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Patent Searching and Data


Title:
ETHYLENE-TETRAFLUOROETHYLENE COPOLYMER
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/096547
Kind Code:
A1
Abstract:
Disclosed is an ethylene-tetrafluoroethylene (ETFE) copolymer having a high melt tension and excellent blow-moldability and the like. The ETFE copolymer has an ethylene unit, a tetrafluoroethylene unit, and a unit composed of a monomer (A) having two or more copolymerizable double bonds, and has a ratio of a load (Wkg) applied for the measurement of a melt tension to the melt tension (XmN) (i.e., a X/W ratio) of 0.8 or more.

Inventors:
FUKUNAGA SHINTARO (JP)
FUNAKI ATSUSHI (JP)
Application Number:
PCT/JP2009/051627
Publication Date:
August 06, 2009
Filing Date:
January 30, 2009
Export Citation:
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Assignee:
ASAHI GLASS CO LTD (JP)
FUKUNAGA SHINTARO (JP)
FUNAKI ATSUSHI (JP)
International Classes:
C08F14/26
Foreign References:
JP2002012626A2002-01-15
JP2000140067A2000-05-23
JPH06136218A1994-05-17
JP2002012626A2002-01-15
Other References:
See also references of EP 2239282A4
Attorney, Agent or Firm:
SENMYO, Kenji et al. (SIA Kanda Square17, Kanda-Konyach, Chiyoda-ku Tokyo 35, JP)
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Claims:
 エチレン単位と、テトラフルオロエチレン単位と、および共重合性二重結合を2個以上有するモノマー(A)の単位とを含み、
 溶融張力を測定する際の荷重(Wkg)と溶融張力(XmN)の比(X/W)が0.8以上であることを特徴とするエチレン-テトラフルオロエチレン系共重合体。
 テトラフルオロエチレン単位とエチレン単位の合計に対する、テトラフルオロエチレン単位の割合が30~70モル%、エチレン単位の割合が70~30モル%であることを特徴とする請求項1に記載のエチレン-テトラフルオロエチレン系共重合体。
 前記モノマー(A)が、共重合性二重結合を2個有するモノマーであることを特徴とする請求項1または2に記載のエチレン-テトラフルオロエチレン系共重合体。
 共重合性二重結合を1個有するモノマー(B)の単位をさらに含むことを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載のエチレン-テトラフルオロエチレン系共重合体。
 モノマー(B)が、CH 2 =CH-C n F 2n+1 (式中、nは4~8の整数を表す。)であることを特徴とする請求項4に記載のエチレン-テトラフルオロエチレン系共重合体。
 モノマー(B)に由来する単位の割合が、テトラフルオロエチレン単位とエチレン単位の合計に対して、0モル%超~10モル%であることを特徴とする請求項4または5に記載のエチレン-テトラフルオロエチレン系共重合体。
 前記モノマー(A)が、次式
 Y-R f -Z
(但し、R f はポリフルオロアルキレン基をあらわし、Y,Zはそれぞれ独立にビニル基、トリフルオロビニル基またはトリフルオロビニルオキシ基をあらわす。)であらわされるモノマーであることを特徴とする請求項1~6のいずれか一項に記載のエチレン-テトラフルオロエチレン系共重合体。
 前記モノマー(A)が、次式
 CH 2 =CH-(CF 2 ) n -CH=CH 2
(式中、nは4~8の整数をあらわす。)で表わされることを特徴とする請求項1~6のいずれか一項に記載のエチレン-テトラフルオロエチレン系共重合体。
 前記比(X/W)が0.8~5であることを特徴とする請求項1~8のいずれか一項に記載のエチレン-テトラフルオロエチレン系共重合体。
Description:
エチレン-テトラフルオロエチレ ン系共重合体

 本発明は、エチレン-テトラフルオロエチ レン系共重合体に関する。さらに詳しくは、 ブロー成形性やインフレーション成形性に優 れたエチレン-テトラフルオロエチレン系共 合体に関する。

 テトラフルオロエチレン-ヘキサフルオロ プロピレン系コポリマーやエチレン-テトラ ルオロエチレン系コポリマーなどの熱可塑 フッ素樹脂は耐熱性、耐薬品性、耐候性等 優れており、チューブ、パイプ、コーティ グ、電線被覆、フィルム、園芸用被覆膜な の材料として幅広く用いられている。

