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Patent Searching and Data


Title:
ELASTIC WAVE DEVICE
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2008/126614
Kind Code:
A1
Abstract:
It is an object to provide an elastic wave device that makes it possible to improve a resonance characteristic in the vicinity of a resonance frequency and is hard to cause a short-circuit malfunction or a deterioration in insulation between interdigital electrodes. An elastic wave device is comprised of an IDT electrode (3) that is formed in contact with a piezoelectric member and has a plurality of electrode fingers. The fingers include first and second electrode fingers (31, 32) that are provided side by side in an elastic wave transmitting direction and are connected with different potentials and a first dummy electrode finger (34) provided opposite to the first finger (31) through a gap (33) disposed at the outside in a longitudinal direction of the first electrode finger (31), and first convex portions (11)-(14) projecting from side edges of at least one electrode finger to the elastic wave transmitting direction in at least one of the first electrode finger (31) and the first dummy electrode finger (34) are formed in the vicinity of the gap.

Inventors:
KANDO HAJIME (JP)
KIDO SHUNSUKE (JP)
NAKAO TAKESHI (JP)
YAMAMOTO DAISUKE (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/054591
Publication Date:
October 23, 2008
Filing Date:
March 13, 2008
Export Citation:
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Assignee:
MURATA MANUFACTURING CO (JP)
KANDO HAJIME (JP)
KIDO SHUNSUKE (JP)
NAKAO TAKESHI (JP)
YAMAMOTO DAISUKE (JP)
International Classes:
H03H9/145
Domestic Patent References:
WO2006109591A12006-10-19
WO2006109591A12006-10-19
Foreign References:
JPH06164297A1994-06-10
JP2004343259A2004-12-02
JP2006186435A2006-07-13
US6791236B12004-09-14
JPS63110809A1988-05-16
JP2006186435A2006-07-13
JPH06164297A1994-06-10
JPH06350383A1994-12-22
Other References:
See also references of EP 2128982A4
Attorney, Agent or Firm:
MIYAZAKI, Chikara (5-4 Tanimachi 1-chome, Chuo-ku, Osaka-sh, Osaka 12, JP)
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Claims:
 圧電体と、
 前記圧電体に接するように形成されたIDT電極とを備える弾性波素子であって、
 前記IDT電極が、複数本の電極指を有し、該複数本の電極指が、弾性波伝搬方向において隣り合っておりかつ異なる電位に接続される第1,第2の電極指と、前記第1の電極指先端の電極指長さ方向外側に配置されたギャップを介して対向されておりかつ前記第2の電極指と同電位に接続されている第1のダミー電極指とを含み、
 前記ギャップ近傍において、前記第1の電極指及び前記第1のダミー電極指の内の少なくとも一方において、少なくとも一方の側縁から弾性波伝搬方向に突出するように第1の凸部が形成されていることを特徴とする、弾性波素子。
 前記第1の凸部が前記ギャップに接するように配置されている、請求項1に記載の弾性波素子。
 前記第1の凸部が前記ギャップから離れており、前記第1の凸部と前記ギャップとの間に、該第1の凸部が設けられている電極指またはダミー電極指の幅が、先端にいくに連れて徐々に細くされているテーパー部が設けられている、請求項1または2に記載の弾性波素子。
 前記第1の凸部から、前記テーパー部に連なる電極指側縁部分が凹状の形状を有する、請求項3に記載の弾性波素子。
 前記第1の凸部から前記テーパー部に連なる電極指側縁部分が、凸状の形状を有する請求項3に記載の弾性波素子。
 前記第1,第2の電極指の少なくとも一方の側縁に、前記弾性波伝搬方向に突出する第2の凸部が形成されており、該第2の凸部が、電極指長さ方向において、前記ギャップが設けられている範囲内に位置するように形成されている、請求項1~5のいずれか1項に記載の弾性波素子。
 前記第1,第2の電極指が配置されている部分において、前記ギャップを通って表面波が伝搬する場合の実効伝搬距離と、前記第1,第2の電極指が設けられている部分において、前記ギャップ及び前記第1の凸部以外の部分において弾性波が伝搬する場合の実効伝搬距離とが略等しくなるように前記第2の凸部が形成されている、請求項6に記載の弾性波素子。
 前記第2の凸部が、前記第1,第2の電極指の一方の電極指において、他方の電極指の先端に設けられたギャップに対向している側の側縁から該ギャップに向って突出するように形成されている、請求項6または7に記載の弾性波素子。
 前記第1,第2の凸部が台形の平面形状を有し、前記台形の下底が該凸部が形成されている電極指の側縁の一部であり、台形の上底と下底とを結ぶ側辺と、下底とのなす内角が90°未満の角度である、請求項1~8のいずれか1項に記載の弾性波素子。
 前記第2の凸部の前記下底の中点の電極指長さ方向に沿う位置が、前記他方の電極指の先端のギャップの電極指長さ方向中心位置と電極指長さ方向において略等しい位置にあり、前記下底の長さが、前記ギャップの電極指の長さ方向に沿う寸法であるギャップ幅よりも大きくされており、前記上底の長さが該ギャップ幅よりも小さくされている、請求項9に記載の弾性波素子。
 前記第1,第2の凸部が、等角台形の平面形状を有する、請求項9または10に記載の弾性波素子。
 前記第1,第2の凸部が、複数の角部を有し、該複数の角部が丸められていることを特徴とする、請求項9または10のいずれか1項に記載の弾性波素子。
 前記第2の凸部が、前記第1,第2の電極指の他方にも形成されている、請求項1~12のいずれか1項に記載の弾性波素子。
 前記IDT電極に交叉幅重み付けが施されている、請求項1~13のいずれか1項に記載の弾性波素子。
 前記弾性波として弾性表面波が用いられている、請求項1~14のいずれか1項に記載の弾性波素子。
 前記弾性波として弾性境界波が用いられている、請求項1~14のいずれか1項に記載の弾性波素子。
 前記圧電基板上に設けられた少なくとも1つの前記IDT電極を被覆するように設けられた媒質層をさらに備え、前記IDT電極の密度が、前記圧電基板の密度及び前記媒質層の密度以上とされており、かつ前記IDT電極の密度と、前記媒質層の密度との比が、1.22よりも大きくされている、請求項15または16に記載の弾性波素子。
 前記圧電基板上に設けられた少なくとも1つのIDT電極を被覆するように媒質層が積層されており、前記IDT電極の密度が、前記圧電基板の密度及び前記媒質層の密度以上であり、かつIDT電極の密度と、圧電基板の密度及び媒質層の密度の内の高い方の密度との密度比が1.22よりも大きくされている、請求項16に記載の弾性波素子。
Description:
弾性波素子

 本発明は、例えば共振子や帯域フィルタ どに用いられる弾性波素子に関し、特に、 数本の電極指を有するIDT電極の構造が改良 れた弾性波素子に関する。

 従来、共振子や帯域フィルタなどに、弾 波素子が広く用いられている。弾性波素子 しては、弾性表面波を利用した弾性表面波 子や、弾性境界波を利用した弾性境界波素 などが知られている。

 弾性境界波素子や弾性表面波素子などの 性波素子では、弾性波を励振するために、 数本の電極指を有するIDT電極が用いられて る。このIDT電極に、交叉幅重み付け等を施 すことにより、フィルタ特性や共振特性の 善が図られている。しかしながら、重み付 が施されたIDT電極を用いたとしても、十分 共振特性やフィルタ特性を得ることが困難 あった。

 そこで、下記の特許文献1には、共振特性 やフィルタ特性をより一層改善するために、 IDT電極の形状が改善された弾性波素子が開示 されている。

 図28は、特許文献1に記載の弾性波素子のI DT電極の要部を示す模式的部分平面図である 図28に示すように、IDT電極1000では、一方の 位に接続される複数本の電極指1001と、他方 電位に接続される複数本の電極指1002とが弾 波伝搬方向において交互に配置されている

