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Patent Searching and Data


Title:
ELECTRODE SUBSTRATE FOR PHOTOELECTRIC CONVERSION DEVICE, METHOD FOR MANUFACTURING ELECTRODE SUBSTRATE FOR PHOTOELECTRIC CONVERSION DEVICE, AND PHOTOELECTRIC CONVERSION DEVICE
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/063973
Kind Code:
A1
Abstract:
A method for manufacturing an electrode substrate for photoelectric conversion devices comprises a step for forming a transparent conductive film and a current collection wiring, a step for forming a porous oxide semiconductor layer in a position where the current collection wiring is not formed, a step for burning the porous oxide semiconductor layer, a step for forming a protective layer composed of an insulating resin and having a heat resistance of 250°C or above so as to cover the current collection wiring, which step follows the burning step, and a step for making the porous oxide semiconductor layer adsorb a pigment, which follows the formation of the protective layer. The manufacturing method is further provided with a step for heating the substrate at 250°C or above during or after the formation of the protective layer and before the step for making the porous oxide semiconductor layer adsorb a pigment.

Inventors:
MATSUI HIROSHI (JP)
OKADA KENICHI (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/070757
Publication Date:
May 22, 2009
Filing Date:
November 14, 2008
Export Citation:
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Assignee:
FUJIKURA LTD (JP)
MATSUI HIROSHI (JP)
OKADA KENICHI (JP)
International Classes:
H01M14/00; H01L31/04; H01M50/528
Foreign References:
JP2006107892A2006-04-20
JP2008177021A2008-07-31
JP2008147037A2008-06-26
JP2007280906A2007-10-25
Other References:
See also references of EP 2214250A4
Attorney, Agent or Firm:
SHIGA, Masatake et al. (Marunouchi Chiyoda-k, Tokyo 20, JP)
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Claims:
 基板上に、透明導電膜および集電配線を形成する工程と、
 前記透明導電膜上において、前記集電配線とは異なる部分に多孔質酸化物半導体層を形成する工程と、
 前記多孔質酸化物半導体層を焼成する工程と、
 前記焼成後、前記集電配線を覆うように250℃以上の耐熱性を有する絶縁性樹脂からなる保護層を形成する工程と、
 前記保護層の形成後、前記多孔質酸化物半導体層に色素を吸着させる工程とを有し、さらに前記保護層を形成する工程中またはその後であって、前記多孔質酸化物半導体層に色素を吸着させる工程の前に、250℃以上で前記基板を加熱する工程を有することを特徴とする光電変換素子用電極基板の製造方法。
 前記加熱の工程における加熱温度は、焼成工程における焼成温度より低いことを特徴とする請求項1に記載の光電変換素子用電極基板の製造方法。
 透明導電膜および集電配線を備える基板と、前記透明導電膜上において、前記集電配線とは異なる部分に設けられた多孔質酸化物半導体層と、前記集電配線を覆うように形成された絶縁性樹脂からなる保護層とを備え、
 前記保護層が、250℃以上の耐熱性を有する絶縁性樹脂からなることを特徴とする光電変換素子用電極基板。
 前記250℃以上の耐熱性を有する絶縁性樹脂は、ポリイミド誘導体、シリコーン化合物、フッ素エラストマー、フッ素樹脂から選択される1種または複数種であることを特徴とする請求項3に記載の光電変換素子用電極基板。
 請求項3または4に記載の光電変換素子用電極基板を備えることを特徴とする光電変換素子。
Description:
光電変換素子用電極基板、光電 換素子用電極基板の製造方法、および光電 換素子

 本発明は、色素増感太陽電池などの光電変 素子に用いる電極基板、光電変換素子用電 基板の製造方法、および光電変換素子に関 る。
 本願は、2007年11月15日に日本国に出願され 特願2007-296440号に基づき優先権を主張し、そ の内容をここに援用する。

