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Patent Searching and Data


Title:
FATTY ACID METAL SALT FOR FORMING ULTRAFINE METAL PARTICLE
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/107721
Kind Code:
A1
Abstract:
A fatty acid metal salt for use in forming ultrafine metal particles. The fatty acid metal salt satisfies at least one of the following: (i) the salt has a water content of 200 ppm or lower; (ii) the salt has a volume-cumulative particle diameter (D90), as determined through particle size distribution analysis by the laser diffraction/scattering method, of 80 µm or smaller; and (iii) the salt contains a metal having an atomic weight of 50-200, and the formation of the fatty acid metal salt resulted in an unreacted-substance amount or by-product amount of 4.0 mol% or smaller. This metal salt can hence be suitable for use in yielding ultrafine metal particles in a resin or in producing a resin composition, coating film, or dispersion containing ultrafine metal particles or a molding of the resin composition.

Inventors:
OHASHI KAZUAKI (JP)
SATO KAZUHIRO (JP)
KASAI ANZU (JP)
HIRATSUKA DAISUKE (JP)
SUZUKI SHIGERU (JP)
Application Number:
PCT/JP2009/053559
Publication Date:
September 03, 2009
Filing Date:
February 26, 2009
Export Citation:
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Assignee:
TOYO SEIKAN KAISHA LTD (JP)
OHASHI KAZUAKI (JP)
SATO KAZUHIRO (JP)
KASAI ANZU (JP)
HIRATSUKA DAISUKE (JP)
SUZUKI SHIGERU (JP)
International Classes:
C07C53/126; B22F9/30; C07C51/02
Domestic Patent References:
WO2008029932A12008-03-13
WO2008069034A12008-06-12
Foreign References:
JP2006348213A2006-12-28
JPH10183207A1998-07-14
JPH10183207A1998-07-14
JP2005348213A2005-12-15
Other References:
AOKI K. ET AL.: "Voltammetry ni yoru Shibosan Gin Nano Ryushi no Kozo Kettei", THE ELECTROCHEMICAL SOCIETY OF JAPAN DAI 71 KAI TAIKAI KOEN YOSHISHU, 24 March 2004 (2004-03-24), pages 426, XP003025807
BOKHONOV B.B.: "Formation of Nano-Sized Silver Particles during Thermal and Photochemical Decomposition of Silver Carboxylates", JOURNAL OF IMAGING SCIENCE AND TECHNOLOGY, vol. 45, no. 3, 2001, pages 259 - 266, XP001099748
See also references of EP 2248797A4
Attorney, Agent or Firm:
ONO, Hisazumi et al. (JP)
Ono Pure in addition (JP)
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Claims:
 金属超微粒子形成に用いられる脂肪酸金属塩であって、
 (i)含水率が200ppm以下であること、
 (ii)レーザー回折散乱式粒度分布測定法による体積累積の粒径D90が80μm以下であること、
 (iii)原子量50~200の金属を含み、脂肪酸金属塩生成の際の未反応物質又は副生成物の量が4.0モル%以下であること、
の少なくとも一つを満たすことを特徴とする脂肪酸金属塩。
 前記金属超微粒子が吸着性及び/又は微小蛋白質不活性化を有する請求項1記載の脂肪酸金属塩。
 前記金属が、Cu,Ag,Au,Id,Pd,Pt,Fe,Ni,Co,Zn,Nb,Ru及びRhから成る群から選択される少なくとも1種からなる請求項1記載の脂肪酸金属塩。
 前記金属が、Cu,Au,Id,Pd,Pt,Fe,Ni,Co,Zn,Nb,Ru及びRhから成る群から選択される少なくとも1種と、Agとの組み合わせである請求項1記載の脂肪酸金属塩。
 前記脂肪酸の炭素数が3乃至30である請求項1記載の脂肪酸金属塩。
 請求項1記載の脂肪酸金属塩が樹脂中で熱分解する温度、且つ樹脂の劣化開始温度未満の温度で加熱することにより、樹脂中で脂肪酸金属塩から金属超微粒子を生成分散させることを特徴とする金属超微粒子含有樹脂組成物の製造方法。
 請求項1記載の脂肪酸金属塩が塗料中で熱分解する温度、且つ塗料成分の劣化開始温度未満の温度で加熱することにより、塗膜中で脂肪酸金属塩から金属超微粒子を生成分散させることを特徴とする金属超微粒子含有塗膜の製造方法。
 請求項1記載の脂肪酸金属塩が分散媒中で熱分解する温度、且つ分散媒の沸点未満の温度で加熱することにより、分散媒中で脂肪酸金属塩から金属超微粒子を生成分散させることを特徴とする金属超微粒子含有分散液の製造方法。
Description:
金属超微粒子形成用脂肪酸金属

 本発明は、脂肪酸金属塩に関するもので り、より詳細には金属超微粒子、該金属超 粒子含有樹脂組成物、該金属超微粒子含有 膜又は該金属超微粒子分散液への前駆体と て好適に使用可能な脂肪酸金属塩に関する

 従来より、脂肪酸金属塩は電子印刷分野、 末治金分野、化粧品分野、塗料分野、樹脂 工分野等、多くの分野において幅広く用い れており、例えば、脂肪酸のマグネシウム やカルシウム塩等は、化粧品分野では、皮 への滑沢性、付着性の向上を目的として、 脂加工分野では、顔料の分散性向上を目的 して用いられている。
 一方、脂肪酸の銀塩は従来、写真製版や医 用途の熱現像画像記録材料として使用され きたが、最近では、下記特許文献1や2に記 されているように、平均粒径1~100nmの金属超 粒子を得るための前駆体としての用途が開 されている。

 すなわち、下記特許文献1においては、脂 肪酸銀や脂肪酸金塩等の有機金属化合物を不 活性化ガス雰囲気下で固相反応により熱分解 することで、表面が脂肪酸によって保護され た銀や金の平均粒径1~100nmである金属超微粒 を合成している。一方、特許文献2において 、脂肪酸の銀や金塩と樹脂との混合物を当 脂肪酸金属塩の熱分解開始温度以上且つ樹 の劣化温度未満の温度で加熱成形して、平 粒径1~100nmである金属超微粒子を樹脂成形物 中で生成せしめている。

