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Patent Searching and Data


Title:
FIBROSIS INHIBITOR
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2008/149980
Kind Code:
A1
Abstract:
Disclosed are a therapeutic method and a prophylactic method for a fibrous disease, which rely on such a novel finding that the fibrosis in a subject can be inhibited by administering ER-TR7 to the subject.

Inventors:
YONEYAMA, Hiroyuki (STELIC INSTITUTE & CO. 9-15, Higashiazabu 1-chome, Minato-k, Tokyo 44, 1060044, JP)
米山 博之 (〒44 東京都港区東麻布1丁目9番15号 株式会社ステリック再生医科学研究所内 Tokyo, 1060044, JP)
KAI, Yoshiro (603-202, Kihara-cho Kashihara-sh, Nara 04, 6340004, JP)
甲斐 吉郎 (〒04 奈良県橿原市木原町603-202 Nara, 6340004, JP)
Application Number:
JP2008/060455
Publication Date:
December 11, 2008
Filing Date:
June 06, 2008
Export Citation:
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Assignee:
STELIC INSTITUTE OF REGENERATIVE MEDICINE, STELIC INSTITUTE & CO. (9-15, Higashiazabu 1-chome Minato-k, Tokyo 44, 1060044, JP)
株式会社ステリック再生医科学研究所 (〒44 東京都港区東麻布1丁目9番15号 Tokyo, 1060044, JP)
YONEYAMA, Hiroyuki (STELIC INSTITUTE & CO. 9-15, Higashiazabu 1-chome, Minato-k, Tokyo 44, 1060044, JP)
米山 博之 (〒44 東京都港区東麻布1丁目9番15号 株式会社ステリック再生医科学研究所内 Tokyo, 1060044, JP)
KAI, Yoshiro (603-202, Kihara-cho Kashihara-sh, Nara 04, 6340004, JP)
International Classes:
A61K39/395; A61K45/00; A61P1/04; A61P1/16; A61P1/18; A61P9/00; A61P11/00; A61P13/12; A61P25/16
Attorney, Agent or Firm:
SHIMIZU, Hatsushi (Kantetsu Tsukuba Bldg. 6F, 1-1-1 Oroshi-mach, Tsuchiura-shi Ibaraki, 300-0847, JP)
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Claims:
 ER-TR7もしくは同等の機能を持つ物質を有効性分として含む、線維化抑制剤。
 前記物質が、ER-TR7抗原を標的とする作用を有する物質である、請求項1に記載の薬剤。
 前記物質が、ER-TR7抗原の分解促進作用を有する物質である、請求項1に記載の薬剤。
 前記物質が、ER-TR7抗原の合成阻害作用を有する物質である、請求項1に記載の薬剤。
 前記物質が、ER-TR7抗原の活性中和作用を有する物質である、請求項1に記載の薬剤。
 前記物質が、ER-TR7抗原の修飾阻害作用を有する物質である、請求項1に記載の薬剤。
 前記物質が、ER-TR7抗原の脱修飾化促進作用を有する物質である、請求項1に記載の薬剤。
 各器官においてER-TR7抗原の生成もしくは蓄積が阻害されることを特徴とする、請求項1~7のいずれかに記載の薬剤。
 線維化疾患の治療用または予防用の、請求項1~8のいずれかに記載の薬剤。
 ER-TR7抗原を用いて抗体を作製する工程を含む、該抗体を有効成分として含む線維化抑制剤の製造方法。
 請求項1~9のいずれかに記載の薬剤を個体へ投与する工程を含む、線維化疾患の治療もしくは予防方法。
 ER-TR7もしくは同等の機能を持つ物質の、線維化抑制剤の製造における使用。
Description:
線維化抑制剤

 本発明は、線維化疾患の治療または予防 ための薬剤、およびその利用に関する。

 線維化とは制御不能となった創傷の治癒 応である。障害を受けた組織は障害を受け 細胞を同じ細胞に置換することにより修復 れるが、実質組織が結合組織に置換される とがある。このとき、線維芽細胞は活性化 マイオブラストへと分化し、細胞外マトリ スの合成、沈着、構築、リモデリングが起 、結果として線維化となる。慢性線維化疾 は様々な器官で発症しうる慢性炎症状態の 末像の総称であり、組織の過剰な線維化を う。例えば、肝臓における肝硬変症、腎臓 おける腎硬化症などがある。さらに、これ の線維症は臓器不全や癌へと進行する(非特 許文献1)。

