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Title:
DYE-SENSITIZED SOLAR CELL
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/098857
Kind Code:
A1
Abstract:
Disclosed is a dye-sensitized solar cell wherein power generation efficiency is improved by suppressing light absorption of a wiring portion. Specifically disclosed is a dye-sensitized solar cell (10) comprising at least a first electrode substrate (11) having, on one side thereof, a porous oxide semiconductor layer (15) loaded with a dye and a wiring portion (19) arranged in a region adjacent to the porous oxide semiconductor layer (15); a second electrode substrate (16) so arranged as to face the porous oxide semiconductor layer (15) of the first electrode substrate (11); and an electrolyte layer (17) arranged at least partially between the first electrode substrate (11) and the second electrode substrate (16). At least one of the first electrode substrate (11), the wiring portion (19) and the second electrode substrate (16) is provided with an incident light direction-changing member (18) for changing the direction of incident light, at a position corresponding to the wiring portion.

Inventors:
OKADA KENICHI (JP)
MATSUI HIROSHI (JP)
KITAMURA TAKAYUKI (JP)
Application Number:
PCT/JP2009/000389
Publication Date:
August 13, 2009
Filing Date:
February 02, 2009
Export Citation:
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Assignee:
FUJIKURA LTD (JP)
OKADA KENICHI (JP)
MATSUI HIROSHI (JP)
KITAMURA TAKAYUKI (JP)
International Classes:
H01M14/00; H01L31/04
Domestic Patent References:
WO1998031054A11998-07-16
Foreign References:
JP2003346927A2003-12-05
JP2002260746A2002-09-13
JPH08287969A1996-11-01
JPH1051020A1998-02-20
JPH11135813A1999-05-21
JP2004171815A2004-06-17
Other References:
HAMAKAWA YOSHIHIRO AND KUWANO YUKINORI: "ADVANCED ELECTRONICS SERIES 1-3,", 1994, BAIFUKAN CO., LTD, article "solar energy engineering; solar cell"
See also references of EP 2249429A4
Attorney, Agent or Firm:
AOKI, Hiroaki et al. (5-6 Higashikanda 1-chome, Chiyoda-ku, Tokyo 31, JP)
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Claims:
 色素が担持された多孔質酸化物半導体層および該多孔質酸化物半導体層と隣接する部分に設けられた配線部を一面側に備える第1の電極基板と、
 前記第1の電極基板の前記多孔質酸化物半導体層と対向するように配された第2の電極基板と、
 前記第1の電極基板と第2の電極基板との間の少なくとも一部に配された電解質層とを少なくとも備え、
 前記第1の電極基板、前記配線部及び前記第2の電極基板のうちの少なくとも1つには、前記配線部と対応する位置に、入射光の方向を変える入射光方向変更部が設けられている色素増感太陽電池。
 前記入射光方向変更部が膜体である請求項1に記載の色素増感太陽電池。
 前記膜体は、拡散膜、回折格子膜、蛍光塗料膜、または反射膜のいずれかであることを特徴とする請求項2に記載の色素増感太陽電池。
 前記入射光方向変更部が、前記第1の電極基板、前記配線部および前記第2の電極基板を結ぶ線上であって前記第1の電極基板又は前記第2の電極基板の厚さ方向に沿った線上に設けられている、請求項1~3のいずれか一項に記載の色素増感太陽電池。
 前記第1の電極基板が透明電極基板であり、
 前記入射光方向変更部は、前記第1の電極基板に対し、前記配線部と反対側に設けられている請求項1~3のいずれか一項に記載の色素増感太陽電池。
 前記第1の電極基板が透明電極基板であり、
 前記配線部が、集電配線と、前記集電配線を覆うように設けられる配線保護層とを有しており、
 前記配線保護層が前記入射光方向変更部を有する請求項1~3のいずれか一項に記載の色素増感太陽電池。
 前記第1の電極基板が透明電極基板であり、
 前記配線部が、集電配線と、前記集電配線を覆うように設けられる配線保護層とを有しており、
 前記入射光方向変更部が、前記配線部と前記第1の電極基板との間に設けられている請求項1~3のいずれか一項に記載の色素増感太陽電池。
 前記第2の電極基板が透明電極基板であり、
 前記入射光方向変更部が、前記第2の電極基板に対し、前記第1の電極基板と反対側に設けられている請求項1~3のいずれか一項に記載の色素増感太陽電池。
 前記第2の電極基板が透明電極基板であり、
 前記配線部が、集電配線と、前記集電配線を覆うように設けられる配線保護層とを有しており、
 前記配線保護層が前記入射光方向変更部を有する請求項1~3のいずれか一項に記載の色素増感太陽電池。
 前記膜体は、配線部の幅よりも大きく、隣接する多孔質酸化物半導体層に重ならない範囲に配されていることを特徴とする請求項1~9のいずれか一項に記載の色素増感太陽電池。
Description:
色素増感太陽電池

 本発明は、多孔質酸化物半導体層に隣接 て配線部を有する色素増感太陽電池に関す 。

 色素増感太陽電池は、金属を腐食する電 液を使用する。このため、セルの集電抵抗 下げるための集電配線を設ける場合には、 解液から集電配線を保護する配線保護層が 要になる。しかし、配線保護層を集電配線 両側部に施すと、配線幅に配線保護層の厚 が加わって配線全体の幅が増大する傾向に る。

