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Patent Searching and Data


Title:
FAT CRYSTALLIZATION ACCELERATOR
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/098963
Kind Code:
A1
Abstract:
Provided is a crystallization accelerator capable of accelerating fat crystallization in a short time during a production step of a product of margarine, shortening, chocolate, or hard butter to be used for confectionery production or bread production. A phenomenon that a sorbitan fatty acid ester having an esterification ratio of from 28 to 60% and a sorbitol-type content of from 20 to 40% exhibits a remarkable effect on acceleration of fat crystallization in a short time was found, and thus, the invention was completed.

Inventors:
NAKANO MIKIO (JP)
UESUGI SHIGEMI (JP)
YAMANE SHINYA (JP)
Application Number:
PCT/JP2009/051202
Publication Date:
August 13, 2009
Filing Date:
January 26, 2009
Export Citation:
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Assignee:
FUJI OIL CO LTD (JP)
NAKANO MIKIO (JP)
UESUGI SHIGEMI (JP)
YAMANE SHINYA (JP)
International Classes:
C11B5/00; C11C3/00; A23D7/06; A23D9/06
Foreign References:
JP2007124948A2007-05-24
Other References:
"Riken Vitamin no Shokuhin'yo Nyukazai Seihin Date Sorbitan Shibosan Esther", 2001, Retrieved from the Internet [retrieved on 20090209]
GIACOMETTI ET AL.: "Process for Preparing Nonionic Surfactant Sorbitan Fatty Acid Esters with and without Previous Sorbitol Cyclization", J.AGRIC. FOOD CHEM., vol. 44, no. 12, 1996, pages 3950 - 3954
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Claims:
エステル化率が28~60%であり、かつソルビトール型含量が20~40%であるソルビタン脂肪酸エステルを含有する、油脂の結晶化促進剤。
ソルビタン脂肪酸エステルの構成脂肪酸100質量%中パルミチン酸及び/又はステアリン酸の含量が90質量%以上である請求項1記載の油脂の結晶化促進剤。
請求項1~2いずれか記載の結晶化促進剤を含有する油脂組成物。
Description:
油脂の結晶化促進剤

本発明は、油脂の結晶化促進剤に関する。

 油脂を含む食品において、油脂の結晶挙 や特性は、その食品の開発、製造、保存、 通に至る多くのシーンにおいて重要な影響 及ぼす。そのため、油脂結晶の制御技術は 油脂食品業界において、最も重要な課題の つである。

 とりわけ、製菓、製パンに用いられる、 ーガリン、ショートニング、あるいはチョ レート類やハードバター製品などの油脂組 物は、その組成に占める油脂の割合が高い め、使用する油脂の結晶挙動の影響が大き 、さまざまな問題があった。

 たとえば、製造後保存中における、結晶 粗大化を抑える方法として、特許文献1には 、油脂結晶の粗大化による物性の悪化を防止 するために、ジグリセライドを含有する油脂 結晶調整剤が提案されている。また、特許文 献2には、長期の保存下においても直径20μm以 上の粒状結晶が生成しない油脂組成物を製造 する方法として、-20℃以下の冷媒で急速冷却 するか、油脂の不安定型結晶粒子を添加する ことにより不安定型結晶を生成させ、粒状結 晶を生成しない油脂又は油脂組成物の製造方 法が提案されている。

 これらは、いずれも製造工程で、十分に 晶化しきれなかった油脂が保存中に結晶化 、あるいは不安定結晶が安定化結晶となり 粗大化するためであり、製造工程における 脂の結晶化が不十分であることが原因と考 られる。とくに、マーガリン、ショートニ グなどの可塑性油脂組成物には、油脂原料 して、パーム油系の油脂が用いられるが、 ーム油は結晶化速度が遅いため、保存中に ける結晶の粗大化の問題は避けられず、安 なパーム油を多量に配合することが困難で るという問題があった。

 そのため、パーム油の粗大結晶の生成を 制する方法として、特許文献3には、エステ ル化率が20%以上50%未満のソルビタン飽和脂肪 酸エステルを添加するパーム油の粒状結晶生 成抑制方法が提案されている。また、特許文 献4には、飽和脂肪酸結合型ソルビタン脂肪 エステルと中鎖脂肪酸を含有することを特 とする、パーム油を高度に含有していなが 粗大結晶が生成しない油中水型乳化油脂組 物が提案されており、また特許文献5にも、 和脂肪酸結合型ソルビタン脂肪酸エステル 有効成分とするクリーミング性向上剤が提 されている。

 しかしながら、これらの提案は、長期の 存中における結晶の粗大化を抑制すること 主眼が置かれており、いずれも、製造工程 に、油脂を十分に結晶化させるという根本 な問題は解決できておらず、製造工程中の 時間で、結晶化を促進させるという観点か の解決策はこれまでに提案されていない。

