Login| Sign Up| Help| Contact|

Patent Searching and Data


Title:
EXTERNAL PREPARATION FOR PREVENTIVE OR THERAPEUTIC USE
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/084743
Kind Code:
A1
Abstract:
An external preparation containing an active hydrogen-generating agent which generates active hydrogen in the case of bringing a plural number of agents into contact with each other and/or an active hydrogen-generating agent which activates hydrogen molecules thus generated.

Inventors:
SATOH BUNPEI (JP)
SATOH YOUHEI (JP)
SATOH FUMITAKE (JP)
Application Number:
PCT/JP2009/050010
Publication Date:
July 09, 2009
Filing Date:
January 05, 2009
Export Citation:
Click for automatic bibliography generation   Help
Assignee:
MIZ CO LTD (JP)
SATOH BUNPEI (JP)
SATOH YOUHEI (JP)
SATOH FUMITAKE (JP)
International Classes:
A61K33/00; A61K33/06; A61K33/24; A61K33/242; A61K33/243; A61K33/38; A61K35/02; A61P17/18; A61P39/06
Domestic Patent References:
WO2004039735A12004-05-13
WO2003002466A12003-01-09
Foreign References:
JP2003010865A2003-01-14
JP2006255613A2006-09-28
JP2004330028A2004-11-25
JP2005126384A2005-05-19
JP2004330146A2004-11-25
JP2006199866A2006-08-03
JP2003010865A2003-01-14
Attorney, Agent or Firm:
TOKOSHIE PATENT FIRM (8-3 Nishishinjuku 8-chom, Shinjuku-ku Tokyo 23, JP)
Download PDF:
Claims:
活性水素発生剤を含有する治療または予防のための外用剤であって、該活性水素が発生している過程のいずれかの時点で、皮膚または粘膜に接触させることを特徴とする外用剤。
請求項1に記載の外用剤において、
 前記活性水素は、発生期状態の水素であることを特徴とする治療または予防のための外用剤。
請求項1~2のいずれか一項に記載の外用剤において、
前記活性水素発生剤は、水素分子を活性化する触媒を含むことを特徴とする外用剤。
請求項1~3のいずれか一項に記載の外用剤において、
前記活性水素発生剤は、少なくとも二つの物質を相互に接触させて前記活性水素を発生させることを特徴とする外用剤。
請求項1~4のいずれか一項に記載の外用剤において、
前記二つの物質の一方が、電子供与体または水素化物イオン供与体のうち少なくとも一方を含有する物質であり、前記二つの物質の他方が、プロトン供与体を含有する物質であることを特徴とする外用剤。
請求項1~5のいずれか一項に記載の外用剤において、
前記電子供与体または水素化物イオン供与体のうち少なくとも一方を含有する物質が、金属を含有する物質であることを特徴とする外用剤。
請求項1~6のいずれか一項に記載の外用剤において、
前記金属を含有する物質が、金属の水素化物または水素よりイオン化傾向が高い金属のうち少なくとも一方であることを特徴とする外用剤。
請求項1~7のいずれか一項記載の外用剤において、
前記金属がマグネシウムまたは水素化マグネシウムのうち少なくとも一方であることを特徴とする外用剤。
請求項1~8のいずれか一項記載の外用剤において、
前記電子供与体または水素化物イオン供与体のうち少なくとも一方が、非プロトン性溶媒または無極性溶媒の少なくとも一方を含む媒体に保持されていることを特徴とする外用剤。
請求項1~9のいずれか一項に記載の外用剤において、
前記プロトン供与体が水であることを特徴とする外用剤。
請求項1~10のいずれか一項に記載の外用剤において、
前記水は酸を含むことを特徴とする外用剤。
請求項1~11のいずれか一項に記載の外用剤において、
前記触媒が貴金属微粒子であることを特徴とする外用剤。
請求項1~12のいずれか一項に記載の外用剤において、
前記貴金属微粒子が、白金、パラジウム、ロジウム、イリジウム、ルテニウム、金、銀、レニウム、もしくはこれらの塩、合金化合物、錯体化合物、またはこれらの混合物のいずれかであることを特徴とする外用剤。
請求項1~13のいずれか一項に記載の外用剤において、
アトピー性皮膚炎の治療または予防のための外用剤であることを特徴とする外用剤。
請求項1~14のいずれか一項に記載の外用剤において、
前記外用剤が、化粧品であることを特徴とする外用剤。
請求項1~15のいずれか一項に記載の外用剤において、
前記活性水素発生剤が、水素含有リポソームを含むことを特徴とする外用剤。
金属の水素化物または水素よりイオン化傾向が高い金属のうち少なくとも一方と、貴金属微粒子である触媒とを含むことを特徴とする、胃粘膜の治療または予防のための外用剤。
第一剤として金属または金属の水素化物、第二剤としてプロトン性溶媒、及び第一剤と第二剤が混合しそこで活性水素または水素分子が発生する容器から成る治療または予防のための簡易水素発生器。
Description:
治療または予防のための外用剤

 本発明は、治療または予防のための外用 に関するものである。

活性酸素やフリーラジカルに由来する酸化 ストレスは多くの疾病疾患に関与しているが 、この問題を解決する方法の一つとして、活 性水素の抗酸化力を利用する方法が知られて いる(特許文献1)。該文献では、基質である水 素分子に触媒を作用させ活性水素に分解する 過程を通じて、電子の欠乏に起因して酸化状 態にあるかまたは酸化から防御したい抗酸化 対象を、電子が充足された還元状態にする抗 酸化方法が提案されている。

他方、金属マグネシウムに水又は酸を接触 させることにより水素分子を発生させる方法 は知られている(特許文献2、3)。

 しかしながら、特許文献1記載の技術では 、水素分子の水溶媒への溶解度の小ささや、 溶媒からの散失しやすさ、さらに、水素分子 と触媒が系内で共存する一方、そこに酸素な ど抗酸化対象以外の酸化物が存在する場合に 水素分子が浪費されてしまうことなど、実用 化する上で所望の還元力が発揮されないとい う問題があった。

 また、上記特許文献2または3に開示され 金属マグネシウムを利用した水素分子の発 方法と、特許文献1に開示された触媒入り水 溶存水との単なる組み合わせでは、後述す 本発明のような強い効果を発揮することは きない。

WO2003/002466

特開2006-199866

特開2003-010865

 本発明が解決しようとする課題は、活性 素の還元力を治療または予防のための外用 として利用する際に、水素分子の溶媒(溶剤 )に対する溶解度に制限されることのない外 剤を提供することである。

 本発明は、活性水素の発生または水素分 の活性化により得られる活性水素を、電子 欠乏により酸化状態にある部位または酸化 ら防御したい部位に直接与えることを通じ 、前記部位を電子が充足された還元状態に ることにより、上記課題を解決する。

本発明によれば、活性水素の還元力を治療 または予防のための外用剤に利用することが できる。

実施例3~9の試験結果を示すグラフであ 。 実施例10の試験結果を示すグラフであ 。 皮膚炎抑制作用試験の結果(全体)を示 グラフである。 皮膚炎抑制作用試験の結果(背部)を示 グラフである。 皮膚炎抑制作用試験の結果(耳介部)を すグラフである。 皮膚炎抑制作用試験の比較参考例の結 を示すグラフである。 ヒドロキシラジカル消去測定のコント ール系のESRスペクトルである。 ヒドロキシラジカル消去測定のMg上澄 液系のESRスペクトルである。 ヒドロキシラジカル消去測定のMg系のES Rスペクトルである。 ヒドロキシラジカル消去測定のMg系のE SRスペクトルとDMPO-HおよびDMPO-OHのスペクトル である。

上記発明の実施形態としては、標的部位で ある抗酸化対象(例えば、人や動物の皮膚ま は粘膜の電子の欠乏により酸化状態にある 酸化対象または酸化から防御したい抗酸化 象)に、活性水素を発生させる剤または水素 子を発生させつつ発生した水素を触媒など より活性化する剤(以下ともに、活性水素発 生剤)を含有する治療または予防のための外 剤を使用することができる。こうした外用 は多剤から構成することができる。例えば 第一剤に電子供与体又は水素化物イオン供 体を含有させ、第二剤にプロトン供与体を 有する物質を含有させるとともに、第一剤 第二剤を標的部位である抗酸化対象におい 接触させることを通じて、標的部位に活性 素を与えることができる。また、前記多剤 うちいずれか一剤に触媒を含有させること 、活性水素とプロトンの反応または活性水 同士の反応により生成していく水素分子を らためて活性化ことができる(それによって 的部位に活性水素を与える)。

本明細書における「活性水素発生剤」は、 化学的、物理的、電気的、機械的などの手段 を通じて、活性水素分子を発生させることの できる剤、あるいは水素分子を発生させると ともに触媒などを介して活性水素化への反応 が促進される剤、あるいは水素分子を発生さ せるとともに該水素分子が酸化力の強いラジ カルや活性酸素に酸化(水素引き抜き)される とを通じて活性水素化への反応が促進され 剤等を指し、例としては、炭化水素化合物 有機ハイドライドなど水素元素を構成要素 して含む化合物(水素化合物)、水素吸蔵合 やリポソームなど水素分子を吸蔵、放出す 特性を有する物質、及び、それ自身は水素 有さないが、前記水素化合物や水素吸蔵合 などに作用し、水素を発生させることので る物質を含む概念である。

 本明細書における「電子供与体」は、電 を放出し、該電子を、プロトンへ受け渡す 質を指す。かかる電子供与体には、プロト へ直接的に電子を受け渡すことを特徴とす もの、溶媒へ一旦電子を放出した後に該電 をプロトンへ受け渡すことを特徴とするも 、プロトンへの電子の伝達を円滑にする触 や電子伝達体に一旦電子を受け渡した後に ロトンへ電子を受け渡すことを特徴とする の、を含む。

電子供与体の例としては、アルカリ金属や アルカリ土類金属を含む「金属」、なかでも リチウム、ルビジウム、カリウム、バリウム 、ストロンチウム、カルシウム、ナトリウム 、マグネシウム、アルミニウム、マンガン、 亜鉛、クロム、鉄、カドミウム、コバルト、 ニッケル、スズ、鉛、並びにこれら金属の合 金化合物、錯体化合物、さらにはこれらの混 合物など、水素よりイオン化傾向が高い金属 が好ましい例として含まれる。ただし、これ ら以外の金属、並びにこれら以外の金属の合 金化合物、錯体化合物、さらにはこれら以外 の混合物の使用を妨げるものではない。しか し、取り扱い上の安全性、生体への安全性な どを考慮し、金属マグネシウム、水素化マグ ネシウム、亜鉛等は、好ましい金属であると 言える。

 本明細書における「水素化物イオン供与 」は、水素化物イオンを放出し、該水素化 イオンを、プロトンへ受け渡す物質を指す かかる水素化物イオン供与体は、プロトン 直接的に水素化物イオンを受け渡すことを 徴とするもの、溶媒へ一旦水素化物イオン 放出した後に該水素化物イオンをプロトン 受け渡すことを特徴とするもの、プロトン の水素化物イオンの伝達を円滑にする触媒 電子伝達体に一旦水素化物イオンを受け渡 た後にプロトンへ水素化物イオンを受け渡 ことを特徴とするもの、を含む。

水素化物イオン供与体の例としては、金属 に水素ガスを通じて得られる水素化カルシウ ム、水素化マグネシウム等の、金属の水素化 物や、水素化ホウ素ナトリウム等の、13族・1 4族元素で金属性を示す元素の水素化物など 含まれる。

 本明細書における「プロトン供与体」は 溶媒中にプロトンを供与する物質、及び遊 のプロトンを供与するわけではないにして 、自己乖離しながらプロトンの供与と受容 ともに行いイオン化する物質の他、水素元 を構成要素とする化合物、すなわち水素化 物をも含む概念である。

なお、亜鉛、アルミニウム、鉛、スズなど の両性金属を電子供与体とするときは、水酸 基(-OH)に由来する水素を還元することもでき が、こうした水酸基化合物もまた、本明細 におけるプロトン供与体の概念に含まれ得 。プロトン供与体の例としては、これに限 れるものではないが、両性溶媒やプロトン 溶媒である、水、ギ酸、メタノール、エタ ール、1-プロパノール、2-プロパノール、1- タノール、酢酸などが含まれる。

 電子供与体又は水素化物イオン供与体を 有する物質と、プロトン供与体を含有する 質が接触することで水素分子が発生する。 れに限るものではないが、そのプロセスは 本的に以下の反応式で説明される。

《式1》
        2H(+)+2e(-)→H2  …(a)
        H(+)+H(-)→H2    …(b)
 すなわち、反応式(a)においては、電子供与 を含有する剤から供与される電子(e(-))が、 ロトン供与体を含有する剤より供与される ロトン(H(+))を還元することによって、水素 子(H2)を発生させる。

 同様に、反応式(b)においては、水素化物 オンを含有する剤から供与される水素化物 オン(H(-))が、プロトン供与体を含有する剤 り供与されるプロトン(H(+))を還元すること よって、水素分子(H2)を発生させる。なお、 後述するように、上記(a)式と(b)式におけるe(- )とH(-)は、本明細書における「活性水素」に まれる概念である。

 ここでいうプロトンを還元するとは、プ トン供与体より供与される遊離プロトン、 遊離のプロトン、あるいはプロトン供与体 のものを還元することを含む概念である。 るいは、水素元素を構成要素とする化合物 すなわち水素化合物を、該水素化合物の水 の還元剤が還元することを含む概念である

 本明細書における「酸」は、プロトン供 体のプロトン供与性を高めるために、クエ 酸、酢酸、コハク酸、グルコン酸、乳酸、 ンゴ酸、リン酸、塩酸、硫酸などの化学種 あるいは電気分解などの電気化学的手段に り作成された酸(溶液)を含むが、これらの は本発明を限定する趣旨ではない。