 従来のシリコン系太陽電池であれば電解液 使用しないため配線保護層は不要である。 のため、集電配線の表面は露出された金属 による金属光沢がある。このため、入射光 配線部分に入射しても配線表面で反射し、 ネル内で光が散乱するため、入射光のエネ ギーを有効に利用することができる。しか ながら、色素増感太陽電池においては、下 の(1)および(2)に挙げる理由から、配線部分 入射した光はセル内で吸収され、熱に変わ てしまうため、エネルギーのロスによる光 用効率の低下が大きい欠点がある。
(1)色素増感太陽電池の配線は、低融点ガラス を結着剤に用いた銀ペーストで形成すること が多く、低融点ガラスは濃い色のものが多い 。このため、配線形成後の表面の色合いが暗 くなり、配線部分に入射した光が吸収される 。
(2)配線保護層に用いる材料も透明や暗い色の ものが多く、暗い色の配線保護層か透明な配 線保護層の裏にある濃い色の電解液によって 光が吸収される。

 このような配線による不発電部分のロス 無くすためには、レンズ等を用いて入射光 発電部分に導く方法が考えられる。例えば 特許文献1では、プリズマチックカバーとし て紹介されている。また、特許文献1,2には集 光レンズアレイを用いる方法が記載されてい る。

 特許文献3には、太陽電池モジュールにお いて太陽電池素子間に入射した光を太陽電池 モジュールの裏面に通過させて採光に利用す る場合に、透過光の照度を一様にするために 太陽電池素子間の透明部分にレンズを形成し たものが記載されている。

 特許文献4には、色素増感太陽電池の透明基 板に蛍光体を配し、入射光の一部を光電変換 量子効率の高い波長の光に変換し、発電効率 を高めた色素増感太陽電池が記載されている 。
浜川圭弘、桑野幸徳共編、アドバンスト エレクトロニクスシリーズI-3、「太陽エネル ギー工学―太陽電池」、培風館、平成6年、4- 1-5高効率単結晶シリコン太陽電池、p.93-94

国際公開第98/31054号

特開平10-51020号公報

特開平11-135813号公報

特開2004-171815号公報

 しかしながら、非特許文献1および特許文 献1,2の方法は、レンズアレイやカバーのコス トが大きく、また、専用の設計をしないとな らない。このため、様々なセル形状に合わせ て簡単に適用することができなかった。この ような設計自由度の低下は、色や形状などを 様々なデザインに変更し、少量多種製造が可 能な色素増感太陽電池のメリットを損なう。

 特許文献3の太陽電池モジュールは、レン ズを透過した光をモジュールの裏側の採光に 利用するものであって、太陽電池素子で発電 に利用するものではない。

 特許文献4の色素増感太陽電池は、高濃度 ヨウ素電解液による光の吸収に対して発電効 率を改善するものであるが、金属配線層につ いて特別な対処を開示したものではない。

 そこで、本発明は、配線部による光の吸 を抑制して発電効率の改善を図れる色素増 太陽電池を提供することを課題とする。

 前記課題を解決するため、本発明は、色 が担持された多孔質酸化物半導体層および 多孔質酸化物半導体層と隣接する部分に設 られた配線部を一面側に備える第1の電極基 板と、前記第1の電極基板の前記多孔質酸化 半導体層と対向するように配された第2の電 基板と、前記第1の電極基板と第2の電極基 との間の少なくとも一部に配された電解質 とを少なくとも備え、前記第1の電極基板、 記配線部および前記第2の電極基板のうちの 少なくとも1つには、前記集電配線と対応す 位置に、入射光の方向を変える入射光方向 更部が設けられていることを特徴とする色 増感太陽電池を提供する。

 この色素増感太陽電池によれば、非発電 分である配線部に向かって入射する光の方 が、入射光方向変更部によって、発電部分 ある色素が担持された多孔質酸化物半導体 に向かうように変更することができる。

 上記入射光方向変更部は例えば膜体であ ばよい。

 前記膜体は、例えば拡散膜、回折格子膜 蛍光塗料膜、または反射膜のいずれかであ ばよい。

 前記入射光方向変更部は、前記第1の電極 基板、前記配線部および前記第2の電極基板 結ぶ線上であって前記第1の電極基板又は前 第2の電極基板の厚さ方向に沿った線上に設 けられていることが好ましい。

 上記色素増感太陽電池は、例えば前記第1 の電極基板が透明電極基板であり、前記入射 光方向変更部が前記第1の電極基板に対し前 配線部と反対側に設けられた構成を有する

 また上記色素増感太陽電池は、前記第1の 電極基板が透明電極基板であり、前記配線部 が、集電配線と、前記集電配線を覆うように 設けられる配線保護層とを有しており、前記 配線保護層が前記入射光方向変更部を有する 構成を有していてもよい。

 さらに上記色素増感太陽電池は、前記第1 の電極基板が透明電極基板であり、前記配線 部が、集電配線と、前記集電配線を覆うよう に設けられる配線保護層とを有しており、前 記入射光方向変更部が、前記集電配線と前記 第1の電極基板との間に設けられた構成を有 ていてもよい。

 さらにまた上記色素増感太陽電池は、前 第2の電極基板が透明電極基板であり、前記 入射光方向変更部が、前記第2の電極基板に し、前記第1の電極基板と反対側に設けられ 構成を有していてもよい。

 さらに上記色素増感太陽電池は、前記第2 の電極基板が透明電極基板であり、前記配線 部が、集電配線と、前記集電配線を覆うよう に設けられる配線保護層とを有しており、前 記配線保護層が前記入射光方向変更部を有す る構成を有していてもよい。

