西井弘行 (〒80 大阪府茨木市下穂積1丁目1番2号日東電工株式会社内 Osaka, 56786, JP)
SUGITANI, Tooru (1-2 Shimohozumi 1-chome, Ibaraki-sh, Osaka 80, 56786, JP)
杉谷徹 (〒80 大阪府茨木市下穂積1丁目1番2号日東電工株式会社内 Osaka, 56786, JP)
日東電工株式会社 (〒80 大阪府茨木市下穂積1丁目1番2号 Osaka, 56786, JP)
NISHII, Hiroyuki (1-2 Shimohozumi 1-chome, Ibaraki-sh, Osaka 80, 56786, JP)
西井弘行 (〒80 大阪府茨木市下穂積1丁目1番2号日東電工株式会社内 Osaka, 56786, JP)
SUGITANI, Tooru (1-2 Shimohozumi 1-chome, Ibaraki-sh, Osaka 80, 56786, JP)
| 炭化水素系電解質を主成分として含む基材層と、 前記基材層に積層された層であり、水酸基およびプロトン伝導基を有する高分子材料を主成分として含む表面層と、 を備えた、固体高分子型燃料電池用の電解質膜。 |
| 前記高分子材料が、水酸基を有する第1高分子と、プロトン伝導基を有する第2高分子とを含み、 前記第1高分子が架橋することによってマトリクスを形成しており、 前記マトリクスに前記第2高分子が保持されている、請求項1に記載の固体高分子型燃料電池用の電解質膜。 |
| 前記第1高分子が、ビニル樹脂および/または多糖類である、請求項2に記載の固体高分子型燃料電池用の電解質膜。 |
| 前記ビニル樹脂が、ポリビニルアルコールおよび/またはエチレン-ビニルアルコール共重合体である、請求項3に記載の固体高分子型燃料電池用の電解質膜。 |
| 前記多糖類が、キチン、キトサンおよびセルロースからなる群より選ばれた少なくとも1つである、請求項3に記載の固体高分子型燃料電池用の電解質膜。 |
| 前記第2高分子が、水溶性を有するスルホン化ポリアリーレンである、請求項2に記載の固体高分子型燃料電池用の電解質膜。 |
| 前記第2高分子が、ポリスチレンスルホン酸、ポリビニルスルホン酸、ポリ-2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸、水溶性スルホン化ポリエーテルエーテルケトンおよび水溶性スルホン化ポリエーテルスルホンからなる群より選ばれた少なくとも1つである、請求項2に記載の固体高分子型燃料電池用の電解質膜。 |
| 前記表面層が、前記基材層を挟むように当該基材層の上面および下面に設けられている、請求項1に記載の固体高分子型燃料電池用の電解質膜。 |
| 前記基材層を構成する炭化水素系電解質が、スルホン化ポリイミドまたはスルホン化ポリアリーレンである、請求項1に記載の固体高分子型燃料電池用の電解質膜。 |
| 請求項1に記載の電解質膜と、 前記電解質膜を挟むように配置された一対の電極と、 を備えた、膜-電極接合体。 |
| 請求項10に記載の膜-電極接合体を発電要素として有する、燃料電池。 |
| 炭化水素系電解質を主成分として含む基材を準備する工程と、 水酸基を有する第1高分子と、プロトン伝導基を有する第2高分子とを含む溶液を調製する工程と、 前記溶液を用いて、前記第1高分子を架橋することによって形成されたマトリクスに前記第2高分子が保持された高分子材料を主成分として含む表面層を前記基材上に形成する工程と、 を含む、固体高分子型燃料電池用の電解質膜の製造方法。 |
| 前記溶液が、前記第1高分子および前記第2高分子の水溶液であり、 前記表面層を形成する工程が、前記水溶液を前記基材に塗布する工程と、前記基材上で、前記第1高分子を架橋する工程とを含む、請求項12に記載の固体高分子型燃料電池用の電解質膜の製造方法。 |
本発明は、固体高分子型燃料電池用の電 質膜およびその製造方法に関する。