 また、上述の両性金属を電子供与体とす 場合は、水酸化ナトリウムなど「塩基性物 」を用いることも可能である。

 本明細書における「触媒」には、発生し 水素分子を、生成物としての活性水素に分 する反応を促進する機能を有するもの全般 含まれる。例としては、貴金属微粒子、金 錯体、水素酸化還元酵素ヒドロゲナーゼ、 たはその活性部位モデル化合物、超音波、 磁波などが挙げられる。

なお、本発明を限定する趣旨ではないが、 本明細書の貴金属微粒子とは、白金、パラジ ウム、ロジウム、イリジウム、ルテニウム、 金、銀、レニウム、並びにこれら貴金属元素 の塩、合金化合物、錯体化合物、貴金属微粒 子それ自体、さらにはこれらの混合物を含む 概念である。

 また、本明細書でいう貴金属微粒子(触媒 )とは、一般にコロイドとしての本質的な挙 を示すと言われている、直径1nm~0.5μmの範囲 粒子を想定している。ただし、例えば貴金 微粒子としてPtコロイドを採用したときの 同Ptコロイドの触媒活性が高まる粒子径とし ては、好ましくは1~10nm、より好ましくは4~6nm 範囲が妥当であると考えられる。これは、 金属としての本来的な性質を発揮させるこ と、触媒活性向上を狙って表面積を稼ぐこ と、のトレードオフ関係から導き出せる粒 である。

 なお、発生した水素分子が活性化される ロセスは、これに限るものではないが、基 的に以下の反応式で表現される。

《式2》
       H2→2H・                …( c)
        2H・→2H(+)+2e(-)      …(d)
        又は、
        H2→H(+)+H(-)          …(e)
        H(-)→H(+)+2e(-)       …(f)
 活性水素という概念は、上述の(a)式におけ e(-)や(b)式におけるH(-)の他、反応式(c)で示 れるような原子状水素(H・)と、反応式(e)で されるような水素化物イオン(H(-))を共に含 とともに、水素分子イオンまたはプロトン 水素分子など、原理的にあり得る水素分子 活性化されたあらゆる態様を含む概念であ 。反応式(d)と(f)から示されるように、一つ 水素分子を活性化することで、2個の電子が られる。

 他方で、活性水素ではなく、単なる水素 子もまた、ヒドロキシラジカルなど反応性 高いラジカルに対しては、還元作用を示す これは、ヒドロキシラジカルによる水素引 抜きが起こり、水素分子が酸化されること 通じて、結果的に、ヒドロキシラジカルが 元されるからであるが、本明細書における 活性水素」には、こうした反応性の高いラ カルによって強制的に活性化された水素分 も含まれる。

 こうした反応性の高いラジカルに対して 択的に作用する治療または予防のための外 剤を構成しようとする場合、水素分子を活 化する触媒は、必ずしもその構成要素に含 る必要がない。しかしその場合であっても 水素発生の過程で上述の(a)式におけるe(-)や (b)式におけるH(-)のような「発生期状態の水 」を発生させることのできる活性水素発生 を使用することは望ましいことである。ま 、触媒を使用するにしてもしないにしても 水素分子を事前に含有させることなく、標 となる抗酸化対象において、活性水素を多 に発生させることができるという本外用剤 長所は変わらない。

本明細書における「抗酸化対象」には、生 物の、電子の欠乏に起因して酸化状態にある 抗酸化対象または酸化から防御したい抗酸化 対象全般が含まれる。

本発明を限定する趣旨ではないが、ヒト疾 病に係る抗酸化対象について例示すれば、薬 物や有害物質による肝・腎障害、虚血性再灌 流障害、動脈硬化などの循環器系疾患、胃潰 瘍、胃粘膜障害などの消化器官系疾患、呼吸 器系疾患、動脈硬化、糖尿病の合併症(例え 高血圧、脳梗塞、心筋梗塞など)、白内障、 膚疾患、各種炎症性疾患、神経疾患、癌、 化、更年期障害、ED(勃起不全)、うつ、歯周 病、骨粗しょう症、リウマチなど自己免疫疾 患、肩こり、冷え性、高血圧、老人性痴呆症 などがある。

 特に、皮膚領域について例示すれば、表 、真皮を問わず、皮膚や粘膜の酸化や老化 光老化に由来する、にきび、しみ、しわ、 るいは、肝斑、雀卵斑、日光性黒子、くす など色素沈着といった美容/整容的な対象の ほか、酸化ストレスが直接的、間接的に関与 する皮膚疾患的な対象として、外傷、湿疹、 蕁麻疹、紅斑、紫斑・皮膚血管炎、血管炎一 般、角化異常、水疱症、膿疱症、代謝異常症 、皮膚形成異常、肉芽腫性疾患、膠原病、感 染症、母斑、母斑症、良性腫瘍・色素異常症 、悪性腫瘍、脂腺・汗腺の疾患、毛髪疾患、 爪疾患、日光角化症、色素性乾皮症、火傷、 褥瘡、及び発赤、痂皮、乾燥、浮腫、擦傷、 かゆみ、痛みなどの各種皮膚症状が含まれる が、これに限るものでない。

 また、本明細書の「外用剤」は、皮膚ま は粘膜など身体表面に投与または塗布され 剤の他、例えば、手術時などに、身体を切 し、露出した臓器、血管、神経組織など、 常、外部に露出することのない身体諸部位 、投与または塗布する剤も、その概念に含 れる。同様に、臓器保存時または臓器移植 等に用いられる臓器保存剤のようなものも の概念に含まれる。

 また、本発明は、皮膚のより深部での作 を助けるための、既存の経皮吸収促進剤、 るいは、その他一般に外用剤に使用されて る任意成分の配合を妨げるものではない。

 こうした任意成分のなかでも、分散剤は 本治療または予防のための外用剤が、金属 たは金属の水素化物を溶媒中に保持するよ な形状を採る場合は、特に重要である。な ならば、該金属または金属の水素化物を、 媒(分散媒)中に沈殿させることなく均等に 散させるためには、該金属の粒子径を小さ する一方、分散剤を利用することが望まれ からである。

こうした分散剤としては、ヒドロキシプロ ピルセルロースやメチルセルロースなどセル ロース誘導体の他、グリセリン(兼保湿剤)、 ルギン酸ナトリウム、ポリアクリル酸ナト ウムなど多数利用できるものがある。また 寒天、コラーゲン、ゼラチンなどを利用す ことも可能である。

 金属または金属の水素化物を溶媒(分散媒 )に分散させる手順としては、まず、溶媒(分 媒)に、該金属または金属の水素化物を入れ 、数時間~1日程度放置する。こうすることで 該金属または金属の水素化物の表面に不動 被膜を形成させた後、分散剤を添加する。 のとき、金属または金属の水素化物の粒径 小さく、表面積が大きければ大きいほど、 動態被膜を形成するのに時間を要する。

 なお、不動態被膜を形成する際に、適宜 リン酸塩系(ポリリン酸ナトリウムなど)、 リケート系、アミン系、高分子系、オキソ 塩(モリブデン酸塩、亜硝酸など)等の腐食抑 制剤を併用し積極的に膜形成を促しても良い 。

 あるいは、不動態被膜形成処理とともに あるいはその代わりとして、オイルコーテ ング処理やマイクロカプセル化処理等を行 溶媒(分散媒)との接触をさらに遮断しても い。

金属または金属の水素化物に不動態被膜が 形成される前に、分散剤を添加した溶媒(分 媒)に、該金属または金属の水素化物を添加 ることは好ましいことではない。なぜなら 、溶媒(分散媒)として水などのプロトン性 媒を使用する場合は、金属または金属の水 化物が、かかるプロトン性溶媒と緩やかに 応しつつ、水素を徐放するため、溶媒が粘 を持っていると、水素気泡が泡状化し、金 粒子の均一な分散を阻害するからである。

 さらに、分散剤は、上述の金属粒子を均 に分散させる役割のほか、抗酸化対象での 留性を高める役割と、抗酸化対象で発生し 水素や活性水素を大気中に逃さない役割を している。

 また、金属または金属の水素化物を含有 る物質において、該金属を溶媒(分散媒)中 保持するような形状を採る場合は、プロト 性溶媒との反応による有効成分量のロスを ぐため、アセトンなど無極性溶媒やDMSO(ジメ チルスルホキシド)など非プロトン性溶媒を いることを検討しても良い。また、プロト 性溶媒中に無極性溶媒や非プロトン性溶媒 適宜な比率で配合することを検討してもよ 。プロトン性溶媒中における無極性溶媒お び/または非プロトン性溶媒の配合比率は1重 量%以上、好ましくは20重量%以上、より好ま くは、30重量%以上、特に好ましくは、50重量 %以上である。あるいは、溶媒(分散媒)に含有 される金属あるいは金属の水素化物と、該溶 媒(分散媒)に使用されるプロトン性溶媒との 学反応式から、該溶媒に含有される量の金 あるいは金属の水素化物が全量反応するの 必要な該プロトン性溶媒の量を算出し、溶 (分散媒)中における該プロトン性溶媒の量 、その量以下になるように無極性溶媒や非 ロトン性溶媒の配合量を調整しても良い。

 こうした無極性溶媒としては、上述のア トンの他、ヘキサン、ベンゼン、トルエン ジエチルエーテル、クロロホルム、酢酸エ ル、塩化メチレン等があるがこれに限るも ではない。こうした非プロトン性溶媒とし は、上述のDMSOの他、テトラヒドロフラン、 アセトニトリル、N,N-ジメチルホルムアミド があるがこれに限るものではない。特に、 素化カルシウムなど、反応性の著しく高い 属については、無極性溶媒や非プロトン性 媒、あるいはプロトン供与性の低いプロト 性溶媒中への保持が望ましい。

 また、金属または金属の水素化物と溶媒( 分散媒)中のプロトン性溶媒との反応を防止 るための別の方法としては、金属または金 の水素化物を不動態被膜で覆ったり、溶媒( 散媒)に無極性溶媒や非プロトン性溶媒を配 合したりするほか、化学平衡の法則に基づき 、水酸化ナトリウム等プロトン性溶媒中で電 離し水酸化物イオンを放出する水酸化物を配 合することで、水酸化物(水酸イオン)を生成 つつ水素分子を発生させる反応(正反応)を 前に抑制してやればよい。その際の該溶媒( 散媒)の液性は、pH7~14、好ましくは7.5~13.5、 り好ましくは8~13、特に好ましくは8.5~12.5の ルカリ性であることが望まれる。こうした 媒(分散媒)に、後述する酸性の液性を有す 第二剤を添加することにより、あらためて 述の反応(正反応)が(皮膚または粘膜の標的 位において)スタートする、という構成を採 ことが望ましい。

 さらに、金属あるいは金属の水素化合物 り溶出する金属イオンに係る金属アレルギ への不安へ配慮するために、周知のキレー 剤やイオン交換型金属封鎖剤を、適宜配合 ても良い。

 本明細書の治療または予防のための外用 によれば、活性水素の還元力、抗酸化力を 用するために、水素分子を溶媒(溶剤)に事 に含有させる必要がないため、水素分子の 媒への溶解度の乏しさや、大気中への経時 散失を気にかける必要がない。さらには、 生した活性水素または触媒を介して活性化 れた水素分子は、生物の、電子の欠乏に起 して酸化状態にある抗酸化対象または酸化 ら防御したい抗酸化対象、例えば、皮膚ま は粘膜のシワ、シミ、黒ずみなど標的部位 ある抗酸化対象を、電子が充足された還元 態にするため、水素分子と触媒が系内であ かじめ共存している場合におけるような、 的とする抗酸化対象に到達するに先立って 活性水素が溶存酸化物などに対して無駄に 費されてしまう心配もない。

 このように、本発明による治療または予 のための外用剤の目立った特徴として、水 分子または活性水素を溶媒に事前に含有さ ておくのではなく、投与時にはじめて発生 せるということ、また、活性水素の発生ま は触媒を介した水素の活性化は、基本的に 標的である抗酸化対象において起こるため 活性水素が標的以外の酸化剤に浪費される と少なく、その多くが標的部位である抗酸 対象に対して向けられるということが挙げ れる。

 また、本発明の治療または予防のための 用剤を構成する多剤のうちいずれか一つ以 の物質に、既存の成分を含有させることで そうした成分と、水素または活性水素との 乗効果を期待することもできる。かかる成 の例としては、本発明を限定する趣旨では いが、上述した疾病疾患の治療で用いられ 成分などが考えられる。

 以下、代表的な実施形態を説明する。

 第一剤として金属マグネシウム微粉末を 有する液を、第二剤としてクエン酸溶液ま は白金微粒子を含有するクエン酸溶液を、 れぞれ別々の容器に入れ使用時まで保管す 。あるいは、一つの容器であっても容器内 二剤を別個に収容する空間を持ち、容器上 のノズルを押すことで二剤が別個同時に放 されつつ、そこではじめて二剤が接触する 造を持つデュアルディスペンサー型の容器 使用してもよい。

 皮膚または粘膜の標的部位である抗酸化 象に対して、本治療または予防のための外 剤を使用する際は、前記第一剤と第二剤を 宜な割合で抗酸化対象に塗布し、数秒から 十分放置する。この際、抗酸化対象におけ 治療または予防のための外用剤の滞留性を 慮し、前記第一剤と第二剤は、分散剤など より適切な粘度を与えられていることが好 しい。分散剤はまた、発生した活性水素ま は水素分子の保護膜としても機能し得る。

 抗酸化対象に塗布され、相互に混ざりあっ 前記第一剤と第二剤は、活性水素及び水素 子を放出しはじめる。その機序としては、 一剤中で金属マグネシウム微粉末を覆って た不動態被膜が、第二剤中の酸によって取 除かれ、露出した金属マグネシウムの活性 面が、水または水和プロトンと反応し活性 素及び水素分子を放出する一方、水酸化マ ネシウムを生成することが想定される。す わち、反応式で表せば、
《式3》
        Mg+2H2O→Mg(OH)2+H2
となり、その反応機構としては、
《式4》
        Mg→Mg(2+)+2e(-)
と、
《式5》
        2H2O+2e(-)→2OH(-)+H2(水との反応の場 合)
        2H(+)+2e(-)→H2(水和プロトンとの反 応の場合)
という素反応が考えられる。しかし、この想 定は本発明を限定するものではない。

