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Patent Searching and Data


Title:
FASTENER FOR THERMAL INSULATION LAYER, FIRING FURNACE AND PROCESS FOR PRODUCING HONEYCOMB STRUCTURE WITH FIRING FURNACE
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/118863
Kind Code:
A1
Abstract:
A fastener for thermal insulation layer that has a novel structure such that in the event of the occurrence of breakage or other failures on a fastener for fixing of thermal insulation layer, allows easily replacing of the fastener for fixing of thermal insulation layer within a short period of time. The fastener for thermal insulation layer is one used for, in a firing furnace including a muffle provided so as to secure a space for accommodating a ceramic molding, a heat generator disposed outside the muffle and a thermal insulation layer provided so as to enclose the muffle and the heat generator, fixing of the above thermal insulation layer. The fastener for thermal insulation layer is characterized in that it includes a shaft rod part and a stopper provided at the distal end of the shaft rod part, and that while the fastener for thermal insulation layer is linear when inserted through a through-hole for fastener provided in the thermal insulation layer, after passage of its distal end through the through-hole for fastener, the stopper expands in the direction approximately perpendicular to the shaft rod part to thereby function as a member for fixing the thermal insulation layer.

Inventors:
HIROSHIMA YUICHI (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/055938
Publication Date:
October 01, 2009
Filing Date:
March 27, 2008
Export Citation:
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Assignee:
IBIDEN CO LTD (JP)
HIROSHIMA YUICHI (JP)
International Classes:
F27D1/10; C04B35/64; F27B5/08; F27D1/14
Domestic Patent References:
WO2006016430A12006-02-16
Foreign References:
JPS57111840U1982-07-10
JPS6449886A1989-02-27
JPS5857700U1983-04-19
JPS54167139U1979-11-24
JPH0225686A1990-01-29
Attorney, Agent or Firm:
YASUTOMI, Yasuo et al. (JP)
Yasuo Yasutomi (JP)
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Claims:
セラミック成形体を収用する空間を確保するように形成されたマッフルと、該マッフルの外側に配置された発熱体と、前記マッフルと前記発熱体とを含むように設けられた断熱層とを備えた焼成炉の前記断熱層の固定に用いられる断熱層用止め具であって、
軸棒部と該軸棒部の先端に設けられたストッパーとからなり、
前記断熱層用止め具は、前記断熱層に設けられた止め具用貫通孔に挿通される際には、直線状であり、
その先端部が前記止め具用貫通孔を挿通した後、前記ストッパーが前記軸棒部に略垂直な方向に拡がり、前記断熱層を固定する部材として機能することを特徴とする断熱層用止め具。
前記断熱層用止め具を構成するストッパーは、半円筒状であり、前記軸棒部の先端に中央部が回転可能に軸支されている請求項1に記載の断熱層用止め具。
前記止め具の軸棒部は、カーボンからなる請求項1又は2に記載の断熱層用止め具。
前記止め具の軸棒部は、前記セラミック成形体に含まれるセラミック粉末と同じ材料から形成されている請求項1又は2に記載の断熱層用止め具。
前記止め具のストッパーは、カーボン、金属、又は、セラミックからなる請求項1~4のいずれかに記載の断熱層用止め具。
セラミック成形体を収用する空間を確保するように形成されたマッフルと、該マッフルの外側に配置された発熱体と、前記マッフルと前記発熱体とを含むように設けられた断熱層と、前記断熱層を固定するための複数の断熱層用止め具とを備えた焼成炉であって、
前記止め具のうち少なくとも一の止め具として、請求項1~5に記載の断熱層用止め具が用いられていることを特徴とする焼成炉。
前記断熱層は、複数の断熱層からなり、前記複数の断熱層の最外層は、カーボン繊維層からなる請求項6に記載の焼成炉。
セラミック成形体を作製する工程と、
作製されたセラミック成形体を、請求項6又は7に記載の焼成炉に搬入して焼成を行い、セラミック焼成体を製造する工程とを含むことを特徴とするハニカム構造体の製造方法。
前記セラミック焼成体は、炭化珪素質材料からなる請求項8に記載のハニカム構造体の製造方法。
Description:
断熱層用止め具、焼成炉及び該 成炉を用いたハニカム構造体の製造方法

本発明は、断熱層用止め具、焼成炉及び該 焼成炉を用いたハニカム構造体の製造方法に 関する。

バス、トラック等の車両や建設機械等の内 燃機関から排出される排気ガスを浄化するた めの排気ガス浄化用ハニカムフィルタや、触 媒担持体が種々提案されている。

このような排気ガス浄化用ハニカムフィル タ等として、極めて耐熱性に優れた炭化珪素 等の非酸化物系セラミック多孔質体からなる ハニカム構造体が用いられている。

従来、例えば、特許文献1や特許文献2には、 の種の非酸化物セラミック製部材を製造す ための焼成炉が記載されている。
特許文献1に記載のように、このような非酸 物セラミック部材を製造する焼成炉は、該 成炉内にマッフルやヒータ等を備えるとと に、マッフル及びヒータを内部に含むよう 設けられた断熱部材からなる断熱層を備え いる。

また、このような焼成炉では、断熱層は止 め具により固定されている。そして、この止 め具には、特許文献1や特許文献2に示すよう 、耐熱性に優れたカーボン製のボルト、ナ トや、特許文献3に開示されているボルト、 ナットが用いられている。

しかしながら、長時間に亘って上述した止 め具を備えた構造の焼成炉を使用していると 、断熱層内の断熱層の外側に近い部分で、非 酸化物系セラミック部材を焼成する際の反応 により発生したガス等に起因して止め具の酸 化反応が進行してしまうため、止め具が機械 的、化学的に劣化し、破断等が生じてしまう ことがある。そして、このような破断等が生 じると、断熱材を固定することができなくな るので、断熱層の熱変形等が発生し、断熱性 能が大きく低下してしまい、その結果、焼成 された製品の品質がばらつく要因となるとい う問題があった。

