古河電気工業株式会社 (〒22 東京都千代田区丸の内2丁目2番3号 Tokyo, 〒1008322, JP)
| Niを1.0~4.5質量%、Siを0.2~1.1質量%含有し、残部がCuと不可避不純物からなる組成を有する銅合金線材を複数本撚り合わせてなる配線用電線導体であって、前記銅合金線材の0.2%耐力と引張強さの比が0.70以上0.92以下であり、かつ加工硬化指数が0.04以上0.17以下であることを特徴とする配線用電線導体。 |
| Niを1.0~4.5質量%、Siを0.2~1.1質量%含有し、さらにSnを0.005~1.0質量%、Feを0.005~0.2質量%、Crを0.005~0.2質量%、Coを0.05~2質量%、Pを0.005~0.1質量%、Agを0.005~0.3質量%からなる群から選ばれる少なくとも1種を含有し、残部がCuと不可避不純物からなる組成を有する銅合金線材を複数本撚り合わせてなる配線用電線導体であって、前記銅合金線材の0.2%耐力と引張強さの比が0.70以上0.92以下であり、加工硬化指数が0.04以上0.17以下であることを特徴とする配線用電線導体。 |
| 前記銅合金線材の組成が、Mnを0.01~0.5質量%、Mgを0.05~0.5質量%からなる群から選ばれる少なくとも1種をさらに含有することを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載の配線用電線導体。 |
| 前記銅合金線材の組成が、さらにZnを0.1~1.5質量%含有することを特徴とする、請求項1~3のいずれか1項に記載の配線用電線導体。 |
| 断面積が0.03~0.13mm 2 であることを特徴とする、請求項1~4のいずれか1項に記載の配線用電線導体。 |
| 請求項1~5のいずれか1項に記載の配線用電線導体が、その周囲に絶縁被覆を有してなることを特徴とする配線用電線。 |
| Niを1.0~4.5質量%、Siを0.2~1.1質量%含有し、残部がCuと不可避不純物からなる組成を有する銅合金を鋳造し、得られた鋳塊又はそれから得た丸棒に溶体化処理を施し、これを所定の線径に伸線加工して銅合金線材を得て、該銅合金線材を複数本撚り合わせ、さらに圧縮した後、350~550℃で、1分~5時間時効焼鈍を行う各工程を含んでなることを特徴とする配線用電線導体の製造方法。 |
| Niを1.0~4.5質量%、Siを0.2~1.1質量%含有し、さらにSnを0.005~1.0質量%、Feを0.005~0.2質量%、Crを0.005~0.2質量%、Coを0.05~2質量%、Pを0.005~0.1質量%、Agを0.005~0.3質量%からなる群から選ばれる少なくとも1種を含有し、残部がCuと不可避不純物からなる組成を有する銅合金を鋳造し、得られた鋳塊又はそれから得た丸棒に溶体化処理を施し、これを所定の線径に伸線加工して銅合金線材を得て、該銅合金線材を複数本撚り合わせ、さらに圧縮した後、350~550℃で、1分~5時間時効焼鈍を行う各工程を含んでなることを特徴とする配線用電線導体の製造方法。 |
この発明は、自動車、ロボット、電気・ 子機器等の配線用電線導体、配線用電線お び配線用電線導体の製造方法に関するもの ある。
従来、配線用電線の導体として、主にJIS C
3102に規定されるような軟銅線、またはこれ
錫メッキ等を施した線を撚り合わせた撚線
導体とし、この導体に塩化ビニル、架橋ポ
エチレン等の絶縁体を同心円状に被覆した
線が使用されてきた。
これらの電線を機器と接続する場合、通常
圧着端子と呼ばれる端子を用いて圧着接続
れる。圧着接続とは、板材で電線を包み込
、かしめを行って接続する方法である。
圧着による接続状態を確認する方法として
着強度の測定がある。これは、電線を圧着
子に接続後、電線と端子とを掴んで引張試
を行い、破断が生じる時の強度を測定する
のである。一般に圧着部はかしめにより導
の断面積が2~3割小さくなっており(以下、か
しめにより断面積が減少した割合を「断面減
少率」とする)、導体の強度の絶対値は低下
ているため、破断はかしめ部分で生じる。
ところで、特に自動車配線回路においては
制御用等の信号電流回路の占める割合が高
り、使用する電線の本数および重量が増加
