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Patent Searching and Data


Title:
DYE-SENSITIZED SOLAR CELL
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/019983
Kind Code:
A1
Abstract:
[PROBLEMS] To provide an electrode substrate for a dye-sensitized solar cell, which has a dye-sensitized semiconductor porous layer having a structure which can improve conversion efficiency. [MEANS FOR SOLVING PROBLEMS] A dye-sensitized semiconductor porous layer formed on an electrode substrate surface is formed of spherical oxide semiconductor fine particles (A) and oxide semiconductor fine particles (B) having various shapes with particle diameters smaller than the diameter of the spherical oxide semiconductor fine particles. The dye-sensitized semiconductor porous layer has a porosity of 60% or higher, and the maximum peak of the fine pore capacity measured by BET method in the semiconductor porous layer exists in a region having a fine pore diameter of 30nm or more.

Inventors:
YAMAMOTO, Naotsugu (22-4 Okazawa-cho, Hodogaya-ku, Yokohama-sh, Kanagawa 62, 2400062, JP)
山本 直嗣 (〒62 神奈川県横浜市保土ヶ谷区岡沢町22番地4 東洋製罐グループ綜合研究所内 Kanagawa, 2400062, JP)
Application Number:
JP2008/063199
Publication Date:
February 12, 2009
Filing Date:
July 23, 2008
Export Citation:
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Assignee:
TOYO SEIKAN KAISHA, LTD. (3-1 Uchisaiwai-cho 1-chome, Chiyoda-ku Tokyo, 22, 1008522, JP)
東洋製罐株式会社 (〒22 東京都千代田区内幸町1丁目3番1号 Tokyo, 1008522, JP)
YAMAMOTO, Naotsugu (22-4 Okazawa-cho, Hodogaya-ku, Yokohama-sh, Kanagawa 62, 2400062, JP)
International Classes:
H01M14/00; H01L31/04
Foreign References:
JP2007115602A
JP2007063266A
JP2001196104A
JP2002298646A
JP2664194B2
JPH0815097B2
JP2003234134A
JP2004153030A
JP2007026994A
EP1589548A1
EP1619700A1
JP2000106222A
Other References:
See also references of EP 2202837A1
Attorney, Agent or Firm:
ONO, Hisazumi et al. (Nippon Shuzo bldg, 1-21 Nishi-shimbashi 1-chomeMinato-k, Tokyo 03, 1050003, JP)
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Claims:
 増感色素が担持されている半導体多孔質層を備えた色素増感型太陽電池の電極基板において、
 前記半導体多孔質層は、球状の酸化物半導体微粒子(A)と該球状酸化物半導体微粒子よりも粒直径の小さな不定形状の酸化物半導体微粒子(B)とから形成されており、60%以上の空隙率を有していると共に、BET法で測定して、該半導体多孔質層における細孔容積の最大ピークが細孔径30nm以上の領域に存在していることを特徴とする色素増感型太陽電池の電極基板。
 前記酸化物半導体微粒子(A)及び(B)が二酸化チタンである請求項1に記載の電極基板。
 前記球状の酸化物半導体微粒子(A)の粒直径が5~100nmの範囲にあり、前記不定形状の酸化物半導体微粒子(B)の粒直径が1~80nmの範囲にある請求項1に記載の電極基板。
 前記半導体多孔質層は、前記球状の酸化物半導体微粒子(A)と前記不定形状の酸化物半導体微粒子(B)とを、A/B=10/90乃至90/10の重量比で含有している請求項請求項1に記載の電極基板。
 請求項1に記載の電極基板と、該電極基板の半導体多孔質層側に電解質層を挟んで対峙している対極基板とからなる色素増感型太陽電池。
 酸化物半導体微粒子が有機溶媒中に分散された半導体ペーストを用意する工程;
 電極基板の一方の表面に、前記半導体ペーストを塗布する工程;
 得られた半導体ペーストの塗布層を焼成することにより、半導体多孔質層を形成する工程;
及び
 前記半導体多孔質層に色素を担持させる工程;
を含む色素増感太陽電池における電極基板の製造方法において、
 前記半導体ペーストとして、球状の酸化物半導体微粒子(A)と該球状酸化物半導体微粒子よりも粒直径の小さな不定形状の酸化物半導体微粒子(B)とが、テルピネオールと、溶媒に溶かしたときの粘度が異なる2種のエチルセルロースとを含む有機溶媒中に分散されているものを使用することを特徴とする製造方法。
 前記半導体ペーストは、前記球状の酸化物半導体微粒子(A)と酸化物半導体微粒子(B)とを合計で5~60重量%の量で含有し、前記テルピネオールを10~90重量%の量で含有し、前記2種のエチルセルロースを合計で5~60重量%の量で含有している請求項6記載の製造方法。
 前記半導体ペーストは、前記球状の酸化物半導体微粒子(A)と前記不定形状の酸化物半導体微粒子(B)とを、A/B=10/90乃至90/10の重量比で含有している請求項6に記載の製造方法。
 トルエンを溶媒として固形分濃度10重量%濃度の溶液で測定した粘度(25℃)が、5~15cPの低粘性エチルセルロースと30~50cPの高粘性エチルセルロースとを、前記2種のエチルセルロースとして使用する請求項6記載の製造方法。
 前記半導体ペーストは、低粘性エチルセルロース(ES 1 )と高粘性エチルセルロース(ES 2 )とを、ES 1 /ES 2 =51/49~80/20の重量比で含有している請求項9に記載の製造方法。
 前記酸化物半導体微粒子(A)及び(B)が二酸化チタンである請求項6に記載の製造方法。
 5~60重量%の酸化チタン微粒子と、10~90重量%のテルピネオールを含み、さらに、溶媒に溶かしたときの粘度が異なる2種のエチルセルロースを合計で5~60重量%の量で含有していることを特徴とする半導体多孔質層形成用ペースト。
 前記2種のエチルセルロースが、トルエンを溶媒として固形分濃度10重量%濃度の溶液で測定した粘度(25℃)が、5~15cPの低粘性エチルセルロース及び30~50cPの高粘性エチルセルロースである請求項12に記載の半導体多孔質層形成用ペースト。
 前記低粘性エチルセルロース(ES 1 )と高粘性エチルセルロース(ES 2 )とをES 1 /ES 2 =51/49~80/20の重量比で含有している請求項13に記載の半導体多孔質層形成用ペースト。
Description:
色素増感型太陽電池

 本発明は、増感色素が担持された半導体 孔質層を有する電極基板を備えた色素増感 太陽電池に関する。

 現在、地球規模の環境問題や化石エネル ー資源枯渇問題などの観点から太陽光発電 対する期待が大きく、単結晶及び多結晶シ コン光電変換素子が太陽電池として実用化 れている。しかし、この種の太陽電池は、 価格であること、シリコン原料の供給問題 どを有しており、シリコン以外の材料を用 た太陽電池の実用化が望まれている。

