MABUCHI MAMORU (JP)
UNIV KYOTO (JP)
CHINO YASUMASA (JP)
MABUCHI MAMORU (JP)
JPS435976B1 | ||||
JP2005298885A | 2005-10-27 |
Masahiko Sudo (JP)
軽希土類元素(Y、Sc、La、Ce、Pr、Nd、Sm)の1種以上、及びZnを含み、軽希土類元素の総量が0.01~1.0質量%であり、Znの総量が0.4~2.6質量%であり、他に不可避に混入する不純物を含むことにより構成されるマグネシウム合金を、熱間・温間圧延し、圧延後に焼鈍を行うことにより、XRD法(シュルツの反射法)による測定で、(0002)面集合組織の板幅方向に極を有するマグネシウム合金板材を製造することを特徴とする易成形性マグネシウム合金板材の製造方法。 |
Y及び/又はScの総量が、0.5質量%以下である、請求項1に記載の易成形性マグネシウム合金板材の製造方法。 |
軽希土類元素の総量が、0.01~0.7質量%である、請求項1又は2に記載の易成形性マグネシウム合金板材の製造方法。 |
軽希土類元素として、軽希土類元素を主成分とする希土類元素混合物(ミッシュメタル:Mm)を使用する、請求項1又は3に記載の易成形性マグネシウム合金板材の製造方法。 |
軽希土類元素に代わるCa、及びZnを含み、Caの総量が0.01~0.6質量%であり、Znの総量が0.4~2.6質量%であり、他に不可避に混入する不純物を含むことにより構成されるマグネシウム合金を、熱間・温間圧延し、圧延後に焼鈍を行うことにより、XRD法(シュルツの反射法)による測定で、(0002)面集合組織の板幅方向に極を有するマグネシウム合金板材を製造することを特徴とする易成形性マグネシウム合金板材の製造方法。 |
Caの総量が、0.01~0.3質量%である、請求項5に記載の易成形性マグネシウム合金板材の製造方法。 |
更に、総量が0.01~2.0質量%であるAlを添加する、請求項5又は6に記載の易成形性マグネシウム合金板材の製造方法。 |
更に、総量が0.01~0.8質量%であるMn及び/又はZrを添加する、請求項1又は5に記載の易成形性マグネシウム合金板材の製造方法。 |
Mn及び/又はZrの総量が、0.01~0.5質量%である、請求項8に記載の易成形性マグネシウム合金板材の製造方法。 |
試料温度を400℃~500℃で熱間圧延する、請求項1又は5に記載の易成形性マグネシウム合金板材の製造方法。 |
総圧下率30%以上の熱間・温間圧延を行う、請求項1又は5に記載の易成形性マグネシウム合金板材の製造方法。 |
熱間・温間圧延した後に、熱処理による焼鈍を行う、請求項1又は5に記載の易成形性マグネシウム合金板材の製造方法。 |
熱処理による焼鈍により、粒界の新しい配列を伴う再結晶を起こす、請求項12に記載の易成形性マグネシウム合金板材の製造方法。 |
焼鈍時の試料温度が、260℃~450℃、保持時間が、10分~3時間である、請求項12又は13に記載の易成形性マグネシウム合金板材の製造方法。 |
焼鈍時の試料温度が、300℃~400℃、保持時間が10分~3時間である、請求項12又は13に記載の易成形性マグネシウム合金板材の製造方法。 |
Liの含有量が0.1質量%未満であり、XRD法(シュルツの反射法)による測定で、(0002)面集合組織の板幅方向に極を有し、常温(30℃)で、エリクセン値が少なくとも8.0以上であることを特徴とする易成形性マグネシウム合金板材。 |
軽希土類元素(Y、Sc、La、Ce、Pr、Nd、Sm)の1種以上、及びZnを含み、軽希土類元素の総量が、0.01~1.0質量%であり、Znの総量が0.4~2.6質量%であり、他に不可避に混入する不純物を含むことにより構成されるマグネシウム合金からなり、XRD法(シュルツの反射法)による測定で、(0002)面集合組織の板幅方向に極を有することを特徴とする易成形性マグネシウム合金板材。 |
Y及び/又はScの総量が、0.5質量%以下である、請求項17に記載の易成形性マグネシウム合金板材の製造方法。 |
軽希土類元素の総量が、0.01~0.7質量%である、請求項17又は18に記載の易成形性マグネシウム合金板材。 |
軽希土類元素として、軽希土類元素を主成分とする希土類元素混合物(ミッシュメタル:Mm)を使用したことを特徴とする、請求項17又は18に記載の易成形性マグネシウム合金板材。 |
軽希土類元素に代わるCa、及びZnを含み、Caの総量が0.01~0.6質量%であり、Znの総量が、0.4~2.6質量%であり、他に不可避に混入する不純物を含むことにより構成されるマグネシウム合金をからなり、XRD法(シュルツの反射法)による測定で、(0002)面集合組織の板幅方向に極を有することを特徴とする易成形性マグネシウム合金板材。 |
Caの総量が、0.01~0.3質量%である、請求項21に記載の易成形性マグネシウム合金板材。 |
更に、総量が0.01~2.0質量%であるAlが添加されている、請求項21又は22に記載の易成形性マグネシウム合金板材。 |
更に、総量が0.01~0.8質量%であるMn及び/又はZrが添加されている、請求項17又は21に記載の易成形性マグネシウム合金板材の製造方法。 |
Mn及び/又はZrの総量が、0.01~0.5質量%である、請求項24に記載の易成形性マグネシウム合金板材の製造方法。 |
常温(30℃)で、エリクセン値が少なくとも8.0以上である、請求項17又は21に記載の易成形性マグネシウム合金板材。 |
請求項16~26のいずれかに記載の易成形性マグネシウム合金板材の成形体からなることを特徴とするマグネシウム合金製プレス成形体。 |
板幅方向に(0002)面の極を有する集合組織を示す、請求項27に記載のマグネシウム合金製プレス成形体。 |
請求項27又は28に記載のマグネシウム合金製プレス成形体からなることを特徴とするマグネシウム合金製部材。 |
本発明は、易成形性マグネシウム合金の 造方法、そのマグネシウム合金板材、マグ シウム合金製プレス成形体及びマグネシウ 合金製部材に関するものであり、更に詳し は、軽希土類元素(Y、Sc、La、Ce、Pr、Nd、Sm) 及びZnを含み、Mn、Zrを特定量添加したマグ シウム合金を、熱間・温間圧延し、焼鈍を うことで、集合組織を改質し、常温におい も、5000系もしくは6000系アルミニウム合金 の成形性を有することを可能とする易成形 マグネシウム合金板材の製造方法、マグネ ウム合金板材、そのプレス成形体及び部材 関するものである。
