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Title:
DRY CHEESE AND PROCESS FOR PRODUCING THE SAME
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2008/136085
Kind Code:
A1
Abstract:
By treating cheese or cheese curd with an acid to thereby reduce the calcium content and then drying, the drying period can be largely shortened in the course of producing cheese and, moreover, it becomes possible to obtain a dry cheese which has a uniform tissue, a gummy, elastic and unique texture, a fresh cheese flavor and a favorable sourness and shows good keeping qualities.

Inventors:
HANAZAWA TOMOHITO (JP)
IMAI HIROSHI (JP)
YAMAZUMI HIROSHI (JP)
SASAJIMA YUKO (JP)
SHIBAUCHI YOSHITO (JP)
Application Number:
PCT/JP2007/058745
Publication Date:
November 13, 2008
Filing Date:
April 23, 2007
Export Citation:
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Assignee:
SNOW BRAND MILK PRODUCTS CO LTD (JP)
HANAZAWA TOMOHITO (JP)
IMAI HIROSHI (JP)
YAMAZUMI HIROSHI (JP)
SASAJIMA YUKO (JP)
SHIBAUCHI YOSHITO (JP)
International Classes:
A23C19/086
Domestic Patent References:
WO2004004476A12004-01-15
Foreign References:
JPS4737553B11972-09-21
JPS63164850A1988-07-08
Attorney, Agent or Firm:
ISHII, Yoshio et al. (4F.7-7, Toranomon 2-chom, Minato-ku Tokyo 01, JP)
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Claims:
 蛋白質あたりのカルシウム含量が1~15mg/gであることを特徴とする乾燥チーズ。
 チーズ又はチーズカードを酸で処理して含有するカルシウム量を低減させた後、乾燥することを特徴とする乾燥チーズの製造方法。
 
 
Description:
乾燥チーズおよびその製造方法

 本発明は、低水分かつ均一な組織を有し 特有の食感および風味を持つ、保存性に優 た乾燥チーズ、およびその製造方法に関す 。

 チーズは、使用する乳酸菌や凝乳酵素、 るいは熟成温度や熟成期間等の製造条件に って、風味も食感も異なる種類のものが得 れるが、保存性の向上や用途の拡大などを 図してチーズを乾燥することも種々試みら 提案されている。しかしながら、チーズを 燥すると、チーズ表面のみで著しく乾燥が み、その結果、チーズ表面に硬い皮状の組 が形成され、内部の乾燥は進まなくなる。 のため、低水分かつ均一な組織をもつ乾燥 ーズの調製は極めて困難であった。

 チーズを乾燥する方法としては、例えば 原料ナチュラルチーズに水を添加し、必要 応じて溶融塩および中和剤を添加して乳化 、紐状あるいは薄膜状等に成形後真空乾燥 る方法(例えば、特許文献1参照。)や、ナチ ラルチーズに水を添加して混合し、未乳化 状態のものを凍結乾燥する方法(例えば、特 許文献2参照。)、あるいは乳化チーズ類を主 料とする含水原料を、溶融温度より低温で 拌し、賦形状態で乾燥する方法(例えば、特 許文献3参照。)等が提案されている。これら 製造方法により得られた乾燥チーズは、オ ルオフがないこと、食品のトッピング材等 して用いることができるものであることが されている。しかし、これらの特許文献が 示しているチーズの乾燥方法は、いずれも ーズを一旦溶融して水等の水性媒体に溶解 た後、乳化あるいは乳化せずに乾燥して食 のトッピング材として用いるものである。 のような方法によって得られた乾燥チーズ 、チーズ本来の食感や組織を有しておらず またその利用形態や形状も限定されるもの ある。

 また、ホタテ貝柱様チーズの製造方法(例 えば、特許文献4参照。)についても開示され いる。この製造方法により得られるチーズ 、水分含有量が高い上、表層部と内部の水 含有量が異なるものがある。このため従来 繊維状組織を有するチーズと食感において わるところがなく、また繊維状組織も短期 に劣化するといった問題がある。

