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Patent Searching and Data


Title:
ELECTRODE ACTIVE MATERIAL AND LITHIUM BATTERY USING THE SAME
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2008/114667
Kind Code:
A1
Abstract:
Disclosed is an electrode active material containing secondary particles each of which is composed of aggregated titanium oxide primary particles and has a void volume within the range of 0.005-1.0 cm3/g. Also disclosed is a lithium battery using such an electrode active material. The secondary particles are preferably obtained by spraying and drying a slurry containing primary particles of a specific titanium oxide. More preferably, the secondary particles are prepared by using a titanium oxide, which is obtained by neutralizing and hydrolyzing a hydrolyzable titanium compound in a medium liquid and then heating the resulting in the medium liquid for grain growth, as primary particles. The battery is excellent in battery characteristics, particularly in cycle characteristics.

Inventors:
SUITA TOKUO (JP)
HONMA MASATOSHI (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/054533
Publication Date:
September 25, 2008
Filing Date:
March 12, 2008
Export Citation:
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Assignee:
ISHIHARA SANGYO KAISHA (JP)
SUITA TOKUO (JP)
HONMA MASATOSHI (JP)
International Classes:
H01M4/48; H01M4/485; H01M10/052; H01M10/36; H01M4/02
Foreign References:
JP2002211925A2002-07-31
JP2001192208A2001-07-17
JP2005239461A2005-09-08
JPH09309727A1997-12-02
JPH10312826A1998-11-24
JP2004265806A2004-09-24
Attorney, Agent or Firm:
ASAMURA, Kiyoshi et al. (New Ohtemachi Bldg.2-1, Ohtemachi 2-chom, Chiyoda-ku Tokyo 04, JP)
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Claims:
 チタン酸化物一次粒子が集合した二次粒子を含み、前記二次粒子が0.005~1.0cm 3 /gの範囲の空隙量を有する電極活物質。
 二次粒子の比表面積が少なくとも5m 2 /gである請求項1記載の電極活物質。
 二次粒子の比表面積が少なくとも20m 2 /gである請求項1記載の電極活物質。
 二次粒子の平均粒子径が1~50μmの範囲にある請求項1記載の電極活物質。
 チタン酸化物の一次粒子を用いて0.005~1.0cm 3 /gの範囲の空隙量を有する二次粒子を得る電極活物質の製造方法。
 一次粒子の平均粒子径が1~500nmの範囲にある請求項5記載の電極活物質の製造方法。
 チタン酸化物の一次粒子を含むスラリーを噴霧乾燥して二次粒子を得る請求項5記載の電極活物質の製造方法。
 含水酸化チタンを一次粒子として用いて噴霧乾燥した後、加熱脱水する請求項7記載の電極活物質の製造方法。
 媒液中で加水分解性チタン化合物を中和し加水分解した後、媒液中で加熱処理し粒子成長させたチタン酸化物を一次粒子として用いる請求項7記載の電極活物質の製造方法。
 有機系バインダーの存在下で一次粒子を用いて得られた二次粒子から有機系バインダーを除去する請求項5記載の電極活物質の製造方法。
 二次粒子を加熱焼成することにより有機系バインダーを除去する請求項10記載の電極活物質の製造方法。
 有機系バインダーがビニル系化合物、セルロース系化合物、タンパク質系化合物、アクリル酸系化合物、天然高分子化合物、合成高分子化合物から選ばれる少なくとも1種である請求項10記載の電極活物質の製造方法。
 加熱焼成温度を250~800℃の範囲とする請求項11記載の電極活物質の製造方法。
 請求項1記載の電極活物質を用いるリチウム電池。
Description:
電極活物質及びそれを用いてな リチウム電池

