Login| Sign Up| Help| Contact|

Patent Searching and Data


Title:
DRY CLUTCH, TRANSMISSION MEMBER AND TRANSMISSION-RECEIVING MEMBER FORMING PART OF DRY CLUTCH, AND TWO-WHEELED MOTOR VEHICLE WITH DRY CLUTCH
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2008/105264
Kind Code:
A1
Abstract:
A dry clutch (60) is a clutch for allowing and interrupting transmission of power by causing a clutch shoe (66) as a transmission member and a clutch drum (62) as a transmission receiving member to be in contact with and separated from each other in a non-lubricated environment. A solid lubricant (70) is placed between the transmission member (66) and the transmission-receiving member (62).

Inventors:
SUGITANI TSUYOSHI (JP)
TAKEBE MITSUKAZU (JP)
TAKEDA FUMIO (JP)
AOYAMA ATSUSHI (JP)
KATSUNO KOTARO (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/052733
Publication Date:
September 04, 2008
Filing Date:
February 19, 2008
Export Citation:
Click for automatic bibliography generation   Help
Assignee:
YAMAHA MOTOR CO LTD (JP)
SUGITANI TSUYOSHI (JP)
TAKEBE MITSUKAZU (JP)
TAKEDA FUMIO (JP)
AOYAMA ATSUSHI (JP)
KATSUNO KOTARO (JP)
International Classes:
F16D13/74; B62M7/02; B62M9/08; F16D13/14; F16D13/62; F16D43/04; F16H9/12
Foreign References:
JPS54156076U1979-10-30
JPH10176722A1998-06-30
JPH0148304B21989-10-18
JPH07224871A1995-08-22
JPH0428239U1992-03-06
JPH07167157A1995-07-04
JP2006275288A2006-10-12
JP2001008314A2001-01-12
JP2004116426A2004-04-15
JPH07119764A1995-05-09
JPH0842604A1996-02-16
JPS54156076U1979-10-30
JPH07119764A1995-05-09
Other References:
See also references of EP 2123927A4
Attorney, Agent or Firm:
GOTOH, Takashi (9-4 Higashitemma, 2-choume,Kita-k, Osaka-shi Osaka 44, JP)
Download PDF:
Claims:
伝達部材と被伝達部材とを備え、上記伝達部材と上記被伝達部材とを非潤滑雰囲気中で接触させ又は離間させることにより動力を伝達し又は遮断する乾式クラッチであって、 上記伝達部材と上記被伝達部材との間に固体潤滑剤が介在している、乾式クラッチ。