 色素増感太陽電池などの光電変換素子に用 られる電極基板としては、従来、透明基板 片面に透明導電膜を形成したものが用いら ている。実用に耐える大面積・大出力の素 (モジュール)を作製する場合、透明導電基 の導電性不足に起因する内部抵抗の増大を 制するため、集電配線を形成することで電 基板の導電率の向上を図ろうとする試みが る。集電配線には、導電性に優れる材質と て、金属、その中でも特に低抵抗のもの(例 ば銀、銅など)が望ましい。併せて、素子に 用いる電解液(例えばヨウ素電解質)に対して 学的、電気化学的に(実質的に)不活性であ ことが要求される。そこで、金属配線層の 護層として絶縁層または透明導電膜を被覆 ることが提案されている(特許文献1~5、非特 文献1参照)。

特表2002-536805号公報

特開2004-220920号公報

特開2004-146425号公報

国際公開第2004/032274号

特開2007-042366号公報 エム・スペース(M.Spath)ら、Progress in Phot ovoltaics:Research and Applications、平成15年(2003年) 、第11号,p.207-220

 集電配線においては、金属配線とヨウ素電 液とを完全に遮断するため、欠陥の無い緻 な保護層が必要である。配線保護層として 透明な導電性金属酸化物膜やガラス等の無 系材料が検討されているが、電解質の浸透 妨げる緻密な膜の形成が難しい。また、一 に硬く脆い性質を有するため、熱膨張率な の制御が必要である。
 また、配線保護層として樹脂系材料が検討 れているが、一般に耐熱性に乏しく、色素 感太陽電池の光電極となる酸化物半導体ナ 粒子の高温焼成ができない。特に、硬化性 脂を用いる場合には、該硬化性樹脂からの 発成分がナノ粒子表面を汚染して発電特性 影響を及ぼす問題も生じる。
 また、配線保護層の形成法においては、保 層として透明導電性金属酸化物を用いる場 、真空装置(スパッタ法、蒸着法など)やCVD 置などの大掛かりな装置が必要となる。ま 、熱可塑性の樹脂フィルムを用いる手法も 討されているが、特に配線パターンが複雑 場合などでは、位置精度上の問題から、フ ルムの貼り合わせが困難である。

 本発明は、上記事情に鑑みてなされたも であり、欠陥の無い緻密な保護層を形成す ことが可能であると共に、発電特性を向上 せることが可能な光電変換素子用電極基板 光電変換素子用電極基板の製造方法、およ 光電変換素子を提供することを課題とする

 前記課題を解決するため、本発明は、基板 に、透明導電膜および集電配線を形成する 程と、前記透明導電膜上において、前記集 配線とは異なる部分に多孔質酸化物半導体 を形成する工程と、前記多孔質酸化物半導 層を焼成する工程と、前記焼成後、前記集 配線を覆うように250℃以上の耐熱性を有す 絶縁性樹脂からなる保護層を形成する工程 、前記保護層の形成後、前記多孔質酸化物 導体層に色素を吸着させる工程とを有し、 らに、前記保護層を形成する工程中または の後であって、前記多孔質酸化物半導体層 色素を吸着させる工程の前に、250℃以上で 記基板を加熱する工程を有することを特徴 する光電変換素子用電極基板の製造方法を 供する。
 前記加熱の工程における加熱温度は、焼成 程における焼成温度より低いことが好まし 。

 また、本発明は、透明導電膜および集電配 を備える基板と、前記透明導電膜上におい 、前記集電配線とは異なる部分に設けられ 多孔質酸化物半導体層と、前記集電配線を うように形成された絶縁性樹脂からなる保 層とを少なくとも備え、前記保護層は、250 以上の耐熱性を有する絶縁性樹脂からなる のであることを特徴とする光電変換素子用 極基板を提供する。
 本発明の光電変換素子用電極基板において 、前記250℃以上の耐熱性を有する絶縁性樹 は、ポリイミド誘導体、シリコーン化合物 フッ素エラストマー、フッ素樹脂から選択 れる1種または複数種であることが好ましい 。
 また、本発明は、上述の光電変換素子用電 基板を備えることを特徴とする光電変換素 を提供する。