 図28に示されている部分では、第1の電極 1001の先端において、電極指長さ方向にギャ ップ1003を介してダミー電極指1004が配置され いる。第2の電極指1002の側縁には、凸部1005 形成されている。凸部1005は、第2の電極指10 02の一方の側縁において、上記ギャップ1003の 電極指長さ方向に沿う位置と略等しい位置に 配置されている。上記凸部1005が設けられて る分だけ、ギャップ1003が存在する部分にお て、電極が存在しない領域の弾性波伝搬方 に沿う幅方向寸法が小さくされている。そ ため、ギャップ1003を通る弾性波と、ギャッ プ1003が存在しない部分を伝搬する弾性波の 動の差が小さくされ、それによって、共振 性やフィルタ特性の改善が図られている。

 また、上記IDT電極1000では、第1の電極指1001 先端すなわちギャップ1003側端部と、ダミー 電極指1004の先端すなわちギャップ1003側の端 は、先端にいく程幅が細くされるように、 ーパー部1001a,1004aを有する。このテーパー 1001a,1004aを設けることにより、テーパー部100 1a,1004aが設けられている部分において、ギャ プ1003側からギャップ1003と反対側に向って 性波の伝搬環境が緩やかに変化されている それによっても、共振特性やフィルタ特性 改善が図られるとされている。

WO2006/109591

 上記のように、特許文献1に記載のIDT電極 1000を用いた弾性波素子では、従来の弾性波 子に比べて、IDT電極の形状を工夫すること より、共振特性やフィルタ特性の改善が一 図られているが、なお十分ではなかった。 なわち、共振特性やフィルタ特性などをよ 一層改善することが強く求められている。

 また、特許文献1に記載の構造では、上記 凸部1005を大きくしたり、テーパー部1001a,1004a を大きくしたりした場合、隣接する他の電位 に接続される電極指部分と接触し、短絡した り、絶縁性が劣化するという問題が生じた。

 さらに、共振点付近における特性は、IDT 極の形状に大きく依存する。従って、この うな形状では、生産時の電極指の形状ばら きにより、共振特性やフィルタ特性がばら きがちであるという問題もあった。加えて 共振特性やフィルタ特性を高めるために、 記凸部1005を大きくした場合、ストップバン ドが狭くなるという問題も生じた。

 本発明の目的は、上述した従来技術の現 に鑑み、IDT電極の形状を工夫することによ 、共振特性やフィルタ特性をより一層改善 ることができ、しかも短絡や絶縁性の劣化 生じ難く、特性のばらつきも生じ難い、弾 波素子を提供することにある。

 本発明によれば圧電体と、前記圧電体に するように形成されたIDT電極とを備える弾 波素子であって、前記IDT電極が、複数本の 極指を有し、該複数本の電極指が、弾性波 搬方向において隣り合っておりかつ異なる 位に接続される第1,第2の電極指と、前記第1 の電極指先端の電極指長さ方向外側に配置さ れたギャップを介して対向されておりかつ前 記第2の電極指と同電位に接続されている第1 ダミー電極指とを含み、前記ギャップ近傍 おいて、前記第1の電極指及び前記第1のダ ー電極指の内少なくとも一方において、少 くとも一方の側縁から弾性波伝搬方向に突 するように第1の凸部が形成されていること 特徴とする、弾性波素子が提供される。

 本発明に係る弾性波素子のある特定の局 では、前記第1の凸部が前記ギャップに接す るように配置されている。この場合には、電 極指先端外側に設けられた前記ギャップ付近 において音響インピーダンスの不整合による 弾性波の反射や散乱が抑制される。従って、 フィルタ特性や共振特性を改善することがで きる。

 もっとも、第1の凸部は上記ギャップから 離れていてもよく、本発明の他の特定の局面 では、前記第1の凸部が前記ギャップから離 ており、前記第1の凸部と前記ギャップとの に、該第1の凸部が設けられている電極指ま たはダミー電極指の幅が、先端にいくに連れ て徐々に細くされているテーパー部を有する 。この場合には、ギャップにおける回折によ る特性の劣化を補償することができ、それに よってフィルタ特性や共振特性をより一層改 善することができる。

 本発明に係る弾性波素子では、上記第1の 凸部及び第1のテーパー部が設けられている 合、第1の凸部からテーパー部に連なる側縁 分は凹状の形状を有していてもよく、ある は凸状の形状を有していてもよい。

 本発明に係る弾性波素子では、好ましく 、上記電極指先端の第1の凸部からテーパー 部に連なる側縁部分が凹状または凹状の形状 を有する場合には、上記側縁部分が湾曲して いるので、電極指の製造に際しての形状ばら つきが生じ難い。すなわち、形状ばらつきに よる特性のばらつきが生じ難い。加えて、上 記ギャップの大きさ、すなわち電極指の延び る方向に沿うギャップの寸法を小さくしたと しても、短絡不良が生じ難い。前記第1,第2の 電極指の少なくとも一方の側縁に、前記弾性 波伝搬方向に突出する第2の凸部が形成され おり、該第2の凸部が、電極指長さ方向にお て、前記ギャップが設けられている範囲内 位置するように形成されている。この場合 は、第2の凸部が設けられているので、ギャ ップにおける弾性波の位相と、ギャップ以外 の部分の伝搬する弾性波の位相との位相ずれ を補償することができ、それによってフィル タ特性や共振特性をより一層改善することが できる。

 特に、第1の凸部も設けられているので、 第1の凸部の効果と第2の凸部の作用効果とに り、ストップバンドを狭めることなく、フ ルタ特性や共振特性をより一層高めること できる。

 本発明に係る弾性波素子では、好ましく 、前記第1,第2の電極指が配置されている部 において、前記ギャップを通って表面波が 搬する場合の実効伝搬距離と、前記第1,第2 電極指が設けられている部分において、前 ギャップ及び前記第1の凸部以外の部分にお いて弾性波が伝搬する場合の実効伝搬距離と が略等しくなるように前記第2の凸部が形成 れている。

 本発明においては、好ましくは、前記第2 の凸部が、前記第1,第2の電極指の一方の電極 指において、他方の電極指の先端に設けられ たギャップに対向している側の側縁から該ギ ャップに向って突出するように形成されてい る。この場合には、第2の凸部が設けられて ることにより、ギャップが設けられている 分と、ギャップとは電極指長さ方向におい 、隔てられた位置とで、弾性境界波伝搬路 おける電極が存在しない部分の長さの差が さくされる。従って、共振特性やフィルタ 性をより一層改善することができる。

 好ましくは、前記第1,第2の凸部が台形の 面形状を有し、前記台形の下底が該凸部が 成されている電極指の側縁の一部であり、 形の上底と下底とを結ぶ側辺と、下底との す内角が90°未満の角度である。この場合に は、音響インピーダンスを緩やかに変化させ ることができるため、弾性波の所望でない反 射や散乱をより一層抑制することができるた め、共振特性やフィルタ特性をより一層改善 することができる。

 より好ましくは、前記第2の凸部の前記下 底の中点の電極指長さ方向に沿う位置が、前 記他方の電極指の先端のギャップの電極指長 さ方向中心位置と電極指長さ方向において略 等しい位置にあり、前記下底の長さが、前記 ギャップの電極指の長さ方向に沿う寸法であ るギャップ幅よりも大きくされており、前記 上底の長さが該ギャップ幅よりも小さくされ ている。それによって、凸部の側縁で屈折す る弾性波がギャップ先端の電極の影響をあま り受けずにギャップを通過するために、回折 損をより効果的に抑制することが可能となり 、それによって共振特性やフィルタ特性をよ り一層効果的に改善することができる。

