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Patent Searching and Data


Title:
ELASTIC WAVE DEVICE, COMMUNICATION MODULE, AND COMMUNICATION APPARATUS
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/078089
Kind Code:
A1
Abstract:
An elastic wave device according to the present invention includes a piezoelectric substrate (14), a comb-shaped electrode (13) arranged on the piezoelectric substrate (14), and a SiO2 layer (12) formed so as to cover the electrode (13). The elastic wave device further includes a displacement control layer (11) arranged on the SiO2 layer (12). The displacement control layer (11) is made of a material having a lower sound velocity than that of the SiO2 layer (12). With this structure, an unnecessary wave can be suppressed and temperature characteristics can be improved. In addition, when a communication module or a communication apparatus includes the elastic wave device, the reliability can be improved.

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Inventors:
WARASHINA SUGURU
MATSUDA TAKASHI
INOUE SHOGO
SATOH YOSHIO
Application Number:
PCT/JP2007/074221
Publication Date:
June 25, 2009
Filing Date:
December 17, 2007
Export Citation:
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Assignee:
FUJITSU LTD (JP)
WARASHINA SUGURU
MATSUDA TAKASHI
INOUE SHOGO
SATOH YOSHIO
International Classes:
H03H9/145; H03H3/08; H03H9/64
Domestic Patent References:
WO2007138844A12007-12-06
WO2007125734A12007-11-08
Foreign References:
JPH07254835A1995-10-03
JPH06291596A1994-10-18
Attorney, Agent or Firm:
IKEUCHI SATO & PARTNER PATENT ATTORNEYS (OAP TOWER8-30, Tenmabashi 1-chome,Kita-ku, Osaka-shi, Osaka 26, JP)
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Claims:
 圧電基板と、
 前記圧電基板上に形成された櫛歯型の電極と、
 前記電極を被覆するように形成された絶縁層とを備えた弾性波素子であって、
 前記絶縁層上に形成された変位調整膜を備え、
 前記変位調整膜は、前記絶縁層を形成する物質よりも音速が遅い物質で形成された、弾性波素子。
 前記電極は、
  金属もしくは該金属を主成分とする合金、または金属と他の金属とから構成された積層膜で構成された、請求項1記載の弾性波素子。
 前記絶縁層がSiO 2 により形成され、
 前記変位調整膜は、SiO 2 よりも音速が遅い物質の単層膜、またはSiO 2 よりも音速が遅い物質のうちいずれかの物質を主成分とする積層膜により形成されている、請求項2記載の弾性波素子。
 前記変位調整膜は、
  Au,Ag,Pt,Ta,Cu,W,Ti,Niのうちいずれかの単層膜、またはAu,Ag,Pt,Ta,Cu,W,Ti,Niのうちいずれかの物質を主成分とする積層膜により形成されている、請求項3記載の弾性波素子。
 圧電基板と、
 前記圧電基板上に形成された櫛歯型の電極と、
 前記電極間において、前記電極と略等しい膜厚に形成された第1の絶縁層と、
 前記電極及び第1の絶縁層を被覆するように形成された第2の絶縁層とを備えた弾性波素子であって、
 前記第2の絶縁層上に形成された変位調整膜を備え、
 前記変位調整膜は、前記第2の絶縁層を形成する物質よりも音速が遅い物質で形成された、弾性波素子。
 圧電基板と、
 前記圧電基板上に形成された櫛歯型の電極と、
 前記電極を被覆するように形成された絶縁層と、
 前記絶縁層上に形成され、前記絶縁層よりも音速が遅い物質で構成された変位調整膜とを備えた弾性波素子の製造方法であって、
 前記圧電基板上に前記電極を形成する工程と、
 前記圧電基板上に、前記電極を被覆するように前記絶縁層を形成する工程と、
 前記絶縁層上に前記変位調整膜を形成する工程とを含む、弾性波素子の製造方法。
 請求項1~5のいずれかに記載の弾性波素子を備えた、通信モジュール。
 請求項7に記載の通信モジュールを備えた、通信装置。
Description:
弾性波素子、通信モジュール、 よび通信装置

