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Patent Searching and Data


Title:
ELECTROMAGNETIC CLUTCH FOR COMPRESSOR
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2010/047424
Kind Code:
A1
Abstract:
An electromagnetic clutch for a compressor comprising a rotor coupled to the power source side, an armature coupled to the compressor drive shaft side, an electromagnetic coil for attracting the armature to the rotor by a magnetic force, and a means for mechanically amplifying the pushing force of the armature to the rotor, characterized in that, in order to configure the pushing force amplifying means, the rotor has first and second rotor side friction boards arranged opposite to each other across a gap, and the armature is arranged in the gap, has a first armature-side friction board which can abut on the first rotor-side friction board and a second armature-side friction board which can abut on the second rotor-side friction board, and has a mechanism for mechanically increasing the distance between the first and second armature-side friction boards in the axial direction as power is transmitted.  The electromagnetic clutch for compressor, which can provide positively the pushing force of the armature to the rotor that is sufficient for transmitting a high torque by preventing the generation of a drawing force on the drive shaft side of the compressor, can reduce the size and weight of the electromagnetic coil, and can achieve power saving, can thereby be provided.

Inventors:
SAKAMOTO YUKI (JP)
TAKAI KAZUHIKO
Application Number:
PCT/JP2009/068737
Publication Date:
April 29, 2010
Filing Date:
October 26, 2009
Export Citation:
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Assignee:
SANDEN CORP (JP)
SAKAMOTO YUKI (JP)
TAKAI KAZUHIKO
International Classes:
F16D27/112
Foreign References:
JPH07332394A1995-12-22
JP2007032682A2007-02-08
Attorney, Agent or Firm:
SANDEN CORPORATION (JP)
SANDEN CORP. (JP)
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Claims:
動力源側へと連結されるロータと、圧縮機駆動軸側へと連結されるアーマチュアと、磁力を発生し該磁力により前記アーマチュアを前記ロータに吸着させて両部材間での動力伝達を可能ならしめる電磁コイルと、動力伝達能力を増大させるために前記アーマチュアの前記ロータに対する押し付け力を機械的に増幅する押し付け力増幅手段とを備えた圧縮機用電磁クラッチにおいて、前記押し付け力増幅手段を構成するために、前記ロータは、予め定められた間隙をもって互いに対向配置された第1のロータ側摩擦板と第2のロータ側摩擦板を有し、前記アーマチュアは、前記間隙内に配置されるとともに、前記第1のロータ側摩擦板に当接可能な第1のアーマチュア側摩擦板と前記第2のロータ側摩擦板に当接可能な第2のアーマチュア側摩擦板を有するとともに、動力伝達に伴って前記第1のアーマチュア側摩擦板と第2のアーマチュア側摩擦板との距離を軸方向に機械的に増大させる摩擦板間距離増大機構を有することを特徴とする圧縮機用電磁クラッチ。
前記摩擦板間距離増大機構は、動力伝達に伴う前記第1のアーマチュア側摩擦板と第2のアーマチュア側摩擦板との間の相対捩れを軸方向変位に機械的に変換する機構からなる、請求項1に記載の圧縮機用電磁クラッチ。
前記摩擦板間距離増大機構は、前記第1のアーマチュア側摩擦板と第2のアーマチュア側摩擦板とに係合し、該両摩擦板間に両摩擦板間の距離を増大する方向と縮小する方向とに変形可能に設けられたカムが、摩擦板周方向に複数配置された機構からなる、請求項2に記載の圧縮機用電磁クラッチ。
前記摩擦板間距離増大機構は、前記複数のカムが両摩擦板間の距離を増大する方向に弾性変形可で、かつ、前記複数のカムが両摩擦板間の距離を縮小する方向に弾性復元可能なカム変形助勢手段を備えている、請求項3に記載の圧縮機用電磁クラッチ。
要求伝達動力が小さいときには、前記電磁コイル側に位置する前記第1のロータ側摩擦板と前記第1のアーマチュア側摩擦板の一組の摩擦板により動力伝達を行い、要求伝達動力が大きいときには、前記第1のロータ側摩擦板と前記第1のアーマチュア側摩擦板および前記第2のロータ側摩擦板と前記第2のアーマチュア側摩擦板の二組の摩擦板により動力伝達を行う、請求項1~4のいずれかに記載の圧縮機用電磁クラッチ。
可変容量圧縮機に組み込まれている、請求項1~5のいずれかに記載の圧縮機用電磁クラッチ。
車両用空調装置に使用される圧縮機に組み込まれている、請求項1~6のいずれかに記載の圧縮機用電磁クラッチ。
Description:
圧縮機用電磁クラッチ