 なお、ここで金属マグネシウムの代わりに 水素化カルシウムなど金属の水素化物を用 る場合は、
《式6》
        CaH2+H2O→CaO+2H2となり、その反応 、基本的に次の反応式で表される。

《式7》
        H(+)+H(-)→H2
 ここでH(-)は、水素化物イオンと呼ばれる物 質である。水素化物イオンの直径は3オング トロームあり、Hの約3倍も大きい。その理由 は、1s軌道に2個の電子が共存するため電子間 の反発により電子雲が広がるためであると考 えられている。電子雲が広いということは、 電子が容易に取り去られることを意味する。

 ところで、酸は、上述のように、水和プ トンを供給する役割のほか、金属マグネシ ムから不動態被膜を除去する役割を担って る。一般的に、不動態被膜は、酸化物と水 化物の混合物と見なすことができるが、酸 、こうした酸化物や水酸化物の不動態被膜 成を防止するとともに、形成された不動態 膜を溶かす作用を有すると想定される。な 、本治療または予防のための外用剤におい は、酸に限らず、金属の表面露出作用が適 補強されていることは望ましいことである

 第二剤に酸ではなく、中性領域の水を用 る場合は、一般的に水素分子の発生速度が やかなものとなる。こうした場合は、金属 グネシウムの粒径を可能な限り小さくし、 応に寄与する表面積を稼ぐとともに、金属 グネシウムの活性表面を露出させるために 指圧などの機械的刺激を積極的に活用すれ よい。

 上述のように、活性水素または触媒を介 て活性化された水素分子は、かかる発生も くは活性化が当にそこにおいて生起してい ところの、皮膚または粘膜の標的部位であ 抗酸化対象を、電子が充足された還元状態 する。この一連のプロセスにおいては、活 水素の発生または水素分子の活性化と、活 化した水素(活性水素)の消費が、標的とな 抗酸化対象上でほぼ同時に起こるため、安 的に存在しえないため生体に有効利用する とが難しかった活性水素の還元力を、実際 に利用することができる。

 発生した活性水素または活性化した水素 子は、そのまま放置しておいても、自動的 、皮膚または粘膜の標的部位である抗酸化 象を、電子が充足された還元状態にするが ここで、かかる反応をより速やかに、また 率的に生起させるために、前記第一剤と第 剤は、標的部位である抗酸化対象中に塗り むようにして、浸透させられることが望ま い。あるいは、治療または予防のための外 剤に粘度が与えられている場合は、前記第 剤と第二剤を事前に充分に混合し、得られ クリーム状の混合物を抗酸化対象に塗布し も良い。なお、かかる指圧による機械的刺 は、金属マグネシウムの不動態被膜を取り く効果も有するので、水素気泡の放出が減 してきた頃を見計らって、あらためて指圧 どにより機械的刺激を加えてやれば、金属 グネシウムの活性表面を、再び露出させる とができる。

 金属または金属の水素物の微粉末、ある は貴金属微粒子の粒径について言えば、上 の好ましい貴金属微粒子の粒径に係る記述 も係らず、本治療または予防のための外用 で使用される金属微粉末、あるいは貴金属 粒子を、皮膚に浸透する以上のサイズ、例 ば、毛穴、あるいは、汗腺や皮脂腺など外 泌腺へ陥没しない程度の粒径に維持しつつ その上で、微粒子化による活性の増大も最 限に期せるような粒径、例えば0.5μm~1000μm 好ましくは、1μm~500μm、より好ましくは、1μ m~250μm、特に好ましくは、1μm~150μmに調整し もよい。

 あるいは逆に、金属または金属の水素物 微粒子や貴金属微粒子をコロイド化するこ で、皮膚に浸透するサイズにまで粒径を小 くし、皮膚のより深部からの抗酸化対象の 元を意図することもできる。こうした粒径 得るためには、上述の好ましい貴金属微粒 の粒径に係る記述を参考にすることが出来 。いずれにせよ、本発明は、金属または金 の水素物の微粉末、あるいは貴金属微粒子 様々な粒径サイズを含むことができる。

 また別の実施形態としては、貼布型の、 療または予防のための外用剤が考えられる

 その具体例としては、亜鉛粉末を含有す 層を、皮膚に接触させる第一粘着層とし、 の上層に、クエン酸溶液または白金微粒子 含有するクエン酸溶液を含有する第二粘着 を、プラスチック板などを挟んで設置する かかる構成から成る貼布型治療または予防 ための外用剤を、皮膚または粘膜の標的部 である抗酸化対象に貼り、前記プラスチッ 板を抜き取ると、前記第一層と第二層が接 し、活性水素を発生または水素分子を活性 させると同時に、抗酸化対象に電子を供給 る。

なおこのとき、発生した活性水素や水素分 子が大気中に散失するのを防ぐため、第二粘 着層上は、アルミニウム等水素分子を逃がし 難い材質でつくられたカバーで覆われている ことが好ましい。また言うまでもなく、第一 粘着層を上層に、第二粘着層を下層に構成し ても良い。また、白金微粒子は第一粘着層に 含有させても良い。

 なお、ここで亜鉛を例示したのは、後述 るように、亜鉛による活性水素の発生また 水素分子の活性化は、例えばマグネシウム どの金属と比べて緩やかである一方、緩や であるが故に、逆に、有効成分が徐放され ことが望ましい貼布剤のような剤形にとっ は適切であると想定されるからである。し し、本例示によって、貼布剤に使用可能な 性水素発生剤または金属等を限定する趣旨 ない。

 また別の実施形態としては、灸型の、治 または予防のための外用剤が考えられる。

 その具体例としては、皮膚または粘膜の 的部位である抗酸化対象に、クエン酸溶液 たは白金微粒子を含有するクエン酸溶液を 布し、その上部に、金属マグネシウム微粉 を含む粉末を、指頭大に盛る。すると、ク ン酸溶液と金属マグネシウム微粉末が反応 、活性水素を発生または水素分子を活性化 せると同時に、抗酸化対象に電子を供給す 。あるいは、皮膚または粘膜の標的部位で る抗酸化対象にクエン酸溶液を塗布し、そ 上部に、金属マグネシウム微粉末と必要に じて白金微粒子を含む粉末を、指頭大に盛 という構成をとっても良い。あるいは、皮 または粘膜の標的部位である抗酸化対象に 金属マグネシウム微粉末とクエン酸、必要 応じて白金微粒子を含む粉末を、指頭大に り、そこに適量の溶媒を垂らしていくとい 構成をとっても良い。

 また別の実施形態としては、経口薬型の 治療または予防のための外用剤が考えられ 。その具体例としては、胃粘膜の標的部位 ある抗酸化対象に、金属マグネシウム微粉 と必要に応じて白金微粒子など貴金属微粒 を含む経口薬を投与する。すると、酸溶液 ある胃液と、金属マグネシウム微粉末が反 し、活性水素を発生または水素分子を活性 させると同時に、抗酸化対象に電子を供給 る。こうした経口薬は、胃溶性のカプセル どで適宜コーティングされていることが望 しい。

 以下、本発明の実施例を説明する。

[メチレンブルーの呈色変化による保存性評 試験]
[実施例1]
 第一剤:金属マグネシウム粉末(粒径:212~600μm 、99.9%)(和光純薬工業株式会社製 試薬)を第 剤とした。

 第二剤:田中貴金属製の白金コロイド4wt%溶 0.05gを、和光純薬工業株式会社製の蒸留水100 mLに溶かした液に、クエン酸(C 6 H 8 O 7 、和光純薬工業株式会社製)3gを添加した溶液 を第二剤とした。

 第一剤と第二剤は、それぞれ別個のプラ チック製容器に保管した。

 72時間後、1g/L濃度のメチレンブルー(テトラ メチルチオニン塩化物;C 16 H 18 ClN3S・3(H 2 O)、和光純薬株式会社製)溶液(以下MB溶液)0.5mL をプレート上に滴下し、その後、第一剤0.01g 第二剤0.5mLを、順にその上に滴下した。

 第二剤滴下後から、プレート上MB溶液の 色が消失するまでの時間を計測した。

[比較例1]
 水素ガスを前記活性炭処理水にバブリング 、水素分子を飽和濃度(20℃、1気圧、1.6mg/L) で溶存させた水素溶存水100mLに、田中貴金 製の白金コロイド4wt%溶液0.05gを添加した溶 (以下、抗酸化水)を作成し、プラスチック製 容器に保管した。

 72時間後、1g/L濃度のメチレンブルー(テトラ メチルチオニン塩化物;C 16 H 18 ClN3S・3(H 2 O))溶液(以下MB溶液)0.5mLをプレート上に滴下し 、その後、抗酸化水0.5mLをその上に滴下した

 抗酸化水の滴下後から、プレート上MB溶 の青色が消失するまでの時間を計測した。

 以下、その結果を[表1]に示す。

《表1》
実施例1        5秒
比較例1        消去せず
[DPPHラジカルの呈色変化による保存性評価試 ]
[実施例2]
 第一剤:金属マグネシウム粉末(粒径:212~600μm 、99.9%)(和光純薬工業株式会社製 試薬)を第 剤とした。

 第二剤:田中貴金属製の白金コロイド4wt%溶 0.05gを、和光純薬工業株式会社製の蒸留水100 mLに溶かした液に、クエン酸(C 6 H 8 O 7 、和光純薬工業株式会社製)3gを添加した溶液 を第二剤とした。

 第一剤と第二剤は、それぞれ別個のプラ チック製容器に保管した。

 72時間後、0.16g/L濃度のCalbioche社製DPPH(1、1 -diphenyl-2-picrrylhydrazyl)溶液(以下DPPH溶液)1mLを スシリンダーに採り、その後、第一剤0.01g、 第二剤0.5mLを、順にその上に滴下した。

 第二剤滴下後から、プレート上DPPH溶液の 濃紅色が退色するまでの時間を計測した。

[比較例2]
 抗酸化水を作成し、プラスチック製容器に 管した。

 72時間後、DPPH溶液1mLをメスシリンダーに り、その後、抗酸化水0.5mLを、その上に滴 した。

 抗酸化水の滴下後から、プレート上DPPH溶 液の濃紅色が退色するまでの時間を計測した 。

 以下、その結果を[表2]に示す。

《表2》
実施例2        60秒
比較例2        退色せず
[実施例の考察]
 メチレンブルーは、酸化型にあるとき青色 呈しているが、還元され、還元型メチレン ルー(ロイコメチレンブルー)となるとき、 色が消失する。したがって、酸化型メチレ ブルーに、任意の試薬を処理し、その後、 色が消失すれば、その試薬は、還元力を有 ると見なすことができる。

 同様に、DPPHラジカルの濃紅色は、還元さ れると退色することから、任意の試薬を処理 し、その後濃紅色が退色すれば、その試薬は 、ラジカル消去活性、あるいは抗酸化力を有 すると見なすことができる。

 上述の実施例1と2において、本発明にな 治療または予防のための外用剤が、プラス ック容器に72時間保存した後でも、メチレン ブルーの青色を消去し、DPPHラジカルの濃紅 を退色させた反面、比較例1と2の抗酸化水は 、メチレンブルーの青色を消去せず、DPPHラ カルの濃紅色を退色させることもなかった

 水素分子と白金微粒子を含有する抗酸化 は、作成後すぐであれば、抗酸化対象であ メチレンブルー、あるいはDPPHラジカルを還 元することが可能であろうが、プラスチック 容器に長時間保存するという条件では、容器 中の水素分子は、次第に大気中に散失してい くため、また、水素分子が触媒である白金微 粒子を介して、大気中から溶け込んでくる酸 素など酸化物に対して反応してしまうため、 72時間後に標的となる抗酸化対象(メチレンブ ルー、DPPHラジカル)と出会う頃には、水素分 のほとんどは残っていない。対して、本発 による治療または予防のための外用剤にお ては、元来極めて保存し難い物質である水 分子の保存性を気にかける必要がない。

 また、抗酸化水においては、水素分子を 溶媒たる水に事前に含有させるという制約 あるため、溶媒への飽和溶解度以上の水素 子を利用することができない。水素分子の への溶解度は、20℃、1気圧下において、僅 1.6mg/Lであり、生体に対して有意味な作用を 持つには少ない。

 他方、本明細書の、治療または予防のた の外用剤においては、水素分子を、溶液に 前に含有させるのではないため、水素分子 大気中への経時的な散失や、標的以外の酸 剤に対して水素分子を無駄に消費すること なく、また、溶媒への飽和溶解度以上の水 分子を利用することができる。活性水素の 生または水素分子の活性化と、抗酸化対象 おけるその消費が同時に起こるため、時を ばずインスタントに、活性水素の抗酸化力 利用することができる。

 このように、本発明による治療または予 のための外用剤は、単に、抗酸化水を治療 たは予防のための外用剤として用いるだけ は得られない多くの長所を有する。

[メチレンブルーの呈色変化による還元力評 試験]
1.試験手順
基本的な試験手順としては、まず各被験物質 を1gずつ用意し、必要なものについては水素 生の操作を行い、そこに一定の濃度に調整 れたメチレンブルー水溶液の滴下処理を施 ていく。それらの被験物質に還元力があれ 、滴下された青色のメチレンブルーは還元 れて無色になるが、メチレンブルー水溶液 投入量を徐々に増やしていき、被験物質内 還元剤が消費され尽くすと、メチレンブル の青色から無色への呈色変化が観察できな なる。各々の被験物質におけるこの時点ま のメチレンブルー水溶液の合計滴下量から 々の物質がもつ還元力を評価する。

