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Patent Searching and Data


Title:
DYE-SENSITIZED SOLAR CELL
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/157175
Kind Code:
A1
Abstract:
Disclosed is a dye-sensitized solar cell characterized by comprising an electrode having, on one side thereof, a semiconductor layer loaded with a sensitizing dye, a counter electrode so arranged as to face the semiconductor layer, and a charge-transporting layer arranged between the electrode and the counter electrode.  The dye-sensitized solar cell is also characterized in that at least one of the electrode and the counter electrode is composed of a transparent conductive film wherein an ITO film and an FTO film are laminated, and a part or all of the surface of the FTO film has a orthorhombic crystal structure.

Inventors:
SEKIGUCHI TAKASHI (JP)
YAMADA SHIGEO (JP)
OOASHI TATSUYA (JP)
KAMBE SHINGO
Application Number:
PCT/JP2009/002840
Publication Date:
December 30, 2009
Filing Date:
June 22, 2009
Export Citation:
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Assignee:
PANASONIC ELEC WORKS CO LTD (JP)
NIPPON SODA CO (JP)
SEKIGUCHI TAKASHI (JP)
KAMBE SATOKO (JP)
YAMADA SHIGEO (JP)
OOASHI TATSUYA (JP)
International Classes:
H01M14/00; H01L31/04
Foreign References:
JP2005302695A2005-10-27
JPH01132004A1989-05-24
JP2003323818A2003-11-14
Other References:
See also references of EP 2296215A4
Attorney, Agent or Firm:
SHIGA, Masatake et al. (JP)
Masatake Shiga (JP)
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Claims:
 増感色素が担持された半導体層を一方の表面に有する電極と、前記半導体層に対して対向配置された対電極と、前記電極と前記対電極間に配置された電荷輸送層とを有する色素増感太陽電池において、前記電極と前記対電極の少なくとも一方が、ITO膜及びFTO膜を積層してなる透明導電膜であり、かつ、FTO膜の表面の結晶構造の一部又は全部が斜方晶であることを特徴とする色素増感太陽電池。
 前記透明導電膜のシート抵抗値が、300ω/□以下であることを特徴とする請求項1記載の色素増感太陽電池。
 前記電荷輸送層に含まれるI 3 - の濃度が、0mol/dm 3 を越え0.02mol/dm 3 以下であることを特徴とする請求項1または2記載の色素増感太陽電池。
Description:
色素増感太陽電池

 本発明は、色素増感太陽電池に関する。
 本願は、2008年6月24日に、日本に出願された 特願2008-164418号に基づいて優先権を主張し、 の内容をここに援用する。

 色素増感太陽電池は,太陽光を吸収する色素 が光を吸収して電子を放出することにより発 電する方式の太陽電池のことである。1991年 スイスEcole Polytechnique Federale de Lausanne(EPFL) のMichael Gratzel氏が発表した論文を契機に研 が進んできた。その機構は、電池に光が当 ると電池中の色素が励起状態となり、電子 放出する。この電子は酸化チタン(TiO 2 )を経由して透明電極に達し、外部に流れる 一方、電子を放出して陽イオンになった色 は、もう片方の電極から供給される電子を 電解液中のヨウ素(I)を経由して受け取り、 の状態に戻るというものである。

 このような太陽電池に用いられる透明電 に必要な条件として、低抵抗、熱安定性、 学的安定性、高透過性、耐湿性、低コスト どが挙げられる。このような条件を満たす 極用の透明導電性膜としては、一般にスズ ドープした酸化インジウム膜(ITO膜)より、 、化学的条件に強いフッ素をドープした酸 スズ膜(FTO)膜が好ましい。

 しかし、FTO膜はITO膜と比較して透明性、 電性に劣るため、ITO膜の上にFTO膜を積層す ことにより、熱安定性、化学的安定性等に えて、透明性等の特性を向上させた膜も検 されている(例えば、特許文献1)。

特開2003-323818号公報

 しかしながら、色素増感太陽電池の更な 高効率化、高出力化の要求は高く、透明導 膜改良も一つの課題となっていた。

 本発明者らは、鋭意検討を重ねた結果、 素増感太陽電池の電極として、表面の結晶 造の一部又は全部が斜方晶であるFTO膜を、I TO膜の表面に積層してなる透明導電膜を用い と、高い変換効率・高出力を示すことを見 し、本発明を完成するに至った。