上記伝達部材及び上記被伝達部材は、互いに接触する接触面をそれぞれ備え、 上記伝達部材の上記接触面又は上記被伝達部材の上記接触面に上記固体潤滑剤を擦り付けることにより、上記両伝達部材の間に上記固体潤滑剤が介在している、 請求項1に記載の乾式クラッチ。
上記伝達部材及び上記被伝達部材は、互いに接触する接触面をそれぞれ備え、 上記伝達部材の上記接触面又は上記被伝達部材の上記接触面に上記固体潤滑剤を塗布することにより、上記両伝達部材の間に上記固体潤滑剤が介在している、 請求項1に記載の乾式クラッチ。
上記伝達部材及び上記被伝達部材は、互いに接触する接触面をそれぞれ備え、 上記伝達部材の上記接触面又は上記被伝達部材の上記接触面に上記固体潤滑剤を供給することにより、上記両伝達部材の間に上記固体潤滑剤が介在している、 請求項1に記載の乾式クラッチ。
上記伝達部材及び上記被伝達部材は、互いに接触する接触面をそれぞれ備え、 上記伝達部材の上記接触面又は上記被伝達部材の上記接触面に上記固体潤滑剤の層を形成することにより、上記両伝達部材の間に上記固体潤滑剤が介在している、 請求項1に記載の乾式クラッチ。
上記固体潤滑剤は、炭素又はモリブデンを含んだ固体潤滑剤である、 請求項1に記載の乾式クラッチ。
上記固体潤滑剤はカーボンを含んでいる、 請求項6に記載の乾式クラッチ。
上記固体潤滑剤はグラファイトを含んでいる、 請求項6に記載の乾式クラッチ。
上記固体潤滑剤は二硫化モリブデンを含んでいる、 請求項6に記載の乾式クラッチ。
上記固体潤滑剤は、上記伝達部材又は上記被伝達部材に含まれている材料を含んでいる、 請求項1に記載の乾式クラッチ。
上記伝達部材と上記被伝達部材とを離間させる方向のばね力を発生させる弾性体をさらに備え、 上記伝達部材と上記被伝達部材とは、上記伝達部材の回転によって生じる遠心力により接触し、上記ばね力により離間するように構成されている、 請求項1に記載の乾式クラッチ。
上記伝達部材と上記被伝達部材とを接触させる方向のばね力を発生させる弾性体をさらに備え、 上記伝達部材と上記被伝達部材とは、上記ばね力により接触し、外部からの駆動力により離間するように構成されている、 請求項1に記載の乾式クラッチ。
請求項1に記載の乾式クラッチを備えた自動二輪車であって、 乾式の変速装置と、 上記変速装置を収容する変速装置収容室とを備え、 上記乾式クラッチは、上記変速装置収容室内に配置されている、自動二輪車。
上記変速装置は、Vベルト式無段変速装置であり、 上記Vベルト式無段変速装置を収容する上記変速装置収容室内に上記乾式クラッチが配置されている、 請求項13に記載の自動二輪車。
上記Vベルト式無段変速装置は、駆動プーリと、従動プーリと、上記駆動プーリと上記従動プーリとに巻き掛けられたVベルトと、を備え、 上記乾式クラッチは、上記従動プーリ側に配置されている、 請求項14に記載の自動二輪車。
請求項1に記載の乾式クラッチを有するエンジンユニットと、車体フレームとを備えた自動二輪車であって、 上記エンジンユニットは、出力を発生するエンジン本体と、上記エンジン本体からの出力を後輪に伝達するVベルト式無段変速装置が収容された伝動ケースとを備え、 上記乾式クラッチは、上記伝動ケース内に配置され、 上記エンジン本体は、上記車体フレームに上下揺動可能に支持されている、自動二輪車。
上記エンジン本体は、上記車体フレームに上下揺動可能なように直接支持されている、 請求項16に記載の自動二輪車。
請求項1に記載の乾式クラッチを有するエンジンユニットと、車体フレームとを備えた自動二輪車であって、 上記エンジンユニットは、上記車体フレームに固定的に搭載されている、自動二輪車。
請求項1に記載の乾式クラッチの一部を構成する伝達部材であって、 上記伝達部材は、伝達軸に取り付けられ、上記伝達軸の回転による遠心力により、被伝達軸に取り付けられたケーシングに当接するシューであり、上記シューの上記ケーシングに対する接触面に上記固体潤滑剤が配設されている、伝達部材。
請求項1に記載の乾式クラッチの一部を構成する被伝達部材であって、 上記被伝達部材は、被伝達軸に取り付けられ、伝達軸に取り付けられたシューが上記伝達軸の回転による遠心力により当接するケーシングであり、上記ケーシングの上記シューに対する接触面に上記固体潤滑剤が配設されている、被伝達部材。
Description:
乾式クラッチ、乾式クラッチの 部を構成する伝達部材及び被伝達部材、並 に乾式クラッチを備えた自動二輪車