 これまでは、冷却ユニットの増設、冷却 度を極端に下げ、過冷却度をあげる、製品 量速度を落とすといった生産工程を増やし り、テンパリング作業、製造後の安定化工 (エージング)といった煩雑な工程を付加し ければならず、生産効率は悪く、その効果 不十分であった。

 とりわけ、マーガリン、ショートニング どの可塑性油脂組成物のなかでも、パンや 子生地への折り込み用途に用いるシート状 塑性油脂組成物は、製造工程中に油脂の結 化が不十分であると、シート状に成型する 業が困難であったり、製品のコシ、展延性 悪くなるなど、製造工程中における油脂の 晶化促進効果が最も必要とされる。

 また、最近はトランス酸含量の高い硬化 の使用量が少なくなり、エステル交換油脂 使用量が増えているが、硬化油に比べると 晶化速度の遅いエステル交換油脂、特にラ ダムエステル交換油脂を使用したマーガリ 、ショートニングなどの可塑性油脂組成物 安定した製造が難しく、解決策が求められ いた。

特開2000-345185号公報

特開2001-72992号公報

特開2007-124948号公報

特許第3434463号公報

特開2007-97419号公報

 本発明の目的は、製菓、製パンに用いら る、マーガリン、ショートニング、あるい チョコレート類やハードバター製品などの 脂組成物の製造工程中の短時間において油 の結晶化を促進することができる結晶化促 剤を提供することを課題とするものである

 本発明者らは、上記課題を解決するため 意検討した結果、エステル化率が28~60%であ 、かつソルビトール型含量が20~40%であるソ ビタン脂肪酸エステルが油脂の短時間での 晶化促進に顕著な効果を発揮するという現 を見出し、本発明を完成するに至った。

 すなわち本発明の第一は、エステル化率 28~60%であり、かつソルビトール型含量が20~4 0%であるソルビタン脂肪酸エステルを含有す 、油脂の結晶化促進剤である。第二は、ソ ビタン脂肪酸エステルの構成脂肪酸100質量% 中パルミチン酸及び/又はステアリン酸の含 が90質量%以上である第一記載の油脂の結晶 促進剤である。第三は、第一~二いずれか記 の結晶化促進剤を含有する油脂組成物であ 。

 本発明の油脂の結晶化促進剤により、結 化速度の遅いパーム系の油脂や、エステル 換油脂を用いても、製菓、製パンに用いら る、マーガリン、ショートニング、あるい チョコレート類やハードバター製品などの 脂組成物の製造工程中の短時間において油 の結晶化を促進することが可能となる。

 本発明の油脂の結晶化促進剤は、エステ 化率が28~60%、好ましくは28~50%、より好まし は30~45%であり、かつソルビトール型含量が2 0~40%、好ましくは30~40%であるソルビタン脂肪 エステルを含有することを特徴とする。

 本発明において、ソルビタン脂肪酸エス ルの原料として用いられるソルビトールの 態としては、例えば、白色粉末または粒状 D-ソルビトール或いはD-ソルビトールを約50. 0~70.0質量%含有するD-ソルビトール液が挙げら れる。

 また、本発明において、ソルビタン脂肪 エステルの構成脂肪酸がパルミチン酸及び/ 又はステアリン酸であることがより好ましく 、該構成脂肪酸100質量%中、パルミチン酸及 /又はステアリン酸の含量が90質量%以上であ ことがさらに好ましい。油脂を構成する脂 酸組成と類似した脂肪酸組成を有するソル タン脂肪酸エステルを用いることで、優れ 結晶化促進効果を発揮することができる。

 本発明に用いられるソルビタン脂肪酸エ テルの製造方法は特に限定されないが、例 ばソルビトールと脂肪酸とのエステル化反 は無触媒で行って良く、または酸触媒ある はアルカリ触媒を用いて行っても良いが、 ルカリ触媒の存在下で行われるのが好まし 。酸触媒としては、例えば、濃硫酸、p-ト エンスルホン酸などが挙げられる。アルカ 触媒としては、例えば水酸化カリウム、水 化ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸ナトリ ムなどが挙げられる。アルカリ触媒の使用 は、全仕込み量(乾燥物換算)の約0.01~1.0質量% 、好ましくは約0.05~0.5質量%である。

