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Patent Searching and Data


Title:
ELECTRON GUN, ELECTRON BEAM EXPOSURE APPARATUS AND ELECTRON BEAM EXPOSURE METHOD
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2008/102435
Kind Code:
A1
Abstract:
A sublimation quantity due to heat of an electron source for emitting electrons is reduced in an electron gun, and the electron gun is stably used for a long period time. The electron gun is provided with an acceleration electrode (25) arranged to face the electron emitting surface of an electron source (20) so as to accelerate electrons; an extraction electrode (21) arranged between the electron emitting surface and the acceleration electrode, with a spherical recessed surface having the center on an optical axis toward the electron emitting surface so as to extract electrodes from the electron emitting surface; and a suppressor electrode (24) for suppressing electron emission from the side surface of the electron source. Electric field is applied to the electron emitting surface while keeping the temperature as low as not to have sublimation of the power source material, and thermal field emission electrons are emitted.

Inventors:
YASUDA HIROSHI (JP)
HARAGUCHI TAKESHI (JP)
Application Number:
PCT/JP2007/053101
Publication Date:
August 28, 2008
Filing Date:
February 20, 2007
Export Citation:
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Assignee:
ADVANTEST CORP (JP)
YASUDA HIROSHI (JP)
HARAGUCHI TAKESHI (JP)
International Classes:
H01J37/065; H01J3/02; H01J37/305; H01L21/027
Foreign References:
JP2001325910A2001-11-22
JPH0631059U1994-04-22
JPH06139983A1994-05-20
JPS4737374B1
JP2003016987A2003-01-17
JP2005190758A2005-07-14
Attorney, Agent or Firm:
OKAMOTO, Keizo (Yamanishi Bldg. 4F,11-7, Nihonbashi Ningyo-cho,3-chome, Chuo-ku, Tokyo 13, JP)
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Claims:
 電子を放出する電子源と、
 前記電子源の電子放出面と対向して配置され前記電子を加速する加速電極と、
 前記電子放出面と前記加速電極との間に配置され、前記電子放出面に向かって光軸上に中心を持つ球状の凹面を有し、当該電子放出面から電子を引き出す引き出し電極と、
 前記電子放出面の前記引き出し電極と反対側に配置され、前記電子源の側面からの電子放出を抑制するサプレッサー電極と、
を有する電子銃において、
 前記電子源の材料の昇華が発生しない程度の低い温度に保ちながら前記電子放出面に電界を印加して熱電界放射電子を放出させることを特徴とする電子銃。
 前記電子源の材料は六ホウ化ランタン(LaB 6 )又は六ホウ化セリウム(CeB 6 )であることを特徴とする請求項1に記載の電子銃。
 前記電子源の先端部の電子放出面以外の電子源の側面は前記電子源と異なる仕事関数の大きな物質で覆われていることを特徴とする請求項1又は2に記載の電子銃。
 前記異なる物質は、カーボンであることを特徴とする請求項3に記載の電子銃。
 前記温度は、1100℃から1450℃であることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の電子銃。
 前記引き出し電極は、前記電子放出面から2mm以下の距離に設置されることを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の電子銃。
 前記引き出し電極と前記加速電極との間に、静電レンズ電極が設置されることを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載の電子銃。
 前記電子放出面は、直径が1μmから200μmの平坦部分を有することを特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載の電子銃。
 前記電子源の先端部は略円錐形であり、円錐角が50度以下であることを特徴とする請求項1から8のいずれか一項に記載の電子銃
 請求項1から9のいずれか一項に記載の電子銃を有することを特徴とする電子ビーム露光装置。
 請求項10に記載の電子ビーム露光装置を用いた電子ビーム露光方法において、
 所定の時間の間、前記引き出し電極の電位が前記電子源の先端部の電位よりも低くなるように電圧を印加し、電子源全体に通常の使用電圧値よりも絶対値の大きな電圧を印加した後、
 前記電子源電圧を通常の使用電圧値に戻し、
 その後、前記引き出し電極の電位が前記電子源の先端部の電位よりも高くなるように電圧を印加して露光を行うことを特徴とする露光方法。
                                                                              
Description:
電子銃、電子ビーム露光装置及 露光方法

 本発明は、半導体デバイス製造のリソグ フィ工程において用いられる電子銃、該電 銃を備えた電子ビーム露光装置及び露光方 に関する。

 近年、電子ビーム露光装置において、ス ープットの向上を図るために、マスクに可 矩形開口又は複数のマスクパターンを用意 、ビーム偏向によりそれらを選択してウエ に転写露光している。このような複数のマ クパターンを用いる露光方法の一つとして 部分一括露光をする電子ビーム露光装置が 案されている。部分一括露光では次のよう してパターンを試料面に転写している。す わち、マスク上に配置した複数個のパター からビーム偏向により選択した一つのパタ ン領域にビームを照射してビーム断面をパ ーンの形状に成形する。さらにマスクを通 したビームを後段の偏向器で偏向振り戻し 電子光学系で決まる一定の縮小率に縮小し 試料面に転写する。

