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Title:
ELECTRIC CONTACT MATERIAL, METHOD FOR MANUFACTURING THE ELECTRIC CONTACT MATERIAL, AND ELECTRIC CONTACT
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2008/123460
Kind Code:
A1
Abstract:
Provided are an electric contact material having a surface layer which is composed of a noble metal or an alloy having the noble metal as a main component, a method for manufacturing the electric contact material and an electric contact using the electric contact material. Recently, electric contact materials having excellent abrasion resistance are used for sliding electric contacts, such as a connector terminal for an automobile harness, a contact switch mounted in a cellular phone and a memory card terminal. As the electric contact materials having excellent abrasion resistance, materials which have an organic film composed of either an aliphatic amine or mercaptan or a mixture of the both on the electric contact materials, are known. However, though the materials are effective with a low load of 0.5N or below, with a load over 0.5N, abrasion advances at an accelerating pace and sliding characteristics deteriorate under high-temperature environment. The above mentioned problem is solved by arranging an organic film formed of an organic compound including an aliphatic amine on the electric contact material.

Inventors:
KOBAYASHI YOSHIAKI (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/056213
Publication Date:
October 16, 2008
Filing Date:
March 28, 2008
Export Citation:
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Assignee:
FURUKAWA ELECTRIC CO LTD (JP)
KOBAYASHI YOSHIAKI (JP)
International Classes:
H01B1/02; C23C26/00; C23C28/00; C25D7/00; H01H1/023; H01H1/04; H01R13/03
Foreign References:
JP2004067711A2004-03-04
JPH06212491A1994-08-02
JPH0773768A1995-03-17
JPS6123239B21986-06-04
JPH06212491A1994-08-02
Other References:
See also references of EP 2154688A4
Attorney, Agent or Firm:
IIDA, Toshizo (1-10 Shimbashi 3-chome,Minato-k, Tokyo 04, JP)
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Claims:
 貴金属またはこれを主成分とする合金からなる表層を有する電気接点材料であって、前記表層の表面上に、脂肪酸を含む有機化合物から形成された有機皮膜を設けてなることを特徴とする、電気接点材料。
 前記脂肪酸の炭素原子数が8~50(但し、COOHのCの数を含む)であることを特徴とする、請求項1記載の電気接点材料。
 貴金属またはこれを主成分とする合金からなる表層を有する電気接点材料であって、前記表層の表面上に脂肪族アミン、メルカプタンのいずれかまたは両者の混合物からなる第1の有機皮膜層を設け、さらに、前記第1の有機皮膜層の表面上に、脂肪酸を含む有機化合物から形成された第2の有機皮膜を設けてなることを特徴とする、電気接点材料。
 前記脂肪酸の炭素原子数が8~50(但し、COOHのCの数を含む)であることを特徴とする、請求項3記載の電気接点材料。
 前記表層を形成する前記貴金属またはこれを主成分とする合金がAu、Ag、Cu、Pt、Pd、Ruまたはこれら何れか1種以上を主成分とする合金であることを特徴とする、請求項1または2に記載の電気接点材料。
 前記表層を形成する前記貴金属またはこれを主成分とする合金がAgまたはAgを主成分とする合金であることを特徴とする、請求項3または4に記載の電気接点材料。
 前記貴金属またはこれを主成分とする合金からなる前記表層が、めっき法またはクラッド法で形成されることを特徴とする、請求項1~6のいずれか1項に記載の電気接点材料の製造方法。
 請求項1~6のいずれか1項に記載の電気接点材料を用いてなる、電気接点。
Description:
電気接点材料、その製造方法、 び電気接点