 本発明においては、上記第1,第2の凸部の 状は特に限定されないが、本発明のある特 の局面では、前記第1,第2の凸部が、等角台 の平面形状を有する。

 また、第1,第2の凸部が、複数の角部を有 、該複数の角部が丸められていてもよい。 の場合でも、同様に弾性波の反射や散乱を 制することができる。

 本発明に係る弾性波素子の他の特定の局 では、前記第2の凸部が、前記第1,第2の電極 指の他方にも形成されている。

 本発明に係る弾性波素子では、IDT電極は 交叉幅重み付けが施されていてもよい。交 幅重み付けを用いた場合、横モードスプリ スを抑制できるが、IDTの弾性波伝搬領域内 ギャップが生じ、このギャップによる共振 性やフィルタ特性の性能劣化が生じやすか た。本発明を用いた場合には、交叉幅重み けが施されていても、同様に弾性波の反射 散乱を抑制することができるため、共振特 やフィルタ特性をより一層改善したり、調 したりすることができる。

 本発明において、弾性波としては、弾性 面波または弾性境界波などを用いることが き、特に限定されるものではない。

 本発明に係る弾性波素子では、好ましく 、前記圧電基板上に設けられた少なくとも1 つの前記IDT電極を被覆するように設けられた 媒質層をさらに備え、前記IDT電極の密度が、 前記圧電基板の密度及び前記媒質層の密度以 上とされており、かつ前記IDT電極の密度と、 前記媒質層の密度との比が、1.22よりも大き されている。

 また、本発明に係る弾性波素子の他の特定 局面では、前記圧電基板上に設けられた少 くとも1つのIDT電極を被覆するように媒質層 が積層されており、前記IDT電極の密度が、前 記圧電基板の密度及び前記媒質層の密度以上 であり、かつIDT電極の密度と、圧電基板の密 度及び媒質層の密度の内の高い方の密度との 密度比が1.22よりも大きくされている。
(発明の効果)

 本発明に係る弾性波素子では、IDT電極が 異なる電位に接続される第1,第2の電極指を む複数の電極指を有しており、第1の電極指 の電極指長さ方向外側にギャップが配置され ており、ギャップ近傍において、第1の電極 の少なくとも一方の側縁から弾性波伝搬方 に突出するように第1の凸部が形成されてい 。従って、該第1の凸部の形成により、ギャ ップが設けられている領域及びギャップ近傍 の領域における弾性波の所望でない反射や散 乱が抑制され、それによって、共振特性やフ ィルタ特性を効果的に改善することが可能と なる。

 また、上記第1の凸部が形成されている電 極指では、電極指先端の形状の変化による特 性の変化が少なく、従って電極指の形状の製 造ばらつきによる特性の変化が生じ難い。加 えて、電極指先端のギャップが大きい場合で あっても、共振特性やフィルタ特性を改善し 得るので、上記ギャップを広くすることがで き、それによって、異なる電位に接続される 電極指間の短絡不良を抑制することも可能と なる。

 よって、本発明によれば、IDT電極の形状 工夫するだけで、特に、第1の電極指の側縁 に第1の凸部を設けるだけで、フィルタ特性 共振特性を効果的に改善することができる この場合、第1の凸部の形成により特性の改 を図るに際し、第1の凸部は以下の実施形態 の説明から明らかなように、さほど大きくす る必要はないため、所望でない短絡や絶縁抵 抗の劣化も生じ難い。

図1(a)は、本発明の第1の実施形態に係 弾性表面波素子の電極構造を示す模式的平 図、(b)は、その要部を拡大して示す部分切 平面図、(c)は、第1の実施形態において、第1 ,第2の凸部の外縁が丸みを帯びた形状に変形 れている構造を示す模式的平面図である。 図2は、本発明の第1の実施形態に係る 性表面波素子の正面断面図である。 図3(a)は、本発明の第1の実施形態弾性 面波素子のインピーダンス特性及び位相特 を示す図であり、(b)はインピーダンスを示 インピーダンススミスチャート図である。 図4は、比較のために用意した第1の従 例の弾性表面波素子の電極構造の要部を示 部分切欠平面図である。 図5は、比較のために用意した第1の比 例としての弾性表面波素子の電極構造の要 を示す部分切欠平面図である。 図6は、第1の実施形態、第1の従来例及 第1の比較例の弾性表面波素子の反射の位相 θと、反射の絶対値│γ│との関係を示す図 ある。 図7は、第1の実施形態の弾性表面波素 を用いた送信フィルタ装置の電極構造を示 模式的平面図である。 図8は、図7に示した送信フィルタの減 量周波数特性を示す図である。 図9は、図7に示した送信フィルタ及び 較のために用意した第1の従来例及び第1の比 較例の弾性表面波素子を用いた各送信フィル タの減衰量周波数特性を示す図である。 図10は、第1の実施形態の弾性表面波素 子の電極構造の先端部の実際の形状を示す走 査型電子顕微鏡写真である。 図11は、第1の実施形態の電極構造にお ける第1の電極指先端のギャップ周辺の状態 示す模式的平面断面図である。 図12(a)は、比較のために用意した第1の 従来例の弾性表面波素子のギャップ周辺の電 極構造を示す部分切欠平面図であり、(b)は第 1の比較例の弾性表面波素子におけるギャッ 周辺の電極構造を模式的に示す部分切欠平 図である。 図13は、第1の実施形態、第1の従来例 び第2の比較例の各弾性表面波素子における ャップ幅Gと、反射の絶対値│γ│との関係 示す図である。 図14は、第1の実施形態の弾性表面波素 子における第2の凸部の面積を変化させた構 を説明するための模式的部分切欠平面図で る。 図15は、第1の比較例の弾性表面波素子 における第2の凸部の面積を変化させた構造 説明するための模式的部分切欠平面図であ 。 図16は、第1の実施形態、第1の従来例 び第1の比較例の弾性表面波素子における第2 の凸部の面積と、反射の絶対値│γ│との関 を示す図である。 図17は、第1の実施形態の弾性表面波素 子における第1の凸部の面積を変化させた構 を説明するための模式的部分切欠平面図で る。 図18は、第1の比較例の弾性表面波素子 において電極指及びダミー電極指先端の電極 形状を変化させた構造を説明するための模式 的部分切欠平面図である。 図19は、第1の実施形態及び第1の比較 の弾性表面波素子における電極指先端部分 面積と、反射の絶対値│γ│との関係を示す 図である。 図20は、第1の実施形態の弾性表面波素 子における共振点、反共振点及びストップバ ンドの関係を説明するためのインピーダンス 特性及び位相特性を示す図である。 図21は、第1の実施形態、第1の従来例 び第1の比較例における反射の絶対値│γ│ 共振周波数-ストップバンド上端周波数間隔 の関係を示す図である。 図22(a),(b)は、それぞれ、第1,第2の凸部 に加えて、電極指先端にテーパー部が設けら れている変形例の弾性表面波素子を説明する ための部分切欠平面図である。 図23は、第2の実施形態の弾性境界波素 子のギャップ周辺の電極構造における寸法関 係を説明するための模式的部分切欠平面図で ある。 図24は、第2の実施形態の弾性境界波素 子及び比較のために用意した第1の従来例の 性境界波素子のインピーダンス特性及び位 特性を示す図である。 図25は、本発明の第3の実施形態として の弾性境界波フィルタ装置の電極構造を示す 模式的平面図である。 図26は、第3の実施形態の弾性境界波フ ィルタ装置の減衰量周波数特性を示す図であ る。 図27は、第2の従来例としての弾性境界 波フィルタ装置の減衰量周波数特性を示す図 である。 図28は、従来の弾性境界波フィルタ装 の一例のIDT電極の要部を示す部分切欠平面 である。