 本発明は、携帯電話端末、PHS(Personal Handy -phone System)端末、無線LANシステムなどの移動 体通信機器(高周波無線通信機器)に搭載され 弾性波素子に関する。特に、圧電基板上に ンターデジタル電極(以下、IDT電極と称する 。IDT:Interdigital Transducer)が形成されており、 インターデジタル電極を覆うように絶縁層 形成された弾性表面波装置の温度特性と不 波抑制方法の両立に関する。また、そのよ な弾性波素子を備えた通信モジュール、お び通信装置に関する。

 移動体通信システムに用いられるデュプレ サーやRFフィルタでは、広帯域かつ良好な 度特性の双方が満たされることが求められ いる。従来、デュプレクサーやRFフィルタに 使用されてきた弾性表面波装置では、36°~50° 回転Y板X伝搬タンタル酸リチウム(LiTaO 3 )から構成された圧電基板が用いられている この圧電基板は、周波数温度係数(TCF:Temperatu re coefficient of frequency)が-40~-30ppm/℃程度であ った。また、温度特性を改善するために、圧 電基板上においてIDT電極を被覆するようにTCF が正である酸化シリコン(SiO 2 )膜を成膜する方法が知られている。

 他方、上記周波数温度係数の改善とは別の 的で、弾性表面波装置のIDT電極を被覆する うに絶縁性または半導電性の保護膜が形成 れている弾性表面波装置の製造方法が特許 献1に開示されている。図15は、特許文献1に 記載の弾性表面波装置を示す模式的断面図で ある。図15において、弾性表面波装置100では 圧電基板101上に、アルミニウム(Al)またはAl 主成分とする合金から構成されたIDT電極102 形成されている。IDT電極102が形成されてい 領域以外の領域には、絶縁性または半導電 の電極指間膜103が形成されている。また、I DT電極102及び電極指間膜103を被覆するように 絶縁性または半導電性の保護膜104が形成さ ている。特許文献1には、電極指間膜103及び 保護膜104が、SiO 2 などの絶縁物やシリコンなどの半導電性物質 により構成される旨が記載されている。特許 文献1に開示されている構成によれば、電極 間膜103を形成することにより、圧電基板101 有する焦電性に起因する電極指間の放電に る特性の劣化が抑制される。

 また、特許文献2には、水晶またはニオブ酸 リチウム(LiNbO 3 )からなる圧電基板上に、アルミニウムや金 どの金属からなる電極が形成されており、 らにSiO 2 膜を形成した後、該SiO 2 膜を平坦化して構成された1ポート型弾性表 波共振子が開示されている。このようにSiO 2 膜を平坦化することにより、良好な共振特性 が得られる。

 また、特許文献3には、電気機械結合係数(k 2 )が0.025以上のLiNbO 3 から構成された圧電基板と、圧電基板上に形 成されAlよりも密度の大きい金属もしくは該 属を主成分とする合金またはAlよりも密度 大きい金属もしくは該金属を主成分とする 金と他の金属とから構成された積層膜から る少なくとも1つの電極と、前記少なくとも1 つの電極が形成されている領域を除いた残り の領域において、電極と略等しい膜厚に形成 された第1絶縁物層と、電極及び第1絶縁物層 被覆するように形成された第2絶縁物層とを 備え、電極の密度が第1絶縁物層の1.5倍以上 あり、第2の絶縁物層の厚みが表面波の波長 λとしたときに0.18λ~0.34λの範囲にあり、第2 の絶縁物層の表面の凸部の突出高さが、表面 波の波長をλとしたときに、0.03λ以下である 成が開示されている。特許文献3に開示され ている構成では、IDT電極の反射係数が十分に 大きく、共振特性などに現れるリップルによ る特性の劣化が生じ難くなる。

