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Title:
ELECTROCONDUCTIVE MEMBER OF STAINLESS STEEL AND PROCESS FOR PRODUCING THE ELECTROCONDUCTIVE MEMBER
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2008/136306
Kind Code:
A1
Abstract:
This invention provides an electroconductive member of a stainless steel, which retains a design on its surface, has excellent electroconductivity, and a low level of contact electrical resistance, and a process for producing the electroconductive member. The electroconductive member of a stainless steel satisfies at least one of the following requirements 1 to 6: (1) a requirement that the ratio of the X-ray intensity at a binding energy of 531.3 eV to the X-ray intensity at a binding energy of 530.1 eV as analyzed by surface X-ray photoelectron spectroscopy (XPS) is not less than 0.85; (2) a requirement that the concentration of F in a passive film is not less than 0.1 atom%; (3) a requirement that the concentration of Li in a passive film is not less than 0.01 atom%; (4) a requirement that the Cr/Fe ratio (atom%) in a passive film is 2 or more; (5) a requirement that, in a passive film, the Cr/Fe ratio (atom%) is 2 or more, and the content of Al is not more than 0.1 atom%; and (6) a requirement that, in a passive film, the Cr/Fe ratio (atom%) is 2 or more, and the content of Si is not more than 0.1 atom%.

Inventors:
YAMAZAKI, Osamu (10-, Funado 4-chome Itabashi-ku Tokyo 60, 1748560, JP)
山崎 修 (〒60 東京都板橋区舟渡四丁目10番1号 日本金属株式会社内 Tokyo, 1748560, JP)
TANABE, Nobuyuki (10-, Funado 4-chome Itabashi-ku Tokyo 60, 1748560, JP)
田辺 信行 (〒60 東京都板橋区舟渡四丁目10番1号 日本金属株式会社内 Tokyo, 1748560, JP)
Application Number:
JP2008/057735
Publication Date:
November 13, 2008
Filing Date:
April 22, 2008
Export Citation:
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Assignee:
NIPPON KINZOKU CO., LTD. (10-1, Funado 4-chome Itabashi-ku Tokyo, 60, 1748560, JP)
日本金属株式会社 (〒60 東京都板橋区舟渡四丁目10番1号 Tokyo, 1748560, JP)
YAMAZAKI, Osamu (10-, Funado 4-chome Itabashi-ku Tokyo 60, 1748560, JP)
山崎 修 (〒60 東京都板橋区舟渡四丁目10番1号 日本金属株式会社内 Tokyo, 1748560, JP)
TANABE, Nobuyuki (10-, Funado 4-chome Itabashi-ku Tokyo 60, 1748560, JP)
International Classes:
C25D11/00; C25D11/36; H01B13/00; C25D11/00; H01B13/00
Attorney, Agent or Firm:
KUMAKURA, Yoshio et al. (NAKAMURA & PARTNERS, Shin-Tokyo Bldg.3-1, Marunouchi 3-chome,Chiyoda-k, Tokyo 55, 1008355, JP)
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Claims:
 下記の条件1~6の少なくとも1つを満たすステンレス鋼製導電性部材:
(1)表面X線光電子分光法(XPS)で分析した結合エネルギー530.1eVにおけるX線強度に対する結合エネルギー531.3eVにおけるX線強度の比が0.85以上である;
(2)表面X線光電子分光法(XPS)で分析した不働態被膜中のF濃度が0.1原子%以上である;
(3) 飛行時間型二次イオン質量分析(ToF-SIMS)で分析した不働態皮膜中のLi濃度が0.01原子%以上である;
(4)表面X線光電子分光法(XPS)で分析した不働態被膜中のCr/Fe比(原子%)が2以上である;
(5)表面X線光電子分光法(XPS)で分析した不働態皮膜中のCr/Fe比(原子%)が2以上であり、表面X線光電子分光法(XPS)で分析した不働態皮膜中のAl含有量が0.1原子%以下である;
(6)表面X線光電子分光法(XPS)で分析した不働態皮膜中のCr/Fe比(原子%)が2以上であり、表面X線光電子分光法(XPS)で分析した不働態皮膜中のSi含有量が0.1原子%以下である。
 条件1を満たす請求項1記載のステンレス鋼製導電性部材。
 条件2を満たす請求項1記載のステンレス鋼製導電性部材。
 条件3を満たす請求項1記載のステンレス鋼製導電性部材。
 条件4を満たす請求項1記載のステンレス鋼製導電性部材。
 条件5を満たす請求項1記載のステンレス鋼製導電性部材。
 条件6を満たす請求項1記載のステンレス鋼製導電性部材。
 支持電解質を含む水溶液中でステンレス鋼をカソード電解処理することを特徴とする請求項2記載のステンレス鋼製導電性部材の製造方法。
 フッ化物イオンを含有する水溶液中でステンレス鋼をアノード電解処理することを特徴とする請求項3記載のステンレス鋼製導電性部材の製造方法。
 リチウムイオンを含有する水溶液または非水溶液中でステンレス鋼をカソード電解処理または浸漬処理することを特徴とする請求項4記載のステンレス鋼製導電性部材の製造方法。
 下記の工程を含む請求項5記載のステンレス鋼製導電性部材の製造方法:
(A)不働態皮膜中にフッ素を注入する工程、
(B)不働態皮膜中にリチウムを注入する工程、及び
(C)不働態皮膜中の鉄を溶出する工程。
 下記の工程(A)と、工程(B)及び/又は工程(C)とを含む請求項6記載のステンレス鋼製導電性部材の製造方法:
(A)不働態皮膜中からAlを除去する工程
(B)不働態皮膜にフッ素を注入する工程
(C)不働態皮膜にリチウムを注入する工程。
 さらに、(D)不働態皮膜中の鉄を溶出する工程を含む請求項12記載のステンレス鋼製導電性部材の製造方法。
 下記の工程(A)と、工程(B)及び/又は工程(C)とを含む請求項7記載のステンレス鋼製導電性部材の製造方法:
(A)不働態皮膜中からSiを除去する工程
(B)不働態皮膜にフッ素を注入する工程
(C)不働態皮膜にリチウムを注入する工程。
 さらに、(D)不働態皮膜中の鉄を溶出する工程を含む請求項14記載のステンレス鋼製導電性部材の製造方法。
Description:
ステンレス鋼製導電性部材およ その製造方法

 本発明は、ステンレス鋼の表面意匠性、加 性、ばね特性および耐食性を維持しながら 接触電気抵抗を著しく改善したステンレス 製導電性部材およびその製造方法に関する
 本発明は、フェライト系ステンレス鋼の表 意匠性、加工性およびばね特性を維持しな ら、接触電気抵抗を著しく改善したAl又はSi 含有フェライト系ステンレス鋼製導電性部材 およびその製造方法に関する。

 従来、電子部品に使用されるスイッチ、 レー、コネクターなどの接点ばねや皿ばね( タクトスイッチ、マルチスイッチ)等の、接 部品やアース特性を要求される筐体の基材 は銅系合金が使用されていた。しかし、導 性部材の軽量化、薄肉化の要求およびばね 性が優れることから、銅系合金に代えてス ンレス鋼が導電性材料の基材として広く使 されるようになってきた。

 ステンレス鋼表面には、低い電気伝導性を す不働態皮膜が存在し、これが接触電気抵 を高くするため、電気接点機能が要求され 部品にステンレス鋼部材を用いた場合には 題となる。とくにAl又はSi含有フェライト系 ステンレス鋼では、焼鈍時に不働態皮膜中に Al又はSiの酸化物、例えばAl 2 O 3 、SiO 2 などが濃化し、これが接触電気抵抗を著しく 高くする。
 この不働態皮膜は、酸洗や機械研磨によっ 除去しても、大気中では短時間に再生して まう。このため、通常ステンレス鋼は、表 に生成している不働態皮膜を除去した後、 の再生を防止しながら、密着性の優れる下 めっきを施し、その上層に電気伝導性が優 る錫-鉛(はんだ)、錫や貴金属の銀、金など めっきされ、接触電気抵抗を改善した状態 使用される。また、金属めっき以外では、 ーボン質被覆層で優れた電気伝導性が付与 れたステンレス鋼(特許文献1)や、Cuリッチ の析出又はCu濃化層を表層に形成したステン レス鋼(特許文献2)が知られている。

 上述のごとく、ステンレス鋼を電気接点 品の基材として使用する場合、電気伝導性 優れる錫-鉛(はんだ)、錫、銀、金などをス ンレス鋼表面にめっきして接触電気抵抗を 善する必要がある。しかしながら、錫では っき処理時にウイスカー(ひげ状結晶)が発 し易く、このウイスカー発生を防止できる -錫合金めっきでは、鉛の排液処理が問題と る。また、銀めっきでは、部品として組み んだ後、イオンマイグレーション(ion migrati on)が発生し易く、接触不良や絶縁破壊を起こ す可能性がある。さらに金では、めっき液に シアンを用いることが多いため、鉛と同様に 排液処理が問題となり、製造プロセスとして 環境的に好ましくない。

 なお、金めっきでは0.5μm程度のめっき厚さ 使用されることが多いが、めっき皮膜には 陥が多く存在し、腐食性の強い環境で使用 れる場合には、金が下地金属の溶出を促進 る。これを防止するために、めっき厚さを3 μm以上にして皮膜の欠陥を少なくする対策も あるが、製造コストを上昇させる原因となる 。
 また通常、電気接点ばね部品は、ステンレ 鋼の板材やコイル材にめっきした後、プレ 打ち抜き成型によって対象部品に加工され 。しかしながら、めっき皮膜には内部応力 存在し、これが原因となり、プレス成型後 反りなどが発生して要求される形状が得ら ないことがある。導電性部材の軽量化、薄 化の要求が高まれば高まるほど、基材の板 は薄くなり、このめっき皮膜の内部応力の 響が大きくなる。

 さらに、カーボン質被覆層で優れた電気 導性が付与されたステンレス鋼では、多数 ピット表面が形成されたステンレス鋼板を 材とし、カーボン質被覆層が基材表面に設 られている(特許文献1)。ピットによるアン ー効果および実効表面積が大きくなること よって、ステンレス鋼基材とカーボン質被 層は優れた密着性を呈するとされているが プレス成型などの加工にカーボン質被覆層 追従できるとは考えられず、とくに、浅い ット部ではアンカー効果は低く、密着性、 久性に問題があると考えられる。

 Cuリッチ層の析出又はCu濃化層を表層に形 成したステンレス鋼(特許文献2)では、Cuの析 熱処理に長時間を要し、製造コストの上昇 、Cuを基材に含有しないSUS304鋼などの汎用 では処理が不可能など、問題点も多い。

特開2001-243839号公報

特開2001-234296号公報

 従って、本発明の目的は、外観状ステンレ 鋼表面が有する意匠性を保持したまま、ス ンレス鋼表面の不働態皮膜を改質して、導 性が優れ、低い接触電気抵抗を有するステ レス鋼製導電性部材を提供することである
 本発明の他の目的は、外観状ステンレス鋼 面が有する意匠性を保持したまま、ステン ス鋼表面の不働態皮膜を改質して、導電性 優れ、低い接触電気抵抗を有するステンレ 鋼製導電性部材の製造方法を提供すること ある。
 本発明のさらに他の目的は、外観状フェラ ト系ステンレス鋼表面が有する意匠性を保 したまま、Al又はSi含有フェライト系ステン レス鋼表面の不働態皮膜が改質され、導電性 が優れ、低い接触電気抵抗を有するAl又はSi 有フェライト系ステンレス鋼製導電性部材 提供することである。
 本発明の他の目的は、外観状フェライト系 テンレス鋼表面が有する意匠性を保持した ま、Al又はSi含有フェライト系ステンレス鋼 表面の不働態皮膜を改質して、導電性が優れ 、低い接触電気抵抗を有するAl又はSi含有フ ライト系ステンレス鋼製導電性部材の製造 法を提供することである。
 本発明のさらに他の目的は、処理液の排液 理の問題が少なく、部品として組み込んだ 、めっき皮膜に起因するイオンマイグレー ョン、接触不良、絶縁破壊を起こす可能性 低く、製造コストが低く、加工の際に生じ 内部応力が少ないステンレス鋼製導電性部 、Al又はSi含有フェライト系ステンレス鋼製 導電性部材の製造方法を提供することである 。

 本発明は、以下に示すステンレス鋼製導電 部材、及びその製造方法を提供するもので る。
1.下記の条件1~6の少なくとも1つを満たすステ ンレス鋼製導電性部材:
(1)表面X線光電子分光法(XPS)で分析した結合エ ネルギー530.1eVにおけるX線強度に対する結合 ネルギー531.3eVにおけるX線強度の比が0.85以 である;
(2)表面X線光電子分光法(XPS)で分析した不働態 被膜中のF濃度が0.1原子%以上である;
(3)飛行時間型二次イオン質量分析(ToF-SIMS)で 析した不働態皮膜中のLi濃度が0.01原子%以上 ある;
(4)表面X線光電子分光法(XPS)で分析した不働態 被膜中のCr/Fe比(原子%)が2以上である;
(5)表面X線光電子分光法(XPS)で分析した不働態 皮膜中のCr/Fe比(原子%)が2以上であり、表面X 光電子分光法(XPS)で分析した不働態皮膜中の Al含有量が0.1原子%以下である;
(6)表面X線光電子分光法(XPS)で分析した不働態 皮膜中のCr/Fe比(原子%)が2以上であり、表面X 光電子分光法(XPS)で分析した不働態皮膜中の Si含有量が0.1原子%以下である。
2.条件1を満たす上記1記載のステンレス鋼製 電性部材。
3.条件2を満たす上記1記載のステンレス鋼製 電性部材。
4.条件3を満たす上記1記載のステンレス鋼製 電性部材。
5.条件4を満たす上記1記載のステンレス鋼製 電性部材。
6.条件5を満たす上記1記載のステンレス鋼製 電性部材。
7.条件6を満たす上記1記載のステンレス鋼製 電性部材。
8.支持電解質を含む水溶液中でステンレス鋼 カソード電解処理することを特徴とする上 2記載のステンレス鋼製導電性部材の製造方 法。
9.フッ化物イオンを含有する水溶液中でステ レス鋼をアノード電解処理することを特徴 する上記3記載のステンレス鋼製導電性部材 の製造方法。
10.リチウムイオンを含有する水溶液または非 水溶液中でステンレス鋼をカソード電解処理 または浸漬処理することを特徴とする上記4 載のステンレス鋼製導電性部材の製造方法
11.下記の工程を含む上記5記載のステンレス 製導電性部材の製造方法:
(A)不働態皮膜中にフッ素を注入する工程、
(B)不働態皮膜中にリチウムを注入する工程、 及び
(C)不働態皮膜中の鉄を溶出する工程。
12.下記の工程(A)と、工程(B)及び/又は工程(C) を含む上記6記載のステンレス鋼製導電性部 の製造方法:
(A)不働態皮膜中からAlを除去する工程
(B)不働態皮膜にフッ素を注入する工程
(C)不働態皮膜にリチウムを注入する工程。
13.さらに、(D)不働態皮膜中の鉄を溶出する工 程を含む上記12記載のステンレス鋼製導電性 材の製造方法。
14.下記の工程(A)と、工程(B)及び/又は工程(C) を含む上記7記載のステンレス鋼製導電性部 の製造方法:
(A)不働態皮膜中からSiを除去する工程
(B)不働態皮膜にフッ素を注入する工程
(C)不働態皮膜にリチウムを注入する工程。
15.さらに、(D)不働態皮膜中の鉄を溶出する工 程を含む上記14記載のステンレス鋼製導電性 材の製造方法。

