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Title:
EMULSION COMPOSITION FOR FLOOR POLISHING AND FLOOR POLISHING COMPOSITION USING THE EMULSION COMPOSITION
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/122921
Kind Code:
A1
Abstract:
Disclosed is an emulsion composition for floor polishing that, even though a film forming assistant is not substantially contained, has excellent film forming properties at a low temperature and, at the same time, can form a film having excellent durability and water resistance. Also disclosed is a floor polishing composition using the emulsion composition for floor polishing. The emulsion composition for floor polishing is characterized in that the emulsion composition comprises an emulsion polymer obtained by subjecting an ethylenically unsaturated monomer to multistage emulsion polymerization and contains a compound containing two or more hydrazide groups, and an ethylenically unsaturated monomer mixture (A) for use in a final stage of the multistage emulsion polymerization and an ethylenically unsaturated monomer mixture (B) for use in stages other than the final stage of the multistage emulsion polymerization satisfy specific conditions.

Inventors:
KOKETSU AKEMI (JP)
Application Number:
PCT/JP2009/055391
Publication Date:
October 08, 2009
Filing Date:
March 19, 2009
Export Citation:
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Assignee:
TOAGOSEI CO LTD (JP)
KOKETSU AKEMI (JP)
International Classes:
C09G1/16; C09G1/04
Foreign References:
JPS5665013A1981-06-02
JPH1025448A1998-01-27
JPH08109353A1996-04-30
JP2006321889A2006-11-30
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Claims:
 エチレン性不飽和単量体を多段階乳化重合法によって得られるエマルションポリマーであって、前記多段階乳化重合の最終段で用いられるエチレン性不飽和単量体混合物(A)および前記多段階乳化重合の最終段以外で用いられるエチレン性不飽和単量体混合物(B)が下記の条件を満たし、更にヒドラジド基を2個以上有する化合物を含有することを特徴するフロアポリッシュ用エマルション組成物。
(1)エチレン性不飽和単量体混合物(A)が、(a)炭素数4~12のアルキル基を有するアルキルアクリレートまたはアルキルメタクリレート単量体単位40~94質量%、(b)エチレン性不飽和カルボン酸単量体単位5~30質量%、(c)カルボニル基を有するエチレン性不飽和単量体単位1~30質量%[ここで、(a)+(b)+(c)=100質量%]からなるものであり、その共重合体のガラス転移温度Tg(A)が-60~5℃であり、かつ、その共重合体のHLB(A)が3~10である。
(2)エチレン性不飽和単量体混合物(B)が、(a)炭素数4~12のアルキル基を有するアルキルアクリレートまたはアルキルメタクリレート単量体単位1~65質量%、(b)エチレン性不飽和カルボン酸単量体単位5~20質量%、(d)前記(a)および(b)と共重合可能なその他の単量体単位30~90質量%[ここで、(a)+(b)+(d)=100質量%]からなるものであり、その共重合体のガラス転移温度Tg(A)が0~100℃であり、かつ、その共重合体のHLB(B)が1~10である。
 上記エチレン性不飽和単量体混合物(A)が、上記(a)、(b)および(c)と共重合可能なその他の単量体単位(d)を更に40質量%以下[ここで、(a)+(b)+(c)+(d)=100質量%]含有することを特徴とする請求項1に記載のフロアポリッシュ用エマルション組成物。
  上記エチレン性不飽和単量体混合物(A)のHLB(A)と、エチレン性不飽和単量体混合物(B)のHLB(B)との差が0.1以上であることを特徴とする請求項1または2に記載のフロアポリッシュ用エマルション組成物。
  上記エチレン性不飽和単量体混合物(A)と、エチレン性不飽和単量体混合物(B)との質量比が30/70~80/20であることを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載のフロアポリッシュ用エマルション組成物。
 請求項1~4のいずれか1項に記載のフロアポリッシュ用エマルション組成物を含有するフロアポリッシュ組成物。
 実質的に造膜助剤を含有しないことを特徴とする請求項5に記載のフロアポリッシュ組成物。
Description:
フロアポリッシュ用エマルショ 組成物およびそれを用いたフロアポリッシ 組成物

 本発明は、例えば合成樹脂からなる化学 材や木質系床材等の表面に塗布することに り、床材の美観を保つとともに床面を保護 ることを目的とする皮膜を形成し得るフロ ポリッシュ用エマルション組成物およびそ を用いたフロアポリッシュ組成物に関する のである。

 合成樹脂からなる化学床材、木質系床材 コンクリートや大理石等の石床などの床面 は、床材の美観を保つとともに床面を保護 ることを目的としてフロアポリッシュ組成 が用いられている。フロアポリッシュ組成 には、JISK3920(フロアポリッシュ試験法)に解 説されているように、油性フロアポリッシュ 、乳化性フロアポリッシュおよび水性フロア ポリッシュの3種類があり、またそれぞれが リマータイプまたはワックスタイプに大別 れる。最近では、様々な床材に対して適用 きる点、優れた耐久性や耐汚染性等からポ マータイプの水性フロアポリッシュが、フ アポリッシュ組成物の主流となっている。

 ポリマータイプの水性フロアポリッシュ 、特許文献1および2等に開示されており、 クリルエマルション、ポリエチレンワック エマルション、アルカリ可溶性樹脂、可塑 、造膜助剤、その他からなるものである。

 従来のフロアポリッシュ組成物には、十 な造膜性を得るために揮発性有機化合物(以 下VOCという)の一種である造膜助剤が添加さ ている。近年、環境や健康に対する意識の まりから有機溶剤の排出を抑制する動きが 発化している。特に、建築物の室内環境に いてはVOCによるシックハウス等が社会的な 題として取り上げられており、フロアポリ シュ組成物においてもVOCの低減が望まれて る。

 この要望に応えるために、造膜助剤の添 量を削減しつつ造膜性を確保することが必 となる。このような課題に対し、水性塗料 分野では以前から検討がなされ、例えば特 文献3、4および5等に多層構造型ポリマーエ ルションが開示されている。これらはポリ ーエマルション粒子の最外層に低いガラス 移温度の層を設けることにより低温での造 性の良い塗料を開示している。しかしなが 、いずれの多層構造型ポリマーエマルショ も耐水性を向上させるため酸価が低く、フ アポリッシュ組成物として使用しようとし 場合アルカリ剥離性や耐ブラックヒールマ ク性が不十分という問題があり、適用が困 であった。