 大腸においては線維化が関与する疾患の つとして、クローン病が知られている。ク ーン病は厚生労働省の特定疾患に指定され おり、「原因不明で、主として若年者にみ れ、線維化や潰瘍を伴う肉芽腫性炎症性病 からなり、口腔から肛門までの消化管のど でも起り得る。消化管以外(特に皮膚)にも 変が起ることがある。」と定義されている 病変部位の大多数は小腸や大腸、またはそ 両者に縦走潰瘍、敷石像やアフタなどの病 を有する。病型は縦走潰瘍、敷石型、また 狭窄の存在部位によって小腸型、小腸大腸 、大腸型などに分類される。症状は腹痛や 痢、体重減少、発熱、肛門病変などがよく られ、ときに虫垂炎に類似の症状、腸閉塞 腸窄孔、大出血で発症する。また、腹部症 を欠き、肛門病変や発熱で発症することも る。消化管外合併症としては貧血、低蛋白 症、強直性脊椎炎、口内アフタ、結節性紅 、壊疽性膿皮症、光彩炎、成長障害などが る。

 我が国においては1975年に旧厚生省の研究 班が発足し、クローン病の診断基準が作製さ れ、全国調査が行われた。患者数は調査開始 以来年々増加し、医療受給者証交付件数でみ ると、1976年には128件であったものが2007年度 は24,396件になっている。また、発症年齢は 性で20~24歳、女性で15~19歳が最も多くみられ 、男女比では約2:1と男性に多くみられる。

 他の慢性線維化疾患においても肝硬変と 行する主要な原因の一つである肝炎ウイル のキャリアは平成13年肝炎対策に関する有 者会議報告書によるとB型で120万~140万人、C で100万~200万人と推定されている。また、腎 維化に伴う慢性腎不全のため、人工透析を けている患者数は日本透析学会の2004年慢性 透析患者に関する基礎集計によると約25万人 上り、導入患者も前年より3.2%増加の35,000人 と年々増加している。

 現在のところ、線維化疾患についてはそ 原因や病態形成機序が明らかにされていな ため、完治させる根本的な治療法はない。 時点での治療の目的は病気の活動性をコン ロールして緩解状態を維持し、患者のQOLを めることである。最終的な治療形態として 人工透析や臓器移植であるが、それらの治 法は患者のQOLを著しく低下させるばかりか 合併症や移植した臓器が再度線維化に陥る 合が多い。線維化疾患は、病理学的にはコ ーゲンなどの細胞外マトリクスの過剰な蓄 を特徴とする。近年、線維芽細胞の過剰活 化がその過剰蓄積の大きな原因とみなされ おり、そのため線維芽細胞が治療標的とし も注目されつつある。

 現在、線維化疾患の候補治療薬として、 性炎症を抑制する副腎皮質ステロイド、コ ヒチン、IL-10など、線維維芽細胞を活性化 るTGF-β阻害剤、HGF(TGF-βの作用を抑制)、エン ドセリン阻害剤、アンギオテンシン阻害剤な ど、コラーゲンを分解するMMP(matrix metalloprote inase;マトリックス メタロプロテイナーゼ)な どが期待されているが、いずれも治療法の確 立には至っていない。

 ER-TR7は1984年にVan Vlietらによって作製され マウス胸腺の非リンパ球に対するラットモ クローナル抗体の一つである(非特許文献2) ER-TR7は細網線維芽細胞(reticular fibroblasts)を 識する抗体とされているが(非特許文献3)、 々な器官の結合組織マーカーとして数社よ 市販され汎用されている。しかし、その抗 についてはまだ同定されていない。最近、 ンパ節の細網線維芽細胞(fibroblastic reticular  cells)がリンパ球との接触により細胞外マトリ クスとしてER-TR7抗原を分泌し、間質網目構造 (reticular meshwork)を構築し免疫機能に寄与する ことが報告された(非特許文献4)。
Wynn TA., J. Clin. Invest., (2007) 117: 524-529 Van Vliet E. et al., Eur. J. Immunol., (1984) 14: 524-529 Van Vliet E. et al., J. Histochem. Cytochem.,  (1986) 34: 883-890 Katakai T. et al., J. Exp. Med., (2004) 200:  783-795

 本発明は、線維化疾患の治療又は予防に 用な、組織における線維化を抑制できる薬 を提供することを1つの目的とする。

 本発明者らは線維化マーカーとして用い れるモノクローナル抗体であるER-TR7が線維 を促進する物質を中和し、線維化を抑制す 効果を持つのではないかと考えた。本発明 らは、この考えに基づいて研究を進めた結 、ER-TR7が線維化を抑制できることを見いだ 、本発明を完成させた。ER-TR7もしくは同等 機能を持つ物質は線維化抑制剤として、線 化の治療または予防に有効である。