近年、次世代のエネルギー源として燃料 池が脚光を浴びている。特に、プロトン伝 性を有する高分子膜を電解質に使用した固 高分子型燃料電池(PEFC)は、エネルギー密度 高く、家庭用コージェネレーションシステ 、携帯機器用電源、自動車用電源などの幅 い分野での使用が期待される。PEFCの電解質 膜には、燃料極-酸化極間でプロトンを伝導 る電解質として機能するとともに、燃料極 供給される燃料と、酸化極に供給される酸 剤とを分離する隔壁となることが求められ 。電解質および隔壁としての機能が不十分 あると、燃料電池の発電効率が低下する。 のため、プロトン伝導性、電気化学的安定 および機械的強度に優れ、燃料および酸化 の透過性が低い高分子電解質膜が望まれる
現在、PEFCの電解質膜には、プロトン伝導 基としてスルホン酸基を有するパーフルオロ カーボンスルホン酸(例えば、デュポン社製 ナフィオン(登録商標)」)が広く用いられて る。パーフルオロカーボンスルホン酸膜は 気化学的な安定性に優れるものの、原料と るフッ素樹脂は汎用品ではなく、その合成 程も複雑であることから非常に高価である 電解質膜が高価であることは、PEFCの実用化 対する大きな障害となる。また、パーフル ロカーボンスルホン酸膜はメタノールを透 しやすく、メタノールを含む溶液が燃料極 供給されるダイレクトメタノール型燃料電 (DMFC)の電解質膜にパーフルオロカーボンス ホン酸膜を用いることは難しい。
このため、パーフルオロカーボンスルホ 酸膜の代替として、低コストかつメタノー の透過が抑制された炭化水素系電解質膜の 発が進められている。例えば、特許文献1~4 は、スルホン化ポリエーテルエーテルケト 、スルホン化ポリエーテルスルホン、スル ン化ポリスルホン、スルホン化ポリイミド できた電解質膜が、それぞれ提案されてい 。これら炭化水素系電解質膜の原料となる 脂はフッ素樹脂に比べて安価であり、上記 解質膜の使用により、PEFCの低コスト化を図 れる。しかし、特許文献1~4に提案されている 炭化水素系電解質膜の性能は必ずしも十分で はなく、炭化水素系電解質膜を用いたPEFCの 用化には未だ至っていない。
炭化水素系電解質膜が実用化に至らない 因は様々であるが、しばしば、炭化水素系 解質膜と電極との接触性が良くない点が指 されている。接触性が悪いと、接触抵抗の 減や発電効率の向上が困難となる。
電解質膜と電極との接触性の改善には、 解質膜の表層部を熱で溶融させつつ電解質 と電極とを接合するホットプレス法が有効 ある。しかし、ポリイミドのような熱硬化 樹脂を主成分とした炭化水素系電解質膜に ットプレス法を採用するのは困難である。 ノード、電解質膜およびカソードをセパレ タで強く挟む方法もあるが、接触抵抗を十 に低減するには至らない。
電解質膜と電極との接触性を改善する他 方法として、非特許文献1には、ナフィオン を電解質膜に塗布する方法が開示されている 。例えば、スルホン化ポリイミド膜をナフィ オン分散液に浸漬し、乾燥させる。これによ り、スルホン化ポリイミド膜上にナフィオン 層が形成される。ナフィオン層を有するスル ホン化ポリイミド膜と、電極とをホットプレ ス法で接合する。しかし、コストや環境負荷 の観点から、フッ素樹脂の使用を回避ないし 抑制できるのであれば、それに越したことは ない。
こうした事情に鑑み、本発明の目的は、 極との接触性が改善された炭化水素系電解 膜を提供することにある。
すなわち、本発明は、
炭化水素系電解質を主成分として含む基材
と、
前記基材層に積層された層であり、水酸基
よびプロトン伝導基を有する高分子材料を
成分として含む表面層と、
を備えた、固体高分子型燃料電池用の電解
膜を提供する。
他の側面において、本発明は、
上記本発明の電解質膜と、
前記電解質膜を挟むように配置された一対
電極と、
を備えた、膜-電極接合体を提供する。
さらに他の側面において、本発明は、
上記本発明の膜-電極接合体を発電要素とし
て有する、燃料電池を提供する。
さらに他の側面において、本発明は、
炭化水素系電解質を主成分として含む基材
準備する工程と、
水酸基を有する第1高分子と、プロトン伝導
基を有する第2高分子とを含む溶液を調製す
工程と、