 一方、多層構造型ポリマーエマルション フロアポリッシュ組成物に使用することは 特許文献6、7および8等に開示されている。 かし、特許文献6に開示の方法では、ポリマ ーエマルション粒子の最外層に低いガラス転 移温度の層を設けることにより造膜性を向上 させているものの、完全に造膜助剤の量を減 らせるまでには至っていない。更に、低いガ ラス転移温度の層は架橋されておらず、耐衝 撃性が低く、耐久性に優れるものではなかっ た。また、特許文献7や8に開示の方法では、 子の内層に架橋された低いガラス転移温度 層を設けており、耐久性は優れるものの造 性を向上させるものではなかった。

特公昭44-24407号公報

特公昭49-1458号公報

特開平7-34027号公報

特開2002-3778号公報

特開2007-100080号公報

特開昭50-71791号公報

特公昭62-4051号公報

特許第3157464号公報

 本発明は、造膜助剤を実質的に含有しな ても低温での造膜性に優れるとともに、耐 性および耐水性にも優れた被膜を与えるフ アポリッシュ用エマルション組成物および れを用いたフロアポリッシュ組成物を提供 ることを目的とする。

 本発明者は、上記課題に鑑み鋭意検討し 結果、多段階乳化重合法により得られた特 のエマルションポリマーにヒドラジド基を2 個以上有する化合物を含有させることにより 、低温での造膜性に優れ、かつ耐久性、耐水 性、床材からの剥離性および貯蔵安定性に優 れるフロアポリッシュ用エマルション組成物 が得られることを見出し、本発明を完成させ るに至った。

  すなわち、本発明にかかるフロアポリッ ュ用エマルション組成物は、エチレン性不 和単量体を多段階乳化重合法によって得ら るエマルションポリマーであって、前記多 階乳化重合の最終段で用いられるエチレン 不飽和単量体混合物(A)および前記多段階乳 重合の最終段以外で用いられるエチレン性 飽和単量体混合物(B)が下記の条件を満たし 更にヒドラジド基を2個以上有する化合物を 有することを特徴するフロアポリッシュ用 マルション組成物であるものである。
(1)エチレン性不飽和単量体混合物(A)が、(a)炭 素数4~12のアルキル基を有するアルキルアク レートまたはアルキルメタクリレート単量 単位40~94質量%、(b)エチレン性不飽和カルボ 酸単量体単位5~30質量%、(c)カルボニル基を有 するエチレン性不飽和単量体単位1~30質量%[こ こで、(a)+(b)+(c)=100質量%]からなるものであり その共重合体のガラス転移温度Tg(A)が-60~5℃ であり、かつ、その共重合体のHLB(A)が3~10で る。
(2)エチレン性不飽和単量体混合物(B)が、(a)炭 素数4~12のアルキル基を有するアルキルアク レートまたはアルキルメタクリレート単量 単位1~65質量%、(b)エチレン性不飽和カルボン 酸単量体単位5~20質量%、(d)前記(a)および(b)と 重合可能なその他の単量体単位30~90質量%[こ こで、(a)+(b)+(d)=100質量%]からなるものであり その共重合体のガラス転移温度Tg(A)が0~100℃ であり、かつ、その共重合体のHLB(B)が1~10で る。

 上記エチレン性不飽和単量体混合物(A)が 上記(a)、(b)および(c)と共重合可能なその他 単量体単位(d)を更に40質量%以下[ここで、(a) +(b)+(c)+(d)=100質量%]含有することが好ましい。

 上記フロアポリッシュ用エマルション組 物は、エチレン性不飽和単量体混合物(A)のH LB(A)と、エチレン性不飽和単量体混合物(B)のH LB(B)との差が0.1以上であることが好ましい。

 上記フロアポリッシュ用エマルション組 物は、エチレン性不飽和単量体混合物(A)と エチレン性不飽和単量体混合物(B)との質量 が30/70~80/20であることが好ましい。

 本発明にかかるフロアポリッシュ組成物 、上記フロアポリッシュ用エマルション組 物を含有するものである。

 また、本発明にかかるフロアポリッシュ 成物は、実質的に造膜助剤を含有しないこ が好ましい。

 本発明にかかるフロアポリッシュ用エマ ション組成物は、以上のように、多段階乳 重合法によって得られる特定のエマルショ ポリマーとヒドラジド基を2個以上有する化 合物を含有する。そのため、造膜助剤を実質 的に含有しなくても低温での造膜性に優れる とともに、耐ブラックヒールマーク性や耐ス カッフ性などの耐久性、耐水性および密着性 にも優れた被膜を与えるフロアポリッシュ用 エマルション組成物およびそれを用いたフロ アポリッシュ組成物を提供することができる 。また、当該フロアポリッシュ用エマルショ ン組成物を用いたフロアポリッシュ組成物は 、良好な貯蔵安定性を有する。

 以下、本発明の実施形態について詳細に説 する。本明細書において「(メタ)アクリル とは「アクリルまたはメタクリル」を意味 る。
 本発明のフロアポリッシュ用エマルション 成物は、エチレン性不飽和単量体を多段階 化重合して得られるものである。

 上記多段階乳化重合は2段以上で行われる ものであり、最終段で用いられるエチレン性 不飽和単量体混合物(A)および前記多段階乳化 重合の最終段以外で用いられるエチレン性不 飽和単量体混合物(B)からなり、(B)成分はさら に組成の異なる複数段からなっていてもよい 。

 最終段で用いられるエチレン性不飽和単 体混合物(A)は、(a)炭素数4~12のアルキル基を 有するアルキル(メタ)アクリレート単量体単 、(b)エチレン性不飽和カルボン酸単量体単 、(c)カルボニル基を有するエチレン性不飽 単量体単位からなるものであり、更に前記( a)、(b)および(c)と共重合可能なその他の単量 単位(d)を含有する。