以下に具体的な試験方法を解説する。

 滴下するメチレンブルー水溶液として、5 0mg/L(体積モル濃度:156.3μM)のものと、1g/L(体積 モル濃度:3126.5μM)のものと、2.5g/L(体積モル濃 度:7816.3μM)のものを用意する。ここで、濃度 異なる3種類のメチレンブルー水溶液を用意 したのは、被験物質間での還元力に差があり すぎるため、各被験物質の備える還元力に応 じて3種類の濃度のメチレンブルーを使い分 たほうが、より高い試験精度を期待できる らである。

続いて実際にメチレンブルーを滴下してい くときの環境であるが、触媒である貴金属微 粒子表面上で活性化された水素は、メチレン ブルーを還元するのと同時に液中または大気 中の酸素とも反応して消費されてしまうため 、本来的には、脱気した試薬を用い、密閉さ れた環境で試験を行うべきである。

しかし今回の試験においては事情が異なる 。仮に試験管にゴム栓などをして密閉環境を 作り、そのなかで水素発生反応やメチレンブ ルー水溶液滴下作業を行おうとしても、例え ばカルシウムと水とを反応させた場合は、勢 いよく水素が発生しゴム栓を吹き飛ばしてし まい密閉環境を保つことができない。これは カルシウムに限らず、今回試験をおこなう他 の幾つかの被験物質についても言えることで ある。また経験的にも試薬中の酸素の影響( ppm程度)や大気中の酸素との反応による影響 、被験物質間の比較を行ううえでは、大き 問題にはならないことなどを考慮した結果 今回の試験は敢えて無酸素環境を作らずに 気下で行うことにした。

容器は20mL容量の試験管を使用した。試験 に被験物質を1g入れ、続いてピペットでメチ レンブルー水溶液を1mLずつ滴下していく。滴 下は1mL行うごとに試験管を軽く振って攪拌し 、呈色反応があるかを目視で観察しながら行 う。なおメチレンブルーの呈色反応は可逆的 であり、一度還元され無色になったメチレン ブルーも、大気下で酸化されると青色に戻っ てしまうため、メチレンブルーの滴下は速や かに行う必要がある。

2.実施例、比較例、参考例の開示
[実施例3]
 Alfa Aesar(ALF)社製マグネシウムパウダー(-100+ 200 メッシュ、99.6%)50mgを第一剤、田中貴金属 工業株式会社製の白金コロイド4wt%溶液を、 沢市水道水をオルガノ社製イオン交換カラ に通して処理した精製水にて200倍に希釈(白 コロイド濃度200mg/L、以下同様)し、そこに エン酸を20%濃度(200g/L、以下同様)になるよう に加えたもの950mgを第二剤とした。

 第一剤と第二剤を混合したものを被験物 とし、被験物質調整後、メチレンブルー水 液を、被験物質の呈色変化を目視で観察し がら1mLずつピペットで滴下していった。呈 変化が確認できなくなるまでのメチレンブ ー水溶液の滴下量は、2.5g/L濃度のものが6mL 1g/Lのものが3mLであり、還元されたメチレン ブルーの合計は、56.3μmolであった。

[実施例4]
 和光純薬工業株式会社製の亜鉛粉末(粒径: 6μm)50mgを第一剤、田中貴金属工業株式会社 の白金コロイド4wt%溶液を、藤沢市水道水を ルガノ社製イオン交換カラムに通して処理 た精製水にて200倍に希釈し、そこにクエン を20%濃度になるように加えたもの950mgを第 剤とする。

 第一剤と第二剤を混合したものを被験物 とし、被験物質調整後、メチレンブルー水 液を、被験物質の呈色変化を目視で観察し がら1mLずつピペットで滴下していった。呈 変化が確認できなくなるまでのメチレンブ ー水溶液の滴下量は、2.5g/L濃度のものが12mL と1g/Lのものが2mLであり、還元されたメチレ ブルーの合計は、100.0μmolであった。

[実施例5]
 和光純薬工業株式会社製のカルシウム粒状5 0mgを第一剤、田中貴金属工業株式会社製の白 金コロイド4wt%溶液を、藤沢市水道水をオル ノ社製イオン交換カラムに通して処理した 製水にて200倍に希釈したもの950mgを第二剤と する。

 第一剤と第二剤を混合したものを被験物 とし、被験物質調整後、メチレンブルー水 液を、被験物質の呈色変化を目視で観察し がら1mLずつピペットで滴下していった。呈 変化が確認できなくなるまでのメチレンブ ー水溶液の滴下量は、2.5g/L濃度のものが6mL 、メチレンブルーの合計は、46.9μmolであっ 。

[実施例6]
 Merck社製の水素化ホウ素ナトリウム50mgを第 剤、田中貴金属工業株式会社製の白金コロ ド4wt%溶液を、藤沢市水道水をオルガノ社製 イオン交換カラムに通して処理した精製水に て200倍に希釈したもの950mgを第二剤とする。

 第一剤と第二剤を混合したものを被験物 とし、被験物質調整後、メチレンブルー水 液を、被験物質の呈色変化を目視で観察し がら1mLずつピペットで滴下していった。呈 変化が確認できなくなるまでのメチレンブ ー水溶液の滴下量は、2.5g/L濃度のものが6mL 、メチレンブルーの合計は、46.9μmolであっ 。

[実施例7]
 和光純薬工業株式会社製の水素化カルシウ 50mgを第一剤、田中貴金属工業株式会社製の 白金コロイド4wt%溶液を、藤沢市水道水をオ ガノ社製イオン交換カラムに通して処理し 精製水にて200倍に希釈したもの950mgを第二剤 とする。他の例と同様に第一剤と第二剤を混 合しメチレンブルーを滴下しようとしたが、 第一剤と第二剤の反応があまりに激しく、第 一剤第二剤が接触した瞬間に水素を発生させ ながら水が飛び散り瞬間的に反応が終了する ため、測定できなかった。

[実施例8]
 Alfa Aesar(ALF)社製マグネシウムパウダー(-100+ 200 メッシュ、99.6%)50mgを第一剤、田中貴金属 工業株式会社製のパラジウムコロイド4wt%溶 を、藤沢市水道水をオルガノ社製イオン交 カラムに通して処理した精製水にて200倍に 釈し、そこにクエン酸を20%濃度になるよう 加えたもの950mgを第二剤とする。

 第一剤と第二剤を混合したものを被験物 とし、被験物質調整後、メチレンブルー水 液を、被験物質の呈色変化を目視で観察し がら1mLずつピペットで滴下していった。呈 変化が確認できなくなるまでのメチレンブ ー水溶液の滴下量は、2.5g/L濃度のものが4mL 1g/Lのものが3mLであり、還元されたメチレン ブルーの合計は、40.3μmolであった。

[実施例9]
 Alfa Aesar(ALF)社製マグネシウムパウダー(-100+ 200 メッシュ、99.6%)50mgを第一剤、藤沢市水道 水をオルガノ社製イオン交換カラムに通して 処理した精製水にクエン酸を20%濃度になるよ うに加えたもの950mgを第二剤とする。

 第一剤と第二剤を混合したものを被験物 とし、被験物質調整後、メチレンブルー水 液を、被験物質の呈色変化を目視で観察し がら1mLずつピペットで滴下していった。呈 変化が確認できなくなるまでのメチレンブ ー水溶液の滴下量は、50mg/L濃度のものが1mL あり、還元されたメチレンブルーの合計は 0.2μmolであった。

[比較例3]
 藤沢市水道水をオルガノ社製イオン交換カ ムに通して処理した精製水に水素ガスのバ リング処理を90分間行った飽和水素水に、 中貴金属工業株式会社製の白金コロイド4wt% 液を200mg/Lの白金コロイド濃度になるように 加えたもの1mLを被験物質とし、被験物質調整 後、メチレンブルー水溶液を、被験物質の呈 色変化を目視で観察しながら1mLずつピペット で滴下していった。呈色変化が確認できなく なるまでのメチレンブルー水溶液の滴下量は 、50mg/L濃度のものが2mLであり、還元されたメ チレンブルーの合計は、0.3μmolであった。

[参考例1]
 藤沢市水道水をオルガノ社製イオン交換カ ムに通して処理した精製水に水素ガスのバ リング処理を90分間行った飽和水素水1mLを 験物質とし、被験物質調整後、メチレンブ ー水溶液を、被験物質の呈色変化を目視で 察しながら1mLずつピペットで滴下していっ ところ、最も薄い濃度である50mg/L濃度のメ レンブルー水溶液を1mLも透明にすることが きなかった。

[参考例2]
 田中貴金属工業株式会社製の白金コロイド4 wt%溶液を、藤沢市水道水をオルガノ社製イオ ン交換カラムに通して処理した精製水にて200 倍に希釈し、そこにクエン酸を20%濃度になる ように加えたものを1mL被験物質とし、被験物 質調整後、メチレンブルー水溶液を、被験物 質の呈色変化を目視で観察しながら1mLずつピ ペットで滴下していったところ、最も薄い濃 度である50mg/L濃度のメチレンブルー水溶液を 1mLも透明にすることができなかった。

[参考例3]
田中貴金属工業株式会社製の白金コロイド4wt %溶液を、藤沢市水道水をオルガノ社製イオ 交換カラムに通して処理した精製水にて200 に希釈したもの1mLを被験物質とし、被験物 調整後、メチレンブルー水溶液を、被験物 の呈色変化を目視で観察しながら1mLずつピ ットで滴下していったところ、最も薄い濃 である50mg/L濃度のメチレンブルー水溶液を1m Lも透明にすることができなかった。

3、試験結果
 以下、試験結果を表3に示すとともに図1に ラフを示す。

4.試験結果の考察
 活性水素は、本来非常に不安定であると考 られるが、本治療または予防のための外用 は、患部である抗酸化対象と接した状態で 活性水素を発生または水素分子を活性化す ため、患部に活性水素を留めつつ(分散剤で 剤に粘度を与えることが好ましい)、活性水 の還元力を患部に対して効率的に発揮する とができる。

 本試験において、実施例4の、第一剤とし て亜鉛を用いた外用剤が、最も多くのメチレ ンブルーを還元している。試験時に目視で確 認したところ、実施例4においては、水素気 の発生速度はかなり緩やかなものであった このことから、実施例4においては、発生し 水素分子が、大気中へ逃げていくこと少な 、発生した水素分子を有効にメチレンブル の還元に差し向けることができたと考えら る。

 反対に、第一剤に、カルシウムを使用し 実施例5、水素化ホウ素ナトリウムを使用し た実施例6、水素化カルシウムを使用した実 例7は、非常に反応性が高く、クエン酸を添 せずとも、中性の水と勢いよく反応する。 かでも、実施例5の水素化カルシウムは、水 面に触れただけで強く反応するため、本試験 方法においては、データをとることが出来な かった。

[DPPHラジカルの呈色変化による抗酸化力評価 験]
1.試験手順
 上述のメチレンブルーの呈色変化による還 力評価試験の試験手順に準じて実施された すなわち、セル内に1ccの被験物質と1ccのDPPH 溶液を入れ、セル内のDPPH溶液が琥珀色に変 するかを目視で確認した。もしセル内のDPPH 紫色から琥珀色に変化すれば、被験物質が 液中のDPPHラジカルを還元したということに なる。

被験物質がDPPHラジカルを還元した場合は DPPH溶液の濃度を徐々に高くしていき、琥珀 への変化が確認できなくなる時点までのDPPH 濃度より、被験物質間の抗酸化力を比較した 。触媒存在下では水素は液中や大気中の酸素 とも反応してしまうため、本来であれば、セ ル内部や試薬は窒素置換するなどして酸素フ リーにして試験を行うべきだが、水素発生剤 の性質上セル内部において大量の水素が発生 しまうため、蓋をすることができず、酸素除 去なし、セルの蓋なしの状態で行っている。 条件を統一するために、比較例についても同 様の条件である。

 なお、DPPHはCalbioche社製のものを使用し、 溶媒としては和光純薬株式会社製のエタノー ルを用いた。25mg/Lからはじめ、50mg/L、100mg/L 200mg/L、400mg/L、500mg/Lと以後100mg/L単位で濃度 エタノールに溶かすことができるDPPHラジカ ルの最大濃度である5000mg/Lまであげていった

2.実施例、比較例、参考例の開示
[実施例10]
Alfa Aesar(ALF)社製マグネシウムパウダー(-100+20 0 メッシュ、99.6%)50mgを第一剤、田中貴金属 業株式会社製の白金コロイド4wt%溶液を、藤 市水道水をオルガノ社製イオン交換カラム 通して処理した精製水にて200倍に希釈し、 こにクエン酸を20%濃度になるように加えた の950mgを第二剤とした。

第一剤と第二剤を混合したものを被験物質 とし、被験物質調整後、DPPH溶液を濃度の低 ものから順に呈色変化が確認できなくなる でかわるがわる滴下していったところ、最 濃度である5000mg/Lまで呈色変化を確認するこ とができた。

[比較例4]
藤沢市水道水をオルガノ社製イオン交換カラ ムに通して処理した精製水に水素ガスのバブ リング処理を90分間行った飽和水素水に、田 貴金属工業株式会社製の白金コロイド4wt%溶 液を200mg/Lの白金コロイド濃度になるように えたもの1mLを被験物質とし、被験物質調整 、DPPH溶液を濃度の低いものから順に呈色変 が確認できなくなるまでかわるがわる滴下 ていったところ、最終的に呈色変化を確認 きたDPPH水溶液の濃度は、200mg/Lであった。

3.試験結果
 以上の試験結果を表4に示すとともに図2に ラフを示す。

4.試験結果の考察
 本試験の方法では、実施例10が還元できたDP PH濃度は、溶解度限界である5000mg/Lとなった 、潜在的にははるかに濃い濃度のDPPHを還元 ることができるはずである。理論的には50mg のマグネシウムからは、4.17mgの水素が発生す ることになるが、これは、20℃、1気圧下にお ける飽和水素水1gに含まれる水素量約0.0016mg およそ2600倍である。