 また、このような露光装置においては、 幅精度を確保することも、スループットを 上させるために重要となる。線幅精度を確 するためには、電子銃から放射される電子 ームの強さに経時変化がないことが要求さ る。電子ビームの強度が経時変化して弱く ると、露光の程度が漸次低下する。これを うために、露光時間を増やそうとすると、 御が面倒になるばかりではなく、スループ トが低下してしまうからである。

 電子銃から電子を放出させる方法として 一般に、熱電子放射型と電界放射型に大別 れる。このうち、熱電子放射型電子銃は、 熱することにより電子を放射するカソード 、カソードから放出した電子を収束して電 線束を作り出すウェーネルト及び収束した 子線を加速するアノードから構成される。

 上記の熱電子放射型電子銃を使用すると 電子銃に使用されている電子源(チップ)が 子を放出するに伴い、チップを構成する物 が昇華、蒸発し、量が減るので、電子放出 が変形する現象が発生する。この現象を防 するために種々の対策が検討されている。 えば、特許文献1には、チップの表面をタン ステン(W)及びレニウム(Re)からなる二層構造 膜で覆い、チップの消耗を少なくするように した電子銃が開示されている。

 上述したように、熱電子放射型電子銃を 用すると、電子銃を構成するチップは電子 放出するだけでなくチップ物質自体が昇華 る場合がある。これは、熱電子放射の場合 は電子発生物質の昇華開始温度以上に温度 高くして電子を放出するために、チップに いて昇華が起こるためであると考えられて る。

 この昇華により、電子を放出するチップの 状が変化し、可変矩形ビームや部分一括パ ーンビームが均一に照射できなくなり、放 される電子ビームの強度が低下していく。 えば、チップとして六ホウ化ランタン(LaB 6 )を使用し、温度を1500℃とした熱電子放射型 子銃の場合、1ヶ月の使用で10μmの昇華が発 していた。

 また、上述した昇華により、チップ物質、 えば、LaB 6 や六ホウ化セリウム(CeB 6 )がグリッドの裏面に付着する。この付着物 ウィスカになり、この上に電子がチャージ れ、微小放電を起こす場合がある。このよ な微小放電が発生すると、電子ビームの量 照射位置が安定しないという現象が起こり 電子ビーム露光装置が正常に使用できなく る。また、調整等に時間がかかり、スルー ットが低下してしまう。最大の問題点は微 放電発生時に描画されたパターンでは信頼 が損なわれると言うことであるので、電子 付近の微小放電の撲滅が電子ビーム露光装 の高信頼度化には不可欠のことになる。即 電子銃材料の昇華量をいかに削減するかが 高信頼度化・高安定化には不可欠な開発要 となる。

 なお、特許文献1ではチップの表面をタング ステンとレニウムからなる二層構造で覆うこ とにより、チップの消耗を少なくしているが 、二層構造で覆われていない電子放出面の昇 華による形状の変化を防止することはできな い。

特開平8-184699号公報

 本発明は、かかる従来技術の課題に鑑み されたものであり、電子を放出する電子源 熱による昇華量を削減し、長期間安定に使 することのできる電子銃、その電子銃を用 た電子ビーム露光装置及び露光方法を提供 ることを目的とする。

 上記した課題は、電子を放出する電子源 、前記電子源の電子放出面と対向して配置 れ前記電子を加速する加速電極と、前記電 放出面と前記加速電極との間に配置され、 記電子放出面に向かって光軸上に中心を持 球状の凹面を有し、当該電子放出面から電 を引き出す引き出し電極と、前記電子放出 の前記引き出し電極と反対側に配置され、 記電子源の側面からの電子放出を抑制する プレッサー電極と、を有する電子銃におい 、前記電子源の材料の昇華が発生しない程 の低い温度に保ちながら前記電子放出面に 界を印加して熱電界放射電子を放出させる とを特徴とする電子銃により解決する。

 この形態に係る電子銃において、前記電子 の材料は六ホウ化ランタン(LaB 6 )又は六ホウ化セリウム(CeB 6 )であっても良く、前記電子源の先端部の電 放出面以外の電子源の側面は前記電子源と なる仕事関数の大きな物質で覆われている うにしても良い。また、前記異なる物質は カーボンであっても良く、前記温度は、1100 から1450℃としてもよい。

