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Patent Searching and Data


Title:
ELECTRET AND ELECTROSTATIC INDUCTION CONVERSION DEVICE
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/104699
Kind Code:
A1
Abstract:
Disclosed are an electret having excellent thermal stability of electric charges and an electrostatic induction conversion device comprising the electret. The electret contains one of a fluorine-containing polymer containing at least one repeating unit selected from the group consisting of a repeating unit (a), a repeating unit (b) and a repeating unit (c) in a total amount of not less than 80% by mole and having a glass transition temperature of 110-350˚C; a fluorine-containing polymer containing at least one repeating unit selected from the group consisting of a repeating unit (a1), a repeating unit (b) and a repeating unit (c) in a total amount of not less than 80% by mole; or a fluorine-containing polymer containing a repeating unit (a2), a repeating unit (b) and/or a repeating unit (c) with the total amount of the repeating units (b) and (c) being not less than 2% by mole. The electrostatic induction conversion device comprises the electret.

More Like This:
JPS5526700ELECTRET
Inventors:
KASHIWAGI KIMIAKI (JP)
Application Number:
PCT/JP2009/052932
Publication Date:
August 27, 2009
Filing Date:
February 19, 2009
Export Citation:
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Assignee:
ASAHI GLASS CO LTD (JP)
KASHIWAGI KIMIAKI (JP)
International Classes:
H01G7/02; C08F16/32
Domestic Patent References:
WO2005054336A12005-06-16
WO2003037838A12003-05-08
WO2001092194A12001-12-06
Foreign References:
JP2007312551A2007-11-29
US20050009944A12005-01-13
JP2006180450A2006-07-06
JP2003040938A2003-02-13
JP2001302725A2001-10-31
JPH04346957A1992-12-02
JPH04346989A1992-12-02
US5260492A1993-11-09
US5326917A1994-07-05
US5350821A1994-09-27
JPH04329154A1992-11-17
JP3053657B22000-06-19
JPH04189880A1992-07-08
US3481815A1969-12-02
JPS4329154B11968-12-13
Other References:
See also references of EP 2256761A4
Attorney, Agent or Firm:
SENMYO, Kenji et al. (JP)
Spring name Kenji (JP)
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Claims:
 下式(a)で表される繰り返し単位、下式(b)で表される繰り返し単位および下式(c)で表される繰り返し単位からなる群から選択される1種以上の繰り返し単位を含み、それらの合計量が、全繰り返し単位に対して80モル%以上であり、ガラス転移温度が110~350℃である含フッ素重合体を含有することを特徴とするエレクトレット。
[式中、X 1 ~X 4 はそれぞれ独立にフッ素原子、塩素原子、フッ素化アルキル基またはフッ素化アルコキシ基であり、aおよびbは一方が0で他方が1であり、a+b=1であり、cは0~3の整数であり、X 1 およびX 2 がそれぞれ複数存在する場合、複数のX 1 およびX 2 はそれぞれ同じであってもよく、異なっていてもよい。]
[式中、Y 1 ~Y 3 はそれぞれ独立にフッ素原子、塩素原子、フッ素化アルキル基またはフッ素化アルコキシ基であり、Y 2 およびY 3 は相互に結合して含フッ素脂肪族環を形成していてもよい。]
[式中、Z 1 ~Z 4 はそれぞれ独立にフッ素原子、塩素原子、フッ素化アルキル基またはフッ素化アルコキシ基である。]
 下式(a1)で表される繰り返し単位、下式(b)で表される繰り返し単位および下式(c)で表される繰り返し単位からなる群から選択される1種以上の繰り返し単位を含み、それらの合計量が、全繰り返し単位に対して80モル%以上である含フッ素重合体を含有することを特徴とするエレクトレット。
[式中、X 11 ~X 14 はそれぞれ独立にフッ素原子、塩素原子、フッ素化アルキル基またはフッ素化アルコキシ基であり、X 11 ~X 14 のうちの少なくとも1つは塩素原子、フッ素化アルキル基またはフッ素化アルコキシ基であり、dおよびeは一方が0で他方が1であり、fは0~3の整数であり、X 11 およびX 12 がそれぞれ複数存在する場合、複数のX 11 およびX 12 はそれぞれ同じであってもよく、異なっていてもよい。]
[式中、Y 1 ~Y 3 はそれぞれ独立にフッ素原子、塩素原子、フッ素化アルキル基またはフッ素化アルコキシ基であり、Y 2 およびY 3 は相互に結合して含フッ素脂肪族環を形成していてもよい。]
[式中、Z 1 ~Z 4 はそれぞれ独立にフッ素原子、塩素原子、フッ素化アルキル基またはフッ素化アルコキシ基である。]
 下式(a2)で表される繰り返し単位と、下式(b)で表される繰り返し単位および/または下式(c)で表される繰り返し単位とを含み、前記式(b)で表される繰り返し単位および前記式(c)で表される繰り返し単位の合計量が、全繰り返し単位に対して2モル%以上である含フッ素重合体を含有することを特徴とするエレクトレット。
[式中、gおよびhは一方が0で他方が1であり、iは0~3の整数である。]
[式中、Y 1 ~Y 3 はそれぞれ独立にフッ素原子、塩素原子、フッ素化アルキル基またはフッ素化アルコキシ基であり、Y 2 およびY 3 は相互に結合して含フッ素脂肪族環を形成していてもよい。]
[式中、Z 1 ~Z 4 はそれぞれ独立にフッ素原子、塩素原子、フッ素化アルキル基またはフッ素化アルコキシ基である。]
 前記含フッ素重合体が、前記繰返し単位(a)と前記繰返し単位(b)とからなる共重合体であり、前記(a)に置けるX 1 ~X 4 がフッ素原子であり、前記(b)におけるY 1 がフッ素原子であり、Y 2 及びY 3 がトリフルオロメチル基である請求項1に記載のエレクトレット。
 前記含フッ素重合体が、前記式(a1)で表される繰り返し単位のみを含む重合体である請求項2に記載のエレクトレット。
 前記含フッ素重合体が、前記(a1)における、X 11 及びX 12 がフッ素原子であり、X 13 及びX 14 の両方が塩素原子であるか、または、X 11 、X 12 及びX 13 がフッ素原子であり、X 14 が塩素原子である請求項5に記載のエレクトレット。
前記含フッ素重合体が、前記(a1)における、X 11 がフッ素原子であり、X 12 がトリフルオロメチル基であり、X 13 及びX 14 がフッ素原子であるか、または、X 11 、X 12 及びX 13 がフッ素原子であり、X 14 がトリフルオロメチル基である、請求項5に記載のエレクトレット。
 前記含フッ素重合体が、前記式(a2)で表される繰り返し単位と、前記式(b)で表される繰り返し単位とを含む共重合体である請求項3に記載のエレクトレット。
 コーティング膜である請求項1~7のいずれか一項に記載のエレクトレット。
 請求項1~9のいずれか一項に記載のエレクトレットを備える静電誘導型変換素子。
Description:
エレクトレットおよび静電誘導 変換素子

 本発明は、エレクトレットおよび該エレ トレットを備える静電誘導型変換素子に関 る。

 従来より、絶縁材料に電荷を注入したエレ トレットを使用した、発電装置、マイクロ ォン等の静電誘導型変換素子が提案されて る。
 従来、該エレクトレットの材料としては、 に、ポリテトラフルオロエチレン等の鎖状 含フッ素樹脂が使用されていた。また、最 、該エレクトレットの材料として、主鎖に フッ素脂肪族環構造を有する重合体を用い ことが提案されている(たとえば特許文献1)

特開2006-180450号公報

 しかし、従来のエレクトレットは、注入さ た電荷の熱安定性が不充分で、高温時の電 保持性能が低いという問題がある。かかる 題は、当該エレクトレットを使用した静電 導型変換素子の特性の劣化等の原因となる め、その改善が求められる。
 本発明は、上記従来の課題に鑑みなされた のであり、電荷の熱安定性に優れたエレク レットおよび該エレクトレットを備える静 誘導型変換素子の提供を課題とする。