 本発明の光電変換素子用電極基板の製造 法によれば、絶縁性樹脂からなる配線保護 を形成する前に、多孔質酸化物半導体層を 分に焼成することができる。また、絶縁性 脂を保護層に用いるため、欠陥のない緻密 保護層を形成することができる。さらに、 護層を形成後、色素吸着前に加熱する工程 設けられているので、発電特性に優れる光 変換素子の製造に利用することができる。

 本発明の光電変換素子用電極基板によれ 、保護層が250℃以上の耐熱性を有すること より、多孔質酸化物半導体層の焼成後、色 吸着前に加熱する工程を設けられるように り、多孔質酸化物半導体層に吸着した汚染 質を少なくすることができる。

は、本発明の光電変換素子用電極基板 第1の例を示す断面図である。 は、本発明の光電変換素子用電極基板 第2の例を示す断面図である。 は、図1に示す光電変換素子用電極基 の製造方法を説明する断面工程図である。 は、図1に示す光電変換素子用電極基 の製造方法を説明する断面工程図である。 は、図1に示す光電変換素子用電極基 の製造方法を説明する断面工程図である。 は、図1に示す光電変換素子用電極基 の製造方法を説明する断面工程図である。 は、図2に示す光電変換素子用電極基 の製造方法を説明する断面工程図である。 は、図2に示す光電変換素子用電極基 の製造方法を説明する断面工程図である。 は、図2に示す光電変換素子用電極基 の製造方法を説明する断面工程図である。 は、図2に示す光電変換素子用電極基 の製造方法を説明する断面工程図である。 本発明の光電変換素子用電極基板の第3 の例を示す断面図である。 本発明の光電変換素子用電極基板の第4 の例を示す断面図である。 本発明の光電変換素子の一例を示す断 図である。

符号の説明

10…電極基板
11…基板
12…透明導電膜
13…集電配線
14…保護層
15…色素を吸着させた多孔質酸化物半導体層
15A…多孔質酸化物半導体層(色素を吸着させ 前のもの)
20…色素増感太陽電池(光電変換素子)
21…対極
22…電解質

 以下、最良の形態に基づき、図面を参照し 本発明を説明する。
 図1は、本発明の光電変換素子用電極基板の 第1の例を示す断面図である。図2は、本発明 光電変換素子用電極基板の第2の例を示す断 面図である。図3A~図3Dは、図1に示す光電変換 素子用電極基板の製造方法を説明する断面工 程図である。図4A~図4Dは、図2に示す光電変換 素子用電極基板の製造方法を説明する断面工 程図である。図5は、本発明の光電変換素子 電極基板の第3の例を示す断面図である。図6 は、本発明の光電変換素子用電極基板の第4 例を示す断面図である。図7は、本発明の光 変換素子の一例を示す断面図である。

 図1に示す光電変換素子用電極基板10は、 板11と、基板11上に形成された透明導電膜12 、透明導電膜12上に形成された集電配線13と 、集電配線13を覆うように形成された絶縁性 脂からなる保護層14と、透明導電膜12上にお いて集電配線13とは異なる部分に設けられた 孔質酸化物半導体層15を有するものである

 また、図2に示す光電変換素子用電極基板 10Aは、基板11と、基板11上に形成された集電 線13と、基板11上の集電配線13が形成されて ない部分および集電配線13上に形成された透 明導電膜12と、透明導電膜12を介して集電配 13を覆うように形成された絶縁性樹脂からな る保護層14と、透明導電膜12上において集電 線13とは異なる部分に設けられた多孔質酸化 物半導体層15を有するものである。

 基板11の材料としては、ガラス、樹脂、 ラミクスなど、実質的に透明な基板であれ 制限なく使用できる。多孔質酸化物半導体 の焼成を行う際に基板の変形や変質等が起 らないよう、耐熱性に優れる点で高歪点ガ スが特に好ましいが、ソーダライムガラス 白板ガラス、硼珪酸ガラス等も好適に使用 ることができる。

