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Patent Searching and Data


Title:
DOUBLE-ROW ANGULAR BEARING, BEARING DEVICE FOR WHEEL, METHOD OF PRODUCING OUTER RING, AND METHOD OF PRODUCING INNER RING
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/078337
Kind Code:
A1
Abstract:
A double-row angular bearing has improved rolling life and reduced cost. A bearing device for a wheel allows a reduction in man-hours in automobile assembling factories etc., can be produced with high productivity, and has reduced cost. Methods of producing bearing inner and outer rings allow a significant reduction in weight of the inner and outer rings. The double-row angular bearing has an inner ring having rolling surfaces on the outer diameter surface thereof, an outer ring having rolling surfaces on the inner diameter surface thereof, and rolling bodies rollably arranged between the outer rolling surfaces of the outer ring and the inner rolling surfaces of the inner ring. The outer ring or the inner ring is a plastically processed part formed by cold roll forming.

Inventors:
KURODA MASAYUKI (JP)
FUKUSHIMA SHIGEAKI (JP)
KATO HIROYA (JP)
HIRAI ISAO (JP)
KOBAYASHI KEIZO (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/072544
Publication Date:
June 25, 2009
Filing Date:
December 11, 2008
Export Citation:
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Assignee:
NTN TOYO BEARING CO LTD (JP)
KURODA MASAYUKI (JP)
FUKUSHIMA SHIGEAKI (JP)
KATO HIROYA (JP)
HIRAI ISAO (JP)
KOBAYASHI KEIZO (JP)
International Classes:
F16C33/64; B21H1/06; B60B35/02; B60B35/14; B60B35/18; F16C19/18; F16C33/62
Foreign References:
JP2006220221A2006-08-24
JPH061835U1994-01-14
JP2007520668A2007-07-26
JPH09176740A1997-07-08
JPH032328A1991-01-08
JP2006051946A2006-02-23
DE924924C1955-03-10
JP2007269285A2007-10-18
JP2007120771A2007-05-17
JP2001330038A2001-11-30
JP2002147467A2002-05-22
JPH061835U1994-01-14
US5177869A1993-01-12
Attorney, Agent or Firm:
TANAKA, Hideyoshi et al. (15-26 Edobori 1-chome,Nishi-k, Osaka-shi Osaka 02, JP)
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Claims:
 外径面に転走面を有する内輪と、内径面に転走面を有する外輪と、外輪の外側転走面と内輪の内側転走面との間に転動自在に収容された転動体とを備えた複列アンギュラ軸受であって、外輪を冷間ローリングにて成形した塑性加工品としたことを特徴とする複列アンギュラ軸受。
 外輪の外径面の軸方向中央部に環状凹部が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の複列アンギュラ軸受。
 外径面に転走面を有する内輪と、内径面に転走面を有する外輪と、外輪の外側転走面と内輪の内側転走面との間に転動自在に収容された転動体とを備えた複列アンギュラ軸受であって、内輪を冷間ローリング又はプレスの塑性加工品としたことを特徴とする複列アンギュラ軸受。
 冷間ローリングにて成形した塑性加工品はマルテンサイト系ステンレス鋼を用いていることを特徴とする請求項1~請求項3のいずれか1項に記載の複列アンギュラ軸受。
 前記塑性加工品の転走面のファイバーフローの傾きが、転走面の肩部乃至その近傍を除いて、転走面の接線方向に対して15°以下であることを特徴とする請求項1~請求項4のいずれか1項に記載の複列アンギュラ軸受。
 前記塑性加工品は、C:0.90~1.20重量%、Si:1.0重量%以下、Mn:1.0重量%以下、P:0.040重量%以下、S:0.030重量%以下、Ni:0.75重量%以下、Cr:16.0~18.0重量%、Mo:0.75重量%以下を含むマルテンサイト系ステンレス鋼を球状化焼鈍したブランクを用い、塑性加工品の転走面のファイバーフローの傾きが、転走面の肩部乃至その近傍を除いて、転走面の接線方向に対して15°以下であるとともに、少なくとも転走面の表面の硬度を焼入れ焼戻しにより55~64HRCとしたことを特徴とする請求項1~請求項5に記載の複列アンギュラ軸受。
 塑性加工品は、C:0.50~0.75重量%、Si:0.5重量%以下、Mn:1.0重量%以下、P:0.030重量%以下、S:0.030重量%以下、Ni:0.60重量%以下、Cr:11.5~13.5重量%、Mo:0.50重量%以下を含むマルテンサイト系ステンレス鋼を球状化焼鈍したブランクを用い、塑性加工品の転走面のファイバーフローの傾きが、転走面の肩部乃至その近傍を除いて、転走面の接線方向に対して15°以下であるとともに、少なくとも転走面の表面の硬度を焼入れ焼戻しにより55~64HRCとしたことを特徴とする請求項1~請求項5のいずれか1項に記載の複列アンギュラ軸受。
 前記塑性加工品中の炭化物は、長径長さをaとし、短径長さをbとしたときに、(a+b)/2≦50μmであることを特徴とする請求項1~請求項7のいずれか1項に記載の複列アンギュラ軸受。
 前記塑性加工品中の炭化物は、長径長さをaとし、短径長さをbとしたときに、(a+b)/2≦30μmであることを特徴とする請求項1~請求項7のいずれか1項に記載の複列アンギュラ軸受。
 前記請求項2に記載の複列アンギュラ軸受を用いた車輪用軸受装置であって、外輪の内径面の軸方向中央部に内径側に膨出する膨出部を設けることによって、外輪の外径面の軸方向中央部に周方向凹部を設けたことを特徴とする車輪用軸受装置。
 前記請求項1~請求項10のいずれか1項に記載の複列アンギュラ軸受を用いた車輪用軸受装置であって、前記外輪、内輪、転動体が組立られた状態でハブ輪に圧入により一体化されることを特徴とする車輪用軸受装置。
 ハブ輪の端部が加締られてハブ輪に圧入された転がり軸受の内輪に対して予圧が付与されることを特徴とする請求項11に記載された車輪用軸受装置。
 外輪は、冷間ローリング成形後に熱処理を行った後の切削加工による焼入鋼切削が施されていることを特徴とする請求項11に記載された車輪用軸受装置。
 外輪の外径面に嵌合面が形成され、この嵌合面がナックルに圧入されることを特徴とする請求項11に記載された車輪用軸受装置。
 前記請求項2に記載の複列アンギュラ軸受を用いた車輪用軸受装置であって、
 転動体の荷重作用線の延長線が、外輪の環状凹部とナックルの内径面とで構成される空隙部に対してずれていることを特徴とする車輪用軸受装置。
 前記請求項3~請求項9のいずれか1項に記載の複列アンギュラ軸受を用いた車輪用軸受装置であって、内輪を、軸方向全長にわたってその肉厚を略同一として構成して、内輪の軸方向両端部側の内径部に非切削加工による肉厚削減部を設けたことを特徴とする車輪用軸受装置。
 突合面が突合わされた状態で一対の内輪が装着されることを特徴とする請求項16に記載の車輪用軸受装置。
 ハブ輪と複列の転がり軸受と等速自在継手とがユニット化された車輪用軸受装置であって、ハブ輪の外径面に外輪の外側転走面が対向する内側転走面が形成されるとともに、ハブ輪の外径面のインボード側に段付部が形成されて、この段付部に、外周に外側転走面に対向する内側転走面が形成された内輪を嵌合させたことを特徴とする請求項16に記載の車輪用軸受装置。
 ハブ輪と複列の転がり軸受と等速自在継手とがユニット化された車輪用軸受装置であって、ハブ輪の軸部のインボード側の端部外径部を外径方向へ加締めて、この加締部を前記内輪の削減部に係合させて、内輪とハブ輪とを一体化したことを特徴とする請求項16~請求項18のいずれか1項に記載の車輪用軸受装置。
 駆動輪用とされた請求項11~請求項19のいずれか1項に記載の車輪用軸受装置。
 従動輪用とされた請求項11~請求項19のいずれか1項に記載の車輪用軸受装置。
 内径面に複列の外側転走面を有し、外径面の軸方向中央部に環状凹部が形成された車輪用軸受装置用の外輪を製造する外輪製造方法であって、
 第1の冷間ローリング加工にて、周方向溝を外径面に有する外輪粗加工品を成形する粗加工を行い、その後、第2の冷間ローリング加工にて、前記外輪粗加工品の周方向溝を縮小させて環状凹部を形成する環状凹部形成工程を含む仕上げ加工を行うことを特徴とする外輪製造方法。
 内径面に複列の外側転走面を有し、外径面の軸方向中央部に環状凹部が形成された車輪用軸受装置用の外輪を製造する外輪製造方法であって、
 第1の冷間ローリング加工にて、周方向溝を外径面に有する外輪粗加工品を成形する粗加工を行い、その後、第2の冷間ローリング加工にて、転走面の肩高さを増大させる増大工程を含む仕上げ加工を行うことを特徴とする外輪製造方法。
 内径面に複列の外側転走面を有し、外径面の軸方向中央部に環状凹部が形成された車輪用軸受装置用の外輪を製造する外輪製造方法であって、
 外径面が軸方向中央部において最大外径となるクラウニング形状の筒体からなる外輪素材を用い、第1の冷間ローリング加工にて、周方向溝を外径面に有する外輪粗加工品を成形する粗加工を行い、その後、第2の冷間ローリング加工にて、前記外輪粗加工品の周方向溝を縮小させて環状凹部を形成する環状凹部形成工程及び転走面の肩高さを増大させる増大工程の仕上げ加工を行うことを特徴とする外輪製造方法。
 外輪材料がSUJ2であり熱処理がズブ焼入れであることを特徴とする請求項22~請求項24のいずれか1項に記載の外輪製造方法。
 外輪材料がSUJ2であり熱処理が高周波焼入れであることを特徴とする請求項22~請求項24のいずれか1項に記載の外輪製造方法。
 外輪材料が炭素0.40~0.80重量%を含む中高炭素鋼であり熱処理が高周波焼入れであることを特徴とする請求項22~請求項24のいずれか1項に記載の外輪製造方法。
 第1の冷間ローリング工程後、第2の冷間ローリング工程前に焼なまし工程を行うことを特徴とする請求項22~請求項27のいずれか1項に記載の外輪製造方法。
 中空の軸受鋼材を冷間ローリングにて内輪構成素材を成形した後、この内輪構成素材をその軸方向中央にて切断して、一対の内輪を形成することを特徴とする軸受用内輪の製造方法。
 軸方向両端部側の内径部に肉厚削減部を有する軸受用内輪製造方法であって、
 中空の軸受鋼材を冷間ローリングにて、軸方向全長にわたってその肉厚を略同一として、軸方向両端部側の内径部に非切削加工による肉厚削減部を形成することを特徴とする軸受用内輪製造方法。
Description:
複列アンギュラ軸受、車輪用軸 装置、外輪製造方法、及び内輪製造方法

 本発明は、複列アンギュラ軸受、車輪用 受装置、車輪用軸受装置の外輪を製造する 輪製造方法、及び車輪用軸受装置の内輪を 造する内輪製造方法に関する。

 車輪用軸受装置には、第1世代と称される 複列の転がり軸受を単独に使用する構造から 、外方部材に車体取付フランジを一体に有す る第2世代に進化し、さらに、車輪取付フラ ジを一体に有するハブ輪の外周に複列の転 り軸受の一方の内側転走面が一体に形成さ た第3世代、さらには、転がり軸受と等速自 継手が一体化され、この等速自在継手を構 する外側継手部材の外周に複列の転がり軸 の他方の内側転走面が一体に形成された第4 世代のものまで開発されている。

 このような車輪用軸受装置では、車体側 ナックルに取付ける必要がある。車体取付 ランジを有する第2世代以降の車輪用軸受装 置では、ボルトにより取付けることができる が、第1世代の車輪用軸受装置では圧入する 要があり、組立や交換に工数が必要となる しかしながら、第1世代の車輪用軸受装置は 第2世代や第3世代の車輪用軸受装置よりも 価に製造できるため、小型車用に使用され 場合が多い。