 本発明に用いられるソルビタン脂肪酸エ テルの製造装置としては特に限定されない 、例えば上記エステル化反応は、例えば攪 機、加熱用のジャケット、邪魔板、不活性 ス吹き込み管、温度計および冷却器付き水 分離器などを備えた通常の反応容器に、ソ ビトール、脂肪酸、および触媒を供給して 拌混合し、窒素または二酸化炭素などの任 の不活性ガス雰囲気下で、エステル化反応 より生成する水を系外に除去しながら、所 温度で一定時間加熱して行われる。反応温 は通常、約180~260℃の範囲、好ましくは約200 ~250℃の範囲である。また、反応圧力条件は 圧下又は常圧下で、反応時間は約0.5~15時間 好ましくは約1~3時間である。反応の終点は 通常反応混合物の酸価を測定し、約10以下を 目安に決められる。

 エステル化反応終了後、触媒を用いた場 は、反応混合物中に残存する触媒を中和し も良い。その際、エステル化反応の温度が2 00℃以上の場合は液温を約180~200℃に冷却して から中和処理を行うのが好ましい。また反応 温度が200℃以下の場合は、そのままの温度で 中和処理を行って良い。中和後、その温度で 好ましくは約0.5時間以上、更に好ましくは約 1~10時間放置する。未反応のソルビトールま はソルビトール分子内縮合物が下層に分離 た場合はそれを除去するのが好ましい。

 本発明に用いられるソルビタン飽和脂肪酸 ステルは、そのエステル化率が28~60%の範囲 あるものであることが好ましい。エステル 率(%)は下式により算出される。ここでエス ル価および水酸基価は、「基準油脂分析試 法(I)」(社団法人 日本油化学会編)の[2.3.3 -1996  エステル価]および[2.3.6 -1996  ヒドロキシル価]に準じて測定される。

 ソルビタン脂肪酸エステルのエステル化 が28%未満の場合は、得られるソルビタン脂 酸エステルの融点が高く、かつ親水性のエ テル生成量が多くなるため、油脂への溶解 困難となり、使用に適さず、好ましくない また、ソルビタン脂肪酸エステルのエステ 化率が60%を超える場合は、油脂の結晶化促 効果が低減するため、好ましくない。

 本発明に用いられるソルビタン飽和脂肪 エステルは、ソルビトール型含量が20~40%の 囲にあるものであることが好ましい。ソル トール型含量とは、ソルビタン脂肪酸エス ルを構成するアルコール(例えば、ソルビト ール、ソルビタン、ソルバイドなど)100%中の ルビトールの含有量(%)を意味する。ソルビ ール型含量が20%未満の場合は、油脂の結晶 促進効果が低減するため、好ましくない。 た、ソルビトール型含量が40%を超える場合 、親水性のエステル生成量が多くなるため 油脂への溶解が困難となり、使用に適さず 好ましくない。

 本発明の油脂の結晶化促進剤は、油脂を む食品において、とりわけ、製造工程中の 時間での結晶化促進効果が必要とされるマ ガリン、ショートニング、あるいはチョコ ート類やハードバター製品などの油脂組成 において、本発明の効果を発揮することが きるが、その中でも、特にシート状可塑性 脂組成物においては、結晶化速度の遅いパ ム油やエステル交換油脂を多量に使用した 合でも、製造工程中に、結晶化が促進され ため、製品出口からの良好な物性のシート 可塑性組成物を得ることができる。

 さらに、本発明の油脂の結晶化促進剤は チョコレート類やハードバター製品に使用 ることで、冷却工程中の固化速度を上げる とができ、冷却工程を短縮することが可能 なる。

 本発明の油脂の結晶化促進剤の使用方法 、油脂中に融解させ、油脂と結晶化促進剤 完全融解した状態から、結晶化工程を経る とで、結晶化促進の効果が発揮される。こ 際、本発明の結晶化促進剤を油脂に対して0 .05~1.0重量%、より好ましくは0.1~0.6重量%添加 ることで、結晶化促進効果を得ることが出 る。

 ここで、油脂の結晶化促進の程度はSFCに づいて評価される。SFCとは、Solid Fat Content (固体脂含量)の略称であり、一定の温度下で 脂中に存在する固体脂の含量(%)を示す。従 て、上記冷却工程(結晶化工程)を開始して ら一定時間後における油脂のSFCの値が大き ほど、油脂の結晶化が速く、結晶化促進効 が高いことを意味する。

 結晶化促進効果の評価試験は、具体的に 次のように実施できる。先ず、結晶化促進 を80℃で油脂に完全に溶解して得たサンプ を専用の試験管に均一に入れ、60℃の恒温槽 で30分間保持する。続いて、サンプルの入っ 試験管を0℃の恒温槽に移してから一定時間 後に、核磁気共鳴(NMR)装置内によりサンプル SFCを測定する。