 このような金属超粒子は、バルクとは異な 特異な性質を示す為、インクジェット材料 記録材料、触媒等への応用や、導電性ペー ト等電子デバイスの材料、さらに、プラズ ン吸収を利用した色材としての利用等、様 な分野において応用が検討されている。ま 、これらの金属超微粒子が安定に分散され 樹脂成形物は導電性材料、磁性材料や電磁 吸収材料等に幅広く検討されている。
 また本出願人により、例えば特許文献2記載 の手法により製造した、表面が有機酸によっ て修飾された金属超微粒子を含む樹脂化合物 は、メチルメルカプタン等の悪臭成分、或い はホルムアルデヒド等の揮発性有機化合物(Vo latile Organic Compounds 以下「VOC」という)の吸 性能を有することや、抗菌性、アレルゲン 質等の微小蛋白質を不活性化する性質を有 ることが明らかにされている(特許文献3及 特許文献4)。

 上述したように金属超微粒子は多様な分 における応用が検討されており、このよう 金属超微粒子を得るための製造方法として 、気相中に高温で蒸発させた金属の蒸気を 給し、ガス分子との衝突により急冷させて 粒子を形成する気相法や、金属イオンを含 溶液に還元剤を添加して金属イオンの還元 行う液相法等が一般的であるが、脂肪酸金 塩を前駆体として樹脂と混合し、加熱成形 る方法は、粒度分布が狭く分散安定性に優 た金属超微粒子を含む樹脂化合物が極めて 便且つ汎用的な方法にて得られる生産性に んだ製造方法である。

 脂肪酸金属塩の代表的な製造方法は以下の2 つが知られている。
 第1種類の製造方法は、溶融法であり、脂肪 酸を加熱溶融後、金属の酸化物或いは水酸化 物と反応させて脂肪酸金属塩を生成させるも のである。この方法によれば、生産設備が簡 単であるが、反応を完全に進行させるのが難 しいため、反応物が容易に生成物に残留する 、また、生成物を粉砕細粒化する工程が必要 であるといった欠点がある。
 第2種類の製造方法は、複分解法であり、脂 肪酸を水酸化ナトリウム等のアルカリ金属水 酸化物とけん化反応させるか、或いは脂肪酸 アルカリ金属塩を溶解させて作製した水溶液 に金属イオンを含む水溶液を添加して脂肪酸 金属塩を生成させるものである。この反応は 高温条件を必要とせず、かつ後処理がろ過、 洗浄、乾燥、解砕といった簡便な工程のみで あり、粒子径の小さい粒子が得られるという 利点があるため、商業生産によく利用されて いる。

特開平10-183207号公報

特開2005-348213号公報

国際公開2008/29932号公報

国際公開2008/69034号公報

 上述した金属超微粒子前駆体用としての脂 酸金属塩の製造方法としては、溶融法、複 解法いずれの手法も適用することは可能で ると考えられるが、どのような特性の脂肪 金属塩が、金属超微粒子或いは金属超微粒 を含む樹脂組成物又はその成形物を生成す 上でより好適に使用できるかは明らかにさ ていなかった。
 従って本発明の目的は、樹脂中で金属超微 子、或いは金属超微粒子を含む樹脂組成物 塗膜、分散液又はその成形物を生成させる で、好適に使用することのできる脂肪酸金 塩を提供することである。

 本発明によれば、金属超微粒子形成に用い れる脂肪酸金属塩であって、
 (i)含水率が200ppm以下であること、
 (ii)レーザー回折散乱式粒度分布測定法によ る体積累積の粒径D90が80μm以下であること、
 (iii)原子量50~200の金属を含み、脂肪酸金属 生成の際の未反応物質又は副生成物の量が4. 0モル%以下であること、
の少なくとも一つを満たすことを特徴とする 脂肪酸金属塩が提供される。

 本発明の脂肪酸金属塩においては、
1.金属超微粒子が吸着性及び/又は微小蛋白質 不活性化を有すること、
2.金属が、Cu,Ag,Au,Id,Pd,Pt,Fe,Ni,Co,Zn,Nb,Ru及びRhか らなる群から選択される少なくとも1種から ること、
3.金属が、Cu,Au,Id,Pd,Pt,Fe,Ni,Co,Zn,Nb,Ru及びRhから なる群から選択される少なくとも1種と、Agと の組み合わせであること、
4.脂肪酸の炭素数が3~30のものであること、
が好適である。

 本発明によればまた、上記脂肪酸金属塩が 脂中で熱分解する温度、且つ樹脂の劣化温 未満の温度で加熱することにより、樹脂中 脂肪酸金属塩から金属超微粒子を生成分散 せることを特徴とする金属超微粒子含有樹 組成物の製造方法が提供される。
 本発明によればまた、上記脂肪酸金属塩が 料中で熱分解する温度、且つ塗料成分の劣 温度未満の温度で加熱することにより、塗 中で脂肪酸金属塩から金属超微粒子を生成 散させることを特徴とする金属超微粒子含 塗膜の製造方法が提供される。
 本発明によれば更に上記脂肪酸金属塩が分 媒中で熱分解する温度、且つ分散媒の沸点 下の温度で加熱することにより、分散媒中 脂肪酸金属塩から金属超微粒子を生成分散 せることを特徴とする金属超微粒子含有分 液の製造方法が提供される。

 本発明者等は、(i)200ppm以下の含水率を有 ること、(ii)レーザー回折散乱式粒度分布測 定法による体積累積が90%となる粒径D90が80μm 下、特に上記粒径D90が80μm以下且つ体積累 平均粒径D50が30μm以下であること、(iii)脂肪 金属塩生成の際の未反応物質又は副生成物 量が4.0モル%以下、特に2.0モル%以下に低減 れていること、の少なくとも1つを満足する 肪酸金属塩が、樹脂、塗料又は分散媒中で 合され、加熱されることにより、良好な色 や悪臭物質やVOCの吸着能力、抗菌性、微小 白質を不活性化する能力に特に優れた樹脂 成物、塗膜或いは分散液を提供できること 見出した。