てきた。
一方、省エネルギの立場等からは、一つの
段として自動車重量の軽減化が要求される
うになってきた。そして、その対策の一つ
して、電線導体の細径化による重量軽減化
求められている。しかしながら、従来の電
導体である銅の軟質材は、通電容量には十
余裕があるにもかかわらず、電線導体自体
機械的強度が低いため細径化することは困
であった。軟銅線の圧着強度は、かしめに
り導体の断面積が低下しても、導体自身が
工硬化する余地があるため、圧着部の強度
未圧着部の強度とほぼ同等であり圧着強度
安定性は高いが、軟銅であるため強度その
のが低いという問題が大きい。
そこで、機械的強度の向上策として、たと
ば銅合金の硬質材の使用が検討されている(
特許文献1参照)。
ところで、特許文献1に記載された電線導 体は、それ自身の加工硬化がほぼ飽和してい ると考えられる。この場合には、圧着端子を 電線導体に接続する際のかしめによる断面積 低下により電線導体の圧着部における絶対強 度が低下するため、安定した圧着強度が得ら れないおそれがある。
このような問題に鑑み、本発明はなされ もので、端子圧着強度に優れる配線用電線 体、ならびにその配線用電線導体の製造方 を提供することを課題とするものである。
本発明者らは鋭意検討した結果、特定の 成の時効析出型銅合金を用い、0.2%耐力と引 張強さとの比を0.70以上0.92以下、加工硬化指 を0.04以上0.17以下の銅合金線材を用いて構 することによって、引張強度に優れ、圧着 の絶対強度の低下が少なく端子圧着強度が い配線用電線導体を製造し得ることを見出 た。また、絶縁被覆層の形成前の最終工程 行う時効熱処理を特定の条件下で施すこと よって、上記配線用電線導体を再現性よく ることができることを見出した。本発明は れらの知見に基づいて完成するに至ったも である。
本発明によれば、以下の手段が提供される:
(1)Niを1.0~4.5質量%、Siを0.2~1.1質量%含有し、残
がCuと不可避不純物からなる組成を有する
合金線材を複数本撚り合わせてなる配線用
線導体であって、前記銅合金線材の0.2%耐力
引張強さの比が0.70以上0.92以下であり、か
加工硬化指数が0.04以上0.17以下であることを
特徴とする配線用電線導体、
(2)Niを1.0~4.5質量%、Siを0.2~1.1質量%含有し、さ
にSnを0.005~1.0質量%、Feを0.005~0.2質量%、Crを0.
005~0.2質量%、Coを0.05~2質量%、Pを0.005~0.1質量%
Agを0.005~0.3質量%からなる群から選ばれる少
くとも1種を含有し、残部がCuと不可避不純
からなる組成を有する銅合金線材を複数本
り合わせてなる配線用電線導体であって、
記銅合金線材の0.2%耐力と引張強さの比が0.70
以上0.92以下であり、加工硬化指数が0.04以上0
.17以下であることを特徴とする配線用電線導
体、
(3)前記銅合金線材の組成が、Mnを0.01~0.5質量%
Mgを0.05~0.5質量%からなる群から選ばれる少
くとも1種をさらに含有することを特徴とす
、(1)又は(2)に記載の配線用電線導体、
(4)前記銅合金線材の組成が、さらにZnを0.1~1.5
質量%含有することを特徴とする、(1)~(3)のい
れか1項に記載の配線用電線導体、
(5)断面積が0.03~0.13mm 2
であることを特徴とする、前記(1)~(4)のいず
か1項に記載の配線用電線導体、
(6)前記(1)~(5)のいずれか1項に記載の配線用電
導体が、その周囲に絶縁被覆を有してなる
とを特徴とする配線用電線、
(7)Niを1.0~4.5質量%、Siを0.2~1.1質量%含有し、残
がCuと不可避不純物からなる組成を有する
合金を鋳造し、得られた鋳塊又はそれから
た丸棒に溶体化処理を施し、これを所定の
径に伸線加工して銅合金線材を得て、該銅
金線材を複数本撚り合わせ、さらに圧縮し
後、350~550℃で、1分~5時間時効焼鈍を行う各
程を含んでなることを特徴とする配線用電
導体の製造方法、および、
(8)Niを1.0~4.5質量%、Siを0.2~1.1質量%含有し、さ
にSnを0.005~1.0質量%、Feを0.005~0.2質量%、Crを0.