このように止め具が破断した際には、止め 具を交換するのが望ましいが、止め具がボル ト及びナットからなる場合には、ボルトを断 熱材のボルト挿入用貫通孔に挿入した後、内 側と外側からナットを螺着し、このナットを 回転させることにより断熱材を締め付ける必 要がある。

しかしながら、断熱層等が設置された焼成 炉では、一旦、断熱層やその周囲の設備を取 り外さないと、断熱層の外側からナットを螺 着させることは難しい場合が多く、これら断 熱材等を一旦取り外す作業を行った場合には 、焼成炉を長時間使用することができなくな るため、生産効率が低下してしまうという問 題があった。特に焼成炉の下側の断熱層の取 り外しは、極めて困難な作業である。

WO2006/016430パンフレット

特開昭63-302292号公報

実願昭60-99352号(実開昭62-8406号公報)

本発明は、これらの問題を解決するために なされたものであり、断熱層を固定する止め 具に破断等の不都合が生じた場合にも、短時 間で容易に断熱層を固定する止め具を取り替 えることが可能な新たな構造の断熱層用止め 具、該断熱層用止め具が使用された焼成炉、 及び、該焼成炉を使用したハニカム構造体の 製造方法を提供することを目的とする。

すなわち、請求項1に記載の断熱層用止め具 、セラミック成形体を収用する空間を確保 るように形成されたマッフルと、該マッフ の外側に配置された発熱体と、上記マッフ と上記発熱体とを含むように設けられた断 層とを備えた焼成炉の上記断熱層の固定に いられる断熱層用止め具であって、
軸棒部と該軸棒部の先端に設けられたストッ パーとからなり、
上記断熱層用止め具は、上記断熱層に設けら れた止め具用貫通孔に挿通される際には、直 線状であり、
その先端部が上記止め具用貫通孔を挿通した 後、上記ストッパーが上記軸棒部に略垂直な 方向に拡がり、上記断熱層を固定する部材と して機能することを特徴とする。

請求項1記載の断熱層用止め具は、断熱層に けられた止め具用貫通孔に挿通される際に 、直線状であり、その先端部が上記断熱層 挿通した後、ストッパーが稼動して軸棒部 略垂直な方向に拡がり、上記断熱層を固定 る部材として機能するようになっている。
従って、稼動中の焼成炉に設けられた断熱層 の止め具に不具合が発生した場合、本発明の 断熱層用止め具を用いると、断熱層等の焼成 炉内の設備を解体せずに修理することができ る。すなわち、断熱層の止め具を交換し、新 たな断熱層の止め具で断熱層を固定すること ができる。このため、請求項1記載の断熱層 止め具によれば、焼成炉の生産効率を低下 せずにセラミック成形体の焼成を効率良く うことができる。

また、止め具用貫通孔の内部に損傷した止 め具の一部が残留している場合にも、断熱層 用止め具の先端又はストッパーで残留してい る止め具の一部を押し出し、断熱層から止め 具の一部を取り除くことができるため、焼成 炉内の設備を解体せずに容易に止め具の交換 を行うことができる。

また、請求項2に記載の断熱層用止め具に いて、上記断熱層用止め具を構成するスト パーは、半円筒状であり、上記軸棒部の先 に中央部が回転可能に軸支されていること 特徴とする。

請求項2に記載の断熱層用止め具を構成す ストッパーは、半円筒状であり、上記軸棒 の先端に中央部が回転可能に軸支されてい ので、断熱層に設けられた止め具用貫通孔 断熱層用止め具を挿通する際には、上記ス ッパーを上記軸棒部と平行になるように回 させることにより、図1(c)に示すように、上 ストッパーの一部が上記軸棒部に覆い被さ 、上記軸棒部と上記ストッパーの一部とが 体化した形態とすることができ、これによ 上記断熱層用止め具を直線状にすることが きる。従って、上述の形態とすることによ 、断熱層用止め具を止め具用貫通孔に容易 挿通することができ、一方、断熱層用止め を挿通させた後は、上記ストッパーの重量 を利用して、ストッパーを上記軸棒部に略 直になるように(T字形状に)し、ストッパー 設けられた端部と反対側の端部にナットを り付け、締め付けることにより、断熱層用 め具を断熱層にしっかりと固定することが きる。これより断熱層の修理(止め具の交換 )を迅速に行うことができる。

請求項3に記載の断熱層用止め具は、請求 1又は2に記載の断熱層用止め具であって、上 記断熱層用止め具の軸棒部は、カーボンから なることを特徴とする。

請求項3に記載の断熱層用止め具において 、上記止め具の軸棒部がカーボンからなる で、耐熱性を有するとともに、高温におい も機械的強度を維持することができ、かつ 断熱層と焼成炉中のガスとの反応が進行す こともなく、耐久性に優れる。

請求項4に記載の断熱層用止め具は、請求 1又は2に記載の断熱層用止め具であって、上 記断熱層用止め具の軸棒部は、上記セラミッ ク成形体に含まれるセラミック粉末と同じ材 料から形成されていることを特徴とする。

請求項4に記載の断熱層用止め具において 、上記止め具の軸棒部は、上記セラミック 形体に含まれるセラミック粉末と同じ材料 ら形成されているので、セラミック成形体 焼成する際に、該セラミック成形体に他の 純物等が混入するおそれがなく、品質に優 たセラミック焼成体を製造することができ 。また、焼成炉中のガスとの反応が進行す こともなく、耐久性に優れる。

請求項5に記載の断熱層用止め具は、請求 1~4のいずれかに記載の断熱層用止め具であ て、上記止め具のストッパーは、カーボン 金属、又は、セラミックからなることを特 とする。