(脂肪酸金属塩の含水率)
 本発明の含水率が200ppmの脂肪族金属塩が、 述した作用効果を奏することは後述する実 例の結果からも明らかである。
 すなわち、後述する実施例においては、含 率の異なる脂肪酸金属塩を用いてフィルム 形を行い、このフィルムの吸光度を分光光 計(島津製作所製)を用いて測定した。貴金 や銅の超微粒子は、自由電子が光磁場によ 振動を受けて生じるプラズモン吸収に起因 る発色を示すことが知られている。この吸 波長は金属の種類に固有のものであり、銀 微粒子の場合には、波長420nm付近に吸収をも っている。
 図1~5より、実施例1~4及び比較例1、比較例2 フィルムは420nm付近に銀のプラズモン吸収に 起因する吸収をもつことが分かる。また、図 1~4から含水率の低いステアリン酸銀から得ら れたフィルムの方が420nm付近の吸光度が高く っていることが分かる。

 この結果は含水率が200ppm以下の脂肪酸金 塩を用いることにより、成形品中に、狭い 度分布をもった銀超微粒子が凝集すること く安定分散して生成していることを示すも であり、このような成形品は、吸着性能に いても、含水率が200ppmよりも大きい脂肪酸 属塩を用いた場合よりも優れていることが らかである。

(脂肪酸金属塩の粒度分布)
 また脂肪酸金属塩の粒子径が大きいと、樹 或いは分散媒中で混合し、加熱した際に、 子径が過剰に大きい金属微粒子が生成する 因となり、その結果、樹脂組成物或いは分 液の悪臭物質を吸着する能力、抗菌性、微 蛋白質を不活性する能力が顕著に低下して まうのである。
 これに対して本発明の脂肪酸金属塩は、レ ザー回折散乱式粒度分布測定法による体積 積が90%となる粒径D90が80μm以下、特に上記 径D90が80μm以下且つ体積累積平均粒径D50が30 m以下であることにより、上述した作用効果 効率よく発現させることが可能となる。
 尚、レーザー回折散乱式粒度分布測定法に いては、凝集粒子であっても、一粒子とし 捉えるため、本発明における体積累積が90% なる粒径D90が80μm以下、特に粒径D90が80μm以 下且つ体積累積が50%となる粒径D50が30μm以下 あるということは、粒径が小さく且つ凝集 子が少ない粒度分布を有していることを意 する。

 上記粒度分布を有する本発明の脂肪酸金属 が、上述した作用効果を奏することは後述 る実施例の結果からも明らかである。
 すなわち、後述する実施例においては、体 累積平均粒径D90及びD50の異なる脂肪酸金属 を用いてフィルム成形を行い、このフィル の吸光度を分光光度計(島津製作所製)を用 て測定した。上述したように、銀超微粒子 場合には、波長420nm付近に吸収を示す。
 図6~10より、実施例7~10及び比較例3及び4のフ ィルムは420nm付近に銀のプラズモン吸収に起 する吸収を示すことが分かる。また、図6~9 らD90並びにD50の小さいステアリン酸銀から られたフィルムの方が420nm付近の吸光度が くなっていることが分かる。
 この結果は粒径D90が80μm以下である脂肪酸 属塩を用いることにより、成形品中に、狭 粒度分布をもった銀超微粒子が凝集するこ なく均一分散して生成していることを示す のであり、このような成形品は、吸着性能 おいても、本発明で規定する粒径D90の値よ も大きな粒径を有する脂肪酸金属塩を用い 場合よりも優れていることが明らかである

(脂肪酸金属塩の未反応物質又は副生成物の )
 前述したように、脂肪酸金属塩の代表的な 造方法としては、溶融法及び複分解法が知 れており、溶融法では、脂肪酸を加熱溶融 、金属の酸化物或いは水酸化物と反応させ 脂肪酸金属塩を生成させるが、原料として 、水酸化ナトリウム等のアルカリを用いて に溶解させた脂肪酸を用いるか、或いは脂 酸のアルカリ金属塩が使用されている。溶 法においては、反応を完全に進行させるこ が難しいため、未反応物が残留しやすく、 反応物として脂肪酸のアルカリ金属塩、副 物としてアルカリ金属塩が、生成された脂 酸金属塩中に存在する。
 一方、複分解法では、脂肪酸を水酸化ナト ウム等のアルカリ金属水酸化物とケン化反 させるか、或いは脂肪酸アルカリ金属塩や 肪酸アンモニウム塩を溶解させて作成した 溶液に金属イオンを含む水溶液を添加して 肪酸金属塩を生成させることから、未反応 として脂肪酸のアルカリ金属塩や脂肪酸ア モニウム塩、或いは副生物としてアルカリ 属塩やアンモニウム塩が、生成された脂肪 金属塩中に存在する。

 本発明においては、かかる未反応物や副生 の中でもナトリウム塩及びカリウム塩のよ なアルカリ金属塩やアンモニウム塩の量が4 .0モル%よりも多く脂肪酸金属塩中に存在する 場合に、金属超微粒子の生成効率が著しく悪 化し、樹脂組成物、塗料或いは分散液の吸着 性或いは微小蛋白質不活性化等の効果が低下 することがわかった。
 表3より、実施例11~15のプレートはメルカプ ンの消臭率が比較例5~6のプレートよりも高 なっていることが分かる。このことからナ リウム塩及びカルシウム塩及びアンモニウ 塩の含有量の少ないステアリン酸銀から得 れたプレートの方がメルカプタンに対する 臭性能が高くなっていることが分かる。