 すなわち、本発明は、以下に関する。
(1)増感色素が担持された半導体層を一方の表 面に有する電極と、前記半導体層に対して対 向配置された対電極と、前記電極と前記対電 極間に配置された電荷輸送層とを有する色素 増感太陽電池において、前記電極が、ITO膜及 びFTO膜を積層してなる透明導電膜であり、か つ、FTO膜の表面の結晶構造の一部又は全部が 斜方晶であることを特徴とする色素増感太陽 電池。
(2)透明導電膜のシート抵抗値が300ω/□以下で あることを特徴とする(1)記載の色素増感太陽 電池。
(3)電荷輸送層に含まれるI 3 - の濃度が、0mol/dm 3 を越え0.02mol/dm 3 以下であることを特徴とする(1)又は(2)記載の 色素増感太陽電池。

 本発明のFTO・ITO積層膜からなる透明導電 はFTO膜表面の一部又は全部が斜方晶の結晶 造を有することから、膜厚が5~20nmと薄い場 でも、耐熱性に優れ、かつ、高効率、高出 の色素増感太陽電池が得られる。

本発明の光電変換素子の一例を示す断 図。

 以下、図面を参照して、本発明に係る色素 感太陽電池の構成について説明する。本発 に係る光電変換素子1は、図1に示すように 基板2(第1の基板2)と基板3(第2の基板3)により 荷輸送層4を挟持した構成を有し、電荷輸送 層4の外周部は封止材5により封止されている 基板2は、基材6(第1の基材6)と、基材6の表面 上に形成された電極層7と、電極層7の表面上 形成された多孔質の半導体層8とを有し、半 導体層8側において基板3と対向している。基 3は、基材9(第2の基材9)と、基材9表面上に形 成された対電極層10とを有し、対電極層10側 おいて基板2と対向している。電極層7の表面 上に形成された多孔質の半導体層8には、増 色素が担持されている。
 基材6とその表面に形成された電極層7、又 、基材9とその表面上に形成された対電極層1 0の一方又は両方が透明に形成されて、半導 層8に光を入射させることが可能になってい 。

(透明導電膜)
 本発明の透明導電膜は、電極層7と対電極層 10の少なくとも一方に使用されるものであり 透明基材側にITO膜が設けられ、その上にFTO が積層されてなるものである。FTO膜の(半導 体層8側の)表面の一部又は全部が斜方晶の結 構造を有している。
 本発明において、表面の一部が斜方晶とは 少なくとも、シート抵抗値の変化率が1.5倍 内となるために必要な量だけ斜方晶が含ま ている状態をいう。ここで、「シート抵抗 の変化率」は、透明導電膜を350℃で1時間加 熱を行った後のシート抵抗値を、加熱前のシ ート抵抗値で除して得ることができる。結晶 構造の一部が斜方晶を有している場合、残り は正方晶又はその他の結晶系であり、通常、 混晶状態となる。
 斜方晶とは、結晶学の分野で一般に用いら ている7つの結晶系(立方晶、六方晶、菱面 晶、正方晶、斜方晶、単斜晶、および三斜 )のうち、軸長の関係がa≠b≠cであり、軸角 関係がα=β=γ=90°であるものをいう。結晶系 の同定は、単結晶および粉末のX線回折、中 子線回折、電子線回折等により行われる。
 斜方晶の結晶構造を生成させるためには、 にパイロゾル法により成膜する場合、後述 るように、複数の成膜炉を連結した成膜炉 においてベルト上を移送される透明基材上 ITO膜の成膜後に、連結した成膜炉内で引き き連続的にFTO膜を成膜することが必要であ 。成膜炉でITO膜を成膜後、一旦成膜炉外に した後、再度成膜炉でFTOを成膜すると、FTO 表面構造は正方晶になるとともに、シート 抗値の変化率は1.5倍を超える。

 また、ITO膜及びFTO膜の膜厚は、太陽電池の 明電極として使用可能である限り制限はな が、FTO、ITOの有するメリットを生かすこと でき、かつコストなどの点からFTO膜の膜厚 、5~20nmが好ましく、10~20nmがより好ましい。 一方、ITO膜の膜厚は20~60nmが好ましく、30~50nm より好ましい。
 FTO膜及びITO膜は各々、少なくとも1層からな り、前記膜厚を越えない限り、多層に積層で きる。

 特開2003-323818号公報に記載されたITOとFTO 積層膜は、ITOの膜厚が100~1000nm、FTOの膜厚は3 0nm~350nmである。同文献では、FTO膜の膜厚はITO の保護のために少なくとも30nm必要とされて るに比べて、本発明の透明導電膜は膜厚がIT O、FTO共に薄くすることもできることが特徴 ある。