005~0.2質量%、Coを0.05~2質量%、Pを0.005~0.1質量%
Agを0.005~0.3質量%からなる群から選ばれる少
くとも1種を含有し、残部がCuと不可避不純
からなる組成を有する銅合金を鋳造し、得
れた鋳塊又はそれから得た丸棒に溶体化処
を施し、これを所定の線径に伸線加工して
合金線材を得て、該銅合金線材を複数本撚
合わせ、さらに圧縮した後、350~550℃で、1分
~5時間時効焼鈍を行う各工程を含んでなるこ
を特徴とする配線用電線導体の製造方法。
ここで、鋳塊にはビレットも含むものとす
。
本発明の配線用電線導体は、端子圧着強度
優れる。
また、本発明の配線用電線導体は、導体を
造する際の熱間割れが抑制され、細径に伸
加工する時の加工性に優れたものとするこ
ができる。
本発明の配線用電線導体の製造方法によれ
、上述の優れた物性を有する配線用電線導
を製造できる。
本発明の配線用電線は、導体の細径化によ
電線重量を低減することができ、自動車お
びロボット用その他の信号用電線や、電気
電子機器等の配線用電線として好適である
本発明の配線用電線の製造方法によれば、
述の優れた特性を有する配線用電線を製造
きる。
本発明の上記及び他の特徴及び利点は、下
の記載からより明らかになるであろう。
本発明の配線用電線導体に用いられる銅( Cu)合金線材の好ましい実施の態様について、 詳細に説明する。まず、各合金元素の作用効 果とその含有量の範囲について説明する。
ニッケル(Ni)とケイ素(Si)は、NiとSiの含有比 制御することによりマトリクス中にNi-Si析 物(Ni 2 Si)を形成させて析出強化を行い銅合金の強度 を向上させるために含有する元素である。
Niの含有量は1.0~4.5質量%であり、1.2~4.2質 %であることが好ましい。Ni量が少なすぎる その析出硬化量が小さく強度が不足する。 すぎれば熱処理時に粒界析出が生じ、強度 低下する。
Siは質量%で計算するときはNi含有量の約1/ 4の時に最も強化量が大きくなる(強度が向上 る)ことが知られている。本発明において、 Siの含有量は0.2~1.1質量%であり、0.3~1.0質量%で あることが好ましい。
また、本発明に用いられる銅合金材は、 ズ(Sn)、鉄(Fe)、クロム(Cr)、コバルト(Co)、リ ン(P)および銀(Ag)の少なくとも1種を含有する とが好ましい。これらの元素は強度を向上 せるという点で類似の機能を有しているも であり、含有させる場合には、Sn、Fe、Cr、C o、P、Agの中から選ばれる少なくとも1種を、 計量として0.005~2質量%含有させることが好 しく、0.01~1.5質量%含有させることがより好 しい。
Snは銅に固溶し、格子を歪ませることで強
を向上させることができる。ただし、Snの含
有量が多すぎると導電率が低下する。よって
、Snを添加する場合の好ましい含有範囲は0.00
5~1.0質量%であり、0.05~0.2質量%であることがさ
らに好ましい。
Fe、CrはSiと結合し、Fe-Si化合物、Cr-Si化合物
を形成し、強度を向上させる。また、Niとの
合物を形成せずにCuマトリクス中に残存す
Siをトラップし、導電性を改善する効果があ
る。一方で、Fe-Si化合物、Cr-Si化合物は析出
化能(時効硬化能)が低いため、これらの化合
物を必要以上に多く生成させることは強度向
上の観点から得策ではない。また、Fe、Crは
れぞれその含有量が多すぎると強度が低下
てくる。これらの観点から、Fe、Crを含有さ
る場合の含有量は、それぞれ0.005~0.2質量%で
あることが好ましく、それぞれ0.03~0.15質量%
あることがより好ましい。
CoはNiと同様にSiと化合物を形成し、強度を
上させる。CoはNiに比べて高価であるため、
本発明の好ましい実施形態としての配線用電
線導体はCu-Ni-Si系合金を利用しているが、コ
ト的に許されるのであれば、Cu-Co-Si系合金
Cu-Ni-Co-Si系合金を選択してもよい。Cu-Co-Si系
金は時効析出させた場合に、Cu-Ni-Si系合金
り強度、導電性ともにわずかによくなる傾
