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Patent Searching and Data


Title:
ELECTRODE SUBSTRATE FOR PHOTOELECTRIC CONVERSION ELEMENT
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/069551
Kind Code:
A1
Abstract:
An electrode substrate for photoelectric conversion element is provided with a power collecting wiring and a protection layer covering the power collecting wiring. The protection layer is provided with a first protection layer containing a glass component, and a second protection layer composed of an insulating resin layer arranged on the first protection layer.

Inventors:
MATSUI HIROSHI (JP)
OKADA KENICHI (JP)
KITAMURA TAKAYUKI (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/071229
Publication Date:
June 04, 2009
Filing Date:
November 21, 2008
Export Citation:
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Assignee:
FUJIKURA LTD (JP)
MATSUI HIROSHI (JP)
OKADA KENICHI (JP)
KITAMURA TAKAYUKI (JP)
International Classes:
H01M14/00; H01L31/04; H01M50/528
Domestic Patent References:
WO2004032274A12004-04-15
Foreign References:
JP2006107892A2006-04-20
JP2006261089A2006-09-28
JP2005078857A2005-03-24
JP2005142089A2005-06-02
JP2006059680A2006-03-02
JP2000536805A
JP2004220920A2004-08-05
JP2004146425A2004-05-20
JP2007042366A2007-02-15
Other References:
M. SPATH ET AL., PROGRESS IN PHOTOVOLTAICS: RESEARCH AND APPLICATIONS, vol. 11, no. H15, 2003, pages 207 - 220
M. SPÄTH, PROGRESS IN PHOTOVOLTAICS: RESEARCH AND APPLICATIONS, vol. 11, no. H15, 2003, pages 207 - 220
See also references of EP 2216850A4
Attorney, Agent or Firm:
SHIGA, Masatake et al. (MarunouchiChiyoda-k, Tokyo 20, JP)
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Claims:
 集電配線と、この集電配線を覆う保護層とを備え、
 前記保護層は、ガラス成分を含む第1の保護層と、前記第1の保護層の上方に配される絶縁樹脂層からなる第2の保護層とを備えていることを特徴とする光電変換素子用電極基板。
 前記第2の保護層は、250℃以上の耐熱性を有する絶縁性樹脂からなるものであることを特徴とする請求項1に記載の光電変換素子用電極基板。
 前記第2の保護層は、ポリイミド誘導体、シリコーン化合物、フッ素エラストマー、フッ素樹脂から選択される1種または複数種からなることを特徴とする請求項1または2に記載の光電変換素子用電極基板。
Description:
光電変換素子用電極基板

 本発明は、色素増感太陽電池などの光電変 素子に用いる電極基板に関する。
 本願は、2007年11月28日に日本国に出願され 特願2007-307813号に基づき優先権を主張し、そ の内容をここに援用する。

 色素増感太陽電池などの光電変換素子に用 られる電極基板としては、従来、透明基板 片面に透明導電膜を形成したものが用いら ている。実用に耐える大面積・大出力の素 (モジュール)を作製する場合、透明導電基 の導電性不足に起因する内部抵抗の増大を 制するため、集電配線を形成することで電 基板の導電率の向上を図ろうとする試みが る。集電配線には、導電性に優れる材質と て、金属、その中でも特に低抵抗のもの(例 ば銀、銅など)が望ましい。併せて、素子に 用いる電解液(例えばヨウ素電解質)に対して 学的、電気化学的に(実質的に)不活性であ ことが要求される。そこで、金属配線層の 護層として絶縁層または透明導電膜を被覆 ることが提案されている(特許文献1~5、非特 文献1参照)。

特表2002-536805号公報

特開2004-220920号公報

特開2004-146425号公報

国際公開第2004/032274号

特開2007-042366号公報 エム・スペース(M.Spath)ら、Progress in Phot ovoltaics:Research and Applications、平成15年(2003年) 、第11号,p.207-220

 配線保護材として透明な導電性金属酸化物 どが検討されているが、電解液の浸透を防 ことができる緻密な膜の形成が難しい。
 樹脂系材料を配線保護材とすることも検討 れているが、樹脂は膨潤やピンホール、ガ や揮発性溶媒の透過の問題が考えられ、単 では信頼性の問題がある。特に、配線層が ペーストによる印刷配線である場合には、 線層が銀粒子の焼結体から構成されるため 孔質となっており、その空隙内をガスや揮 性溶媒の蒸気が自由に通過しうる。印刷配 に樹脂オーバーコートを直接被覆しただけ 構成では、樹脂層の薄い箇所で溶媒が透過 、さらに、配線層(集電の必要から必ず開口 部を有する。)の開口部を経由して外気へ漏 出すとともに、これと逆の経路をたどって 外気の水分等が印刷配線層および樹脂層を 由して電解液に侵入するおそれがある。