 本発明の透明導電膜は、FTO膜が5~20nmと薄 場合でも350℃以上の温度に対する耐熱性が れており、350℃の温度で1時間の加熱後のシ ート抵抗値の変化率が1.5倍以下、好ましくは 、1.2倍以下である。また、シート抵抗値は、 特に色素増感型太陽電池の透明電極として使 用する場合は300ω/□以下であることが要求さ れているが、膜厚を調整することにより300ω/ □以下とすることが可能である。

(透明基材)
 本発明の透明導電膜は透明基材上に積層さ る。
 透明基材は、具体的には、アルカリガラス 石英ガラス等のガラス、ポリカーボネート ポリエチレンテレフタレート、ポリアリレ ト等のポリエステル、ポリエーテルスルホ 系樹脂、アモルファスポリオレフィン、ポ スチレン、アクリル樹脂等が挙げられる。 れらの材質は、最終的に用いる製品の用途 応じて最適なものが適宜選択される。
 透明基材と透明導電膜との間には必要に応 て透明導電膜にアルカリ成分等が侵入する を防止するために無機酸化物膜を形成する とができる。無機酸化物膜として具体的に 、ケイ素酸化物(SiO 2 )、アルミニウム酸化物(Al 2 O 3 )、チタン酸化物(TiO 2 )、ジルコニウム酸化物(ZrO 2 )、イットリウム酸化物(Y 2 O 3 )、イッテルビウム酸化物(Yb 2 O 3 )、マグネシウム酸化物(MgO)、タンタル酸化物 (Ta 2 O 5 )、セリウム酸化物(CeO 2 )又はハフニウム酸化物(HfO 2 )、有機ポリシラン化合物から形成されるポ シラン膜、MgF 2 膜、CaF 2 膜、SiO 2 とTiO 2 の複合酸化物等からなる膜を例示することが できる。

(透明導電膜の製法)
 透明導電膜の製造方法としては、本発明の 的とする物性値を有する膜を成膜できる方 であればよく、具体的には、スパッター法 電子ビーム法、イオンプレーテイング法、 クリーン印刷法又は化学的気相成長法(CVD法 )、スプレー熱分解法、パイロゾル法等を例 することができるが、特にパイロゾル法を ましく例示することができる。

 以下に、パイロゾル法による本発明の製法 ついて具体的に説明する。
 ITO膜形成溶液に含有されるインジウム化合 としては、熱分解して酸化インジウムにな 物質が好ましく、具体的には、インジウム リスアセチルアセトナート(In(CH 3 COCHCOCH 3 ) 3 )、インジウムトリスベンゾイルメタネート(I n(C 6 H 5 COCHCOC 6 H 5 ) 3 )、三塩化インジウム(InCl 3 )、硝酸インジウム(In(NO 3 ) 3 )、インジウムトリイソプロポキシド(In(OPr-i) 3 )等を例示することができる。

 また、ITO膜形成溶液に含有されるスズ化合 としては、熱分解して酸化第2スズになるも のを好ましく用いることができ、具体的には 、塩化第2スズ、ジメチルスズジクロライド ジブチルスズジクロライド、テトラブチル ズ、スタニアスオクトエート(Sn(OCOC 7 H 15 ) 2 )、ジブチルスズマレエート、ジブチルズズ セテート、ジブチルスズビスアセチルアセ ナート等を挙げることができる。

 なお、前記インジウム化合物及びスズ化 物に加えて、第3成分として、Mg、Ca、Sr、Ba の周期律表第2族元素、Sc、Y等の第3族元素 La、Ce、Nd、Sm、Gd等のランタノイド、Ti、Zr、 Hf等の第4族元素、V、Nb、Ta等の第5族元素、Cr Mo、W等の第6族元素、Mn等の第7族元素、Co等 第9族元素、Ni、Pd、Pt等の第10族元素、Cu、Ag 等の第11族元素、Zn、Cd等の第12族元素、B、Al Ga等の第13族元素、Si、Ge、Pb等の第14族元素 P、As、Sb等の第15族元素、Se、Te等の第16族元 素等の単体若しくはこれらの化合物を添加し てITO膜を形成することもできる。