 チーズを乾燥すると、チーズ表面のみで著 く乾燥が進んで、チーズ表面に硬い皮状の 織が形成されて内部の乾燥は進まなくなる め、形状を細くして組織や水分を均一にし うとする、直径5~10mmの円柱状、または一辺 長さが5~10mmの角柱状に成形された繊維状組 を有する乾燥チーズ(例えば、特許文献5参 。)が開示されている。しかし、この特許文 に開示されている乾燥チーズは、組織や形 が限定されており、それ以外の組織や形状 有する乾燥チーズを製造することはできな といった問題がある。

特開昭54-76862号公報

特開昭61-135542号公報

特開昭63-160548号公報

特開昭57-138342号公報

特開平9-248131号公報

 本発明は、チーズを乾燥するとチーズ表 のみで著しく乾燥が進み、チーズ表面に硬 皮状の組織が形成されて内部の乾燥は進ま くなり、そのため、低水分かつ均一な組織 もつ乾燥チーズの調製は極めて困難である いう従来技術に見られる乾燥チーズの問題 を解決することを課題とする。

 以上のような状況を鑑み、本発明者らは、 燥チーズに関して鋭意研究を行ったところ チーズの乾燥挙動はチーズの蛋白質あたり カルシウム含量によって著しく変化し、蛋 質あたりのカルシウム含量が1~15mg/gの領域 著しく乾燥しやすくなり、急速に乾燥して 均一な組織、水分を有する乾燥チーズとな ことを見出し、本発明を完成するに至った すなわち、チーズ又はチーズカード中の蛋 質あたりのカルシウム含量を低減させた後 乾燥することで、乾燥時間を著しく短縮で 、しかも、乾燥後の組織も均一で、通常の 燥チーズには無い弾力のある組織、食感を する乾燥チーズを提供することができる。
 すなわち、本発明は、蛋白質あたりのカル ウム含量が1~15mg/gであることを特徴とする 燥チーズに関する。
 更に、本発明は、チーズ又はチーズカード 酸で処理して含有するカルシウム量を低減 せた後、乾燥することを特徴とする乾燥チ ズの製造方法に関する。

 本発明では、チーズ又はチーズカード中の ルシウム含量を低減させた後に、乾燥する とで、チーズの乾燥時間を著しく短縮する とができる。本発明で得られる乾燥チーズ 、水分含有量が35重量%以下となっているこ が好ましく、組織も均一で、しこしことし 独特の弾力のある食感を持ち、フレッシュ チーズの風味と良好な酸味を持つ、保存性 優れた乾燥チーズを提供することができる

本発明の実施例および比較例で得られ 乾燥チーズの水分の経時的変化を示す。

 本発明においては、チーズ又はチーズカ ド中のカルシウム含量を低減させた後、乾 することで、チーズの乾燥時間を著しく短 することができる。

 以下本発明を詳細に説明する。
 本発明の乾燥チーズの原料としては、乳を 固して得たチーズカード、もしくは熟成し チーズを使用することができる。

 本発明の乾燥チーズに用いるチーズの種類 しては、特に限定されないが、蛋白質あた のカルシウム含量が15mg/gを超えるチーズの 合、チーズからカルシウムを除去する工程 必要である。本発明においてチーズ中から ルシウムを除去する方法は特に限定しない 、最も効率的で、またコスト的に有利な方 として、チーズを酸で処理してチーズのpH 4.9~5.4にすることで、チーズのミセル中のコ イド状リン酸カルシウムを遊離させ、遊離 たカルシウムを除去する方法が適している チーズを酸で処理してチーズカードのpHを4. 9~5.4にする方法としては、チーズを酸溶液に 漬させてチーズカードのpHを4.9~5.4にする方 が挙げられる。この際、効率的なカルシウ の除去を行うために、あらかじめチーズを 断した後、酸溶液中に浸漬してカルシウム 除去し、温湯中で加熱混練してチーズを再 一つにまとめることも可能である。このよ な、カルシウム除去をより効率的に行うた には、なるべく熟度の低いチーズ、好まし は製造後1ヶ月以内のチーズを用いることが 望ましい。酸溶液中に浸漬する方法以外の方 法であっても、チーズのpHを4.9~5.4にする方法 であれば、利用することができる。

