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Patent Searching and Data


Title:
ELASTIC SURFACE WAVE DEVICE, AND MANUFACTURING METHOD THEREFOR
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/150786
Kind Code:
A1
Abstract:
Provided are an elastic surface wave device, which can be reduced in size and which can be enhanced in power resistance and hardly has a protrusion such as a hillock in the comb-like electrode of an IDT, and a method for manufacturing the device.  In the elastic surface wave device (1), first wires (11, 12, 17 and 18) and second wires (13, 14 and 16) to be connected with a potential different from that of the first wires are formed over a piezoelectric substrate (2), the first and second wires are separated in grade through an insulating layer (20) made of a thermosetting resin, and the comb-like electrode constituting IDTs (6a - 6c and 7a - 7c) is made of the film in which a symmetric spot appears six times in an XRD polar diagram, and the film is comprised of an Al film or an Al-Cu alloy film to which Cu is added within a range of a solid solution limit or less at 25 ºC.

Inventors:
FUKUDA SHINICHI (JP)
Application Number:
PCT/JP2009/002142
Publication Date:
December 17, 2009
Filing Date:
May 15, 2009
Export Citation:
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Assignee:
MURATA MANUFACTURING CO (JP)
FUKUDA SHINICHI (JP)
International Classes:
H03H9/145; H01L41/09; H01L41/18; H03H3/08; H03H9/25; H03H9/64
Domestic Patent References:
WO2000024123A12000-04-27
WO1997011526A11997-03-27
Foreign References:
JP2005223809A2005-08-18
JP2003258594A2003-09-12
JPH0314305A1991-01-23
JP2002305425A2002-10-18
Attorney, Agent or Firm:
MIYAZAKI, CHIKARA (JP)
Chikara Miyazaki (JP)
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Claims:
 圧電基板と、
 前記圧電基板上に形成されており、互いに間挿し合う複数本の電極指を有する一対のくし型電極からなるIDTと、前記圧電基板上に形成されており、前記IDTに電気的に接続されており、かつ互いに異なる電位を有する第1,第2の配線と、
 前記圧電基板上に形成されており、前記第1の配線と前記第2の配線とが立体交差する部分において、第1,第2の配線間に配置されており、かつ熱硬化性樹脂からなる絶縁層とを備える弾性表面波装置であって、
 前記IDTを構成しているくし型電極が、XRD極点図において6回対称スポットが現れる膜であって、かつAl膜または25℃における固溶限界以下の範囲でCuが添加されているAl-Cu合金膜であることを特徴とする、弾性表面波装置。
 前記絶縁層が、熱硬化性ポリイミドからなる、請求項1に記載の弾性表面波装置。
 前記絶縁層を構成している熱硬化性樹脂の硬化温度が305℃以上、350℃以下である、請求項1に記載の弾性表面波装置。
 前記Al-Cu合金膜において、Cu濃度が0重量%より高く、0.2重量%以下の範囲である、請求項1~3のいずれか1項に記載の弾性表面波装置。
 前記圧電基板上に、前記IDTを含む電極構造が形成されており、該電極構造により、縦結合共振子型弾性波フィルタが形成されている、請求項1~4のいずれか1項に記載の弾性表面波装置。
 圧電基板と、
 前記圧電基板上に形成されており、互いに間挿し合う複数本の電極指を有する一対のくし型電極からなるIDTと、前記圧電基板上に形成されており、前記IDTに電気的に接続されており、かつ互いに異なる電位を有する第1,第2の配線と、
 前記圧電基板上に形成されており、前記第1の配線と前記第2の配線とが立体交差する部分において、第1,第2の配線間に配置されており、かつ熱硬化性樹脂からなる絶縁層とを備える弾性表面波装置の製造方法であって、
 前記圧電基板上に前記IDT及び第2の配線を形成する工程と、
 前記第2の配線の前記立体交差部分の上に、前記絶縁層を構成する熱硬化性樹脂を形成する工程と、
 加熱により前記熱硬化性樹脂を熱硬化する工程とを備え、
 前記IDTを構成しているくし型電極が、XRD極点図において6回対称スポットが現れる膜であって、かつAl膜または25℃における固溶限界以下の範囲でCuが添加されているAl-Cu合金膜であることを特徴とする、弾性表面波装置の製造方法。
 前記熱硬化性樹脂の加熱による硬化を、該硬化の熱硬化性樹脂を305℃以上、350℃以下の温度に加熱することにより行う、請求項6に記載の弾性表面波装置の製造方法。
 前記Al-Cu合金膜として、Cu濃度が0重量%より高く、0.2重量%以下であるAl-Cu合金膜を用いる、請求項6または7に記載の弾性表面波装置の製造方法。
Description:
弾性表面波装置及びその製造方