 FTO膜形成溶液に含有されるスズ化合物とし は、上記ITO膜の製造に用いられるスズ化合 を用いることができる。
 また、FTO膜形成溶液に含有されるフッ素化 物としては、フッ化水素、フッ化ナトリウ 、トリフルオロ酢酸、ジフルオロエタン、 ロモトリフルオロメタンなどを挙げること できる。

 上記化合物を、メタノール、エタノール のアルコール類、アセトン、メチルブチル トン、アセチルアセトン等ケトン類等の有 溶媒に溶解して、ITO膜形成溶液及びFTO膜形 溶液を、各々、調製する。

 パイロゾル法により透明基材上にITO膜及びF TO膜を成膜するには、以下のようにして行う
 予め400~750℃、好ましくは400~550℃に加熱し コンベア式成膜炉を複数基連結し、透明基 を炉内に投入する。第1基目の炉内でITO膜形 溶液を、第2基目の炉内でFTO膜形成溶液を、 それぞれ超音波で霧滴状にして空気をキャリ アガスとしてコンベアー炉の中に吹き込み、 透明基材の表面に接触させて熱分解させるこ とにより、膜を作製する。膜厚はコンベアの 速度を変えることにより調整することができ る。
 成膜炉を3基以上連結することにより、ITO膜 、FTO膜の少なくともいずれか一方を多層膜と することもできる。また、第1基目でSiO 2 膜などの他の無機酸化物膜を成膜することも できる。

(他の構成部材)
 本発明の透明導電膜は、電極層7と対電極層 10の少なくとも一方に使用されるものであり これらのうち一方は不透明な電極で形成し も良い。この場合の電極は、金属そのもの 形成するようにしてもよく、フィルム上に 電材層を積層して形成するようにしてもよ 。好ましい導電材としては金属、例えば白 、金、銀、銅、アルミニウム、ロジウム、 ンジウム等、又は炭素、若しくは導電性の 属酸化物、例えばインジウム-錫複合酸化物 、アンチモンをドープした酸化錫、フッ素を ドープした酸化錫等、あるいは上記化合物の 複合物、又はグラファイト、カーボンナノチ ューブ、白金を担持したカーボン等の炭素材 料、若しくは上記化合物上に酸化シリコン、 酸化スズ、酸化チタン、酸化ジルコニウム、 酸化アルミニウムなどをコートした材料を挙 げることができる。
 この電極は、表面抵抗が低い程よいもので り、好ましい表面抵抗の範囲としては、200 /□以下であり、より好ましくは50ω/□以下 ある。表面抵抗の下限は特に制限されない 、通常0.1ω/□である。

 半導体層8を形成する半導体材料としては、 無機半導体材料または有機半導体材料を用い ることができる。無機半導体材料としては、 Cd、Zn、In、Pb、Mo、W、Sb、Bi、Cu、Hg、Ti、Ag、M n、Fe、V、Sn、Zr、Sr、Ga、Si、Crなどの金属元 の酸化物、SrTiO 3 、CaTiO 3 などのペロブスカイト、CdS、ZnS、In 2 S 3 、PbS、Mo 2 S、WS 2 、Sb 2 S 3 、Bi 2 S 3 、ZnCdS 2 、Cu 2 Sなどの硫化物、CdSe、In 2 Se 3 、WSe 2 、HgS、PbSe、CdTeなどの金属カルコゲナイド、 の他GaAs、Si、Se、Cd 2 P 3 、Zn 2 P 3 、InP、AgBr、PbI 2 、HgI 2 、BiI 3 などを用いることができる。また、これらの 半導体材料から選ばれる少なくとも一種以上 を含む複合体、例えば、CdS/TiO 2 、CdS/AgI、Ag 2 S/AgI、CdS/ZnO、CdS/HgS、CdS/PbS、ZnO/ZnS、ZnO/ZnSe、C dS/HgS、CdS x /CdSe 1-x (0<X<1)、CdS x /Te 1-x (0<X<1)、CdSe x /Te 1-x (0<X<1)、ZnS/CdSe、ZnSe/CdSe、CdS/ZnS、TiO 2 /Cd 3 P 2 、CdS/CdSeCd y Zn 1-y S(0<Y<1)、CdS/HgS/CdSなどを用いることがで る。これらの中でもTiO 2 が、電荷輸送層4を形成する電解液中への光 解の回避と高い光電変換特性を得ることが きる点で好ましい。
 半導体層8の膜厚は、0.1~100μmの範囲内であ ことが好ましい。この範囲内であれば、十 な光電変換効果が得られ、また、可視光及 近赤外光に対する透過性が悪化することも いからである。半導体層8の膜厚の一層好ま い範囲は1~50μmであり、特に好ましい範囲は 5~30μmであり、最も好ましい範囲は10~20μmであ る。
 半導体層8は、多孔質であり、各孔径は、1~1 00nm程度である。
 そして半導体層8は、公知の方法で形成すれ ばよく、例えば、半導体粒子とバインダーの 混合溶液を、公知慣用の方法、例えば、ドク ターブレードやバーコータなどを使う塗布方 法、スプレー法、ディップコーティング法、 スクリーン印刷法、スピンコート法などによ り、電極層7の表面に塗布し、その後、基板6 ガラス基板であれば500℃前後で加熱焼成し 基板6がフィルム基板であればプレス機で圧 力を加えることによって、形成することがで きる。