 前記膜体は、配線部の幅よりも大きく、 接する多孔質酸化物半導体層に重ならない 囲に配されていることが好ましい。

 本発明によれば、非発電部分である配線 に向かって入射する光の方向が、入射光方 変更部によって、発電部分である色素が担 された多孔質酸化物半導体層に向かうよう 変更することができるので、発電効率の改 を図ることができる。

本発明の色素増感太陽電池の第1の例を 示す断面図である。 本発明の色素増感太陽電池の第2の例を 示す断面図である。 本発明の色素増感太陽電池の第3の例を 示す断面図である。 本発明の色素増感太陽電池の第4の例を 示す断面図である。 本発明の色素増感太陽電池の第5の例を 示す断面図である。 複数のセル間における集電配線の配置 説明する平面図である。

符号の説明

L…入射光、S…膜体によって向きを変えた 、R…基板表面での再反射光、10,20,30,40…色 増感太陽電池、11,21,31,41…透明電極基板、12 ,22,32,42…透明導電膜、13,23,33,43…集電配線、1 4,34…配線保護層、15,25,35,45…色素が担持され た多孔質酸化物半導体層、16,26,36,46…電極基 、17,27,37,47…電解質層、18,28,38…入射光の方 向を変える膜体(入射光方向変更部)、24,44… 射光の方向を変える膜体を兼ねる配線保護 。

 以下、最良の形態に基づき、図面を参照 て本発明を説明する。

 図1は、本発明の色素増感太陽電池の第1 例を示す断面図である。図2は、本発明の色 増感太陽電池の第2の例を示す断面図である 。図3は、本発明の色素増感太陽電池の第3の を示す断面図である。図4は、本発明の色素 増感太陽電池の第4の例を示す断面図である 図5は、本発明の色素増感太陽電池の第5の例 を示す断面図である。図6は、複数のセル間 おける集電配線の配置を説明する平面図で る。

 図1に示す色素増感太陽電池10は、第1の電 極基板11と、第1の電極基板11上に形成された 明導電膜12と、透明導電膜12上に形成された 配線部19と、透明導電膜12上において配線部19 に隣接して設けられた多孔質酸化物半導体層 15と、第1の電極基板11の多孔質酸化物半導体 15と対向するように配された第2の電極基板1 6と、両電極基板11,16間に配された電解質層17 を少なくとも備えている。配線部19は、透 導電膜12上に形成された集電配線13と、集電 線13を覆うように形成された配線保護層14と で構成されている。そして、透明電極基板で ある第1の電極基板11は、配線部19と対応する 置に、入射光の方向を変える膜体18を備え 。

 図2に示す色素増感太陽電池20は、第1の電 極基板21と、第1の電極基板21上に形成された 明導電膜22と、透明導電膜22上に形成された 配線部29と、透明導電膜22上において配線部29 に隣接して設けられた多孔質酸化物半導体層 25と、第1の電極基板21の多孔質酸化物半導体 25と対向するように配された第2の電極基板2 6と、両電極基板21,26間に配された電解質層27 を少なくとも備えている。配線部29は、透 導電膜22上に形成された集電配線23と、集電 線23を覆うように形成された配線保護層24と で構成されている。そして、配線保護層24は 配線部29と対応する位置に配され、入射光 方向を変える機能を有する。即ち、色素増 太陽電池20においては、配線保護層24が、配 部29と対応する位置に配された、入射光の 向を変える膜体を兼ねている。言い換える 、膜体24は配線部29に設けられている。

 図3に示す色素増感太陽電池30は、第1の電 極基板36と、第1の電極基板36上に形成された 線部39と、第1の電極基板36上において配線 39に隣接して設けられた多孔質酸化物半導体 層35と、第1の電極基板36の多孔質酸化物半導 層35と対向するように配された第2の電極基 31と、第2の電極基板31上に形成された透明 電膜32と、両電極基板31,36間に配された電解 層37とを少なくとも備えている。配線部39は 、第1の電極基板36上に形成された集電配線33 、集電配線33を覆うように形成された配線 護層34とで構成されている。そして、透明電 極基板である第2の電極基板31は、配線部33と 応する位置に、入射光の方向を変える膜体3 8を備える。

 本発明において、入射光の方向を変える 体18,24,38,44は、配線部19,29,39,49と対応する位 置に設けられている。すなわち、膜体18,24,38, 44が存在しなければ集電配線13,23,33,43または 線保護層14,24,34,44に入射して吸収される入射 光が、膜体18,24,38,44に入射することになる。 体18,24,38,44に入射した光は、膜体18,24,38,44に よって入射光の方向を変えられ、少なくとも 一部は、発電部分である多孔質酸化物半導体 層15,25,35,45に入射する。これにより、入射光 エネルギーロスを抑制して、発電効率の改 を図ることができる。

 図1に示す第1形態例の色素増感太陽電池10 では、多孔質酸化物半導体層15が設けられた 1の電極基板11が透明電極基板であり、入射 Lが第1の電極基板11を通して入射される。色 素増感太陽電池10において、第1の電極基板11 表面11a上の集電配線13と対向する位置に、 ち第1の電極基板11に対し集電配線13と反対側 の表面11aに、入射光Lの方向を変える膜体18が 設けられている。この膜体18としては、拡散 、回折格子膜、または蛍光塗料膜を用いる とができる。この場合、膜体18によって入 光Lの方向を変えた光Sを、多孔質酸化物半導 体層15に入射させることができる。