 本発明の、(i)含水率が200ppm以下であること (ii)レーザー回折散乱式粒度分布測定法によ る体積累積の粒径D90が80μm以下であること、( iii)原子量50~200の金属を含み、脂肪酸金属塩 成の際の未反応物質又は副生成物の量が4.0 ル%以下であること、の少なくとも一つを満 す脂肪酸金属塩を前駆体として用いること より、樹脂、塗料或いは分散媒中で金属超 粒子を製造すると、平均粒径1~100nmの金属超 微粒子が安定して得ることが可能となる。
 またこの金属超微粒子を含む樹脂成形物、 膜又は分散液は、含水率、粒度分布、或い 未反応物質又は副生物の含有量が本発明の 囲内にない脂肪酸金属塩を用いた場合に比 て、悪臭物質やVOCの吸着能力、或いは抗菌 及び微小蛋白質不活性能力等の性能が顕著 優れている。
 本発明の脂肪酸金属塩は、金属超微粒子、 超微粒子を含む樹脂組成物、塗膜または分 液を生成させる際に、金属超微粒子前駆体 して好適に使用することができる。
 本発明の脂肪酸金属塩を用いて成形された 属超微粒子含有樹脂成形品、金属超微粒子 有塗膜又は金属超微粒子分散液は、臭気成 、VOCを効果的に吸着することができ、優れ 消臭性能或いはVOC吸着性能を発現すること できると共に、スギ花粉やダニ由来のアレ ゲン物質や酵素、或いはウィルス等の微小 白質を有効に不活性化することができ、し も成形加工と同時に金属超微粒子化とその 一分散が可能であり、生産性に優れている

実施例1及び比較例2のステアリン酸銀 添加した成形体の吸光度を示すグラフであ 。 実施例2のステアリン酸銀を添加した成 形体の吸光度を示すグラフである。 実施例3のステアリン酸銀を添加した成 形体の吸光度を示すグラフである。 実施例4の銀と銅を含むステアリン酸塩 を添加した成形体の吸光度を示すグラフであ る。 比較例1のステアリン酸銀を添加した成 形体の吸光度を示すグラフである。 実施例7のステアリン酸銀を添加した成 形体と比較例3のステアリン酸銀を添加した 形体の吸光度を示すグラフである。 実施例8のステアリン酸銀を添加した成 形体の吸光度を示すグラフである。 実施例9のステアリン酸銀を添加した成 形体の吸光度を示すグラフである。 実施例10の銀と銅を含むステアリン酸 を添加した成形体の吸光度を示すグラフで る。 比較例4のステアリン酸銀を添加した 形体の吸光度を示すグラフである。 表3のナトリウム又はカリウム含有量 消臭率との関係を図に示す。

発明を実施するための形態

(脂肪酸金属塩)
 本発明の脂肪酸金属塩における金属の種類 、Cu、Ag、Au、In、Pd、Pt、Fe、Ni、Co、Zn、Nb、 Ru及びRhからなる群より選択される少なくと 1種であり、特にCu、Ag、Co、Niが消臭や抗菌 の性能が高い点から望ましい。また、含ま る金属は複数であってもよく、この場合に 、Agを必須成分とし、Ag以外の他の金属を少 くとも1種組み合わせることが望ましい。
 また本発明の脂肪酸金属塩における脂肪酸 、炭素数3~30の脂肪酸で、飽和、不飽和のい ずれであってもよい。このようなものとして は、例えばカプロン酸、カプリル酸、カプリ ン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチ ン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸 、ステアリン酸、アラキジン酸等を挙げるこ とができる。また、含まれる脂肪酸が複数で あってもよい。
 好適には炭素数12~22の直鎖飽和脂肪酸であ 。炭素数が12よりも小さい場合、水への溶解 度が高いため、生成物である脂肪酸金属塩の 収率が低下する。また、炭素数が23以上の場 、原料の水に対する溶解度が低く、脂肪酸 属塩を生成できなくなるおそれがある。

 本発明による脂肪酸金属塩を製造する為の 造方法は上述の溶融法、複分解法いずれの 法を用いても良いが、粒子径の小さい脂肪 金属塩が得られる点において、複分解法が ましく適用される。
 金属の原料は水溶性であれば特に限定され いが、中でも硝酸塩が好ましい。
 脂肪酸の原料には脂肪酸か、脂肪酸のアル リ金属塩を使用できる。脂肪酸を用いる場 はNaOH等のアルカリを用いて水に脂肪酸を溶 解させる。

 本発明の脂肪酸金属塩を製造する際の配合 、原料として用いる脂肪酸の価数をA、モル 量をX、金属イオンの価数をB、モル量をYとす ると、AX/BY は0.9以上1.1未満であることが望 しい。0.9未満であると、脂肪酸金属塩の生 効率が悪く、1.1以上であると、金属含有量 低くなり、樹脂成形物の消臭や抗菌性能が 下する。
 また、合成に用いる反応溶媒は水、或いは と有機化合物との混合溶液であってよい。 合可能な有機化合物は水と混和可能なもの あり、かつ原料や生成物の構造を破壊しな ものに限られる。混合可能な有機化合物の として、メタノール、エタノール、プロパ ール、ジエチレングリコール、ポリエチレ グリコール等のアルコール類や、エチレン リコールモノエチルエーテル、エチレング コールモノイソプロピルエーテル等のグリ ールエーテル類、テトラヒドロフラン、1,4- ジオキサン等の環状エーテル類、酢酸、プロ ピオン酸、酪酸等のカルボン酸類、アセトン 、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等 のケトン類、ジメチルスルホキシド、ジメチ ルホルムアミド等の極性溶媒等を挙げること ができる。

 複分解法においては、金属の原料の水溶液 、脂肪酸の水溶液を混合することで所望の 肪酸金属塩が得られる。
 本発明においては、所定の粒子径以下の脂 酸金属塩が得られれば、反応方法において 限定を受けない。例えば粒子径が小さく、 集の少ない脂肪酸金属塩を得るには、脂肪 を含む水溶液と金属イオンを含む水溶液を 合し、所望の脂肪酸金属塩へと反応させる 程において、(1)混合時の攪拌を強化する、( 2)混合を出来るだけ速やかに行う、のが望ま い。当該反応工程が不適切である場合、粒 径の大きな脂肪酸金属塩や、凝集の激しい 肪酸金属塩が生成してしまう。
 かかる反応工程を行った後、得られた脂肪 金属塩を含むスラリーは洗浄、及び濾過の 程を経て、乾燥に処される。
本発明においては、未反応物及び副生物を効 果的に低減させる目的で、得られた脂肪酸金 属塩の洗浄を十分に行うことが重要である。 洗浄には、ろ過、デカンテーション等の公知 の方法で行うことができる。洗浄は未反応物 及び副生成物を溶解できて、かつ脂肪酸塩を 溶解しない溶媒を選択すればよく、水やエタ ノールが好適に使用できる。洗浄に際しては 、洗浄溶媒の電気伝導度やpH等により洗浄の 度を見積もることが可能である。