 なお、本明細書の、治療または予防のた の外用剤に用いる水素発生剤から発生する 素量は、以下のように計算することができ 。例えば、水素発生剤として、金属マグネ ウムと水の反応を用いる場合、Mg+2H2O→Mg(OH) 2+H2の反応式より、マグネシウム1mol(24g)に対 、水素1mol(2g)が発生することがわかる。ここ で、本治療または予防のための外用剤1Lを作 すると仮定すると、本発明を限定する趣旨 はないが、例えば構成比率1:4として、第一 200g、第二剤800gから構成することができる

 そして、第一剤中に含まれる金属マグネ ウムの濃度を、例えば5wt%とすると、金属マ グシウム自体の使用量は、10gとなる。上述の ように、本例では、マグネシウム1mol(24g)に対 し、水素1mol(2g)が発生することがわかってい から、金属マグネシウム10gより発生する水 量は、およそ830mgであることが計算できる この数値はあくまで計算値であるが、例え 、上述のように、20℃、1気圧下において、 に水素分子を溶存させようとする場合、1.6mg /L程度しか溶存させることができないことを 慮すると、その優位性は明らかである。さ に、こうした水素溶存水に触媒を共存させ 場合、該触媒を共存させた段階で酸素など 存酸化物と水素が反応してしまうため、使 時には実際的に利用可能な水素量がさらに なくなっていることは言うまでもない。

 なお、上述の計算値は、金属マグネシウ 全量が、水、酸溶液などプロトン性溶媒と 応しきることを想定しているが、金属マグ シウムの粒径や、その表面を覆う不動態被 の厚さなどにより、水素発生量の実測値は 計算値からずれることも想定される。そこ 、水素発生量の実測値を、従来の水上置換 により測定した。

その結果、金属マグネシウム(粒径150μm以 )0.5gに、精製水30gを反応させた場合には、5mL の水素を、クエン酸5wt~10wt%溶液30gを反応させ た場合には、280~485mLの水素を発生させること がわかった。これを換算すると、金属マグネ シウム10gに対し、水素発生量は、精製水との 反応では17.9mg、クエン酸溶液との反応では、 500~866mgであった。

[治療又は予防のための外用剤作成方法]
 本発明の治療又は予防のための外用剤を実 に作成しようとしたとき、その剤型は錠剤 貼付剤などいくつか考えられるが、ここで 、ジェル状の外用剤を作成する場合の組成 を挙げる。なお、本組成例は本発明を限定 る趣旨ではない。

 二剤構成のうち一方を第一剤、残る一方 第二剤とし、第一剤1の量に対して第二剤を 2混合することを前提に考えると、それぞれ 組成は例えば次のとおりになる。

第一剤:
マグネシウム粉MG100(150μm以下)(株式会社関東 属)5.0wt%
メトローズ(メチルセルロース)SNB-30T(信越化 工業株式会社)2.0wt%
グリセリン(東豊薬品株式会社)10.0wt%
カルファ(グレープフルーツシード抽出エキ 、防腐剤)(カルファケミカル株式会社)0.05wt%
精製水82.95wt%
第二剤:
白金コロイド4wt%溶液(田中貴金属工業株式会 )0.32wt%(白金コロイド自体の濃度は128mg/L)
クエン酸(和光純薬工業株式会社)10.0wt%
ヒドロキシプロピルセルロース(日本曹達株 会社)0.5wt%
グリセリン(東豊薬品株式会社)5.0wt%
カルファ(グレープフルーツシード抽出エキ 、防腐剤)(カルファケミカル株式会社)0.05wt%
精製水84.13wt%
 ここで、第一剤中のマグネシウム粉はジェ のなかに均等に分散されているが、この分 は水の粘性によって物理的に保持されてい だけである。マグネシウムの比重のほうが きいため、粘性が弱ければ次第にマグネシ ムは沈んでいき、安定した製品にすること できない。この意味においてマグネシウム の粒径は小さいほど良い。可能であれば本 で使用している150μm前後のものか、それ以 のものが望ましい。また増粘分散剤の種類 よび濃度には、そのマグネシウムを安定的 ジェル中に保持できることが求められる。 たがって必要に応じて、さらに酸化ポリエ レン、アマイドワックス、乾式シリカ等沈 防止剤を添加することは望ましいことであ 。

 また、上述の第二剤の組成においては、 金属微粒子触媒として白金コロイドを採用 ているが、当然白金コロイドに限られるわ ではなく、実施例にも一部挙げられている おり、パラジウムコロイドもしくは金コロ ド等の貴金属微粒子、それらの合金化合物 しくは金属錯体、または水素酸化還元酵素 ども候補として挙げられる。

 なお、第二剤の組成におけるクエン酸は、 一剤と混合したときに、第一剤中のマグネ ウム粉を全て溶かすに足る濃度で含有され いることが望ましい。上述の組成例におい 、第一剤はpH11前後のアルカリ性であり、第 二剤はpH2弱の強酸性である。これを1:2の割合 で混合したときのpHは3程度の酸性である。第 一剤と第二剤が混ぜ合わさると、第二剤のク エン酸によって、第一剤中のマグネシウム表 面に形成されている不動態被膜が破られ、
《式8》
        Mg+2H2O→Mg(OH)2+H2
の反応が開始する。この反応によって混合直 後は3程度であったpHはアルカリ性方向に引っ 張られていくことになる(水酸化イオンの作 )。このとき、第二剤の酸が不十分であると 第一剤のマグネシウムが全て消費される前 、中性~アルカリ性環境になってしまい、そ の時点までに消費されていなかったマグネシ ウムは再び不動態被膜を形成し反応を止めて しまう。その結果、マグネシウム粉が残留す ることになり利便性の面からも望ましくない 。なお本例においては、十分なクエン酸濃度 になっており、マグネシウムが全て反応した 後のpHは4程度の酸性である。

 一般化して言えば、金属マグネシウムな 、支持剤との反応で水酸基を生成する物質 第一剤として使用する場合、該第一剤は、p H7~14、詳しくはpH9~12、より詳しくはpH11前後の アルカリ性を示す一方、第一剤のアルカリを 中和し、第一剤と第二剤の反応に伴うアルカ リ化を中和し、さらに系にプロトンを供給す ることを目的とする第二剤は、pH1~7、詳しく pH1~4、より詳しくはpH1~3、特に詳しくはpH2弱 の酸性を示すと言える。そして、第一剤と第 二剤を混合し、反応が終了した後であっても 、例えば、混合後72時間経過したときでも、 の混合液の液性は、第二剤の酸により、な 、弱酸性~酸性を保っていることが好ましい 。

[アトピー性皮膚炎モデルマウスに対する皮 炎抑制作用試験]
1.試験手順
1.1.アトピー性皮膚炎モデルの作製(初回惹起)
NC/Ngaマウスの背部,耳介部をバリカン,電気シ ーバーで毛刈りした後,除毛剤(商品名:エピ ット,カネボウ製)を適量塗布し除毛する。

除毛剤をふき取った後,コナヒョウヒダニ 来誘発軟膏であるビオスタAD(株式会社ビオ タ社製) 100 mg をマイクロピペットのチッ 裏部で背部,耳介部に均一に塗布する。

1.2.アトピー性皮膚炎モデルの作製(2回目以降 惹起)
必要に応じてシェーバーで除毛した後,4 %ド シル硫酸ナトリウム水溶液150 μlをマイク ピペットで背部,耳介部に滴下しながらマイ ロピペットのチップ裏部で均一に塗布する

その後,ドライヤー(冷風)である程度乾燥さ せ約2~3時間自然に乾燥させた後,ビオスタAD 1 00 mg をマイクロピペットのチップ裏部で背 ,耳介部に均一に塗布する。

※全ての処理は1週間に2回のペースで行う. 3週間,計6回の処理でアトピー性皮膚炎マウス が作製される。

1.3.被験物質の投与
皮膚炎重症度が均一になるよう各群6匹づつ 群分けを行い,1日1回、耳介部及び背部皮膚 100 mgを均一塗布する。

1.4.皮膚炎重症度の確認
1.5の皮膚炎重症度スコア表に基づき,目視に スコア付けを行う。スコアの確認は被験物 投与開始後0,3,6,9,12,15~日目に行う。

1.5.皮膚炎重症度スコア表
(a)発赤・出血
   (背中の発赤および出血症状を観察する)
0 :無症状;背中に発赤および出血症状が認め れない状態
1 :軽度;背中に発赤が局所的に認められ,連続 的な擦傷に伴う出血が認められない状態
2 :中等度;背中に発赤が散在的に認められる ,連続的な擦傷に伴う出血が認められない状 態
3 :重度;背中に発赤が全体的に認められるか, 連続的な擦傷に伴う出血が認められる状態
(b)痂皮形成・乾燥
  (背中の痂皮形成および乾燥症状を観察す )
0 :無症状;背中に痂皮形成および乾燥症状な
1 :軽度;背中に局所的に認められ,皮膚がわず かに白色化し,角質の剥離がわずかに認めら る状態
2 :中等度;背中に散在的に認められるか,明ら かに角質の剥離が認められる状態
3 :重度;背中に痂皮が全体的に認められるか, 明らかに角質の剥離が認められる状態
(c)浮腫
(耳介の浮腫を定性的に観察する)
0 :無症状;左右の耳介に厚みが認められない 態
1 :軽度;左右のどちらか1方にわずかに厚みが 認められる状態
2 :中等度;いずれの耳介にも明らかな厚み,張 りが認められる状態
3 :重度;いずれの耳介にも明らかな厚み,張り および反りが認められ,指で触れた時に硬さ 感じられる状態
(d)擦傷・組織欠損
(耳介の擦傷および組織欠損症状を観察する)
0 :無症状;耳介に擦傷および組織欠損症状が められない状態
1 :軽度;耳介に連続的でない擦傷が認められ, 組織欠損は認められない状態
2 :中等度;耳介に小規模に連続的な擦傷が認 られ,組織欠損は認められない状態
3 : 重度;耳介に連続的な擦傷が認められ,組 欠損が認められる状態
2.実施例、比較例、参考例の開示
[実施例11]
 第一剤:株式会社関東金属製マグネシウム粉 MG100(150μm以下)を5.0wt%、信越化学工業株式会 製メトローズ(メチルセルロース)SNB-30Tを2.0wt %、東豊薬品株式会社製グリセリン10.0wt%、カ ファケミカル株式会社製カルファを0.05wt%、 そして藤沢市水道水をオルガノ社製イオン交 換カラムに通して処理した精製水82.95wt%から 成される組成物。

 第二剤:田中貴金属工業株式会社製の白金 コロイド4wt%溶液を0.32wt%、和光純薬工業株式 社製クエン酸を10.0wt%、日本曹達株式会社製 ヒドロキシプロピルセルロースを0.5wt%、東豊 薬品株式会社製グリセリン5.0wt%、カルファケ ミカル株式会社製カルファを0.05wt%、そして 沢市水道水をオルガノ社製イオン交換カラ に通して処理した精製水84.13wt%で組成される 組成物。

 モデル動物への塗布時に、第一剤と第二 を1:2の重量%で混合し、発泡しているクリー ム状の混合物100mgを直ちに塗布した。

 表、グラフ中では、「被験物質群 HM031」 と表記される。

[比較例5]
 実施例11の第一剤と第二剤を混合し72時間以 上放置することで水素が抜けてしまった反応 生成物を、実施例11の基剤と見なし100mgを塗 した。

 表、グラフ中では、「媒体対象群 コン ロール」と表記される。

3.試験結果
3.1.皮膚炎重症度の確認
実施例11の経皮投与試験における皮膚炎スコ の変化を全体(背部+耳介部),背部,耳介部に けて示す。

全体(背部+耳介部)の皮膚炎スコアの変化は 表5および図3,背部皮膚炎スコアの変化は表6 よび図4,耳介部皮膚炎スコアの変化は表7お び図5に示す。

4.試験結果の考察
実施例11の連続経皮投与による皮膚炎重症度 コアの変化を確認した結果,全体(背部+耳介 ),背部では3日目から,耳介部においては6日 から皮膚炎の改善傾向が認められた。

また,Mann-Whitney U検定において,全体(背部+ 介部)では22日目,背部では18,22日目にコント ール群との間に危険率 5 %で有意差が認め れた。

ビオスタADモデルは,マウス背部,および耳 部ともに病変が認められるモデルである.ヒ の皮膚に近い評価を行うためには,柔らかい マウス耳介部よりも,背部皮膚病変の治癒効 を重視した方が良いと考えられる。

今回の試験において,マウス背部に実施例11 の有意な皮膚炎改善効果が確認されたことか ら,実施例11のヒトに対する皮膚炎改善効果が 期待できると示唆される。

また,比較参考データとしてロコイド軟膏( 録商標,鳥居薬品株式会社製,ステロイドラ クIV群,マイルド)経皮投与による皮膚炎スコ の変化を図6に示す。

ロコイド軟膏投与試験において,5日目まで スコアにMann-Whitney U検定における有意差は められなかったものの,3日目位から皮膚炎 善傾向が認められた。

この結果より,今回の実験とロコイド軟膏 実験の場合では観察日数の相違があるので, 列で比較することは難しいが,ビオスタAD誘 アトピー性皮膚炎モデルマウスを用いた経 投与試験において,実施例11はロコイド軟膏 ほぼ同程度かロコイド軟膏以上の強い皮膚 改善効果を示す可能性が示唆された。