 図2に示す第2形態例の色素増感太陽電池20 では、多孔質酸化物半導体層25が設けられた 1の電極基板21が透明電極基板であり、入射 Lが第1の電極基板21を通して入射される。色 素増感太陽電池20において、集電配線23の表 に設けられた配線保護層24が、入射光Lの方 を変える膜体24を兼ねるものである。この膜 体24としては、配線表面の反射率を高める反 膜を用いることができる。この場合、反射 を含む配線保護層24によって反射した光Sは 第1の電極基板21の表面21aで再び反射し、そ 反射光Rを多孔質酸化物半導体層25に入射さ ることができる。また膜体24に入射した光 、電解質層27を経て多孔質酸化物半導体層25 も入射しうる。なお、従来、導電ペースト よる集電配線23は表面反射率が低いもので ったため、集電配線23から第1の電極基板21へ の入射光の反射は起こりにくいものであった 。従って、集電配線23は表面反射率が低い場 、色素増感太陽電池20において、図5に示す うに、第1の電極基板21と透明導電膜22との の部分に反射率を向上する膜体28を設けるこ とが好ましい。ここで、この膜体28としては 拡散膜、回折格子膜、または蛍光塗料膜を いることができる。この場合、膜体28によ て集電配線23に向かって入射した光Lが反射 れ、その反射した光Sが第1の電極基板21の表 21aで再反射され、再反射された光Rが多孔質 酸化物半導体層25に入射されうる。このため 集電配線23に向けて入射した光の利用効率 より高めることができる。

 図3に示す第3形態例の色素増感太陽電池30 では、第1の電極基板36の多孔質酸化物半導体 層35と対向するように配された第2の電極基板 31が透明電極基板であり、入射光Lが第2の電 基板31を通して入射される。色素増感太陽電 池30において、第2の電極基板31の表面31a上の 電配線33と重なる位置に、入射光Lの方向を える膜体38が設けられている。即ち膜体38は 、第2の電極基板31に対し集電配線33と反対側 表面31a上であって、第1の電極基板36、第2の 電極基板31及び配線部39とを結ぶ線上に設け れている。この膜体38としては、拡散膜、回 折格子膜、または蛍光塗料膜を用いることが できる。この場合、膜体38によって入射光Lの 方向を変えた光Sを、多孔質酸化物半導体層35 に入射させることができる。

 なお、第4形態例として、第1の電極基板46 の多孔質酸化物半導体層45と対向するように された第2の電極基板41が透明電極基板であ 、入射光Lが第2の電極基板41を通して入射さ れる色素増感太陽電池40のように(図4参照)、 電配線43の表面に設けられた配線保護層44が 、入射光Lの方向を変える膜体を兼ねるもの することもできる。この膜体としては、配 表面の反射率を高める反射膜を用いること できる。この場合、反射膜を含む配線保護 44によって反射した光Sは、第2の電極基板41 表面で再び反射し、その再反射光Rを多孔質 化物半導体層45に入射させることができる

 また、第1および第2の電極基板が両方と 透明電極基板からなる場合は、上述の第1~第 4形態例をいずれも適用することが可能であ 。

 また、図1から図4に示す例は、色素増感 陽電池のセル1の部分に設けられた集電配線2 を含む配線部(図6参照)の位置に対応して入射 光の方向を変える膜体を配した場合を示して いるが、本発明はこれに限定されるものでは ない。入射光の方向を変える膜体は、色素が 担持された多孔質酸化物半導体層と隣接する 部分に設けられた集電配線の位置に対応して 配されるのであればよく、複数のセル1,1の間 の部分に配された集電配線3の位置に対応し 配されても良く、また、セル1の周囲外側の 分に配された集電配線4の位置に対応して、 配されても良い。膜体の位置は、発電部分と なる色素が担持された多孔質酸化物半導体層 からおよそ2mm程度またはそれ以内の距離で隣 接した位置であれば、膜体で方向を変えた入 射光を発電部分に入射されるのに好適である 。

 拡散膜としては、特に限定されるもので ないが、例えば、透明樹脂中に、該透明樹 と屈折率の異なる透明ビーズや、該透明樹 より高屈折率の散乱粒子等を添加し、入射 を散乱させるようにしたものなどが挙げら る。拡散膜は等方性のものでも、異方性の のでも良く、配線と垂直に(すなわち図1お び図3の左右方向に)散乱させるものが望まし い。拡散膜は、例えばあらかじめ成形したフ ィルムを基板表面に貼付することによって形 成される。あるいは拡散膜は、インクやペー スト状のものを基板表面に塗布し、乾燥もし くは硬化によって形成することもできる。拡 散膜は、光の透過率が高く、かつ散乱角度の 大きいものが望ましい。

 回折格子膜としては、特に限定されるも ではないが、入射光のうち光電変換量子効 が高い波長500~600nm(例えば波長550nm)の光の向 きを変えて多孔質酸化物半導体層に入射する ように、格子本数と回折方向を設定されたも のが望ましい。回折格子膜は、あらかじめ回 折格子が設けられた膜体を基板表面に貼付す ることによって形成される。あるいは回折格 子膜は、基板表面にフィルム貼付や塗膜形成 などによって膜体を設けた後で、該膜体に回 折格子を設けることによって形成することも できる。