がある。したがって、これらを重視する用
には有効である。以上の観点から、Coを含有
させる場合の含有量は、0.05~2質量%であるこ
が好ましく、0.08~1.5質量%であることがより
ましい。
Pは強度を上昇させる効果を有する。ただし
多量の含有は導電率を低下させ、また粒界析
出を助長して強度を低下させる。よって、P
添加する場合の好ましい含有範囲は0.005~0.1
量%、さらに好ましくは0.01~0.05質量%である。
Agは強度を向上させる。Ag含有量が少なすぎ
ではその効果が充分に得られず、多すぎると
特性上に悪影響はないもののその効果が飽和
し、コスト高になる。これらの観点から、Ag
含有させる場合の含有量は0.005質量%~0.3質量
%とすることが好ましく、0.01~0.2質量%とする
とがより好ましい。
さらに、本発明においては、マグネシウム(
Mg)、マンガン(Mn)の少なくとも1種を含有する
とが好ましい。これらの元素は加熱時の脆
を防ぎ熱間加工性を改善するという点で類
の機能を有している。特に、本発明では銅
金線材を細径化して用いるが、素材に脆化
た部分が内在している場合には細径にまで
線加工ができないため、これらの元素を含
させることが好ましい。MgないしはMnを含有
させる場合には、Mg、Mnの中から少なくとも1
を、合計量として0.01~0.5質量%含有させるこ
が好ましく、0.05~0.3質量%含有させることが
り好ましい。
Mgの含有量は0.05~0.5質量%であることが好ま
く、0.09~0.3質量%であることがさらに好まし
。その含有量が少なすぎるとその効果が小
く、多すぎると導電性を劣化させ、さらに
間加工性を低下させ細径にまで伸線加工が
きなくなる。
Mnはその含有量が少なすぎるとその効果が
さく、多すぎても、含有量に見合った効果
得られないばかりでなく、導電性を劣化さ
得る。よって、Mnの含有量は0.01~0.5質量%が好
ましく、0.1~0.35質量%とすることがより好まし
い。
さらに、本発明においては亜鉛(Zn)を含有 することが好ましい。Znは、加熱による銅合 線材と半田との密着力低下を防止する効果 有する。本発明において、Znを含有させる とにより、銅合金線材をその端部において の導体等と半田接合した際の界面の脆化を しく改善する。本発明におけるZnの含有量は 、0.1~1.5質量%が好ましく、0.4~1.2質量%である とがさらに好ましい。その含有量が少なす ると前記効果がなく、含有量が多すぎると 電率が低下する場合がある。
次いで、本発明に用いられる銅合金線材の
造工程および機械的特性について述べる。
本発明に用いられる銅合金は時効析出型の
金であり、例えば以下のようにしてこの銅
金の線材を得ることができる。まず、本発
で規定する合金組成となるように常法によ
鋳造して得た鋳塊や該鋳塊から熱間押出、
間鍛造等で得た丸棒や荒引き線(以下、これ
らの鋳塊と丸棒、荒引き線とを併せて線材の
材料ともいう)に溶体化処理を施し、この溶
化した線材の材料を所定の直径(線径)に伸線
加工後、時効熱処理を施す。時効熱処理では
、前述のNi 2
Siの析出が生じ、強度の向上および導電率の
上が見られるが、同時に伸線加工で導入さ
た歪の開放が生じるために引張強さ(T)に対
る0.2%耐力(Y)の割合(これをY/T比と呼ぶ)が低
する。Y/T比が低下する時効熱処理条件は伸
加工度(η)により異なるが、本発明において
は、時効熱処理条件として、350~550℃で1分~5
間保持することが好ましい。伸線加工前の
材の材料の直径をD 0
(mm)とし、伸線加工後の線材の直径をD(mm)とす
ると、伸線加工度はη=2×ln(D 0
/D)で表される。例えば、伸線加工度(η)が0の
合、好ましい時効熱処理温度は450~550℃であ
り、また、伸線加工度(η)が0より大きい場合
好ましい時効熱処理温度は380~500℃である。
後者においては、伸線加工度(η)が0より大き
4以下の場合、好ましい時効熱処理温度は400
~500℃であり、さらに、伸線加工度(η)が4より
大きい(通常、4より大きく15以下)場合、好ま