 本発明は、電気接点材料、その製造方法 及びそれを用いてなる電気接点に関する。

 電気接点部品には、古くは電気伝導性に れた銅又は銅合金が利用されてきたが、近 の接点特性の向上が進み、裸の銅又は銅合 を用いるケースは減少し、銅又は銅合金上 各種表面処理を施した製品が製造・利用さ つつある。特に電気接点材料として多く利 されている物として、貴金属被覆が電気接 部に施されるものがある。中でもAu、Ag、Pd Pt、Ir、Rh、Ruなどの貴金属は、その材料の つ安定性や優れた電気伝導率を持つことな から、各種電気接点材料として利用されて り、殊にAgに関しては、金属の中で最も電気 導電性に優れており、貴金属類でも比較的安 価なことから多方面において汎用されている 。

 最近の電気接点材として、自動車ハーネ 用のコネクター端子やスライドスイッチ、 帯電話搭載のコンタクトスイッチ、あるい メモリーカードやPCカードの端子など、繰 しの挿抜や摺動を伴う電気接点材において 耐摩耗性に優れるといわれる電気接点材料 利用されている。耐摩耗性の向上に関して 、汎用的なものでは硬質Agや硬質Auを使用し 接点材などが一般的であるが、中でもAgがAu やPdなどより安価なことから、近年は硬質光 Agめっき材などの開発が進み、各種耐摩耗 を要求される箇所において使用されている さらにはマイクロ粒子を分散させためっき クラッド材なども研究開発されており、電 接点材の摺動特性においてさまざまな表面 理材が開発されている。

 また、表面の摺動特性を向上させるため めっき後の表面に封孔処理や潤滑処理を施 ものも存在している。例えば、特許文献1で は、Ag合金の上に純Agめっきを施し、さらに の上に脂肪族アミン、メルカプタンのいず かまたは両者の混合物からなる有機皮膜を け、耐硫化性や耐摩耗性を向上することが られている(特開平6-212491号公報参照)。

 しかしながら、従来の硬質Agあるいは硬 Agめっき処理を施した電気接点材では、無光 沢Ag材よりは摩耗性が少ないものの、比較的 い荷重での摺動が必要な箇所に用いるとそ らがすぐに消耗し、基材が露出して酸化や 食を生じることで摺動接点材の導通不良を ばしば起こすことがあった。貴金属厚を厚 して基材露出を遅くさせるような手法も取 れているが、高価な貴金属を大量に使用し いるため、コストが高くなってしまうデメ ットがある。また、上述の脂肪族アミン、 ルカプタンのいずれかまたは両者の混合物 らなる有機皮膜を設ける従来の手法では、0 .5N以下の比較的低荷重での耐摩耗性は有効で あったが、荷重が0.5N以上になると摩耗が加 度的に進行し、荷重1N~1.5Nではすぐに摺動特 が低下することが分かった。そのうえ、Ag 金の上に純Ag層を設けるような二層構造であ るため、製造コストが上昇するという問題点 があった。さらに、上述の電気接点材料は、 高温環境下において摺動特性の低下がみられ ることがあるが、この原因は有機皮膜の耐熱 性が不十分であることがわかってきた。