 上記(a)炭素数4~12のアルキル基を有するア ルキル(メタ)アクリレート単量体としては、 えば、n-ブチル(メタ)アクリレート、i-ブチ (メタ)アクリレート、n-ヘキシル(メタ)アク レート、n-オクチル(メタ)アクリレート、i- クチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシ ル(メタ)アクリレート、n-ノニル(メタ)アクリ レート、i-ノニル(メタ)アクリレート、n-デシ ル(メタ)アクリレート、n-ラウリル(メタ)アク リレート等を挙げることができ、これらの1 又は2種以上を用いることができる。これら 中でも、n-ブチル(メタ)アクリレート、2-エ ルヘキシル(メタ)アクリレートが安価であ 、工業的に入手容易なので好ましい。

 上記(b)エチレン性不飽和カルボン酸単量 としては、例えば、(メタ)アクリル酸、ク トン酸、ビニル酢酸、アクリロキシプロピ ン酸等の不飽和一塩基酸、マレイン酸、フ ル酸、メサコン酸、シトラコン酸、イタコ 酸、シクロヘキサンジカルボン酸等の不飽 二塩基酸、マレイン酸無水物、テトラヒド フタル酸無水物等の不飽和酸無水物が挙げ ことができ、これらの1種又は2種以上を用い ることができる。これらの中でも(メタ)アク ル酸は安価であり、他の各種単量体と共重 反応を起こしやすいので好ましい。

 上記(c)カルボニル基を有するエチレン性 飽和単量体としては、例えば、アクロレイ 、ジアセトン(メタ)アクリルアミド、ホル スチロール、(メタ)アクリルオキシアルキル プロパナール、ジアセトン(メタ)ビアクリレ ト、アセトニル(メタ)アクリレート、アセ アセトキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒ ロキシプロピル(メタ)アクリレート-アセチ アセテート、ブタンジオール-1,4-アクリレ ト-アセチルアクリレート、ビニルメチルケ ン、ビニルエチルケトン、ビニルイソブチ ケトン等を挙げることができ、これらの1種 又は2種以上を用いることができる。これら 中で工業的な入手容易性を考慮するとアク レインおよびジアセトンアクリルアミドが ましく、特にジアセトンアクリルアミドが ましい。

上記(d)前記(a)、(b)および(c)と共重合可能な その他の単量体としては、例えば、メチル( タ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレー 、n-プロピル(メタ)アクリレート、i-プロピ (メタ)アクリレート等の炭素数1~3のアルキル 基を有するアルキル(メタ)アクリレート、(メ タ)アクリロニトリル、α-クロロアクリロニ リル等のシアノ基含有ビニル単量体、2-ヒド ロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロ シプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキ -3-フェノキシプロピル(メタ)アクリレート グリセロールモノ(メタ)アクリレート、ポリ エチレングリコールモノ(メタ)アクリレート ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アク レート、ポリエチレングリコール-ポリプロ レングリコール共重合体のモノ(メタ)アク レート等の水酸基含有ビニル単量体、スチ ン、ビニルトルエン、ジビニルトルエン、α -メチルスチレン、パラメチルスチレン、ク ロスチレン、ビニルジベンジルクロリド、 ンジル(メタ)アクリレート等の芳香族系ビニ ル単量体、シクロヘキシル(メタ)アクリレー 、イソボルニル(メタ)アクリレート等の脂 族環系ビニル単量体、イタコン酸モノエチ エステル、フマル酸モノブチルエステル、 レイン酸モノブチルエステル等の不飽和ジ ルボン酸のモノアルキルエステル、アクリ アミド、メタクリルアミド、N-メチロールア クリルアミド、N-メトキシメチルアクリルア ド、N-メトキシブチルアクリルアミド等の 飽和カルボン酸アミド及びそのN-置換化合物 、アリルアルコール等の不飽和アルコール、 酢酸ビニル、グリシジル(メタ)アクリレート 塩化ビニル、塩化ビニリデン等を挙げるこ ができ、これらの1種又は2種以上を用いる とができる。これらの中でも、メチル(メタ) アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、 チレン、シクロヘキシル(メタ)アクリレー が安価であり、工業的に入手容易なので好 しい。

 上記共重合体における構成単量体単位の構 割合は以下の通りである。
(a)炭素数4~12のアルキル基を有するアルキル( タ)アクリレート単量体単位40~94質量%、(b)エ チレン性不飽和カルボン酸単量体単位5~30質 %、(c)カルボニル基を有するエチレン性不飽 単量体単位1~30質量%[ここで、(a)+(b)+(c)=100質 %]であることが必要であり、上記(a)45~90質量 %、上記(b)7~25質量%、上記(c)3~15質量%であるも が好ましい。また、上記単量体混合物には 上記(a)、(b)および(c)と共重合可能なその他 単量体単位(d)を40質量%以下含有させること 好ましい。

(a)炭素数4~12のアルキル基を有するアルキ (メタ)アクリレート単量体単位が40質量%より 少ないと、得られるフロアポリッシュ組成物 の造膜性が十分でなく、94質量%を超えると耐 ブラックヒールマーク性や耐スカッフマーク 性などの耐久性が不足する場合がある。

 (b)エチレン性不飽和カルボン酸単量体単 が5質量%より少ないと得られるフロアポリ シュ組成物のアルカリ剥離性や耐久性が不 する場合があり、30質量%を超えると耐水性 密着性が不足する場合がある。

(c)カルボニル基を有するエチレン性不飽和 単量体単位が1質量%より少ないと架橋が十分 行われず、得られるフロアポリッシュ用組 物の耐久性や耐水性が不足し、30質量%を超 ると密着性や耐水性が不足することがある

(d)前記(a)、(b)および(c)と共重合可能なその 他の単量体単位を40質量%以下含有させること によって、得られるフロアポリッシュ用組成 物の耐久性や光沢が向上するため好ましい。 しかし、40質量%を超えると造膜性が不足する 場合がある。

 (A)成分から構成される共重合体のガラス転 温度(以下、「Tg」という)は-60~5℃であるこ が必要であり、-55~0℃であるものがより好 しく、-50~-5℃であるものが更に好ましい。
 Tgが-60℃より低いと得られるフロアポリッ ュ用組成物の耐久性が不足し、皮膜はブロ キングが生じやすく、5℃を超えると低温で 造膜性が不足する場合がある。