 本発明は線維化を抑制する薬剤、および該 剤を有効成分とする線維化疾患の治療剤に し、より具体的には、
[1]ER-TR7もしくは同等の機能を持つ物質を有効 性分として含む、線維化抑制剤、
[2]前記物質が、ER-TR7抗原を標的とする作用を 有する物質である、[1]に記載の薬剤、
[3]前記物質が、ER-TR7抗原の分解促進作用を有 する物質である、[1]に記載の薬剤、
[4]前記物質が、ER-TR7抗原の合成阻害作用を有 する物質である、[1]に記載の薬剤、
[5]前記物質が、ER-TR7抗原の活性中和作用を有 する物質である、[1]に記載の薬剤、
[6]前記物質が、ER-TR7抗原の修飾阻害作用を有 する物質である、[1]に記載の薬剤、
[7]前記物質が、ER-TR7抗原の脱修飾化促進作用 を有する物質である、[1]に記載の薬剤、
[8]各器官においてER-TR7抗原の生成もしくは蓄 積が阻害されることを特徴とする、[1]~[7]の ずれかに記載の薬剤、
[9]線維化疾患の治療用または予防用の、[1]~[8 ]のいずれかに記載の薬剤(前記線維化疾患は に制限されないが、例えば、肝硬変、腎硬 症、肺線維症、強皮症、心筋症、骨髄線維 、慢性腹膜炎をはじめとする臓器や皮膚な の生体組織に生じる線維化に起因する種々 疾患が挙げられる)、
[10]ER-TR7抗原を用いて抗体を作製する工程を む、該抗体を有効成分として含む線維化抑 剤の製造方法、
[11][1]~[9]のいずれかに記載の薬剤を個体へ投 する工程を含む、線維化疾患の治療もしく 予防方法、
[12]ER-TR7もしくは同等の機能を持つ物質の、 維化抑制剤の製造における使用
を提供するものである。

 本発明によって、線維化の発現、促進にE R-TR7抗原の関与が関係していることが明らか なった。また、ER-TR7抗原を中和することに って線維症の発症が抑制されることが示せ 。この発見を応用することにより、これま にない新しいコンセプトの線維症抑制剤が 供できることになる。線維症はさまざまな 官で生じ、重篤な疾患に繋がることから医 上また産業上も重要な意義を持つ。

マウス肝硬変モデルにおけるER-TR7の治 効果を示す写真である。4型コラーゲンの免 疫染色像(1)、およびマッソン染色像(2)。 マウス肝硬変モデルにおけるER-TR7投与 よる線維化マーカー遺伝子の発現抑制を示 図である。α-SMA(1)、TNFα(2)、1型collagen(3)の 現量の変化をqPCRにより測定した結果を示す マウス潰瘍性大腸炎モデルにおけるER-T R7の治療効果を示す図である。対照群および 瘍性大腸炎モデル(未治療)群、潰瘍性大腸 モデル(ER-TR7治療)群における腸の長さの測定 結果を示す。 マウス潰瘍性大腸炎モデルにおけるER-T R7投与による線維化マーカー遺伝子の発現抑 を示す図である。α-SMA(1)、TNFα(2)、1型collage n(3)の発現量の変化をqPCRにより測定した結果 示す。 LPS(lipopolysaccharide)の有無によるヒト正 肺線維芽細胞のER-TR7抗原の発現を示す写真 ある。ヒト正常肺線維芽細胞のER-TR7による 色像を示す。 ヒト正常肺線維芽細胞抽出物の電気泳 像を示す写真である。クマシーブリリアン ブルーによる染色とウェスタンブロッティ グの像を示す。 線維化モデルマウスの病変部位へのER-T R7陽性細胞の集積を示す写真である。肺気腫 デルマウスの肺組織における結果を示す。 色のシグナルで可視化された抗体結合を観 した。 線維化モデルマウスの病変部位へのER-T R7陽性細胞の集積を示す写真である。2型糖尿 病モデルマウスの膵臓組織における結果を示 す。茶色のシグナルで可視化された抗体結合 を観察した。 線維化モデルマウスの病変部位へのER-T R7陽性細胞の集積を示す写真である。パーキ ソン病モデルマウスの脳組織における結果 示す。抗体結合を観察した。 線維化モデルマウスの病変部位へのER- TR7陽性細胞の集積を示す写真である。心筋症 モデルマウスの心臓組織における結果を示す 。茶色のシグナルで可視化された抗体結合を 観察した。 線維化モデルマウスの病変部位へのER- TR7陽性細胞の集積を示す写真である。潰瘍性 大腸炎モデルマウスの大腸組織における結果 を示す。茶色のシグナルで可視化された抗体 結合を観察した。 線維化モデルマウスの病変部位へのER- TR7陽性細胞の集積を示す写真である。腎線維 化モデルマウスの腎臓組織における結果を示 す。茶色のシグナルで可視化された抗体結合 を観察した。 線維化モデルマウスの病変部位へのER- TR7陽性細胞の集積を示す写真である。肝硬変 モデルマウスの肝臓組織における結果を示す 。茶色のシグナルで可視化された抗体結合を 観察した。