 本発明の第1の実施態様は、ステンレス鋼表 面不働態皮膜にプロトン(H + )を電気化学的に注入し、皮膜内の金属水酸 物量を増加させることによって、不働態皮 の電気伝導性を向上させたステンレス鋼製 電性部材を提供するものである。
 本発明の第1の実施態様はまた、ステンレス 鋼表面不働態皮膜にプロトンを電気化学的に 注入し、皮膜内の金属水酸化物量を増加させ ることによって、不働態皮膜の電気伝導性を 向上させたステンレス鋼製導電性部材の製造 方法を提供するものである。
 本発明の第1の実施態様は以下のステンレス 鋼製導電性部材及びその製造方法を提供する ものである。
1.ステンレス鋼製導電性部材において、表面X 線光電子分光法(XPS)で分析した結合エネルギ 530.1eVにおけるX線強度に対する結合エネル ー531.3eVにおけるX線強度の比が0.85以上であ ことを特徴とするステンレス鋼製導電性部 。
2.該比が0.90以上である上記1記載のステンレ 鋼製導電性部材。
3.ステンレス鋼が、オーステナイト系、フェ イト系、マルテンサイト系、オーステナイ ・フェライト(2相)、または析出硬化系ステ レス鋼である上記1または2記載のステンレ 鋼製導電性部材。
4.ステンレス鋼が、SUS301、SUS304、SUS316、SUS430 SUS430J1L、SUS434、SUS444、またはSUS631である上 1または2記載のステンレス鋼製導電性部材
5.ステンレス鋼が、光輝焼鈍仕上げ(BA)、酸洗 仕上げ(2D)、酸洗後軽圧延仕上げ(2B)、または 質圧延仕上げ鋼である上記1~4のいずれか1項 記載のステンレス鋼製導電性部材。
6.支持電解質を含む水溶液中でステンレス鋼 カソード電解処理することを特徴とするス ンレス鋼製導電性部材の製造方法。
7.支持電解質を含む水溶液が、酸水溶液であ 上記6記載のステンレス鋼製導電性部材の製 造方法。
8.酸が、硫酸、硝酸、またはリン酸である上 7記載のステンレス鋼製導電性部材の製造方 法。
9.支持電解質を含む水溶液が、さらに水素過 圧を上昇させる添加成分を含む上記6~8のい れか1項記載のステンレス鋼製導電性部材の 製造方法。
10.水素過電圧を上昇させる添加成分が、アン チモン化合物、亜鉛化合物、錫化合物、砒素 化合物、珪酸塩、またはヨウ化物である上記 9記載のステンレス鋼製導電性部材の製造方 。

 本発明の第2の実施態様は、ステンレス鋼表 面不働態皮膜中にフッ化物イオンを化学的ま たは電気化学的に注入し、不働態皮膜の電気 伝導性を向上させたステンレス鋼製導電性部 材を提供するものである。
 本発明の第2の実施態様はまた、ステンレス 鋼表面不働態皮膜にフッ化物イオンを化学的 または電気化学的に注入し、不働態皮膜の電 気伝導性を向上させたステンレス鋼製導電性 部材の製造方法を提供するものである。
 本発明の第2の実施態様は以下のステンレス 鋼製導電性部材及びその製造方法を提供する ものである。
1.ステンレス鋼製導電性部材において、表面X 線光電子分光法(XPS)で分析した不働態被膜中 F濃度が0.1原子%以上であることを特徴とす ステンレス鋼製導電性部材。
2.F濃度が0.2原子%以上である上記1記載のステ レス鋼製導電性部材。
3.ステンレス鋼が、オーステナイト系、フェ イト系、マルテンサイト系、オーステナイ ・フェライト(2相)、または析出硬化系ステ レス鋼である上記1または2記載のステンレ 鋼製導電性部材。
4.ステンレス鋼が、SUS301、SUS304、SUS316、SUS430 SUS430J1L、SUS434、SUS444、またはSUS631である上 1または2記載のステンレス鋼製導電性部材
5.ステンレス鋼が、光輝焼鈍仕上げ(BA)、酸洗 仕上げ(2D)、酸洗後軽圧延仕上げ(2B)、または 質圧延仕上げ鋼である上記1~4のいずれか1項 記載のステンレス鋼製導電性部材。
6.フッ化物イオンを含有する水溶液中でステ レス鋼をアノード電解処理することを特徴 するステンレス鋼製導電性部材の製造方法
7.フッ化水素水溶液、または、酸化剤および ッ化物イオンを含む水溶液にステンレス鋼 浸漬処理することを特徴とするステンレス 製導電性部材の製造方法。
8.フッ化物イオン源がフッ化水素酸およびア カリ金属フッ化物からなる群から選ばれる なくとも1種である上記6または7記載のステ レス鋼製導電性部材の製造方法。
9.酸化剤が、硝酸、過マンガン酸カリウムお び過酸化水素からなる群から選ばれる少な とも1種である上記7または8記載のステンレ 鋼製導電性部材の製造方法。

 本発明の第3の実施態様は、ステンレス鋼表 面不働態皮膜にリチウムイオンを化学的また は電気化学的に注入し、不働態皮膜の電気伝 導性を向上させたステンレス鋼製導電性部材 を提供するものである。
 本発明の第3の実施態様はまた、ステンレス 鋼表面不働態皮膜にリチウムイオンを化学的 または電気化学的に注入し、不働態皮膜の電 気伝導性を向上させたステンレス鋼製導電性 部材の製造方法を提供するものである。
 本発明の第3の実施態様は以下に示すステン レス鋼製導電性部材およびその製造方法を提 供するものである。
1.ステンレス鋼製導電性部材において、不働 皮膜中に0.01原子%以上のリチウムを含有す ことを特徴とするステンレス鋼製導電性部 。
2.不働態皮膜中に0.02原子%以上のリチウムを 有する上記1記載のステンレス鋼製導電性部 。
3.飛行時間型二次イオン質量分析(ToF-SIMS)によ る不働態皮膜中のCr酸化物水酸化物の二次イ ン強度のピーク位置が、Fe酸化物水酸化物 二次イオン強度のピーク位置より深部にあ ことを特徴とする上記1または2記載のステン レス鋼製導電性部材。
4.ステンレス鋼が、オーステナイト系、フェ イト系、マルテンサイト系、オーステナイ ・フェライト(2相)、または析出硬化系ステ レス鋼である上記1~3のいずれか1項記載のス テンレス鋼製導電性部材。
5.ステンレス鋼が、SUS301、SUS304、SUS316、SUS430 SUS430J1L、SUS434、SUS444、またはSUS631である上 1~3のいずれか1項記載のステンレス鋼製導電 性部材。
6.ステンレス鋼が、光輝焼鈍仕上げ(BA)、酸洗 仕上げ(2D)、酸洗後軽圧延仕上げ(2B)、または 質圧延仕上げ鋼である上記1~5のいずれか1項 記載のステンレス鋼製導電性部材。
7.リチウムイオンを含有する水溶液または非 溶液中でステンレス鋼をカソード電解処理 たは浸漬処理することを特徴とするステン ス鋼製導電性部材の製造方法。
8.リチウムイオン源が、水酸化リチウム、酸 リチウム、塩化リチウム、臭化リチウム、 ウ化リチウム、硝酸リチウム、および硫酸 チウムからなる群から選ばれる少なくとも1 種である上記7記載のステンレス鋼製導電性 材の製造方法。
9.カソード電解処理または浸漬処理後、大気 または不活性ガス雰囲気中において熱処理 る工程を含む上記7または8記載のステンレ 鋼製導電性部材の製造方法。
10.ステンレス鋼が、オーステナイト系、フェ ライト系、マルテンサイト系、オーステナイ ト・フェライト(2相)、または析出硬化系ステ ンレス鋼である上記7~9のいずれか1項記載の テンレス鋼製導電性部材の製造方法。
11.ステンレス鋼が、SUS301、SUS304、SUS316、SUS430 、SUS430J1L、SUS434、SUS444、またはSUS631である上 記7~9のいずれか1項記載のステンレス鋼製導 性部材の製造方法。

 本発明の第4の実施態様は、ステンレス鋼表 面不働態皮膜中にフッ化物イオンおよびリチ ウムイオンを化学的または電気化学的に注入 するとともに、不働態皮膜中の鉄を優先溶出 させ、クロム酸化物、水酸化物主体の皮膜を 形成させることによって、不働態皮膜の電気 伝導性や耐食性を向上させ、大気中放置によ っても表面接触電気抵抗の時系列劣化がない ステンレス鋼製導電性部材を提供するもので ある。
 本発明の第4の実施態様は、ステンレス鋼表 面不働態皮膜中にフッ化物イオンおよびリチ ウムイオンを化学的または電気化学的に注入 するとともに、不働態皮膜中の鉄を優先溶出 させ、クロム酸化物、水酸化物主体の皮膜を 形成させることによって、不働態皮膜の電気 伝導性や耐食性を向上させ、大気中放置によ っても表面接触電気抵抗の時系列劣化がない ステンレス鋼製導電性部材の製造方法を提供 するものである。
 本発明の第4の実施態様は以下に示すステン レス鋼製導電性部材およびその製造方法を提 供するものである。

1.ステンレス鋼製導電性部材において、表面X 線光電子分光法(XPS)で分析した不働態被膜中 Cr/Fe比(原子%)が2以上であることを特徴とす ステンレス鋼製導電性部材。
2.Cr/Fe比(原子%)が3以上である上記1記載のステ ンレス鋼製導電性部材。
3.表面X線光電子分光法(XPS)で分析した不働態 膜中のF濃度が0.1原子%以上である上記1また 2記載のステンレス鋼製導電性部材。
4.飛行時間型二次イオン質量分析(ToF-SIMS)で分 析した不働態被膜中のLi濃度が0.01原子%以上 ある上記1~3のいずれか1項記載のステンレス 製導電性部材。
5.ステンレス鋼が、オーステナイト系、フェ イト系、マルテンサイト系、オーステナイ ・フェライト(2相)、または析出硬化系ステ レス鋼である上記1~4のいずれか1項記載のス テンレス鋼製導電性部材。
6.ステンレス鋼が、SUS301、SUS304、SUS316、SUS430 SUS430J1L、SUS434、SUS444、またはSUS631である上 1~5のいずれか1項記載のステンレス鋼製導電 性部材。
7.ステンレス鋼が、光輝焼鈍仕上げ(BA)、酸洗 仕上げ(2D)、酸洗後軽圧延仕上げ(2B)、または 質圧延仕上げ鋼である上記1~6のいずれか1項 記載のステンレス鋼製導電性部材。
8.下記の工程を含むステンレス鋼製導電性部 の製造方法:
(A)不働態皮膜中にフッ素を注入する工程、
(B)不働態皮膜中にリチウムを注入する工程、 及び
(C)不働態皮膜中の鉄を溶出する工程。
9.工程(A)及び(B)をこの順序で1回以上繰り返し 、最後に工程(C)を実施する上記8記載のステ レス鋼製導電性部材の製造方法。
10.工程(A)の前にステンレス鋼を加熱処理する 工程を含む上記8または9記載のステンレス鋼 導電性部材の製造方法。
11.工程(B)の前にステンレス鋼を加熱処理する 工程を含む上記8または9記載のステンレス鋼 導電性部材の製造方法。
12.工程(C)の前にステンレス鋼を加熱処理する 工程を含む上記8~11のいずれか1項記載のステ レス鋼製導電性部材の製造方法。
13.工程(A)が、フッ化物イオンを含有する水溶 液中でステンレス鋼をアノード電解処理する 工程を含む上記8~12のいずれか1項記載のステ レス鋼製導電性部材の製造方法。
14.工程(A)が、フッ化水素水溶液、または、酸 化剤およびフッ化物イオンを含む水溶液にス テンレス鋼を浸漬処理する工程を含む上記8~1 2のいずれか1項記載のステンレス鋼製導電性 材の製造方法。
15.工程(B)が、リチウムイオンを含有する水溶 液または非水溶液中でステンレス鋼をカソー ド電解処理または浸漬処理する工程を含む上 記8~14のいずれか1項記載のステンレス鋼製導 性部材の製造方法。
16.ステンレス鋼が、オーステナイト系、フェ ライト系、マルテンサイト系、オーステナイ ト・フェライト(2相)、または析出硬化系ステ ンレス鋼である上記8~15のいずれか1項記載の テンレス鋼製導電性部材の製造方法。
17.ステンレス鋼が、SUS301、SUS304、SUS316、SUS430 、SUS430J1L、SUS434、SUS444、またはSUS631である上 記8~15のいずれか1項記載のステンレス鋼製導 性部材の製造方法。

 本発明の第5の実施態様は、Al含有フェライ 系ステンレス鋼の表面不働態皮膜内に濃縮 ているAl酸化物を除去した後、この不働態 膜にフッ化物イオンおよびリチウムイオン 少なくとも一方を化学的および/または電気 学的に注入するとともに、不働態皮膜内の を優先溶出させ、クロム酸化物、水酸化物 体の皮膜を形成させることによって、不働 皮膜の電子伝導性や耐食性を向上させ、大 中放置によっても表面接触電気抵抗の時系 劣化がないAl含有フェライト系ステンレス 製導電性部材を提供するものである。
 本発明の第5の実施態様は、Al含有フェライ 系ステンレス鋼の表面不働態皮膜内に濃縮 ているAl酸化物を除去した後、この不働態 膜にフッ化物イオンおよびリチウムイオン 少なくとも一方を化学的および/または電気 学的に注入するとともに、不働態皮膜内の を優先溶出させ、クロム酸化物、水酸化物 体の皮膜を形成させることによって、不働 皮膜の電子伝導性や耐食性を向上させ、大 中放置によっても表面接触電気抵抗の時系 劣化がないAl含有フェライト系ステンレス 製導電性部材の製造方法を提供するもので る。

