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Patent Searching and Data


Title:
EPOXY RESIN CURING AGENT, METHOD FOR PRODUCING THE SAME, AND EPOXY RESIN COMPOSITION
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/075252
Kind Code:
A1
Abstract:
Disclosed is an epoxy resin curing agent which has a suitable working life as a curing agent for epoxy resins, while exhibiting good storage stability. In addition, an epoxy resin cured product cured by this epoxy resin curing agent is good in water resistance and hardness. Specifically disclosed is an epoxy resin curing agent containing a secondary or tertiary branched thiol compound having a substituent at a carbon atom in the α-position to a thiol group. Also specifically disclosed is an epoxy resin composition characterized by containing a polyvalent epoxy compound and such an epoxy resin curing agent.

Inventors:
URAKAWA YOSHIFUMI (JP)
MIYATA HIDEO (JP)
YAMAGAMI ISAO (JP)
MUROFUSHI KATSUMI (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/072266
Publication Date:
June 18, 2009
Filing Date:
December 08, 2008
Export Citation:
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Assignee:
SHOWA DENKO KK (JP)
URAKAWA YOSHIFUMI (JP)
MIYATA HIDEO (JP)
YAMAGAMI ISAO (JP)
MUROFUSHI KATSUMI (JP)
International Classes:
C08G59/40; C07C323/52; C07C319/20; C09J163/00
Domestic Patent References:
WO1999054373A11999-10-28
Foreign References:
JPS59182817A1984-10-17
JP2004522566A2004-07-29
JPH08269203A1996-10-15
JPH0421693A1992-01-24
Other References:
See also references of EP 2226347A4
Attorney, Agent or Firm:
SUZUKI, Shunichiro (Gotanda Yamazaki Bldg. 6F13-6, Nishigotanda 7-chome, Shinagawa-k, Tokyo 31, JP)
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Claims:
 チオール基に対してα位の炭素原子に少なくとも一つの置換基を有するチオール化合物(P)を含むことを特徴とするエポキシ樹脂硬化剤。
 前記チオール化合物(P)がチオール基に対してα位の炭素原子に有する置換基の少なくとも一つがアルキル基であることを特徴とする請求項1に記載のエポキシ樹脂硬化剤。
 前記アルキル基が炭素数1~10の直鎖または分岐のアルキル基であることを特徴とする請求項2に記載のエポキシ樹脂硬化剤。
 前記チオール化合物(P)が少なくとも2つのチオール基を含有する化合物であることを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂硬化剤。
 前記チオール化合物(P)が、下記一般式(1)で示されることを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂硬化剤。
(式(1)中、Xは、置換基を有しても良い、炭素数が多くとも20のm価の脂肪族または芳香族残基であり、
 R 1 およびR 2 は、それぞれ独立に水素原子または炭素数が1~10のアルキル基であり、
 R 3 およびR 4 は、それぞれ独立に水素原子または炭素数が1~10のアルキル基であり、そのうち少なくとも1つは炭素数が1~10のアルキル基であり、
 nは0~4の整数であり、
 mは2~8の整数である。)
 前記チオール化合物(P)が、下記一般式(2)で示されることを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂硬化剤。
(式(2)中、X   は置換基を有しても良い炭素数が多くとも20のm価の脂肪族または芳香族残基であり、
 R 1 およびR 2 は、それぞれ独立に水素原子または炭素数が1~10のアルキル基であり、
 R 3 およびR 4 は、それぞれ独立に水素原子または炭素数が1~10のアルキル基であり、そのうち少なくとも1つは炭素数が1~10のアルキル基であり、
 mは2~8の整数である。)
 前記チオール化合物(P)が、下記一般式(3)で示されることを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂硬化剤。
(式(3)中、X   は置換基を有しても良い炭素数が多くとも20のm価の脂肪族または芳香族残基であり、
 mは2~8の整数である。)
 前記チオール化合物(P)の、チオール基1つ当たりの分子量として定義されるチオール当量が100~500であることを特徴とする請求項1~7に記載のエポキシ樹脂硬化剤。
 前記Xが置換基を有し、そのうちの少なくとも1つが水酸基であることを特徴とする請求項5~7に記載のエポキシ樹脂硬化剤。
 前記チオール化合物(P)の、水酸基1つ当たりの分子量として定義される水酸基当量が100~1000であることを特徴とする請求項9に記載のエポキシ樹脂硬化剤。
 前記チオール化合物(P)が、エチレングリコールビス(3-メルカプトブチレート)、1,2-プロピレングリコールビス(3-メルカプトブチレート)、1,3-プロピレングリコールビス(3-メルカプトブチレート)、1,4-ブタンジオールビス(3-メルカプトブチレート)、2,2-ビス(3-(3-メルカプトブチリルオキシ)-2-ヒドロキシプロピルオキシフェニル)プロパン、グリセリントリス(3-メルカプトブチレート)、トリメチロールプロパントリス(3-メルカプトブチレート)、トリメチロールプロパンビス(3-メルカプトブチレート)、トリメチロールエタンビス(3-メルカプトブチレート)、ペンタエリスリトールビス(3-メルカプトブチレート)、トリメチロールエタントリス(3-メルカプトブチレート)、ペンタエリスリトールトリス(3-メルカプトブチレート)、トリス(3-メルカプトブチリルオキシエチル)イソシアヌレート、トリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌレートに3-メルカプトブタン酸が2つ付加した化合物、ペンタエリスリトールテトラキス(3-メルカプトブチレート)、ジペンタエリスリトールペンタキス(3-メルカプトブチレート)、ビスフェノールAジヒドロキシエチルエーテル-3-メルカプトブチレート、4,4'-(9-フルオレニリデン)ビス(2-フェノキシエチル(3-メルカプトブチレート))、エチレングリコールビス(3-メルカプトバレレート)、トリメチロールプロパントリス(3-メルカプトバレレート)、トリメチロールプロパンビス(3-メルカプトバレレート)、ペンタエリスリトールビス(3-メルカプトバレレート)、ペンタエリスリトールトリス(3-メルカプトバレレート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3-メルカプトバレレート)、エチレングリコールビス(3-メルカプトイソバレレート)、トリメチロールプロパンビス(3-メルカプトイソバレレート)、ペンタエリスリトールビス(3-メルカプトイソバレレート)、トリメチロールプロパントリス(3-メルカプトイソバレレート)、ペンタエリスリトールトリス(3-メルカプトイソバレレート)、およびペンタエリスリトールテトラキス(3-メルカプトイソバレレート)からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物であることを特徴とする請求項5~10に記載のエポキシ樹脂硬化剤。
 多価エポキシ化合物と、請求項1~11のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂硬化剤とを含むことを特徴とするエポキシ樹脂組成物。
 前記多価エポキシ化合物が、多価アルコールのグリシジルエーテル化合物であることを特徴とする請求項12に記載のエポキシ樹脂組成物。
 多価エポキシ化合物、硬化助剤、および請求項1~11のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂硬化剤を含むことを特徴とする接着剤。
 多価アルコールと、下記一般式(4)
(式中、R 1 およびR 2 は、それぞれ独立に水素原子または炭素数が1~10のアルキル基であり、R 3 およびR 4 は、それぞれ独立に水素原子または炭素数が1~10のアルキル基であり、そのうち少なくとも1つは炭素数が1~10のアルキル基であり、R 5 は、水素原子、または直鎖、分岐もしくは環状構造を有する炭素数1~12の脂肪族基、もしくは芳香環を有する有機基であり、nは0~4の整数である。)
で示されるチオール化合物(Q)とを反応させることを特徴とするエポキシ樹脂硬化剤の製造方法。
Description:
エポキシ樹脂硬化剤およびその 造方法ならびにエポキシ樹脂組成物