 透明導電膜12の材料としては特に限定され ものではないが、例えば、スズ添加酸化イ ジウム(ITO)、酸化スズ(SnO 2 )、フッ素添加酸化スズ(FTO)等の導電性金属酸 化物が挙げられる。透明導電膜12を形成する 法としては、その材料に応じた公知の適切 方法を用いればよいが、例えば、スパッタ 、蒸着法、SPD法、CVD法などが挙げられる。 して、光透過性と導電性を考慮して、通常0 .001μm~10μm程度の膜厚に形成される。

 集電配線13は、金、銀、銅、白金、アル ニウム、ニッケル、チタンなどの金属を、 えば格子状、縞状、櫛型などのパターンに り、配線として形成したものである。電極 板の光透過性を著しく損ねないためには、 配線の幅を1000μm以下と細くすることが好ま い。集電配線13の各配線の厚さ(高さ)は、特 に制限されないが、0.1~20μmとすることが好ま しい。

 集電配線13を形成する方法としては、例え 、導電粒子となる金属粉とガラス微粒子な の結合剤を配合してペースト状にし、これ スクリーン印刷法、ディスペンス、メタル スク法、インクジェット法などの印刷法を いて所定のパターンを形成するように塗膜 、焼成によって導電粒子を融着させる方法 挙げられる。焼成温度としては、例えば、 板11がガラス基板である場合には600℃以下、 より好ましくは550℃以下とすることが好まし い。この他、スパッタ法、蒸着法、メッキ法 などの形成方法を用いることもできる。導電 性の観点から、集電配線13の体積抵抗率は、1 0 -5 ω・cm以下であることが好ましい。

 保護層14は、250℃以上の熱処理を可能に るため、250℃以上の耐熱性を有する絶縁性 脂からなる。この中でも、300℃以上の耐熱 を有する絶縁性樹脂からなるものが望まし 。

 本発明において、樹脂の耐熱温度は、設 温度に1時間~2時間程度曝した際の外観上異 が無く、重量減少が30%以下であるものと定 する。よって、250℃以上の耐熱性を有する 縁性樹脂とは、250℃に1時間~2時間程度曝し 際の重量減少が30%以下である絶縁性樹脂を 味し、300℃以上の耐熱性を有する絶縁性樹 とは、300℃に1時間~2時間程度曝した際の重 減少が30%以下である絶縁性樹脂を意味する

 250℃以上の耐熱性を有する絶縁性樹脂と ては、ポリイミド誘導体、シリコーン化合 、フッ素エラストマー、フッ素樹脂などか 選択される1種を単独で、または複数種を配 合・積層等により併用して、用いることがで きる。フッ素樹脂としては、ポリテトラフル オロエチレン、テトラフルオロエチレン-パ フルオロアルキルビニルエーテル共重合体 テトラフルオロエチレン-ヘキサフルオロプ ピレン共重合体等のテフロン(登録商標)系 合物から選択される1種または複数種を用い ことができる。また、300℃以上の耐熱性を する絶縁性樹脂としては、250℃以上の耐熱 を有する絶縁性樹脂の中から、300℃以上の 熱性を有するものを1種または複数種選択し て用いることができる。また、絶縁樹脂層に 柔軟性に富む樹脂材料を適用することで、保 護層14の衝撃破壊、割れなどの懸念が減少す 。

 保護層14を形成する方法としては、絶縁 樹脂を含有するワニスやペーストを塗膜す 方法が挙げられる。保護層14の緻密性を向上 させる点では、複数回塗膜を繰り返して複層 化することが望ましい。

 多孔質酸化物半導体層15は、酸化物半導体 ナノ粒子(平均粒径1~1000nmの微粒子)を焼成に り多孔質膜としたものである。酸化物半導 としては、酸化チタン(TiO 2 )、酸化スズ(SnO 2 )、酸化タングステン(WO 3 )、酸化亜鉛(ZnO)、酸化ニオブ(Nb 2 O 5 )などの1種または2種以上が挙げられる。多孔 質酸化物半導体層15の厚さは、例えば0.5~50μm 度とすることができる。

