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Title:
EVAPORATION SOURCE, PROCESS FOR PRODUCING OPTICAL MEMBER, AND OPTICAL MEMBER
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/028389
Kind Code:
A1
Abstract:
This invention provides an evaporation source comprising a nonwoven fabric formed of a silicon oxide-containing fiber for holding an organic vapor deposition material, characterized in that the thermal conductivity of the nonwoven fabric is 0.01 to 1.0 Wm-1K-1. There are also provided a process for producing an optical member, comprising the step of heating the above evaporation source to vapor deposit an organic vapor deposition material onto the surface of an optical member, and an optical member produced by the production process. There are further provided a process for producing an optical member, which can stably vapor deposit a vapor deposition material without a significant temperature change, can form a vapor deposited film having even film thickness and concentration, and can produce an optical member having high performance as a vapor deposited film at low cost, and an optical member and an evaporation source for use in them.

Inventors:
MITSUISHI TAKESHI (JP)
TAKAHASHI YUKIHIRO (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/064892
Publication Date:
March 05, 2009
Filing Date:
August 21, 2008
Export Citation:
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Assignee:
HOYA CORP (JP)
MITSUISHI TAKESHI (JP)
TAKAHASHI YUKIHIRO (JP)
International Classes:
C23C14/24; D04H1/42; G02B1/10; G02B1/11
Foreign References:
JP2001183503A2001-07-06
JP2000321401A2000-11-24
JP2001335920A2001-12-07
Other References:
See also references of EP 2184378A4
Attorney, Agent or Firm:
OHTANI, Tamotsu (Bridgestone Toranomon Bldg.6F., 25-2, Toranomon 3-chome,Minato-k, Tokyo 01, JP)
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Claims:
 有機系蒸着材料を保持させるための酸化ケイ素含有繊維から構成される不織布からなる蒸発源であって、前記不織布の熱伝導率が0.01~1.0Wm -1 K -1 であることを特徴とする蒸発源。
 前記酸化ケイ素含有繊維の熱伝導率が0.1~20Wm -1 K -1 である請求項1に記載の蒸発源。
 前記不織布の空隙率が70~99%である請求項1に記載の蒸発源。
 前記酸化ケイ素含有繊維が、シリカ繊維又はガラス繊維である請求項1に記載の蒸発源。
 前記不織布を構成する酸化ケイ素含有繊維の表面に、前記有機系蒸着材料が被膜を形成している請求項1に記載の蒸発源。
 請求項1に記載の蒸発源を加熱し、光学部材の表面に有機系蒸着材料を蒸着させる光学部材の製造方法。
 加熱時間が1~20分である請求項6に記載の光学部材の製造方法。
 前記光学部材上に反射防止膜が形成されており、該反射防止膜上に有機系蒸着材料を蒸着させる請求項6に記載の光学部材の製造方法。
 前記有機系蒸着材料を蒸着し、光学部材上に撥水膜を形成する請求項6に記載の光学部材の製造方法。
 請求項6に記載の方法によって製造されてなる光学部材。
Description:
蒸発源、光学部材の製造方法及 光学部材

 本発明は、蒸発源、光学部材の製造方法 び光学部材に関し、特に、温度変化が少な 安定して蒸着材料を蒸着することができ、 厚や濃度が均一な蒸着膜を形成することが き、蒸着膜としての性能が高い光学部材を コストで製造することができる、蒸発源、 れを用いる光学部材の製造方法及び光学部 に関するものである。

 プラスチックレンズ等の光学部材に有機系 着材料を蒸着して膜を形成する場合、有機 蒸着材料を保持させる蒸発源が用いられる
 蒸着装置の蒸発源としては、それ自体は蒸 せず、また、蒸発の初期と末期で蒸発速度( 蒸着速度)に変動が生じにくいものが好まし 、蒸発の初期と末期で同じような蒸発速度 実現するためには、蒸発素材を十分に保持 る能力を有していることが望ましい。
 また、蒸着原料には、僅かながら不純物が まれていることもあり、蒸着を繰り返すと 発源にはその不純物濃度が高くなる。この うな不純物は、沸点が高い材料が多く、蒸 源を洗浄しても取り除きにくい物質が多い さらに、蒸発源の洗浄処理により、蒸発素 の保持能力が低下したり、蒸発速度の均一 が保たれないことが考えられる。このよう 観点から、蒸発源は、消費材料として用い れるのが一般的である。消費材として用い れる以上、安価な材料であり、廃棄処理が 易なものであることが望ましい。