 本発明は、圧縮機用電磁クラッチに関し とくに、小型で高伝達トルク化、省電力化 達成可能な圧縮機用電磁クラッチに関する

 圧縮機用電磁クラッチ、例えば、車両用空 装置に使用されている圧縮機においては、 力源側から圧縮機駆動軸側への動力の伝達 制御するために、圧縮機の動力入力側に電 クラッチが組み込まれることが多い。この 磁クラッチは、一般に、動力源側へと連結 れるロータと、圧縮機駆動軸側へと連結さ るアーマチュアと、磁力を発生し該磁力に りアーマチュアをロータに吸着させて両部 の摩擦板間での動力伝達を可能ならしめる 磁コイルとを備えている。この電磁クラッ は、圧縮機に要求される高トルクを確保す ため、高い起磁力を持った電磁コイルを必 としている。高起磁力を確保するためには 通常、コイルスペースの拡大、またはコイ 電気抵抗の低減が必要である。そのため、 トルク伝達可能な電磁クラッチは、通常、 イルサイズの大きなもの、または消費電力 大きなものになる傾向がある。
 電磁クラッチのトルクTはT=μPrとして表すこ とができる。ここで、μ:摩擦板間の摩擦係数 、P:電磁吸着力による摩擦板の押し付け力、r :摩擦板の半径、である。つまり、上記μ、P r、の何れかを大きくすることで伝達トルク 向上が可能となる。これまでも、Pを大きく するための手段として、アーマチュアの板ば ねの形状変更や、カム追加によるアーマチュ アのロータへの押し付け力増強(例えば、特 文献1)の提案が行われている。

特開平7−332394号公報

 しかしながら、アーマチュアの板ばね形状 更による押し付け力変更は、ばね材料強度 関係上十分な押し付け力増強効果が得られ い。また、カム追加による機械的な押し付 力増強構造では、アーマチュアのロータへ 押し付け力を大幅に増幅して伝達トルクの 幅な増大が可能であるが、カムでアーマチ アのロータへの押し付け力を増幅するとと にその反力を圧縮機の駆動軸への連結側で ける構造となっているため、増幅した押し け力と同等の反力が圧縮機の駆動軸側に引 抜き力としてかかることになり、その引き き力に起因して圧縮機の損傷が懸念されて る。
 そこで本発明の課題は、アーマチュアのロ タへの押し付け力を機械的に増幅すること より伝達トルクの大幅な増大が可能である とに着目しつつ、その際に問題となってい 圧縮機の駆動軸側での引き抜き力の発生を 止し、高トルク伝達に十分なアーマチュア ロータへの押し付け力を、問題を発生させ ことなく簡素で小型の機構にて確実に得る とができ、電磁コイルの小型化、軽量化と もに省電力化を確実に達成できるようにし 圧縮機用電磁クラッチの構造を提供するこ にある。