 第1世代と呼ばれる車輪用軸受装置(例え 、特許文献1)は、図30に示すように、外径方 に延びるフランジ151を有するハブ輪152と、 のハブ輪152に外側継手部材153が固定される 速自在継手154と、ハブ輪152の外周側に配設 れる軸受150とを備える。

 等速自在継手154は、前記外側継手部材153 、外側継手部材153に配設される内側継手部 (図示省略)と、この内側継手部材と外側継 部材153との間に配設されるボール(図示省略) と、このボールを保持する保持器(図示省略) を備える。外側継手部材153は、内側継手部 が収納される椀形のマウス部157と、このマ ス部157から突設される軸部(ステム部)173と らなる。

 また、ハブ輪152は、筒部163と前記フラン 151とを有する。フランジ151の外端面164(反継 手側の端面)には、大径の第1部165aと小径の第 2部165bとが形成され、第1部165aにブレーキロ タ190が外嵌され、第2部165bに図示省略のホイ ールが外嵌される。また、外輪155と内輪158、 159との間の軸方向開口部はシール部材S、Sに 塞がれている。このため、外輪155の内径面 軸方向の開口端部にシール装着溝160、161(図 31参照)が設けられている。

 軸受150は、図31に示すように、内周に複 の外側転走面170、171が形成された外輪155と 外周に外側転走面に対向する内側転走面168 169が形成された一対の内輪158,159と、外輪155 外側転走面170、171と内輪158,159の内側転走面 168、169との間に転動自在に収容された複列の 転動体172とを備える。図30に示すように、ハ 輪152の筒部163の外周面166が設けられ、この 周面166に内輪158、159が嵌合されている。ま 、ハブ輪152のフランジ151にはボルト装着孔1 62が設けられて、ホイール(図示省略)および レーキロータ190をこのフランジ151に固定す ためのハブボルト191がこのボルト装着孔162 装着される。

 ハブ輪152の筒部163に外側継手部材153の軸 173が挿入または圧入される。軸部173は、そ 反マウス部の端部にねじ部174が形成され、 のねじ部174とマウス部157との間にスプライ 部175が形成されている。また、ハブ輪152の 部163の内周面(内径面)にスプライン部176が 成され、この軸部173がハブ輪152の筒部163に 入された際には、軸部173側のスプライン部17 5とハブ輪152側のスプライン部176とが係合す 。

 そして、筒部163から突出した軸部173のね 部174にナット部材177が螺着され、ハブ輪152 外側継手部材153とが連結される。この際、 ット部材177の内端面(裏面)178と筒部163の外 面179とが当接するとともに、マウス部157の 部側の端面180と内輪159の外端面181とが当接 る。すなわち、ナット部材177を締付けるこ によって、ハブ輪152が内輪158,159を介してナ ト部材177とマウス部157とで挟持される。こ 際、ハブ輪152の切欠端面(段付部端面)182と 内輪158の外端面183とが当接するとともに、 ウス部157の端面180と内輪159の外端面181とが 接した状態で、内輪158,159の突合面185、186が き合される。この場合、外輪155の外径面が 合面155aとなって、車体側のナックル195の内 径面195aに圧入される。

 外輪155は、一般的には、図32に示すよう 、短円筒体の素材200を、クロスハッチング 示す範囲を削り成形することになる。この 材200は、図33Aに示すように、ファイバーフ ーFが軸方向に延びている。このため、成形 れた外輪155においても図33Bに示すように、 ァイバーフローFが軸方向に延びている。フ ァイバーフローとは、材料の組織の流れを言 い、繊維状金属組織とも言う。

 また、内輪158(159)も、図34に示すように、 短円筒体の素材199を、クロスハッチングで示 す範囲を削り成形することになる。この際、 この素材199は、図35に示すように、ファイバ フローFが軸方向に延びている。このため、 成形された内輪158(159)においても、ファイバ フローFが軸方向に延びている。

 自動車の車輪用軸受装置等に用いる複列 ンギュラ軸受では、耐食性が要求される。 のため、軸受の外輪や内輪にステンレス鋼( JIS SUS440C)等が使用される。SUS440C(マルテンサ イト系ステンレス)は、焼入れ焼戻しを実施 ることにより、軸受用鋼として必要な硬度 ある55HRC以上の硬度を達成しつつ、所定の耐 食性を確保可能な耐食軸受用鋼である。

 しかし、近年の耐食軸受の用途の広がり に伴い、耐食軸受に対して要求される耐食 のレベルはさらに上昇している。耐食性に れた鋼としては、たとえばJIS SUS304などの ーステナイト系ステンレス鋼が挙げられる SUS304は、SUS440Cを超える耐食性を有している め、耐食性の観点からはSUS440Cよりも優れて いる。

 そこで、軸受の内輪や外輪にオーステナ ト系ステンレス鋼を用いたものがある(特許 文献2及び特許文献3)。

 また、近年では、軽量化及びコスト低減 を図るために、内外輪をローリング加工に 成形した軸受(複列アンギュラ軸受)が提案 れている(特許文献4)。ここで、冷間ローリ グ(冷間転造)とは、熱を加えずに冷たいまま (常温)で素材(ブランク)を回転させながら圧 していく加工方法である。すなわち、内外 がワーク(加工後の完成品)より小さな、基本 的に内外径ストレートなブランク(素材)を、 工したい形状に設計された2つの治具(内径 と外径用)にはさんで回転させながら圧延(転 造)し、ワークを形成する加工方法である。

 特許文献4に記載の複列アンギュラ軸受は 図37に示すように、複列の軌道201、202を有す プレス鋼板製の外輪203と、外輪203の複列の 道201、202の各々に対応する軌道204、205を有 る内輪206,207と、外輪203の複列の軌道201、202 と内輪206,207の軌道204、205との間に配置され 複列の転動体208とを有するものである。図37 に示す軸受では、外輪203の外周面の軸方向中 央部に凹部211を形成することによって、軌道 201、202を成形することになる。

 具体的には、冷間ローリング加工機は、 39に示すように、内径用のマンドレル225と 外径用の成形ロール226とを備える。そして マンドレル225に素材220を外嵌し、マンドレ 225と成形ロール226とで素材220を挟んだ状態 、成形ロール226をその軸心廻りに矢印Rのよ に回転させる。

 ところで、図38Bに示すような形状の外輪2 03を成形する場合、内径面の開口部にシール 215、216が形成されているため、外輪素材220 して、図38Aに示すような形状の素材を成形 る。この外輪素材220は、その内径面が軸方 中間部の小径部221aと、小径部221aの両側に 設される中径部221bと、開口側の大径部221cと からなる円筒状体である。

 外輪素材220を冷間ローリングにて外輪203 成形すれば、素材220の中径部221b、221bが軌 201、202を構成し、開口側の大径部221c、221cが シール溝215、216を構成する。

 また、近年では、軽量・低コスト化を図る めに、外輪と内輪とを、板材またはパイプ からプレス成形する方法が提案されている( 特許文献5)。

特開2007-120771号公報

特開2001-330038号公報

特開2002-147467号公報

実開平6-1835号公報

アメリカ特許第5177869号公報

 しかしながら、SUS材は、軸受に一般的に 用されるSUJ2等の鋼材と比べてCr等の希少金 が多く含まれ、単価が高くコスト高となる しかも、図32に示すような成形方法では、 輪の形状として内径面に転走面やシール溝 を成形する必要があり、除去される重量(マ リアルロス=投入重量-製品重量)が多くなり その分材料コストが増加する。内輪におい も、除去される重量が多くなり、その分材 コスト高となっていた。

 また、図33や図35に示すような切削加工で は、ファイバーフローが転走面において分断 される。このため、転走面において亀裂や剥 離が発生し易く、寿命が比較的短くなってい た。

 また、図30に示す軸受では、図38Bに示す うに、外輪203の外周面の軸方向中央部に凹 211を形成することによって、軌道201、202を 形することになる。このような軸受を、図31 に示す車輪用軸受装置に使用した場合、ナッ クルの内径面との間にこの凹部211によって空 隙222(図36参照)が形成される。

 このような場合、転動体の荷重作用線L1 L2(図36参照)が前記空隙222に交わることにな 。このため、所定の外輪強度あるいは剛性 得るためには、荷重作用線上の部位、延い は外輪全体の肉厚を厚くする必要がある。 かしながら、肉厚を厚くすれば、車輪用軸 装置の軽量化と加工性を阻害することにな 。

 また、前記特許文献5に記載のものであっ ても、組立作業や交換作業に工数を必要とす ることの改善がなされていないままである。 すなわち、特許文献に示すものでも、車輪用 軸受装置において、等速自在継手の外側継手 部材の肩部(マウス部157の端面180)にて内輪に 圧を与えるものである。このため、自動車 組立工場への出荷前に、軸受にハブ輪を嵌 する工程を行えず、この工程を組立工場で う必要があった。すなわち、自動車の組立 場での組立工数が多く、生産性の向上を図 ことができなかった。

 さらに、自動車メーカは、一般的には環 問題や低燃費化(軽量化)に重点をおいて開 している。しかしながら、図30等に示す車輪 軸受装置では、断面積が比較的小さく、部品 点数が比較的少ないことから軽量化するのに 限度がある。

 本発明の第1の目的は、転動寿命の向上を 図ることができ、しかもコストの低減を達成 できる複列アンギュラ軸受の提供にある。第 2の目的は、自動車の組立工場等での組立工 の削減が可能で、生産性に優れるとともに コスト低減を図ることが可能な車輪用軸受 置の提供にある。第3の目的は、軽量化を図 ことができる車輪用軸受装置およびこのよ な車輪用軸受装置に用いることが最適な転 り軸受の外輪を製造することが可能な外輪 造方法の提供にある。第4の目的は、軸受の 内輪の大幅な軽量化を図ることができ、低燃 費化を達成できる車輪用軸受装置および軸受 用内輪製造方法の提供にある。

 本発明の第1の複列アンギュラ軸受は、外 径面に転走面を有する内輪と、内径面に転走 面を有する外輪と、外輪の外側転走面と内輪 の内側転走面との間に転動自在に収容された 転動体とを備えた複列アンギュラ軸受であっ て、外輪を冷間ローリングにて成形した塑性 加工品としたものである。ここで、冷間ロー リング(冷間転造)とは、熱を加えずに冷たい ま(常温)で素材(ブランク)を回転させながら 圧延していく加工方法である。すなわち、内 外径がワーク(加工後の完成品)より小さな、 本的に内外径ストレートなブランク(素材) 、加工したい形状に設計された2つの治具(内 径用と外径用)にはさんで回転させながら圧 (転造)し、ワークを形成する加工方法である 。

 外輪の外径面の軸方向中央部に環状凹部 設けるのが好ましい。この場合、外輪の内 面の軸方向中央部に内径側に膨出する膨出 を設けることによって、外輪の外径面の軸 向中央部に環状凹部を設けることができる すなわち、外輪の内径面の軸方向中央部に 径側に膨出する膨出部を設けることによっ 、内径面に転走面を形成することができる しかも、外輪の肉厚を軸方向に沿ってほぼ 定に維持できる。

 本発明の第2の複列アンギュラ軸受は、外 径面に転走面を有する内輪と、内径面に転走 面を有する外輪と、外輪の外側転走面と内輪 の内側転走面との間に転動自在に収容された 転動体とを備えた複列アンギュラ軸受であっ て、内輪を冷間ローリング又はプレスの塑性 加工品としたものである。

 前記本発明の複列アンギュラ軸受は、外 と内輪との少なくとも一方を冷間ローリン にて成形した塑性加工品としたので、塑性 工品の歩留まりの向上等を図ることができ 。すなわち、冷間ローリングは、素材の余 な部分を削り落としていく切削加工とは異 り、製品外径より細い素材を拡径して成形 ることができ、材料の無駄が少ない。また 加工時間が短いことと、工具が長寿命であ ことなどから、切削加工と比べて生産性が くなる。さらに、使用する工具(成形ロール 、マンドレル)は加工品に応じて取り替える 要があるが、安定した加工精度を得ること できる。さらには、切削加工とは異なり、 ァイバーフローが切断されないため、転走 における亀裂や剥離等の発生を抑えること でき、製品として長寿命を図ることができ 。