 本発明者は、上記問題点に対して鋭意検討 重ねた結果、貴金属またはこれを主成分と る合金からなる表層を有する電気接点材料 あって、前記表層の表面上に、脂肪酸を含 有機化合物から形成してなる有機皮膜を設 ることによって得られた電気接点材料が、 摩耗性や摺動特性、耐熱性に優れることを 出した。本発明はこの知見によってなされ に至ったものである。
 すなわち、本発明によれば、以下の手段が 供される:
(1)貴金属またはこれを主成分とする合金から なる表層を有する電気接点材料であって、前 記表層の表面上に、脂肪酸を含む有機化合物 から形成された有機皮膜を設けてなることを 特徴とする、電気接点材料、
(2)前記脂肪酸の炭素原子数が8~50(但し、COOHの Cの数を含む)である有機化合物から形成され 有機皮膜を設けてなることを特徴とする、( 1)項記載の電気接点材料、
(3)貴金属またはこれを主成分とする合金から なる表層を有する電気接点材料であって、前 記表層の表面上に脂肪族アミン、メルカプタ ンのいずれかまたは両者の混合物からなる第 1の有機皮膜層を設け、さらに、前記第1の有 皮膜層の表面上に、脂肪酸を含む有機化合 から形成された第2の有機皮膜を設けてなる ことを特徴とする、電気接点材料、
(4)前記脂肪酸の炭素原子数が8~50(但し、COOHの Cの数を含む)である有機化合物から形成され 有機皮膜を設けてなることを特徴とする、( 3)項記載の電気接点材料、
(5)前記表層を形成する前記貴金属またはこれ を主成分とする合金がAu、Ag、Cu、Pt、Pd、Ruま たはこれら何れか1種以上を主成分とする合 であることを特徴とする、(1)または(2)項記 の電気接点材料、
(6)前記表層を形成する前記貴金属またはこれ を主成分とする合金がAgまたはAgを主成分と る合金であることを特徴とする、(3)または(4 )記載の電気接点材料、
(7)前記貴金属またはこれを主成分とする合金 からなる前記表層が、めっき法またはクラッ ド法で形成されることを特徴とする、前記(1) ~(6)のいずれか1項に電気接点材料の製造方法 及び
(8)前記(1)~(6)のいずれか1項に記載の電気接点 料を用いてなる、電気接点

 本発明の上記及び他の特徴及び利点は、 宜添付の図面を参照して、下記の記載から り明らかになるであろう。

図1は、本発明の電気接点材料の1つの 施形態の断面図を示す図である。 図2は、本発明の電気接点材料のもう1 の実施形態の断面図を示す図である。 図3は、本発明の電気接点材料のさらに もう1つの実施形態の断面図を示す図である

 以下、本発明の電気接点材料について説明 る。
 本明細書及び特許請求の範囲において、「 金属」とは、イオン化傾向が水素よりも小 く、貴である金属をいう。
 本明細書及び特許請求の範囲において、「 金属またはこれを主成分とする合金からな 表層を有する電気接点材料」とは、有機皮 または有機皮膜層形成前の最表面に貴金属 たはこれを主成分とする(当該貴金属を50質 %以上含有する)合金が現れている電気接点 料をいう。

 本発明の電気接点材料の形状は、板、棒 線、管、条、異型条など、電気接点材料と て使用される形状であれば特に制限はない また、表面が貴金属またはその合金で完全 覆われている必要はなく、例えばフープ条 ストライプ状、スポット状等、接点材料と て利用される箇所であれば部分的に露出し いるものでもよい。

 本明細書及び特許請求の範囲において、 貴金属を主成分とする合金」とは、前記貴 属の含有量として、貴金属を50質量%以上含 する合金をいい、70質量%以上含有する合金 好ましい。

 本発明の電気接点材料において、貴金属 たはこれを主成分とする合金の構成につい 特に制限はないが、金(Au)またはAu合金の具 例としては、例えば、Au、Au-Ag合金、Au-Cu合 、Au-Ni合金、Au-Co合金、Au-Pd合金、Au-Fe合金 が挙げられ、銀(Ag)またはAg合金の具体例と ては、例えばAg、Ag-Cu合金、Ag-Ni合金、Ag-Se合 金、Ag-Sb合金、Ag-Sn合金、Ag-Cd合金、Ag-Fe合金 Ag-In合金、Ag-Zn合金、Ag-Li合金、Ag-Co合金、Ag -Pb合金等が挙げられ、銅(Cu)またはCu合金の具 体例としては、例えばCu、Cu-Sn合金、Cu-Zn合金 、Cu-Ag合金、Cu-Au合金、Cu-Ni合金、Cu-Fe合金等 挙げられ、ルテニウム(Ru)またはRu合金の具 例としては、例えば、Ru、Ru-Au合金、Ru-Pd合 、Ru-Pt合金等が挙げられる。

 図1は、本発明の電気接点材料の1つの実施 態の断面図を示す図である。
 図1中、貴金属またはその合金1の表面上に 脂肪酸を含む有機化合物から形成した有機 膜2を設けてなる形態である。