 本発明は、以下の構成を有する、エレクト ットおよび静電誘導型変換素子を提供する
 [1]下式(a)で表される繰り返し単位、下式(b) 表される繰り返し単位および下式(c)で表さ る繰り返し単位からなる群から選択される1 種以上の繰り返し単位を含み、それらの合計 量が、全繰り返し単位に対して80モル%以上で あり、ガラス転移温度が110~350℃である含フ 素重合体を含有することを特徴とするエレ トレット。
 [2]下式(a1)で表される繰り返し単位、下式(b) で表される繰り返し単位および下式(c)で表さ れる繰り返し単位からなる群から選択される 1種以上の繰り返し単位を含み、それらの合 量が、全繰り返し単位に対して80モル%以上 ある含フッ素重合体を含有することを特徴 するエレクトレット。
 [3]下式(a2)で表される繰り返し単位と、下式 (b)で表される繰り返し単位および/または下 (c)で表される繰り返し単位とを含み、前記 (b)で表される繰り返し単位および前記式(c) 表される繰り返し単位の合計量が、全繰り し単位に対して2モル%以上である含フッ素重 合体を含有することを特徴とするエレクトレ ット。
 [4]前記含フッ素重合体が、前記繰返し単位( a)と前記繰返し単位(b)とからなる共重合体で り、前記(a)に置けるX 1 ~X 4 がフッ素原子であり、前記(b)におけるY 1 がフッ素原子であり、Y 2 及びY 3 がトリフルオロメチル基である、上記[1]に記 載のエレクトレット。
 [5]前記含フッ素重合体が、前記式(a1)で表さ れる繰り返し単位のみを含む重合体である、 上記[2]に記載のエレクトレット。
 [6]前記含フッ素重合体が、前記(a1)における 、X 11 及びX 12 がフッ素原子であり、X 13 及びX 14 の両方が塩素原子であるか、または、X 11 、X 12 及びX 13 がフッ素原子であり、X 14 が塩素原子である、上記[5]に記載のエレクト レット。
 [7]前記含フッ素重合体が、前記(a1)における 、X 11 がフッ素原子であり、X 12 がトリフルオロメチル基であり、X 13 及びX 14 がフッ素原子であるか、または、X 11 、X 12 及びX 13 がフッ素原子であり、X 14 がトリフルオロメチル基である、上記[5]に記 載のエレクトレット。
 [8]前記含フッ素重合体が、前記式(a2)で表さ れる繰り返し単位と、前記式(b)で表される繰 り返し単位とを含む共重合体である、上記[3] に記載のエレクトレット。
 [9]コーティング膜である、上記[1]~[8]のいず れかに記載のエレクトレット。
 [10]上記[1]~[9]のいずれかのエレクトレット 備える静電誘導型変換素子。

[式中、X 1 ~X 4 はそれぞれ独立にフッ素原子、塩素原子、フ ッ素化アルキル基またはフッ素化アルコキシ 基であり、aおよびbは一方が0で他方が1であ 、cは0~3の整数であり、X 1 およびX 2 がそれぞれ複数存在する場合、複数のX 1 およびX 2 はそれぞれ同じであってもよく、異なってい てもよい。]

[式中、Y 1 ~Y 3 はそれぞれ独立にフッ素原子、塩素原子、フ ッ素化アルキル基またはフッ素化アルコキシ 基であり、Y 2 およびY 3 は相互に結合して含フッ素脂肪族環を形成し ていてもよい。]

[式中、Z 1 ~Z 4 はそれぞれ独立にフッ素原子、塩素原子、フ ッ素化アルキル基またはフッ素化アルコキシ 基である。]

[式中、X 11 ~X 14 はそれぞれ独立にフッ素原子、塩素原子、フ ッ素化アルキル基またはフッ素化アルコキシ 基であり、X 11 ~X 14 のうちの少なくとも1つは塩素原子、フッ素 アルキル基またはフッ素化アルコキシ基で り、dおよびeは一方が0で他方が1であり、fは 0~3の整数であり、X 11 およびX 12 がそれぞれ複数存在する場合、複数のX 11 およびX 12 はそれぞれ同じであってもよく、異なってい てもよい。]

[式中、gおよびhは一方が0で他方が1であり、i は0~3の整数である。]

 本発明によれば、電荷の熱安定性に優れ エレクトレットおよび該エレクトレットを える静電誘導型変換素子を提供できる。

電荷の注入に用いたコロナ荷電装置の 略構成図である。 表面電位の測定点の設定位置を示す図 ある。 熱安定性試験で用いた装置の概略構成 である。

符号の説明

 10…銅基板、11…コーティング膜、12…直 高圧電源装置、14…コロナ針、16…グリッド 、17…電流計、18…グリッド用電源、19…ホッ トプレート、20…対向電極、21…エレクトレ ト、22…電流計。

 以下、本発明をより詳細に説明する。以下 明細書中においては、重合体を構成する「 り返し単位」を「単位」と略記することが る。
 また、式(a)で表される単位を「単位(a)」と 記す。他の式で表される単位、化合物等に いても同様に記し、たとえば式(1)で表され 単量体を「単量体(1)」とも記す。

<エレクトレット>
 本発明のエレクトレットは、下記含フッ素 合体(I)~(III)のうちのいずれかの含フッ素重 体を含む。
 含フッ素重合体(I):単位(a)、単位(b)および単 位(c)からなる群から選択される1種以上の繰 返し単位を含み、それらの合計量が、全繰 返し単位に対して80モル%以上であり、ガラ 転移温度が110~350℃である含フッ素重合体。
 含フッ素重合体(II):単位(a1)、単位(b)および 位(c)からなる群から選択される1種以上の繰 り返し単位を含み、それらの合計量が、全繰 り返し単位に対して80モル%以上である含フッ 素重合体。
 含フッ素重合体(III):単位(a2)と、単位(b)およ び/または単位(c)とを含み、単位(b)および(c) 合計量が、全繰り返し単位に対して2モル%以 上である含フッ素重合体。
 これらの含フッ素重合体は、いずれも、非 質のパーフルオロ重合体であり、非プロト 性含フッ素溶媒に可溶である。
 ここで、「可溶」とは、25℃の条件下にて 濃度5%以上の溶液とすることができることを 意味する。

[含フッ素重合体(I)]
 単位(a)は、前記一般式(a)で表される。
 式(a)中、X 1 ~X 4 におけるフッ素化アルキル基としては、炭素 数1~8のフッ素化アルキル基が好ましく、炭素 数1~3のフッ素化アルキル基がより好ましい。
 該フッ素化アルキル基は、直鎖状であって よく、分岐鎖状であってもよく、直鎖状で ることが好ましい。
 また、該フッ素化アルキル基は、アルキル の水素原子の全部がフッ素化されたもの(パ ーフルオロアルキル基)であってもよく、ア キル基の水素原子の一部がフッ素化された のであってもよいが、パーフルオロアルキ 基が好ましい。
 該フッ素化アルキル基としては、トリフル ロメチル基、ペンタフルオロエチル基また ヘプタフルオロプロピル基が好ましく、ト フルオロメチル基が特に好ましい。

 X 1 ~X 4 におけるフッ素化アルコキシ基としては、上 述したフッ素化アルキル基に酸素原子(-O-)が 合したものが挙げられる。
 aおよびbは、一方が0で他方が1である。
 cは0~3の整数であり、0または1が好ましく、1 が最も好ましい。
 cが2または3の場合、単位(a)中には、X 1 およびX 2 がそれぞれ複数存在する。
 この場合、複数のX 1 およびX 2 は、それぞれ同じものであってもよく、異な るものであってもよい。

 本発明においては、単位(a)として、前記式( a1)で表される単位(a1)を含むことが好ましい
 式(a1)中、X 11 ~X 14 はそれぞれ独立にフッ素原子、塩素原子、フ ッ素化アルキル基またはフッ素化アルコキシ 基であり、X 11 ~X 14 のうちの少なくとも1つは塩素原子、フッ素 アルキル基またはフッ素化アルコキシ基で る。
 X 11 ~X 14 におけるフッ素化アルキル基、フッ素化アル コキシ基としては、それぞれ、前記X 1 ~X 4 におけるフッ素化アルキル基、フッ素化アル コキシ基として挙げたものと同様のものが挙 げられる。
 式(a1)中、dおよびeは一方が0で他方が1であ 。
 fは0~3の整数であり、0または1が好ましく、1 が最も好ましい。

 単位(a1)としては、X 11 ~X 14 のうちのいずれか1つまたは2つが塩素原子、 ッ素化アルキル基またはフッ素化アルコキ 基であるものが好ましい。
 なかでも、X 11 およびX 12 がフッ素原子であり、X 13 およびX 14 のいずれか1つまたは2つが塩素原子またはフ 素化アルキル基であるもの、またはX 11 およびX 12 のいずれか1つまたは2つがフッ素化アルキル またはフッ素化アルコキシ基であり、X 13 およびX 14 がフッ素原子であるものが好ましい。該フッ 素化アルキル基としては、トリフルオロメチ ル基が特に好ましい。