 チーズカードを調製する原料としては、 来のチーズ製造に用いられる乳であれば全 用いることができる。すなわち、生乳、脱 乳、部分脱脂乳、またはこれらの混合物、 らには、これらとクリーム、ホエークリー 、バターミルクとのいかなる混合物をも使 することができ、必要に応じて殺菌や脂肪 整した乳を用いることができる。この原料 からチーズカードをつくるには、チーズ製 におけるチーズカード製造の常法に従って うことができる。すなわち、原料乳に凝乳 素または酸、必要な場合は乳酸菌やカルシ ムイオン(たとえば塩化カルシウム)を添加 て適温に保持してカードの形成を行う。な 、本発明に使用する乳酸菌は、従来のチー 製造に用いられる乳酸菌であれば全て用い ことができ、特に限定する必要は無い。

 チーズカードを得るための乳は60℃、30分間 程度の低温殺菌を行うことが好ましいが、未 殺菌乳または殺菌乳も使用できる。また、乳 酸溶液を添加して凝乳酵素処理するのに最適 なpH6.4前後に調整することもできる。
 次に、殺菌冷却した乳に凝乳酵素を常法ど り添加し、35℃で30分間程度静置し乳を凝固 させてチーズカードを得る。

 本発明においてチーズカード中からカル ウムを除去する方法は特に限定しないが、 も効率的でコスト的に有利な方法として、 ーズカードを酸で処理し、チーズカードのp Hを4.9~5.4にすることで、ミセル中のコロイド リン酸カルシウムを遊離させ、遊離したカ シウムを除去するのが適している。チーズ ードを酸で処理してチーズカードのpHを4.9~5 .4にする方法としては、チーズカードを酸溶 に浸漬させてチーズカードのpHを4.9~5.4にし もよいし、あらかじめ乳に乳酸菌を接種し 乳酸発酵させて産生される乳酸によってチ ズカードのpHを4.9~5.4にしてもよい。前記二 法以外の方法であっても、チーズカードのp Hを4.9~5.4にする方法であれば、利用すること できる。

 このようにして、チーズ又はチーズカード らカルシウムを除去するが、その際、チー 又はチーズカード中の蛋白質あたりのカル ウム含量が1~15mg/gとなるようにすることが ましい。通常、チーズ又はチーズカードを で処理してチーズ又はチーズカードのpHを4.9 ~5.4とすることで、チーズ又はチーズカード の蛋白質あたりのカルシウム含量を1~15mg/gと することができるが、必要に応じて酸で処理 したチーズ又はチーズカードを温湯等で洗浄 を繰り返すことで、さらにカルシウム含量を 低減することができる。
 また、本発明では凝乳酵素処理をしないで 製したチーズカードを用いることも可能で る。凝乳酵素を使用しない場合は、原料と る乳を必要に応じて濃縮して、乳酸やクエ 酸等の酸を少量ずつ添加してpHを4.9~5.4に低 させることにより凝固させて、蛋白質あた のカルシウム含量を低減させたチーズカー を得ることができる。
 なお、凝固後あるいはカルシウム除去後、 分調整やホエーの除去、成形等の目的で、 られたチーズカードについて圧搾脱水およ /または温湯中での加熱混練を行うことも可 能である。

 このようにして得られた蛋白質あたりの ルシウム含量を低減させたチーズ又はチー カードに、必要ならば味付けを行うことも 能である。味付け方法や味付けに用いる呈 物質は、得られる乾燥チーズの蛋白質あた のカルシウム含量が1~15mg/gの範囲を維持さ る限りにおいて特に限定されない。そのた 、食品の味付けに用いられる食塩、糖類、 ミノ酸、アミノ酸塩、香料等を必要に応じ 用いることができる。

 このようにして得られた蛋白質あたりのカ シウム含量を低減させたチーズ又はチーズ ードを凍結乾燥、あるいは冷風乾燥により 好ましくは水分含有量が35重量%以下になる うに乾燥する。なお、蛋白質あたりのカル ウム含量が1mg/g未満となると、組織は不均 でぼそぼそとしたものとなり、好ましくな 。
 また、蛋白質あたりのカルシウム含量が15mg /gを超えると、チーズの乾燥時間が長くかか 、組織も不均一で弾力のある食感を有する ーズが得られない。