符号の説明

 1…弾性表面波素子
 2…圧電基板
 3…IDT電極
 3a,3b…バスバー
 4…反射器
 5…反射器
 11~14…第1の凸部
 15,16…第2の凸部
 21,22…テーパー部
 31…第1の電極指
 32…第2の電極指
 33,33A…ギャップ
 34…第1のダミー電極指
 35…ギャップ
 36…第2のダミー電極指
 41…送信フィルタ
 42…入力端
 43…出力端子
 51…弾性境界波共振子
 71…弾性境界波フィルタ装置
 72…不平衡端子
 73,74…平衡端子
 75,76…弾性境界波フィルタ
 75a~75c…第1~第3のIDT
 76a~76c…第1~第3のIDT
 77,78…弾性境界波共振子
 S1~S4…直列腕共振子
 P1~P4…並列腕共振子

 以下、図面を参照しつつ、本発明の具体 な実施形態を説明することにより、本発明 明らかにする。

 (第1の実施形態の構造)
 図2は、本発明の第1の実施形態に係る弾性 素子の正面断面図であり、図1(a)は、該弾性 素子の電極構造を示す模式的平面図であり (b)は、その要部を拡大して示す模式的平面 である。

 図2に示すように、弾性波素子1は、圧電 板2と、圧電基板2の上面2aに形成されたIDT電 3と、反射器4,5と、IDT電極3及び反射器4,5を 覆している媒質層6とを有する。

 すなわち、IDT電極3は、圧電基板2と、媒 層6との界面に形成されている。

 本実施形態では、圧電基板2は、0°回転Y板X 搬のLiNbO 3 基板からなる。もっとも、圧電基板2は、他 結晶方位のLiNbO 3 基板により形成されていてもよく、あるいは 、LiTaO 3 や水晶などの他の圧電単結晶により形成され ていてもよい。また、圧電基板2は、圧電セ ミックスによる形成されていてもよい。LiNbO 3 基板からなる圧電基板2の密度は、4.64g/cm 3 である。

 他方、媒質層6は、本実施形態では、SiO 2 からなり、その密度2.2g/cm 3 である。なお、媒質層6を構成する材料は、Si O 2 に限定されず、SiNなどの他の絶縁性材料によ り媒質層6が形成されていてもよい。

 本実施形態では弾性表面波装置が励振さ る。

 IDT電極3及び反射器4,5は、Cu、Agなどの適宜 金属により形成され得る。本実施形態では IDT電極3及び反射器4,5は、Cuを主体とする電 材料により形成されている。より具体的に 、LiNbO 3 側から、Ti膜、Cu膜及びAlCu膜をこの順序で積 してなる積層金属膜により、IDT電極3及び反 射器4,5が形成されている。伝搬される弾性表 面波の波長λとしたときに、Ti膜、Cu膜及びAlC u膜のλで規格化してなる規格化膜厚h/λは、 れぞれ、1.0%、5.0%、及び0.5%である。従って この積層金属膜は、Cuを主体とする電極材料 により形成されている。

 弾性表面波素子1の製造に際しては、上記LiN bO 3 基板上に、規格化膜厚h/λが6.5%のSiO 2 膜を形成する。次に、フォトリソグラフィー 法により、IDT電極3及び反射器4,5が形成され 領域を除いた残りの領域にフォトレジスト ターンを形成する。次に、反応性イオンエ チング等により、フォトレジストパターン より被覆されていない領域をSiO 2 膜を除去する。次に、Cuを主体とする上記電 材料により、IDT電極3及び反射器4,5を形成し た後、残存しているフォトレジストパターン を除去する。しかる後、規格化膜厚h/λが27% 厚みのSiO 2 膜を全面に成膜する。このようにして、弾性 表面波素子1を得る。なお、IDT電極3における ューティは0.50とした。

 図1(a)に示すように、IDT電極3では、弾性 面波伝搬方向に延びる一対のバスバー3a,3bが 備えられている。複数本の第1の電極指31と、 複数本の第2の電極指32とが、弾性表面波伝搬 方向において交互に配置されている。第1の 極指31及び第2の電極指32の延びる方向は、弾 性表面波伝搬方向と直交する方向である。そ して、複数本の第1の電極31の一端が第1のバ バー3aに接続されており、他端が第2のバス ー3b側に延ばされている。複数本の第1の電 指31の先端の電極指長さ方向外側には、ギャ ップ33が配置されている。そして、ギャップ3 3を介して第1の電極指31と対向するように、 1の電極指31の長さ方向延長線上に、第1のダ ー電極指34が設けられている。第1のダミー 極指34は、バスバー3bに接続されている。

 他方、複数本の第2の電極指32の一端は、 スバー3bに接続されており、他端は、第1の スバー3a側に延ばされている。そして、第2 電極指32の先端には、電極指長さ方向外側 ギャップ35が配置されている。ギャップ35を して、第2の電極指32と対向するように、第2 のダミー電極指36が配置されている。ダミー 極指36は、バスバー3aに接続されている。

 本実施形態では、上記複数本の第1の電極 指31と、バスバー3aとを有する第1のくし歯状 極と、複数本の第2の電極指32及びバスバー3 bを有する第2のくし歯状電極により、IDT電極3 が構成されている。IDT電極3では、上記複数 の第1の電極指31と複数本の第2の電極指32と 間挿し合っている。

 図1(a)から明らかなように、IDT電極3では 上記ギャップ33,35の位置が、弾性表面波伝搬 方向に沿って変化されている。言い換えれば 、隣り合っている第1,第2の電極指31,32が、弾 表面波伝搬方向において、重なり合ってい 部分、すなわち交叉領域の寸法である交叉 が、弾性表面波伝搬方向において変化する うに、交叉幅重み付けが施されている。

 反射器4,5は、それぞれ、複数本の電極指 両端を短絡してなるグレーティング反射器 ある。反射器4,5は、IDT電極3の弾性表面波伝 搬方向両側に配置されている。なお、反射器 としては、両端が短絡されてないオープン反 射器を用いてもよい。

 本実施形態の弾性表面波素子1の特徴は、 図1(b)に拡大して示されているように、ギャ プ33の近傍において、第1の電極指31及び第1 ダミー電極指34において、少なくとも一方の 側縁から弾性表面波伝搬方向に突出するよう に、第1の凸部11,12,13,14が形成されていること にある。すなわち、第1の電極指31では、ギャ ップ33の近傍において、弾性表面波伝搬方に 出するように、第1の電極指31の両側縁に第1 の凸部11,12が設けられている。同様に、第1の ダミー電極指34においても、第1の凸部13,14が 両側縁から弾性表面波伝搬方向に突出する うに設けられている。

 なお、第1の電極指31において、第1の凸部 11,12の内、一方の第1の凸部のみが設けられて いてもよい。同様に、第1のダミー電極指34に おいても、両側縁に設けられた第1,第2の凸部 13,14の内、一方の第1の凸部のみが設けられて もよい。

 さらに、ギャップ33の近傍において、第1 電極指31側にのみ、第1の凸部が設けられて てもよく、あるいは、第1のダミー電極指34 においてのみ第1の凸部が設けられていても よい。

 なお、図1(b)では、第1の電極指31の先端に 設けられたギャップ33近傍において、第1の電 極指31及び第1のダミー電極指34に、上記第1の 凸部11,12,13,14,が設けられていたが、第2の電 指32の先端に設けられたギャップ近傍におい ても、同様に、第2の電極指32の先端及び/ま は第2のダミー電極指36の先端に同様に第1の 部が設けられている。

 本実施形態の弾性表面波素子1の他の特徴 は、図1(b)に示すように、第2の電極指32のギ ップ33に臨む部分に、第2の凸部15,16が設けら れていることにある。第2の凸部15は、第2の 極指32のギャップ33に臨む側の側縁から、ギ ップ33に向って突出されている。第2の凸部1 6もまた、同様に、ギャップ33に臨む側縁から ギャップ33に向って突出するように設けられ いる。