請求項5に記載の断熱層用止め具において 、上記断熱層用止め具を用いて断熱層を固 した際には、上記ストッパーは、断熱層よ も外側に存在するので、温度が低くなって り、焼成により発生したガスも断熱層の外 に到達しにくく、カーボン、金属、又は、 ラミックにより先端部を構成しても焼成に り発生したガスの影響を受けにくく、長期 亘って断熱層を固定することができる。

請求項6に記載の焼成炉は、セラミック成形 を収用する空間を確保するように形成され マッフルと、該マッフルの外側に配置され 発熱体と、上記マッフルと上記発熱体とを むように設けられた断熱層と、上記断熱層 固定するための複数の断熱層用止め具とを えた焼成炉であって、
上記止め具のうち少なくとも一の止め具とし て、請求項1~5に記載の断熱層用止め具が用い られていることを特徴とする。

請求項6に記載の焼成炉においては、上記 め具のうち少なくとも一の止め具として、 求項1に記載の断熱層用止め具が用いられて り、止め具を取り替える修理を行った後の 成炉であっても、上記止め具により断熱層 正常な状態で固定されており、修理前と同 にセラミック成形体の焼成を問題なく行う とができ、品質に優れたセラミック焼成体 製造することができる。

請求項7に記載の焼成炉は、請求項6に記載 焼成炉であって、上記断熱層は、複数の断 層からなり、上記複数の断熱層の最外層は カーボン繊維層からなることを特徴とする

請求項7に記載の焼成炉においては、複数 断熱層の最外層は、断熱性能に優れたカー ン繊維層からなるので、断熱性能に優れた 熱層となり、効率よくセラミック成形体の 成を行うことができる。

請求項8に記載のハニカム構造体の製造方法 、セラミック成形体を作製する工程と、
作製されたセラミック成形体を、請求項7又 8に記載の焼成炉に搬入して焼成を行い、セ ミック焼成体を製造する工程とを含むこと 特徴とする。

請求項8に記載のハニカム構造体の製造方 においては、本発明の焼成炉を用いるので 止め具を取り替える修理を行った後であっ も、修理前と同様にセラミック成形体の焼 を問題なく行うことができ、品質に優れた ラミック焼成体を製造することができ、こ セラミック焼成体を1個又は複数個用いるこ により特性のばらつきの少ないハニカム構 体を製造することができる。

請求項9に記載のハニカム構造体の製造方 は、請求項8に記載のハニカム構造体の製造 法において、上記セラミック焼成体は、炭 珪素質材料からなることを特徴とする。

請求項9に記載のハニカム構造体の製造方 においては、上記セラミック焼成体が炭化 素質材料からなるので、耐熱性及び機械的 性に優れたハニカム構造体を製造すること できる。

(第一実施形態)
以下、本発明の断熱層用止め具、該断熱層用 止め具を備えた焼成炉及び該焼成炉を用いた ハニカム構造体の製造方法の一実施形態であ る第一実施形態について図面を参照しながら 説明する。

図1(a)は、本発明に係る断熱層用止め具の一 施形態を模式的に示す平面図であり、図1(b) 、上記止め具の正面図であり、図1(c)は、上 記止め具の側面図である。
また、図2は、図1に示した断熱層用止め具に いて、ストッパーが回転可能に軸支されて る部分(A)を模式的に示す部分拡大側面図で る。

図1に示すように、本実施形態に係る断熱 用止め具10は、主に軸棒部11と軸棒部11の先 に設けられたストッパー12とからなる。具体 的には、図2に示すように、軸棒部11の先端に 有底円筒形状のストッパー支持部材13が配設 固定されるとともに、このストッパー支持 材13の底部近傍に支持ピン14を挿通させるた めの貫通孔13aが形成され、この貫通孔13aに支 持ピン14が回転可能に挿通されている。そし 、支持ピン14の両端に半円筒形状のストッ ー12の内側部分が溶接等の方法により固定さ れている。支持ピン14が固定されている位置 、ストッパー12の中央部であり、従って、 持ピン14を含むストッパー12は、軸棒部11に 定されたストッパー支持部材13の貫通孔部分 で軸支されていることとなる。

断熱層用止め具10は、このような構成とな ているため、図1(b)に示すように、ストッパ ー12は、軸支された部分を中心に回転可能で り、ストッパー12が軸棒部11の長手方向に略 垂直な方向に拡がった状態、すなわち、略T 形状を示す状態とするか、又は、ストッパ 12が軸棒部11の長手方向に平行な状態、すな ち直線状とすることができる。

この断熱層用止め具10の軸棒部11は、カー ン製であり、この軸棒部11の両端には、ねじ が螺刻されており、同じくカーボン製のナッ ト15(図4参照)を螺着することができるととも 、金属製のストッパー支持部材13を螺着す ことができるようになっている。

また、ストッパー12、ストッパー支持部材1 3及び支持ピン14は、断熱層23に取り付けた際 断熱層23の外側に位置し、焼成により発生 る腐食性のガス等に直接接触することはな 、酸化等の劣化が生じにくいので、SUS、チ ン、アルミニウム等の金属により構成する とができる。

図3は、図1に示した断熱層用止め具の使用対 となる焼成炉を模式的に示す断面図である
この焼成炉20は、焼成用の成形体を収用する 間を確保するように形成されたマッフル21 、マッフル21の外周部の上下に配設されたヒ ータ22と、マッフル21及びヒータ22の外側に配 置された断熱層23と、断熱層23の外周部に配 され、断熱層23を固定するための断熱層取付 囲み部材29とを備えており、最も外側に金属 からなる炉壁(図示せず)が形成され、周囲 雰囲気と隔離することができるようになっ いる。なお、断熱層23は、炭素製の止め具27( ボルト27aとナット27b)で断熱層取付囲み部材29 に固定されている。
炉壁は、内部に水が循環するように構成され た水冷ジャケットであってもよく、ヒータ22 、マッフル21の上下に配設されてもよく、 右に配設されてもよい。

