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Patent Searching and Data


Title:
ENGINE STARTER APPARATUS
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2008/078412
Kind Code:
A1
Abstract:
With respect to clutch roller (13) provided in a one-way rotating clutch gear adapted to transmit motor driving force but not to transmit engine driving force at engine start, fitted by helical spline to a drive shaft adapted to rotate by driving force received from a motor member, it is intended to reduce any thermal influence induced when an excessive load over ordinary load torque acts from the engine side and accordingly attain an enhancement of durability. The clutch roller (13) is subjected to nitriding treatment by Tufftride, so that simultaneous penetration and diffusion of nitrogen are carried out, thereby forming a compound coating layer composed of superficial mixture phase and internal diffusion layer. Thus, there can be attained a reduction of thermal influence and an enhancement of durability.

Inventors:
ONO HITOSHI (JP)
IKEMORI TOMOHIKO (JP)
ENKAKU SHIGEYUKI (JP)
HORIKOSHI CHIHIRO (JP)
SAITO SHINYA (JP)
KANBE SHIGEHIRO (JP)
Application Number:
PCT/JP2007/001450
Publication Date:
July 03, 2008
Filing Date:
December 21, 2007
Export Citation:
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Assignee:
MITSUBA CORP (JP)
ONO HITOSHI (JP)
IKEMORI TOMOHIKO (JP)
ENKAKU SHIGEYUKI (JP)
HORIKOSHI CHIHIRO (JP)
SAITO SHINYA (JP)
KANBE SHIGEHIRO (JP)
International Classes:
F02N15/02; C23C8/26; C23C8/50
Domestic Patent References:
WO2006043579A12006-04-27
Foreign References:
JPH04185921A1992-07-02
JP2000346077A2000-12-12
JP2004076823A2004-03-11
JPS5926107Y21984-07-30
JPH0542675U1993-06-11
Other References:
See also references of EP 2113655A4
Attorney, Agent or Firm:
HIROSE, Tetsuo (Nishikanda Chiyoda-k, Tokyo 65, JP)
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Claims:
 モータ部の駆動力を受けて回転する駆動軸にヘリカルスプライン嵌合され、モータ駆動力は動力伝動するが、エンジン始動したときのエンジン駆動力は動力伝動しないよう構成した一方向回転式のクラッチ装置を備えて構成されるエンジン始動装置において、
 前記クラッチ装置を、クラッチインナと、クラッチアウタと、これらクラッチアウタおよびクラッチインナのあいだに介装されるクラッチローラと、該クラッチローラを付勢する弾機とを備えて構成すると共に、
 前記クラッチローラ、またはクラッチアウタおよびクラッチインナの表面に軟窒化処理を施すにあたり、
 軟窒化処理はガス軟窒化処理であることを特徴とするエンジン始動装置。
 ガス軟窒化処理は、クラッチローラに形成されていることを特徴とする請求項1記載のエンジン始動装置。
クラッチインナのクラッチローラ当接面は、軸芯方向に長く延長されていることを特徴とする請求項1または2のエンジン始動装置。
 モータ部の駆動力を受けて回転する駆動軸にヘリカルスプライン嵌合され、モータ駆動力は動力伝動するが、エンジン始動したときのエンジン駆動力は動力伝動しないよう構成した一方向回転式のクラッチ装置を備えて構成されるエンジン始動装置において、
 前記クラッチ装置を、クラッチインナと、クラッチアウタと、これらクラッチアウタおよびクラッチインナのあいだに介装されるクラッチローラと、該クラッチローラを付勢する弾機とを備えて構成すると共に、
 前記クラッチローラ、またはクラッチアウタおよびクラッチインナの表面に軟窒化処理を施すにあたり、
 軟窒化処理はタフトライド処理であることを特徴とするエンジン始動装置。
 タフトライド処理は、クラッチローラに形成されていることを特徴とする請求項4記載のエンジン始動装置。
クラッチインナのクラッチローラ当接面は、軸芯方向に長く延長されていることを特徴とする請求項4または5記載のエンジン始動装置。
Description:
エンジン始動装置