 上記のような見地から、最近では、シリ ン以外の材料を用いた太陽電池として、色 増感型太陽電池が注目されている。このよ な色素増感型太陽電池の代表的なものとし 、図1に示す構造を有するものが挙げられる 。

 即ち、この電池は、透明電極基板(正極基板 )1と、金属電極基板(負極基板)10とを有してい る。
 透明電極基板1は、透明ガラスや透明樹脂フ ィルムなどの透明基板3上に透明導電膜5(例え ばITO膜)が形成され、さらにその上に、必要 よりプラチナや白金等の蒸着膜が電子還元 導電層7として形成されている。一方、金属 極基板10は、金属基板11を有しており、この 金属基板11の上に、必要により形成される逆 子防止層15を介して、色素増感半導体多孔 層13が形成されている。このような透明電極 基板1と金属電極基板10とが、電解質層20を間 挟んで対峙した構造を有しており、透明電 基板1と金属電極基板10との周縁部分は、電 質層20が漏洩しないように、封止材30で封止 されている。即ち、色素増感半導体多孔質層 13と電解質層20とを間に挟んで金属電極基板10 と透明電極基板1とが対峙している領域が発 領域Xとなっており、封止材30で封止されて る領域が封止領域Yとなっている。

 このような構造の色素増感太陽電池では 透明電極基板1側から可視光を照射すると、 色素増感半導体多孔質層13中の色素が励起さ 、基底状態から励起状態へと遷移し、励起 れた色素の電子は、この多孔質層13中の伝 帯へ注入され、外部回路(図示せず)を通って 透明電極基板1に移動する。透明電極基板1に 動した電子は、電解質層20中のイオンによ て運ばれ、色素に戻る。このような過程の り返しにより電気エネルギーが取り出され わけである。このような色素増感太陽電池 発電メカニズムは、pn接合型光電変換素子と 異なり、光の捕捉と電子伝導が別々の場所で 行われ、植物の光電変換プロセスに非常に似 たものとなっている。

 上記のような構造の色素増感型太陽電池 は、色素を担持している半導体多孔質層13 直接低抵抗の金属基板11上に形成することが できるため、変換効率の低下を回避すること ができ、またセルを大型化した場合の内部抵 抗(曲率因子、Fill Factor;FF)の増大を抑制する とができるという利点がある。

 また、上記とは全く逆の構造の色素増感 太陽電池も知られており、具体的には、図1 における色素増感半導体多孔質層13を透明電 基板1の透明導電膜5(或いは電子還元層7)上 形成し、金属電極基板10を、電解質層20を間 挟んで対峙させた構造のものである。この イプでは、透明電極基板1が負極基板となり 、金属電極基板10(金属基板11)が正極基板とな り、負電極基板側からの光照射により発電す ることとなる。

 ところで、上記のような色素増感型太陽電 において、正極基板側或いは負極基板の何 においても、色素で増感された半導体多孔 層13は、所定の基板の上に、例えば酸化チ ンなどの半導体微粒子のペーストを塗布し 焼成して酸化チタンからなる半導体の多孔 層を形成し、この上に色素溶液を塗布し、 素を多孔質層に吸着させた後、色素溶液の 媒を除去することにより製造されている(特 文献1参照)。
 また、酸化チタン半導体の多孔質層をゾル- ゲル法により形成する方法も知られており( 許文献2,3)、さらには、所定の細孔半径のと に該細孔半径に対する細孔容積変化率が20mm 3 /nm以上である多孔質層を形成することも提案 されている(特許文献4)。

 また、上記のようにして半導体多孔質層 形成するに際して、半導体微粒子のペース を塗布する手段としては、スピンコート、 イコート、スクリーン印刷などの手段が一 的であるが、大面積化という点でスクリー 印刷が最も好適であり、従って、工業的に スクリーン印刷が汎用されている。ここで 用されるスクリーン印刷用の上記ペースト( 以下、単に半導体ペーストと呼ぶ)は、半導 微粒子と共に、バインダーとしての樹脂が 機溶媒に分散されたものであり、例えば樹 としては、半導体微粒子を凝集させずに保 し、且つペーストのコーティング層を乾燥 た状態でも半導体微粒子を安定に結合保持 得るとともに焼成により確実に除去できる いう点からエチルセルロースが使用され、 らに溶媒としては、半導体微粒子に対して 活性であり、半導体微粒子の特性を損なう となく均一に分散させることが可能である いう観点から、テルピネオールが使用され いる(特許文献5、6)。

特開2002-298646号

特許第2664194号

特公平8-15097号

特開2003-234134号

特開2004-153030号

特開2007-26994号

 しかるに、一般に色素増感型太陽電池は変 効率が低く、その向上が求められている。 えば、特許文献1~3に開示されているような 法で製造された酸化物半導体多孔質層を有 る電極基板を備えた太陽電池の変換効率は い。
 また、特許文献4で提案されている酸化物半 導体多孔質層は、色素が吸着し得る大きさの 細孔の数を一定の範囲に調節したものであり 、このような酸化物半導体多孔質層を備えた 色素増感型太陽電池は、特許文献1~3で提案さ れているものと比較すると変換効率が高めら れている。しかしながら、その変換効率も未 だ十分ではなく、さらに変換効率が増大した 色素増感型太陽電池が求められているのが現 状である。

 また、公知の半導体ペーストは、比較的 面積部分にコートするような場合には、さ どの問題は生じないのであるが、大面積部 に塗布する場合には、ダレなどにより厚み 不均一となり易く、従って、スクリーン印 により、大面積の電極基板を形成するとい 観点から、その改善が求められている。

 従って、本発明の目的は、変換効率を向上 せ得るような構造の色素増感半導体多孔質 を有する色素増感太陽電池の電極基板を提 することにある。
 本発明の他の目的は、ダレ等を生じること く、大面積の半導体多孔質層を備えた電極 板を製造し得る方法を提供することにある
 本発明のさらに他の目的は、大面積の半導 多孔質層を形成するに際して好適に使用さ る半導体ペーストを提供することにある。

 本発明者等は、上記の課題について鋭意 討した結果、従来公知の色素増感型太陽電 では、増感色素が酸化物半導体多孔質層の 層部分に多く分布しており、その内部(透明 電極基板側)に分布している増感色素が少な 、これが高い変換効率を得ることができな 要因の一つであること、及びバインダー成 として粘度の異なる2種類のエチルセルロー を含む半導体ペーストはコーティング性に れ、大面積部分に施す場合にも均一なコー ィング層を形成するに適しているとの新規 見を得、かかる知見に基づき、本発明を完 させるに至った。