 慢性線維化疾患は様々な器官で発症しう 慢性炎症状態の終末像の総称であり、組織 過剰な線維化を伴う。この疾患の進行に伴 、臓器不全やがん化などの重篤な病態にな 。本発明者らは線維化のマーカーであるER-T R7に着目した。潰瘍性大腸炎モデルマウスを 出し、ER-TR7投与の効果を詳細に解析したと ろ、野生型の大腸粘膜に比して炎症の活性 下、萎縮の抑制など、炎症状態の改善がみ れた。すなわち、ER-TR7の投与により、炎症 らには線維化に深く関与しているER-TR7抗原 ER-TR7によって中和され、線維化の改善に繋 ることを見いだした。

 本発明はER-TR7もしくはER-TR7抗原を標的と た抗体、化合物を有効成分として含む、線 化抑制剤に関する。

 本発明の「線維化抑制剤」は組織の線維 を効果的に抑制することができる。本発明 おいて「線維化を抑制する」とは、線維化 生じた組織における線維化病変を現象もし は消失させるか、またはそれ以上の線維化 進行を遅延もしくは阻止する(線維化病変の 増大を抑制する)ことを意味する。

 例えば、肝組織における線維化の程度は 当業者に公知の様々な方法によって評価す ことができる。最も基本的な方法としては 肝生検における線維化所見、例えば、肝生 サンプルの特殊染色(アニリンブルー、トリ クローム、または銀染色など)によって強調 れた線維化組織の像を、組織学的に評価す ばよい。線維化の具体的な評価は、例えば Dai K, et al. World J Gastroenterol. 31: 4822-4826,  2005、Hillebrandt S, et al. Nature Genetics 37: 83 5-843, 2005にしたがって、免疫組織学的染色に 基づき各試料の肝線維化レベルを線維化度数 で表すことによっておこなうことができる。 また、ヒアルロン酸、I型、III型、およびIV型 等のコラーゲン、線維芽細胞、マクロファー ジ等の肝線維化マーカーを用いて、より簡便 に肝組織における肝線維化の程度を評価して もよい。簡便だが肝線維化の程度を鋭敏に反 映する血小板数の計測に基づく検査も都合よ く利用することができる。腹部超音波検査な どの肝画像診断によっても肝線維化の程度を 大まかに予測することが可能である。さらに 、近年エコセンス社(EcoSence、フランス)によ て開発されたトランジエント・エラストグ フィー技術に基づく非侵襲的肝線維化測定 のための測定機器(Fibro Scan502など)を用いて 肝線維化の程度を評価することもできる。 発明の線維化抑制剤による肝線維化の抑制 ベルは、これらの方法によって得られる肝 維化の程度の評価に基づいて決定すればよ 。

 本発明の線維化抑制剤による線維化抑制 果は、特に、皮膚や臓器等の生体組織にお るIII型コラーゲンの伸長抑制、I型コラーゲ ンの沈着抑制、線維芽細胞の集積抑制および マクロファージの集積抑制のうち少なくとも 一つを伴うことが好ましく、これら全てを伴 うことがより好ましい。本発明の線維化抑制 剤による線維化抑制レベルは、これらの抑制 効果のうち一つ以上を指標として決定しても よい。

 本発明の「ER-TR7」はVan Vlietらによって作 製されたマウス胸腺非リンパ球を標的とした ラットモノクローナル抗体の一つである。ER- TR7はマウスおよびヒトの様々な器官の結合組 織を認識する抗体として、数社により市販さ れている。本発明における「ER-TR7」は市販の ER-TR7に限定されず、ER-TR7と同じエピトープを 認識する抗体、ER-TR7抗原の他の部位をエピト ープとして認識する抗体も含まれる。その由 来する生物種はヒトであることが好ましいが 、特に制限されず、ヒト以外の生物における ER-TR7抗原と同等なタンパク質(ホモログ、オ ソログ等)を認識するポリクローナル抗体お びモノクローナル抗体も本発明における「E R-TR7」に含まれる。また、遺伝子工学の技術 用いて作成された組み換え抗体も本発明に ける「ER-TR7」に含まれる。本発明におけるE R-TR7と「同等の機能を有する物質」とは、ER-T R7と同じ抗原を標的とする抗体があげられる 、これに限らず、ER-TR7抗原と結合し活性を 成および蓄積を阻害、または中和する活性 有する化合物も含まれる。

 本発明におけるER-TR7抗原の「生成および 積を阻害、または中和」とは、例えば、「 成阻害」、「分解促進」、「修飾阻害」、 脱修飾化」、ER-TR7抗原活性の「無効化」な があげられるが、これに限らず、ER-TR7抗原 存在量、機能または活性が比較対象よりも 下または消失させることをいう。本発明に いてER-TR7抗原の「生成および蓄積を阻害、 たは中和」とは、特に制限されないが、好 しくはER-TR7抗原の「分解促進作用を有する 質」、「合成阻害作用を有する物質」、「 飾阻害作用を有する物質」、「脱修飾化促 作用を有する物質」または「中和活性を有 る物質」である。