特開平11-186866号公報

特開昭61-136312号公報

特許第3885824号公報

 しかしながら各特許文献に開示された構成 は、弾性波素子のアドミッタンス(S係数)の 対値の周波数応答において、図16に示すよ に、目的とする主応答Aよりも高い周波数で 要波Bが発生するという欠点があった。図16 示す特性は、図17に示すように圧電基板203 に周期λが2μmのIDT電極202を備え、さらにIDT 極202を覆うようにSiO 2 膜201を備えた弾性波素子200において、(表1)に 示す物性値を用い有限要素法(FEM:Finite Element Method)でシミュレーションを行った結果であ 。

 図16に示すように、不要応答(不要波B)が 在すると、弾性波素子を用いてフィルタを 成した際に、通過帯域外での抑制が悪くな という問題が生じる。

 不要波の大きさとSiO 2 膜の膜厚とは図18に示す関係があり、不要波 抑制のためにSiO 2 膜の膜厚を薄膜化するとよいが、SiO 2 膜の膜厚を薄膜化すると図19に示すように温 特性が劣化するという問題が生じる。なお 図19は、SiO 2 膜の膜厚とTCFとの関係を示す。

 本発明の目的は、不要波を抑えることが きるとともに、温度特性を向上させること できる弾性波素子を実現することである。 た、本発明の目的は、信頼性が高い通信モ ュール、通信装置を実現することである。

 本発明の弾性波素子は、圧電基板と、前 圧電基板上に形成された櫛歯型の電極と、 記電極を被覆するように形成された絶縁層 を備えた弾性波素子であって、前記絶縁層 に形成された変位調整膜を備え、前記変位 整膜は、前記絶縁層を形成する物質よりも 速が遅い物質で形成されたものである。

 本発明によれば、不要波を抑えることが きるとともに、温度特性を向上させること できる弾性波素子を実現することができる また、信頼性が高い通信モジュール、通信 置を実現することができる。

図1は、実施の形態における弾性波素子 の断面図である。 図2Aは、変位調整膜の膜厚が1nmの時の 振周波数のエネルギー分布を示す分布図で る。 図2Bは、変位調整膜の膜厚が1nmの時の 共振周波数のエネルギー分布を示す分布図 ある。 図2Cは、変位調整膜の膜厚が1nmの時の 要波のエネルギー分布を示す分布図である 図3Aは、変位調整膜の膜厚が10nmの時の 共振周波数のエネルギー分布を示す分布図で ある。 図3Bは、変位調整膜の膜厚が10nmの時の 反共振周波数のエネルギー分布を示す分布図 である。 図3Cは、変位調整膜の膜厚が10nmの時の 不要波のエネルギー分布を示す分布図である 。 図4Aは、変位調整膜の膜厚が30nmの時の 共振周波数のエネルギー分布を示す分布図で ある。 図4Bは、変位調整膜の膜厚が30nmの時の 反共振周波数のエネルギー分布を示す分布図 である。 図4Cは、変位調整膜の膜厚が30nmの時の 不要波のエネルギー分布を示す分布図である 。 図5は、SiO 2 膜の膜厚とTCFとの関係を示す特性図である。 図6は、図5に示す変位調整膜の各条件におけ 、SiO 2 膜の膜厚とTCFとの関係を示す特性図である。 図7は、図5に示す変位調整膜の各条件 おける、共振周波数のTCFと不要波のレベル の関係を示す特性図である。 図8は、図5に示す変位調整膜の各条件 おける、反共振周波数のTCFと不要波のレベ との関係を示す特性図である。 図9は、変位調整膜を様々な物質で形成 した場合の、変位調整膜の膜厚と不要波の大 きさとの関係を示す特性図である。 図10は、変位調整膜を様々な物質で形 した場合の、変位調整膜の音速と不要波の きさとの関係を示す特性図である。 図11は、変位調整膜を様々な物質で形 した場合の、変位調整膜の膜厚と不要波の きさとの関係を示す特性図である。 図12Aは、実施の形態の弾性波素子の 造工程を説明するための断面図である。 図12Bは、実施の形態の弾性波素子の 造工程を説明するための断面図である。 図12Cは、実施の形態の弾性波素子の 造工程を説明するための断面図である。 図12Dは、実施の形態の弾性波素子の 造工程を説明するための断面図である。 図12Eは、実施の形態の弾性波素子の 造工程を説明するための断面図である。 図12Fは、実施の形態の弾性波素子の 造工程を説明するための断面図である。 図13は、実施の形態の弾性波素子を備 た通信モジュールの構成を示すブロック図 ある。 図14は、実施の形態の弾性波素子また 通信モジュールを備えた通信装置の構成を すブロック図である。 図15は、特許文献1に記載の表面波装置 を示す模式的断面図である。 図16は、従来の弾性波素子の周波数応 特性を示す特性図である。 図17は、従来の弾性波素子の構成を示 断面図である。 図18は、不要波の大きさとSiO 2 膜の膜厚との関係を示す特性図である。 図19は、SiO 2 膜の膜厚と周波数温度係数との関係を示す特 性図である。