更に、本発明は、上記軽希土類元素の代 るCa、及びZnを含み、Al、Mn、Zrを特定量添加 したマグネシウム合金を、熱間・温間圧延し 、焼鈍を行うことで、集合組織を改質し、常 温においても、5000系もしくは6000系アルミニ ム合金並の成形性を有することを可能とす 易成形性マグネシウム合金板材の製造方法 マグネシウム合金板材、そのプレス成形体 び部材に関するものである。本発明は、宇 ・航空材料、電子機器材料、自動車部材等 幅広い分野で利用することが可能な易成形 マグネシウム合金板材、そのプレス成形体 び筐体等のマグネシウム合金製部材を提供 るものである。
マグネシウムは、実用構造金属材料中、最 低密度(=1.7g/cm 3 )であり、金属材料特有の易リサイクル性を し、資源も豊富に存在することから、次世 の構造用軽量材料として注目されている。 在、日本におけるマグネシウム製品の多く 、ダイキャスト等の鋳造法により作製され いる。これらの手法により、薄肉成形が可 となったことが、マグネシウム合金の工業 を助長した最大の要因である。
特に、家電製品では、パソコン、携帯電 、デジタルカメラ等の家電製品筐体に、マ ネシウム合金鋳造材が利用されている。し し、現状の鋳造法による生産法には、鋳造 陥を補うための後処理が必要であること、 留りが低いこと、部材の強度・剛性に問題 あること、等の問題が存在する。
一般的に、プレス成形は、歩留まりが高 、成形と同時に高強度・高靭性化を図るこ ができることから、需要拡大の有効な手段 言える。マグネシウム合金製板材から、プ ス成形により成形体を作製できる場合、薄 、かつ高強度な成形体を、安価なプロセス 、作製することができ、家電製品筐体等の 野で、多くの需要が予測できる。
金属の塑性変形の基本となる転位の運動 は、すべり面間隔/原子間距離の比に影響さ れることが知られている。したがって、最密 六方構造(HCP構造)であるマグネシウム合金の 合、a軸長さとc軸長さの比(c/a比)が大きく(c/ a=1.6236)、底面すべりと非底面すべりでは、転 位の運動性に大きな違いが生じる。
そのため、マグネシウム合金の非底面す りの臨界分解せん断応力(CRSS)は、常温にお て、他のすべり系と比較して、非常に大き 、常温成形性は、必然的に低い。更に、マ ネシウム合金板材には、(0002)面が、板面に して、平行に配向する集合組織が形成され ため、塑性変形時の板厚方向の歪みが期待 きず、そのことが、常温成形性を妨げる一 となっている。
成形性に乏しいマグネシウム合金の、常 成形性を向上させる手法としては、規定量 リチウムを添加したマグネシウム合金板材 利用する手法が知られている(特許文献1,2) この方法は、具体的には、マグネシウム(合 )に、8質量%以上のLiを添加し、HCP構造を有 るマグネシウム中に、体心立方晶(β相)を晶 させ、成形性を著しく向上させるものであ 。更に、Liの添加により、c/a比を低め(非特 文献1)、相乗的に成形性を向上させるもの ある。一方、Liの添加は、マグネシウムの腐 食特性を著しく劣化させるため、実用的では ない。それゆえに、Liを添加せずに、成形性 向上させる技術が望まれている。
Liを添加せずに、マグネシウム合金の常 成形性を改善する手段としては、異周速圧 (非特許文献2)、クロス圧延法(特許文献3)を 用して、(0002)面の集合組織形成を弱めた圧 材を作製する方法が挙げられる。本手法を 用すると、油性潤滑剤が十分利用可能な、15 0~230℃の温度でも、高い成形性(エリクセン値 :約13)を確保することができる。しかし、本 法により作製されたマグネシウム合金の、 温(30℃)における成形性は、低いものであり せいぜい、エリクセン値で、6程度である( 特許文献3)。
更に、低温(150℃以下)で、プレス成形を 現する手段としては、適当な熱処理を経た Ce、La、Y等の軽希土類元素を、適当量添加し たマグネシウム合金板材を利用することが挙 げられる(特許文献4)。この手法は、軽希土類 元素を、適当量添加して、マグネシウムのc/a 比を低め、マグネシウムの塑性異方性を軽減 するものである。しかし、この手法により作 製されたマグネシウム合金の、常温(30℃)に ける成形性は、エリクセン値で、せいぜい4~ 5程度である。
現在、幅広い分野で利用されているアル ニウム合金の常温成形性(エリクセン値)は 上記のマグネシウム合金よりも著しく高く 5000系合金では、8.3(5083-O材)、6000系合金では 9.2(6061-T4材)、1000系合金では、11.0(1100-O材)で ある(非特許文献4)。
したがって、マグネシウム合金に関して 、今後、マグネシウム合金板材の著しい需 増加を見込むためには、アルミニウム合金 材に準ずる、もしくは匹敵する常温成形性( 常温でのエリクセン値が8.0以上)を付与する とが必要であり、当技術分野においては、 れた易成形性を有する新しいマグネシウム 金板材の製造技術及びその製品を開発する とが強く要請されていた。
このような状況の中で、本発明者らは、 記従来技術に鑑みて、アルミニウム合金板 に準ずる、もしくは匹敵する常温成形性、 なわち、常温でのエリクセン値が8.0以上の 形性を有する優れた易成形性マグネシウム 金板材を製造することを目標として鋭意研 を重ねた結果、マグネシウムに、特定量の 希土類元素類(Y、Sc、La、Ce、Pr、Nd、Sm)の1種 以上、Zn、及び必要により、Mn、Zrを添加した 合金を、適当な条件で熱間・温間圧延し、更 に、適当な熱処理に供することにより、集合 組織を改質し、常温(30℃)で、アルミニウム 金に準ずる、もしくは匹敵する、優れた易 形性を有するマグネシウム合金板材を作製 ることに成功した。
また、マグネシウムに、特定量のCa、Zn、 及び必要により、Al、Mn、Zrを添加した合金を 、適当な条件で熱間・温間圧延し、更に、適 当な熱処理に供することにより、集合組織を 改質し、常温(30℃)で、アルミニウム合金に ずる、もしくは匹敵する、優れた易成形性 有するマグネシウム合金板材を作製するこ に成功し、本発明を完成するに至った。
本発明は、優れた成形性を有する易成形 マグネシウム合金板材の製造方法を提供す ことを目的とするものである。また、本発 は、該マグネシウム合金板材を成形して、 雑形状を有するマグネシウム合金製プレス 形体及びマグネシウム合金製部材を常温で 製する当該マグネシウム合金製プレス成形 等の製造方法を提供することを目的とする のである。更に、本発明は、上記手法によ 作製されたマグネシウム合金板材、マグネ ウム合金製プレス成形体及びマグネシウム 金製部材を提供することを目的とするもの ある。
(1)軽希土類元素(Y、Sc、La、Ce、Pr、Nd、Sm)の1