い時効熱処理温度は380~480℃である。
本発明においては、このY/T比は0.70~0.92であ
、好ましくは0.72~0.90である。Y/T比をこの範
とすることにより、端子圧着時の導体自身
加工硬化を大きくすることができ、圧着部
強度低下が少ない配線用電線導体とするこ
ができる。Y/T比が0.70未満となるような時効
熱処理条件では、過時効により強度が低下し
ており、電線として使用するのに適さない。
また、Y/T比が0.92を超える条件では歪の解放
不十分であるため圧着時の導体自身の加工
化が小さく、時効熱処理上がりの強度が低
なるような成分や製造工程となった場合に
圧着端子の断面減少率が40%以下であっても
着部の強度低下が大きくなる。
圧着時の断面減少率とは、圧着時にかしめ
より断面積が減少した割合であって、圧着
の導体撚り線全体の断面積をA 0
(mm 2
)、圧着後の導体撚り線全体の断面積をA(mm 2
)とすると、(A 0
-A)/A 0
で表される。断面減少率が40%を超えると、Y/T
比にかかわらず絶対強度の低下が大きくなる
傾向があるため、圧着端子の断面減少率は好
ましくは40%以下、より好ましくは30%以下であ
る。また、圧着時の断面減少率が5%を下回る
、端子のかしめ部より導体部が抜けやすく
本来の目的である電気的な接合が不十分と
るため、圧着時の断面減少率は好ましくは5
%以上、より好ましくは10%以上である。
なお、本発明は、前記線材の材料を伸線 工後、撚線工程を経た後に時効熱処理を行 ても良い。さらに、撚線工程後であって時 熱処理前に圧縮工程を追加しても良い。ま 、時効熱処理後に圧縮を行っても良いが、 の場合は、圧着の断面減少率は圧縮におけ 断面減少も加味して40%以下となるようにす ことが好ましい。
また、加工硬化指数(以下、n値と呼ぶ)は加 性を表す値であり、降伏点以上の塑性域に ける応力σとひずみεとの関係(曲線)をσ=Cε n (Cは係数)で近似させた時の指数nのことであ 。このn値が大きい方が歪の分布が平均化さ やすい。本発明では、鋭意検討の結果、本 金系においては、上記Y/T比が0.70~0.92の範囲 満たし、n値が0.04~0.17の時に優れた圧着強度 が得られることを見出した。
本発明において、前記線材の材料の製造 法に制約は無い。例えば、ビレットの熱間 出、鋳塊の熱間鍛造、あるいは連続鋳造な の製造方法のいずれでも本発明の配線用電 導体を構成する銅合金線材の材料を製造す ことが可能である。
本発明の配線用電線導体は、電線導体とし
適しているだけでなく、これに絶縁被覆が
けられた配線用電線としても好適なものと
る。絶縁被覆の材料としては、ポリエチレ
、ポリプロピレン等のオレフィン系樹脂ま
はポリ塩化ビニル(PVC)樹脂等が好ましい。
た、オレフィン系樹脂に関しては、これら
難燃剤や架橋剤等を添加して難燃性や機械
度等を高めたものとしてもよい。
本発明の配線用電線においては、撚り合わ
れる導体素線としての銅合金線材の本数や
の各素線の直径、また撚り線上に配される
縁被覆層の層厚については特に制限はなく
配線用電線の用途に応じて適宜決めること
できる。例えば、直径0.1~0.4mmの銅合金線材
7~100本撚り合わせ、厚さ0.1~1.0mmの絶縁被覆
設けることができる。
本発明の考え方は、本発明のCu-Ni-Si系以 の時効析出型合金にも適用できる。例えば 強度よりも導電性を重視する場合はCu-Fe系や Cu-Cr系などの時効析出型合金を採用しても良 。
以下に、本発明を実施例に基づきさらに 細に説明するが、本発明はそれらに限定さ るものではない。
(実施例1)
表1の合金成分で示される組成の合金を高周
波溶解炉にて溶解し、各ビレットを鋳造した
。次に、前記ビレットを900℃で熱間押出して
、直ちに水中焼入れを行い、丸棒(直径16mm)を
得た。次いで前記丸棒を冷間にて伸線し、直
径0.14mmの断面円形状の銅合金線材を得た。丸
棒から伸線への伸線加工度(η)は9.5であった(
お、以下の実施例2、比較例、参考例におい
ても伸線加工度は同一であった。)。前記線