 凍結乾燥方法は、上記のように調製された 白質あたりのカルシウム含量を低減させた ーズ又はチーズカードを、-20℃以下に凍結 、この凍結されたチーズを真空度0.1~1.0torr 棚加熱温度20~60℃の条件下で約8~24時間乾燥 せる。また、冷風乾燥方法は、除湿装置を えた乾燥機に蛋白質あたりのカルシウム含 を低減させたチーズ又はチーズカードを入 、冷風により乾燥する。冷風は、20℃以下の 温度が好ましい。冷風の温度が20℃を超える チーズ中の脂肪が溶出するといった問題が るため、上記の範囲内で乾燥することが好 しい。また、冷風の相対湿度は、低ければ いほど乾燥時間が短縮されるため、好まし 。
 上記のような凍結乾燥法、あるいは冷風乾 法によってチーズの水分含有量を好ましく 35重量%以下、より好ましくは15~30重量%とな ように乾燥する。これにより組織も均一で しこしことした独特の弾力のある食感を持 、フレッシュなチーズの風味と良好な酸味 持つ、保存性に優れた乾燥チーズとなる。

 本発明において、チーズ又はチーズカー の蛋白質あたりのカルシウム含量を1~15mg/g するのが好ましいのは、次の理由によるも である。すなわち、通常のチーズ又はチー カードを凍結乾燥方法や冷風乾燥方法によ て乾燥した場合、水分は最初にチーズ又は ーズカードの表層部から蒸発や昇華によっ 除去されるが、同時に内部の水分も表層部 水分が減少するに連れて表層部に移行して 少する。しかし、表層部からの水分の蒸発 昇華に比べてチーズ内部の水分の移動が遅 ため、表層部のみが水分の蒸発や昇華が進 で硬い組織になって皮膜を形成する。その 果、形成された皮膜によって水分の移動が 害されるため、チーズの乾燥速度は著しく くなり、表層部と内部の水分含有量が異な た不均一な組織の乾燥チーズになる。その め、本発明では、チーズ又はチーズカード 蛋白質あたりのカルシウム含量を好ましく 1~15mg/gに低減して、チーズ又はチーズカード の組織を脆いミセル組織とすることで、表面 に硬い皮膜が形成しないようにしている。そ の結果、迅速な乾燥が可能となり、組織も均 一で、低水分でありながらしこしことした独 特の弾力のある食感を持ち、フレッシュなチ ーズの風味と良好な酸味を有する保存性に優 れた乾燥チーズを得ることができる。

 本発明において、チーズの形状としては に制限がない。従来は乾燥チーズとして製 することが困難であったブロック状のチー であっても、均一な組織の乾燥チーズを製 することができるし、円柱状、板状、棒状 紐状、顆粒状もしくはパウダー状などのい なる形状にも成形して乾燥チーズとするこ ができる。この様な形状の乾燥チーズを製 するには、チーズ又はチーズカードの蛋白 あたりのカルシウム含量を低減させた後に チーズ製造の常法によって成形して所望の 状とし乾燥チーズとする。

 また、本発明の乾燥チーズは、乳及び乳 品の成分規格等に関する省令(乳等省令)で 義する「ナチュラルチーズ」だけではなく ナチュラルチーズを加熱溶融した「プロセ チーズ」、乳成分以外の原料を含むが製品 にチーズ分51%以上を含む「チーズフード」 又は製品中のチーズ分が51%未満である「乳 を主要原料とする食品」についても、得ら る乾燥プロセスチーズ、チーズフード、や 等を主要原料とする食品の蛋白質あたりの ルシウム含量が1~15mg/gの範囲を維持される限 りにおいて、それぞれの副原料を配合して製 造し得る。したがって、本発明で言う「乾燥 チーズ」はこれらのプロセスチーズ、チーズ フード、乳等を主要原料とする食品も含めて 言う。