以上、及びZnを含み、軽希土類元素の総量が
0.01~1.0質量%であり、Znの総量が0.4~2.6質量%で
り、他に不可避に混入する不純物を含むこ
により構成されるマグネシウム合金を、熱
・温間圧延し、圧延後に焼鈍を行うことに
り、XRD法(シュルツの反射法)による測定で、
(0002)面集合組織の板幅方向に極を有するマグ
ネシウム合金板材を製造することを特徴とす
る易成形性マグネシウム合金板材の製造方法
。
(2)Y及び/又はScの総量が、0.5質量%以下である
前記(1)に記載の易成形性マグネシウム合金
材の製造方法。
(3)軽希土類元素の総量が、0.01~0.7質量%である
、前記(1)又は(2)に記載の易成形性マグネシウ
ム合金板材の製造方法。
(4)軽希土類元素として、軽希土類元素を主成
分とする希土類元素混合物(ミッシュメタル:M
m)を使用する、前記(1)又は(3)に記載の易成形
マグネシウム合金板材の製造方法。
(5)軽希土類元素に代わるCa、及びZnを含み、Ca
の総量が0.01~0.6質量%であり、Znの総量が0.4~2.6
質量%であり、他に不可避に混入する不純物
含むことにより構成されるマグネシウム合
を、熱間・温間圧延し、圧延後に焼鈍を行
ことにより、XRD法(シュルツの反射法)による
測定で、(0002)面集合組織の板幅方向に極を有
するマグネシウム合金板材を製造することを
特徴とする易成形性マグネシウム合金板材の
製造方法。
(6)Caの総量が、0.01~0.3質量%である、前記(5)に
載の易成形性マグネシウム合金板材の製造
法。
(7)更に、総量が0.01~2.0質量%であるAlを添加す
、前記(5)又は(6)に記載の易成形性マグネシ
ム合金板材の製造方法。
(8)更に、総量が0.01~0.8質量%であるMn及び/又は
Zrを添加する、前記(1)又は(5)に記載の易成形
マグネシウム合金板材の製造方法。
(9)Mn及び/又はZrの総量が、0.01~0.5質量%である
前記(8)に記載の易成形性マグネシウム合金
材の製造方法。
(10)試料温度を400℃~500℃で熱間圧延する、前
(1)又は(5)に記載の易成形性マグネシウム合
板材の製造方法。
(11)総圧下率30%以上の熱間・温間圧延を行う
前記(1)又は(5)に記載の易成形性マグネシウ
合金板材の製造方法。
(12)熱間・温間圧延した後に、熱処理による
鈍を行う、前記(1)又は(5)に記載の易成形性
グネシウム合金板材の製造方法。
(13)熱処理による焼鈍により、粒界の新しい
列を伴う再結晶を起こす、前記(12)に記載の
成形性マグネシウム合金板材の製造方法。
(14)焼鈍時の試料温度が、260℃~450℃、保持時
が、10分~3時間である、前記(12)又は(13)に記
の易成形性マグネシウム合金板材の製造方
。
(15)焼鈍時の試料温度が、300℃~400℃、保持時
が10分~3時間である、前記(12)又は(13)に記載
易成形性マグネシウム合金板材の製造方法
(16)Liの含有量が0.1質量%未満であり、XRD法(シ
ルツの反射法)による測定で、(0002)面集合組
織の板幅方向に極を有し、常温(30℃)で、エ
クセン値が少なくとも8.0以上であることを
徴とする易成形性マグネシウム合金板材。
(17)軽希土類元素(Y、Sc、La、Ce、Pr、Nd、Sm)の1
以上、及びZnを含み、軽希土類元素の総量
、0.01~1.0質量%であり、Znの総量が0.4~2.6質量%
あり、他に不可避に混入する不純物を含む
とにより構成されるマグネシウム合金から
り、XRD法(シュルツの反射法)による測定で
(0002)面集合組織の板幅方向に極を有するこ
を特徴とする易成形性マグネシウム合金板
。
(18)Y及び/又はScの総量が、0.5質量%以下である
、前記(17)に記載の易成形性マグネシウム合
板材の製造方法。
(19)軽希土類元素の総量が、0.01~0.7質量%であ
、前記(17)又は(18)に記載の易成形性マグネシ
ウム合金板材。
(20)軽希土類元素として、軽希土類元素を主
分とする希土類元素混合物(ミッシュメタル:
Mm)を使用したことを特徴とする、前記(17)又
(18)に記載の易成形性マグネシウム合金板材
(21)軽希土類元素に代わるCa、及びZnを含み、C
aの総量が0.01~0.6質量%であり、Znの総量が、0.4
~2.6質量%であり、他に不可避に混入する不純
を含むことにより構成されるマグネシウム
金をからなり、XRD法(シュルツの反射法)に
る測定で、(0002)面集合組織の板幅方向に極
有することを特徴とする易成形性マグネシ
ム合金板材。
(22)Caの総量が、0.01~0.3質量%である、前記(21)
記載の易成形性マグネシウム合金板材。
(23)更に、総量が0.01~2.0質量%であるAlが添加さ
れている、前記(21)又は(22)に記載の易成形性
グネシウム合金板材。
(24)更に、総量が0.01~0.8質量%であるMn及び/又
Zrが添加されている、前記(17)又は(21)に記載
易成形性マグネシウム合金板材の製造方法
(25)Mn及び/又はZrの総量が、0.01~0.5質量%である
、前記(24)に記載の易成形性マグネシウム合
板材の製造方法。
(26)常温(30℃)で、エリクセン値が少なくとも8
.0以上である、前記(17)又は(21)に記載の易成
性マグネシウム合金板材。
(27)前記(16)~(26)のいずれかに記載の易成形性
グネシウム合金板材の成形体からなること
特徴とするマグネシウム合金製プレス成形
。
(28)板幅方向に(0002)面の極を有する集合組織
示す、前記(27)に記載のマグネシウム合金製
レス成形体。
(29)前記(27)又は(28)に記載のマグネシウム合金
製プレス成形体からなることを特徴とするマ
グネシウム合金製部材。
次に、本発明について更に詳細に説明する
本発明は、常温(30℃)で、エリクセン値が8.0
以上の優れた成形性を有する易成形性マグネ
シウム合金板材を製造する方法であって、軽
希土類元素(Y、Sc、La、Ce、Pr、Nd、Sm)の1種以
、及びZnを含み、軽希土類元素の総量が0.01~1
.0質量%、好ましくは0.01~0.7質量%の範囲であり
、Znの総量が0.4~2.6質量%の範囲であり、適宜
0.01~0.8質量%、好ましくは0.01~0.5質量%の範囲
Mn及び/又はZrを含むものであり、他に不可避
に混入する不純物を含むことにより構成され
るマグネシウム合金を、適当な条件で熱間・
温間圧延し、適当な条件で熱処理に供するこ
とを特徴とするものである。本発明において
、エリクセン値が8.0以上とは、エリクセン値