 蒸発源に関する技術として、下記特許文献1 及び2のような発明が開示されている。
 特許文献1には、有機系被膜形成物質(蒸着 料)を繊維状の金属の固まりである蒸発源に 浸させて用いる技術が開示され、このよう 蒸発源を用いることで、低電力で安定的に 効成分のみを蒸着することができると記載 れている。特許文献1では、金属繊維に蒸着 材料を保持させている。
 特許文献2には、熱伝導性の高い材料である 蒸発源を被保持材料として用いることが開示 されている。特許文献2の技術は、熱伝導性 高い被保持材料に熱伝導性の悪い有機化合 を付着させ、熱伝導性の悪い有機物であっ も素早く加熱することを実現した技術であ 。
 しかしながら、特許文献1や特許文献2の蒸 源は熱伝導性に優れる。蒸着材料は、金属 維から蒸発して離れるときに、金属繊維か 熱を奪うため、蒸着材料を熱伝導性に優れ 金属繊維に保持させる場合、蒸発源の温度 理をすることが難しくなり、また、熱伝導 に優れた材料で熱伝導性に優れる材料を加 した場合、蒸着材料が過剰に保持されてい 蒸着初期とあまり保持されていない蒸着末 の加熱制御が困難になる。このため、蒸着 を均質に成膜することは困難であった。

特開平6-340966号公報

特開2001-335920

 本発明は、前記の課題を解決するために されたもので、温度変化が少なく安定して 着材料を蒸着することができ、膜厚や濃度 均一な蒸着膜を形成することができ、蒸着 としての性能が高い光学部材を低コストで 造することができる、蒸発源、それを用い 光学部材の製造方法及び光学部材を提供す ことを目的とする。

 本発明者らは、前記目的を達成するために 意研究を重ねた結果、有機系蒸着材料を保 させる材質として、熱伝導率の低い酸化ケ 素含有繊維から構成される不織布を用いる とにより前記の目的を達成できることを見 し本発明を完成したものである。
 すなわち、本発明は、有機系蒸着材料を保 させるための酸化ケイ素含有繊維から構成 れる不織布からなる蒸発源であって、前記 織布の熱伝導率が0.01~1Wm -1 K -1 であることを特徴とする蒸発源、この蒸発源 を加熱し、光学部材の表面に有機系蒸着材料 を蒸着させる光学部材の製造方法、この方法 によって製造されてなる光学部材を提供する ものである。

 本発明の蒸発源を用いて光学部材を製造 ると、蒸発源の温度変化が少なく安定して 着材料を蒸着することができ、膜厚や濃度 均一な蒸着膜を形成することができ、蒸着 としての性能が高い光学部材を低コストで 造することができる。

本発明と従来品における不織布の加熱 間に対する、ヒーター温度とチャンバー内 力を示す図である。

 本発明の蒸発源は、有機系蒸着材料を保持 せるための酸化ケイ素含有繊維から構成さ る不織布からなる蒸発源であって、前記不 布の熱伝導率が0.01~1.0Wm -1 K -1 であり、0.01~0.8Wm -1 K -1 であると好ましい。
 本発明の蒸発源は、有機系蒸着材料を保持 せる材質として、有機系蒸着材料の熱伝導 と同程度の熱伝導率を有する酸化ケイ素含 繊維から構成される不織布で構成したもの ある。このため、高い蓄熱効果を有し、蒸 材料の蒸発により熱を奪われた場合であっ も、蒸発源自体の温度変化は抑制される。 の結果、容易な熱管理で安定して蒸着する とができる。また、局所的加熱が生じにく ため、沸点の異なる有機系蒸着材料が混在 ていても、蒸着材料に蒸着差が生じて形成 れる蒸着膜の厚さや蒸着材料の分散度にム が生じることを抑制することができる。
 また、熱伝導率の低い不織布を用いたこと より、本発明の蒸発源は、加熱初期の段階 急激な温度上昇が生じにくい。このため、 着時の加熱で固体の蒸着材料を加熱しても 蒸発材料の変質を抑制することができる。 えば、加熱初期に蒸着材料に急激な変化が じないため、不測の反応や焦げ付きも生じ くくなる。