 本発明の弾性波素子の第1の構成は、圧電 基板と、前記圧電基板上に形成された櫛歯型 の電極と、前記電極を被覆するように形成さ れた絶縁層とを備えた弾性波素子であって、 前記絶縁層上に形成された変位調整膜を備え 、前記変位調整膜は、前記絶縁層を形成する 物質よりも音速が遅い物質で形成されたもの である。このような構成とすることで、不要 波を抑えることができるとともに、温度特性 を向上することができる。

 本発明の弾性波素子は、上記構成を基本 して、以下のような様々な態様をとること できる。

 すなわち、本発明の弾性波素子において 前記電極は、金属もしくは該金属を主成分 する合金、または金属と他の金属とから構 された積層膜で構成することができる。

 また、本発明の弾性波素子は、前記絶縁層 SiO 2 により形成され、前記変位調整膜がSiO 2 よりも音速が遅い物質の単層、またはSiO 2 よりも音速が遅い物質のうちいずれかの物質 を主成分とする積層膜により形成されている 構成とすることができる。

 また、本発明の弾性波素子において、前 変位調整膜は、Au,Ag,Pt,Ta,Cu,W,Ti,Niの単層、ま たはAu,Ag,Pt,Ta,Cu,W,Ti,Niのうちいずれかの物質 主成分とする積層膜により形成されている 成とすることができる。

 また、本発明の弾性波素子の第2の構成は 、圧電基板と、前記圧電基板上に形成された 櫛歯型の電極と、前記電極間において、前記 電極と略等しい膜厚に形成された第1の絶縁 と、前記電極及び第1の絶縁層を被覆するよ に形成された第2の絶縁層とを備えた弾性波 素子であって、前記第2の絶縁層上に形成さ た変位調整膜を備え、前記変位調整膜は、 記第2の絶縁層を形成する物質よりも音速が い物質で形成されたものである。このよう 構成とすることで、不要波を抑えることが きるとともに、温度特性を向上することが きる。また、製造時に研磨工程が不要であ ため、製造が容易であるとともに製造コス を削減することができる。

 また、本発明の弾性波素子の製造方法は 圧電基板と、前記圧電基板上に形成された 歯型の電極と、前記電極を被覆するように 成された絶縁層と、前記絶縁層上に形成さ 、前記絶縁層よりも音速が遅い物質で構成 れた変位調整膜とを備えた弾性波素子の製 方法であって、前記圧電基板上に前記電極 形成する工程と、前記圧電基板上に、前記 極を被覆するように前記絶縁層を形成する 程と、前記絶縁層上に前記変位調整膜を形 する工程とを含むものである。このような 法によれば、製造時に研磨工程が不要であ ため、製造が容易であるとともに製造コス を削減することができる。