 しかし、熱可塑性フッ素樹脂はブロー成 時に、合わせ金型内で軟化状態にある円筒 状となった樹脂(以下、パリソンという。) 自重で下方向に引っ張られると上部のパリ ンが伸びてその部分の肉厚が薄くなり、成 体の肉厚が不均一になる問題があった。特 、大型の成形体をブロー成形するときに薄 化が顕著に現れる。また、インフレーショ 成形において成形されるフィルムの厚みに らつきが発生しやすかった。

 パリソンの肉厚の不均一を起こりにくく るためや、フィルムの厚さを均一にするた には熱可塑性フッ素樹脂の溶融張力を高く ることが効果的である。熱可塑性フッ素樹 の分子量を大きくすれば溶融張力は高くな 。しかし成形時の熱可塑性フッ素樹脂の溶 粘度が大きくなる結果、パリソンを押出す の熱可塑性フッ素樹脂の成形性が低下し、 産性が低くなる問題があった。

 ポリエチレンでは、長鎖分岐構造を有する とで、溶融張力が高くなり、かつ、溶融粘 が小さくなることが知られている。特許文 1には、テトラフルオロエチレンと二重結合 を2個以上有する含フッ素モノマーとのコポ マーがブロー成形性に優れているという報 があるが、エチレン-テトラフルオロエチレ 系共重合体については記載されていない。

特開2002-12626号公報

 本発明は、溶融張力が高く、ブロー成形 、インフレーション成形性に優れたエチレ -テトラフルオロエチレン系共重合体を提供 することを目的とする。

 本発明者は、上記の目的を達成するべく鋭 研究を進めたところ、これを達成するエチ ン-テトラフルオロエチレン系共重合体を見 出した。本発明はかかる知見に基づくもので あり、以下の要旨を有する。
(1)エチレン単位と、テトラフルオロエチレン 単位と、および共重合性二重結合を2個以上 するモノマー(A)の単位とを含み、
 溶融張力を測定する際の荷重(Wkg)と溶融張 (XmN)の比(X/W)が0.8以上であるエチレン-テトラ フルオロエチレン系共重合体。
(2)テトラフルオロエチレン単位とエチレン単 位の合計に対する、テトラフルオロエチレン 単位の割合が30~70モル%、エチレン単位の割合 が70~30モル%である上記(1)に記載のエチレン- トラフルオロエチレン系共重合体。
(3)前記モノマー(A)が、共重合性二重結合を2 有するモノマーである上記(1)または(2)に記 のエチレン-テトラフルオロエチレン系共重 体。
(4)共重合性二重結合を1個有するモノマー(B) 単位をさらに含む上記(1)~(3)のいずれかに記 のエチレン-テトラフルオロエチレン系共重 合体。
(5)モノマー(B)が、CH 2 =CH-C n F 2n+1 (式中、nは4~8の整数を表す。)であることを特 徴とする上記(4)に記載のエチレン-テトラフ オロエチレン系共重合体。
(6)モノマー(B)に由来する単位の割合が、テト ラフルオロエチレン単位とエチレン単位の合 計に対して、0モル%超~10モル%である上記(4)ま たは(5)に記載のエチレン-テトラフルオロエ レン系共重合体。
(7)前記モノマー(A)が、次式
 Y-R f -Z
(但し、R f はポリフルオロアルキレン基をあらわし、Y,Z はそれぞれ独立にビニル基、トリフルオロビ ニル基またはトリフルオロビニルオキシ基を あらわす。)であらわされるモノマーである 記(1)~(6)のいずれかに記載のエチレン-テトラ フルオロエチレン系共重合体。
(8)前記モノマー(A)が、次式
 CH 2 =CH-(CF 2 ) n -CH=CH 2
(式中、nは4~8の整数をあらわす。)で表わされ る上記(1)~(6)のいずれかに記載のエチレン-テ ラフルオロエチレン系共重合体。
(9)前記比(X/W)が0.8~5である上記(1)~(8)のいずれ に記載のエチレン-テトラフルオロエチレン 系共重合体。