 「発現」とは遺伝子からの「転写」ある はポリペプチドへの「翻訳」がある。また タンパク質の「分解抑制」も含まれる。「E R-TR7抗原タンパク質の発現」とはER-TR7抗原タ パク質をコードする遺伝子の転写および翻 が生じること、または、これらの転写・翻 によりER-TR7抗原タンパク質が生成されるこ を意味する。また、「ER-TR7抗原の機能」と 、例えば、該タンパク質が他の細胞中の構 要素との結合等をあげることができる。上 の各種機能は、当業者においては、一般的 技術を用いて、適宜、評価(測定)すること 可能である。具体的には、後述の実施例に 載の方法、あるいは該方法を適宜改変して 施することができる。

 さらにまた、ER-TR7抗原の「分解促進」は ER-TR7抗原を切断あるいは分解する酵素また これらに関連する酵素の発現の上昇であっ もよい。また、「分解促進」はER-TR7抗原の 現の抑制を促す物質の投与により生じるも であってもよい。

 「分解促進作用を有する物質」の好ましい 様としては、以下の(a)~(c)からなる群より選 択される化合物をあげることができる。
(a)ER-TR7抗原タンパク質と結合する抗体
(b)ER-TR7抗原タンパク質に対してドミナントネ ガティブの性質を有するER-TR7抗原タンパク質 変異体
(c)ER-TR7抗原タンパク質と結合する低分子化合 物

 また、「分解促進作用を有する物質」とし は以下の(a)~(c)からなる群より選択される化 合物(核酸)をあげることができる。
(a)ER-TR7抗原タンパク質をコードする遺伝子の 転写産物またはその一部に対するアンチセン ス核酸
(b)ER-TR7抗原タンパク質をコードする遺伝子の 転写産物を特異的に開裂するリボザイム活性 を有する核酸
(c)ER-TR7抗原タンパク質をコードする遺伝子の 発現をRNAi効果により阻害する作用を有する 質

 ER-TR7抗原の「合成阻害」とはER-TR7抗原の 成に関わる酵素の活性阻害があげられるが 必ずしもこれに限らず、ER-TR7抗原が合成さ る過程のいずれかを阻害することを指す。

 「合成阻害作用を有する物質」の好ましい 様としては、例えば以下の(a)~(c)からなる群 より選択される化合物(核酸)をあげることが きる。
(a)ER-TR7抗原タンパク質合成酵素と結合する抗 体
(b)ER-TR7抗原タンパク質合成酵素に対してドミ ナントネガティブの性質を有するER-TR7抗原タ ンパク質合成酵素変異体
(c)ER-TR7抗原タンパク質合成酵素と結合する低 分子化合物

 また、「合成阻害作用を有する物質」とし は以下の(a)~(c)からなる群より選択される化 合物(核酸)をあげることができる。
(a)ER-TR7抗原タンパク質合成酵素をコードする 遺伝子の転写産物またはその一部に対するア ンチセンス核酸
(b)ER-TR7抗原タンパク質合成酵素をコードする 遺伝子の転写産物を特異的に開裂するリボザ イム活性を有する核酸
(c)ER-TR7抗原タンパク質合成酵素をコードする 遺伝子の発現をRNAi効果により阻害する作用 有する物質

 ER-TR7抗原の「修飾」とはER-TR7への翻訳後 飾をさし、例えば、糖鎖や脂質の付加、リ 酸基やメチル基などの官能基の付加などが げられる。

 「修飾阻害作用を有する物質」の好ましい 様としては、例えば以下の(a)~(c)からなる群 より選択される化合物(核酸)をあげることが きる。
(a)ER-TR7抗原タンパク質修飾酵素と結合する抗 体
(b)ER-TR7抗原タンパク質修飾酵素に対してドミ ナントネガティブの性質を有するER-TR7抗原タ ンパク質修飾酵素変異体
(c)ER-TR7抗原タンパク質修飾酵素と結合する低 分子化合物

 また、「修飾阻害作用を有する物質」とし は以下の(a)~(c)からなる群より選択される化 合物をあげることができる。
(a)ER-TR7抗原タンパク質修飾酵素をコードする 遺伝子の転写産物またはその一部に対するア ンチセンス核酸
(b)ER-TR7抗原タンパク質修飾酵素をコードする 遺伝子の転写産物を特異的に開裂するリボザ イム活性を有する核酸
(c)ER-TR7抗原タンパク質修飾酵素をコードする 遺伝子の発現をRNAi効果により阻害する作用 有する物質