 以上のような蒸発源における不織布の材質 ある酸化ケイ素含有繊維としては、熱伝導 が0.1~20Wm -1 K -1 のものが好ましく、特に0.3~10Wm -1 K -1 のものが好ましい。例えば、シリカ繊維(熱 導率8Wm -1 K -1 )、ガラス繊維(熱伝導率1Wm -1 K -1 )、シリカ及び酸化アルミ混合繊維等が挙げ れ、シリカ繊維、ガラス繊維が好ましい。
 また、シリカやガラス繊維で構成された蒸 源は安価である。このため蒸発源に除去で ない残渣が定着しても、気軽に廃棄して、 換することができるので、蒸着に係るコス を削減することができる。
 また、酸化ケイ素含有繊維の径としては、 常0.1~200μmであり、1~20μmであると好ましい
 前記不織布の空隙率は、通常70~99%であり、8 0~96%であると好ましい。このように、本発明 蒸発源は、不織布の空隙率を高めることに り、熱伝導率を低下させ、蓄熱効果を高め ことができる。

 前記不織布の厚さとしては、通常100~2000μm あり、200~1200μmであると好ましい。
 本発明において、有機系蒸着材料を不織布 対して保持させるとは、含浸、吸着、塗布 被覆等の状態が挙げられ、中でも、前記不 布を構成する酸化ケイ素含有繊維の表面に 前記有機系蒸着材料が被膜を形成している 好ましい。蒸発源の繊維の表面に有機系蒸 材料が被膜を形成していると、蒸着成分は 蒸着末期まで継続して繊維の表面から蒸発 る。このため、蒸着の初期から末期にかけ 蒸着速度の変動が生じづらく、均質な成膜 実現することができる。

 本発明に用いる具体的な不織布としては、 珪酸ガラス繊維のみからなる濾紙であるGA-5 5、GA-100、GA-200、GB-100R、GB-140、GC-50、GD-120、GF -75等、硼珪酸ガラス繊維にバインダー樹脂を 加えて強度を高めた濾紙であるGS-25、GC-90、DP -70、PG-60等、シリカ繊維からなるQR-100、QR-200 (以上、全てアドバンテック東洋株式会社製 :商品名)、ファインフレックス(商品名)、SiO 2 系ファイバー、SiO 2 +Al 2 O 3 系ファイバー(以上、ニチアス(株)製)等が挙 られる。

 本発明の蒸発源及び光学部材の製造方法に いる有機系蒸着材料としては、特に限定さ るものではないが、以下のようなものが挙 られる。
一般式(I)のフッ素置換アルキル基含有有機ケ イ素化合物

 一般式(I)において、Rf基は、式:-(C k F 2k O)-(式中、kは1~6、好ましくは1~4の整数であり 該一般式中の(C k F 2k O)の配列はランダムである。)で表わされる単 位を含み、分岐を有しない直鎖状のパーフル オロポリアルキレンエーテル構造を有する二 価の基である。なお、前記一般式(I)中のn及 n’がいずれも0である場合、前記一般式(I)中 の酸素原子(O)に結合する前記Rf基の末端は、 素原子ではない。

 一般式(I)において、Xは加水分解性基又はハ ロゲン原子である。上記Xが加水分解性基で る場合としては、例えば、メトキシ基、エ キシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等のア コキシ基;メトキシメトキシ基、メトキシエ キシ基、エトキシエトキシ基等のアルコキ アルコキシ基;アリロキシ基、イソプロペノ キシ等のアルケニルオキシ基;アセトキシ基 プロピオニルオキシ基、ブチルカルボニル キシ基、ベンゾイルオキシ基等のアシロキ 基;ジメチルケトオキシム基、メチルエチル トオキシム基、ジエチルケトオキシム基、 クロペンタノキシム基、シクロヘキサノキ ム基等のケトオキシム基;N-メチルアミノ基 N-エチルアミノ基、N-プロピルアミノ基、N- チルアミノ基、N,N-ジメチルアミノ基、N,N- エチルアミノ基、N-シクロヘキシルアミノ基 等のアミノ基;N-メチルアセトアミド基、N-エ ルアセトアミド基、N-メチルベンズアミド 等のアミド基;N,N-ジメチルアミノオキシ基、 N,N-ジエチルアミノオキシ基等のアミノオキ 基等を挙げることができる。
 また、上記Xがハロゲン原子である場合とし ては、例えば、塩素原子、臭素原子、ヨウ素 原子等が挙げられる。
 これらの中で、メトキシ基、エトキシ基、 ソプロペノキシ基及び塩素原子が好適であ 。