 また、この形態に係る電子銃において、 記引き出し電極は、前記電子放出面から2mm 下の距離に設置されるようにしても良く、 記引き出し電極と前記加速電極との間に、 電レンズ電極が設置されるようにしても良 。

 本発明では、引き出し電極の電子放出面 対向する部分を球状凹面にしている。これ より、引き出し電極と電子放出面との間の 位分布を球面状にすることができ、電子放 面近傍の電位を極めて大きくすることがで る。従って、熱電界放射型の電子銃を使用 て低温で動作させても、電子ビームの輝度 大きくすることが可能となる。

 また、本発明では、電子源のチップの先端 の電子放出面のみを露出させ、その他の側 部分は異種物質でカバーしている。例えば 電子発生材料としてLaB 6 を使用した場合、この異種物質は例えばカー ボン(C)である。このような電子源を有する電 子銃を低温で動作させるため、チップの昇華 がほとんど起こらない。これにより、電子源 の電子放出面が変形することなく、電子銃を 長期間安定して使用することができる。

 また、チップの昇華が起こらない温度で 子銃を動作させるために強電界をかけても カーボンで電子源の側面を覆っているため 電子源の側面から電子が放出されることは い。これにより、電子ビームの形状が変わ ことがなく、不必要な箇所が高温になって 空度が下がるという現象を防止することが きる。

 また、上記した課題は、前記いずれかの 子銃を有する電子ビーム露光装置を用いた 子ビーム露光方法において、所定の時間の 、前記引き出し電極の電位が前記電子源の 端部の電位よりも低くなるように電圧を印 し、電子源全体に通常の使用電圧値よりも 対値の大きな電圧を印加した後、前記電子 電圧を通常の使用電圧値に戻し、その後、 記引き出し電極の電位が前記電子源の先端 の電位よりも高くなるように電圧を印加し 露光を行うことを特徴とする露光方法によ 解決する。

 システムの信頼性を著しく低下させる要 として、電子銃のウェーネルト及び電子銃 碍子に付着するゴミに帯電しゴミを媒介と て放電が発生することが挙げられる。これ 対して、一般的にコンディショニングと呼 れる手法を取り入れることが多い。

 本発明では、露光を行う前のコンディシ ニング時に、引き出し電極の電位を電子源 電位より低い電位になるようにしている。 れにより、電子源から電子が引き出される とがなく、コンディショニングを実施して 電子源の溶解や破損を防ぐことが可能とな 。

図1は、本発明に係る電子ビーム露光装 置の構成図である。 図2は、本発明に係る電子銃の構成図で ある。 図3は、電子銃を構成する電極間の電位 分布の一例を示す図である。 図4は、引き出し電極の形状を示す断面 図である。 図5(a)及び図5(b)は、電子放出面と引き し電極との間の電位分布の一例を示す図で る。 図6は、電子放出面からの距離と電界強 度との関係を示す図である。 図7は、図2の電子銃に係る電子源及び 極の構成図である。 図8(a)及び図8(b)は、電子源の先端部の 状を示す断面図である。 図9は、図2の電子銃に係る他の実施例 電子源及び電極の構成図である。 図10は、電子の放出を制限する領域を 明する電子源の断面図である。

 以下、本発明の実施の形態について、図 を参照して説明する。

 はじめに、電子ビーム露光装置の構成につ て説明する。次に、電子銃の構成について 明し、電子銃のうち本発明の特徴部分の電 源の構成について説明する。次に、本発明 電子銃を使用した露光装置の露光方法につ て説明する。次に、電子源の表面に電子放 を制限する領域を形成する方法について説 する。最後に、本実施形態の電子銃を使用 た場合の効果について説明する。
(電子ビーム露光装置の構成)
 図1に、本実施形態に係る電子ビーム露光装 置の構成図を示す。

 この電子ビーム露光装置は、電子光学系 ラム100と、電子光学系コラム100の各部を制 する制御部200とに大別される。このうち、 子光学系コラム100は、電子ビーム生成部130 マスク偏向部140及び基板偏向部150によって 成され、その内部が減圧される。

 電子ビーム生成部130では、電子銃101から 成した電子ビームEBが第1電磁レンズ102で収 作用を受けた後、ビーム整形用マスク103の 形アパーチャ103aを透過し、電子ビームEBの 面が矩形に整形される。

 その後、電子ビームEBは、マスク偏向部14 0の第2電磁レンズ105によって露光マスク110上 結像される。そして、電子ビームEBは、第1 第2静電偏向器104、106により、露光マスク110 に形成された特定のパターンSiに偏向され、 の断面形状がパターンSiの形状に整形され 。

