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Patent Searching and Data


Title:
ELECTROLYTE MEMBRANE FOR FUEL CELL AND PROCESS FOR PRODUCING THE ELECTROLYTE MEMBRANE
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/078319
Kind Code:
A1
Abstract:
Disclosed is a polymer electrolyte membrane for a fuel cell, which simultaneously has a high level of proton conductivity and gas barrier properties inherently possessed by a polymer film base material, possesses excellent dimensional change under dry and moist conditions and tensile strength, and further has excellent discharge properties and an enhanced interterminal voltage, and a process for producing the polymer electrolyte membrane. A polymer electrolyte membrane, for a fuel cell, comprising (1) a plurality of proton conductive paths passed through a polymer film base material in the film thickness-wise direction thereof and (2) a proton conductive layer provided in a layer form on one of or both surfaces of the polymer film base material is produced by the production process comprising a first irradiation step of applying high energy heavy ions to a polymer film base material to produce active species so as to allow the active species to pass through the polymer film base material in the film thickness-wise direction thereof, a second irradiation step of applying electron beams or ion beams set to a predetermined energy so as to produce active species in a layer form on the surface layer of the polymer film base material, and a graft polymerization step of, after the first and second irradiation steps, adding one or more monomers selected from the group consisting of monomers, which have a proton conductive functional group or into which a proton conductive functional group can be introduced in a later step, to perform graft polymerization of the monomer on the film base material.

Inventors:
KOBAYASHI, Misaki (1 Toyota-ch, Toyota-shi Aichi 71, 4718571, JP)
小林美咲 (〒71 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動車株式会社内 Aichi, 4718571, JP)
YAMAKI, Tetsuya (Japan Atomic Energy Agency 1233, Watanuki-mach, Takasaki-shi Gunma 92, 3701292, JP)
八巻徹也 (〒92 群馬県高崎市綿貫町1233番地 独立行政法人日本原子力研究開発機構 高崎量子応用研究所内 Gunma, 3701292, JP)
ASANO, Masaharu (Japan Atomic Energy Agency 1233, Watanuki-mach, Takasaki-shi Gunma 92, 3701292, JP)
Application Number:
JP2008/072396
Publication Date:
June 25, 2009
Filing Date:
December 10, 2008
Export Citation:
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Assignee:
TOYOTA JIDOSHA KABUSHIKI KAISHA (1 Toyota-cho, Toyota-shi Aichi, 71, 4718571, JP)
トヨタ自動車株式会社 (〒71 愛知県豊田市トヨタ町1番地 Aichi, 4718571, JP)
JAPAN ATOMIC ENERGY AGENCY (4-49, Muramatsu Tokai-mur, Naka-gun Ibaraki 84, 3191184, JP)
独立行政法人日本原子力研究開発機構 (〒84 茨城県那珂郡東海村村松4番地49 Ibaraki, 3191184, JP)
KOBAYASHI, Misaki (1 Toyota-ch, Toyota-shi Aichi 71, 4718571, JP)
小林美咲 (〒71 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動車株式会社内 Aichi, 4718571, JP)
YAMAKI, Tetsuya (Japan Atomic Energy Agency 1233, Watanuki-mach, Takasaki-shi Gunma 92, 3701292, JP)
International Classes:
H01M8/02; C08J7/18; H01B1/06; H01B13/00; H01M8/10
Attorney, Agent or Firm:
HIRAKI, Yusuke et al. (Kamiya-cho MT Bldg. 19F, 3-20 Toranomon 4-chome Minato-ku Tokyo, 01, 1050001, JP)
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Claims:
 (1)高分子フィルム基材の膜厚方向に貫通した複数のプロトン伝導経路と、(2)該高分子フィルム基材の片方又は両方の表面に層状に形成されたプロトン伝導層を備えた燃料電池用高分子電解質膜。
 前記プロトン伝導層の厚さが0.1~2.0μmであることを特徴とする請求項1に記載の燃料電池用高分子電解質膜。
 高分子フィルム基材に高エネルギー重イオンを照射し、該フィルム基材の膜厚方向に貫通するように活性種を生成する第1の照射工程と、該高分子フィルム基材の表層に層状に活性種を生成するように、所定エネルギーに設定された電子線又はイオンビームを照射する第2の照射工程と、該第1及び第2の照射工程の後に、プロトン伝導性官能基を有するか又は後工程でプロトン伝導性官能基を導入可能なモノマー群から選択される1種以上のモノマーを加えて、該フィルム基材と該モノマーをグラフト重合させるグラフト重合工程とを含むことを特徴とする燃料電池用高分子電解質膜の製造方法。
 (1)高分子フィルム基材の膜厚方向に貫通した複数のプロトン伝導経路と、(2)該高分子フィルム基材の片方又は両方の表面に層状に形成されたプロトン伝導層を備えた燃料電池用高分子電解質膜を、アノード電極及び/又はカソード電極に挟持してなる固体高分子型燃料電池。
 前記高分子フィルム基材の片方又は両方の表面に層状に形成されたプロトン伝導層が前記カソード電極側に配置されるように該高分子電解質膜に形成されてなることを特徴とする請求項4に記載の固体高分子型燃料電池。
Description:
燃料電池用電解質膜及びその製 方法