が少なくても8.0の値であることを意味する。
また、本発明は、常温(30℃)で、エリクセ ン値が8.0以上の優れた成形性を有する易成形 性マグネシウム合金板材を製造する方法であ って、Ca、及びZnを含み、Caの総量が0.01~0.6質 %、好ましくは0.01~0.3質量%の範囲、Znの総量 0.4~2.6質量%の範囲であり、必要に応じて、Mn 及び/又はZrを0.01~0.8質量%、好ましくは0.01~0.5 量%の範囲、Alを0.01~2.0質量%の範囲含み、他 不可避に混入する不純物を含むことにより 成されるマグネシウム合金を、適当な条件 熱間・温間圧延し、適当な条件で焼鈍する とを特徴とするものである。
また、本発明は、上記製造方法で作製し 易成形性マグネシウム合金板材であって、 希土類元素(Y、Sc、La、Ce、Pr、Nd、Sm)の1種以 上、及びZnを含み、軽希土類元素の総量が0.01 ~1.0質量%、好ましくは0.01~0.7質量%の範囲であ 、Znの総量が0.4~2.6質量%の範囲であり、適宜 、0.01~0.8質量%、好ましくは0.01~0.5質量%の範囲 のMn及び/又はZrを含むものであり、他に不可 に混入する不純物を含むことにより構成さ るマグネシウム合金からなり、XRD法(シュル ツの反射法)による測定で、(0002)面集合組織 板幅方向に極を有し、常温(30℃)で、エリク ン値が少なくとも8.0の成形性を示すことを 徴とするものである。
また、本発明は、上記製造方法で作製し 易成形性マグネシウム合金板材であって、C a、及びZnを含み、Caの総量が0.01~0.6質量%、好 しくは0.01~0.3質量%の範囲、Znの総量が0.4~2.6 量%の範囲であり、必要に応じて、Mn及び/又 はZrを0.01~0.8質量%、好ましくは0.01~0.5質量%の 囲、Alを0.01~2.0質量%の範囲含み、他に不可 に混入する不純物を含むことにより構成さ るマグネシウム合金板材であり、XRD法(シュ ツの反射法)による測定で、(0002)面集合組織 の板幅方向に極を有し、常温(30℃)で、エリ セン値が少なくとも8.0の成形性を示すこと 特徴とするものである。
また、本発明は、上記製造方法で作製し 易成形性マグネシウム合金板材の成形体で って、板幅方向に(0002)面の極を有する集合 織を示すマグネシウム合金製プレス成形体 及び該マグネシウム合金製プレス成形体か なるマグネシウム合金部材の点に特徴を有 るものである。
本発明者らは、以前の研究において、マ ネシウム合金プレス成形体を、従来のプレ 成形法よりも、低温で作製するための手段 して、マグネシウムに、微量の軽希土類元 (Ce、Y)を添加して、マグネシウムの成形性 向上させることを着想した。マグネシウム の軽希土類元素の添加は、底面すべりと非 面すべりのCRSSの差を低減させ、結果として 圧延材の塑性異方性を低減し、圧延材に優 た成形性をもたらした。しかしながら、こ らの合金のエリクセン値は、せいぜい4~5程 であり、アルミニウム合金と比較して、低 ものであった。
そこで、本発明者らは、上記マグネシウ 合金の成形性を更に改善する手段として、Z nを適当量添加し、更に、当該合金を、適当 条件で熱間・温間圧延することを着想し、 細かつ系統的な実験を試みた。その結果の つとして、図1~4に、後記する実施例で用い Mg-1.5質量%Zn-0.2質量%Ce合金圧延材の(0002)面集 組織を示す。
390℃で圧延した試料には、焼鈍の有無に かわらず、商用マグネシウム合金圧延材(AZ3 1B圧延材等)に特有の集合組織が現れた。すな わち、ND方向(垂直方向)からRD方向(圧延方向) 、約30°回転した付近に、(0002)面の極が現れ 、RD方向に、(0002)面が傾いた分布を示した。
それに対して、450℃で圧延し、更に、350 (90分)で焼鈍した試料の集合組織には、ND方 からTD方向(板幅方向)に約30°回転した付近 、(0002)面の極が現れ、RD方向よりもTD方向に (0002)面が傾いた分布を示した。TD方向に広 りを持った集合組織を示すMg-1.5質量%Zn-0.2質 %Ce合金圧延材(450℃圧延材)は、商用マグネ ウム合金よりも、ランダムな集合組織を有 るため、成形性は、著しく向上した。
軽希土類元素と亜鉛を添加したマグネシ ム合金を、熱間圧延すると、商用マグネシ ム合金とは全く異なる集合組織が現れる原 の一つとして、c/a比の変化が挙げられる。 1~4のうち、450℃圧延材の焼鈍後の集合組織 、Mg-Li合金の(0002)面集合組織と酷似してい [文献:H.Takuda et al.:Mater.Sci.Eng.A Vol.271(1999)251 -256]。
Mg-18at%Li合金のc/a比(常温)は、1.6086であり 純Mg(1.6236)よりも著しく低い値を取る(非特 文献1)。それゆえに、軽希土類元素類とZnの 加が、マグネシウム合金のc/a比に影響を及 し、結果として、図1~4に示す集合組織が発 すると考えることができる。
結果的に、本発明者らは、マグネシウム 、規定量の軽希土類元素(Y、Sc、La、Ce、Pr、 Nd、Sm)の1種以上、Zn、及び必要により、Mn、Zr を添加した合金を、適当な条件で熱間・温間 圧延し、更に、適当な熱処理に供することに より、板材の(0002)面集合組織に板幅方向に極 を発現させ、常温(30℃)で、アルミニウム合 に準ずる、もしくは匹敵する成形性及び延 を有する易成形性マグネシウム合金板材及 その加工材を作製することに成功した。
すなわち、本発明者らは、具体的には、L iを利用せずに、常温(30℃)で、アルミニウム 金に準ずる、もしくは匹敵する、優れた成 性、すなわち、エリクセン値が8.0以上の成 性を有する易成形性マグネシウム合金板材 作製することに成功した。
本発明者らは、更なる詳細かつ系統的な 験を試みた結果、規定量のCa、Zn、及び必要 により、Al、Mn、Zrを添加した合金を、適当な 条件で熱間・温間圧延し、更に、適当な条件 で熱処理を行うことにより、希土類元素を添 加した合金とほぼ同じ集合組織が形成され、 優れた常温成形性が発現することを発見した 。
その結果の一つとして、図8に、後記する 実施例で用いるMg-1.5質量%Zn-0.08質量%Ca合金圧 材の(0002)面集合組織を示す。本試料は、厚 5mmの試料を、試料温度450℃で、1mmまで圧延 、350℃(90分)の熱処理に供した試料の結果で ある。