 なお、図1(a)に示すように、第2の電極指32 の先端に設けられたギャップにおいても、両 側の第1の電極指31,31のギャップに臨む部分に 、第2の凸部が形成されている。

 図1(b)を参照して、上記第1の凸部11,12,13,14 及び第2の凸部15,16の形状をより具体的に説明 する。

 本実施形態では、上記第2の凸部15,16の電 指長さ方向に沿う位置は、ギャップ33の電 指長さ方向に沿う位置と略等しくされてい 。

 なお、凸部15,16の位置と、ギャップ33との 位置との関係については、電極指31,32の長さ 向に沿う位置が等しくされていることが最 好ましいが、第2の凸部15,16による作用効果 損なわない程度であれば、必ずしも等しく れていなくともよい。

 第1の凸部11,12は、本実施形態では、等角 形の平面形状を有している。すなわち、第1 の電極指31の側縁に連なっている部分が下底 ある等角台形の平面形状を有している。上 が、第1の凸部11,12の突出先端部分であり、 底と上底とが、一対の側辺により結ばれて る。第1の凸部13,14もまた、第1の凸部11,12と じ形状を有している。もっとも、第1の凸部 11~14は、等角台形以外の平面形状を有してい もよい。また、第1の凸部11,12と、ダミー電 指34に設けられた第1の凸部13,14とは、同じ ある必要は必ずしもないが、同一であるこ が望ましい。それによって、ギャップ33の電 極指長さ方向両側における弾性表面波伝搬状 況を同等とすることができ、より一層良好な 共振特性やフィルタ特性を得ることができる 。

 第2の凸部15,16は、等角台形の平面形状を する。電極指の側縁に連ねられている部分 等角台形の下底に相当し、第2の凸部15,16の 端側に、上底を有する。上底と下底とが、 底に対して内角αを有するように、傾斜さ た一対の側辺により結ばれている。このよ な第2の凸部15,16は、前述した特許文献1に記 の凸部と同様である。

 上記等角台形の下底の電極指長さ方向中 が、ギャップ33の電極指長さ方向中心と一 されている。言い換えれば、ギャップ33を電 極指長さ方向に二等分する電極指長さ方向位 置と、下底の電極指長さ方向に沿う中点とが 電極指長さ方向において一致されている。な お、等角台形であるため、内角αは90度未満 なる。

 なお、以下の説明においては、ギャップ3 3の電極指長さ方向に沿う寸法をギャップ幅G し、第2の凸部15の電極指長さ方向に沿う最 寸法すなわち上記凸部15の場合には、下底 電極指長さ方向寸法をW、第2の凸部15の突出 さ、すなわち電極指32の側縁からギャップ に向って突出している弾性表面波伝搬方向 法を突出高さHとする。

 次に、上記第1の凸部11,12,13,14及び第2の凸部 15,16が設けられている本実施形態の弾性表面 素子1の位相特性及びインピーダンス特性を 図3(a)及び(b)に示す。図3(b)における│γ│並 にθは、1ポート型弾性表面波共振子1の入力 ンピーダンスをZ、測定系の特性インピーダ ンスをZ 0 した場合に、│γ│e =(Z-Z 0 )/(Z+Z 0 )で表される。γとθとは、それぞれ、反射の 対値│γ│と反射の位相θを示す。なお、反 射の絶対値│γ│が大きい程、共振子として 特性が良く、望ましい。また、反射の位相 が、180°の点は、共振点における特性を示し 、反射の位相0°の点は反共振点における特性 を示す。

 図3(b)の反射の位相θと、反射の絶対値│ │との関係を図6に実線で示す。比較のため 、図4及び図5に示した形状のIDT電極を用い 場合の反射の位相θと、反射の絶対値│γ│ の関係を図6に破線及び一点鎖線でそれぞれ 示す。

 なお、図4及び図5は、比較のために用意 た第1の従来例及び第1の比較例の弾性表面波 共振子のIDT電極の要部を示す部分切欠平面図 であり、上記実施形態の図1(b)に示した部分 相当する部分を示している。

 第1の実施形態では、第1の凸部11~14及び第 2の凸部15,16が設けられていたが、図4に示し 従来例では、第1,第2の凸部が設けられてい い。その他の点については、第1の従来例は 1の実施形態と同様とした。

 他方、図5に示す第1の比較例では、ギャ プ33Aの近傍において、第1の電極指31の先端 び第1のダミー電極指34の先端に、先端にい に連れて幅が細くなるテーパー部21,22が設け られている。また、第2の電極指32,32には、第 1の実施形態と同様に、第2の凸部15,16が設け れている。

 従って、第1の比較例は、上記の第1の凸 11~14が設けられておらず、代わりに上記テー パー部21,22が設けられていることを除いては 上記実施形態と同様に構成されている。

 図6から明らかなように、第1の従来例に べ、上記実施形態によれば、共振点であるθ =180°の位置から反共振点であるθ=0°にかけて の反射の絶対値│γ│が大きい。従って、共 子としての特性が大幅に改善されているこ がわかる。

 また、第1の比較例は、上記第1の従来例 比べて、上記実施形態と同様に、θ=180°から θ=0°にかけての反射の絶対値│γ│が大きく 第1の従来例よりも共振特性が改善されてい ることがわかる。しかしながら、第1の比較 に比べ、上記実施形態によれば、共振付近 すなわちθ=180°~90°付近の反射の絶対値│γ がかなり大きく、従って、より共振特性が 善され得ることがわかる。

 上記のように、第1の従来例及び第1の比 例との比較から、第1の凸部11~14及び第2の凸 15,16を有する上記実施形態の構造では、共 特性を大幅に改善し得ることがわかる。こ は以下の理由によると考えられる。

 図5に示した第1の比較例では、上記第1の 施形態と同様に、第2の凸部15,16が設けられ いる。第2の凸部15,16が設けられている構成 、前述した特許文献1に記載されており、以 下の作用効果を有するものである。すなわち 、第2の凸部15,16が設けられていることにより 、ギャップ33,33Aにおいて、弾性表面波の実効 伝搬距離が、ギャップ33,33Aが設けられていな い部分、例えば電極指31が存在している部分 おける弾性表面波の実効伝搬距離とほぼ同 となり、それによって、ギャップ33,33Aが設 られている部分と、それ以外の部分との間 弾性表面波の位相ずれが小さくなり、特性 改善される。

 より具体的に説明すると、図4に示すよう に、第2の凸部15,16を有しない第1の従来例で 、第1の電極指が存在する部分では、矢印X1 示すように弾性表面波が伝搬し、ギャップ13 3が設けられている領域では、弾性表面波は 印X2で示すように伝搬する。この場合、矢印 X1で示す伝搬経路では、弾性表面波は、点A1 ら点B1に向って伝搬する。これに対して、ギ ャップ133が設けられている部分では、点A2か 点B2に向って伝搬する。従って、点A1-点B1間 の距離と、点A2-点B2間の距離は等しいが、矢 X2で示す伝搬経路では、電極が全く存在せ 、矢印X1で示す伝搬経路では、第1の電極指 間に存在することとなる。従って、矢印X1で 示すように伝搬する弾性表面波の位相と、矢 印X2で示すように伝搬する弾性表面波の位相 ずれが生じる。

 これに対して、第1の比較例及び上記実施 形態では、第2の凸部15,16が設けられている分 だけ、ギャップ33,33Aが設けられている部分を 伝搬する弾性表面波の位相が、ギャップ以外 の領域を伝搬する弾性表面波の位相に近づけ られ、好ましくは、ほぼ同じとされ、それに よって共振特性が改善される。

 第1の比較例に比べて、上記実施形態にお いて、さらに特性が改善されているのは、以 下の理由による。

 電極指の先端のギャップ付近における音 インピーダンスの不整合が、上記第1の凸部 11~14の存在により抑制され、それによって、 性表面波の所望でない反射や散乱が抑制さ ているためと考えられる。