 本発明の第5の実施態様は、以下に示すAl含 フェライト系ステンレス鋼製導電性部材お びその製造方法を提供するものである。
1.Al含有フェライト系ステンレス鋼製導電性 材において、表面X線光電子分光法(XPS)で分 した不働態皮膜中のCr/Fe比(原子%)が2以上で ること、および表面X線光電子分光法(XPS)で 析した不働態皮膜中のAl含有量が0.1原子%以 であることを特徴とするAl含有フェライト系 ステンレス鋼製導電性部材。
2.Cr/Fe(原子%)が3以上である上記1記載のステン レス鋼製導電性部材。
3.表面X線光電子分光法(XPS)で分析した不働態 膜中のF濃度が0.1原子%以上である上記1また 2記載のステンレス鋼製導電性部材。
4.飛行時間型二次イオン質量分析(ToF-SIMS)で分 析した不働態皮膜中のLi濃度が0.01原子%以上 ある上記1~3のいずれか1項記載のステンレス 製導電性部材。
5.ステンレス鋼がSUS430、SUS434、SUS430J1L、また SUS444である上記1~4のいずれか1項記載のステ ンレス鋼製導電性部材。
6.ステンレス鋼が、光輝焼鈍仕上げ(BA)、酸洗 仕上げ(2D)酸洗後軽圧延仕上げ(2B)、または調 圧延仕上げ鋼である上記1~5のいずれか1項記 載のステンレス鋼導電性部材。
7.下記の工程(A)と、工程(B)及び/又は工程(C)と を含むAl含有フェライト系ステンレス鋼製導 性部材の製造方法:
(A)不働態皮膜中からAlを除去する工程
(B)不働態皮膜にフッ素を注入する工程
(C)不働態皮膜にリチウムを注入する工程。
8.さらに、(D)不働態皮膜中の鉄を溶出する工 を含む上記7記載のステンレス鋼製導電性部 材の製造方法。
9.工程(A)、(B)及び(C)をこの順序で1回以上繰り 返し、最後に工程(D)を実施する上記8記載の テンレス鋼製導電性部材の製造方法。
10.工程(A)の前にステンレス鋼を加熱処理する 工程を含む上記7~9のいずれか1項記載のステ レス鋼製導電性部材の製造方法。
11.工程(B)の前にステンレス鋼を加熱処理する 工程を含む上記7~9のいずれか1項記載のステ レス鋼製導電性部材の製造方法。
12.工程(C)の前にステンレス鋼を加熱処理する 工程を含む上記7~9のいずれか1項記載のステ レス鋼製導電性部材の製造方法。
13.工程(B)の前に工程(D)を実施する上記8記載 ステンレス鋼製導電性部材の製造方法。
14.工程(A)が、硝酸水溶液中でステンレス鋼を アノード電解又は交番電解する工程を含む上 記7~13のいずれか1項記載のステンレス鋼製導 性部材の製造方法。
15.工程(A)が、ポリりん酸イオン、またはメタ りん酸イオンを生成するアルカリ金属のりん 酸塩水溶液中で、ステンレス鋼をアノード電 解または交番電解する工程を含む上記7~14の ずれか1項記載のステンレス鋼製導電性部材 製造方法。
16.工程(B)が、フッ化物イオンを含有する水溶 液中でステンレス鋼をアノード電解する工程 を含む上記7~15のいずれか1項記載のステンレ 鋼製導電性部材の製造方法。
17.工程(B)が、フッ化水素水溶液、または、酸 化剤およびフッ化物イオンを含む水溶液にス テンレス鋼を浸漬処理する工程を含む上記7~1 6のいずれか1項記載のステンレス鋼製導電性 材の製造方法。
18.工程(C)が、リチウムイオンを含有する水溶 液または非水溶液中でステンレス鋼をカソー ド電解または浸漬処理する工程を含む上記7~1 7のいずれか1項記載のステンレス鋼製導電性 材の製造方法。
19.工程(D)が、硝酸、フッ化物イオンを含有す る水溶液、チオグリコール酸塩、又はクエン 酸三アンモニウム溶液中でステンレス鋼を浸 漬処理する工程を含む上記8~18のいずれか1項 載のステンレス鋼製導電性部材の製造方法
20.ステンレス鋼が、SUS430、SUS434、SUS430J1L、ま たはSUS444である上記7~19のいずれか1項記載の ンレス鋼製導電性部材の製造方法。

 本発明の第6の実施態様は、Si含有フェライ 系ステンレス鋼表面不働態皮膜内に濃縮し いるSi酸化物を除去した後、この不働態皮 にフッ化物イオンおよびリチウムイオンの なくとも一方を化学的および/または電気化 的に注入するとともに、不働態皮膜内の鉄 優先溶出させ、クロム酸化物、水酸化物主 の皮膜を形成させることによって、不働態 膜の電子伝導性や耐食性を向上させ、大気 放置によっても表面接触電気抵抗の時系列 化がないSi含有フェライト系ステンレス鋼 導電性部材を提供するものである。
 本発明の第6の実施態様は、Si含有フェライ 系ステンレス鋼表面不働態皮膜内に濃縮し いるSi酸化物を除去した後、この不働態皮 にフッ化物イオンおよびリチウムイオンの なくとも一方を化学的および/または電気化 的に注入するとともに、不働態皮膜内の鉄 優先溶出させ、クロム酸化物、水酸化物主 の皮膜を形成させることによって、不働態 膜の電子伝導性や耐食性を向上させ、大気 放置によっても表面接触電気抵抗の時系列 化がないSi含有フェライト系ステンレス鋼 導電性部材の製造方法を提供するものであ 。

 本発明の第6の実施態様は、以下に示すSi含 フェライト系ステンレス鋼製導電性部材お びその製造方法を提供するものである。
1.Si含有フェライト系ステンレス鋼製導電性 材において、表面X線光電子分光法(XPS)で分 した不働態皮膜中のCr/Fe比(原子%)が2以上で ること、および表面X線光電子分光法(XPS)で 析した不働態皮膜中のSi含有量が0.1原子%以 であることを特徴とするステンレス鋼製導 性部材。
2.Cr/Fe(原子%)が3以上である上記1記載のステン レス鋼製導電性部材。
3.表面X線光電子分光法(XPS)で分析した不働態 膜中のF濃度が0.1原子%以上である上記1また 2記載のステンレス鋼製導電性部材。
4.飛行時間型二次イオン質量分析(ToF-SIMS)で分 析した不働態皮膜中のLi濃度が0.01原子%以上 ある上記1~3のいずれか1項記載のステンレス 製導電性部材。
5.ステンレス鋼がSUS430、SUS434、SUS430J1L、また SUS444である上記1~4のいずれか1項記載のステ ンレス鋼製導電性部材。
6.ステンレス鋼が、光輝焼鈍仕上げ(BA)、酸洗 仕上げ(2D)酸洗後軽圧延仕上げ(2B)、または調 圧延仕上げ鋼である上記1~5のいずれか1項記 載のステンレス鋼導電性部材。
7.下記の工程(A)と、工程(B)及び/又は工程(C)と を含むSi含有フェライト系ステンレス鋼製導 性部材の製造方法:
(A)不働態皮膜中からSiを除去する工程
(B)不働態皮膜にフッ素を注入する工程
(C)不働態皮膜にリチウムを注入する工程。
8.さらに、(D)不働態皮膜中の鉄を溶出する工 を含む上記7記載のステンレス鋼製導電性部 材の製造方法。
9.工程(A)、(B)及び(C)をこの順序で1回以上繰り 返し、最後に工程(D)を実施する上記8記載の テンレス鋼製導電性部材の製造方法。
10.工程(A)の前にステンレス鋼を加熱処理する 工程を含む上記7~9のいずれか1項記載のステ レス鋼製導電性部材の製造方法。
11.工程(B)の前にステンレス鋼を加熱処理する 工程を含む上記7~9のいずれか1項記載のステ レス鋼製導電性部材の製造方法。
12.工程(C)の前にステンレス鋼を加熱処理する 工程を含む上記7~9のいずれか1項記載のステ レス鋼製導電性部材の製造方法。
13.工程(B)の前に工程(D)を実施する上記8記載 ステンレス鋼製導電性部材の製造方法。
14.工程(A)が、水に溶解してアルカリ性を示す アルカリ金属化合物の水溶液中でステンレス 鋼をアノード電解または交番電解する工程を 含む上記7~13のいずれか1項記載のステンレス 製導電性部材の製造方法。
15.工程(B)が、フッ化物イオンを含有する水溶 液中でステンレス鋼をアノード電解する工程 を含む上記7~14のいずれか1項記載のステンレ 鋼製導電性部材の製造方法。
16.工程(B)が、フッ化水素水溶液、または、酸 化剤およびフッ化物イオンを含む水溶液にス テンレス鋼を浸漬処理する工程を含む上記7~1 5のいずれか1項記載のステンレス鋼製導電性 材の製造方法。
17.工程(C)が、リチウムイオンを含有する水溶 液または非水溶液中でステンレス鋼をカソー ド電解または浸漬処理する工程を含む上記7~1 6のいずれか1項記載のステンレス鋼製導電性 材の製造方法。
18.工程(D)が、硝酸、フッ化物イオンを含有す る水溶液中、チオグリコール酸塩、またはク エン酸三アンモニウム溶液中でステンレス鋼 を浸漬処理する工程を含む上記8~17のいずれ 1項記載のステンレス鋼製導電性部材の製造 法。
19.ステンレス鋼が、SUS430、SUS434、SUS430J1L、ま たはSUS444である上記7~18のいずれか1項記載の ンレス鋼製導電性部材の製造方法。

 本発明のステンレス鋼導電性部材は、導 性に優れ、低い接触電気抵抗を示し、高い 触感度を有する。また、本発明の方法によ ば、元来のステンレス鋼表面仕上げ状態の 観を変化させることが少なく、めっき処理 ような排液処理の問題が少なく、部品とし 組み込んだ後、イオンマイグレーション(ion  migration)が発生せず、接触不良や絶縁破壊を 起こす可能性が低く、製造コストが低いステ ンレス鋼製導電性部材を提供することができ る。

 本発明に使用されるステンレス鋼とは、 ーステナイト系、フェライト系、マルテン イト系、オーステナイト・フェライト(2相) 析出硬化系ステンレス鋼等を意味し、その 体例としては、JIS G 4305: 2005に定めるSUS301 、SUS304、SUS316、SUS430、SUS430J1L、SUS434、SUS444、 SUS631等が挙げられる。また、表面仕上げ状態 は、JIS G 4305: 2005に定める光輝焼鈍仕上げ(B A)、酸洗仕上げ(2D)、酸洗後軽圧延仕上げ(2B) 調質圧延仕上げ等が挙げられる。

第1の実施態様
 以下、本発明の第1の実施態様について説明 する。
 本発明のステンレス鋼製導電性部材を製造 るには、支持電解質を含んだ水溶液中でス ンレス鋼をカソード電解処理する。カソー 電解処理によって、水溶液中のヒドロニウ イオン(H 3 O + )は水(H 2 O)とプロトン(H + )に分離し、分離した水素イオン(プロトンH + )が不働態皮膜中へ進入する。進入したH + は、不働態皮膜を構成しているクロム酸化物 、鉄酸化物および電子(e-)と結合して、クロ 水酸化物(Cr(OH) 3 )や鉄水酸化物(Fe(OH) 2 、Fe(OH) 3 )を形成する。元来生成している不働態皮膜 、クロム酸化物(Cr 2 O 3 )、鉄酸化物(Fe 2 O 3 、Fe 3 O 4 )から構成されており、これら酸化物の電気 導性は低い。一方、カソード電解処理で生 したクロム水酸化物、鉄水酸化物は電気伝 性が優れるため、これら水酸化物の構成比 を高くすることによって元来生成している 働態皮膜の接触電気抵抗を著しく改善する とが可能となる。

 カソード処理に使用する水溶液は、酸水溶 、アルカリ水溶液、水溶性塩を含有した中 水溶液のいずれも使用できる。酸としては 硫酸、硝酸、リン酸、シュウ酸等が、アル リとしては水酸化ナトリウム、水酸化カリ ム等が、水溶性塩としては、硫酸ナトリウ 、硝酸カリウム等が挙げられる。しかし、 ロトン進入の電解効率(pH-電位図)を考慮す と、これら水溶液の中では酸水溶液が好ま く、例えば、硫酸、硝酸、リン酸等を含有 る水溶液が好ましい。酸水溶液のpHは、好ま しくはpH0~pH3、さらに好ましくはpH0~pH2である また、ハロゲンを含有する水溶液でも可能 あるが、カソード電解処理後にステンレス に孔食など、局部腐食が発生する可能性が るため、避けることが望ましい。
 プロトンの進入効率は、水溶液の電気伝導 とpHに依存するため、水溶液中の酸、アル リまたは水溶性塩の濃度は、pHと電気伝導度 の変動が小さくなる1kmol・m -3 程度で十分であり、これ以上の濃度にする必 要はない。また水溶液の温度は、高温になる ほど酸によるエッチング作用が激しくなり、 元来生成している不働態皮膜が除去され、外 観が変化する可能性があるため、加温する必 要はない。通常は10~30℃程度で十分である。

 電解条件は、好ましくは0.01~50A/dm 2 、電解時間は好ましくは5~1200秒、さらに好ま しくは5~600秒が適する。電流密度が高い程、 時間処理が可能である。高電流密度での長 間電解では、ステンレス鋼母材に侵入した ロトンによって水素脆性が生じる可能性が くなる。とくに調質圧延仕上げ材などでは ばねの疲労特性が低下する可能性があるの 、電解条件はより好ましくは0.5~10A/dm 2 で、5~120秒、例えば、30秒程度が適する。た し、酸化性の酸水溶液(例えば、硝酸水溶液) の場合には、カソード腐食現象が生じ、不働 態皮膜がエッチングされ、元来の外観を損な う場合があるので、低濃度(例えば、1~10質量% )、低温度(例えば、10~30℃)、低電流密度(例え ば、0.5~1A/dm 2 )で処理することが好ましい。

 プロトン進入の電解効率を上昇させるには 上記水溶液に水素過電圧を上昇させる添加 分を加えることが好ましい。この添加成分 しては、アンチモン化合物(三塩化アンチモ ン、五塩化アンチモン、酸化アンチモン等) 亜鉛化合物(塩化亜鉛、硫酸亜鉛、硝酸亜鉛 炭酸亜鉛等)、錫化合物(塩化第一錫、塩化 二錫、硫酸錫、フッ化錫等)、砒素化合物(三 酸化二砒素、五酸化二砒素等)、珪酸塩(メタ 酸ナトリウム、オルソ珪酸ナトリウム等)、 ヨウ化物(ヨウ化ナトリウム、ヨウ化カリウ 等)等が挙げられる。
 アンチモン化合物、亜鉛化合物(塩化亜鉛、 硫酸亜鉛、硝酸亜鉛、炭酸亜鉛等)、錫化合 、砒素化合物、珪酸塩、ヨウ化物の好適な 度は、それぞれ物質中の金属イオン、ケイ 原子、ヨウ素イオンに換算して、好ましく 0.0001kmol・m -3 ~0.01 kmol・m -3 である。0.0001 kmol・m -3 未満では、プロトン進入に対して効果が少な く、0.01 kmol・m -3 を越えて増量しても効果に変化は無く、経済 的に不利である。

 このようにして得られる本発明のステン ス鋼製導電性部材は、表面X線光電子分光法 (XPS)で分析した結合エネルギー530.1eVにおける X線強度に対する結合エネルギー531.3eVにおけ X線強度の比が0.85以上であり、好ましくは0. 90以上であり、また下記の接触電気抵抗測定 法により測定した接触電気抵抗は、接触荷 50gfにおいて、好ましくは150mω以下、さらに 好ましくは100mω以下である。

第2の実施態様
 以下、本発明の第2の実施態様について説明 する。
 本発明のステンレス鋼製導電性部材は、フ 化物イオンを含有した水溶液中でステンレ 鋼をアノード電解処理(電気化学的処理)す か、酸化剤およびフッ化物イオンを含む水 液中に浸漬処理(化学的処理)することにより 製造することができる。これらの処理によっ て、水溶液中のフッ化物イオンが不働態皮膜 中へ進入する。電子のキャリアとなるFが不 態皮膜の電気伝導性を向上させ、元来生成 ている不働態皮膜の接触電気抵抗を著しく 善することが可能となる。

 フッ化物イオン源としては、フッ化水素 や水に溶解してフッ化物イオンを生成する ッ素化合物であれば任意の化合物が使用で る。例えば、アルカリ金属フッ化物(例えば 、フッ化ナトリウム、フッ化カリウム等)、 ッ化アンモニウム、三フッ化アンチモン、 ッ化銅、二フッ化水素ナトリウム、二フッ 水素カリウム、等が挙げられる。このうち アルカリ金属フッ化物、とくにフッ化ナト ウム、フッ化カリウムが好ましい。