Mg-1.5質量%Zn-0.08質量%Ca合金圧延材の集合 織には、ND方向からTD方向(板幅方向)に約30° 転した付近に、(0002)面の極が現れ、RD方向 りもTD方向に、(0002)面が傾いた分布を示した 。TD方向の広がりを持った集合組織を示すMg-1 .5質量%Zn-0.08質量%Ca合金圧延材は、商用マグ シウム合金よりもランダムな集合組織を有 るため、成形性は、著しく向上した。
その結果、本発明者らは、マグネシウム 、規定量のCa、Zn、及び必要により、Mn、Zr,A lを添加した合金を、適当な条件で熱間・温 圧延し、更に、適当な条件で熱処理を行う とにより、板材の(0002)面集合組織に、板幅 向に極を発現させ、常温(30℃)で、アルミニ ム合金に匹敵する成形性及び延性を有する グネシウム合金板材を作製することに成功 た。
すなわち、本発明者らは、具体的には、L iや軽希土類元素を利用せずに、常温(30℃)で アルミニウム合金に匹敵する易成形性、す わち、エリクセン値が8.0以上の成形性を有 るマグネシウム合金板材を作製することに 功した。
次に、本発明を発現させるために必要な 金組成について詳細に説明する。はじめに 軽希土類元素(Y、Sc、La、Ce、Pr、Nd、Sm)の1種 以上を添加したマグネシウム合金の合金組成 について説明する。本発明において、軽希土 類元素の1種以上とは、上記元素の1種又は2種 以上であることを意味する。
Ce、La、Nd、Pr、Smは、マグネシウムに常温 で殆ど固溶せず[文献:L.L.Rokhlin:“Magnesium Alloy s Containing Rare Earth Metals”,(Taylor & Franci s,London,2003)pp.18-67]、固溶硬化の影響は少ない
一方、Ce、La、Nd、Pr、Smの1種以上を1.0質 %以上添加すると、軽希土類元素が析出し、 形性・延性を低下させるため、本発明では Ce、La、Nd、Pr、Smの1種以上の添加量は、1.0 量%以下、好ましくは0.7質量%以下に設定すべ きである。
Y、Scは、マグネシウムに、常温で2質量% 上固溶する[文献:L.L.Rokhkin:“Magneium Alloys Con taining Rare Earth Metals”,(Taylor & Francis,Lond on,2003)pp.18-67]。しかし、Y及び/又はScを、0.5質 量%よりも多く添加すると、固溶硬化の影響 強くなり、成形性及び延性に悪影響を及ぼ 。それゆえに、本発明では、Y及び/又はScの 加量は、0.5質量%以下に設定すべきである。
なお、軽希土類元素単体と比較して、入 が容易であるミッシュメタル(Mm:軽希土類元 素を主成分とする希土類元素群)を代用品と て利用しても、同様の効果が発現すること 実験により確認している。本発明では、該 ッシュメタル(Mm)を、「La、Ce、Pr、Nd、Sm、Y Scのいずれかを主成分とする希土類元素群」 として、それらと同等のものとして取り扱う こととする。
前述の通り、Ce、La、Nd、Pr、Smは、常温で 、Mgに固溶せず、その1種以上を1.0質量%以上 加すると、析出物として、素材の成形性に 影響を及ぼす。一方、Y、Scは、常温で、Mgに 固溶するが、その1種以上を0.5質量%以上添加 ると、固溶硬化の影響が無視できず、素材 成形性に悪影響を及ぼす。なお、それぞれ 添加元素が素材の成形性に及ぼす因子は、 立しており、軽希土類元素群を合わせて、 加することができる。
Znは、マグネシウムに、常温で、2~3質量% 溶する[文献:Binary alloy phase diagrams,T.B.Massal ski(ed.)(American Society for Metals,Metals Park,Ohio,19 86),pp.2571-2572]。
3質量%程度のZnを添加すると、析出物が形 成され、成形性・延性が低下するため、添加 量は、2.6質量%以下と設定すべきである。ま 、Zn添加の影響を顕在化させるためには、0.4 質量%以上の添加が必要である。
Mn、Zrの添加は、マグネシウム合金板材の 結晶粒径を微細にするため、材料強化に有効 である。一方、Mn、Zrを一定以上添加すると 粗大なMn、Zr相、もしくはMn、Zr基金属間化合 物相が内部に形成され、材料の成形性及び延 性が劣化する。それゆえに、本発明では、Mn Zrの添加量は、0.01~0.8質量%、より好ましく 0.01~0.5質量%に設定することが好ましい。
次に、軽希土類元素の代わりに、Caを添 したマグネシウム合金の合金組成について 明する。Caは、マグネシウムに、常温で、殆 ど固溶せず[文献:Binary alloy phase diagrams,T.B.Ma ssalski(ed.)(American Society for Metals,Metals Park,Ohi o,1986),pp.925-928]、固溶硬化の影響は少ない。
一方、0.6質量%以上(あるいは0.3質量%以上)の Caを添加すると、金属間化合物のMg 2 Ca等が析出し、圧延性、成形性、延性を低下 せるため、Caの添加量は、0.6質量%以下、好 しくは0.3質量%以下と設定すべきである。ま た、Ca添加の影響を顕在化させるためには、0 .01質量%以上の添加が必要である。
Znは、マグネシウムに、常温で、2~3質量% 溶する[文献:Binary alloy phase diagrams,T.B.Massal ski(ed.)(American Society for Metals,Metals Park,Ohio,19 86),pp.2571-2572]。
3質量%程度のZnを添加すると、析出物が形 成され、成形性・延性が低下するため、Znの 加量は、2.6質量%以下と設定すべきである。 また、Zn添加の影響を顕在化させるためには 0.4質量%以上の添加が必要である。
Mn、Zrの添加は、マグネシウム合金板材の 結晶粒径を微細にするため、材料強化に有効 である。一方、Mn、Zrを一定以上添加すると 粗大なMn、Zr相、もしくはMn、Zr基金属間化合 物相が内部に形成され、材料の成形性及び延 性が劣化する。それゆえに、本発明では、Mn, Zrの添加量は、0.01~0.8質量%、より好ましくは0 .01~0.5質量%に設定することが好ましい。
Alは、マグネシウムに、常温で、1~2質量% 溶し[文献:Binary alloy phase diagrams,T.B.Massalski (ed.)(American Society for Metals,Metals Park,Ohio,1986) ,pp.169-171]、固溶強化を手段とした材料強化に 有効である。