 多孔質酸化物半導体層15を形成する方法 しては、例えば、市販の酸化物半導体微粒 を所望の分散媒に分散させた分散液、ある は、ゾル-ゲル法により調整できるコロイド 液を、必要に応じて所望の添加剤を添加し 後、スクリーンプリント法、インクジェッ プリント法、ロールコート法、ドクターブ ード法、スピンコート法、スプレー塗布法 ど公知の塗布により塗布するほか、コロイ 溶液中に浸漬して電気泳動により酸化物半 体微粒子を基板上に付着させる泳動電着法 コロイド溶液や分散液に発泡剤を混合して 布した後、焼結して多孔質化する方法、ポ マーマイクロビーズを混合して塗布した後 このポリマーマイクロビーズを加熱処理や 学処理により除去して空隙を形成させ多孔 化する方法などを適用することができる。

 多孔質酸化物半導体層15に担持される増 色素は、特に制限されるものではなく、例 ば、ビピリジン構造、ターピリジン構造な を含む配位子を有するルテニウム錯体や鉄 体、ポルフィリン系やフタロシアニン系の 属錯体をはじめ、エオシン、ローダミン、 マリン、メロシアニンなどの誘導体である 機色素などから、用途や酸化物半導体多孔 の材料に応じて適宜選択して用いることが きる。

 本形態例の光電変換素子用電極基板は、次 手順によって製造することができる。
 まず、基板11上に、透明導電膜12および集電 配線13を形成する。この工程においては、透 導電膜12の形成と集電配線13の形成の時間的 関係は特に限定されるものではなく、透明導 電膜12の後で集電配線13を形成するのでも、 電配線13の後で透明導電膜12を形成するので 、良い。なお、図2に示すように、集電配線 13と多孔質酸化物半導体層15とが透明導電膜12 の上に設けられる場合は、多孔質酸化物半導 体層15の形成工程を集電配線13の形成より前 行うこともできる。

 例えば、図1に示すように、透明導電膜12 上に集電配線13が設けられた電極基板10を製 造する場合は、図3Aに示すように、基板11上 透明導電膜12を形成した後、図3Bに示すよう 、透明導電膜12上に集電配線13を形成する方 法を採用することができる。

 また、図2に示すように、集電配線13の上 透明導電膜12が設けられた電極基板10Aを製 する場合は、図4Aに示すように、基板11上に 電配線13を形成した後、図4Bに示すように、 集電配線13上に透明導電膜12を形成する方法 採用することができる。

 このようにして透明導電膜12および集電 線13を備える基板11を形成した後で、図3C、 4Cに示すように、透明導電膜12上において、 電配線13とは異なる部分に酸化物半導体の ノ粒子ペーストを塗膜するなどの方法によ 、多孔質酸化物半導体層15Aを形成する。多 質酸化物半導体層15Aの形成後、およそ400~550 で加熱して、多孔質酸化物半導体層15Aを焼 する。

 多孔質酸化物半導体層15Aの焼成後、図3D、 4Dに示すように、集電配線13を覆うように絶 性樹脂からなる保護層14を形成する。保護 14を形成する工程中またはその後には、多孔 質酸化物半導体層15Aに色素を吸着させる工程 の前に、前記基板11を加熱する工程をさらに する。この加熱の工程における加熱温度は 焼成工程における焼成温度より低いことが ましい。
 前記加熱の工程は、保護層14を形成する工 の後に行うこともできる。また、保護層14を 形成する絶縁性樹脂が例えば熱硬化性樹脂な どで、その硬化反応に加熱を要するものであ れば、前記加熱の工程は、保護層14を形成す 工程中に行うことも可能である。前記加熱 工程は、保護層14を形成する工程中に行い さらにその後にも行うようにすることもで る。