 また乾燥は、乾燥後の脂肪酸金属塩の含水 が200ppm以下となるような乾燥法であれば、 に限定は受けない。例えば、真空乾燥機、 結乾燥機、気流式乾燥機を使用することが きる。
 乾燥は熱風式乾燥機の場合には、80乃至120 の温度で行うのが望ましく、特に90乃至110℃ の温度が好ましい。80℃以下では水分が十分 蒸発せず、120℃以上で行うと脂肪酸が一部 熱により分解を受ける等の好ましくない反 が生じる上、一部の粒子が溶着し粒子径が 大してしまう要因となる。
 また、乾燥前に得られたケーキを圧搾して 分量を減らしてもよい。その際、圧搾圧力 小さいほうがよく、圧搾せず、乾燥工程を うのが望ましい。不適切に大きい圧搾圧力 粒子の凝集の要因となるため望ましくない
 また脂肪酸金属塩は、乾燥により含水量を2 00ppm以下に制御しても、経時により含水率が 加するため、本発明の脂肪酸金属塩の製造 後に使用、すなわち樹脂と混合し、加熱成 する場合を除き、遮光して乾燥条件で保管 るか、使用直前に再乾燥して用いることが ましい。

(金属超微粒子含有樹脂組成物)
 本発明の脂肪酸金属塩は、脂肪酸金属塩を 合する樹脂組成物の熱処理によって成形加 することにより、樹脂組成物中に上述した 用効果を有する金属超微粒子が均一分散し 金属超微粒子含有樹脂組成物を得ることが 能になる。
 本発明の脂肪酸金属塩を配合し得る樹脂と ては、溶融成形が可能な熱可塑性樹脂であ ば従来公知のものをすべて使用でき、例え 、低-,中-,高-密度ポリエチレン、線状低密 ポリエチレン、線状超低密度ポリエチレン アイソタクティックポリプロピレン、シン オタクティックポリプロピレン、プロピレ -エチレン共重合体、ポリブテン-1、エチレ -ブテン-1共重合体、プロピレン-ブテン-1共 合体、エチレン-プロピレン-ブテン-1共重合 等のオレフィン樹脂、ポリエチレンテレフ レート、ポリブチレンテレフタレート、ポ エチレンナフタエート等のポリエステル樹 、ナイロン6、ナイロン6,6、ナイロン6,10等 ポリアミド樹脂、ポリカーボネート樹脂等 挙げることができる。
 本発明の金属超微粒子含有樹脂組成物にお ては、特にポリエチレン、ポリプロピレン ポリエステルを用いることが好適である。
 また本発明の金属超微粒子含有樹脂組成物 おいては、その用途に応じて、それ自体公 の各種配合剤、例えば、充填剤、可塑剤、 ベリング剤、増粘剤、減粘剤、安定剤、酸 防止剤、紫外線吸収剤等を公知の処方に従 て樹脂に含有することもできる。

 本発明の脂肪酸金属塩は、樹脂100重量部当 0.001乃至5重量部の量で配合することが好ま く、上記範囲よりも少ないと金属超微粒子 有する効果を十分に得ることができず、一 上記範囲よりも多いと金属超微粒子が凝集 、均一分散が困難になるおそれがあるので ましくない。
 本発明においては、二本ロール法、射出成 、押出成形、圧縮成形等の従来公知の溶融 形に賦することにより、最終成形品の用途 応じた形状、例えば、粒状、ペレット状、 維状、フィルム、シート、容器等の樹脂成 体を成形することができる。
 金属超微粒子含有樹脂組成物の成形体への 形温度は、成形方法や用いる樹脂及び脂肪 金属塩の種類によって一概に規定できない 、用いる樹脂の熱劣化を生じない温度、且 脂肪酸金属塩が樹脂中で熱分解する温度範 内であることが必要である。また、加熱処 条件は、押出機や成形機等の加工機の設定 度以外にスクリュー等によるせん断による 熱、或いは滞留時間等による影響を受ける め、上記温度範囲内の設定温度に応じて滞 時間やスクリュー回転数等の加工条件を調 することができる。
 また本発明の金属超微粒子含有樹脂組成物 成形体は、本発明の脂肪酸金属塩を含有す 樹脂単独で樹脂成形品を構成することもで るが、他の樹脂との組み合わせで多層構造 することもできる。

(金属超微粒子含有塗膜)
 本発明の脂肪酸金属塩を用いて調製された ーティング剤により、上述した金属超微粒 を含有する塗膜を形成することができる。
 すなわち前述した通り、本発明の脂肪酸金 塩が、塗膜の焼付けの際の熱処理によって 塗料成分中で均一分散された金属超微粒子 形成することで、塗膜中に金属超微粒子が 在することが可能になる。
 脂肪酸金属塩は、塗料成分100重量部に対し 0.001乃至5重量部の量で配合させることが好 しく、上記範囲よりも少ないと金属超微粒 が有する効果を十分に発現させることがで ず、一方上記範囲よりも多いと金属超微粒 が凝集するおそれがあるので好ましくない

 本発明の脂肪酸金属塩を含有させる塗料成 としては、加熱により塗膜形成が可能なも であれば種々のものを使用することができ 。例えば、これに限定されないが、アクリ 系塗料、エポキシ系塗料、フェノール系塗 、ウレタン系塗料、ポリエステル系塗料、 ルキド樹脂塗料等の従来公知の塗料組成物 用いることができる。
 また塗膜形成のためのコーティング剤にお ても、成形体の場合と同様に、その用途に じて、それ自体公知の各種配合剤、例えば レベリング剤、増粘剤、減粘剤、安定剤、 化防止剤、紫外線吸収剤、着色剤等を公知 処方に従って含有することができる。
 塗膜形成のための熱処理条件は、用いる塗 成分及び脂肪酸金属塩の種類によって一概 規定できないが、用いる塗料成分の熱劣化 生じない温度、且つ脂肪酸金属塩が塗料中 熱分解する温度範囲内で、60乃至600秒間加 処理を行うことが必要である。