 蛍光塗料膜としては、特に限定されるも ではないが、光電変換量子効率が高い波長5 00~600nm(例えば波長550nm)の光の効率よく発する 物質を蛍光体として用いる蛍光塗料膜が好ま しい。蛍光塗料膜の構成例としては、第1に 蛍光体を溶解した溶液または分散した分散 を透明基板に塗布し、乾燥してなる膜体が げられる。第2に、蛍光体をアクリル樹脂、 レタン樹脂、セルロース系樹脂などの透明 脂に添加してフィルム状に成形した蛍光体 入プラスチックフィルムを透明基板の表面 貼り合わせたものが挙げられる。第3に、ポ リエチレンテレフタレートフィルム、セルロ ース系樹脂フィルムなどの透明プラスチック フィルムに蛍光体を溶解した蛍光塗料などの 溶液を塗布、乾燥した蛍光体塗布プラスチッ クフィルムを透明基板の表面に貼り合わせた ものが挙げられる。

 蛍光塗料膜に使用される蛍光体としては 少なくとも波長500nm以下の光を波長500~600nm 光に変換する機能を有するものが用いられ 具体的にはフルオレセイン(490nm→520nm)、エ シン、ローダミンBなどの有機蛍光体、ハロ ン酸カルシウム、カドミウムテルライドな の無機蛍光体などが挙げられる。また、耐 性の高い無機蛍光体は、透明基板をなすガ スに溶融して含有させてもよく、透明基板 プラスチックフィルムからなる場合、透明 板中に練り込んでおくこともできる。この うな蛍光塗料膜中の蛍光体の濃度は、0.1~1wt %程度で十分であり、蛍光体自体に起因する 吸収が過大にならないように、その添加量 調整することが望ましい。また、蛍光塗料 の厚さは、特に限定されないが、厚さが薄 ものが好ましい。

 反射膜としては、特に限定されるもので ないが、配線保護膜を形成するインクにあ かじめ酸化チタンなどの高屈折率粒子を混 込んで白色化させた塗膜などが挙げられる 高屈折率粒子は、平均粒子径が200~600nmのも が好ましく、また、塗膜としては、粒径1μm 以上の凝集2次粒子ができないように、イン をよく分散したものが望ましい。

 上述のいずれの場合においても、入射光 方向を変える膜体18,24,38,44の幅は、配線部19 ,29,39,49の幅よりも大きく、かつ、隣接する多 孔質酸化物半導体層15,25,35,45に重ならない範 に配されていることが好ましい。これによ 、膜体がなくても発電部分である多孔質酸 物半導体層15,25,35に到達する入射光が発電 分に到達することを妨げることなく、膜体 なければ非発電部分に到達する入射光を効 良く発電部分に到達させることができる。 た、基板表面に膜体を設けることは、セル 間やコネクタ部分などの非発電部分にも適 できる。

 また、図1および図3に示すように、膜体18 ,38を、窓極となる透明電極基板11,31の表面11a, 31aに設ける場合は、膜体18,38と集電配線13,33 位置関係を光の入射方向に対応させて設定 ることが望ましい。通常は、透明電極基板11 ,31に対して入射光Lが垂直に入射する場合を 定して、膜体18,38と集電配線13,33とが基板面 対して略垂直の位置(図1および図3の上下方 )に配置すれば良い。言い換えると、膜体18, 38は、透明電極基板11,31及び配線部19,39を結ぶ 線上であって透明電極基板11,31の厚さ方向に った線上に配置されればよい。膜体18,38を のような位置に配置するのは以下の理由に るものである。即ち、透明電極基板11,31の表 面11a,31aは通常、太陽光が最も高くなる位置 向けられる。ここで、太陽光の日射量は、 陽光の高度が最大となるときに最大となる 従って、膜体18,38が設けられていない場合、 配線部19,39に入射される光の強度は、太陽光 高度が最大となるときに最大となり、発電 スも最大となる。よって、上記位置に膜体1 8,38が配置されると、1日を通した発電ロスが も低く抑えられることになる。このことは 天気が快晴である場合に特に顕著となる。

 なお、膜体18,38が上記のように配置され いても、入射光Lが特定の方向から斜めに入 する場合に対応することも可能である。

 透明電極基板11,21,31,41の基材材料として 、ガラス、樹脂、セラミクスなど、実質的 透明な基板であれば制限なく使用できる。 孔質酸化物半導体層の焼成を行う際に基板 変形や変質等が起こらないよう、耐熱性に れる点で高歪点ガラスが特に好ましいが、 ーダライムガラス、白板ガラス、硼珪酸ガ ス等も好適に使用することができる。

 透明導電膜12,22,32,42の材料としては特に限 されるものではないが、例えば、スズ添加 化インジウム(ITO)、酸化スズ(SnO 2 )、フッ素添加酸化スズ(FTO)等の導電性金属酸 化物が挙げられる。透明導電膜を形成する方 法としては、その材料に応じた公知の適切な 方法を用いればよいが、例えば、スパッタ法 、蒸着法、SPD法、CVD法などが挙げられる。そ して、透明導電膜は、光透過性と導電性を考 慮して、通常0.001μm~10μm程度の膜厚に形成さ る。

 集電配線13,23,33は、金、銀、銅、白金、 ルミニウム、ニッケル、チタンなどの金属 、例えば格子状、縞状、櫛型などのパター により、配線として形成したものである。 極基板の光透過性を著しく損ねないために 、各配線の幅を1000μm以下と細くすることが ましい。各配線の厚さ(高さ)は、特に制限 れないが、0.1~20μmとすることが好ましい。