 また、本発明の通信モジュールは、上記 性波素子を備えたものである。

 また、本発明の通信装置は、上記通信モ ュールを備えたものである。

 (実施の形態)
  〔1.弾性波素子の構成〕
 図1は、実施の形態1における弾性波素子の 成を示す。図1において、弾性波素子1は、圧 電基板14上に櫛形のIDT電極13が形成され、さ にIDT電極13を覆うようにSiO 2 膜12が形成されている。本実施の形態では、 らにSiO 2 膜12の上部に変位調整膜11が形成されている 変位調整膜11は、SiO 2 膜12を形成する物質よりも音速が遅い物質の 層膜か、SiO 2 膜12を形成する物質よりも音速が遅い物質を 成分とする積層膜により形成されている。 えば、変位調整膜11は、金(Au),銀(Ag),白金(Pt) ,タンタル(Ta),銅(Cu),タングステン(W),チタン(Ti ),ニッケル(Ni)のうちのいずれかの単層膜か、 いずれかの物質を主成分とする積層膜により 形成されていることが好ましい。特に、Ta及 Wは、SiO 2 の音速に近い音速を有するため、共振周波数 の変動が少なく好ましい。また、Tiは、SiO 2 との密着性に優れているため好ましい。なお 、SiO 2 膜12は、絶縁層の一例である。

 通常の物質の線膨張係数は正で、一般的な 法を用いて弾性波素子を形成すると、その 性波素子のTCFは負となり、素子の温度が変 すると特性が変動してしまう。そのため、T CFが正であるSiO 2 と組み合わせてTCFを0に近くなるようにして る。ところが、TCFを改善するためにSiO 2 膜の膜厚を厚くすると、前述の図18に示すよ に不要波のレベルが大きくなる。すなわち TCFと不要波のレベルとの間には、トレード フの関係がある。

 図2Aは、変位調整膜11がAuで形成され、その さを1nmとした時の主応答の共振周波数のエ ルギーの分布を示す。図2Bは、同様の構成 おける反共振周波数のエネルギー分布を示 。図2Cは、同様の構成における不要波の共振 周波数でのエネルギー分布を示す。図3A~図3C 、変位調整膜11の膜厚を10nmとした時の主応 の共振周波数(図3A)、反共振周波数(図3B)、 要波の共振周波数(図3C)でのエネルギー分布 示す。図4A~図4Cは、変位調整膜11の膜厚を30n mとした時の主応答の共振周波数(図4A)、反共 周波数(図4B)、不要波の共振周波数(図4C)で エネルギー分布を示す。各図において、領 21は変位調整膜11におけるエネルギー分布、 域22はSiO 2 膜12におけるエネルギー分布、領域23はIDT電 13におけるエネルギー分布、領域24は圧電基 14におけるエネルギー分布を示す。

 図2A及び図2Bに示すように、変位調整膜11が い場合は、主応答の共振周波数及び反共振 波数でのエネルギーが高い領域が、SiO 2 膜12の領域22と圧電基板14の領域24との界面近 まで到達しているが、図4A及び図4Bに示すよ うに、変位調整膜11が厚い場合は、主応答の 振周波数及び反共振周波数でのエネルギー 高い領域が、弾性波素子1の表面(変位調整 11の領域21)に集中する。これは、SiO 2 の音速よりもAuの音速の方が遅いためである 例えば、シリコンカーバイト(SiC)のように SiO 2 の音速よりも音速が速い物質で変位調整膜11 形成した場合は、逆にエネルギーが高い領 が圧電基板14の内部側に移動し、圧電基板14 の線膨張係数の影響度が高くなり、TCFが劣化 する。図5に示すように、Auを10nmの膜厚で形 した場合とSiCを10nmの膜厚で形成した場合と 比較すると、Auを形成した方がTCFが改善さ る。すなわち、変位調整膜11をAuで形成した 合、応答時の共振周波数及び反共振周波数 エネルギーが高い領域が弾性波素子1の表面 に集中するため、圧電基板14の線膨張係数の 響度が低くなり、TCFが改善される。