 本発明によれば、溶融張力が高く、ブロ 成形性、インフレーション成形性に優れた チレン-テトラフルオロエチレン系共重合体 が得られる。

 以下に、実施形態を挙げて本発明の説明 行うが、本発明は以下の実施形態に限定さ るものではない。

[エチレン-テトラフルオロエチレン系共重合 ]
 本発明の実施形態にかかるエチレン-テトラ フルオロエチレン系共重合体は、エチレン単 位と、テトラフルオロエチレン単位と、およ び共重合性二重結合を2個以上有するモノマ (A)の単位とを含み、溶融張力を測定する際 荷重(Wkg)と溶融張力(XmN)の比(X/W)が0.8以上で る。本発明の実施形態にかかるエチレン-テ ラフルオロエチレン系共重合体は、さらに ストレスクラック性改良などの目的で、共 合性二重結合を1個有するモノマー(B)の単位 を含んでも構わない。

 含フッ素ポリマーにおける各モノマー単位 割合は、そのポリマー製造時の各モノマー 使用割合もしくは仕込み割合と必ずしも一 しない。各モノマーの重合反応性が異なる とより、通常重合反応性の低いモノマーは られるポリマーにおけるそのモノマー単位 目的とする割合より多い割合で使用される 過剰分は未反応モノマーとなる。
 本発明におけるエチレン(以下、「E」とも う。)、テトラフルオロエチレン(以下、「TFE 」ともいう。)、モノマー(A)及びモノマー(B) 由来するモノマー単位の割合は、得られた チレン-テトラフルオロエチレン系共重合体( 以下、「ETFE系共重合体」ともいう。)を測定 て計算されたモノマー単位の割合を示す。

 本発明のETFE系共重合体において含フッ素 ポリマー中の、TFE単位とE単位の合計に対す 、TFE単位の割合は30~70モル%、E単位の割合は7 0~30モル%であることが好ましく、それぞれ40~6 0モル%、60~40モル%がより好ましい。

[モノマー(A)]
 モノマー(A)としては、共重合性二重結合を2 個有するモノマーが好ましい。共重合性二重 結合を2個有するモノマーとしては、例えば Y-R f -Z(式中、R f はポリフルオロアルキレン基をあらわし、Y,Z はそれぞれ独立にビニル基、トリフルオロビ ニル基またはトリフルオロビニルオキシ基を あらわす。)で表わされるモノマーが挙げら る。YおよびZは、共重合性が良好であること から、ビニル基またはトリフルオロビニルオ キシ基であることが好ましい。また、入手が 容易であることからYとZが同一であることが ましい。さらに、YおよびZが同一であり、 ニル基またはトリフルオロビニル基である とが好ましい。

 具体的には、CH 2 =CH-R f1 -CH=CH 2 、CF 2 =CF-R f1 -CH=CH 2 、CF 2 =CF-R f1 -CF=CF 2 、CF 2 =CF-O-R f1 -CH=CH 2 、CF 2 =CF-O-R f1 -CF=CF 2 (式中、R f1  は単結合又は炭素数1~8のフルオロアルキル をあらわす。)、CF 2 =CF-O-R f2 -O-CF=CF 2 (式中、R f2  は炭素数1~8のフルオロアルキル基をあらわ 。)が挙げられる。得られるポリマーの物性 が良好であることから、R f はパーフルオロアルキレン基が好ましく、炭 素数2~8のパーフルオロアルキレン基、さらに 入手の容易性から炭素数4または6のパーフル ロアルキレン基が好ましい。

 モノマー(A)としては、入手の容易性からCH 2 =CH-(CF 2 ) n -CH=CH 2 (式中、nは4~8の整数をあらわす。)、CF 2 =CF-O-(CF 2 ) n -O-CF=CF 2 、が好ましい。中でもCH 2 =CH-(CF 2 ) n -CH=CH 2 (式中、nは4又は6をあらわす。)(以下、「モノ マー(A1)」ともいう。)が最も好ましい。
 モノマー(A1)のように、共重合性二重結合が ビニル基であると、その重合性からTFE単位が 隣接する可能性が高く、E単位と隣接する確 は低い。したがって、炭化水素鎖が並ぶ可 性が低く、熱的に安定である。