 本発明は、車両に搭載されるエンジン(内 燃機関)を始動させるためのエンジン始動装 の技術分野に属するものである。

 一般に、この種エンジン始動装置(スタータ )のなかには、図1~3に示すように構成したも がある。つまりこのものでは、エンジン始 装置1を構成するモータ部(電動モータ)Mは、 用のブラシ式直流モータが用いられており モータ軸2の基端部は、筒状のヨーク3の基 側開口を塞ぐエンドカバー3aに回転自在に軸 承されている一方、モータ軸2の先端部には コンミテータ(整流子)4が一体的に外嵌され いる。そして、前記コンミテータ4の外周に 、リング状のホルダステー5が外嵌状に組み 込まれており、該ホルダステー5は、ヨーク3 先端側開口部に内嵌状に組み込まれるよう 設定されている。
 また6は、モータ部Mの先端側、つまり、ホ ダステー5に隣接する状態で配される減速装 Dを構成する有底筒状のケース体であって、 該ケース体6には、前記モータ軸2の先端2aが 装されている。さらに、ケース体6には、モ タ軸先端2aに相対回転自在に外嵌する状態 駆動軸7の基端部が配されているとともに、 ータ軸先端2aと同芯状に配され、モータ軸 端2aに噛合して、モータ軸2の回転に伴いケ ス体6内を周回り方向に回転する複数の遊星 ア8、これら複数の遊星ギア8に支軸9aを介し て一体化されるリング状の支持プレート9が 装されている。そして、支持プレート9の内 面が駆動軸7に一体的に外嵌することで、遊 星ギア8の周回り方向の回転が駆動軸7に連動 結するように設定されている。これによっ 、モータ部Mの駆動力は、減速された状態で 駆動軸(ピニオン軸)7に動力伝動されるように 設定されている。
 そして、前記駆動軸7の先端部には、一方向 回転式のクラッチ装置Cが配されるが、該ク ッチ装置Cを構成する段差状筒体で構成され クラッチアウタ10は、小径側筒内周面に形 されたヘリカルスプライン10aを駆動軸7の先 部外周面に刻設されたヘリカルスプライン7 aに噛合させる状態で駆動軸7に外嵌組み込み れている。そして、駆動軸7とクラッチアウ タ10とのあいだに駆動軸7側から所定の回転方 向の相対回転が生じたとき、クラッチアウタ 10は駆動軸ヘリカルスプライン7aに沿って回 移動して、駆動軸7の基端側に位置する非作 位置(図1における上半部に図示される位置) ら、先端側の作用位置(図1における下半部 図示される位置)に移動するように設定され いる。さらに、前記クラッチアウタ10の先 側の大径側筒内には、先端外周部にエンジ 側のリングギア11aに噛合するピニオンギア11 が形成されたクラッチインナ12が連結される 、該クラッチインナ12は、クラッチアウタ10 に対して軸芯方向への移動は一体となるよう に構成されている。

 13はクラッチアウタ10とクラッチインナ12と あいだに介装されるクラッチローラ、14は ラッチローラ13をクラッチアウタ壁10b側に付 勢する弾機であって、該クラッチローラ13は ラッチアウタ10の内周面に凹設されるロー 室10gに収容されているが、ローラ室10gは、 2、3において、時計回り側の回転側端部10bで はクラッチローラ13が自由回転できるようク ッチインナ12とクラッチアウタ10との対向間 隔が大きくなっているが、この対向間隔は、 反時計回り側の噛合側端部10cに至るほど狭く なっている。そして、クラッチローラ13は、 ータ部Mが停止しているときには、弾機14の 勢力を受けて図2、図3(A)に示すように両端 10b、10cの中間位置に位置し、この状態では ラッチローラ13のクラッチアウタ10とクラッ インナ12とに対する噛み合いはなく動力伝 がなされないが、モータ部Mの駆動を受けて ラッチアウタ10が図2に示す矢印のように時 回り方向に回動した場合、クラッチローラ1 3は図3(B)に示すように噛合側端部10cに移動し これによって噛み合い状態になってクラッ アウタ10の回転力がクラッチローラ13を介し てクラッチインナ12に動力伝動され、エンジ 始動が実行されるようになっている。
 そうしてエンジン始動がなされると、クラ チアウタ10の回転よりもクラッチインナ12の 回転の方が速くなるオーバーラン状態になり 、この結果、クラッチアウタ10とクラッチイ ナ12とは、図3(A)に示すようにクラッチイン 12がクラッチアウタ10に対し反時計回り(矢 )方向に相対回転する状態になってクラッチ ーラ13は回転側端部10bに移動してクラッチ ーラ13が自由回転をし、これによってエンジ ン駆動力をクラッチインナ12からクラッチア タ10側には動力伝動しないワンウエイクラ チとして機能するように構成しているもの 知られている(例えば特許文献1、2)。