本発明は、伝達部材と被伝達部材とを接触 又は離間させることにより動力を伝達又は遮 断するようにした乾式クラッチ、当該乾式ク ラッチの一部を構成する伝達部材及び被伝達 部材、並びに当該乾式クラッチを備えた自動 二輪車に関する。

例えば、スクータ型の自動二輪車では、エ ンジン本体とVベルト式無段変速装置とを備 たユニットスイング式エンジンユニットを 体フレームに上下揺動可能に支持した構造 一般的である。 

このようなVベルト式無段変速装置では、 ランク軸に連結された駆動プーリと、後輪 に連結された従動プーリとにVベルトを巻回 、エンジン動力を後輪に伝達又は遮断する 式クラッチを従動プーリ側に配置した構造 一般的である。 

この種の乾式クラッチとして、従来、特許文 献1に記載されたものがある。この従来の乾 クラッチは、エンジン動力が常時伝達され 伝達軸側にクラッチシューを配置し、後輪 に連結された被伝達軸側にクラッチドラム 配置し、上記伝達軸の回転によって発生す 遠心力を利用して、上記クラッチシューを ラッチドラムに当接させることにより、エ ジン動力を後輪に伝達するようになってい 。  

特開平7-119764号公報

ところで、上記従来の乾式クラッチでは、 ピストンの往復移動によるクランク軸の回転 変動がクラッチシューからクラッチドラムに 伝達され、該回転変動が車体振動としてライ ダに伝達されるという問題がある。この振動 は、特に、クラッチシューが新品状態で、車 両の加減速時にクラッチが完全に接続されて いない状態のときに生じ易く、この点での改 善が要請されている。 

本発明は、上記従来の状況に鑑みてなされ たもので、エンジンの回転変動が車体を介し てライダに伝達されることを抑制できる乾式 クラッチ、該乾式クラッチの一部を構成する 伝達部材及び被伝達部材、並びに該乾式クラ ッチを備えた自動二輪車を提供することを課 題としている。

本発明は、伝達部材と被伝達部材とを備え 、上記伝達部材と上記被伝達部材とを非潤滑 雰囲気中で接触させ又は離間させることによ り動力を伝達し又は遮断する乾式クラッチで あって、上記伝達部材と上記被伝達部材との 間に固体潤滑剤を介在させたものである。

本発明に係る乾式クラッチによれば、伝達 部材と被伝達部材との間に固体潤滑剤を介在 させたので、該固体潤滑剤によって伝達部材 から被伝達部材に伝達される回転変動が小さ くなり、スムーズなトルク伝達が行われる。 これにより、上記乾式クラッチを、例えば自 動二輪車の変速装置に採用することにより、 エンジンの回転変動を上記固体潤滑剤により 吸収することができ、該回転変動が車体を介 してライダに伝達されることを抑制すること ができる。

本発明の第1実施形態による乾式クラッ チを備えた自動二輪車の側面図である。 上記自動二輪車の車体フレームに搭載 れたエンジンユニットの側面図である。 上記エンジンユニットの車体フレーム 支持部の断面図である。 上記エンジンユニットの一部断面平面 である。 上記エンジンユニットのVベルト式無段 変速装置の側面図である。 上記遠心クラッチが配置されたVベルト 式無段変速装置の断面図である。 上記遠心クラッチの内側から見た側面 である。 上記エンジンユニットの後端部の断面 である。 クラッチ回転数とクラッチ伝達トルク の関係を示す特性図である。 本発明の第2実施形態による乾式クラ チの断面図である。 本発明の第3実施形態による乾式クラ チの断面図である。

符号の説明

1 自動二輪車2 車体フレーム8 エンジンユ ニット8a エンジン本体8b 伝動ケース17 Vベ ト式無段変速装置40 駆動プーリ41 従動プー リ42 Vベルト60,75,85 乾式クラッチ62 クラッ ドラム(被伝達部材)66 クラッチシュー(伝達 材)67 コイルばね(弾性体)68 摩擦板70 固体 滑剤78,87a アウタプレート(伝達部材)81,89a  ンナプレート(被伝達部材)91 クラッチばね( 弾性体)

以下、本発明の実施の形態を添付図面に基 づいて説明する。 

図1ないし図8は、本発明の第1実施形態によ る乾式クラッチを備えた自動二輪車1を説明 るための図である。なお、本実施形態の説 における前後左右は、シートに着座した状 で見た場合の前後左右を意味している。 

図において、符号1はスクータ型の自動二 車を示している。図1に示すように、この自 二輪車1は、アンダボーン型の車体フレーム 2と、フロントフォーク6と、ユニットスイン 式エンジンユニット8と、シート9とを備え いる。フロントフォーク6は、車体フレーム2 の前端に位置するヘッドパイプ3により、左 操向可能に支持されている。フロントフォ ク6の下端部には前輪4が配置され、上端部に は操向ハンドル5が配置されている。エンジ ユニット8の前部は車体フレーム2に上下揺動 可能に支持され、エンジンユニット8の後端 に後輪7が配置されている。シート9は、車体 フレーム2のエンジンユニット8の上方に搭載 れた2人乗り用の鞍乗型のシートである。 

フロントフォーク6の前側は、フロントカ ー11で覆われている。フロントフォーク6の 側は、レッグシールド12で覆われている。シ ート9の下方周囲は、サイドカバー13で覆われ ている。また、レッグシールド12とサイドカ ー13との間には、低床のフートボード(不図 )が配設されている。 