 従って、フロアポリッシュ用エマルション 成物の設計にあたっては、得られる共重合 のTgが上記範囲に設定されるよう、前記(a)~( d)単量体単位を選択することが望ましい。尚 本発明にて用いるTgは次式に示されるFox式 計算されるものをいう。
 1/Tg=W1/Tg1+W2/Tg2+W3/Tg3…
ここで、W1、W2、W3…は、重合体中の単量体単 位1、2、3…の質量分率を示し、Tg1、Tg2、Tg3… は、同じく単量体単位1、2、3…のホモポリマ ー(単独重合体)のTg(式上では絶対温度を使用) を示したものである。

 上式において、ホモポリマー(単独重合体 )のTgについては、「PolymerHand Book(Third Edition J.Brandup and E.H.Immergut編)」などに記載され いる値を用いることができる。例えば、ポ n-ブチルアクリレート:-54℃、ポリ2-エチルヘ キシルアクリレート:-70℃、ポリアクリル酸:1 06℃、ポリメタクリル酸:185℃、ポリジアセト ンアクリルアミド:65℃、ポリスチレン:100℃ ポリメチルメタクリレート:105℃、ポリシク ヘキシルアクリレート16℃等である。

 また、(A)成分から構成される共重合体のH LBは、3~10であることが必要であり、4~8がより 好ましい。HLBが3より低いと得られるフロア リッシュ用組成物の親油性が大きくなりゴ との親和性が高まるため、耐ブラックヒー マーク性が不足し、10を超えると親水性が大 きくなり水を吸収しやすくなるため、耐水性 が不足する場合がある。

 従って、フロアポリッシュ用エマルション 成物の設計にあたっては、得られる共重合 のHLBが上記範囲に設定されるよう、前記(a)~ (d)単量体単位を選択することが望ましい。尚 、本発明にて用いるHLB(Hydrophile-Lipophile Balance 、親水性親油性バランス)は、各単量体のHLB 次式で計算し、(A)成分を構成する単量体単 の加重平均から算出されるものをいう。
 HLB=σ無機性/σ有機性×10
ここで、無機性および有機性は、例えば、藤 田穆・赤塚政美、「系統的有機定性分析(混 物編)」、風間書房(1974)に示されている無機 基表の数値を採用すればよい。

多段階乳化重合の最終段以外で用いられる エチレン性不飽和単量体混合物(B)は(a)炭素数 4~12のアルキル基を有するアルキル(メタ)アク リレート単量体単位、(b)エチレン性不飽和カ ルボン酸単量体単位、(d)前記(a)および(b)と共 重合可能なその他の単量体単位からなるもの であり、上記共重合体における構成単量体単 位の構成割合は、(a)炭素数4~12のアルキル基 有するアルキル(メタ)アクリレート単量体単 位1~65質量%、(b)エチレン性不飽和カルボン酸 量体単位5~20質量%、(d)その他の単量体単位30 ~90質量%[ここで、(a)+(b)+(d)=100質量%]であるこ が必要であり、上記(a)5~60質量%、上記(b)7~15 量%、上記(d)40~85質量%であるものがより好ま い。

単量体単位(a)、(b)および(d)は、多段階乳化 重合の最終段で用いられるエチレン性不飽和 単量体混合物(A)の単量体単位と同じものを用 いることができる。また、組成の異なるエチ レン性不飽和単量体混合物(B)を複数段で滴下 してもよいが、その合計の構成割合が上記の 範囲に入ることが必要である。

(a)炭素数4~12のアルキル基を有するアルキ (メタ)アクリレート単量体単位が65質量%を超 えると、得られるフロアポリッシュ組成物の 耐久性が不足する場合がある。

 (b)エチレン性不飽和カルボン酸単量体単 が5質量%より少ないと得られるフロアポリ シュ組成物のアルカリ剥離性や耐久性が不 する場合があり、20質量%を超えると耐水性 不足する場合がある。

 (B)成分から構成される共重合体のTgは0~100℃ であることが必要であり、15~100℃であるもの がより好ましく、30~100℃であるものが更に好 ましい。
 Tgが0℃より低いと得られるフロアポリッシ 用組成物の耐久性が不足する場合がある。T gが100℃を超えると造膜性が低下する場合が る。

 また、(B)成分から構成される共重合体のH LBは1~10であることが必要であり、3~8がより好 ましい。HLBが1より低いと得られるフロアポ ッシュ用エマルションの安定性が低下する ともに、得られるフロアポリッシュ用組成 の耐ブラックヒールマーク性が不足し、10を 超えると耐水性が不足する場合がある。

 前記多段階乳化重合法によって得られる マルションポリマーは、更にヒドラジド基 2個以上有する化合物を含有してフロアポリ ッシュ用エマルション組成物とするものであ る。ヒドラジド基を2個以上有する化合物は エマルション中のカルボニル基と反応し、 ロアポリッシュ組成物の耐久性、耐水性、 膜性を向上させる働きがある。

 分子内にヒドラジド基を2個以上含有する 化合物としては、例えば、カルボヒドラジド や蓚酸ジヒドラジド、マロン酸ジヒドラジド 、コハク酸ジヒドラジド、グルタル酸ジヒド ラジド、アジピン酸ジヒドラジド、セバシン 酸ジヒドラジド、ドデカン二酸ジヒドラジド 、イソフタル酸ジヒドラジド、クエン酸ジヒ ドラジド、1,2,4-ベンゼントリジヒドラジド、 チオカルボジヒドラジド、大塚化学社製の商 品名「APA-M950」、「APA-M980」、「APA-P250」、「 APA-P280」などのヒドラジドポリマー等が挙げ れる。これらの中でも、エマルションへの 散性や耐水性などのバランスからカルボヒ ラジド、アジピン酸ヒドラジド、コハク酸 ヒドラジド、ヒドラジドポリマーが好まし 。

 分子内にヒドラジド基を2個以上含有する 化合物の配合量は特に限定されるものではな いが、(A)成分中のカルボニル基1当量に対し 、0.1~2当量のヒドラジド基となるような量が 適当である。ヒドラジド基がカルボニル基1 量に対して0.1当量より少ないと架橋が不十 となり、得られるフロアポリッシュ組成物 耐ブロッキング性や耐久性が不足する場合 あり、2当量より多いと未反応の成分が残り 水性や耐洗剤性が不足する場合がある。