前記溶液を用いて、前記第1高分子を架橋す
ることによって形成されたマトリクスに前記
第2高分子が保持された高分子材料を主成分
して含む表面層を前記基材上に形成する工
と、
を含む、固体高分子型燃料電池用の電解質
の製造方法を提供する。
上記本発明の電解質膜は、基材層と、基 層に積層された表面層とを有する。表面層 、水酸基およびプロトン伝導基を有する。 酸基は、含水時における表面層の柔軟性を めると考えられる。そのため、本発明の電 質によれば、機械的強度やガス遮断性のよ な特性を基材層で確保しつつ、表面層によ て電極との接触性を改善することができる また、複層構成によれば、各層の特性を個 的に調節できるため、単層構成に比べて、 計の自由度も高い。
本発明の電解質膜は、従来の炭化水素系 解質膜に比べて、電極との接触性が改善さ たものである。したがって、本発明の電解 膜を燃料電池のMEAに用いると、触媒や電解 が活性化するのに要する時間(エージング時 間)を短くできたり、発電効率が高まったり る。
以下、本発明の一実施形態について説明 る。本明細書において、「主成分」とは、 量%で最も多く含まれる成分のことをいう。
図1は、本実施形態の炭化水素系電解質膜 の模式図である。電解質膜1は、基材層3およ 表面層5を有する。表面層5は、基材層3に積 された層であり、基材層3の表面を覆ってい る。電解質膜1の表面は、表面層5によって形 されている。
本実施形態では、基材層3を挟むように、 当該基材層3の上面および下面に表面層5が設 られている。これにより、アノードおよび ソードの両極で接触性を改善できる。ただ 、表面層5が基材層3の片面にのみ設けられ いてもよい。さらに、表面層5によって基材 3が包まれていてもよい。つまり、基材層3 側面が表面層5によって覆われていてもよい
<<基材層3>>
基材層3は、炭化水素系電解質を主成分とし
て含む層である。炭化水素系電解質は、水を
含んで膨潤するものであるが、水に不溶また
は難溶の性質を有するものである。そのよう
な炭化水素系電解質として、スルホン化ポリ
イミドやスルホン化ポリアリーレンを例示で
きる。スルホン化ポリアリーレンとして、ス
ルホン化ポリエーテルエーテルケトンやスル
ホン化ポリエーテルスルホンを例示できる。
これらの樹脂は、フッ素樹脂に比べて安価で
あり、メタノール遮断性にも優れる。
中でも、スルホン化ポリイミドは、剛直 分子構造を持つので、熱的または機械的耐 性に優れている。また、スルホン化ポリイ ドは、原料モノマーとして使用する酸無水 やジアミンの種類によって性質が変化する そのため、基材層3の材料としてスルホン化 ポリイミドを用いる場合には、電解質膜1に 求される特性に適合するように、基材層3の 質を比較的簡単に調節できる。
一般に、スルホン化ポリイミドは、熱溶 しないうえ、電極との親和性も低い。その め、スルホン化ポリイミドでできている電 質膜と電極との接触性はあまりよくない。 ルホン化ポリイミドでできている電解質膜 、活性化が遅いことも指摘されている。こ に対し、本実施形態の電解質膜1では、基材 層3が表面層5で覆われている。そのため、電 質膜1と電極との接触性は、単独のスルホン 化ポリイミド膜と比較して、大幅に改善され ている。また、表面層5はスルホン化ポリイ ド膜(基材層3)に比べて迅速に活性化しうる 本実施形態の電解質膜1を燃料電池に用いる とによって、発電時のエージングに必要な 間を短縮できたり、発電効率が向上したり る。
基材層3の厚さは特に限定されないが、電 解質膜1の強度を確保するために、5~300μmの範 囲にあるとよい。
<<表面層5>>
表面層5は、水酸基および水酸基以外のプロ
トン伝導基を有する高分子材料を含む層であ
る。プロトン伝導基の例は、スルホン酸基や
リン酸基であり、典型的にはスルホン酸基で
ある。プロトン伝導基を有することによって
、当該高分子材料の電解質としての機能が確
保される。