 冷間ローリングにて成形した塑性加工品 マルテンサイト系ステンレス鋼を用いてい のが好ましい。

 塑性加工品の転走面のファイバーフロー 傾きが、転走面の肩部乃至その近傍を除い 、転走面の接線方向に対して15°以下である のが好ましい。ファイバーフローの傾きがこ のようなものであれば、ファイバーフローは 転走面形状に近い形で流れることになる。な お、ファイバーフローの傾きとは、転走面の 曲率中心からファイバーフローの断面が析出 している点までの直線で結び、その直線と前 記点との交点における直線との直交線と、前 記点でのファイバーフローの接線とが成す角 度である。

 塑性加工品は、C:0.90~1.20重量%、Si:1.0重量% 以下、Mn:1.0重量%以下、P:0.040重量%以下、S:0.03 0重量%以下、Ni:0.75重量%以下、Cr:16.0~18.0重量% Mo:0.75重量%以下を含むマルテンサイト系ス ンレス鋼を球状化焼鈍したブランクを用い 塑性加工品の転走面のファイバーフローの きが、転走面の肩部乃至その近傍を除いて 転走面の接線方向に対して15°以下であると もに、少なくとも転走面の表面の硬度を焼 れ焼戻しにより55~64HRCとするのが好ましい

 塑性加工品は、C:0.50~0.75重量%、Si:0.5重量% 以下、Mn:1.0重量%以下、P:0.030重量%以下、S:0.03 0重量%以下、Ni:0.60重量%以下、Cr:11.5~13.5重量% Mo:0.50重量%以下を含むマルテンサイト系ス ンレス鋼を球状化焼鈍したブランクを用い 塑性加工品の転走面のファイバーフローの きが、転走面の肩部乃至その近傍を除いて 転走面の接線方向に対して15°以下であると もに、少なくとも転走面の表面の硬度を焼 れ焼戻しにより55~64HRCとするのが好ましい

 ここで、球状化焼鈍とは、鋼中の炭化物 球状にし、均一に分散させる熱処理である このため、球状化焼鈍を行うことによって 塑性加工や機械加工を容易にし、あるいは 械的性質を改善することができる。塑性加 品中の炭化物は、長径長さをaとし、短径長 さをbとしたときに、(a+b)/2≦50μmであるのが ましく、特に、(a+b)/2≦30μmであるのが好ま い。

 本発明の第1の車輪用軸受装置は、前記し た複列アンギュラ軸受を用いた車輪用軸受装 置であって、外輪、内輪、転動体が組立られ た状態でハブ輪に圧入により一体化されるも のである。

 本発明の第1の車輪用軸受装置によれば、 外輪、内輪、転動体が組立られた状態でハブ 輪に圧入により一体化されることにより、客 先(自動車の組立工場等)において、軸受にハ 輪を圧入する工程を省略することができる

 ハブ輪の端部が加締られてハブ輪に圧入 れた転がり軸受の内輪に対して予圧が付与 れるものであってもよい。

 外輪は、冷間ローリング成形後に熱処理 行った後の切削加工による焼入鋼切削が施 れていてもよい。この焼入鋼切削は、単に 削のことであり、切削は通常生材の状態で うので、熱処理後(焼入れ後)の切削である とを明確にするために、焼入鋼切削と称し 。焼き入れ後に切削を行うため、素材の熱 理変形をこの切削過程で除去することがで る。焼入れを行うと、引張残留応力が残り く、そのままでは疲労強度が低下する。こ ため、表面を切削すれば、最表面部に圧縮 留応力を付与させることができ、これによ 疲労強度が向上する。

 外輪の外径面に嵌合面が形成され、この 合面がナックルに圧入されるようにするの 好ましい。

 本発明の第2の車輪用軸受装置は、転動体 の荷重作用線の延長線が、外輪の環状凹部と ナックルの内径面とで構成される空隙部に対 してずれているものである。

 本発明の第2の車輪用軸受装置によれば、 環状凹部の底壁を構成する部位に対して、転 動体からの荷重が作用しない。このため、こ の環状凹部の底壁を構成する部位の肉厚を厚 くすることなく、外輪の強度及び剛性を確保 することができる。この時、前記延長線は、 同じく空隙部に対して、好ましくは、軸受に 対する外力(例えば、車両旋回時の曲げモー ント力)が作用する範囲において、常にずれ いることが望ましいが、少なくとも無負荷 状態で、ずれていれば、一定の効果を発揮 ることができる。

 本発明の第3の車輪用軸受装置は、内輪を 、軸方向全長にわたってその肉厚を略同一と して構成して、内輪の軸方向両端部側の内径 部に非切削加工による肉厚削減部を設けたも のである。

 本発明の第3の車輪用軸受装置によれば、 内輪に非切削加工による肉厚削減部を設けた ことにより、内輪の軽量化を図ることができ る。

 車輪用軸受装置として、突合面が突合わ れた状態で一対の内輪が装着されるもので ってよい。ハブ輪の外径面に外輪の外側転 面が対向する内側転走面が形成されるとと に、ハブ輪の外径面のインボード側に段付 が形成されて、この段付部に、外周に外側 走面に対向する内側転走面が形成された内 を嵌合させたものであってもよい。

 前記ハブ輪は、軸部と、この軸部のアウ ボード側の端部から外径方向へ突設される ランジとを備え、前記軸部のインボード側 端部外径部を外径方向へ加締めて、この加 部を前記内輪の削減部に係合させて、内輪 ハブ輪とを一体化したものであってもよい

 車輪用軸受装置として、駆動輪用であっ も、従動輪用であってもよい。

 本発明の第1の外輪製造方法は、内径面に 複列の外側転走面を有し、外径面の軸方向中 央部に環状凹部が形成された車輪用軸受装置 用の外輪を製造する外輪製造方法であって、 第1の冷間ローリング加工にて、周方向溝を 径面に有する外輪粗加工品を成形する粗加 を行い、その後、第2の冷間ローリング加工 て、前記外輪粗加工品の周方向溝を縮小さ て環状凹部を形成する環状凹部形成工程を む仕上げ加工を行うものである。

 本発明の第1の外輪製造方法によれば、第 1の冷間ローリング加工にて、周方向溝を外 面に有する外輪粗加工品を成形することが きる。この外輪粗加工品としては、この種 冷間ローリング加工にて成形される従来品 同様の形状に加工される。第2の冷間ローリ グ加工にて周方向溝を縮小する工程を行う とによって、転動体の荷重作用線の延長線 、外輪の環状凹部とナックルの内径面とで 成される空隙部に対してずれている外輪を 形することができる。

 本発明の第2の外輪製造方法は、内径面に 複列の外側転走面を有し、外径面の軸方向中 央部に環状凹部が形成された車輪用軸受装置 用の外輪を製造する外輪製造方法であって、 第1の冷間ローリング加工にて、周方向溝を 径面に有する外輪粗加工品を成形する粗加 を行い、その後、第2の冷間ローリング加工 て、転走面の肩高さを増大させる増大工程 含む仕上げ加工を行うものである。

 本発明の第2の外輪製造方法によれば、第 1の冷間ローリング加工にて、周方向溝を外 面に有する外輪粗加工品を成形することが きる。この外輪粗加工品としては、この種 冷間ローリング加工にて成形される従来品 同様の形状に加工される。第2の冷間ローリ グ加工にて、転走面の肩高さを増大させる 大工程を行うので、転動体が肩部に乗り上 りにくい外輪を製造することができる。

 本発明の第3の外輪製造方法は、内径面に 複列の外側転走面を有し、外径面の軸方向中 央部に環状凹部が形成された車輪用軸受装置 用の外輪を製造する外輪製造方法であって、 外径面が軸方向中央部において最大外径とな るクラウニング形状の筒体からなる外輪素材 を用い、第1の冷間ローリング加工にて、周 向溝を外径面に有する外輪粗加工品を成形 る粗加工を行い、その後、第2の冷間ローリ グ加工にて、前記外輪粗加工品の周方向溝 縮小させて環状凹部を形成する環状凹部形 工程及び転走面の肩高さを増大させる増大 程の仕上げ加工を行うものである。

 本発明の第3の外輪製造方法によれば、第 1の冷間ローリング加工にて、周方向溝を外 面に有する外輪粗加工品を成形することが きる。この外輪粗加工品としては、この種 冷間ローリング加工にて成形される従来品 同様の形状に加工される。第2の冷間ローリ グ加工にて環状凹部を形成する環状凹部形 工程及び転走面の肩高さを増大させる増大 程を行うことによって、転動体の荷重作用 の延長線が、外輪の環状凹部とナックルの 径面とで構成される空隙部に対してずれて るとともに、転動体が肩部に乗り上がりに い外輪を成形することができる。

 外輪素材(ブランク)としては、外径面が 方向中央部において最大外径となるクラウ ング形状の筒体を採用することができる。

 外輪としては、SUJ2のズブ焼入れ品であっ ても、SUJ2の高周波焼入れ品であっても、炭 0.40~0.80重量%を含む中高炭素鋼の高周波焼入 品であってもよい。ここで、ズブ焼入れと 、品物全体(深部まで)を電気炉などで必要 温度まで高め,急冷して品物全体を硬い組織 する方法である。高周波焼入れとは、高周 電流の通じているコイルの間に品物を入れ その表面に生じる渦電流に伴うジュール熱 よって品物を加熱した後、急冷して品物全 または表面を硬い組織にする方法である。

 また、第1の冷間ローリング工程後、第2 冷間ローリング工程前に焼なまし工程を行 ものであってもよい。ここで、焼なましと 、適切な温度に加熱及び均熱した後、室温 戻ったときに、平衡に近い組織状態になる うな条件で冷却することからなる熱処理で る。焼なましには、軟化焼なまし、応力除 焼なまし等の種々のものがある。軟化焼な しとは、鉄鋼製品の硬さを所定の水準まで 下させる目的でAcl変態点近傍の温度に加熱 る熱処理である。軟化焼なましは、塑性加 、切削加工の前処理に最適であり、応力除 焼なましは、残留応力の除去に最適である 応力除去焼なましとは、本質的に組織を変 ることなく、内部応力を減らすために、適 な温度へ加熱及び均熱した後、適切な温度 冷却する熱処理である。

 本発明の軸受用内輪の製造方法は、中空 軸受鋼材を冷間ローリングにて内輪構成素 を成形した後、この内輪構成素材をその軸 向中央にて切断して、一対の内輪を形成す ものである。

 本発明の第1の軸受用内輪製造方法によれ ば、冷間ローリングにて成形した内輪構成素 材を、その軸方向中央にて切断すれば、一対 の内輪を形成することができる。このため、 一対の内輪をそれぞれ冷間ローリングにて成 形したことになる。このように冷間ローリン グにて成形すれば、歩留まり及び生産性の向 上を図るとともに、安定した加工精度を得る ことができる。

 本発明の第2の軸受用内輪製造方法は、軸 方向両端部側の内径部に肉厚削減部を有する 軸受用内輪製造方法であって、中空の軸受鋼 材を冷間ローリングにて、軸方向全長にわた ってその肉厚を略同一として、軸方向両端部 側の内径部に非切削加工による肉厚削減部を 形成するものである。

 本発明の第2の軸受用内輪製造方法によれ ば、冷間ローリングを用いるので、歩留まり 及び生産性の向上を図るとともに、安定した 加工精度を得ることができる。しかも、軸方 向全長にわたってその肉厚を略同一として、 軸方向両端部側の内径部に非切削加工による 肉厚削減部を安定して確実に形成することが できる。