 本発明は、チオール基(-SH)に対してα位の 炭素原子に分岐(置換基)を有するチオール化 物を含有するエポキシ樹脂の硬化剤および れを用いたエポキシ樹脂組成物に関し、さ に詳しくは、好適な可使時間を有し、かつ 存安定性にも優れたエポキシ樹脂硬化剤、 よびそれを用いたエポキシ樹脂組成物に関 る。

 1分子中に2個以上のチオール基を有する 合物は、エポキシ樹脂や、ウレタン樹脂等 混合することにより容易に反応して硬化物 なることから、シーリング材、塗料、接着 等に広く用いられている。たとえば、「総 エポキシ樹脂(第1巻 基礎編I2003年11月19日発 )」の204頁には、低温硬化剤として種々のポ リチオール系硬化剤が記載されている。しか しながら、従来のポリチオール系エポキシ硬 化剤は、低温硬化性が高いものの、常温でエ ポキシ化合物および硬化助剤と混合したエポ キシ樹脂組成物とした場合、その可使時間が 3分~5分と短く、組成物を調製している間に硬 化が始まってしまうという欠点を有している 。

 また、チオール基は種々の官能基に対し 高い反応性を有しているため、保存安定性 得ることができないという問題がある。

 エポキシ樹脂の硬化剤に用いられるチオ ル基を含有する化合物としては、従来、1級 チオール基を有する化合物が使用されている 。しかしながら、1級チオール基を有する化 物は、アミン触媒によって硬化が促進され が、可使時間が短すぎ、使用条件が限られ という課題がある。

 (1)特開平8-269203号公報には、主鎖にポリ ーテル部分を有し、末端に3個以上の水酸基 有するポリオールにエピハロヒドリンを付 させて得られるハロゲン末端ポリエーテル リマーと、水硫化アルカリおよび/または多 硫化アルカリとをアミド類中で反応させて得 られるチオール基含有ポリエーテルポリマー が開示されている。

 このポリエーテルポリマーを含有するエ キシ樹脂組成物は良好な硬化性を有するこ が示されているが、このエポキシ樹脂組成 をエポキシ樹脂の硬化剤として用いると、 使時間が短すぎ、エポキシ樹脂と硬化剤で るチオール化合物を混合している間に硬化 始まってしまうため、使用条件が限定され しまう。また、エポキシ樹脂組成物の保存 定性については記載されておらず、長期に 存する場合において保存中に硬化が始まる 念がある。

 (2)WO99/54373号公報に記載のヘテロ環含有化 合物を用いたエポキシ樹脂硬化組成物は低温 硬化性および常温での速硬化性を有するが、 そのポットライフが短いために作業性が劣る 。

 (3)特公平4-21693号公報には、3または4官能性 ロゲン化アルキルおよび2官能性ハロゲン化 アルキルの混合物を多硫化アルカリと反応さ せることにより得られる共重合体であり、重 合時における多官能性モノマーが全モノマー の20~60mol%であり、かつ2~30質量%の末端チオー 基を含有するエポキシ樹脂硬化用の液状ポ サルファイドポリマーが開示されている。 の液状サルファイドポリマーはアミンと併 することにより、従来のポリサルファイド リマーに比べ硬化速度が速いことが示され いるが、可使時間が短く、また得られる硬 物は、耐衝撃性および耐薬品性等に優れて るが、臭気が発生するため作業性に課題が る。

特開平8-269203号公報

国際公開第99/54373号公報

特公平4-21693号公報

 本発明の目的は、好適な可使時間を持ち 保存安定性を有し、また硬化して得られる ポキシ樹脂硬化物の耐水性、硬度が良好な ポキシ樹脂の硬化剤を提供すること、さら この硬化剤を含んだ組成物を提供すること ある。

 上記目的に鑑み鋭意検討の結果、本発明 らは、チオール基(-SH)に対してα位の炭素原 子に分岐(置換基)を有するチオール化合物が 好適な可使時間を有し、かつ保存安定性に 優れたエポキシ樹脂の硬化剤であり、さら 、硬化して得られるエポキシ樹脂硬化物の 水性、硬度が良好であり、上記課題を解決 きることを見出した。

 また、少なくとも1つの水酸基を含有する チオール化合物を併用することによって可使 時間を制御できることを見出した。

 すなわち、本発明は以下の通り要約される
[1]チオール基に対してα位の炭素原子に少な とも一つの置換基を有するチオール化合物( P)を含むことを特徴とするエポキシ樹脂硬化 。
[2]前記チオール化合物(P)がチオール基に対し てα位の炭素原子に有する置換基の少なくと 一つがアルキル基であることを特徴とする[ 1]に記載のエポキシ樹脂硬化剤。
[3]前記アルキル基が炭素数1~10の直鎖または 岐のアルキル基であることを特徴とする[2] 記載のエポキシ樹脂硬化剤。
[4]前記チオール化合物(P)が少なくとも2つの オール基を含有する化合物であることを特 とする[1]~[3]のいずれか1項に記載のエポキシ 樹脂硬化剤。
[5]前記チオール化合物(P)が、下記一般式(1)で 示されることを特徴とする[1]~[4]のいずれか1 に記載のエポキシ樹脂硬化剤。

(式(1)中、Xは、置換基を有しても良い、炭素 が多くとも20のm価の脂肪族または芳香族残 であり、
 R 1 およびR 2 は、それぞれ独立に水素原子または炭素数が 1~10のアルキル基であり、
 R 3 およびR 4 は、それぞれ独立に水素原子または炭素数が 1~10のアルキル基であり、そのうち少なくと 1つは炭素数が1~10のアルキル基であり、
 nは0~4の整数であり、
 mは2~8の整数である。)
[6]前記チオール化合物(P)が、下記一般式(2)で 示されることを特徴とする[1]~[4]のいずれか1 に記載のエポキシ樹脂硬化剤。

(式(2)中、X   は置換基を有しても良い炭素数が多くとも20 m価の脂肪族または芳香族残基であり、
 R 1 およびR 2 は、それぞれ独立に水素原子または炭素数が 1~10のアルキル基であり、
 R 3 およびR 4 は、それぞれ独立に水素原子または炭素数が 1~10のアルキル基であり、そのうち少なくと 1つは炭素数が1~10のアルキル基であり、
 mは2~8の整数である。)
[7]前記チオール化合物(P)が、下記一般式(3)で 示されることを特徴とする[1]~[4]のいずれか1 に記載のエポキシ樹脂硬化剤。