 本発明によれば、増感色素が担持されてい 半導体多孔質層を備えた色素増感型太陽電 の電極基板において、
 前記半導体多孔質層は、球状の酸化物半導 微粒子(A)と該球状酸化物半導体微粒子より 粒直径の小さな不定形状の酸化物半導体微 子(B)とから形成されており、60%以上の空隙 を有していると共に、BET法で測定して、該 導体多孔質層における細孔容積の最大ピー が細孔径30nm以上の領域に存在していること を特徴とする色素増感型太陽電池の電極基板 が提供される。
 本発明によれば、また、上記の電極基板と 該電極基板の半導体多孔質層側に電解質層 挟んで対峙している対向電極基板とからな 色素増感型太陽電池が提供される。

 本発明の上記電極基板及び色素増感型太陽 池では、
 (1)前記酸化物半導体微粒子(A)及び(B)が二酸 チタンであること、
 (2)前記球状の酸化物半導体微粒子(A)の粒直 が5~100nmの範囲にあり、前記不定形状の酸化 物半導体微粒子(B)の粒直径が1~80nmの範囲にあ ること、
 (3)前記半導体多孔質層は、前記球状の酸化 半導体微粒子(A)と前記不定形状の酸化物半 体微粒子(B)とを、A/B=10/90乃至90/10の重量比 含有していること、
が好ましい。

 本発明によれば、さらに、
 酸化物半導体微粒子が有機溶媒中に分散さ た半導体ペーストを用意する工程;
 電極基板の一方の表面に、前記半導体ペー トを塗布する工程;
 得られた半導体ペーストの塗布層を焼成す ことにより、半導体多孔質層を形成する工 ;
及び
 前記半導体多孔質層に色素を担持させる工 ;
を含む色素増感太陽電池における電極基板の 製造方法において、
 前記半導体ペーストとして、球状の酸化物 導体微粒子(A)と該球状酸化物半導体微粒子 りも粒直径の小さな不定形状の酸化物半導 微粒子(B)とが、テルピネオールと、溶媒に かしたときの粘度が異なる2種のエチルセル ロースとを含む有機溶媒中に分散されている ものを使用することを特徴とする製造方法が 提供される。

 上記の電極基板の製造方法においては、
(1)前記半導体ペーストは、前記球状の酸化物 半導体微粒子(A)と酸化物半導体微粒子(B)とを 合計で5~60重量%の量で含有し、前記テルピネ ールを10~90重量%の量で含有し、前記2種のエ チルセルロースを合計で5~60重量%の量で含有 ていること、
(2)前記半導体ペーストは、前記球状の酸化物 半導体微粒子(A)と前記不定形状の酸化物半導 体微粒子(B)とを、A/B=10/90乃至90/10の重量比で 有していること、
(3)トルエンを溶媒として固形分濃度10重量%濃 度の溶液で測定した粘度(25℃)が、5~15cPの低 性エチルセルロースと30~50cPの高粘性エチル ルロースとを、前記2種のエチルセルロース として使用すること、
(4)前記半導体ペーストは、低粘性エチルセル ロース(ES 1 )と高粘性エチルセルロース(ES 2 )とを、ES 1 /ES 2 =51/49~80/20の重量比で含有していること、
(5)前記酸化物半導体微粒子(A)及び(B)が二酸化 チタンであること、
が好適である。

 本発明によれば、さらにまた、5~60重量% 酸化チタン微粒子と、10~90重量%のテルピネ ールを含み、さらに、溶媒に溶かしたとき 粘度が異なる2種のエチルセルロースを合計 5~60重量%の量で含有していることを特徴と る半導体多孔質層形成用ペーストが提供さ る。

 上記の半導体多孔質層形成用ペーストは、
(1)前記2種のエチルセルロースが、トルエン 溶媒として固形分濃度10重量%濃度の溶液で 定した粘度(25℃)が、5~15cPの低粘性エチルセ ロース及び30~50cPの高粘性エチルセルロース であること、
(2)前記低粘性エチルセルロース(ES 1 )と高粘性エチルセルロース(ES 2 )とを、ES 1 /ES 2 =51/49~80/20の重量比で含有していること、
が望ましい。

 本発明の電極基板においては、色素で増 された半導体多孔質層が、形状及び大きさ 異なる2種類の酸化物半導体微粒子、具体的 には、球状の酸化物半導体微粒子(A)と該球状 酸化物半導体微粒子よりも粒直径の小さな不 定形状の酸化物半導体微粒子(B)とにより形成 されていることが重要な特徴である。即ち、 このような2種類の形態の酸化物半導体微粒 (A)及び(B)により形成される半導体多孔質層 、増感色素を有効に吸着担持し得るマクロ を多く有するものとなり、BET法(窒素吸着法) により測定して、細孔径30nm以上の領域に細 容積の最大ピークが存在し、表面積が大き ばかりか、その空隙率は60%以上となる。こ 結果、増感色素は、半導体多孔質層の表層 に留まらず、内部(透明電極基板側)にまで深 く浸透して均等に分布するばかりか、発電の ために透明電極基板側から照射される光も、 散乱によって酸化物半導体多孔質層の全体に 行き渡ることとなり、従来公知の光増感型太 陽電池に比して、より高い変換効率を確保す ることができるのである。

 例えば、後述する実施例の実験結果から 解されるように、上記のような2種類の形態 の二酸化チタン微粒子(A)及び(B)により半導体 多孔質層が形成されている実施例1の色素増 型太陽電池では、その変換効率は5%である。 一方、球状の二酸化チタン微粒子(A)のみで酸 化物半導体多孔質層が形成されている比較例 1では、その変換効率は3%であり、本発明例の 実施例1に比してかなり低い。

 また、上記のような2種類の形態を有する 酸化物半導体微粒子からなる半導体多孔質層 は、これらの酸化物半導体微粒子が有機溶媒 中に分散されている半導体ペーストを電極基 板、例えば図1における金属電極基板10(或い 透明電極基板1)の上に塗布し、該塗布層を焼 成し(焼付け)、これにより形成された半導体 孔質層に色素を担持することにより製造さ る。このようにして電極基板を製造する場 において、本発明では、半導体多孔質層の 成に用いる半導体ペーストが、溶媒に溶か たときの粘度が異なる2種類のエチルセルロ ースをバインダー成分として含有しているも のを使用することが好適である。即ち、この ような半導体ペーストを用いてコーティング を行った場合には、大面積の部分にスクリー ン印刷によりコーティングした場合にもダレ などを生じることなく、均一な厚みのコーテ ィング層(塗布層)を形成することができ、上 のような半導体多孔質層を大面積で且つ均 な厚みで形成することが可能となる。