 本発明では、冷間ローリング加工にて外 や内輪が成形されるので、製品の歩留まり び生産性の向上を図ることができて、コス 低減を達成できる。しかも、外輪や内輪は 定した加工精度及び長寿命を得ることがで 、軸受の品質向上を達成できる。また、外 や内輪の軽量化を図ることができて、自動 の低燃費化を達成できる。このように、円 状の素材を削り出して成形しないので、切 加工での材料の除去量が減り、材料の無駄 少なくなって、コスト低減を図ることがで る。

 塑性加工品はマルテンサイト系ステンレ 鋼であるので、焼入れ焼戻しにより高強度 び高硬度となる。このため、高品質の製品 提供できる。また、マルテンサイト系ステ レス鋼の耐食性は他の系統のステンレス鋼 りも一般に劣るが、SUJ2に比べて耐食性に優 れ、自動車の車輪用軸受装置等に要求される 耐食性に十分対応することができる。

 塑性加工品の転走面のファイバーフロー 傾きを、転走面の接線方向に対して15°以下 であるように設定することによって、ファイ バーフローは転走面形状に近い形で流れるこ とになる。これによって、転走面における亀 裂や剥離等の発生を抑えることができ、製品 として長寿命化を図ることができる。

 C:0.90~1.20重量%、Si:1.0重量%以下、Mn:1.0重量% 下、P:0.040重量%以下、S:0.030重量%以下、Ni:0.75 重量%以下、Cr:16.0~18.0重量%、Mo:0.75重量%以下 含むマルテンサイト系ステンレス鋼を球状 焼鈍したブランク、又は、C:0.50~0.75重量%、Si :0.5重量%以下、Mn:1.0重量%以下、P:0.030重量%以 、S:0.030重量%以下、Ni:0.60重量%以下、Cr:11.5~1 3.5重量%、Mo:0.50重量%以下を含むマルテンサイ ト系ステンレス鋼を球状化焼鈍したブランク を用いた場合、球状化焼鈍を行うことによっ て、塑性加工や機械加工を容易にし、あるい は機械的性質を改善することができる。この ため、この軸受の生産性の向上を一層図るこ とができ、
しかも、転走面の表面の硬度を焼入れ焼戻し により55~64HRCとすることによって、転動体が 期にわたって安定して転動することができ 。

 塑性加工品が外輪であれば、外径面の軸 向中央部に環状凹部が設けられることにな ので、塑性加工が容易となり、また、軽量 および低コスト化を図ることができる。ま 、塑性加工品中の炭化物を、長径長さをaと し、短径長さをbとしたときに、(a+b)/2≦50μm 規定することによって、粗大な炭化物がな なり、炭化物のサイズを小さくすることが きる。このため、応力集中が生じても亀裂 発生を抑えることができ、しかも、転動時 騒音を少なくできる。さらに、加工精度の 下を防止でき、高品質の加工を行うことが きる。特に、(a+b)/2≦30μmとすることによっ 、一層高品質のものを提供できる。

 本発明の第1の車輪用軸受装置では、客先 で軸受にハブ輪を圧入する工程を省略でき、 客先での組立工数の削減を図ることができて 、組立作業性の向上を図ることができる。ま た、少なくとも外輪の歩留まり及び生産性の 向上を図ることができて、コスト低減を達成 できる。しかも、外輪は安定した加工精度及 び強い強度を得ることができ、軸受の品質向 上を達成できる。

 外輪の内径面の軸方向中央部に内径側に 出する膨出部を設けることによって、内径 に転走面を形成することができ、外輪の成 の容易化を図ることができる。しかも、外 の肉厚を軸方向に沿ってほぼ一定に維持で 、軽量化およびコスト低減を図ることがで る。すなわち、外径面の軸方向中央部の周 向凹部を設けることによって、機能的に無 な部位の肉部を省略することができ、軽量 を達成できる。

 内輪が冷間ローリング成形製やプレス板 であれば、外輪と同様、内輪の歩留まり及 生産性の向上を図ることができて、コスト 減を達成できる。しかも、内輪は安定した 工精度及び強い強度を得ることができ、軸 の全体としての品質向上を達成できる。

 ハブ輪の端部が加締られてハブ輪に圧入 れた転がり軸受の内輪に対して予圧が付与 れるものでは、高品質の回転を得ることが きる。

 焼入鋼切削が施されている外輪では、最 面部に圧縮残留応力を付与させることがで 、疲労強度が向上し、長期にわたって安定 た機能を発揮することができる。

 外輪に外径面に嵌合面が形成されてこの 合面がナックルに圧入されるものでは、組 作業の簡素化を一層図ることができる。

 本発明の第2の車輪用軸受装置では、環状 凹部を構成する部位の肉厚を厚くすることな く、外輪の強度及び剛性を確保することがで きる。このため、軸受装置の軽量化及びコン パクト化を図ることができる。

 本発明の第3の車輪用軸受装置では、軸方 向両端部側の内径部に肉厚削減部を形成して いるので、内輪の軽量化を図ることができて 、低燃費化を達成できる。

 前記ハブ輪の軸部のインボード側の端部 径部を外径方向へ加締めて、この加締部を 記内輪の削減部に係合をさせて、内輪とハ 輪とを一体化したものであれば、軸受を安 してハブ輪に装着することができる。この め、長期にわたって安定したトルク伝達機 を発揮することができる。

 本発明の第1の外輪製造方法では、転動体 の荷重作用線の延長線が、外輪の環状凹部と ナックルの内径面とで構成される空隙部に対 してずれている外輪を成形することができる 。このため、強度及び剛性に優れた外輪を成 形することができる。

 本発明の第2の外輪製造方法では、転動体 が肩部に乗り上がりにくい外輪を成形するこ とができ、この外輪を使用した軸受は安定し た機能を発揮することができる。

 本発明の第3の外輪製造方法では、強度及 び剛性に優れるとともに、転動体が肩部に乗 り上がりにくい外輪を成形することができ、 この外輪を使用した軸受は安定した機能を発 揮することができる。

 このように、本発明の外輪製造方法では 第1の冷間ローリング加工と第2の冷間ロー ング加工とを行うものであり、各工程を無 なく滑らかに行うことができる。このため 各冷間ローリング加工機は負担が少ない加 を行うことができ、耐用寿命を延ばすこと できる。

 第1の冷間ローリング工程は、従来のこの 種の外輪を成形する冷間ローリング工程と同 様であり、外輪粗加工品を成形する冷間ロー リング加工には従来の既存機を使用でき、コ スト低減を図ることができる。

 外輪素材(ブランク)としては、外径面が 方向中央部において最大外径となるクラウ ング形状の筒体を採用することができる。 のようなブランクでは軸方向中央部におい 厚さ寸法が大となっており、周方向溝を縮 させる縮小工程及び肩高さを増大させる増 工程の容易化を図ることができる。

 外輪としては、SUJ2のズブ焼入れ品であっ ても、SUJ2の高周波焼入れ品であっても、炭 0.40~0.80重量%を含む中高炭素鋼の高周波焼入 品であってもよく、この種の外輪に一般的 用いられる材料および熱処理を使用するこ ができる。このため、コスト低減を図るこ ができる。

 第1の冷間ローリング加工工程後、第2の 間ローリング加工前に焼なまし工程を行う のでは、加工性の向上を図ることができ、 品質の製品を提供できる。

 前記第1の軸受用内輪製造方法では、歩留 まり及び生産性の向上を図るとともに、安定 した加工精度を得ることができる。すなわち 、第1の軸受用内輪製造方法では、低コスト て高品質の内輪を安定して提供することが きる。また、前記第2の軸受用内輪製造方法 は、軽量化を図ることができる内輪を安定 て提供することができる。

本発明の第1実施形態を示す複列アンギ ュラ軸受の断面図である。 前記複列アンギュラ軸受の外輪の拡大 断面図である。 前記複列アンギュラ軸受の外輪の焼入 れ鋼切削を行う範囲の拡大断面図である。 前記複列アンギュラ軸受の外輪の製造 程図である。 前記複列アンギュラ軸受の外輪を成形 る冷間ローリング加工機の簡略図である。 ファイバーフローを示し、素材の簡略 断面図である。 ファイバーフローを示し、製品の簡略 断面図である。 外輪の要部のファイバーフローを示す 略図である。 炭化物の簡略図である。 他の形状の素材を用いた場合のファイ バーフローを示し、素材の簡略断面図である 。 他の形状の素材を用いた場合のファイ バーフローを示し、製品の簡略断面図である 。 本発明の第2実施形態を示す複列アンギ ュラ軸受の断面図である。 本発明の外輪製造方法のフローチャー ト図である。 前記図9に示す複列アンギュラ軸受の 輪の製造方法を示し、素材を示す断面図で る。 前記図9に示す複列アンギュラ軸受の 輪の製造方法を示し、外輪粗加工品を示す 面図である。 前記図9に示す複列アンギュラ軸受の 輪の製造方法を示し、製品を示す断面図で る。 前記外輪の製造方法に使用するロー ング加工装置を示し、第1の冷間ローリング 使用されるローリング加工装置の簡略図で る。 前記外輪の製造方法に使用するロー ング加工装置を示し、第2の冷間ローリング 使用されるローリング加工装置の簡略図で る。 本発明の他の外輪製造方法のフローチ ャート図である。 本発明の第3の実施形態を示す複列ア ギュラ軸受の断面図である。 前記図14に示す複列アンギュラ軸受の 輪を成形するための素材を示す簡略図であ 。 前記図14に示す複列アンギュラ軸受の 内輪を成形するための内輪構成素材を示し、 第1の内輪構成素材の簡略断面図である。 前記図14に示す複列アンギュラ軸受の 内輪を成形するための内輪構成素材を示し、 第2の内輪構成素材の簡略断面図である。 前記図14に示す複列アンギュラ軸受の 輪の焼入れ鋼切削を行う範囲の断面図であ 。 本発明の第4の実施形態を示す複列ア ギュラ軸受の断面図である。 本発明の第5の実施形態を示す複列ア ギュラ軸受の断面図である。 本発明の第1実施形態を示す車輪用軸 装置の要部断面図である。 前記図20に示す車輪用軸受装置の軸受 ナックルに圧入された状態の断面図である 前記図19に示す複列アンギュラ軸受を いた車輪用軸受装置の断面図である。 前記図14に示す複列アンギュラ軸受を いた車輪用軸受装置の断面図である。 前記図1に示す複列アンギュラ軸受を いた車輪用軸受装置の断面図である。 本発明の第2実施形態を示す車輪用軸 装置の断面図である。 本発明の第3実施形態を示す車輪用軸 装置の断面図である。 本発明の第4実施形態を示す車輪用軸 装置の断面図である。 本発明の第5実施形態を示す車輪用軸 装置の断面図である。 本発明の第6実施形態を示す車輪用軸 装置の断面図である。 従来の車輪用軸受装置の断面図である 。 前記図30に示す車輪用軸受装置に用い れた複列アンギュラ軸受の断面図である。 前記複列アンギュラ軸受の外輪の製造 方法を示す断面図である。 前記複列アンギュラ軸受の外輪の素 のファイバーフローを示す簡略断面図であ 。 前記複列アンギュラ軸受の外輪の製 のファイバーフローを示す簡略断面図であ 。 従来の複列アンギュラ軸受の内輪の製 造方法を示す断面図である。 従来の複列アンギュラ軸受の内輪の素 材のファイバーフローを示す簡略断面図であ る。 前記図31に示す複列アンギュラ軸受と 様の複列アンギュラ軸受の断面図である。 従来の他の軸受の断面図である。 従来の軸受の外輪の製造方法を示し 素材の断面図である。 従来の軸受の外輪の製造方法を示し 製品の断面図である。 従来の軸受の外輪の製造に使用される 製造装置の簡略図である。

符号の説明

1     ハブ輪
2     軸受
3     等速自在継手
20   筒部(軸部)
20A 軸部
24   内輪
24A,24B内輪
25   外輪
26,27    外側転走面
28,29    内側転走面
30   転動体
34   素材
36A 外輪粗加工品
50   外径面
50a 嵌合面
51   環状凹部
53   周方向凸部(膨出部)
71   肩部
73   内輪構成素材
100 肉厚削減部
K     空隙部
N     ナックル