 図2は、本発明の電気接点材料のもう1つの 施形態の断面図を示す図である。
 図2中、基体3の表面上に貴金属またはその 金1からなる表層が形成され、その表層の表 上に脂肪酸を含む有機化合物から形成した 機皮膜2を設けてなる形態である。

 本発明において、前記貴金属またはこれ 主成分とする合金からなる前記表層が形成 れる基体としては、電気接点材料の基体と て用いられる基体である限り特に制限はな が、例えば、銅(Cu)またはその合金、鉄(Fe) たはその合金、ニッケル(Ni)またはその合金 アルミニウム(Al)またはその合金等が挙げら れる。

 さらにこれらの貴金属またはその合金か なる前記表層がめっき法で形成される場合 、基体成分と貴金属またはその合金からな 表層の拡散防止や密着性向上のため、ニッ ル(Ni)およびその合金、もしくはコバルト(Co )およびその合金、もしくはCuおよびその合金 など、適宜任意の下地層を設けてもよい。ま た、下地層は複数層あっても良く、被覆仕様 用途等に応じて各種の下地構成を設けるのが 好ましい。これらの厚さについても特に制限 はないが、電気接点材としての使用条件やコ スト等を考慮すると、前記貴金属またはこれ を主成分とする合金からなる前記表層の厚さ は、下地層を含めても0.01~10μmが好ましく、0. 1~2μmがより好ましい。

 貴金属またはその合金からなる表層の表面 に形成される有機皮膜は、脂肪酸を含む有 化合物から形成してなる耐熱性を有する有 皮膜である。
 脂肪酸とは、鎖状の1価のカルボン酸のこと をいい、化学式C n H m COOHで表され、それぞれn、mは整数を表す。ま た、二重結合や三重結合を持たない飽和脂肪 酸や、前記結合をもつ不飽和脂肪酸も含まれ ている。

 この有機皮膜は、貴金属に対して物理吸着 たは化学吸着する脂肪酸を有し、かつ潤滑 を兼ね備えた耐熱性を有する有機皮膜であ て、耐食性向上および潤滑性向上を目的と るために設けた皮膜である。
 本発明において、前記有機皮膜の厚さにつ ては特に制限はないが、接触抵抗の上昇抑 の観点から、0.0001~0.1μmが好ましく、0.0001~0. 01μmがより好ましい。

 前記脂肪酸としては、例えば炭素原子数1~7 短鎖脂肪酸、炭素原子数8~10の中鎖脂肪酸、 12以上の長鎖脂肪酸が挙げられるが、脂肪酸 腐食性や安定性を考慮すると、炭素原子数8 ~50の脂肪酸が好ましく、炭素原子数12~40の脂 酸がさらに好ましい。但し、上記の炭素原 数はカルボキシル基(COOH)のCの数を含むもの である。
 本発明において好ましい脂肪酸の具体例と ては、飽和脂肪酸としてカプリル酸、カプ ン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミ ン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、セロチン 、メリシン酸等、不飽和脂肪酸としてミリ トレイン酸、パルミトレイン酸、オレイン 、ネルボン酸、リノール酸、α-リノレン酸 が挙げられる。

 前記有機皮膜の形成方法については、貴 属またはこれを主成分とする合金からなる 層を有する材料を、上記有機化合物を含有 る溶液中に浸漬して乾燥することで前記皮 を形成する方法が好ましいが、そのほか、 記有機化合物を含有する溶液ミスト中を通 させたり、上記溶液を湿らせた布等で拭い りするなどしたのち、乾燥させることによ 形成することもできる。

 前記溶液中の脂肪酸を含む有機化合物の 度は特に制限されることはないが、好まし は0.01~10質量%となるように、トルエン、ア トン、トリクロロエタン、市販品合成溶剤( えば、NSクリーン100W;株式会社ジャパンエナ ジー製)等、適当な溶剤に溶解して使用する とができる。有機皮膜形成の処理温度・処 時間については特に制限はないが、常温(25 )で0.1秒以上(好ましくは0.5~10秒)浸漬すれば 的とする耐熱性を有する有機皮膜が形成さ る。