 即ち、従来公知の半導体ペーストにおい も、エチルセルロースはバインダーとして 用されている。しかしながら、スクリーン 刷などの塗装に適した低粘性のエチルセル ースは、粘度が低いため、大面積でコーテ ングした場合には、ダレが生じてしまい、 ーティング層の厚みが不安定となり、最終 に形成される半導体多孔質層の厚みが不均 となり、安定した特性を発揮することが困 となっていたのである。

 しかるに、本発明によれば、低粘性のエ ルセルロースに加えて高粘性のエチルセル ースを組み合わせているため、エチルセル ースのバインダー特性を損なうことなく、 た溶媒に対する分散性を低下させることな 、大面積のコーティング層を形成する場合 もダレを有効に防止し、均一な厚みのコー ィング層を形成することが可能となるので る。

 上記のような半導体ペーストは、前述し 半導体多孔質層の形成に限らず、例えば、1 種類の形態の酸化物半導体微粒子のみを該ペ ースト中に分散せしめ、公知の半導体多孔質 層の形成に使用することもでき、この場合に も、大面積で且つ均一な厚みの半導体多孔質 層を形成することができる。

本発明の半導体多孔質層を有する電極 板を備えた色素増感太陽型電池の概略構造 示す図である。 本発明の電極基板に形成されている色 増感半導体多孔質層の部分拡大断面図であ 。 従来の色素増感型太陽電池が備えてい 色素増感半導体多孔質層の部分拡大断面図 ある。

<半導体多孔質層>
 本発明の電極基板に設けられている半導体 孔質層を部分的に拡大して示す図2において 、この半導体多孔質層50は、電極基板51(前述 た図1における金属電極基板10や透明電極基 1)の表面に形成される。本発明においては このような半導体多孔質層50が、酸化物半導 体微粒子Aと不定形状の酸化物半導体微粒子B から形成されており、これらの粒子表面に 感色素53が担持された構造を有するもので る。

 尚、本発明において、球状の粒子とは、S EMやTEMなどの電子顕微鏡を用いた観察におい 、面を形成する角がない形状の粒子であり 角が観察されない限り、真球粒子のみなら 、断面が楕円形状の粒子をも含み、大径が 径の10倍以下の粒子を意味するものである また、不定形状の粒子とは、上記のような 子顕微鏡観察において、特定の形状を認識 ることはできないが、面と面との境界部を す稜線或いは角が観察され、大まかに言っ 多面体形状を有しているボール状の粒子で り、球状粒子と同様、大径が短径の10倍以下 の粒子を意味する。また、球状粒子及び不定 形状粒子において、粒径(粒直径)は、最大直 を意味するものである。

 本発明において、上記のような半導体多 質層50を形成している球状の酸化物半導体 粒子Aは、不定形状の粒子Bよりも粒直径が大 きいものであり、このように大きさや形状の 異なる2種の酸化物半導体多孔質微粒子によ 形成される半導体多孔質層50は、BET法(窒素 着法)により測定して、細孔径30nm以上の領域 、好ましくは細孔径が50乃至150nmの領域に細 容積の最大ピークが存在し、しかもその空 率は60%以上、好ましくは60乃至80%の範囲に調 節されている。即ち、本発明では、半導体多 孔質層50が、色素53が吸着し易い大きさのマ ロポアが多く、大きな表面積を有している かりか、空隙率も大きいため、図2から理解 れるように、半導体多孔質層50の表層部分 限らず、その内部まで均等に色素53が浸透し て担持されており、しかも、大きな空隙によ り発電のために照射される光が散乱によって 半導体多孔質層50の全体に行き渡ることとな 、高い変換効率を確保することが可能とな のである。

 例えば、図3は、公知の色素増感型太陽電 池の電極基板61に設けられている半導体多孔 層60の構造を拡大して示す概略図であるが かかる半導体多孔質層60は、同じ形状で且つ ほぼ同じ大きさの酸化物半導体微粒子により 形成されているため、細孔の大きさも小さく 、本発明のようなマクロポアを形成すること ができず、例えばBET法により細孔容積を測定 した場合、最大ピークを示す細孔容積は細孔 径が30nmよりも低い位置に存在し、また、そ 空隙率も60%よりも小さい。従って、これに 持される色素63は、ほとんど表層部分に分布 しており、内部に深く浸透しておらず、この 結果、高い変換効率を得ることができないの である。

 また、本発明では、図2に示すような構造 の半導体多孔質層50は、前記BET法による細孔 積の測定において、細孔径が30nm以上の領域 に存在している最大ピークを示す細孔容積は 、1.0cc/g以上、好ましくは1.5cc/g以上、最も好 しくは2.0cc/g以上の範囲にあるのがよい。即 ち、このような細孔容積値が大きいことは、 2つの形態の粒子A,Bが均一に分散しているこ を意味し、これにより、バラツキなく、安 して高い変換効率を確保することができる

 本発明においては、上述した細孔容積や空 率を確保し、更には表面積を増大させるた に、球状の酸化物半導体微粒子Aが不定形状 の酸化物半導体微粒子Bよりも粒子径が大き ことを前提条件として、球状の酸化物半導 微粒子Aの粒直径が5~100nm、特に15~60nmの範囲 あり、不定形状の酸化物半導体微粒子Bの粒 径が1~80nm、特に5~30nmの範囲にあるのがよく 最も好適には、平均して、球状粒子Aの粒直 径が不定形状粒子Bの粒直径よりも10nm以上大 いことが望ましい。即ち、両者の粒直径の が大きいほど、図2に示されるようなマクロ ポアを有する構造を容易に形成することがで きる。
 尚、上記粒子の粒直径は、プラチナスパッ などによるスパッタリングを行って電子顕 鏡により求めることができる。

 また、球状の酸化物半導体微粒子Aと不定 形状の酸化物半導体微粒子Bとの存在比率(A/B) は、上述した細孔容積や空隙率が得られる限 りにおいて特に制限されるものではないが、 一般的には、A/B(重量比)=10/90乃至90/10、特に30 /70乃至70/30の範囲にあるのがよい。

 上述した球状或いは多面体形状の酸化物半 体微粒子A,Bは、それ自体公知の酸化物半導 の粒子であってよく、このような酸化物半 体としては、チタン、スズ、亜鉛、ジルコ ウム、ハフニウム、ストロンチウム、タン ル、クロム、モリブデン、タングステンな の金属の酸化物、或いはこれら金属を含有 る複合酸化物、例えばSrTiO 3 、CaTiO 3 などのペロブスカイト型酸化物などを挙げる ことができるが、特に高い変換効率を得ると いう観点から二酸化チタン(特にアナターゼ 或いはブルーカイト型)が最も好適である。