 以下本発明の実施の形態を図1~図29に基づ いて説明する。図1に第1実施形態の複列アン ュラ軸受を示し、軸受は、内周に複列の外 転走面26、27が形成された外輪25と、外周に 輪25の外側転走面26、27に対向する内側転走 28、29が形成された一対の内輪24A、24Bと、外 輪25の外側転走面26、27と内輪24A、24Bの内側転 走面28、29との間に転動自在に収容された複 の転動体30とを備える。転動体30は外輪25と 輪24A、24Bとの間に介在される保持器31に保持 される。転がり軸受の両開口部(外輪25と内輪 24A、24Bとの間の開口部)にはシール部材Sが装 されている。

 外輪25は、図2に示すように、外径面50の 方向中央部に環状凹部51が形成され、これに 対応して内径面52の軸方向中央部に周方向凸 (膨出部)53が設けられている。そして、この 周方向凸部53の両側に外側転走面26、27が形成 され、さらに、外側転走面26、27の外側にシ ル溝54、55が形成されている。

 一方の内輪24Aと、他方の内輪24Bとは共通 部品にて構成できる。なお、この軸受2は、 車輪用軸受装置に使用するものであるので、 一方の内輪24Aをアウトボード側の内輪24と呼 、他方の内輪24Bをインボード側の内輪24と ぶ。車両に組み付けた状態で車両の外側寄 となる側をアウトボード側(図面左側)と呼び 、中央寄りをインボード側(図面右側)と呼ぶ 図1に示すように、内輪24(24A、24B)は、厚肉 85と薄肉部86とを有する短円筒体からなり、 肉部85と薄肉部86との間の外径面に転走面28( 29)が形成される。厚肉部85の外径面がシール 着面63となる。

 次にこの転がり軸受の外輪25の製造方法 説明する。この外輪製造方法は、図3に示す うに、長尺状のパイプ材Pを所定寸に切断し 旋削して、短寸の素材34を成形する。その後 この素材34に対して冷間ローリング加工を うことになる。冷間ローリング(冷間転造)と は、熱を加えずに冷たいまま(常温)で素材(ブ ランク)を回転させながら圧延していく加工 法である。すなわち、内外径がワーク(加工 の完成品)より小さな、基本的に内外径スト レートなブランク(素材)を、加工したい形状 設計された2つの治具(内径用と外径用)には んで回転させながら圧延(転造)し、ワーク 形成する加工方法である。

 素材34としては、C:0.90~1.20重量%、Si:1.0重 %以下、Mn:1.0重量%以下、P:0.040重量%以下、S:0. 030重量%以下、Ni:0.75重量%以下、Cr:16.0~18.0重量 %、Mo:0.75重量%以下を含むマルテンサイト系ス テンレス鋼Aを球状化焼鈍したものを使用す ことができる。ここで、球状化焼鈍とは、 中の炭化物を球状にし、均一に分散させる 処理である。このため、球状化焼鈍を行う とによって、塑性加工や機械加工を容易に 、あるいは機械的性質を改善することがで る。

 この場合、Si量を1.0重量%以下としたのは 冷間ローリング加工性の向上を図るためで る。また、C量を0.90~1.20重量%としたのは、 受の外輪として必要な焼入れ焼戻し後の硬 を確保するためである。

 また、素材34としては、C:0.50~0.75重量%、Si :0.5重量%以下、Mn:1.0重量%以下、P:0.030重量%以 、S:0.030重量%以下、Ni:0.60重量%以下、Cr:11.5~1 3.5重量%、Mo:0.50重量%以下を含むマルテンサイ ト系ステンレス鋼Bを球状化焼鈍したもので ってもよい。

 この場合も、Si量を0.5重量%以下としたの 、冷間ローリング加工性の向上を図るため ある。また、C量を0.50~0.75重量%としたのは 軸受の外輪として必要な焼入れ焼戻し後の 度を確保するためである。なお、マルテン イト系ステンレス鋼Bの場合、マルテンサイ 系ステンレス鋼Aよりも炭化物が小さくなる 。

 冷間ローリング工程では、図4に示すよう なローリング装置にて冷間ローリング加工を 行う。ローリング装置は、内径用のマンドレ ル47と、外径用の成形ロール48とを備える。 ンドレル47の外周面に、外輪25の内径面を成 する外輪内径面成形部67が形成され、成形 ール48の外径面に、外輪25の外径面を成形す 外輪外径面成形部68が形成されている。

 外輪内径面成形部67は、転走面成形部67a 67aと、シール溝成形部67b,67bとを備える。ま 、外輪外径面成形部68は、環状凹部成形部68 aと、外径面成形部68b、68bとを備える。

 この場合、マンドレル47に、図5Aに示す円 筒状の素材34を外嵌し、マンドレル47と成形 ール48とで素材34を挟んだ状態で、成形ロー 48をその軸心廻りに回転させる。これによ て、外輪25を成形することができる。

ところで、素材34におけるファイバーフロ Fは、図5Aに示すように、軸方向に沿った流 となっている。このため、冷間ローリング て成形された外輪25のファイバーフローFは 図5Bに示すような流れになっている。

 この場合、図6に示すように、塑性加工品 の転走面のファイバーフローの傾きが転走面 26(27)の肩部乃至その近傍を除いて、転走面26( 27)の接線方向に対して15°以下である。すな ち、転走面26(27)の曲率中心O(図5B参照)からフ ァイバーフローFの断面が析出している点P1ま での直線Lで結び、その直線Lと点P1との交点 おける直線Lとの直交線Tと、点P1でのファイ ーフローFの接線T1とが成す角度αが15°以下 あることである。

 また、塑性加工品である外輪25中の炭化 は、長径長さをaとし、短径長さをbとしたと きに、(a+b)/2≦50μmである。図7に示すように 長径長さとは長手方向の最大長さであり、 径長さとは短手方向(長手方向と直交する方 )の長さの最大長さである。

 素材34としては、図8Aに示すような形状の ものであってもよい。すなわち、この素材34 、その外径面34aが円筒面であるが、その内 面34bが軸方向中央部の小径部37と、この小 部37の両側に設けられる中径部38a、38bと、軸 方向端部に設けられる大径部39a、39bとを備え る。

 この素材34を使用すれば、中径部38a、38b 転走面26、27を構成し、大径部39a、39bがシー 溝54、55を構成することになる。このため、 各部位の変形量を小さくでき、加工性の向上 を図ることができる。また、この素材34にお るファイバーフローFは、図8Aに示すように 軸方向に沿った流れとなっている。このた 、冷間ローリングにて成形された外輪25の ァイバーフローFは、図8Bに示すような流れ なっている。

 また、小径部37にて第1の周方向凸隆部35 形成され、中径部38a、38bにて第2の周方向凸 部36が形成される。そして、この第1の周方 凸隆部35が転走面26、27間の肩部71を構成す ことになり、第2の周方向凸隆部36にてカウ タボア72(各転走面26、27におけるシール溝54 55側に形成される肩部)を構成することにな 。

 このように、ブランク34が内径面に転走 間の肩部71を構成する第1の周方向凸隆部35を 備えたものであれば、外輪肩部(軌道面肩部) 充足具合がよくなり、微小クラックの発生 抑えることができる。これにより、車両の 回走行時にタイヤからのモーメント荷重に り軸受が傾き、転動体30が肩部71の近くを通 る場合にも、微小クラックがないため、転動 寿命に悪影響を与えることがない。しかも肩 部71の不充足により、乗上げ状況に個体差が 生することもない。

 カウンタボア72の段が圧延(ローリング)開 始時にマンドレル47の凹部(カウンタボア形成 部75、75(図4参照))に入ることで、素材34が成 ロール48とマンドレル47の空間の幅方向の丁 中央に位置することができ、圧延初期の挙 が安定する。これにより、圧延が左右均等 されることになり、充足具合も左右均等と る。すなわち、クラックが発生し易い場所 充足させることができる。成形された製品 高品質となる。

 しかも、「充足不足を解消するために、 ランクの肉厚を大として、転走面の肩部等 成形し、その後、旋削する」という従来に いて行われていた作業を行うことがなくな て、生産性の向上及びコスト低減を図るこ ができる。

 ローリング加工後は、加熱炉や高周波加 等で焼入れ焼戻しして全体または表面を硬 させた後、切削加工を行う。この場合、図2 Bの破線で示すように、軸方向端部のシール 54、55、転走面26、27、両端面56、57、及び外 面50の切削を行う。このため、これらの切削 を焼入鋼切削と呼ぶことができる。すなわち 、焼入鋼切削は、単に切削のことであり、切 削は通常生材の状態で行うので、熱処理後( 入れ焼戻し後)の切削であることを明確にす ために焼入鋼切削と称した。焼入れ焼戻し に切削を行うため、素材の熱処理変形をこ 切削過程で除去することができる。焼入れ 戻しを行うと、引張残留応力が残り易く、 のままでは疲労強度が低下する。このため 表面を切削すれば、最表面部に圧縮残留応 を付与させることができ、これにより疲労 度が向上する。この場合、少なくとも転走 26、27の底面の硬度を55~64HRCとする。切削加 の後は、シール溝54、55、転走面26、27、外 面50の研削加工を行ない、その後軸受に組み 立てる。研削加工時には、両端面56、57も研 してもよい。また、加工工程を、熱処理後 焼入鋼切削ではなく、ローリング加工後に 材の状態で旋削を行う、従来の工程として よい。

 本発明の複列アンギュラ軸受では、冷間 ーリング加工にて外輪25が成形されるので 製品の歩留まり及び生産性の向上を図るこ ができて、コスト低減を達成できる。しか 、外輪25は安定した加工精度及び長寿命を得 ることができ、軸受の品質向上を達成できる 。また、外輪25の軽量化を図ることができて 自動車の低燃費化を達成できる。このよう 、円筒状の素材を削り出して成形しないの 、切削加工での材料の除去量が減り、材料 無駄が少なくなって、コスト低減を図るこ ができる。

 塑性加工品はマルテンサイト系ステンレ 鋼であるので、焼入れ焼戻しにより高強度 び高硬度となる。このため、高品質の製品 提供できる。また、マルテンサイト系ステ レス鋼の耐食性は他の系統のステンレス鋼 りも一般に劣るが、SUJ2に比べて耐食性に優 れ、自動車の車輪用軸受装置等に要求される 耐食性に十分対応することができる。

 塑性加工品の転走面のファイバーフローF の傾きを、転走面26、27の接線方向に対して15 °以下であるように設定することによって、 ァイバーフローFは転走面形状に近い形で流 れることになる。これによって、転走面26、2 7における亀裂や剥離等の発生を抑えること でき、製品として長寿命化を図ることがで る。

 マルテンサイト系ステンレス鋼を球状化 鈍したブランクを用いた場合、球状化焼鈍 行うことによって、塑性加工や機械加工を 易にし、あるいは機械的性質を改善するこ ができる。このため、この軸受の生産性の 上を一層図ることができ、しかも、転走面 表面の硬度を焼入れ焼戻しにより55~64HRCと ることによって、転動体が長期にわたって 定して転動することができる。

 ところで、大きな炭化物(共晶炭化物)が 在すると、そこに応力集中すれば、亀裂が 生し易くなくなる。長径長さをaとし、短径 さをbとしたときに、(a+b)/2≦50μmと規定する ことによって、炭化物のサイズを小さくする ことができる。このため、応力集中が生じて も亀裂の発生を抑えることができ、しかも、 転動時の騒音を少なくできる。さらに、加工 精度の低下を防止でき、高品質の加工を行う ことができる。特に、(a+b)/2≦30μmとすること によって、一層高品質のものを提供できる。

 次に図9は第2実施形態を示し、この場合 前記図1に示す複列アンギュラ軸受に比べて 外輪25の環状凹部51が小さくなっている。こ れは、後述するように、この複列アンギュラ 軸受を車輪用軸受装置に用いた場合、ナック ルN(図22等参照)に圧入した際に形成される空 部Kに、転動体の荷重作用線L1、L2が交差し いことになる。