 電気化学的処理は、フッ化水素水溶液中、 るいは上記フッ化物イオン源に硝酸、硫酸 リン酸などを加えた酸性水溶液中でステン ス鋼をアノード電解する。処理液のpHは好 しくは0~3、さらに好ましくは0~2である。フ 化物濃度は、0.001kmol・m -3 から飽和濃度までの広範囲で適する。水溶液 は、加温する必要はなく、例えば、10~30℃、 ましくは室温で使用できる。電解条件は、 ましくは0.01~50A/dm 2 、さらに好ましくは0.5~10A/dm 2 であり、電解時間は好ましくは5~600秒、さら 好ましくは10~60秒が適する。電流密度が高 程、短時間処理が可能であるが、フッ化物 オン濃度が高くなると、高電流密度でステ レス鋼が過不働態溶解して、元来の外観を なう恐れがあるので、0.5~5A/dm 2 で、10~120秒、好ましくは60秒程度が適する。

 化学的処理は、フッ化水素水溶液に、ある は上記フッ化物イオン源に酸化剤を加えた 溶液にステンレス鋼を浸漬することにより うことができる。フッ化物イオン濃度は、0 .001kmol・m -3 から飽和濃度までの広範囲で適する。酸化剤 としては、硝酸、過マンガン酸カリウム、過 酸化水素等であり、濃度は0.1~10kmol・m -3 が望ましく、さらに好ましくは、1~5 kmol・m -3 が望ましい。水溶液の温度は好ましくは20~80 、さらに好ましくは30~60℃である。浸漬時 は好ましくは10秒間以上、さらに好ましくは 1~10分間である。

 このようにして得られる本発明のステン ス鋼製導電性部材は、表面X線光電子分光法 (XPS)で分析すると不働態被膜中に0.1原子%以上 、好ましくは0.2原子%以上のFを含んでおり、 た下記の接触電気抵抗測定方法により測定 た接触電気抵抗は、接触荷重50gfにおいて、 好ましくは150mω以下、さらに好ましくは100mω 以下である。

第3の実施態様
 以下、本発明の第3の実施態様について説明 する。
 本発明のステンレス鋼製導電性部材は、例 ば、リチウムイオンを含有する水溶液また 非水溶液中でステンレス鋼をカソード電解 理(電気化学的処理)するか浸漬処理(化学的 理)することにより製造することができる。 これらの処理によって、溶液中のリチウムイ オンが不働態皮膜中へ進入する。電子のキャ リアとなるLiが不働態皮膜の電気伝導性を向 させ、元来生成している不働態皮膜の接触 気抵抗を改善することが可能となる。

 さらに、リチウムイオンを不働態皮膜に 入させた後、大気中または不活性ガス雰囲 中で熱処理することによって、不働態皮膜 電気伝導性はさらに向上し、元来生成して る不働態皮膜の接触電気抵抗を著しく改善 ることが可能となる。

 リチウムイオン源としては、水や非水溶 に溶解して、リチウムイオンを生成するリ ウム化合物であれば任意の化合物が使用で る。例えば、酸素化合物としては、水酸化 チウム、酸化リチウムなど、ハロゲン化物 しては、塩化リチウム、臭化リチウム、ヨ 化リチウムなど、酸素酸塩としては、硝酸 チウム、硫酸リチウム、等が挙げられる。 水溶媒としては、エタノール、メタノール エーテル(ジメチルエーテル、ジエチルエー テル、メチルエチルエーテル等)等が挙げら る。水と水混和性非水溶媒の混合液も使用 きる。

 リチウムイオン源を含む水溶液または非水 液中のリチウム化合物の濃度は、好ましく 0.1kmol・m -3 以上であり、飽和溶液まで適する。溶液は加 温する必要は無く、好ましくは10~30℃、例え 、室温でよい。浸漬処理の場合、処理時間 好ましくは10秒間~10分間、さらに好ましく 30秒間~5分間程度が適する。カソード電解処 の場合、電流密度は好ましくは0.01A/dm 2 ~10A/dm 2 、さらに好ましくは0.1~5A/dm 2 、電解時間は好ましくは10秒間~10分間、さら 好ましくは20秒間~5分間程度が適する。

 不働態皮膜にリチウムイオンを注入後、 働態皮膜の電気伝導性をさらに向上させる は、大気中、または窒素ガスやArなどの不 性ガス雰囲気中において熱処理することが ましい。好適な熱処理温度は100℃~300℃、さ に好ましくは120~230℃であり、処理時間は好 ましくは1分間~30分間、さらに好ましくは5~20 間である。

第4の実施態様
 以下、本発明の第4の実施態様について説明 する。
 本発明のステンレス鋼製導電性部材は、例 ば、下記の工程を含むステンレス鋼製導電 部材の製造方法により製造することができ 。
(A)不働態皮膜中にフッ素を注入する工程、
(B)不働態皮膜中にリチウムを注入する工程、 及び
(C)不働態皮膜中の鉄を溶出する工程。
 不働態皮膜中にフッ素を注入するには、フ 化物イオンを含む水溶液中でステンレス鋼 浸漬処理(化学的処理)するか電解処理(電気 学的処理)すれば良い。
 不働態皮膜中にリチウムを注入するには、 チウムイオンを含む水溶液または非水溶液 でステンレス鋼を浸漬処理(化学的処理)す か電解処理(電気化学的処理)すれば良い。
 また、不働態皮膜中の鉄を優先的に溶出さ るには、フッ化物イオンを含有する水溶液 で浸漬処理すれば良い。この処理の前に、 気中、または窒素ガス、Arガスなどの不活 ガス雰囲気中で加熱処理することが効果的 ある。これは、加熱処理によって、不働態 膜の最表面層に濃縮したFeが、その後のフッ 化物イオンを含有した水溶液中での浸漬処理 により、容易にフッ化物イオンと錯体を形成 して、不働態皮膜から溶出するためであると 考えられる。不働態皮膜から優先的にFeを溶 させることによって、皮膜はCr酸化物水酸 物主体の組成に改質される。

 上記のように、不働態皮膜中に電子のキャ アとなるLi、Fを注入することによって、不 態皮膜の電気伝導性が向上し、従来生成し いる不働態皮膜の接触電気抵抗を著しく改 することができる。
 さらに、不働態皮膜をCr酸化物水酸化物主 の組成に改質することによって耐食性が向 し、長時間の大気中放置によっても皮膜が 質せず、表面接触電気抵抗の時系列劣化を 止ないし抑制することができる。

(A)不働態皮膜中にフッ素を注入する工程
 フッ素注入に使用するフッ化物イオン源と ては、フッ化水素酸や、水に溶解してフッ 物イオンを生成するフッ素化合物であれば 意の化合物が使用できる。例えば、アルカ 金属フッ化物(例えば、フッ化ナトリウム、 フッ化カリウム等)、フッ化アンモニウム、 フッ化アンチモン、フッ化銅、二フッ化水 ナトリウム、二フッ化水素カリウム、等が げられる。このうち、アルカリ金属フッ化 、とくにフッ化ナトリウム、フッ化カリウ が好ましい。

 電気化学的にフッ化物を注入するには、フ 化水素水溶液中、あるいは上記フッ化物イ ン源に硝酸、硫酸、リン酸などを加えた酸 水溶液中でステンレス鋼をアノード電解す 。処理液のpHは好ましくは0~3、さらに好ま くは0~2である。フッ化物濃度は、好ましく 0.001kmol・m -3 で飽和濃度までの広範囲で適する。水溶液は 、加温する必要はなく、例えば、10~30℃、好 しくは室温で使用できる。電解条件は、好 しくは0.01~50A/dm 2 、さらに好ましくは0.5~10A/dm 2 であり、電解時間は好ましくは5~600秒、さら 好ましくは10~60秒が適する。電流密度が高 程、短時間処理が可能であるが、フッ化物 オン濃度が高くなると、高電流密度でステ レス鋼が過不働態溶解して、元来の外観を なう恐れがあるので、好ましくは0.5~5A/dm 2 で、10~120秒、好ましくは60秒程度が適する。

 化学的にフッ素を注入するには、フッ化水 酸または上記フッ化物イオン源に酸化剤を えた溶液中において浸漬処理する。フッ化 濃度は、好ましくは0.001kmol・m -3 以上で飽和濃度の広範囲まで適する。
 酸化剤としては、硝酸、過マンガン酸カリ ム、過酸化水素等が挙げられる。濃度は好 しくは0.1~10kmol・m -3 、さらに好ましくは、1~5 kmol・m -3 が望ましい。水溶液温度は、好ましくは20~80 、さらに好ましくは30~60℃である。浸漬時 は、好ましくは10秒間~10分間、さらに好まし くは1~10分間が適する。

(B)不働態皮膜中にリチウムを注入する工程
 リチウム注入におけるリチウムイオン源と ては、水や非水溶媒に溶解してリチウムイ ンを生成するリチウム化合物であれば任意 化合物が使用できる。例えば、酸素化合物 しては、水酸化リチウム、酸化リチウムな 、ハロゲン化物としては、塩化リチウム、 化リチウム、ヨウ化リチウムなど、酸素酸 としては、硝酸リチウム、硫酸リチウム、 が挙げられる。非水溶媒としては、エタノ ル、メタノール、ジメチルエーテル、ジエ ルエーテル、メチルエチルエーテル等が挙 られる。水と水混和性非水溶媒の混合液も 用できる。

 リチウムイオン源を含む水溶液または非水 液中のリチウム化合物の濃度は、好ましく 0.1kmol・m -3 以上であり、飽和溶液まで適する。溶液は加 温する必要は無く、好ましくは10~30℃、例え 、室温でよい。浸漬処理の場合、処理時間 好ましくは10秒間~10分間、さらに好ましく 30秒間~5分間程度が適する。カソード電解処 の場合、電流密度は好ましくは0.01A/dm 2 ~10A/dm 2 、さらに好ましくは0.1~5A/dm 2 、電解時間は好ましくは10秒間~10分間、さら 好ましくは20秒間~5分間程度が適する。

 不働態皮膜中へのフッ化物イオンおよび チウムイオンの効果的な注入方法は、上記 工程(A)と工程(B)を繰り返し行なうことであ 。工程(A)と工程(B)の順序はいずれが先でも いが、工程(A)をまず実施し、次いで工程(B) 実施することが好ましい。

(C)不働態皮膜中の鉄を溶出する工程
 不働態皮膜中の鉄を溶出させるには、フッ 物イオンを含有する水溶液中にステンレス を浸漬処理すれば良い。水溶液は、フッ化 素酸、あるいは上記フッ化物イオン源に酸 加え、酸性とした水溶液が適する。pHは好 しくは0~3、さらに好ましくは0~2である。フ 化物濃度は、好ましくは0.001kmol・m -3 以上であり、飽和濃度の広範囲まで適する。 pH調整用の酸としては、硝酸、硫酸、リン酸 等が挙げられる。濃度は好ましくは0.01~10kmo l・m -3 であり、さらに好ましくは、0.1~5 kmol・m -3 が望ましい。水溶液の温度は、好ましくは10~ 80℃、さらに好ましくは20~60℃である。浸漬 間は、好ましくは5秒間~20分間、さらに好ま くは5秒間~10分間が適する。

 さらに、効率的に不働態皮膜中の鉄を溶 させるには、工程(C)のフッ化物イオンを含 する水溶液中での浸漬処理以前に、大気中 または窒素、Arなどの不活性ガス雰囲気中 おいて熱処理することが望ましい。好適な 処理温度は好ましくは100℃~600℃、さらに好 しくは140~500℃であり、処理時間は好ましく は1秒~30分間、さらに好ましくは10秒~20分間で ある。

 この加熱処理によって、不働態皮膜の最表 層に鉄濃縮層が形成され、その後のフッ化 イオンを含有した水溶液中での浸漬処理に って、容易にFeとフッ化物イオンとが錯体 形成して、溶液中へ溶出する。
 この処理によって、不働態皮膜はCr主体の 成になるため、耐食性が向上して、長時間 大気中放置によっても皮膜の変質がなく、 面接触電気抵抗の時系列劣化が小さくなる のと考えられる。

第5の実施態様
 以下、本発明の第5の実施態様について説明 する。
 本発明に使用されるAl含有フェライト系ス ンレス鋼としては、製鋼工程においてAl脱酸 して製造されたフェライト系ステンレス鋼や 、強制的にAlを添加し、機械的特性を改善し フェライト系ステンレス鋼であって、成分 してAlを含有するものが挙げられる。その 体例として、SUS430、SUS430J1L、SUS434、SUS444等 挙げられる。また、表面仕上げ状態は、光 焼鈍仕上げ(BA)、酸洗仕上げ(2D)、酸洗後軽圧 延仕上げ(2B)、調質圧延仕上げ等が挙げられ 。

 本発明のAl含有フェライト系ステンレス鋼 導電性部材は、例えば、下記の工程(A)と、 程(B)及び/又は工程(C)とを含む方法により製 することができる。
 本発明は好ましくはさらに、(D)不働態皮膜 の鉄を溶出する工程を含む。
 不働態皮膜中からAlを除去するには、アル ナバフ研磨など機械的方法によってステン ス鋼表面に生成している不働態皮膜自体を 去すれば良い。または、硝酸中やアルカリ 属のリン酸塩水溶液中でステンレス鋼をア ード電解処理又は交番電解処理すれば良い
 不働態皮膜にフッ素を注入するには、フッ 物イオンを含む水溶液中でステンレス鋼を 漬処理(化学的処理)するか、電解処理(電気 学的処理)すれば良い。
 不働態皮膜中にリチウムを注入するにはリ ウムイオンを含む水溶液または非水溶液中 ステンレス鋼を浸漬処理(化学的処理)する 電解処理(電気化学的処理)すれば良い。
 また、不働態皮膜中の鉄を優先溶出させる は、硝酸溶液、フッ化物イオンを含有する 溶液、チオグリコール酸塩、クエン酸三ア モニウム溶液中で浸漬処理すれば良い。こ 処理の前に、大気中、または窒素ガス、Ar スなどの不活性ガス雰囲気中で加熱処理す ことが効果的である。これは、加熱処理に って、不働態皮膜の最表面層にFeが濃縮し、 その後の上記溶液中での浸漬処理により、容 易にFeと錯イオンを形成して、不働態皮膜か 溶出するためである。不働態皮膜から優先 にFeを溶出させることによって、皮膜はCr酸 化物、水酸化物主体の組成に改質される。

 上記のように、不働態皮膜内に電子のキャ アとなるLi、Fを注入することによって、不 態皮膜の電子伝導性が向上し、従来生成し いる不働態皮膜の接触電気抵抗を著しく改 することができる。
 さらに、不働態皮膜をCr酸化物、水酸化物 体の組成に改質することによって耐食性が 上し、長時間の大気中放置によっても皮膜 変質せず、表面接触電気抵抗の時系列劣化 防止ないし抑制することができる。

(A)不働態皮膜中からAlを除去する工程
 不働態皮膜中からAlを除去する方法として 、アルミナバフ研磨など機械的方法がある その後の大気中放置などで不働態皮膜を自 に生成させても、硝酸溶液中に浸漬処理(不 態化処理)して、強制的に不働態皮膜を生成 させても良い。

 また、硝酸水溶液中でのアノード電解処理 交番電解などの方法がある。硝酸濃度は、 ましくは0.01kmol・m -3 以上であり、飽和濃度まで適する。水溶液温 度は、好ましくは、室温~90℃、さらに好まし くは、30℃~70℃が望ましい。電解電流密度は 好ましくは0.01~50A/dm 2 、さらに好ましくは、0.5~10A/dm 2 、電解時間は好ましくは、5~600秒、さらに好 しくは10~300秒が適する。
 交番電解の場合は、上記電流密度および水 液温度の範囲で、1サイクルのアノード電解 とカソード電解のそれぞれの電解時間は、好 ましくは、10ms~120s、さらに好ましくは100ms~60s が適する。総電解時間は、好ましくは、5~600 、さらに好ましくは10~300秒が適する。
 アノード電解処理や交番電解などでは、電 密度が高い程、短時間処理が可能であるが 硝酸濃度が高くなると、高電流密度域でス ンレス鋼が過不働態溶解して、元来の外観 損なう恐れがあるので、好ましくは0.1~10A/dm 2 で、10~120秒、さらに好ましくは60秒程度が適 る。