 半導体層8に担持させるために使用される増 感色素としては、従来の色素増感太陽電池で 常用の色素であれば全て使用できる。このよ うな色素は、例えばRuL 2 (H 2 O) 2 タイプのルテニウム-シス-ジアクア-ビピリジ ル錯体又はルテニウム-トリス(RuL 3 )、ルテニウム-ビス(RuL 2 )、オスミウム-トリス(OsL 3 )、オスミウム-ビス(OsL 2 )タイプの遷移金属錯体、若しくは亜鉛-テト (4-カルボキシフェニル)ポルフィリン、鉄- キサシアニド錯体、フタロシアニンなどが げられる。有機色素としては、9-フェニルキ サンテン系色素、クマリン系色素、アクリジ ン系色素、トリフェニルメタン系色素、テト ラフェニルメタン系色素、キノン系色素、ア ゾ系色素、インジゴ系色素、シアニン系色素 、メロシアニン系色素、キサンテン系色素な どが挙げられる。この中でもルテニウム-ビ (RuL 2 )誘導体は、可視光域で広い吸収スペクトル 有するため、特に好ましい。
 半導体層8への増感色素の担持量としては、 1×10 -8 ~1×10 -6 mol/cm 2 の範囲にあることが好ましく、特に0.1×10 -7 ~9.0×10 -7 mol/cm 2 の範囲であることがより好ましい。この範囲 内であれば、経済的且つ十分に光電変換効率 向上の効果を得ることができる。

 半導体層8に増感色素を担持させる方法は 、例えば、金属錯体色素を溶かした溶液に、 半導体層8を被着させた電極7を備えた基板6を 浸漬させる方法が挙げられる。この溶液の溶 媒としては、水、アルコール、トルエン、ジ メチルホルムアミドなど金属錯体色素を溶解 可能なものであれば全て使用できる。また、 浸漬方法として、金属錯体色素溶液に半導体 層8を被着させた電極7を備えた基板6を一定時 間浸漬させている時に、加熱還流をしたり、 超音波を印加したりすることもできる。半導 体層8への色素担持後、担持せずに半導体層8 残ってしまった増感色素を取り除くために アルコールで洗浄あるいは加熱還流するこ が望ましい。

 電荷輸送層4は、電解質を用いて形成させる ことができる。電解質としては、酸化体と還 元体からなる一対の酸化還元系構成物質であ れば特に限定されないが、酸化体と還元体が 同一電荷を持つ酸化還元系構成物質が好まし い。酸化還元系構成物質とは、酸化還元反応 において可逆的に酸化体および還元体の形で 存在する一対の物質を意味するものであり、 このような酸化還元系構成物質としては、例 えば、塩素化合物-塩素、ヨウ素化合物-ヨウ 、臭素化合物-臭素、タリウムイオン(III)-タ リウムイオン(I)、水銀イオン(II)-水銀イオン( I)、ルテニウムイオン(III)-ルテニウムイオン( II)、銅イオン(II)-銅イオン(I)、鉄イオン(III)- イオン(II)、ニッケルイオン(II)-ニッケルイ ン(III)、バナジウムイオン(III)-バナジウム オン(II)、マンガン酸イオン-過マンガン酸イ オン、フェリシアン化物-フェロシアン化物 キノン-ヒドロキノン、フマル酸-コハク酸な どが挙げられるが、これらに限定はされない 。
 これらの中でも、ヨウ素化合物-ヨウ素が好 ましく、ヨウ素化合物としてはヨウ化リチウ ム、ヨウ化カリウムなどの金属ヨウ化物、テ トラアルキルアンモニウムヨージド、ピリジ ニウムヨージドなどのヨウ化4級アンモニウ 塩化合物、ヨウ化ジメチルプロピルイミダ リウムなどのヨウ化イミダゾリウム化合物 特に好ましい。
 電荷輸送層4に含まれるヨウ素(I 3 - )濃度は、0mol/dm 3 を越え0.02mol/dm 3 以下であることが好ましい。ヨウ素(I 3 - )濃度が当該範囲内である場合、ヨウ素ない はI 3 - が可視領域の光の一部を吸収するために生じ る電解質の呈色と、当該呈色に起因する光吸 収効率の低下および出力低下とを抑制するこ とができる。特に、室内で使用される場合に おいて出力特性のより優れた色素増感太陽電 池を提供できる。