(金属超微粒子分散液)
 本発明の脂肪酸金属塩を用いて調製された 散液は、本発明の脂肪酸金属塩を分散媒中 分散し、脂肪酸金属塩が分散媒中で熱分解 る温度以上且つ分散媒の沸点以下の温度で 合加熱することにより、金属超微粒子が分 媒中に分散して成る分散液を調製すること できる。
 本発明の分散液の製造方法に用いる分散媒 しては、多価アルコールを好適に用いるこ ができる。多価アルコールは、脂肪酸金属 が分散媒中で熱分解する温度よりも高い沸 を有するものであることが好ましく、ポリ チレングリコール、ジエチレングリコール グリセロール等を挙げることができるが、 にポリエチレングリコールを好適に用いる とができる。
 ポリエチレングリコールは、平均分子量200 至20000、特に400乃至10000の範囲のものを好適 に使用することができ、また異なる分子量の ものを複数種混合して用いることもできる。

 本発明の分散液の製造方法においては、分 液中に脂肪酸金属塩を1×10 -6 乃至20重量%、特に1×10 -5 乃至10重量%の量で配合することが好ましい。 上記範囲よりも脂肪酸金属塩の量が少ないと 充分な量の金属超微粒子を分散させることが できず、その一方上記範囲よりも多いと金属 超微粒子の凝集を招くおそれがある。
 また保護剤として酸化防止剤を配合するこ が好ましく、酸化防止剤を配合することに り、加熱時の熱劣化を防止することが可能 なる。
 用いる酸化防止剤としては、これに限定さ ないが、トコフェロール (ビタミンE)類、 ンダードフェノール系酸化防止剤、リン系 化防止剤、エチレンビスステアリン酸アミ 等従来より公知のものを挙げることができ が、特にIRGANOX1010(登録商標)を好適に使用す ことができる。酸化防止剤は、溶液中に0.1 至10重量%の量で配合することが好ましい。

 本発明の分散液の製造方法においては、分 媒中に脂肪酸金属塩、必要により酸化防止 を配合した後、脂肪酸金属塩が分散媒中で 分解する温度以上且つ分散媒の沸点未満の 度で加熱しながら攪拌混合して、分散媒中 金属超微粒子を生成させる。
 加熱時間は、用いる溶液の種類及び脂肪酸 属塩の配合量等によって異なり、一概に規 できないが、1乃至1800、特に5乃至300秒の範 で加熱することが好適である。
 加熱混合後、室温で冷却し、溶液の濾過を う。これにより分散媒中の遊離脂肪酸を除 させることができ、本発明の金属超微粒子 特に平均粒径1乃至100nmの金属超微粒子が分 媒中に均一分散された分散液を得ることが きる。

 本発明の製造方法により得られた分散液は そのまま吸着剤(消臭剤)或いは微小蛋白質 活性化剤として使用することもできるが、 媒で希釈して用いることが好ましい。
 希釈に用いる溶媒としては、これに限定さ ないが、精製水、イオン交換水等の水;メタ ノール、エタノール、プロパノール、イソプ ロパノール、ブタノール等の低級アルコール ;メタノール変性、ベンゾール変性、トリオ ル変性、メチルエチルケトン変性、安息香 デナトニウム変性、香料変性等の一般変性 ルコール;エチレングリコールモノエチルエ テル、クロロホルム、炭酸ジエチル、酢酸 チル、プロピオン酸エチル、酪酸エチル、 キサン、工業用エチルエーテル等の変性ア コール;エチレングリコールモノブチルエー テル、ジエチレングリコールモノブチルーテ ル、プロピレングリコールモノメチルエーテ ル、プロピレングリコールモノプロピルエー テル、プロピレングリコールモノブチルエー テル、プロピレングリコールジエチレングリ コールモノブチルエーテル、ジプロピレング リコールエチレングリコールモノブチルエー テル、エチレングリコールモノフェニルエー テル、トリエチレングリコールモノフェニル エーテル等のグリコール系溶剤等を挙げるこ とができる。これらの溶媒は、単独で用いて も又2種以上併用しても良い。
 本発明においては、特に水又はエタノール の沸点100℃以下の低沸点溶媒を好適に使用 ることができ、特に1乃至30%の濃度のエタノ ール水溶液を好適に使用できる。
 本発明の分散液は、床、壁面、カーテン、 ーペット等の住宅関連部材、空調機器、織 、不織布等の繊維製品、マスク、フィルタ 等の濾過部材に、噴霧、塗布、含浸等させ 用いることができる。

 以下、実施例及び比較例により、本発明を に詳しく説明するが、本発明はこれらの実 例等により何ら限定されるものではない。
1.脂肪酸金属塩含有フィルム
 後述する実施例1~10及び比較例1~4で得られた ステアリン酸塩の含有量が0.5wt%となるように 低密度ポリエチレン(住友化学社製)に混合し 250℃に温度設定した二軸押出機(東洋精機社 製)で加熱溶融し、Tダイフィルム成形機(東洋 精機社製)から押出し、引き取りロールを介 て膜厚50μmの脂肪酸金属塩含有フィルムを作 成した。

2.脂肪酸金属塩の含水率の測定
 実施例1~10及び比較例1~4で得られた脂肪酸金 属塩の含水率をカールフィッシャー水分計( イアインスツルメンツ社製)を用いて測定し 。