 この有機皮膜処理は、1種の脂肪酸からな る有機皮膜を2回以上形成処理したり、2種以 の脂肪酸からなる混合液による有機皮膜を2 回以上形成処理したり、さらにはこれらを交 互に形成処理したりしても良いが、工程数や コスト面を考慮すると多くても形成処理は3 以内にするのが好ましい。

 次に、図3を参照して、本発明の電気接点材 料のさらにもう1つの実施形態について説明 る。
 図3は、本発明の電気接点材料のさらにもう 1つの実施形態の断面図を示す図である。図3 、基体3の表面上に貴金属またはその合金1 らなる表層が設けられ、その表層の表面上 脂肪族アミン、メルカプタンのいずれかま は両者の混合物からなる第1の有機皮膜層4を 設け、さらに、前記第1の有機皮膜層の表面 に、脂肪酸を含む有機化合物から形成した 2の有機皮膜2を設けてなる形態である。
 貴金属またはその合金からなる表層の表面 に形成される有機皮膜が、脂肪族アミン、 ルカプタンのいずれかまたは両者の混合物 らなる第1の有機皮膜層を設け、さらに、前 記第1の有機皮膜層の表面上に脂肪酸を含む 機化合物から形成してなる第2の有機皮膜を けることで、その潤滑性や耐食性がより向 する。具体的には、脂肪族アミン、メルカ タンのいずれかまたは両者の混合物からな 前記第1の有機皮膜層は、貴金属に対して吸 着しやすい脂肪族アミン、メルカプタンによ る皮膜層形成処理を施すことで、主に耐食性 向上を目的として設けられた皮膜層である。
 本発明に用いられる脂肪族アミン及びメル プタンとしては、炭素原子数5~50の脂肪族ア ミン及びメルカプタンが好ましく、具体的に は、ドデシルアミン、アイコシルアミン、ノ ニルアミン、ドデシルメルカプタン、オクタ デシルメルカプタン、アイコシルメルカプタ ン、ノニルメルカプタン等が挙げられる。
 第1の有機皮膜層形成処理方法としては、貴 金属またはこれを主成分とする合金からなる 表層を有する材料を、脂肪族アミン、メルカ プタンを含有する溶液中に浸漬する方法で処 理することが好ましいが、その他、上記脂肪 族アミン等を含有する溶液ミスト中を通過さ せたり、前記溶液を湿らせた布等で拭くなど しても皮膜層形成処理をすることができる。

 前記溶液中の脂肪族アミン、メルカプタ の濃度は特に制限されることはないが、好 しくは0.01~10質量%となるように、トルエン アセトン、トリクロロエタン、市販品合成 剤等、適当な溶剤に溶解して使用すること できる。処理時間も特に制限されることは いが、常温(25℃)で0.1秒以上(好ましくは0.5~10 秒)浸漬すれば目的とする有機皮膜層が形成 れる。

 この有機皮膜層処理においても、1種の脂肪 族アミン又はメルカプタンを含有する有機皮 膜層を2回以上形成処理したり、2種以上の脂 族アミン及び/又はメルカプタンを含有する 混合液を用いて有機皮膜層を2回以上形成処 したり、さらにはこれらを交互に形成処理 たりしても良いが、工程数やコスト面を考 すると多くても形成処理は3回以内にするの 好ましい。
 前記第1の有機皮膜層を形成後、さらに、前 記第1の有機皮膜層の表面上に脂肪酸を含む 機化合物からなる第2の有機皮膜を形成する この第2の有機皮膜は、前述の効果に加え、 比較的高荷重での摺動接点として用いられる 場合において、前記第1の有機皮膜層では耐 切れない摺動を保護するために設けた皮膜 あり、かつ前記第1の有機皮膜層の耐食性を 時間保護する効果もある皮膜である。第2の 有機皮膜の形成は、上記脂肪族アミン、メル カプタンのいずれかまたは両者の混合物から なる第1の有機皮膜層を設けた後、前述と同 の手法で皮膜形成処理することによって得 ことができる。