 また、上記のような球状及び不定形状の粒 A,Bからなる半導体多孔質層50は、上記粒子A, Bを含む半導体ペーストを、電極基板51上に、 スクリーン印刷、スプレーコート、ダイコー ト等によってコーティングし、乾燥及び焼き 付けることによって形成することができる。 このような半導体多孔質層3の厚みは、通常 5乃至20μm程度であり、酸化物半導体重量(粒 A,Bの合計重量)としては、0.001乃至0.005g/cm 2 程度が適当である。

 尚、酸化物半導体微粒子A,Bの粒子形状は それ自体公知であり、各酸化物半導体微粒 の製造条件を適宜変更することにより調整 ることができ、球状の酸化物半導体微粒子A 及び不定形状の酸化物半導体微粒子Bの何れ 市販されている。例えば球状の二酸化チタ 粒子は、石原産業株式会社よりSTシリーズの 商品として市販されており、また、不定形状 の二酸化チタン粒子は、テイカ株式会社より AMTシリーズの商品として市販されている。各 粒子の粒度分布を前述した粒直径の範囲に調 整する場合には、例えば電成篩などにより行 われる。

<半導体ペースト>
 上記のような酸化物半導体微粒子A,Bを含む 導体多孔質層50の形成に用いる半導体微粒 は、これらの粒子A,Bを有機溶媒に分散させ さらにはバインダー成分を加えて、コーテ ングに適した所定の粘度範囲に調整される 、特にスクリーン印刷により大面積の半導 多孔質層50を形成する場合には、以下のよう な半導体ペーストを用いるのがよい。

 先ず、用いる半導体ペースト中の酸化物 導体微粒子A,Bは、例えば前述した重量比で5 ~60重量%程度の固形分濃度とするのがよい。 機溶媒としては、各種アルコール類、例え メタノール、エタノール、イソプロパノー 、n-ブタノール、sec-ブタノール、t-ブタノー ル等の低級アルコール類、プロピレングリコ ール、ヘキシレングリコール、ブチレングリ コールなどのグリコール類、テルピネオール などが一般に使用されるがテルピネオールが 最も好適である。

 テルピネオール(C 10 H 18 O)は、1,8-テルビンから水が1分子脱水して生 る不飽和アルコールであり、α、β及びγの3 イプのものが知られており、何れのタイプ 使用できるが、一般には、α-テルピネオー (Bp:219~221℃)、或いはα-テルピネオールを主 分とし、これにβ-テルピネオールなどの他 タイプものが混合された混合物(一般に、市 販されているものは混合物である)が好適に 用される。

 即ち、上記のテルピネオールは、比較的 稠な液体であり、上述した二酸化チタン微 子に代表される酸化物半導体微粒子を容易 均一に分散させることができ、しかも、加 により、酸化物半導体微粒子の半導体特性 悪影響を与えることなく、容易に揮散させ ことができる。

 本発明で好適に使用される半導体ペース において、上記の有機溶媒、特にテルピネ ールは、半導体ペースト中に10~90重量%、特 40~80重量%の量で含まれているのがよい。こ 量が、当該範囲外であると、二酸化チタン 粒子等の酸化物半導体微粒子や後述するバ ンダー成分とのバランスが崩れてしまい、 化物半導体微粒子を均一に分散させること 困難となったり、コーティング性が低下し しまうなどの不都合を生じるおそれがある

 また、半導体ペースト中のバインダー成 としては、一般にエチルセルロースなどの ルロース系ポリマーが使用されるが、本発 においては、特に低粘性エチルセルロース 高粘性エチルセルロースの2種のエチルセル ロースをバインダー成分として用いるのがよ い。

 即ち、エチルセルロースは、二酸化チタ 微粒子等の酸化物半導体微粒子に対して不 性であり、焼成により酸化物半導体微粒子 半導体特性や粒子形状に悪影響を与えるこ なく分解除去することが可能な物質である 従来公知の半導体ペーストは、1種類のエチ ルセルロースがバインダー成分として使用さ れており、このため、大面積のコーティング を行うと、ダレを生じてしまい、コーティン グ層の厚みが不均一となってしまい、これが 形成される半導体多孔質層に反映されてしま い、電池特性に悪影響を及ぼし、安定した特 性を発現させることが困難となっていたのは 、既に述べた通りである。しかるに、本発明 では、上記のような2種類のエチルセルロー を使用することにより、バインダー性能を 下させることなく、ダレを効果的に防止す ことが可能となり、大面積でコーティング 行う場合にも、均一な厚みのコーティング を形成することができ、この結果、半導体 孔質層の厚みを均一とし、安定した電池特 を発現させることが可能となる。

 上記のエチルセルロースの内、低粘性エ ルセルロースは、特に高いバインダー機能 示すものであり、トルエンを溶媒とし固形 エチルセルロース濃度10%溶液の場合の粘度( 25℃)が5~15cPの範囲にある。即ち、このような 低粘性エチルセルロースが配合されているこ とにより、前述した酸化物半導体微粒子は半 導体ペースト中で凝集させることなく均一分 散した状態に保持され、また、半導体ペース トをコーティングした後に溶媒(テルピネオ ル)が加熱乾燥により除去された後において 、2種類の酸化物半導体微粒子A,Bが積み重ね られた層状状態が安定に保持されるのである 。

 一方、高粘性エチルセルロースは、上記 ようなバインダー機能もある程度は有して るが、特にレオロジー改質のために使用さ るものであり、トルエンを溶媒とし固形分 チルセルロース濃度10%溶液の場合の粘度(25 )が30~50cPの範囲にある。即ち、本発明にお て好適に使用される半導体ペーストは、こ ような高粘性エチルセルロースが配合され いるため、低粘性エチルセルロースのバイ ダー機能を損なうことなく、ダレを有効に 止することができ、大面積で半導体ペース をコーティングした場合においても、コー ィング層の厚みの変動が抑制され、コーテ ング層の厚みを均一に維持することができ この結果、大面積の半導体多孔質層を均一 厚みで形成することができるのである。

 上記のような半導体ペーストにおいて、 粘性エチルセルロース及び高粘性エチルセ ロースは、合計で、5~60重量%、特に5~30重量% の量で半導体ペースト中に含まれていること が好ましい。即ち、この合計量が上記範囲外 であると、前述した酸化物半導体微粒子やテ ルピネオールとのバランスが崩れ、酸化物半 導体微粒子の分散状態が不安定になったり、 或いはコーティング性が損なわれたり、形成 される半導体多孔質層の膜特性に悪影響を与 えるなどの不都合を生じてしまう。