 なお、露光マスク110はマスクステージ123 固定されるが、そのマスクステージ123は水 面内において移動可能であって、第1、第2 電偏向器104、106の偏向範囲(ビーム偏向領域) を超える部分にあるパターンSを使用する場 、マスクステージ123を移動することにより そのパターンSをビーム偏向領域内に移動さ る。

 露光マスク110の上下に配された第3、第4 磁レンズ108、111は、それらの電流量を調節 ることにより、電子ビームEBを露光マスク110 上に収束させた上で、更に基板W上に結像さ る役割を担う。

 露光マスク110を通った電子ビームEBは、 3、第4静電偏向器112、113の偏向作用によって 光軸Cに振り戻された後、第5電磁レンズ114に ってそのサイズが縮小される。

 マスク偏向部140には、第1、第2補正コイ 107、109が設けられており、それらにより、 1~第4静電偏向器104、106、112、113で発生する ーム偏向収差が補正される。

 その後、電子ビームEBは、基板偏向部150 構成する遮蔽板115のアパーチャ115aを通過し 第1、第2投影用電磁レンズ116、121によって 板W上に投影される。これにより、露光マス 110のパターンの像が、所定の縮小率、例え 1/10の縮小率で基板Wに転写されることにな 。

 基板偏向部150には、第5静電偏向器119と電 磁偏向器120とが設けられており、これらの偏 向器119、120によって電子ビームEBが偏向され 基板Wの所定の位置に露光マスクのパターン の像が投影される。

 更に、基板偏向部150には、基板W上におけ る電子ビームEBの偏向収差を補正するための 3、第4補正コイル117、118が設けられる。

 基板Wは、モータ等の駆動部125により水平 方向に移動可能なウエハステージ124に固定さ れており、ウエハステージ124を移動させるこ とで、基板Wの全面に露光を行うことが可能 なる。

 一方、制御部200は、電子銃制御部202、電 光学系制御部203、マスク偏向制御部204、マ クステージ制御部205、ブランキング制御部2 06、基板偏向制御部207及びウエハステージ制 部208を有する。これらのうち、電子銃制御 202は電子銃101を制御して、電子ビームEBの 速電圧やビーム放射条件等を制御する。ま 、電子光学系制御部203は、電磁レンズ102、10 5、108、111、114、116及び121への電流量等を制 して、これらの電磁レンズが構成される電 光学系の倍率や焦点位置等を調節する。ブ ンキング制御部206は、ブランキング電極127 の印加電圧を制御することにより、露光開 前から発生している電子ビームEBを遮蔽板115 上に偏向し、露光前に基板上に電子ビームEB 照射されるのを防ぐ。

 基板偏向制御部207は、第5静電偏向器119への 印加電圧と、電磁偏向器120への電流量を制御 することにより、基板Wの所定の位置上に電 ビームEBが偏向されるようにする。ウエハス テージ制御部208は、駆動部125の駆動量を調節 して、基板Wを水平方向に移動させ、基板Wの 望の位置に電子ビームEBが照射されるよう する。上記の各部202~208は、ワークステーシ ン等の統合制御系201によって統合的に制御 れる。
(電子銃の構成)
 図2に、電子銃101の構成図を示す。本実施形 態において、電子銃101は熱電界放射型を使用 する。電子銃101は、電子源20と、引き出し電 21と、引き出し電極21の下方に配置される加 速電極25と、電子源20の両側に配されたカー ン製の電子源加熱用発熱体22と、電子源20と 子源加熱用発熱体22とを支持する支持具23と 、支持具23を支持して囲んでいるサプレッサ 電極24とを有している。電子源は、例えば 結晶のLaB 6 またはCeB 6 を用いる。

 引き出し電極21は、電子源20の先端に強い 電界を作り電子源20から電子を放射させるた の電圧が印加される電極であり、例えば、 子源20の電子放出面から2mm以下の距離に設 される。

 加速電極25は、電子源20から放射された電 子を加速させるための電圧が印加される電極 であり、例えば、引き出し電極21から20mmの距 離に設置される。

 このように構成された電子銃101において 電子銃制御部202は電子源加熱用電流を電子 加熱用発熱体22に加え続けて電子源20を1300 に加熱し、電子源20を一定温度に保った状態 で、サプレッサー電極24と引き出し電極21の に強電界を印加して電子源20から電子を引き 出す。さらに、引き出し電極21の下方に配し 加速電極25に電圧を印加して、所定のエネ ギーの電子ビーム29を取り出し、電子ビーム 29をウエハステージ124上に固定されているレ ストが塗布された基板Wに照射させることに よって電子ビーム露光がなされる。