実公昭59-26107号公報

実開平5-42675号公報

 ところでこのような始動装置において、エ ジンの始動作動時、エンジンの不正着火等 不正作動が要因となってエンジン側のリン ギア11aが異常な回転をし、これによってピ オンギア11から駆動軸7に対して衝撃トルク 印加されることがあり、この状態になった き、クラッチ装置Cは、通常の負荷トルクを 超えるような過大な負荷がエンジン側から働 くことになって図3(B)に示すようにクラッチ ーラ13は噛合側部位10cに至ることになる。そ してこの状態で、前記衝撃トルクが大きく、 これがクラッチローラ13の最大の法線力を超 るような異常負荷であると、クラッチロー 13は、クラッチインナ12に対して噛合状態の まま滑ることになり、この滑り現象によって 発生する摩擦熱によって高温状態になり、こ のため特にクラッチローラ13の軟化13aを誘引 、図4(A)に示すように軟化した組織が剪断応 力を受けて塑性流動して引き伸ばされた部分 13bが発生し、この引き伸ばされた部分13bが素 材の延性限界を超えると、図4(B)に示すよう 破断(剥離)13cすることになってクラッチロー ラ13が変形する。
 そしてこのようにクラッチローラ13が変形 ると、今度はエンジン始動時にクラッチロ ラ13の噛み合い代(重なり代)が確保できない とになってクラッチ装置Cが空転し、円滑な エンジン始動ができなくなるという問題があ り、ここに本発明が解決すべき課題がある。

 本発明は、上記の如き実情に鑑みこれらの 題を解決することを目的として創作された のであって、請求項1の発明は、モータ部の 駆動力を受けて回転する駆動軸にヘリカルス プライン嵌合され、モータ駆動力は動力伝動 するが、エンジン始動したときのエンジン駆 動力は動力伝動しないよう構成した一方向回 転式のクラッチ装置を備えて構成されるエン ジン始動装置において、前記クラッチ装置を 、クラッチインナと、クラッチアウタと、こ れらクラッチアウタおよびクラッチインナの あいだに介装されるクラッチローラと、該ク ラッチローラを付勢する弾機とを備えて構成 すると共に、前記クラッチローラ、またはク ラッチアウタおよびクラッチインナの表面に 軟窒化処理を施すにあたり、軟窒化処理はガ ス軟窒化処理であることを特徴とするエンジ ン始動装置である。
 請求項2の発明は、ガス軟窒化処理は、クラ ッチローラに形成されていることを特徴とす る請求項1記載のエンジン始動装置である。
 請求項3の発明は、クラッチインナのクラッ チローラ当接面は、軸芯方向に長く延長され ていることを特徴とする請求項1または2のエ ジン始動装置である。
 請求項4の発明は、モータ部の駆動力を受け て回転する駆動軸にヘリカルスプライン嵌合 され、モータ駆動力は動力伝動するが、エン ジン始動したときのエンジン駆動力は動力伝 動しないよう構成した一方向回転式のクラッ チ装置を備えて構成されるエンジン始動装置 において、前記クラッチ装置を、クラッチイ ンナと、クラッチアウタと、これらクラッチ アウタおよびクラッチインナのあいだに介装 されるクラッチローラと、該クラッチローラ を付勢する弾機とを備えて構成すると共に、 前記クラッチローラ、またはクラッチアウタ およびクラッチインナの表面に軟窒化処理を 施すにあたり、軟窒化処理はタフトライド処 理であることを特徴とするエンジン始動装置 である。
 請求項5の発明は、タフトライド処理は、ク ラッチローラに形成されていることを特徴と する請求項4記載のエンジン始動装置である
 請求項6の発明は、クラッチインナのクラッ チローラ当接面は、軸芯方向に長く延長され ていることを特徴とする請求項4または5記載 エンジン始動装置である。