表面層5は、適度な保水性を有する層であ る。適度な保水性を有することによって、電 解質膜1と電極との間をプロトンや水が移動 やすくなる。また、表面層5があることによ て、電解質膜1の表面の柔軟性が増す。表面 が軟らかいと、電解質膜1が電極の凹凸に追 しやすくなる。その結果、電解質膜1と電極 の接触面積が大きくなるとともに、接触抵 も低減する。
具体的に、表面層5を構成する高分子材料 は、水酸基を有する第1高分子と、プロトン 導基を有する第2高分子とを含むものであり る。さらに詳細には、第1高分子が架橋する ことによってマトリクスを形成し、そのマト リクスに第2高分子が保持されている。
第1高分子は、多数の水酸基を有している 影響で水溶性である場合が多いが、架橋処理 することによって非水溶性のマトリクスを形 成しうる。そして、このマトリクスにプロト ン伝導基を有する第2高分子を保持させる。 のようにすれば、水溶性の第2高分子を表面 5の材料として使用できる。水溶性の第2高 子を使用することによって、表面層5に優れ 保水性および柔軟性を付与できる。このよ な表面層5において、水は、高い移動度を有 する。
第1高分子として、例えばビニル樹脂を使 用できる。ビニル樹脂の具体例は、ポリビニ ルアルコール(PVA)およびエチレン-ビニルアル コール共重合体(EVOH)であり、これらを単独ま たは混合して使用できる。中でも、ポリビニ ルアルコールを好適に使用できる。よく知ら れているように、PVAは水溶性であるが、架橋 PVAは非水溶性である。表面層5を形成するた の第1高分子が水溶性であることは、後述す 製造方法を採用できるという観点で好まし 。
第1高分子として、多糖類を用いてもよい 。多糖類として、キチン、キトサンおよびセ ルロースからなる群より選ばれた少なくとも 1つを使用できる。第1高分子として、ビニル 脂と多糖類との混合物も使用できる。
第2高分子として、水溶性を有するスルホ ン化ポリアリーレンを好適に用いることがで きる。スルホン化ポリアリーレンとして、ス ルホン化ポリエーテルエーテルケトンやスル ホン化ポリエーテルスルホンが挙げられる。 表面層5に用いられるスルホン化ポリアリー ンは、スルホン酸基を多く導入することに って水に可溶な性質が付与されたものであ うる。
さらに、第2高分子として、ポリスチレン スルホン酸、ポリビニルスルホン酸、ポリ-2- アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸 、水溶性スルホン化ポリエーテルエーテルケ トンおよび水溶性スルホン化ポリエーテルス ルホンからなる群より選ばれた少なくとも1 を用いてもよい。これらは、いずれも水に ける性質を有している。第1高分子と同様に 第2高分子が水溶性であることは、後述する 製造方法を採用できるという観点で好ましい 。
表面層5の保水性と基材層3の保水性との 小関係は特に限定されない。保水性の指標 して、水重量膨潤率を採用できる。水重量 潤率が高ければ高いほど保水性に優れるこ を意味する。
水重量膨潤率は、下式によって定義される
ただし、25℃、60RH%の雰囲気に放置したとき
の試料の重量を乾燥重量とし、25℃の水に浸
して膨潤させた後の試料の重量を膨潤重量
する。
(水重量膨潤率)=100×{(膨潤重量)/(乾燥重量)-1
}
具体的に、表面層5は、40~200%の水重量膨 率を有していることが好ましい。これによ 、表面層5が十分な保水性と高い柔軟性を発 し、電解質膜1と電極との接触性を改善する 効果が十分に得られる。基材層3も表面層5と 程度の保水性を有しているとよい。
なお、表面層5の水重量膨潤率は、次の手 順で測定できる。電解質膜1の水重量膨潤率 、基材層3の水重量膨潤率とを個別に測定す 。得られた測定値と各層の寸法とから、表 層5の固有の水重量膨潤率を見積もることが できる。
表面層5の厚さは、特に限定されるもので はないが、0.3~200μmまたは1~50μmの範囲にある よい。基材層3のプロトン伝導率にもよるが 、表面層5が厚すぎるとプロトン伝導性が低 なりすぎる可能性がある。他方、表面層5が すぎると、表面層5が電解質膜1と電極との 触性に及ぼす効果が期待できなくなる。