 本発明は、一次粒子が集合した二次粒子 含み、前記二次粒子が特定の空隙量を有す 多孔性のチタン酸化物を用いた電極活物質 及び、それを用いたリチウム電池に関する

 リチウム二次電池は、エネルギー密度が く、サイクル特性に優れていることから、 年急速に普及している。リチウム二次電池 用いる電極活物質としては、コバルト酸リ ウム、マンガン酸リチウム、チタン酸リチ ム等のリチウム・遷移金属複合酸化物が一 的であるが、更に安価で入手し易い電極活 質が求められており、例えば、酸化チタン 用いる技術(特許文献1)等が知られている。 た、チタン等の酸化物の一次粒子を二次粒 に造粒した後、その表面に炭素材料を被覆 て電極活物質に用いる技術も知られている( 特許文献2)。

特開平10-312826号公報

特開2005-135872号公報

 しかし、特許文献1に記載の電極活物質を 用いた電池はサイクル特性が悪く、充放電を 繰り返すと、電池容量が大きく低下してしま うという問題があった。特許文献2に記載の 極活物質は、炭素材料を被覆するために、 相中で二次粒子と炭化水素ガスとを高温度 接触させる必要があり、大掛かりな装置を するので、工業的に有利でない。

 本発明者らは、これらの問題点を解決す く、鋭意研究を重ねた結果、一次粒子が集 して、特定の空隙量を有する多孔性の二次 子を形成したチタン酸化物を、リチウム電 の電極活物質として用いると、この電池は れたサイクル特性が得られることを見出し 本発明を完成させた。

 即ち、本発明は、チタン酸化物一次粒子が 合した二次粒子を含み、前記二次粒子が0.00 5~1.0cm 3 /gの範囲の空隙量を有することを特徴とする 極活物質である。

 本発明の電極活物質は電池特性、特にサ クル特性に優れた電池を提供するものであ 。また、本発明の製造方法は上記の特徴を する電極活物質を、安価に有利に提供する とができる製造方法である。

 本発明は、電極活物質であって、チタン酸 物一次粒子が集合した二次粒子を含み、前 二次粒子が0.005~1.0cm 3 /gの範囲の空隙量を有することを特徴とする 本発明の電極活物質を用いると、サイクル 性が優れたリチウム電池が得られ、また、 の電池は電池容量も大きいものともなる。 発明のリチウム電池のサイクル特性が良好 要因は、未だ明確ではない。一般的に、リ ウム電池の充放電による電池容量の低下は リチウムイオンの挿入脱離による膨張、収 の繰り返しが、電極活物質の構造に負荷を けるためであると言われている。特に、チ ン酸化物は、リチウム・遷移金属複合酸化 と比べてリチウムイオンの挿入脱離が容易 ないので、負荷が掛かり易く、電池容量の 下が生じ易いと考えられる。本発明の電極 物質は二次粒子内に特定量の空隙を有して るため、(1)空隙に電解液が侵入することで リチウムイオンの挿入脱離が容易になる、( 2)空隙が膨張と収縮による負荷を緩衝する、 の理由によりサイクル特性に優れると推測 れる。空隙量が前記範囲より大きくても小 ても、所望の効果が得られ難く、特に、大 い場合には粒子の強度が低下し、二次粒子 維持が困難となる。より好ましい空隙量の 囲は、0.01~0.8cm 3 /gであり、更に好ましくは0.01~0.6cm 3 /gの範囲である。

 本発明における二次粒子とは、一次粒子同 が強固に結合した状態にあり、ファンデル ース力等の粒子間の相互作用で凝集したり 機械的に圧密化されたものではなく、通常 混合、解砕、濾過、水洗、搬送、秤量、袋 め、堆積等の工業的操作では容易に崩壊せ 、ほとんどが二次粒子として残るものであ 。二次粒子の平均粒子径(レーザー散乱法に よる50%メジアン径)は、1~50μmの範囲にあるの 好ましく、この範囲より小さいと充填性が 下して電池容量が低下し、この範囲より大 いと電極の作製が困難になる。二次粒子の 状は球状、多面体状、不定形等特に制限は いが、電池特性上できるだけ異方性の小さ 形状が有利であり、球状がより好ましい。 発明では、二次粒子の比表面積を少なくと 5m 2 /gとすると、電極中に多量に充填し易く、エ ルギー密度の高いリチウム電池が得られる で好ましい。特に、比表面積が少なくとも2 0m 2 /gであれば、サイクル特性ばかりでなく、電 容量も大きくなるので更に好ましい。比表 積の上限は、二次粒子が維持できる範囲で れば特に上限はないが、100m 2 /gとするのが好ましい。例えば、充填性を表 指標としてタッピングによる嵩密度、所謂 ップ密度を用いると、0.5~2g/cm 3 の範囲となる。二次粒子の表面には分散性を 向上させる目的で、本発明の効果を阻害しな い範囲で、公知の化合物、例えば、シリカ、 アルミナ等の無機化合物、カップリング剤、 界面活性剤等の有機化合物が被覆されていて もよい。