また、結晶化促進効果の評価試験は、次の 方法でも実施することができる、先ず、結晶 化促進剤を80℃で油脂に完全に溶解して得た ンプルを専用の試験管に均一に入れ、60℃ 恒温槽で60分間保持する。続いて、サンプル の入った試験管を15℃又は20℃の恒温槽に移 てから一定時間後に、核磁気共鳴(NMR)装置内 によりサンプルのSFCを測定する。

 上記油脂を含む食品が含有する油脂とし は、パーム油、カカオ脂、ヤシ油、パーム 油等の植物性油脂並びに乳脂、牛脂、ラー 、魚油、鯨油等の動物性油脂が例示でき、 の他の油脂として、菜種油、大豆油、ヒマ リ種子油、綿実油、落花生油、米糠油、コ ン油、サフラワー油、オリーブ油、カポッ 油、ゴマ油、月見草油、パーム油、シア脂 サル脂、カカオ脂、ヤシ油、パーム核油等 植物性油脂並びに乳脂、牛脂、ラード、魚 、鯨油等の動物性油脂の単独又は混合油あ いはそれらの硬化、分別、エステル交換等 施した加工油脂を挙げることができる。本 明の結晶化促進剤は、これら油脂の中でも に結晶化速度が遅いパーム系油脂やカカオ 、エステル交換油脂等に好ましく適用でき パーム系油脂としては、天然パーム油を精 して得られる精製パーム油や天然パーム油 分別して得られるパームオレインあるいは ームステアリンを挙げることができ、また ステル交換油脂はとくに、ランダムエステ 交換油脂に好ましく適用できる。

 以下に本発明を製造例、試験例および実 例に基づいてより詳細に説明する。

[製造例1]
 撹拌機、温度計、ガス吹込管および水分離 を取り付けた1Lの四つ口フラスコに、ソル トール(商品名:「ソルビトールS」;日研化成 製)260g(約1.0モル)を仕込み、約400Paの減圧下 75℃で約10分間脱水した。次にステアリン酸 (商品名:「ステアリン酸65」:ステアリン酸含 65質量%、パルミチン酸含量35質量%;ミヨシ油 脂社製)356g(約1.3モル)を仕込み、触媒として 酸化ナトリウム10w/v%水溶液11mLを加え、常圧 、窒素ガス気流中235℃で、酸価10以下とな まで約1.5時間エステル化反応を行なった。 られた反応物を冷却してソルビタンステア ン酸エステル(試作品1;エステル化率29%、ソ ビトール型含量36%)約470gを得た。

[製造例2]
 撹拌機、温度計、ガス吹込管および水分離 を取り付けた1Lの四つ口フラスコに、ソル トール(商品名:「ソルビトールS」;日研化成 製)260g(約1.0モル)を仕込み、約400Paの減圧下 75℃で約10分間脱水した。次にステアリン酸 (商品名:「ステアリン酸65」;ミヨシ油脂社製) 411g(約1.5モル)を仕込み、触媒として水酸化ナ トリウム10w/v%水溶液11mLを加え、常圧下、窒 ガス気流中235℃で、酸価10以下となるまで約 1.5時間エステル化反応を行なった。得られた 反応物を冷却してソルビタンステアリン酸エ ステル(試作品2;エステル化率32%、ソルビトー ル型含量35%)約520gを得た。

[製造例3]
 撹拌機、温度計、ガス吹込管および水分離 を取り付けた1Lの四つ口フラスコに、ソル トール(商品名:「ソルビトールS」;日研化成 製)260g(約1.0モル)を仕込み、約400Paの減圧下 75℃で約10分間脱水した。次にステアリン酸 (商品名:「ステアリン酸65」;ミヨシ油脂社製) 493g(約1.8モル)を仕込み、触媒として水酸化ナ トリウム10w/v%水溶液13mLを加え、常圧下、窒 ガス気流中235℃で、酸価10以下となるまで約 2時間エステル化反応を行なった。得られた 応物を冷却してソルビタンステアリン酸エ テル(試作品3;エステル化率39%、ソルビトー 型含量35%)約607gを得た。

[製造例4]
 撹拌機、温度計、ガス吹込管および水分離 を取り付けた1Lの四つ口フラスコに、ソル トール(商品名:「ソルビトールS」;日研化成 製)260g(約1.0モル)を仕込み、約400Paの減圧下 75℃で約10分間脱水した。次にステアリン酸 (商品名:「ステアリン酸65」;ミヨシ油脂社製) 548g(約2.0モル)を仕込み、触媒として水酸化ナ トリウム10w/v%水溶液14mLを加え、常圧下、窒 ガス気流中235℃で、酸価10以下となるまで約 2時間エステル化反応を行なった。得られた 応物を冷却してソルビタンステアリン酸エ テル(試作品4;エステル化率42%、ソルビトー 型含量34%)約662gを得た。

