般式(I)で表される繰り返 単位を有するフェノールスルホン酸ノボラ ク樹脂〔小西化学工業社製lotEG0727(商品名) 数平均分子量60,000、式中のRは水素〕とを質 比3:1で混合した混合物の4%水溶液600gを内容 1Lのステンレス鋼製容器に入れ、触媒とし 硫酸第一鉄・7水和物を0.3g添加して溶解した 。その中に3,4-エチレンジオキシチオフェン 4mLゆっくり滴下した。ステンレス鋼製の攪 バネで攪拌し、容器に陽極を取り付け、攪 バネに陰極を取り付け、1mA/cm 2 の定電流で18時間電解酸化重合を行った。上 電解酸化重合後、水で4倍に希釈した後、超 音波ホモジナイザー〔日本精機社製、US-T300( 品名)〕で30分間分散処理を行った。その後 実施例1と同様にカチオン交換樹脂による処 理と濾過を3回繰り返し、液中のカチオン成 を除去した。

 上記処理後の液を孔径が1μmのフィルター に通し、その通過液を限外濾過装置〔ザルト リウス社製Vivaflow200(商品名)、分子量分画5万 で処理して、液中の遊離の低分子成分を除 した。この処理後の液を水で希釈して濃度 3%に調整し、その3%液40gに対し、高沸点溶剤 としてジメチルスルホキシドを4g添加し、攪 して、導電性組成物の分散体を得た。なお 上記ジメチルスルホキシドの含有量は導電 高分子に対して330%であった。

 ついで、上記のようにして得られた導電 組成物の分散液を、実施例1で調製した導電 性組成物の分散液に代えて使用した以外は、 実施例1と同様の操作を行って、タンタル固 電解コンデンサを作製した。

実施例3
 ポリスチレンスルホン酸(テイカ社製、数平 均分子量100,000)の4%水溶液600gを内容積1Lのス ンレス鋼製容器に入れ、硫酸第一鉄・7水和 を0.3g添加して溶解し、その中に3,4-エチレ ジオキシチオフェン4mLをゆっくり滴下した ステンレス鋼製の攪拌翼で攪拌し、容器に 極を取り付け、攪拌翼の付け根に陰極を取 付け、1mA/cm 2 の定電流で18時間電解酸化重合を行った。上 電解酸化重合後、水で4倍に希釈した後、超 音波ホモジナイザー〔日本精機社製、US-T300( 品名)〕で30分間分散処理を行った。その後 オルガノ社製のカチオン交換樹脂アンバー イト120B(商品名)を100g添加し、1時間攪拌機 攪拌した。次いで、東洋濾紙社製の濾紙No.13 1で濾過し、このカチオン交換樹脂による処 およびそれに続く濾過を3回繰り返して、液 の鉄イオンなどのカチオン成分をすべて除 した。

 上記処理後の液を孔径が1μmのフィルター に通し、その通過液を限外濾過装置〔ザルト リウス社製Vivaflow200(商品名)、分子量分画5万 で処理して、液中の遊離の低分子成分を除 した。この処理後の液を水で希釈して濃度 3%に調整し、その3%液40gに対し、高沸点溶剤 としてのジメチルスルホキシドを4g添加し、 電性組成物の分散液Aを得た。なお、上記ジ メチルスルホキシドの含有量は導電性高分子 に対して330%であった。

 上記とは別に、一般式(I)で表される繰り し単位を有するフェノールスルホン酸ノボ ック樹脂〔小西化学工業社製lotEG0727(商品名 )、数平均分子量60,000、式中のRは水素〕の3% 溶液200gを内容積1Lの容器に入れ、酸化剤と て過硫酸アンモニウムを2g添加した後、攪拌 機で攪拌して溶解した。次いで、硫酸第二鉄 の40%水溶液を0.4g添加し、攪拌しながら、そ 中に3,4-エチレンジオキシチオフェンを3mLゆ くり滴下し、24時間かけて、3,4-エチレンジ キシチオフェンの化学酸化重合を行った。