 単位(a1)は、下記式(1)に示すような、末端に 2つの重合性二重結合を有する含フッ素単量 を環化重合することにより形成される単位 あり、該含フッ素単量体として、具体的に 、下記化合物(1-1)~(1-6)が挙げられる。
 式(1)中、X 11 ~X 14 およびfはそれぞれ前記と同じである。
 式(1-1)~(1-6)中、nは1~3の整数であり、1が最も 好ましい。

 単位(a1)としては、特に、下記単位(a1-1)~(a1-5 )が好ましい。
 各式中、dおよびeは前記と同じである。

 含フッ素共重合体(I)は、単位(a)として、前 式(a2)で表される単位(a2)を含むことも好ま い。ただし、本発明において、含フッ素重 体(I)が単位(a2)を含む場合は、単位(a1)、単位 (b)、単位(c)のうちのいずれか1種以上が併用 れる。
 式(a2)中、gおよびhは一方が0で他方が1であ 。
 iは0~3の整数であり、0または1が好ましく、1 が最も好ましい。すなわち、単位(a2)として 、下記単位(a2-1)または(a2-2)が好ましい。

 含フッ素重合体(I)は、単位(a)として、上 のような単位のうちのいずれか1種を含有し てもよく、2種以上を含有してもよい。

 単位(b)は、前記一般式(b)で表される。
 式(b)中、Y 1 ~Y 3 におけるフッ素化アルキル基、フッ素化アル コキシ基としては、それぞれ、前記X 1 ~X 4 におけるフッ素化アルキル基、フッ素化アル コキシ基として挙げたものと同様のものが挙 げられる。
 単位(b)としては、Y 1 ~Y 3 のうちのいずれか1つまたは2つがフッ素原子 あり、残りの2つまたは1つがフッ素化アル ル基またはフッ素化アルコキシ基であるも が好ましい。
 なかでも、Y 1 がフッ素化アルコキシ基であり、Y 2 およびY 3 がいずれもフッ素原子であるもの、または、 Y 1 がフッ素原子であり、Y 2 およびY 3 がいずれもフッ素化アルキル基であるものが 好ましい。該フッ素化アルコキシ基としては トリフルオロメトキシ基が特に好ましい。該 フッ素化アルキル基としては、トリフルオロ メチル基が特に好ましい。その具体例として は、たとえば下記単位(b-1)~(b-2)が挙げられる

 単位(b)においては、Y 2 およびY 3 が相互に結合して、Y 2 およびY 3 が結合した炭素原子とともに、含フッ素脂肪 族環を形成していてもよい。
 該含フッ素脂肪族環としては、4~6員環が好 しい。
 該含フッ素脂肪族環は、飽和脂肪族環であ ことが好ましい。
 該含フッ素脂肪族環は、その環骨格中に、 ーテル性酸素原子(-O-)を有していてもよい この場合、含フッ素脂肪族環中のエーテル 酸素原子の数は、1または2が好ましい。
 Y 2 およびY 3 が含フッ素脂肪族環を形成している場合の単 位(b)の具体例としては、たとえば下記単位(b- 3)~(b-4)が挙げられる。

 単位(b)は、たとえばパーフルオロ(2,2-ジメ ル-1,3-ジオキソール)、パーフルオロ(1,3-ジオ キソール)、パーフルオロ(4-メトキシ-1,3-ジオ キソール)等のパーフルオロ(1,3-ジオキソール )類を重合させることにより形成される。
 含フッ素重合体(I)は、単位(b)として、上記 ような単位のうちのいずれか1種を含有して もよく、2種以上を含有してもよい。

 単位(c)は、前記一般式(c)で表される。
 式(c)中、Z 1 ~Z 4 はそれぞれ独立にフッ素原子、塩素原子、フ ッ素化アルキル基またはフッ素化アルコキシ 基である。
 Z 1 ~Z 4 におけるフッ素化アルキル基、フッ素化アル コキシ基としては、それぞれ、前記X 1 ~X 4 におけるフッ素化アルキル基、フッ素化アル コキシ基として挙げたものと同様のものが挙 げられる。
 単位(c)としては、Z 1 ~Z 4 のうちのいずれか1つまたは2つがフッ素化ア キル基またはフッ素化アルコキシル基であ 、残りの3つまたは2つがフッ素原子である のが好ましい。
 なかでも、下記単位(c-1)のように、Z 1 ~Z 4 のうちのいずれか1つがフッ素化アルキル基 あり、残りの3つがフッ素原子であるものが ましい。フッ素化アルキル基としては、ト フルオロメチル基、ペンタフルオロエチル またはヘプタフルオロプロピル基が好まし 、トリフルオロメチル基が特に好ましい。

 単位(c)は、たとえばパーフルオロ(2-メチレ -4-メチル-1,3-ジオキソラン)、パーフルオロ( 2-メチレン-4-プロピル-1,3-ジオキソラン)等の ーフルオロ(2-メチレン-1,3-ジオキソラン)類 重合させることにより形成される。
 含フッ素重合体(I)は、単位(c)として、上記 ような単位のうちのいずれか1種を含有して もよく、2種以上を含有してもよい。

 含フッ素共重合体(I)は、本発明の効果を損 わない範囲で、単位(a)~(c)以外の他の繰り返 し単位(以下、単位(d)という。)を含んでいて よい。
 単位(d)としては、単位(a)~(c)を誘導する単量 体と共重合可能な単量体に基づくものであれ ばよく、特に限定されない。該単量体として 、好ましいものとしては、テトラフルオロエ チレン、クロロトリフルオロエチレン、フッ 化ビニリデン等のフルオロオレフィンが挙げ られる。

 含フッ素重合体(I)は、単位(a)~(c)の合計量が 、当該含フッ素重合体を構成する全繰り返し 単位の合計に対して80モル%以上であり、90モ %以上が好ましく、100モル%が特に好ましい 該量が80モル%未満であると、本発明の効果 充分に得られない。
 含フッ素共重合体(I)に含まれる繰り返し単 は、単位(a)~(c)のうち、いずれか1種であっ もよく、2種以上であってもよく、所望のガ ス転移温度、造膜性、溶媒への溶解性等を 慮して適宜決定すればよい。

 含フッ素共重合体(I)として、好ましいもの しては、単位(a1)、単位(b)および単位(c)から なる群から選択される少なくとも1種の繰り し単位を含む含フッ素重合体(以下、含フッ 重合体(I-1)という。)、単位(a2)と、単位(b)お よび/または単位(c)とを含む含フッ素重合体( 下、含フッ素重合体(I-2)という。)等が挙げ れる。
 含フッ素重合体(I-1)における各単位の組み わせとしては、たとえば国際公開第05/054336 パンフレット、国際公開第03/037838号パンフ ット、国際公開第01/92194号パンフレット、特 開2003-40938号公報、特開2001-302725号公報、特開 平4-346957号公報、特開平4-346989号公報、米国 許第5260492号明細書、米国特許第5326917号明細 書、米国特許第5350821号明細書、特開昭43-29154 号公報に記載のものが挙げられる。
 含フッ素重合体(I-1)としては、特に、後述 る含フッ素重合体(II)が好ましい。
 含フッ素重合体(I-2)における各単位の組み わせとしては、たとえば特許第3053657号公報 記載のものが挙げられる。
 含フッ素重合体(I-2)としては、特に、後述 る含フッ素重合体(III)が好ましい。

 含フッ素重合体(I)のガラス転移温度は110~350 ℃であり、110~250℃が好ましく、120~200℃がよ 好ましい。ガラス転移温度が上記範囲の下 値以上であると本発明の効果が向上し、上 値以下であると、重合体を製膜する際の造 性、重合体の溶媒への溶解性が向上する。
 含フッ素重合体(I)のガラス転移温度は、当 含フッ素重合体(I)を構成する繰り返し単位 種類や割合を調節することにより調節でき 。
 たとえば、重合体中の前記単位(a)、(b)およ (c)の割合を増やすことによって、重合体の ラス転移温度を向上させることができ、中 も単位(b)の割合を増やすことが、ガラス転 温度を向上させる上で最も好ましい。