 本発明は、プロトン伝導性、乾湿寸法変 、引張強度、ガスバリア性に優れた燃料電 用電解質膜及びその製造方法に関する。

 燃料電池は、電池内で水素やメタノール の燃料を電気化学的に酸化することにより 燃料の化学エネルギーを直接電気エネルギ に変換して取り出すものであり、近年、ク ーンな電気エネルギー供給源として注目さ ている。特にプロトン伝導膜を電解質とし 用いる固体高分子型燃料電池は、高出力密 が得られ、低温作動が可能なことから電気 動車用電源として期待されている。

 このような固体高分子型燃料電池の基本 造は、電解質膜と、その両面に接合された 対の、触媒層を有するガス拡散電極とで構 され、更にその両側に集電体を配する構造 らなっている。そして、一方のガス拡散電 (アノード)に燃料である水素やメタノール 、もう一方のガス拡散電極(カソード)に酸化 剤である酸素や空気をそれぞれ供給し、両方 のガス拡散電極間に外部負荷回路を接続する ことにより、燃料電池として作動する。この とき、アノードで生成したプロトンは電解質 膜を通ってカソード側に移動し、カソードで 酸素と反応して水を生成する。ここで電解質 膜はプロトンの移動媒体、及び水素ガスや酸 素ガスの隔膜として機能している。従って、 燃料電池用高分子電解質膜としては、高いプ ロトン伝導性、強度、化学的安定性が要求さ れる他に、ガスバリア性に優れている必要が ある。

 他方、従来の機能性膜と呼ばれるものは 膜全体に官能基がランダムに分布していた 、官能基を有するラビリンス構造やメッシ 構造膜の場合には、官能基の空間的分布や 能基密度の制御が不可能という問題があっ 。

 即ち、市販のNafion(商標名)等の電解質膜 放射線グラフト重合を用いて製造した固体 分子電解質膜は、親水性のカチオン交換基 膜内部に一様に分布しているために、過度 含水による膨潤が生じ、分子間の相互作用 を弱める為に、水素やメタノールの過度の ロスオーバーが生じている。また、極めて 孔率の高い3次元的に連続した空孔を有する 孔質膜に、イオン交換樹脂を充填する試み Gore社やトクヤマ(株)によりされているが、 チオン交換に関与しないイオン交換樹脂が 在することで、やはり過度に膨潤する。さ に、用いる多孔質基材が、多孔質化可能な リテトラフルオロエチレンやポリエチレン 限られるが、これらがそもそも燃料電池用 解質膜として求められるガスバリア性が不 している為、得られる固体高分子電解質膜 該特性も燃料電池の要求特性に照らして、 分なものではなかった。

 ところで、燃料電池におけるエネルギー スを低減する為に、燃料電池用電解質膜に 高いプロトン伝導能力、つまり高いプロト 伝導度が要求される。さらに膨潤⇔乾燥時 寸法安定性や強度、ガスバリア性等の物性 求められる。これを両立させる為に、様々 方法で複合イオン交換膜、さらには複合イ ン交換膜の表面に補強材を含まないイオン 換樹脂層を積層した積層構造イオン交換膜 製造に関わる開発がなされてきた。

 複合イオン交換膜の製造方法としては、
A:多孔質基材にイオン交換樹脂を含浸する、
B:イオン交換樹脂にフィラ等の補強材を混合 ることにより形成した複合層、
がある。積層構造イオン交換膜の製造方法と しては、
C:補強材を含まないイオン交換樹脂溶液を複 イオン交換膜の表面にペーストして、乾燥 化させる、
D:補強材を含まないイオン交換膜を重ね合わ る(+熱処理等)、
がある。

 上記AやBによる複合イオン交換膜は、基 とイオン交換樹脂との化学的結合がないた 、電解質の寸法変化が大きく、また電解質 脱落を生じることにより、電解質膜として プロトン伝導能力の低下、ガス透過量の増 等物性の悪化を招く。また、このように作 した複合イオン交換膜の表面は、非プロト 材料である補強材が露出している場合が多 ため、膜一電極接合界面における接着不良 燃料電池動作環境における反応の局所化を き、これにより放電性能は低下した。

 また、CやDにより上記膜表面での補強材 露出を防止する試みは、膜表面におけるイ ン交換樹脂層の厚み制御に難があったり、 面において化学的結合が無い、或いは弱い に膜全体としての寸法安定性に乏しい、と う問題があった。

 そこで、本発明者らは、下記特許文献1に、 高い機能性と高分子フィルム基材が本来有す るガスバリア性と機械的強度を併せ持つ機能 性膜を提供し、特に、燃料電池用高分子電解 質膜として最適な、高いプロトン伝導性とガ スバリア性に優れた高分子電解質膜を提供す ることを目的として、非導電性無機粒子を含 む高分子フィルム基材に高エネルギー重イオ ンを10 4 ~10 14 個/cm 2 照射し、該フィルム基材に活性種を生成する イオン照射工程と、該イオン照射工程の後に 、機能性官能基を有するモノマーであるA群 ら選択される1種以上のモノマーを加えて、 フィルム基材と該モノマーをグラフト重合 せるグラフト重合工程とを含む機能性膜の 造方法を出願した。

特開2006-233086号公報

 特許文献1に開示された機能性膜及び燃料 電池用高分子電解質膜は、高いプロトン伝導 性とガスバリア性に優れた高分子電解質膜で あるが、放電性能の更なる向上が求められて いた。

 本発明は、高いプロトン伝導性と高分子 ィルム基材が本来有するガスバリア性を併 持ち、乾湿寸法変化や引張強度に優れた燃 電池用高分子電解質膜において、放電性能 優れ、端子間電圧を大きくした燃料電池用 分子電解質膜及びその製造方法を提供する とを目的とする。