なお、本実施形態では、電解質膜1の上面 (第1主面)を形成する表面層5と、下面(第2主面 )を形成する表面層5との双方が同一の組成お び同一の厚さを有する。ただし、一対の表 層5の組成や厚さは、互いに相違していても よい。なぜなら、アノードに適した表面層5 、カソードに適した表面層5とを別々に作製 ることを要する場合が考えられるからであ 。
<<電解質膜1の製造方法>>
図1に示す電解質膜1は、以下に示す方法に
って製造できる。まず、炭化水素系電解質
主成分として含む電解質膜を準備する。こ
電解質膜は、基材層3となるものであり、例
ばスルホン化ポリイミド電解質膜である。
ルホン化ポリイミド電解質膜の製造方法は
知であり、例えば非特許文献2に開示されて
いる。
その一方で、水酸基を有する第1高分子と 、プロトン伝導基を有する第2高分子とを含 溶液を調製する。この溶液には、基材層3を 成するべき電解質膜が溶けない溶媒を用い とよい。具体的には、溶媒として水が用い れる。この場合、第1高分子および第2高分 は、水溶性であることを要する。第1高分子 水溶液と、第2高分子の水溶液とを別々に調 製し、これらの水溶液を混合して用いるよう にしてもよい。
溶液における第1高分子と第2高分子との 率は特に限定されない。ただし、プロトン 導基を有する第2高分子が多すぎると、表面 5の機械的強度が不足したり、第2高分子が 面層5から溶出しやすくなったりする。一方 第2高分子が少なすぎると、プロトン伝導性 が不足し、電解質膜1の機能不全を招く。こ らの点を考慮し、第1高分子としてPVAを用い 場合において、第1高分子と第2高分子の比 は、重量比で(第1高分子:第2高分子)=95:5~50:50 範囲にあるとよい。
なお、PVAの分子量は特に限定されないが 粘度平均分子量が10000~2000000の範囲にあるPVA を用いることにより、電解質膜として好適な 膜を形成できる。PVAの粘度平均分子量の好ま しい範囲は、例えば50000~200000である。
溶液の濃度は特に限定されないが、通常 1~50重量%の範囲である。3~20重量%の範囲であ れば、均一な厚さの表面層5を形成しやすい
次に、溶液を基材に塗布する。塗布方法 して、ディッピング法やスプレー法を採用 きる。これらの方法によれば、均一な厚さ 膜を基材上に効率よく形成することができ 。基材が水に溶けない材料でできている場 には、生産効率に優れるディッピング法を 用するとよい。こうして基材上に形成され 膜は、第1高分子および第2高分子を含む前 体膜である。前駆体膜において、第1高分子 架橋されていない。
次に、基材上に形成された前駆体膜を乾 させる。前駆体膜の乾燥は、前駆体膜を加 することによって行ってもよい。PVAのよう 熱処理によって結晶化が進む第1高分子を使 用する場合、乾燥時の加熱の有無が表面層5 特性に影響を及ぼす。架橋前にPVAの結晶化 適度に進めることによって、表面層5のプロ ン伝導性およびメタノール遮断性が改善し る。
前駆体膜が形成された基材を熱処理炉に れることによって、前駆体膜の乾燥を行え 。熱処理炉の雰囲気温度は、前駆体膜の融 温度または分解温度未満であれば特に限定 れない。第1高分子としてPVAを用いる場合、 PVAの結晶化が進行する温度である100~180℃の 囲がよく、PVAの結晶化が最も進行する120~140 の範囲が好ましい。熱処理時間は、温度に よるが、PVAが比較的速やかに結晶化するた 、数分間~1時間程度である。
次に、第1高分子を架橋する工程を行う。 架橋剤として、第1高分子の水酸基と反応す 官能基を分子内に複数有する架橋剤を用い ばよい。具体的には、グルタルアルデヒド テレフタルアルデヒドおよびスベロイルク ライドを例示できる。
架橋工程は既知の手法に従って行うこと できる。例えば、架橋剤を含む溶液(架橋溶 液)に前駆体膜を浸漬する。これにより、第1 分子の架橋反応が進行し、基材(基材層3)の に表面層5が形成される。架橋溶液の濃度お よび架橋時間は、前駆体膜の組成および架橋 剤の種類などに応じて適宜設定すればよい。 一例では、架橋溶液の濃度が1~20重量%、架橋 間が0.1~48時間である。架橋溶液の濃度や架 時間によって架橋の度合いが変化する。こ により、表面層5の水重量膨潤率や硬度を制 御できる。