[製造例5]
 撹拌機、温度計、ガス吹込管および水分離 を取り付けた1Lの四つ口フラスコに、ソル トール(商品名:「ソルビトールS」;日研化成 製)260g(約1.0モル)を仕込み、約400Paの減圧下 75℃で約10分間脱水した。次にパルミチン酸 (商品名:「パルミチン酸98」:パルミチン酸含 98質量%;ミヨシ油脂社製)512g(約2.0モル)を仕 み、触媒として水酸化ナトリウム10w/v%水溶 13mLを加え、常圧下、窒素ガス気流中235℃で 酸価10以下となるまで約2時間エステル化反 を行なった。得られた反応物を冷却してソ ビタンパルミチン酸エステル(試作品5;エス ル化率42%、ソルビトール型含量38%)約624gを た。

[製造例6]
 撹拌機、温度計、ガス吹込管および水分離 を取り付けた1Lの四つ口フラスコに、ソル トール(商品名:「ソルビトールS」;日研化成 製)260g(約1.0モル)を仕込み、約400Paの減圧下 75℃で約10分間脱水した。次にステアリン酸 (商品名:「ステアリン酸65」;ミヨシ油脂社製) 575g(約2.1モル)を仕込み、触媒として水酸化ナ トリウム10w/v%水溶液14mLを加え、常圧下、窒 ガス気流中235℃で、酸価10以下となるまで約 2時間エステル化反応を行なった。得られた 応物を冷却してソルビタンステアリン酸エ テル(試作品6;エステル化率45%、ソルビトー 型含量34%)約685gを得た。

[製造例7]
 撹拌機、温度計、ガス吹込管および水分離 を取り付けた1Lの四つ口フラスコに、ソル トール(商品名:「ソルビトールS」;日研化成 製)260g(約1.0モル)を仕込み、約400Paの減圧下 75℃で約10分間脱水した。次にパルミチン酸 (商品名:「パルミチン酸98」;ミヨシ油脂社製) 538g(約2.1モル)を仕込み、触媒として水酸化ナ トリウム10w/v%水溶液14mLを加え、常圧下、窒 ガス気流中235℃で、酸価10以下となるまで約 2時間エステル化反応を行なった。得られた 応物を冷却してソルビタンパルミチン酸エ テル(試作品7;エステル化率45%、ソルビトー 型含量37%)約650gを得た。

[製造例8]
 撹拌機、温度計、ガス吹込管および水分離 を取り付けた1Lの四つ口フラスコに、ソル トール(商品名:「ソルビトールS」;日研化成 製)260g(約1.0モル)を仕込み、約400Paの減圧下 75℃で約10分間脱水した。次にステアリン酸 (商品名:「ステアリン酸65」;ミヨシ油脂社製) 603g(約2.2モル)を仕込み、触媒として水酸化ナ トリウム10w/v%水溶液15mLを加え、常圧下、窒 ガス気流中235℃で、酸価10以下となるまで約 2時間エステル化反応を行なった。得られた 応物を冷却してソルビタンステアリン酸エ テル(試作品8;エステル化率47%、ソルビトー 型含量34%)約710gを得た。

[製造例9]
 撹拌機、温度計、ガス吹込管および水分離 を取り付けた1Lの四つ口フラスコに、ソル トール(商品名:「ソルビトールS」;日研化成 製)260g(約1.0モル)を仕込み、約400Paの減圧下 75℃で約10分間脱水した。次にパルミチン酸 (商品名:「パルミチン酸98」;ミヨシ油脂社製) 563g(約2.2モル)を仕込み、触媒として水酸化ナ トリウム10w/v%水溶液14mLを加え、常圧下、窒 ガス気流中235℃で、酸価10以下となるまで約 2時間エステル化反応を行なった。得られた 応物を冷却してソルビタンパルミチン酸エ テル(試作品9;エステル化率48%、ソルビトー 型含量37%)約675gを得た。

[製造例10]
 撹拌機、温度計、ガス吹込管および水分離 を取り付けた1Lの四つ口フラスコに、ソル トール(商品名:「ソルビトールS」;日研化成 製)260g(約1.0モル)を仕込み、約400Paの減圧下 75℃で約10分間脱水した。次にステアリン酸 (商品名:「ステアリン酸65」;ミヨシ油脂社製) 630g(約2.3モル)を仕込み、触媒として水酸化ナ トリウム10w/v%水溶液15mLを加え、常圧下、窒 ガス気流中235℃で、酸価10以下となるまで約 2時間エステル化反応を行なった。得られた 応物を冷却してソルビタンステアリン酸エ テル(試作品10;エステル化率49%、ソルビトー 型含量32%)約738gを得た。