 本発明者らは、高分子フィルム基材中の ロトン伝導部を特定の手段により特定の構 とすることで、上記課題が解決されること 見出し、本発明に到達した。

 即ち、第1に、本発明は、燃料電池用高分 子電解質膜の発明であり、(1)高分子フィルム 基材の膜厚方向に貫通した複数のプロトン伝 導経路と、(2)該高分子フィルム基材の片方又 は両方の表面に層状に形成されたプロトン伝 導層を備えた燃料電池用高分子電解質膜であ る。

 (1)高分子フィルム基材の膜厚方向に貫通 た複数のプロトン伝導経路により、高いプ トン伝導性が発現され、(2)該高分子フィル 基材の片方又は両方の表面に層状に形成さ たプロトン伝導層により、アノード電極及 /又はカソード電極との放電性能が向上する 。

 本発明において、プロトン伝導層の厚さ 特に限定されない。ただ、プロトン伝導層 一定の厚さ以上になってもそれ以上の効果 薄いので、プロトン伝導層の厚さとしては0 .1~2.0μmが好ましい。特に、カソード電極に対 する高分子電解質膜表面では1.0μm以下が好ま しく、アノード電極に対する高分子電解質膜 表面では0.5μm以下が好ましい。

 第2に、本発明は、上記の燃料電池用高分 子電解質膜の製造方法の発明であり、高分子 フィルム基材に高エネルギー重イオンを照射 し、該フィルム基材の膜厚方向に貫通するよ うに活性種を生成する第1の照射工程と、該 分子フィルム基材の表層に層状に活性種を 成するように、所定エネルギーに設定され 電子線又はイオンビームを照射する第2の照 工程と、該第1及び第2の照射工程の後に、 ロトン伝導性官能基を有するか又は後工程 プロトン伝導性官能基を導入可能なモノマ 群から選択される1種以上のモノマーを加え 、該フィルム基材と該モノマーをグラフト 合させるグラフト重合工程とを含むことを 徴とする。

 ここで、第1の照射工程と第2の照射工程 順序が逆であってもかまわない。

 本発明の燃料電池用高分子電解質膜の製 方法により、(1)高分子フィルム基材の膜厚 向に貫通した複数のプロトン伝導経路と、( 2)該高分子フィルム基材の片方又は両方の表 に層状に形成されたプロトン伝導層を備え 燃料電池用高分子電解質膜が製造される。

 第3に、本発明は、上記の燃料電池用高分 子電解質膜を備えた固体高分子型燃料電池の 発明であり、高分子フィルム基材の膜厚方向 に貫通した複数のプロトン伝導経路と、該高 分子フィルム基材の片方又は両方の表面に層 状に形成されたプロトン伝導層を備えた燃料 電池用高分子電解質膜を、アノード電極及び /又はカソード電極に挟持してなる固体高分 型燃料電池である。

 特に、高分子フィルム基材の片方又は両 の表面に層状に形成されたプロトン伝導層 該カソード電極側に配置されるように該高 子電解質膜に形成されてなることが好まし 。

 (1)高分子フィルム基材に高エネルギー重 オンを照射し、該フィルム基材の膜厚方向 貫通するように活性種を生成する第1の照射 工程とグラフト重合工程により、高分子フィ ルム基材の膜厚方向に貫通した複数のプロト ン伝導経路(プロトンパス)が形成され、(2)該 分子フィルム基材の表層に層状に活性種を 成するように、所定エネルギーに設定され 電子線又はイオンビームを照射する第2の照 射工程とグラフト重合工程により、該高分子 フィルム基材の片方又は両方の表面に層状に 形成されたプロトン伝導層が形成される。

 本発明の燃料電池用高分子電解質膜は、( 1)高分子フィルム基材の膜厚方向に貫通した 数のプロトン伝導経路により、高いプロト 伝導性が発現され、(2)該高分子フィルム基 の片方又は両方の表面に層状に形成された ロトン伝導層により、アノード電極及び/又 はカソード電極との放電性能が向上する。

 高分子フィルム基材とモノマーをグラフ 重合させるグラフト重合工程とを含むこと より、イオン照射や電子線照射によって損 を受けた潜在飛跡箇所のみに官能基を導入 た高分子電解質膜が得られることから、高 子フィルム基材の物性を維持できる。これ より、燃料電池用高分子電解質膜として、 いプロトン伝導性が得られ、且つガスバリ 性に優れ、乾湿寸法変化や引張強度に優れ ものとなる。

 本明細書は本願の優先権の基礎である日 国特許出願2007-323426号の明細書および/また 図面に記載される内容を包含する。

本発明の燃料電池用高分子電解質膜の 造工程を模式的に示す。 本発明の実施例で作製したサンプルのF E-SEM観察像を示す。 本発明の実施例で作製した表面処理サ プルと表面未処理サンプルの端子間電圧を 比して示す。 本発明の表面処理を、アノード及びカ ードの両面に施したサンプル、カソード面 みに施したサンプル、アノード面のみに施 たサンプル、及び表面未処理サンプルの表 加工厚さと端子間電圧の関係を対比して示 。