 一次粒子の平均粒子径(電子顕微鏡法による 50%メジアン径)は、所望の空隙量を有する二 粒子を形成できるのであれば特に制限を受 ないが、通常は、1~500nmの範囲が好ましく、1 ~100nmの範囲であれば更に好ましい。二次粒子 を構成する個々の一次粒子の形状も、二次粒 子と同様に、球状、多面体状、不定形状等特 に制限は無い。一次粒子を構成するチタン酸 化物は、本発明では、チタンと酸素の化合物 及びその含水物または水和物を包含する化合 物であり、例えば、酸化チタン(TiO 2 )のほか、メタチタン酸(TiO(OH) 2 またはTiO 2 ・H 2 O)、オルトチタン酸(Ti(OH) 4 またはTiO 2 ・2H 2 O)等の含水酸化チタンが挙げられ、これらか 選ばれる1種あるいは2種以上を用いること できる。好ましくはその他の元素を含まな 。また、結晶性の化合物であっても、非晶 であってもよく、結晶性の場合は、ルチル 、アナターゼ型、ブルッカイト型、ブロン 型、ホランダイト型、ラムズデライト型等 結晶形にも特に制限を受けない。これらの タン酸化物は、公知の方法、例えば、塩化 タン(TiCl 4 )、硫酸チタニル(TiOSO 4 )、チタンアルコキシド(Ti(OR) n :Rはアルキル基)等の加水分解性チタン化合物 の加熱加水分解や中和加水分解によって得ら れ、出発物質や加水分解条件を調整すること で所望のチタン酸化物が得られる。また、酸 化チタンは、含水酸化チタンの加熱焼成や、 塩化チタンの気相酸化によって得ることもで きる。

 次の本発明は、電極活物質の製造方法であ て、チタン酸化物の一次粒子を用いて0.005~1 .0cm 3 /gの範囲の空隙量を有する二次粒子を得るこ を特徴とする。二次粒子を得る手段として 、(A)チタン酸化物の一次粒子を含むスラリ を、噴霧乾燥する方法、(B)チタン酸化物の 次粒子を含むスラリー中で、加水分解性チ ン化合物を加水分解し、一次粒子を生成さ ながら二次粒子を得る方法等が挙げられる 中でも、(A)の方法は、二次粒子径の制御が 易で好ましい。スラリー中のチタン酸化物 次粒子の濃度は、特に制限は無く、TiO 2 換算で1~30重量%の範囲であれば、工業的にも 利である。用いる媒液には水またはアルコ ル等の有機溶媒、あるいはそれらの混合物 用いることができ、工業的には水を用いる が好ましい。スラリーには、分散剤等の種 の添加剤を加えてもよい。空隙量の制御は いる一次粒子の種類と粒子径、スラリーの 度、スラリー中のチタン酸化物の分散状態 を調整することで行る。チタン酸化物の一 粒子径を選択して前記範囲の空隙量に制御 るのであれば、一次粒子径が1~500nmの範囲の チタン酸化物を用いるのが好ましく、1~100nm 範囲のものであれば更に好ましい。スラリ の粘度を調整するのであれば、後述する有 バインダー等を増粘剤としてスラリーに添 してもよく、有機バインダー種や添加量を 択して所望の粘度にすることができる。二 粒子は、電池特性上、球状に造粒するのが ましい。