 上記重合後、水で4倍に希釈した後、超音 波ホモジナイザー(日本精機社製、US-T300)で30 間分散処理を行った。その後、オルガノ社 のカチオン交換樹脂アンバーライト120B(商 名)を100g添加し、1時間攪拌機で攪拌した。 いで、東洋濾紙社製の濾紙No.131で濾過した このカチオン交換樹脂による処理と濾過を3 繰り返して、液中のカチオン成分をすべて 去した。

 上記処理後の液を孔径が1μmのフィルター に通し、その通過液を限外濾過装置〔ザルト リウス社製Vivaflow200(商品名)、分子量分画5万 で処理して、液中の遊離の低分子成分を除 した。この処理後の液を水で希釈して濃度 3%に調整し、その3%液40gに対し、高沸点溶剤 としてのジメチルスルホキシドを4g添加し、 拌して、導電性組成物の分散液Bを得た。な お、上記ジメチルスルホキシドの含有量は導 電性高分子に対して330%であった。

 そして、上記分散液Aと分散液Bとを質量 で3:1の比率で混合して、実施例3の導電性組 物の分散液とした。

 ついで、上記のようにして得られた導電 組成物の分散液を、実施例1で調製した導電 性組成物の分散液に代えて使用した以外は、 実施例1と同様の操作を行って、タンタル固 電解コンデンサを作製した。

実施例4
 実施例3と同様にポリスチレンスルホン酸の 存在下で3,4-エチレンジオキシチオフェンの 解酸化重合を行い、実施例3と同様の精製処 を行って、濃度が3%の導電性組成物の分散 Cを得た。つまり、この分散液Cは、実施例3 おける分散液Aと同じ内容のものである。

 上記とは別に、ポリスチレンスルホン酸( テイカ社製、数平均分子量100,000)とスルホン ポリエステル(数平均分子量27,000)とを質量 1:1で混合した3%水溶液200gに代えて、スルホ 化ポリエステル〔互応化学工業社製プラス ートZ-561(商品名)、数平均分子量27,000〕の3% 溶液200gを用いた以外は、すべて実施例1と同 様の操作を行い、該スルホン化ポリエステル の存在下で実施例1と同様に3,4-エチレンジオ シチオフェンの化学酸化重合を行い、実施 1と同様の精製処理およびジメチルスルホキ シドの添加を行って、濃度が3%の導電性組成 の分散液Dを得た。なお、上記ジメチルスル ホキシドの含有量は導電性高分子に対して330 %であった。

 そして、上記分散液Cと分散液Dとを質量 1:1の比率で混合して、実施例4の導電性組成 の分散液を得た。

 ついで、上記のようにして得られた導電 組成物の分散液を、実施例1で調製した導電 性組成物の分散液に代えて使用した以外は、 実施例1と同様の操作を行って、タンタル固 電解コンデンサを作製した。

実施例5
 前記実施例3で調製した導電性組成物の分散 液Cと実施例4で調製した導電性組成物の分散 Dとを質量比1:2の比率で混合して、実施例5 導電性組成物の分散液を得た。

 ついで、上記のようにして得られた導電 組成物の分散液を、実施例1で調製した導電 性組成物の分散液に代えて使用した以外は、 実施例1と同様の操作を行って、タンタル固 電解コンデンサを作製した。

比較例1
 実施例1におけるポリスチレンスルホン酸( 平均分子量500,000)とスルホン化ポリエステル (数平均分子量27,000)とを質量比で1:1で混合し 混合物の3%水溶液200gに代えて、ポリスチレ スルホン酸(テイカ社製、数平均分子量100,00 0)の3%水溶液200gを用いた以外は、実施例1と同 様の操作を行って、導電性組成物の分散液を 得た。

 ついで、上記のようにして得られた導電 組成物の分散液を、実施例1で調製した導電 性組成物の分散液に代えて使用した以外は、 実施例1と同様の操作を行って、タンタル固 電解コンデンサを作製した。

比較例2
 実施例1におけるポリスチレンスルホン酸( 平均分子量500,000)とスルホン化ポリエステル (数平均分子量27,000)とを質量比1:1で混合した 合物の3%水溶液200gに代えて、一般式(I)で表 れる繰り返し単位を有するフェノールスル ン酸ノボラック樹脂〔小西化学工業社製lotE G0727(商品名)、平均分子量60,000、式中のRは水 〕の4%水溶液200gを用いた以外は、実施例1と 同様の操作を行って、導電性組成物の分散液 を得た。