 上記課題を解決するために、本発明に係る 縮機用電磁クラッチは、動力源側へと連結 れるロータと、圧縮機駆動軸側へと連結さ るアーマチュアと、磁力を発生し該磁力に り前記アーマチュアを前記ロータに吸着さ て両部材間での動力伝達を可能ならしめる 磁コイルと、動力伝達能力を増大させるた に前記アーマチュアの前記ロータに対する し付け力を機械的に増幅する押し付け力増 手段とを備えた圧縮機用電磁クラッチにお て、前記押し付け力増幅手段を構成するた に、前記ロータは、予め定められた間隙を って互いに対向配置された第1のロータ側摩 擦板と第2のロータ側摩擦板を有し、前記ア マチュアは、前記間隙内に配置されるとと に、前記第1のロータ側摩擦板に当接可能な 1のアーマチュア側摩擦板と前記第2のロー 側摩擦板に当接可能な第2のアーマチュア側 擦板を有するとともに、動力伝達に伴って 記第1のアーマチュア側摩擦板と第2のアー チュア側摩擦板との距離を軸方向に機械的 増大させる摩擦板間距離増大機構を有する とを特徴とするものからなる。
 このような本発明に係る圧縮機用電磁クラ チにおいては、ロータが、互いに対向配置 れた第1のロータ側摩擦板と第2のロータ側 擦板を有しており、これら第1、第2のロータ 側摩擦板間に、該第1、第2のロータ側摩擦板 当接可能な第1、第2のアーマチュア側摩擦 が配置され、摩擦板間距離増大機構によっ 、これら第1、第2のアーマチュア側摩擦板間 距離が、動力伝達に伴って軸方向に機械的に 増大される。この摩擦板間距離増大により、 第1、第2のアーマチュア側摩擦板はそれぞれ 1、第2のロータ側摩擦板に当接されて押し けられ、第1のロータ側摩擦板と第1のアーマ チュア側摩擦板および第2のロータ側摩擦板 第2のアーマチュア側摩擦板の二組の摩擦板 より動力伝達が行われる。したがって、従 一般の、基本的に一組の摩擦板により動力 達が行われる電磁クラッチに比べ、伝達動 が大幅に増大される。また、これら二組の 擦板同士の当接は、互いに対向配置された 1のロータ側摩擦板と第2のロータ側摩擦板 の間で、換言すれば、第1のロータ側摩擦板 第2のロータ側摩擦板を有するロータの範囲 内で行われることになり、第1のアーマチュ 側摩擦板の第1のロータ側摩擦板に対する押 付け力の方向と第2のアーマチュア側摩擦板 の第2のロータ側摩擦板に対する押し付け力 方向とは完全に相反する方向となるので、 れら両押し付け力はロータ内で相殺される とになる。その結果、一組の摩擦板による 力伝達においてアーマチュア側摩擦板の押 付け力を機械的に増幅させていた従来の押 付け力増大機構で問題となっていた、圧縮 駆動軸にかかる引き抜き力の発生が効率よ 防止され、該引き抜き力発生に伴う圧縮機 傷の懸念も完全に除去される。そして、こ ら伝達動力の大幅な増大と、引き抜き力の 生防止とにより、第1のロータ側摩擦板に第1 のアーマチュア側摩擦板を吸着させるための 起磁力を発生させる電磁コイルのサイズは小 さくて済み、また、消費電力の少ない電磁コ イルで済むことになり、電磁コイルの小型化 、軽量化、消費電力の低減が可能になる。
 上記本発明に係る圧縮機用電磁クラッチに いては、上記摩擦板間距離増大機構は、動 伝達に伴う上記第1のアーマチュア側摩擦板 と第2のアーマチュア側摩擦板との間の相対 れを軸方向変位に機械的に変換する機構か 構成することができる。すなわち、電磁コ ルの励磁により第1のアーマチュア側摩擦板 第1のロータ側摩擦板に吸着されると、動力 (トルク)伝達が開始されるが、このとき、被 力伝達側部材である圧縮機駆動軸側に連結 れているアーマチュア内において、第1のア ーマチュア側摩擦板と第2のアーマチュア側 擦板との間に相対捩れが発生する。この相 捩れが、摩擦板間距離増大機構により機械 に第1のアーマチュア側摩擦板と第2のアーマ チュア側摩擦板との間の距離を増大させる方 向の軸方向変位に変換されるので、第2のア マチュア側摩擦板は、上記電磁力による吸 直後に、第2のロータ側摩擦板に押し付けら ることになり、上述した二組の摩擦板によ 動力伝達状態が自動的に達成される。
 また、このような摩擦板間距離増大機構は 後述の実施の形態に示すように、上記第1の アーマチュア側摩擦板と第2のアーマチュア 摩擦板とに係合し、該両摩擦板間に両摩擦 間の距離を増大する方向と縮小する方向と 変形可能に設けられたカムが、摩擦板周方 に複数配置された機構から構成できる。こ らカムは、動力伝達時には両摩擦板間の距 を増大する方向に変形され、動力伝達遮断 には両摩擦板間の距離を縮小する方向に変 される。
 このようなカムを備えた摩擦板間距離増大 構は、例えば、複数のカムが両摩擦板間の 離を増大する方向に弾性変形可能で、かつ 複数のカムが両摩擦板間の距離を縮小する 向に弾性復元可能なカム変形助勢手段を備 ている機構から構成できる。このカム変形 勢手段は、ゴム弾性、弾性復元力を利用し 機構や、内部にばねを組み込み、組み込ま たばねの弾性、弾性復元力を利用した機構 構成可能である。
 また、本発明に係る圧縮機用電磁クラッチ おいては、要求伝達動力の大小に応じて、 ーマチュア側とロータ側の連結状態を変化 せることも可能である。すなわち、要求伝 動力が小さいときには、上記電磁コイル側 位置する上記第1のロータ側摩擦板と上記第 1のアーマチュア側摩擦板の一組の摩擦板に り動力伝達を行い(つまり、従来一般の電磁 ラッチにおける動力伝達方式)、要求伝達動 力が大きいときには、上記第1のロータ側摩 板と上記第1のアーマチュア側摩擦板および 記第2のロータ側摩擦板と上記第2のアーマ ュア側摩擦板の二組の摩擦板により動力伝 (つまり、本発明特有の動力伝達方式)を行う ようにすることも可能である。このようにす れば、高トルク伝達時に対して効率よく電磁 コイルの小型化、軽量化とともに消費電力の 低減を達成でき、低トルク伝達時に対しては トルク伝達のための迅速な作動を確保可能と なる。
 このような本発明に係る圧縮機用電磁クラ チは、とくに可変容量圧縮機に組み込まれ 好適なものである。可変容量圧縮機では、 のときに要求される圧縮容量に応じて必要 動トルクは大きく変化するが、本発明に係 圧縮機用電磁クラッチを使用することによ 、低トルク伝達時から高トルク伝達時の全 囲にわたって、安定した動力伝達性能が得 れる。
 また、本発明に係る圧縮機用電磁クラッチ 、とくに車両用空調装置に使用される圧縮 に組み込まれて好適なものである。本発明 係る圧縮機用電磁クラッチを使用すること より、コイルサイズの小型化、軽量化によ 電磁クラッチ部の小型化、軽量化、ひいて 電磁クラッチ組み込み圧縮機全体としての 型化、軽量化が可能になり、車両への搭載 向上が可能になるとともに車両の燃費改善 貢献でき、消費電力の低減により、結果的 さらなる車両の燃費改善に貢献できるとと に、他の電力を必要とする機器への供給電 に余裕をもたせることが可能となる。