しかし、Alを一定以上添加すると、Ca、Zn 加の効果が無くなり、板材の(0002)面集合組 に、板幅方向の極が発現しなくなるため、A lの添加量は、2.0質量%以下と設定すべきであ 。なお、軽希土類元素を添加した合金にAl 添加すると、Al-RE(希土類元素)系金属間化合 が形成し、常温成形性が劣化する。そのた 、軽希土類元素を添加した合金へのAlの添 は、避けるべきである。
次に、上記組成により構成されるマグネ ウム合金の圧延条件及び焼鈍条件について 明する。上記組成により構成されるマグネ ウム合金板材の成形性を向上させるために 、試料を、熱間・温間圧延等の熱間・温間 工に供し、更に、焼鈍を行うことにより、 幅方向に(0002)面の極が現れる集合組織を作 込む必要がある。板幅方向に(0002)面の極が れる集合組織を作り込むために必要とされ 加工条件は、添加する元素(軽希土類元素、 Ca)の種類により異なる。
図1~4に示す通り、Mg-Zn-Ce系合金において 、試料を、高温(450℃程度)に加熱した上で、 熱間・温間圧延を行い、更に、焼鈍を行うと 、板幅方向に(0002)面の極が現れる集合組織が 発現する。一方、試料温度390℃で、圧延を実 施すると、焼鈍を行っても、板幅方向に(0002) 面の極は現れず、成形性は、改善されない。 なお、この現象は、Mg-Zn-La系合金においても 認されている(後記する、実施例17、比較例6 を参照)。
このように、Mg-Zn-Ce系合金及びMg-Zn-La系合 金の(0002)面集合組織に、板幅方向の極を発現 させるためには、400℃以上の試料温度で、熱 間・温間加工を行う必要がある。なお、Mg-Zn- Ce系合金及びMg-Zn-La系合金に好適な試料温度 、ロール加熱機構の有無により若干異なる ロールに、加熱機構があり、ロール表面を 200℃程度に加熱できる場合は、圧延時の試 温度を、低く設定することができる。具体 には、試料温度を400~430℃程度に設定すると い。
ロールに、加熱機構が無く、ロール表面 度が、常温~100℃である場合は、圧延前の試 料温度を430~480℃程度に設定する必要がある なお、圧延前の試料温度を、500℃以上に設 すると、加熱時に、結晶粒の異常粒成長が こり、圧延後の試料組織が不均一となるた 、避けるべきである。
一方、他の軽希土類元素(Y、Sc、Nd、Pr、Sm )の1種以上を添加したマグネシウム合金の(000 2)面集合組織には、比較的低温(400℃未満)で 温間加工を行っても、板幅方向に(0002)面の が現れる。また、軽希土類元素の代わりに Caを添加したマグネシウム合金に関しても、 比較的低温(400℃未満)で、温間加工を行って 、板幅方向に(0002)面の極が現れる。
そのため、Ce、La以外の軽希土類元素を主 に添加したマグネシウム合金、及び、Caを添 したマグネシウム合金に関しては、圧延温 の制約は無く、熱間・温間圧延を実施する とにより、成形性の改善に資する集合組織 作り込むことができる。
上記組成により構成されるマグネシウム 金板材の(0002)面集合組織に、板幅方向の極 発現させるためには、一定以上の加工を行 、十分な歪みエネルギーを試料に投入する 要がある。図5~8に、後記するMg-1.5質量%Zn-0.0 8質量%Ca合金圧延材の(0002)面集合組織を示す
本試料は、厚み5mmの試料を、試料温度450 もしくは350℃で、厚み4mm(圧下率20%)もしく 1mm(圧下率80%)まで圧延し、350℃(90分)の熱処 に供した試料の結果である。圧下率20%の圧 を行った試料の(0002)面集合組織には、試料 度に関係無く、板幅方向に明確な極は現れ い。
一方、圧下率の高い圧延(圧下率80%)を行 た試料には、板幅方向に明確な極が発現す 。このように、集合組織を改質するために 、少なくとも圧下率30%以上の圧延、より好 しくは50%以上の圧延を行い、試料に十分な みエネルギーを投入する必要がある。
上記組成により構成されるマグネシウム 金板材の(0002)面集合組織に、板幅方向の極 発現させるためには、上記条件で熱間・温 圧延を行った試料に、適当な条件の熱処理 行うことが不可欠である。図9~14に、後記す るMg-1.5質量%Zn-0.08質量%Ca合金圧延材の熱処理 後の(0002)面集合組織を示す。図9~14に示す通 り、焼鈍前の試料には、圧延温度(390℃及び45 0℃)に関係なく、板幅方向に、(0002)面の極は れない。
また、低温(250℃)で焼鈍を行っても、板 方向に、(0002)面の極は現れない。すなわち 適当な条件、260℃、10分以上、好ましくは300 ℃以上、10分以上で焼鈍を行い、粒界の新し 配列を伴う再結晶を起こさないと、板幅方 に、(0002)面の極は現れず、優れた常温成形 は発現しない。しかし、450℃を越える温度 3時間以上の焼鈍を行うと、焼鈍中に異常粒 成長が起こり、常温成形性は劣化する。その ため、焼鈍条件は、450℃以下、3時間未満に 定すべきである。
なお、粒界の新しい配列を伴う再結晶と 、焼鈍中に新たな大傾角粒界の発生を伴う 結晶を指し、大傾角粒界の発生を伴わない 結晶(いわゆる回復)とは区別される。一般 に、大傾角粒界の発生を伴う再結晶は、加 した金属を融点の約1/2以上の温度に加熱す と発現する。マグネシウムの融点は、650℃ あるので、焼鈍中の粒成長を抑制しつつ、 界の新しい配列を伴う再結晶を起こすため は、300℃~400℃で、焼鈍を行うことが最も好 しい。
上記本発明の要素を駆使して作製された グネシウム合金板材は、常温(30℃)で、アル ミニウム合金に匹敵する常温成形性、すなわ ち、エリクセン値が8.0以上の成形性を示す。 ここでは、マグネシウム合金板材の成形性を 表す指標として、エリクセン値を採用した。 また、エリクセン試験は、JIS B7729及びJIS Z22 74に準ずる試験を指す。
本発明により、次のような効果が奏される
(1)マグネシウムに、規定量の軽希土類元素、
Zn、及び必要によりMn、Zrを添加した合金を、
熱間・温間圧延に供し、更に、適当な熱処理
に供することにより、易成形性マグネシウム
合金板材を作製することができる。
(2)マグネシウムに、規定量のCa、Zn、及び必
によりAl、Mn、Zrを添加した合金を、適当な
件で熱間・温間圧延に供し、更に、適当な
件で熱処理に供することにより、易成形性
グネシウム合金板材を作製することができ
。
(3)得られた板材の(0002)面集合組織には、板幅
方向に極が現れ、Liを利用せずに、常温(30℃)
で、アルミニウム合金に準ずる、もしくは匹
敵する優れた成形性(常温でエリクセン値が8.