 さらに、トリポリりん酸ナトリウム水溶液 ど、ポリりん酸イオン、メタりん酸イオン 生成するアルカリ金属のりん酸塩水溶液中 のアノード電解や交番電解などの方法があ 。濃度は、好ましくは0.001kmol・m -3 以上であり飽和濃度まで適する。水溶液温度 は、好ましくは、室温~90℃、さらに好ましく は、30℃~70℃が望ましい。電解電流密度は、 ましくは0.01~50A/dm 2 、さらに好ましくは、0.1~10A/dm 2 、電解時間は好ましくは、5~600秒、さらに好 しくは10~300秒が適する。
 交番電解の場合は、上記電流密度および水 液温度の範囲で、1サイクルのアノード電解 とカソード電解のそれぞれの電解時間は好ま しくは、10ms~120s、さらに好ましくは100ms~60sが 適する。総電解時間は、好ましくは、5~600秒 さらに好ましくは10~300秒が適する。
 アノード電解や交番電解などでは、電流密 が高い程、短時間処理が可能であるが、ア カリ金属のりん酸塩濃度が高くなると、高 流密度域でステンレス鋼が過不働態溶解し 、元来の外観を損なう恐れがあるので、好 しくは0.1~10A/dm 2 で、10~120秒、さらに好ましくは60秒程度が適 る

(B)不働態皮膜にフッ素を注入する工程
 フッ化物注入におけるフッ化物イオン源と ては、フッ化水素酸や、水に溶解してフッ 物イオンを生成するフッ素化合物であれば 意の化合物が使用できる。例えば、アルカ 金属フッ化物(例えば、フッ化ナトリウム、 フッ化カリウム等)、フッ化アンモニウム、 フッ化アンチモン、フッ化銅、二フッ化水 ナトリウム、二フッ化水素カリウム、等が げられる。このうち、アルカリ金属フッ化 、とくにフッ化ナトリウム、フッ化カリウ が好ましい。

 電気化学的にフッ化物を注入するには、フ 化水素水溶液中、あるいは上記フッ化物イ ン源に、硝酸、硫酸、りん酸などを加えた 性水溶液中でステンレス鋼をアノード電解 る。処理液のpHは好ましくは0~3、さらに好 しくは0~2である。フッ化物濃度は、好まし は0.001kmol・m -3 で飽和濃度まで適する。水溶液は、加温する 必要性はなく、例えば10~30℃、好ましくは、 温で使用できる。電解電流密度は好ましく 、0.01~50A/dm 2 、さらに好ましくは、0.5~10A/dm 2 であり、電解時間は好ましくは、5~600秒、さ に好ましくは、10~60秒が適する。電流密度 高い程、短時間処理が可能であるが、フッ 物イオン濃度が高くなると、高電流密度域 ステンレス鋼が過不働態溶解して、元来の 観を損なう恐れがあるので、好ましくは0.1~1 0A/dm 2 で、10~120秒、好ましくは60秒程度が適する。

 化学的にフッ化物を注入するには、フッ化 素酸および上記フッ化物イオン源に酸化剤 加えた溶液中において浸漬処理する。フッ 物濃度は、好ましくは0.001kmol・m -3 以上で飽和濃度まで適する。
 酸化剤としては、硝酸、過マンガン酸カリ ム、過酸化水素酸、等が挙げられる。濃度 好ましくは0.1~10kmol・m -3 、さらに好ましくは1~5 kmol・m -3 が望ましい。水溶液温度は、好ましくは20~80 、さらに好ましくは30~60℃である。浸漬時 は、好ましくは10秒間~10分間、さらに好まし くは1~10分間が適する。

(C)不働態皮膜にリチウムを注入する工程
 リチウム注入におけるリチウムイオン源と ては、水や非水溶媒に溶解してリチウムイ ンを生成するリチウム化合物であれば任意 化合物が使用できる。例えば、酸素化合物 しては、水酸化リチウム、酸化リチウムな 、ハロゲン化物としては、塩化リチウム、 化リチウム、ヨウ化リチウムなど、酸素酸 としては、硝酸リチウム、硫酸リチウム、 が挙げられる。非水溶媒としては、エタノ ル、メタノール、ジメチルエーテル、ジエ ルエーテル、メチルエチルエーテル等が挙 られる。水と非水溶媒との混合液も使用で る。

 リチウムイオン源を含む水溶液または非水 液のリチウム化合物の濃度は、好ましくは0 .01kmol・m -3 以上であり、飽和溶液まで適する。溶液は加 温する必要はなく、好ましくは、10~30℃、例 ば室温でよい。浸漬処理の場合、処理時間 好ましくは10秒間~10分間、さらに好ましく 、30秒間~5分間が適する。カソード電解の場 、電流密度は好ましくは0.01A/dm 2 ~10A/dm 2 、さらに好ましくは、0.1~5A/dm 2 、電解時間は好ましくは10秒間~10分間、さら 好ましくは20秒間~5分間程度が適する。

 不働態皮膜内へのフッ化物イオンおよび チウムイオンの効果的な注入方法は、上記 程(B)と工程(C)を繰り返し行うことである。 程(B)と工程(C)の順序はいずれが先でも良い 、工程(B)をまず実施し、次いで工程(C)を実 することが好ましい。

(D)不働態皮膜中の鉄を溶出する工程
 不働態皮膜中の鉄を優先溶出させるには、 酸水溶液、チオグリコール酸塩やクエン酸 アンモニウム溶液またはフッ化物イオンを 有した水溶液中で浸漬処理すれば良い。
 硝酸水溶液を使用する場合には、濃度は、 ましくは1kmol・m -3 以上であり、飽和溶液まで適する。水溶液温 度は、好ましくは、室温~90℃、さらに好まし くは、30℃~70℃が望ましい。浸漬時間は、好 しくは10秒間~120分間、さらに好ましくは、3 0秒~60分間が望ましい。
 チオグリコール酸塩としては、チオグリコ ル酸では、質量%として好ましくは0.1%~90%、 らに好ましくは1~50%が適する。溶液温度は 温する必要はなく、例えば10~50℃、好ましく は、室温で使用できる。浸漬時間は、好まし くは5秒間~120分間、さらに好ましくは10秒間~3 0分間が適する。チオグリコール酸アンモニ ムおよびチオグリコール酸モノエタノール ミンとしては、質量%として好ましくは、0.1% ~50%、さらに好ましくは1%~30%が適する。溶液 度は、例えば10~50℃、好ましくは、室温で使 用できる。
 クエン酸三アンモニウムの濃度は、好まし は0.1kmol・m -3 以上で、飽和濃度まで適する。水溶液温度は 、好ましくは、室温~50℃、さらに好ましくは 、30℃~40℃が望ましい。浸漬時間は、好まし は10秒間~120分間、さらに好ましくは30秒間~3 0分間が適する。
 フッ化物イオンを含有した水溶液を使用す 場合には、フッ化水素酸、あるいは上記フ 化物イオン源に酸を加え、酸性とした水溶 が適する。pHは好ましくは0~3、さらに好ま くは0~2である。フッ化物濃度は、好ましく 0.001kmol・m -3 以上であり、飽和濃度まで適する。pH調整用 酸としては、硝酸、硫酸、リン酸、等が挙 られる。濃度は好ましくは0.01~10kmol・m -3 が望ましく、さらに好ましくは、0.1~5 kmol・m -3 が望ましい。水溶液温度は、好ましくは10~80 、さらに好ましくは20~60℃である。浸漬時 は、好ましくは5秒間~20分間、さらに好まし は5秒間~10分間が適する。

 さらに、効率的に不働態皮膜中の鉄を優 溶出させるには、工程(D)の硝酸、チオグリ ール酸塩、フッ化物イオンを含有した水溶 中での浸漬処理以前に、大気中、または窒 、あるいはArなどの不活性ガス雰囲気中に いて熱処理することが望ましい。好適な熱 理温度は好ましくは100℃~600℃、さらに好ま くは、140℃~500℃であり、処理時間は好まし くは1秒間~30分間、さらに好ましくは10秒~20分 間である。

 この加熱処理によって、不働態皮膜の最表 層に鉄濃縮層が形成され、その後の工程(D) おいて容易にFeと錯イオンを形成して、溶 中へ溶出する。
 この処理によって、不働態皮膜はCr主体の 成になるため、耐食性が向上して、長時間 大気中放置によっても皮膜の変質がなく、 面接触電気抵抗の時系列劣化が小さくなる のと考えられる。

第6の実施態様
 以下、本発明の第6の実施態様について説明 する。
 本発明に使用されるステンレス鋼は、成分 してSiが含有されているフェライト系ステ レス鋼である。このSiはステンレス鋼の原料 に含まれており、また、製鋼工程の脱酸剤と しても使用されるため、フェライト系ステン レス鋼に成分として含有される。その具体例 として、SUS430、SUS430J1L、SUS434、SUS444等が挙げ られる。また、表面仕上げ状態は、光輝焼鈍 仕上げ(BA)、酸洗仕上げ(2D)、酸洗後軽圧延仕 げ(2B)、調質圧延仕上げ等が挙げられる。

 本発明のSi含有フェライト系ステンレス鋼 導電性部材は、例えば、下記の工程(A)と、 程(B)及び/又は工程(C)とを含む方法により製 することができる。
(A)不働態皮膜中からSiを除去する工程
(B)不働態皮膜にフッ素を注入する工程
(C)不働態皮膜にリチウムを注入する工程。
 本発明は好ましくはさらに、(D)不働態皮膜 の鉄を溶出する工程を含む。
 不働態皮膜中からSiを除去するには、水に 解してアルカリ性を示すアルカリ金属化合 の水溶液中において、アノード電解または 番電解すれば良い。アルカリ金属化合物と ては、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム リン酸三ナトリウム、水酸化カリウムなど アルカリ金属の水酸化物、炭酸塩、リン酸 等であって、水に溶解してアルカリ性を示 アルカリ金属化合物であればすべて使用で る。
 不働態皮膜にフッ素を注入するには、フッ 物イオンを含む水溶液中でステンレス鋼を 漬処理(化学的処理)するか、電解処理(電気 学的処理)すれば良い。
 不働態皮膜中にリチウムを注入するにはリ ウムイオンを含む水溶液または非水溶液中 ステンレス鋼を浸漬処理(化学的処理)する 電解処理(電気化学的処理)すれば良い。
 また、不働態皮膜中の鉄を優先溶出させる は、硝酸溶液、フッ化物イオンを含有する 溶液中や、チオグリコール酸塩、クエン酸 アンモニウム溶液中で浸漬処理すれば良い
 この処理の前に、大気中、または窒素ガス Arガスなどの不活性ガス雰囲気中で加熱処 することが効果的である。これは、加熱処 によって、不働態皮膜の最表面層にFeが濃縮 し、その後の上記溶液中での浸漬処理により 、容易にFeと錯イオンを形成して、不働態皮 から溶出するためである。不働態皮膜から 先的にFeを溶出させることによって、皮膜 Cr酸化物、水酸化物主体の組成に改質される 。

 上記のように、不働態皮膜内に電子のキャ アとなるLi、Fを注入することによって、不 態皮膜の電子伝導性が向上し、従来生成し いる不働態皮膜の接触電気抵抗を著しく改 することができる。
 さらに、不働態皮膜をCr酸化物、水酸化物 体の組成に改質することによって耐食性が 上し、長時間の大気中放置によっても皮膜 変質せず、表面接触電気抵抗の時系列劣化 防止ないし抑制することができる。

(A)不働態皮膜中からSiを除去する工程
 不働態皮膜中からSiを除去するには、水に 解してアルカリ性を示すアルカリ金属化合 の水溶液中において、アノード電解または 番電解する方法が好適である。水溶液は、 酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、リン酸 ナトリウム、水酸化カリウムなど、アルカ 金属の水酸化物、炭酸塩、リン酸塩であっ 、水に溶解してアルカリ性を示すアルカリ 属化合物であればすべて使用できる。また れらの化合物は単独、または混合物でもか わない。これらのアルカリ金属化合物の濃 は、好ましくは0.001kmol・m -3 以上であり飽和濃度まで適する。水溶液温度 は、好ましくは、室温~90℃、さらに好ましく は、30℃~70℃が望ましい。電解電流密度は、 ましくは0.01~50A/dm 2 、さらに好ましくは、0.1~10A/dm 2 、電解時間は好ましくは、5~600秒、さらに好 しくは10~300秒が適する。
 交番電解の場合は、上記電流密度および水 液温度の範囲で、1サイクルのアノード電解 とカソード電解のそれぞれの電解時間は好ま しくは、10ms~120s、さらに好ましくは100ms~60sが 適する。総電解時間は、好ましくは、5~600秒 さらに好ましくは10~300秒が適する。
 アノード電解処理や交番電解などでは、電 密度が高い程、短時間処理が可能であるが アルカリ金属化合物の濃度が高くなると、 電流密度域でステンレス鋼が過不働態溶解 て、元来の外観を損なう恐れがあるので、 ましくは0.1~10A/dm 2 で、10~120秒、さらに好ましくは60秒程度が適 る
 これらの電解処理によって、不働態皮膜中 Si酸化物は、メタケイ酸イオン、オルトケ 酸イオンとなって、不働態皮膜から排出さ る。

(B)不働態皮膜にフッ素を注入する工程
 フッ化物注入におけるフッ化物イオン源と ては、フッ化水素酸や、水に溶解してフッ 物イオンを生成するフッ素化合物であれば 意の化合物が使用できる。例えば、アルカ 金属フッ化物(例えば、フッ化ナトリウム、 フッ化カリウム等)、フッ化アンモニウム、 フッ化アンチモン、フッ化銅、二フッ化水 ナトリウム、二フッ化水素カリウム、等が げられる。このうち、アルカリ金属フッ化 、とくにフッ化ナトリウム、フッ化カリウ が好ましい。

 電気化学的にフッ化物を注入するには、フ 化水素水溶液中、あるいは上記フッ化物イ ン源に、硝酸、硫酸、りん酸などを加えた 性水溶液中でステンレス鋼をアノード電解 る。処理液のpHは好ましくは0~3、さらに好 しくは0~2である。フッ化物濃度は、好まし は0.001kmol・m -3 以上で飽和濃度まで適する。水溶液は、加温 する必要性はなく、例えば10~30℃、好ましく 、室温で使用できる。電解電流密度は好ま くは、0.01~50A/dm 2 、さらに好ましくは、0.5~10A/dm 2 であり、電解時間は好ましくは、5~600秒、さ に好ましくは、10~60秒が適する。電流密度 高い程、短時間処理が可能であるが、フッ 物イオン濃度が高くなると、高電流密度域 ステンレス鋼が過不働態溶解して、元来の 観を損なう恐れがあるので、好ましくは0.1~1 0A/dm 2 で、10~120秒、好ましくは60秒程度が適する。

 化学的にフッ化物を注入するには、フッ化 素酸および上記フッ化物イオン源に酸化剤 加えた溶液中において浸漬処理する。フッ 物濃度は、好ましくは0.001kmol・m -3 以上で飽和濃度まで適する。
 酸化剤としては、硝酸、過マンガン酸カリ ム、過酸化水素酸、等が挙げられる。濃度 好ましくは0.1~10kmol・m -3 、さらに好ましくは1~5 kmol・m -3 が望ましい。水溶液温度は、好ましくは20~80 、さらに好ましくは30~60℃である。浸漬時 は、好ましくは10秒間~10分間、さらに好まし くは1~10分間が適する。