 また、低粘性エチルセルロース(ES 1 )と高粘性エチルセルロース(ES 2 )とは、ES 1 /ES 2 =51/49~80/20、特に55/45~70/30の重量比で配合され いることが、低粘性エチルセルロースのバ ンダー機能と高粘性エチルセルロースのレ ロジー改質機能とを効果的に発現させる上 好適である。即ち、低粘性エチルセルロー を上記範囲よりも多量に使用すると、ダレ 止効果が低下するおそれがあり、また高粘 エチルセルロースを上記範囲よりも多量に 用すると、バインダー機能が損なわれ、酸 物半導体微粒子の凝集が生じたり、或いは 導体ペーストのコーティング層から溶媒を 去したとき、酸化物半導体微粒子の層状構 が損なわれ易くなってしまい、一定の厚み 半導体多孔質層を形成することが困難にな 場合がある。

 このような半導体ペーストには、ダレ防 能や酸化物半導体微粒子の半導体特性など 悪影響を与えない限り、適宜の量で各種の 加剤、例えばレベリング剤や界面活性剤、 粘剤などが添加されていてもよく、上述し 各成分及び適宜使用される他の添加剤成分 混合することにより調製される。各成分の 加順序等には制限はないが、このペースト 粘度(25℃)が15乃至50cP程度の範囲となるよう に、前述した量割合の範囲内で各成分の使用 量を設定しておくのがよい。

 上述した半導体ペーストは、大面積でコ ティングした場合にもダレを生じないため スクリーン印刷に好適に適用することがで るわけである。

 尚、このような半導体ペーストは、スク ーン印刷に好適な特性を有しているため、 知の半導体多孔質層の形成にも使用するこ ができる。即ち、前述した酸化物半導体微 子A,Bの代わりに1種類の形態の酸化物微粒子 (例えば二酸化チタン微粒子)を用い、これを 前述したテルピネオール、低粘性エチルセ ロース及び高粘性エチルセルロースに前述 た量比で分散させた半導体ペーストは、例 ば図3に示す構造の半導体多孔質層60の形成 使用することができ、この場合にも、スク ーン印刷を用いて大面積で且つ均一な厚み 半導体多孔質層60を形成することができる

<電極基板の製造>
 上記で説明したように、図2に示す構造の半 導体多孔質層50は、上述した2種類の酸化物半 導体微粒子A,Bを含む半導体ペーストを電極基 板51の表面にコーティングし、コーティング を焼成し、次いで増感色素53を担持させる とにより形成され、このようにして色素で 感された半導体多孔質層50が形成された電極 基板51は、色素増感太陽電池の用途に供され 。

 即ち、上記の半導体ペーストのコーティ グは、公知の方法で行うことができるが、 レ等が有効に防止されているため、特にス リーン印刷法により行うことが好ましく、 れにより、大面積の電極基板51に対しても 一な厚みの半導体多孔質50を効率よく形成す ることができる。

 半導体ペーストのコーティング層の焼成 、二酸化チタン微粒子等の酸化物半導体微 子の半導体特性や層状構造を劣化させない 度の温度、例えば350乃至550℃で、30乃至60分 間程度で行われ、これにより、溶媒が揮散し 、酸化物半導体微粒子同士が焼結して半導体 多孔質層が形成される。

 また、増感色素53の担持は、色素溶液を 導体多孔質層に接触させることにより行わ 、これにより、増感色素53が深く、内部まで 浸透して担持された半導体多孔質層50が形成 れ、図2に示す構造の半導体多孔質層50を有 る電極基板51を得ることができる。

 色素溶液の接触は、通常は、ディッピン により行われ、吸着処理時間(浸漬時間)は 通常、30分~24時間程度であり、吸着後、乾燥 して色素溶液の溶媒を除去することにより、 増感色素53を深く、内部まで浸透させて担持 せることができる。即ち、本発明において 、半導体多孔質層50が、所定のサイズのマ ロポアが多数形成されており、且つ空隙率 大きいため、上記のようにして色素溶液を 触させることにより、増感色素53を表層部分 のみならず、内部まで深く且つ均等に担持さ せることができ、高い変換効率を確保するこ とが可能となるわけである。

 用いる増感色素は、カルボキシレート基、 アノ基、ホスフェート基、オキシム基、ジ キシム基、ヒドロキシキノリン基、サリチ ート基、α-ケト-エノール基などの結合基を 有するそれ自体公知のものが使用され、前述 した特許文献1~3等に記載されているもの、例 えばルテニウム錯体、オスミウム錯体、鉄錯 体などを何ら制限なく使用することができる 。特に幅広い吸収帯を有するなどの点で、ル テニウム-トリス(2,2’-ビスピリジル-4,4’-ジ ルボキシラート)、ルテニウム-シス-ジアク -ビス(2,2’-ビスピリジル-4,4’-ジカルボキ ラート)などのルテニウム系錯体が好適であ 。このような増感色素の色素溶液は、溶媒 してエタノールやブタノールなどのアルコ ル系有機溶媒を用いて調製され、その色素 度は、3×10 -4 乃至5×10 -4 mol/l程度である。

 上記のようにして得られる電極基板51は 電解質層を間に挟んで対向電極を対峙させ ことにより、色素増感型太陽電池として使 される。

<色素増感型太陽電池>
 本発明において、上記のような半導体多孔 層50が形成された電極基板51は、特にセルの 大型化による内部抵抗の増大を抑制できる図 1に示す構造の負電極基板10として好適であり 、このような負電極基板10を電解質層20を間 挟んで正極基板(透明電極基板)1に対峙させ ことにより、色素増感型太陽電池として使 される。即ち、この負電極基板10では、金属 基板11の上に、必要により形成される逆電子 止層15を介して、前述した構造の多孔質半 体層50(図1では、この半導体多孔質層は13で されている)が形成されることとなる。

 このような構造の色素増感太陽電池におい 、金属基板11としては、低電気抵抗の金属 料から形成されたものであれば特に制限さ ないが、一般的には、6×10 -6 ω・m以下の比抵抗を有する金属乃至合金、例 えばアルミニウム、鉄(スチール)、ステンレ スチール、銅、ニッケルなどが使用される また、金属基板11の厚みは特に制限されず 適度な機械的強度が保持される程度の厚み 有していればよい。また、生産性を考慮し いのであれば、金属基板11は、例えば蒸着等 により、樹脂フィルム等に形成されていても よい。勿論、この樹脂フィルム等の基材は透 明である必要はない。

 上記のような金属基板11において、前述 た色素増感半導体多孔質層50(13)は、発電領 Xとなる部分に形成されるものであり、その 囲が発電に関与しない封止領域Yとなるわけ である。

 尚、金属基板11の表面に適宜形成される 電子防止層15は、整流障壁として機能し、金 属基板11から色素増感半導体多孔質層50(13)へ 逆電流を抑制するために形成されるもので り、例えば、金属基板11よりも高抵抗の金 乃至金属酸化物(例えば二酸化チタンなど)や 、特開2008-53165号などに開示されている化成 理膜から形成され、その厚みは、一般に5乃 500nm程度である。