 ER-TR7抗原の「脱修飾化」とはER-TR7抗原の 性に必要な翻訳後修飾を加水分解等により 去する反応をさす。

 「脱修飾化促進作用を有する物質」の好ま い態様としては、例えば以下の(a)~(c)からな る群より選択される化合物をあげることがで きる。
(a)ER-TR7抗原タンパク質脱修飾化酵素抑制タン パク質と結合する抗体
(b)ER-TR7抗原タンパク質脱修飾化酵素抑制タン パク質に対してドミナントネガティブの性質 を有するER-TR7抗原タンパク質脱修飾化酵素抑 制タンパク質変異体
(c)ER-TR7抗原タンパク質脱修飾化酵素抑制タン パク質と結合する低分子化合物

 また、「脱修飾化促進作用を有する物質」 しては以下の(a)~(c)からなる群より選択され る化合物(核酸)をあげることができる。
(a)ER-TR7抗原タンパク質脱修飾化酵素抑制タン パク質をコードする遺伝子の転写産物または その一部に対するアンチセンス核酸
(b)ER-TR7抗原タンパク質脱修飾化酵素抑制タン パク質をコードする遺伝子の転写産物を特異 的に開裂するリボザイム活性を有する核酸
(c)ER-TR7抗原タンパク質脱修飾化酵素抑制タン パク質をコードする遺伝子の発現をRNAi効果 より阻害する作用を有する物質

 ER-TR7抗原の「中和」とはER-TR7抗原の活性 部位に化合物が結合することによりER-TR7抗 の活性を抑制することを指し、例えば、ER-T R7抗原の活性化部位に結合するER-TR7抗原活性 抑制タンパク質などがあげられる。

 「中和活性を有する物質」の好ましい態様 しては、例えば以下の(a)~(c)からなる群より 選択される化合物をあげることができる。
(a)ER-TR7抗原と結合する抗体
(b)ER-TR7抗原活性化抑制タンパク質に対してド ミナントネガティブの性質を有するER-TR7抗原 活性化抑制タンパク質変異体
(c)ER-TR7抗原と結合する低分子化合物

 また、「脱修飾化促進作用を有する物質」 しては以下の(a)~(c)からなる群より選択され る化合物(核酸)をあげることができる。
(a)ER-TR7抗原活性化抑制タンパク質をコードす る遺伝子の転写産物またはその一部に対する アンチセンス核酸
(b)ER-TR7抗原活性化抑制タンパク質をコードす る遺伝子の転写産物を特異的に開裂するリボ ザイム活性を有する核酸
(c)ER-TR7抗原活性化抑制タンパク質をコードす る遺伝子の発現をRNAi効果により阻害する作 を有する物質

 上述のER-TR7抗原タンパク質、合成酵素、 飾酵素、脱修飾化酵素抑制タンパク質、ER-T R7抗原活性化抑制タンパク質に結合する抗体 、当業者に公知の方法により調整すること 可能である。ポリクローナル抗体であれば 例えば、次のようにして得ることができる 天然の上述タンパク質、あるいはGST等のエ トープタグとの融合タンパク質として微生 において発現させたリコンビナント(組み換 え)タンパク質、またはその部分ペプチドを サギ等の小動物に免疫し血清を得る。これ 、例えば、硫安沈殿、プロテインAカラム、 ロテインGカラム、DEAEイオン交換カラム、 述のER-TR7抗原タンパク質、合成酵素、修飾 素、脱修飾化酵素抑制タンパク質、ER-TR7抗 活性化抑制タンパク質や合成ペプチドをカ プリングしたアフィニティーカラム等によ 精製することにより調整する。また、モノ ローナル抗体であれば、上述のER-TR7抗原タ パク質、合成酵素、修飾酵素、脱修飾化酵 抑制タンパク質、ER-TR7抗原活性化抑制タン ク質やその部分ペプチドをマウスなどの小 物に免疫し、同マウスの脾臓を摘出し、こ をすりつぶして細胞を分離し、該細胞とマ スミエローマ細胞とをポリエチレングリコ ル等の試薬を用いて融合させ、これにより きた融合細胞(ハイブリドーマ)の中から、上 述のER-TR7抗原タンパク質、合成酵素、修飾酵 素、脱修飾化酵素抑制タンパク質、ER-TR7抗原 活性化抑制タンパク質に結合する抗体を産生 するクローンを選択する。次いで、得られた ハイブリドーマをマウス腹腔内に移植し、同 マウスより腹水を回収し、得られたモノクロ ーナル抗体を、例えば、硫安沈殿、プロテイ ンAカラム、プロテインGカラム、DEAEイオン交 換カラム、上述のER-TR7抗原タンパク質、合成 酵素、修飾酵素、脱修飾化酵素抑制タンパク 質、ER-TR7抗原活性化抑制タンパク質や合成ペ プチドをカップリングしたアフィニティーカ ラム等により精製することにより調整するこ とが可能である。