[含フッ素重合体(II)]
 含フッ素重合体(II)は、前記単位(a1)、前記 位(b)および前記単位(c)からなる群から選択 れる1種以上の繰り返し単位を含み、それら 合計量が、全繰り返し単位に対して80モル% 上である含フッ素重合体である。含フッ素 合体(II)は、単位(a1)、単位(b)および(c)を合 で80モル%以上含むことにより、ガラス転移 度が110~350℃となる。
 ここで、前記単位(a1)、(b)および(c)は、含フ ッ素共重合体のガラス転移温度の向上に寄与 している。
 含フッ素重合体(II)における単位(a1)、単位(b )および単位(c)はそれぞれ前記含フッ素重合 (I)で挙げた単位(a1)、単位(b)および単位(c)と じものが挙げられる。
 含フッ素重合体(II)は、単位(a1)、単位(b)お び単位(c)の合計量が、当該含フッ素重合体 構成する全繰り返し単位の合計に対して80モ ル%以上であり、90モル%以上が好ましく、100 ル%が特に好ましい。該量が80モル%未満であ と、本発明の効果が充分に得られない。

 含フッ素共重合体(II)に含まれる繰り返し単 位は、単位(a1)、(b)および(c)のうち、いずれ 1種であってもよく、2種以上であってもよい 。すなわち、含フッ素共重合体(II)は、単位(a 1)、(b)および(c)のいずれかの1種から構成され るものであってもよく、2または3種の単位か 構成されるものであってもよい。また、こ らの単位以外に、本発明の効果を損なわな 範囲で、上述した単位(d)を含んでいてもよ 。
 含フッ素共重合体(II)としては、少なくとも 単位(a1)を含む重合体が好ましい。かかる重 体としては、単位(a1)のみから構成される重 体、単位(a1)と単位(b)および/または単位(c) から構成される共重合体等が挙げられる。 れらの中でも、単位(a1)のみから構成される 合体が好ましい。

[含フッ素重合体(III)]
 含フッ素重合体(III)は、前記単位(a2)と、前 単位(b)および/または単位(c)とを含み、単位 (b)および(c)の合計量が、全繰り返し単位に対 して2モル%以上である含フッ素重合体である 含フッ素重合体(III)は、単位(b)および(c)を 計で2モル%以上含むことにより、ガラス転移 温度が110~350℃となる。
 含フッ素重合体(III)における単位(a2)、単位( b)、単位(c)はそれぞれ前記含フッ素重合体(I) 挙げた単位(a2)、単位(b)、単位(c)と同じもの が挙げられる。

 含フッ素重合体(III)は、単位(a2)を必須の単 として含む。
 含フッ素重合体(III)中、単位(a2)の割合は、 該含フッ素重合体を構成する全繰り返し単 の合計に対して10モル%以上が好ましく、30 ル%以上がより好ましい。単位(a2)の割合が10 ル%以上、特に30モル%以上であると、エレク トレットとしての特性、及び含フッ素重合体 の溶媒への溶解性が向上する。
 また、単位(a2)の割合の上限は、単位(b)およ び/または単位(c)の割合を考慮して適宜決定 ればよい。好ましくは、単位(a2)と、単位(b) 、単位(c)との合計量が、当該含フッ素重合 を構成する全繰り返し単位の合計に対して8 0モル%以上、より好ましくは90モル%以上、さ には100モル%となる量が好ましい。

 また、含フッ素重合体(III)は、単位(b)およ 単位(c)の一方または両方を必須の単位とし 含む。
 含フッ素重合体(III)中、単位(b)および単位(c )の合計量は、当該含フッ素重合体を構成す 全繰り返し単位の合計に対して2モル%以上で あり、10モル%以上が好ましく、30モル%以上が より好ましい。該合計量が2モル%未満である 、本発明の効果が充分に得られない。また 該合計量の上限としては、単位(a2)とのバラ ンスを考慮すると、80モル%以下が好ましく、 60モル%以下がより好ましい。
 前記単位(a2)は、含フッ素共重合体(III)のガ ス転移温度の低下に寄与しており、たとえ 単位(a2)の単独重合体の場合、そのガラス転 移温度は110℃未満となる。そのため、該単位 (a2)の割合が少ないほど、ガラス転移温度が くなる。含フッ素共重合体(III)のガラス転移 温度を110℃以上とするためには、単位(a2)の 合は、98モル%以下であることが好ましく、90 モル%以下がより好ましい。

 含フッ素重合体(III)に含まれる繰り返し単 は、単位(b)および(c)のうち、いずれか1種で ってもよく、2種以上であってもよい。すな わち、含フッ素重合体(III)は、単位(a2)および (b)を必須の単位として含むものであってもよ く、単位(a2)および(c)を必須の単位として含 ものであってもよく、単位(a2)、(b)および(c) 全てを必須の単位として含むものであって よい。また、これらの単位以外に、本発明 効果を損なわない範囲で、上述した単位(d) 含んでいてもよい。
 含フッ素重合体(III)としては、少なくとも 単位(a2)と単位(b)とを含む共重合体であるこ が好ましい。かかる重合体としては、単位( a2)および(b)から構成される重合体、単位(a2) 単位(b)および(c)から構成される共重合体等 挙げられる。

 上述した含フッ素重合体(I)~(III)は、それぞ 、末端基として、カルボキシ基、スルホン 基等の酸基を有することが好ましい。これ より、エレクトレットとしての特性、及び 板への密着性が向上する。酸基としては特 カルボキシ基が好ましい。
 末端基として酸基を有する含フッ素重合体 、従来公知の方法により得ることができ、 とえば、含フッ素重合体を酸素存在下で高 処理してその側鎖を酸化分解させ次いでこ を水処理することによりカルボキシ基を形 させる方法、分子内に酸基またはその前駆 基を有する開始剤または連鎖移動剤等の存 下で重合を行う方法等が挙げられる。
 また、含フッ素重合体(I)~(III)が末端基とし カルボキシ基等の酸基を含む場合、該酸基 はシラン化合物が結合していてもよい。
 シラン化合物は、たとえば末端基として酸 を有する含フッ素重合体と、後述するよう シランカップリング剤とを反応させること より酸基に結合させることができる。

 含フッ素重合体(I)~(III)は、例えば特開平4-18 9880号公報等に開示された従来公知の方法を 用して各単位を誘導する単量体の環化重合 単独重合、共重合等を行うことにより製造 きる。
 含フッ素重合体(I)~(III)の分子量は1万~500万 度であることが好ましく、製膜する際の造 性、溶媒への溶解性の観点から、2万~100万の 範囲にあることがより好ましい。

 本発明のエレクトレットは、上記含フッ 重合体(I)~(III)のいずれか(以下、単に「含フ ッ素重合体」ということがある。)を、非プ トン性含フッ素溶媒に溶解して含フッ素重 体組成物を調製し、これを用いてコーティ グ膜を製膜し、該コーティング膜に電荷を 入することにより製造できる。

 非プロトン性含フッ素溶媒としては、前記 フッ素重合体を溶解するものであればよく 特に限定されない。
 非プロトン性含フッ素溶媒として、好まし ものとしては、以下の含フッ素化合物を例 できる。
 パーフルオロベンゼン、ペンタフルオロベ ゼン、1,3-ビス(トリフルオロメチル)ベンゼ 、1,4-ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン等 含フッ素芳香族化合物;パーフルオロトリブ チルアミン、パーフルオロトリプロピルアミ ン等のパーフルオロトリアルキルアミン化合 物;パーフルオロデカリン、パーフルオロシ ロヘキサン、パーフルオロ(1,3,5-トリメチル クロヘキサン)等のパーフルオロシクロアル カン化合物;パーフルオロ(2-ブチルテトラヒ ロフラン)等のパーフルオロ環状エーテル化 物;低分子量パーフルオロポリエーテル;
 パーフルオロヘキサン、パーフルオロオク ン、パーフルオロデカン、パーフルオロド カン、パーフルオロ(2,7-ジメチルオクタン) パーフルオロ(1,2-ジメチルヘキサン)、パー ルオロ(1,3-ジメチルヘキサン)等のパーフル ロアルカン;
 1,1,2-トリクロロ-1,2,2-トリフルオロエタン、 1,1,1-トリクロロ-2,2,2-トリフルオロエタン、1, 3-ジクロロ-1,1,2,2,3-ペンタフルオロプロパン 1,1,1,3-テトラクロロ-2,2,3,3-テトラフルオロプ ロパン、1,1,3,4-テトラクロロ-1,2,2,3,4,4-ヘキサ フルオロブタン等のクロロフルオロカーボン ;
 1,1,1,2,2,3,3,5,5,5-デカフルオロペンタン、1,1,1 ,2,2,3,3,4,4,5,5,6,6-トリデカフルオロヘキサン、 1,1,1,2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8-ヘプタデカフルオ オクタン、1,1,1,2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10- ヘニコサフルオロデカン、1,1,1,2,2,3,3,4,4-ノナ フルオロヘキサン、1,1,1,2,2,3,3,4,4,5,5,6,6-トリ カフルオロオクタン、1,1,1,2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7, 7,8,8-ヘプタデカフルオロデカン、1,1,1,2,3,4,5,5 ,5-ノナフルオロ-4-(トリフルオロメチル)ペン ン、1,1,1,2,2,3,5,5,5-ノナフルオロ-4-(トリフル オロメチル)ペンタン等のヒドロフルオロカ ボン;
 3,3-ジクロロ-1,1,1,2,2-ペンタフルオロプロパ 、1,3-ジクロロ-1,1,2,2,3-ペンタフルオロプロ ン等のヒドロクロロフルオロカーボン。
 これらの含フッ素化合物はいずれか1種を単 独で使用してもよく、2種以上を併用しても い。