 このように、本発明に係る圧縮機用電磁 ラッチによれば、ロータとアーマチュアの に二組の摩擦板を配置するとともに、アー チュアの摩擦板間距離を機械的に増大でき ようにして二組の摩擦板部それぞれにてア マチュア側摩擦板のロータ側摩擦板への押 付け力を増大させ、かつ、二組の摩擦板部 それぞれ作用するアーマチュア側摩擦板の ータ側摩擦板への押し付け力をロータの範 内で互いに相殺できるようにしたので、押 付け力の機械的な増幅による伝達動力の大 な増大を達成しつつ、従来機構で問題とな ていた圧縮機の駆動軸側にかかる引き抜き の発生を防止することができ、小型で低起 力の電磁コイルにて電磁クラッチに所望の きな動力伝達性能を持たせることができる そして、電磁コイルが小型化できることか 、電磁クラッチ部、ひいては圧縮機全体の 型、軽量化を達成でき、かつ、消費電力の 減を実現できる。

 図1は本発明の一実施態様に係る圧縮機用電 磁クラッチの縦断面図(A)および正面図(B)であ る。
 図2は図1の圧縮機用電磁クラッチの部分縦 面図である。
 図3は図1の圧縮機用電磁クラッチのカムお びその周囲部の拡大部分平面図である。
 図4は図3に示した部位の動作を説明するた の概略構成図である。
 図5は図3に示したカムの動作を説明するた の概略構成図である。
 図6は図3とは別の実施態様に係る圧縮機用 磁クラッチの摩擦板間距離増大機構の例を す概略構成図である。
 図7は図3とはさらに別の実施態様に係る圧 機用電磁クラッチの摩擦板間距離増大機構 例を示す概略構成図である。

