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Patent Searching and Data


Title:
DYE-SENSITIZED SOLAR CELL PRODUCTION KIT
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/157410
Kind Code:
A1
Abstract:
Disclosed is a dye-sensitized solar cell production kit that can produce a dye-sensitized solar cell having highly reproducible propreties even by a person other than experts. The dye-sensitized solar cell production kit comprises a photoelectrode member comprising an electroconductive substrate and a dye-sensitized semiconductor fine particle layer.  The dye-sensitized solar cell production kit further comprises a counter electrode member comprising an electroconductive substrate, and an electrolysis solution comprising an electrolyte.  The dye-sensitized solar cell production kit is characterized in that the electroconductive substrate in the photoelectrode member is a transparent electroconductive substrate comprising a transparent polymer film and a transparent electroconductive layer, and the electroconductive substrate in the counter electrode member is a transparent electroconductive substrate comprising a transparent polymer film and a transparent electroconductive layer of a metal mesh.

Inventors:
MIYASAKA TSUTOMU (JP)
IKEGAMI MASASHI (JP)
Application Number:
PCT/JP2009/061337
Publication Date:
December 30, 2009
Filing Date:
June 22, 2009
Export Citation:
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Assignee:
PECCELL TECHNOLOGIES INC (JP)
GAKKO HOUJIN TOIN GAKUEN (JP)
MIYASAKA TSUTOMU (JP)
IKEGAMI MASASHI (JP)
International Classes:
H01M14/00; H01L31/04
Foreign References:
JP2007250382A2007-09-27
JP2007059102A2007-03-08
JP2007294288A2007-11-08
JP2006107771A2006-04-20
JP2006339074A2006-12-14
Other References:
"87th Annual Meeting of Chemical Society of Japan in Spring Koen Yokoshu I, 12 March, 2007 (12.03.07)", 12 March 2007, article YOSHINORI FUSHIMI: "P-CDI Koseino Denkaishitsu Yoeki o Mochiita Shikiso Zokan Taiyo Denchi no Tokusei Hyoka", pages: 77
"86th Annual Meeting of Chemical Society of Japan in Spring Koen Yokoshu I, 13 March, 2006 (13.03.06)", 13 March 2006, article YOSHINORI FUSHIMI: "beta-CDI Tomei Denkaieki no Hyoka Oyobi Shikiso Zokangata Taiyo Denchi eno Oyo", pages: 723
Attorney, Agent or Firm:
YANAGAWA, YASUO (JP)
Yasuo Yanagawa (JP)
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Claims:
 導電性基板および色素増感された半導体微粒子層を含む光電極部材、導電性基板を含む対向電極部材、並びに電解質を含む電解液からなる色素増感型太陽電池作製キットであって、光電極部材の導電性基板が透明ポリマーフイルムおよび透明導電性層を有する透明導電性基板であり、かつ対向電極部材の導電性基板が透明ポリマーフイルムおよび金属メッシュからなる透明導電性層を有する透明導電性基板であることを特徴とする色素増感型太陽電池作製キット。
 さらに、電解液の封止材料を含む請求項1に記載の色素増感型太陽電池作製キット。
 さらに、テープ状の金属端子を含む請求項1に記載の色素増感型太陽電池作製キット。
 電解液が、有機溶媒中に下記式(I)で表される脂肪族第四級アンモニウムイオンが0.05乃至5M、下記式(II)で表されるイミダゾリウムイオンが0.05乃至5M、そしてヨウ化物イオンが0.1乃至10M溶解している電解液である請求項1に記載の色素増感型太陽電池作製キット:
 式中、R 11 、R 12 、R 13 、およびR 14 は、それぞれ独立に、炭素原子数1乃至20の脂肪族基である;
 式中、R 21 およびR 22 は、それぞれ独立に、炭素原子数1乃至20の脂肪族基である。
 電解液中のヨウ化物イオンに対する三ヨウ化物イオンの割合が1モル%未満である請求項4に記載の色素増感型太陽電池作製キット。
 透明ポリマーフイルムおよび透明導電性層を有する透明導電性基板および色素増感された半導体微粒子層を含む光電極部材、透明ポリマーフイルムおよび金属メッシュからなる透明導電性層を有する透明導電性基板を含む対向電極部材、並びに電解質を含む電解液からなる色素増感型太陽電池作製キットから色素増感型太陽電池を作製する方法であって、対向電極部材の金属メッシュからなる透明導電性層の上に黒鉛を含む導電性酸化還元触媒層を形成する工程、光電極部材の半導体微粒子層と対向電極部材の導電性酸化還元触媒層との少なくとも一方の層の上に、電解液を滴下する工程、そして、半導体微粒子層と導電性酸化還元触媒層とが対面するように光電極部材と対向電極部材とを貼り合わせる工程からなることを特徴とする色素増感型太陽電池の製造方法。
 光電極部材の色素増感された半導体微粒子層が導電性基板の一方の面の中央領域に設けられており、対向電極部材の導電性酸化還元触媒層が導電性基板の一方の面の中央領域に設けられている請求項6に記載の製造方法。
 光電極部材の透明導電性基板に半導体微粒子層が設けられている面の上記中央領域を除く縁部と、対向電極部材の透明導電性基板に導電性酸化還元触媒層が設けられている面の上記中央領域を除く縁部とを、両面に粘着性を有するテープで接着し、これにより、光電極部材と対向電極部材とを貼り合わせると共に、滴下した電解液を封止する請求項6に記載の製造方法。
 透明ポリマーフイルム、金属メッシュからなる透明導電性層、導電性酸化還元触媒層、電解質を含む電解液からなる電荷輸送層、色素増感された半導体微粒子層、透明導電性層、そして透明ポリマーフイルムがこの順序で積層されていることを特徴とする色素増感型太陽電池。
 電解質を含む電解液からなる電荷輸送層が、両面に粘着性を有するテープにより封止されている請求項9に記載の色素増感型太陽電池。
 さらに長尺状の金属端子が透明導電性層に接続している請求項9に記載の色素増感型太陽電池。
 電解液が、有機溶媒中に下記式(I)で表される脂肪族第四級アンモニウムイオンが0.05乃至5M、下記式(II)で表されるイミダゾリウムイオンが0.05乃至5M、そしてヨウ化物イオンが0.1乃至10M溶解している電解液である請求項9に記載の色素増感型太陽電池:
 式中、R 11 、R 12 、R 13 、およびR 14 は、それぞれ独立に、炭素原子数1乃至20の脂肪族基である;
 式中、R 21 およびR 22 は、それぞれ独立に、炭素原子数1乃至20の脂肪族基である。
 電解液中のヨウ化物イオンに対する三ヨウ化物イオンの割合が1モル%未満である請求項12に記載の色素増感型太陽電池。
Description:
色素増感型太陽電池作製キット

 本願発明は、色素増感型太陽電池作製キ トに関する。また、本願発明は、色素増感 太陽電池作製キットを用いて色素増感型太 電池を製造する方法にも関する。さらに、 願発明は、色素増感型太陽電池にも関する