 前記多段階乳化重合の最終段で用いられ エチレン性単量体混合物(A)のHLB(A)と多段階 化重合の最終段以外で用いられるエチレン 単量体混合物(B)のHLB(B)との差が0.1以上(通常 10以下)であることが好ましく、0.3以上である ことが更に好ましい。0.1より少ないと得られ るポリマー粒子中で(A)層と(B)層が均一混合し てしまう場合がある。

 前記多段階乳化重合の最終段で用いられ エチレン性単量体混合物(A)と多段階乳化重 の最終段以外で用いられるエチレン性単量 混合物(B)との質量比は、30/70~80/20であるこ が好ましい。当該(A)が30未満であると得られ るフロアポリッシュ組成物の造膜性が低下し 、また当該(A)が80を超えると得られるフロア リッシュ組成物の耐ブロッキング性や耐久 が不足する場合がある。

 本発明のフロアポリッシュ用エマルショ 組成物を得るための多段階乳化重合方法は 重合開始剤、水性媒体、乳化剤を一括添加 て重合する方法や、いわゆるモノマー滴下 やプレエマルション法などの公知の方法で うことができる。

 上記乳化剤としては、アルキルベンゼン ルホン酸ナトリウム、アルキル硫酸ナトリ ム、ポリオキシエチレンアルキルフェニル ーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレ アルキル硫酸ナトリウム、ジアルキルスル 琥珀酸ナトリウム、ナフタレンスルホン酸 ホルマリン縮合物等のアニオン系界面活性 、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエ テル、ポリオキシエチレンアルキルエーテ 、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル ソルビタン脂肪酸エステル等のノニオン系 面活性剤、スチレンスルホン酸ナトリウム アリルアルキルスルホン酸ナトリウム、ア キルアリルスルホコハク酸ナトリウム、ポ オキシエチレンアルキルアリルグリセリン ーテルサルフェート、ポリオキシエチレン ルキルフェノールアリルグリセリンエーテ サルフェート等の反応性乳化剤、ポリビニ アルコール、ポリアクリル酸塩、水溶性(メ タ)アクリル酸エステル共重合体、スチレン- レイン酸共重合体塩、スチレン-(メタ)アク ル共重合体塩、ポリ(メタ)アクリルアミド ポリ(メタ)アクリルアミドの共重合体等の高 分子界面活性剤等が使用でき、これらは単独 でまたは2種以上併用して使用することが出 る。乳化剤の望ましい使用量は、用いられ エチレン不飽和単量体混合物の合計質量に し、0.05~5質量部が好ましい。5質量部を超え と耐水性に劣ることがある。

 上記重合開始剤としては、水溶性重合開 剤、及び油溶性重合開始剤の何れも使用で る。例えば、過酸化水素、ベンゾイルパー キサイド、tert-ブチルパーオキサイド、ジ ミルパーオキサイド等の有機過酸化物、ア ビスイソブチロニトリル、アゾビス(2-メチ ブチロニトリル)、アゾビスシアノ吉草酸等 アゾ系化合物、過硫酸ナトリウム、過硫酸 リウム、過硫酸アンモニウム等の無機過酸 物、これらの過酸化物と亜硫酸塩、アスコ ビン酸、エリソルビン酸塩等の還元剤とか なるレドックス系重合開始剤等が挙げられ 。重合開始剤の使用量は、用いられるエチ ン不飽和単量体混合物の合計質量に対し、0 .01~5質量%とすることが好ましく、特に0.1~3質 %が好ましい。

 重合反応の温度は20~100℃が好ましく、特 40~95℃が好ましい。また、重合時間は1~10時 が好ましい。

 上記水性媒体としては、通常、水が使用 れる。必要に応じて低級アルコールやケト 等の親水性溶媒の併用は可能であるが、有 溶媒が含まれないことが好ましい。上記水 媒体の使用量は、特に限定されず、得られ フロアポリッシュ用エマルションポリマー 固形分が所定量になるように適宜設定すれ 良い。

 また、上記多段階乳化重合において、得 れるエマルションポリマーの分子量調整の めに連鎖移動剤を使用することができる。 記連鎖移動剤としては、例えば、ラウリル ルカプタン、tert-ドデシルメルカプタン、 クチルメルカプタン、チオグチコール酸2-エ チルヘキシル、2-メチル-5-tert-ブチルチオフ ノール、3-メルカプトプロピオン酸などが挙 げられる。上記連鎖移動剤の使用量は、特に 限定されるものではなく、使用するエチレン 不飽和単量体混合物の種類、反応条件等に応 じて適宜設定すれば良い。

 また、得られたフロアポリッシュ用エマ ション組成物のpHを調整するために中和剤 用いても良い。上記中和剤としては、アン ニア、トリエチルアミン、N,N-ジメチルアミ エタノール、2-アミノ-2-メチル-1-プロパノ ルなどのアミン類、水酸化ナトリウム、水 化カリウムなどの水酸化物が用いられる。 、上記pHの調整は、重合中、およびその前後 、いつでも行うことができる。

 上記多段階乳化重合により得られるエマ ションポリマーは、固形分が10~70質量%のエ ルションとして得られ、本発明のフロアポ ッシュ組成物中に、固形分として10~60質量% 範囲で添加される。

 本発明のフロアポリッシュ組成物は、上 のフロアポリッシュ用エマルション組成分 外の成分として、公知である多価金属化合 、可塑剤、造膜助剤、アルカリ可溶性樹脂 滑り調整剤、濡れ性向上剤等の成分を用い 構成される。

 多価金属化合物としては、多価金属イオ や多価金属イオンのアンモニア及びアミン 体(及び特にNH3配位したもの)等が挙げられ 。上記多価イオンとしては、水中に少なく も1質量%程度の顕著な溶解性を有する酸化物 、水酸化物または塩基性塩、酸性塩または中 性塩の形態で組成物に添加することができる 、ベリリウム、カドミウム、銅、カルシウム 、マグネシウム、亜鉛、ジルコニウム、バリ ウム、ストロンチウム、アルミニウム、ビス マス、アンチモン、鉛、コバルト、ニッケル 、鉄または多の多価金属イオン等が挙げられ る。上記多価金属イオンのアンモニア及びア ミン錯体の錯体形成が可能なアミンとしては 、例えば、モルホリン、モノエタノールアミ ン、ジエチルアミノエタノール及びエチレン ジアミン等が挙げられる。また、アルカリ性 pH範囲で可溶化可能な有機酸の多価金属錯体( 塩)も用いることが出来る。また、酢酸イオ 、グルタミン酸イオン、ギ酸イオン、炭酸 オン、サリチル酸イオン、グルコール酸イ ン、オクトン酸イオン、安息香酸イオン、 ルコン酸イオン、蓚酸イオン、乳酸イオン の陰イオンも用いられる。また、配位子が リシン、アラニン等の二座アミノ酸である 価金属キレートも用いられる。