 造粒に(A)の方法を適用する場合、用いる 霧乾燥機は、ディスク式、圧力ノズル式、 流体ノズル式、四流体ノズル式など、スラ ーの性状や処理能力に応じて適宜選択する とができる。二次粒子径の制御は、例えば 記のディスク式ならディスクの回転数を、 力ノズル式、二流体ノズル式、四流体ノズ 式等ならば、噴霧圧やノズル径を調整して 噴霧される液滴の大きさを制御することに り行える。乾燥温度としては入り口温度を1 50~250℃の範囲、出口温度を70~120℃の範囲とす るのが好ましい。また、噴霧乾燥後、得られ た二次粒子を噴霧乾燥温度よりも高い温度で 更に加熱焼成処理して空隙量を調整してもよ い。加熱焼成温度は、二次粒子が焼結し難い ように800℃以下とするのが好ましく、700℃以 下とするのが更に好ましい。更に、含水酸化 チタンを一次粒子として用い、噴霧乾燥した 後、加熱脱水すると、脱離する結晶水によっ て空隙を確保し易く、空隙量が特定範囲にあ り、比表面積が大きい二次粒子が得られ易い のでいっそう好ましい。加熱脱水温度は、加 熱焼成温度と同じであり、好ましくは得られ る二次粒子に所望される結晶性、結晶形に応 じて適宜選択する。あるいは、媒液中で加水 分解性チタン化合物を中和し加水分解した後 、更に媒液中で加熱処理して粒子成長させた チタン酸化物を、一次粒子として用いて噴霧 乾燥しても、同様に空隙量や比表面積の制御 がし易く、いっそう好ましい方法の一つであ る。粒子成長後のチタン酸化物の粒子径は、 所望の空隙量に応じて適宜制御するが、10~30n mの範囲とするのが好ましい。加水分解性チ ン化合物としては、前記の塩化チタン、硫 チタニル、チタンアルコキシド等を用いる とができる。媒液中での加熱処理温度は100 以上とするのが好ましく、200℃を超えても なる効果が得られ難いので、工業的に200℃ 下とするのが好ましい。100℃以上の加熱処 には、オートクレーブなどの公知の耐圧容 を用いることができる。加水分解性チタン 合物の中和・加水分解や加熱処理に用いる 液には、水系媒液を用いるのが工業的に好 しい。尚、この方法では、ルチル型結晶を する二酸化チタンが得られ易い。

 本発明においては、有機系バインダーの存 下、一次粒子を用いて二次粒子を調製し、 られた二次粒子から有機系バインダーを除 すると、空隙量をより制御し易いので一層 ましい。具体的な二次粒子の調製手段とし は、例えば、一次粒子を含むスラリー中に 機系バインダーを添加し、このスラリーを いて前記(A)や(B)の方法を適用すればよく、 に、(A)の方法を用いるのが好ましい。有機 バインダーを除去するには、得られた二次 子を、(a)加熱焼成する方法、(b)酸リーチン する方法等が挙げられ、廃酸が生じない(a) 方法が工業的に好ましい。有機系バインダ には、除去手段に応じて除去可能なものを 公知の化合物から適宜選択できる。有機系 インダーの添加量はTiO 2 換算のチタン酸化物に対し、0.1~20重量%の範 であれば好ましく、0.5~10重量%の範囲であれ 更に好ましい。