以下、代表的な実施形態の追加例を挙げる 。

上述の、プラスチック板など隔板を介して 、金属または金属の水素化物を含有する第一 層と、クエン酸溶液(及び必要に応じて白金 粒子)を含有する第二層が対置する、貼布型 用剤の応用例となるが、同様の構成を用い 枕や座布団等ファブリック製品を設計する とができる。すなわち、就寝時等に前記隔 を抜き取ることで、第一層と第二層が接触 、水素分子または活性水素が発生するとと に、頭部や臀部等接触部位に、水素分子ま は活性水素が供給されるファブリック製品 設計することができる。こうしたファブリ ク製品は、例えば、認識機能障害もしくは 梗塞または褥瘡等の酸化ストレスが関与す 疾病疾患の予防/治療用途に使用することが できる。あるいは、単に、金属または金属の 水素化物とクエン酸を含む粉末を、必要に応 じて非プロトン性溶媒や無極性溶媒とともに 混在させ、頭部等接触部位より滲出する汗な ど水分を介して、水素分子または活性水素を 該部位において発生させるという構成を採る こともできる。

また別の実施形態として、アトピー性皮膚 炎の治療等でステロイド剤を皮膚に塗布する 際に用いられる、「密封療法」を組み合わせ ることもできる。すなわち、本外用剤を塗布 するに際して、水素分子または活性水素を、 皮膚または粘膜により浸透させるために、外 用剤の塗布とともに、ポリエチレンやポリ塩 化ビニルデン等を素材とするラップまたはシ ートで覆うことができる。この際、水素の密 封性をより高めるためにも、ラップまたはシ ートの素材は、水素ガス等のガス難透過性の 素材(アルミ等)から成ることが好ましい。

また別の実施形態として、外用剤として周 知のリポソームを使用することができる。リ ポソームは、生体の細胞膜を構成しているリ ン脂質から構成される人工の細胞様微粒子で あり、水溶性や脂溶性の薬物を包含すること ができる。生体適合性が高く、体内では薬物 を分解酵素などから保護しながら運搬できる ため、薬物等化合物の運搬体としても使用さ れている。本発明においては、これに限るも のではないが、中空リポソーム等と称される 内部が空洞になったリポソームを好んで使用 することができる。すなわち、リポソーム懸 濁液を、減圧するなどして必要に応じて奪気 するとともに、適当な雰囲気圧力環境(例え 1~10気圧、あるいは1.5~10気圧)下で、該懸濁液 の入った容器のヘッドスペース部に水素を含 有するガスを満たしてやり、適当な時間(た えば1~30分)維持する。すると、水素は、ヘッ ドスペース内の懸濁液に溶け込みつつ、リポ ソームを構成する膜より内部へ浸透する。こ の際、浸透効率を上げるため、超音波等を照 射してもよい(たとえば20~50kHzの超音波を1~5分 )。その後、適当な時間(たとえば1秒~10分)を けて減圧することにより、リポソーム内の 素の体積が膨らみ膜内に安定的に保持され ようになる。こうして作成された水素含有 ポソーム懸濁液を本発明における外用剤と て使用することができる。すなわち、該水 含有リポソーム懸濁液を、リポソームを構 する膜を破壊する作用を有する物質(たとえ エタノール等のアルコールや界面活性剤)を 含有する第二剤と混合するか、あるいは超音 波等物理的な力で膜を破壊することにより、 皮膚または粘膜で水素を発生させることがで きる。または、リポソームと皮膚との親和性 を考慮し、あえてこうした第二剤は用いずに 、そのまま皮膚または粘膜に塗布することに より、紫外線等により皮膚または粘膜に発生 するフリーラジカルや活性酸素種等に、リポ ソームを構成する膜を破壊させることができ る。すなわち、膜の破壊とともにリポソーム 内の水素が放出(発生)するとともに、放出し 水素分子はフリーラジカルや活性酸素種に 化されることを通じて活性化される。この うに、攻撃(酸化)されることがそのまま反 (抗酸化)に繋がるような効率的な外用剤を構 成することができる。

 以下、追加の実施例を挙げる。

[メチレンブルーの呈色変化による還元力評 試験]
1.試験手順
上述の試験手順に従った。

2.実施例、比較例、参考例の開示
[実施例12]
Tangshan Weihao Magnesium Powder Co., Ltd.製Atomized  magnesium powder(-400メッシュ)50mgを第一剤、田中 貴金属工業株式会社製の白金コロイド4wt%溶 を、藤沢市水道水をオルガノ社製イオン交 カラムに通して処理した精製水にて200倍に 釈し、そこにクエン酸を20%濃度になるよう 加えたもの950mgを第二剤とした。

 第一剤と第二剤を混合したものを被験物 とし、被験物質調整後、メチレンブルー水 液を、被験物質の呈色変化を目視で観察し がら1mLずつピペットで滴下していった。呈 変化が確認できなくなるまでのメチレンブ ー水溶液の滴下量は、2.5g/L濃度のものが7mL 1g/Lのものが2mLであり、還元されたメチレン ブルーの合計は、61.0μmolであった。

[実施例13]
 Alfa Aesar(ALF)社製の水素化マグネシウム50mg 第一剤、田中貴金属工業株式会社製の白金 ロイド4wt%溶液を、藤沢市水道水をオルガノ 製イオン交換カラムに通して処理した精製 にて200倍に希釈したもの950mgを第二剤とす 。

 第一剤と第二剤を混合したものを被験物 とし、被験物質調整後、メチレンブルー水 液を、被験物質の呈色変化を目視で観察し がら1mLずつピペットで滴下していった。呈 変化が確認できなくなるまでのメチレンブ ー水溶液の滴下量は、2.5g/L濃度のものが4mL あり、メチレンブルーの合計は、31.3μmolで った。

[DPPHラジカルの呈色変化による抗酸化力評価 験2]
1.試験手順
基本的な試験手順としては、まず各被験物質 を1gずつ用意し、必要なものについては水素 生の操作を行い、そこに一定の濃度に調整 れたDPPHラジカル溶液の滴下処理を施してい く。それらの被験物質に抗酸化力があれば、 滴下された紫色のDPPHラジカル溶液は還元さ て琥珀色になるが、DPPHラジカル溶液の投入 を徐々に増やしていき、被験物質内の抗酸 剤が消費され尽くすと、DPPHラジカル溶液の 紫色から琥珀色への呈色変化が観察できなく なる。各々の被験物質におけるこの時点まで のDPPHラジカル溶液の合計滴下量から各々の 質が有する抗酸化力を評価する。

以下に具体的な試験方法を解説する。

滴下するDPPHラジカル溶液として、 
0.1g/L(体積モル濃度:0.253mM)のものと、1g/L(体積 モル濃度:2.53mM)のものと、5g/L(体積モル濃度:1 2.65mM)のものを用意する。ここで、濃度の異 る3種類のDPPHラジカル溶液を用意したのは、 被験物質間での抗酸化力に差がありすぎるた め、各被験物質の備える抗酸化力に応じて3 類の濃度のDPPHラジカル溶液を使い分けたほ が、より高い実験精度を期待できるからで る。

続いて実際にDPPHを滴下していくときの環 であるが、触媒である貴金属微粒子表面上 活性化された水素は、DPPHを還元するのと同 に液中または大気中の酸素とも反応して消 されてしまうため、本来的には、脱気した 薬を用い、密閉された環境で試験を行うべ である。

しかし今回の試験においては事情が異なる 。仮に試験管にゴム栓などをして密閉環境を 作り、そのなかで水素発生反応やDPPH滴下作 を行おうとしても、例えばカルシウムと水 を反応させた場合は、勢いよく水素が発生 ゴム栓を吹き飛ばしてしまい密閉環境を保 ことができない。これはカルシウムに限ら 、今回試験をおこなう他の幾つかの被験物 についても言えることである。また経験的 も試薬中の酸素の影響(数ppm程度)や大気中の 酸素との反応による影響は小さく、被験物質 間の比較を行ううえで大きな問題にはならな いことなどを考えた結果、今回の試験は敢え て無酸素環境を作らずに大気下で行うことに した。

容器は20ml容量の試験管を使用した。試験 に被験物質を1g入れ、続いてピペットでDPPH ジカル溶液を1mlずつ滴下していく。滴下は1m l行うごとに試験管を軽く振って攪拌し、呈 反応があるかを目視で観察しながら行う。 おDPPHラジカルの呈色反応は不可逆的であり 一度還元され琥珀色になったDPPHは、大気下 で酸化されても紫色には戻らない。しかし大 気中の酸素に水素が消費されることを考える と、DPPHラジカル溶液の滴下は速やかに行う 要がある。

2.実施例、比較例、参考例の開示
[実施例14]
Alfa Aesar(ALF)社製マグネシウム パウダー(-100+ 200 メッシュ、99.6%)50mgを第一剤、田中貴金属 工業株式会社製の白金コロイド4wt%溶液を、 沢市水道水をオルガノ社製イオン交換カラ に通して処理した精製水にて200倍に希釈し そこにクエン酸を20%濃度になるように加え もの950mgを第二剤とした。

第一剤と第二剤を混合したものを被験物質 とし、被験物質調整後、DPPHラジカル溶液を 被験物質の呈色変化を目視で観察しながら1m lずつピペットで滴下していった。呈色変化 確認できなくなるまでのDPPHラジカル溶液の 下量は、5g/L濃度のものが3mlと1g/Lのものが1m lであり、還元されたDPPHラジカルの合計は、4 0.48μmolであった。

[実施例15]
和光純薬工業株式会社製の亜鉛粉末50mgを第 剤、田中貴金属工業株式会社製の白金コロ ド4wt%溶液を、藤沢市水道水をオルガノ社製 オン交換カラムに通して処理した精製水に 200倍に希釈し、そこにクエン酸を20%濃度に るように加えたもの950mgを第二剤とした。

第一剤と第二剤を混合したものを被験物質 とし、被験物質調整後、DPPHラジカル溶液を 被験物質の呈色変化を目視で観察しながら1m lずつピペットで滴下していった。呈色変化 確認できなくなるまでのDPPHラジカル溶液の 下量は、5g/L濃度のものが4mlと1g/Lのものが3m lであり、還元されたDPPHラジカルの合計は、5 8.19μmolであった。

[実施例16]
和光純薬工業株式会社製のカルシウム粒状50m gを第一剤、田中貴金属工業株式会社製の白 コロイド4wt%溶液を、藤沢市水道水をオルガ 社製イオン交換カラムに通して処理した精 水にて200倍に希釈したもの950mgを第二剤と た。

第一剤と第二剤を混合したものを被験物質 とし、被験物質調整後、DPPHラジカル溶液を 被験物質の呈色変化を目視で観察しながら1m lずつピペットで滴下していった。呈色変化 確認できなくなるまでのDPPHラジカル溶液の 下量は、5g/L濃度のものが3mlと1g/Lのものが1m lであり、還元されたDPPHラジカルの合計は、4 0.48μmolであった。

[実施例17]
Merck社製の水素化ホウ素ナトリウム50mgを第一 剤、田中貴金属工業株式会社製の白金コロイ ド4wt%溶液を、藤沢市水道水をオルガノ社製 オン交換カラムに通して処理した精製水に 200倍に希釈したもの950mgを第二剤とした。

第一剤と第二剤を混合したものを被験物質 とし、被験物質調整後、DPPHラジカル溶液を 被験物質の呈色変化を目視で観察しながら1m lずつピペットで滴下していった。呈色変化 確認できなくなるまでのDPPHラジカル溶液の 下量は、5g/L濃度のものが4mlと1g/Lのものが1m lであり、還元されたDPPHラジカルの合計は、5 3.13μmolであった。

[実施例18]
Alfa Aesar(ALF)社製マグネシウム パウダー(-100+ 200 メッシュ、 99.6%)50mgを第一剤、田中貴金 工業株式会社製のパラジウムコロイド4wt%溶 液を、藤沢市水道水をオルガノ社製イオン交 換カラムに通して処理した精製水にて200倍に 希釈し、そこにクエン酸を20%濃度になるよう に加えたもの950mgを第二剤とした。

第一剤と第二剤を混合したものを被験物質 とし、被験物質調整後、DPPHラジカル溶液を 被験物質の呈色変化を目視で観察しながら1m lずつピペットで滴下していった。呈色変化 確認できなくなるまでのDPPHラジカル溶液の 下量は、5g/L濃度のものが2mlと1g/Lのものが1m lであり、還元されたDPPHラジカルの合計は、2 7.83μmolであった。

[実施例19]
Alfa Aesar(ALF)社製マグネシウム パウダー(-100+ 200 メッシュ、 99.6%)50mgを第一剤、藤沢市水 水をオルガノ社製イオン交換カラムに通し 処理した精製水にクエン酸を20%濃度になる うに加えたもの950mgを第二剤とした。

第一剤と第二剤を混合したものを被験物質 とし、被験物質調整後、DPPHラジカル溶液を 被験物質の呈色変化を目視で観察しながら1m lずつピペットで滴下していった。呈色変化 確認できなくなるまでのDPPHラジカル溶液の 下量は、0.1mg/L濃度のものが5mlであり、還元 されたDPPHラジカルの合計は、1.27μmolであっ 。

[比較例6]
藤沢市水道水をオルガノ社製イオン交換カラ ムに通して処理した精製水に水素ガスのバブ リング処理を90分間行った飽和水素水に、田 貴金属工業株式会社製の白金コロイド4wt%溶 液を200mg/Lの白金コロイド濃度になるように えたもの1mlを被験物質とし、被験物質調整 、DPPHラジカル溶液を、被験物質の呈色変化 目視で観察しながら1mlずつピペットで滴下 ていった。呈色変化が確認できなくなるま のDPPHラジカル溶液の滴下量は、0.1mg/L濃度 ものが1mlであり、還元されたDPPHラジカルの 計は、0.25μmolであった。

[比較例7]
藤沢市水道水をオルガノ社製イオン交換カラ ムに通して処理した精製水に、皇漢堂製薬社 製日本薬局方アスコルビン酸を1000mg/Lになる うに加えたもの1mlを被験物質とし、DPPHラジ カル溶液を、被験物質の呈色変化を目視で観 察しながら1mlずつピペットで滴下していった 。呈色変化が確認できなくなるまでのDPPHラ カル溶液の滴下量は、5g/L濃度のものが1mlと1 g/Lのものが1mlであり、還元されたDPPHラジカ の合計は、15.18μmolであった。