 近年、環境問題が深刻化し、石油に替わ 代替エネルギーが注目されている。そのた 、教育の場においても太陽エネルギーの利 が取り上げられている。教育の場では、学 の実験室でも作製できる太陽電池が注目さ ている。

 特許文献1に、色素増感型太陽電池が提案さ れている。色素増感型太陽電池は、自然の光 合成と同様に色素により光を吸収し、電気化 学反応により発電を行う有機太陽電池の一つ である。
 特許文献2には、従来のガラス基板に代えて 、プラスチック基板を用いた色素増感型太陽 電池が開示されている。プラスチック基板に は、軽量でフレキシブルであるとの特徴があ る。
 非特許文献1には、光電極側に金属基板を用 い、対向電極側にプラスチック基板を用いた 色素増感型太陽電池が開示されている。この 場合、光電極側に不透明な金属基板を用いる ため、対向電極側から光を照射する。

 色素増感型太陽電池は、簡単に作製でき、 膜シリコンに近いエネルギー変換効率が得 れ、安価であるとの特徴がある。これらの 徴から、次世代の太陽電池として、色素増 型太陽電池が広く研究されている。また、 れらの特徴は、教育の場で作製する太陽電 としても、大きな利点になる。そのため、 習教材や研究用途において、色素増感型太 電池の組み立てキットに対する需要が高ま ている。
 非特許文献2は、市販されている色素増感型 太陽電池の組み立てキットのホームページで ある。色素増感型太陽電池の組み立てキット については、特許文献3にも記載がある。

米国特許4927721号明細書

特開2005-056627号公報

特開2006-108080号公報

カン(M.G. Kang)、パク(N.G. Park)、チャン(S. H. Chang)、キム(K.M. Kim)、ケミストリー・レタ ーズ(Chemistry Letters)、34巻、804頁、2005年 西野田電工株式会社、“花力発電キット ”、[online]、インターネット<URL:http://www.nis inoda-electronics.co.jp/kit.htm>

 色素増感型太陽電池は、他の太陽電池と比 して作製が容易で材料が安価であって、教 の場で作製する太陽電池として優れた特徴 有している。従来の色素増感型太陽電池の み立てキットは、それらの特徴を利用して る。
 しかし、教育の場で作製する場合、色素増 型太陽電池の製造工程をさらに容易かつ安 に(特に、けがをしないように)する必要が る。また、キットを用いる色素増感型太陽 池の作製は、専門家以外の者が行うため、 製される色素増感型太陽電池の性能(感度や 電変換効率)が低い場合が多い。

 本願発明の目的は、専門家以外の者が製 しても、高い性能の色素増感型太陽電池を 造できる方法を提供することである。

 本願発明は、導電性基板(11)および色素増 感された半導体微粒子層(12)を含む光電極部 (1)、導電性基板(21)を含む対向電極部材(2)、 びに電解質を含む電解液(3)からなる色素増 型太陽電池作製キットであって、光電極部 (1)の導電性基板(11)が透明ポリマーフイルム (111)および透明導電性層(112)を有する透明導 性基板であり、かつ対向電極部材(2)の導電 基板(21)が透明ポリマーフイルム(211)および 属メッシュからなる透明導電性層(212)を有す る透明導電性基板であることを特徴とする色 素増感型太陽電池作製キットを提供する。

 色素増感型太陽電池作製キットは、さらに 解液の封止材料(5)を含むことができる。色 増感型太陽電池作製キットは、長尺状(例、 テープ状)の金属端子(7)を含むこともできる
 電荷輸送層の電解液(3)は、有機溶媒中に下 式(I)で表される脂肪族第四級アンモニウム オンが0.05乃至5M、下記式(II)で表されるイミ ダゾリウムイオンが0.05乃至5M、そしてヨウ化 物イオンが0.1乃至10M溶解することができる。 これにより、電解液中のヨウ化物イオンに対 する三ヨウ化物イオンの割合を1モル%未満に ることができる。

 式中、R 11 、R 12 、R 13 、およびR 14 は、それぞれ独立に、炭素原子数1乃至20の脂 肪族基である;

 式中、R 21 およびR 22 は、それぞれ独立に、炭素原子数1乃至20の脂 肪族基である。

 また、本願発明は、透明ポリマーフイル (111)および透明導電性層(112)を有する透明導 電性基板(11)および色素増感された半導体微 子層(12)を含む光電極部材(1)、透明ポリマー イルム(211)および金属メッシュからなる透 導電性層(212)を有する透明導電性基板(21)を む対向電極部材(2)、並びに電解質を含む電 液(3)からなる色素増感型太陽電池作製キッ から色素増感型太陽電池を作製する方法で って、対向電極部材(2)の金属メッシュから る透明導電性層(212)の上に黒鉛を含む導電性 酸化還元触媒層(22)を形成する工程、光電極 材(1)の半導体微粒子層(12)と対向電極部材(2) 導電性酸化還元触媒層(22)との少なくとも一 方の層の上に、電解質を含む電解液(3)を滴下 する工程、そして、半導体微粒子層(12)と導 性酸化還元触媒層(22)とが対面するように光 極部材(1)と対向電極部材(2)とを貼り合わせ 工程からなることを特徴とする色素増感型 陽電池の製造方法も提供する。

 光電極部材(1)の色素増感された半導体微粒 層(12)が導電性基板(11)の一方の面の中央領 に設けられており、対向電極部材(2)の導電 酸化還元触媒層(22)が導電性基板(21)の一方の 面の中央領域に設けられていることが好まし い。
 光電極部材(1)の透明導電性基板(11)に半導体 微粒子層(12)が設けられている面の上記中央 域を除く縁部と、対向電極部材(2)の透明導 性基板(21)に導電性酸化還元触媒層(22)が設け られている面の上記中央領域を除く縁部とを 、両面に粘着性を有するテープ(5)で接着し、 これにより、光電極部材(1)と対向電極部材(2) とを貼り合わせると共に、滴下した電解液(3) を封止することができる。

 さらに本願発明は、透明ポリマーフイルム( 211)、金属メッシュからなる透明導電性層(212) 、導電性酸化還元触媒層(22)、電解質を含む 解液(3)からなる電荷輸送層、色素増感され 半導体微粒子層(12)、透明導電性層(112)、そ て透明ポリマーフイルム(111)がこの順序で積 層されていることを特徴とする太陽電池も提 供する。
 電解質を含む電解液(3)からなる電荷輸送層 、両面に粘着性を有するテープ(5)により封 されていることが好ましい。
 さらに長尺状の金属端子が透明導電性層に 続していることが好ましい。
 電荷輸送層の電解液(3)は、有機溶媒中に前 式(I)で表される脂肪族第四級アンモニウム オンが0.05乃至5M、前記式(II)で表されるイミ ダゾリウムイオンが0.05乃至5M、そしてヨウ化 物イオンが0.1乃至10M溶解することができる。 これにより、電解液中のヨウ化物イオンに対 する三ヨウ化物イオンの割合を1モル%未満に ることができる。