車体フレーム2は、左,右のダウンチューブ2 0と、左,右のシートレール21と、左,右のエン ン懸架フレーム22とを有する。左,右のダウ チューブ20は、ヘッドパイプ3から車幅方向 側に拡開しつつ後下方に延びてから、後方 向かって略水平に延びている。左,右のシー トレール21は、左,右のダウンチューブ20の中 部から後方斜め上向きに延び、さらに後方 向かって略水平に延びている。左,右のエン ジン懸架フレーム22は、左,右のダウンチュー ブ20の後端から上下方向に延び、その上端部 上記左,右のシートレール21に接続されてい 。 

また、車体フレーム2は、左,右のアッパチ ーブ24と、左,右のシートステー25と、クロ メンバ(図示せず)とを有する。左,右のアッ チューブ24は、ヘッドパイプ3から後方に略 線状に延び、その後端部が上記左,右のシー レール21に接続されている。左,右のシート テー25は、左,右のエンジン懸架フレーム22 シートレール21とを連結している。上記クロ スメンバは、上記左,右のシートレール25のエ ンジン懸架フレーム22の接続部近傍同士を、 幅方向に連結している。 

上記クロスメンバとエンジンユニット8と 間には、リヤサスペンション10が介設されて いる。また、車体フレーム2のシート9の下方 は、収納ボックス33が配置されている。収 ボックス33の前側には燃料タンク30が配置さ 、燃料タンク30の下方にはラジエータ31が配 置されている。 

エンジンユニット8は、エンジン本体8aと伝 動ケース8bとを一体的に結合した構造を有す 。図4に示すように、伝動ケース8bは、Vベル ト式無段変速装置17が収容された変速装置収 室aを有している。 

図1に示すように、エンジンユニット8は、 ンジン本体8aの下側部分が車体フレーム2に 動可能に直接支持されており、詳細には以 の構造を有する。 

図2に示すように、左,右のエンジン懸架フ ーム22のダウンチューブ20接続部近傍には、 ピボット部材47が配置されている。ピボット 材47は、その軸線が車幅方向を向くように 置されている。左,右のピボット部材47には ピボット軸51が挿入されている。 

左,右のピボット部材47は、図3に示すよう 、エンジン懸架フレーム22に固定された外筒 50aと、上記ピボット軸51が挿入された内筒50b を有している。外筒50aと内筒50bとの間には ゴムブッシュ50cが焼き付け等により固着さ ている。 

図1に示すように、エンジン本体8aのクラン クケース8cの底壁には、左,右一対の懸架アー ム部8jが前方に突出するよう一体形成されて る。図3に示すように、左,右の懸架アーム 8jは、ピボット軸51の左,右のピボット部材47 内側に配置されている。懸架アーム部8jは 軸受52を介してピボット軸51に回動可能に支 されている。 

エンジン本体8aは、気筒軸線Aを大略水平に 向けて搭載された水冷式4サイクル単気筒エ ジンである。車幅方向に延びるクランク軸18 が収容されたクランクケース8cの前合面に、 ストン19(図4参照)が摺動自在に収容された リンダブロック8dが結合されている。シリン ダブロック8dの前合面には、点火プラグ16、 気カム軸(不図示)及び排気カム軸(不図示)が 置されたシリンダヘッド8eが結合されてい 。シリンダヘッド8eには、ヘッドカバー8fが 着されている。図4に示すように、ピストン 19は、コンロッド15を介してクランク軸18に連 結されている。 

図5に示すように、シリンダヘッド8eの上壁 面には、吸気ポートに連通する吸気管37が接 されている。この吸気管37の下流端部には 料噴射弁38が装着され、吸気管37の燃料噴射 38の上流側にはスロットル弁39が配置されて いる。吸気管37の上流端は、伝動ケース8bの 壁面に配置固定されたエアクリーナ36(図1参 )に接続されている。 

図4に示すように、伝動ケース8bは、クラン クケース8cの左側壁に続いて後方に延びるよ 一体形成されたケース本体8gと、ケース本 8gの左側合面に着脱可能に装着されたケース カバー8hとを有する。 

上記ケースカバー8hの外側には、車両前方 開口する冷却空気導入口27aを有する冷却風 入ダクト27(図2参照)が着脱可能に装着され いる。冷却空気導入口27aから流入した走行 は、伝動ケース8bの前端部から変速装置収容 室a内を後方に流れる。そして、上記走行風 、後述する駆動プーリ40、従動プーリ41及びV ベルト42を冷却しつつ、伝動ケース8bの後端 から外部に排出される。 