 トータルのガス透過速度は透過面積に比例 、かつ透過距離に反比例するため、配線保 層表面のように、太陽電池セル全体に広い 面積で配されており、しかも全体で数十μm 度の厚さしかない経路があると、長期的に 、非常に大きな漏洩の原因となりうる。
 セルの周囲の封止部においては透過面積が さく透過距離が長いため、セル面積が小規 の場合は特に問題にならないにしても、色 増感太陽電池の実用化を進めるため、セル 大面積化しつつ長期の信頼性を確保するに 、重要な問題となりうる。

 非特許文献1では、配線部分の上下両面( 側および裏側)にガラス基板を配し、2枚のガ ラス基板の間に配線層および電解液層を挟み こんだ構造としている。このような構造の場 合は、ガラス基板はガス等の透過性が低いた め、ガラス基板の厚み方向の漏洩はなく、ガ ラス基板の表面に沿った配線の横方向のみが 漏洩経路となり、透過面積が小さく、透過距 離が長い構造となる。しかしながら、両面と もにガラス基板を用いる場合は、基板に柔軟 性や可撓性がないため、セルの製造・組立方 法に制約が生じるとともに、ガラス基板と樹 脂封止部との熱膨張率の差のため、熱サイク ル等によりストレスの影響を受けるおそれが ある。

 また、樹脂は一般に耐熱性に乏しく、色 増感太陽電池の光電極となる酸化物半導体 ノ粒子の表面に吸着した汚染物質の加熱除 が難しい。特に、硬化性樹脂を用いる場合 は、該硬化性樹脂からの揮発成分がナノ粒 表面を汚染してしまう懸念もある。

 低融点ガラス層を保護層として単独で用 た場合(つまり最外層に低融点ガラス層が露 出している場合)には、条件によっては電解 が低融点ガラスと反応してしまい、色素増 太陽電池用電解質としての機能が失われる とがある。これは、電解液中のある成分が 低融点ガラス中のある成分と反応している めと考えられることから、この問題の対策 しては、低融点ガラスと反応しうる成分を まない電解液組成を開発することも考えら るが、色素増感太陽電池用電解質としての 能と両立可能な解決のためには、技術的ハ ドルがより高いものとなる。

 実用的な配線保護材として、低融点ガラス 耐熱樹脂が考えられる。
 低融点ガラス系材料の場合、熱膨張率など 材料条件をうまく制御すれば、緻密性、耐 品性、耐熱性に優れる良好な保護層を形成 ることが可能である。しかし、樹脂系材料 比較すると硬いため、電極積層工程におい 対極の表面を傷つけるおそれがある。また もろくて固いため、保護層に衝撃を受けた 合に破損のおそれもある。
 また、樹脂材料は、柔軟なので低融点ガラ 等の無機材料と比較して対極表面を傷つけ くいが、耐熱性や水分等の遮断性が低融点 ラスに劣る。また、樹脂系保護材の表面が 物等によって引っかかれた場合は、低融点 ラスと比べて傷つきやすい。

 本発明は、上記事情に鑑みてなされたも であり、電解液の漏洩(減量)や劣化を抑制 ることができ、緻密で十分な配線保護機能 有する上、傷つきにくく、かつ対極表面を つけにくい配線保護材を備えた光電変換素 用電極基板を提供することを課題とする。

 前記課題を解決するため、本発明は、集電 線と、前記集電配線を覆うように形成され 保護層とを少なくとも備え、前記保護層は ガラス成分を含む第1の保護層と、前記第1 保護層の上方に配される絶縁樹脂層からな 第2の保護層を少なくとも備えていることを 徴とする光電変換素子用電極基板を提供す 。
 前記第2の保護層は、250℃以上の耐熱性を有 する絶縁性樹脂からなることが好ましい。
 前記第2の保護層は、ポリイミド誘導体、シ リコーン化合物、フッ素エラストマー、フッ 素樹脂から選択される1種または複数種から ることが好ましい。

 本発明の光電変換素子用電極基板によれ 、集電配線として多孔質の印刷配線を用い も、配線層および保護層を通じた溶媒やガ の透過を阻止することができる。また、配 保護材が異物等によって傷つきにくく、か 対極表面を傷つけにくいものとなる。さら 、保護層材料との反応により、電解質が劣 する問題も防ぐことができる。