 本願発明は、光電極部材の導電性基板とし 透明ポリマーフイルムおよび透明導電性層 らなる透明導電性基板を使用し、対向電極 材の導電性基板として透明ポリマーフイル および金属メッシュからなる透明導電性層 有する透明導電性基板を用いることを特徴 する。
 光電極部材の導電性基板として、透明ポリ ーフイルムおよび透明導電性層からなる透 導電性基板を使用することにより、光を損 することなく高い発電出力が得られる。光 極部材の透明導電性層は、従来から非金属( 例、金属酸化物)が普通に用いられている。 金属には金属よりも抵抗が高いとの問題が る。しかし、抵抗が高い問題は、金属端子( 、金属箔のテープ)を透明導電性層に接続さ せることにより解決することができる。

 一方、対向電極部材の透明導電性層として いる金属メッシュは、抵抗が低く(例えば、 表面抵抗が5ω/□以下)、電圧損失が少ないた 、高い発電出力が得られる。また、メッシ 構造により、充分な透明性(例えば、400~700nm の波長領域における光透過率が50%以上)を有 ている。さらに金属メッシュには、導電性 化還元触媒層を容易に透明導電性基板に形 できるとの利点がある。すなわち、金属メ シュの上を鉛筆でこするだけで、容易に黒 を含む導電性酸化還元触媒層を形成するこ ができる。
 電解液は一般に酸化還元系を構成する電解 を含むため、電解液が金属メッシュを腐食 る可能性がある。太陽電池を実用化する場 、耐久性が非常に重視される。耐久性を考 して、金属を透明導電性層に用いることは ほとんど検討されていなかったと思われる しかし、教育の場で作製する色素増感型太 電池作製キットでは、実用的な製品と比較 ると、一般に、耐久性を重視する必要がな 。従って、本願発明においては、金属メッ ュからなる透明導電性層を用いることで、 い発電出力との効果が得られ、耐久性が相 的に低いことは実際には問題とならない。

 なお、耐久性を重視する必要がある場合 、電解液として、有機溶媒中に前記式(I)で される脂肪族第四級アンモニウムイオンが0 .05乃至5M、前記式(II)で表されるイミダゾリウ ムイオンが0.05乃至5M、そしてヨウ化物イオン が0.1乃至10M溶解している溶液を用いることも できる。本願発明者の研究によれば、上記組 成の電解液では、酸化還元系が存在していな い場合でも、高い発電出力が得られる。従っ て、上記組成の電解液では、電解液中のヨウ 化物イオンに対する三ヨウ化物イオンの割合 が1モル%未満にすることができる。これによ 、太陽電池の耐久性を劣化させる主な原因 なっていた三ヨウ化物イオンの量(電解液に 添加するヨウ素の量に対応)を大幅に削減で る。

色素増感型太陽電池作製キットの模式 である。 色素増感型太陽電池作製キットを用い 、色素増感型太陽電池を製造する方法を説 するためのフローチャートである。 本願発明に従い製造した色素増感型太 電池の斜視図と断面模式図である。断面模 図は、斜視図の色素増感型太陽電池をX-X’ 向に切断した断面の模式図である。

 図1は、色素増感型太陽電池作製キットの模 式図である。
 本願発明に従う色素増感型太陽電池作製キ トは、光電極部材(1)、対向電極部材(2)およ 電解液(3)からなる。

 光電極部材(1)は、導電性基板(11)および色素 増感された半導体微粒子層(12)からなる。図1 示すように、色素増感された半導体微粒子 (12)は、導電性基板(11)の一方の面の中央領 に設けられていることが好ましい。光電極 材(1)の導電性基板(11)は、透明ポリマーフイ ム(111)および透明導電性層(112)を有する。
 図1に示すように、光電極部材(1)の色素増感 された半導体微粒子層(12)は、導電性基板(11) 一方の面の中央領域に(縁部を除き)設ける とが好ましい。半導体微粒子層(12)を設ける 域(導電性基板(11)の一方の面の中央領域)は 厳密な意味の中央である必要はなく、図1に 示すように一方に偏っていてもよい。

 対向電極部材(2)は、透明導電性基板(21)から なる。透明導電性基板(21)は、透明ポリマー イルム(211)および金属メッシュからなる透明 導電性層(212)を有する。対向電極部材(2)は、 らに導電性酸化還元触媒層を必要とする。 だし、導電性酸化還元触媒層は、鉛筆のよ な手段を用いて黒鉛を含む層として容易に 成できる。そのため、必ずしも、色素増感 太陽電池作製キットに、導電性酸化還元触 層(またはその材料)を含める必要はない。
 電解液(3)は、電解質の溶液であることが好 しい。図1に示すように、電解液(3)はボトル (例、点眼瓶)に入れて提供することが好まし 。

 図2は、色素増感型太陽電池作製キットを用 いて、色素増感型太陽電池を製造する方法を 説明するためのフローチャートである。
 図2に示す製造方法では、最初に(a→b)対向 極部材(2)の透明導電性基板(21)の金属メッシ からなる透明導電性層の上(一方の面の中央 領域)に、鉛筆(4)を用いて黒鉛を含む導電性 化還元触媒層(22)を形成する。次に(b→c)導電 性基板(21)の導電性酸化還元触媒層(22)が設け れている面の上記中央領域を除く縁部に、 面に粘着性を有するテープ(5)を接着する。 して(c→d)導電性酸化還元触媒層(22)の上に スポイト(6)を用いて電解質を含む電解液(3) 滴下する。最後に、(d+e→f)光電極部材(1)を 導体微粒子層(12)と導電性酸化還元触媒層(22) とが対面するように光電極部材(1)と対向電極 部材(2)とを貼り合わせることにより、色素増 感型太陽電池を製造する。

 図2の(b)に示すように、対向電極部材(2)の 導電性酸化還元触媒層(22)は、導電性基板(21) 一方の面の中央領域に設けることが好まし 。導電性酸化還元触媒層(22)を設ける領域( 電性基板(21)の一方の面の中央領域)は、厳密 な意味の中央である必要はなく、図2の(b)に すように一方に偏っていてもよい。また、 電性酸化還元触媒層(22)は、領域の全てを覆 (鉛筆の場合は塗り潰す)必要はなく、図2の( b)に示すように部分的に覆う(鉛筆の場合は書 き込む)程度で充分である。

 図2に示すように、半導体微粒子層(12)と導 性酸化還元触媒層(22)とが重ね合わせると実 的に一致する形状を有することができる。 お、「重ね合わせると実質的に一致する形 を有する」とは、両者が最も重複するよう 重ね合わせた場合、一方の形状が他方の形 とは重複しない面積がいずれも、一方の面 全体の30%未満(好ましくは20%未満、さらに好 ましくは10%未満、最も好ましくは5%未満)であ ることを意味する。
 図2に示すように、光電極部材(1)の導電性基 板(11)の縁部と、対向電極部材(2)の導電性基 (21)の縁部とを、両面に粘着性を有するテー (5)で接着することにより、光電極部材(1)と 向電極部材(2)とを貼り合わせると共に、滴 した電解液(3)を封止することができる。