 上記のようにして形成される負電極基板1 0の対向電極として使用される透明電極基板( 極基板)1は、透明基板3上に透明導電膜5を形 成したものである。

 上記の透明基板3としては、透明なガラス 板や透明樹脂フィルムが使用される。透明樹 脂フィルムとしては、透明である限り任意の ものが使用されるが、例えば、低密度ポリエ チレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレ ン、ポリ1-ブテン、ポリ4-メチル-1-ペンテン 或いはエチレン、プロピレン、1-ブテン、4- チル-1-ペンテン等のα-オレフィン同士のラ ダム乃至ブロック共重合体等のポリオレフ ン系樹脂;エチレン-酢酸ビニル共重合体、 チレン-ビニルアルコール共重合体、エチレ -塩化ビニル共重合体等のエチレン-ビニル 合物共重合体樹脂;ポリスチレン、アクリロ トリル-スチレン共重合体、ABS、α-メチルス チレン-スチレン共重合体等のスチレン系樹 ;ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリ ン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン 塩化ビニル-塩化ビニリデン共重合体、ポリ アクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリアクリ ル酸メチル、ポリメタクリル酸メチル等のビ ニル系樹脂;ナイロン6、ナイロン6-6、ナイロ 6-10、ナイロン11、ナイロン12等のポリアミ 樹脂;ポリエチレンテレフタレート、ポリブ レンテレフタレート等のポリエステル樹脂; ポリカーボネート;ポリフェニレンオキサイ ;カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシ チルセルロースなどのセルロース誘導体;酸 化澱粉、エーテル化澱粉、デキストリンなど の澱粉;及びこれらの混合物からなる樹脂;な からなるフィルムを用いることができる。 般的には、強度や耐熱性等の見地から、ポ エチレンテレフタレートフィルムが好適に 用される。また、透明基板3の厚みや大きさ は、特に制限されず、最終的に使用される色 素増感型太陽電池の用途に応じて適宜決定さ れる。

 透明導電膜5としては、酸化インジウム- 化錫合金からなる膜(ITO膜)や酸化錫にフッ素 をドープした膜(FTO膜)が代表的であるが、電 抵抗が低いことから、特にITO膜が好適であ 。これらは蒸着により上記の透明基板3上に 形成され、その厚みは、通常、0.5乃至0.7μm程 度である。

 尚、透明導電膜5の表面には、適宜、電子 還元導電層7が形成される。この電子還元導 層7は、一般に白金の薄層からなり、透明導 膜5に流れ込んだ電子を電解質層20に速やか 移行せしめる機能を有するものである。こ ような電子還元導電層20は、光透過性が損 われないように、その平均厚みが0.1乃至1.5nm 程度となるように蒸着により薄く形成される 。

 上記のようにして形成された負極基板10 透明電極基板(正極基板)1は、電解質層20を間 に挟んで対峙され、前述した構造の色素増感 半導体多孔質層50(13)と電解質層20とによって 電領域Xが形成されることとなる。

 電解質層20は、公知の太陽電池と同様、 チウムイオン等の陽イオンや塩素イオン等 陰イオンを含む種々の電解質溶液により形 される。また、この電解質20中には、酸化型 構造及び還元型構造を可逆的にとり得るよう な酸化還元対を存在させることが好ましく、 このような酸化還元対としては、例えばヨウ 素-ヨウ素化合物、臭素-臭素化合物、キノン- ヒドロキノンなどを挙げることができる。

 上記の電解質層20は、発電領域Xの周縁に 置する封止領域Yに設けられる封止材30によ 封止され、電極間からの液の漏洩が防止さ ることとなるわけである。一般に、このよ な電解質層20の厚みは、最終的に形成され 電池の大きさによっても異なるが、通常、10 乃至50μm程度である。

 封止材30としては、ヒートシール可能な 種の熱可塑性樹脂乃至熱可塑性エラストマ 、例えば、低密度ポリエチレン、高密度ポ エチレン、ポリプロピレン、ポリ1-ブテン、 ポリ4-メチル-1-ペンテン、或いはエチレン、 ロピレン、1-ブテン、4-メチル-1-ペンテン等 のα-オレフィン同士のランダム乃至ブロック 共重合体等のポリオレフィン系樹脂;エチレ -酢酸ビニル共重合体、エチレン-ビニルアル コール共重合体、エチレン-塩化ビニル共重 体等のエチレン-ビニル化合物共重合体樹脂; ポリスチレン、アクリロニトリル-スチレン 重合体、ABS、α-メチルスチレン-スチレン共 合体等のスチレン系樹脂;ポリビニルアルコ ール、ポリビニルピロリドン、ポリ塩化ビニ ル、ポリ塩化ビニリデン、塩化ビニル-塩化 ニリデン共重合体、ポリアクリル酸、ポリ タクリル酸、ポリアクリル酸メチル、ポリ タクリル酸メチル等のビニル系樹脂;ナイロ 6、ナイロン6-6、ナイロン6-10、ナイロン11、 ナイロン12等のポリアミド樹脂;ポリエチレン テレフタレート、ポリブチレンテレフタレー ト、ポリエチレンナフタレート等のポリエス テル樹脂;ポリカーボネート;ポリフェニレン キサイド;カルボキシメチルセルロース、ヒ ドロキシエチルセルロースなどのセルロース 誘導体;酸化澱粉、エーテル化澱粉、デキス リンなどの澱粉;及びこれらの混合物からな 樹脂;などが使用される。

 即ち、封止材30は、上記の熱可塑性樹脂 を用いての押出成形、射出成形等によって 例えば、封止領域Yに対応する幅のリング形 に成形することにより得られ、この封止材3 0を、互いに対抗して配置された負極基板10と 透明電極基板1との間に挟んだ状態でヒート ール(加熱圧着)することにより、負極基板10 透明電極基板1とが接合され、次いで、この 封止材30に注入管を挿入し、該注入管を介し 、両電極基板の間の空間内に、電解質層20 形成する電解質溶液を注入することにより 図2に示す構造の色素増感半導体多孔質層50(1 3)を有する電極基板を有しており且つ図1に示 す構造の色素増感型太陽電池を得ることがで きる。

 尚、透明基板3として透明樹脂フィルムな どを用いるときには、例えば負極基板10と透 電極基板1との3方を封止剤30でシールし、次 いでシールされていない開口部から電解質液 を充填し、最後に、開口部を封止剤30で完全 封止することによっても図1に示す構造の色 素増感型太陽電池を作製することができる。