 有機系バインダーの除去に前記(a)の方法 適用する場合、加熱焼成温度としては、250~ 800℃の範囲が好ましい。加熱焼成温度がこの 範囲より低いと、有機系バインダーが十分に 揮散せず残留し、高ければ、一次粒子の焼結 が促進され過ぎて、所望の空隙量が得られ難 い。より好ましい温度範囲は、400~700℃であ 。用いる有機系バインダーとしては、例え 、(1)ビニル系化合物(ポリビニルアルコール ポリビニルピロリドン等)、(2)セルロース系 化合物(ヒドロキシエチルセルロース、カル キシメチルセルロース、メチルセルロース エチルセルロース等)、(3)タンパク質系化合 (ゼラチン、アラビアゴム、カゼイン、カゼ イン酸ソーダ、カゼイン酸アンモニウム等) (4)アクリル酸系化合物(ポリアクリル酸ソー 、ポリアクリル酸アンモニウム等)、(5)天然 高分子化合物(デンプン、デキストリン、寒 、アルギン酸ソーダ等)、(6)合成高分子化合 (ポリエチレングリコール等)等が挙げられ これらから選ばれる少なくとも1種を用いる とができる。中でも、ソーダ等の無機成分 含まないものは、加熱焼成により分解、揮 し易いので更に好ましい。

 チタン酸化物二次粒子が得られた後、再 ラリー化し、二次粒子に含まれる不純物を 浄し、分級、固液分離、乾燥してもよい。 るいは、二次粒子同士の凝集の程度に応じ 、公知の機器を用いて本発明の効果を損ね い範囲で解砕してもよい。

 更に、本発明は、リチウム電池であって、 記電極活物質を用いることを特徴とする。 チウム電池用電極は、電極活物質にカーボ ブラックなどの導電材とフッ素樹脂などの インダを加え、適宜成形または塗布して得 れる。リチウム電池は前記の電極、対極及 セパレーターと電解液とを含み、本発明の タン酸化物を正極に用いる場合は、対極と て金属リチウム、リチウム合金など、ある はグラファイト、コークスなどの炭素系材 などが用いられる。また、チタン酸化物を 極として用いる場合の対極には、リチウム 有酸化マンガン、マンガン酸リチウム、コ ルト酸リチウム、ニッケル酸リチウム、五 化バナジウムなどが用いられる。セパレー ーには、多孔性ポリエチレンフィルムなど 用いられる。電解液には、プロピレンカー ネート、エチレンカーボネート、1,2-ジメト キシエタンなどの溶媒にLiPF 6 、LiClO 4 、LiCF 3 SO 3 、LiN(CF 3 SO 2 ) 2 、LiBF 4 などのリチウム塩を溶解させたものなど常用 の材料を用いることができる。

 以下に本発明の実施例を示すが、これら 本発明を限定するものではない。

実施例1
(一次粒子及び二次粒子の調製)
 市販の酸性酸化チタンゾル(STS-01:石原産業 )2リットルを純水5リットルで希釈し、アン ニア水でpHを7に中和し、1時間熟成した後、 過、洗浄し、得られた含水酸化チタン(試料 a)を一次粒子として用いた。このものをX線回 折で結晶解析したところ、非晶質であった。 前記含水酸化チタンを、ジュースミキサーを 用いて純水中に分散させてスラリー化し、TiO 2 換算の前記含水酸化チタンに対し、5重量%に 当するポリビニルアルコール(ホバールPVA-20 4C:クラレ製)の水溶液を添加した後、更に純 を添加して、TiO 2 に換算して10重量%の濃度に調整した。この前 記スラリーを四流体ノズル式噴霧乾燥機(MDL-0 50B型:藤崎電機製)を用いて、入口温度200℃、 口温度80℃、空気吐出量80リットル/分の条 で噴霧乾燥を行い、二次粒子を得た。

(有機系バインダーの除去)
 得られた二次粒子を大気中500℃の温度で3時 間加熱焼成を行い、その後、加熱焼成物を、 純水で再スラリー化し、濾過、洗浄、固液分 離、分級、乾燥を行って、本発明の電極活物 質(試料A)を得た。試料Aを、走査型電子顕微 を用いて3万倍及び10万倍の倍率で写真撮影 た。これを図1及び2とする。図1、2より、試 Aが一次粒子が集合してなる二次粒子であり 、多数の空隙を有する多孔性の粒子であるこ とが判る。また、このものの結晶形はアナタ ーゼ型であった。