 本発明のETFE系共重合体中の全モノマー単 位に対するモノマー(A)の単位の割合は、少量 であるため現状の分析技術では測定が困難で ある場合がある。モノマー(A)が、EとTFEの合 量に対して、0.3モル%以上存在すれば、分析 可能になると思われる。モノマー(A)に由来 るモノマー単位の測定が困難なため、得ら るETFE系共重合体の物性を見ながら、重合時 のモノマー(A)の仕込量を調整することになる 。重合時の仕込量は、使用するモノマー(A)の モノマー反応性比によって若干変わってくる が、得られるETFE系共重合体の特性を、従来 市販のエチレン-テトラフルオロエチレン系 ポリマー(以下、ETFE樹脂という)の特性に比 て大きく変化させずに溶融張力を充分向上 せるためには、EとTFEの仕込み量の合計に対 して、0.01~0.2モル%が好ましい。特にモノマー (A)の仕込量は、EとTFEの仕込み量の合計に対 て、0.03~0.1モル%がより好ましい。

[モノマー(B)]
 ETFE系共重合体は、通常、ストレスクラック 性改良などの目的で、テトラフルオロエチレ ン単位とエチレン単位以外に少量の他の共重 合性モノマーの単位を有している。したがっ て、本発明のETFE系共重合体も同様に、共重 性二重結合を1個有するモノマー(B)を共重合 せることが好ましい。

 モノマー(B)としては、含フッ素オレフィン モノマーが好ましい。含フッ素オレフィン モノマーとしては、(パーフルオロアルキル )置換エチレンやCH 2 =CF-(CF 2 ) n -Hが挙げられる。中でも、CH 2 =CH-C n F 2n+1 (式中、nは4~8の整数をあらわす。)(以下、「 ノマー(B1)」ともいう)がストレスクラックの 発生を効果的に抑制できることから好ましく 、CH 2 =CH-C 4 F 9 (PFBE)が最も好ましい。
 モノマー(B)に由来する単位の割合は、TFE単 とE単位の合計に対して、0モル%超~10モル%で あることが好ましく、0.1~5モル%であることが 特に好ましい。
 モノマー(B)の単位を含む場合、その共重合 二重結合とモノマー(A)の共重合性二重結合 少なくとも一つとが同じであることが好ま い。
 モノマー(B)の共重合性二重結合とモノマー( A)の共重合性二重結合の少なくとも一つが同 であることは、同じ二重結合の重合性がほ 同じであり、その結果ポリマー中での偏り 起こりにくいなど、好ましい。

 モノマー(A)が、共重合性二重結合を2個有す るモノマーであり、その2つの共重合性二重 合と、モノマー(B)の共重合性二重結合とが じであることが、上記と同じ理由でより好 しい。
 中でも、モノマー(B)がモノマー(B1)であり、 モノマー(A)がCH 2 =CH-(CF 2 ) n -CH=CH 2 (式中、nは4~8の整数をあらわす。)であること が、上記と同じ理由で好ましい。さらに、モ ノマー(B)がモノマー(B1)であり、モノマー(A) モノマー(A1)であることが最も好ましい。

 モノマー(B)が、モノマー(B1)である場合、仕 込み量が少なければ(TFE、Eの合計量に対して1 モル%以下)、ポリマー中のモノマー(B1)に由来 する単位も仕込み量と同程度となる。したが って、モノマー(A)が上記のCH 2 =CH-(CF 2 ) n -CH=CH 2 (式中、nは4~8の整数をあらわす。)である場合 も、仕込み量が好ましい範囲の0.01~0.2モル%で あれば、仕込み量とほぼ同程度のモノマー(A) に由来する単位がポリマー中にあると考えら れる。

 本発明のETFE系共重合体は、従来のETFE樹脂 各種特性を維持しながら溶融張力を改良し ブロー成形やインフレーション成形に適し ETFE樹脂としたものとみなすことができる。
 本発明におけるETFE系共重合体の分子量は、 各種成形方法が採用できる範囲のものである ことが好ましい。
 本発明においては、分子量に対応した指標 して容量流速を測定、評価する。特に、後 する高化式フローテスターによって測定さ る、297℃におけるETFE系共重合体の容量流速 は、0.1~30mm 3 /secであることが好ましく、1~20mm 3 /secであることがさらに好ましい。