 なお、第1の凸部11~14及び第2の凸部15,16は いずれも、等角台形の形状を有し、複数の 線で囲まれた領域とされていたが、フォト ソグラフィー法等によりIDT電極を形成する 際しては、図1(c)に示すように、第1の凸部11 ~14及び第2の凸部15,16が丸みを帯びた形状とさ れていてもよい。すなわち、第1,第2の凸部11~ 16の外形は、複数の直線で囲まれた多角形状 有している必要は必ずしもなく、曲線によ 形成されていてもよい。このような曲線の 縁を有する形状とした場合には、電極指形 に際しての形状ばらつきによる特性の変化 抑制することができる。これは、電極指長 方向に若干位置がずれた場合、あるいは弾 表面波伝搬方向に沿って形成位置がずれた しても、曲線の場合には電極指周辺の位置 れが連続的に変化しているため、形状ばら きによる形状の変動が生じ難いことによる よって、好ましくは、第1,第2の凸部は、外 が曲線状の形状を有していることが望まし 。

 上記弾性表面波素子1は、様々な発振子や フィルタ装置などに用いることができる。一 例として、図7に、携帯電話機のデュプレク DPXに用いられている送信フィルタの回路構 を模式的に示す。この送信フィルタ41は、WCD MA方式の携帯電話機のデュプレクサDPXに用い れている送信フィルタである。送信フィル 41は、入力端42と出力端43とを有する。入力 42と出力端43とを結ぶ直列腕に、複数の直列 腕共振子S1~S4が接続されている。また、直列 とアース電位との間に並列腕共振子P1,P2,P3,P 4がそれぞれ接続されている。この直列腕共 子S1~S4として、上記実施形態の弾性表面波共 振子を用いた。また、並列腕共振子P1~P4とし は、第1の従来例の弾性表面波共振子を用い た。

 このようにして構成した送信フィルタの 衰量周波数特性を図8に示す。

 また、図9は、上記図8に示した減衰量周 数特性の要部を拡大して示す図である。比 のために、直列腕共振子を上記第1の従来例 構成したことを除いては上記送信フィルタ4 1と同様にして構成された送信フィルタの減 量周波数特性を図9に破線で示す。また、上 第1の比較例の弾性表面波共振子を直列腕共 振子として用いたことを除いては同様にして 構成された送信フィルタの減衰量周波数特性 を図9に一点鎖線で示す。

 図9から明らかなように、送信フィルタ41 は、通過帯域内の高域側の周波数領域にお る挿入損失が、第1の従来例及び第1の比較 の弾性表面波共振子を用いた相当の送信フ ルタに比べて、0.05~0.1dB小さくし得ることが かる。これは、弾性表面波共振子の共振点 近の反射の絶対値│γ│が上記実施形態の 性表面波共振子では大きくされていること よると考えられる。

 なお、上記実施形態の弾性表面波素子1に おけるIDT電極の先端部分の走査型電子顕微鏡 写真を図10に示す。図10に示す走査型電子顕 鏡写真では、上記第1の凸部及び第2の凸部が 丸みを帯びていることがわかる。

 また、上記実施形態の送信フィルタ41と 第1の従来例の弾性表面波共振子を用いた送 フィルタ及び第1の比較例の弾性表面波共振 子を用いた送信フィルタの静電破壊耐圧を測 定した。

 その結果、第1の従来例の弾性表面波共振 子を用いた送信フィルタでは、故障確率5%電 は、180Vであり、第1の比較例の弾性表面波 振子を用いた送信フィルタでは175Vであった に対し、上記実施形態の送信フィルタでは 175Vであった。従って、上記第1,第2の凸部を 設けた弾性表面波共振子では、耐サージ電圧 は、上記第1の従来例及び第1の比較例の各弾 表面波共振子を用いた場合と同等であるこ がわかる。

 (ギャップ幅Gの影響)
 次に、第1の実施形態の弾性表面波共振子に おいて、ギャップ33のギャップ幅Gにより、共 振特性が変化するか否かを確認した。

 第1の実施形態の変形例として図11に示す 極構造を有する弾性表面波素子を作製した なお、図11に示す弾性表面波素子51は、第1, 2の凸部の外縁が曲線とされていることを除 いては、上記第1の実施形態と同様にして構 された、すなわち図1(c)に示したものと同様 弾性表面波共振子である。比較のために、 12(a)に示す第1の従来例及び図12(b)に示す第1 比較例の電極構造を有する弾性表面波共振 を同様にして構成した。なお、図12(a)及び(b )に示す各弾性表面波共振子201,202においても 電極指の外縁は丸みを帯びた形状とするよ に、第1の実施形態の比較のために用意した 前述した第1の従来例及び第1の比較例の電極 の形状を若干変更した。

 上記弾性表面波共振子51,201,202において、 ギャップ幅Gを変化させ、共振点付近の反射 絶対値│γ│を測定した。結果を図13に示す

 なお、上記ギャップ幅Gは、作製された弾 性表面波共振子のIDT電極を走査型電子顕微鏡 により観察することにより求めた。

 図13から明らかなように、第1の従来例及 第1の比較例では、ギャップ幅Gを小さくし ければ、反射の絶対値│γ│が大きくならず 、特性が向上しないことがわかる。しかしな がら、ギャップ幅Gを小さくすると、製造時 ばらつき等により短絡不良が生じるおそれ ある。

 これに対して、本実施形態では、ギャッ 幅Gを変化させたとしても、反射の絶対値│ γ│はさほど変化しないことがわかる。従っ 、ギャップ幅Gを比較的大きくすることがで き、それによって特性の劣化を招くことなく 、短絡不良を防止し得ることがわかる。

 (第2の凸部による影響)
 次に、上記実施形態における第2の凸部15,16 大きさ及び有無による影響を評価した。

 図14に示すように、上記実施形態の弾性 面波共振子における第1の凸部15,16の面積を 々変更した。図14では、第1の凸部15,16がクロ スのハッチングで示されているが、第1の凸 11~14の形状を固定し、上記第1,第2の凸部15,16 面積を種々変化させ、複数種の第1の実施形 態の弾性表面波共振子1を作製した。

 比較のために、図15に示す第1の比較例の 性表面波素子203を作製した。弾性表面波共 子203においては、第1の凸部は設けられてお らず、第1の電極指及び第1のダミー電極指の 端が丸みを帯びている。他方、第2の凸部15, 16については、クロスのハッチングを付して しているが、この面積を種々変化させ、複 種の弾性表面波素子203を作製した。

 上記のようにして作製された実施形態の 性表面波共振子及び第1の比較例の弾性表面 波共振子203における、第2の凸部の面積と、 振点付近の反射の絶対値│γ│との関係を図 16に示す。

 なお、第2の凸部の面積については、走査 型電子顕微鏡写真により観察し、求めた。図 16の横軸は、1つの凸部の面積を表わす。

 図16から明らかなように、第1の凸部の面 が大きくなるにつれて、実施形態及び第1の 比較例のいずれにおいても、反射の絶対値│ γ│が大きくなり、特性が良好であることが かる。従って、第2の凸部15,16の面積をある 度以上とすることが望ましいことがわかる

 もっとも、第1の比較例では、第1の凸部 積をかなり大きくしなければ、反射の絶対 │γ│をさほど大きくし得ないことがわかる 。

 また、第2の凸部が設けられていない、す なわち図15のクロスのハッチングで付した凸 が設けられていない前述した第1の従来例に 相当する弾性表面波装置では、反射の絶対値 │γ│が0.932以下と小さいことがわかる。

 これに対して、上記実施形態では、第1の 比較例に比べて、反射の絶対値│γ│が第2の 凸部の大きさきの如何に関わらず、十分に大 きいこと、並びに第2の凸部が設けられてい い場合、すなわち第2の凸部の面積が0である 場合においても反射の絶対値│γ│が0.939と 常に大きいことがわかる。