図4に示すように、Vベルト式無段変速装置1 7は、伝動ケース8b内に突出するクランク軸18 軸方向左端部18aに装着された駆動プーリ40 、伝動ケース8bの後端部に配置された従動プ ーリ41と、駆動プーリ40と従動プーリ41とに巻 き掛けられたVベルト42とを有する。 

駆動プーリ40は、クランク軸18と共に回転 るようスプライン嵌合された円筒状の駆動 部材43と、駆動軸部材43に軸方向の移動が可 にかつ駆動軸部材43と共に回転するよう装 された可動シーブ40aと、クランク軸18の左端 部18aにロックナット45により軸方向に移動不 に固定された固定シーブ40bとを有する。 

従動プーリ41は、伝動ケース8bにより軸支 れた回転軸44に回転自在に装着された円筒状 の従動軸部材46と、従動軸部材46に軸方向に 動不能にかつ共に回転するよう固定された 定シーブ41bと、従動軸部材46に軸方向移動可 能に、かつ固定シーブ41bと共に回転するよう 装着された可動シーブ41aとを有する。 

回転軸44の右側端部44aは、伝動ケース8bの変 装置収容室aとは独立して形成されたギヤ室c 内に挿入されている。図8に示すように、ギ 室c内には、中間減速軸48及び後輪軸
7aが、回転軸44と平行に配置されている。後 軸7aの右側端部7bは伝動ケース8bから内側に 出しており、右側端部7bに後輪7(図4参照)が 着されている。 

図6に示すように、無段変速装置17は、巻径 可変装置54を備えている。巻径可変装置54は コントローラ(不図示)によって制御されるも のであり、エンジン回転数、車速等に基づい て、上記駆動プーリ40のベルト巻径をロー位 Lとトップ位置Tとの間で可変制御する。巻 可変装置54は、伝動ケース8bの前端部に前斜 上向きに膨出形成された巻径制御室b(図4参 )内に配置されている。 

巻径可変装置54は、駆動モータ55と、駆動 ーリ40の可動シーブ40aを軸方向に移動させる ことによりベルト巻径を変化させる往復駆動 ギヤ56と、駆動モータ55の回転を往復駆動ギ 56に伝達する減速ギヤ群57と、往復駆動ギヤ5 6の回転を可動シーブ40aの軸方向移動に変換 る送りねじ部材56aとを有する。往復駆動ギ 56が回転すると、送りねじ部材56aが可動シー ブ40aと共に駆動モータ55の回転量に応じた距 だけ軸方向に移動し、これにより巻径が変 する。 

伝動ケース8bの変速装置収容室a内における 回転軸44の従動プーリ41の外側には、乾式ク ッチ60が装着されている。乾式クラッチ60は 従動軸部材46に共に回転するよう固定され クラッチ本体(伝達部材)63と、回転軸44に共 回転するようロックナットで固定されたク ッチドラム(被伝達部材)62とを有する。 

クラッチドラム62は、車幅方向内方に開口 る大略碗状のものである。クラッチドラム6 2は、回転軸44に固定された円板部62aと、円板 部62aの外周縁から内側に延びる円筒部62bとを 有している。円筒部62b内には、クラッチ本体 63が配置されている。 

クラッチ本体63は、従動軸部材46に固定さ たクラッチプレート64と、クラッチプレート 64に周方向に所定角度間隔をあけて配置され 3つの支持ピン65とを有している。また、図7 に示すように、クラッチ本体63は、クラッチ ュー(伝達部材)66と、コイルばね67と、摩擦 68とを有している。クラッチシュー66は、各 支持ピン65により回動可能に支持され、支持 ン65から従動プーリ41の回転方向dに沿って びている。コイルばね67は、各クラッチシュ ー66の途中部分とクラッチプレート64の支持 ン65部分とを連結するように配設され、クラ ッチシュー66を径方向内側(離間方向)に付勢 る。摩擦板68は、各クラッチシュー66の外周 66aに、貼着固定されている。 

エンジン駆動時には、エンジン本体8aから エンジン回転が、Vベルト42を介して従動軸 材46に伝達される。そして、従動軸部材46の 回転による遠心力がコイルばね67の付勢力よ 大きくなると、各クラッチシュー66が支持 ン65を中心に径方向外側に回動し、クラッチ シュー66の摩擦板68がクラッチドラム62の円筒 部62bの内周面に当接する。これによりクラッ チドラム62が回転し、クラッチドラム62の回 が回転軸44から後輪7に伝達される。上記エ ジン回転による遠心力がコイルばね67の付勢 力より小さくなると、各クラッチシュー66は ラッチドラム62から離間し、後輪7へのエン ン動力の伝達が遮断される。 