 以下に実施例を示して本発明を具体的に 明すると共に、比較例および試験例を示し 本発明の効果をより明確に示すが、本発明 以下の実施例に限定されるものではない。

 脂肪分を2.8%に調整した生乳100kgを60℃、30 分間加熱殺菌し、3%の凝乳酵素(HRレンネット: CHR.HANSEN社)溶液を0.1%加えてチーズカードを得 た。上記チーズカードを10mmの立方体に細断 て緩やかに撹拌しながらホエーを排除した 、1.0%酢酸溶液中に5分間浸漬した。このチー ズカードを圧搾脱水した後、温湯中で混練成 形した。さらに、10℃、湿度70%で24時間の冷 乾燥を行い、本発明の乾燥チーズを得た。 燥中のチーズ水分の経時変化を測定した。 た、乾燥後のチーズの蛋白質含量、カルシ ム含量およびpHを測定し、組織および食感を 官能評価した。

 脂肪分を2.8%に調整した生乳100kgを60℃、30 分間加熱殺菌し、これに乳酸菌スターターカ ルチャー(CHR.HANSEN社)100gを添加した後、3%の凝 乳酵素(HRレンネット:CHR.HANSEN社)溶液を0.1%加 てチーズカードを得た。上記チーズカード 10mmの立方体に細断し、37℃で5時間撹拌を続 た後、ホエーを排除して圧搾脱水した後、 湯中で混練成形した。さらに、10℃、湿度70 %で24時間の冷風乾燥を行い、本発明の乾燥チ ーズを得た。乾燥中のチーズ水分の経時変化 を測定した。また、乾燥後のチーズの蛋白質 含量、カルシウム含量およびpHを測定し、組 および食感を官能評価した。

 市販のゴーダチーズを約1cm角に細断し、1 .0%酢酸溶液中に5分間浸漬した。その後、こ チーズを温湯中で混練成形した。さらに、10 ℃、湿度70%で24時間の冷風乾燥を行い、本発 の乾燥チーズを得た。乾燥中のチーズ水分 経時変化を測定した。また、乾燥後のチー の蛋白質含量、カルシウム含量およびpHを 定し、組織および食感を官能評価した。

 脂肪分を2.8%に調整した生乳100kgを60℃、30 分間加熱殺菌し、3%の凝乳酵素(HRレンネット: CHR.HANSEN社)溶液を0.1%加えてチーズカードを得 た。上記チーズカードを10mmの立方体に細断 てホエーを排除した後、0.1%酢酸溶液中に5分 間浸漬した。このチーズカードを圧搾脱水し た後、温湯中で混練成形した。さらに、10℃ 湿度70%で24時間の冷風乾燥を行い、本発明 乾燥チーズを得た。乾燥中のチーズ水分の 時変化を測定した。また、乾燥後のチーズ 蛋白質含量、カルシウム含量およびpHを測定 し、組織および食感を官能評価した。

[比較例1]
 脂肪分を2.8%に調整した生乳100kgを60℃、30分 間加熱殺菌し、3%の凝乳酵素(HRレンネット:CHR .HANSEN社)溶液を0.1%加えてチーズカードを得た 。上記チーズカードを10mmの立方体に細断し ホエーを排除して圧搾脱水した後、温湯中 混練成形した。さらに、10℃、湿度70%で24時 の冷風乾燥を行い、乾燥チーズを得た。乾 中のチーズ水分の経時変化を測定した。ま 、乾燥後のチーズの蛋白質含量、カルシウ 含量およびpHを測定し、組織および食感を 能評価した。