 また、上記以外にも広範な非プロトン性含 ッ素溶媒を使用できる。
 例えば、ハイドロフルオロエーテル(HFE)等 含フッ素溶媒が好適である。このような含 ッ素溶媒は、一般式R 1 -O-R 2 (R 1 はエーテル性酸素原子を有してもよい炭素数 5~12の直鎖状または分岐状のポリフルオロア キル基であり、R 2 は炭素数1~5の直鎖状または分岐状のアルキル 基またはポリフルオロアルキル基である。) 表される含フッ素溶媒(以下、含フッ素溶媒( 2)ということがある。)である。

 R 1 におけるポリフルオロアルキル基とは、アル キル基の水素原子の2個以上がフッ素原子に 換された基であり、アルキル基の水素原子 すべてがフッ素原子に置換されたパーフル ロアルキル基、およびアルキル基の水素原 の2個以上がフッ素原子に置換されかつアル ル基の水素原子の1個以上がフッ素原子以外 のハロゲン原子に置換された基を含むもので ある。フッ素原子以外のハロゲン原子として は塩素原子が好ましい。
 ポリフルオロアルキル基としては、対応す アルキル基の水素原子の数にして60%以上が ッ素原子に置換された基が好ましく、より ましくは80%以上である。さらに好ましいポ フルオロアルキル基はパーフルオロアルキ 基である。
 R 1 がエーテル性酸素原子を有する場合、エーテ ル性酸素原子の数が多すぎると溶解性を阻害 するため、R 1 中のエーテル性酸素原子は1~3個が好ましく、 1~2個がより好ましい。

 R 1 の炭素原子数が5以上であると含フッ素重合 の溶解性が良好で、R 1 の炭素数が12以下であると工業的に入手しや いため、R 1 の炭素数は5~12の範囲から選定される。R 1 の炭素原子数は、6~10が好ましく、6~7および9~ 10がより好ましい。
 R 2 の炭素原子数が5以下であると含フッ素重合 の溶解性が良好である。R 2 の好ましい例はメチル基またはエチル基であ る。

 含フッ素溶媒(2)の分子量は、大きすぎると フッ素重合体組成物の粘度を上昇させるだ でなく、含フッ素重合体の溶解性も低下す ため、1000以下が好ましい。
 また、含フッ素重合体の溶解性に優れるこ から、含フッ素溶媒(2)のフッ素含有量は60~8 0質量%が好ましい。
 好ましい含フッ素溶媒(2)として、下記のも が例示できる。
 F(CF 2 ) 5 OCH 3 、F(CF 2 ) 6 OCH 3 、F(CF 2 ) 7 OCH 3 、F(CF 2 ) 8 OCH 3 、F(CF 2 ) 9 OCH 3 、F(CF 2 ) 10 OCH 3 、H(CF 2 ) 6 OCH 3 、(CF 3 ) 2 CFCF(OCH 3 )CF 2 CF 3 、F(CF 2 ) 3 OCF(CF 3 )CF 2 OCH 3 、F(CF 2 ) 3 OCF(CF 3 )CF 2 OCF(CF 3 )CF 2 OCH 3 、F(CF 2 ) 8 OCH 2 CH 2 CH 3 、(CF 3 ) 2 CFCF 2 CF 2 OCH 3 、F(CF 2 ) 2 O(CF 2 ) 4 OCH 2 CH 3  。
 これらの含フッ素溶媒では、特に(CF 3 ) 2 CFCF(OCH 3 )CF 2 CF 3 が好適である。

 上記含フッ素重合体組成物には、シランカ プリング剤を配合してもよい。これにより 当該含フッ素重合体組成物を用いて形成さ るコーティング膜の基板との密着性が向上 る。
 シランカップリング剤としては、特に限定 れず、従来より公知または周知のものを含 て広範囲にわたって利用できる。具体的に 、以下のものが例示できる。
 トリメチルメトキシシラン、トリメチルエ キシシラン、ジメチルビニルメトキシシラ 、ジメチルビニルエトキシシランなどのモ アルコキシシラン類。

 γ-クロロプロピルメチルジメトキシシラ 、γ-クロロプロピルメチルジエトキシシラ 、γ-アミノプロピルメチルジエトキシシラ 、γ-アミノプロピルメチルジメトキシシラ 、N-(β-アミノエチル)-γ-アミノプロピルメ ルジメトキシシラン、N-(β-アミノエチル)-γ- アミノプロピルメチルジエトキシシラン、γ- グリシジルオキシプロピルメチルジメトキシ シラン、γ-グリシジルオキシプロピルメチル ジエトキシシラン、γ-メタクリロイルオキシ プロピルメチルジメトキシシラン、メチルジ メトキシシラン、メチルジエトキシシラン、 ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエト キシシラン、メチルビニルジメトキシシラン 、メチルビニルジエトキシシラン、ジフェニ ルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシ シラン、3,3,3-トリフルオロプロピルメチルジ メトキシシラン、3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8-トリデ フルオロオクチルメチルジメトキシシラン 3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,10-ヘプタデカフル オロデシルメチルジメトキシシランなどのジ アルコキシシラン類。

 γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、 -アミノプロピルトリエトキシシラン、N-(β- ミノエチル)-γ-アミノプロピルトリメトキ シラン、N-(β-アミノエチル)-γ-アミノプロピ ルトリエトキシシラン、γ-メルカプトプロピ ルトリメトキシシラン、γ-グリシジルオキシ プロピルトリメトキシシラン、γ-グリシジル オキシプロピルトリエトキシシラン、γ-メタ クリロイルオキシプロピルトリメトキシシラ ン、γ-クロロプロピルトリメトキシシラン、 メチルトリエトキシシラン、フェニルトリメ トキシシラン、フェニルトリエトキシシラン 、3,3,3-トリフルオロプロピルトリメトキシシ ラン、3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8-トリデカフルオロ クチルトリメトキシシラン、3,3,4,4,5,5,6,6,7,7 ,8,8,9,9,10,10,10-ヘプタデカフルオロデシルトリ メトキシシラン、テトラメトキシシラン、テ トラエトキシシランなどのトリまたはテトラ アルコキシシラン類。

 また、好ましいシランカップリング剤とし 、芳香族アミン構造を有するシランカップ ング剤である芳香族アミン系シランカップ ング剤が挙げられる。
 芳香族アミン系シランカップリング剤とし は、下式(s1)~(s3)で表される化合物が挙げら る。
  ArSi(OR 1 )(OR 2 )(OR 3 ) …(s1)
  ArSiR 4 (OR 1 )(OR 2 ) …(s2)
  ArSiR 4 R 5 (OR 1 ) …(s3)
[式中R 1 ~R 5 はそれぞれ独立に水素原子、炭素数1~20のア キル基またはアリール基を表し、Arはp-、m- たはo-アミノフェニル基を表す。]