 一般式(I)において、Rは炭素原子数1~8の一 価炭化水素基であり、Rが複数存在する場合 は、Rは互いに同一でも異なってもよい。Rの 具体例としては、例えば、メチル基、エチル 基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘ キシル基、ヘプチル基、オクチル基等のアル キル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル 等のシクロアルキル基;フェニル基、トリル 、キシリル基等のアリール基;ベンジル基、 フェネチル基等のアラルキル基;ビニル基、 リル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキ ニル基等のアルケニル基等が挙げられる。 れらの中でも炭素原子数1~3の一価炭化水素 が好ましく、特にメチル基が好適である。

 一般式(I)において、n及びn’はそれぞれ0~2 整数であり、好ましくは1である。nとn’は いに同一であっても異なっていてもよい。 た、m及びm’はそれぞれ1~5の整数であり、3 あることが好ましい。mとm’は互いに同一で あっても異なっていてもよい。
 次に、a及びbは各々2又は3であり、加水分解 及び縮合反応性、及び被膜の密着性の観点か ら、3であることが好ましい。
 一般式(I)で表されるフッ素置換アルキル基 有有機ケイ素化合物の分子量は、特に制限 れないが、安定性、取扱い易さ等の点から 数平均分子量で500~20,000、好ましくは1000~10,0 00のものが適当である。

 一般式(I)で表されるフッ素置換アルキル基 有有機ケイ素化合物の具体例としては、例 ば、下記構造式で示されるものが挙げられ 。但し、下記例示に限定されるものではな 。
(CH 3 O) 3 SiCH 2 CH 2 CH 2 OCH 2 CF 2 CF 2 O(CF 2 CF 2 CF 2 O) l CF 2 CF 2 CH 2 OCH 2 CH 2 CH 2 Si(OCH 3 ) 3
(CH 3 O) 2 CH 3 SiCH 2 CH 2 CH 2 OCH 2 CF 2 CF 2 O(CF 2 CF 2 CF 2 O) l CF 2 CF 2 CH 2 OCH 2 CH 2 CH 2 SiCH 3 (OCH 3 ) 2
(CH 3 O) 3 SiCH 2 CH 2 CH 2 OCH 2 CF 2 (OC 2 F 4 ) p (OCF 2 ) q OCF 2 CH 2 OCH 2 CH 2 CH 2 Si(OCH 3 ) 3
(CH 3 O) 2 CH 3 SiCH 2 CH 2 CH 2 OCH 2 CF 2 (OC 2 F 4 ) p (OCF 2 ) q OCF 2 CH 2 OCH 2 CH 2 CH 2 SiCH 3 (OCH 3 ) 2
(CH 3 O) 3 SiCH 2 CH 2 CH 2 OCH 2 CH 2 CF 2 (OC 2 F 4 ) p (OCF 2 ) q OCF 2 CH 2 CH 2 OCH 2 CH 2 CH 2 Si(OCH 3 ) 3
(C 2 H 5 O) 3 SiCH 2 CH 2 CH 2 OCH 2 CF 2 (OC 2 F 4 ) p (OCF 2 ) q OCF 2 CH 2 OCH 2 CH 2 CH 2 Si(OC 2 H 5 ) 3
 一般式(I)の化合物は、1種単独でも2種以上 組合せても使用することができる。また、 合により、上記フッ素置換アルキル基含有 機ケイ素化合物とその部分加水分解縮合物 を組み合わせて使用することができる。

一般式(II)のシラン化合物
   R'-Si(OR’’) 3 及び/又はSi(OR’’) 4     (II)
 一般式(II)において、R'は有機基であり、炭 数1~50(好ましくは1~10)のアルキル基(メチル 、エチル基、プロピル基等)、エポキシエチ 基、グリシジル基、アミノ基等が挙げられ これらは置換されていても良い。
 一般式(II)において、R’’は炭素数1~48のア キル基(メチル基、エチル基、プロピル基等 )であり、メチル基又はエチル基が好ましい
 一般式(II)で表されるシラン化合物の具体例 としては、例えば、構造式、(C 2 H 5 O) 3 SiC 3 H 6 NH 2 、(CH 3 O) 3 SiC 3 H 6 NH 2 、(C 2 H 5 O) 4 Si、(C 2 H 5 O) 3 Si-O-Si(OC 2 H 5 ) 3 、等が挙げられる。但し、上記例示に限定さ れるものではない。