 ここで、サプレッサー電極24にかける電 は-0.1~-0.5kVであり、引き出し電極21にかける 圧は2.0~4.0kVである。これらの電圧は電子源2 0の電位に対する値であって、通常は真のア スグランドに対しては電子源20が-50kVである で、-50kVを加算した値になる。

 なお、本実施形態では、電子源20を加熱 ながら強電界をかけて電子放射させている このため、電子源20の表面にガス分子が吸着 することを防止でき、電子ビームの輝度の低 下を防止することができる。

 また、上記した電極に加えて、引き出し 極21と加速電極25の間に、静電レンズ電極26 設置するようにしてもよい。静電レンズ電 26は、電子源20から照射される電子照射の開 き角度を調整するための電極であり、加速電 極25に電子が照射されないようにするような 圧が印加される。

 図3は、電子銃を構成する電極間の電位分 布の一例を示す図である。図3の横軸は電子 20の電子放出面からの距離を示し、縦軸は電 位を示している。図3のx1は引き出し電極21の 置、x2は静電レンズ電極26の位置を示してい る。また、図3では、加速電極25の電位を0[kV] し、電子源20の電子放出面の電位を-50[kV]と た場合について示している。

 図3に示すように、静電レンズ電極26の位置 、電圧が電子放出面のカソード電圧よりご わずか高い電位を持つような電子レンズを 成することにより、電子照射の開き角度が さくなり、加速電極25に電子があたらない うにすることができる。これにより、加速 極25に電子ビームが照射されて熱が発生する ことがなくなり、露光装置内の真空度の低下 を防御することが可能となる。
(引き出し電極の構成)
 次に、本実施形態で使用する引き出し電極2 1の構成について図4を参照して説明する。

 電子ビーム露光装置では、電子ビームの 度を大きくすることが、スループット向上 ために重要となる。

 電子ビームの輝度を大きくするために、 子源20の電子放出面20aに強電界をかけるよ にする。導電体の表面に強電界をかけるこ によって、電子を表面内に閉じ込めている テンシャル障壁が引き下げられて、電子の ンネル現象が起こり、表面から電子を放出 せることができる。従って、負の電界強度 電子放出面20a近傍で大きくすることができ ば、電子放出面20aから多量の電子を放出さ ることが可能となる。

 通常、引き出し電極21を使用して、電子 から電子を放射させているが、本発明者等 、電子放出面20a近傍の電界強度をより強く るために、引き出し電極21の形状に着目した 。

 図4は、引き出し電極21の形状を示す断面 である。図4に示すように、引き出し電極21 、中央に開口部21aを有し、光軸を中心とし 電子源20に向かって球状凹面21bを有してい 。電子放出面20aは、例えば、直径50μm、引き 出し電極21の開口部21aの直径は100μmである。 た、引き出し電極21の球状凹面21bは光軸上 中心を持ち半径200μmの球面の一部である。 た、電子放出面20aと引き出し電極21の下面ま での距離は200μmである。

 以下に、引き出し電極21に球状凹面21bを けることにより、電子放出面20a近傍の電界 度を強くできることについて説明する。

 図5は、電子源20の電子放出面20aと引き出 電極21との間の電界による電位分布を示し いる。図5において、破線は等電位面を示し いる。図5(a)は引き出し電極21の形状が平板 のときの電位分布を示しており、図5(b)は、 図4に示す引き出し電極21を使用したときの電 位分布を示している。図5(a)に示すように、 き出し電極21の形状が平板の場合、引き出し 電極21の近傍では等電位面はほぼ電極に平行 あり、電子放出面20aとの間の等電位面もほ 平行になっている。図5(b)は引き出し電極21 球状凹面21bはその球の中心に向かって電界 かかるため、等電位面は球状になる。

 このように、電子源20の電子放出面20aに 向する引き出し電極21の形状を球状凹面にす ることによって、その間の等電位分布を球状 にすることができる。特に、電子放出面20aを 球面とすることにより、見かけ上1点から電 が出るようにすることができる。1点から電 がでるようにすることにより、電子ビーム 輝度を極めて大きくすることができる。

 図6は、電子放出面20aからの距離と電界強 度との関係を示したグラフである。図6の破 は引き出し電極21の形状を平板状にしたとき の電界強度を示し、図6の実線は引き出し電 21の形状を図4に示した形状にしたときの電 強度を示している。