 可塑剤としては、クエン酸アセチルトリ チル等のクエン酸エステル類、リン酸トリ チル、リン酸トリ2-エチルヘキシル、リン トリフェニル、リン酸トリクレシル、リン トリブトキシエチル等のリン酸エステル類 アジピン酸ジブチル、アジピン酸ジ2-エチル ヘキシル、アジピン酸ジ-n-アルキル610、アゼ ライン酸ジ2-エチルヘキシル、セバシン酸ジ チル、セバシン酸ジ-2-エチルヘキシル等の 肪族二塩基酸エステル類、ペンタジオール イソブチルエステル誘導体、塩素化パラフ ン等を用いることができる。

 造膜助剤としては、エタノール、イソプ ピルアルコール等のアルコール類、エチレ グリコール等の多価アルコール類、ジエチ ングリコールモノメチルエーテル、ジエチ ングリコールモノエチルエーテル、ジプロ レングリコールモノメチルエーテル、ジプ ピレングリコールモノエチルエーテル、エ レングリコールモノ-2-メチルヘキシルエー ル、ジエチレングリコールモノ-2-メチルヘ シルエーテル等のグリコールエーテル類、 -アミノアルコール、β-アミノアルコール、 エタノールアミン、トリエタノールアミン 2-アミノイソヘキシルアルコール、N,N-ジメ ルエタノールアミン、N,N-ジエチルエタノー ルアミン、アミノエチルエタノールアミン、 N-メチル-N,N-ジエタノールアミン、N,N-ブチル タノールアミン、N-メチルエタノールアミ 、3-アミノ-1-プロパノール等のアミン化合物 を用いることができる。しかしながら、上記 造膜助剤は、環境安全性を求める上で、少な い量で配合されるか、実質的に配合されない ことが好ましい。また、本発明のフロアポリ ッシュ組成物は、実質的に造膜助剤を配合し なくても、低温での造膜性を得ることができ る。

 アルカリ可溶性樹脂としては、ジイソブ レン-無水マレイン酸共重合体、ロジン変性 マレイン酸樹脂、スチレンマレイン酸樹脂、 (メタ)アクリル酸エステル-(メタ)アクリル酸 重合体、シュラック等を用いることができ 。尚、本発明のフロアポリッシュ組成物に っては、これらは任意に用いられる。

 滑り調整剤としては、キャンデリラワッ ス、カルナバワックス、ライスワックス、 ロウ、ホホバ油等の植物系ワックス、蜜蝋 ラノリン、鯨ロウ等の動物系ワックス、パ フィンワックス、マイクロクリスタリンワ クス、ペトロラタム等の石油系ワックス、 ィッシャートロプシュワックス等の合成炭 水素系ワックス、(酸化)ポリエチレンワッ ス、(酸化)ポリプロピレンワックス等の合成 ワックス等を用いることができる。

 濡れ性向上剤としては、フッ素系界面活 剤、シリコーン系界面活性剤、高級アルコ ル硫酸エステルナトリウム、アルキルベン ンスルホン酸ナトリウム、コハク酸ジアル ルエステルスルホン酸ナトリウム、アルキ ジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウ 、ポリオキシエチレンアルキル硫酸エステ ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキル ェニルエーテル硫酸エステルナトリウム、 ルカンスルホン酸ナトリウム等のアニオン 面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエ テル、ポリオキシエチレンポリオキシプロ レンアルキルエーテル、ポリオキシエチレ ポリオキシプロピレン共重合体、蔗糖脂肪 エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポ エチレングリコール脂肪酸エステル、ポリ リセリン脂肪酸エステル等の脂肪酸エステ 類、ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド、ラ リン酸ジエタノールアミド、ラウリン酸ミ スチン酸ジエタノールアミド、ミリスチン ジエタノールアミド、オレイン酸ジエタノ ルアミド、パーム核油脂肪酸ジエタノール ミドなどの脂肪酸アルカノールアミド類、 ルキルグルコシド等の非イオン界面活性剤 ラウリルベタインなどのアルキルベタイン 両性イオン界面活性剤、2-アルキル-N-カル キシメチルイミダゾリニウムベタイン、2-ア ルキル-N-カルボキシエチルイミダゾリニウム ベタイン等のイミダゾリン型両性イオン界面 活性剤、アルキルスルホベタイン型両性イオ ン界面活性剤、ヤシ油脂肪酸アミドジメチル ヒドロキシプロピルスルホベタインなどのア ミドスルホベタイン型両性界面活性剤、N-ア キル-β-アミノプロピオン酸塩、N-アルキル- β-イミノジプロピオン酸塩、β-アラニン型両 性界面活性剤等の両性界面活性剤を用いるこ とができる。

 この他、任意成分としてアンモニア等のp H調整剤、防腐剤、消泡剤、抗菌剤、香料、 料、ウレタン樹脂、コロイダルシリカ、蛍 増白剤、紫外線吸収剤等を用いることもで る。

 本発明のフロアポリッシュ組成物におい 、上記任意成分を含めた不揮発分は、12~40 量%程度に設定されることが好ましい。

 またフロアポリッシュ組成物を製造する ましい方法は、水に可塑剤、造膜助剤、ア カリ可溶性樹脂、フッ素系界面活性剤を添 した後、エチレン性不飽和化合物の重合体 加えた後、合成ワックス等を混合すること より製造することができる。また、必要に じ適宜の工程において、アンモニア等のpH 整剤、防腐剤、消泡剤、抗菌剤、香料、染 、ウレタン樹脂、コロイダルシリカ、蛍光 白剤、紫外線吸収剤等の任意成分が添加さ る。