0以上)が付与される。
(4)上記易成形性マグネシウム合金板材を成形
してなるマグネシウム合金製プレス成形体を
作製し、提供することができる。
(5)上記マグネシウム合金製プレス成形体から
なる筐体等のマグネシウム合金製部材を作製
し、提供することができる。
次に、本発明を実施例に基づいて具体的 説明するが、本発明は、これらの実施例に って何ら限定されるものではない。
実施例1~39及び比較例1~14
(1)軽希土類元素を含むマグネシウム合金板材
の製造
高周波炉を用いて、純マグネシウムインゴ
トを溶解した後、軽希土類元素(Y、Sc、La、C
e、Pr、Nd、Sm)、ミッシュメタル(Mm)、Zn、Mn、Zr
を適宜添加することにより、Mg合金を作製し
。利用したMmの組成を表1に示す。
また、後記する表2に、Mg合金材料の組成を す。上記マグネシウム合金(50×30×50mm 3 )を、熱間押出し(押出し温度673K、押出し速度 3mm/min、押出し比6)に供し、押出し板材(断面 :50×5mm 2 )を作製した。この押出し板材より、60mm×50mm 5mmの試験片を切出し、それらの試験片を圧 に供した。
圧延時の試料温度は、350℃~450℃とし、圧 延速度を5m/min、1パス毎の圧下率を15~20%に設 し、厚み5mmの試料を1mmまで圧延した。最後 、圧延材を、350℃で、90分の熱処理に供し、 マグネシウム合金板材を製造した。ロール直 径は、152mmであり、ロール温度は、80℃とし 。ロールと試料の潤滑剤として、エステル 熱間圧延用潤滑剤を用いた。
比較材として、商用マグネシウム合金(AZ3 1B:Mg-3mass%Al-1mass%Zn-0.5mass%Mn)の圧延材を作製し 。市販の押出し材より、60mm×50mm×5mmの試験 を切り出して、圧延を行った。圧延条件は 他の試験片と同じとした。
(2)Caを含むマグネシウム合金板材の製造
高周波炉を用いて、純マグネシウムを溶解
、所定量のCa、Zn、Al、Mn、Zrを添加すること
により、Mg合金を作製した。後記する表3に、
Mg合金材料の組成を示す。上記Mg合金(50×30×50
mm 3
)を、熱間押出し(押出し温度673K、押出し速度
3mm/min、押出し比6)に供し、押出し板材(断面
:50×5mm 2
)を作製した。
押出し板材より、60mm×50mm×5mmの試験片を 出し、それらの試験片を、圧延に供した。 延時の試料温度は、350℃~450℃とし、圧延速 度を5m/minで、厚み5mmの試料を、4mmもしくは1mm まで圧延した。1パス毎の圧下率を15~20%に設 した。最後に、圧延材を、250℃もしくは350 で、90分の焼鈍に供した。ロール直径は、152 mmであり、ロール温度は、80℃以上とした。
(3)マグネシウム合金板材の特性評価
上記マグネシウム合金板材の成形性を評価
るために、エリクセン試験を実施した。エ
クセン試験は、JIS B7729及びJIS Z2247に準拠
た。なお、ブランク形状は、板材形状の都
上、φ60mm(厚み1mm)とした。成形速度は、5mm/mi
nとし、しわ押さえ力は、10kNとした。潤滑剤
は、グラファイトグリスを利用した。
上記マグネシウム合金板材の(0002)面集合 織を、XRD法(シュルツの反射法)により測定 、(0002)面のTD方向への極の有無を調査した。 測定に際しては、圧延材より、20mm×20mm×1mmの 板材を切り出し、厚み0.5mmまで面削した上で #4000のSiC研磨紙で表面研磨を実施した試料 利用した。
表2に、軽希土類元素を添加したマグネシ ウム合金板材のエリクセン試験及び集合組織 測定の結果であるエリクセン値及びTD方向の の有無について、まとめて示す。試験番号4 ~7、10~25、27~32は、実施例、試料番号1~3、8、9 26は、比較例である。試料番号3~8(比較例3、 4、実施例1~4)までは、Ce量を0.2質量%と固定し Zn量を変化させた際の結果である。
Znを規定値(0.1質量%~3.0質量%)に設定し、圧 延温度を450℃に設定すると、集合組織にTD方 の極が現れ、エリクセン値は、8.0以上の値 示した。表2の結果より、Mg-Zn-Ce合金の成形 は、AZ31B(試験番号1、2:比較例1、2)と比較し 、著しく優れていることが分かる。
表2中の試験番号6、9(実施例3、比較例5)は 、Znを1.5質量%とし、Ceを0.2質量%とした合金を 、450℃又は390℃で圧延した試料のエリクセン 試験結果である。Mg-Zn-Ce合金に関しては、圧 温度を450℃に設定すると、(0002)面集合組織 TD方向の極が現れ、エリクセン値8.0以上の 形性が発現した。
表2中の試験番号10(実施例5)は、Znを1.5質 %とし、Ceを0.5質量%とした合金を、450℃で圧 した試料のエリクセン試験結果である。Ce 加量を規定量内で変化させても、エリクセ 値8.0以上の成形性が発現した。
表2中の試験番号11、12(実施例6、7)は、Mg-1 .5質量%Zn-0.2質量%Ceに、0.1質量%Mnもしくは0.3質 量%Zrを添加した板材のエリクセン試験結果で ある。Mn及びZrを添加しても、集合組織は、 質され、高い成形性が確保されることが分 る。
表2中の試験番号13~16(実施例8~11)は、Znを1. 5質量%添加し、Yを0.2~0.4質量%添加した合金を 試料温度350℃~450℃で圧延した試料のエリク セン試験結果である。CeをYに代替しても、ま た、いずれの圧延温度においても、集合組織 は、改質され、板材は、8.0以上のエリクセン 値を示すことが分かる。
表2中の試験番号17~19(実施例12~14)は、Znを1 .5質量%添加し、Scを0.1~0.3質量%添加した合金 、試料温度390℃で圧延した試料のエリクセ 試験結果である。YをScに代替しても、集合 織は、改質され、板材は、8.0以上のエリク ン値を示すことが分かる。
表2中の試験番号20、21(実施例15、16)は、Zn を1.5質量%添加し、Y又はScを0.2質量%添加し、C eを0.2質量%添加した合金を、試料温度390℃で 延した試料のエリクセン試験結果である。C eとY、又はCeとScを合わせて添加しても、集合 組織は、改質され、板材は、8.0以上のエリク セン値を示すことが分かる。
表2中の試験番号22~25(実施例17~20)は、Znを1 .5質量%とし、La、Pr、Nd、Smを0.2質量%添加した 合金を、試料温度450℃圧延した試料のエリク セン試験結果である。すべての試料のエリク セン値は、8.0以上の値を示すことが分かる。