 本発明において、前記第1の有機皮膜層及 び第2の有機皮膜の厚さについては特に制限 ないが、接触抵抗上昇抑制の観点から、各 0.0001~0.1μmが好ましく、0.0001~0.01μmがより好 しい。

 これらの処理に関しては、全ての貴金属 よびその合金において、脂肪酸を含む有機 合物からなる有機皮膜のみの処理、あるい 脂肪族アミン、メルカプタンのいずれかま は両者の混合物からなる有機皮膜処理後に 肪酸を含む有機化合物からなる有機皮膜を 成する処理、どちらでも効果を発揮するが 前記処理では特にAu、Ag、Cu、Pt、Pd、Ruある はこれら何れか1種以上を主成分とする合金 において強い効果を発揮し、後記処理に関し ては特にAg又はAgを主成分とする合金におい 殊に効果を発揮する。

 また、上記貴金属またはその合金からな 表層をめっき法あるいはクラッド法で形成 た場合、その他の被覆法よりも有機皮膜形 前の最表層の状態が活性であるため、有機 膜がより強固に吸着し、より大きな耐食性 よび潤滑性に対する効果が期待される。

 これらの手法で形成された本発明の電気 点材料を用いた電気接点は、従来の接点材 比べて耐食性もよく、かつ摺動を伴うよう 接点材において、耐摩耗性が従来材と比し 優れた特性を持った電気接点が形成できる

 本発明の電気接点としては、繰返しの挿 や摺動を伴う電気接点が挙げられ、具体的 は、自動車ハーネス用のコネクター端子や ライドスイッチ、携帯電話搭載のコンタク スイッチ、あるいはメモリーカードやPCカ ドの端子等が挙げられる。

 本発明の電気接点材料は、1N程度の比較的 い荷重においても耐摩耗性を有することに り摺動特性に優れ、かつ耐食性、耐熱性を する。
 本発明の製造方法によれば、より大きな耐 性および潤滑性を有し、かつ摺動特性に優 た電気接点材料を製造できる。

 以下に、本発明を実施例に基づきさらに詳 に説明するが、本発明はそれらに限定され ものではない。
 実施例1

 厚さ0.3mm、幅180mmのC14410条(基体)を電解脱 、酸洗の前処理を行った後、表1に示しため っき厚0.5μmのめっき構成材を作製した。次に 、得られためっき構成材に有機皮膜形成処理 を施し、表1に示す有機皮膜厚0.01μmの本発明 1~12および比較例1~8の電気接点材料を得た。 また、従来例としてAg-5%Sb合金を上記基体上 常法によりクラッドし、得られたクラッド 料にノルメルカプタンの皮膜層形成処理し 従来例1の電気接点材料を得た。

 上記の電気接点材料に関して、耐食性を 断するために、硫化試験を行った。その結 をレイティングナンバー(以後「RN」と表記) で数値化し、評価を行った。RNは、JIS H 8502 載の標準図表を判定基準としており、数値 大きいほど耐食性が良好であることを示唆 ている。また、摺動特性を求めるために、 動電気接点として使用される部分における 摩擦係数測定を行い、100回摺動後の動摩擦 数について上記硫化試験の結果とともに表1 に併記した。

 上記の前処理条件およびめっき条件を下記 示す。
(前処理条件)
[電解脱脂]
脱脂液:NaOH 60g/l
脱脂条件:2.5 A/dm 2 、温度60℃、脱脂時間60秒
[酸洗]
酸洗液:10%硫酸
酸洗条件:30秒浸漬、室温(25℃)