 なお、図5は、変位調整膜11を膜厚5nmのAuで 成した場合、膜厚10nmのAuで形成した場合、 厚20nmのAuで形成した場合、膜厚10nmのSiCで形 した場合、変位調整膜11を形成しない場合( 来公知例)の、SiO 2 膜12の膜厚とTCFとの関係を示す。図5に示すグ ラフにおいて、横軸はSiO 2 膜12の膜厚である。

 ところが、図6に示すように、SiO 2 膜12の膜厚を同一として不要波のレベルを比 した場合、SiO 2 膜12上に変位調整膜11を形成することにより 要波のレベルが大きくなる。これは、エネ ギーが高い領域が弾性波素子1の表面に移動 、不要波が発生しやすくなるためである。 お、図6は、図5に示す変位調整膜11の各条件 における、SiO 2 膜12の膜厚と不要波との関係を示す。

 しかし、図7及び図8に示すように、同じTCF 比較すると、SiO 2 膜12の膜厚を薄膜化できるので、不要波は改 されることがわかる。図示の例では、TCFが ロに近いほど良いので、Auを膜厚10nmで形成 る構成が最も良い。なお、図7は、図5に示 変位調整膜11の各条件における、共振周波数 のTCFと不要波のレベルとの関係を示す。また 、図8は、図5に示す変位調整膜11の各条件に ける、反共振周波数のTCFと不要波のレベル の関係を示す。

 また、変位調整膜11の膜厚を10nmとし、変 調整膜のヤング率と密度とを(表2)に示す条 で変化させ、不要波の大きさを測定した。 振周波数のTCFが0ppm/℃の時の不要波の大き は、図9~図11に示すような分布になり、変位 整膜11を音速が遅い物質で形成するほど不 波が抑制されることがわかる。また、変位 整膜11の膜厚は、最適値があることがわかる 。

 なお、図9及び図11は、変位調整膜11を様々 物質で形成した場合の、変位調整膜11の膜厚 と不要波の大きさとの関係を示す。図10は、 位調整膜11を様々な物質で形成した場合の 変位調整膜11の音速と不要波の大きさとの関 係を示す。図9及び図10に示す測定結果が得ら れた測定に用いた物質は、WSSTレジスト、金(A u)、銀(Ag)、白金(Pt)、タンタル(Ta)、銅(Cu)、タ ングステン(W)、チタン(Ti)である。図9に示す 定結果が得られた測定では、上記物質に加 てAuと密着層(Ti1、Ti2、Ti3)との積層膜につい ても測定を行った。また、図11に示す測定結 が得られた測定に用いた物質は、Au、Ti、Au Tiとの積層膜である。また、ニッケル(Ni)に いても測定を行い、(表2)に示すようにSiO 2 よりも音速が遅いことを確認した(図9及び図1 1へのプロットは省略)。

 以上のように、SiO 2 膜12上に、SiO 2 膜12の音速よりも遅い音速を有する変位調整 11を形成したことにより、エネルギーが弾 波素子1の表面に集中することになる。よっ 、圧電基板14の線膨張係数の影響が少なく り、TCFを改善することができる。また、SiO 2 膜12を薄くすることができるので、不要波の 生を抑えることができる。

 なお、本実施の形態では、SiO 2 膜12は単層としたが、IDT電極13と略等しい膜 に形成された第1の絶縁層(例えばSiO 2 膜)と、第1の絶縁層を被覆するように形成さ た第2の絶縁層(例えば第1の絶縁層と同じSiO 2 膜)との積層構造としても、同様の効果が得 れる。このように構成することで、製造時 研磨工程が不要になるため、製造コストを 減することができる。