 この図9に示す複列アンギュラ軸受の外輪 の製造方法を説明する。この外輪製造方法は 、図10に示すように、第1の冷間ローリング工 程17と、第2の冷間ローリング工程18とを備え 。ここで、冷間ローリング(冷間転造)とは 熱を加えずに冷たいまま(常温)で素材(ブラ ク)を回転させながら圧延していく加工方法 ある。すなわち、内外径がワーク(加工後の 完成品)より小さな、基本的に内外径ストレ トなブランク(素材)を、加工したい形状に設 計された2つの治具(内径用と外径用)にはさん で回転させながら圧延(転造)し、ワークを形 する加工方法である。

 第1の冷間ローリング工程17は、図11Bに示 ように周方向溝35aを外径面に有する外輪粗 工品36Aを成形する粗加工を行うものである また、第2の冷間ローリング工程18は、図11C 示すように外輪粗加工品36Aの周方向溝35aを 小させて環状凹部51を形成する環状凹部形 工程を含む仕上げ加工を行うものである。

 この場合のブランク(外輪素材)34は図11Aに 示すように、その外径面34aが軸方向中央部が 最大外径となるクラウニング形状の短円筒体 からなる。また、このブランク34の内径面34b 、軸方向中央部の小径部37と、この小径部37 の軸方向両側の中径部38a、38bと、開口部側の 大径部39a、39bとを備える。

 外輪素材34の材料がSUJ2で冷間ローリング 程後の熱処理がズブ焼入れであっても、SUJ2 で熱処理が高周波焼入れであっても、炭素0.4 0~0.80重量%を含む中高炭素鋼で熱処理が高周 焼入れであってもよい。ここで、ズブ焼入 とは、品物全体(深部まで)を電気炉などで必 要な温度まで高め,急冷して品物全体を硬い 織にする方法である。高周波焼入れとは、 周波電流の通じているコイルの間に品物を れ、その表面に生じる渦電流に伴うジュー 熱によって品物を加熱した後、急冷して品 全体または表面を硬い組織にする方法であ 。

 第1の冷間ローリング工程17では、図12Aに すようなローリング装置にて冷間ローリン 加工を行う。ローリング装置は、内径用の ンドレル47と、外径用の成形ロール48とを備 える。マンドレル47の外周面に、外輪25の内 面を成形する外輪内径面成形部67が形成され 、成形ロール48の外径面に、外輪25の外径面 成形する外輪外径面成形部68が形成されてい る。

 外輪内径面成形部67は、転走面形成部67a,6 7aと、シール溝形成部67b,67bとを備える。また 、外輪外径面成形部68は、環状凹部形成部68a 、シール装着部外径形成部68c、68cとを備え 。

 この場合、マンドレル47に素材34を外嵌し 、マンドレル47と成形ロール48とで素材34を挟 んだ状態で、成形ロール48をその軸心廻りに 転させる。これによって、図11Bに示すよう 外輪粗加工品36Aを成形することができる。

 第2の冷間ローリング工程18では、図12Bに すようなローリング装置にて冷間ローリン 加工を行う。ローリング装置は、内径用の ンドレル82と、外径用の成形ロール83とを備 える。マンドレル82の外周面に、外輪25の内 面を成形する外輪内径面成形部98が形成され 、成形ロール83の外径面に、外輪25の外径面 成形する外輪外径面成形部99が形成されてい る。

 外輪内径面成形部98は、転走面形成部98a,9 8aと、シール溝形成部98b,98bとを備える。また 、外輪外径面成形部99は、環状凹部形成部99a 、嵌合面形成部99b,99bとを備える。

 この場合、マンドレル82に素材(外輪粗加 品)36Aを外嵌し、マンドレル82と成形ロール8 3とで外輪粗加工品36Aを挟んだ状態で、成形 ール83をその軸心廻りに回転させる。これに よって、図11Cに示すような外輪25を成形する とができる。

 このように、外輪製造方法は、まず図11A 示す素材34を成形した後、図10に示すように 、第1の冷間ローリング工程17を行って、図11B に示すような外輪粗加工品36Aを成形する。そ の後、第2の冷間ローリング工程18を行って、 図11Cに示すような外輪25を成形することにな 。

 すなわち、素材34の中径部38a,38bが転走面2 6、27となり、素材34の大径部39a、39bがシール 54、55となる。また、素材34の外径面の軸方 中央部に外輪粗加工品36Aの周方向溝35aが形 され、この周方向溝35aが外輪25の環状凹部51 となる。また、外輪粗加工品36Aの開口部の肉 厚をt1とし、外輪25の開口部の肉厚をt2とした 場合、t1>t2である。外輪粗加工品36Aの肩高 をd1とし、外輪25の肩高さをd2とした場合、d 1<d2である。外輪粗加工品36Aの外径寸法をD1 とし、外輪25の外径寸法をD2とした場合、D1< ;D2である。外輪粗加工品36Aの周方向溝の荷重 作用線L1、L2方向の肉厚をT11とし、外輪25の環 状凹部の荷重作用線L1、L2方向の肉厚をT12と た場合、T11<T12である。すなわち、外輪粗 工品36Aと外輪25とを比べた場合、外輪25の環 状凹部51の荷重作用線L1、L2方向の肉厚T12が外 輪粗加工品36Aの周方向溝35aの荷重作用線L1、L 2方向の肉厚T11よりも大きくなって、外輪25の 他の肉厚が外輪粗加工品36Aの他の肉厚よりも 小さくなっている。また、外輪25の肩高さd2 外輪粗加工品36Aの肩高さd1よりも大きくなっ ている。

 このように、第2の冷間ローリング工程18 は、外輪粗加工品36Aの周方向溝35aを縮小さ て、環状凹部51を形成する環状凹部形成工 及び転走面26、27の肩高さを増大させる増大 程の仕上げ加工を行うことになる。

 このため、外輪粗加工品36Aでは、転動体 荷重作用線L1、L2が周方向溝35aの底面に交差 するのに対して、外輪25では、転動体の荷重 用線L1、L2の外径面の交点が環状凹部51外に 置する。このため、図22に示すように、こ 外輪25が使用された軸受をナックルNに圧入 た際に形成される空隙部Kに、転動体の荷重 用線L1、L2が交差しないことになる。

 この図11および図12に示す外輪25の製造方 であっても、冷間ローリング成形にて外輪2 5が成形されるので、製品の歩留まり及び生 性の向上を図ることができて、コスト低減 達成できる。しかも、外輪25は安定した加工 精度及び強い強度を得ることができ、軸受2 品質向上を達成できる。また、外輪25の軽量 化を図ることができて、低燃費化を達成でき る。

 また、環状凹部51の底壁を構成する部位 肉厚を厚くすることなく、外輪25の強度及び 剛性を確保することができる。このため、軸 受装置の軽量化及びコンパクト化を図ること ができる。

 前記外輪製造方法では、転動体30の荷重 用線の延長線L1、L2が、環状凹部51とナック Nの内径面80とで構成される空隙部Kに対して れている外輪25を成形することができる。 のため、強度及び剛性に優れた外輪を成形 ることができる。

 また、この外輪製造方法では、第1の冷間 ローリング加工17と第2の冷間ローリング加工 18とを行うものであり、各工程を無理なく滑 かに行うことができる。このため、各冷間 ーリング加工機は負担が少ない加工を行う とができ、耐用寿命を延ばすことができる

 第1の冷間ローリング工程17は、従来のこ 種の外輪を成形する冷間ローリング工程と 様であり、外輪粗加工品36Aを成形する冷間 ーリング加工には従来の既存機を使用でき コスト低減を図ることができる。しかも、 2の冷間ローリング工程18では、転走面26、27 の肩高さを増大させる増大工程を行うので、 この転走面26、27での転動体30の肩乗り上げを 防止でき、この外輪25を使用した軸受2は安定 した機能を発揮することができる。

 実施形態のように、外輪素材(ブランク)34 としては、外径面が軸方向中央部において最 大外径となるクラウニング形状の筒体を採用 すれば、このようなブランク34では軸方向中 部において厚さ寸法が大となっており、周 向溝35aを縮小させる縮小工程及び肩高さを 大させる増大工程の容易化を図ることがで る。

 外輪素材の材料がSUJ2で冷間ローリング工 程後の熱処理がズブ焼入れであっても、SUJ2 熱処理が高周波焼入れであっても、炭素0.40~ 0.80重量%を含む中高炭素鋼で熱処理が高周波 入れであってもよく、この種の外輪に一般 に用いられる材料および熱処理を使用する とができる。このため、コスト低減を図る とができる。

 前記第2の冷間ローリング工程18では、外 粗加工品36Aの周方向溝35aを縮小させて環状 部51を形成する環状凹部形成工程及び転走 26、27の肩高さを増大させる増大工程を行っ いたが、他の実施形態として、転走面26、27 の肩高さを増大させる増大工程を行わないも のであってもよい。

 ところで、外輪製造方法において、図13 示すように、第1の冷間ローリング工程17後 、第2の冷間ローリング工程18前に焼なまし 程19を行ってもよい。ここで、焼なましとは 、適切な温度に加熱及び均熱した後、室温に 戻ったときに、平衡に近い組織状態になるよ うな条件で冷却することからなる熱処理であ る。焼なましには、軟化焼なまし、応力除去 焼なまし等の種々のものがある。軟化焼なま しとは、鉄鋼製品の硬さを所定の水準まで低 下させる目的でAc1変態点近傍の温度に加熱す る熱処理である。応力除去焼なましとは、本 質的に組織を変えることなく、内部応力を減 らすために、適切な温度へ加熱及び均熱した 後、適切な温度で冷却する熱処理である。軟 化焼なましは、塑性加工、切削加工の前処理 に最適であり、応力除去焼なましは、残留応 力の除去に最適である。

 次に図14は第3実施形態を示し、この場合 転がり軸受2は、図14に示すように、内周に 列の外側転走面26,27が形成された外輪25と、 外周に外輪25の外側転走面26,27に対向する内 転走面28,29が形成された一対の内輪24A、24Bと 、外輪25の外側転走面26,27と内輪24A、24Bの内 転走面28,29との間に転動自在に収容された複 列の転動体30とを備える。転動体30は外輪25と 内輪24A、24Bとの間に介在される保持器31に保 される。転がり軸受2の両開口部(外輪25と内 輪24A、24Bとの間の開口部)にはシール部材Sが 着されている。

 外輪25は、内径面の軸方向中央部に周方 凸部(膨出部)53が設けられて、周方向凸部53 両側に外側転走面26,27が形成されている。ま た、外側転走面26,27の外側にシール溝54,55が 成されている。外輪25の外径面50が後述する うに、ナックルNに圧入される嵌合面50aとな る。外輪25の材質としては、SCr420やSCM415等の 炭鋼、SUS440Cや冷間圧延鋼やS53C等の炭素鋼 SUJ2等の軸受鋼等を用いることができる。そ 製造方法としては、図31に示す従来の外輪 同様である。

 アウトボード側の内輪24Aと、インボード の内輪24Bとは共通の部品にて構成できる。 お、車両に組み付けた状態で車両の外側寄 となる側をアウトボード側(図面左側)と呼 、中央寄りをインボード側(図面右側)と呼ぶ 。

 内輪24(24A,24B)は、図17に示すように、大径 部60と、小径部61と、大径部60と小径部61との のテーパ状部62とからなる。この場合、大 部60の外径面がシール装着面63となり、テー 状部62の外径面が転走面28(29)となる。この め、内輪24(24A,24B)は、図30等に示す内輪158,159 に比べて、軸方向両端部側の内径部に肉厚削 減部100が形成された形状となっている。また 、小径部61の内径面がハブ輪嵌合面64となる