(C)不働態皮膜にリチウムを注入する工程
 リチウム注入におけるリチウムイオン源と ては、水や非水溶媒に溶解してリチウムイ ンを生成するリチウム化合物であれば任意 化合物が使用できる。例えば、酸素化合物 しては、水酸化リチウム、酸化リチウムな 、ハロゲン化物としては、塩化リチウム、 化リチウム、ヨウ化リチウムなど、酸素酸 としては、硝酸リチウム、硫酸リチウム、 が挙げられる。非水溶媒としては、エタノ ル、メタノール、ジメチルエーテル、ジエ ルエーテル、メチルエチルエーテル等が挙 られる。水と水混和性非水溶媒の混合液も 用できる。

 リチウムイオン源を含む水溶液または非水 液のリチウム化合物の濃度は、好ましくは0 .01kmol・m -3 以上であり、飽和溶液まで適する。溶液は加 温する必要はなく、好ましくは、10~30℃、例 ば室温でよい。浸漬処理の場合、処理時間 好ましくは10秒間~10分間、さらに好ましく 、30秒間~5分間が適する。カソード電解処理 場合、電流密度は好ましくは0.01A/dm 2 ~10A/dm 2 、さらに好ましくは、0.1~5A/dm 2 、電解時間は好ましくは10秒間~10分間、さら 好ましくは20秒間~5分間程度が適する。

 不働態皮膜内へのフッ化物イオンおよび チウムイオンの効果的な注入方法は、上記 程(B)と工程(C)を繰り返し行うことである。 程(B)と工程(C)の順序はいずれが先でも良い 、工程(B)をまず実施し、次いで工程(C)を実 することが好ましい。

(D)不働態皮膜中の鉄を溶出する工程
 不働態皮膜中の鉄を優先溶出させるには、 酸溶液、チオグリコール酸塩、クエン酸三 ンモニウム溶液またはフッ化物イオンを含 した水溶液中で浸漬処理すれば良い。
 硝酸溶液を使用する場合には、濃度は、好 しくは1kmol・m -3 以上であり、飽和溶液まで適する。水溶液温 度は、好ましくは、室温~90℃、さらに好まし くは、30℃~70℃が望ましい。浸漬時間は、好 しくは10秒間~120分間、さらに好ましくは、3 0秒~60分間が望ましい。
 チオグリコール酸塩としては、チオグリコ ル酸では、質量%として好ましくは0.1%~90%、 らに好ましくは1~50%が適する。溶液温度は 温する必要はなく、例えば10~50℃、好ましく は、室温で使用できる。浸漬時間は、好まし くは5秒間~120分間、さらに好ましくは10秒間~3 0分間が適する。チオグリコール酸アンモニ ムおよびチオグリコール酸モノエタノール ミンとしては、質量%として好ましくは、0.1% ~50%、さらに好ましくは1%~30%が適する。溶液 度は、例えば10~50℃、好ましくは、室温で使 用できる。

 クエン酸三アンモニウムの濃度は、好まし は0.1kmol・m -3 以上で、飽和濃度まで適する。水溶液温度は 、好ましくは、室温~50℃、さらに好ましくは 、30℃~40℃が望ましい。浸漬時間は、好まし は10秒間~120分間、さらに好ましくは30秒間~3 0分間が適する。
 フッ化物イオンを含有した水溶液を使用す 場合には、フッ化水素酸、あるいは上記フ 化物イオン源に酸を加え、酸性とした水溶 が適する。pHは好ましくは0~3、さらに好ま くは0~2である。フッ化物濃度は、好ましく 0.001kmol・m -3 以上であり、飽和濃度まで適する。pH調整用 酸としては、硝酸、硫酸、リン酸、等が挙 られる。濃度は好ましくは0.01~10kmol・m -3 が望ましく、さらに好ましくは、0.1~5 kmol・m -3 が望ましい。水溶液温度は、好ましくは10~80 、さらに好ましくは20~60℃である。浸漬時 は、好ましくは5秒間~20分間、さらに好まし は5秒間~10分間が適する。

 さらに、効率的に不働態皮膜中の鉄を優 溶出させるには、工程(D)の硝酸、チオグリ ール酸塩、フッ化物イオンを含有した水溶 中での浸漬処理以前に、大気中、または窒 、あるいはArなどの不活性ガス雰囲気中に いて熱処理することが望ましい。好適な熱 理温度は好ましくは100℃~600℃、さらに好ま くは、140℃~500℃であり、処理時間は好まし くは1秒間~30分間、さらに好ましくは10秒~20分 間である。

 この加熱処理によって、不働態皮膜の最表 層に鉄濃縮層が形成され、その後の工程(D) おいて容易にFeと錯イオンを形成して、溶 中へ溶出する。
 この処理によって、不働態皮膜はCr主体の 成になるため、耐食性が向上して、長時間 大気中放置によっても皮膜の変質がなく、 面接触電気抵抗の時系列劣化が小さくなる のと考えられる。

 以下実施例を示し、本発明を具体的に説明 る。
接触電気抵抗の測定方法
 接触電気抵抗は、株式会社 山崎精機研究 製、電気接点シミュレーター(CRS-113-金型)を 用して測定した。測定プローブには、PU-05 線接触子、0.5mmφを用いた。印加定電流を10mA とした。また、接触子の最大接触荷重を100gf 移動距離を1mmとして測定を行い、接触荷重- 接触電気抵抗分布曲線を求めた。

第1の実施態様
実施例A1
供試材
 供試材には板厚が0.2mmのSUS304BA(BA:光輝焼鈍 )を使用した。これを15mm×50mmに切断して試験 片とした。
実験方法
 試験片をアセトン中に浸漬して超音波洗浄 施した後、硝酸水溶液、リン酸水溶液、そ ぞれ10%濃度(質量)、25℃において、対極にSUS 304鋼を用いてカソード電解を施した。電流密 度は5A/dm 2 で電解時間を30秒とした。電解後に蒸留水洗 、冷風(25℃)乾燥を行い、接触電気抵抗を測 定した。
結果
 素材(SUS304BA:光輝焼鈍仕上げ)の接触荷重-接 電気抵抗分布曲線を図1に示す。

 素材、SUS304BAでは、瞬間的に接触電気抵抗 低下する挙動は認められるものの、接触荷 が100gfまで、接触電気抵抗は高い状態(300mω 上)を保持したままである。
 図2に10%硝酸および10%リン酸水溶液中でカソ ード電解処理した試験片の接触電気抵抗測定 結果を示す。硝酸処理材、リン酸処理材とも 、接触荷重が約10gfで接触電気抵抗が300mω以 となり、接触荷重の増加とともに接触電気 抗が低下した。このように、素材(SUS304BA)の 触電気抵抗は、硝酸カソード電解、リン酸 ソード電解によって低下する。

実施例A2
供試材
 実施例A1に使用したものと同じ。
実験方法
 試験片をアセトン中に浸漬して超音波洗浄 施した後、10%硫酸水溶液、または10%硫酸+5mg /L三酸化二砒素水溶液、25℃において、対極 SUS304鋼を使用して、カソード電解を施した 電流密度は5A/dm 2 で電解時間を30秒とした。電解後に蒸留水洗 ~冷風乾燥を行い、実施例A1と同様に接触電 抵抗を測定した。また比較例として、SUS304B Aに半光沢Niめっきした試験片の接触電気抵抗 を測定した。

 図3に10%硫酸水溶液中でカソード電解処理し た試験片の接触電気抵抗に及ぼす三酸化二砒 素添加の効果を示す。水素過電圧を上昇させ る三酸化二砒素を5mg/L添加することによって 硫酸カソード電解処理の効果が向上し、約7 gfの接触荷重で急激に接触電気抵抗が低下す ことがわかった。このように、三酸化二砒 を添加することによってカソード電解処理 のプロトン進入効果が上昇することがわか 。
 図4には比較例として半光沢Niめっき材の接 荷重-接触電気抵抗分布曲線を示す。上記、 10%硫酸+5mg/L三酸化二砒素水溶液中でカソード 電解した試験片は、半光沢Niめっき材とほぼ 等の接触電気抵抗を示した。

実施例A3
供試材
 供試材には板厚が0.2mmのSUS304 2D、SUS304 2B、 SUS304 3/4H、SUS430BAを使用した。これらを15mm×5 0mmに切断して試験片とした。
実験方法
 試験片をアセトン中に浸漬して超音波洗浄 施した後、10%硫酸+5mg/L三酸化二砒素水溶液 25℃において、対極にSUS304鋼を使用して、 ソード電解を施した。電流密度は5A/dm 2 で電解時間を30秒とした。電解後に蒸留水洗 ~冷風乾燥を行い、実施例A1と同様に接触電 抵抗を測定した。
 図5にはSUS304 2D材の、図6にはSUS304 2B材の、 図7にはSUS304 3/4H材の、図8にはSUS430BAの処理 および素材の接触荷重-接触電気抵抗分布曲 をそれぞれ示す。このように、SUS304鋼の素 表面状態が異なっても、あるいはフェライ 系ステンレス鋼であるSUS430鋼であっても、 触電気抵抗は低下する。

実施例A4
供試材
 実施例A1に使用したものと同じ。
実験方法
 10%硝酸水溶液、25℃において、5A/dm 2 で30秒間のカソード電解処理を行い、蒸留水 浄~冷風乾燥した試験片を作製した。このカ ソード電解処理した試験片表面と素材(SUS304BA )の試験片表面とを表面X線光電子分光法(XPS) 分析し比較した。
 図9に示すように、金属-O(酸化物)の結合エ ルギーを表わす530.1eVと金属-OH(水酸基)のそ を表わす531.3eVにおいてX線強度を比較した結 果、素材(SUS304BA)の金属-OH/金属-O比が0.8であ たのに対して、カソード処理後では0.9に上 していた。種々検討した結果、素材表面の 上げ状態に関わらず、金属-OH/金属-OのX線強 比が0.85以上において、接触電気抵抗が低下 することがわかった。

第2の実施態様
実施例B1
供試材
 供試材には板厚が0.2mmのSUS304BA(BA:光輝焼鈍 )を使用した。これを15mm×50mmに切断して試験 片とした。
実験方法
 試験片をアセトン中に浸漬して超音波洗浄 施した後、5質量%HF、30℃において、電気化 的処理として1A/dm 2 で1分間のアノード電解、また化学的処理と て1分間の浸漬処理を施した。処理後に蒸留 洗浄~冷風(25℃)乾燥を行い、接触電気抵抗 測定した。

結果
 素材(SUS304BA:光輝焼鈍仕上げ)の接触荷重-接 電気抵抗分布曲線を図1に示す。
 素材では、瞬間的に接触電気抵抗が低下す 挙動は認められるものの、接触荷重が100gf で、接触電気抵抗は300mω以上を保持したま である。
 一方、図10に示すように、5%HF中での浸漬処 では接触荷重が約10gfで接触電気抵抗が300mω 以下となり、接触荷重の増加とともに接触電 気抵抗が低下した。
 また、5%HF中でのアノード電解処理では、接 触電気抵抗値が300mω以下に低下する接触荷重 が化学的処理に比べてさらに低く(約8gf)、ア ード電解によってFの進入が促進されること がわかる。このように、素材(SUS304BA)の接触 気抵抗は、フッ化水素酸中でのアノード電 処理および浸漬処理で急激に低下した。

実施例B2
供試材
 実施例B1に使用したものと同じ。
実験方法
 フッ化物イオン源に酸化剤を加えた溶液中 の化学的(浸漬)処理の適応例を示す。試験 をアセトン中に浸漬して超音波洗浄を施し 後、0.05kmol・m -3 NaF+1.5kmol・m -3 HNO 3 中、30℃で5分間浸漬処理した。処理後に蒸留 水洗浄~冷風乾燥を行い、接触電気抵抗を測 した。また比較例として、SUS304BAに半光沢Ni っきした試験片の接触電気抵抗を測定した
 接触電気抵抗の測定結果を図11に示す。接 荷重が約5gfで接触電気抵抗が300mω以下とな 、接触荷重の増加とともに接触電気抵抗が 下して、図4に示す半光沢Niめっき材とほぼ 等になることがわかった。

実施例B3
供試材
 供試材には板厚が0.2mmのSUS304 2B、SUS304 3/4H SUS430BAを使用した。これらを15mm×50mmに切断 て試験片とした。
実験方法
 試験片をアセトン中に浸漬して超音波洗浄 施した後、0.05kmol・m -3 NaF+1.5kmol・m -3 HNO 3 中、30℃で5分間浸漬処理した。処理後に蒸留 水洗浄~冷風乾燥を行い、実施例B1と同様に接 触電気抵抗を測定した。
 図12にはSUS304 2B材の、図13にはSUS304 3/4H材 、図14にはSUS430BA材の処理後および素材の接 荷重-接触電気抵抗分布曲線を示す。このよ うに、SUS304鋼の素材の表面状態が異なっても 、あるいはフェライト系ステンレス鋼である SUS430鋼であっても、本発明の処理により接触 電気抵抗は低下する。

実施例B4
供試材
 実施例B1に使用したものと同じ。
 試験片(SUS304BA)をアセトン中に浸漬して超音 波洗浄を施した後、 5質量%HF、30℃溶液中に いて、1分間の化学的(浸漬)処理を施した。 理後に蒸留水洗浄~冷風乾燥を行い、飛行時 間型二次イオン質量分析(ToF-SIMS)を行なった 皮膜の深さ方向のF濃度の分布は、皮膜をス ッタリングしながら、深さ方向の二次イオ 強度から求めた。
 図15に示すように、皮膜厚さが約3nmの不働 皮膜中にFが進入しており、表層深さ約0.5nm 二次イオン強度のピークが認められた。
 さらに、同試験片を表面X線光電子分光分析 (XPS)したところ、1.2原子%濃度のFが検出され 。種々検討した結果、0.1原子%以上のF濃度で 接触電気抵抗が低下することがわかった。

第3の実施態様
実施例C1
供試材
 供試材には板厚が0.2mmのSUS304BA(BA:光輝焼鈍 )を使用した。これを15mm×50mmに切断して試験 片とした。

実験方法
 試験片をアセトン中に浸漬して超音波洗浄 施した後、1kmol・m -3 LiOH水溶液中で1A/dm 2 で1分間のカソード電解を行い、蒸留水洗浄~ 風(25℃)乾燥を行なった後、100℃および200℃ で10分間の大気加熱を行なった。また比較例 して、SUS304BAに半光沢Niめっきした試験片の 接触電気抵抗を測定した。
結果
 図1に素材(SUS304BA:光輝焼鈍仕上げ)の接触荷 -接触電気抵抗分布曲線を示す。素材では、 瞬間的に接触電気抵抗が低下する挙動は認め られるものの、接触荷重が100gfまで、接触電 抵抗は300mω以上を保持したままである。
 図16に、LiOH水溶液中でカソード電解後、大 加熱処理した試験片の接触荷重-接触電気抵 抗分布曲線を示す。素材の接触電気抵抗はLi 入および、その後の100℃大気加熱によって 下し、さらに200℃での大気加熱を行なうこ によって急激に低下した。また、200℃で大 加熱処理した試験片の接触電気抵抗は、図4 に示す半光沢Niめっき材とほぼ同等になるこ がわかった。