  〔2.弾性波素子の製造方法〕
 図12A~図12Fは、本実施の形態の弾性波素子の 製造工程を示す断面図である。図12A~図12Fに す製造工程において用いた変位調整膜11は、 AuとTiの積層膜である。

 まず、図12Aに示す圧電基板14を用意する

 次に、図12Bに示すように、圧電基板14の 面上に密着層であるTi膜13aを介し、Ti膜13a上 Cu膜13bを形成する。なお、本実施の形態で 、Ti膜13aの膜厚は20nmとし、Cu膜13bの膜厚は100 nmとした。

 次に、図12Cに示すように、Ti膜13a及びCu膜 13b上に電極パターニング用のフォトレジスト を形成し、フォトリソグラフィーによるパタ ーニングを行う。次に、Ti膜13a及びCu膜13bを ッチング処理し、フォトレジストを除去し IDT電極13を形成する。

 次に、図12Dに示すように、Ti膜13a及びCu膜13b を覆うように、圧電基板11上にSiO 2 膜12を形成する。本実施の形態では、SiO 2 膜12はCVD法(化学蒸着法)を用いて、膜厚が550nm になるまで成長させて成膜した。成膜後のSiO 2 膜12は、IDT電極12の上部位置に突起部12aが形 される。

 次に、図12Eに示すように、SiO 2 膜12の突起部12aを除去し、SiO 2 膜12の表面を平坦化する。なお、本実施の形 では、平坦化処理にはCMP法(化学機械研磨法 )を用いた。

 次に、図12Fに示すように、SiO 2 膜12の表面に密着層であるTi膜11bを形成し、Ti 膜11b上にAu膜11aを蒸着処理によって成長させ 変位調整膜11を形成する。なお、本実施の 態では、Au膜11aの膜厚を15nm、Ti膜11bの膜厚を 5nmとした。

 また、SiO 2 膜12の膜厚が0.3μm以上の時には、変位調整膜1 1の電位の影響が少ないので、Au/Tiの積層膜で 構成された変位調整膜11はアースまたはフロ ティングのいずれでも特性に差は見られな 。また、図9に示すように、Auの代わりにAg,P t,Ta,Cu,W,Ti,WSSTレジスト、Niなどを用いる構成 あっても、本実施の形態と同様の製造方法 製造することができる。また、本実施の形 では、Au/Tiの積層膜で構成された変位調整膜 11を形成する製造方法について説明したが、 層の変位調整膜11を形成する場合も同様の 造方法を用いることができる。

 なお、本実施の形態では、SiO 2 膜12は単層としたが、IDT電極13と略等しい膜 に形成された第1の絶縁層(例えばSiO 2 膜)と、第1の絶縁層を被覆するように形成さ た第2の絶縁層(例えば第1の絶縁層と同じSiO 2 膜)との積層構造としてもよい。その場合の 造方法は、図12Cに示すIDT電極13を形成後、IDT 電極13間にIDT電極13の膜厚に略等しい第1の絶 層を形成する。この時、IDT電極13及び第1の 縁層の表面は略平面である。次に、IDT電極1 3及び第1の絶縁層を被覆するように第2の絶縁 層を形成する。このように製造することで、 図12Dに示すような突起部12aが形成されないた め、突起部12aの除去工程が不要になる。よっ て、研磨作業が不要になるため、製造が容易 になるとともに製造コストを削減することが できる。

  〔3.通信モジュールの構成〕
 図13は、本実施の形態の弾性波素子を備え 通信モジュールの一例を示す。図13に示すよ うに、デュプレクサー52は、受信フィルタ54 送信フィルタ55とを備えている。また、受信 フィルタ54には、例えばバランス出力に対応 た受信端子62a及び62bが接続されている。ま 、送信フィルタ55には、パワーアンプ63が接 続されている。ここで、受信フィルタ54及び 信フィルタ55には、本実施の形態における 性波素子1が含まれている。