[製造例11]
 撹拌機、温度計、ガス吹込管および水分離 を取り付けた1Lの四つ口フラスコに、ソル トール(商品名:「ソルビトールS」;日研化成 製)260g(約1.0モル)を仕込み、約400Paの減圧下 75℃で約10分間脱水した。次にパルミチン酸 (商品名:「パルミチン酸98」;ミヨシ油脂社製) 589g(約2.3モル)を仕込み、触媒として水酸化ナ トリウム10w/v%水溶液14mLを加え、常圧下、窒 ガス気流中235℃で、酸価10以下となるまで約 2時間エステル化反応を行なった。得られた 応物を冷却してソルビタンパルミチン酸エ テル(試作品11;エステル化率51%、ソルビトー 型含量34%)約696gを得た。

[製造例12]
 撹拌機、温度計、ガス吹込管および水分離 を取り付けた1Lの四つ口フラスコに、ソル トール(商品名:「ソルビトールS」;日研化成 製)260g(約1.0モル)を仕込み、約400Paの減圧下 75℃で約10分間脱水した。次にパルミチン酸 (商品名:「パルミチン酸98」;ミヨシ油脂社製) 256g(約1.0モル)を仕込み、触媒として水酸化ナ トリウム10w/v%水溶液11mLを加え、常圧下、窒 ガス気流中235℃で、酸価10以下となるまで約 1.5時間エステル化反応を行なった。得られた 反応物を冷却してソルビタンパルミチン酸エ ステル(試作品12;エステル化率26%、ソルビト ル型含量44%)約370gを得た。

[製造例13]
 撹拌機、温度計、ガス吹込管および水分離 を取り付けた1Lの四つ口フラスコに、ソル トール(商品名:「ソルビトールS」;日研化成 製)260g(約1.0モル)を仕込み、約400Paの減圧下 75℃で約10分間脱水した。次にステアリン酸 (商品名:「ステアリン酸65」;ミヨシ油脂社製) 301g(約1.1モル)を仕込み、触媒として水酸化ナ トリウム10w/v%水溶液11mLを加え、常圧下、窒 ガス気流中235℃で、酸価10以下となるまで約 1.5時間エステル化反応を行なった。得られた 反応物を冷却してソルビタンステアリン酸エ ステル(試作品13;エステル化率27%、ソルビト ル型含量39%)約415gを得た。

[製造例14]
 撹拌機、温度計、ガス吹込管および水分離 を取り付けた2Lの四つ口フラスコに、ソル トール(商品名:「ソルビトールS」;日研化成 製)260g(約1.0モル)を仕込み、約400Paの減圧下 75℃で約10分間脱水した。次にステアリン酸 (商品名:「ステアリン酸65」;ミヨシ油脂社製) 767g(約2.8モル)を仕込み、触媒として水酸化ナ トリウム10w/v%水溶液5mLを加え、常圧下、窒素 ガス気流中235℃で、酸価10以下となるまで約2 .5時間エステル化反応を行なった。得られた 応物を冷却してソルビタンステアリン酸エ テル(試作品14;エステル化率66%、ソルビトー ル型含量24%)約865gを得た。

[製造例15]
 撹拌機、温度計、ガス吹込管および水分離 を取り付けた2Lの四つ口フラスコに、ソル トール(商品名:「ソルビトールS」;日研化成 製)260g(約1.0モル)を仕込み、約400Paの減圧下 75℃で約10分間脱水した。次にステアリン酸 (商品名:「ステアリン酸65」;ミヨシ油脂社製) 822g(約3.0モル)を仕込み、触媒として水酸化ナ トリウム10w/v%水溶液5mLを加え、常圧下、窒素 ガス気流中235℃で、酸価10以下となるまで約3 時間エステル化反応を行なった。得られた反 応物を冷却してソルビタンステアリン酸エス テル(試作品15;エステル化率71%、ソルビトー 型含量18%)約920gを得た。

[ソルビトール型含量の試験例]
 製造例1~15で得たソルビタン脂肪酸エステル (試作品1~15)並びに後述の市販品AおよびBのソ ビトール型含量は、下記する方法により測 した。

 先ず、ソルビタン脂肪酸エステルを、ケ 化分解処理して脂肪酸とポリオールとに分 した。具体的には、被検試料2.0gをケン化用 フラスコに量り取り、これに0.5mol/L水酸化カ ウム-エタノール標準液30mLを加え、該フラ コに冷却器を付け、時々振り混ぜながら、 流するエタノールが冷却器の上端に達しな ように約70~80℃の範囲内で温度を調節して穏 やかに約1時間加熱した後、水50mLを添加した その後、得られた内容物を分液漏斗に移し ヘキサン100mLおよび35%塩酸約5mL添加して分 漏斗を振り、その後静置した。続いて、分 した下層を別の分液漏斗に移しヘキサン50mL 添加して同様に処理した。分離した下層を ーカーに採り、0.5mol/L水酸化カリウム溶液 pHを調製して中和し、60℃の通風乾燥機内に ーカーを静置し、脱水した。完全に脱水し らメタノール約10mLと少量の芒硝を加えてか き混ぜ、内容物を自然濾過する。得られた濾 液をフラスコに移し、エバポレータにてメタ ノールを除去した。