実施例2
 5リットル4つ口フラスコに、28重量%のアン ニア水911ミリリットルと純水1339ミリリット とを入れ、撹拌下、液温を10~15℃に維持し がら、1.25モル/リットルの四塩化チタン水溶 液2250ミリリットルを2時間かけて添加した後 1時間熟成し、その後、濾過、洗浄して含水 酸化チタン(オルトチタン酸:試料b)を得た。 のものをX線回折で結晶解析したところ、非 質であった。実施例1において試料aに代え 試料bを用い、スラリー濃度を8重量%とした 外は実施例1と同様にして本発明の電極活物 (試料B)を得た。試料Bの走査型電子顕微鏡写 真(倍率3万倍)を図3に示す。尚、このものの 晶形はアナターゼ型であった。

実施例3
 四塩化チタンを中和加水分解して得られた チル型二酸化チタン(試料c)を一次粒子とし 用いた。試料cを、ジュースミキサーを用い て純水中に分散させて、TiO 2 に換算して3重量%の濃度のスラリーにした。 のスラリーを四流体ノズル式噴霧乾燥機(MDL -050B型:藤崎電機製)を用いて、入口温度200℃ 出口温度75℃、空気吐出量80リットル/分の条 件で噴霧乾燥を行い、二次粒子を得た。得ら れた二次粒子を大気中650℃の温度で3時間加 焼成を行い、その後、加熱焼成物を、実施 1と同様に再スラリー化、濾過、洗浄、固液 離、分級、乾燥を行って、本発明の電極活 質(試料C)を得た。

実施例4
 実施例3で得られた試料cを、スラリー中で13 0℃の温度で5時間加熱処理し、粒子を成長さ てルチル型二酸化チタン(試料d)を得た。実 例3において試料cに代えて試料dを用い、ス リー濃度を6重量%、二次粒子の加熱焼成温 を450℃とした以外は実施例3と同様にして、 発明の電極活物質(試料D)を得た。
一次粒子とした。

 実施例5
 実施例4において二次粒子の加熱焼成温度を 400℃とした以外は実施例4と同様にして、本 明の電極活物質(試料E)を得た。

実施例6
 実施例4において二次粒子の加熱焼成温度を 250℃とした以外は実施例4と同様にして、本 明の電極活物質(試料F)を得た。

実施例7
 実施例4においてスラリー濃度を23.9重量%、 霧乾燥機の空気吐出量60リットル/分、二次 子の加熱焼成温度を400℃とした以外は実施 4と同様にして、本発明の電極活物質(試料G) を得た。

実施例8
 実施例4においてスラリー濃度を15重量%、二 次粒子の加熱焼成温度を400℃とした以外は実 施例4と同様にして、本発明の電極活物質(試 H)を得た。

実施例9
 実施例4においてスラリー濃度を3重量%、噴 乾燥機の空気吐出量100リットル/分、二次粒 子の加熱焼成温度を400℃とした以外は実施例 4と同様にして、本発明の電極活物質(試料I) 得た。

比較例1~3
 市販のアナターゼ型酸化チタンA-100、ST-41及 びルチル型酸化チタンCR-EL(いずれも石原産業 製)を、比較対象の電極活物質とした。これ を、それぞれ試料J~Lとする。試料Jの走査型 子顕微鏡写真(倍率3万倍)を図4に示す。

評価1:空隙量の測定
 実施例1~9及び比較例1~3で得られた電極活物 (試料A~L)の空隙量を、高精度全自動ガス吸 装置(BELSORP ミニII型:日本ベル製)を用いて測 定した。試料を150℃で真空脱気した後、液体 窒素温度下(77K)での窒素の吸着・脱着等温線 測定し、等温線をHD法で解析して細孔容積 細孔分布を得、細孔容積の累積値を空隙量 した。結果を表1に示す。また、試料A、B、J 細孔分布を図5に示す。本発明の電極活物質 は、所望の空隙量を有する多孔性のものであ ることが判る。