マッフル21は、支持部材(図示せず)により 部分の全体が支持されており、焼成用の成 体を内部に載置した焼成用治具25が通行でき るようになっている。マッフル21の外周部に 、グラファイト等からなるヒータ22が設置 れており、このヒータ22は、端子を介して外 部の電源(図示せず)と接続されている。また ヒータ22の更に外側には、断熱層23が設けら れている。

この焼成炉20では、断熱層23を固定する止 具27が炭素製又は炭素が被覆された金属であ るため、断熱層23と止め具27との反応を防止 ることができる。なお、カーボン部材層23a 23bは、カーボンを構成材料とする層であれ よく、その構成は特に限定されるものでは い。

図3に示したように、このような構成の焼 炉20で焼成を行う際には、多孔質セラミック からなるセラミック成形体を焼成用治具25内 収容し、支持台26上に載せて焼成炉20に搬入 し、一定速度で通過させながら焼成を行う。

焼成炉20は、マッフル21の上下にヒータ22が 所定間隔で配設されており、このヒータ22の により、焼成用治具25がその中を通行する 程で次第に高温になり、最高温度に達した 、徐々に温度が低下するように構成されて り、入口から連続的に焼成用治具25を載置し た支持台26を焼成炉20内に搬入し、一定速度 通過させながら焼結を行った後、出口から 度の低下した焼成用治具25を搬出して、セラ ミック焼成体を製造する。

しかしながら、長時間に亘って上述した構 造の焼成炉で止め具27を使用していると、断 層内の断熱層の外側に近い部分で、焼成に り発生した腐食性ガスにより止め具27との 応が進行してしまうため、止め具27が機械的 、化学的に劣化し、破断等が生じてしまうこ とがあり、止め具27を交換する必要がある。

しかしながら、図3に示す焼成炉20では、断 熱層23やその周囲の設備を取り外さないと、 熱層23の外側から止め具のボルト27aにナッ 27bを螺着させることは難しい場合が多く、 れら断熱材等を一旦取り外す作業を行った 合には、焼成炉を長時間使用することがで なくなるため、生産効率が低下してしまう いう問題があった。特に焼成炉の下側の断 層23の取り外しは、極めて困難な作業である 。

本発明では、本発明に係る断熱層用止め具10 用いることにより、容易かつ迅速に止め具 交換を行うことができる。
図4(a)~(c)は、断熱層用止め具10を断熱層23に配 設する様子を模式的に示す説明図である。
断熱層用止め具10を断熱層23に配設する際に 、まず、断熱層用止め具10の上端にナット15 螺着し、このナット15を有する断熱層用止 具10が直線状になるようにストッパー12の状 を設定する。すなわち、半円筒状のストッ ー12の約半分が円柱形状の軸棒部11に覆い被 さった状態となるようにストッパー12を動か 、断熱層用止め具10の全体を直線状とする( 4(a)参照)。

この直線状の断熱層用止め具10を、図4(a)に 示すように、断熱層23に形成された止め具用 通孔230に挿入する。このとき、止め具用貫 孔230の内部に損傷した止め具27の一部が残 している場合には、断熱層用止め具10の先端 又はストッパー12で残留している止め具27の 部を押して断熱層23の外に排出し、断熱層23 ら止め具27の残部を取り除く。

次に、図4(b)に示すように、ストッパー12全 体が断熱層23を通過するように、軸棒部11を 動させ、続いて、図4(c)に示すように、断熱 用止め具10の全体がT字形状になるように、 トッパー12を略水平状態にし、ナット15をね じ込むことにより断熱層23を断熱層用止め具1 0でしっかり固定することができ、セラミッ 成形体の焼成の際に断熱層23に変形等が生じ るのを防止することができる。なお、図4(a)~( c)に示した断熱層用止め具10の配設方法にお て、ナット15は、必ずしも最初から断熱層用 止め具10に螺着しておく必要はなく、後から( 固定する際に)ナット15を断熱層用止め具10に 着してもよい。

このように、本発明の断熱層用止め具10を えた状態とした焼成炉を用いることにより 修理前と同様に、セラミック成形体を焼成 ることができ、これによりセラミック焼成 を得ることができる。また、このセラミッ 焼成体を接着剤により複数個結束させ、加 等を行うことによりハニカム構造体を得る とができる。

次に、上述したハニカム構造体の製造方法に ついて説明することとする。
最初に、セラミック粉末とバインダとを含む 原料組成物を押出成形することによってセラ ミック成形体を作製する成形工程を行う。

まず、セラミック原料として平均粒子径の 異なる炭化ケイ素粉末と、有機バインダと液 状の可塑剤と潤滑剤等と水とを混合すること により、セラミック成形体製造用の湿潤混合 物を調製する。

続いて、上記湿潤混合物を押出成形機に投入 する。
上記湿潤混合物を押出成形機に投入すると、 湿潤混合物は押出成形され、複数のセルを有 する所定形状の柱状セラミック成形体となる 。

次に、セラミック成形体を所定の長さに切断 し、マイクロ波乾燥機、熱風乾燥機、誘電乾 燥機、減圧乾燥機、真空乾燥機、凍結乾燥機 等を用いて乾燥させた後、所定のセルに封止 材となる封止材ペーストを充填して上記セル を目封じする封止工程を行う。
なお、切断工程、乾燥工程、封止工程の条件 は、従来からセラミック焼成体を作製する際 に用いられている条件を適用することができ る。

次に、セラミック成形体中の有機物を脱脂炉 中で加熱して分解、除去する脱脂工程を行う 。
このようにして得られたセラミック成形体の 脱脂体を上述した本発明の焼成炉に搬送し、 非酸化性雰囲気で焼成を行ってセラミック焼 成体を作製する。