 本発明の抗体は本発明の上述のER-TR7抗原 ンパク質、合成酵素、修飾酵素、脱修飾化 素抑制タンパク質、ER-TR7抗原活性化抑制タ パク質に結合するものであれば特に制限は く、上記ポリクローナル抗体、モノクロー ル抗体の他にヒト抗体、遺伝子組み換えに るヒト型抗体、さらにその抗体断片や抗体 飾物であってもよい。

 抗体取得の感作抗原として使用される本 明のタンパク質はその由来となる動物種に いては制限されないが、哺乳動物、例えば ウスやヒト由来のタンパク質が好ましく、 にヒト由来のタンパク質が好ましい。

 本発明において、感作抗原として使用さ るタンパク質は、完全なタンパク質あるい タンパク質の部分ペプチドであってもよい タンパク質の部分ペプチドとしては、例え 、タンパク質のアミノ基末端断片やカルボ キル基末端断片があげられる。本発明にお る「抗体」とはタンパク質の全長または断 に反応する抗体を意味する。

 また、ヒト以外の動物に抗原を免疫して 記ハイブリドーマを得るほか、ヒトリンパ 、例えば、EBウイルスに感染したヒトリン 球をin vitroでタンパク質、タンパク質発現 胞またはその溶解物で感作し、感作リンパ をヒト由来の永久分裂能を有するミエロー 細胞、例えばU266と融合させ、タンパク質へ 結合活性を有する所望のヒト抗体を産生す ハイブリドーマを得ることもできる。

 本発明の上述のER-TR7抗原タンパク質、合 酵素、修飾酵素、脱修飾化酵素抑制タンパ 質、ER-TR7抗原活性化抑制タンパク質に対す 抗体は、該タンパク質と結合することによ 、該タンパク質の発現もしくは機能を阻害 る効果が期待される。得られた抗体を人体 投与する目的(抗体治療)で使用する場合に 、免疫原性を低下させるため、ヒト抗体や ト型抗体が好ましい。

 また、ER-TR7抗原タンパク質を用いて該抗 と結合する抗体を作製する工程を含む、該 体を有効成分として含む線維化抑制剤の製 方法もまた、本発明に含まれる。

 さらに本発明は、上述のER-TR7抗原タンパ 質、合成酵素、修飾酵素、脱修飾化酵素抑 タンパク質、ER-TR7抗原活性化抑制タンパク の機能を阻害し得る物質として、上述のER-T R7抗原タンパク質、合成酵素、修飾酵素、脱 飾化酵素抑制タンパク質、ER-TR7抗原活性化 制タンパク質に結合する低分子量物質(低分 子化合物)も含有する。該低分子量物質は、 然または人工の化合物であってもよい。通 、当業者に公知の方法を用いることによっ 製造あるいは取得可能な化合物である。

 さらに、本発明の上述のER-TR7抗原タンパ 質、合成酵素、修飾酵素、脱修飾化酵素抑 タンパク質、ER-TR7抗原活性化抑制タンパク の発現もしくは機能を阻害し得る物質とし 、上述のER-TR7抗原タンパク質、合成酵素、 飾酵素、脱修飾化酵素抑制タンパク質、ER-T R7抗原活性化抑制タンパク質に対してドミナ トネガティブの性質を有する変異体(ドミナ ントネガティブタンパク質)をあげることが きる。「ER-TR7抗原タンパク質、合成酵素、 飾酵素、脱修飾化酵素抑制タンパク質、ER-TR 7抗原活性化抑制タンパク質に対してドミナ トネガティブの性質を有する該タンパク質 異体」とは発現させることによって、内在 の野生型タンパク質の活性を消失あるいは 下させる機能を有するタンパク質を指す。

 本発明における「核酸」とはRNAまたはDNA 意味する。また所謂PNA(peptide nucleic acid)や ルフォリノアンチセンスオリゴ(Morpholino ant isense oligo)等の化学合成核酸アナログも本発 の核酸に含まれる。PNAは核酸の基本骨格構 である五単糖・リン酸骨格を、グリシンを 位とするポリアミド骨格に置換したもので り、モルフォリノアンチセンスオリゴはモ フォリノ骨格に置換したもので、核酸と類 の3次元構造を有する。