 図6に示すように、引き出し電極21の形状 平板状にしたときは、電子放出面20aに向か ほど距離に比例して電界強度が大きくなっ いる。また、図4に示す引き出し電極21の形 にしたときは、電界強度は電子放出面から 距離と反比例の関係になる。このように、 き出し電極21に球状凹面21bを設けることに り、電子放出面20a近傍での電界強度を極め 大きくすることが可能となる。

 なお、電子放出面20aを球面ではなく平面 する場合には、1点から電子がでるようにす ることはできないが、電子は最小錯乱円から 出るように振舞う。従って、最小錯乱円の大 きさに依存するものの、平板の引き出し電極 の場合よりも電子ビームの輝度を大きくする ことができる。

 このように、本実施形態の引き出し電極 使用すると、電子放出面20a近傍の電界強度 従来よりも大きくすることができ、電子源2 0から多量の電子を放出させることが可能に る。

 従って、引き出し電極21の電子源20に向かう 面を球状凹面21bにすることによって、従来と 同じ電圧を引き出し電極21に印加した場合に 子放出面20a近傍の電界強度を従来よりも大 な値とすることが可能になる。また、引き し電極21に印加する電圧を従来よりも小さ した場合でも、電子放出面20a近傍の電界強 を従来と同等か又は従来よりも大きな値と ることが可能となる。例えば、従来の引き し電極21には3.0kV~6.0kVの電圧を印加していた 、本実施形態の引き出し電極21では、2.0kV~4. 0kVの電圧を印加すればよい。
(電子源の構成)
 次に、本実施形態で使用する電子源20の構 について説明する。

 図7は電子銃101を構成する電子源20の部分 び電極を示す断面図である。

 電子源20は先端部が円錐状に形成され、 囲はカーボン30で覆われている。このカーボ ン30は、例えばCVD法により電子源20上表面に 成される。電子源20の先端は、電子源20の材 が露出し、露出部分は平坦化される。

 電子源20の先端は、サプレッサー電極24と 引き出し電極21の間に位置するように配置さ る。サプレッサー電極24には0又はマイナス 電圧が印加され、電子源20の先端以外の部 から放出される電子を遮蔽する働きをする 電界強度は、引き出し電極21とサプレッサー 電極24との間の電圧差と、電子源20の先端の さ、角度及び先端の平坦部の直径で決定さ る。電子源20の先端平坦部はサプレッサー電 極24と引き出し電極21と平行になるように配 される。

 電子源20は先端が円錐状になっており、 子を放出する電子放出面20aは平坦になって る。円錐状の電子源20の周囲には電子源20を 成する材料とは異なる材料で覆われている 円錐状の部分は円錐角が50度以下であるこ が望ましい。電子を放出する面は直径10μmか ら100μmが望ましく、通常は40μmが望ましい。 た、電子源20の周囲を覆う材料の厚さは10μm が望ましい。ただし、この異なる材料による 被覆は、(1)電子源20から電子が放出されない うにすること、及び、(2)基体の電子源20の 料の昇華・蒸発を抑えることの2つの目的の めのものであり、被覆材料の厚さの値は、 界強度、使用する材料に依存する。被覆材 が使用温度で蒸発して消耗することが少な れば、電界強度を上げるためには薄い方が い。

 電子源20に加えられる温度は、電子源20を 構成する材料が昇華する温度よりも低い温度 としている。この温度は例えば1100℃から1450 である。これは、電子源20から熱電子を放 させるために高温を与えた場合には、電子 20が昇華を起こし、電子放出面20aが減耗し、 変形してしまうので、昇華を起こさない程度 の温度にしているためである。温度を下げた 場合であっても、高温を与えた場合に得られ た電流密度及び輝度を達成する必要がある。 このために、強電界を電子源20の先端部にか て、電子を引き出すようにしている。例え 、温度を1500℃から200℃落とした場合に、仕 事関数を0.3eV低減することができれば、1500℃ で温度を落とさず、熱電子放射によって得ら れるのと同じ電子ビームの輝度を得ることが できる。仕事関数を0.3eV低減しても電子を放 させるために、電子源20に高電界を印加し 電子を放出させている。

 このとき、高い電界をかけるため、電子 出部分となる電子源20の先端部分だけでな 、円錐状に形成した電子源20の側面部分から も電子が引き出されてしまうことになる。こ のため、所望の電子ビームの量及び形状が得 られなくなったり、周辺からの余分な電子に よる空間電荷効果の発生により中心部から発 生する電子ビームの輝度が低くなったりする ことがある。これを防ぐために、電子源20の 子放出部分以外を電子源20の材料とは異な 材料で覆うようにする。この異なる材料と ては、電子源20を構成する材料よりも仕事関 数が大きい物質を選択する。