 請求項1の発明とすることにより、クラッチ ローラと、該クラッチローラに摺接するクラ ッチアウタおよびクラッチインナとのあいだ の摺接面の一方の表面が、Fe 2 +3Nε(イプシロン)とFe 3 C」の混合相、その内側に拡散相として「Fe 4 Nγ’(ガンマプライム)」になって異質状態で 接触となって安定化され、これによって耐 耗性、耐疲労性に優れたものとなり、過大 負荷がエンジン側から働いたときの耐久性 向上できる。
 請求項2の発明とすることにより、ガス軟窒 化処理がクラッチローラでよいことになって 簡単にできる。
 請求項3の発明とすることにより、クラッチ ローラがクラッチインナに当接する面が軸心 方向に長いことになって、クラッチインナの 端面に面取りがあったりクラッチアウタの底 面に抜きテーパがあったりしても、クラッチ ローラはこれら面取りや抜きテーパのない円 周面に当接することになってクラッチローラ に局部当たりが発生したりすることがなく、 均一な力が作用し、クラッチの長寿命化を達 成することができる。
 請求項4の発明とすることにより、クラッチ ローラと、該クラッチローラに摺接するクラ ッチアウタおよびクラッチインナとのあいだ の摺接面の一方の表面が、Fe 2 +3Nε(イプシロン)とFe 3 C」の混合相、その内側に拡散相として「Fe 4 Nγ’(ガンマプライム)」になって異質状態で 接触となって安定化され、これによって耐 耗性、耐疲労性に優れたものとなり、過大 負荷がエンジン側から働いたときの耐久性 向上できる。
 請求項5の発明とすることにより、ガス軟窒 化処理がクラッチローラでよいことになって 簡単にできる。
 請求項6の発明とすることにより、クラッチ ローラがクラッチインナに当接する面が軸心 方向に長いことになって、クラッチインナの 端面に面取りがあったりクラッチアウタの底 面に抜きテーパがあったりしても、クラッチ ローラはこれら面取りや抜きテーパのない円 周面に当接することになってクラッチローラ に局部当たりが発生したりすることがなく、 均一な力が作用し、クラッチの長寿命化を達 成することができる。

エンジン始動装置の一部断面正面図で る。 クラッチ装置の断面図である。 (A)(B)はクランキング時とワンウエイク ッチ作動時とを示すクラッチ装置の要部拡 断面図である。 (A)(B)はクラッチローラが変形するメカ ズムを示す説明図である。 (A)(B)は鉄同志の摩擦のメカニズム、鉄 窒化処理鉄との摩擦のメカニズムを示す説 図である。

符号の説明

  1  エンジン始動装置
 10  クラッチアウタ
 12  クラッチインナ
 13  クラッチローラ
 14  弾機

 つまり本発明の発明者は、前述したクラッ ローラ13の変形が発熱によるものであるこ に着目し、
  i.発熱量を低減する
  ii.熱軟化に対する強度アップを計る
ことでクラッチローラの前記変形を防止でき るのではないか、という対策をたて、これら について鋭意検討をした。

 まず発熱量について検討すると、発熱量Qは 、
  Q=μPV
   ここで、μ:摩擦係数、P:荷重、V:速度で る。
で与えられることから、接触面圧の低減と摩 擦係数の低減とが対策として考えられるが、 前者は機械的なことであるので取りあえず今 回の開発テーマから外し、後者の摩擦抵抗の 低減についてここでは検討した。

 クラッチインナ12とクラッチローラ13との摩 擦は金属-金属(鉄-鉄)間の摩擦である。通常 態では、クラッチインナ12とクラッチローラ 13とのあいだにはグリス(潤滑材、クラッチグ リス)が介在されているが、負荷が働くと、 5(A)に示すようにクラッチインナ12とクラッ ローラ13とが直接接触して摺動することにな り、この摺動部位において電子移動が発生し て両者が凝着し、これを引き剥がす力が摩擦 力となる。そこで摩擦係数を低減する対策と しては、電子移動を起こさせないようにすれ ばよく、そのため、摺動面に化学的に安定し ている物質を存在させることが有効な手段と いうことが提唱される。そこでクラッチ装置 Cの摺動面の一方に安定な化合物皮膜を形成 ることが考えられ、この場合に、クラッチ 置Cとしては、クラッチローラ13はクラッチ ウタ10とクラッチインナ12とにそれぞれ摺接 ることになるため、クラッチローラ13の表 に化合物皮膜を形成すれば、両者10、12の摺 部位での摩擦抵抗の低減が図れることにな が、その逆にクラッチアウタ10とクラッチ ンナ12との各クラッチローラ13に摺接する表 に化学皮膜を形成するようにしてもよい。
 しかもこのものでは、クラッチインナ12の ラッチローラ13が当接する円周面12aが軸心方 向モータ部M側に延長形成され、この延長端 がクラッチアウタ10の底面部10eに凹状に形成 の取付け部10fに嵌合組み込みされる構成にな っていて、クラッチローラ13は、クラッチイ ナ12に対しては円周面12aに当接するように っており、これによって、クラッチインナ 面部に面取りがあったりクラッチアウタ底 部10eに抜きテーパがあったりしても、クラ チローラ13はこれら面取りや抜きテーパのな い円周面に当接することになってクラッチロ ーラ13に局部当たりが発生したりすることが く、均一な力が作用し、クラッチの長寿命 を達成することができる。

 そしてこのような化合物皮膜を形成する 合に、鉄との結合が強固である窒素があげ れ、そのため化合物皮膜は、窒化処理をす ことで容易に形成することができ、このよ に窒化処理としてはガス窒化法が例示され 。