 素材BA皮膜、リチウム電解注入後、および20 0℃で大気加熱処理した皮膜の組成解析を飛 時間型二次イオン質量分析(ToF-SIMS)で行なっ 。皮膜の深さ方向の濃度分布は、皮膜をス ッタリングしながら、二次イオン強度の測 から求めた。測定結果を図17に示す。
 素材(図17(a))をカソード電解するとBA皮膜内 Liの存在が認められた(図17(b))。さらに、200 大気加熱処理後では、不働態皮膜の外層にL i、Feが存在し、内層にCrが存在することがわ った(図17(c))。

 このようにして得られる本発明のステン ス鋼製導電性部材は、飛行時間型二次イオ 質量分析(ToF-SIMS)で分析すると不働態被膜中 に0.01原子%以上、好ましくは0.02原子%以上のLi を含んでおり、また下記の接触電気抵抗測定 方法により測定した接触電気抵抗は、接触荷 重50gfにおいて、好ましくは150mω以下、さら 好ましくは100mω以下である。

実施例C2
供試材
 実施例C1に使用したものと同じ。
実験方法
 接触電気抵抗に及ぼすリチウムイオンの最 濃度および最適温度の影響を調べるため、L iOH濃度を0.5~2kmol・m -3 、水溶液温度を30、50、70℃として、1A/dm 2 で10分間のカソード電解処理を行なった。そ 後、蒸留水洗浄~冷風乾燥し、200℃で10分間 大気加熱を施した。この試験片の接触荷重- 接触電気抵抗分布曲線を測定して、接触電気 抵抗が300mω以下に低下する接触荷重(低下荷 :gf)を求めた。測定回数、n=3で測定し、その 均値を表C1に表わす。LiOH濃度が高くなるほ 、低下荷重が小さくなる傾向が認められた 、水溶液温度の影響はなかった。

実施例C3
供試材
 実施例C1に使用したものと同じ。
実験方法
 接触電気抵抗に及ぼすカソード電流密度と カソード電解後の加熱時間の影響を調べた LiOH濃度を2kmol・m -3 、水溶液温度を30℃、カソード電流密度を0.5~ 5A/dm 2 として、1分間のカソード電解後、200℃の大 中で5、10、30分間加熱した。測定回数、n=3で 測定し、その平均値を求めた。表C2に示すよ に、低下荷重に及ぼすカソード電流密度の 響は認められなかったが、最適大気加熱時 が10分間であることがわかった。また、LiOH 溶液中への浸漬処理のみでも接触電気抵抗 低下させる効果があることがわかった。

実施例C4
供試材
 実施例C1に使用したものと同じ。
実験方法
 接触電気抵抗に及ぼすカソード電解時間の 響を調べる目的で、LiOH濃度を2kmol・m -3 、水溶液温度を30℃、カソード電流密度を1A/d m 2 として、電解時間を10秒間~5分間と変化させ 。また、大気加熱処理は200℃で5、10、30分間 とした。測定回数、n=3で測定し、その平均値 を求めた。表C3に示すように、低下荷重に及 すカソード電解時間の影響は認められなか たが、実施例C3と同様に大気加熱時間は10分 間が適していた。

実施例C5
供試材
 実施例C1に使用したものと同じ。
実験方法
 接触電気抵抗に及ぼす大気加熱温度の影響 調べるため、LiOH濃度を2kmol・m -3 、水溶液温度を30℃、カソード電解条件を1A/d m 2 で1分間とした。大気加熱温度を160℃~240℃ま 変化させ、加熱時間は10分間とした。測定 数、n=3で測定し、その平均値を求めた。表C4 に示すように、200℃での大気加熱によって低 下荷重が小さくなることがわかった。

実施例C6
供試材
 実施例C1に使用したものと同じ。
実験方法
 エタノールにLiNO 3 を溶解して、濃度を1kmol・m -3 とした。この非水溶液中において、30℃、10V 1分間のカソード電解を施し、その後、蒸留 水洗浄~冷風乾燥を行なった後、大気中で200 ×10分間の熱処理を行なった。接触荷重-接触 電気抵抗分布曲線を図18に示す。
 このように接触電気抵抗が低下することか 、非水溶液からでもLiが不働態皮膜に注入 きることがわかる。

実施例C7
供試材
 供試材には板厚が0.2mmのSUS304 3/4Hを使用し 。これを15mm×50mmに切断して試験片とした。

実験方法
 試験片をアセトン中に浸漬して超音波洗浄 施した後、1kmol・m -3 LiOH水溶液中で1A/dm 2 で1分間のカソード電解を行い、蒸留水洗浄~ 風乾燥を行なった後、200℃で10分間の大気 熱を行なった。
結果
 図19に素材(SUS304 3/4H)と処理材の接触荷重- 触電気抵抗分布曲線を示す。このように、 ね材であるSUS304 3/4Hでも接触電気抵抗の急 な低下が認められた。

第4の実施態様
実施例D1
供試材
 供試材には板厚が0.2mmのSUS304BA(BA:光輝焼鈍 )を使用した。これを15mm×50mmに切断して試験 片とした。
実験方法
 試験片をアセトン中に浸漬して超音波洗浄 施した後、200℃で10分間の大気加熱を行な た。その後、5質量%HF水溶液、30℃で10秒間の 浸漬処理を施した後、蒸留水洗浄~冷風(25℃) 燥を行い、接触電気抵抗を測定した。試験 の接触荷重-接触電気抵抗分布曲線を図20に す。

 素材(SUS304BA)では、瞬間的に接触電気抵抗 が低下する挙動は認められるものの、接触荷 重が100gfまで、接触電気抵抗は300mω以上を保 したままである。一方、大気加熱後にHF水 液中へ浸漬処理した試験片では荷重が約20gf 接触電気抵抗が300mω以下となり、接触荷重 増加とともに接触電気抵抗が低下して、接 荷重が100gfでは10mω程度になった。

実施例D2
供試材
 実施例D1に使用したものと同じ。
実験方法
 素材(SUS304BA材)を200℃で10分間の大気加熱処 後に5質量%HF水溶液中において、10秒間の浸 処理を施した。その後、1kmol・m -3 LiOH水溶液中において、1A/dm 2 で1分間のカソード電解処理した試験片と、 ソード電解後に、再度HF水溶液中において10 間の浸漬処理を施した試験片それぞれの接 電気抵抗を測定した。なお、各電解処理、 漬処理後には蒸留水洗浄と冷風乾燥工程が まれる。図21に接触荷重-接触電気抵抗分布 線を示す。図4には比較例としてSUS304BAに半 沢Niめっきした試験片の接触電気抵抗測定 果を示す。
 図20と図21の比較から、200℃大気加熱~HF浸漬 処理した試験片の接触電気抵抗は、LiOH水溶 中でのカソード電解処理によって低下し、 度 HF水溶液への浸漬処理によってさらに低 することがわかった。この接触電気抵抗は 図4に示す半光沢Niめっき材に匹敵する。

実施例D3
供試材
 実施例D1に使用したものと同じ。
 試験片をアセトン中に浸漬して超音波洗浄 施した後、200℃で10分間の大気加熱処理を した。大気加熱処理後に5%HF水溶液、30℃溶 において、10秒間の浸漬処理を施し、1kmol・m -3 LiOH水溶液中で1A/dm 2 で1分間のカソード電解処理の後、再度5%HF水 液、30℃での10秒間の浸漬処理を施した。な お、各電解処理、浸漬処理後には蒸留水洗浄 と冷風乾燥工程が含まれる。各処理工程の詳 細を図22に示す。
 上記試験片(図22に示す工程5)を大気中(室内) に25℃で放置し、一定時間毎に接触荷重-接触 電気抵抗分布曲線を測定して、接触電気抵抗 が300mω以下に低下する接触荷重(低下荷重)を めた。

 図23に示すように、大気放置98日後におい ても低下荷重は10gf前後であり、処理直後か 上昇傾向は認められず、時系列劣化がない とがわかる。

 各工程(図22)後の不働態皮膜の組成を、飛行 時間型二次イオン質量分析(ToF-SIMS)で解析し 結果を図24に示す。
 素材(工程1)の不働態皮膜の厚さは、工程2の 大気加熱処理によって、約7nmまで増加し、さ らにFeが皮膜表層部へ拡散濃化した。酸化物( O)の増加が認められることから、皮膜中のFe 、酸化物主体の組成に変化したことがわか 。
 工程3のHF浸漬処理によってFの進入が認めら れた。また、不働態皮膜の厚さが減少した。 これは、工程2で形成されたFe濃縮層が、フッ 化物イオンと錯体を形成してHF水溶液中へ溶 したためと考えられる。
 工程4のLiOH水溶液中でのカソード電解で、 働態皮膜中へのLiの進入、Fの濃度低下が認 られた。
 工程5のHF浸漬処理によって、皮膜内のFe濃 は著しく低下して、Cr濃度の上昇およびF濃 の上昇が認められた。
 各工程の不働態皮膜組成を、X線光電子分光 分析法(XPS)によって解析し、その結果から求 たCr/Fe比(原子%)を表D1に示す。

 表D1に示すように、不働態皮膜中のCr/Fe比が 素材(SUS304BA)では0.58、工程5では7.57となる。 のように皮膜中のCr/Fe比が増加することから 、皮膜の耐食性が向上したものと考えられる 。そこで、窒素脱気した30℃の1kmol・m -3 NaCl水溶液中において、素材(SUS304BA)と実施例D 3の工程5まで処理した試験片のアノード分極 線を求め、耐孔食性を調べた。
 図25に示すように素材のSUS304BA材は、約1000mV で孔食が発生したが、工程5まで処理した試 片は酸素発生電位(約1200mV)よりさらに貴な130 0mVまで分極しても孔食は発生せず、耐孔食性 が優れていた。

実施例D4
供試材
 供試材には板厚が0.2mmのSUS304 2D、SUS304 2B、 SUS304 3/4H、SUS430BAを使用した。これらを15mm×5 0mmに切断して試験片とした。
実験方法
 試験片をアセトン中に浸漬して超音波洗浄 施した後、図22(実施例D3)に示す工程5まで処 理した。図26にはSUS304 2Dの、図27にはSUS304 2B の、図28にはSUS304 3/4Hの、図29にはSUS430BAの処 理後および素材の接触荷重-接触電気抵抗分 曲線を示す。
 このように、SUS304鋼の素材の表面状態が異 っても、あるいはフェライト系ステンレス であるSUS430鋼であっても、接触電気抵抗は 下する。

第5の実施態様
実施例E1
供試材
 供試材には板厚が0.2mmのAl含有SUS430BA(BA:光輝 焼鈍材)を使用した。これを15mm×50mmに切断し 試験片とした。
実験方法
 試験片をアセトン中に浸漬して超音波洗浄 施した後、表面にアルミナバフ研磨を施し 後、30質量%の硝酸、55℃に30分間浸漬して不 働態化処理を行った。その後、1kmol・m -3 LiOH水溶液中において、1A/dm 2 で1分間のカソード電解処理を施し、接触電 抵抗を測定した。なお、各電解処理、浸漬 理後には蒸留水洗浄と冷風乾燥工程が含ま る。素材と処理後の試験片の接触圧力-接触 気抵抗分布曲線を図30に示す。

 素材(SUS430BA)では、瞬間的に接触電気抵抗 が低下する挙動は認められるものの、接触荷 重が100gfまで、接触電気抵抗は300mω以上を保 したままである。一方、上記処理を施した 験片では接触荷重の増加とともに接触電気 抗が低下することがわかる。このように電 のキャリアとしてLiのみでも接触電気抵抗 低下した。

実施例E2
供試材
 実施例E1に使用したものと同じ。
実験方法
 試験片をアセトン中に浸漬して超音波洗浄 施した後、30質量%の硝酸、55℃において、1A /dm 2 の電流密度でカソード電解を10秒間、アノー 電解を10秒間施し、さらに連続してカソー 電解を10秒間、アノードを10秒間施した。そ 後、2.5質量%のHF水溶液中(25℃)において30秒 の浸漬処理を施した。処理後の試験片の接 電気抵抗を測定した。なお、各電解処理、 漬処理後には蒸留水洗浄と冷風乾燥工程が まれる。図31に接触圧力-接触電気抵抗分布 線を示す。

 上記処理を施した試験片では接触荷重の 加とともに接触電気抵抗が低下することが かる。このように電子のキャリアとしてFの みでも接触電気抵抗は低下した。

実施例E3
供試材
 実施例E1に使用したものと同じ。
実験方法
 試験片をアセトン中に浸漬して超音波洗浄 施した後、30質量%の硝酸、55℃において、1A /dm 2 の電流密度でカソード電解を10秒間、アノー 電解を10秒間施し、さらに連続してカソー 電解を10秒間、アノードを10秒間施した。そ 後、1kmol・m -3 LiOH水溶液中において、1A/dm 2 で1分間のカソード電解処理を施し、さらに2. 5質量%のHF水溶液中(25℃)において10秒間の浸 処理を施した。処理後の試験片の接触電気 抗を測定した。なお、各電解処理、浸漬処 後には蒸留水洗浄と冷風乾燥工程が含まれ 。図32に接触圧力-接触電気抵抗分布曲線を す。

 試験片の接触電気抵抗は、接触荷重が約2 0gf(低下荷重)から低下し始め、接触荷重が100g fにおいては、約30mωまで低下した。このよう に、不働態皮膜中のAl酸化物を硝酸中での交 電解で取り除き、さらに皮膜中に電子のキ リアとなるLi、Fを注入することによって接 電気抵抗は低下することがわかった。

実施例E4
供試材
 実施例E1に使用したものと同じ。
実験方法
 試験片をアセトン中に浸漬して超音波洗浄 施した後、0.1kmol・m -3 濃度のトリポリりん酸ナトリウム水溶液(25℃ )で、1A/dm 2 の電流密度でアノード電解を1分間施した。 の後、大気中において300℃で1分間の大気加 を施した。冷却後、10質量%チオグリコール 水溶液中で2分間の浸漬処理を施した。その 後、30質量%硝酸水溶液、60℃で、60分間の浸 処理(不働態化処理)を行った。つぎに、2.5質 量%のHF水溶液中(25℃)において1分間の浸漬処 を施し、さらに1kmol・m -3 LiOH水溶液中(25℃)において、1A/dm 2 で1分間のカソード電解処理、および30質量% 酸水溶液、60℃で、5分間の浸漬処理を行っ 。なお、各電解処理、浸漬処理後には蒸留 洗浄と冷風乾燥工程が含まれる。図33に接触 圧力-接触電気抵抗分布曲線を示す。

 試験片の接触電気抵抗は、接触荷重が約5gf( 低下荷重)から急激に低下した。この挙動は 図4に示す一般的に電気接点部品として使用 れている半光沢Ni めっき皮膜の接触圧力- 触電気抵抗分布曲線に匹敵する。
 X線光電子分光分析法(XPS)によって試験片の 働態皮膜を解析した結果、トリポリりん酸 トリウム水溶液でのアノード電解で不働態 膜中から電気抵抗が高いAl酸化物を完全に 去できることがわかり、また、大気加熱に って不働態皮膜の最表面層に形成された鉄 縮層をチオグリコール酸水溶液中および硝 溶液中での浸漬処理によって除去できるこ がわかった。この処理で、表面X線光電子分 法(XPS)で分析した不働態皮膜中のAl含有量は 、検出限界(0.1原子%)以下となった。なお、素 材(SUS430)不働態皮膜中のAl濃度は,0.9原子%であ った。また、不働態皮膜内のFe濃度は著しく 下して、Cr濃度が上昇し、素材のCr/Fe比(原 %)は0.50に対して、処理後には4.5に上昇して ることがわかった。このようにCr/Fe比が上昇 して、皮膜の耐食性が向上したため、95%RH、6 0℃の恒温恒湿環境、30日間の試験においても 接触電気抵抗の経時劣化が認められなかった ものと考えられる。
 また、HF浸漬処理、LiOH中でのカソード電解 理で、不働態皮膜内にLi、Fの存在を飛行時 型二次イオン質量分析(ToF-SIMS)で確認でき、 さらにX線光電子分光分析法(XPS)によってF濃 を求めた結果、1.2原子%であった。種々検討 た結果、0.1原子%以上のF濃度で接触電気抵 が低下することがわかった。またLiに関して は、飛行時間型二次イオン質量分析(ToF-SIMS) 処理後の試験片を分析すると、0.5原子%であ た。種々検討した結果、不働態皮膜中に0.01 原子%以上含まれていると、接触電気抵抗が 下する挙動が認められた。