この後は、複数のセラミック焼成体の側面に 接着剤ペーストを塗布して接着剤ペースト層 を形成し、ハニカム焼成体を順次結束させる 方法、又は、作製するセラミックブロックの 形状と略同形状の型枠内に各ハニカム焼成体 を仮固定した状態とし、接着剤ペーストを各 ハニカム焼成体間に注入する方法等により、 複数のセラミック焼成体が接着剤層を介して 接着された状態のもの(集合体)を作成し、さ に、必要に応じて該集合体の側面をダイヤ ンドカッター等を用いて加工し、円柱状、 円柱状等の形状のセラミックブロックとす 。
さらに、上記セラミックブロックの外周に、 シール材ペーストを塗布し、乾燥、固化して コート層を形成するコート層形成工程を行う 。

なお、上記接着剤ペーストを構成する材料 及び上記シール材ペーストを構成する材料と しては、ハニカム成形体を作成する際に用い た材料とほぼ同様の材料を用いることができ る。また、上記接着剤ペーストを構成する材 料及び上記シール材ペーストを構成する材料 は同じ材料を用いてもよく、異なる材料を用 いてもよい。

以上の工程によって、セラミック焼成体が接 着剤層を介して複数個接着されてなるセラミ ックブロックの外周部にコート層が設けられ ている、円柱形状のハニカム構造体を製造す ることができる。
なお、コート層は必ずしも設ける必要はなく 、必要に応じて設ければよい。

図5は、上記方法により得られたハニカム構 体の一例を模式的に示す斜視図である。
図6(a)は、図5に示したハニカム構造体に用い セラミック焼成体を模式的に示した斜視図 あり、図6(b)は、図6(a)のB-B線断面図である
このハニカム構造体30は、セラミック焼成体4 0が接着剤層33を介して複数個結束されてセラ ミックブロック35を構成し、このセラミック ロック35の周囲にシール材層34が形成されて いる。また、このセラミック焼成体40は、長 方向に多数のセル41が並設され、セル41同士 を隔てるセル壁43が粒子捕集用フィルタとし 機能するようになっている。

すなわち、セラミック焼成体40に形成され セル41は、図6(b)に示すように、排気ガスの 口側又は出口側の端部のいずれかが封止材4 2により目封じされ、一のセル41に流入した排 気ガスは、必ずセル41を隔てるセル壁43を通 した後、他のセル41から流出するようになっ ており、排気ガスがこのセル壁43を通過する 、パティキュレートがセル壁43で捕捉され 排気ガスが浄化される。

以下、第一実施形態に係る断熱層用止め具、 該断熱層用止め具を備えた焼成炉及び該焼成 炉を用いたハニカム構造体の製造方法の作用 効果について説明する。
(1)本実施形態に係る断熱層用止め具において は、断熱層に設けられた止め具用貫通孔に挿 通される際には、直線状であり、その先端部 が上記断熱層を挿通した後、ストッパーが稼 動してT字形状になり、ナットで締め付ける とにより上記断熱層を固定する部材として 能する。

従って、稼動中の焼成炉に設けられた断熱 層の止め具に不具合が発生した場合、本発明 の断熱層用止め具を用いると、断熱層等の焼 成炉内の設備を解体せずに修理することがで きる。すなわち、断熱層の止め具を交換し、 新たな断熱層の止め具で断熱層を固定するこ とができる。このため、本発明の断熱層用止 め具によれば、焼成炉の生産効率を低下させ ずにセラミック成形体の焼成を効率良く行う ことができる。

また、止め具用貫通孔の内部に損傷した止 め具の一部が残留している場合であっても、 断熱層用止め具の先端又はストッパーで残留 している止め具の一部を押し出し、断熱層か ら止め具の一部を取り除くことができるため 、焼成炉内の設備を解体せずに容易に修理を 行うことができる。

(2)本実施形態に係る焼成炉においては、上 記止め具のうち少なくとも一の止め具として 、本発明の断熱層用止め具が用いられている ので、止め具を取り替える修理を行った後で あっても、断熱層を正常に固定された状態と することができ、修理前と同様にセラミック 成形体の焼成を問題なく行うことができ、品 質に優れたセラミック焼成体を製造すること ができる。

(3)本実施形態に係るハニカム構造体の製造 方法においては、本発明の焼成炉を用いるの で、止め具を本発明の断熱層用止め具に取り 替える修理を行った後であっても、修理前と 同様にセラミック成形体の焼成を問題なく行 うことができ、品質に優れたセラミック焼成 体を製造することができ、このセラミック焼 成体を用いて性能に優れたハニカム構造体を 得ることができる。

以下、本発明の第一実施形態をより具体的 に開示した実施例を示すが、本発明はこれら 実施例のみに限定されるものではない。

以下の実施例及び比較例では、上記実施形 態による方法及び従来の方法によりハニカム 構造体を製造し、得られたハニカム構造体を 対象として性能試験を行うことによりハニカ ム構造体の性能の変化を観察した。

(実施例1)
(1)図3に示した焼成炉20を作製し、断熱層23と て、内側の層をカーボン部材からなる層(呉 羽化学工業(株)社製FR200/OS 密度:0.16g/cm 3  厚さ:100mm)、外層をカーボン繊維層(密度:0.1g /cm 3  厚さ:25mm)とし、常圧のアルゴン雰囲気中、 ッフル内の最高温度2200℃とする条件で、セ ラミック焼成体を製造した。
なお、断熱材層を構成する部材は、いずれも 不純物濃度が0.1重量%以下であり、断熱材層23 に設けられた炭素製の止め具27も、不純物濃 が0.1重量%以下であった。

(2)すなわち、平均粒径10μmのα型炭化珪素 末60重量%と、平均粒径0.5μmのα型炭化珪素粉 末40重量%とを湿式混合し、得られた混合物100 重量部に対して、有機バインダ(メチルセル ース)を5重量部、水を10重量部加えて混練し 次に、上記混練物に可塑剤と潤滑剤とを少 加えてさらに混練して湿潤混合物とし、押 成形を行い、生成形体を作製した。