 なお、電子源20としてLaB 6 を使用した場合には、LaB 6 と反応を起こさず、LaB 6 よりも仕事関数の大きなカーボン(C)を用いる ことが好ましい。このカーボンは酸素と反応 するため、カーボン膜の厚さが薄いと二酸化 炭素(CO 2 )として蒸発してなくなることが予想される このため、カーボン膜の厚さは、2μmから10μ mにすることが好ましい。LaB 6 と似た性質を有するCeB 6 についても同様のカーボン材料が被覆物質と して有効である。

 図8は電子源20の先端部分の円錐角の大き を変えた電子源20の断面図を示している。 般的に、円錐形状の電子源20の先端半径が小 さいほど、また、先端角度が小さいほど先端 部分に強い電界集中が起こり、電子源20内の 子が表面の仕事関数障壁をトンネル現象に り通過しやすくなる。しかし、極端に先端 分を細くすると、電子源20自体の強度が弱 なってしまう。そこで、電子源20の強度及び 電界強度を考慮して、電子源20の先端の角度 決定している。

 図8(a)は、電子源20の先端部分の円錐角を9 0度程度にした場合である。図8(b)は図8(a)より も電子源20の先端部分の円錐角を小さくした 合である。従来、図8(a)のように、電子源20 先端部分の円錐角は90度程度で使用してい 。図8(b)のように先端角度を小さくするほど 強い電界になり電子を容易に放出すること 可能になる。さらに、鏡筒内に存在するイ ン等の微粒子が電子源の先端部分に衝突し くくなるため、イオン等による電子源表面 消耗と変形効果を低減することが可能とな 。

 本実施形態では、電子源20の先端部の角度 30度程度にしている。電子源20の材質、電子 20の長さや幅等のサイズにも依存するが、 来使用されてきたものよりも長期間安定し 使用することができる。
(電子源の表面に電子放出を制限する領域を 成する方法)
 次に、上記の電子放出を制限する領域を電 源20に形成する方法について説明する。

 ここでは、図8に示した構造の電子源を例と し、電子源20としてLaB 6 の単結晶を用いた場合について説明する。

 まず、LaB 6 単結晶を先端が円錐状になるように加工する 。

 次に、電子放出を制限する領域を形成する めに、カーボン30をLaB 6 単結晶の表面にコーティングする。このコー ティングは、CVD(Chemical Vapor Deposition)法、真 蒸着法、スパッタリング法等いずれの方法 あっても良い。このとき、コーティングす 膜の厚さは、電子放出表面の仕事関数を十 変える(LaB 6 よりも大きくする)こととLaB 6 材料の蒸発を防ぐことができる厚さであれば よい。なお、カーボンを使用する場合は、カ ーボンが酸素と反応してCO 2 となって蒸発することを考慮し、カーボンの 厚さは2μmから10μmにすることが好ましい。

 次に、電子源20の先端部を直径1μmから200μm 平坦になるように、コーティングした膜と もに研磨する。
(露光方法)
 次に、本実施形態の電子銃を使用した露光 置の露光方法について説明する。

  一般に、電子ビーム露光装置においては、電 子銃101やサプレッサー電極24、引き出し電極2 1、静電レンズ電極26、加速電極25が格納され 電子銃室(不図示)内のクリーニングをする めに、使用開始時にコンディショニングを 施している。コンディショニングでは、電 銃101を構成する電極(電子源20、サプレッサ 電極24、引き出し電極21、静電レンズ電極26) 加速電極25間に高電圧、例えば通常使用時 電圧(50kV)の1.6倍程度の電圧(80kV)を印加して 電を起こさせ、電子銃室内のごみを除去し いる。

 このコンディショニングにおいて、もし 引き出し電極21、静電レンズ電極26が省略さ れ、これらの電極が設置されておらず、電子 源20と加速電極25が直接相対する構造である 合には、電子源20から放電が起こり、電子源 20が溶解したり破損したりするおそれがある

 これを防止するため、コンディショニン 時には、引き出し電極21を設置するととも 、この引き出し電極21の電位を電子源20の電 よりも低い電位になるようにして、電子源2 0から電子を引き出さないようにしている。

 所定の時間、例えば1から数十時間のコン ディショニングが終了した後は、電子源全体 に印加する電圧を通常の使用電圧値に戻し、 引き出し電極21の電位を電子源20の電位より 高い電位にして通常の使用状態にする。

 このように、高電圧を電極に印加するコ ディショニングにおいて、引き出し電極21 電位を電子源20の電位よりも低くしているた め、電子源20から電子が引き出されることを 制でき、電子源20の溶解を防ぐことができ 。