 それらの中でも、具体的には、KY130、kp801 (以上、信越化学工業(株)製:商品名)、オプツ ルDSX(ダイキン工業(株)製:商品名)、x24-9201M( 越化学工業(株)製:商品名)等が挙げられるが これに限定されるものではなく、酸化ケイ素 含有繊維に保持させることができる原料であ れば良い。

一般式(III)の含フッ素有機ケイ素化合物
     AαZ 1 Q-Rf 1 -(Q-Z 2 -Q-Rf 1 ) x -QZ 1 Aα       (III)
 一般式(III)において、Rf 1 はパーフルオロオキシアルキレン基、Z 1 は単結合又はケイ素原子1~15個を含む2~9価の 機基、Z 2 はケイ素原子2~100個を含む2価のポリオルガノ シロキシレン基、Qは酸素原子及び/又は窒素 子を含んでいてよい炭素数2~12の、2~9価の基 であり、互いに異なっていてもよく、αは1~8 整数、xは0~5の整数であり、Aは下記一般式(I V)で示される基である。
     -C d H 2d SiR 1 3-c X 1 c      (IV)
 一般式(IV)において、R 1 は炭素数1~4のアルキル基又はフェニル基であ る。X 1 は加水分解性基であり、例えば、メトキシ基 、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基な どの炭素数1~10のアルコキシ基、メトキシメ キシ基、メトキシエトキシ基などの炭素数2~ 10のオキシアルコキシ基、アセトキシ基など 炭素数1~10のアシロキシ基、イソプロペノキ シ基などの炭素数2~10のアルケニルオキシ基 クロル基、ブロモ基、ヨード基などのハロ ン基などが挙げられる。中でもメトキシ基 エトキシ基、イソプロペノキシ基、クロル が好ましい。cは2又は3、dは0~6の整数である

 一般式(IV)で表される含フッ素有機ケイ素化 合物としては、例えば、下記(1)及び(2)の構造 を有する化合物等が挙げられるがこれらに限 定されるものではない。

 前記有機系蒸着材料は、必要に応じ、ハイ ロフルオロエーテル、溶媒やケイ素非含有 パーフルオロポリエ-テルを混合した溶液の 形態で用いられても良い。その場合、例えば 、ステンレス鋼(SUS)製のトレーに酸化ケイ素 有繊維を入れ、その溶液を含浸させてから 乾燥することにより、有機系蒸着材料を不 布に保持させる。
 本発明の光学部材の製造方法は、前述した 発明の蒸発源を加熱し、光学部材の表面に 機系蒸着材料を蒸着させる方法である。
 本発明の製造方法においては、加熱時間は 通常1~20分であり、4~15分であると好ましい 1~20分であれば、光学部材の表面に蒸着ムラ ない均質な蒸着膜を形成することができる

 本発明の光学部材の製造方法は、前記蒸着 を、減圧下、加熱蒸着、(ハロゲンヒーター 、抵抗過熱、電子銃等を使用)によって光学 材に有機系蒸着材料を蒸着する。さらに、 ロゲンヒーター、ボート等により下方より 熱することで、例えば、従来のSUS製フィル ーに注入した場合と比較して、温度上昇率 穏やかであるため、成膜時の膜厚コントロ ル性に優れ、また、蒸着物質が分解するこ を防ぐことができる。その結果、膜厚精度 良く、蒸着物質が本来持つ性能を有した薄 を成製することができる。
 本発明において、蒸着する際の真空蒸着装 内の真空度は、特に限定されないが、均質 蒸着膜を得るために、通常1.33×10 -1 ~1.33×10 -6 Pa(10 -3 ~10 -8 Torr)であり、6.66×10 -1 ~8.00×10 -4 Pa(5.0×10 -3 ~6.0×10 -6 Torr)であると好ましい。