 前記加熱の工程における加熱温度は、250 以上である。250℃以上の温度で熱処理する とによって、多孔質酸化物半導体層15Aの表 に吸着した有機物(汚染物質)を除去するこ ができ、汚染物質が色素担持(多孔質酸化物 導体層15Aへの色素の吸着)を阻害することを 防ぐことができる。前記加熱の工程における 加熱温度は、300℃以上であることが、より好 ましい。

 保護層14の形成後、多孔質酸化物半導体 15Aに色素を吸着させることにより、図1、図2 に示すように、色素が吸着した多孔質酸化物 半導体層15を有する電極基板10,10Aが完成する 色素の吸着工程の後に絶縁樹脂からなる保 層を形成する方法も考えられるが、集電配 13の表面の汚染や、絶縁樹脂硬化時(熱硬化 脂の場合の熱処理や、UV硬化樹脂の場合の 外線照射など)の色素へのダメージを考慮す と、保護層14の形成後に色素担持を行うこ がより望ましい。

 本発明の電極基板において、基板11は、 1,図2に示すように表面が平坦な基板11を用い ても良く、あるいは、図5,図6に示すように集 電配線13に沿う溝状の凹部11aを表面に有する 板11を用いて、集電配線13の少なくとも下部 または全部を凹部11a内に形成することもでき る。これらの電極基板の製造方法は、集電配 線13を形成する際、凹部11aに沿って形成する うにする点を除いては、図1,図2に示す電極 板と同様に、製造することができる。

 例えば、図5に示す電極基板10Bは、凹部11a を有する基板11と、基板11上の凹部11aとは異 る部分に形成された透明導電膜12と、凹部11a の底面から形成された集電配線13と、集電配 13を覆うように形成された絶縁性樹脂から る保護層14と、透明導電膜12上において集電 線13とは異なる部分に設けられた多孔質酸 物半導体層15を有するものである。

 また、図6に示す電極基板10Cは、凹部11aを 有する基板11と、基板11上および凹部11aの底 および側面に形成された透明導電膜12と、凹 部11a内において透明導電膜12上に形成された 電配線13と、集電配線13を覆うように形成さ れた絶縁性樹脂からなる保護層14と、透明導 膜12上において集電配線13とは異なる部分に 設けられた多孔質酸化物半導体層15を有する のである。

 本発明の光電変換素子用電極基板は、色 増感太陽電池などの光電変換素子の光電極 して用いることができる。図7に、光電変換 素子の一例(色素増感太陽電池)の構成例を示 。この色素増感太陽電池は、本形態例の光 変換素子用電極基板10からなる光電極と、 の光電極と対向して配置された対極21と、両 極間に封入された電解質22とを備える。なお 図7には、図1に示す光電変換素子用電極基 10を用いたものを例示しているが、図2、図5 図6に示す光電変換素子用電極基板10A,10B,10C その他、本発明の光電変換素子用電極基板 用いても構わない。

 対極21としては、特に限定されるもので ないが、具体的には金属板、金属箔、ガラ 板などの基材21aの表面に、白金、カーボン 導電性高分子等の触媒層21bを形成したもの 挙げられる。対極の表面における導電性を 上するため、基材21aと触媒層21bとの間に別 導電層を設けても構わない。

 電解質22としては、酸化還元対を含む有 溶媒や室温溶融塩(イオン液体)などを用いる ことができる。また、電解液に適当なゲル化 剤(例えば高分子ゲル化剤、低分子ゲル化剤 各種ナノ粒子、カーボンナノチューブなど) 導入することにより疑似固体化したもの、 わゆるゲル電解質を電解液の代わりに用い も構わない。