 従って、図6から、本発明によれば、上記 第2の凸部が設けられずとも、第1の凸部が設 られていることによって、反射の絶対値│ │を十分に大きくすることができ、良好な 振特性が得られることがわかる。

 また、より好ましくは、上記第2の凸部15, 16を設け、該第2の凸部15,16の面積を大きくし いくことにより、共振特性をより一層高め ることがわかる。

 (第1の凸部の形状の変化による特性の変化)
 次に、上記実施形態において、図17に模式 に示すように、第2の凸部15,16を形状を固定 、クロスのハッチングを付して示す第1の凸 11~14を種々変更し、特性の変化を評価した

 比較のために、図18に示す第1の比較例に 当の電極構造において、第2の凸部の面積を 上述実施形態の場合と同様に固定し、第1の 極指及び第1のダミー電極指の先端のクロス ハッチングを付して示すテーパー部21,22の 積を種々変化させ、特性の変化を求めた。

 図19は、結果を示し、第1の電極指及び第1 のダミー電極指の先端の第1の凸部11~14の面積 あるいはこれらの先端のテーパー部21,22の面 を変化させた場合の共振点付近の反射の絶 値│γ│の変化を示す図である。

 図19から明らかなように、上記第1の比較 では、電極指の先端のテーパー部21,22の面 を変化させ、かつその形状を変化させた場 、特性が大きくばらつくことがわかる。す わち、上記第1の比較例では、共振特性が、 極指の先端の形状に大きく依存しているこ がわかる。

 これに対して、上記実施形態では、第1の 凸部11~14の面積が大きくなるに従って、反射 絶対値│γ│が大きくなり、従って、特性 良好になっていくことがわかる。よって、 性表面波共振子の絶縁性が劣化しない程度 、第1の凸部11~14の面積を大きくすることが ましいことがわかる。

 また、本実施形態では、製造時における 極形状のばらつきによる特性のばらつきも じ難いことがわかる。

 従って、製造時の電極の形状ばらつきに る特性のばらつきが生じ難いため、安定な 性の弾性表面波共振子を提供することがで る。

 (ストップバンドと特性との関係)
 上記実施形態の弾性表面波共振子では、IDT 極による弾性表面波の反射係数が大きいこ が望ましく、これが大きいほど広いストッ バンドを得ることができる。IDT電極による 性表面波の反射係数が小さくなり、ストッ バンドが狭くなると、例えば、図20に示す 振特性において、矢印Bで示すストップバン 上端の周波数に位置するリップルBが共振周 波数及び反共振周波数に近づくおそれがある 。

 上記実施形態の弾性表面波共振子における 共振周波数とIDT電極のストップバンド上端 周波数との間隔と、共振点付近すなわちθ=1 50°の場合の反射の絶対値│γ│との関係を図 21に示す。なお、図21の縦軸は、共振周波数 fr、ストップバンド上端の周波数f stop とした場合、共振周波数とIDT電極のストップ バンド上端の周波数間隔を(f stop -fr)/frとして求めた値(%)である。

 比較のために、第1の従来例及び第1の比 例の弾性表面波共振子についても、同様に て、反射の絶対値│γ│と、共振周波数-ス ップバンド上端周波数間隔との関係を求め 。図21に併せて結果を示す。

 図21から明らかなように、第1の比較例で 、反射の絶対値│γ│を大きくすると、共 周波数-ストップバンド上端周波数間隔が狭 なることがわかる。

 また、第1の従来例では、図21から明らか ように、共振周波数-ストップバンド上端周 波数間隔が広いものの、反射の絶対値│γ│ さほど大きくならないことがわかる。

 これに対して、本実施形態では、反射の 対値│γ│を大きくしたとしても、共振周 数-ストップバンド上端周波数間隔は狭くな ないことがわかる。すなわち、ストップバ ドを狭くすることなく、共振特性を改善し ることがわかる。

 (変形例)
 図22(a)は、上記実施形態の弾性表面波共振 の変形例を説明するための模式的部分切欠 面図である。

 上記実施形態の弾性表面波共振子では、 述した第1,第2の凸部11~16が設けられていた 、図22(a)に示す変形例のように、第1の凸部11 ~14及び第2の凸部15,16に加え、 テーパー部61,6 2が設けられてもよい。テーパー部61は、第1 電極指31の先端において、電極指幅が先端に いくに連れて細くなっている部分である。同 様に、テーパー部62は、第1のダミー電極指34 おいて、テーパーが付けられている部分で る。第1の凸部11~14は、電極指31やダミー電 指34の先端から離れた位置に設けられている 。テーパー部61,62は、第1の凸部11,12または第1 の凸部13,14と隔てられて設けられている。こ では、第1の凸部11,12から、テーパー部61に る電極指側縁部分が凹状に湾曲している。 様に、第1の凸部13,14からテーパー部62に至る 電極指側縁部分が凹状に湾曲している。

 図22(a)では、第1の電極指31及び第1のダミ 電極指34のテーパー部61,62を示したが、第2 電極指及び第2のダミー電極指の先端にも同 にテーパー部を設けてもよい。

 本変形例では、上記テーパー部61,62を設 ることにより、ギャップ33が設けられている 部分と、ギャップ33以外の領域で伝搬する弾 表面波の位相差を小さくすることができ、 れによって共振特性をより一層改善するこ ができる。

 すなわち、第1の凸部11~14は、図4の矢印X1 びX2で示されている弾性表面波の伝搬経路 差を小さくするめに設けられており、それ よって、ギャップ33が設けられている部分と 、弾性表面波の位相ずれを小さくすることに より、共振特性の向上が図られていた。本変 形例のように、上記テーパー部61,62を設ける とにより、ギャップ3が設けられている部分 から、電極指長さ方向に遠ざかる方向につれ ての弾性表面波伝搬の変動を穏やかにするこ とができ、かつ弾性表面波実効伝搬距離の差 を小さくすることができる。

 よって、位相ずれをより一層効果的に補 でき、それによって共振特性をより一層改 することができる。

 また、図22(b)に示す変形例のように、第1 凸部11,12が丸みを帯びており、テーパー部61 も丸みを帯びていてもよい。また、この場合 、第1の凸部13,14及びテーパー部62も丸みを帯 ている。このように、テーパー部61,62が、 1の凸部11~14と同様に、その外縁が丸みを帯 ていてもよい。さらに、図22(b)では、第1の 部11,12から、テーパー部61に至る電極指側縁 分、及び第1の凸部13,14からテーパー部62に なっている電極指側縁部分は凸状に湾曲し いる。このように、第1の凸部からテーパー に至る電極指側縁部分は、凹状に湾曲して てもよく、あるいは凸状に湾曲していても い。いずれの場合においても、電極指側縁 分が、湾曲している場合には、電極指の製 に際しての形状ばらつきが生じ難い。すな ち、形状ばらつきによる特性のばらつきが じ難い。従って、特性の安定な弾性表面波 子を提供することができる。

 (第2の実施形態)
 第1の実施形態と同様に、1ポート型弾性境 波共振子を作製した。もっとも、本実施形 では15°YカットX伝搬LiNbO 3 からなる圧電基板2上に、IDT電極3及び反射器4 ,5を形成し、さらにSiO 2 膜を形成した。上記LiNbO 3 基板の厚みは350μm、SiO 2 からなる媒質層の膜厚は6μmとした。第1の実 形態と異なり、SiO 2 を十分厚くしたので本実施形態では弾性境界 波が励振される。またIDT電極及び反射器は、 NiCr/Au/NiCrをこの順序で積層した積層金属膜に より形成し、その厚みは、NiCr/Au/NiCr=10nm/75nm/1 0nmとした。