なお、ナトリウム塩またはアンモニウム などの塩の状態にあるプロトン伝導基を有 る第2高分子を用いた場合、プロトン伝導基 をプロトン型に変化させるための酸処理工程 を実施してもよい。酸処理工程の具体的な方 法は特に限定されない。例えば、架橋工程を 実施した後で、電解質膜を0.5~2Nの塩酸水溶液 または硫酸水溶液に、1~24時間程度浸漬すれ よい。
以上の各工程を実施することによって、 1に示す電解質膜1が得られる。
なお、第1高分子および第2高分子を含む 液を用いて表面層5としてのフィルムを作製 、そのフィルムを基材に貼り合わせること よって、電解質膜1を得るようにしてもよい 。この方法は、基材が溶液に可溶である場合 に有効である。
さらに、架橋を使う方法以外にも、水酸基
よびプロトン伝導基を有する高分子材料を
る方法はある。具体的には、以下の方法(i)(
ii)(iii)が挙げられる。
(i)プロトン伝導基を有するモノマーと水酸基
を有するモノマーとの共重合
(ii)水酸基とプロトン伝導基とを有するモノ
ーの重合
(iii)水酸基を有する高分子へのプロトン伝導
の導入(官能基置換やグラフト化による)
これらの方法によって得た高分子材料を ィルム状に成形し、基材に貼り合わせるこ によって、図1の構造を持った電解質膜を製 造できる。また、こうした方法を採用する場 合には、第1高分子や第2高分子が水に可溶で ることを要しない。
本発明の電解質膜の用途は特に限定され いが、PEFCの高分子電解質膜(PEM)としての用 、特に燃料にメタノールを含む溶液を用い DMFCのPEMとしての用途に好適である。
<<膜-電極接合体>>
本発明の膜-電極接合体(MEA)の一例を図2に示
す。図2に示すMEA21は、電解質膜1と、電解質
1を挟むように配置された一対の電極(アノー
ド7およびカソード8)とを備えている。電解質
膜1とアノード7とは互いに接合されている。
様に、電解質膜1とカソード8とは互いに接
されている。電解質膜1と各電極との接合は
熱プレスや圧接のような既知の手法によっ
行える。
<<固体高分子型燃料電池>>
本発明の固体高分子型燃料電池(PEFC)の一例
図3に示す。図3に示す燃料電池11は、MEA21と
MEA21を挟むように配置された一対のセパレ
タ(アノードセパレータ13aおよびカソードセ
レータ13b)とを備えている。各部材は、当該
部材の主面に垂直な方向に圧力が印加された
状態で接合されている。
電解質膜1が用いられたMEA21をPEFCに組み込 むことにより、PEFCのエージング時間や発電 率を改善できる。本発明の燃料電池は、必 に応じて、図3に示す部材以外の部材を備え いてもよい。また、図3に示すPEFC11はいわゆ る単セルであるが、本発明の燃料電池は、こ のような単セルを複数積層したスタックであ ってもよい。
以下、実施例により、本発明をより詳細 説明する。本発明は、以下に示す実施例に 定されない。
(実施例)
まず、スルホン化ポリイミド電解質膜(4,4'-b
is(aminophenoxy)biphenyl-3,3'-disulfonic acid(BAPBDS):4,4'-
bis(aminophenoxy)biphenyl(BAPB)=4:1(モル比))を以下の
順で作製した。4,4'-ビス(4-アミノフェノキ
)ビフェニル-3,3'-ジスルホン酸(BAPBDS)3.17g、4,4
'-ビス(4-アミノフェノキシ)ビフェニル(BAPB)0.5
5g、m-クレゾール15mlおよびトリエチルアミン1
.7mlを100mlの四つ口フラスコに入れ、窒素気流
下、80℃にて撹拌しながら各原料をm-クレゾ
ルに溶解させた。次に、その溶液に、1,4,5,8-
ナフタレンテトラカルボン酸二水和物(NTDA)2.0
1gおよび安息香酸1.73gを加え、そのまま窒素
流しながら180℃で20時間撹拌して重合を行っ
た。反応終了後、m-クレゾール10mlを加えて重