 有機溶媒としては、特に限定されるもの はないが、アセトニトリル、メトキシアセ ニトリル、プロピオニトリル、メトキシプ ピオニトリル、プロピレンカーボネート、 エチルカーボネート、γ-ブチロラクトンな の1種または複数種が例示される。また、室 温溶融塩としては、イミダゾリウム系カチオ ン、ピロリジニウム系カチオン、ピリジニウ ム系カチオン等のカチオンと、ヨウ化物イオ ン、ビストリフルオロメチルスルホニルイミ ドアニオン、ジシアノアミドアニオン、チオ シアン酸アニオン等のアニオンとからなる室 温溶融塩の1種または複数種が例示される。

 電解質に含有される酸化還元対としては 特に限定されることないが、ヨウ素/ヨウ化 物イオン、臭素/臭化物イオンなどのペアを1 または複数種添加して得ることができる。 ウ化物イオンまたは臭化物イオンの供給源 しては、これらのアニオンを含有するリチ ム塩、四級化イミダゾリウム塩、テトラブ ルアンモニウム塩などを単独または複合し 用いることができる。電解液には、必要に じて4-tert-ブチルピリジン、N-メチルベンズ ミダゾール、グアニジニウム塩などの添加 を添加することができる。

 本発明の光電変換素子によれば、電極基 の集電配線にピンホール等の欠陥が無い保 層が設けられているので、発電特性に優れ 光電変換素子となる。

 以下、実施例をもって本発明を具体的に 明する。なお、本発明は、これらの実施例 みに限定されるものではない。

<電極基板の作製>
◆ガラス基板
i)高歪点ガラス PD200(旭硝子)
ii)耐熱ガラス TEMPAX 8330(SCHOTT)
iii)市販FTOガラス(日本板硝子)

◆配線保護材
a)ポリイミドワニス(I.S.T)、破断伸び5%以上(約 65%)、硬化温度Max350℃~400℃
b)シリコーンワニス(GE東芝シリコーン)、破断 伸び5%以上、硬化温度300℃以下
c)フッ素エラストマーSIFEL(信越化学)、破断伸 び5%以上(約200%)、硬化温度300℃以下
d)テフロン(登録商標)コーティング材(日本フ インコーティングス)、破断伸び5%以上、処 温度300℃以下
e)低融点ガラス(福田金属箔粉工業) 破断伸び 5%未満、焼成温度450℃f)紫外線硬化型樹脂(ス ーボンド)

 なお、a)~d)の配線保護材についての耐熱性 調べるために、各材料を250℃で1時間加熱処 を施し重量減少及び外観を調べたところ、 の全ての材料において、重量減少が30%以下 あり、外観上の問題もなかった。一方、d) 配線保護材について上記と同様に耐熱性を べたところ、重量減少が30%を超えており、 観上の問題も発生した。
 i)、ii)、iii)のガラス基板(140mm角で、表面にF TO膜を形成したもの)を用意し、FTO膜の上にス クリーン印刷にて銀回路を格子状に形成した 。回路形状の設計は、回路幅300μm、膜厚10μm した。印刷用銀ペーストとしては、焼結後 体積抵抗率が3×10 -6 ωcmのものを用い、印刷後130℃で乾燥し、さ に最高温度510℃で銀回路を焼結することに り回路形成した。

 次に、FTO膜上において、銀回路とは異なる 分にTiO 2 ナノ粒子を含むペーストをスクリーン印刷に より塗布し、乾燥後、500℃で焼結して、多孔 質酸化物半導体層を設けた。

 次に、銀回路が完全に覆われるように回 形成部分と重ねて、a)からf)の配線保護材を 塗膜し、最高温度を300~350℃として配線保護 を処理し、配線保護層を形成した。配線保 層の形成時に300℃以上の熱を必要としない のについては、配線保護層の形成後に300℃ 1hの熱処理を加え、多孔質酸化物半導体層の 表面の汚染物質を除去した。配線保護層の設 計幅は600μmとし、CCDカメラを用いて銀回路と の位置合わせをしながら、スクリーン印刷ま たはディスペンス法により塗膜形成した。