 図1に、本発明の燃料電池用高分子電解質 膜の製造工程を模式的に示す。第1の照射工 において、高分子フィルム基材に高エネル ー重イオンを照射し、該フィルム基材の膜 方向に貫通するように活性種を生成する(図1 (1))。又、第2の照射工程において、該高分子 ィルム基材の表層の片方又は両方に層状に 性種を生成するように、所定エネルギーに 定された電子線又はイオンビームを照射す (図1(2))。図示しないが、該第1及び第2の照 工程の後に、グラフト重合工程として、プ トン伝導性官能基を有するか又は後工程で ロトン伝導性官能基を導入可能なモノマー から選択される1種以上のモノマーを加えて 該フィルム基材と該モノマーをグラフト重 させる。これにより、(1)高分子フィルム基 の膜厚方向に貫通した複数のプロトン伝導 路(プロトンパス)と、(2)該高分子フィルム 材の片方又は両方の表面に層状に形成され プロトン伝導層が形成される。プロトン伝 経路により、高いプロトン伝導性が発現さ 、プロトン伝導層により、アノード電極及 /又はカソード電極との放電性能が向上する

 本発明において、前記機能性官能基を有 るか又は後工程で機能性官能基を導入可能 モノマー群から選択される1種以上のモノマ ー(A群モノマー)は単独でグラフト重合反応に 供しても良いが、他のA群モノマーに対し架 剤であるモノマー(B群モノマー)を加えたモ マー混合物としてグラフト重合反応に供し も良い。モノマー混合物として用いる場合 、機能性官能基を有するか又は後工程で機 性官能基を導入可能なモノマーであるA群モ マー20~99mol%に対し、A群モノマーに対し架橋 剤であるB群モノマー1~80mol%を加えたモノマー 混合物を用いることが好ましい。

 後述するように、本発明において、高分 フィルム基材及び機能性官能基を有するか は後工程で機能性官能基を導入可能なモノ ーであるA群モノマーとしては各種のものが 用いられる。その中で、高分子フィルム基材 が非極性高分子材料からなり、機能性官能基 を有するか又は後工程で機能性官能基を導入 可能なモノマーであるA群モノマーが非極性 ノマーである組み合わせが好ましい。

 非極性基材としては、エチレンテトラフ オロエチレン共重合体(ETFE)、ポリプロピレ (PP)、ポリエチレン(PE)、テトラフルオロエ レン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体(PFA )、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリ ニリデンフロライド(PVDF)、ポリクロロフル ロエチレン(CTFE)などが好ましく例示される 非極性モノマーとしては、ビニルトルエン アセナフチレン、ブチルビニルエーテル、2- クロロエチルビニルエーテル、シクロへキシ ルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、 p-1-ブトキシスチレンなどが好ましく例示さ る。

 又、前記高分子フィルム基材が非導電性 機粒子を含むことは、イオン照射の効率を める上で好ましい。

 前記イオン照射工程において照射される エネルギー重イオンのイオン種については に限定されず、サイクロトロン等で加速さ た各種イオン種が用いられる。例えば、Oイ オン、Feイオン、Arイオンから選択される1種 上が好ましく例示される。O、Fe、Arから選 される1種以上の重イオンを照射することで 厚の大きい高分子フィルム基材内部にもこ ら重イオンを到達させラジカルを発生させ ことができる。

 照射するイオン元素として、O、Fe、Arを いることにより、それ以外のXe等の元素の場 合と比較し、高分子フィルム中でのイオンの 飛程距離が倍以上となる。照射するイオン元 素として、O、Fe、Arを用いることにより、例 ば膜厚150μm程度の膜厚の厚い高分子フィル であっても、片面からのイオン照射で均一 膜質の電解質膜が得られる。

 本発明の燃料電池用電解質膜の製造方法に り、高分子フィルム基材に高エネルギー重 オン照射によって膜厚方向に貫通した照射 傷部位のみにカチオン交換性官能基を導入 てイオン交換能を付与できることから、
(A)プロトン伝導性を向上させることができる 。

(B)気孔率が小さく個々の高分子フィルム基材 の持つ物性を維持できる、
(C)官能基の位置・空間分布、官能基密度の制 御が可能である、
(D)イオン交換樹脂の充填量が少ない為、含水 による膨潤を抑制できる、
さらに、イオン照射法を用いることにより、 既存の多孔質基材にとらわれることなく、フ ィルム化が可能な全ての高分子材料に適用可 能なことから、
(E)イオン交換膜のプロトン伝導度とガスバリ ア性の物性制御が容易である、
等の特長を有する。

 本発明に用いられる高分子フィルム基材と ては、室温における酸素透過係数が10.0[cc*mm /(m 2 *day*atm)]以下であるものが、ガスバリア性に れており、高分子フィルム基材本来の性能 発揮できるので好ましい。

 高分子フィルム基材とA群から選択される 1種以上のモノマーが同種の元素からなる場 は、グラフト重合の際にグラフト鎖が高分 フィルム基材中に浸透しないので、好まし 。例えば、高分子フィルム基材が炭化水素 高分子からなり、A群モノマーが炭化水素系 ノマーからなる場合や、高分子フィルム基 が炭化フッ素系高分子からなり、A群モノマ ーが炭化フッ素系モノマーからなる場合が挙 げられる。

 本発明においては、グラフト重合工程に いて、200以上の分子量を持つ機能性モノマ である群から選択される1種以上のモノマー (C群モノマー)を加えることが出来る。200以上 の分子量を持つ機能性モノマーはグラフト重 合中に高分子フィルム基材中に浸透すること が少なく、潜在飛跡箇所のみに官能基を導入 することが出来る。