 本発明は、例えば帯域フィルタや共振子 して用いられる弾性表面波装置及びその製 方法に関し、より詳細には圧電基板上に電 が異なる複数の配線パターンが絶縁層を介 て立体交差されている構造を備える弾性表 波装置及びその製造方法に関する。

 従来、帯域フィルタや共振子として弾性 面波装置が広く用いられている。弾性表面 装置では、小型化が強く求められているた 、圧電基板上において、電位が異なる複数 配線パターンが絶縁層を介して立体交差さ ている構造が用いられることがある。

 また、弾性表面波装置では、耐電力性の高 ことが求められることもある。下記の特許 献1では、耐電力性に優れた電極を有する弾 性表面波装置が開示されている。図10に示す うに、特許文献1に記載の弾性表面波装置100 1は、LiNbO 3 またはLiTaO 3 の単結晶からなる圧電基板1002を有する。製 に際しては、圧電基板1002の表面の加工変質 を取り除いた後、Ti及びCrの少なくとも一方 を主成分とする下地電極層1003が真空蒸着に り形成される。しかる後、AlまたはAlを主成 とするAl電極層1004が形成される。ここでは Al電極層1004は、XRD極点図において6回対称ス ポットが現れるエピタキシャル膜であり、双 晶構造を有する。そして、Al電極層1004は、Al 晶の(111)面法線方向とは圧電基板1002の結晶 Z軸とが実質的に一致する結晶方位を有する 。ここで特許文献1では、Al電極層1004におけ 結晶粒界が1原子間隔以下であり、この結晶 界を通じてのAlの自己拡散が実質的に起こ ないと記載されている。そして、Alの代わり に、Cuを微量添加したAl-Cu合金を用いてもよ 旨が記載されている。

特開2002-305425号公報

 特許文献1に記載の弾性表面波装置では、 上記双晶構造のAl電極層1004を用いることによ り、耐電力性が高められている。また、この ようなAl電極層において、AlにCuを添加した場 合に、Cu濃度が高くなるほど耐電力性が高め れることが本願発明者により確かめられて る。Cu濃度を、0、0.1%、1%と変えて、弾性表 波装置をそれぞれ作製し、耐電力性試験を 速試験(通常使用時のパワーより強いパワー を印加する)にて行った。その結果を図11に示 した。図11に記載の、MTTFは平均故障時間(h)で ある。パワーはCu濃度が0%の弾性表面波装置 故障したパワーを基準とした相対値である 0.3dBのロス劣化を故障とした。

 図11から明らかなように、Cu濃度が大きく なるに従い、平均故障時間が大きくなって耐 電力性が向上していることが分かる。

 前述したように、弾性表面波装置などに いては、小型化を図るために、異なる電位 接続される配線が、絶縁層を介して立体交 する構造が採用されていることがある。こ ような構造を有する弾性表面波装置におい 、耐電力性をさらに高めるために、AlにCuを 高濃度で添加してなるAl-Cu合金からなり、か XRD極点図において、6回対称スポットが現れ る双晶構造のエピタキシャル膜からなる電極 層を用いた場合、IDT電極にヒロック、すなわ ち突部が生じるという問題が現れた。