 図3は、本願発明に従い製造した色素増感型 太陽電池の斜視図と断面模式図である。断面 模式図は、斜視図の色素増感型太陽電池をX-X ’方向に切断した断面の模式図である。
 図3に示すように、本願発明に従う太陽電池 は、透明ポリマーフイルム(211)、金属メッシ からなる透明導電性層(212)、導電性酸化還 触媒層(22)、電解液(3)からなる電荷輸送層、 素増感された半導体微粒子層(12)、透明導電 性層(112)、そして透明ポリマーフイルム(111) この順序で積層されている。透明ポリマー イルム(211)と金属メッシュからなる透明導電 性層(212)とは、透明導電性基板(21)を構成する 。そして、透明導電性基板(21)と導電性酸化 元触媒層(22)とは、対向電極部材(2)を構成す 。透明導電性層(112)と透明ポリマーフイル (111)とは、透明導電性基板(11)を構成する。 して、透明導電性基板(11)と色素増感された 導体微粒子層(12)とは光電極部材(1)を構成す る。
 図3に示す太陽電池は、両面に粘着性を有す るテープ(5)により、光電極部材(1)と対向電極 部材(2)とが接着されている。両面に粘着性を 有するテープ(5)には、 電解液(3)からなる電 輸送層を封止する機能もある。テープ(5)の 着剤は、室温(例えば、25℃)において粘着性 を示すことが好ましい。言い換えると、従来 技術に多く用いられている熱溶融性の封止剤 ではなく、加熱しなくても室温で使用可能で ある粘着剤であることが好ましい。
 図3に示す太陽電池は、さらに長尺状の金属 端子(7)が取り付けられている。金属端子(7)は 、光電極部材(1)の透明導電性基板(11)の透明 電性層(112)に接続している。長尺状の金属端 子(7)として、導電性粘着剤が着いた金属テー プを用いることが好ましい。金属テープを透 明導電性基板(11)の縁部(透明導電性層(112)上) 貼り付けることによって、容易に長尺状の 属端子(7)を形成することができる。金属端 を構成する金属は、アルミニウムまたは銅 好ましい。

(光電極部材)
 本願発明において、光電極部材は、透明導 性層を設けた透明ポリマーフイルム(透明導 電性基板)および色素増感された半導体微粒 層からなる。
 本願明細書において、「透明」とは、波長4 00nm~700nmの範囲で測定した光透過率が50%以上( ましくは70%以上)であることを意味する。

 光電極部材の透明ポリマーフイルムに用い ポリマーには、無着色で透明性が高く、耐 性が高く、耐薬品性ならびにガス遮断性に れ、さらに低コストであることが求められ いる。ポリマーフイルムには、従来のガラ 基板と比較して、フレキシブルであるとの 徴がある。
 ポリマーの例は、ポリエチレンテレフタレ ト(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、シ ンジオタクチックポリスチレン(SPS)、ポリフ ニレンスルフィド(PPS)、ポリカーボネート(P C)、ポリアリレート(PAr)、ポリスルホン(PSF)、 ポリエステルスルホン(PES)、ポリエーテルイ ド(PEI)、ポリイミド(PI)、ポリ(メタ)アクリ ートを含む。ポリエチレンテレフタレート(P ET)およびポリエチレンナフタレート(PEN)およ ポリ(メタ)アクリレートが好ましい。
 ポリマーフイルムの厚さは、100乃至1000μmが 好ましく、180乃至500μmがさらに好ましい。

 透明導電性層は、金属(例、白金、金、銀、 銅、アルミニウム、インジウム)、炭素、導 性金属酸化物(例、酸化スズ、酸化亜鉛)また は複合金属酸化物(例、インジウム-スズ酸化 、インジウム-亜鉛酸化物)から形成できる 導電性金属酸化物は、高い光学的透明性を するため、好ましい。インジウム-スズ酸化 (ITO)、酸化亜鉛およびインジウム-亜鉛酸化 (IZO)がさらに好ましい。インジウム-亜鉛酸 物(IZO)は、耐熱性と化学安定性に優れ、最 好ましい。なお、金属を用いて透明導電性 を形成する場合は、対向電極部材の透明導 性基板の透明導電性層と同様に、金属メッ ュからなる透明導電性層であることが好ま い。金属メッシュの詳細は、後述する。
 透明導電性層は、低い表面抵抗値を有する 要がある。具体的な表面抵抗値は10ω/□以 が好ましく、5ω/□以下がより好ましく、3ω/ □以下がさらに好ましく、1ω/□以下が最も ましい。

 半導体微粒子層は、ナノサイズの細孔が内 に網目状に形成された、いわゆるメソポー スな半導体膜からなることが好ましい。半 体微粒子層を形成する半導体材料として、 属酸化物および金属カルコゲニドを使用す ことが好ましい。
 金属酸化物および金属カルコゲニドを構成 る金属元素の例は、チタン、スズ、亜鉛、 、タングステン、ジルコニウム、ストロン ウム、インジウム、セリウム、バナジウム ニオブ、タンタル、カドミウム、亜鉛、鉛 アンチモン、ビスマスを含む。

 半導体材料は、n型の無機半導体が好ましい 。n型の無機半導体の例は、TiO 2 、TiSrO 3 、ZnO、Nb 2 O 3 、SnO 2 、WO 3 、Si、CdS、CdSe、V 2 O 5 、ZnS、ZnSe、SnSe、KTaO 3 、FeS 2 およびPbSを含む。TiO 2 、ZnO、SnO 2 、WO 3 およびNb 2 O 3 が好ましく、チタン酸化物、亜鉛酸化物、ス ズ酸化物およびこれらの複合体がさらに好ま しく、二酸化チタンが最も好ましい。半導体 の一次粒子は、平均粒径が10nm以上80nm以下で ることが好ましく、40nm以上70nm以下である とがさらに好ましい。

 半導体微粒子層は、色素によって増感され いる。色素増感半導体微粒子層において、 内を空孔が占める体積分率で示される空孔 は、50%以上85%以下であることが好ましく、6 5%以上85%以下であることがさらに好ましい。
 半導体微粒子層は、2種類以上の微粒子群を 含むことができる。2種類以上の微粒子群は 例えば、粒径分布が異なることができる。 径分布が異なる2種類以上の微粒子群を含む 合、最も小さい粒子群の平均サイズは10nm以 上80nm以下が好ましく、40nm以上70nm以下がさら に好ましい。この超微粒子群に対して、平均 粒径が200nmを越える比較的大きな粒子群を5乃 至30質量%の割合で添加することが好ましい。 大きな粒子群は、光吸収を高める目的で用い られる。

 光電極部材は、透明導電性層を設けた透 ポリマーフイルム(透明導電性基板)および 素増感された半導体微粒子層からなり、透 導電性層は実質的に無機酸化物のみから構 され、色素増感半導体微粒子層は実質的に 導体粒子と色素のみから構成されているこ が好ましい。具体的には、導電性層および 素増感半導体微粒子層から、無機酸化物、 導体粒子および色素を除いた固形分の質量 、導電性層および色素増感半導体微粒子層 全質量に占める割合は、3%未満が好ましく、 1%未満がさらに好ましい。