 次に、得られた濃縮物を、常法によりTMS した後、GC(ガスクロマトグラフィー)を用い てポリオール組成分析を行った。GCは以下に すGC分析条件で行った。分析後、データ処 装置によりクロマトグラム上に記録された 検試料の各成分に対応するピークについて 積分計を用いてピーク面積を測定し、測定 れたピーク面積に基づいて、面積百分率と てアルコール組成中のソルビトール型含量 求めた。

 <GC分析条件>
 装置
   ガスクロマトグラム(型式:GC-17A;島津製作 所社製)
   データ処理装置(型式:C-R7A plus;島津製作 社製)
   カラム(型式:DB-5HT;Agilent Technologies社製)
 カラムオーブン条件
   初期温度 120℃(1分間)
   昇温速度 8℃/分
   最終温度 340℃(25分間)
   検出器温度 330℃
   注入口温度 330℃
 試料注入量 3μL
 検出機  FID(水素炎イオン化検出器)
 キャリアガス ヘリウム75kPa
 スプリット比 1:80

(結晶化速度比較テスト1)
 精製パーム油に、製造例1~15で作製したソル ビタン脂肪酸エステル(試作品1~15)、および市 販のソルビタン脂肪酸エステル(市販品Aおよ B)を各々0.5質量%添加し、品温80℃にて、完 に溶解後、各サンプルを60℃の恒温槽で30分 保持した。その後、各サンプルを0℃の恒温 槽に移し、20分後に各サンプルのSFCを測定し 。

 なお、市販品AおよびBは、以下を使用した
市販品A:ソルビタンステアリン酸エステル(商 品名:ポエムS-300V;エステル化率31%、ソルビト ル型含量57%;理研ビタミン社製)
市販品B:ソルビタンステアリン酸エステル(商 品名:ポエムS-60V;エステル化率37%、ソルビト ル型含量13%;理研ビタミン社製)

 テストの結果、試作品1~11のソルビタン脂 肪酸エステルを添加することにより、パーム 油の結晶化の促進が確認できた。一方、試作 品12、13のソルビタン脂肪酸エステルおよび 販品Aは、加熱しても、油脂への完全な融解 困難で、使用に不適であった。結果を表1に 示す。

表1

(結晶化速度比較テスト2)
 パーム油50部、パーム核油40部、パームステ アリン10部を混合し、金属触媒(ナトリウムメ トキシド)0.3部を加え、真空下80℃で1時間非 択的エステル交換反応を行った後、定法に い精製したエステル交換油脂Aに、製造例1~15 で作製したソルビタン脂肪酸エステル(試作 1~15)並びに市販品AおよびBを各々0.5質量%添加 し、品温80℃にて、完全に溶解後、各サンプ を60℃の恒温槽で30分間保持した。その後、 各サンプルを0℃の恒温槽に移し、3分後に各 ンプルのSFCを測定した。

 テストの結果、試作品1~11のソルビタン脂 肪酸エステルを添加することにより、エステ ル交換油脂Aの結晶化の促進が確認できた。 方、試作品12、13のソルビタン脂肪酸エステ および市販品Aは、加熱しても、油脂への完 全な融解が困難で、使用に不適であった。結 果を表2に示す。

表2

(結晶化速度比較テスト3)
 ヤシ油50部、パームステアリン40部、菜種極 度硬化油10部を混合し、金属触媒(ナトリウム メトキシド)0.3部を加え、真空下80℃で1時間 選択的エステル交換反応を行った後、定法 従い精製したエステル交換油脂Bに、製造例1 ~15で作製したソルビタン脂肪酸エステル(試 品1~15)並びに市販品AおよびBを各々0.5質量%添 加し、品温80℃にて、完全に溶解後、各サン ルを60℃の恒温槽で30分間保持した。その後 、各サンプルを0℃の恒温槽に移し、3分後に サンプルのSFCを測定した。

 テストの結果、試作品1~10のソルビタン脂 肪酸エステルを添加することにより、エステ ル交換油脂Bの結晶化の促進が確認できた。 方、試作品12、13のソルビタン脂肪酸エステ および市販品Aは、加熱しても、油脂への完 全な融解が困難で、使用に不適であった。結 果を表3に示す。