 このようにして作製した電極基板におい 、ガラス基板と配線保護材の組み合わせは i)とa)、ii)とa)、iii)とa)、i)とb)、ii)とb)、iii) とb)、i)とc)、ii)とc)、iii)とc)、i)とd)、ii)とd) iii)とd)、i)とf)、ii)とe)の14種類とした。

 i)とf)の組み合わせによる比較例では、300 ℃の熱処理により樹脂層が破壊され、配線保 護層としての機能を失った。ii)とe)の組み合 せによる比較例では、焼成工程後に保護層 観察したところ、銀回路層まで通じる亀裂 入っており、配線保護層として満足できる 性を得られなかった。

<熱処理温度についての検討>
 デシケータ内に、a)のワニスを一面に塗っ ガラス基板とともに、5mm角のチタニア(TiO 2 )多孔質膜を形成したFTO電極基板を一晩放置 、その後、表1の左欄に示す各処理温度で30 熱処理した後に増感色素を担持した。当該 素担持したFTO電極基板を光電極として、こ を対極および電解質と組み合わせて小型セ を作製し、光電変換特性を測定した。その 定結果を表1に示す。

 測定結果の比較から、ワニスに由来する 孔質酸化物半導体層表面の汚染物質を除去 るための熱処理温度は、250℃以上、さらに ましくは、300℃以上が適正であることが分 った。

<色素増感太陽電池の作製>
 上記構成の電極基板を用いて、色素増感太 電池を作製し、特性評価を行った。色素増 太陽電池の作製方法および測定条件は以下 通りである。

 i)、ii)、iii)のガラス基板(140mm角で、表面にF TO膜を形成したもの)を用意し、FTO膜の上にス クリーン印刷にて銀回路(回路幅300μm、膜厚10 μm)形成後、FTO膜上において、銀回路とは異 る部分にTiO 2 ナノ粒子を含むペーストをスクリーン印刷に より塗布し、乾燥後、500℃で焼結して、多孔 質酸化物半導体層を設けた。次に、銀回路が 完全に覆われるように回路形成部分と重ねて 、a)からf)の配線保護材を塗膜して配線保護 (設計幅600μm)を形成した。配線保護層の形成 時に300℃以上の熱を必要としないものについ ては、配線保護層の形成後に350℃、1hの熱処 を加え、多孔質酸化物半導体層の表面の汚 物質を除去した。さらに、ルテニウムビピ ジン錯体(N719色素)のアセトニトリル/t-ブタ ール溶液中に一昼夜以上浸漬して色素担持 、光電極とした。

 対極としては、白金(Pt)層をスパッタ形成 したチタン(Ti)箔を用いた。不活性ガスを充 した循環精製型グローブボックス内にて光 極上にヨウ素電解質を展開し、対極と向き わせて積層した後、素子の周囲を紫外線硬 樹脂で封止した。ヨウ素電解質としては以 のA,Bを用いた。なお、Mは、モル毎リットル 表す。

電解質A;メトキシアセトニトリル中に0.5Mの 1,2-ジメチル-3-プロピルイミダゾリウム ヨウ 化物と0.05Mのヨウ素とを溶解し、さらに適量 ヨウ化リチウムと4-tert-ブチルピリジンを加 えたもの。

電解質B;1-ヘキシル-3-メチルイミダゾリウム  ヨウ化物とヨウ素とを10:1のモル比で混合し さらに適量のN-メチルベンズイミダゾールと チオシアン酸グアニジニウムを加えた後、4wt %のSiO 2 ナノ粒子を配合し、十分に混練して擬固体状 としたもの。

 色素増感太陽電池の発電特性の測定は、AM1. 5、100mW/cm 2 の擬似太陽光を照射して測定した。その測定 結果を表2に示す。

 測定結果の比較から、実施例であるi)-a) らiii)-d)までの12種では、電解質A,Bのいずれ ついても、良好な光電変換効率が得られた 比較例であるi)-f)およびii)-e)の組み合わせで は光電変換効率が低いものとなった。

 本発明は、色素増感太陽電池などの光電 換素子に利用することができる。