本実施形態の乾式クラッチ60では、クラッ ドラム62の円筒部62bの内周面と、クラッチ ュー66の摩擦板68の外表面との間に、固体潤 剤70が介在している。この固体潤滑剤70は、 低摩擦係数を有するカーボン粉末からなり、 より詳細には、上記摩擦板68の外表面、すな ちクラッチドラム62の円筒部62bの内周面と 触する面に配置されている。具体的には、 記固体潤滑剤70は、粘土等にカーボン粉末を 混ぜ合わせてなるカーボン棒体を摩擦板68の 表面に擦り付けることにより形成されたも であり、粉体膜状又は粉体層状をなしてい 。なお、さらに具体的には、2B等の柔らか 鉛筆の芯を擦り付けることによっても固体 滑剤70を形成することができる。これにより 、各クラッチシュー66の摩擦板68は、固体潤 剤70を介してクラッチドラム62に接触可能と っている。 

本実施形態によれば、乾式クラッチ60のク ッチドラム62と各クラッチシュー66との間に 固体潤滑剤70を介在させたので、固体潤滑剤7 0によってクラッチ本体63からクラッチドラム 62に伝達される回転変動が小さくなり、スム ズなトルク伝達が行われる。これにより、 ンジン本体8aの回転変動が固体潤滑剤70によ り吸収され、この回転変動が車体を介してラ イダに伝達されることを抑制することができ る。 

一般に、クラッチシュー66の摩擦板68は、 摩擦係数を有するライニング剤と高摩擦係 を有するライニング剤とを組み合わせたり 混ぜ合わせたりすることで形成されている 一方、新車時等のように摩擦板68が新品の状 態にある場合、運転初期においてはクラッチ ドラム62と摩擦板68とが馴染みにくい。この め、摩擦板68がクラッチドラム62に馴染むま の間は、エンジンの回転変動がそのまま後 側に伝わり易くなっている。これに対して 実施形態では、接触面に固体潤滑剤70を介 させたので、運転初期においても摩擦板68と クラッチドラム62とが馴染み易くなり、馴ら 運転が終わる時期には摩擦板68自体がクラ チドラム62に馴染むこととなる。 

図9は、クラッチ回転数(rpm)とクラッチ伝達 トルク(N・m)との関係を示す特性図である。 中、曲線xは、摩擦板68が新品状態のときの ルク伝達曲線を示している。一方、曲線yは 固体潤滑剤70を介在させた場合のトルク伝 曲線を示している。新品の摩擦板68の場合の トルク伝達曲線xは、立ち上がりが急である め、クラッチ回転数の変化に対して伝達ト クの変化はa,bと大きい。そのため、クラッ の回転変動が大きくなると伝達トルク変動 大きくなり、これが車体振動の原因となる これに対して、固体潤滑剤70を介在させた場 合のトルク伝達曲線yは、立ち上がりが比較 緩やかになる。そのため、クラッチ回転数 変化に対して伝達トルクの変化はa″,b″と 較的小さくなる。したがって、摩擦板68が新 品状態であっても回転変動に対する伝達トル ク変動を小さくでき、これにより車体振動を 小さくできる。 

本実施形態では、摩擦板68にカーボンを擦 付けることにより固体潤滑剤70を形成した で、比較的低コストの材料でかつ容易に低 擦係数の固体潤滑膜又は固体潤滑層を形成 ることができる。例えば、低摩擦係数の樹 等のコーティング剤を塗布した後、加熱硬 させる方法の場合には、加熱装置及び1~2時 の加熱時間を要し、コストが上昇するとい 問題がある。 

ここで、本実施形態のように、エンジンユ ニット8を車体フレーム2に直接、つまりリン 機構等を介在させることなく上下揺動可能 支持した場合には、エンジン回転変動が伝 トルク変動となってライダに伝わり易いと った問題がある。しかし、本実施形態では 上述のように、乾式クラッチ60に固体潤滑 70を介在させたので、車体振動を抑制するこ とができる。その結果、エンジンユニット8 車体フレーム2に直接支持した場合の利点、 えばスタート時又は加速時のダイレクト感 高めることが可能といった利点を享受でき 。 