 ついで、上記のようにして得られた導電 組成物の分散液を、実施例1で調製した導電 性組成物の分散液に代えて使用した以外は、 実施例1と同様の操作を行って、タンタル固 電解コンデンサを作製した。

比較例3
 実施例2におけるポリスチレンスルホン酸( 平均分子量100,000)とフェノールスルホン酸ノ ボラック樹脂(数平均分子量60,000)とを質量比3 :1で混合した混合物の4%水溶液600gに代えて、 ルホン化ポリエステル〔互応化学工業社製 ラスコートZ-561(商品名)、数平均分子量27,000 〕の4%水溶液600gを用いた以外は、実施例2と 様の操作を行って、導電性組成物の分散液 得た。

 ついで、上記の導電性組成物の分散液を 実施例1で調製した導電性組成物の分散液に 代えて使用した以外は、実施例1と同様の操 を行って、タンタル固体電解コンデンサを 製した。

 上記のように作製した実施例1~5および比 例1~3のタンタル固体電解コンデンサについ 、そのESRおよび静電容量を測定した。その 果を表1に示す。なお、ESRおよび静電容量の 測定方法は以下に示す通りである。ESRの測定 にはHEWLETT PACKARD社製のLCRメーター(4284A)を用 、25℃、100kHzでESRを測定した。静電容量の 定にはHEWLETT PACKARD社製のLCRメーター(4284A)を 用い、25℃、120Hzで静電容量を測定した。そ て、それらの測定においては、いずれの試 も、10個ずつを用い、表1に示すESR値および 電容量値は、それら10個の平均値を求め、小 数点以下を四捨五入して示したものである。

 表1に示すように、実施例1~5のタンタル固 体電解コンデンサは、比較例1~3のタンタル固 体電解コンデンサに比べて、ESRが小さく、ま た、比較例1~3のタンタル固体電解コンデンサ と同等またはそれ以上の大きな静電容量を有 していて、ESRが小さく、かつ静電容量が大き く、固体電解コンデンサとして優れた特性を 有していた。

 つぎに、上記実施例1~5および比較例1~3の ンタル固体電解コンデンサをそれぞれ10個 つ、125℃で200時間貯蔵した後、前記と同様 ESRおよび静電容量を測定した。その結果を 2に示す。

 表2に示すように、実施例1~5のタンタル固 体電解コンデンサは、比較例1~3のタンタル固 体電解コンデンサに比べて、高温貯蔵後にお いても、ESRが小さく、また、比較例1~3のタン タル固体電解コンデンサと同等またはそれ以 上の大きな静電容量を有していて、高温条件 下で信頼性が高いことを示していた。

 上記のように、実施例1~5のタンタル固体 解コンデンサが、ESRが小さく、かつ静電容 が大きく、しかも高温条件下での信頼性が いということは、そのタンタル固体電解コ デンサの作製にあたって固体電解質として いた導電性組成物の導電性が高く、かつ耐 性が優れていることを示している。

 すなわち、ESRが小さく、かつ静電容量が きいということは、固体電解質として用い 導電性組成物の導電性が高いことに基づく のであり、また、高温貯蔵後においても、E SRが小さく、かつ静電容量が大きいことは、 体電解質として用いた導電性組成物の耐熱 が優れていることによるものである。

[アルミニウム固体電解コンデンサでの評価]
実施例6
 縦10mm×横3.3mmのアルミニウムエッチド箔に いて、縦方向の片端から4mmの部分と、他端 ら5mmの部分とに分けるために、上記箔の横 向に幅1mmでポリイミド溶液を塗布し、乾燥 た。次に、上記箔の縦方向の片端から5mm側 部分の該片端から2mmの箇所に、陽極として 銀線を取り付けた。また、上記箔の縦方向 片端から4mm側の部分(4mm×3.3mm)を、10%アジピ 酸アンモニウム水溶液につけ、8Vの電圧を印 加することにより化成処理を行って誘電体層 としての酸化皮膜を形成した。