3.金属超微粒子含有フィルムの消臭率の測定
(1)未消臭時メチルメルカプタン濃度の測定
 口部をゴム栓で密封した窒素ガス置換した5 00mLガラス製瓶(GL-サイエンス社製)内に、悪臭 物質メチルメルカプタン5μLをマイクロシリ ジにて注入し、その濃度が10、20ppmとなるよ にそれぞれ調整し、室温(25℃)で1日放置し 。1日放置後、各瓶内へガステック製検知管 挿入し、残存メチルメルカプタン濃度を測 して未消臭時メチルメルカプタン濃度(A)と た。
(2)消臭後メチルメルカプタン濃度の測定
 実施例1~10及び比較例1~4で得られた金属超微 粒子含有フィルムを5cm四方の大きさに切り取 り、樹脂糸を用いて、500mLのガラス製瓶内に り下げた。攪拌のための回転子を入れ、各 内を窒素置換後、マイクロシリンジ(伊藤製 作所製)を用いて、悪臭物質メチルメルカプ ン水溶液5μLを滴下した。
 次いで、スターラー(アズワン社製)を用い 15分攪拌し、メチルメルカプタン水溶液を完 全に気化させ、その濃度が10、20ppmとなるよ に調整した後、一日放置し、各瓶内のメチ メルカプタン濃度(B)を検知管キット(ガステ ク社製)を用いて測定した。
(3)メチルメルカプタン消臭率の算出
 前記未消臭時のメチルメルカプタン濃度(A) ら消臭後メチルメルカプタン濃度(B)を引い 値を未消臭時のメチルメルカプタン濃度(A) 割り、百分率で表した値を消臭率とした。

4.脂肪酸金属塩の粒度分布測定
 実施例7~10及び比較例3及び4で得られた脂肪 金属塩をエタノール中に分散させ、レーザ 回折散乱式粒度分布測定法によるマイクロ ラック粒度分析計(日機装、マイクロトラッ クHRA)を用いて、体積累積粒径D90及び体積累 平均粒径D50を測定した。

5.未反応物質または副生成物の含有量の測定 法
 実施例11~15及び比較例5~7で得られた脂肪酸 を900℃で1時間加熱して得られる固体を硝酸 溶解させた後、ICP発光分析装置(サーモフィ ッシャー社製)により未反応物質または副生 物含有率を測定した。未反応物質または副 成物の含有率は、
  含有率=未反応物質または副生成物のmol数 / 脂肪酸銀のmol数×100
で求めた。

6.樹脂成形体の作成
 実施例11~15及び比較例5~7で得られた脂肪酸 と低密度ポリエチレン(住友化学社製)を脂肪 酸銀が0.5wt%の添加量となるように混合し、250 ℃に温度設定した射出成型機にて加熱溶融し 、3.0cm×2.5cm×0.3cmの大きさの樹脂成形体を成 した。

7.樹脂成形体の消臭率の測定
 上記6で得られた樹脂成形体をナフロン糸を 用いて、500mLの瓶(GL-サイエンス社製)中に吊 下げた。攪拌のための回転子を入れ、容器 中を窒素置換後、密封し、マイクロシリン を用いて目的の濃度になるよう調整したメ ルメルカプタン水溶液を5μL滴下した。15分 拌してメチルメルカプタン水溶液を完全に 化させ、一日放置後、瓶中のメチルメルカ タン濃度を検知管キット (ガステック社製) を用いて測定した。
 消臭率は、
消臭率=(ブランクの濃度-サンプル入りの瓶中 の濃度)/(ブランクの濃度)×100
で求めた。

(実施例1)
 ステアリン酸ナトリウム76.6gを90℃の水3000g 溶解させたa液と、硝酸銀40.3gを水600gに溶解 させたb液とをそれぞれ調製した。次に、a液 攪拌しながら、b液をa液に投入した。投入 15分攪拌した後、吸引ろ過により固液分離を 行いながら、脱イオン水を用いて十分に洗浄 を行った。得られた固体を熱風乾燥機(タバ エスペック社製SPH-101型)にて、100℃で24時間 燥させ、含水率が80ppmのステアリン酸銀を た後、次いで、このステアリン酸銀を用い 前記金属超微粒子含有フィルムを作製した 得られたフィルムによる上述の消臭試験を い、消臭率を算出した。

(実施例2)
 熱風乾燥を100℃で20時間行い、含水率を125pp mとした以外は、実施例1と同様にステアリン 銀を作製し、金属超微粒子含有フィルムの 製、及び消臭試験による消臭率の算出を行 た。

(実施例3)
 熱風乾燥を100℃で18時間行い、含水率を184pp mとした以外は、実施例1と同様にステアリン 銀を作製し、金属超微粒子含有フィルムの 製、及び消臭試験による消臭率の算出を行 た。

(実施例4)
 熱風乾燥機を用いて80℃で18時間乾燥させた 後、真空乾燥機(タバイエスペック社製LV-120 )にて0.1MPa、60℃の条件下で8時間乾燥させ、 水率を66ppmとした以外は、実施例1と同様に テアリン酸銀を作製し、金属超微粒子含有 ィルムの作製、及び消臭試験による消臭率 算出を行った。

(実施例5)
 硝酸銀14.2gと硝酸コバルト(II)六水和物24.3g 水600gに溶解させたc液と実施例1のa液を用い 、熱風乾燥機にて、80℃で20時間乾燥させた 後、真空乾燥機にて0.1MPa、60℃の条件下で12 間乾燥させ、含水率が153ppmのコバルトと銀 含むステアリン酸塩を作製した以外は、実 例1と同様にステアリン酸銀を作製し、金属 微粒子含有フィルムの作製、及び消臭試験 よる消臭率の算出を行った。 

(実施例6)
 硝酸銀14.2gと硝酸銅(II)六水和物20.1gを水600g 溶解させたd液を用いて、銀及び銅を含む含 水率が25ppmのステアリン酸塩を得た以外は、 施例5と同様にステアリン酸銀を作製し、金 属超微粒子含有フィルムの作製、及び消臭試 験による消臭率の算出を行った。

(比較例1)
 熱風乾燥を100℃で12時間行い、含水率を373pp mとした以外は、実施例1と同様にステアリン 銀を作製し、金属超微粒子含有フィルムの 製、及び消臭試験による消臭率の算出を行 た。

(比較例2)
 熱風乾燥を100℃で6時間行い、含水率を640ppm とした以外は、実施例1と同様にステアリン 銀を作製し、金属超微粒子含有フィルムの 製、及び消臭試験による消臭率の算出を行 た。

 実施例1~6及び比較例1~2の結果を表1に示す。

 実施例1~6の脂肪酸金属塩を添加した樹脂 形体は、一日経過後のメチルメルカプタン 度が低くなっている。このことは実施例1~6 脂肪酸金属塩を添加した樹脂成形体が優れ 消臭性能を有していることを示している。