[重合方法]
 重合方法は、特に限定されず、バルク重合 溶液重合、乳化重合、懸濁重合などの方法 採用される。溶液重合の場合には、重合媒 としてハイドロフルオロカーボン、クロロ ルオロカーボン、ハイドロクロロフルオロ ーボン、アルコール、ハイドロカーボンな が用いられる。懸濁重合の場合には、ハイ ロフルオロカーボン、クロロフルオロカー ン、ハイドロクロロフルオロカーボン、ハ ドロカーボンなどの媒体に水を加えたもの 重合媒体として用いられている。乳化重合 場合には、重合媒体として水が用いられる 、溶液重合で用いられるのと同様の重合媒 を併用してもよい。

 重合条件における重合圧力は0.01MPa~10MPaの 範囲が好ましく、0.1MPa~3MPaの範囲が特に好ま い。特に重合条件としては、0.5MPa~3MPaが好 しい。また、モノマー仕込み時に予め重合 器内を冷却もしくは加熱することにより、 合容器内の温度を調整しても構わない。重 時間は重合温度との兼ね合いで決まるもの あるが、重合条件における重合時間はいず の場合も30分~15時間が好ましい。

 本発明のETFE系共重合体は、溶融粘度を大 きくさせることなく、溶融張力が高い結晶性 の熱可塑性フッ素樹脂である。そのため、ブ ロー成形時にパリソンが自重で下方向に引っ 張られた場合であっても、上部のパリソンが 伸びてその部分の肉厚が薄くなることがない ため、成形体の肉厚が不均一になることはな い。特に、大型の成形体をブロー成形した場 合であっても薄肉化の現象が現れることはな い。「大型の成形体」としては特に制限され ないが、例えば最大内径が200mm以上1000mm未満 度の寸法を備える中空成形体が挙げられる また、インフレーション成形において成形 れるフィルムの厚みにばらつきが生じるこ もない。さらに成形時に樹脂の溶融粘度が きくなることがないため、パリソンを押出 際に樹脂の成形性が低下しないため、生産 が向上する。

 本発明より得られるETFE系共重合体は、成 形体の成形性の指標としての、溶融張力を測 定する際の荷重(Wkg)と溶融張力(XmN)の比(X/W)が 0.8以上である。「X/W」が0.8以上あれば、ブロ ー成形やインフレーション成形を行う際に成 形性や生産性が良好になるからである。「X/W 」は特に制限されないが、0.8~5であることが ましい。5以下であれば良好な成形性を保つ ことができる。

 溶融張力の測定方法については後に実施 の欄で記述する。荷重(W)が大きいことは、 融粘度が大きいことを意味する。従って、X /Wが大きいことは、同じ粘度であっても溶融 力が高いことを意味する。

 上記のような特性を有することより、本発 のエチレン-テトラフルオロエチレン系共重 合体は、ボトル特に薬液保存用の大型ボトル や、フィルムの製造に好適に用いられる。
 このように、本発明のETFE系共重合体は溶融 張力が高いため、ブロー成形性、インフレー ション成形性に優れる。また、溶融粘度も小 さく、生産性にも優れる。

 以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説 するが、本発明はこれらに限定されない。
 ETFE系共重合体中の、テトラフルオロエチレ ン単位、エチレン単位、パーフルオロブチル エチレン単位の組成比はフッ素元素分析およ び、 19 F-溶融NMRにより算出した。

(実施例1)
 1リットルの撹拌機付き圧力容器に、脱気後 、1,1,2,2,3-ペンタフルオロ-1,3-ジクロロプロパ ン(以下、「225cb」という。)1007g、パーフルオ ロヘキシル-1,9-ジエチレン(以下、「ジエン」 という)0.324g、テトラフルオロエチレン(TFE)190 .0g、及びエチレン(E)11.0gを室温において仕込 だ。ついで66℃に昇温させ、t-ブチルパーオ キシピバレート(10時間半減期温度55℃)の1重 %溶液(溶媒:225cb)1mlを仕込み、重合を開始さ た。重合の進行にともない圧力が低下する め、圧力が一定になるように混合ガス(TFE/エ チレン=54/46モル比)および前記混合ガスに対 て0.04mol%に相当する比率でジエンを連続的に 仕込んだ。仕込みの混合ガス量が54gになった 時点で内温を室温まで冷却し、未反応ガスを 空放し、圧力容器を開放した。圧力容器の内 容物を225cbで洗浄し、ガラスフィルターで濾 し、乾燥させETFE系共重合体を得た。得られ たETFE系共重合体は57gであった。ETFE系共重合 中の組成比(モル)を測定したところ、TFEに 来する単位(以下、TFE単位という)/エチレン 由来する単位(以下、E単位という)=54.0/46.0で った。