 このようにして形成される色素増感太陽 池では、先にも述べたが、透明電極基板1側 から可視光を照射することにより、負電極基 板10に形成されている色素増感半導体多孔質 50(13)中の色素が励起され、基底状態から励 状態へと遷移し、励起された色素の電子が 多孔質層50(13)中の伝導帯へ注入され、金属 極基板10(金属基板11)を介して外部回路(図示 せず)を通って透明電極基板1に移動する。透 電極基板1に移動した電子は、電解質層20中 イオンによって運ばれ、色素に戻る。この うな過程の繰り返しにより電気エネルギー 取り出され、発電が行われることとなる。 発明においては、半導体多孔質層50(13)に増 色素5が内部まで深く且つ均等に分布して吸 着担持されているばかりか、散乱によって大 きな空隙率を有する半導体多孔質層50(13)の内 部まで光が行き渡るため、高い変換効率を示 す。さらに、発電領域Xが大面積である場合 も、半導体多孔質層50(13)の厚みにバラツキ なく、均一な厚みを有しているため、安定 た特性を発揮することができる。

 尚、本発明に従って半導体多孔質層50が 成された電極基板を、図1に示す構造の色素 感型太陽電池の負電極基板10として用いた を説明したが、本発明の電極基板は、この うな態様に限定されるものではなく、例え 、図1に示されている構造の色素増感型太陽 池における透明導電膜5(或いは電子還元導 層7)の上に色素増感半導体多孔質層50を形成 、光が照射される側に配置される負極基板 して本発明の電極基板を使用することも勿 可能である。

 本発明の優れた効果を次の例で説明する。
(実施例1)
 酸化物半導体微粒子として、以下の2種類の 二酸化チタン微粒子と、2種類のバインダー (低粘性エチルセルロース及び高粘性エチル ルロース)を用意した。尚、バインダー剤で あるエチルセルロースの粘度は、10重量%のエ チルセルロース固形分濃度のトルエン溶液を 用いて25℃でB型粘度計により測定された値で ある。
球状二酸化チタン微粒子(A);
  昭和タイタニウム(株)製Fシリーズ
  粒径:30nm
不定形二酸化チタン微粒子(B);
  テイカ(株)製AMTシリーズ
  粒径7nm
低粘性エチルセルロース(ES 1 );
  粘度;5~15cP
高粘性エチルセルロース(ES 2 );
  粘度;30~50cP

 上記の酸化物半導体微粒子及びエチルセル ースを使用し、有機溶媒としてテルピオネ ルを使用し、以下の組成の半導体ペースト 調製した。
半導体ペーストの組成;
  球状二酸化チタン微粒子A:15重量%
  不定形二酸化チタン微粒子B:5重量%
         (A/B=3)
  低粘性エチルセルロース(ES 1 ):4.4重量%
  高粘性エチルセルロース(ES 2 ):5.6重量%
         (ES 1 /ES 2 =11/14)
  テルピオネール:70重量%

 次いで、金属基板として、リン酸クロメ ト処理されたアルミニウム板(厚み0.3mm)を用 意し、このアルミニウム板上に、上記で調製 したペーストを塗布し、450℃で30分間焼成し 厚みが約10μmの半導体多孔質層を形成した この塗布に際しては、だれは全く生ぜず、 た、得られた半導体層の膜厚分布を1cm角エ アで測定したところ、膜厚誤差範囲が±0.2μm と、ほぼ均一な膜厚で形成できていることが わかった。

 この酸化物半導体層について、窒素吸着 脱離式のBET測定を実施した結果、細孔容積 最大ピークが細孔径約50nmの部分で確認され た。また、その層における空隙率は、計算値 により69%であった。

 さらに、純度99.5%のエタノールに分散させ ルテニウム錯体色素からなる色素溶液中に 上記の半導体多孔質層を24時間漬浸させ、次 いで乾燥することにより、色素で増感された 半導体多孔質層を有する負極基板を得た。尚 、用いたルテニウム錯体色素は、下記式で表 される。
  [Ru(dcbpy) 2 (NCS) 2 ]・2H 2 O

 一方、白金を蒸着したITO/PENフィルムで構成 される対向電極(正極)基板を用意した。
 この対向電極基板と上記で作製した負電極 造体との間に電解質液を挟みこんで、図1に 示す構造の色素増感型太陽電池を作製した。 このときの電解質液層の厚みは5μmとした。
 尚、電解質液としては、DMPImI/LiI/I 2 (0.6mol/0.5mol/0.025mol)をメトキシプロピオニトリ ルに溶かしたものに4-tert-ブチルピリジンを 加したものを用いた。

 得られた電池の変換効率を測定したところ 測定面積1cm 2 で、以下の通りであり、高い変換効率が得ら れた。
  変換効率:5.08%
  FF(内部抵抗):0.57
  J SC (短絡電流密度):12.9mA/cm 2
  V OC (開放電圧):0.69V

(比較例1)
 球状二酸化チタン微粒子(A)のみを使用し、 定形状の二酸化チタン微粒子(B)を使用しな った以外は、実施例1と全く同様にしてTiO 2 ペーストを調製し、このペーストを用いて実 施例1と全く同様にして厚みが約8μmの半導体 孔質層を形成した。このときの半導体多孔 層の厚みは、実施例1と同様、均一なレベル にあった。

 この半導体多孔質層について、窒素吸着 脱離式のBET測定を実施した結果、細孔容積 最大ピークが細孔径約20nmの部分で確認され た。また、その層における空隙率としては、 計算値により59%であった。

 次いで、上記の半導体多孔質層を表面に するアルミニウム板を用いて、実施例1と全 く同様にして、色素を担持させ、次いで、こ れを負電極基板として、図1に示す構造の色 増感型太陽電池を作製した。

 得られた電池の変換効率を測定したところ 測定面積1cm 2 で、以下の通りであり、実施例1に比して、 換効率は低かった。
  変換効率:3.20%
  FF(内部抵抗):0.61
  J SC (短絡電流密度):7.64mA/cm 2
  V OC (開放電圧):0.69V

(比較例2)
 バインダー剤として、低粘性エチルセルロ ス(ES 1 )のみを使用し、高粘性エチルセルロース(ES 2 )を使用しなかった以外は、比較例1と全く同 にしてTiO 2 ペーストを調製し、このペーストを用いて実 施例1と全く同様にして厚みが約10μmの半導体 多孔質層を形成した。この半導体多孔質層の 膜厚分布を1cm角エリアで測定したところ、膜 厚誤差範囲が±1μmと、膜厚が均一とは云えな い膜であることがわかった。

 次いで、上記の半導体多孔質層を表面に するアルミニウム板を用いて、実施例1と全 く同様にして、色素を担持させ、次いで、こ れを負電極基板として、図1に示す構造の色 増感型太陽電池を作製した。

 得られた電池の変換効率を測定したところ 測定面積1cm 2 で、以下の通りであり、実施例1に比して、 換効率は低かった。
  変換効率:3.20%
  FF(内部抵抗):0.61
  J SC (短絡電流密度):7.64mA/cm 2
  V OC (開放電圧):0.69V