 式(s1)~(s3)で表される化合物の具体例として 以下のものが挙げられる。
 アミノフェニルトリメトキシシラン、アミ フェニルトリエトキシシラン、アミノフェ ルトリプロポキシシラン、アミノフェニル リイソプロポキシシラン、アミノフェニル チルジメトキシシラン、アミノフェニルメ ルジエトキシシラン、アミノフェニルメチ ジプロポキシシラン、アミノフェニルメチ ジイソプロポキシシラン、アミノフェニル ェニルジメトキシシラン、アミノフェニル ェニルジエトキシシラン、アミノフェニル ェニルジプロポキシシラン、アミノフェニ フェニルジイソプロポキシシランなど。
 これらの化合物におけるアミノ基の水素原 はアルキル基やアリール基で置換されてい もよい。たとえばN,N-ジメチルアミノフェニ ルトリアルコキシシランやN,N-ジメチルアミ フェニルメチルジアルコキシシランなどが げられる。この他にも、たとえば米国特許 3,481,815号明細書に記載されている芳香族ア ン系シランカップリング剤などを使用でき 。

 上記シランカップリング剤は、いずれか1種 を単独で使用してもよく、2種以上を組合せ もよい。
 また、上記シランカップリング剤の部分加 縮合物を使用することも好ましい。
 さらに、上記シランカップリング剤とテト メトキシシラン、テトラエトキシシラン、 トラプロポキシシラン等のテトラアルコキ シランとの共部分加水縮合物を使用するこ も好ましい。このうちで、含フッ素重合体 透明性を損なうことなく、含フッ素重合体 接着性を向上させるものとして、アミノ基 有するシランカップリング剤(γ-アミノプロ ピルトリエトキシシラン、γ-アミノプロピル メチルジエトキシシラン、γ-アミノプロピル トリメトキシシラン、γ-アミノプロピルメチ ルジメトキシシラン、N-(β-アミノエチル)-γ- ミノプロピルトリメトキシシラン、N-(β-ア ノエチル)-γ-アミノプロピルメチルジメト シシラン、N-(β-アミノエチル)-γ-アミノプロ ピルトリエトキシシラン、N-(β-アミノエチル )-γ-アミノプロピルメチルジエトキシシラン アミノフェニルトリメトキシシラン、アミ フェニルトリエトキシシラン、アミノフェ ルメチルジメトキシシラン、アミノフェニ メチルジエトキシシランなど)、またはエポ キシ基を有するシランカップリング剤(γ-グ シジルオキシプロピルトリメトキシシラン γ-グリシジルオキシプロピルメチルジメト シシラン、γ-グリシジルオキシプロピルト エトキシシラン、γ-グリシジルオキシプロ ルメチルジエトキシシランなど)が特に好適 ものとして例示される。

 含フッ素重合体として、予め主鎖末端また 側鎖にカルボキシ基の導入された含フッ素 合体を用いる場合は、特にアミノ基または ポキシ基を有するアルコキシシラン類が有 である。
 含フッ素重合体として、予め主鎖末端また 側鎖にエステル基の導入された含フッ素重 体を用いる場合は、特にアミノ基またはア ノフェニル基を有するアルコキシシラン類 有効である。

 上述した非プロトン性含フッ素溶媒中にお ては、アミノ基またはエポキシ基を有する リアルコキシシラン類は、同様の基を有す ジアルコキシシラン類に比べて、経時的な 度上昇やゲル化が生じやすい。また、トリ ルコキシシラン類は、ジアルコキシシラン よりも、含フッ素重合体の非プロトン性含 ッ素溶媒溶液への溶解性も小さい。したが て、トリアルコキシシラン類を用いる場合 は、プロトン性含フッ素溶媒、特には含フ 素アルコールの添加が好ましい。
 ジアルコキシシラン類の場合は、トリアル キシシラン類ほど溶解性は小さくないが、 様にプロトン性含フッ素溶媒、特には含フ 素アルコールの添加により溶解性を高めら る。ジアルコキシシラン類の場合には、組 物の経時的な粘度上昇はトリアルコキシシ ン類ほど顕著ではないため、含フッ素アル ールなどのプロトン性含フッ素溶媒を必ず も添加しなくてもよいが、添加したほうが 実に粘度上昇を抑制できるため好ましい。

 含フッ素重合体組成物には、プロトン性含 ッ素溶媒を配合してもよい。含フッ素重合 組成物にプロトン性含フッ素溶媒を配合す と、上述のように、シランカップリング剤 含フッ素重合体組成物への溶解性を増すこ ができる。さらに、シランカップリング剤 の反応によると思われる粘度の上昇やゲル を抑制できる。
 該プロトン性含フッ素溶媒としては以下の のが例示される。
 トリフルオロエタノール、2,2,3,3,3-ペンタフ ルオロ-1-プロパノール、2-(パーフルオロブチ ル)エタノール、2-(パーフルオロヘキシル)エ ノール、2-(パーフルオロオクチル)エタノー ル、2-(パーフルオロデシル)エタノール、2-( ーフルオロ-3-メチルブチル)エタノール、2,2, 3,3-テトラフルオロ-1-プロパノール、2,2,3,3,4,4 ,5,5-オクタフルオロ-1-ペンタノール、2,2,3,3,4, 4,5,5,6,6-ドデカフルオロ-1-ヘプタノール、2,2,3 ,3,4,4,5,5,6,6,7,7-ヘキサデカフルオロ-1-ノナノ ル、1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロ-2-プロパノー 、2,2,3,3,4,4-ヘキサフルオロ-1-ブタノール等 含フッ素アルコール。
 トリフルオロ酢酸、パーフルオロプロパン 、パーフルオロブタン酸、パーフルオロペ タン酸、パーフルオロヘキサン酸、パーフ オロヘプタン酸、パーフルオロオクタン酸 パーフルオロノナン酸、パーフルオロデカ 酸、1,1,2,2-テトラフルオロプロパン酸、1,1,2 ,2,3,3,4,4-オクタフルオロペンタン酸、1,1,2,2,3, 3,4,4,5,5-ドデカフルオロヘプタン酸、1,1,2,2,3,3 ,4,4,5,5,6,6-ヘキサデカフルオロノナン酸など 含フッ素カルボン酸、これら含フッ素カル ン酸のアミド、トリフルオロメタンスルホ 酸、ヘプタデカフルオロオクタンスルホン などの含フッ素スルホン酸など。
 これらのプロトン性含フッ素溶媒はいずれ 1種を単独で使用してもよく、2種以上を組 せてもよい。

 含フッ素重合体組成物中の含フッ素重合体 度は、通常0.1~30質量%、好ましくは0.5~20質量 %である。
 シランカップリング剤の配合量は、含フッ 重合体100質量部当たり0.01~50質量部、好まし くは0.1~30質量部である。
 非プロトン性含フッ素溶媒とプロトン性含 ッ素溶媒とを併用する場合、非プロトン性 フッ素溶媒とプロトン性含フッ素溶媒との 計に対するプロトン性含フッ素溶媒の割合 、0.01~50質量%が好ましく、0.1~30質量%がより ましい。

 上記含フッ素重合体組成物を用いたコーテ ング膜の製膜は、例えば、該含フッ素重合 組成物を基板表面にコーティングし、ベー 等により乾燥させることにより実施できる
 コーティング方法としては、溶液から膜を 成させる方法として従来公知の方法が利用 き、特に限定されない。かかる方法の具体 としては、ロールコーター法、キャスト法 ディッピング法、スピンコート法、水上キ スト法、ラングミュア・ブロジェット法、 イコート法、インクジェット法、スプレー ート法等が挙げられる。また、凸版印刷法 グラビア印刷法、平板印刷法、スクリーン 刷法、フレキソ印刷法などの印刷技術も用 ることができる。
 上記コーティング用含フッ素重合体組成物 コーティングする基板としては、コーティ グして得られたコーティング膜に電荷を注 する際にアースに接続できるような基板で れば、材質を選ばずに用いることができる 好ましい材質としては、例えば、金、白金 銅、アルミニウム、クロム、ニッケル等の 電性の金属が挙げられる。また、材質が導 性の金属以外のもの、たとえば、ガラス等 無機材料、ポリエチレンテレフタレート、 リイミド、ポリカーボネート、アクリル樹 等の有機高分子材料等の絶縁性の材料であ ても、その表面にスパッタリング、蒸着、 エットコーティング等の方法で金属膜をコ ティングしたものであれば用いることがで る
 またシリコン等の半導体材料も同様の表面 理を行ったものであるか、または半導体材 そのものの抵抗値が低いものであれば用い ことができる。基板材料の抵抗値としては 積固有抵抗値で0.1ωcm以下であることが好ま しく、特に0.01ωcm以下であることがより好ま い。