本発明の光電変換素子用電極基板の一 を示す断面図である。 図1の光電変換素子用電極基板の製造工 程(第1工程)を示す断面図である。 図1の光電変換素子用電極基板の製造工 程(第2工程)を示す断面図である。 図1の光電変換素子用電極基板の製造工 程(第3工程)を示す断面図である。 図1の光電変換素子用電極基板の製造工 程(第4工程)を示す断面図である。 図1の光電変換素子用電極基板の製造工 程(第5工程)を示す断面図である。 本発明の光電変換素子用電極基板を有 る光電変換素子の一例を示す断面図である

符号の説明

10…電極基板
11…基板
12…透明導電膜
13…集電配線
14…保護層
14a…第1の保護層
14b…第2の保護層
15…色素を吸着させた多孔質酸化物半導体層
15A…多孔質酸化物半導体層(色素を吸着させ 前のもの)
20…色素増感太陽電池(光電変換素子)
21…対極
22…電解質

 以下、最良の形態に基づき、図面を参照 て本発明を説明する。図1は、本発明の光電 変換素子用電極基板の一例を示す断面図であ る。図2~図6は、図1の光電変換素子用電極基 の製造工程を説明する断面図である。図7は 本発明の光電変換素子用電極基板を有する 電変換素子の一例を示す断面図である。

 本形態例の光電変換素子用電極基板10は 図1に示すように、集電配線13と、集電配線13 を覆うように形成された保護層14とを少なく も備え、保護層14は、ガラス成分を含む第1 保護層14aと、第1の保護層14aの上方に配され る絶縁樹脂層からなる第2の保護層14bを少な とも備えている。図1に示す光電変換素子用 極基板10は、基板11と、基板11上に形成され 透明導電膜12と、透明導電膜12上に形成され た集電配線13と、集電配線13を覆うように形 された保護層14と、透明導電膜12上において 電配線13とは異なる部分に設けられた多孔 酸化物半導体層15を有する。

 基板11の材料としては、ガラス、樹脂、 ラミクスなど、実質的に透明な基板であれ 制限なく使用できる。多孔質酸化物半導体 の焼成を行う際に基板の変形や変質等が起 らないよう、耐熱性に優れる点で高歪点ガ スが特に好ましいが、ソーダライムガラス 白板ガラス、硼珪酸ガラス等も好適に使用 ることができる。

 透明導電膜12の材料としては特に限定され ものではないが、例えば、スズ添加酸化イ ジウム(ITO)、酸化スズ(SnO 2 )、フッ素添加酸化スズ(FTO)等の導電性金属酸 化物が挙げられる。透明導電膜12を形成する 法としては、その材料に応じた公知の適切 方法を用いればよいが、例えば、スパッタ 、蒸着法、SPD法、CVD法などが挙げられる。 して、光透過性と導電性を考慮して、通常0 .001μm~10μm程度の膜厚に形成される。

 集電配線13は、金、銀、銅、白金、アル ニウム、ニッケル、チタンなどの金属を、 えば格子状、縞状、櫛型などのパターンに り、配線として形成したものである。電極 板の光透過性を著しく損ねないためには、 配線の幅を1000μm以下と細くすることが好ま い。集電配線13の各配線の厚さ(高さ)は、特 に制限されないが、0.1~20μmとすることが好ま しい。

 集電配線13を形成する方法としては、例え 、導電粒子となる金属粉とガラス微粒子な の結合剤を配合してペースト状にし、これ スクリーン印刷法、ディスペンス、メタル スク法、インクジェット法などの印刷法を いて所定のパターンを形成するように塗膜 、焼成によって導電粒子を融着させる方法 挙げられる。焼成温度としては、例えば、 板11がガラス基板である場合には600℃以下、 より好ましくは550℃以下とすることが好まし い。この他、スパッタ法、蒸着法、メッキ法 などの形成方法を用いることもできる。導電 性の観点から、集電配線13の体積抵抗率は、1 0 -5 ω・cm以下であることが好ましい。本発明で 、後述するように、保護層がガラス成分を む第1の保護層を有するので、集電配線13と て多孔質の印刷配線を用いても、配線層を じた溶媒の透過を阻止することができる。

 保護層14は、第1の保護層14aおよび第2の保 護層14bの2層を少なくとも備えているもので る。保護層14は、第1の保護層14aの下方(第1の 保護層14aと集電配線13との間)、第1の保護層14 aと第2の保護層14bとの間、および第2の保護層 14bの上方に他の保護層を備えるものであって もよい。