 IDT電極の電極指の対数は60対、反射器に ける電極指の本数は51本とした。また、IDT電 極3における交叉幅は30λ、開口幅は30.4λとし 。また、IDT電極では、中央における交叉幅 30λ、両端にいくに連れて交叉幅が小さくな り、両端における交叉幅が15λとなるように 交叉幅重み付けが施されている。

 IDT電極における電極指のピッチで定まる 長λは1.6μmとし、IDT電極の電極指の幅をLと 、0.44μm、隣接する電極指間のスペース幅を Sとし、S=0.36μmとした。また、図23に要部を拡 大して示すギャップのギャップ幅Gは0.3μmと た。

 さらに、図23に示すように、第1の凸部11~1 4と、第2の凸部15,16とを形成した。第1の凸部1 1~14及び第2の凸部15,16の図中の各寸法は以下 通りとした。

 TL=0.188μm、TW1=0.329μm、TW2=0.188μm、SW1=0.47μm 、SH=0.166μm、SW2=0.094μm。

 比較のために、第1,第2の凸部が設けられ いないことを除いては、上記第2の実施形態 と同様にして構成された第2の従来例の弾性 界波共振子を作製した。

 上記のようにして用意された第2の実施形 態及び第2の従来例の弾性境界波共振子のイ ピーダンス-周波数特性及び位相特性を図24 それぞれ実線及び破線で示す。

 図24から明らかなように、第2の従来例に べて、上記第2の実施形態によれば、山谷比 すなわち反共振点のインピーダンスの共振点 におけるインピーダンスに対する比を第2の 来例のインピーダンス比60dBから第2の実施形 態のインピーダンス比63dBに大きくし得るこ がわかる。

 (第3の実施形態)
 図25に示す弾性境界波フィルタ装置71を作製 した。弾性境界波フィルタ装置71では、不平 端子72と、第1,第2の平衡端子73,74とが備えら れた、平衡-不平衡変換機能を有する帯域フ ルタが構成されている。ここでは、不平衡 子72に、第1,第2の縦結合共振子型弾性境界波 フィルタ75,76が接続されている。縦結合共振 型の弾性境界波フィルタ75,76は、それぞれ 第1のIDT75a,76aと、第1のIDTの弾性境界波伝搬 向両側に配置された第2,第3のIDT75b,75c,76b,76c を有する3IDT型の縦結合共振子型弾性境界波 ィルタ装置である。IDT75a~75c,76a~76cが設けら ている領域の境界波伝搬方向両側には、反 器75d,75e,76d,76eが配置されている。

 第1のIDT75a,76aの各一端が共通接続され、 平衡端子72に接続されており、各他端はアー ス電位に接続されている。

 第2,第3の75b,75cの各一端か共通接続され、 第1の1ポート型弾性境界波共振子77を介し、 1の平衡端子73に接続されている。IDT75b,75cの 他端はアース電位に接続されている。

 同様に、第2,第3のIDT76b,76cの各一端が共通 接続され、1ポート型弾性境界波共振子78を介 して第2の平衡端子74に接続されている。IDT76b ,76cの各他端はアース電位に接続されている

 上記弾性境界波フィルタ装置75,76及び弾性 界波共振子77,78を、いずれも、SiO/IDT電極/15° YカットX伝搬LiNbO 3 の積層構造により形成した。LiNbO 3 基板の厚みは350μm、SiO 2 の厚み6μmとした。

 電極は、Al/Ti/Ni/Au/Niをこの順序で上から に積層した構造として、その厚みはAl/Ti/Ni/Au /Ni=100/10/10/55/10nmとした。

 IDTの電極指の対数は、弾性境界波フィル 装置75,76において、中央の第1のIDT75a,76aにお いて、10.5対とし、第2,第3のIDT75b,75c,76b,76cで 、各6.5対とした。反射器の電極指の本数は15 本とした。

 IDT電極の電極指交叉幅は25λ、開口幅は25. 4λとし、IDT電極には、IDT電極中央における電 極指交叉幅が25λ、両端が交叉幅20λとなるよ に中央から両端にいくに連れて交叉幅が小 くなるように交叉幅重み付けを施こした。

 弾性境界波共振子77,78についても、電極 造は同様とし、ただし中央のIDT電極の重み けは、交叉幅が中央で30λ、両端にいくに連 て小さくなり、両端における交叉幅は12λと した。λ=1.6μmとし、電極指の幅であるL=0.4μm 隣接する電極指間のスペース幅であるS=0.4μ m、電極指先端の電極指長さ方向に配置され ギャップの幅であるG=0.3μmとした。

 比較のために、上記第1,第2の凸部が設け れていないこと以外は同様にして構成され 弾性境界波フィルタ装置及び弾性境界波共 子を用いた弾性境界波フィルタ装置を第3の 従来例として用意した。

 上記のようにして用意された第3の実施形 態の弾性境界波装置の減衰量周波数特性を図 26に、比較のために用意した第3の従来例の弾 性境界波装置の減衰量周波数特性を図27に示 。

 図26と図27とを比較すれば明らかなように 、上記第1,第2の凸部を設けた第3の実施形態 は、通過帯域における最小挿入損失を0.2dB小 さくすることができ、従って、挿入損失の低 減を果たすことができ、かつ通過帯域におけ るフィルタ特性の平坦化を図り得ることがわ かる。

 なお、上記LiNbO 3 やLiTaO 3 などの圧電基板上にIDT電極を形成し、さらに SiO 2 膜を積層して弾性境界波装置を構成した場合 、SiO 2 と、IDT電極の弾性境界波の音速比が、前述し た位相ずれや回折の原因となる。そのため、 音響インピーダンス比が電極指先端における 散乱の要因となる。よって、音速比や音響イ ンピーダンスが大きな構造では、このような 問題点がより顕著に表われる。従って、本発 明によって、第1の凸部を設けることにより あるいは第1,第2の凸部の双方を設けること より、共振特性やフィルタ特性をより一層 善することができる。通常、音速比や音響 ンピーダンス比は、これらの材料の密度比 大きいほど大きい。SiO 2 /IDT電極/圧電基板構造において、AlによりIDT 極を設けた場合、本発明の効果は得られる のの、その効果は比較的小さい。SiO 2 の密度が2.2g/cm 3 であり、Alの密度は2.69g/cm 3 と密度比が2.69/2.2=1.22と小さいためである。

 他方、密度が8.93g/cm 3 であるCuや、密度が19.3g/cm 3 であるAgを用いた場合、SiO 2 に対する密度比が大きくなる。従って、上記 第3の実施形態に示したように、共振特性や ィルタ特性を大きく改善することができる

 よって、本発明では、好ましくは、少な とも一方の媒質とIDT電極の密度比が1.22より も大きいことが望ましい。

 IDT電極は、前述したように、複数の金属 を積層した構造であってもよく、単一の金 膜により形成されていてもよい。もっとも 積層金属膜においても、Ni、NiCrやTiを密着 や拡散バリヤ層を形成する構造が望ましい 例えば、NiCr/Au/NiCr構造などが望ましい。ま 、主電極としてAlとAuとを積層したり、上述 着層やバリヤ層を形成した構造も効果的で り、密度の小さいAlとともに、密度の大き Auを利用することにより、本発明の効果をよ り大きく期待することができる。

 なお、IDT電極を被覆する媒質については、 述したSiO 2 に限らず、SiNなどの他の材料を用いてもよく 、また複数の材料を積層した構造であっても よい。例えば、SiN/SiO 2 やSiO 2 /SiN/SiO 2 といった積層構造を用いてもよい。

 また、前述した第1の実施形態では、弾性 表面波素子につき説明したが、弾性境界波素 子にも適用できる。なお、IDT電極を被覆する 媒質を備えない弾性表面波装置に適用できる 。

 また、前述した第2,第3の実施形態では、 性境界波素子につき説明したが、弾性表面 素子及び弾性表面波素子を用いた弾性表面 フィルタ装置なども適用することができる