 集電配線を形成する方法としては、例えば 導電粒子となる金属粉とガラス微粒子など 結合剤を配合してペースト状にし、これを クリーン印刷法、ディスペンス、メタルマ ク法、インクジェット法などの印刷法を用 て所定のパターンを形成するように塗膜し 焼成によって導電粒子を融着させる方法が げられる。焼成温度は、例えば、基板がガ ス基板である場合には600℃以下、より好ま くは550℃以下とすることが好ましい。この の集電配線を形成する方法としては、スパ タ法、蒸着法、メッキ法などの形成方法を いることもできる。導電性の観点から、集 配線の体積抵抗率は、10 -5 ω・cm以下であることが好ましい。

 配線保護層14,34は、低融点ガラスから構 されるガラス層を1層または2層以上有するも のでもよく、耐熱性樹脂から構成される絶縁 樹脂層を1層または2層以上有するものでもよ 。また、これらのガラス層および絶縁樹脂 の2層を少なくとも備えるものでもよい。

 配線保護層として使用可能なガラス層は 低融点ガラスから構成される。硼酸鉛系な の含鉛のものが一般的であるが、環境負荷 考慮した場合、鉛を含まないものがより好 しい。例えば、硼珪酸ビスマス塩系/硼酸ビ スマス亜鉛塩系、アルミノリン酸塩系/リン 亜鉛系、硼珪酸塩系などの低融点ガラス材 を用いることができる。前記ガラス層は、 れらの低融点ガラス材料を単独または複数 含む低融点ガラスを主成分とし、熱膨張率 粘度の調整などにより必要に応じて可塑剤 その他の添加剤を加えてペースト化したも を、スクリーン印刷やディスペンス等の手 により、塗布し焼成して形成することがで る。ガラス層は、同一のペーストまたは異 るペーストを用いて多層としても構わない

 配線保護層として使用可能な絶縁樹脂層 、耐熱性樹脂から構成される。耐熱性樹脂 、少なくとも多孔質酸化物半導体層の焼成 耐え得る耐熱性を有するものが選ばれる。 のような耐熱性樹脂としては、ポリイミド 導体、シリコーン化合物、フッ素エラスト ー、フッ素樹脂などから選択される1種を単 独で、または複数種を配合・積層等により併 用して、用いることができる。フッ素樹脂と しては、ポリテトラフルオロエチレン、テト ラフルオロエチレン-パーフルオロアルキル ニルエーテル共重合体、テトラフルオロエ レン-ヘキサフルオロプロピレン共重合体等 テフロン(登録商標)系化合物から選択され 1種または複数種を用いることができる。ま 、絶縁樹脂層に柔軟性に富む樹脂材料を適 することで、配線保護層の衝撃破壊、割れ どの懸念が減少する。前記絶縁樹脂層を形 する方法としては、絶縁性樹脂を含有する ニスやペーストを塗膜する方法が挙げられ 。絶縁樹脂層の緻密性を向上させる点では 複数回塗膜を繰り返して配線保護層を複層 することが望ましい。

 配線保護層が、ガラス成分から構成され ガラス層を有することにより、電解液の漏 (減量)や劣化を抑制することができる。ま 、ガラス層の上に耐熱性樹脂から構成され 絶縁樹脂層をオーバーコートとして設ける とにより、ガラス層中のガラス成分が電解 に接することがなく、ガラス中の成分と電 液中の成分とが反応することを防止するこ ができる。

 また、ガラス層がガス透過を遮断するの 、この効果だけを得る目的であれば、絶縁 脂層として、高温で焼成可能な耐熱樹脂や 熱接着剤を用いる必要はない。この場合、 熱性の低い接着剤の塗布や、ホットメルト 着剤のラミネートによりオーバーコートと る絶縁樹脂層を形成しても良い。特に、ホ トメルト接着剤のラミネートにより絶縁樹 層を形成する場合は、作用極の被毒が小さ ため、耐熱樹脂や耐熱接着剤に近い、良好 特性が得られる。

 低融点ガラス層および耐熱樹脂層は、各 単一または複数種の材料を用いて複数回重 て塗布しても構わない。印刷時に発生する ンホール等の欠陥を補い、保護層の緻密性 向上させる点では、複層化することがより ましい。

 ガラス層のオーバーコートとしての絶縁 脂層の厚さは、1μm以上あることが望ましい 。オーバーコートが薄すぎる場合には樹脂の 柔軟性が活かされず、対向する対極表面を傷 つける可能性があり、また、異物等の混入や 素子作製時のハンドリングによって、樹脂層 自身が傷つく可能性もある。

 配線保護層は、過剰に厚くする必要もな 、総厚で100μmを超えるべきではない。

 配線保護層24,44は既に述べたように反射 を含む。反射膜は、上述した配線保護層14,34 を構成するガラス層又は絶縁樹脂層中に酸化 チタンなどの高屈折粒子をさらに含むもので ある。

 多孔質酸化物半導体層15,25,35,45は、酸化 半導体のナノ粒子(平均粒径1~1000nmの微粒子) 焼成により多孔質膜とし、色素が増感され なるものである。

 酸化物半導体としては、酸化チタン(TiO 2 )、酸化スズ(SnO 2 )、酸化タングステン(WO 3 )、酸化亜鉛(ZnO)、酸化ニオブ(Nb 2 O 5 )などの1種または2種以上が挙げられる。多孔 質酸化物半導体層の厚さは、例えば0.5~50μm程 度とすることができる。