 第1の保護層14aは、低融点ガラスから構成 される。硼酸鉛系などの含鉛のものが一般的 であるが、環境負荷を考慮した場合、鉛を含 まないものがより好ましいと言える。例えば 、硼珪酸ビスマス塩系/硼酸ビスマス亜鉛塩 、アルミノリン酸塩系/リン酸亜鉛系、硼珪 塩系などの低融点ガラス材料を用いること できる。第1の保護層14aは、これらの低融点 ガラス材料を単独または複数種含む低融点ガ ラスを主成分とし、熱膨張率や粘度の調整な どにより必要に応じて可塑剤やその他の添加 剤を加えてペースト化したものを、スクリー ン印刷やディスペンス等の手法により、塗布 ・焼成して形成することができる。同一のペ ーストまたは異なるペーストを用いて多層と しても構わない。

 第2の保護層14bは絶縁性樹脂から構成され る。絶縁性樹脂としては、耐熱樹脂が好まし く、例えばポリイミド誘導体、シリコーン化 合物、フッ素エラストマー、フッ素樹脂など から選択される1種を単独で、または複数種 配合・積層等により併用して、用いること できる。フッ素樹脂としては、ポリテトラ ルオロエチレン、テトラフルオロエチレン- ーフルオロアルキルビニルエーテル共重合 、テトラフルオロエチレン-ヘキサフルオロ プロピレン共重合体等のテフロン(登録商標) 化合物から選択される1種または複数種を用 いることができる。

 上述のような2層からなる保護層14によれ 、ガラス成分から構成される第1の保護層14a を設けることにより、電解液の漏洩(減量)や 化を抑制することができる上、第2の保護層 14bをオーバーコートとして設けることにより 、第1の保護層14aのガラス成分が電解液に接 ることがなく、ガラス中の成分と電解液中 成分とが反応することを防止することがで る。

 また、第1の保護層14aがガス透過を遮断す るので、この効果だけを得る目的であれば、 高温で焼成可能な耐熱樹脂や耐熱接着剤を用 いる必要はなく、耐熱性の低い接着剤の塗布 や、ホットメルト接着剤のラミネートにより オーバーコートとなる第2の保護層14bを形成 ても良い。特に、ホットメルト接着剤のラ ネートにより第2の保護層14bを形成する場合 、作用極の被毒が小さいため、耐熱樹脂や 熱接着剤に近い、良好な特性が得られる。

 本形態例において、第2の保護層14bは、250 ℃以上の耐熱性を有する絶縁性樹脂からなる ものが好ましい。より好ましくは、300℃以上 の耐熱性を有する絶縁性樹脂からなるものが 望ましい。本発明において、樹脂の耐熱温度 は、設定温度に1時間~2時間程度曝した際の外 観上異常が無く、重量減少が30%以下であるも のと定義する。よって、250℃以上の耐熱性を 有する絶縁性樹脂とは、250℃に1時間~2時間程 度曝した際の重量減少が30%以下である絶縁性 樹脂を意味し、300℃以上の耐熱性を有する絶 縁性樹脂とは、300℃に1時間~2時間程度曝した 際の重量減少が30%以下である絶縁性樹脂を意 味する。

 250℃以上の耐熱性を有する絶縁性樹脂と ては、上述の耐熱樹脂からの中から、250℃ 上の耐熱性を有するものを1種または複数種 選択して用いることができる。また、300℃以 上の耐熱性を有する絶縁性樹脂としては、250 ℃以上の耐熱性を有する絶縁性樹脂の中から 、300℃以上の耐熱性を有するものを1種また 複数種選択して用いることができる。また 絶縁樹脂層に柔軟性に富む樹脂材料を適用 ることで、保護層の衝撃破壊、割れなどの 念が減少する。

 絶縁性樹脂が250℃以上の耐熱性を有する とにより、多孔質酸化物半導体層の焼成後 色素吸着前に前記基板11を加熱する工程を けられるようになり、多孔質酸化物半導体 に吸着した汚染物質を少なくすることがで る。したがって、保護層は、250℃以上の熱 理を可能にするため、250℃以上の耐熱性を する絶縁性樹脂からなるものが好ましいの ある。より好ましくは、300℃以上の熱処理 可能にするため、300℃以上の耐熱性を有す 絶縁性樹脂からなるものが望ましい。

 低融点ガラス層および耐熱樹脂層は、各 単一または複数種の材料を用いて複数回重 て塗布しても構わない。印刷時に発生する ンホール等の欠陥を補い、保護層の緻密性 向上させる点では、複層化することがより ましい。

 第2の保護層14bの厚さは、1μm以上あるこ が望ましい。第2の保護層14bが薄すぎる場合 は樹脂の柔軟性が活かされず、対向する対 表面を傷つける可能性があり、また、異物 の混入や素子作製時のハンドリングによっ 、樹脂層自身が傷つく可能性もある。