なお、上記実施形態では、摩擦板68に固体潤 剤70としてカーボンを擦り付ける例につい 説明した。ここでカーボンの具体例は特に 定されず、例えばグラファイト、ダイアモ ド粉末、ファインセラミックス粉末等を用 ることができる。また、固体潤滑剤70の具体 例は、カーボンに限定される訳ではない。例 えば、固体潤滑剤70として、金、銀、銅、亜 、及び鉛などの軟質金属を用いることもで る。また、固体潤滑剤70として、二硫化モ ブデン及び二硫化タングステンなどの硫化 を用いることもできる。また、固体潤滑剤70 として、フッ化グラファイト及びフッ素樹脂 (例えばテフロン(登録商標))などのフッ化物 用いてもよい。また、固体潤滑剤70として、 セレン・テルル化物、ハロゲン化物、ナイロ ンなどの有機化合物、窒化ホウ素などの窒化 物、酸化鉛などの金属酸化物、CaF 2 +BaF 2 +Ag系の複酸化物等を用いることも可能である 。固体潤滑剤70は、炭素またはモリブデンを んだ固体潤滑剤であることが好ましい。固 潤滑剤70として、上述のグラファイト、二 化モリブデン、及びフッ素樹脂が特に好適 ある。 

上記二流化モリブデンやグラファイトによ り固体潤滑剤を介在させる場合には、例えば 、二流化モリブデンを塗布することにより、 あるいはグラファイトを有機溶剤に溶かして はけ塗りすることにより、固体潤滑剤を介在 させることができる。このように二流化モリ ブデンやグラファイトを採用した場合にも、 上記実施形態と同様の効果が得られる。 

なお、固体潤滑剤70は、乾式クラッチ60の 達部材(上記実施形態ではクラッチシュー66) は被伝達部材(上記実施形態ではクラッチド ラム62)に含まれる材料を含んでいることが好 ましい。例えば、摩擦板68のライニング剤に ーボンが含まれている場合、固体潤滑剤70 してカーボンを用いることが好ましい。そ 理由は、以下の通りである。 

すなわち、ある程度の使用期間が経過する と摩擦板68とクラッチドラム62とが馴染んだ 態となる理由の一つは、摩擦板68の表面が摩 耗することによって、摩擦板68のライニング に含まれているカーボンが表面に露出して るからであると考えられる。そこで、予め 体潤滑剤70として摩擦板68の表面にカーボン を擦りつけておくことにより、未使用状態に おいても、摩擦板68の表面にカーボンを配設 ることができる。言い換えると、未使用状 においても、摩擦板68の表面にカーボンを 出させることができる。したがって、未使 状態においても、使用後のような状態を作 出すことができ、摩擦板68とクラッチドラム 62とを馴染ませることができる。また、固体 滑剤70と摩擦板68との間における材料同士の 相性が良いので、摩耗後の固体潤滑剤70と摩 板68との間での材料同士の干渉による悪影 を避けることができる。 

なお、未使用状態とは、いわゆる新品状態 のことであり、乾式クラッチ60が未だ使用さ ていない状態をいう。ある程度の使用期間 経過すると、摩擦板68に含まれるカーボン 表面に露出してくるので、未使用状態にお る固体潤滑剤にカーボンが含まれていたか うかが不明となるおそれがある。しかし、 使用状態における固体潤滑剤にカーボンが まれていたかどうかは、例えば、以下の方 によって特定することができる。すなわち 通常、クラッチドラム62と摩擦板68とは、そ らの接触面同士の全体が接触する訳ではな 、局所的に見ると、それらの接触面には、 際に接触している部分と接触していない部 とが混在する。そこで、接触していない部 の表面に存在する固体潤滑剤を分析し、当 固体潤滑剤の中にカーボンが含まれている とが分かれば、未使用状態において固体潤 剤の中にカーボンが含まれていたことを特 することができる。 

なお、上記実施形態では、固体潤滑剤70を クラッチシュー66の摩擦板68の外表面に形成 したが、クラッチドラム62の内周面に形成し もよい。その場合、固体潤滑剤70は、摩擦 60に含まれる材料を含んでいてもよい。また 、固体潤滑剤70は、クラッチドラム62の内周 に含まれる材料を含んでいてもよい。 