 電荷輸送層4に電解質を用いる場合、電解 質を溶解するために使用される溶媒は、酸化 還元系構成物質を溶解してイオン伝導性に優 れた化合物が好ましい。溶媒としては水性溶 媒及び有機溶媒のいずれも使用できるが、酸 化還元系構成物質をより安定化するため、有 機溶媒が好ましい。例えば、ジメチルカーボ ネート、ジエチルカーボネート、メチルエチ ルカーボネート、エチレンカーボネート、プ ロピレンカーボネート等のカーボネート化合 物、酢酸メチル、プロピオン酸メチル、γ-ブ チロラクトン等のエステル化合物、ジエチル エーテル、1,2-ジメトキシエタン、1,3-ジオキ シラン、テトラヒドロフラン、2-メチル-テ ラヒドロフラン等のエーテル化合物、3-メ ル-2-オキサゾジリノン、2-メチルピロリドン 等の複素環化合物、アセトニトリル、メトキ シアセトニトリル、プロピオニトリル等のニ トリル化合物、スルフォラン、ジメチルスル フォキシド、ジメチルホルムアミド等の非プ ロトン性極性化合物などが挙げられる。これ らはそれぞれ単独で用いることもでき、また 、2種類以上を混合して併用することもでき 。中でも、エチレンカーボネート、プロピ ンカーボネート等のカーボネ-ト化合物、γ ブチロラクトン、3-メチル-2-オキサゾジリノ ン、2-メチルピロリドン等の複素環化合物、 セトニトリル、メトキシアセトニトリル、 ロピオニトリル、3-メトキシプロピオニト ル、吉草酸ニトリル等のニトリル化合物が ましい。

 また、前記溶媒として、イオン性液体を いることも、不揮発性,難燃性などの観点か ら有効といえる。その場合、公知のイオン性 液体全般を用いることができるが、例えばイ ミダゾリウム系、ピリジン系、脂環式アミン 系、脂肪族アミン系、アゾニウムアミン系イ オン性液体や、欧州特許第718288号明細書、国 際公開第95/18456号パンフレット、電気化学第6 5巻11号923頁(1997年)、J. Electrochem. Soc.143巻,10 ,3099頁(1996年)、Inorg. Chem. 35巻,1168頁(1996年) 記載された構造のものが挙げられる。

 また、電荷輸送層4は、ゲル化電解質、あ るいは高分子電解質を使用して形成させるこ ともできる。ゲル化剤としては、ポリマー、 又はポリマー架橋反応等の手法によるゲル化 剤、又は重合することができる多官能モノマ ーによるゲル化剤、オイルゲル化剤などが挙 げられる。ゲル化電解質、高分子電解質には 一般に用いられるものを適用することができ るが、ポリフッ化ビニリデンなどのフッ化ビ ニリデン系重合体、ポリアクリル酸などのア クリル酸系重合体、ポリアクリロニトリルな どのアクリロニトリル系重合体およびポリエ チレンオキシドなどのポリエーテル系重合体 、あるいは構造中にアミド構造を有する化合 物が好ましい。

 前記半導体層8と対電極層10とによって挟持 れるように設けられる電荷輸送層4の外周部 (平面視した場合の外周部)は、封止材5によっ て封止されている。
 封止材5は、熱可塑性樹脂、例えば、オレフ ィン系樹脂などを含んで構成される。これら の中でも、特に、デュポン社製のバイネルが 好ましく用いられる。
 当該封止材5は、増感色素を担持させた半導 体層8の周囲(平面視した場合の外周部)を囲む ように、かつ、半導体層8と対電極層10との間 に電荷輸送層4を形成するための隙間を設け 配置される。このとき、封止材5が、電極層7 と対電極層10とに、図1に示されるように挟持 される配置となることが好ましい。このよう に配置された封止材5は、例えば、ホットプ ス法にて、基板2と3により挟持されるように 固定される。当該ホットプレス法の条件は特 に限定されないが、150~250℃、0.5~2MPaの条件で 、加熱・加圧するのが好ましい。このように 固定された封止材5の隙間に、電荷輸送層4を 成する電解質が、例えば、減圧注入法によ 注入され、封止材5によって封止され、電荷 輸送層4が形成される。