(式(3)中、X   は置換基を有しても良い炭素数が多くとも20 m価の脂肪族または芳香族残基であり、
 mは2~8の整数である。)
[8]前記チオール化合物(P)の、チオール基1つ たりの分子量として定義されるチオール当 が100~500であることを特徴とする[1]~[7]に記載 のエポキシ樹脂硬化剤。
[9]前記Xが置換基を有し、そのうちの少なく も1つが水酸基であることを特徴とする[5]~[7] に記載のエポキシ樹脂硬化剤。
[10]前記チオール化合物(P)の、水酸基1つ当た の分子量として定義される水酸基当量が100~ 1000であることを特徴とする[9]に記載のエポ シ樹脂硬化剤。
[11]前記チオール化合物(P)が、エチレングリ ールビス(3-メルカプトブチレート)、1,2-プロ ピレングリコールビス(3-メルカプトブチレー ト)、1,3-プロピレングリコールビス(3-メルカ トブチレート)、1,4-ブタンジオールビス(3- ルカプトブチレート)、2,2-ビス(3-(3-メルカプ トブチリルオキシ)-2-ヒドロキシプロピルオ シフェニル)プロパン、グリセリントリス(3- ルカプトブチレート)、トリメチロールプロ パントリス(3-メルカプトブチレート)、トリ チロールプロパンビス(3-メルカプトブチレ ト)、トリメチロールエタンビス(3-メルカプ ブチレート)、ペンタエリスリトールビス(3- メルカプトブチレート)、トリメチロールエ ントリス(3-メルカプトブチレート)、ペンタ リスリトールトリス(3-メルカプトブチレー )、トリス(3-メルカプトブチリルオキシエチ ル)イソシアヌレート、トリス(2-ヒドロキシ チル)イソシアヌレートに3-メルカプトブタ 酸が2つ付加した化合物、ペンタエリスリト ルテトラキス(3-メルカプトブチレート)、ジ ペンタエリスリトールペンタキス(3-メルカプ トブチレート)、ビスフェノールAジヒドロキ エチルエーテル-3-メルカプトブチレート、4 ,4'-(9-フルオレニリデン)ビス(2-フェノキシエ ル(3-メルカプトブチレート))、エチレング コールビス(3-メルカプトバレレート)、トリ チロールプロパントリス(3-メルカプトバレ ート)、トリメチロールプロパンビス(3-メル カプトバレレート)、ペンタエリスリトール ス(3-メルカプトバレレート)、ペンタエリス トールトリス(3-メルカプトバレレート)、ペ ンタエリスリトールテトラキス(3-メルカプト バレレート)、エチレングリコールビス(3-メ カプトイソバレレート)、トリメチロールプ パンビス(3-メルカプトイソバレレート)、ペ ンタエリスリトールビス(3-メルカプトイソバ レレート)、トリメチロールプロパントリス(3 -メルカプトイソバレレート)、ペンタエリス トールトリス(3-メルカプトイソバレレート) 、およびペンタエリスリトールテトラキス(3- メルカプトイソバレレート)からなる群より ばれる少なくとも1種の化合物であることを 徴とする[5]~[10]に記載のエポキシ樹脂硬化 。
[12]多価エポキシ化合物と、[1]~[11]のいずれか 1項に記載のエポキシ樹脂硬化剤とを含むこ を特徴とするエポキシ樹脂組成物。
[13]前記多価エポキシ化合物が、多価アルコ ルのグリシジルエーテル化合物であること 特徴とする[12]に記載のエポキシ樹脂組成物
[14]多価エポキシ化合物、硬化助剤、および[1 ]~[11]のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂硬 剤を含むことを特徴とする接着剤。
[15]多価アルコールと、下記一般式(4)

(式中、R 1 およびR 2 は、それぞれ独立に水素原子または炭素数が 1~10のアルキル基であり、R 3 およびR 4 は、それぞれ独立に水素原子または炭素数が 1~10のアルキル基であり、そのうち少なくと 1つは炭素数が1~10のアルキル基であり、R 5 は、水素原子、または直鎖、分岐もしくは環 状構造を有する炭素数1~12の脂肪族基、もし は芳香環を有する有機基であり、nは0~4の整 である。)
で示されるチオール化合物(Q)とを反応させる ことを特徴とするエポキシ樹脂硬化剤の製造 方法。

 本発明によれば、チオール基(-SH)に対し α位の炭素に分岐(置換基)を有するチオール 合物を用いることにより、好適な可使時間 持ち、かつ良好な保存安定性を有するエポ シ樹脂硬化剤を提供することができる。ま 、前記チオール化合物の他、上記一般式(1) 示され、Xが置換基として少なくとも一つの 水酸基を有するチオール化合物を用いること により、可使時間の調整を行うことができる 。このエポキシ樹脂硬化剤を製造するとき、 減圧状態で反応を行なうことによって臭気を 低減することができる。さらに本発明によれ ば、耐水性、硬度が良好なエポキシ樹脂硬化 物を形成できるエポキシ樹脂組成物を提供す ることができる。

 以下、本発明の実施形態について詳細に説 する。
[I]エポキシ樹脂硬化剤
 本願のエポキシ樹脂硬化剤は、チオール基 対してα位の炭素原子に少なくとも一つの 換基を有するチオール化合物(以下、チオー 化合物(P)ともいう。)を含有する。ここで、 チオール基に対してα位の炭素原子に少なく も一つの置換基を有するとは、チオール基 対してα位の炭素原子が第2級炭素原子また 第3級炭素原子であることを意味する。また 、チオール基に対してα位とは、チオール基 直接結合している炭素原子の位置を意味す 。

 この置換基の少なくとも一つがアルキル であることが好ましい。このアルキル基が 炭素数1~10の直鎖または分岐のアルキル基で あるであるとさらに好ましい。

 また、チオール化合物(P)が、少なくとも2 つのチオール基を含有することが好ましい。

 本発明のチオール化合物(P)は、たとえば 記一般式(1)で示される構造を有し、チオー 基のα位の炭素原子に置換基を有する。

(式(1)中、Xは置換基を有しても良い炭素数が くとも20のm価の脂肪族または芳香族残基で り、R 1 およびR 2 は、それぞれ独立に水素原子または炭素数が 1~10のアルキル基であり、R 3 およびR 4 は、それぞれ独立に水素原子または炭素数が 1~10のアルキル基であり、そのうち少なくと 1つは炭素数が1~10のアルキル基であり、nは0~ 4の整数であり、mは2~8の整数である。)
 上記一般式(1)中、R 1 およびR 2 は水素原子または炭素数1~10のアルキル基で る。R 1 およびR 2 は、耐水性とショアD硬度とのバランスの観 から水素原子または炭素数1~6のアルキル基 あることが好ましく、水素原子または炭素 1~4のアルキル基であることがより好ましく 水素原子または炭素数1あるいは2であること がさらに好ましい。

 上記一般式(1)中、R 3 およびR 4 は、水素原子または炭素数1~10のアルキル基 あり、そのうち少なくとも1つは炭素数1~10の アルキル基である。すなわち上記一般式(1)で 示されるチオール化合物(P)は、2級または3級 チオールである。R 3 およびR 4 は可使時間と保存安定性とのバランスの観点 から、どちらか一方が水素原子または炭素数 1~6のアルキル基であることが好ましく、水素 原子または炭素数1~4のアルキル基であること がより好ましく、水素原子または炭素数1あ いは2のアルキル基であることがさらに好ま い。

 たとえば、R 1 およびR 2 がともに水素原子であり、R 3 およびR 4 のどちらか一方が水素原子であり、他方がメ チル基である化合物、すなわち下記一般式(3)

(式(3)中、X   は置換基を有しても良い炭素数が多くとも20 m価の脂肪族または芳香族残基であり、mは2~ 8の整数である。)
で表される化合物は、可使時間と保存安定性 とのバランス並びに耐水性およびショアD硬 等の特性が良好であるという理由、またα,β -不飽和ケトンへのSH基の付加反応により製造 できるという製法上の理由から好ましい。

 上記一般式(1)中、Xは置換基を有してもよ い炭素数が多くとも20のm価の脂肪族または芳 香族残基である。Xは、耐水性および硬度の 点から炭素数1~15であることが好ましく、炭 数1~12であることがより好ましく、炭素数1~9 であることがさらに好ましい。Xが置換基を さない場合は、炭素数1~6の、2~4価の脂肪族 化水素基が特に好ましい。

 Xが置換基を有する場合、その置換基とし ては、たとえば水酸基、アルキル基、アルキ レン基、アリール基、カルボキシル基、カル ボニル基、アミノ基、ニトロ基、またはエー テル結合、エステル結合もしくはウレタン結 合等を含む官能基等を挙げることができ、こ れらのうち水酸基が特に好ましい。Xが置換 を有する場合、その置換基の数としては、 に限定されないが、1~3個が好ましい。Xが置 基を有する場合は、置換基として水酸基を1 ~3個有する、炭素数1~6の、2~4価の脂肪族残基 特に好ましい。