 配線保護層14は、過剰に厚くする必要も く、総厚で100μmを超えるべきではない。

 多孔質酸化物半導体層15は、酸化物半導体 ナノ粒子(平均粒径1~1000nmの微粒子)を焼成に り多孔質膜としたものである。酸化物半導 としては、酸化チタン(TiO 2 )、酸化スズ(SnO 2 )、酸化タングステン(WO 3 )、酸化亜鉛(ZnO)、酸化ニオブ(Nb 2 O 5 )などの1種または2種以上が挙げられる。多孔 質酸化物半導体層15の厚さは、例えば0.5~50μm 度とすることができる。

 多孔質酸化物半導体層15を形成する方法 しては、例えば、市販の酸化物半導体微粒 を所望の分散媒に分散させた分散液、ある は、ゾル-ゲル法により調整できるコロイド 液を、必要に応じて所望の添加剤を添加し 後、スクリーンプリント法、インクジェッ プリント法、ロールコート法、ドクターブ ード法、スピンコート法、スプレー塗布法 ど公知の塗布により塗布するほか、コロイ 溶液中に浸漬して電気泳動により酸化物半 体微粒子を基板上に付着させる泳動電着法 コロイド溶液や分散液に発泡剤を混合して 布した後、焼結して多孔質化する方法、ポ マーマイクロビーズを混合して塗布した後 このポリマーマイクロビーズを加熱処理や 学処理により除去して空隙を形成させ多孔 化する方法などを適用することができる。

 多孔質酸化物半導体層15に担持される増 色素は、特に制限されるものではなく、例 ば、ビピリジン構造、ターピリジン構造な を含む配位子を有するルテニウム錯体や鉄 体、ポルフィリン系やフタロシアニン系の 属錯体をはじめ、エオシン、ローダミン、 マリン、メロシアニンなどの誘導体である 機色素などから、用途や酸化物半導体多孔 の材料に応じて適宜選択して用いることが きる。

 本形態例の光電変換素子用電極基板は、次 手順によって製造することができる。
 まず、図2に示すように、基板11上に透明導 膜12を形成した後、図3に示すように、透明 電膜12の上に集電配線13を形成する。なお、 集電配線13の上に透明導電膜12を形成して、 護層14の一部とするのでもよい。

 このようにして透明導電膜12および集電配 13を備える基板11を形成した後で、図4に示す ように、集電配線13を覆うようにガラス成分 含む第1の保護層14aを形成する。
 次に、図5に示すように、透明導電膜12上に いて、集電配線13および第1の保護層14aが設 られた部分とは異なる部分に、酸化物半導 のナノ粒子ペーストを塗膜するなどの方法 より、多孔質酸化物半導体層15Aを形成する
 次に、図6に示すように、第1の保護層14aの 方に絶縁樹脂層からなる第2の保護層14bを形 する。

 なおここで図4~6に示した例は、集電配線1 3の形成および焼成後、第1の保護層14aの形成 よび焼成、多孔質酸化物半導体層15Aの形成 よび焼成、さらに、第2の保護層14bの形成と いう手順であるが、このほか、下記の(1)~(3) ような手順を採用することも可能である。

(1)集電配線13の形成および焼成後、多孔質酸 物半導体層15Aの形成(乾燥のみ)、第1の保護 14aの形成、第1の保護層14aおよび多孔質酸化 物半導体層15Aの焼成、さらに、第2の保護層14 bの形成という手順。
(2)集電配線13の形成および焼成後、多孔質酸 物半導体層15Aの形成および焼成、第1の保護 層14aの形成および焼成、第1の保護層14aおよ 多孔質酸化物半導体層15Aの焼成、さらに、 2の保護層14bの形成という手順。
(3)集電配線13の形成および焼成後、第1の保護 層14aの形成(乾燥のみ)、多孔質酸化物半導体 15Aの形成、第1の保護層14aおよび多孔質酸化 物半導体層15Aの焼成、さらに、第2の保護層14 bの形成という手順。
 なお、集電配線13、保護層14、多孔質酸化物 半導体層15Aの形成において、これらの手順の 記載は単なる例示である。本発明において、 これらの手順の順番は問われない。ここに記 載したもの以外にも、各々の工程の順序を適 宜選択可能であることは言うまでもない。例 えば、集電配線13の形成よりも、多孔質酸化 半導体層15Aの形成が先になるのでも良い。 電配線13、保護層14、多孔質酸化物半導体層 15Aの中で、第2の保護層14bが最後に形成され ことになる手順が、より好ましい。