 また、本発明においては、グラフト重合 程において、グラフト重合し難い機能性官 基を有するモノマーである群から選択され 1種以上のモノマー(D群モノマー)を加えるこ とが出来る。

 本発明においては、高分子フィルム基材 架橋構造を有さないものを用いることが出 るが、架橋構造を付与したものを用いると 分子フィルム基材に所望の強度や物理的・ 学的安定性を与えることが出来る。高分子 ィルム基材としては、各種高分子材料を用 ることが出来る。この中で、炭化水素系、 化フッ素系、炭化水素・フッ素系高分子フ ルムのいずれかであることが好ましい。

 本発明で用いることのできる高分子フィ ム基材としては特に限定されない。例えば モノマー溶液の浸透性がよい炭化水素系の 分子フィルムが挙げられる。また、フッ素 の高分子フィルムはモノマー溶液の浸透性 よくないが、イオン照射をすることにより ィルム内部にモノマーが浸透し、内部での ラフト反応が進行するようになる。

 具体的には、超高分子量ポリエチレン、 リプロピレン、ポリスチレン、ポリアミド 芳香族ポリアミド、ポリエチレンテレフタ ート、ポリエチレンナフタレート、ポリカ ボネイト、ポリエーテルケトン、ポリエー ルエーテルケトン、ポリエーテルスルホン ポリフェニレンサルファイド、ポリスルホ 等のフィルム基材を用いてもよい。

 また、ポリイミド系の高分子フィルムで るポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリ ミドイミド、ポリベンゾイミダゾール、又 ポリエーテルエーテルイミドフィルム基材 用いてもよい。

 更に、ポリフッ化ビニリデン、エチレン- テトラフルオロエチレン共重合体、ポリテト ラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレ ン-六フッ化プロピレン共重合体、又はテト フルオロエチレン-パーフルオロアルキルビ ルエーテル共重合体フィルム基材を用いて よい。

 これらのフィルム基材の中で、フッ素系 ィルムは、架橋させると高分子構造中に架 構造が形成されてモノマーのグラフト率が 上し、更に耐熱性が高くなるため、照射に る膜強度の低下を抑制することができる。 たがって、高温用途において高性能を発揮 る燃料電池を製造するためには架橋フィル を使用するのが好適である。例えば、グラ トモノマーとしてスチレンを用いた場合、 架橋のポリテトラフルオロエチレンに比べ 架橋ポリテトラフルオロエチレンではグラ ト率を著しく増加させることができ、未架 のポリテトラフルオロエチレンの2~10倍のス ルホン酸基を架橋ポリテトラフルオロエチレ ンに導入できることを本発明者らは既に見出 している。

 これらのことから、本発明においては、 リエチレンテレフタレートフィルム基材の わりに、架橋構造を有する超高分子量ポリ チレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、 リアミド・芳香族ポリアミド、ポリエチレ テレフタレート、ポリエチレンナフタレー 、ポリカーボネイト、ポリエーテルケトン ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテ スルホン、ポリフェニレンサルファイド、 はポリスルホンフィルム基材を使用するこ が好適である。

 また、架橋構造を有するポリイミド、ポ エーテルイミド、ポリアミドイミド、ポリ ンゾイミダゾール、又はポリエーテルエー ルイミドフィルム基材も好適である。同様 、架橋構造を有するポリフッ化ビニリデン エチレン-テトラフルオロエチレン共重合体 、ポリテトラフルオロエチレン、テトラフル オロエチレン-六フッ化プロピレン共重合体 又はテトラフルオロエチレン-パーフルオロ ルキルビニルエーテル共重合体フィルム基 も好適である。

 本発明では、高分子フィルム基材に、サ クロトロン加速器などによって高エネルギ のHイオン、Heイオン、重イオンを照射する ここで、重イオンとは炭素イオン以上のイ ンをいうものとする。これらのイオンの照 によって、高分子フィルムにイオン照射に る照射損傷が生じる。その照射損傷領域は 射するイオンの質量やエネルギーに依存す が、イオン1個当たりおよそナノサイズから 数百ナノサイズの広がりをもっていることが 知られている。

 照射するイオンの数は個々のイオンによる 射損傷領域が重ならない程度に10 4 ~10 14 個/cm 2 照射するのがよい。照射はサイクロン加速器 などに接続された照射チェンバー内の照射台 に、例えば、10cm×10cmのフィルム基材を固定 、照射チェンバー内を10 -6 Torr以下の真空に引いた状態で、高エネルギ イオンをスキャンしながら行なうのがよい 照射量は、予め高精度電流計で計測したイ ン電流の電流量と照射時間から求めること できる。照射する高エネルギー重イオンの 類としては、炭素イオン以上の質量のイオ であって、加速器で実際にイオンを加速で るものがよい。

 イオンの発生させ易さやイオンの取扱い 容易さから、炭素、窒素、酸素、ネオン、 ルゴン、クリプトン、キセノンなどのイオ 種がより好適である。また、1個のイオンの 照射損傷領域を大きくするためには、金イオ ン、ビスマスイオン、又はウランイオンなど の質量の大きなイオンを用いてもよい。イオ ンのエネルギーはイオン種にもよるが、高分 子フィルム基材を厚さ方向に貫通するのに十 分なエネルギーであればよく、例えば、厚さ 50μmのポリエチレンテレフタレートフィルム 材では、炭素イオンは40MeV以上、ネオンイ ンは80MeV以上、アルゴンイオンでは180MeV以上 であり、同じく、厚さ100μmでは、炭素イオン は62MeV以上、ネオンイオンは130MeV以上、アル ンイオンでは300MeV以上である。また、キセ ンイオン450MeVでは厚さ40μm、ウランイオン2. 6GeVでは厚さ120μmのフィルム基材を貫通する とができる。