 本発明において、蒸着材料を加熱する際の 体的温度は、蒸着材料の種類、蒸着する真 条件により異なるが、所望の真空度におけ 蒸着材料の蒸着開始温度以上から分解温度 超えない範囲で行うことが好ましい。ここ 蒸着開始温度とは前記蒸着材料を含む溶液 蒸気圧が真空度と等しくなったときの温度 いい、また、前記蒸着材料の分解温度とは1 分間の間に、窒素雰囲気下、該化合物と反応 性のある物質が存在しない条件で、前記蒸着 材料の50質量%が分解する温度をいう。
 本発明の蒸発源は、前述のような熱伝導率 不織布を用いることで、ヒーター温度の上 による蒸発源の過熱現象が抑制されるため 蒸着材料を分解温度以下で成膜することが 能となる。

 本発明の蒸発源の効果を確認するため、 際にヒーターを加熱したときのチャンバー の圧力を測定した。本実験では、有機系蒸 材料としてKY130を用い、本発明に係るシリ 繊維の不織布に保持させた場合と、従来のSU S製フィルターを用いた場合のチャンバー内 力を測定した。図1は、本実験結果を示すグ フである。図1のグラフにおいて、横軸はヒ ーターの加熱時間を示しており、右側縦軸は ヒーターの温度を示しており、左側縦軸はチ ャンバー内の圧力(真空度)を示している。グ フ中の黒塗りの菱形はヒーター加熱温度を しており、時間に対するヒーター温度を示 ている。凡例の黒塗りの四角は、本実施例 係る不織布(シリカフィルター)を用いた時 結果であり、ヒーターの加熱時間に対する ャンバー内の真空度を示している。凡例の 塗りの三角は、従来のSUS製フィルターを用 た時の結果であり、ヒーター加熱時間に対 るチャンバー内の真空度を示している。な 、本発明で用いる不織布と、SUS製フィルタ は、SUS製トレーに入れた状態で加熱した。

 図1に示すように、従来のSUS製フィルターで は、ヒーター加熱初期の段階で急激にチャン バー内圧力が上昇し、その後、急激に下降し ている。SUS製フィルターを用いると、ヒータ ー加熱が完了する前に急速に加熱され成膜さ れることがわかる。一方、本発明における不 織布では、なだらかにチャンバー内圧力が上 昇し、なだらかに下降する。本発明における 不織布は、温度がヒーター加熱に追随せずに なだらかに上昇、下降するからである。
 したがって、本発明の蒸発源によれば、温 が激しく変化することがないため、成膜中 蒸気圧が安定的に制御でき、ムラの無い、 一な成膜が可能となる。また、本発明の蒸 源を用いると、蒸着材料も分解せず基板面 付着するので、蒸着材料の特性を損なわな 。

 本発明における光学部材としては、例えば 眼鏡レンズ、カメラレンズ、ワードプロセ サーのディスプレー等に付設する光学フィ ター、自動車の窓ガラス等が挙げられ、特 プラスチックレンズ、中でも眼鏡用プラス ックレンズに適している。
 本発明に用いる光学部材の材質としては、 チルメタクリレート単独重合体、メチルメ クリレートと1種以上の他のモノマーとをモ ノマー成分とする共重合体、ジエチレングリ コールビスアリルカーボネート単独重合体、 ジエチレングリコールビスアリルカーボネー トと1種以上の他のモノマーとをモノマー成 とする共重合体、イオウ含有共重合体、ハ ゲン含有共重合体、ポリカーボネート、ポ スチレン、ポリ塩化ビニル、不飽和ポリエ テル、ポリエチレンテレフタレート、ポリ レタンなどのプラスチック製光学基板、あ いは無機ガラス製光学基板などが挙げられ 。なお、上記基板は基板上にハードコート を有するものであってもよい。ハードコー 層としては、有機ケイ素化合物、アクリル 合物等を含んだ硬化膜を例示できる。

 本発明においては、光学部材上に反射防止 が形成されており、該反射防止膜上に有機 蒸着材料を蒸着させても良い。
 反射防止膜とは、例えば、レンズ等の光学 板表面の反射を減少させるために設けられ  ZrO 2 、SiO 2 、TiO 2 、Ta 2 O 5 、Y 2 O 3 、MgF 2 、Al 2 O 3 などから形成される単層または多層膜(但し 最外層にSiO 2 膜を有することが好ましい)またはCrO 2 などの着色膜(但し、最外層にSiO 2 膜を有することが好ましい)を言う。本発明 おいては、反射防止膜の最外層に二酸化ケ 素を主成分とする層が用いられることが好 しい。ここで二酸化ケイ素を主成分とする は、実質的に二酸化ケイ素からなる層、又 二酸化ケイ素、酸化アルミニウム及び有機 合物からなるハイブリッド層をいう。なお 反射防止膜は真空蒸着法によって作成され ことが好ましい。
 また、本発明において、有機系蒸着材料を 着することにより形成される蒸着膜として 、特に限定されるものではないが、例えば 撥水膜、反射防止膜、防曇膜等が挙げられ 。