 次に、実施例に基づき本発明をより具体 に説明する。ただし、本発明は以下の実施 に限定されるものではない。

 500℃に加熱したコンベアー炉を3基(炉(1)~(3)) 連結し、ソーダライムガラス基材(320×420×0.7m m)をコンベアー炉内に投入し、第1基において はSiO 2 膜形成溶液(テトラエトキシシラン(溶液I))、 2基においてはITO膜形成溶液(塩化第2スズを5 モル%含むインジウムアセチルアセトンを0.2 ル/L含むアセチルアセトン溶液(溶液II))、第3 基においてはFTO膜形成溶液(フッ素を150モル% むジブチルスズジアセテートを0.5モル/L含 エタノール溶液(溶液III))をそれぞれ用い、 音波で霧滴状にして空気をキャリアガスと てコンベアー炉の中に吹き込み、ガラス基 の表面に接触させて熱分解させることによ 、積層体を連続的に作製した。得られた積 体を、エリプソメータ(アイメック社製SE800) 用いて膜厚を測定した結果、ガラス/SiO 2 (40nm)/ITO(40nm)/FTO(13nm)であった。また、シート 抗値を4端子法により測定した結果96ω/□で り、FTO膜の表面の結晶系を薄膜評価用試料 平型X線回折装置(リガク社製SmartLab)を用い 評価した結果、斜方晶であることが確認さ た。
 次に、平均1次粒子径が20nmの高純度酸化チ ン粉末をエチルセルロース中に分散させ、 クリーン印刷用の第1のペーストを作製した 一方、平均1次粒子径が20nmの高純度酸化チ ン粉末と平均1次粒子径が400nmの高純度酸化 タン粉末とをエチルセルロース中に分散さ 、スクリーン印刷用の第2のペーストを作製 た。
 そして上記斜方晶FTOが付与された導電性ガ ス基板(1.6cm×3.6cm)上に、第1のペーストを1cm 3cm角に塗布し、乾燥し、得られた乾燥物を50 0℃で30分間、空気中で焼成して、導電性ガラ ス基板上に厚さ10μmの多孔質酸化チタン膜を 成した。次に、多孔質酸化チタン膜上に第2 のペーストを塗布し、乾燥し、得られた乾燥 物を500℃で30分間、空気中で焼成し、厚さ10μ mの多孔質酸化チタン膜上にさらに厚さ4μmの 化チタン膜を形成して、半導体層(受光面積 3cm 2 )を得た。
 次に、半導体層を、[Ru(4,4’-ジカルボキシ -2,2’-ビピリジン) 2 -(NCS) 2 ]で表される色素を含む溶液に浸漬した後、 記溶液から取出し、室温で24時間暗所にて静 置して、半導体層に色素を吸着させた。尚、 溶液には、アセトニトリルとt-ブタノールと 容積比50:50で混合して得た混合溶媒に、上 色素を濃度が3×10 -4 mol/dm 3 となるように溶解したものを用いた。
 一方で、上記斜方晶FTOが付与された導電性 ラス基板(1.6cm×3.6cm)に、5mmol/dm 3 のH 2 PtCl 6 溶液(溶媒イソプロピルアルコール)を5×10 -6 l/cm 2 塗布した後、450℃で15分間熱処理して、対電 を作製した。
 酸化チタン膜を設けた電極と対電極との間 、上記酸化チタン膜の周囲を囲むように幅1 mm、厚さ50μmの枠状のメインシール材を配設 、220℃、1.0MPaの条件でホットプレス機にて 熱と加圧を同時に行った。メインシール材 しては、熱可塑性合成樹脂(デュポン製“バ ネル”)を用いた。
 なお、電解液注入部を形成するために、メ ンシール材には、幅1mm、厚さ50μmの隙間を けた。電解液注入穴は、前記隙間により形 されるため、断面積は0.05mm 2 である。その後、この電解液注入部より電解 液を減圧注入法で注液した。電解液注入部に 付着した余分な電解液を拭き取った後、この 電解液注入部をエンドシール材で封孔し、色 素増感太陽電池を作製した。なお、電解液と しては、ガンマブチロラクトンに、メチルト リプロピルアンモニウムを0.5mol/dm 3 、ヨウ素を0.005mol/dm 3 、ヨウ化リチウムを0.05mol/dm 3 、N-メチルベンゾイミダゾールを0.5mol/dm 3 をそれぞれ溶解したものを用いた。