 内輪24も、外輪25と同様、素形状の内輪素 材を、冷間ローリングにより成形する。この 素材を、加熱炉や高周波加熱等で焼入れ焼戻 しして全体または表面を硬化させた後、切削 加工を行う。すなわち、焼入鋼切削を行う。 この場合、図17の破線で示すように、内径面6 4、両端面65、66、シール装着面63、及び内側 走面28(29)が焼入鋼切削される。切削加工は 熱処理後の焼入鋼切削ではなく、ローリン 加工後に生材の状態で旋削を行なう、従来 工程としてもよい。

 また、内輪24の素材としても、外輪25の素 材と同様のマルテンサイト系ステンレス鋼を 、球状化焼鈍したものを用いる。また、少な くとも転走面28(29)の硬度を55~64HRCとする。

 前記成形方法では、素材として一個の内 を取り出すものであるが、一つの素材にて 対の内輪を取り出すものであってもよい。 なわち、一対の内輪の取り出し可能な図15 示すような円筒体の素材70を成形して、図16A に示すように、冷間ローリングにて内輪構成 素材73(一対の内輪が一体連結された形状のも の)を成形する。すなわち、この内輪構成素 73は、軸方向中央の円筒状の本体部74と、こ 本体部74の両端にテーパ部75a、75bを介して 設される端部大径部76a、76bとを有する円筒 から構成される。

 このように構成した内輪構成素材73をそ 軸方向中央で切断して、一対の内輪24(24A)、2 4(24B)を成形する。すなわち、中央線L0に沿っ 内輪構成素材73を切断することになる。こ 際、内輪構成素材73を、加熱炉や高周波加熱 等で焼入れ焼戻しして全体または表面を硬化 させた後、切断及び切削加工を行う。端部大 径部76aが内輪24の大径部60となり、小径の本 部74が内輪24の小径部61となり、テーパ部75a(7 5b)の外径面が内輪24の内側転走面28(29)となる また、内径面64、両端面65、66、シール装着 63、及び内側転走面28(29)が焼入鋼切削され 。なお、内輪構成素材73を2つに切断する作 は、熱処理前であっても熱処理後であって よい。また、切削加工は、熱処理後の焼入 切削ではなく、ローリング加工後に生材の 態で旋削を行なう、従来の工程としてもよ 。

 内輪構成素材73としては、図16Bに示すよ な形状のものであってもよい。この場合の 輪構成素材73は、軸方向中央部の大径部77と この大径部77の両端にテーパ部78a、78bを介 て連設される端部小径部79a、79bとを有する 筒体から構成される。

 塑性加工による成形後に中央線L0に沿っ 内輪構成素材73を切断することになる。この 際、内輪構成素材73を、加熱炉や高周波加熱 で焼入れ焼戻しして全体または表面を硬化 せた後、切断及び切削加工を行う。なお、 輪構成素材73を2つに切断する作業は、熱処 前であっても熱処理後であってもよい。ま 、切削加工は、熱処理後の焼入鋼切削では く、ローリング加工後に生材の状態で旋削 行なう、従来の工程としてもよい。また、 16Aに示す内輪構成素材73では、その切断端 が小径側の端面66となるのに対して、図16Bに 示す内輪構成素材73では、その切断端面が大 側の端面65となる。

 このように、図15に示すような素材70を使 用すれば、一度に一対の内輪24を成形するこ ができ、生産性の向上を図ることができる なお、内輪24としては、冷間ローリング加 以外にプレス加工であってもよい。

 このように、内輪24A,24Bが冷間ローリング (冷間転造)にて成形されるので、内輪24の材 の歩留まりの向上等を図ることができる。 なわち、冷間ローリングは、素材の余計な 分を削り落としていく切削加工とは異なり 製品外径より細い素材を盛り上げて成形す ことができ、材料のムダが少ない。また、 工時間が短いことと、工具が長寿命である となどから、切削加工と比べて生産性が高 なる。さらに、使用する工具(マンドレル、 形ロール)は加工品に応じて取り替える必要 があるが、安定した加工精度を得ることがで きる。さらには、切削加工とは異なり、ファ イバーフロー(繊維状金属組織)が切断されな 。そのため、加工製品は強い強度を得るこ ができる。

 このように、本発明の車輪用軸受装置は 内輪24A、24Bの歩留まり及び生産性の向上を ることができて、コスト低減を達成できる しかも、内輪24A、24Bは安定した加工精度及 強い強度を得ることができ、軸受の品質向 を達成できる。また、軸方向両端部側の内 部に肉厚削減部100を形成しているので、内 24A、24Bの軽量化を図ることができて、低燃 化を達成できる。

 ところで、前記内輪24A、24Bは図14等に示 形状であるので、冷間ローリング加工以外 プレス加工等の塑性加工にて成形すること できる。内輪24A、24Bがプレス加工であって 、歩留まり及び生産性の向上を図るととと に、安定した加工精度を得ることができる

 本発明の内輪製造方法では、冷間ローリ グにて成形した内輪構成素材73を、その軸 向中央にて切断すれば、一対の内輪24A、24B 形成することができる。このため、一対の 輪24A、24Bをそれぞれ冷間ローリングにて成 したことになる。このように冷間ローリン にて成形すれば、歩留まり及び生産性の向 を図るととともに、安定した加工精度を得 ことができる。

 しかも、軸方向全長にわたってその肉厚 略同一として、軸方向両端部側の内径部に 切削加工による肉厚削減部100を安定して確 に形成することができるので、製造された 輪の軽量化を図ることができる。

 次に図18は複列アンギュラ軸受の第4実施 態を示し、この場合、図1に示す複列アンギ ュラ軸受の外輪25と図14に示す複列アンギュ 軸受の内輪24を用いたものである。図19に示 複列アンギュラ軸受の第4実施形態では、図 9に示す複列アンギュラ軸受の外輪25と図14に す複列アンギュラ軸受の内輪24を用いたも である。

 図20、21は前記図18に示す複列アンギュラ 受を用いた車輪用軸受装置である。この車 用軸受装置は、ハブ輪1と、複列の転がり軸 受2と、等速自在継手3とが一体化されてなる

 等速自在継手3は、図21に示すように、外 継手部材としての外輪5と、外輪5の内側に された内側継手部材としての内輪6と、外輪5 と内輪6との間に介在してトルクを伝達する 数のボール7と、外輪5と内輪6との間に介在 てボール7を保持するケージ8とを主要な部材 として構成される。内輪6はその軸孔内径6aに 図示省略のシャフトの端部を圧入することに よりスプライン嵌合してシャフトとトルク伝 達可能に結合されている。

 外輪5はマウス部11とステム部(軸部)12とか らなり、マウス部11は一端にて開口した椀状 、その内球面13に、軸方向に延びた複数の ラック溝14が円周方向等間隔に形成されてい る。そのトラック溝14はマウス部11の開口端 で延びている。内輪6は、その外球面15に、 方向に延びた複数のトラック溝16が円周方向 等間隔に形成されている。

 外輪5のトラック溝14と内輪6のトラック溝 16とは対をなし、各対のトラック溝14,16で構 されるボールトラックに1個ずつ、トルク伝 要素としてのボール7が転動可能に組み込ん である。ボール7は外輪5のトラック溝14と内 6のトラック溝16との間に介在してトルクを 達する。この場合の等速自在継手は、ツェ ー型を示しているが、各トラック溝の溝底 直線状のストレート部を有するアンダーカ トフリー型等の他の等速自在継手であって よい。

 等速自在継手3の外輪5及び内輪6は、例え 、S53C等の炭素0.40~0.80wt%を含む中炭素鋼から なり、トラック溝14、16及び外輪5のマウス部1 1の肩部(底壁外面11a)から軸部12の外周面(外径 面)に高周波焼入れ等によって硬さが58~64HRC程 度となる硬化処理が施されている。

 ハブ輪1は、筒部20と、筒部20の反継手側 端部に設けられるフランジ21とを有する。ま た、ハブ輪1の筒部20の孔部22に外輪5の軸部12 挿入される。軸部12は、その反マウス部の 部にねじ部40が形成され、このねじ部40とマ ス部11との間にスプライン部41が形成されて いる。また、ハブ輪1の筒部20の内周面(内径 )にスプライン部42が形成され、この軸部12が ハブ輪1の筒部20に挿入された際には、軸部12 のスプライン部41とハブ輪1側のスプライン 42とが係合する。

 そして、筒部20から突出した軸部12のねじ 部40にナット部材43が螺着され、ハブ輪1と外 5とが連結される。この際、ハブ輪1の反マ ス部側の端面45には、孔部22の開口部に沿っ 凹窪部46が設けられ、この凹窪部46にナット 部材43の座部が当接している。ハブ輪1のフラ ンジ21にはボルト装着孔32が設けられて、ホ ールおよびブレーキロータ90をこのフランジ 21に固定するためのハブボルト33がこのボル 装着孔32に装着される。なお、ハブ輪1は、 えば、S53C等の炭素0.40~0.80wt%を含む中炭素鋼 らなり、少なくとも筒部20の外径面20a乃至 面101に高周波焼入れ等によって硬さが58~64HRC 程度となる硬化処理が施されている。

 次に、前記のように構成される車輪用軸 装置の組立方法を説明する。まず、図20に すように、ハブ輪1に軸受2が組み込まれたユ ニット体を構成する。すなわち、組立てられ た状態の軸受2の内輪24A,24Bの嵌合面64,64をハ 輪1の筒部20の外径面20aに圧入する。この際 内輪24Aの端面65がハブ輪1の端面101に当接す 。

 このように組立てられたユニット体と、 速自在継手3の外輪5とを連結する。この際 外輪5のステム軸部12をハブ輪1の孔部22に挿 し、孔部22からアウトボード側に突出したね じ部40にナット部材43を螺着する。これによ て、図21に示すように、マウス部11の底壁外 11aがインボード側の内輪24Bの端面65に当接 る。

 このため、一対の内輪24A、24Bが、その小 側の端面66、66である突合面が突合わされた 状態で、ボス部端面101とマウス部11の底壁外 11aとの間に挟まれ、内輪24A、24Bに予圧を付 することができる。

 このように構成された車輪用軸受装置は 転がり軸受2の外輪25のナックル嵌合面50aを ナックルNの内径面80に圧入することになる この場合、ナックル嵌合面50aの外径寸法D11 、ナックルNの内径面80の内径寸法D10よりも かに大きく設定する。すなわち、ナックル 合面50aとナックル内径面80との締代によっ 、ナックルNと外輪25との相対的な軸方向及 周方向のずれを規制するように設定する。

 この場合、例えば、外輪25とナックルNと 間のハメアイ面圧/ハメアイ面積をハメアイ 荷重としたときに、このハメアイ荷重をこの 転がり軸受の等価ラジアル荷重で割った値を クリープ発生限界係数とし、このクリープ発 生限界係数を予め考慮して、外輪25の設計仕 が設定される。

 このため、ナックル嵌合面50aとナックル 径面80との締代によって、外輪25の軸方向の 抜け及び周方向のクリープを防止できる。こ こで、クリープとは、嵌合締代の不足や嵌合 面の加工精度不良等により軸受が周方向に微 動して嵌合面が鏡面化し、場合によってはか じりを伴い溶着することをいう。

 また、ナックル内径面80に、内径側に突 する膨出部81が設けられ、アウトボード側か ら軸受2を圧入することによって、外輪25のイ ンボード側の端面25aが膨出部81に当接してい 。

 図21に示すように、ハブ輪1にはブレーキ ータ90が装着される。ブレーキロータ90は、 軸心孔108を有する短円筒状の中心装着部109を 備え、この中心装着部109がハブ輪1のフラン 21に当接する。

 中心装着部109は、貫孔を有する円盤部111 、この円盤部111の外径部からインボード側 延びる短円筒状部112とを有する。円盤部111 貫孔の周縁部には、アウトボード側へ延び 外鍔部113が設けられ、この外鍔部113の内径 と円盤部111の貫孔でもって、前記軸心孔108 構成される。