評価2:二次粒子径の測定
 実施例1~9及び比較例1~3で得られた電極活物 (試料A~L)の水性スラリーを十分に超音波分 し、レーザー光による透過率が85±1%になる うに調製した後、レーザー回折/散乱式粒度 布測定装置(LA-950:堀場製作所製)を用い体積 準で50%メジアン径として平均二次粒子径を 定した。結果を表1に示す。

評価3:一次粒子径の測定
 実施例1~9及び比較例1~3で得られた電極活物 (試料A~L)の一次粒子径を、パーティクル・ ナライザー(カール・ツァイス社製)を用い、 電子顕微鏡法により測定し、体積基準で50%メ ジアン径として平均一次粒子径を算出した。 結果を表1に示す。

評価4:比表面積の測定
 実施例1~9及び比較例1~3で得られた電極活物 (試料A~L)の比表面積を、高精度全自動ガス 着装置(BELSORP ミニII型:日本ベル製)を用いて 、BET法により測定した。結果を表1に示す。

評価5:タップ密度の測定
 実施例1~9及び比較例1~3で得られた電極活物 (試料A~L)をそれぞれ30gを100ミリリットルの スシリンダーに入れ、体積の変化がほとん 無くなるまでタッピングしてタップ密度を 定した。結果を表1に示す。

評価6:サイクル特性の測定
 実施例1~9及び比較例1~3で得られた電極活物 (試料A~L)を用いてリチウム二次電池を調製 、その充放電特性を評価した。電池の形態 測定条件について説明する。

 上記各試料と、導電剤としてのアセチレ ブラック粉末、及び結着剤としてのポリ四 ッ化エチレン樹脂を重量比で5:4:1で混合し 乳鉢で練り合わせ、直径10mmの円形に成型し ペレット状とした。ペレットの重量は10mgで あった。このペレットに直径10mmに切り出し アルミニウム製のメッシュを重ね合わせ、9M Paでプレスして作用極とした。

 この作用極を200℃の温度で4時間真空乾燥し た後、露点-70℃以下のグローブボックス中で 、密閉可能なコイン型評価用セルに正極とし て組み込んだ。評価用セルには材質がステン レス製(SUS316)で外径20mm、高さ3.2mmのものを用 た。負極には厚み0.5mmの金属リチウムを直 12mmの円形に成形したものを用いた。非水電 液として1モル/リットルとなる濃度でLiPF 6 を溶解したエチレンカーボネートとジメチル カーボネートの混合溶液(体積比で1:2に混合) 用いた。

 作用極は評価用セルの下部缶に置き、そ 上にセパレーターとして多孔性ポリプロピ ンフィルムを置き、その上から非水電解液 スポイドで7滴滴下した。さらにその上に負 極と、厚み調整用の0.5mm厚スペーサー及びス リング(いずれもSUS316製)をのせ、プロピレ 製ガスケットのついた上部缶を被せて外周 部をかしめて密封した。

 充放電容量の測定は、電圧範囲を1.5~2.5V 、充放電電流を0.2mA(約3サイクル/日)に設定 て、定電流で行った。2サイクル目、10サイ ル目と30サイクル目の充放容量を測定し、(30 サイクル目の放電容量/2または10サイクル目 放電容量)×100をサイクル特性とした。この が大きい程、サイクル特性が優れている。 果を表2に示す。また、試料B、Cのサイクル 性を示すグラフを図6、7に示す。本発明の電 極活物質は、サイクル特性に優れ、充放電容 量が大きいことが判る。

 本発明の電極活物質は、サイクル特性が れたリチウム電池に有用である。

試料A(実施例1)の走査型電子顕微鏡写真 である。(倍率3万倍) 試料A(実施例1)の走査型電子顕微鏡写真 である。(倍率10万倍) 試料B(実施例2)の走査型電子顕微鏡写真 である。(倍率3万倍) 試料J(比較例1)の走査型電子顕微鏡写真 である。(倍率3万倍) 試料A、B、J(実施例1、2、比較例1)の細 分布である。 試料B(実施例2)のサイクル特性の測定結 果である。 試料J(比較例1)のサイクル特性の測定結 果である。