 (実施例7)
 ステアリン酸ナトリウム76.6gを90℃の水3000g 溶解させたa液を、硝酸銀40.3gを水600gに溶解 させたb液とをそれぞれ調製した。次に、反 槽の半径をD、攪拌翼の半径をdとしたときに 、d/D=0.42となる長さの半径の攪拌翼を用いて a液を700rpmの速度で攪拌しながら、b液をa液 投入した。投入後15分間攪拌した後、吸引 過により固液分離を行いながら、脱イオン を用いて十分に洗浄を行った。得られた固 を熱風乾燥機(タバイエスペック社製SPH-101型 )にて、100℃で24時間乾燥し、ステアリン酸銀 を得た。
 得られたステアリン酸銀の体積累積粒径D90 体積累計平均粒径D50及び含水率を測定し、 いで、このステアリン酸銀を用いて前記金 超微粒子含有フィルムを作製した。
 得られたフィルムによる上述の消臭試験を い、消臭率を算出した。

(実施例8)
 攪拌を500rpmで行った以外は、実施例7と同様 にステアリン酸銀を作製し、金属超微粒子含 有フィルムの作製、及び消臭試験による消臭 率の算出を行った。

(実施例9)
 d/D=0.55となる長さの半径の攪拌翼を用いて 336rpmの速度で攪拌して、得られた固体を0.2MP aで圧搾してケーキを得た以外は、実施例7と 様にステアリン酸銀を作製し、金属超微粒 含有フィルムの作製、及び消臭試験による 臭率の算出を行った。

(実施例10)
 硝酸銀14.2gと硝酸銅(II)六水和物20.1gを水600g 溶解させたc液を用いて、熱風乾燥機にて80 で20時間乾燥させた後、真空乾燥機(タバイ スペック社製LV-120型)にて0.1MPa、60℃の条件 で12時間乾燥させ銀と銅を含むステアリン 塩を得た以外は、実施例7と同様にステアリ 酸銀を作製し、金属超微粒子含有フィルム 作製、及び消臭試験による消臭率の算出を った。

(比較例3)
 500rpmの速度で攪拌しながら、毎秒5mLの供給 でb液をa液に滴下し、熱風乾燥を100℃で2時 した以外は、実施例7と同様にステアリン酸 銀を作製し、金属超微粒子含有フィルムの作 製、及び消臭試験による消臭率の算出を行っ た。

(比較例4)
 硝酸銀40.25gを水600gに溶解させてb液を調整 、0.7MPaで圧搾し、熱風乾燥を省略した以外 、実施例9と同様にステアリン酸銀を作製し 金属超微粒子含有フィルムの作製、及び消 試験による消臭率の算出を行った。

 実施例7~10及び比較例3~4の結果を表2に示す

 実施例7~10で得られた脂肪酸金属塩のD90が 80μm以下であり、かつD50が30μm以下である脂 酸金属塩を添加した樹脂成形体の方が、一 経過後のメチルメルカプタン濃度が低くな ている。このことは実施例7~10の脂肪酸金属 を添加した樹脂成形体が優れた消臭性能を することが分かる。

(実施例11)
 ステアリン酸ナトリウム76.6gを90℃の水3000g 溶解させてA液を、硝酸銀40.3gを水600gに溶解 させて B 液をそれぞれ調整した。次に、A液 を攪拌しながら、B液をA液に投入した。投入 15分攪拌し、吸引ろ過により固液分離を行 ながら、30Lの脱イオン水を用いて十分に洗 し、熱風乾燥機(タバイエスペック社製)で12 間乾燥後、真空乾燥機(タバイエスペック社 製)で、0.1mmHg、60℃で6時間乾燥し、ステアリ 酸銀を得た。分析の結果、このステアリン 銀には0.68mol%のナトリウムが含まれていた

(実施例12)
 洗浄に用いた水の量を15Lとした以外は、実 例11と同様の手法で合成し、ナトリウム含 量が1.02mol%のステアリン酸銀を得た。

(実施例13)
 洗浄に用いた水の量を10Lとした以外は、実 例11と同様の手法で合成し、ナトリウム含 量が1.70mol%のステアリン酸銀を得た。

(実施例14)
 ステアリン酸ナトリウムの代わりに、ミリ チン酸カリウム66.5gを用いた以外は、実施 11と同様の手法で合成し、カリウム含有量が 0.51mol%のミリスチン酸銀を得た。

(実施例15)
 洗浄に用いた水の量を15.0Lとした以外は、 施例14と同様の手法で合成し、カリウム含有 量が0.85mol%のミリスチン酸銀を得た。

(比較例5)
 洗浄に用いた水の量を1.0Lとした以外は、実 施例11と同様の手法で合成し、ナトリウム含 量が6.31mol%のステアリン酸銀を得た。

(比較例6)
 洗浄行わなかった以外は、実施例11と同様 手法で合成し、ナトリウム含有量が9.03%のス テアリン酸銀を得た。

(比較例7)
 洗浄行わなかった以外は、実施例14と同様 手法で合成し、カリウム含有量が8.52%のミリ スチン酸銀を得た。

 表3に実施例11~15及び比較例5~7の測定結果 示すと共に、図11に表3中のナトリウム又は リウム含有量と消臭率との関係を示す。未 応物質又は副生成物の含有量の低い脂肪酸 を添加した樹脂成形体の方が、一日経過後 メチルメルカプタン濃度が低くなっている これは、樹脂成形体がメチルメルカプタン 吸着した結果であり、このことから、本発 の未反応物質又は副生成物の含有量が4.0mol% 以下の脂肪酸金属塩から生成された金属超微 粒子を含有する樹脂組成物が優れた吸着性能 を有することが分かる。

 本発明の脂肪酸金属塩は、金属超微粒子 成の前駆体として用いることにより、樹脂 塗料或いは分散媒中で、悪臭物質やVOCの吸 能力、或いは抗菌性及び微小蛋白質不活性 力等の性能が顕著に優れた平均粒径1~100nmの 金属超微粒子を安定して得ることが可能であ り、さまざまな産業分野で利用することが可 能となる。