 本願発明は、専門家以外の者が学習用キ トから太陽電池を製造する場合に、特に有 である。光電極部材の製造についても、専 家ではない学習者に作業を行わせることが きる。学習者が作業する場合、光電極部材 高温処理を必要としない低温製膜の技術に り作製することが好ましい。低温製膜は、 えばプレス法、水熱分解法、泳動電着法、 インダーフリーコーティング法によって行 ことができる。バインダーフリーコーティ グ法は、ポリマーのようなバインダー材料 用いずに、粒子分散液をコーティングして 製する方法である。

 簡便な製造工程の観点から、バインダー リーコーティング法が特に好ましい。バイ ダーフリーコーティング法は、コーティン 剤として用いる半導体粒子の分散液(ペース ト)が、半導体粒子の結合のために添加され 無機または有機のバインダーを実質的にほ んど含まないことを特徴とする。バインダ を実質的にほとんど含まないことは、ペー トの組成において、半導体を除く固形分で りバインダー材料を含める固形分が、半導 の全量に対して占める含量が1質量%以下であ ることを意味する。

 半導体粒子の増感には、各種の有機系ま は金属錯体系の色素を用いることができる 増感色素は、有機色素(例、シアニン色素、 メロシアニン色素、オキソノール色素、キサ ンテン色素、スクワリリウム色素、ポリメチ ン色素、クマリン色素、リボフラビン色素、 ペリレン色素)および金属錯体色素(例、フタ シアニン錯体、ポルフィリン錯体)を含む。 金属錯体色素を構成する金属の例は、ルテニ ウムおよびマグネシウムを含む。クマリン色 素のような有機色素は、「機能材料」,2003年, 6月号,P5-18、および「ジャーナル・オブ・フ ジカル・ケミストリー・B(J.Phys.Chem.B)」、2003 年、第107巻、597~606頁に記載がある。

 学習用キットの場合、実用的な太陽電池と なり、高い光熱変換効率を追求する必要は い。光熱変換効率よりも、安全性、安価お び学習者の興味を優先して、色素を選択す こともできる。そのように考えると、天然 色素、特に植物の色素(例えば、花や果実に 含まれるアントシアニン類や葉に含まれるク ロロフィル類)を用いることが好ましい。ま 、通常の用途で多用されている問題ない着 剤(例、エオシン)を用いてもよい。特に安全 性を重視する場合は、食品添加物として使用 が認められている色素から選択することが好 ましい。
 色素は、溶液として用いることが好ましい 溶液の溶媒は、水を含むことが好ましい。 素溶液は、20質量%以上の水を含むことが好 しく、50質量%以上の水を含むことがさらに ましい。

(酸化還元系電解液からなる電荷輸送層)
 電荷輸送層は、一般に酸化還元系(oxidation-re duction system, redox system)を構成する電解質を む電解液から構成する。
 電荷輸送層の厚さは、10μm以上100μm以下が ましく、20μm以上70μm以下がさらに好ましい

 電解液の酸化還元系としては、ハロゲンと ロゲン化物(例、I 2 とヨウ化物、Br 2 と臭化物)や金属錯体(例、フェロシアン酸塩- フェリシアン酸塩、フェロセン-フェリシニ ムイオン)を用いることができる。ヨウ化物 例は、金属ヨウ化物(例、LiI、NaI、KI)および 第四級アンモニウム化合物のヨウ素塩(例、 トラアルキルアンモニウムヨーダイド、ピ ジニウムヨーダイド、イミダゾリウムヨー イド)を含む。臭化物の例は、金属臭化物(例 、LiBr、NaBr、KBr)および第四級アンモニウム化 合物の臭素塩(例、テトラアルキルアンモニ ムブロマイド、ピリジニウムブロマイド)を む。
 ハロゲンとハロゲン化物を含む電解液が好 しく、I 2 とヨウ化物とを含む電解液がさらに好ましい 。ヨウ化物は、LiI、KIおよび第四級アンモニ ム化合物のヨウ素塩が好ましい。第四級ア モニウム化合物のヨウ素塩は、ピリジニウ ヨーダイドおよびイミダゾリウムヨーダイ が好ましい。

 電解液に用いる溶媒は、水を含むことが ましい。電解液の溶媒は、20質量%以上の水 含むことが好ましく、50質量%以上の水を含 ことがさらに好ましい。水と有機溶媒とを 合してもよい。水と混合する有機溶媒は、 ルコール(例、エタノール)および多価アル ール(例、エチレングリコール、ポリエチレ グリコール)が好ましい。有機溶媒(例、カ ボネート、アルコール、多価アルコール、 ーテル、ラクトン、ニトリル、スルホキシ )を電解液の溶媒として用いてもよい。2種以 上の有機溶媒を混合して用いてもよい。

(非酸化還元系電解液からなる電荷輸送層)
 本願発明者が電解液の様々な組成について 究したところ、驚くべきことに、電解液へ ヨウ素の添加量を大幅に削減しても、高い ネルギー変換効率が得られる特定の組成が ることが判明した。
 特定の組成とは、有機溶媒中に、前記式(I) 表される脂肪族第四級アンモニウムイオン 0.05乃至5M、前記式(II)で表されるイミダゾリ ウムイオンが0.05乃至5M、そしてヨウ化物イオ ン(I - )が0.1乃至10M溶解している組成である。ヨウ 物イオンが溶解している電解液では、ヨウ 物イオンとレドックス対を構成する三ヨウ 物イオンの存在(言い換えると、電解液への ウ素の添加)が必須であると考えられていた 。しかし、特定の電解質を組み合わせた場合 に限っては、ヨウ素の添加量を大幅に削減し ても、高いエネルギー変換効率を維持するこ とができる。

 本願発明者の研究によると、酸化還元系(レ ドックス対)が成立していない(三ヨウ化物イ ンが存在しない)状況においても、ヨウ化物 イオン(I - )の間の電子交換反応によって電子が伝達さ 、電解液層において電子移動が起きると考 られる。ただし、ヨウ化物イオンの間での 子伝達が起きるのは(レドックス対が存在し いる場合とは異なり)、特定の電解質を組み 合わせた(ヨウ化物イオンの間での電子伝達 促進する電解質を併用する)場合に限られる

 このような特定の電解液の組成を採用する 、電解液へのヨウ素の添加量を大幅に削減 ることができる。これにより、三ヨウ化物 オンによる電解液の着色が削減され、電解 の透明性が著しく改善できる。その結果、 いエネルギー変換効率を維持することがで る。
 また、ヨウ素には腐食性があるため、ヨウ に腐食されやすい金属を光電極層や対向電 層の導電層として使用することは困難であ た。電解液へのヨウ素の添加量を大幅に削 すれば、抵抗が低く電圧損失が少ない金属 光電極層や対向電極層の導電層として使用 ることができる。