 上記XRD極点図により、6回対称スポットが 現れる双晶構造のエピタキシャル膜からなる Al-Cu合金膜ではなく、多結晶構造のAl-Cu合金 用いた場合には、このようなヒロックと称 る現象はみられなかった。しかしながら、 記の通り、耐電力性を高めるために、AlにCu 高濃度に添加されているAl-Cu合金であって かつ双晶構造のエピタキシャル膜として耐 力性を高めた場合には、上記立体交差部を 成するための絶縁層の熱硬化に際し、IDT電 表面に異常な突部、すなわちヒロックが生 がちであった。

 本発明の目的は、上述した従来技術の欠 を解消し、上記立体交差部を有し、小型化 進めることができ、さらに耐電力性を高め ことができ、IDT電極におけるヒロックのよ な異常な突部が生じ難い、弾性表面波装置 びその製造方法を提供することにある。

 本発明に係る弾性表面波装置は、圧電基 と、前記圧電基板上に形成されており、互 に間挿し合う複数本の電極指を有する一対 くし型電極からなるIDTと、前記圧電基板上 形成されており、前記IDTに電気的に接続さ ており、かつ互いに異なる電位を有する第1 ,第2の配線と、前記圧電基板上に形成されて り、前記第1の配線と前記第2の配線とが立 交差する部分において、第1,第2の配線間に 置されており、かつ熱硬化性樹脂からなる 縁層とを備える弾性表面波装置であって、 記IDTを構成しているくし型電極が、XRD極点 において6回対称スポットが現れる膜であっ 、かつAl膜または25℃における固溶限界以下 の範囲でCuが添加されているAl-Cu合金膜であ ことを特徴とする。

 上記絶縁層用材料としては、好ましくは 熱硬化性ポリイミドが用いられ、その場合 は、フォトリソグラフィー法を用いて容易 パターニングすることができる。

 絶縁層を構成している熱硬化性樹脂の硬 温度は、特に限定されないが、本発明のあ 特定の局面では、305℃以上、350℃以下とさ る。その場合には、ポリイミドなどからな 熱硬化性樹脂を確実に硬化させることがで る。

 また、Al-Cu合金膜において、好ましくは Cu濃度は、0より高く、0.2重量%以下の範囲と れ、それによって、弾性表面波装置の耐電 性がより一層高められる。なお、0.2重量%を 超えるとCuの析出によりヒロックが生じがち なる。

 本発明に係る弾性表面波装置におけるIDT 含む電極構造は特に限定されないが、本発 のある限定的な局面では、該電極構造によ 縦結合共振子型弾性波フィルタが形成され いる。従って、本発明に従って、小型化を めることができ、かつ耐電力性に優れた縦 合共振子型弾性波フィルタ装置を提供する とが可能となる。

 本発明に係る製造方法は、圧電基板と、 記圧電基板上に形成されており、互いに間 し合う複数本の電極指を有する一対のくし 電極からなるIDTと、前記圧電基板上に形成 れており、前記IDTに電気的に接続されてお 、かつ互いに異なる電位を有する第1,第2の 線と、前記圧電基板上に形成されており、 記第1の配線と前記第2の配線とが立体交差 る部分において、第1,第2の配線間に配置さ ており、かつ熱硬化性樹脂からなる絶縁層 を備える弾性表面波装置の製造方法である 本発明の製造方法は、前記圧電基板上に前 IDT及び第2の配線を形成する工程と、前記第2 の配線の前記立体交差部分の上に、前記絶縁 層を構成する熱硬化性樹脂を形成する工程と 、加熱により前記熱硬化性樹脂を熱硬化する 工程とを備え、前記IDTを構成しているくし型 電極が、XRD極点図において6回対称スポット 現れる膜であって、かつAl膜または25℃にお る固溶限界以下の範囲でCuが添加されてい Al-Cu合金膜であることを特徴とする。