 照射に用いるイオンがフィルム基材の膜 の1/2程度の飛程でも、フィルムの両面から 種や異種のイオンを照射量を変えて照射し り、また、飛程の長いより軽いイオンと飛 の短いより重いイオンを組み合わせてフィ ムの両面から照射したりすることによって フィルムの表面から内部に向かって異なる 射損傷領域の分布を作り出すことができる これは後述するグラフト反応において、フ ルム内に異なる量又は長さのグラフト鎖、 た、異なる形態の高分子構造を生ぜしめる この結果、フィルム基材のグラフト鎖中の ルホン酸基の分布の変化を利用して、フィ ム基材内の水分の分布やフィルムの燃料ガ の透過を制御することができる。

 また、重イオンではフィルムの膜厚を貫 するのに、上記のような非常に高いエネル ーのイオンが必要となる。例えば、22MeVの 素イオンのポリエチレンテレフタレートフ ルム基材中での飛程は25μm程度であり、厚さ 50μmのこのフィルム基材を貫通させることは きないし、50μmのポリエチレンテレフタレ トフィルム基材を貫通するには40MeV程度のエ ネルギーが必要であるが、フィルムの両面か ら照射すれば22MeVの炭素イオンで十分である より大きなエネルギーのイオンを発生させ には、より大きな加速器が必要になり、設 に大きな費用がかかる。このことからも、 面からのイオン照射は本発明におけるイオ 交換膜製造にとってきわめて有効である。

 ここで、O、Fe、Arから選択される1種以上 重イオンを照射することで膜厚の大きい高 子フィルム基材内部にもこれら重イオンを 達させラジカルを発生させることができる 照射するイオン元素として、O、Fe、Arを用 ることにより、それ以外のXe等の元素の場合 と比較し、高分子フィルム中でのイオンの飛 程距離が倍以上となる。膜厚方向に均一な性 質の電解質膜を得るために、膜厚約30μm以下 高分子フィルム基材を用いる。これ以上の 厚の高分子フィルム基材を用いる場合には 均一な電解質膜を得るには膜両面照射が必 であった。照射するイオン元素として、O、 Fe、Arを用いることにより、例えば膜厚150μm 度の膜厚の厚い高分子フィルムであっても 片面からのイオン照射で均一な膜質の電解 膜が得られる。これにより、製造工程の簡 化及び設備コスト低減を達成することがで る。

 イオン交換能等の機能性の大きな膜を得る はイオンの照射量を多くすればよい。イオ 照射量が多いと、フィルム基材が劣化した 、照射損傷領域が重なって後述するモノマ のグラフト効率が悪くなったりする。また 照射量が少ないと、モノマーのグラフト量 少なく十分なイオン交換容量が得られない このことから、イオン照射密度は10 4 ~10 14 個/cm 2 の範囲がよい。

 本発明で用いられる「機能性官能基を有 るか又は後工程で機能性官能基を導入可能 モノマーであるA群から選択される1種以上 モノマー」とは、機能性官能基を有するモ マー自体だけでなく、後工程の反応により 能性官能基に変換する基を有するモノマー 意味する。

 本発明では、重イオン照射された高分子フ ルム基材に以下に例示するモノマーを加え 脱気した後加熱し、フィルム基材に該モノ ーをグラフト重合させ、さらに、グラフト 子鎖内のスルホニルハライド基[-SO 2 X 1 ]、スルホン酸エステル基[-SO 3 R 1 ]、又はハロゲン基[-X 2 ]をスルホン酸基[-SO 3 H]とすることにより製造する。また、グラフ 鎖内の炭化水素系モノマー単位に存在する ェニル基、ケトン、エーテル基などはクロ スルホン酸でスルホン酸基を導入して製造 ることができる。

 本発明において、フィルム基材にグラフ 重合するA群モノマーは、以下の(1)~(6)に示 モノマーが代表的である。

(1)スチレン、α-ビニルスチレン、スチレン 誘導体モノマーである2,4-ジメチルスチレン ビニルトルエン、及び4-tertブチルスチレン らなる群から選択される1種類以上のモノマ 。

(2)スルホニルハライド基を有するモノマーで ある、CF 2 =CF(SO 2 X 1 )(式中、X 1 はハロゲン基で-Fまたは-Clである。以下同じ )、CH 2 =CF(SO 2 X 1 )、及びCF 2 =CF(OCH 2 (CF 2 ) m SO 2 X 1 )(式中、mは1~4である。以下同じ。)からなる から選択される1種類以上のモノマー。

(3)スルホン酸エステル基を有するモノマーで ある、CF 2 =CF(SO 3 R 1 )(式中、R 1 はアルキル基で-CH 3 、-C 2 H 5 または-C(CH 3 ) 3 である。以下同じ。)、CH 2 =CF(SO 3 R 1 )、及びCF 2 =CF(OCH 2 (CF 2 ) m SO 3 R 1 )からなる群から選択される1種類以上のモノ ー。