表2中の試験番号26~29(実施例21~23、比較例6 )は、Znを1.5質量%とし、La、Pr、Nd、Smを0.2質量 %添加した合金を、試料温度390℃圧延した試 のエリクセン試験結果である。Pr、Nd、Smを 加した試料は、エリクセン値8.0以上の値を す。一方、Laを添加した試料のエリクセン値 は、8.0未満である。
表2中の試験番号30~32(実施例24~26)は、Znを1 .0~1.5質量%とし、Mmを0.2~0.5質量%添加した合金 エリクセン試験結果である。軽希土類元素 混合物を利用しても、エリクセン値8.0以上 成形性を示す。
表3に、Caを添加したマグネシウム合金板 のエリクセン試験及びTD方向の極について まとめて示す。試料番号33,47~53は、比較例、 試料番号34~46は、実施例である。試料番号33~ 料番号36までは、Zn量を1.5質量%と固定し、Ca 量を変化させ、試料温度450℃で1mmまで圧延し 、350℃(90分)で熱処理に供した際の結果であ 。
Ca量を、適正な値に設定すると、集合組 にTD方向の極が現れ、エリクセン値は、8.0以 上の値を示した。表3の結果より、Mg-Zn-Ca系合 金の成形性は、Mg-Zn系合金(試料番号33)と比較 して、著しく優れていることが分かる。
表3中の試験番号35、37、38は、Ca量を0.08質 量%とし、Zn量を変化させ、試料温度450℃で1mm まで圧延し、350℃(90分)で熱処理に供した際 結果である。Znを既定値に設定することによ り、集合組織にTD方向の極が現れ、エリクセ 値は、8.0以上の値を示した。
表3中の試験番号39~42は、Ca量を0.08質量%、 Zn量を1.5質量%とし、Mn、Zr、Alを添加した合金 を、試料温度450℃で1mmまで圧延し、350℃(90分 )で熱処理に供した際の結果である。Zr、Mn、A lを添加しても、集合組織にTD方向の極が現れ 、エリクセン値は、8.0以上の値を示した。
表3中の試験番号43~46は、Zn量を1.5質量%と 、Ca量を0.04質量%~0.12質量%とし、試料温度350 ℃もしくは390℃で1mmまで圧延し、350℃(90分) 熱処理に供した際の結果である。マグネシ ム合金の組成を既定値に設定すると、圧延 度にかかわらず、集合組織にTD方向の極が現 れ、エリクセン値は8.0以上の値を示した。
表3中の試験番号47、48は、Zn量を1.5質量% し、Ca量を0.08質量%とし、試料温度350℃もし は450℃で4mmまで圧延し、350℃(90分)で熱処理 に供した際の結果である。規定された値より も低い圧下率の圧延を行うと、熱処理を行っ ても、集合組織にTD方向の極は現れない。
表3中の試験番号49~53は、Zn量を1.5質量%と 、Ca量を0.08質量%とし、試料温度350℃~450℃ 1mmまで圧延した試料の結果である。熱処理 行わない試料(試験番号50、52)の集合組織に 、TD方向の極が現れなかった。
また、250℃(90分)の熱処理に供した試料( 験番号51、53)の集合組織にも、TD方向の極は れず、エリクセン値は、8.0未満である。す わち、マグネシウム合金の組成を既定値に 定しても、適当な条件で熱処理を行わない 、集合組織は、改質されず、アルミニウム 金並の成形性が発現しないことが示された
図1~4に、実施例で利用したMg-1.5質量%-0.2 量%Ce合金圧延材の(0002)面集合組織を示す。 れは、所定の試料温度で、厚さ5mmから1mmま 圧延を実施し、更に、350℃で90分の焼鈍に供 した試料の集合組織を表すものである。
これらの図中、図1は、試料温度390℃で圧 延を実施した試料の焼鈍前の集合組織を表し 、図2は、試料温度390℃で圧延を実施した試 の焼鈍後の集合組織を表し、図3は、試料温 450℃で圧延を実施した試料の焼鈍前の集合 織を表し、図4は、試料温度450℃で圧延を実 施した試料の焼鈍後の集合組織を表す。なお 、図2は、試験番号9の試料の集合組織を示し 図4は、試験番号6の試料の集合組織を示す
図5~8に、実施例で利用した、異なる圧下 で圧延を行った、Mg-1.5質量%Zn-0.08質量%Ca合 圧延材の、(0002)面集合組織を示す。これは 試料温度350℃又は450℃で、厚さ5mmから4mmま 、もしくは厚さ5mmから1mmまで圧延を実施し 更に、350℃で90分の焼鈍に供した試料の集合 組織を表すものである。
これらの図中、図5は、350℃で4mmまで圧延 した試料の集合組織を(試験番号47)、図6は、3 50℃で1mmまで圧延した試料の集合組織を(試験 番号43)、図7は、450℃で4mmまで圧延した試料 集合組織を(試験番号48)、図8は、450℃で1mmま で圧延した試料の集合組織を示す(試験番号35 )。
図9~14に、実施例で利用したMg-1.5質量%Zn-0. 08質量%Ca合金圧延材の熱処理前後の、(0002)面 合組織を示す。これは、試料温度390℃又は4 50℃で、厚さ5mmから1mmまで圧延を実施し、更 、一部の試料について、250℃又は350℃で90 の焼鈍に供した試料の集合組織を表すもの ある。
これらの図中、図9は、390℃で圧延した熱 処理前の試料の集合組織を(試験番号50)、図10 は、390℃で圧延した試料を250℃(90分)の熱処 に供した試料の集合組織を(試験番号51)、図1 1は、390℃で圧延した試料を350℃(90分)の熱処 に供した試料の集合組織を(試験番号45)示す 。
更に、図12は、450℃で圧延した熱処理前 試料の集合組織を(試験番号52)、図13は、450 で圧延した試料を250℃(90分)の熱処理に供し 試料の集合組織を(試験番号53)、図14は、450 で圧延した試料を350℃(90分)の熱処理に供し た試料の集合組織を(試験番号35)、示す。
以上詳述したように、本発明は、易成形 マグネシウム合金板材及びその製造方法に わるものであり、マグネシウムに特定量の 希土類元素類(Y、Sc、La、Ce、Pr、Nd、Sm)の1種 以上、Zn、及び必要によりMn、Zrを添加した合 金を、熱間・温間圧延に供し、更に、適当な 熱処理に供することにより、Liを利用せずに 易成形性マグネシウム合金板材を作製する とができる。
また、本発明は、マグネシウムに特定量 Ca、Zn、及び必要によりAl、Mn、Zrを添加した 合金を、熱間・温間圧延に供し、更に、適当 な熱処理に供することにより、Liを利用せず 、易成形性マグネシウム合金板材を作製す ことができる。作製されたマグネシウム合 板材の(0002)面集合組織には、板幅方向に(000 2)面の極が現れ、集合組織の改質により、常 (30℃)で、アルミニウム合金に準ずる、もし くは匹敵する優れた成形性が発現する。
本発明は、デジタルカメラ、ノートパソ ン、PDA等、主に家電製品のプレス成形体を 心として積極的に適用することが可能な易 形性マグネシウム合金板材、そのプレス成 体及び筐体等の部材を提供するものとして 用である。