 以下、本発明を実施例により具体的に説明 るが、本発明はこれらの実施例に限定され ものではない。
 なお、本実施例及び比較例で得られたプラ チックレンズは以下に示す評価方法により 物性を評価した。
(1)外観
 目視にて干渉色の色ムラ及び、曇りがある どうかを暗室内、蛍光灯下で評価し眼鏡レ ズとして使用できる外観かどうか確認した
(2)耐摩耗性(ヘーズ値変化)
 新東科学(株)製往復摩擦磨耗試験機にて、 水膜を有するプラスチックレンズ表面に、 重4kg、砂消しゴム(ライオン(株)製、ギャザ 砂)50往復摩耗テストを実施し、村上色彩技 研究所製ヘーズメーターMH-150にてヘーズ値 測定、ヘーズ値の変化を測定した。
(3)水に対する静止接触角
 接触角計(協和界面科学(株)製品、CA-D型)を 用し、25℃において直径2mmの水滴を針先に作 り、これをレンズの凸面の最上部に触れさせ て、液滴を作った。この時に生ずる液滴と面 との角度を測定し静止接触角とした。静止接 触角θは水滴の半径(水滴がレンズ表面に接触 している部分の半径)をrとし、水滴の高さをh としたときに、以下の式で求められる。
θ=2×tan -1 (h/r)
 なお、静止接触角の測定は水の蒸発による 定誤差を最小限にするために水滴をレンズ 触れさせた後10秒以内に行った。

実施例1
 撥水処理剤KY130(商品名:信越化学工業(株)製) 0.30mlを、SUS製のトレー(内径21mm、厚み1mm、深 3mm)に入れたシリカフィルターQR-100(商品名: ドバンテック東洋株式会社製,径21mm、厚さ0. 5mm、繊維径1~10μm、空隙率平均92%(85~92%))にし 込ませ、50℃で1時間ドライオーブン加熱し 真空蒸着装置内にセットした。
 その後、ハロゲンヒーターにて700℃まで4分 で上昇させ、さらに700℃から850℃まで4分で 昇させ、反射防止膜付プラスチックレンズ 撥水膜を形成した。得られたレンズの視感 射率は0.4%であった。また、上記(1)~(3)の評価 結果を表1に示す。

実施例2
 撥水処理剤kp801(商品名:信越化学工業(株)製) 0.40mlを、SUS製のトレー(内径21mm、厚み1mm、深 3mm)に入れたシリカフィルターQR-100にしみ込 ませ、50℃で1時間ドライオーブン加熱し、真 空蒸着装置内にセットした。
 その後、ハロゲンヒーターにて600℃まで2分 で上昇させ、さらに700℃まで5分で上昇させ 反射防止膜付プラスチックレンズに撥水膜 形成した。得られたレンズの視感反射率は0. 4%であった。また、上記(1)~(3)の評価結果を表 1に示す。

比較例1
 実施例1において、シリカフィルターQR-100の 代わりに、SUS製フィルターを用いた以外は同 様にして反射防止膜付プラスチックレンズに 撥水膜を形成した。得られたレンズの視感反 射率は0.4%であった。また、上記(1)~(3)の評価 果を表1に示す。
比較例2
 実施例2において、シリカフィルターQR-100の 代わりに、SUS製フィルターを用いた以外は同 様にして反射防止膜付プラスチックレンズに 撥水膜を形成した。得られたレンズの視感反 射率は0.4%であった。また、上記(1)~(3)の評価 果を表1に示す。

 表1に示す様に、シリカフィルターを使用 して形成した撥水膜は、水接触角は現行SUS製 フィルターと同等であるが、耐摩耗性は、ヘ ーズ値変化が少なく、向上した。

 以上詳細に説明したように、本発明の蒸 源を用いて光学部材を製造すると、蒸発源 温度変化が少なく安定して蒸着材料を蒸着 ることができ、膜厚や濃度が均一な蒸着膜 形成することができ、蒸着膜としての性能 高い光学部材を低コストで製造することが きる。特に、眼鏡用プラスチックレンズに している。