1 圧縮機用電磁クラッチ
2 ロータ
3 圧縮機駆動軸
4 アーマチュア
5 電磁コイル
6 押し付け力増幅手段
7 第1のロータ側摩擦板
8 第2のロータ側摩擦板
9 固定ボルト
10 第1のアーマチュア側摩擦板
11 第2のアーマチュア側摩擦板
12 圧縮機軸方向
13 摩擦板間距離増大機構
14 摩擦ライナー
15 カム
16 カム変形助勢手段としてのゴム
17 スリット
18 環状のゴム部材
19 ハブ
21、22、31、32 カム部材
23、24 凹部
25 ボール
26 空間
27、36 圧縮ばね
28、37 両カム部材間の距離増大方向
33、34 テーパ面
35 カム機構

 以下に、本発明の望ましい実施の形態を 図面を参照して説明する。

 図1~図5は、本発明の一実施態様に係る圧縮 用電磁クラッチを示している。図1において 、圧縮機用電磁クラッチ1は、動力源(例えば 車両のエンジン、図示略)側へと連結される ロータ2と、圧縮機駆動軸3側へと連結される ーマチュア4と、磁力を発生し該磁力により アーマチュア4をロータ2に吸着させて両部材 での動力伝達を可能ならしめる電磁コイル5 とを有している。また、圧縮機用電磁クラッ チ1は、動力伝達能力を増大させるために、 ーマチュア4(アーマチュア4の摩擦板)のロー 2(ロータ2の摩擦板)に対する押し付け力を機 械的に増幅する押し付け力増幅手段6を備え いる。
 押し付け力増幅手段6は次のように構成され ている。図2も参照して説明するに、ロータ2 、予め定められた間隙Gをもって互いに対向 配置された第1のロータ側摩擦板7と第2のロー タ側摩擦板8を有しており、第2のロータ側摩 板8は、本実施態様では、第1のロータ側摩 板7に対し、固定ボルト9を介して、予め設定 された一定の間隙Gをもって固定されている アーマチュア4は、上記間隙Gの範囲内に配置 されているとともに、上記第1のロータ側摩 板7に当接可能な第1のアーマチュア側摩擦板 10と上記第2のロータ側摩擦板8に当接可能な 2のアーマチュア側摩擦板11を有している。 た、このアーマチュア4は、ロータ2とアーマ チュア4間の動力伝達に伴って上記第1のアー チュア側摩擦板10と第2のアーマチュア側摩 板11との距離D(例えば、外面間距離)を軸方 (圧縮機軸方向12)に機械的に増大させる摩擦 間距離増大機構13を有している。なお、本 施態様では、第2のアーマチュア側摩擦板11 対向配置されている第2のロータ側摩擦板8上 に、動力伝達性能向上および動力伝達遮断時 の摩擦板同士の干渉防止(例えば、半クラッ 時の焼き付き防止)のために、摩擦ライナー1 4が設けられている。この摩擦ライナー14は第 2のアーマチュア側摩擦板11側に設けることも できる。
 上記摩擦板間距離増大機構13は、動力伝達 伴う上記第1のアーマチュア側摩擦板10と第2 アーマチュア側摩擦板11との間の回転方向 おける相対捩れを軸方向12の変位に機械的に 変換する機構から構成されている。より具体 的には、図3、図4にも示すように、第1のアー マチュア側摩擦板10と第2のアーマチュア側摩 擦板11とに係合し、該両摩擦板10、11間に両摩 擦板10、11間の距離D(例えば、外面間距離)を 大する方向と縮小する方向とに変形可能に ム15が設けられており、本実施態様では、両 摩擦板10、11間の相対捩れに伴ってカム15の第 1のアーマチュア側摩擦板10と第2のアーマチ ア側摩擦板11に対する傾斜角がθ1からθ2に変 化することにより(カム15が起き上がる方向に 傾斜角が変化することにより)、両摩擦板10、 11間の距離Dが増大されるようになっている。 カム15は、摩擦板周方向に所定間隔をもって 数配置されており、これらカム15は、動力 達時には両摩擦板10、11間の距離Dを増大する 方向に変形され、動力伝達遮断時には両摩擦 板10、11間の距離Dを縮小する方向に変形され 。各カム15間には、複数のカム15が両摩擦板 10、11間の距離Dを増大する方向に弾性変形可 で、かつ、複数のカム15が両摩擦板10、11間 距離Dを縮小する方向に弾性復元可能なカム 変形助勢手段としてのゴム16が隣接カム15間 充填されるように設けられており、ゴム16に は重量低減のためのスリット17が設けられて る。
 上記第2のアーマチュア側摩擦板11は、断面L 字形の環状部材からなり、弾性変形可能な環 状のゴム部材18を介して、駆動軸3の端部に締 結固定されたハブ19へと接続されている。し がって、第2のアーマチュア側摩擦板11から 、ゴム部材18、ハブ19を介して圧縮機駆動軸 3に回転駆動のための動力が伝達される。