 受信動作を行う際、受信フィルタ54は、 ンテナ端子61を介して入力される受信信号の うち、所定の周波数帯域の信号のみを通過さ せ、受信端子62a及び62bから外部へ出力する。 また、送信動作を行う際、送信フィルタ55は 送信端子64から入力されてパワーアンプ63で 増幅された送信信号のうち、所定の周波数帯 域の信号のみを通過させ、アンテナ端子61か 外部へ出力する。

 なお、図13に示す通信モジュールの構成 一例であり、他の形態の通信モジュールに 発明の弾性波素子あるいはデュプレクサー 搭載しても、同様の効果が得られる。

  〔4.通信装置の構成〕
 図14は、本実施の形態の弾性波素子を備え 通信装置の一例として、携帯電話端末のRFブ ロックを示す。また、図14に示す構成は、GSM( Global System for Mobile Communications)通信方式及 W-CDMA(Wideband Code Divition Multiple Access)通信 式に対応した携帯電話端末の構成を示す。 た、本実施の形態におけるGSM通信方式は、85 0MHz帯、950MHz帯、1.8GHz帯、1.9GHz帯に対応して る。また、携帯電話端末は、図14に示す構成 以外にマイクロホン、スピーカー、液晶ディ スプレイなどを備えているが、本実施の形態 における説明では不要であるため図示を省略 した。ここで、受信フィルタ54,76,77,78,79,送信 フィルタ55には、本実施の形態における弾性 素子1が含まれている。

 まず、アンテナ71を介して入力される受 信号は、その通信方式がW-CDMAかGSMかによっ アンテナスイッチ回路72で、動作の対象とす るLSIを選択する。入力される受信信号がW-CDMA 通信方式に対応している場合は、受信信号を デュプレクサー52に出力するように切り換え 。デュプレクサー52に入力される受信信号 、受信フィルタ54で所定の周波数帯域に制限 されて、バランス型の受信信号がLNA73に出力 れる。LNA73は、入力される受信信号を増幅 、LSI75に出力する。LSI75では、入力される受 信号に基づいて音声信号への復調処理を行 たり、携帯電話端末内の各部を動作制御す 。

 一方、信号を送信する場合は、LSI75は送 信号を生成する。生成された送信信号は、 ワーアンプ74で増幅されて送信フィルタ55に 力される。送信フィルタ55は、入力される 信信号のうち所定の周波数帯域の信号のみ 通過させる。送信フィルタ55から出力される 送信信号は、アンテナスイッチ回路72を介し アンテナ71から外部に出力される。

 また、入力される受信信号がGSM通信方式 対応した信号である場合は、アンテナスイ チ回路72は、周波数帯域に応じて受信フィ タ76~79のうちいずれか一つを選択し、受信信 号を出力する。受信フィルタ76~79のうちいず か一つで帯域制限された受信信号は、LSI82 入力される。LSI82は、入力される受信信号に 基づいて音声信号への復調処理を行ったり、 携帯電話端末内の各部を動作制御する。一方 、信号を送信する場合は、LSI82は送信信号を 成する。生成された送信信号は、パワーア プ80または81で増幅されて、アンテナスイッ チ回路72を介してアンテナ71から外部に出力 れる。

  〔5.実施の形態の効果、他〕
 本実施の形態によれば、SiO 2 膜12上に、SiO 2 膜12を形成している物質よりも音速が遅い物 で構成された変位調整膜11を形成すること より、不要波の発生を抑えることができる ともに、TCFを向上することができる。よっ 、信頼性が高い弾性波素子、通信モジュー 、通信装置を実現することができる。

 なお、本発明の弾性波素子またはそれを えた通信モジュールを適用可能な通信装置 、携帯電話端末、PHS端末などがあるが、こ らに限定されない。

 本発明は、弾性波を応用したデバイスの1 つとして弾性表面波素子(SAWデバイス:Surface A coustic Wave Device)などの弾性波素子に有用で る。また、そのような弾性波素子を備えた 信モジュール、通信装置に有用である。




 
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