 共重合体の容量流速、融点、溶融張力等を 後に説明する方法で測定した。その結果、 記共重合体は容量流速(Q値)=7.1(mm 3  /sec)、融点272℃であった。溶融張力等は表1 まとめて示す。

 (測定方法)
 容量流速(Q値):高化式フローテスターを用い 297℃、7kg/cm 2 荷重下で、直径2.095mm、長さ8mmのノズルから 位時間に流出する共重合体の容量(mm 3  /sec)を測定した。

 融点:SII DSC6220型示差走査熱量計装置(セ コー電子社製)を用い10℃/minの速度で昇温し ときの融解ピークを融点とした。

 溶融張力(単位:mN):キャピログラフ(東洋精 機製作所社製)を用い、直径1mm、長さ10mmで流 角90度のコーン付ダイスを使用した。ETFE系 重合体を300℃のプレス成形で厚さ1mmのシー を作製し、そのシートを5mm角程度に細かく 断したものの5gを、300℃に設定したバレル 挿入した。次に上部よりピストンを挿入し 、共重合体が溶融しバレル温度が300℃で安 するまで5分間放置した。次にピストンを速 5mm/minで降下させ、ピストンにかかる荷重が 一定になるまで待ち、荷重(Wkg)が一定になっ 後、引取り装置の引取り速度を2m/minとし、 イスより流出した共重合体のストランドを れないようにゆっくりと引取り装置に導き ストランドを引き落とした。このときにか る引き落とし強度を1分間測定し、それを平 均した引き落とし強度を溶融張力(XmN)とした

(比較例1)
 1リットルの撹拌機付き圧力容器に、脱気後 、パーフルオロペンチルジフロロメタン(以 、「C6H」という)の683.9g、225cbの252.9g、TFEの88 .5g、及び混合ガス(TFE/エチレン=54/46モル比)の 37gを仕込んだ。ついで66℃に昇温させ、t-ブ ルパーオキシピバレートの1質量%溶液(溶媒:C 6H)の1mlを仕込み、重合を開始させた。重合の 進行にともない圧力が低下するため、圧力が 一定になるように混合ガス(TFE/エチレン=54/46 ル比)を連続的に後仕込した。後仕込みの混 合ガス量が50gになったところで内温を室温ま で冷却し、未反応ガスを空放し、圧力容器を 開放した。圧力容器の内容物を225cbで洗浄し ガラスフィルターで濾過してスラリー状の 重合体を得た。得られたスラリーを60℃で12 時間真空乾燥して白色の共重合体を58.7g得た

 共重合体の容量流速、融点、溶融張力等を 施例1と同様に測定したところ、容量流速(Q )=13(mm 3 /sec)、融点277℃であった。溶融張力等は表1に まとめて示す。

(実施例2)
 1リットルの撹拌機付き圧力容器に、脱気後 、C6Hの374.7g、225cbの562.1g、ジエンの0.3g、パー フルオロブチルエチレン(以下、「PFBE」とも う)5.2g、TFE89.4g、及び混合ガス(TFE/エチレン= 54/46モル比)35gを室温において仕込んだ。つい で66℃に昇温させ、t-ブチルパーオキシピバ ート(10時間半減期温度55℃)の1重量%溶液(溶 :225cb)1mlを仕込み、重合を開始させた。重合 進行にともない圧力が低下するため、圧力 一定になるように混合ガス(TFE/エチレン=54/4 6モル比)および前記混合ガスに対して1.4mol%に 相当する比率でPFBE、及び0.06mol%に相当する比 率でジエンを連続的に仕込んだ。後仕込みの 混合ガス量が54gになった時点で内温を室温ま で冷却し、未反応ガスを空放し、圧力容器を 開放した。圧力容器の内容物を225cbで洗浄し ガラスフィルターで濾過し、乾燥させETFE系 共重合体を得た。得られたETFE系共重合体は66 .5gであった。ETFE系共重合体中の組成比(モル) を測定したところ、TFE単位/E単位/パーフルオ ロブチルエチレンに由来する単位(以下、「PF BE単位」という)=52.0/47.0/1.0であった。