 Xが置換基を有する場合は、ここでのXの 数は、Xが置換基を有していない場合の価数 らその置換基の数だけ減じた数とする。た えば、チオール化合物(P)が水酸基を4個有す る化合物から誘導される場合、そのチオール 化合物(P)に置換基として1個の水酸基が残存 るときは、Xの価数は3価とする。

 また、Xは、エーテル結合、エステル結合 、ウレタン結合等を表す場合もある。

 チオール化合物(P)を含有するエポキシ樹 硬化剤は、従来のエポキシ樹脂硬化剤と比 して可使時間が長い。

 チオール化合物(P)は2種以上組み合わせて 使用することができる。例えば、Xが置換基 して水酸基を有さないチオール化合物(P)に Xが有する置換基のうちの少なくとも一つが 酸基であるチオール化合物(P)を併用すると 前者のチオール化合物(P)の効果により可使 間は延長されるが、後者のチオール化合物( P)の効果によりその延長される時間が短くな 。つまり、後者のチオール化合物(P)の併用 より、可使時間の延長幅を制御することが き、可使時間を調整することが可能となる この場合、前者は硬化剤、後者は硬化助剤 呼ぶことができる。

 mは2~8の整数である。mは、可使時間と保 安定性とのバランスの観点から2~6であるこ が好ましく、2~4であることがさらに好まし 。

 nは0~4の整数である。nは、耐水性の向上 よびショアD硬度の向上を図ることが可能に ることから、1であることが好ましい。また 、nが1であると、原料入手の容易性の観点か も好ましい。すなわち、下記一般式(2)で示 れる化合物、さらには下記一般式(3)で示さ る化合物が好ましい。

(式(2)中、X   は置換基を有しても良い炭素数が多くとも20 m価の脂肪族または芳香族残基であり、R 1 およびR 2 は、それぞれ独立に水素原子または炭素数が 1~10のアルキル基であり、R 3 およびR 4 は、それぞれ独立に水素原子または炭素数が 1~10のアルキル基であり、そのうち少なくと 1つは炭素数が1~10のアルキル基であり、mは2~ 8の整数である。)

(式(3)中、X   は置換基を有しても良い炭素数が多くとも20 m価の脂肪族または芳香族残基であり、mは2~ 8の整数である。)
 チオール化合物(P)の具体例としては、
エチレングリコールビス(3-メルカプトブチレ ート)、1,2-プロピレングリコールビス(3-メル プトブチレート)、1,3-プロピレングリコー ビス(3-メルカプトブチレート)、1,4-ブタンジ オールビス(3-メルカプトブチレート)、2,2-ビ (3-(3-メルカプトブチリルオキシ)-2-ヒドロキ シプロピルオキシフェニル)プロパン、グリ リントリス(3-メルカプトブチレート)、トリ チロールプロパントリス(3-メルカプトブチ ート)、トリメチロールプロパンビス(3-メル カプトブチレート)、トリメチロールエタン ス(3-メルカプトブチレート)、ペンタエリス トールビス(3-メルカプトブチレート)、トリ メチロールエタントリス(3-メルカプトブチレ ート)、ペンタエリスリトールトリス(3-メル プトブチレート)、トリス(3-メルカプトブチ ルオキシエチル)イソシアヌレート、トリス (2-ヒドロキシエチル)イソシアヌレートに3-メ ルカプトブタン酸が2つ付加した化合物、ペ タエリスリトールテトラキス(3-メルカプト チレート)、ジペンタエリスリトールペンタ ス(3-メルカプトブチレート)、ビスフェノー ルAジヒドロキシエチルエーテル-3-メルカプ ブチレート、4,4'-(9-フルオレニリデン)ビス(2 -フェノキシエチル(3-メルカプトブチレート)) ;
エチレングリコールビス(3-メルカプトバレレ ート)、トリメチロールプロパントリス(3-メ カプトバレレート)、トリメチロールプロパ ビス(3-メルカプトバレレート)、ペンタエリ スリトールビス(3-メルカプトバレレート)、 ンタエリスリトールトリス(3-メルカプトバ レート)、ペンタエリスリトールテトラキス( 3-メルカプトバレレート);
エチレングリコールビス(3-メルカプトイソバ レレート)、トリメチロールプロパンビス(3- ルカプトイソバレレート)、ペンタエリスリ ールビス(3-メルカプトイソバレレート)、ト リメチロールプロパントリス(3-メルカプトイ ソバレレート)、ペンタエリスリトールトリ (3-メルカプトイソバレレート)、およびペン エリスリトールテトラキス(3-メルカプトイ バレレート)等が例示される。前記トリス(2- ヒドロキシエチル)イソシアヌレートに3-メル カプトブタン酸が2つ付加した化合物として 、たとえば3-メルカプトブタン酸2-[3-(2-ヒド キシル)-5-(2-(3-メルカプトブチリルオキシ) チル)-2,4,6-トリオキソ-[1,3,5]トリアジナン-1- ル]エチルエステル等を挙げることができる 。

 エポキシ樹脂の硬化剤としてチオール化合 (P)を用いることで、好適な可使時間を有し かつ保存安定性にも優れ、耐水性、硬度も 好な硬化物を得ることができる。また、水 基を少なくとも1つ有するチオール化合物(P) を併用することで、可使時間の延長幅を制御 することができ、可使時間を調整することが 可能となる。すなわち、本発明の硬化物から なる種々の製品について高い品質が達成され る。
水酸基を少なくとも1つ有するチオール化合 (P)としては、
グリセリンビス(3-メルカプトブチレート)、 リメチロールプロパンビス(3-メルカプトブ レート)、トリメチロールエタンビス(3-メル プトブチレート)、ペンタエリスリトールビ ス(3-メルカプトブチレート)、ペンタエリス トールトリス(3-メルカプトブチレート)、ジ ンタエリスリトールペンタキス(3-メルカプ ブチレート)、トリス(2-ヒドロキシエチル) ソシアヌレートに3-メルカプトブタン酸が2 付加した化合物;
トリメチロールプロパンビス(3-メルカプトバ レレート)、ペンタエリスリトールビス(3-メ カプトバレレート)、ペンタエリスリトール リス(3-メルカプトバレレート);
トリメチロールプロパンビス(3-メルカプトイ ソバレレート)、ペンタエリスリトールビス(3 -メルカプトイソバレレート)、およびペンタ リスリトールトリス(3-メルカプトイソバレ ート)等が例示される。前記トリス(2-ヒドロ キシエチル)イソシアヌレートに3-メルカプト ブタン酸が2つ付加した化合物としては、た えば3-メルカプトブタン酸2-[3-(2-ヒドロキシ )-5-(2-(3-メルカプトブチリルオキシ)エチル)- 2,4,6-トリオキソ-[1,3,5]トリアジナン-1-イル]エ チルエステル等を挙げることができる。好ま しくはペンタエリスリトールトリス(3-メルカ プトブチレート)、およびトリメチロールプ パンビス(3-メルカプトブチレート)が挙げら る。これらは1種単独で用いることも、2種 上を任意の割合で組み合わせて用いること できる。

 チオール化合物(P)のチオール当量は、特 限定されないが、好ましくは100~500であり、 より好ましくは100~400であり、さらに好まし は100~300である。

 チオール当量とは、チオール基1つ当たり の分子量である。チオール当量は、ヨウ素滴 定法にて測定され、具体的には、チオール化 合物(P)0.2gをクロロホルム20mlに溶解させ、さ にイソプロパノール10ml、水20ml、でんぷん 示薬1mlを添加した後、ヨウ素溶液で滴定し 測定される。

 チオール化合物(P)の水酸基当量も、特に 定されないが、好ましくは100~1000であり、 り好ましくは100~800であり、さらに好ましく 100~600である。

 水酸基当量とは、水酸基1つ当たりの分子 量である。水酸基当量は、塩化アセチル-水 化カリウム滴定法にて測定され、具体的に 、チオール化合物(P)の水酸基をピリジン中 塩化アセチルを用いてアセチル化した後、 剰の試薬を水で分解し、生成した酢酸を水 化カリウム/メタノール溶液で滴定して測定 れる。