 次に、多孔質酸化物半導体層15Aに色素を 着させることにより、図1に示すように、色 素が吸着した多孔質酸化物半導体層15を有す 電極基板10が完成する。色素の吸着工程の に保護層を形成する方法も考えられるが、 電配線13の表面の汚染や、絶縁樹脂硬化時( 硬化樹脂の場合の熱処理や、UV硬化樹脂の場 合の紫外線照射など)の色素へのダメージを 慮すると、保護層14の形成後に色素担持を行 うことが望ましい。

 本発明の光電変換素子用電極基板は、色 増感太陽電池などの光電変換素子の光電極 して用いることができる。図7に、光電変換 素子の一例(色素増感太陽電池)の構成例を示 。この色素増感太陽電池は、本形態例の光 変換素子用電極基板10(電極基板10)からなる 電極を窓極とし、この光電極と対向して配 された対極21と、両極間に封入された電解 22とを備える。

 対極21としては、特に限定されるもので ないが、具体的には金属板、金属箔、ガラ 板などの基材21aの表面に、白金、カーボン 導電性高分子等の触媒層21bを形成したもの 挙げられる。対極の表面における導電性を 上するため、基材21aと触媒層21bとの間に別 導電層を設けても構わない。

 特に、対極21が金属箔や樹脂フィルムの うな可撓性基板からなる場合、窓極10(電極 板10)側に形成された配線層および保護層が 極21に接合されていない(すなわち、窓極10と 対極21の間が独立している)ので、窓極10が基 11としてガラス基板を有する場合でも、熱 イクル等によるストレスの影響を受けにく 。また、対極21を窓極10に沿って曲げながら 止することで、窓極10と対極21の間の極間距 離を低減して、発電性能を高めることができ る。

 電解質22としては、酸化還元対を含む有機 媒や室温溶融塩(イオン液体)などを用いるこ とができる。また、電解液に適当なゲル化剤 (例えば高分子ゲル化剤、低分子ゲル化剤、 種ナノ粒子、カーボンナノチューブなど)を 入することにより疑似固体化したもの、い ゆるゲル電解質を電解液の代わりに用いて 構わない。
 電解質22をセルの内部に配する方法は、特 限定されるものではないが、電解液を用い 場合は、窓極10と対極21とを向かい合わせ、 極の周囲を樹脂や接着剤等により封止した で、適宜設けた注入孔から電解液を注入す 方法が挙げられ、ゲル電解質を用いる場合 、窓極10の上にゲル電解質を塗布後に対極21 を貼る方法が挙げられる。

 有機溶媒としては、特に限定されるもの はないが、アセトニトリル、メトキシアセ ニトリル、プロピオニトリル、メトキシプ ピオニトリル、プロピレンカーボネート、 エチルカーボネート、γ-ブチロラクトンな が例示される。また、室温溶融塩としては イミダゾリウム系カチオン、ピロリジニウ 系カチオン、ピリジニウム系カチオン等の チオンと、ヨウ化物イオン、ビストリフル ロメチルスルホニルイミドアニオン、ジシ ノアミドアニオン、チオシアン酸アニオン のアニオンとからなる室温溶融塩が例示さ る。

 電解質に含有される酸化還元対としては 特に限定されることないが、ヨウ素/ヨウ化 物イオン、臭素/臭化物イオンなどのペアを 加して得ることができる。ヨウ化物イオン たは臭化物イオンの供給源としては、これ のアニオンを含有するリチウム塩、四級化 ミダゾリウム塩、テトラブチルアンモニウ 塩などを単独または複合して用いることが きる。電解液には、必要に応じて4-tert-ブチ ピリジン、N-メチルベンズイミダゾール、 アニジニウム塩などの添加物を添加するこ ができる。

 本発明の光電変換素子によれば、電極基 の集電配線にピンホール等の欠陥が無い保 層が設けられているので、発電特性に優れ 光電変換素子となる。

 以下、実施例をもって本発明を具体的に 明する。なお、本発明は、これらの実施例 みに限定されるものではない。

1.電解質の漏洩防止性能についての試験例
 表1に示すように、配線保護層および電解質 を変えて、実施例1,2および比較例1,2のセルを 作製した。なお、実施例1,2および比較例1,2に 共通する条件として、窓極は、基板が片面に 透明導電膜を有するガラス基板であり、集電 配線が銀ペーストをスクリーン印刷してなる 印刷回路からなり、多孔質酸化物半導体層が 色素担持されたチタニア(酸化チタン)から形 した。