(3)次に、上記生成形体を、マイクロ波乾燥機 を用いて乾燥させ、上記生成形体と同様の組 成のペーストを所定の貫通孔に充填した後、 再び乾燥機を用いて乾燥させ、その後、400℃ で脱脂し、上記焼成炉を用い、常圧のアルゴ ン雰囲気下2200℃、3時間で焼成を行うことに り、図4に示したような形状で、その大きさ が34mm×34mm×300mmで、セルの数が31個/cm 2 、セル壁の厚さが0.3mmの炭化珪素焼結体から るセラミック焼成体を製造した。

(4)この焼成炉20を用いるセラミック焼成体 製造工程を2500時間連続して行ったところ、 焼成炉の下側に配置された止め具27を含む3本 の止め具27が酸化され、特に下側の止め具27 関し、ボルト27aが損傷し、2つに切断されて まった。そして、内側にあったボルト27aの 部とナット27bは、内側から引き抜くことが きたが、外側のボルト27aの一部とナット27b 、断熱層23に留まったままであった。

(5)そこで、図1に示した断熱層用止め具10を 用い、ストッパー12を含む先端部分で、外側 ボルト27aの一部とナット27bを断熱層23から し出し、これらを完全に排除した。その後 この断熱層用止め具10を用いて、断熱層23を 熱層取付囲み部材29にしっかりと固定した

(6)この後、このようにして配設した断熱層 用止め具10を3本備えた焼成炉を用い、セラミ ック焼成体の製造工程を2000時間連続して行 、セラミック焼成体40を製造した。

(7)この後、上述した方法を用い、図6に示し 炭化珪素からなるセラミック焼成体40が接着 剤層33を介して複数個結束されてセラミック ロック35を構成し、このセラミックブロッ 35の周囲にシール材層34が形成されたハニカ 構造体30を製造した。
製造されたハニカム構造体30は、いずれの時 に製造されたものも設計通りの性能を有す ものであった。

(比較例1)
実施例1で(4)の工程までを行い、止め具が破 されているのを発見した後、止め具27を交換 する代わりに、止め具27を構成するナット27a 先端を削り、釘形状にした後、このナット2 7aを断熱層23に対して斜めに打ち込み、断熱 23を仮固定し、実施例1と同様の条件で、セ ミック焼成体の製造工程を2500時間連続して い、セラミック焼成体40を製造した。
その後、実施例1の(7)と同様にして、ハニカ 構造体30を製造した。セラミック焼成体の製 造を終了した後、断熱層を観察したところ、 断熱層全体に変形がみられた。
なお、製造されたハニカム構造体は、製造し た時期により特性のばらつきが大きくなり、 性能が変化していた。焼成炉における製造対 象である成形体周囲の温度等の微妙な変化に 起因するものと思われる。

(第二実施形態)
図7(a)は、本発明に係る断熱層用止め具の第 実施形態を模式的に示す正面図であり、図7( b)は、本発明に係る断熱層用止め具の第二実 形態をさらに変形した形態を模式的に示す 面図である。
図7(a)に示すように、本実施形態に係る断熱 用止め具50は、主に軸棒部51と軸棒部11の先 に設けられたストッパー52(52a、52b)とからな 。具体的には、軸棒部51の先端に有底円筒 状のストッパー支持部材53が配設、固定され るとともに、このストッパー支持部材53の底 近傍に支持ピン54を挿通させるための貫通 53aが形成され、この貫通孔53aに支持ピン54が 回転可能に挿通されている。そして、支持ピ ン54には、半円筒形状の2個のストッパー52a、 52bの端部が回転可能に固定されるとともに、 ストッパー支持部材53とストッパー52a、52bと 間にバネ55a、55bが取り付けられている。

すなわち、第一実施形態では、1個の長い トッパー12が用いられていたが、第二実施形 態では、ストッパーが2個に分割され、2個の トッパー52a、52bを軸棒部51に沿って折り畳 ことにより、直線状(実線で示す状態)とする ことが可能な状態となっている。また、スト ッパー支持部材53とストッパー52a、52bとの間 バネ55a、55bが取り付けられているので、ス ッパー52a、52bを折り畳む力が作用しない場 には、ストッパー52a、52bが軸棒部11に略垂 な方向に拡がった状態(一点鎖線で示す状態) となる。なお、ストッパー52a、52bは、軸棒部 11に略垂直な方向に拡がった状態となった際 は、中央部付近で2つのストッパー52a、52bが 重なった状態となるため、それ以上は拡がら ず、2つのストッパー52a、52bは略平行な状態 保つ。

断熱層用止め具50は、このような構成とな ているため、止め具用貫通孔230に差し込む 、2個のストッパー52a、52bを折り畳む力が作 用し、直線状となるが、2個のストッパー52a 52bが止め具用貫通孔230を通過すると、バネ55 a、55bの力により、ストッパー52a、52bが軸棒 11に略垂直な方向に拡がった状態、すなわち 、略T字形状を示す状態となる。

断熱層用止め具50の軸棒部51は、カーボン であり、この軸棒部51には、両端にねじが螺 刻されており、同じくカーボン製のナット15( 図4参照)及びストッパー支持部材53を螺着す ことができるようになっている。

また、ストッパー52、ストッパー支持部材5 3及び支持ピン54は、断熱層23に取り付けた際 断熱層23の外側に位置し、焼成により発生 る腐食性のガス等に直接接触することはな 、酸化等の劣化が生じにくいので、SUS、チ ン、アルミニウム等の金属により構成する とができる。

この断熱層用止め具50の動作は、第一実施 態の場合と同様であり、図4(a)~(c)に示すよ に、断熱層用止め具50の全体を直線状とした 後、断熱層23に形成された止め具用貫通孔230 挿入し、止め具用貫通孔230の内部に損傷し 止め具27の一部が残留している場合には、 熱層用止め具50を用いて断熱層23から止め具2 7の残部を取り除く。