 本発明に係るエポキシ樹脂硬化剤は、上記 オール化合物のみからなっていてもよく、 た他の硬化剤成分を含んでいてもよい。他 硬化剤成分としては、たとえばポリアミン ポリアミドアミン、酸無水物、ジシアンジ ミド、フェノール、イミダゾール等を挙げ ことができる。
[II]エポキシ樹脂硬化剤の製造方法
 本発明のエポキシ樹脂硬化剤に使用される オール化合物(P)は、たとえば(i)多価アルコ ルに、(ii)チオール基に対してα位の炭素原 に置換基を有し、且つオキシカルボニル基 たはカルボニルオキシ基を含有するチオー 化合物(Q)(以下、単に「チオール化合物(Q)と もいう。」)を、(iii)酸触媒あるいは無触媒で 反応させることで得られる。

 (i)本発明で用いられる多価アルコールは 下記一般式(5)で示される。

 式(5)中のXは、前記(1)式におけるXの定義 同義である。tは2~8の整数である。

 このような多価アルコールとして、具体的 はエチレングリコール、ジエチレングリコ ル、トリエチレングリコール、テトラエチ ングリコール、ポリエチレングリコール、 ロピレングリコール、ジプロピレングリコ ル、トリプロピレングリコール、ポリプロ レングリコール、ネオペンチルグリコール 1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオー 、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、 1,2-ペンタンジオール、1,3-ペンタンジオール 2,3-ペンタンジオール、1,4-ペンタンジオー 、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオー ル、1,9-ノナンジオール、トリシクロデカン メタノール、(2,2-ビス(2-ヒドロキシエトキシ フェニル)プロパン)、ビスフェノールAアルキ レンオキシド付加物、ビスフェノールFアル レンオキシド付加物、ビスフェノールSアル レンオキシド付加物、1,4-シクロヘキサンジ オール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、1, 2-ヘキサンジオール、1,3-ヘキサンジオール、 2,3-ヘキサンジオール、1,4-ヘキサンジオール 2,4-ヘキサンジオール、3,4-ヘキサンジオー 、1,5-ヘキサンジオール、2,5-ヘキサンジオー ル、1,6-ヘキサンジオール、9,9-ビス[4-(2-ヒド キシエチル)フェニル]フルオレン等の2価の ルコール;
グリセリン、ジグリセリン、トリメチロール エタン、トリメチロールプロパン、ジトリメ チロールプロパン、トリス(2-ヒドロキシエチ ル)イソシアヌレート、ヘキサントリオール ソルビトール、ペンタエリスリトール、ジ ンタエリスリトール、ショ糖等の3価以上の ルコールが挙げられる。

 上記の中では、可使時間および硬度の観 から3価以上のアルコールが好ましい。

 なお、上記多価アルコールが3価以上であ る場合には、少なくとも2個の水酸基がチオ ル化合物(Q)と反応していればよく、水酸基 残存していてもよい。

 また、多価アルコールの代わりに多価アミ を用いることができ、その具体例として、
 トリエタノールアミン、エチレンジアミン ジエチレントリアミン、トリエチレンテト ミン、テトラエチレンペンタミン、1,6-ヘキ サメチレンジアミン、1,8-オクタメチレンジ ミン、1,12-ドデカメチレンジアミン、o-フェ レンジアミン、m-フェニレンジアミン、p-フ ェニレンジアミン、o-キシリレンジアミン、m -キシリレンジアミン、p-キシリレンジアミン 、メンタンジアミン、ビス(4-アミノ-3-メチル シクロヘキシル)メタン、イソホロンジアミ 、1,3-ジアミノシクロヘキサン、スピロアセ ール系ジアミン等が挙げられる。

 (ii)本発明で用いられるチオール化合物(Q) は、チオール基に対してα位の炭素原子に置 基を有し、且つオキシカルボニル基または ルボニルオキシ基を含有するチオール化合 である。これらのうち、チオール基に対し α位の炭素原子の置換基の少なくとも一つ アルキル基である化合物が好ましく、さら 、そのアルキル基が炭素数1~10の直鎖または 岐のアルキル基であることが好ましい。

 このような化合物は、たとえば下記一般 (4)で示される。

(式中、R 1 およびR 2 は、それぞれ独立に水素原子または炭素数が 1~10のアルキル基であり、R 3 およびR 4 は、それぞれ独立に水素原子または炭素数が 1~10のアルキル基であり、そのうち少なくと 1つは炭素数が1~10のアルキル基であり、R 5 は、水素原子、または直鎖、分岐もしくは環 状構造を有する炭素数1~12の脂肪族基、もし は芳香環を有する有機基であり、nは0~4の整 である。)
 (4)式中のR 1 、R 2 、R 3 およびR 4 、ならびにnは前記(1)式におけるR 1 、R 2 、R 3 およびR 4 、ならびにnの定義と同義である。

 R 5 は、水素原子、または直鎖、分岐もしくは環 状構造を有する炭素数1~12の脂肪族基、もし は芳香環を有する有機基である。反応性と う観点からR 5 は水素原子または直鎖もしくは分岐構造を有 する炭素数1~6の脂肪族基であることが好まし く、R 5 が水素原子または直鎖もしくは分岐構造を有 する炭素数1~4の脂肪族基であることがより好 ましく、R 5 が水素原子または直鎖構造を有する炭素数が 1もしくは2の脂肪族基であることがさらに好 しい。

 上記チオール化合物(Q)として、具体的に 、2-メルカプトプロピオン酸、3-メルカプト 酪酸、2-メルカプトイソ酪酸、3-メルカプト ソ酪酸、3-メルカプト-3-メチル酪酸、2-メル プト吉草酸、4-メルカプト吉草酸、3-メルカ プトイソ吉草酸、3-メルカプトブタン酸メチ 、3-メルカプトブタン酸エチル、4-メルカプ ト吉草酸メチル、4-メルカプト吉草酸エチル 3-メルカプトイソ吉草酸メチル、3-メルカプ トイソ吉草酸メチル、2-メルカプトプロピオ 酸エチルエステル等が挙げられる。

 また、チオール化合物(Q)が2個以上のチオ ール基を含有することができる。

 上記多価アルコールとチオール化合物(Q) を反応させる際のモル比は、通常、多価ア コール中の水酸基1molに対して、チオール化 合物(Q)を1~1.5mol用いることができるが、水酸 が残存してもよい場合は特に限定されない

 (iii)本発明のチオール化合物(P)を製造す 際、酸触媒を用いることもできる。酸触媒 使用することにより、反応速度を速くする とができる。

 酸触媒としては、特に限定されるもので ないが、プロトン酸であることが好ましく たとえば、p-トルエンスルホン酸、ナフタ ンスルホン酸、カンファースルホン酸、ベ ゼンスルホン酸、o-トルエンスルホン酸、メ タンスルホン酸、エタンスルホン酸、ブタン スルホン酸、イソブタンスルホン酸、トリフ ルオロメタンスルホン酸、硫酸、塩酸、リン 酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、H型イオン交 樹脂等を用いることができる。

 これらの酸触媒は1種単独で用いてもよく 、2種以上を組み合わせて用いてもよい。酸 媒の添加量は、多価アルコール1molに対して0 .1~15mol%が好ましく、より好ましくは0.5~10mol% ある。15mol%を超えると反応時に副反応が起 る可能性があり、0.1mol%未満であると反応速 を速くする触媒効果が得られない。

 上記多価アルコールとチオール化合物(Q) を反応させる際に、減圧にて行う場合、通 、溶媒は必要ではないが、副生する水ある はアルコールと共沸させる場合等、必要に じて用いることができる。