 本発明に係る弾性表面波装置の製造方法 ある特定の局面では、上記熱硬化性樹脂を 熱により硬化させるに際し、305℃以上、350 以下の温度で加熱する。この場合には、ポ イミドなどからなる熱硬化性樹脂を確実に 化させることができる。

 本発明に係る弾性表面波装置の製造方法 他の特定の局面では、Al-Cu合金膜として、 記Al-Cu合金膜として、Cu濃度が0重量%より高 、0.2重量%以下であるAl-Cu合金膜が用いられ 。

 本発明に係る弾性表面波装置では、IDTを 成しているくし型電極が、XRD極点図におい 6回対称スポットが現れる膜であって、かつ Al膜、または25℃における固溶限界以下の範 でCuが添加されているAl-Cu合金膜であるため 弾性表面波装置の耐電力性を高めることが きる。さらに、異なる電位に接続される配 が絶縁層を介して立体交差しているため、 性表面波装置の小型化を進めることができ 。加えて、上記絶縁層を構成している樹脂 硬化に際し加熱されたとしても、上記Al膜 たはAl-Cu合金膜からなるくし型電極において 、ヒロックが生じ難い。

図1は、本発明の一実施形態に係る弾性 表面波装置の模式的平面図である。 図2は、図1のA-A線に沿う部分を示す部 切欠拡大正面断面図である。 図3(a)は、Cu濃度が0.5重量%であり、熱処 理温度が305℃である場合のヒロック発生状況 を示す電子顕微鏡写真であり、(b)は、Cu濃度 0.5重量%、熱処理温度が275℃である場合のIDT の状態を示す電子顕微鏡写真である。 図4は、Cu濃度が0.2重量%であり、熱処理 温度が305℃である場合のヒロック発生状況を 示す電子顕微鏡写真である。 図5は、Cu濃度が0重量%すなわちAl膜であ り、熱処理温度が305℃である場合のヒロック 発生状況を示す電子顕微鏡写真である。 図6(a)は、Cu濃度が0.5重量%、熱処理温度 が315℃である場合のヒロック発生状況を示す 電子顕微鏡写真であり、(b)は、その要部を拡 大して示す電子顕微鏡写真である。 図7は、Cu濃度が0.2重量%であり、熱処理 温度が315℃である場合のヒロック発生状況を 示す電子顕微鏡写真である。 図8は、Cu濃度が0重量%すなわちAl膜であ り、熱処理温度が315℃である場合のヒロック 発生状況を示す電子顕微鏡写真である。 図9は、XRDスペクトルにおけるAl(200)入 極点図において6回対称スポットが現れてい 状態を示す図である。 図10は、従来の弾性表面波フィルタ装 を説明するための模式図である。 図11は、弾性表面波装置の寿命を測定 るための加速試験結果を示すグラフである

 以下、図面を参照しつつ、本発明の具体 な実施形態を説明することにより、本発明 明らかにする。

 図1は、本発明の一実施形態に係る弾性表 面波装置の模式的平面図であり、図2は、本 施形態の弾性表面波装置における立体交差 を説明するための部分切欠拡大正面断面図 ある。

 図1に示すように、弾性表面波装置1は、圧 基板2を有する。圧電基板2は、本実施形態で は、LiTaO 3 単結晶からなる。圧電基板2は、他の圧電単 晶、例えばLiNbO 3 または水晶などを用いて形成されていてもよ く、また圧電セラミックスを用いて形成され ていてもよい。

 圧電基板2の上面に、図示の電極構造が形 成されている。弾性表面波装置1は、平衡-不 衡変換機能を有する弾性表面波フィルタ装 である。不平衡端子3を形成している電極パ ッドが圧電基板2上に形成されている。また 第1,第2の平衡端子4,5を形成している各電極 ッドも、圧電基板2上に形成されている。

 不平衡端子3に、第1,第2の縦結合共振子型 弾性表面波フィルタ部6,7が電気的に接続され ている。第1,第2の縦結合共振子型弾性表面波 フィルタ部6,7の後段には、それぞれ、1ポー 型弾性表面波共振子8,9が電気的に接続され いる。そして、1ポート型弾性表面波共振子8 ,9が、それぞれ、第1,第2の平衡端子4,5に電気 に接続されている。