次に、ストッパー52a、52bが断熱層23を通過 るように、軸棒部51を移動させ、続いて、 ネ55a、55bの力により断熱層用止め具50の全体 がT字形状になるように、ストッパー52a、52b 拡げて略水平状態とし、ナット15をねじ込む ことにより断熱層23を断熱層用止め具50でし かり固定することができる。

この断熱層用止め具50を備えた状態とした 成炉を用いることにより、修理前と同様に セラミック成形体を焼成することができ、 れによりセラミック焼成体を得ることがで る。また、このセラミック焼成体を複数個 束させることによりハニカム構造体を得る とができる。

上述したように、図7(b)は、本発明に係る 熱層用止め具の第二実施形態をさらに変形 た形態を示している。すなわち、この断熱 用止め具60では、図7(b)に示すように、バネ55 a、55bの代わりに軸棒部51の上側から内部を通 ってストッパー52a、52bの両端付近に金属製の ワイヤ56a、56bが取り付けられており、ストッ パー52a、52bを畳んだ状態(実線で示す状態)で め具用貫通孔230を通過させた後、ワイヤ56a 56bを引っ張ることにより、ストッパー52a、5 2bが軸棒部51に略垂直な方向に拡がった状態( 点鎖線で示す状態)、すなわち、略T字形状 示す状態とすることができる。なお、スト パー52a、52bは、軸棒部11に略垂直な方向に拡 がった状態となった際には、中央部付近で2 のストッパー52a、52bが重なった状態となる め、それ以上は拡がらず、2つのストッパー5 2a、52bは略平行な状態を保つ。

第二実施形態に係る断熱層用止め具、該断熱 層用止め具を備えた焼成炉及び該焼成炉を用 いたハニカム構造体の製造方法の作用効果に ついて説明する。
(1)本実施形態に係る断熱層用止め具において は、断熱層に設けられた止め具用貫通孔に挿 通される際には、直線状であり、その先端部 が上記断熱層を挿通した後、ストッパーが稼 動してT字形状になり、ナットで締め付ける とにより上記断熱層を固定する部材として 能する。

従って、本発明の断熱層用止め具を用いる と、断熱層等の焼成炉内の設備を解体せずに 修理することができ、焼成炉の生産効率を低 下させずにセラミック成形体の焼成を効率良 く行うことができる。

また、止め具用貫通孔の内部に止め具の一 部が残留している場合であっても、断熱層か ら止め具の一部を取り除くことができるため 、焼成炉内の設備を解体せずに容易に修理を 行うことができる。

(2)本実施形態に係る焼成炉においては、上 記止め具のうち少なくとも一の止め具として 、図7(a)、(b)に示した断熱層用止め具50、60が いられているので、止め具を取り替える修 を行った後であっても、断熱層を正常に固 された状態とすることができ、修理前と同 にセラミック成形体の焼成を問題なく行う とができ、品質に優れたセラミック焼成体 製造することができる。

(3)本実施形態に係るハニカム構造体の製造 方法においては、断熱層用止め具50を備えた 成炉を用いるので、止め具を取り替える修 を行った後であっても、修理前と同様にセ ミック成形体の焼成を問題なく行うことが き、品質に優れたセラミック焼成体を製造 ることができ、このセラミック焼成体を用 て性能に優れたハニカム構造体を得ること できる。

(他の実施形態)
本発明の断熱層用止め具を構成するストッパ ーは、上記断熱層に設けられた止め具用貫通 孔に挿通する際には、直線状であり、その先 端部が上記止め具用貫通孔を挿通した後、ス トッパーが軸棒部に略垂直な方向に拡がり、 上記断熱層を固定する部材として機能するも のであれば、その形状は特に限定されるもの でない。従って、上記ストッパーは、第一実 施形態に記載のように、半円筒形状の1本の 材であってもよく、第二実施形態に記載の うに2本の部材からなるものであってもよく 3本、4本又はそれ以上の部材からなるもの あってもよい。

ストッパーが4本の部材からなる場合には 例えば、図7(a)、(b)に示した半円筒状の部材 変わりに、円筒を該円筒の軸を含むように4 等分に分割した形状の部材を用いるほかは、 図7(a)、(b)に示したストッパーと同様に構成 れたストッパーを用い、断熱層用止め具を 線状とする場合には、これらが軸棒部を取 囲むように折り畳まれ、断熱層を通過した には、傘が開くように各ストッパーが軸棒 に垂直に拡がるように構成されたものが挙 られる。

上記実施形態では、断熱層用止め具の軸棒部 は、カーボン製であったが、上記断熱層用止 め具の軸棒部は、焼成の対象となるセラミッ ク成形体に主に含まれるセラミック粉末と同 じ材料からなるものであってもよい。
本発明において、焼成の対象となるセラミッ ク成形体中に主に含まれるセラミック粉末は 、上記セラミック焼成体を得るために用いら れるものであり、上記セラミック焼成体とし ては、例えば、窒化アルミニウム、窒化ケイ 素、窒化ホウ素、窒化チタン等の窒化物セラ ミック、炭化珪素、炭化ジルコニウム、炭化 チタン、炭化タンタル、炭化タングステン等 の炭化物セラミック、アルミナ、ジルコニア 、コージュライト、ムライト、シリカ等の酸 化物セラミック等を挙げることができる。
セラミック粉末が上記セラミックからなる場 合には、断熱層用止め具の軸棒部も、同じ材 料からなるものであってもよい。

このような材料からなる軸棒部を用いた場 合には、上記セラミック成形体を焼成する際 に、該セラミック成形体に他の不純物等が混 入するおそれがなく、特性のばらつきが小さ い品質に優れたセラミック焼成体を製造する ことができるからである。

上記実施形態では、ストッパーは、金属に より構成されていたが、上記ストッパーは、 カーボンから構成されていてもよく、上述し た窒化物セラミック、炭化物セラミック、酸 化物セラミック等のセラミック等により構成 されていてもよい。