 多孔質酸化物半導体層を形成する方法と ては、例えば、市販の酸化物半導体微粒子 所望の分散媒に分散させた分散液、あるい 、ゾル-ゲル法により調整できるコロイド溶 液を、必要に応じて所望の添加剤を添加した 後、スクリーンプリント法、インクジェット プリント法、ロールコート法、ドクターブレ ード法、スピンコート法、スプレー塗布法な ど公知の塗布法により塗布するほか、コロイ ド溶液中に浸漬して電気泳動により酸化物半 導体微粒子を基板上に付着させる泳動電着法 などを適用することができる。

 多孔質酸化物半導体層に担持される増感 素は、特に制限されるものではなく、例え 、ビピリジン構造、ターピリジン構造など 含む配位子を有するルテニウム錯体や鉄錯 、ポルフィリン系やフタロシアニン系の金 錯体をはじめ、エオシン、ローダミン、ク リン、メロシアニンなどの誘導体である有 色素などから、用途や酸化物半導体多孔膜 材料に応じて適宜選択して用いることがで る。

 電極基板16,26,36,46としては、特に限定さ るものではないが、具体的には金属板、金 箔、ガラス板などの基材16a,26a,36a,46aの表面 、白金、カーボン、導電性高分子等の触媒 16b,26b,36b,46bを形成したものが挙げられる。 の電極基板の表面における導電性を向上す ため、基材16a,26a,36a,46aと触媒層16b,26b,36b,46b の間に別途導電層を設けても構わない。

 電解質層17,27,37を構成する電解質として 、酸化還元対を含む有機溶媒や室温溶融塩( オン液体)などを用いることができる。また 、電解液に適当なゲル化剤(例えば高分子ゲ 化剤、低分子ゲル化剤、各種ナノ粒子、カ ボンナノチューブなど)を導入することによ 疑似固体化したもの、いわゆるゲル電解質 電解液の代わりに用いても構わない。

 有機溶媒としては、特に限定されるもの はないが、アセトニトリル、メトキシアセ ニトリル、プロピオニトリル、メトキシプ ピオニトリル、プロピレンカーボネート、 エチルカーボネート、γ-ブチロラクトンな の1種または複数種が例示される。また、室 温溶融塩としては、イミダゾリウム系カチオ ン、ピロリジニウム系カチオン、ピリジニウ ム系カチオン等のカチオンと、ヨウ化物イオ ン、ビストリフルオロメチルスルホニルイミ ドアニオン、ジシアノアミドアニオン、チオ シアン酸アニオン等のアニオンとからなる室 温溶融塩の1種または複数種が例示される。

 電解質に含有される酸化還元対としては 特に限定されることないが、ヨウ素/ヨウ化 物イオン、臭素/臭化物イオンなどのペアを1 または複数種添加して得ることができる。 ウ化物イオンまたは臭化物イオンの供給源 しては、これらのアニオンを含有するリチ ム塩、四級化イミダゾリウム塩、テトラブ ルアンモニウム塩などを単独または複合し 用いることができる。電解液には、必要に じて4-tert-ブチルピリジン、N-メチルベンズ ミダゾール、グアニジニウム塩などの添加 を添加することができる。

 本形態例の色素増感太陽電池は、例えば の手順によって製造することができる。

 図1および図2に示すように、透明電極基 11,21上に集電配線13,23および多孔質酸化物半 体層15、25が設けられる場合は、電極基板11, 21上に透明導電膜12,22を形成した後、透明導 膜12,22の上に集電配線13,23および多孔質酸化 半導体層15、25を形成する。また、集電配線 13,23の形成後に配線保護層14,24を形成する。 お、集電配線の上に透明導電膜を形成して 配線保護層の一部とするのでもよい。また 多孔質酸化物半導体層に色素を担持するに 、多孔質酸化物半導体層を設けた基板を色 溶液に浸漬させる等の方法を用いることが きる。そして、集電配線13,23や色素が担持さ れた多孔質酸化物半導体層15,25に備える第1の 電極基板11,21を作用極とし、対極となる第2の 電極基板16,26との間に電解質層17,27を配する とで、色素増感太陽電池10,20を得ることがで きる。

 図3に示すように、対極となる第2の電極 板31が透明電極基板からなる場合は、第1の 極基板36の上に集電配線33および多孔質酸化 半導体層35を形成するとともに、配線保護 34の形成と多孔質酸化物半導体層35への色素 持を行うことで、作用極が得られる。そし 、透明導電膜32を備える第2の電極基板31を 極とし、作用極と対極との間に電解質層37を 配することで、色素増感太陽電池30を得るこ ができる。

 電解質層を両電極基板間に配する方法と ては、特に限定されるものではないが、電 液を用いる場合は、作用極と対極とを向か 合わせ、両極の周囲を樹脂や接着剤等によ 封止した後で、適宜設けた注入孔から電解 を注入する方法が用いられる。また、ゲル 解質を用いる場合は、作用極の上にゲル電 質を塗布し、その上に対極を貼り合わせる 法が用いられる。

 第1および第3形態例に挙げるように、入 光の方向を変える膜体18,38を透明電極基板11, 31の表面11a,31aに設ける場合は、膜体は、作用 極と対極を向かい合わせる前の基板表面に設 けてもよく、作用極と対極を向かい合わせた 後で設けても良い。

 第2および第4形態例に挙げるように、入 光の方向を変える膜体が配線保護層を兼ね 場合は、配線保護層として入射光の方向を える膜体を形成すれば良い。

 いずれの場合においても、入射光の方向 変える膜体が、配線部と対応する位置に設 られることによって、入射光のエネルギー スを抑制し、発電効率の改善を図ることが きる。