 より具体的には、第1,第2の縦結合共振子 弾性表面波フィルタ部6,7は、いずれも、表 波伝搬方向に沿って配置された3個のIDT6a~6c, 7a~7cを有する3IDT型の縦結合共振子型弾性表面 波フィルタ部である。各縦結合共振子型弾性 表面波フィルタ部6,7は、それぞれ、一対の反 射器6d,6e,7d,7eを有する。

 不平衡端子3に、第1の配線11,12により、第 1,第2の縦結合共振子型弾性表面波フィルタ部 6,7の中央の第2のIDT6b,7bの一端が電気的に接続 されている。第2のIDT6b,7bの各他端は第2の配 13,14により、グラウンド電位に接続される電 極パッドであるアース端子15に電気的に接続 れている。第1,第3のIDT6a,6c,7a,7cの各一端が 第2の配線16により共通接続されている。第2 配線16は、上記アース端子15に電気的に接続 されている。

 第1のIDT6a,6cの各他端は、第1の配線17によ 1ポート型弾性表面波共振子8に接続されて り、該1ポート型弾性表面波共振子8が第1の 衡端子4に接続されている。同様に、第2の縦 結合共振子型弾性表面波フィルタ部7の第1,第 3のIDT7a,7cの各他端が第1の配線18により共通接 続され、1ポート型弾性表面波共振子9に電気 に接続されており、1ポート型弾性表面波共 振子9が第2の平衡端子5に接続されている。

 なお、第1の配線と第2の配線とは、絶縁 20を介して立体交差している。本明細書では 、立体交差部において、交差している異なる 電位に接続される2つの配線のうち、圧電基 側に形成されている配線を第2の配線、絶縁 20上に形成されている配線を第1の配線とす こととする。

 図2は、図1の矢印A-A線に沿う部分を拡大 て示す正面断面図である。すなわち、図2に されている立体交差部では、第2の配線13上 絶縁層20が形成されており、該絶縁層20上に 第1の配線17が形成されている。

 このような立体交差部を設けることによ 、弾性表面波装置1では、配線の高密度化を 図ることができ、小型化を進めることができ る。

 上記絶縁層20を形成する材料としては、 硬化性樹脂が用いられる。このような熱硬 性樹脂としては、熱硬化性ポリイミド、エ キシ樹脂などの適宜の熱硬化性樹脂が用い れる。熱硬化性ポリイミドはフォトリソグ フィー法を用いたパターニングが容易であ ため、好適に用いられる。熱硬化性ポリイ ドの硬化温度は、305℃以上であるため、そ 場合には、加熱により熱硬化性ポリイミド 硬化させるために、305℃以上に加熱するこ が必要である。

 本実施形態では、IDT6a~6c,7a~7cを構成して るくし型電極が、XRD極点図において6回対称 ポットが現れるエピタキシャル膜であって かつAl膜または25℃における固溶限界以下の 範囲でCuが添加されているAl-Cu合金膜である それによって、熱硬化性樹脂からなる絶縁 20の加熱硬化工程を実施したとしても、IDT6a~ 6c,7a~7cにおいてヒロックが生じない。これを 後ほど具体的な実験例に基づき説明する。

 なお、本実施形態では、上記IDT6a~6c,7a~7c 、上記特定のAl膜またはAl-Cu合金膜からなる 、本実施形態では、反射器6d,6e,7d,7e、1ポー 型弾性表面波共振子8,9を形成している電極 料、配線11~14,16,17,18もまた、同じ材料で形 されている。従って、弾性表面波装置1を製 するに際しての電極材料の種類を少なくす ことができ、かつ電極形成工程の簡略化を ることができる。もっとも、IDT6a~6c,7a~7c以 の電極パッド、電極または配線を形成する 料については、他の金属を用いてもよい。