 この場合、ハブ輪1のアウトボード側の端 面(筒部20のアウトボード側の端面45と、これ 連続して同一平面上に配設されるフランジ2 1のアウトボード側の端面とで構成されるハ 輪端面)に円盤部111が当接するとともに、ハ 輪1のフランジ21の外径部21aに短円筒状部112 円盤部111側の内径面が当接する。すなわち ハブ輪1のフランジ21の外径部21aが、このブ ーキロータ90を案内するブレーキパイロッ 部95を構成する。なお、円盤部111には、ハブ ボルト33が挿通される貫通孔96が設けられて る。

 このように、ブレーキロータ90が装着さ ることによって、外鍔部113の外径面が、図 省略のホイールの内周に嵌合するホイール イロット部97を構成することになる。

 本発明の車輪用軸受装置は、組立られた 態の転がり軸受2がハブ輪1に圧入により一 化されるものであるので、客先(自動車の組 工場等)において、軸受2にハブ輪1を圧入す 工程を省略することができる。このため、 先での組立工数の削減を図ることができて 組立作業性の向上を図ることができる。

 外輪25が冷間ローリング(冷間転造)にて成 形されるので、外輪25の歩留まり及び生産性 向上を図ることができて、コスト低減を達 できる。しかも、外輪25は安定した加工精 及び強い強度を得ることができ、軸受2の品 向上を達成できる。本発明では、内輪24も 間ローリング成形製やプレス板製であるの 、外輪25と同様、内輪の歩留まり及び生産性 の向上を図ることができて、コスト低減を達 成できる。しかも、内輪24は安定した加工精 及び強い強度を得ることができ、軸受の全 としての品質向上を達成できる。

 外輪25の内径面の軸方向中央部に内径側 膨出する膨出部53を設けることによって、内 径面に転走面26,27を形成することができ、外 25の成形の容易化を図ることができる。し も、外輪25の肉厚を軸方向に沿ってほぼ一定 に維持でき、軽量化およびコスト低減を図る ことができる。すなわち、外輪25の外径面の 方向中央部の周方向凹部51を設けることに って、機能的に無駄な部位の肉部を省略す ことができ、軽量化を達成できる。

 ハブ輪1の端部が加締られてハブ輪1に圧 された転がり軸受2の内輪24に対して予圧が 与されるものでは、高品質の回転を得るこ ができる。本発明の外輪25は、焼入鋼切削が 施されているので、最表面部に圧縮残留応力 を付与させることができ、疲労強度が向上し 、長期にわたって安定した機能を発揮するこ とができる。外輪25の外径面に嵌合面50aが形 されてこの嵌合面50aがナックルNに圧入され るものでは、組立作業の簡素化を一層図るこ とができる。

 ハブ輪1とは別部材をハブ輪1に取り付け ことによって、ハブ輪1にホイールパイロッ 部97を構成することができる。このため、 ブ輪1にはホイールの内周に嵌合するホイー パイロット部97を一体に設ける必要がなく ハブ輪全体の形状の簡素化を図ることがで る。これによって、製造性の向上を図って スト低減を達成できる。しかも、ハブ輪1に り付けられたホイールパイロット部97が損 した場合には、ハブ輪全体を交換すること く、別部材のホイールパイロット部97のみを 交換すればよく、コスト低減を図ることがで きる。

 次に図23は、前記図14に示す軸受を用いた 車輪用軸受装置を示している。この場合、転 がり軸受2の外輪25のナックル嵌合面50aを、ナ ックルNの内径面80に圧入することになる。こ の場合、ナックル嵌合面50aの外径寸法D11を、 ナックルNの内径面80の内径寸法D10よりも僅か に大きく設定する。すなわち、ナックル嵌合 面50aとナックル内径面80との締代によって、 ックルNと外輪25との相対的な軸方向及び周 向のずれを規制するように設定する。

 この場合も、外輪25とナックルNとの間の メアイ面圧/ハメアイ面積をハメアイ荷重と したときに、このハメアイ荷重をこの転がり 軸受の等価ラジアル荷重で割った値をクリー プ発生限界係数とし、このクリープ発生限界 係数を予め考慮して、外輪25の設計仕様が設 される。このため、ナックル嵌合面50aとナ クル内径面80との締代によって、外輪25の軸 方向の抜け及び周方向のクリープを防止でき る。

 ところで、図24に示す車輪用軸受装置は 動用であり、複列アンギュラ軸受としては 図1に示すものが用いられている。そして、 ブ輪1が、中実の軸部20Aと、この軸部20Aから 突設されるフランジ21Aとを有する。また、内 輪24C、24Dは、厚肉部85と薄肉部86とを有する 円筒体からなり、厚肉部85と薄肉部86との間 外径面に転走面28(29)が形成される。そして の薄肉部86の端面(突合端面)86a、86aが突合さ れた状態で、ハブ輪1の軸部20Aの外径面20Aaに 入されている。

 この場合、フランジ21Aと軸部20Aとの間に 、軸方向と直交する方向に延びる端面87aと 凹曲面87bとが形成されたボス部87が設けら ている。このため、アウトボード側の内輪24 Cの厚肉部85の内径面は、この凹曲面87bに対応 した凸曲面88とされている。これに対して、 ンボード側の内輪24Dの内径面には、このよ な凸曲面が形成されていない。

 ハブ輪1のインボード側の端部は筒状部89 され、この筒状部89のインボード側の端部 外径側へ加締られて、その加締部89aにて、 ンボード側の内輪24Dの端面85aを介して、内 24に対して予圧が付与される。また、ハブ輪 1のアウトボード側の端面にはパイロット部84 が設けられている。

 図25に示す車輪用軸受装置は、その外輪25 の外径面に、車体取付ねじ孔102aを有する車 取付用フランジ102が設けられている。すな ち、外輪25は、筒状本体部104と、この筒状本 体部104の外径面から突設される前記車体取付 用フランジ102とからなる。そして、車体取付 用フランジ102よりもインボード側の外径面が ナックル嵌合面50aとなる。

 この場合の内輪24は、前記図14に示す内輪 24と同様である。すなわち、各内輪24(24A,24B) 、大径部60と、小径部61と、大径部60と小径 61との間のテーパ状部62とからなる。さらに の部材も図23に示す車輪用軸受装置と同様 ある。このため、図23に示す車輪用軸受装置 と同一部材については図23と同一符号を付し これらの説明を省略する。

 次に図26に示す車輪用軸受装置は外輪回 タイプである。すなわち、軸受2が、外径面 アウトボード側に車輪取付用フランジ103を する外輪(外方部材)105を備える。車輪取付 フランジ103にはボルト装着孔103aが設けられ このボルト装着孔103aにハブボルト33が装着 れている。そして、この外輪105の内径面に 側転走面26、27が設けられる。

 また、外輪105のアウトボード側の端面105a にパイロット部106が設けられている。このパ イロット部106は、アウトボード側の端面105a の大径のブレーキパイロット部106aと、反端 側の小径のホイールパイロット部106bとから なる。

 この場合の内輪24は、前記図14に示す内輪 24と同様である。外輪105の内径面の両端側に ール装着部69a,69bが形成され、また、内輪24A 、24Bの大径部60の外径面がシール装着面63と り、テーパ状部62の外径面が転走面28(29)とな る。このため、外輪105と内輪24A、24Bとの間の 開口部にはシール部材Sが装着されている。

 ところで、図26に示す車輪用軸受装置は 従動輪用の車軸に装着され、車輪を回転自 に支承するものである。このため、車軸に 輪24A、24Bが挿入または圧入される。また、 輪105のインボード側の端部に、車輪の回転 度を検出するための磁気エンコーダ107が付 されている。

 次に図27に示す車輪用軸受装置は従動側 車輪用軸受装置であって、ハブ輪1が中実の 部20Aと、この軸部20Aから突設されるフラン 21Aとを有する。このフランジ21Aにはボルト 着孔32が設けられて、ホイールおよびブレ キロータをこのフランジ21Aに固定するため ハブボルト33がこのボルト装着孔32に装着さ る。

 ハブ輪1のインボード側の端部は筒状部91 され、この筒状部91のインボード側の端部 外径側へ加締られて、その加締部91aが肉厚 減部100に係合(嵌合)する。また、ハブ輪1の ウトボード側の端面にはパイロット部110が けられている。

 なお、この図27における外輪25は、図25に す外輪25と同様、車体取付用フランジ102を するものであり、内輪24、24は、図14等に示 内輪24、24と同様である。そのため、図27に ける車輪用軸受装置において、図14及び図25 の車輪用軸受装置と同様の構成は、同一符 を付してそれらの説明を省略する。

 次に、図28と図29は、ハブ輪1の外径面に 受2の内側転走面28が形成されたいわゆる第3 代の車輪用軸受装置である。すなわち、図2 8の車輪用軸受装置では、ハブ輪1の軸部(筒部 )20のインボード側に外周面に切欠部(段付部)9 2が設けられ、この切欠部(段付部)92に内輪24 嵌合されている。ハブ輪1の筒部20の外周面 フランジ近傍には内側転走面28が設けられて いる。

 そして、外輪25の外側転走面26とハブ輪1 内側転走面28とが対向し、外輪25の外側転走 27と、内輪24の転走面29とが対向し、これら 間に転動体30が介装される。この場合の内 24は、前記図14に示す内輪24Bと同様である。

 この場合、図示しないが、等速自在継手3 の軸部12がハブ輪1の孔部に挿入されて装着さ れた際に、図21と同様、マウス部11の底壁外 11aが内輪24の端面65に当接する。このため、 輪24の端面66が切欠部92の端面92aに当接し、 輪24に予圧を付与することができる。

 ハブ輪1のアウトボード側の端面1aにはパ ロット部93が設けられている。パイロット 93は、アウトボード側の端面1a側の大径のブ ーキパイロット93aと、反端面側の小径のホ ールパイロット93bとからなる。

 また、図29に示す車輪用軸受装置は、図27 と同様、ハブ輪1が中実の軸部20Aと、この軸 20Aから突設されるフランジ21Aとを有する。 して、軸部20Aのインボード側の外径面(外周 )に切欠部(段付部)94が形成され、この切欠 94に内輪24が嵌合されている。この場合の内 24は、前記図14に示す内輪24Bと同様である。

 図27に示す車輪用軸受装置と同様、ハブ 1のインボード側の端部は筒状部91とされ、 の筒状部91のインボード側の端部が外径側へ 加締められて、その加締部91aが内輪24の肉厚 減部100に係合(嵌合)する。また、ハブ輪1の ウトボード側の端面にはパイロット部93が けられている。

 図27及び図29に示す車輪用軸受装置では、 ハブ輪1の軸部20Aのインボード側の端部外径 を外径方向へ加締めて、この加締部91aを内 24の削減部100に係合をさせて、内輪24とハブ 1とを一体化している。このため、軸受2を 定してハブ輪1に装着することができ、長期 わたって安定した高品質の回転を得ること できる。

 以上、本発明の実施形態につき説明した 、本発明は前記実施形態に限定されること く種々の変形が可能であって、例えば、前 実施形態では、外輪25を成形するブランク して、前記実施形態では、パイプ材にて成 していたが、丸棒状のバー材を所定寸に切 し、この切断片を熱間鍛造等にて成形後、 削し仕上げたものを使用するようにしても い。また、内輪24に冷間ローリングにて成形 した塑性加工品を用いれば、外輪25に図31に す従来の外輪155を用いたものであってもよ 。

 内輪24を冷間ローリング等にて成形する 合、大径側の端部が外径方向へ屈曲したも であってもよい。

 図11Aに示す素材34では、外径面が軸方向 央部において最大外径となるクラウニング 状の筒体であったが、このようなクラウニ グ形状の筒体に限るものではない。なお、 の複列アンギュラ軸受の用途として、車輪 軸受装置に限るものではなく、複列アンギ ラ軸受を使用する種々の装置や機構に適用 きる。前記実施形態では、軸受2のトルク伝 手段としての転動体をボール30にて構成し が、円錐ころを使用するものであってもよ 。

 本発明の車輪用軸受装置は、駆動輪用であ ても、従動輪用であってもよく、それぞれ 機能を有効に発揮することができる。