[参考例4]
藤沢市水道水をオルガノ社製イオン交換カラ ムに通して処理した精製水に水素ガスのバブ リング処理を90分間行った飽和水素水1mlを被 物質とし、被験物質調整後、DPPHラジカル溶 液を、被験物質の呈色変化を目視で観察しな がら1mlずつピペットで滴下していったところ 、最も薄い濃度である0.1g/L濃度のDPPHラジカ 溶液を1mlも透明にすることができなかった

[参考例5]
田中貴金属工業株式会社製の白金コロイド4wt %溶液を、藤沢市水道水をオルガノ社製イオ 交換カラムに通して処理した精製水にて200 に希釈し、そこにクエン酸を20%濃度になる うに加えたものを1ml被験物質とし、被験物 調整後、DPPHラジカル溶液を、被験物質の呈 変化を目視で観察しながら1mlずつピペット 滴下していったところ、最も薄い濃度であ 0.1g/L濃度のDPPHラジカル溶液を1mlも透明にす ることができなかった。

[参考例6]
田中貴金属工業株式会社製の白金コロイド4wt %溶液を、藤沢市水道水をオルガノ社製イオ 交換カラムに通して処理した精製水にて200 に希釈したもの1mlを被験物質とし、被験物 調整後、DPPHラジカル溶液を、被験物質の呈 変化を目視で観察しながら1mlずつピペット 滴下していったところ、最も薄い濃度であ 0.1g/L濃度のDPPHラジカル溶液を1mlも透明にす ることができなかった。

[電子スピン共鳴法(ESR)によるヒドロキシラジ カル(OHラジカル)消去測定]
 以下では、活性水素によるヒドロキシラジ ルの消去を電子スピン共鳴法によって測定 た。

OHラジカル発生系について
  OHラジカル発生系には、フェントン反応系 と過酸化水素の光分解系がある。前者ではFe( II)と過酸化水素の反応よってOHラジカルとFe(I II)が生成する。測定系に強力な還元剤が共存 した場合、OHラジカル消去のほかに、Fe(III)の 再還元を引き起こし、残っていた過酸化水素 と反応してさらなるOHラジカルの生成を引き こす危険性がある。

 そのため、今回の評価には、過酸化水素 光分解を使用した。

実験
2-1 試薬について
  過酸化水素は、原液30%(和光純薬工業株式 社製)を純水で希釈して、75 mMの水溶液を調 製した。スピントラップ剤には5,5-ジメチル-1 -ピロリン-N-オキシド(DMPO、ラボテック株式会 社製)を使用し、純水を用いて1 M濃度の水溶 を調製した。クエン酸水溶液は、藤沢市水 水をオルガノ社製イオン交換カラムに通し 処理した精製水にクエン酸を10wt%濃度にな ように加えたものを使用した。マグネシウ (Mg)は、Alfa Aesar(ALF)社製のマグネシウムパウ ダー(-100+200 メッシュ、99.6%)を使用した。

2-2 装置
  ESRスペクトルの測定には、日本電子製JES-F R30 フリーラジカルモニターを使用した。測 の条件は次のとおりである。磁場:336 ± 5  mT、マイクロ波出力:4 mW、磁場変調:0.1 mT、 幅率:適宜調整。内部標準として、マンガン ーカーを使用して低磁場側から3本目と4本 を信号を前述の磁場の範囲内に記録するよ に調整した。紫外線および可視光線を照射 るために、キセノンランプ(HAYASHI製、ルミナ ーエース、LA-100UV)を用い、10000 lxの照度で照 射を行った。

2-3 測定手順
  OHラジカルを発生させて、DMPO-OHなどのア クトを生成する方法は次の手順に従った。 ラス製試験管に、クエン酸160 mL、DMPO水溶液 20 mL、過酸化水素水 20 mLを採り、キセノン ンプで5 s間、光照射を行った。直ちに、ヘ マトクリット管に溶液を採取して約30 s後に ESRスペクトルの測定を開始した。発泡するM g系では、ガラス製試験管に該当する金属系 末5 mgをとり、そこにあらかじめ混合してお いた上記のクエン酸160 mL、DMPO水溶液20 mL、 酸化水素水 20 mL(全量が200 mL)を加え、直 に光照射を5 s間行った。発泡がやや落ち着 た後に、溶液をヘマトクリット管に移し、 30 s後にESRスペクトルの測定を行った。

結果および考察
3-1  OHラジカル発生系について
図7に示すように、クエン酸160 mL、DMPO水溶液 20 mL、過酸化水素水 20 mLの各種溶液濃度、 射光強度、照射時間という条件では、比較 再現性のよいDMPO-OHのESR信号強度が得られた 。その濃度は約0.1 mMであると推定される。 お、g値は、2.0055であった。

3-2  Mg系について
  図9に示すように、DMPOアダクトのESRスペク トルが得られた。DMPO-OH、及び、水素ガス生 の初期段階における活性水素(発生期状態の 素)に由来するDMPO-Hの信号が生成しているこ とを示している(参考:図10)。DMPO-Hの信号は全 で9本観測され、そのうち最も低磁場に現れ るのが、マンガンマーカーのすぐ右側のもの である。ノイズが重なっており解析が難しい が、DMPO-OHとDMPO-Hが確実に観測されている。

 また、図7のコントロール系と比較して、 明らかにDMPO-OHの信号強度が減少している(最 低磁場側の信号を比較)。この減少分がOHラ カルを消去したものと言える。

 なお、図8は、水素ガスが生成する初期段 階としての発泡サイトではなく、発泡サイト から距離的に離れたいわゆる上澄み液を観測 したESRスペクトルである。図7のコントロー 系と比較してDMPO-OHの信号強度は減少してお ず、またDMPO-Hの信号も観測されない。

 このことからも、本発明の外用剤におい は、該外用剤によって発生した水素分子(あ るいは水素分子を含む溶液)を皮膚または粘 に接触させるのではなく、外用剤そのもの 皮膚または粘膜に留め部位において水素(活 水素)発生させるか、または水素(活性水素) 発生している過程のいずれかで部位に接触 せることが重要であることがわかる。発生 終了してしまった段階で外用剤を皮膚に接 させても、(水素分子は部位に触れる可能性 があるとしても、)水素が発生(発泡)すること に由来する発生期状態の水素の効果は期せな いからである。

 なお、本願における活性水素という概念 、触媒によって活性化された水素分子(原子 状水素やヒドリドイオン)を含むのみならず ヒドロキシラジカル等酸化力の強いラジカ によって水素分子が強制的に酸化(水素引き き)された態様をも含む概念であることは先 に述べたが、さらに本実験により示されたよ うな「発生期状態」の水素、すなわち、金属 や金属の水素化物等の活性水素発生剤より水 素が発生する瞬間における原子状水素、ヒド リドイオン、または電子そのもの等をも含む 概念であることは言うまでもない。

[治療又は予防のための外用剤作成方法:組成 の追加]
 以下、これに限るものではないが、本発明 、触媒を含まない外用剤として構成した場 における組成例を挙げる。なお、上述のマ ネシウム粉MG100を用いた組成例ともども本 成例においても、外用剤としての使い勝手 剤形バランス(デュアルディスペンサー容器 ら均等量で押し出すか、または、カプセル の第一剤を溶液状の第二剤内で粉砕するか ど)等を考慮し、第一剤と第二剤は、第一剤 を1としたとき、第二剤は重量比で0.001~10000、 好ましくは0.01~1000、より好ましくは0.1から100 、特に好ましくは0.5~50の割合で使用すること を想定しているが、これに限るものではない 。

第一剤:
Atomized magnesium powder(-400メッシュ)(Tangshan Weih ao Magnesium Powder Co., Ltd.製)2.0wt%
ヒドロキシプロピルセルロース(日本曹達株 会社)2.0wt%
グリセリン(東豊薬品株式会社)10.0wt%
カルファ(グレープフルーツシード抽出エキ 、防腐剤)(カルファケミカル株式会社)0.05wt%
AEROSIL200(日本アエロジル株式会社)2.0%
ジメチルスルホキシド(和光純薬工業株式会 )42.0wt%
精製水41.95wt%
あるいは、
第一剤:
水素化マグネシウム(Alfa Aesar)1.0wt%
メトローズ(メチルセルロース)SNB-30T(信越化 工業株式会社)2.0wt%
グリセリン(東豊薬品株式会社)10.0wt%
AEROSIL200(日本アエロジル株式会社、沈降防止 )1.0%
カルファ(グレープフルーツシード抽出エキ 、防腐剤)(カルファケミカル株式会社)0.05wt%
ジメチルスルホキシド(和光純薬工業株式会 、非プロトン性溶媒)83.95wt%
第二剤:
クエン酸(和光純薬工業株式会社)10.0wt%
ヒドロキシプロピルセルロース(日本曹達株 会社)0.5wt%
グリセリン(東豊薬品株式会社)5.0wt%
カルファ(グレープフルーツシード抽出エキ 、防腐剤)(カルファケミカル株式会社)0.05wt%
精製水84.45wt%
本組成例のように粘度を持たせた外用剤を構 成する場合、第一剤中の金属または金属の水 素化物などの活性水素発生剤の含有量は、効 果や粒子の分散性等を考慮し、0.001~100wt%、好 ましくは0.01~50wt%、より好ましくは0.10~25wt%、 に好ましくは0.25~10wt%であるが、これに限る ものではない。また、第二剤中に酸を含有さ せる場合、その含有量は、使用する金属また は金属の水素化物の反応性や酸のプロトン供 与性等を考慮し、0.01~99wt%、好ましくは0.25~90w t%、より好ましくは0.5~60wt%、特に好ましくは1 ~30wt%であるが、これに限るものではない。ま た、本組成例では含まれていないが、上述の 組成例のように、第二剤中に触媒として白金 などの貴金属微粒子を含有させる場合、その 含有量は、反応速度や材料コスト等を考慮し 、0.005~500000mg/L、好ましくは0.05~50000mg/L、より 好ましくは0.5~5000mg/L、特に好ましくは5~500mg/L であるが、これに限るものではない。また、 第一剤中に沈降防止剤を含有させる場合、そ の含有量は、使用する金属または金属の水素 化物の比重や使用量等を考慮し、0.01~50wt%、 ましくは0.25~25wt%、より好ましくは0.5~12.5wt% 特に好ましくは0.75~6.25wt%であるが、これに るものではない。また、第一剤中に非プロ ン性溶媒または無極性溶媒を含有させる場 、その含有量は、金属または金属の水素化 の使用量やプロトン性溶媒との反応性等を 慮し、1wt%以上、好ましくは25wt%以上、より ましくは50wt%以上、特に好ましくは75wt%以上 あるが、これに限るものではない。
また、
第一剤の粘度(剤温20℃、東機産業株式会社製 TVB-10形粘度計にて測定)は、剤状やチクソ性 どを考慮し、1~64000000mPA・s、好ましくは10~640 0000mPA・s、より好ましくは100~640000mPA・s、特 好ましくは1000~64000mPA・sであるが、これに限 るものではない。第二剤の粘度(剤温20℃、東 機産業株式会社製TVB-10形粘度計にて測定)は 剤状やチクソ性などを考慮し、1~64000000mPA・s 、好ましくは2~6400000mPA・s、より好ましくは3~ 640000mPA・s、特に好ましくは4~64000mPA・sである が、これに限るものではない。また、第一剤 と第二剤の混合物の粘度(剤温20℃、東機産業 株式会社製TVB-10形粘度計にて第一剤と第二剤 を混合し72時間以上放置した混合物を測定)は 、皮膚や粘膜への滞留性や使用感を考慮し、 1.25~256000mPA・s、好ましくは2.5~192000mPA・s、よ 好ましくは5~128000mPA・s、特に好ましくは10~6 4000mPA・sであるが、これに限るものではない

[第一剤の溶媒に非プロトン性溶媒または無 性溶媒を混合することによる金属または金 の水素化物の経時的劣化抑制試験]
水素化カルシウムなど著しい反応性を有する 化合物を除けば、酸と反応し水素を発生する 金属または金属の水素化物は、水道水など中 性~アルカリ領域のpHを有するプロトン性溶媒 とは非常に反応し難い。しかし一方で、こう した金属または金属の水素化物であっても、 たとえば水中に分散しておけば僅かとはいえ 水素を発生するため、経時的には、第一剤中 の作用成分である金属または金属の水素化物 は失われていくと言える。したがって、上述 のような粒子表面への不動態被膜形成や、プ ロトン性溶媒の非プロトン性溶媒や無極性溶 媒への一部置き換えが重要になってくるのだ が、ここでは、第一剤中のプロトン性溶媒で ある水を、非プロトン性溶媒であるジメチル スルホキシド(DMSO)へ段階的に置き換えていっ た場合における容器ヘッドスペースの水素濃 度を比較することによって、非プロトン性溶 媒が金属または金属の水素化物の経時的減衰 をどのように抑えるかを示す。なお、本実験 の目的は上述のようなものであるため、本実 験内で記述される水素量は、当該金属または 金属の水素化物が発生させる実際の水素量と はあまり相関がないことを付言しておく。事 実、本実験は、下記に記すようなハンドメイ ドな、緩い環境下で行われたが、容器ヘッド スペースの水素量を正確に測ることを目的と するのであれば、下述の水上置換法等を採用 すべきであることは言うまでもない。

1.試験手順
420cc容量のガラス容器に各試験物質を入れ、 口部をポリ塩化ビニリデン製ラップで覆っ 。さらにその上をアルミホイルで覆い、ア ミホイル上から容器周囲を輪ゴムで堅く固 することで準密閉状態を作成した。約17時 後、慎重にラップとホイルに穴を開けホー を差込み、ガラス容器のヘッドスペース部 溜まった水素濃度を、東亜ディーケーケー 式会社製の溶存水素計『DHDI-1』で測定した 本来、溶存水素計は液相にある溶存水素を 定するための装置だが、試験物質に分散す 水素化マグネシウムをポンプで吸い上げ機 を故障させることを避けるため、また、本 験の目的が正確な水素量測定にはないこと 鑑みこのような方法を採った。