 さらに上記第1~第4形態例では、入射光方 変更部が膜体であるが、入射光方向変更部 膜体に限定されるものではない。例えば第1 の電極基板、配線部または第2の電極基板に 成される回折格子パターンなどであっても い。

 また上記第1~第4形態例では、配線部が集 配線と配線保護層とで構成されているが、 線部は集電配線のみで構成されていてもよ 。

 以下、実施例をもって本発明を具体的に 明する。なお、本発明は、これらの実施例 みに限定されるものではない。

 (色素増感太陽電池の作製)
 ガラス基板(140mm角で、表面に透明導電膜と てFTO膜を形成したもの)を用意し、FTO膜の上 にスクリーン印刷にて銀回路を格子状に形成 した。回路形状の設計は、回路幅300μm、膜厚 10μmとした。印刷用銀ペーストとしては、焼 後の体積抵抗率が3×10 -6 ωcmのものを用い、印刷後130℃で乾燥し、さ に最高温度510℃で銀回路を焼結することに り回路形成した。

 次に、銀回路が完全に覆われるように回路 成部分と重ねて、第1の配線保護材として低 融点ガラスペーストを塗布し、ガラスの印刷 塗膜を形成した。第1の配線保護層の設計幅 500μmとし、CCDカメラを用いて銀回路との位 合わせをしながら、スクリーン印刷により 膜を形成した。印刷塗膜を130℃で乾燥後、 極基板のFTO膜上において、銀回路および配 保護層が設けられる部分とは異なる部分にTi O 2 ナノ粒子を含むペーストをスクリーン印刷に より塗布し、乾燥した。これらの乾燥後、第 1の配線保護層(1回塗布した分のみ)および多 質酸化物半導体層を最高温度500℃で焼結し 。さらに、第1の配線保護層の厚みを確保す ため、1回塗布した分の上に、ガラスの印刷 塗膜の形成と焼結を複数回繰り返して第1の 線保護層を形成した。

 さらに、第1の配線保護層が完全に覆われ るように、第2の配線保護材として耐熱樹脂 樹脂液(ポリイミドワニス)を塗布し、最高温 度350℃で樹脂塗膜を処理し、これを複数回繰 り返して、第2の配線保護層を形成した。第2 配線保護層の設計幅は800μmとし、CCDカメラ 用いて銀回路との位置合わせをしながら、 クリーン印刷により塗膜形成した。

 さらにルテニウムビピリジン錯体(N719色 )のアセトニトリル/t-ブタノール溶液中に一 夜以上浸漬して色素担持し、光電極とした

 対極としては、白金(Pt)層をスパッタ形成 したチタン(Ti)箔を用いた。不活性ガスを充 した循環精製型グローブボックス内にて光 極上にヨウ素電解質を展開し、対極と向き わせて積層した後、素子の周囲を紫外線硬 樹脂で封止した。

 (比較例1)
 比較例1は、上述の工程のみにより、入射光 の向きを変える膜体を設けることなく作製し た色素増感太陽電池である。この場合、光電 変換効率は5.18%であった。

 (実施例1)
 実施例1では、窓極側の基板表面の銀回路と 対向する位置に、即ち窓極側の基板に対し銀 回路とは反対側の表面に、等方的な拡散特性 を有する拡散フィルム(透過率85%、拡散角度60 °)を貼り合わせた。この場合、光電変換効率 は5.31%であった。比較例1に対する変換効率の 向上率は、約2.5%であった。

 (実施例2)
 実施例2では、窓極側の基板表面の銀回路と 対向する位置に、導光板用拡散インクを塗布 し、拡散膜を形成した。この場合、光電変換 効率は5.30%であった。比較例1に対する変換効 率の向上率は、約2.3%であった。

 (実施例3)
 実施例3では、窓極側の基板表面の銀回路と 対向する位置に、分散角36°、1000本/mmの回折 子を形成した。この場合、光電変換効率は5 .28%であった。比較例1に対する変換効率の向 率は、約1.9%であった。

 (実施例4)
 実施例4では、窓極側の基板表面の銀回路と 対向する位置に、黄色蛍光塗料(ゼブラ社製 黄色蛍光ペン)で着色したメンディングテー (住友スリーエム社製)を貼り合わせること より、蛍光塗料膜を形成した。この場合、 電変換効率は5.24%であった。比較例1に対す 変換効率の向上率は、約1.2%であった。

 (実施例5)
 実施例5では、第1の配線保護材として用い 低融点ガラスペーストは比較例1と同じまま 第2の配線保護材として用いるポリイミドワ ニスに5wt%のチタニア粒子(平均粒子径400nm)を えたものを用いることで、配線保護層の表 に反射膜を形成した。この場合、光電変換 率は5.25%であった。比較例1に対する変換効 の向上率は、約1.4%であった。

 (光電変換効率の測定結果)
 ここで、光電変換効率は、1Sun擬似太陽光(AM 1.5)下での光電変換エネルギー効率の測定値 ある。この測定結果をまとめると、表1のと りである。

 以上の結果のように、実施例1~5において 、比較例1に対して、約1.2~2.5%の変換効率向 が見られた。なお。本実施例では、開口率 90%の太陽電池セルを用いたため、配線部分 の入射光を完全に利用できたとしても変換 率向上は11%が限界である。したがって、本 施例によれば、配線部分への入射光をおよ 10~23%程度、発電に利用できたことになる。

 本発明は、多孔質酸化物半導体層に隣接し 配線部を有する色素増感太陽電池であれば セル、アレイ、モジュールといった形態を 定することなく、変換効率向上のため利用 ることができる。