 上記のように構成された圧縮機用電磁クラ チ1においては、摩擦板間距離増大機構13を する押し付け力増幅手段6により、小型、軽 量の電磁コイル5でありながら、動力伝達能 が次のように増大される。原理的には、図5 示すように、第1、第2のアーマチュア側摩 板10、11間に介在され、両摩擦板10、11に係合 されたカム15の傾斜角θが、動力(トルク)伝達 に伴う圧縮機(圧縮機駆動軸)側の負荷による 摩擦板10、11間の相対変位(相対捩れ)により 初期のθ1からθ2(図4に図示)に立ち上がる方 に変化され、それに伴って、第1、第2のア マチュア側摩擦板10、11の第1、第2のロータ 摩擦板7、8に対する押し付け力が増幅される とともに、これら相反する方向の押し付け力 がロータ2の範囲内で互いに相殺される。こ 相殺により、従来構造で問題であった圧縮 駆動軸側に働く軸引き抜き力の発生は防止 れる。
 このとき、上記カム15の傾斜角θは、最大で も90度未満になるように設定されている必要 ある。また、電磁吸着力によるトルク+上記 増幅トルク>圧縮機負荷トルクの関係が成 することが必要である。つまり、
Fd・μ・r+Fb・μ・r・2>Fa・r
の関係が成立することが必要である。ここで 、
Fa:圧縮機負荷
Fb:押し付け力(増幅分)
Fd:電磁クラッチ吸着力
r:カム配置半径
μ:摩擦係数
である。カム圧縮力Fcは、Fa/cosθとなり、押 付け力Fbは、Fa×tanθとなる。ちなみに、従来 構造におけるアーマチュアの板ばね角度変更 で一方向にのみ伝達力増大を狙った場合には 、その倍力効果は高々10%程度しか得られない が、上記のように相殺可能な相反する両方向 への押し付け力を増大させる構造では、はる かに大きな伝達力増幅効果が得られる。
 このような摩擦板間距離増大機構13を有す 押し付け力増幅手段6による、カム15を介し 第1、第2のアーマチュア側摩擦板10、11の第1 第2のロータ側摩擦板7、8に対する押し付け の増幅により、押し付け力が増幅された状 で、第1のロータ側摩擦板7と第1のアーマチ ア側摩擦板10および第2のロータ側摩擦板8と 第2のアーマチュア側摩擦板11の二組の摩擦板 により動力伝達が行われ、基本的に一組の摩 擦板により動力伝達が行われる従来の電磁ク ラッチに比べ、伝達動力が大幅に増大される 。また、これら二組の摩擦板同士の当接は、 換言すれば、第1、第2のアーマチュア側摩擦 10、11の第1、第2のロータ側摩擦板7、8に対 る押し付け力は、互いに反対方向の力とし 作用するので、ロータ2の範囲内で相殺され ことになり、一組の摩擦板による動力伝達 おいてアーマチュア側摩擦板の押し付け力 機械的に増幅させていた従来の押し付け力 大機構で問題となっていた、圧縮機駆動軸 かかる引き抜き力の発生が効率よく防止さ 、該引き抜き力発生に伴う圧縮機損傷の懸 も完全に除去される。さらに、カム15を介 た各摩擦板10、11の押し付け力増大により、 1のロータ側摩擦板7に第1のアーマチュア側 擦板10を吸着させるための起磁力を発生さ る電磁コイル5のサイズは小さくて済むこと なり、消費電力の少ない電磁コイル5で済む ことになる。したがって、電磁コイル5の小 化、軽量化、消費電力の低減が可能になる なお、要求される伝達動力が小さい場合に 、カム15を介した各摩擦板10、11の押し付け 増幅効果は発揮させずに、専ら、電磁コイ 5による電磁吸着力のみによる第1のロータ側 摩擦板7への第1のアーマチュア側摩擦板10の 着によって動力を伝達させることが可能で る。
 また、上記実施態様では、第2のアーマチュ ア側摩擦板11とそれに対向配置されている第2 のロータ側摩擦板8との間に摩擦ライナー14を 介在させているので、例えば、半クラッチ時 の焼き付き防止等を可能にしてこの部分の不 具合発生防止、耐久性の向上をはかることが できる。
 さらに、上記実施態様では、カム変形助勢 段としてのゴム16を設けたので、このゴム16 によりカム15を元の傾斜角状態に戻す弾性復 機能を確保できるとともに、ゴム16によっ カム15を封止することで、カム15に対する防 対策や防錆対策を施すことも可能となる。 た、このゴム16に適当なサイズのスリット17 を形成しておくことで、重量低減をはかるこ ともできる。
 摩擦板間距離増大機構13を有する押し付け 増幅手段6の具体的な構造としては、上記実 態様におけるカム15を使用した構造には限 されず、各種の構造を採用できる。