合溶液を希釈した。希釈液をアセトン中に滴
下し、析出した固形物を濾別し、乾燥させた
。得られた生成物を6.5重量%となるようにm-ク
レゾールに溶かし、塗布液を調製した。この
塗布液をガラス基板に塗布し、120℃で12時間
燥させた。乾燥後、得られた膜を1.0mol/mlの
酸水溶液中に室温で24時間浸漬し、プロト
交換を行った。純水で膜を洗浄後、150℃で12
時間真空乾燥させ、スルホン化ポリイミド電
解質膜を得た。
次に、PVA(重合度3500)の水溶液(濃度5重量%) と、ポリスチレンスルホン酸ナトリウム(PSSNa 、重量平均分子量1000000)の水溶液(濃度5重量%) とを、ポリマー重量比でPVA:PSSNa=70:30となるよ うに混合した。全体が均一になるまで混合溶 液を撹拌した。この混合溶液に、スルホン化 ポリイミド電解質膜を浸漬した。スルホン化 ポリイミド電解質膜の寸法は、縦10cm、横10cm 厚さ40μmであった。混合溶液から膜を引き げた後、60℃で乾燥させた。さらに、もう一 度浸漬した後、膜を室温で24時間乾燥させた このようにして、PVAおよびPSSNaを含む前駆 膜をスルホン化ポリイミド電解質膜の上に 成した。
次に、上記で得た膜を架橋溶液に室温で4 時間浸漬し、架橋反応を行った。架橋溶液と して、グルタルアルデヒドを18重量%、硫酸を 0.01重量%含むアセトン溶液を用いた。架橋反 の終了後、膜を純水で洗浄し、さらに0.5モ /リットルの硫酸水溶液に60℃で6時間浸漬し た。これにより、ポリスチレンスルホン酸ナ トリウム(PSSNa)をポリスチレンスルホン酸(PSSA )に変化させた。最後に、膜を純水で洗浄し 室温で24時間真空乾燥させた。このようにし て、実施例の電解質膜を得た。この電解質膜 における表面層の厚みは7μmであった。
一方、上述の混合溶液を用いて、PVAおよ PSSNaでできた厚さ30μmのフィルムを作製した 。このフィルムに対して、実施例の電解質膜 と同一条件で架橋処理を行った。このフィル ムは、実施例の電解質膜の表面層と同一物で ある。こうして得られたフィルムの水重量膨 潤率は64%であった。また、基材として用いた スルホン化ポリイミド電解質膜の水重量膨潤 率は87%であった。
次に、実施例の電解質膜を用いて発電試 を行った。具体的には、電解質膜を水に浸 した後、パッシブ型のDMFCによる発電試験を 行った。アノードおよびカソードとして、カ ーボンペーパー(東レ社製、TGP-H-060)上に、白 担持触媒(田中貴金属社製、TEC66E50(アノード )、TEC10E50E(カソード))およびパーフルオロカ ボンスルホン酸(デュポン社製、ナフィオンD E-520)からなる触媒層が設けられたガス拡散電 極を用いた。アノード、電解質膜およびカソ ードを重ね合わせ、DMFCの外側のプレートを め付けて、アノード、電解質膜およびカソ ドを圧接した。燃料として、3モル/リットル の濃度のメタノール水溶液を用いた。カソー ドは空気に曝した。負荷として、モータに直 結したプロペラを用いた。
燃料の供給から40分後にプロペラが回転 た。その後、燃料の供給を止めるまでプロ ラは連続回転していた。負荷時の電圧は0.3V 電流は24~25mAであった。
(比較例)
実施例で基材として用いたスルホン化ポリ
ミド電解質膜を比較例の電解質膜(縦10cm、
10cm、厚さ40μm)として準備した。先に述べた
うに、スルホン化ポリイミド電解質膜の水
量膨潤率は87%であった。次に、比較例の電
質膜について、実施例と同一条件でDMFCによ
る発電試験を行った。その結果、燃料の供給
から20時間後にプロペラが回転したが、5秒で
停止した。負荷時の電圧は0.08Vであった。
このように、スルホン化ポリイミド電解質
(基材層3)の上に表面層5を設けることによっ
て、DMFCの発電までに要する時間や発電特性
改善した。
Next Patent: METHOD FOR MANUFACTURING COMPOUNDS HAVING AN ADAMANTANE STRUCTURE