を7本撚り合わせ、さらに圧縮して断面積約0
.1mm 2
の撚線とした。前記撚線を430℃で2時間時効
処理を行い、さらに絶縁体(ポリエチレン)で
被覆し、長さ1kmの配線用電線を製造した。
このようにして得られた各々の銅合金線材
配線用電線とについて、[1]引張強度、[2]0.2%
耐力、[3]圧着強度、[4]n値を下記方法により
べた。各評価項目の測定方法は以下の通り
ある。
[1]引張強度
JIS Z 2241に準じて、1種の銅合金線材ごとに
供試材3本について測定し、その平均値を引
強度(MPa)とした。
[2]0.2%耐力
JIS Z 2241に記載のオフセット法に準じ、0.2%
の永久伸びが生じる時の応力を求めた。1種
銅合金線材ごとに供試材3本について測定し
その平均値を0.2%耐力(MPa)とした。
[3]端子圧着強度
得られた配線用電線を常法により圧着端子
接続し、電線と端子とを掴んで引張試験を
い、破断が生じた時の強度を求めた。圧着
断面減少率は20%とした。なお、実用上、圧
強度が50N未満であると、配線時または配線
に断線が生じる可能性が高くなる。
[4]n値
上記[3]の引張試験で得られた応力-歪線図を
真応力-真歪線図に変換し、その傾きからn値
読み取った。
結果を表1に示す。いずれも、Y/T比は0.70以
0.92以下で、n値は0.04以上0.17以下であり、圧
強度として実用上差し支えない50N以上が得
れている。
(実施例2)
表1の本発明例4および11について、圧着の断
面減少率を10、20、30、40%とした時の圧着強度
の結果を表2に示す。圧着の断面減少率が増
するにつれ、圧着強度の低下が見られるが
いずれも圧着強度として実用上差し支えな
50N以上が得られている。
(比較例、参考例)
表3は、表1の本発明例4および11について、
線加工後の時効熱処理条件を以下のように
れぞれ変えて、Y/T比を0.93および0.69で、かつ
、n値をそれぞれ0.03、0.18と、いずれも本発明
の範囲外とした比較例と、並びに圧着の断面
減少率を50%、60%にしたときの参考例を、それ
ぞれ試験結果とともに示すものである。前記
時効熱処理条件は、比較例1~4では390℃で2時
であり、比較例5~8では500℃で2時間であった
Y/T比が0.93の例(比較例1~4)では、圧着の断面
少率が10~30%までは本発明例と変わらない圧
強度が得られているが、40%では断面積低下
よる絶対強度の低下が大きくなり50Nを下回
ている。また、Y/T比が0.69の例(比較例5~8)で
、圧着の断面減少率が10、20%までは圧着強
は50N以上が得られているが、30、40%では50Nを
下回っている。
なお、圧着の断面減少率が50%、60%である参
例1~4を併せて示すが、これらはいずれも圧
強度が50Nを下回っている。
(従来例)
表4に従来例をそれぞれ試験結果とともに示
す。
従来例は以下の工程で製造した。すなわち
従来例1、2は軟銅(タフピッチ銅)を、従来例
3、4は表4の合金成分で示される組成の合金に
ついて、特許文献1の段落0032に記載された方
により連続鋳造圧延装置にて荒引き線を製
し、次いで冷間にて伸線し、直径0.14mmの素
を得た。前記素線を7本撚り合わせ、さらに
圧縮して断面積約0.1mm 2
の撚線を得て、さらに絶縁体(ポリエチレン)
被覆して配線用電線とした。前記撚線を通
加熱装置で焼鈍を行ったものを従来例1およ
び3、焼鈍を行っていないものを従来例2およ
4とした。
各特性の測定は、前述の[1]~[4]と同じ方法と
した。従来例では、いずれも圧着強度は50N未
満であり、実用的ではない。
本発明をその実施態様とともに説明した 、我々は特に指定しない限り我々の発明を 明のどの細部においても限定しようとする のではなく、添付の請求の範囲に示した発 の精神と範囲に反することなく幅広く解釈 れるべきであると考える。
本願は、2008年6月17日に日本国で特許出願 された特願2008-157599に基づく優先権を主張す ものであり、これはここに参照してその内 を本明細書の記載の一部として取り込む。