(4)CF 2 =CF(O(CH 2 ) m X 2 )(式中、X 2 はハロゲン基で-Br又は-Clである。以下同じ。 )、及びCF 2 =CF(OCH 2 (CF 2 ) m X 2 )からなる群から選択される1種類以上のモノ ー。

(5)アクリルモノマーである、CF 2 =CR 2 (COOR 3 )(式中、R 2 は-CH 3 又は-Fであり、R 3 は-H、-CH 3 、-C 2 H 5 又は-C(CH 3 ) 3 である。以下同じ。)、及びCH 2 =CR 2 (COOR 3 )からなる群から選択される1種類以上のモノ ー。

(6)アセナフチレン、ビニルケトンCH 2 =CH(COR 4 )(式中、R 4 は-CH 3 、-C 2 H 5 又はフェニル基(-C 6 H 5 )である。)、及びビニルエーテルCH 2 =CH(OR 5 )(式中、R 5 は-C n H 2n+1 (n=1~5)、-CH(CH 3 ) 2 、-C(CH 3 ) 3 、又はフェニル基である。)からなる群から 択される1種類以上のモノマー。

 本発明で用いられる「A群モノマーに対し 架橋剤であるB群モノマー」の具体例として 、ジビニルベンゼン、トリアリルシアヌレ ト、トリアリルイソシアヌレート、3,5-ビス( トリフルオロビニル)フェノール、及び3,5-ビ (トリフルオロビニロキシ)フェノールとう 挙げられる。これら1種類以上の架橋剤を、 モノマー基準で30モル%以下の量加えてグラ ト重合させる。

 本発明で用いられる「200以上の分子量を つ機能性モノマーであるC群モノマー」とは ,上記A群モノマーの内、分子量が200以上のも である。

 本発明で用いられる「グラフト重合し難 機能性官能基を有するモノマーであるD群か ら選択される1種以上のモノマー」とは、上 A群のモノマー中の(1)~(3)に示すパーフルオロ ビニルモノマーが代表的である。再度列記す ると以下のものである。

(1)スルホニルハライド基を有するモノマーで ある、CF 2 =CF(SO 2 X 1 )(式中、X 1 はハロゲン基で-Fまたは-Clである。以下同じ )、CH 2 =CF(SO 2 X 1 )、及びCF 2 =CF(OCH 2 (CF 2 ) m SO 2 X 1 )(式中、mは1~4である。以下同じ。)からなる から選択される1種類以上のモノマー。

(2)スルホン酸エステル基を有するモノマーで ある、CF 2 =CF(SO 3 R 1 )(式中、R 1 はアルキル基で-CH 3 、-C 2 H 5 または-C(CH 3 ) 3 である。以下同じ。)、CH 2 =CF(SO 3 R 1 )、及びCF 2 =CF(OCH 2 (CF 2 ) m SO 3 R 1 )からなる群から選択される1種類以上のモノ ー。

(3)CF 2 =CF(O(CH 2 ) m X 2 )(式中、X 2 はハロゲン基で-Br又は-Clである。以下同じ。 )、及びCF 2 =CF(OCH 2 (CF 2 ) m X 2 )からなる群から選択される1種類以上のモノ ー。

 以下、本発明の実施例と比較例を示す。

[実施例1~14]
 基材として、エチレン-テトラフルオロエチ レン(ETFE、旭硝子社製「アフレックス」25μm )を用いた。検討したバルク加工条件及び表 加工条件は下記表1の通りである。又、各種 測定結果は下記表2の通りである。

 サンプル作製工程は以下の通りである。

1)基材(フィルム)として、エチレン-テトラ ルオロエチレン(ETFE、旭硝子社製「アフレ クス」25μm厚)を用いた。

2)サイクロトロンにて加速したXeイオンを、45 0eVで3×10 7 ~3×10 8 個/cm 2 の密度でフィルムに照射した。

3)フィルム表面の片面又は両面にイオンビ ム又は電子線を照射した。

4)照射チャンバーよりフィルムを大気中に り出し、スチレン100%に浸漬し、60℃に加熱 、重合させた。

5)フィルムを取り出し、トルエン溶液で洗 した。

6)真空乾燥炉でフィルムを乾燥させた。

7)重量測定を実施し、グラフト率を求めた グラフト率は下記式で算出される。

グラフト率={(処理後のサンプル重量W2)-(処理 のサンプル重量W1)}í(処理前のサンプル重量 W1)
8)0.2mol/lのクロロスルホン酸/1,2-ジクロロエタ ン溶液にフィルムを浸漬後、水に浸漬してス チレンのスルホン化を行った。

9)室温、大気中で、サンプルの厚さを測定 た。

10)中和滴定を実施して、サンプル中に含ま れるスルホン酸量を求め、EW値を算出した。

11)80℃、90%RHで、交流インピーダンス測定 実施して、プロトン伝導度を求めた。

12)真空乾燥⇔水中での乾湿寸法測定を実施 した。

13)膜表面に触媒層を形成し、放電試験を実 施した。

[比較例]
 サンプル作製工程は以下の通りである。

1)基材(フィルム)として、エチレン-テトラ ルオロエチレン(ETFE、旭硝子社製「アフレ クス」25μm厚)を用いた。

2)サイクロトロンにて加速したXeイオンを、45 0eVで3×10 7 ~3×10 8 個/cm 2 の密度でフィルムに照射した。

3)照射チャンバーよりフィルムを大気中に り出し、スチレン100%に浸漬し、60℃に加熱 、重合させた。

4)フィルムを取り出し、トルエン溶液で洗 した。

5)真空乾燥炉でフィルムを乾燥させた。

6)重量測定を実施し、グラフト率を求めた グラフト率は下記式で算出される。

グラフト率={(処理後のサンプル重量W2)-(処理 のサンプル重量W1)}í(処理前のサンプル重量 W1)
7)0.2mol/lのクロロスルホン酸/1,2-ジクロロエタ ン溶液にフィルムを浸漬後、水に浸漬してス チレンのスルホン化を行った。