 実施例1においては、配線保護層として、ガ ラス層(第1の保護層)およびその上にオーバー コートとして設けられたポリイミド膜からな るものを形成し、電解質として、揮発系電解 液を用いて、セルを作製した。
 実施例2においては、配線保護層として、ガ ラス層(第1の保護層)およびその上にオーバー コートとして設けられたポリイミド膜からな るものを形成し、電解質として、イオン液体 系電解液を用いて、セルを作製した。
 比較例1においては、配線保護層として、ポ リイミド膜のみからなるものを形成し、電解 質として、揮発系電解液を用いて、セルを作 製した。
 比較例2においては、配線保護層として、ポ リイミド膜のみからなるものを形成し、電解 質として、イオン液体系電解液を用いて、セ ルを作製した。

 実施例1,2および比較例1,2のセルの評価は 85℃、85%RH(相対湿度)下で、50時間保持した の変化として、電解液の液量の変化、色素 感チタニア電極の変色の有無を観察すると もに、発電性能の変化率[(η0+δη)/η0]を測定 て評価した。なお、発電性能の変化率は、 記条件下で保持する前の発電効率をη0とし 上記条件下で保持した後の発電効率をη0+δ としてそれぞれ測定し、両者の比を百分率 表して求めたものである。これらの評価結 を表2に示す。

 表2に示すように、実施例1,2では電解液の 減少がほとんど見られず、溶媒漏洩の防止性 能が高いことが分かる。色素増感チタニア電 極の変色はなく、発電性能の変化率は、実施 例1では95%、実施例2では105%であり、湿熱条件 化での性能変化が極めて小さく、信頼性に優 れたものであることが分かった。

 比較例1では、電解液が約25%減少し、色素増 感チタニア電極の退色が若干見られるととも に、電解液が減って乾いた箇所に色むらが認 められた。また、発電性能の変化率は11%であ り、性能の低下が著しいものとなった。
 比較例2では、電解液の減少はほとんど見ら れないが、色素増感チタニア電極の退色が著 しく、電解液へ水分が混入したものと推測さ れた。また、発電性能の変化率は81%であり、 比較例1ほど性能の低下はないが、イオン液 系電解液が水分の混入により電解質の機能 低下させたものと考えられる。

2.対極および窓極のキズの防止性能について 試験例
ガラス基板
i)高歪点ガラス PD200(旭硝子)
ii)市販FTOガラス(日本板硝子)

配線保護材(I)
A)低融点ガラスA:硼酸鉛系(福田金属箔粉工業)
B)低融点ガラスB:珪酸亜鉛りん系(福田金属箔 工業)
C)低融点ガラスC:硼酸ビスマス系(福田金属箔 工業)

配線保護材(II)
耐熱樹脂a)ポリイミドワニス(I.S.T)、破断伸び 5%以上(約65%)、硬化温度Max350℃~400℃
耐熱樹脂b)シリコーンワニス(GE東芝シリコー )、破断伸び5%以上、硬化温度300℃以下
耐熱樹脂c)フッ素エラストマーSIFEL(信越化学) 、破断伸び5%以上(約200%)、硬化温度300℃以下
耐熱樹脂d)テフロン(登録商標)コーティング (日本ファインコーティングス)、破断伸び5% 上、処理温度300℃以下
耐熱樹脂e)紫外線硬化型樹脂(スリーボンド)

<電極基板の作製>
 なお、a)~d)の配線保護材についての耐熱性 調べるために、各材料を250℃で1時間加熱処 を施し重量減少及び外観を調べたところ、 の全ての材料において、重量減少が30%以下 あり、外観上の問題もなかった。一方、d) 配線保護材について上記と同様に耐熱性を べたところ、重量減少が30%を超えており、 観上の問題も発生した。
 i)、ii)のガラス基板(140mm角で、表面にFTO膜 形成したもの)を用意し、FTO膜の上にスクリ ン印刷にて銀回路を格子状に形成した。回 形状の設計は、回路幅300μm、膜厚10μmとし 。印刷用銀ペーストとしては、焼結後の体 抵抗率が3×10 -6 ωcmのものを用い、印刷後130℃で乾燥し、さ に最高温度510℃で銀回路を焼結することに り回路形成した。

 次に、銀回路が完全に覆われるように回路 成部分と重ねて、配線保護材(I)の低融点ガ スペーストを塗布し、ガラスの印刷塗膜を 成した。第1の保護層の設計幅は、500μmとし 、CCDカメラを用いて銀回路との位置合わせを しながら、スクリーン印刷またはディスペン ス法により塗膜形成した。印刷塗膜を130℃で 乾燥後、電極基板のFTO膜上において、銀回路 および保護層が設けられる部分とは異なる部 分にTiO 2 ナノ粒子を含むペーストをスクリーン印刷に より塗布し、乾燥した。これらの乾燥後、第 1の保護層(1回塗布した分のみ)および多孔質 化物半導体層を最高温度500℃で焼結した。 らに、第1の保護層の厚みを確保するため、1 回塗布した分の上に、ガラスの印刷塗膜の形 成と焼結を複数回繰り返して第1の保護層を 成した。