 当該基板は表面が平滑な平板でもよく、 凸を形成したものでもよい。また、様々な 状にパターニングされていても良い。特に 記絶縁性基板を用いる場合に、絶縁性基板 のものに凹凸またはパターンを形成しても いし、表面にコーティングされた金属膜に 凸又はパターンを形成しても良い。当該基 に凹凸またはパターンを形成する方法とし 従来公知の方法が利用でき、特に限定され い。凹凸またはパターンを形成する方法と ては、真空プロセス、湿式プロセスのどち を用いても良い。かかる方法の具体例とし は、真空プロセスとして、マスクを介した パッタリング法、マスクを介した蒸着法、 式プロセスとして、ロールコーター法、キ スト法、ディッピング法、スピンコート法 水上キャスト法、ラングミュア・ブロジェ ト法、ダイコート法、インクジェット法、 プレーコート法等が挙げられる。また、凸 印刷法、グラビア印刷法、平板印刷法、ス リーン印刷法、フレキソ印刷法などの印刷 術も用いることができる。また微細な凹凸 たはパターンを形成する方法としてナノイ プリント法、フォトリソグラフィ法なども いることができる。

 コーティング膜の形状、大きさは、所望の レクトレットの形状、大きさに応じて適宜 定すればよい。エレクトレットは、一般的 、厚さ1~200μmの膜として用いられる。特に さ10~20μmの膜として用いることが、エレクト レットしての特性、及び加工する上で有利で あることから好ましい。
 コーティング膜へ電荷を注入する方法とし は、一般的に絶縁体を帯電させる方法であ ば手段を選ばずに用いることができる。例 ば、G.M.Sessler, Electrets Third Edition,pp20,Chapter 2.2“Charging and Polarizing Methods”(Laplacian Press , 1998)に記載のコロナ放電法、電子ビーム衝 法、イオンビーム衝突法、放射線照射法、 照射法、接触帯電法、液体接触帯電法など 適用可能である。特に本発明のエレクトレ トではコロナ放電法または電子ビーム衝突 を用いることが好ましい。
 また、電荷を注入する際の温度条件として 、含フッ素重合体のガラス転移温度以上で うことが、注入後に保持される電荷の安定 の面から好ましく、特にガラス転移温度+10~ 20℃程度の温度条件で行うことが好ましい。 らに、電荷を注入する際の印加電圧として 、含フッ素重合体の絶縁破壊電圧以下であ ば、高圧を印加することが好ましい。本発 における含フッ素重合体では、±6~±30kVの高 電圧が適用可能であり、特に±8~±15kVの電圧 加が好ましい。含フッ素重合体では、正電 より負電荷をより安定に保持可能であるこ から、-8~-15kVの電圧印加をすることがさらに 好ましい。

 本発明のエレクトレットは、電気エネルギ 運動エネルギとを変換する静電誘導型変換 子として好適である。
 静電誘導型変換素子としては、振動型発電 、アクチュエータ、センサ等が挙げられる これらの静電誘導型変換素子の構造は、エ クトレットとして本発明のエレクトレット 用いられる以外は従来公知のものと同様で ってよい。

 本発明のエレクトレットは、従来のエレ トレットに比べて、注入された電荷の熱安 性が高く、高温時の電荷保持性能に優れて る。そのため、該エレクトレットを使用し 静電誘導型変換素子は、性能の劣化が生じ くい、性能の環境依存性が小さい、等の特 がある。

 以下に、上記実施形態の具体例を実施例と て説明する。なお、本発明は、以下の実施 に限定されるものではない。
[実施例1:エレクトレットAの製造]
 特許第3053657号公報の実施例2に記載の手順 従って、パーフルオロ(ブテニルビニルエー ル)(以下、BVEと称する)と、パーフルオロ(2,2 -ジメチル-1,3-ジオキソール)(以下、PDDと称す )とを重合させて重合体aを得た。
 該重合体aの赤外吸収吸収(IR)スペクトルを 定し、1930cm -1 の吸収の吸光度から、当該重合体a中に含ま るPDDに基づく繰り返し単位(PDD含量)を求めた ところ、52モル%であった。また、該重合体a 屈折率を、アッベ屈折計を用いて測定した ころ1.317であった。
 すなわち、重合体aは、繰返し単位(a2-1)及び (a2-2)と、繰返し単位(b-2)とからなり、その比[ (a2-1)+(a2-2)]/(b-2)=48/52(モル比)である構造を有 る含フッ素重合体である。
 該重合体aを、空気中330℃で5時間熱処理後 水中に浸漬することにより重合体Aを得た。
 該重合体Aについて示差走査熱分析(DSC)を行 たところ、該重合体Aのガラス転移温度(Tg) 149℃であった。
 また、該重合体Aの成形フィルムを、キャス ト法により作製し、該成形フィルムのIRスペ トルを測定した結果、-COOH基に由来する1775c m -1 および1810cm -1 の特性吸収が認められ、該重合体Aが酸基を することが確認できた。
 また、該重合体Aをパーフルオロ(2-ブチルテ トラヒドロフラン)に0.5質量%の濃度で溶解さ 、該溶液の固有粘度[η](30℃)を、ウベロー 型粘度計により測定したところ、0.36dl/gであ った。

 次に、パーフルオロトリブチルアミンに前 重合体Aを11質量%の濃度で溶解させ、重合体 溶液Aを得た。
 該重合体溶液Aを、3cm角、厚さ350μmの銅基板 上に、スピンコート法によりコーティングし た後、200℃でベークして乾燥させることによ り、膜厚15μmのコーティング膜(以下、コーテ ィング膜Aという。)を得た。
 このコーティング膜Aに、コロナ放電にて電 荷を注入することによりエレクトレットAと た。電荷の注入は、図1に概略構成図を示す ロナ荷電装置を用い、160℃にて、荷電電圧- 8kV、荷電時間3分の条件で、以下の手順によ 行った。すなわち、銅基板(10)を電極として 直流高圧電源装置(12)(HAR-20R5;松定プレシジ ン製)により、コロナ針(14)と銅基板(10)との に-8kVの高電圧をかけることにより、銅基板( 10)上に形成されたコーティング膜A(11)に電荷 注入した。
 このコロナ荷電装置においては、コロナ針( 14)から放電した負イオンはグリッド(16)で均 化された後、コーティング膜A(11)上に降り注 ぎ、電荷が注入される。なお、グリッド(16) は、グリッド用電源(18)から-600Vの電圧が印 されている。

[実施例2:エレクトレットBの製造]
 国際公開第01/92194号パンフレットの実施例1 記載の手順に従って、CF 2 =CFCF 2 CF(CF 3 )OCF=CF 2 を重合させて重合体bを得た。該重合体bの屈 率を、アッベ屈折計を用いて測定したとこ 1.327であった。重合体bは、繰返し単位(a1)の みからなり、単位(a1)において、X 11 、X 12 及びX 13 がフッ素原子であり、X 14 がトリフルオロメチル基であり、f=1である構 造を有する含フッ素重合体である。
 該重合体bを、空気中330℃で5時間熱処理後 水中に浸漬することにより重合体Bを得た。
 該重合体BについてDSCを行ったところ、該重 合体BのTgは124℃であった。また、該重合体B 成形フィルムを、キャスト法により作製し 該成形フィルムのIRスペクトルを測定した結 果、-COOH基に由来する1775cm -1 および1810cm -1 の特性吸収が認められ、該重合体Bが酸基を することが確認できた。
 また、該重合体Bをパーフルオロ(2-ブチルテ トラヒドロフラン)に0.5質量%の濃度で溶解さ 、該溶液の固有粘度[η](30℃)を、ウベロー 型粘度計により測定したところ、0.41dl/gであ った。

 次に、パーフルオロトリブチルアミンに前 重合体Bを16質量%の濃度で溶解させ、重合体 溶液Bを得た。
 該重合体溶液Bを、3cm角、厚さ350μmの銅基板 上に、スピンコート法によりコーティングし た後、200℃でベークして乾燥させることによ り、膜厚15μmのコーティング膜(以下、コーテ ィング膜Bという。)を得た。
 該コーティング膜Bに、電荷注入の際の温度 を136℃にしたこと以外は、実施例1と同じ手 により電荷を注入してエレクトレットBとし 。