 常圧にて反応させる場合は種々の溶剤を いることができ、その具体例としては、ト エン、キシレン、エチルベンゼン、クロロ ンゼン、ジクロロベンゼン、トリクロロベ ゼン等を挙げることができる。これらの溶 は1種単独で用いてもよく、2種以上を任意 割合で組み合わせて用いてもよい。

 該反応溶媒の使用量は特に限定されない 、多価アルコール10質量部に対して5~200質量 部用いることができ、好ましくは10~100質量部 である。

 本発明は反応を大気圧よりも低い圧力下 つまり減圧条件にて行うことができる。減 条件において反応を行うことで、臭気成分 除去することができ、その結果、チオール 合物(P)を含有する硬化剤の臭気を低減させ ことができる。

 また、減圧にすることで副生する水ある はアルコールを留去させながら反応を行う とができ、反応を促進させることにより反 時間の短縮、生産性の向上を図ることがで る。

 反応圧力は低圧である方が好ましく、具 的には1~400mmHgで反応させることが好ましい より好ましくは1~300mmHgである。

 なお、チオール化合物(P)の製造は、減圧 件に限られず、常圧でも行うことができる

 上記多価アルコールとチオール化合物(Q) の反応における反応温度は、80~160℃、好ま くは100~140℃である。

 上記の条件にて反応を行うことで、副反応 抑えられ良好な収率、純度でチオール化合 (P)を得ることができる。
[III]エポキシ樹脂組成物
 本発明のエポキシ樹脂組成物は、主剤とな 多価エポキシ化合物である(A)エポキシ樹脂 よび上記(B)エポキシ樹脂硬化剤を含有し、 らに(C)硬化助剤を含有することができる。

 (B)エポキシ樹脂硬化剤は、前記チオール 合物(P)を含有する。このチオール化合物(P) 、(A)エポキシ樹脂の硬化剤として使用する とができる。

 (A)エポキシ樹脂としては、具体的にビス ェノールA、ハロゲン化ビスフェノールA、 スフェノールF、ハロゲン化ビスフェノールF 、レゾルシノール、ハイドロキノン、ピロカ テコール、4,4'-ジヒドロキシビフェニル、1,5- ヒドロキシナフタレン等の多価フェノール、 エチレングリコール、プロピレングリコール 、グリセリン等の多価アルコールおよびオキ シ安息香酸、フタル酸等の芳香族ジカルボン 酸にエピクロロヒドリンを付加させて得られ るエポキシ樹脂が挙げられるが、これらに限 定されるものではない。(A)エポキシ樹脂とし ては、特に多価アルコールのグリシジルエー テル化合物が好適である。

 市販されているエポキシ樹脂製品として 、たとえば、ジャパンエポキシレジン(株) のエピコート828、1001、801、806、807、152、604 630、871、YX8000、YX8034、YX4000、カージュラE10P 、大日本インキ化学工業(株)製のエピクロン8 30、835LV、HP4032D、703、720、726、HP820、(株)ADEKA のEP4100、EP4000、EP4080、EP4085、EP4088、EPU6、EPR 4023、EPR1309、EP49-20、ナガセケムテックス(株) デナコールEX411、EX314、EX201、EX212、EX252、EX1 11、EX146、EX721、信越化学工業(株)製KBM403、KBE4 02等を挙げることができるが、これらに限定 れるものではない。これらはそれぞれ1種単 独で用いることも、2種以上を任意の割合で み合わせて用いることもできる。

 本発明のエポキシ樹脂組成物には、(A)エ キシ樹脂と(B)エポキシ樹脂硬化剤に含まれ チオール化合物(P)との硬化反応を促進させ ために、(C)硬化助剤を加えることができる

 上記(C)硬化助剤としては、塩基性化合物を いることができる。塩基性化合物の具体例 しては、トリメチルアミン、トリエチルア ン、テトラエチルメチレンジアミン、テト メチルプロパン-1,3-ジアミン、テトラメチ ヘキサン-1,6-ジアミン、ペンタメチルジエチ レントリアミン、ペンタメチルジプロピレン トリアミン、ビス(2-ジメチルアミノエチル) ーテル、エチレングリコール(3-ジメチル)ア ノプロピルエーテル、ジメチルアミノエタ ール、ジメチルアミノエトキシエタノール N,N,N'-トリメチルアミノエチルエタノールア ミン、ジメチルシクロヘキシルアミン、N,N
-ジメチルアミノメチルフェノール、N,N-ジメ ルプロピルアミン、N,N,N',N’-テトラメチル キサメチレンジアミン、N-メチルピペリジ 、N,N'-ジメチルピペラジン、N,N-ジメチルベ ジルアミン、ジメチルアミノメチルフェノ ル、2,4,6-トリス(ジメチルアミノメチル)フェ ノール、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン- 7、1,5-ジアザビシクロ[4.3.0]-ノネン-5、6-ジブ ルアミノ-1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]-ウンデセ ン-7、1,2-ジメチルイミダゾール、ジメチルピ ペラジン、N-メチル-N'-(2-ジメチルアミノ)-エ ルピペラジン、N-メチルモルホリン、N-(N',N' -ジメチルアミノ)エチル)モルホリン、N-メチ -N'-(2-ヒドロキシエチル)モルホリン、トリ チレンジアミン、およびヘキサメチレンテ ラミン等が挙げられる。これらの中で3級ア ンが好ましく、特に好ましくはN,N-ジメチル ベンジルアミン、および2,4,6-トリス(ジメチ アミノメチル)フェノールである。これらは1 種単独で用いることも、2種以上を任意の割 で組み合わせて用いることもできる。

 上記(C)硬化助剤としては、リン原子含有 合物を用いることもできる。リン原子含有 合物の具体例としては、エチルホスフィン フェニルホスフィン、ジメチルホスフィン ジフェニルホスフィン、トリメチルホスフ ン、トリエチルホスフィン、トリブチルホ フィン、トリフェニルホスフィン、トリス( p-トリル)ホスフィン、トリス(アルキルフェ ル)ホスフィン、トリス(アルコキシフェニル )ホスフィン、リン酸トリメチル、リン酸ト エチル、リン酸トリフェニル、リン酸トリ ルキル、テトラフェニルホスホニウム・テ ラフェニルボレート、および1,4-ビス(ジフェ ニルホスフィノ)ブタン等が挙げられるが、 れらに限定されるものではない。これらは1 単独で用いることも、2種以上を任意の割合 で組み合わせて用いることもできる。

 市販されている硬化助剤製品としては、 とえば、ジャパンエポキシレジン(株)製エ キュア3010、四国化成工業(株)製のイミダゾ ル化合物2PZ、2PHZ、2P4MHZ、C17Z、2MZ-A、2E4MZ-CNS 2MA-OK、味の素ファインテクノ(株)製アミキ アPN23、PN31、PN40J、PN-H、MY24、MY-H、(株)ADEKA製 EH-3293S、EH-3366S、EH-3615S、EH-4070S、EH-4342S、EH-37 31S、旭化成ケミカルズ(株)製ノバキュアHX-3742 、HX-3721、富士化成工業(株)製FXE-1000、FXR-1030 FXR-1080、FXR-1110等が挙げられるが、これらに 定されるものではない。

 本発明のエポキシ樹脂組成物における(A) ポキシ樹脂、(B)硬化剤、および(C)硬化助剤 配合量は特に限定されるものではなく、用 に応じて適宜決定できる。(A)エポキシ樹脂 使用量は、(B)硬化剤のチオール基1molに対し て、好ましくはエポキシ基0.6~1.7molであり、 り好ましくはエポキシ基0.7~1.5molであり、さ に好ましくは0.7~1.3molである。