電解液のヨウ素濃度を0.05mol/dm 3 とした以外はすべて実施例1と同様にして色 増感太陽電池を作製した。

(比較例1)
 実施例と同じ組成のITO膜をガラス基材に成 後、一旦ガラス基材を取り出し、その後再 成膜炉にガラス基材を投入してITO膜の上にF TO膜を成膜して実施例とほぼ同じ膜厚の積層 を作製した。
 1回目の成膜では、500℃に加熱したコンベア ー炉を2基(炉(1)~(2))連結し、ソーダライムガ ス基材(320×420×0.7mm)をコンベアー炉内に投入 し、第1基においてはSiO 2 膜形成溶液(テトラエトキシシラン(溶液I))、 2基においてはITO膜形成溶液(塩化第2スズを5 モル%含むインジウムアセチルアセトンを0.2 ル/L含むアセチルアセトン溶液(溶液II))をそ ぞれ用いた以外は実施例1と同じ方法で積層 体を作製した。得られた積層体は、ガラス/Si O 2 (40nm)/ITO(40nm)であった。
 2回目の成膜では500℃に過熱したコンベアー 炉1基を使用し、1回目で得られたガラス/SiO 2 /ITO積層体をコンベアー炉に投入し、FTO膜形 溶液(フッ素を150モル%含むジブチルスズジア セテートを0.5モル/L含むエタノール溶液(溶液 III))を用いた以外は実施例1と同じ方法で積層 体を作製した。得られた積層体を実施例1と 様に評価した結果、膜厚はガラス/SiO 2 (40nm)/ITO(40nm)/FTO(17nm)であり、シート抵抗値は1 43ω/□であり、FTO膜の表面の結晶系は、正方 であることが確認された。
 そして、この正方晶FTOが付与された導電性 ラス基板(1.6cm×3.6cm)を用いたこと以外はす て実施例1と同様にして色素増感太陽電池を 製した。

(比較例2)
 導電性ガラス基板として、1回目の成膜は、 比較例1と同じ方法で作製し、2回目の成膜は 搬送速度を比較例1よりも遅くした以外は同 じ方法で積層体を作製したものを用いたこと 以外はすべて実施例1と同様にして色素増感 陽電池を作製した。
 なお、得られた積層体を実施例1と同様に評 価した結果、膜厚はガラス/SiO 2 (40nm)/ITO(40nm)/FTO(54nm)であり、シート抵抗値は1 10ω/□であり、FTO膜の表面の結晶系は、正方 であることが確認された。

(比較例3)
 ガラス基材にITO膜が付与された導電性ガラ 基板(表面抵抗200ω/□、厚さ0.7mm、1.6cm×3.6cm) を用いた以外はすべて実施例1と同様にして 素増感太陽電池を作製した。

<発電特性の評価>
 このようにして得られた色素増感太陽電池 うち実施例2および比較例1の特性について 、擬似太陽光(1Sun)を光源として(色素増感太 電池出力/光入射エネルギー)×100である変換 効率により評価し、表1に示した。また、実 例1および実施例2と、比較例1および比較例2 ついては、蛍光灯下200Lxの照度のもとでの 流―電圧曲線を測定し、最大出力点Pmax(W/cm 2 )の値についても評価し、表2に示した。
 表1から、擬似太陽光(1Sun)においては、本発 明を用いた実施例2は比較例1に対し高い変換 率を示すことがわかる。また、表2から、蛍 光灯下200Lxの照度においては、本発明を用い 実施例1および2は、比較例1および2に比べて 高いPmaxを示すことがわかる。

 本発明の色素増感太陽電池に設けられる 明導電膜は、FTO膜表面の一部又は全部が斜 晶の結晶構造を有することから、膜厚が5~20 nmと薄い場合でも、耐熱性に優れ、かつ、高 率、高出力の色素増感太陽電池が得られる

 1   光電変換素子
 2,3 基板
 6,9 基材
 7 電極層
 10  対電極層
 5 封止材
 4 電荷輸送層
 8 色素担持半導体層