 次に、上記のように作製したコンデンサ 子を濃度が35%の3,4-エチレンジオキシチオフ ェン溶液のエタノール溶液に浸漬し、1分後 取り出し、5分間放置した。その後、あらか め用意しておいた濃度が50%のフェノールス ホン酸ブチルアミン水溶液(pH5)と濃度が30% 過硫酸アンモニウム水溶液とを質量比1:1で 合した混合物からなる酸化剤兼ドーパント 液中に上記コンデンサ素子を浸漬し、30秒後 に取り出し、室温で30分間放置した後、50℃ 10分間加熱して、重合を行った。その後、水 中に上記コンデンサ素子を浸漬し、30分間放 した後、取り出して70℃で30分間乾燥した。 この操作を5回繰り返した後、上記コンデン 素子を実施例1で調製した導電性組成物の分 液に浸漬し、30秒後に取り出し、70℃で30分 乾燥した。この操作を2回繰り返した後、150 ℃で60分間放置して、導電性組成物からなる 体電解質層を形成した。その後、カーボン ースト、銀ペーストで上記固体電解質層を ってアルミニウム固体電解コンデンサを作 した。

実施例7
 実施例1で調製した導電性組成物の分散液に 代えて、実施例2で調製した導電性組成物の 散液を使用した以外は、実施例6と同様の操 を行って、アルミニウム固体電解コンデン を作製した。

実施例8
 実施例1で調製した導電性組成物の分散液に 代えて、実施例3で調製した導電性組成物の 散液を使用した以外は、実施例6と同様の操 を行って、アルミニウム固体電解コンデン を作製した。

実施例9
 実施例1で調製した導電性組成物の分散液に 代えて、実施例4で調製した導電性組成物の 散液を使用した以外は、実施例6と同様の操 を行って、アルミニウム固体電解コンデン を作製した。

実施例10
 実施例1で調製した導電性組成物の分散液に 代えて、実施例5で調製した導電性組成物の 散液を使用した以外は、実施例6と同様の操 を行って、アルミニウム固体電解コンデン を作製した。

比較例4
 実施例1で調製した導電性組成物の分散液に 代えて、比較例1で調製した導電性組成物の 散液を使用した以外は、実施例6と同様の操 を行って、アルミニウム固体電解コンデン を作製した。

比較例5
 実施例1で調製した導電性組成物の分散液に 代えて、比較例2で調製した導電性組成物の 散液を使用した以外は、実施例6と同様の操 を行って、アルミニウム固体電解コンデン を作製した。

比較例6
 実施例1で調製した導電性組成物の分散液に 代えて、比較例3で調製した導電性組成物の 散液を使用した以外は、実施例6と同様の操 を行って、アルミニウム固体電解コンデン を作製した。

 上記のように作製した実施例6~10および比 較例4~6のアルミニウム固体電解コンデンサに ついて、そのESRおよび静電容量を前記と同様 に測定した。その結果を表3に示す。なお、ES Rおよび静電容量の測定は、各試料とも、10個 ずつについて行い、表3に示すESR値および静 容量値は、その10個の平均値を求め、小数点 以下を四捨五入して求めたものである。

 表3に示すように、実施例6~10のアルミニ ム固体電解コンデンサは、比較例4~6のアル ニウム固体電解コンデンサに比べて、ESRが さく、また、比較例4~6のアルミニウム固体 解コンデンサと同等の大きな静電容量を有 ていて、ESRが小さ く、かつ静電容量が大き く、固体電解コンデンサとして優れた特性を 有していた。

 つぎに、上記実施例6~10および比較例4~6の アルミニウム固体電解コンデンサをそれぞれ 10個ずつ、125℃で200時間貯蔵した後、前記と 様にESRおよび静電容量を測定した。その結 を表4に示す。

 表4に示すように、実施例6~10のアルミニ ム固体電解コンデンサは、高温貯蔵後にお ても、比較例4~6のアルミニウム固体電解コ デンサに比べて、ESRが小さく、また、比較 4~6のアルミニウム固体電解コンデンサと同 またはそれ以上の大きな静電容量を有して て、高温条件下での信頼性が高いことを示 ていた。

 本発明によれば、導電性が高く、かつ耐 性が優れ、固体電解コンデンサの固体電解 として用いるのに適した導電性組成物を提 することができ、その導電性組成物を固体 解質として用いて、ESRが低く、かつ高温条 下における信頼性が高い固体電解コンデン を提供することができる。