実施例E5
供試材
 供試材には、Alが含有されているSUS430(2B)、S US434(BA)、SUS430J1L(BA)、SUS444(BA)を使用した。こ を15mm×50mmに切断して試験片とした。試験片 をアセトン中に浸漬して超音波洗浄を施した 後、実施例E4に示した方法によって処理した 素材および処理後の試験片の接触圧力-接触 電気抵抗分布曲線から、接触電気抵抗が300mω 以下に低下する接触荷重(低下荷重)を求めた 表E1に素材(処理前)および処理後の接触抵抗 (低下荷重を示す)。

 このように、SUS430鋼の素材の表面状態が なっても、あるいは他鋼種である、SUS434、S US430J1L、SUS444であっても、接触電気抵抗は低 する。

第6の実施態様
実施例F1
供試材
 供試材には板厚が0.2mmのSUS430BA(BA:光輝焼鈍 )を使用した。これを15mm×50mmに切断して試験 片とした。
実験方法
 試験片をアセトン中に浸漬して超音波洗浄 施した後、20g/LのNaOH水溶液(30℃)において1A/ dm 2 で1分間のアノード電解処理を施した後、1kmol ・m -3 LiOH水溶液中(25℃)において、1A/dm 2 で1分間のカソード電解処理を施し、接触電 抵抗を測定した。なお、各電解処理、浸漬 理後には蒸留水洗浄と冷風乾燥工程が含ま る。素材と処理後の試験片の接触圧力-接触 気抵抗分布曲線を図34に示す。

 素材(SUS430BA)では、瞬間的に接触電気抵抗 が低下する挙動は認められるものの、接触荷 重が100gfまで、接触電気抵抗は300mω以上を保 したままである。一方、上記処理を施した 験片の接触電気抵抗は、接触荷重が約45gf( 下荷重)から低下し始め、接触荷重が100gfに いては、約80mωまで低下した。このように、 電子のキャリアとしてLiのみでも接触電気抵 が低下することがわかった。

実施例F2
供試材
 実施例F1に使用したものと同じ。
実験方法
 試験片をアセトン中に浸漬して超音波洗浄 施した後、20g/LのNaOH水溶液(30℃)において1A/ dm 2 で1分間のアノード電解処理を施した後、2.5 量%のHF水溶液中(25℃)において1分間の浸漬処 理を施し、接触電気抵抗を測定した。なお、 各電解処理、浸漬処理後には蒸留水洗浄と冷 風乾燥工程が含まれる。処理後の試験片の接 触圧力-接触電気抵抗分布曲線を図35に示す。

 上記処理を施した試験片の接触電気抵抗 、接触荷重が約20gf(低下荷重)から低下し始 、接触荷重が100gfにおいては、約60mωまで低 下した。

実施例F3
供試材
 実施例F1に使用したものと同じ。
実験方法
 試験片をアセトン中に浸漬して超音波洗浄 施した後、20g/LのNaOH、30g/LのNa 3 PO 4 ・12H 2 Oの混合溶液(30℃)において1A/dm 2 で1分間のアノード電解処理を施した後、300 で1分間の大気加熱を行った。その後2.5質量% のHF水溶液中(25℃)において1分間の浸漬処理 1kmol・m -3 LiOH水溶液中(25℃)において、1A/dm 2 で1分間のカソード電解処理を施し、接触電 抵抗を測定した。なお、各電解処理、浸漬 理後には蒸留水洗浄と冷風乾燥工程が含ま る。処理後の試験片の接触圧力-接触電気抵 分布曲線を図36に示す。

 上記処理を施した試験片の接触電気抵抗 、接触荷重が約5gf(低下荷重)から低下し始 、接触荷重が100gfにおいては、約30mωまで低 した。

実施例F4
供試材
 実施例F1に使用したものと同じ。
実験方法
 試験片をアセトン中に浸漬して超音波洗浄 施した後、20g/LのNaOH、 40g/LのNa 2 CO 3 の混合溶液(25℃)において1A/dm 2 で1分間のアノード電解処理を施した後、300 で5分間の大気加熱を行った。その後、1.5kmol ・m -3 HNO 3 と5×10 -3 kmol・m -3 NaFの混合溶液中(25℃)において、10分間の浸漬 処理を行った。さらに、2.5質量%のHF水溶液中 (25℃)において10秒間の浸漬処理、1kmol・m -3 LiOH水溶液中において、1A/dm 2 で1分間のカソード電解処理、および30質量%HN O 3 、60℃で10分間の浸漬処理を行った。処理後 試験片の接触電気抵抗を測定した。なお、 電解処理、浸漬処理後には蒸留水洗浄と冷 乾燥工程が含まれる。図37に接触圧力-接触 気抵抗分布曲線を示す。

 試験片の接触電気抵抗は、接触荷重(低下 荷重)が約7gfから低下し始め、接触荷重が100gf においては、約20mωまで低下した。このよう 、不働態皮膜中のSi酸化物を取り除き、さ に皮膜中の鉄濃度を低下させ電子のキャリ となるLi、Fを注入することによって接触電 抵抗は非常に低下することがわかった。

実施例F5
供試材
 実施例F1に使用したものと同じ。
実験方法
 試験片をアセトン中に浸漬して超音波洗浄 施した後、20g/LのNaOH、30g/LのNa 3 PO 4 ・12H 2 O、40g/LのNa 2 CO 3 の混合溶液(25℃)において1A/dm 2 で1分間のアノード電解処理を施した後、300 で5分間の大気加熱を行った。その後、10質 %チオグリコール酸水溶液中、25℃で5分間の 漬処理、30質量%HNO 3 水溶液、60℃で、10分間の浸漬処理を行った つぎに、2.5質量%のHF水溶液中(25℃)において1 分間の浸漬処理と1kmol・m -3 LiOH水溶液中において、1A/dm 2 で1分間のカソード電解処理、さらに30質量%HN O 3 水溶液、60℃で5分間の浸漬処理を行った。な お、各電解処理、浸漬処理後には蒸留水洗浄 と冷風乾燥工程が含まれる。図38に接触圧力- 接触電気抵抗分布曲線を示す。

 試験片の接触電気抵抗は、接触荷重が約5gf( 低下荷重)から急激に低下した。この挙動は 図4に示す一般的に電気接点部品として使用 れている半光沢Ni めっき皮膜の接触圧力- 触電気抵抗分布曲線に匹敵する。
 X線光電子分光分析法(XPS)によって試験片の 働態皮膜を解析した結果、NaOH、Na 3 PO 4 、Na 2 CO 3 の混合水溶液でのアノード電解で不働態皮膜 中から電気抵抗が高いSi酸化物を完全に除去 きることがわかり、また、大気加熱によっ 不働態皮膜の最表面層に形成された鉄濃縮 をチオグリコール酸水溶液中および硝酸溶 中での浸漬処理によって除去できることが かった。この処理で、表面X線光電子分光法 (XPS)で分析した不働態皮膜中のSi含有量は、 出限界(0.1原子%)以下となった。なお、素材(S US430)不働態皮膜中のSi濃度は,2.5原子%であっ 。また、不働態皮膜内のFe濃度は著しく低下 して、Cr濃度が上昇し、素材のCr/Fe比(原子%) 0.5に対して、処理後には5.5に上昇している とがわかった。このようにCr/Fe比が上昇して 、皮膜の耐食性が向上したため、95%RH、60℃ 恒温恒湿環境、50日間の試験においても接触 電気抵抗の経時劣化が認められなかったもの と考えられる。
 また、HF浸漬処理、LiOH中でのカソード電解 理で、不働態皮膜内にLi、Fの存在を飛行時 型二次イオン質量分析(ToF-SIMS)で確認でき、 さらにX線光電子分光分析法(XPS)によってF濃 を求めた結果、1.2原子%であった。種々検討 た結果、0.1原子%以上のF濃度で接触電気抵 が低下することがわかった。またLiに関して は、飛行時間型二次イオン質量分析(ToF-SIMS) 処理後の試験片を分析すると、0.5原子%であ た。種々検討した結果、不働態皮膜中に0.01 原子%以上含まれていると、接触電気抵抗が 下する挙動が認められた。

実施例F6
供試材
 供試材には、SUS430(2B)、SUS434(BA)、SUS430J1L(BA) SUS444(BA)を使用した。これを15mm×50mmに切断 て試験片とした。試験片をアセトン中に浸 して超音波洗浄を施した後、実施例F5に示し た方法によって処理した。素材および処理後 の試験片の接触圧力-接触電気抵抗分布曲線 ら、接触電気抵抗が300mω以下に低下する接 荷重(低下荷重)を求めた。表F1に素材(処理前 )および処理後の接触抵抗(低下荷重を示す)。

 このように、SUS430鋼の素材の表面状態が なっても、あるいは他鋼種である、SUS434、S US430J1L、SUS444であっても、接触電気抵抗は低 する。

素材SUS304BA材の接触電気抵抗測定結果( 触圧力-接触電気抵抗分布曲線)である。 10%リン酸、10%硝酸水溶液中、25℃でカ ード電解処理した試験片(SUS304BA)の接触電気 抗測定結果である。 10%硫酸および10%硫酸+5mg/L三酸化二砒素 溶液中でカソード電解処理した試験片(SUS304 BA)の接触電気抵抗測定結果である(三酸化二 素添加によるプロトン進入の促進効果)。 一般的に電気接点部品として使用され いる半光沢Ni めっき皮膜の接触電気抵抗測 定結果である。 10%硫酸+5mg/L三酸化二砒素水溶液中でカ ード電解処理したSUS304 2D材の接触電気抵抗 測定結果である。 10%硫酸+5mg/L三酸化二砒素水溶液中でカ ード電解処理したSUS304 2B材の接触電気抵抗 測定結果である。 10%硫酸+5mg/L三酸化二砒素水溶液中でカ ード電解処理したSUS304 3/4H材の接触電気抵 測定結果である。 10%硫酸+5mg/L三酸化二砒素水溶液中でカ ード電解処理したSUS430BA材の接触電気抵抗 定結果である。 10%硝酸溶液中でのカソード電解処理前 におけるSUS304BA表面のXPS分析結果である。 5質量%HF、30℃溶液において、電気化学 的(アノード電解)処理と化学的(浸漬)処理を した試験片の接触電気抵抗測定結果の比較 表わしたものである。 0.05kmol・m -3 NaF+1.5kmol・m -3 HNO 3 中へ5分間浸漬処理した試験片の接触電気抵 測定結果を表わしたものである。 0.05kmol・m -3 NaF+1.5kmol・m -3 HNO 3 中へ5分間浸漬処理したSUS304 2B材の接触電気 抗測定結果を表わしたものである。 0.05kmol・m -3 NaF+1.5kmol・m -3 HNO 3 中へ5分間浸漬処理したSUS304 3/4H材の接触電 抵抗測定結果を表わしたものである。 0.05kmol・m -3 NaF+1.5kmol・m -3 HNO 3 中へ5分間浸漬処理したSUS430BA材の接触電気抵 抗測定結果を表わしたものである。 5質量%HF、30℃溶液中において、1分間 化学的(浸漬)処理を施した試験片の不働態皮 膜中のFを、飛行時間型二次イオン質量分析(T oF-SIMS)で解析した結果である。 1kmol・m -3 LiOH水溶液中で1A/dm 2 で1分間のカソード電解を行い、蒸留水洗浄~ 風乾燥を行なった後、100℃および200℃で10 間の大気加熱した試験片(SUS304BA)の接触電気 抗測定結果を表わしたものである。 (a)素材SUS304BA、(b)リチウム電解注入後 よび(c)200℃大気加熱処理後の皮膜の飛行時 型二次イオン質量分析(ToF-SIMS)結果である。 エタノールにLiNO 3 を溶解して、濃度を1kmol・m -3 とした非水溶液中において、30℃、10Vで1分間 のカソード電解後、大気中で200℃×10分間の 処理を行なった試験片(SUS304BA)の接触電気抵 測定結果である。 SUS304 3/4H材を用いて、1kmol・m -3 LiOH水溶液中で1A/dm 2 で1分間のカソード電解を行い、蒸留水洗浄~ 風乾燥を行なった後、 200℃で10分間の大気 加熱した試験片の接触電気抵抗測定結果を表 わしたものである。 素材(SUS304BA)と素材を200℃で10分間の大 気加熱を施した後、5質量%HF水溶液、30℃にお いて、10秒間の浸漬処理を施した試験片の接 荷重-接触電気抵抗分布曲線である。 SUS304BA材を大気加熱処理後に5質量%HF水溶液中 において、10秒間の浸漬処理を施した後、1kmo l・m -3 LiOH水溶液中で、1A/dm 2 ×1分間のカソード電解処理した試験片と、カ ソード電解後に、再度5質量%HF水溶液中にお て10秒間の浸漬処理を施した試験片の接触電 気抵抗測定結果である。 実施例D3における各処理工程の明細で る。 実施例D3、工程5まで処理した試験片の 低下荷重の時系列変化を表わしたものである 。 実施例D3に示した各工程における不働 皮膜の飛行時間型二次イオン質量分析(ToF-SI MS)によって解析した組成変化を表わしたもの である。 窒素脱気した30℃の1kmol・m -3 NaCl水溶液中において、素材(SUS304BA)と実施例D 3の工程5まで処理した試験片のアノード分極 線を表わしたものである。 SUS304 2D材を実施例D3に示す工程5まで 理した後の接触電気抵抗測定結果を表わし ものである。 SUS304 2B材を実施例D3に示す工程5まで 理した後の接触電気抵抗測定結果を表わし ものである。 SUS304 3/4H材を実施例D3に示す工程5まで 処理した後の接触電気抵抗測定結果を表わし たものである。 SUS430BA材を実施例D3に示す工程5まで処 した後の接触電気抵抗測定結果を表わした のである。 SUS430BA材を実施例E1に示した工程で処 した試験片の接触圧力-接触電気抵抗分布曲 である。 SUS430BA材を実施例E2に示した工程で処 した試験片の接触圧力-接触電気抵抗分布曲 である。 SUS430BA材を実施例E3に示した工程で処 した試験片の接触圧力-接触電気抵抗分布曲 である。 SUS430BA材を実施例E4に示した工程で処 した試験片の接触圧力-接触電気抵抗分布曲 である。 SUS430BA材を実施例F1に示した工程で処 した試験片の接触圧力-接触電気抵抗分布曲 である。 SUS430BA材を実施例F2に示した工程で処 した試験片の接触圧力-接触電気抵抗分布曲 である。 SUS430BA材を実施例F3に示した工程で処 した試験片の接触圧力-接触電気抵抗分布曲 である。 SUS430BA材を実施例F4に示した工程で処 した試験片の接触圧力-接触電気抵抗分布曲 である。 SUS430BA材を実施例F5に示した工程で処 した試験片の接触圧力-接触電気抵抗分布曲 である。




 
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