 本第一の実施の形態では、クラッチローラ1 3は軸受鋼(例えばSUJ2)で構成され、表面がガ 軟窒化法による窒化処理が施されている。 の処理法は、浸炭性ガスまたは窒素ガス雰 気中にアンモニア(NH 3 )ガスを30~50%添加し、550~600℃の温度雰囲気で3 0分~5時間加熱保持し、窒素と炭素を同時に侵 入拡散させ、表面に炭窒化物を形成させる処 理法であり、この処理によって、クラッチロ ーラ13の表面には0.7~0.8mmの窒化相の形成が確 されたが、窒化相は、表面に鉄を主成分と るε(Fe 2 3N)およびFe 3 Cの混合相(以下「外相」という)が約14μmの厚 で形成され、その内部に拡散相としてν’(F e 4 N)相(以下「内相」という)が約4μmの厚さで形 されていることが確認された。そしてその 面硬度は、窒化処理前はHv760であったもの Hv700~800と硬化が確認された。

 このようにして窒化処理されたクラッチロ ラ13を用いて実機テストを20回繰り返した後 のものを観測したが、クラッチローラ13とし は、焼入れを行ったものを窒化処理したも (試料1)と、焼入れをせず窒化処理したもの( 試料2)とを用意し、これらについて前記実機 ストを行った。ブランクとして、焼入れを ただけのクラッチローラについてもテスト 行った。
 テスト結果として、ブランクのものは、表 が熱影響により組織変化し、塑性変形や剥 をしているのが確認され、剥離は十数μm程 で発生していた。これに対し、試料1、2の 者とも、外相は磨耗して消失していたが、 相は剥離せず、殆んどそのまま残っていた そしてクラッチローラ自体の熱的影響は殆 ど観測されず、そのまま継続しての使用が 能であった。さらに試料1、2をよく観測した ところ、試料2のものが試料1よりも内相が厚 残っており、この結果、焼入れをせずに前 窒化処理をしたものの方が耐久性に優れて ることが確認された。

 また、本第二の実施の形態では、クラッチ ーラ13はタフトライド処理(塩浴軟窒化処理) によって窒化処理が施されたものであって、 該クラッチローラ13は軸受鋼(例えばSUJ2)が採 されている。この処理法は、シアン化カリ ムや炭酸カリウムをチタン坩堝に入れて溶 し、この中に空気を吹き込みながら処理を う方法であって、処理温度は570℃前後、処 時間は30~240分程度で、加熱後は油冷か水冷 行って、表面に炭窒化物を形成させる処理 であり、この処理によって、クラッチロー 13の表面には0.7~0.8mmの窒化相の形成が確認 れたが、窒化相は、表面に鉄を主成分とす ε(Fe 2 3N)およびFe 3 Cの混合相(以下「外相」という)が約14μmの厚 で形成され、その内部に拡散相としてν’(F e 4 N)相(以下「内相」という)が約4μmの厚さで形 されていることが確認された。そしてその 面硬度は、窒化処理前はHv760であったもの Hv670と若干の低下が確認された。

 このようにして窒化処理されたクラッチロ ラ13を用いて実機テストを20回繰り返した後 のものを観測したが、クラッチローラ13とし は、焼入れを行ったものを窒化処理したも (試料3)と、焼入れをせずに窒化処理したも (試料4)とを用意し、これらについて前記同 に実機テストを行った。ブランクとして、 入れをしただけのクラッチローラについて テストを行った。
 テスト結果として、ブランクのものは、表 が熱影響により組織変化し、塑性変形や剥 をしているのが確認され、剥離は十数μm程 で発生していた。これに対し、試料3、4の 者とも、外相は磨耗して消失していたが、 相は剥離せず、殆んどそのまま残っていた そしてクラッチローラ自体の熱的影響は殆 ど観測されず、そのまま継続しての使用が 能であった。さらに試料3、4をよく観測した ところ、試料4のものが試料3よりも内相が厚 残っており、この結果、焼入れせずに窒化 理をしたものの方が耐久性に優れているこ が確認された。

 本発明は、車両に搭載されるエンジン(内 燃機関)を始動させるためのエンジン始動装 に有用であって、クラッチローラと、該ク ッチローラに摺接するクラッチアウタおよ クラッチインナとのあいだの摺接面の一方 表面が異質状態での接触となって安定化さ 、これによって耐磨耗性、耐疲労性に優れ ものとなり、過大な負荷がエンジン側から いたときの耐久性を向上できる。