[試験例1]
 本発明の実施例および比較例で得られた乾 チーズの水分の経時的変化を測定し、乾燥 度を評価した。乾燥チーズの水分は公定法 よって測定した。

[試験例2]
 乾燥チーズの蛋白質含量は以下に述べるケ ダール法により測定し、乳製品の乳蛋白の 準ファクター6.38を使用して算出した。
 すなわち、乾燥チーズ3gを乳鉢に入れ、酢 溶液を加えながら乳棒で摩砕して、懸濁液 得た。このチーズ懸濁液を100mlのメスフラス コに移し、酢酸溶液を加えて100mlのチーズ懸 液を調製した。これを50℃に加温して、そ 25mlをケルダールフラスコに入れた。硫酸カ ウム10gと少量の硫酸銅および濃硫酸25mlをケ ルダールフラスコに加え、この混合物を3~3.5 間加熱分解した。分解後、蒸留水を約250ml え、さらに亜鉛粒子少量と45%水酸化ナトリ ム100mlを加え、これを蒸留装置に取り付けた 。又、三角フラスコに0.1Nの塩酸25mlとメチル ッド指示薬5滴を加えて蒸留装置の受け側に 取り付けた。その後、受け側の三角フラスコ に150~200mlの抽出液が得られるまで加熱蒸留し た。この酸溶液を0.1N水酸化ナトリウムで淡 色を呈するまで滴定した。この0.1N水酸化ナ リウムの滴定量から、以下の式を用いて乾 チーズの蛋白質含量の算出を行った。
蛋白質含量(%)={(25-ブランク)-滴定量}×0.0014×6. 38×100/試料重量3g
 なお、ブランクとは、乾燥チーズ等を加え いで測定操作を行った時の滴定量を表す。

[試験例3]
 乾燥チーズのカルシウム含量の測定は以下 述べる方法で行った。
 すなわち、乾燥チーズ3gをルツボにとり、 気炉内で250℃に加熱して灰化した。このよ にして得られた灰分を塩酸に溶解した後、 ラズマ発光分光分析法(Optima 4300DV:Perkin Elmer  Instruments社)による分析を行い、乾燥チーズ カルシウム含量を算出した。

[試験例4]
 乾燥チーズのpH の測定は以下に述べる方法 で行った。
 すなわち、乾燥チーズ12gに蒸留水40gを加え 粉砕機で十分に粉砕した。この溶液のpHを  pH メーター(TD-95:Toko Chemical Laboratries社)を用 いて測定した。

[試験例5]
 乾燥チーズの組織および食感に関しては、 別に訓練された官能パネラー20人による官 検査により評価した。
 ここで、しこしことした弾力性のある食感 は、スルメイカのような弾力性のある歯ご えのことを言う。官能検査の評点は次のと りとした。
 5点:均一で良好な組織を有し、非常に良好 しこしことした弾力性のある食感を有する  
 4点:均一で良好な組織を有し、良好なしこ ことした弾力性のある食感を有する。
 3点:乾燥チーズの表面に薄い皮状組織を有 、良好なしこしことした弾力性のある食感 有する。
 2点:乾燥チーズの表面に皮状組織を有し、 燥チーズ内部の弾力性も乏しい。
 1点:乾燥チーズの表面に厚い皮状組織を有 、乾燥チーズ内部の弾力性も乏しい。 
 官能パネラー20人の平均点を算出して、乾 チーズの組織および食感を官能評価した。

[試験結果] 
 実施例1~4および比較例1に関して行った試験 例1の結果を図1に、試験例2~5の結果を表1に示 す。なお、表中の乳蛋白質あたりのカルシウ ム含量は、試験例2および3の結果より算出し 。

 図1および表1より明らかなように、実施例1~ 4により得られた蛋白質あたりのカルシウム 量が1~15mg/gの乾燥チーズは、12時間の冷風乾 で水分含量を35重量%以下とすることが出来 が、比較例1により得られた蛋白質あたりの カルシウム含量が15mg/gを超える乾燥チーズは 、24時間の冷風乾燥を行っても水分含量を35% 量以下とすることが出来なかった。したが て、本発明の蛋白質あたりのカルシウム含 を1~15mg/gとした乾燥チーズは、蛋白質あた のカルシウム含量が15mg/gを超える乾燥チー に比べて乾燥速度が2倍以上速く、迅速に水 含量を35重量%以下とすることが出来るとい 顕著な効果を有することが判る。
 さらに、表1より明らかなように、実施例1~4 により得られた蛋白質あたりのカルシウム含 量が1~15mg/gの乾燥チーズは、官能検査で高い 点を得、比較例1により得られた蛋白質あた りのカルシウム含量が15mg/gを超える乾燥チー ズと顕著な差があった。評点の平均値の評価 は保存性に優れ、表面に皮状の組織が生成す ることも無く、均一な組織を有し、しこしこ とした独特の弾力のある食感を持ち、フレッ シュなチーズの風味と良好な酸味を持つとい うものである。
  




 
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