(めっき条件)
[Auめっき]
めっき液:KAu(CN) 2  14.6g/l、C 6 H 8 O 7  150g/l、K 2 C 6 H 4 O 7  180g/l
めっき条件:電流密度 1A/dm 2 、温度 40℃
[Au-Coめっき]
めっき液:KAu(CN) 2  14.6g/l、C 6 H 8 O 7  150g/l、K 2 C 6 H 4 O 7  180g/l、EDTA-Co(II) 3g/l、ピペラジン 2g/l
めっき条件:電流密度 1A/dm 2 、温度 40℃
[Agめっき]
めっき液:AgCN 50g/l、KCN 100g/l、K 2 CO 3  30g/l
めっき条件:電流密度 0.5~3A/dm 2 、温度 30℃
[Cuめっき]
めっき液:CuSO 4 ・5H 2 O 250g/l、H 2 SO 4  50g/l、NaCl 0.1g/l
めっき条件:電流密度 6A/dm 2 、温度 40℃

[Pdめっき]
めっき液:Pd(NH 3 ) 2 CL 2  45g/l、NH 4 OH 90ml/l、(NH 4 ) 2 SO 4  50g/l
めっき条件:電流密度 1A/dm 2 、温度 30℃
[Pd-Ni合金めっき:Pd/Ni(%) 80/20]
めっき液:Pd(NH 3 ) 2 Cl 2  40g/l、NiSO 4  45g/l、NH 4 OH 90ml/l、(NH 4 ) 2 SO 4  50g/l
めっき条件:電流密度 1A/dm 2 、温度 30℃
[Ruめっき]
めっき液:RuNOCl 3 ・5H 2 O 10g/l、NH 2 SO 3 H 15g/l
めっき条件:電流密度 1A/dm 2 、温度 50℃
[Ptめっき]
めっき液:Pt(NO 2 ) 2 (NH 3 ) 2  10g/l、NaNO 2  10g/l、NH 4 NO 3  100g/l、NH 3  50ml/l
めっき条件:電流密度 5A/dm 2 、温度 90℃

 有機皮膜形成処理条件を下記に示す。表1中 の耐熱性有機皮膜は下記浸漬溶液の種類であ る。
浸漬溶液:0.5質量%脂肪酸溶液(溶剤トルエン)
浸漬条件:常温(25)℃ 5秒浸漬
乾燥:40℃ 30秒
 また、従来例のノニルメルカプタン皮膜層 成の条件は以下のとおりである。表1中の耐 熱性有機皮膜は下記浸漬溶液の種類である。
浸漬溶液:0.2質量%メルカプタン溶液(溶剤トル エン)
浸漬条件:常温(25)℃5秒浸漬
乾燥:40℃30秒

 また、硫化試験条件および動摩擦係数測定 件について、以下に記す。
[硫化試験]
 硫化試験条件:H 2 S 3ppm、40℃、48時間、80%Rh
[動摩擦係数測定]
 測定条件:R(半径)=3.0mmの鋼球プローブ、摺動 距離 10mm、摺動速度 100mm/秒、摺動回数 往 100回、荷重 1N、65%Rh、25℃

 表1中、「最表層」とは、有機皮膜または有 機皮膜層形成前の貴金属またはこれを主成分 とする合金が現れている表層をいう。表2に いても同様である。
 表1から明らかなように、貴金属またはその 合金の表面に脂肪酸を含む有機化合物から形 成した有機皮膜を設けることによって、耐食 性(RN)及び摺動特性(動摩擦係数)が大幅に向上 していることが分かる。また、従来例1では 重が1Nになると動摩擦係数が上昇してしまう 結果が明らかとなっている。
 実施例2

 厚さ0.3mm、幅180mmのC14410条(基体)を電解脱 、酸洗の前処理を行った後、表2に示しため っき厚0.5μmのめっき構成材を作製した。次に 、得られためっき構成材に有機皮膜形成処理 を施し、第1の有機皮膜層厚0.01μm、第2の有機 皮膜厚0.01μmの本発明例13~26の電気接点材料を 得た。また、比較の意味で表1で記載した比 例1~8及び従来例1の電気接点材料については 2に合わせて記載した。