 もっとも、ヒロックの発生は、IDT以外に いても好ましくないため、好ましくは、本 施形態のように、反射器6d,6e,7d,7eや弾性表 波共振子8,9を形成している電極も同様に、 記特定のAl膜またはAl-Cu合金膜からなること 望ましい。

 図9は、XRD極点図において6回対称スポッ が現れているAl-Cu膜の6回対称スポットを示 模式図である。

 前述したように、従来、XRD極点図におい 6回対称スポットが現れる双晶構造のエピタ キシャル膜であるAl-Cu合金膜を用いた場合、 に、熱硬化性樹脂からなる絶縁層を有する 造においては、絶縁層形成に際しての加熱 程によりくし型電極にヒロックが生じると う問題があった。そこで、本願発明者は、 記ヒロックについて検討した結果、Al-Cu合 膜において生じているヒロックは、Cuからな るものであることが確かめられた。種々検討 した結果、上記くし型電極として、XRD極点図 において6回対称スポットが現れるエピタキ ャル膜であって、かつAl膜または25℃におけ 固溶限界以下の範囲でCuが添加されているAl -Cu合金膜を用いればよいことを見出し、本発 明をなすに至ったものである。

 これを、製造方法と共に具体的な実験例 基づき説明する。

 上記弾性表面波装置1を、以下の要領で製 造した。

 まず、弾性表面波装置1の製造に際し、LiTaO 3 からなる圧電基板2を用意した。次に、圧電 板2上に、図1に示した不平衡端子3、第1,第2 平衡端子4,5及びアース端子15と、前述した縦 結合共振子型弾性表面波フィルタ部6,7のIDT6a~ 6c,7a~7c、反射器6d,6e,7d,7e、弾性表面波共振子8, 9のIDT及び反射器、並びに第2の配線13,14,16を 成した。これらのIDT、反射器及び第2の配線 形成に際しては、圧電基板2の上面に厚さ10n mのTi膜を形成し、しかる後、Ti膜上に、厚さ1 30nmの双晶エピタキシャル膜であるAl膜を形成 した。これらのTi膜及びAl膜は、真空蒸着法 より、形成した。

 しかる後、立体交差部を形成するために 立体交差部を形成する部分に、厚さ3μmの熱 硬化性ポリイミド層を形成した。

 次に、上記熱硬化性ポリイミド層を硬化 せるために、弾性表面波装置1全体を305℃の 温度で加熱した。このようにして、熱硬化性 ポリイミドを熱硬化させることにより、上記 絶縁層20を形成した。

 次に、第1の配線11,12,17,18を、熱硬化性ポ イミド層上及び圧電基板2の上面に厚さ200nm Ti膜を形成し、しかる後、Ti膜上に、厚さ100 0nmのAl膜を形成した。

 得られた弾性表面波装置1において、IDT6a~ 6c,7a~7cを電界放出型走査電子顕微鏡(FE-SEM)に り観察したところ、ヒロックは認められな った。

 次に、IDT及び反射器の形成に際して、上 Al膜に代えて、Cuの濃度が0.2重量%または0.5 量%の双晶構造を有するエピタキシャル膜で るAl-Cu膜とし、絶縁層20を形成するための熱 硬化処理の温度を、275℃、305℃、または315℃ とし、同様にして弾性表面波装置1を製造し 。このようにして得られた各弾性表面波装 1について、電界放出型走査電子顕微鏡によ 観察し、ヒロックの発生の有無を確かめた

 結果を図3(a),(b)、図4、図5、図6(a),(b)、図7 及び図8に示す。なお、図3(a)~図8におけるCu濃 度と熱処理温度とは、それぞれ、下記の表1 示す通りである。

 図5に示した結果は、上記実施例の結果に 相当する。すなわち、Cu濃度が0重量%であり 熱処理温度が315℃の場合には、前述した通 、ヒロックの発生は認められなかった。同 に、図8から明らかなように、Cu濃度が0重量% 、すなわちAl膜を用いた場合には、熱処理温 を305℃に高めたとしても、ヒロックの発生 認められなかった。