 非酸化還元系電解液において、ヨウ化物イ ンに対する三ヨウ化物イオンの割合は、1モ ル%未満が好ましく、0.1モル%未満がより好ま く、0.01モル%未満がさらに好ましく、0.001モ ル%未満が最も好ましい。三ヨウ化物イオン 量は、通常の検出方法において、電解液か 検出されないレベルであってもよい。
 電解液の調製においては、ヨウ化物イオン 対するヨウ素の添加量を、上記三ヨウ化物 オンと同様のモル%以下に削減することがで きる。

 有機溶媒は、非プロトン極性物質が好ま い。有機溶媒の例は、5員環環状カーボネー ト、5員環環状エステル、脂肪族ニトリル、 肪族鎖状エーテルおよび脂肪族環状エーテ を含む。

 5員環環状カーボネートは、下記式(III)で されることが好ましい。

 式(III)において、R 31 およびR 32 は、それぞれ独立に、水素原子または炭素原 子数1乃至20の脂肪族基である。脂肪族基は、 アルキル基であることが好ましい。脂肪族基 の炭素原子数は、1乃至12が好ましく、1乃至6 さらに好ましく、1乃至3が最も好ましい。
 5員環環状カーボネートの例には、エチレン カーボネートおよびプロピレンカーボネート が含まれる。

 5員環環状エステルは、下記式(VI)で表さ ることが好ましい。

 式(VI)において、R 61 、R 62 およびR 63 は、それぞれ独立に、水素原子または炭素原 子数が1乃至20の脂肪族基である。脂肪族基は 、アルキル基であることが好ましい。脂肪族 基の炭素原子数は、1乃至12が好ましく、1乃 6がさらに好ましく、1乃至3が最も好ましい
 5員環環状エステル(γ-ラクトン)の例には、 -ブチロラクトンが含まれる。

 脂肪族ニトリルは、下記式(VII)で表される とが好ましい。
 (VII) R 71 -C≡N
 式(VII)において、R 71 は、炭素原子数が1乃至20の脂肪族基である。 脂肪族基は、アルキル基または置換アルキル 基(好ましくはアルコキシ置換アルキル基)で ることが好ましい。脂肪族基の炭素原子数 、1乃至12が好ましく、1乃至6がさらに好ま く、1乃至3が最も好ましい。
 脂肪族ニトリルの例には、3-メトキシプロ オニトリルが含まれる。

 脂肪族鎖状エーテルは、下記式(VIII)で表さ ることが好ましい。
 (VIII) R 81 -O-R 82
 式(VIII)において、R 81 およびR 82 は、それぞれ独立に、炭素原子数が1乃至20の 脂肪族基である。脂肪族基は、アルキル基ま たは置換アルキル基(好ましくはアルコキシ 換アルキル基)であることが好ましい。脂肪 基の炭素原子数は、1乃至12が好ましく、1乃 至6がさらに好ましく、1乃至3が最も好ましい 。
 脂肪族鎖状エーテルの例には、ジメトキシ タンが含まれる。

 脂肪族環状エーテルは、下記式(IX)で表さ れることが好ましい。

 式(IX)において、L 91 は、酸素原子が介在してもよい炭素原子数が 1乃至20の二価の脂肪族基である。L 91 は、アルキレン基またはアルキレン基と酸素 原子との組み合わせ(例、-アルキレン基-酸素 原子-アルキレン基-)からなることが好ましい 。アルキレン基の炭素原子数は、1乃至12が好 ましく、1乃至6がさらに好ましく、1乃至4が も好ましい。
 脂肪族環状エーテルの例には、テトラヒド フランおよびジオキサンが含まれる。

 二種類以上の有機溶媒を併用してもよい。 えば、5員環環状カーボネートと他の有機溶 媒(例、環状エステル、脂肪族ニトリル、脂 族鎖状エーテル、脂肪族環状エーテル)とを 用できる。複数の溶媒の併用には、溶媒の 度を調整(その結果、電解質の拡散を改善) きる効果がある。
 有機溶媒は、特定の溶媒(例、5員環環状カ ボネート)を主成分とする構成であってもよ 。特定の溶媒を主成分とする場合、全溶媒 の主成分となる溶媒の割合が、50質量%以上 あることが好ましく、80質量%以上であるこ がより好ましく、90質量%以上であることが らに好ましく、95質量%以上であることがさ にまた好ましく、98質量%以上であることが も好ましい。

 非酸化還元系電解液中には、下記式(I)で される脂肪族第四級アンモニウムイオンが0 .05乃至5M溶解している。電解液中の脂肪族第 級アンモニウムイオンの濃度は、0.1乃至2M あることが好ましく、0.2乃至1Mであることが さらに好ましい。

 式(I)において、R 11 、R 12 、R 13 、およびR 14 は、それぞれ独立に、炭素原子数が1乃至20の 脂肪族基である。脂肪族基の炭素原子数は、 1乃至12が好ましく、2乃至8がさらに好ましく 3乃至6が最も好ましい。

 以下に、脂肪族第四級アンモニウムイオン 例を示す。R 11 、R 12 、R 13 、およびR 14 は、式(I)の定義に対応する。

(I-1)テトラメチルアンモニウム(R 11 ~R 14 :メチル)
(I-2)テトラエチルアンモニウム(R 11 ~R 14 :エチル)
(I-3)テトラプロピルアンモニウム(R 11 ~R 14 :プロピル)
(I-4)テトラブチルアンモニウム(R 11 ~R 14 :ブチル)
(I-5)テトラペンチルアンモニウム(R 11 ~R 14 :ペンチル)
(I-6)テトラヘキシルアンモニウム(R 11 ~R 14 :ヘキシル)

 電解液の調製において、脂肪族第四級ア モニウムイオンは塩として添加することが ましい。塩の対イオンは、ヨウ化物イオン たはイソチオシアン酸イオンが好ましく、 ウ化物イオンがさらに好ましい。対イオン ついては、後述する。

 非酸化還元系電解液中には、下記式(II)で 表されるイミダゾリウムイオンが0.05乃至5M溶 解している。電解液中のイミダゾリウムイオ ンの濃度は、0.1乃至2Mであることが好ましく 0.2乃至1Mであることがさらに好ましい。

 式(II)において、R 21 およびR 22 は、それぞれ独立に、炭素原子数1乃至20の脂 肪族基である。脂肪族基の炭素原子数は、1 至15が好ましく、1乃至12がさらに好ましく、 1乃至10が最も好ましい。
 イミダゾリウムイオンは、下記式(II-A)で表 れることが特に好ましい。

 式(II-A)において、R 24 およびR 25 は、それぞれ独立に、炭素原子数1乃至6のア キル基であり、nおよびqは、それぞれ独立 、2または3であり、そして、mおよびpは、そ ぞれ独立に、0乃至6の整数である。