 皮膜形成処理条件を下記に示す。表2中の第 1の有機皮膜層および第2の耐熱性有機皮膜は 記浸漬溶液の種類である。
(第1の有機皮膜層形成)
浸漬溶液:0.2質量%脂肪族アミン又はメルカプ ン溶液(溶剤トルエン)
浸漬条件:常温(25)℃5秒浸漬
乾燥:40℃30秒
(第2の有機皮膜形成)
浸漬溶液:1.0質量%脂肪酸溶液(溶剤NSクリーン1 00W)
浸漬条件:室温(25)℃5秒浸漬
乾燥:40℃ 30秒

 上記の電気接点材料に関して、耐食性を 断するために、硫化試験を行った。その結 を実施例1同様にRNで数値化し、評価を行っ 。また、摺動特性を求めるために、摺動電 接点として使用される部分における動摩擦 数測定を行い、100回摺動後の動摩擦係数に いて上記硫化試験の結果とともに表2に併記 した。なお、前処理条件、めっき条件及び硫 化試験条件は、実施例1と同様の条件で行っ 。

 動摩擦係数測定条件について、以下に記す
[動摩擦係数測定]
 測定条件:R(半径)=3.0mmの鋼球プローブ、摺動 距離 10mm、摺動速度 100mm/秒、摺動回数 往 100回、荷重 1.5N、65%Rh、25℃

 表2から明らかなように、貴金属またはその 合金の表面に脂肪族アミン、メルカプタンの いずれかまたは両者の混合物からなる有機皮 膜層を設け、さらにその上層に脂肪酸を含む 有機化合物から形成してなる有機皮膜を設け た実施例13~26は、表1の脂肪酸を含む有機化合 物から形成してなる有機皮膜を設けたのみの 実施例1~12に比べ、耐食性(RN)及び摺動特性(動 摩擦係数)がさらに向上していることが分か 。殊にAgに関しては、摺動特性(動摩擦係数) みならず耐食性(RN)がさらに大幅に向上する ことが伺える。
 実施例3

 厚さ0.64mm、幅150mmのC26800条(基体)を電解脱脂 、酸洗の前処理を行った後、純Agめっきを厚 1.0μm施した後、第一の有機皮膜層厚0.005μm 第二の有機皮膜(ステアリン酸)厚0.005μmの材 を得た(本発明例27~37)。
 また、従来例として第一の有機皮膜層厚0.00 5μmのみ形成したAg-5%Sbめっき+ノニルメルカプ タン材を得た(従来例2)。
 得られた本発明例27~37、従来例2、及び表1に 示す比較例1~8について表3に示す加熱条件で 熱処理した後、実施例1と同様に動摩擦係数 測定を行った。結果を表3に示す。

 表3から明らかなように、80℃まで加熱試 を実施しても従来例および比較例よりも摺 特性(動摩擦係数)が優れており、本発明例 は耐熱性が優れていることが分かる。

 本発明の電気接点材料は、特に摺動を伴う うなスライドスイッチ、タクトスイッチ等 電気接点に長い寿命で好適に使用される。
 また、本発明の電気接点は、耐食性、耐摩 性が優れるので寿命が長く、摺動を伴うよ なスライドスイッチ、タクトスイッチ等と て好適である。

 本発明をその実施態様とともに説明した 、我々は特に指定しない限り我々の発明を 明のどの細部においても限定しようとする のではなく、添付の請求の範囲に示した発 の精神と範囲に反することなく幅広く解釈 れるべきであると考える。

 本願は、2007年4月3日に日本国で特許出願さ た特願2007-097785、及び2008年3月27日に日本国 特許出願された特願2008-083320に基づく優先 を主張するものであり、これらはいずれも こに参照してその内容を本明細書の記載の 部として取り込む。