 これに対し、図3(a)及び(b)の比較から明ら かなように、Cu濃度が0.5重量%の場合には、275 ℃で加熱した場合にはヒロックは認められな かったが、305℃の温度に加熱した場合ヒロッ クの発生が認められた。そして、図6(a)に示 ように、Cu濃度が0.5重量%であり、熱処理温 が315℃と高められた場合には、ヒロックの 生が認められ、図6(b)に拡大して示すように きなヒロックが発生していた。従って、Cu 度が0.5重量%の場合には、熱処理温度を305℃ 上に高めることができないことができない とがわかる。

 これに対して、図4及び図7から明らかな うに、Cu濃度が0.2重量%と低い場合には、熱 理温度を305℃及び315℃のいずれの場合にお ても、ヒロックの発生が認められなかった

 よって、ヒロックの発生を防止するには Al膜を用いるか、Cu濃度が0.2重量%とされたAl -Cu合金膜を用いればよいことがわかる。すな わち、双晶構造を有するエピタキシャル膜で あるAl-Cu合金膜を用い、Cuを添加させて耐電 性を高めるに際し、Cuの含有割合をある値以 下にすれば、上記ヒロックの発生を防止し得 ることがわかった。

 前述したように、Al-Cu合金の多結晶膜を いた場合には、このようなヒロックは生じ いなかった。これに対して、XRD極点図にお て6回対称スポットが現れるエピタキシャル であり双晶構造を有するAl-Cu合金膜では、 記のようなヒロックが生じていた。もっと 、Cuの濃度が低くなると、上記ヒロックは生 じない。この理由は、以下の通りと考えられ る。

 上記双晶構造を有するAl-Cu合金膜では、 晶ドメイン内では、Al原子が結晶格子内に束 縛されて動かないため、粒界におけるAl-Cuの 互拡散によってのみに熱エネルギーが消費 れる。

 従来のAl-Cu合金膜からなる多結晶膜にお て加熱したとしても上記ヒロックが生じな ったのは、粒界の容積が大きいため、粒界 Cuが固溶し、ヒロックが生じていないものと 考えられる。これに対して、エピタキシャル 膜であり、双晶構造を有するAl-Cu合金膜の場 には、粒界は双晶ドメインの境目に位置し いる。この結晶粒界は1原子間隔以下と小さ く、従って、Cuが粒界に固溶する余地が少な 。そのため、上記Cuが析出し、ヒロックが 長しているものと考えられる。

 従って、Cuの含有割合を、室温(25℃)にお る固溶限界である0.2重量%以下とすれば、熱 処理によるCuの析出が抑制され、上記ヒロッ の成長を防止することができると考えられ 。

 よって、本発明では、XRD極点図において6 回対称スポットが現れるエピタキシャル膜で あり、かつAl膜または25℃における固溶限界 下の範囲でCuが添加されているAl-Cu合金膜が いられる。それによって、上記ヒロックの 生を確実に防止することができ、よって特 の安定な弾性表面波装置を提供することが きる。また、上記Al膜またはAl-Cu合金膜を用 いることにより、耐電力性も高めることがで きる。

 なお、上記実施形態では、図1に示した平 衡-不平衡変換機能を有する弾性表面波フィ タが形成されていたが、本発明は、他の回 構成の弾性表面波フィルタや、表面波フィ タに限らず、共振子や遅延線などの他の弾 表面波素子が形成されている他の弾性表面 装置にも広く適用することができる。

 1…弾性表面波装置
 2…圧電基板
 3…不平衡端子
 4,5…平衡端子
 6,7…第1,第2の縦結合共振子型弾性表面波フ ルタ部
 6a~6c,7a~7c…IDT
 6d,6e,7d,7e…反射器
 8,9…1ポート型弾性表面波共振子
 11,12…第1の配線
 13,14…第2の配線
 15…アース端子
 16…第2の配線
 17…第1の配線
 18…第1の配線
 20…絶縁層