 なお、本実施形態では、電子銃101の先端 を平坦にし、かつ、電子放出面20aと電子源2 0の側面を覆う異種物質とを同一の平面上に るように形成した。上記実施形態では、電 源20に加える熱は電子源20を構成する材料が 華を起こさない程度であるため、電子ビー を放射しても電子源20が変形することはな ものとみなして、上記のような構造とした

 しかしながら、昇華が発生しない所定の 度の熱を加えたとしても、何らかの原因で 定の温度以上になることも考えられ、実際 予測の範囲を超えて電子源材料の消耗が起 り平坦面が維持できなくなり、時間ととも 中心が陥没していくことが予測されうる。 こで、このような場合も考慮して、電子源2 0の先端の電子放出面20aと周囲の異種物質面 を同一平面上に形成しないで、図9に示すよ に、電子放出面20aを含む先端部分が異種物 面よりも突出するように形成してもよい。

 また、本実施形態では、電子源の側面を電 の放出を制限する領域として説明したが、 10に示すように、電子放出面60aおよび通電 て加熱するカーボンチップ62で挟まれる部分 を除いた電子源60の側面(61、61a)、及び裏面61b を異種物質で覆うようにしても良い。このよ うにすることにより、電子源60の昇華を削減 てウェーネルト等への付着物の量を削減す ことが可能となる。
(効果)
 以上説明したように、本実施形態では、引 出し電極21の電子放出面20aに対向する部分 球状凹面にしている。これにより、引き出 電極21と電子放出面20aとの間の電位分布を球 面状にすることができ、電子放出面近傍の電 位を極めて大きくすることができる。従って 、熱電界放射型の電子銃を使用して低温で動 作させても、電子ビームの輝度を大きくする ことが可能となる。

 また、電子源20のチップの先端部の電子 出面20aのみを露出させ、その他の側面部分 異種物質でカバーしている。このような電 源20を有する電子銃101を低温で動作させるた め、チップの昇華がほとんど起こらない。こ れにより、電子源20の電子放出面20aが変形す ことなく、電子銃101を長期間安定して使用 ることができる。

 また、チップの昇華が起こらない温度で 子銃101を動作させるため、電子放出面20a近 の電位を大きくする強電界をかけている。 のように強電界をかけても、カーボン30で 子源20の側面を覆っているため、電子源20の 面から電子が放出されることはない。これ より、電子ビームの形状が変わることがな 、不必要な箇所が高温になって真空度が下 るという現象を防止することができる。

 また、事実上LaB 6 の露出表面が電子銃先端中心部のみであるの で、従来のように、側壁部分や裏面などの大 きな面積部分からの昇華・蒸発によるウェー ネルトの内面へのLaB 6 の付着を防止することができる。

 本実施形態の電子銃101を使用すると、電子 20の昇華の発生を抑え、電子源20を構成する LaB 6 やCeB 6 の物質がグリッドの裏面に付着することを防 ぐことが出来る。もし、これらの物質がグリ ッドの裏面に付着すると、この付着物がウィ スカとなり、この上に電子がたまり、微小放 電を起こすおそれがある。その場合には、電 子ビーム露光装置を使用したときに、電子ビ ームの量と照射位置が安定しないという現象 が起こってしまう。従って、たとえ、電子銃 101の電子源20の変形が小さくとも、微小放電 起こす状態になった場合には、電子ビーム 光装置は安定した使用ができないことにな 。

 従来の電子銃では、このような微小放電 起こるまでの期間は100hから500hと考えられ いた。これに対し、本実施形態の電子銃101 用いると、上述したように電子源20の昇華が ほとんど発生しないようになるため、微小放 電が起こるまでの期間も従来に比べて数倍以 上長くすることが可能になる。これは、従来 よりも温度を50℃から200℃下げて使用するた 、電子源の昇華が数分の1から100分の1にな ためである。これにより、安定して電子ビ ム露光装置を使用できる期間を長くするこ が可能となる。

 さらに、電子銃101を複数使用して一つの エハ上に露光するマルチコラム型電子ビー 露光装置において、本実施形態の電子銃101 使用することにより、安定して使用できる 間が従来に比べて格段に延びることになる 従来の電子銃を使用すると、上記のように1 00hから500hで微小放電が起こるため、短期間 使用ごとに調整が必要となる。そのため、 数の電子銃を使用した場合であっても、一 の電子銃が不安定になれば装置全体を停止 なければならず、稼働率が低下し、スルー ットを向上させることができない。これに し、本実施形態の電子銃をマルチコラム型 子ビーム露光装置に使用することにより、 働率が低下せず、実質的に露光処理のスル プットを向上させることが可能となる。