 (C)硬化助剤の使用量は、(B)硬化剤100質量 に対して、好ましくは0.01~15質量部であり、 より好ましくは0.05~10質量部であり、さらに ましくは0.05~5質量部である。硬化助剤の使 量が15質量部を超えると刺激臭が強くなり、 作業性に劣る場合がある。

 本発明のエポキシ樹脂組成物は、必要に じて、(a)熱可塑性樹脂、(b)脱臭剤、(c)シラ カップリング剤、チタンカップリング剤等 密着性向上剤、(d)ヒンダードアミン類、ハ ドロキノン類、ヒンダードフェノール類等 酸化防止剤、(e)ベンゾフェノン類、ベンゾ リアゾール類、サリチル酸エステル類、金 錯塩類等の紫外線吸収剤、(f)金属石けん類 重金属(たとえば亜鉛、錫、鉛、カドミウム 等)の無機および有機塩類、有機錫化合物等 安定剤、(g)フタル酸エステル、リン酸エス ル、脂肪酸エステル、エポキシ化大豆油、 まし油、流動パラフィンアルキル多環芳香 炭化水素等の可塑剤、(h)パラフィンワック 、マイクロクリスタリンワックス、重合ワ クス、密ロウ、鯨ロウ低分子量ポリオレフ ン等のワックス類、(i)ベンジルアルコール タール、ピチューメン等の非反応性希釈剤 (j)低分子脂肪族グリシジルエーテル、芳香 モノグリシジルエーテル等や(メタ)アクリレ ートエステル類等の反応性希釈剤、(k)炭酸カ ルシウム、カオリン、タルク、マイカ、ベン トナイト、クレー、セリサイト、ガラス繊維 、炭素繊維、アラミド繊維、ナイロン繊維、 アクリル繊維、ガラス粉、ガラスバルーン、 シラスバルーン、石炭粉、アクリル樹脂粉、 フェノール樹脂粉、金属粉末、セラミック粉 末、ゼオライト、スレート粉等の充填剤、(l) カーボンブラック、酸化チタン、赤色酸化鉄 、パラレッド、紺青等の顔料または染料、(m) 酢酸エチル、トルエン、アルコール類、エー テル類、ケトン類等の溶剤、(n)発泡剤、(o)シ ランカップリング剤、モノイソシアネート化 合物、カルボジイミド化合物等の脱水剤、(p) 帯電防止剤、(q)抗菌剤、(r)防かび剤、(s)粘度 調製剤、(t)香料、(u)難燃剤、(v)レベリング剤 、(w)分散剤、および(x)ラジカル重合開始剤等 を含有することができる。これらは1種単独 用いても、2種以上を任意の割合で組み合わ て用いることもできる。

 本発明のエポキシ樹脂組成物の調製方法と ては、用いられる材料を混合、分散できる 法であれば特に限定されず、たとえば以下 方法が考えられる。
(イ)ガラスビーカー、缶、プラスチックカッ 、アルミカップ等の適当な容器中にて、撹 棒、へら等により混練する。
(ロ)ダブルヘリカルリボン翼、ゲート翼等に り混練する。
(ハ)プラネタリーミキサーにより混練する。
(ニ)ビーズミルにより混練する。
(ホ)3本ロールにより混練する。
(ヘ)エクストルーダー型混練押し出し機によ 混練する。

 本発明の使用方法は特に限定されないが たとえば5~40℃の常温、40~200℃の高温条件の いずれでも使用することができる。温度が高 い方が可使時間は短縮し、さらに硬化速度を 速くできるため、短時間で硬化物を得ること ができるが、着色等の懸念があるので、5~100 が好ましく、5~40℃がより好ましい。

 本発明のエポキシ樹脂組成物およびその 化物は、(a)重防食塗料、防食コーティング 、塗り床用コーティング剤、外装用塗料、 動車用塗料、紛体塗料、プライマー等の塗 ・コーティング剤、(b)構造用接着剤、弾性 着剤、溶剤型反応性接着剤、粘接着剤、感 接着剤等の接着剤、(c)シーリング剤、(d)コ クリート用補修注入剤、(e)繊維強化積層物 の積層物用マトリクス樹脂、(f)注型絶縁材 半導体用封止剤、層間絶縁材、エッチング ジスト材、メッキレジスト、ソルダーレジ ト等のエレクトロニクス用材料、(g)補修用 テ、および(h)その他含浸、注入、成型等に いることができる。

 たとえば、前述の多価エポキシ化合物、 化助剤、およびエポキシ樹脂硬化剤を混合 ることにより接着剤を得ることができる。

 以下、実施例および比較例により本発明 さらに詳細に説明するが、本発明はこれら 記載により何らの限定を受けるものではな 。

 実施例中の「部」は「質量部」を意味する
(合成例1)
[ペンタエリスリトールテトラキス(3-メルカ トブチレート)(PE4MB)およびペンタエリスリト ールトリス(3-メルカプトブチレート)(PE3MB)の 合物の合成]
 ペンタエリスリトール(東京化成工業(株)製) 12.5g(91.8mmol)、3-メルカプトブタン酸(淀化学( )製)51.0g(424mmol)、p-トルエンスルホン酸・1水 物(純正化学(株)製)0.93g(4.89mmol)を200mL容ナス ラスコに仕込み、冷却管、留出水トラップ 置および真空ポンプを装着した。

 内容物を攪拌しながらフラスコ内を10mmHgま 減圧し、90℃に加熱した。還流開始から4時 後に100℃に、さらに15分後に110℃に昇温し 。そのまま2.5時間反応させた後、室温まで 却した。トルエン100mLを添加後、純水100mLに 2回洗浄を行った。次に、トルエン溶液を飽 和炭酸水素ナトリウム水溶液100mLで中和洗浄 2回行い、さらに純水100mLで2回洗浄を行った 。トルエンを留去し、真空乾燥を行い、淡黄 色液体の硬化剤1を得た。この硬化剤1の組成 、PE4MB:91.5%、PE3MB:3.9%、その他:ペンタエリス リトールビス(3-メルカプトブチレート)、PE3MB のp-トルエンスルホン酸付加体、3-メルカプ ブタン酸のジスルフィド体、PE4MBの3-メルカ トブタン酸付加体であった。ここでPE4MBの3- メルカプトブタン酸付加体とは、「3-(3-メル プトブチリルスルファニル)ブタン酸 3-(3- ルカプトブチリルオキシ)-2,2-ビス-(3-メルカ トブチリルオキシメチル)プロピルエステル であり、3-メルカプトブタン酸のジスルフィ 体とは、3-(2-カルボキシ-1-メチル-エチルジ ルファニル)-ブタン酸である。また、この 成液1におけるPE4MBおよびPE3MBの収量は48.9gで り、収率は97.8%であった。得られた硬化剤1 含有されるPE4MBのチオール当量は136g/eq.であ り、PE3MBのチオール当量は146g/eq.であった。 た、PE3MBの水酸基当量は、443g/eq.であった。
(合成例2)
[トリメチロールプロパントリス(3-メルカプ ブチレート)(TPMB)の合成]
 トリメチロールプロパン(東京化成工業(株) )13.4g(100mmol)、3-メルカプトブタン酸(淀化学( 株)製)37.8g(315mmol)、p-トルエンスルホン酸・1 和物(東京化成工業(株)製)1.80g(9.45mmol)、トル ン100gを200mL容ナスフラスコに仕込み、Dean-St ark装置および冷却管を装着した。内容物を攪 拌しながら110℃に加熱した。反応開始から32 間後に放冷し、純水で2回洗浄後、飽和炭酸 水素ナトリウム水溶液100mLで反応液を中和し 。さらに、反応液を純水にて1回洗浄した後 、トルエンを留去し、真空乾燥を行い、無色 透明液体の硬化剤2を得た。この硬化剤2にお るTPMBの収量は42.4gであり、収率は96.3%であ た。得られた硬化剤2に含有されるTPMBのチオ ール当量は144g/eq.であった。