[実施例3:エレクトレットCの製造]
 米国特許第5326917号明細書の実施例5,15に記 の手順に従って、CF 2 =CFCF 2 CH 2 OCF=CF 2 の重合体を塩素ガスにより塩素化して重合体 cを得た。
 該重合体cの屈折率を、アッベ屈折計を用い て測定したところ1.40であった。該重合体cは 繰返し単位(a1)のみからなり、単位(a1)にお て、X 11 及びX 12 がフッ素原子であり、X 13 及びX 14 が塩素原子であり、f=1である構造を有する含 フッ素重合体である。
 該重合体cを、空気中330℃で5時間熱処理す ことにより重合体Cを得た。該重合体Cについ てDSCを行ったところ、該重合体CのTgは157℃で あった。
 次に、ヘキサフルオロベンゼンに前記重合 Cを8質量%の濃度で溶解させ、重合体溶液Cを 得た。
 該重合体溶液Cを、3cm角、厚さ350μmの銅基板 上に、キャスト法によりコーティングした後 、200℃でベークして乾燥させることにより、 膜厚15μmのコーティング膜(以下、コーティン グ膜Cという。)を得た。
 該コーティング膜Cに、電荷注入の際の温度 を170℃にしたこと以外は、実施例1と同じ手 により電荷を注入してエレクトレットCとし 。

[比較例1:エレクトレットDの製造]
 ジイソプロピルパーオキシジカーボネート 仕込量を150mgとした以外は、特開平4-189880の 実施例中の合成例2~4に従い、CF 2 =CFCF 2 CF 2 OCF=CF 2 を重合させて重合体Dを得た。ここで、重合 Dのパーフルオロ(2-ブチルテトラヒドロフラ )溶液の固有粘度[η](30℃)を、ウベローデ型 度計により測定したところ、0.24dl/gであっ 。得られた重合体Dに熱処理、水中浸漬処理 行ったもののパーフルオロトリブチルアミ 溶液(濃度9質量%)を、3cm角、厚さ350μmの銅基 板上に、スピンコート法によりコーティング した後、200℃でベークして乾燥させることに より、膜厚15μmのコーティング膜(以下、コー ティング膜Dという。)を得た。
 該コーティング膜Dに、電荷注入の際の温度 を120℃にしたこと以外は、実施例1と同じ手 により電荷を注入してエレクトレットDとし 。
 なお、重合体DについてDSCによりTgを測定し ところ、108℃であった。なお、重合体Dは、 (a2-1)及び(a2-2)の繰返し単位のみからなる構造 を有する含フッ素重合体である。

[実施例4:エレクトレットEの製造]
 実施例1と同様にして重合体溶液Aを調製し 該重合体溶液Aの77gに、2-(パーフルオロヘキ ル)エタノールの4.2gおよびパーフルオロト ブチルアミンの14gを加え、さらにγ-アミノ ロピルメチルジエトキシシランの0.3gを加え 混合し、均一な重合体溶液Eを得た。
 該重合体溶液Eを、3cm角、厚さ350μmの銅基板 上に、スピンコート法によりコーティングし た後、200℃でベークして乾燥させることによ り、膜厚15μmのコーティング膜(以下、コーテ ィング膜Eという。)を得た。
 該コーティング膜Eに、実施例1と同じ手順 より電荷を注入してエレクトレットEとした 該エレクトレットEは初期、400時間後ともに 表面電位が高く、エレクトレットAと同等以 の優れた電荷保持性能を有していた。また 述するThermal Stimulated Discharge法の測定によ 、放電開始温度および放電ピーク温度に関 ても、エレクトレットAと同等以上であるこ がわかった。

[実施例5:エレクトレットFの製造]
 特公昭43-29154明細書の実施例2に記載の手順 従って、パーフルオロ(2-メチレン-4-メチル- 1,3-ジオキソラン)を重合させて重合体fを得た 。該重合体fの屈折率を、アッベ屈折計を用 て測定したところ1.330であった。重合体fは 返し単位(c)のみからなり、単位(c)において Z 1 及びZ 2 がフッ素原子であり、Z 3 がトリフルオロメチル基であり、Z 4 がフッ素原子である構造を有する含フッ素重 合体である。
 該重合体fを、空気中330℃で5時間熱処理後 水中に浸漬することにより重合体Fを得た。
 該重合体FについてDSCを行ったところ、該重 合体FのTgは131℃であった。また、該重合体F 成形フィルムを、キャスト法により作製し 該成形フィルムのIRスペクトルを測定した結 果、-COOH基に由来する1775cm -1 および1810cm -1 の特性吸収が認められ、該重合体Fが酸基を することが確認できた。
 また、該重合体Fをパーフルオロ(2-ブチルテ トラヒドロフラン)に0.5質量%の濃度で溶解さ 、該溶液の固有粘度[η](30℃)を、ウベロー 型粘度計により測定したところ、0.54dl/gであ った。

 次に、パーフルオロトリブチルアミンに前 重合体Fを8質量%の濃度で溶解させ、重合体 液Fを得た。
 該重合体溶液Fを、3cm角、厚さ350μmの銅基板 上に、キャスト法によりコーティングした後 、200℃でベークして乾燥させることにより、 膜厚15μmのコーティング膜(以下、コーティン グ膜Fという。)を得た。
 該コーティング膜Fに、電荷注入の際の温度 を142℃にしたこと以外は、実施例1と同じ手 により電荷を注入してエレクトレットFとし 。

[試験例1:荷電試験]
 上記で得たエレクトレットA、B、C、D及びF ついて、以下の手順により荷電試験を行っ 。
 荷電電圧-8kV、荷電時間3分の条件でのコロ 荷電により電荷を注入した直後のエレクト ットA、B、C、D及びFを、それぞれ、常温(25℃ )に戻してその表面電位(初期表面電位)を測定 した。また、各エレクトレットを、20℃,60%RH 条件で400時間保管した後、常温に戻してそ 表面電位(400時間後表面電位)を測定した。
 表面電位(V)は、表面電位計(model279;モンロー エレクトロニクス製)を用い、各エレクトレ トの9点の測定点(膜の中心から3mm毎に格子状 に設定。図2参照。)の表面電位を測定し、そ らの平均値として求めた。その結果を表1に 示す。

[試験例2:熱安定性試験]
 上記エレクトレットA、B、C、D及びFについ 、図3に概略構成図を示す装置を用い、以下 手順により熱安定性試験を行った。
 まず、図3に示すように、銅基板10上のエレ トレット21(エレクトレットA,B,C、DまたはF) 対向して対向電極20を配置した。
 次に、図3の破線で示される部分の温度を、 ヒーターで加熱することにより一定の速さ(1 /分)で昇温し、各エレクトレットA、B、C、D たはFから放出される電荷量を、対向電極20 ら流れる電流値iとして電流計22(微小電流計 (Keithley製、Model6517A))により測定し、放電開始 温度および放電ピーク温度を求めた。その結 果を表1に示す。
 ここで、放電ピーク温度とは、放電の際に 出される電流値が最大になる温度を示し、 電開始温度とは、電流計22にて、以下の式 求められる電流値(放電開始時電流値)が検出 された時点の温度を示す。
 放電開始時電流値={(放電ピーク温度におけ 電流値)-(放電前の電流値)}×0.1+(放電前の電 値)

 上記熱安定性試験は、Thermal Stimulated Disc harge法(以下、TSD法と称する。)と呼ばれる方 である。この方法では、エレクトレット21と 対向電極20とでキャパシタが形成されたこと なる。そのため、エレクトレット21を加熱 たときに、膜中にトラップされた電荷が不 定となり、拡散などにより表面付近の電荷 消滅すると、対向電極20に蓄えられた電荷も 減少する。従って、対向電極20から流れる電 値の大きさを測定することにより、各エレ トレットA、B、C、D及びFの熱安定性を評価 きる。

 表1に示す通り、エレクトレットA、B、C及び Fは、それぞれ、エレクトレットDに比べて放 開始温度および放電ピーク温度が高く、注 された電荷の熱安定性が向上していた。
 また、表面電位について、同じスピンコー 法で膜を形成したエレクトレットA、B及びF エレクトレットDとを比較すると、エレクト レットA、B及びFは、エレクトレットDに比べ 、初期、400時間後ともに表面電位が高く、 れた電荷保持性能を有していることが確認 きた。

 本発明のエレクトレットは、従来のエレク レットに比べて、注入された電荷の熱安定 が高く、高温時の電荷保持性能に優れてい 。そのため、該エレクトレットを使用した 電誘導型変換素子は、性能の劣化が生じに い、性能の環境依存性が小さいので有用で る。
 なお、2008年2月22日に出願された日本特許出 願2008-041379号の明細書、特許請求の範囲、図 及び要約書の全内容をここに引用し、本発 の明細書の開示として、取り入れるもので る。




 
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