2.試験物質
試験物質1:DMSO(和光純薬工業株式会社製)17.50g 水素化マグネシウム(Alfa Aesar社製)0.25g、藤 市水道水をオルガノ社製イオン交換カラム 通して処理した精製水7.50g。

試験物質2:DMSO(和光純薬工業株式会社製)12.5 0g、水素化マグネシウム(Alfa Aesar社製)0.25g、 沢市水道水をオルガノ社製イオン交換カラ に通して処理した精製水12.50g。

試験物質3:DMSO(和光純薬工業株式会社製)7.50 g、水素化マグネシウム(Alfa Aesar社製)0.25g、 沢市水道水をオルガノ社製イオン交換カラ に通して処理した精製水17.50g。

試験物質4:DMSO(和光純薬工業株式会社製)0.00 g、水素化マグネシウム(Alfa Aesar社製)0.25g、 沢市水道水をオルガノ社製イオン交換カラ に通して処理した精製水25.00g。

3.結果及び考察
試験物質1を入れたガラス容器ヘッドスペー の水素濃度は、0.002ppmであった。試験物質2 入れたガラス容器ヘッドスペースの水素濃 は、0.007ppmであった。試験物質3を入れたガ ス容器ヘッドスペースの水素濃度は、0.017ppm であった。試験物質4を入れたガラス容器ヘ ドスペースの水素濃度は、0.058ppmであった。

本試験結果が示すように、金属または金属 の水素化物を含む剤(第一剤)は、溶媒(分散媒 )として、非プロトン性溶媒又は無極性溶媒 含む量が多ければ多いほど、水素を発生さ ないことが示された。すなわち、本発明が 多剤を接触させることで活性水素を発生さ る構成を有する場合は、金属または金属の 素化物を含む剤は、溶媒(分散媒)内では安定 した状態を保っていることが望ましいことは 言うまでもないから、第一剤のプロトン性溶 媒を、外用剤としての使い勝手やコスト等を 考慮しながら、適宜非プロトン性溶媒又は無 極性溶媒に置き換えることが望ましい。         第一剤中におけるプロトン性溶媒に する非プロトン性溶媒又は無極性溶媒の重 比は、プロトン性溶媒を1としたとき、0以上 、1以上、2以上、3以上、4以上、5以上、6以上 、7以上、8以上、9以上、10以上で望ましいほ 、第一剤中における溶媒(分散媒)の全量ま はほぼ全量が非プロトン性溶媒又は無極性 媒であってもよい。

[水上置換法による金属マグネシウム及び水 化マグネシウムからの水素発生量の測定(神 川県産業技術センター)]
1.試験方法
適宜な容量のフラスコを設置するとともに、 ガラス管を、フラスコヘッドスペース部から 、フラスコ脇の水の入ったビーカーに倒立し て設置されたメスシリンダーまで延ばした。 はじめに出てきた気体を捨てた後、フラスコ 内に各試験物質を、金属、溶液の順に入れた 。メスシリンダーヘッドスペース部に溜まっ た気体容積を、メスシリンダーの目盛りより 測定した。

2.試験物質
試験物質1.金属:金属マグネシウム(ALFA Aesar社 )(粒径150μm以下)0.5g、溶液:藤沢市水道水をオ ガノ社製イオン交換カラムに通して処理し 精製水30g
試験物質2.金属:金属マグネシウム(ALFA Aesar社 製)(粒径150μm以下)0.5g、溶液:藤沢市水道水を ルガノ社製イオン交換カラムに通して処理 た精製水にクエン酸(和光純薬工業株式会社 製)を5重量%になるよう溶かした溶液30g
試験物質3.金属:金属マグネシウム(ALFA Aesar社 製)(粒径150μm以下)0.5g、溶液:藤沢市水道水を ルガノ社製イオン交換カラムに通して処理 た精製水にクエン酸(和光純薬工業株式会社 製)を10重量%になるよう溶かした溶液30g
試験物質4.金属:水素化マグネシウム(ALFA Aesar 社)0.5g、溶液:藤沢市水道水をオルガノ社製イ オン交換カラムに通して処理した精製水30g
試験物質5.金属:水素化マグネシウム(ALFA Aesar 社)0.5g、溶液:藤沢市水道水をオルガノ社製イ オン交換カラムに通して処理した精製水にク エン酸(和光純薬工業株式会社製)を10重量%に るよう溶かした溶液30g
3.結果及び考察
試験物質1は、およそ10分後をピークに5mLの水 素を、試験物質2は、およそ10分後をピークに 280mLの水素を、試験物質3は、およそ2.5分後を ピークに485mLの水素を、試験物質4は0mLの水素 を、試験物質5は、およそ12分後をピークに840 mLの水素を発生させた。上述したように、金 マグネシウム10gより発生する水素量は計算 830mgであるが、同様に換算すると、金属マ ネシウム10gあたり、試験物質1は8.9mg、試験 質2は500mg、試験物質3は866mgの水素を発生さ たことになる。つまり、金属マグネシウム0. 5gを溶かしきるのに必要な溶液としては、試 物質3、すなわちクエン酸10重量%溶液30gが妥 当であることが想定される。さらにここから 計算し、金属マグネシウム1gを溶かしきるの 必要な溶液としては、クエン酸10重量%溶液6 0g、あるいはクエン酸20重量%溶液30gなどであ ことが想定される。同様の仕方で、どのよ な金属、どのような酸を用いるのであれ、 属量、酸濃度、酸溶液量を変数として、該 属と該酸の大よその最適量/濃度バランスが 算出可能である。すなわち、金属または金属 の水素化物と水などのプロトン性溶媒との化 学反応式から、該金属または金属の水素化物 の適当量が常温・常圧下で発生させ得る水素 量の理論値を得る。合わせて、水上置換法な ど水素量または体積測定方法を用いて、該金 属をクエン酸など適宜な酸で反応させた際に 前記理論値に近似する値を得られる、該金属 の量、該酸の濃度、該酸の溶液(該酸を前記 ロトン性溶媒に溶かした溶液)の量を変数と る関数を得る。該関数に基づき、該金属の 、該酸の濃度、該酸の溶液のいずれか2つの 変数に適宜な数値を代入したときの、残りの 1つの変数を計算する作業を通じて、外用剤 使用する金属または金属の水素化物の使用 、酸の濃度、及び酸の溶液の量を、発生さ たい水素量(濃度)や各成分の配合バランスを 考慮しながら、適宜調整することが可能であ る。たとえば、水素化マグネシウムと水の化 学反応式は下記である:
MgH2+2H2O→Mg(OH)2+2H2
すなわち、水素化マグネシウム1mol(26g)に対し 、水素2mol(4g)が理論上発生する。言い換えれ 、水素化マグネシウム0.5gに対し、76.923mgの 素が理論上発生する。上述したように、本 験で、試験物質4は0mLの水素を、試験物質5 840mLの水素を発生させた。試験物質5におけ 840mLの水素はとは重量にして75mgであるので この値は理論値に近似する。つまり、水素 マグネシウム0.5gはクエン酸10重量%水溶液30g 理論値に近似する水素発生量を示した。こ から、例えば、水素化マグネシウムを1gに クエン酸溶液を15g用いる場合は、クエン酸 濃度はほぼ40重量%が適切であることが想定 れる。あるいは例えば、クエン酸の濃度を5 量%にし、クエン酸溶液の量を10gにするなら ば、水素化マグネシウムの使用量はほぼ83mg 適切であることが想定される。このように 本方法を用いれば、発生させたい水素量(濃 )や各成分の配合バランスを考慮しながら、 外用剤の組成を適宜調整することが可能であ る。なお、本発明における外用剤においては 、金属または金属の水素化物を含有する剤( 一剤)と、プロトン性溶媒(必要に応じて酸) 含有する剤(第二剤)を混合したとき、該混合 物1gにつき、少なくとも計算上、(20℃、1気圧 における飽和水素水1gに含まれる水素量であ )約0.0016mg以上の水素が発生することが望ま い。この濃度以下では、単に飽和水素水を 布したほうが良いということになるからで る。また、使い勝手や安全性を考慮すると 1000mg程度までの水素発生量が望ましい。す わち、第一剤と第二剤を混合した混合物に する水素発生量は、0.0016mg/g~1000mg/g、好まし くは0.016~100mg/g、より好ましくは0.16~10mg/gであ る。基本的に、外用剤よりの水素発生量は、 金属または金属の水素化物より計算すること ができるので、望まれる水素を発生させる金 属または金属の水素化物の量を念頭に置きつ つ、上述の方法を使用することで、より適切 に、金属または金属の水素化物の量と、酸の 濃度と、酸の溶液の量を調整することが可能 である。なお、その際、容器内での取り扱い 上の安全性を考慮し、第一剤より計算上発生 する水素分子が、第一剤を含む容器内におい て、1ppm~100容量%、好ましくは100ppm~80容量%、 り好ましくは0.1~4容量%、特に好ましくは1~4 量%の範囲に収まるように(後述の簡易水素発 生器の実施形態で記載される説明などを参考 にして)金属または金属の水素化物の量が調 されていることは望ましいことである。

以下、代表的な実施形態の追加例を挙げる 。

本発明によれば、第一剤としてマグネシウ ム等金属または金属の水素化物、第二剤とし て水等プロトン性溶媒(必要に応じて酸を含 )、及び第一剤と第二剤が混合しそこで活性 素または水素分子が発生する容器(ガス難透 過性容器または水素ガス難透過性容器が望ま しい)から成る治療または予防のための簡易 素発生器を構成することができる。すなわ 、使用時に、第一剤と第二剤を容器内に投 ・混合し水素を発生させるとともに、使用 は、容器上部の水素吹き出し口を介して、 るいは吹き出し口に設置されたチューブや スク等を介して水素を含む気体や蒸気等を 取する。こうした発生器は、加湿器、ガス ンベ、吸入器、ネブライザー等気体や蒸気 を摂取することを目的とする機器に応用可 であるとともに、そうした機器の機構を適 利用することができる。なお、取扱い上の 全性を考え、第一剤中の金属または金属の 素化物は、粉塵爆発防止剤が配合されてい か、もしくは腐食防止処理を施されている 、または液(特に非プロトン性溶媒や無極性 媒を含む液)中に分散されているか、もしく はアルカリ性の液中に分散されている等の爆 発防止処理が施されていることが望ましい。 また、効果や取扱い上の安全性を考え、第一 剤と第二剤を混合した際に発生する水素ガス 濃度は、1ppm~100容量%、好ましくは100ppm~80容量 %、より好ましくは0.1~4容量%、特に好ましく 1~4容量%の範囲に収まるよう、金属または金 の水素化物の粒径や使用量、または酸の濃 や溶液の使用量などが適宜調製されている とが望ましい。こうした成分使用量や濃度 調製には、上述の[水上置換法による金属マ グネシウム及び水素化マグネシウムからの水 素発生量の測定]に記載される方法が応用で る。たとえば、容量500mLの容器に4容量%の水 を含ませる場合、第一剤と第二剤の反応に って発生する水素は20mL(約1.8mg)でなければ らない。第一剤に金属マグネシウムを使用 ると仮定すると、上述の[水上置換法による 属マグネシウム及び水素化マグネシウムか の水素発生量の測定]に記載されるように、 金属マグネシウム10gより発生する水素量は計 算上830mgであるから、1.8mgの水素を発生させ ためには、理論上、約21.7mgの金属マグネシ ムを必要とする。また、同様に上述の[水上 換法による金属マグネシウム及び水素化マ ネシウムからの水素発生量の測定]に記載さ れるように、第二剤にクエン酸溶液を使用す ると仮定すると、金属マグネシウム0.5gを溶 しきるのに必要な溶液としては、クエン酸10 重量%溶液30gが妥当であることが想定される ら、ここから計算し、金属マグネシウム約21 .7mgを溶かしきるのに必要な溶液としては、 エン酸10重量%溶液約1.3gなどであることが想 される。また、同様に上述の[水上置換法に よる金属マグネシウム及び水素化マグネシウ ムからの水素発生量の測定]に記載されるよ に、ここで水素ガスはおよそ2.5分かけて発 することが分かっているから、金属マグネ ウムを約21.7mg含有する第一剤とクエン酸10重 量%溶液約1.3gを含有する第二剤を1回使用量と し、第一剤と第二剤を混合することで発生す る水素ガスを約2.5分かけて吸入するという発 生器の仕様を、例えば決定することができる 。こうした簡易水素発生器は、発生した水素 ガスがフリーラジカルや活性酸素種に酸化さ れることを通じて活性化するため、例えば、 咽喉または肺の炎症抑制、アンチエイジング または美容の維持向上、激しい運動、虚血再 還流障害、外科手術、または臓器移植等に由 来する急性的な酸化ストレスの抑制、飲酒、 喫煙、または日光浴等に由来する慢性的な酸 化ストレスの抑制などを用途とするが、これ に限るものではない。

 なお、本明細書において、「外用剤」は、 膚や粘膜に適用するものであれば特に限定 れず、化粧料、医薬品、医薬部外品等を含 。また、その剤型も、水溶液系、可溶化系 乳化系、油液系、ゲル系、ペースト系、軟 系、エアゾール系、気相系、水-油2層系、 -油-粉末3層など、任意の剤型を含む。また ガーゼ、フィルム、シート、不織布、など 含浸させて皮膚に貼付して使用してもよい またその使用形態も任意で
あり、例えば化粧水、化粧油、乳液、クリー ム、パック、美容液、日焼け止め、化粧下地 、ファンデーション、マッサージ剤、美容剤 、爪クリーム、歯磨き粉、口腔清浄液、パッ チ又は噴霧剤等任意の形態で使用できる。