表3

(シートマーガリンの試作テスト)
 表4の配合にてシートマーガリンを試作し、 試作直後のシートノズル出口での物性を評価 した。
表4中のエステル交換油脂Cはパーム油30部、 ームステアリン65部、菜種極度硬化油5部を 合し、金属触媒(ナトリウムメトキシド)0.3部 を加え、真空下80℃で1時間非選択的エステル 交換反応を行った後、定法に従い精製して得 られた油脂を用いた。
なお、硬さの測定はレオメーターで行い、直 径10mmのプランジャー、テーブルスピード5cm/ で測定した。

表4

 シートマーガリンを試作した結果、試作 6を添加した実施例34、35は結晶化が促進さ た結果、出口での状態が、十分に硬さのあ しっかりとした良好な物性であった。一方 比較例22~24においては、結晶化が不十分であ るため、出口での状態が軟らかく、シート形 状で製品を得ることが困難であった。

(マイグレーション抑制効果比較テスト1)
 パーム中融点画分を融点36℃まで水素添加 た硬化油(油脂D)に、製造例6で作製したソル タン脂肪酸エステル(試作品6)並びに市販品B 、C、D、EおよびFを各々0.5質量%添加し、品温8 5℃にて、完全に溶解後、軟化点(環玉法)測定 用リング(内径15.9/19.8mm、高さ6.4mm)に1g流し込 、0℃恒温器内で2時間固化させた。
 固化後、リングをろ紙(No.2、直径125mm)中央 置き、30℃恒温器内で24時間静置させた。
静置後、リング内の油脂から、ろ紙へ染み込 んだ油脂の量を測定し、染み出し率を求めた 。

 なお、市販品C、D、EおよびFは、以下を使用 した。
市販品C:ソルビタンステアリン酸エステル(商 品名:ポエムS-65V;エステル化率72%、ソルビト ル型含量29%;理研ビタミン社製)
市販品D:ソルビタンベヘニン酸エステル(商品 名:ポエムB-150;エステル化率67%、ソルビトー 型含量24%;理研ビタミン社製)
市販品E:ポリグリセリン脂肪酸エステル(商品 名:ポエムJ-46B;理研ビタミン社製)
市販品F:ショ糖脂肪酸エステル(商品名:シュ ーエステルP-170;三菱化学フーズ社製)

 テストの結果、試作品6のソルビタン脂肪 酸エステルを添加することにより、リング内 の油脂から、ろ紙への油脂の移行が抑えられ 、染み出し率が低く、マイグレーション抑制 効果が確認できた。結果を表5に示す。

表5

(マイグレーション抑制効果比較テスト2)
 油脂Dに、製造例6で作製したソルビタン脂 酸エステル(試作品6)並びに市販品B、C、D、E よびFを各々0.5質量%添加し、品温85℃にて、 完全に溶解後、内径65mm、高さ40mmのプラスチ ク製カップに50g流し込み、0℃恒温器内で2 間固化させた。
 固化後、カップ表面にろ紙(No.2、幅10mm、高 200mm)を垂直に立て、30℃恒温器内で24時間静 置させた。24時間静置後、カップの油脂から ろ紙へ染み込んだ油脂の量(高さ)を測定し 。

 テストの結果、試作品6のソルビタン脂肪 酸エステルを添加することにより、カップの 油脂から、ろ紙への油脂の移行が抑えられ、 ろ紙へ染み込んだ油脂の高さは低く、マイグ レーション抑制効果が確認できた。結果を表 6に示す。

表6

(結晶化速度比較テスト4、5)
 エステル交換油脂Bを90部とパームオレイン( ヨウ素価:67)を10部混合した油脂Eに、製造例6 作製したソルビタン脂肪酸エステル(試作品 6)並びに市販品B、D、E、FおよびGを各々1.0質 %添加し、品温85℃にて、完全に溶解後、各 ンプルを60℃の恒温槽で60分間保持した。そ 後、各サンプルを15℃又は20℃の恒温槽に移 し、6分後に各サンプルのSFCを測定した。

 なお、市販品Gは以下を使用した。
市販品G:グリセリン脂肪酸エステル(商品名: エムB-100;理研ビタミン社製)

 テストの結果、試作品6のソルビタン脂肪 酸エステルを添加することにより、15℃冷却 20℃冷却のいずれにおいても油脂Eの結晶化 促進が確認できた。結果を表7及び表8に示 。

表7(15℃冷却)

表8(20℃冷却)

結晶化速度比較テスト1の結果をグラフ で示した。 結晶化速度比較テスト2の結果をグラフ で示した。 結晶化速度比較テスト3の結果をグラフ で示した。 結晶化速度比較テスト4の結果をグラフ で示した。 結晶化速度比較テスト5の結果をグラフ で示した。