 共重合体の容量流速、融点、溶融張力等を 実施例1と同様に測定した。その結果、上記 ETFE系共重合体は容量流速(Q値)=15(mm 3 /sec)、融点262℃であった。溶融張力等は表1に まとめて示す。

(比較例2)
 1リットルの撹拌機付き圧力容器に、脱気後 、C6Hの683.9g、225cbの252.9g、TFEの88.5g、混合ガ (TFE/エチレン=54/46モル比)の37g、及びPFBE4.92g 仕込んだ。ついで66℃に昇温させ、t-ブチル ーオキシピバレートの1質量%溶液(溶媒:C6H)1m lを仕込み、重合を開始させた。重合の進行 ともない圧力が低下するため、圧力が一定 なるように混合ガス(TFE/エチレン=54/46モル比 )および前記混合ガスに対して1.4mol%に相当す 比率でPFBEを連続的に仕込んだ。後仕込みの 混合ガス量が50gになったところで内温を室温 まで冷却し、未反応ガスを空放し、圧力容器 を開放した。圧力容器の内容物を225cbで洗浄 、ガラスフィルターで濾過してスラリー状 共重合体を得た。得られたスラリーを60℃ 12時間真空乾燥して白色の共重合体62.0gを得 。共重合体の容量流速、融点、溶融張力等 実施例1と同様に測定したところ、容量流速 (Q値)=10(mm 3 /sec)、融点260℃であった。溶融張力等は表1に まとめて示す。

(実施例3)
 1リットルの撹拌機付き圧力容器に、脱気後 、225cbの936.8g、ジエンの0.5g、PFBE5.2g、TFE89.4g 及び混合ガス(TFE/エチレン=54/46モル比)35gを 温において仕込んだ。ついで66℃に昇温させ 、t-ブチルパーオキシピバレート(10時間半減 温度55℃)の1重量%溶液(溶媒:225cb)1mlを仕込み 、重合を開始させた。重合の進行にともない 圧力が低下するため、圧力が一定になるよう に混合ガス(TFE/エチレン=54/46モル比)および前 記混合ガスに対して1.4mol%に相当する比率でPF BE、及び0.1mol%に相当する比率でジエンを連続 的に仕込んだ。後仕込みの混合ガス量が60gに なった時点で内温を室温まで冷却し、未反応 ガスを空放し、圧力容器を開放した。圧力容 器の内容物を225cbで洗浄し、ガラスフィルタ で濾過し、乾燥させETFE系共重合体を得た。 得られたETFE系共重合体は61.5gであった。ETFE 共重合体中の組成比(モル)を測定したところ 、TFE単位/E単位/PFBE単位=52.2/46.8/1.0であった。

 ETFE系共重合体の容量流速、融点、溶融張力 等を、実施例1と同様に測定した。その結果 上記ETFE系共重合体は容量流速(Q値)=13(mm 3 /sec)、融点256℃であった。溶融張力等は表1に まとめて示す。

 実施例1及び比較例1より、ジエンを加える とで、X/Wが向上することが分かった。
 また、PFBE共重合系(実施例2,3及び比較例2)に おいても、ジエンを加えることで、X/Wがより 向上することが分かった。

 本発明のETFE系共重合体は、溶融張力が高く 、成形性に優れた熱可塑性フッ素樹脂であり 、ブロー成形やインフレーション成形を用い て得られるボトルやフィルム用樹脂として有 用である。

 なお、2008年2月1日に出願された日本特許出 2008-022971号、及び2008年12月18日に出願された 日本特許出願2008-322588号の明細書、特許請求 範囲、及び要約書の全内容をここに引用し 本発明の明細書の開示として、取り入れる のである。