 図6に示すように、互いに相対捩れが可能 な、一方のアーマチュア側摩擦板側に配置さ れた、あるいは、一方のアーマチュア側摩擦 板自体を一体に形成した、一方のカム部材21 、他方のアーマチュア側摩擦板側に配置さ た、あるいは、他方のアーマチュア側摩擦 自体を一体に形成した、他方のカム部材22 の間に、断面球面状あるいは円弧状の凹部23 、24により内部にボール25あるいは円筒体を 持可能な空間26を形成するとともに、両カム 部材21、22間の相対捩れおよびその弾性復元 可能にする圧縮ばね27を介装した構造を採用 できる。この構造においては、図6(A)に示す 止状態(動力遮断状態)から、図6(B)に示す動 状態(動力伝達状態)に移行すると、両カム部 材21、22間の相対捩れに伴って、空間26のボー ル25が両球面状凹部23、24の凹面に沿って転動 し、それに伴って、両カム部材21、22間の距 が図6(B)の矢印方向28に増大される。これに って、相反する方向のアーマチュア側摩擦 のロータ側摩擦板に対する押し付け力が増 されることになる。このとき、上記両カム 材21、22間の相対捩れによりばね27は圧縮さ るが、動力伝達遮断時にはこの圧縮された ね27の弾性復元力によって、両カム部材21、2 2間の相対位置関係は元の位置関係に自然に される。

 図7に示す形態では、互いに相対捩れが可 能な、一方のアーマチュア側摩擦板側に配置 された、あるいは、一方のアーマチュア側摩 擦板自体を一体に形成した、一方のカム部材 31と、他方のアーマチュア側摩擦板側に配置 れた、あるいは、他方のアーマチュア側摩 板自体を一体に形成した、他方のカム部材3 2との間に、互いに係合、摺接し合うテーパ 33、34によるカム機構35が形成され、両カム 材31、32間の相対捩れおよびその弾性復元を 能にする圧縮ばね36を介装した構造とされ いる。このような構造においても、図7(A)に す静止状態(動力遮断状態)から、図7(B)に示 動作状態(動力伝達状態)に移行すると、両 ム部材21、22間の相対捩れに伴って、カム機 35が両カム部材21、22間の距離を図7(B)の矢印 方向37に増大する方向に作用し、それによっ 、相反する方向のアーマチュア側摩擦板の ータ側摩擦板に対する押し付け力が増幅さ ることになる。このとき、上記両カム部材3 1、32間の相対捩れによりばね36は圧縮される 、動力伝達遮断時にはこの圧縮されたばね3 6の弾性復元力によって、両カム部材31、32間 相対位置関係は元の位置関係に自然に戻さ ることになる。

 本発明に係る圧縮機用電磁クラッチは、 擦板電磁クラッチを用いるあらゆる圧縮機 適用可能であり、とくに、可変容量圧縮機 さらには車両空調装置用圧縮機に好適なも である。