 以下、性能評価について例示する。

 実施例に使用した材料は下記の通りである
EP828:ジャパンエポキシレジン(株)製、ビスフ ノールA型グリシジルエーテル、商品名「エ ピコート828(登録商標)」、エポキシ当量186g/eq .
硬化剤1:上記合成例1で得られたPE4MBおよびPE3M Bを主成分とする混合物
硬化剤2:上記合成例2で得られたTPMBを主成分 する混合物
PE4MB:ペンタエリスリトールテトラキス(3-メル カプトブチレート)、上記合成例1で得られた 合物をシリカゲルカラムクロマトグラフィ で分離精製することにより得られた物質
PE3MB:ペンタエリスリトールトリス(3-メルカプ トブチレート)、上記合成例1で得られた混合 をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで 離精製することにより得られた物質
QX40:ジャパンエポキシレジン(株)製、4官能脂 族ポリチオール(1級チオール)、ペンタエリ リトール テトラキス(3-メルカプトプロピ ネート)、商品名「エピキュアQX40(登録商標) 、チオール当量127g/eq.
3-800:ジャパンエポキシレジン(株)製、ポリチ ール、ポリ[オキシ(メチル-1,2-エタンジイル )],a-ヒドロ―w―(2-ヒドロキシ―3―メルカプ プロポキシ)-a,a‘,a“-エーテル ウイズ 2-( ドロキシメチル)-2-メチル-1,3-プロパンジオ ル、商品名「カップキュア(登録商標)3-800」 チオール当量296g/eq.
3010:ジャパンエポキシレジン(株)製、2,4,6-ト ス(ジメチルアミノメチル)フェノール、商品 名「エピキュア3010(登録商標)」
TETA:東京化成工業(株)製、トリエチレンテト ミン
DMBA:東京化成工業(株)製、N,N-ジメチルベンジ アミン
[1]可使時間
(実施例1)
 (A)エポキシ樹脂として100質量部のEP828に対 て、(B)硬化剤として合成例1で得た硬化剤1を 70質量部、および(C)硬化助剤として3010を10質 部、25℃で加えて混合し、硬化開始の時間 測定した。反応熱により組成物の温度が60℃ となった時を硬化開始とした。混合を開始し た時点から硬化開始の時点までの時間を可使 時間とし、表1に示した。
(比較例1)
 実施例1において、硬化剤1に代えて、QX40を7 0質量部使用する以外は、実施例1と同様にし 可使時間を測定し表1に示した。

 表1より本発明による実施例1は、硬化が開 する時間が15分以下であり、かつ適度な可使 時間を有するため作業性が良好である。一方 、比較例1は可使時間が短すぎ、エポキシ樹 と硬化剤であるチオール化合物を混合して る間に硬化が始まるため、作業性に劣り使 条件は限られる。
(実施例2~7)
 表2に示す組成を有する各組成物につき、実 施例1と同様にして可使時間を測定し、表2に した。配合数値の単位は、質量部である。

表2より水酸基を1つ有するPE3MBの含有量を多 するほど可使時間の延長幅が短くなり、結 としてPE4MBにPE3MBを混合して使用することに り、可使時間を制御できることがわかる。
[2]60℃保存安定性
(実施例8および9、比較例2および3)
 表3に示す組成を有する各組成物を60℃に設 した恒温器に入れ、60℃において硬化する での日数を求め、60℃保存安定性として表3 示した。配合数値の単位は、質量部である 組成物の粘度が25℃にて1000Pa・s以上となっ 時点を硬化した時点とした。なお、日数の が大きいほど保存安定性に優れることを示 。

 表3より本発明による2級チオールであるPE3MB およびPE4MBを含有する硬化剤1を用いた実施例 8および9では、60℃において優れた保存安定 を有することがわかる。これにより硬化剤 エポキシ樹脂、または硬化剤と硬化助剤を 合し1液として保存することも可能であるこ がわかる。
一方、1級チオールであるQX40を用いた比較例2 および3では、保存安定性に劣り、可使時間 短縮と保存安定性を両立できないことがわ る。
[3]耐水性
(実施例10および11、比較例4および5)
[硬化物の調製]
 表4に示す組成を有する各組成物を、JIS-K7209 に準拠し、50mm径、厚み3mmになるように型に し込み、25℃で24時間硬化させ硬化物を得た

 上記[硬化物の調製]で得られた硬化物を98 ℃に設定した恒温水槽に24時間浸漬させた後 恒温水槽から取り出し、表面の水分を十分 き取ってから重量(M2)を測定し、重量(M2)と 漬前の重量(M1)とから(6)式により吸水率(α)を 算出し、表4に示した。配合数値の単位は、 量部である。なお、この吸水率(α)の値が小 い方が、耐水性が良好であることを示す。

 実施例10および11から、2級チオールであるPE 3MBおよびPE4MBを含有する硬化剤1を含む組成物 により形成された硬化物および2級チオール あるTPMBを含有する硬化剤2を含む組成物によ り形成された硬化物は、比較例に示すような 従来のチオール化合物と比較し、吸水率が小 さく、耐水性に優れることがわかる。
[4]ショアD硬度(実施例12、比較例6)
 前記[硬化物の調製]と同様にして、表5に示 組成を有する組成物から硬化物を得た。JIS- Z2246に準拠し、得られた硬化物のショアD硬度 を(有)今井精機社製カタサ試験機ショア式DD を用いて測定し、表5に示した。配合数値の 位は、質量部である。また、[3]による吸水 測定後のショアD硬度についても同様に測定 し、表5に示した。なお、ショアD硬度の値が きいほど硬度があることを示す。

 表5より実施例12に示すPE3MBおよびPE4MBを含有 する硬化剤1を用いた組成物から形成された 化物の吸水率測定前のショアD硬度は、QX40を 用いた組成物から形成された硬化物のショア D硬度と同等であることがわかる。一方、吸 率測定後においては、硬化剤1を用いた組成 から形成された硬化物の方が、ショアD硬度 が大きく、良好であるのに対し、QX40を用い 組成物から形成された硬化物では、吸水率 定前に比較してショアD硬度が著しく低下し いることがわかる。
[5]引張せん断接着強さ(実施例13、比較例7)
 表6に示す各成分を25℃で混合することによ 接着剤を調製した。この接着剤をJIS-K6850に 拠し、幅20mm、厚さ1mmの2枚の亜鉛めっき鋼 間に、接着部分の長さが12.5mmになるように 布し接着させた。7日後の引張せん断接着強 を万能試験機で測定し、表6に示した。配合 数値の単位は、質量部である。なお、引張せ ん断強度の値が大きいほど接着強度が強いこ とを示す。

 表6より、実施例13に示すPE3MBおよびPE4MBを 含有する硬化剤1を用いて調製された接着剤 引張せん断接着強さは、QX40を用いて調製さ た接着剤の引張せん断接着強さと同等であ ことがわかる。

 本発明のチオール化合物(P)は、エポキシ 脂硬化剤として好適な可使時間を持ち、良 な保存安定性を有する。また、一般式(1)で され、Xが置換基として少なくとも一つの水 酸基を有するチオール化合物(P)との併用は、 可使時間の延長幅を短縮させ、結果として好 適な可使時間に制御することができる。

 さらに、本発明のエポキシ樹脂硬化剤は 減圧条件にて製造されることにより臭気が 減される。これを硬化して得られるエポキ 樹脂硬化物の耐水性や硬度も良好である。 なわち、本発明のエポキシ樹脂硬化剤は作 性と信頼性に優れ、輸送機器、電気機器、 子機器産業等の接着、封止、注型、成型、 装、コーティング材等としての使用が可能 あり、速硬化性が要求される電子部品の実 、組立用の接着剤、封止剤として有用であ 。