 以下に、イミダゾリウムイオンの例を示す R 21 およびR 22 は、式(II)の定義に対応する。

(II-1)1-ブチル-3-メチルイミダゾリウム(R 21 :ブチル、R 22 :メチル)
(II-2)1-メチル-3-プロピルイミダゾリウム(R 21 :メチル、R 22 :プロピル)
(II-3)1,3-ジ(2-(2-メトキシエトキシ)エチル)イミ ダゾリウム(R 21 、R 22 :2-(2-メトキシエトキシ)エチル)
(II-4)1-(2-(2-(2-メトキシエトキシ)エトキシ)エ ル)-3-(2-(2-メトキシエトキシ)エチル)イミダ リウム(R 21 :2-(2-(2-メトキシエトキシ)エトキシ)エチル、R 22 :2-(2-メトキシエトキシ)エチル)
(II-5)1,3-ジ(2-(2-(2-メトキシエトキシ)エトキシ) エチル)イミダゾリウム(R 21 、R 22 :2-(2-(2-メトキシエトキシ)エトキシ)エチル)
(II-6)1,3-ジ(2-(2-(2-(2-メトキシエトキシ)エトキ )エトキシ)エチル)イミダゾリウム(R 21 、R 22 :2-(2-(2-(2-メトキシエトキシ)エトキシ)エトキ )エチル)

 電解液の調製において、イミダゾリウム オンは塩として添加することが好ましい。 の対イオンは、ヨウ化物イオンまたはイソ オシアン酸イオンが好ましく、ヨウ化物イ ンがさらに好ましい。対イオンについては 後述する。

 電解液中には、さらにヨウ化物イオン(I - )が0.1乃至10M溶解している。電解液の調製に いて、ヨウ化物イオンは、脂肪族第四級ア モニウムイオンおよびイミダゾリウムイオ の対イオンとして、塩の状態で添加するこ ができる。従って、電解液が脂肪族第四級 ンモニウムイオンおよびイミダゾリウムイ ン以外のカチオンを含まない場合、ヨウ化 イオンの添加量(モル濃度)は、脂肪族第四級 アンモニウムイオンおよびイミダゾリウムイ オンとの合計量(モル濃度)に対応することが ましい。
 電解液中のヨウ化物イオンの濃度は、0.2乃 5Mであることが好ましく、0.5乃至2Mであるこ とがさらに好ましい。

 電解液は、さらに他の成分を含むことが きる。他の成分の例には、後述する式(IV)で 表されるベンゾイミダゾール化合物、(イソ) オシアン酸イオン、後述する式(V)で表され グアニジウムイオンおよびリチウムイオン 含まれる。

 電解液中に下記式(IV)で表されるベンゾイ ミダゾール化合物を添加する場合、電解液中 のベンゾイミダゾール化合物の濃度は0.01乃 1Mが好ましく、0.02乃至0.5Mがさらに好ましく 0.05乃至0.2Mが最も好ましい。

 式(IV)において、R 41 は炭素原子数1乃至20の脂肪族基であり、そし て、R 42 は水素原子または炭素原子数1乃至6の脂肪族 である。R 41 の脂肪族基の炭素原子数は1乃至12が好ましく 、1乃至6がさらに好ましく、1乃至3が最も好 しい。R 42 は、水素原子または炭素原子数が1乃至3の脂 族基が好ましい。
 R 41 は、炭素原子数1乃至12のアルキル基、炭素原 子数7乃至12のアラルキル基、または炭素原子 数2乃至12のアルコキシアルキル基であること がさらに好ましい。R 42 は、水素原子または炭素原子数1乃至3のアル ル基であることがさらに好ましい。

 以下に、ベンゾイミダゾール化合物の例を す。R 41 およびR 42 は、式(IV)の定義に対応する。

(IV-1)N-メチルベンゾイミダゾール(R 41 :メチル、R 42 :水素原子)
(IV-2)N-エチルベンゾイミダゾール(R 41 :エチル、R 42 :水素原子)
(IV-3)1,2-ジメチルベンゾイミダゾール(R 41 、R 42 :メチル)
(IV-4)N-プロピルベンゾイミダゾール(R 41 :プロピル、R 42 :水素原子)
(IV-5)N-ブチルベンゾイミダゾール(R 41 :ブチル、R 42 :水素原子)
(IV-6)N-ヘキシルベンゾイミダゾール(R 41 :ヘキシル、R 42 :水素原子)
(IV-7)N-ペンチルベンゾイミダゾール(R 41 :ペンチル、R 42 :水素原子)
(IV-8)N-イソプロピルベンゾイミダゾール(R 41 :イソプロピル、R 42 :水素原子)

(IV-9)N-イソブチルベンゾイミダゾール(R 41 :イソブチル、R 42 :水素原子)
(IV-10)N-ベンジルベンゾイミダゾール(R 41 :ベンジル、R 42 :水素原子)
(IV-11)N-(2-メトキシエチル)ベンゾイミダゾー (R 41 :2-メトキシエチル、R 42 :水素原子)
(IV-12)N-(3-メチルブチル)ベンゾイミダゾール(R 41 :3-メチルブチル、R 42 :水素原子)
(IV-13)1-ブチル-2-メチルベンゾイミダゾール(R 41 :ブチル、R 42 :メチル)
(IV-14)N-(2-エトキシエチル)ベンゾイミダゾー (R 41 :2-エトキシエチル、R 42 :水素原子)
(IV-15)N-(2-イソプロポキシエチル)ベンゾイミ ゾール(R 41 :イソプロポキシエチル、R 42 :水素原子)

 電解液中にチオシアン酸イオン(S - -C≡N)またはイソチオシアン酸イオン(N - =C=S)を添加する場合、電解液中のチオシアン イオンおよびイソチオシアン酸イオンの合 の濃度は0.01乃至1Mが好ましく、0.02乃至0.5M さらに好ましく、0.05乃至0.2Mが最も好ましい 。
 電解液の調製において、(イソ)チオシアン イオンは塩として添加することが好ましい 塩の対イオンは、後述するグアニジウムイ ンまたはリチウムイオンが好ましく、グア ジウムイオンがさらに好ましい。

 電解液中に下記式(V)で表されるグアニジ ムイオンを添加する場合、電解液中のグア ジウムイオンの濃度は0.01乃至1Mが好ましく 0.02乃至0.5Mがさらに好ましく、0.05乃至0.2Mが 最も好ましい。

 式(V)において、R 51 、R 52 およびR 53 は、それぞれ独立に、水素原子または炭素原 子数が1乃至20の脂肪族基である。脂肪族基の 炭素原子数は、1乃至12が好ましく、1乃至6が らに好ましく、1乃至3が最も好ましい。
 脂肪族基よりも水素原子の方が好ましい。 なわち、無置換のグアニジウムイオンが最 好ましい。
 電解液の調製において、グアニジウムイオ は塩として添加することが好ましい。塩の イオンは、ヨウ化物イオンまたは(イソ)チ シアン酸イオンが好ましく、(イソ)チオシア ン酸イオンがさらに好ましい。

 電解液中にリチウムイオンを添加する場合 電解液中のリチウムイオンの濃度は0.01乃至 1Mが好ましく、0.02乃至0.5Mがさらに好ましく 0.05乃至0.2Mが最も好ましい。
 電解液の調製において、リチウムイオンは として添加することが好ましい。塩の対イ ンは、ヨウ化物イオンまたは(イソ)チオシ ン酸イオンが好ましく、ヨウ化物イオンが らに好ましい。