上記断熱層用止め具を用いて断熱層を固定 した際には、ストッパー、ストッパー支持部 材及び支持ピンは、断熱層よりも外側に存在 するので、温度が低下しており、焼成により 発生したガスも断熱層の外側に到達すること はなく、カーボン、金属、又は、セラミック からなるストッパー、ストッパー支持部材及 び支持ピンを用いても、長期に亘って断熱層 を固定することができるからである。特に耐 熱性に優れる窒化物セラミック、炭化物セラ ミック等であれば、強度も高く、ストッパー 等として好適に使用することができる。

本発明の焼成炉で焼成することにより得ら れる焼成体は、特に限定されるものではなく 、上述したように、例えば、窒化物セラミッ ク、炭化物セラミック等が挙げられるが、本 発明の焼成炉は、非酸化物系セラミック部材 の製造、特に、炭化珪素等の非酸化物系セラ ミック焼成体の製造に適している。

また、上記焼成体は、炭化珪素に金属ケイ 素を配合したケイ素含有セラミック、ケイ素 やケイ酸塩化合物で結合されたセラミックに より構成されていてもよい。金属珪素を添加 する際には、全重量に対して0~45重量%となる うに添加することが望ましい。

本発明の焼成炉で用いられる断熱層は、一層 でもよいし、多層でもよい。上記断熱層には 、カーボン繊維層又はカーボン部材からなる 層を用いることができる。上記カーボン繊維 層は、カーボンフェルト、カーボンクロスと いったカーボン繊維を用いて抄造又は織られ たものからなり、カーボン繊維同士が無機接 着剤等により接着されていてもよい。カーボ ン繊維層の密度は、0.05~5g/cm 3 が好ましい。また、カーボン繊維層の厚さは 、1~100mmが望ましい。

カーボン部材からなる層の材料は特に限定さ れるものではなく、例えばカーボン繊維を圧 縮成形等により板状にしたものを用いること ができるが、その密度は、0.1~5g/cm 3 が好ましい。また、カーボン部材からなる層 の厚さは、5~100mmが望ましい。最外層には、 ーボン繊維層を設けることが望ましい。
本発明の断熱層用止め具は、従来から用いら れている止め具と併用してもよい。

本発明で用いられる断熱層を構成する炭素 材料、本発明で用いられる断熱層用止め具を 構成する炭素材料、及び、従来から用いられ ている止め具を構成する炭素材料は、高純度 のものが望ましい。例えば、炭素材料中の不 純物濃度は、0.1重量%以下が望ましく、0.01重 %以下がより望ましい。

焼成炉10の雰囲気は、不活性ガス雰囲気が ましく、アルゴン、窒素等の雰囲気が望ま い。

なお、本発明の焼成炉において、焼成に用 いる発熱体は、炭素部材に外部電源を接続し 、直接、電流を流すことによりによって発熱 させ、被加熱物を加熱するものに限らず、誘 導加熱方式によりヒータの役割を果たす発熱 体であってもよい。すなわち、ヒータ兼マッ フルの役割を果たす炭素部材を被加熱物の近 くに配置し、例えば、炭素部材の直ぐ外側に 断熱層を配置するとともに、その外側にコイ ルを配設し、コイルに交流電流を流すことに より、炭素部材に渦電流を発生させ、炭素部 材の温度を上昇させ、被加熱物を加熱する方 式のものであってもよい。

本発明において、焼成用治具内には、複数 のハニカム成形体を収容してもよく、焼成用 治具を多段に積層してもよい。

上記方法により得られる本発明のハニカム 構造体の形状は、円柱状に限定されるわけで はなく、楕円柱状のような断面が扁平形状で ある柱状、角柱状であってもよい。

上記方法により得られる本発明のハニカム 構造体は、必ずしもセルの端部が目封じされ ていなくてもよく、目封じされていない場合 には、例えば、排気ガス中のHC、CO、NOx等の 害成分を浄化するための排気ガス浄化用触 を担持させることが可能な触媒担持体とし 使用することができる。

上記排気ガス浄化用触媒としては特に限定 されず、例えば、白金、パラジウム、ロジウ ム等の貴金属を挙げることができる。これら の貴金属は単独で用いてもよく、2種以上併 してもよい。

図1(a)は、本発明に係る断熱層用止め具 の一実施形態を模式的に示す平面図であり、 図1(b)は、上記止め具の正面図であり、図1(c) 、上記止め具の側面図である。 図1に示した断熱層用止め具において、 ストッパーが回転可能に軸支されている部分 を模式的に示す部分拡大側面図である。 図1に示した本発明に係る断熱層用止め 具の使用対象となる焼成炉を模式的に示す断 面図である。 図4(a)~(c)は、断熱層用止め具10を断熱層 23に配設する様子を模式的に示す説明図であ 。 本発明のハニカム構造体の製造方法に り得られたハニカム構造体の一例を模式的 示す斜視図である。 図6(a)は、図5に示したハニカム構造体 用いるセラミック焼成体を模式的に示した 視図であり、図6(b)は、図6(a)のB-B線断面図で ある。 図7(a)は、本発明に係る断熱層用止め具 の第二実施形態を模式的に示す正面図であり 、図7(b)は、本発明に係る断熱層用止め具の 二実施形態をさらに変形した形態を模式的 示す正面図である。

符号の説明

10、50、60 断熱層用止め具
11、51 軸棒部
12、52 ストッパー
52a、52b ストッパー
13、53 ストッパー支持部材
13a、53a 貫通孔
14、54 支持ピン
15 ナット
20 焼成炉
21 マッフル
22 ヒータ
23 断熱層
25 焼成用治具
26 支持台
230 止め具用貫通孔
27 止め具
27a ボルト
27b ナット
29 断熱層取付囲み部材
30 ハニカム構造体
33 接着剤層
34 シール材層
35 セラミックブロック
40 ハニカム焼成体
41 セル
42 封止材
43 セル壁
55a、55b バネ
56a、56b ワイヤ