 本発明のフロアポリッシュ組成物は、ビニ 系、合成樹脂塗り床などのプラスチック系 材、石材、セメント系床材、木質系床材等 被塗物に有効である。 また、本発明のフ アポリッシュ組成物は、スプレー塗布、ロ ラー塗布、ブラシ塗布、刷毛塗りなどの通 の方法により被塗物に塗布することができ 。
該フロアポリッシュ組成物は、装置および塗 布条件に応じて水、水混和性溶剤等の溶剤で 希釈して使用することもできる。その他の塗 布条件としての温度、湿度等の調節は、適宜 乾燥機、送風機、エアコンディショナー等に よっておこなうことができる。

 本発明のフロアポリッシュ組成物を塗布 た上記被塗物は、常温(5~35℃±5℃)で、より 適には20~25℃前後で乾燥することにより可 離性の保護膜が形成される。なお、保護膜 形成過程において水分の蒸発を促進させる めに、送風、加熱又は両者の併用等の水分 去手段を適宜用いるようにしてもよい。こ により、保護膜の形成時間を調製すること 容易となるが、加熱手段は、あくまでも水 蒸発のためのものであって、保護膜形成の めに加熱を必須構成要件とするものではな 。

 以下に、本発明の実施例及び比較例を挙 て、本発明のフロアポリッシュ用エマルシ ン組成物およびそれを用いたフロアポリッ ュ組成物の特徴について説明する。以下の 載において「部」は質量部を意味し、「%」 は質量%を意味する。但し、本発明はこれら 実施例に限定されるものではない。

(実施例1~14、比較例1)
 攪拌機、還流冷却器、2個の滴下ロート、温 度計、窒素導入管を備えた反応容器内に水80 およびラウリル硫酸ソーダ0.7部を仕込み80 に昇温した。
 表1および2に示す1段目組成の単量体混合物 、ラウリル硫酸ソーダおよび水を加えて乳 させた。得られた単量体乳化液および5%過 酸アンモニウム水溶液6部をそれぞれ別の滴 ロートにより2時間かけて連続的に反応容器 内に滴下して乳化重合させた。滴下終了後、 反応容器内を80℃に30分間保った。
 続けて、表1および2に示す2段目組成の単量 混合物に、ラウリル硫酸ソーダおよび水を えて乳化させた。得られた2段目単量体乳化 液および5%過硫酸アンモニウム水溶液6部を、 それぞれ別の滴下ロートより2時間かけて連 的に反応容器内に滴下して乳化重合させた 滴下終了から1時間後に系を冷却して重合を 了させた。
 更に、重合体中のカルボキシル基に対して 鉛のモルイオン当量が20%となるように重炭 アンモニウムおよびアンモニア水を用いて 溶化した酸化亜鉛を混合し、重合体中のカ ボニル基に対してヒドラジド当量が100%とな るようにアジピン酸ヒドラジドを混合して、 固形分濃度38%のフロアポリッシュ用エマルシ ョン組成物を得た。
 更に、このフロアポリッシュ用エマルショ 組成物に表3に示すような比率で各種添加剤 を添加して攪拌混合し、フロアポリッシュ組 成物を得た。なお、表1、2、4、5および6に示 たエチレン性不飽和単量体の略号は、下記 意味を示す。また、同表中の括弧内の数字 エチレン性不飽和単量体の全体量に対する 合(質量%)を示す。

HA:2-エチルヘキシルアクリレート
BA:n-ブチルアクリレート
St:スチレン
MMA:メチルメタアクリレート
AA :アクリル酸
MAA:メタクリル酸
DAAM:ジアセトンアクリルアミド
CHA:シクロヘキシルアクリレート

(実施例15~20、比較例2~5)
 実施例1と同様な装置を用い水80部およびラ リル硫酸ソーダ0.7部を仕込み80℃に昇温し 。
 表4、5および6に示す1段目組成の単量体混合 物に、ラウリル硫酸ソーダおよび水を加えて 乳化させた。得られた単量体乳化液および5% 硫酸アンモニウム水溶液4部をそれぞれ別の 滴下ロートにより1時間かけて連続的に反応 器内に滴下して乳化重合させた。滴下終了 、反応容器内を80℃に30分間保った。
 続けて、表4、5および6に示す2段目組成の単 量体混合物に、ラウリル硫酸ソーダおよび水 を加えて乳化させた。得られた2段目単量体 化液および5%過硫酸アンモニウム水溶液4部 、それぞれ別の滴下ロートより1時間かけて 続的に反応容器内に滴下して乳化重合させ 。滴下終了後、反応容器内を80℃に30分間保 った。
 更に続けて、表4、5および6に示す3段目組成 の単量体混合物に、ラウリル硫酸ソーダおよ び水を加えて乳化させた。得られた3段目単 体乳化液および5%過硫酸アンモニウム水溶液 4部を、それぞれ別の滴下ロートより1時間か て連続的に反応容器内に滴下して乳化重合 せた。滴下終了から1時間後に系を冷却して 重合を終了させた。
 更に、実施例1と同様の操作を行い、フロア ポリッシュ用エマルション組成物を経てフロ アポリッシュ組成物を得た。

(比較例6)
 アジピン酸ジヒドラジドを用いない以外は 施例1と同様の操作を行い、フロアポリッシ ュ用エマルション組成物を経てフロアポリッ シュ組成物を得た。

 上記の実施例および比較例において、フ アポリッシュ用エマルション組成物のpHは ずれも6~8であった。

 得られた各種フロアポリッシュ組成物に いて、低温造膜性、光沢度、レベリング性 耐ブラックヒールマーク(BHM)性、耐スカッ 性、耐水性、剥離性、密着性、貯蔵安定性 ついて、以下の試験方法と判定基準により 価し、その結果を表7~9に示した。

(1)低温造膜性
〔試験方法〕
 5℃の環境下でガラス板上に供試フロアポリ ッシュ組成物を50μmの厚さに塗布し、そのま 5℃の環境下で一昼夜静置乾燥させ、造膜状 態を下記の判定基準に従って、目視にて判定 した。
〔判定基準〕
 ◎:均一な膜が形成できた
 ○:塗膜は形成できたが、外周のみクラック が生じた
 △:塗膜は形成できたが、全体的にクラック が生じた
 ×:塗膜は形成できず、粉々になった