(対向電極部材)
 本願発明において、対向電極部材は、透明 電性層を設けた透明ポリマーフイルム(透明 導電性基板)および導電性酸化還元触媒層か なる。そして、透明導電性層は、金属メッ ュからなる。
 透明ポリマーフイルムについては、光電極 材の透明導電性基板に用いる透明ポリマー イルムと同様である。

 透明導電性層は、金属メッシュからなる。 属メッシュは、金属(例、白金、金、銀、銅 、アルミニウム、インジウム、ルテニウム、 ニッケル、チタン)を30質量%以上(好ましくは6 0質量%以上、より好ましくは80質量%以上、さ に好ましくは90質量%以上、さらにまた好ま くは95質量%以上、最も好ましくは98質量%以 )含む。
 具体的なメッシュ構造は、導電性層の透明 (光透過性)が確保できる範囲で任意に調整 きる。
 メッシュ構造の厚さは、1乃至50μmが好まし 、2乃至10μmがさらに好ましい。
 透明導電性層は、低い表面抵抗値を有する 要がある。具体的な表面抵抗値は10ω/□以 が好ましく、5ω/□以下がより好ましく、3ω/ □以下がさらに好ましく、1ω/□以下が最も ましい。

 導電性酸化還元触媒層は、導電性に加えて 電荷輸送層の酸化還元系の酸化還元反応に する触媒機能を有する物質(導電性酸化還元 触媒)で構成する。導電性酸化還元触媒の例 は、炭素材料(例、黒鉛)、導電性ポリマー、 白金、酸化スズおよび酸化亜鉛が含まれる。
 鉛筆(黒鉛)で導電性酸化還元触媒層を形成 ることが好ましい。

(学習用キットの構成)
 本願発明は、例えば、以下の1~10からなる部 品でキットを構成できる。

 1。光電極部材
 2。金属メッシュからなる導電性層を設けた ポリマーフイルム(対向電極部材の作成に使 )
 3。酸化還元系を含む電荷輸送層の塗布液が 入った点眼瓶
 4。Bの鉛筆(導電性酸化還元触媒層の形成に 用)
 5。両面テープ(光電極部材と対向電極部材 の積層に使用)
 6。スポイト
 7。導電テープ
 8。みの虫クリップ(集電用)
 9。電子オルゴール
10。乾電池(電圧が不足する場合の補充用)

 上記1の光電極部材は、以下の組み合わせに 変更することもできる。
1-1。透明導電層付きのポリマーフイルム
1-2。半導体微粒子層を設けるためのペースト
1-3。色素の溶液

[実施例1]
(1)光電極部材の作製
 ITO-PENフイルム(厚さ:200μm、表面抵抗:15ω/cm 2 、ペクセル・テクノロジーズ(株))を、12.5cm×5 cmの大きさに切断した。
 スチロール製角形ケースの本体を裏返しに て、平らな台に置いた。ITO-PENフイルムの導 電性層(ITO)面を上にして、このケースの上に せた。フイルムの四辺から5mm幅の部分を隠 ように4本のメンディングテープを貼り、フ イルムをケースに固定した。

 低温成膜用二酸化チタンペースト(ペクセル ・テクノロジーズ(株))2mlをスポイトでとり、 テープで囲まれた中央領域の上端面に載せた 。
 二酸化チタンペーストを、スチロール製角 ケースの蓋の短辺をテープに押しつけなが 、一定の速度で上から下に引き、均一に広 た。ペーストを室温で乾燥させることによ 、半導体微粒子層を形成した。

 テープを剥がし、フイルムをケースからは した。はさみを使い、フイルムの長辺を3.5c m幅に切断した。
 切り取った3.5cm×5cmのフイルムに対して、つ まようじを用いて、3.5cmの両端から5mm、5cmの 端から5mm、5cmのもう一端から1.5cmの部分の 導体微粒子層を削り取った。残っている半 体微粒子層のサイズは、1.5cm×4cmであった。

 ブルーベリージュース(果汁80%)を消毒用 タノール(アルコール分約80%)で希釈した。フ イルムを、シャーレ中の希釈液に10分間浸漬 、二酸化チタン微粒子にブルーベリーの色 を吸着させた。

(2)電解液の調製
 ヨウ化リチウム(0.4mol/リットル)、ヨウ素(0.0 4mol/リットル)およびヨウ化テトラブチルアン モニウム(0.4mol/リットル)を、ポリエチレング リコール(ポリエチレングリコール200、和光 薬(株)製)に溶解し、ヨウ素系電解液を得た
 ヨウ素系電解液は、点眼瓶に入れた。

(3)キットの準備
 (1)で作製した光電極部材および(2)で調製し ヨウ素系電解液(酸化還元系を含む電荷輸送 層の塗布液)が入った点眼瓶に加えて、対向 極部材用の金属メッシュからなる導電性層 設けたポリマーフイルム(厚さ:100μm)、Bの鉛 、両面テープ、スポイト、導電テープ、み 虫クリップ、電子オルゴールおよび単三電 を用意して、キットを準備した。
 金属メッシュのメッシュ幅は10μm、ピッチ 90μm、波長400nm~700nmの範囲で測定した光透過 は85%であった。

(4)色素増感型太陽電池の作製
 最初に、金属メッシュからなる導電性層の 央領域をBの鉛筆で塗り潰した。
 次に、鉛筆で塗り潰した領域を除く縁部に 両面テープを貼り付けた。そして、鉛筆で り潰した領域の上に、スポイトを用いてヨ 素系電解液を滴下した。最後に、両面テー を用いて、光電極部材を半導体微粒子層と 筆で塗り潰した領域とが対面するように金 メッシュからなる導電性層に貼り合わせた 最後に、導電テープを光電極部材の透明導 性基板の縁部に貼り付けることによって、 尺状の金属端子を形成した。

(5)色素増感型太陽電池の評価
 作製した太陽電池、電子オルゴールおよび 三電池をみの虫クリップで接続した。暗い 内では、単三電池の電圧だけでは電力が不 し、オルゴールは鳴らなかった。これらを 光灯の照明下に移したところ、太陽電池が 能し、オルゴールが鳴りだした。
 作製した太陽電池は、両面テープにより電 液が封止されており、太陽電池の作製およ 評価において、液漏れは認められなかった

 本願発明の色素増感型太陽電池作製キッ を使用すると、色素増感型太陽電池を容易 製造することができる。本願発明では、加 処理のような処理が難しい工程を含まない め、学校の授業時間においても実施するこ ができる。

1 光電極部材
11 (透明)導電性基板
111 透明ポリマーフイルム
112 透明導電性層
12 色素増感された半導体微粒子層
2 対向電極部材
21 (透明)導電性基板
211 透明ポリマーフイルム
212 金属メッシュからなる透明導電性層
22 導電性酸化還元触媒層
3 電解液
4 鉛筆
5 両面に粘着性を有するテープ(封止材料)
6 スポイト
7 長尺状の金属端子