8)室温、大気中で、サンプルの厚さを測定 た。

9)中和滴定を実施して、サンプル中に含ま るスルホン酸量を求め、EW値を算出した。

10)80℃、90%RHで、交流インピーダンス測定 実施して、プロトン伝導度を求めた。

11)真空乾燥⇔水中での乾湿寸法測定を実施 した。

12)膜表面に触媒層を形成し、放電試験を実 施した。

 実施例1~14及び比較例において、プロトン 伝導度、乾湿寸法の測定は下記のように行っ た。

[プロトン伝導度の測定]
 サンプル膜を6mmφの円形に複数枚切り出す 同様に切り出した、抵抗値が既知な市販の 解質膜(今回はナフィオンN112(商品名))を間に 挟んで、これらを積層させる。20mm×20mmの白 電極板を用い、これら積層したサンプルを 下から一定の荷重で締結する。これを恒温 内に置き、80℃、90%RHの環境とする。白金電 間の交流インピーダンスを測定し、測定結 よりサンプルの抵抗値を読み取る。抵抗値 時間的推移がなくなった時点で、環境下に ける平衡に達したと判断する。抵抗値から ロトン伝導度を算出する。

[乾湿寸法の測定]
 サンプルを10×30mmに切り出す。

1)膜を80℃の水に30分間浸漬する。

2)膜を室温の水に15分間浸漬する。

3)室温の水中で膜の寸法(X,Y,l)測定する。

4)膜を80℃で1時間真空乾燥浸漬する。

5)膜の寸法(X,Y,l)測定する。

6)1)~5)を任意回数繰り返す。

7)安定した変化のサイクルのデータを採用す 。

 表1及び表2の結果より、高分子フィルム 材に高エネルギー重イオンを照射し、該フ ルム基材の膜厚方向に貫通するように活性 を生成する第1の照射工程と、該高分子フィ ム基材の表層に層状に活性種を生成するよ に、所定エネルギーに設定された電子線又 イオンビームを照射する第2の照射工程を併 用した本発明の実施例1~14で作製したサンプ は、高分子フィルム基材に高エネルギー重 オンを照射し、該フィルム基材の膜厚方向 貫通するように活性種を生成する照射工程 みを行った比較例で作製したサンプルと比 て、プロトン伝導度、乾湿寸法安定性、及 端子間電圧が格段に向上していることが分 る。

 図2に、本発明の実施例で作製したサンプ ルのFE-SEM観察像を示す。写真中、黒色部がプ ロトン伝導部を、白色部がプロトン非伝導部 を示す。図2の結果より、本発明の実施例で 製したサンプルでは、(1)高分子フィルム基 の膜厚方向に貫通した複数のプロトン伝導 路と、(2)高分子フィルム基材の片方又は両 の表面に層状に形成されたプロトン伝導層 、高分子フィルム基材中に形成されている とが分かる。

 図3に、本発明の実施例で作製した表面処 理サンプルと表面未処理サンプルの端子間電 圧を対比して示す。図3の結果より、本発明 表面処理により放電性能が向上したことが かる。

 図4に、本発明の表面処理を、アノード及 びカソードの両面に施したサンプル、カソー ド面のみに施したサンプル、アノード面のみ に施したサンプル、及び表面未処理サンプル の表面加工厚さと端子間電圧の関係を対比し て示す。図4の結果より、本発明の表面処理 カソード面に施すことが放電性能の向上に に効果的であることが分かる。又、処理厚 は、カソード面は1μm以下で十分であり、ア ード面は0.5μm以下で十分であることが分か 。

 本発明の表面処理、即ち高分子フィルム 材の表層に層状に活性種を生成するように 所定エネルギーに設定された電子線又はイ ンビームを照射する第2の照射工程を行うこ とは、上記のようなプロトン伝導度、乾湿寸 法安定性、及び端子間電圧の向上のほかに、 作業上下記のような利点を有している。

(1)表面加工プロセスが簡便
(2)精密な構造制御が可能(両面or片面、処理厚 さ、H + 官能基濃度等)
(3)基材とH + 官能基は共有結合している為、電解質の脱落 や物性の低下がない
(4)膜表層のイオン交換樹脂層によって、放電 性能が向上する

 本発明では、高分子フィルム基材に高エ ルギー重イオンを照射し、該フィルム基材 膜厚方向に貫通するように活性種を生成す 第1の照射工程と、該高分子フィルム基材の 表層に層状に活性種を生成するように、所定 エネルギーに設定された電子線又はイオンビ ームを照射する第2の照射工程を併用するこ で、燃料電池用として最適な高分子電解質 が製造させる。これにより、燃料電池用電 質膜に最適な、プロトン伝導度、乾湿寸法 定性、及び放電性(端子間電圧)に優れた高分 子電解質膜を提供することが出来、燃料電池 の普及に貢献する。

 本明細書で引用した全ての刊行物、特許 よび特許出願をそのまま参考として本明細 にとり入れるものとする。