(2)光沢度
〔試験方法〕
 JIS K 3920(フロアポリッシュ試験法)に準拠 、ホモジニアスビニルタイル(東リ社製、商 名「マチコSプレーンNO.5626」)に、供試フロ ポリッシュ組成物を3回塗布後(厚み15μm)、 温(10~30℃)で1時間乾燥させたものの光沢度を 鏡面光沢度計(日本電色工業社製、型式:PG-1M) より測定した。

(3)レベリング性
〔試験方法〕
 JIS K 3920(フロアポリッシュ試験法)に準拠 、ホモジニアスビニルタイル(東リ社製、商 名「マチコSプレーンNO.5626」)に、供試フロ ポリッシュ組成物を3回塗布後(厚み15μm)、 ちに基材の対角線にそってX字状のマーク(以 下、「Xマーク」という。)を付けて常温(10~30 )で1時間乾燥させた。Xマークがどの程度消 しているかを、下記の判定基準に従って、 視にて判定した。
〔判定基準〕
 ◎:Xマークが見られない。
 ○:Xマークの輪郭が光沢差として見られる
 △:Xマークが一部尾根状になって見られる
 ×:Xマークが全体的に尾根状になり、凸凹で ある。

(4)耐ブラックヒールマーク(BHM)性
〔試験方法〕
 JIS K 3920(フロアポリッシュ試験法)に準拠 、ホモジニアスビニルタイル(東リ社製、商 名「マチコSプレーンNO.5626」)に、供試フロ ポリッシュ組成物を3回塗布し(厚み15μm)、 温(10~30℃)にて一昼夜乾燥させたもをヒール ーク試験機にて試験し、目視にて10段階で 定した。
〔判定基準〕
 10:極めて高い耐BHM性を示す。
 6~9:適度な耐BHM性を有し、実用性を備えてい る。
 2~5:耐BHM性に欠け、実用性にも欠ける。
 1:極めて耐BHM性に欠ける。

(5)耐スカッフ性
〔試験方法〕
 JIS K 3920(フロアポリッシュ試験法)に準拠 、ホモジニアスビニルタイル(東リ社製、商 名「マチコSプレーンNO.5626」)に、供試フロ ポリッシュ組成物を3回塗布し(厚み15μm)、 温(10~30℃)にて一昼夜乾燥させたもをヒール ーク試験機にて試験し、目視にて10段階で 定した。
〔判定基準〕
 10:極めて高い耐スカッフ性を示す。
 6~9:適度な耐スカッフ性を有し、実用性を備 えている。
 2~5:耐スカッフ性に欠け、実用性にも欠ける 。
 1:極めて耐スカッフ性に欠ける。

(6)耐水性
〔試験方法〕
 JIS K 3920(フロアポリッシュ試験法)に準拠 、コンポジションビニルタイル(タジマ社製 商品名「P-60」)に、供試フロアポリッシュ 成物を3回塗布し(厚み15μm)、常温(10~30℃)に 一昼夜乾燥させた後、0.2mlの蒸留水を滴下し た。水滴を1時間保持した後に拭き取り、30分 後の塗膜表面の白化状態を、下記判定基準に 従って目視により判定した。
〔判定基準〕
 ◎:全く白化が認められない
 ○:薄く白化が認められる
 △:部分的に白化が認められる
 ×:全体的に白化が認められる

(7)剥離性
〔試験方法〕
 JIS K 3920(フロアポリッシュ試験法)に準拠 、コンポジションビニルタイル(タジマ社製 商品名「P-60」)に、供試フロアポリッシュ 成物を3回塗布し(厚み15μm)、50℃にて7日間乾 燥させたものに対し、JIS K 3920(フロアポリ シュ試験法)に記載の標準剥離液を塗膜が覆 ように注いだ。2分後に500g荷重をかけた白 ッドを用いて、75往復のラビング試験を行っ た。ラビング後に塗膜の剥離状態を、下記判 定基準に従って目視により判定した。
〔判定基準〕
 ◎:完全に剥離できる
 ○:ほぼ剥離できる
 △:若干皮膜が残っている
 ×:ほとんど剥離できない

(8)密着性
〔試験方法〕
 JIS K 3920(フロアポリッシュ試験法)に準拠 、ホモジニアスビニルタイル(東リ社製、商 名「マチコSプレーンNO.5626」)に、供試フロ ポリッシュ組成物を3回塗布し(厚み15μm)、 温(10~30℃)にて一昼夜乾燥させたものついて ロテープ(登録商標)密着性試験を行った。3 測定した平均の残膜面積率(%)を示す。

(9)貯蔵安定性
〔試験方法〕
 JIS K 3920(フロアポリッシュ試験法)に準拠 、フロアポリッシュ組成物を容器に入れて 栓し、50℃に保った恒温乾燥機で14日間保管 る。その後の試料の状態をゲル化、相分離 固形分の沈殿等の有無を以下の判定基準に って、目視で判定した。
〔判定基準〕
 合格:問題がみられない
 不合格:問題がみられる

 上記実施例1~20の評価結果から、本発明のフ ロアポリッシュ組成物が、低温造膜性、光沢 度、レベリング性、耐ブラックヒールマーク (BHM)性、耐スカッフ性、耐水性、剥離性、密 性、貯蔵安定性のいずれの試験項目におい も良好な結果であることがわかる。
また、本発明のフロアポリッシュ組成物にあ っては、実施例1~20に示されるように、造膜 剤を用いなくても、各試験項目、とりわけ 温造膜性において良好な結果を示している とがわかる。

 一方、比較例1~6は、低温造膜性、光沢度 レベリング性、耐ブラックヒールマーク(BHM )性、耐スカッフ性、耐水性、剥離性、密着 、貯蔵安定性のいずれかの試験項目に劣る とがわかる。

 本発明により得られたフロアポリッシュ エマルション組成物およびそれを用いたフ アポリッシュ組成物は成膜性に優れるとと に、耐久性や耐水性にも優れているため、 質的に造膜助剤を含有しなくても良好な低 造膜性を与え、諸物性にもすぐれたフロア リッシュとして好適に用いることができる