また、回転軸44に供給用の孔等(図示せず) 形成し、クラッチシュー66の摩擦板68とクラ チドラム62との間に、外部から回転軸44を介 して固体潤滑剤を供給するようにしてもよい 。つまり、乾式クラッチの伝達部材の接触面 または被伝達部材の接触面に固定潤滑剤を供 給するようにしてもよい。 

上記実施形態では、エンジンユニット
8を車体フレーム2により上下揺動可能に直接 持するスクータ型自動二輪車を例にして説 した。しかし、エンジンユニットを車体フ ームに上下揺動可能に支持するにあたり、 ンク機構等を介在させるものであっても、 発明を勿論適用することができる。 

また、上記実施形態では、エンジンユニッ ト8を車体フレーム2により上下揺動可能に支 するスクータ型の自動二輪車を例に説明し が、本発明は、エンジンユニットを車体フ ームに固定的に搭載する自動二輪車にも適 することができる。言い換えると、エンジ ユニットを車体フレームに対して実質的に 下揺動あるいは回転不能に支持する自動二 車にも適用することができる。さらにまた 本発明は、自動車等に搭載された乾式クラ チにも適用可能である。 

上記実施形態では、クラッチシュー66とク ッチドラム62とを備えた乾式クラッチ60につ いて説明した。すなわち、従動プーリ41の回 に伴って発生する遠心力によりクラッチシ ー66がクラッチドラム62に接触し、コイルば ね67のばね力によりクラッチシュー66をクラ チドラム62から離間させるようにした乾式ク ラッチ60であった。しかし、本発明の乾式ク ッチはこれに限られるものではない。 

図10は、本発明の第2実施形態による乾式ク ラッチ75を示している。 

第2実施形態の乾式クラッチ75は、入力軸76 共に回転するよう固定されたアウタドラム7 7と、アウタドラム77に係合する複数のアウタ プレート78と、出力軸79に共に回転するよう 定されたインナドラム80と、インナドラム80 係合する複数のインナプレート81と、入力 76の回転によって発生する遠心力によりアウ タプレート78とインナプレート81とを圧接さ る方向に移動可能なボールウェイト82とを有 する。これにより、入力軸76の回転がアウタ レート78及びインナプレート81を介して出力 軸79に伝達される。 

本実施形態においては、上記アウタプレー ト78とインナプレート81との間の接触面、す わち、アウタプレート78の接触面及びインナ プレート81の接触面のいずれか一方又は両方 、固体潤滑剤が介在している。 

図11は、本発明の第3実施形態による乾式ク ラッチ85を示している。 

第3実施形態の乾式クラッチ85は、クランク 軸(不図示)に噛合する減速歯車86に共に回転 るよう固定されたアウタドラム87と、出力軸 88に共に回転するよう固定されたインナドラ 89と、両ドラム87,89の間に介設された複数の アウタプレート87a及びインナプレート89aと、 該アウタプレート87a及びインナプレート89aを 押圧プレート90を介して軸方向に常時圧接さ るクラッチばね91とを有する。これにより エンジン回転がアウタドラム87及びインナド ラム89を介して出力軸88に伝達される。 

また、上記押圧プレート90にはプッシュロ ド92が連結され、プッシュロッド92には軸直 角方向に挿入された駆動軸93が噛合している この駆動軸93には、連結レバー94を介して操 向ハンドルのクラッチレバー(不図示)が連結 れている。ライダがクラッチレバーを把持 ると、駆動軸93が回動し、これに伴ってプ シュロッド92がクラッチばね91を圧縮する方 に移動する。これにより、アウタプレート8 7aとインナプレート89aとが離間し、エンジン 転の伝達が遮断される。 

本実施形態においては、上記アウタプレー ト87aとインナプレート89aとの間の接触面、す なわち、アウタプレート87aの接触面及びイン ナプレート89aの接触面のいずれか一方又は両 方に、固体潤滑剤が介在している。 

このように第2及び第3実施形態の乾式クラ チ75,85においても、アウタプレート78,87aと ンナプレート81,89aとの接触面に固体潤滑剤 介在させることにより、第1実施形態と略同 の効果が得られる。

以上のように、本発明は、伝達部材と被伝 達部材とを接触又は離間させることにより動 力を伝達又は遮断するようにした乾式クラッ チ、当該乾式クラッチの一部を構成する伝達 部材及び被伝達部材、並びに当該乾式クラッ チを備えた自動二輪車について有用である。