 さらに、第1の保護層が完全に覆われるよ うに、配線保護材(II)の耐熱樹脂の樹脂液(ペ スト)を塗布し、最高温度300~350℃で樹脂塗 を処理し、必要によってはこれを複数回繰 返して、第2の保護層を形成した。第2の保護 層の設計幅は800μmとし、CCDカメラを用いて銀 回路との位置合わせをしながら、スクリーン 印刷またはディスペンス法により塗膜形成し た。

 以上のようにして作製した電極基板を用い 、色素増感太陽電池を作製した。
 ルテニウムビピリジン錯体(N719色素)のアセ ニトリル/t-ブタノール溶液中に一昼夜以上 漬して色素担持し、光電極とした。第2の保 護層の形成時に300℃以上の熱を必要としない ものについては、色素担持の直前に別途350℃ 、1h熱処理する工程を加えた。

 対極としては、白金(Pt)層をスパッタ形成 したチタン(Ti)箔を用いた。不活性ガスを充 した循環精製型グローブボックス内にて光 極上にヨウ素電解質を展開し、対極と向き わせて積層した後、素子の周囲を紫外線硬 樹脂で封止した。ヨウ素電解質としては以 のA,Bを用いた。なお、Mは、モル毎リットル 表す。

電解質A;メトキシアセトニトリル中に0.5Mの 1,2-ジメチル-3-プロピルイミダゾリウム ヨウ 化物と0.05Mのヨウ素とを溶解し、さらに適量 ヨウ化リチウムと4-tert-ブチルピリジンを加 えたもの。

電解質B;1-ヘキシル-3-メチルイミダゾリウム  ヨウ化物とヨウ素とを10:1のモル比で混合し さらに適量のN-メチルベンズイミダゾールと チオシアン酸グアニジニウムを加えた後、4wt %のSiO 2 ナノ粒子を配合し、十分に混練して擬固体状 としたもの。

 以上のようにして作製した色素増感太陽 池素子について、以下の評価を行った。

評価1:発電特性の確認後、素子を分解し、 極表面の配線保護層と重ねあっていた部分 周辺をSEMにて観察した。判断は、観察箇所 目立ったキズが無い場合には「G」、目立っ たキズがある素子を含む場合には「NG」、キ が著しい場合には「B」と評価した。評価サ ンプルは、各条件につき5個とした。

評価2:異物による擦れを模擬するため、作製 た電極基板の配線保護層の表面を片刃カミ リで切りつけ、配線保護層の表面から金属 線まで通じる傷の発生の有無を調べた。
 金属配線まで通じるキズが無い場合には「G 」、金属配線まで通じるキズが発生した場合 には「B」と評価した。

評価3:作製した色素増感太陽電池素子の光電 換特性を調べた。光照射条件は、AM1.5、100mW /cm 2 とした。各条件につき5個の評価サンプルを いて測定し、その平均値(N=5)を測定結果とし て算出した。

 評価1~3の評価結果を、表3~5に示す。表3~5 おいて、「基板」は電極基板に用いたガラ 基板の種類を、「保護層1」は、電極基板に 用いた配線保護材I(低融点ガラス)の種類を、 「保護層2」は、電極基板に用いた配線保護 II(耐熱樹脂)の種類を、「対極キズ」は、評 1の評価結果を、「自身のキズ」は、評価2 評価結果を、「変換効率A」は、電解質Aを用 いた色素増感太陽電池素子について評価3で 定した光電変換特性(%)を、「変換効率B」は 電解質Bを用いた色素増感太陽電池素子につ いて評価3で測定した光電変換特性(%)を、そ ぞれ表す。なお、「保護層1」および「保護 2」において、「-」は、当該保護層を省略 た場合を表す。

 測定結果の比較から、実施例である1-1か 1-4、2-1から2-4、および3-1から3-4については 対極キズや自身のキズの発生がなく、変換 率も良好であった。保護層2に耐熱性の低い 樹脂e)を用いた1-5では、変換効率が低下した 保護層1を省略して保護層2のみとした1-7お び1-8では、カミソリの切り付けに対して金 配線まで通じるキズが発生した。保護層2を 略して保護層1のみとした1-6、2-5、2-6および 3-5では、対極キズが発生した。

 本発明は、色素増感太陽電池などの光電 換素子に利用することができる。