 特定の内在性遺伝子の発現を抑制する方 としては、アンチセンス技術を利用する方 が当業者によく知られている。アンチセン 核酸が標的遺伝子の発現を抑制する作用と ては、以下のような複数の要因が存在する すなわち、三重鎖形成による転写開始阻害 RNAポリメラーゼによって局部的に開状ルー 構造が作られた部位とのハイブリッド形成 よる転写阻害、合成の進みつつあるRNAとの イブリッド形成による転写阻害、イントロ とエクソンとの接合点とのハイブリッド形 よるスプライシング阻害、スプライソソー 形成部位とのハイブリッド形成によるスプ イシング阻害、mRNAとのハイブリッド形成に よる核から細胞質への移行阻害、キャッピン グ部位やポリ(A)付加部位とのハイブリッド形 成による翻訳開始阻害、翻訳開始因子結合部 位とのハイブリッド形成による翻訳開始阻害 、開始コドン近傍のリボソーム結合部位との ハイブリッド形成による翻訳阻害、mRNAの翻 領域やポリソーム結合部位とのハイブリッ 形成によるペプチド鎖の伸長阻害、核酸と ンパク質との相互作用部位とのハイブリッ 形成による遺伝子発現阻害(平島および井上 新生化学実験講座2 核酸IV遺伝子の複製と 現、日本生化学会編、東京化学同人、1993、3 19-347)、アンチセンスRNAについてはmRNAとのハ ブリッド形成による二本鎖RNA形成よりRNAi効 果による遺伝子発現阻害などである。このよ うにアンチセンス核酸は転写、スプライシン グ、翻訳などの様々過程を阻害することで、 標的遺伝子の発現を阻害する。

 本発明で用いられるアンチセンス核酸は 上記のいずれの作用により、ER-TR7抗原タン ク質、合成酵素、修飾酵素、脱修飾化酵素 制タンパク質、ER-TR7抗原活性化抑制タンパ 質のいずれかをコードする遺伝子の発現お び/または機能を阻害してもよい。一つの態 様としては、ER-TR7抗原タンパク質、合成酵素 、修飾酵素、脱修飾化酵素抑制タンパク質、 ER-TR7抗原活性化抑制タンパク質をコードする 遺伝子のmRNAの5’端近傍の非翻訳領域に相補 なアンチセンス配列を設計すれば、遺伝子 翻訳阻害に効果的と考えられる。また、コ ド領域もしくは3’側の非翻訳領域に相補的 な配列も使用することができる。このように 、ER-TR7抗原タンパク質、合成酵素、修飾酵素 、脱修飾化酵素抑制タンパク質、ER-TR7抗原活 性化抑制タンパク質をコードする遺伝子の翻 訳領域だけでなく、非翻訳領域の配列のアン チセンス配列を含む核酸も、本発明で利用さ れるアンチセンス核酸に含まれる。使用され るアンチセンス核酸は、適当なプロモーター の下流に連結され、好ましくは3’側に転写 結シグナルを含む配列が連結される。この うにして構築された核酸は、公知の方法を いることで所望の動物(細胞)に導入すること ができる。アンチセンス核酸の配列は形質転 換される動物(細胞)が有する内在性のER-TR7抗 タンパク質、合成酵素、修飾酵素、脱修飾 酵素抑制タンパク質、ER-TR7抗原活性化抑制 ンパク質をコードする遺伝子またはその一 と相補的な配列が好ましいが、遺伝子の発 を有効に抑制できる限りにおいて、完全に 補的でなくてもよい。転写されたRNAは標的 伝子に対して好ましくは90%以上、最も好ま くは95%以上の相補性を有する。アンチセン 核酸を用いて、標的遺伝子の発現を効果的 阻害するには、アンチセンス核酸の長さは なくとも15塩基以上25塩基未満であることが 好ましいが、本発明のアンチセンス核酸は必 ずしもこの長さに限定されず、例えば100塩基 以上、または、500塩基以上であってもよい。

 上述のER-TR7抗原タンパク質、合成酵素、 飾酵素、脱修飾化酵素抑制タンパク質、ER-T R7抗原活性化抑制タンパク質をコードする遺 子の発現の阻害は、リボザイム、またはリ ザイムをコードするDNAを利用しておこなう とも可能である。リボザイムとは触媒活性 有するRNA分子を指す。リボザイムには種々 活性を有するものが存在するが、中でもRNA 切断する酵素としてのリボザイムに焦点を てた研究により、RNAを部位特異的に切断す リボザイムの設計が可能となった。リボザ ムにはグループIイントロン型やRnasePに含ま れるM1 RNAのように400ヌクレオチド以上の大 さのものもあるが、ハンマーヘッド型やヘ ピン型と呼ばれる40ヌクレオチド程度の活性 ドメインを有するものもある(小泉誠および 塚栄子、蛋白質核酸酵素、1990、35、2191)。

 例えば、ハンマーヘッド型リボザイムの 己切断ドメインは、G13U14C15という配列のC15 3’側を切断するが、その活性にはU14とA9と 塩基対形成が重要とされ、C15の代わりにA15 たはU15でも切断され得ることが示されてい (Koizumi M, et al., FEBSLett, 1988, 239, 285、小 誠および大塚栄子、蛋白質核酸酵素、1990、 35、2191、Koizumi M, et al., Nucl Acids Res. 1989, 17, 7059)。

 また、ヘアピン型リボザイムも本発明の 的に有用である。このリボザイムは、例え 、タバコリングスポットウイルスのサテラ トRNAのマイナス鎖に見いだされる(Buzayan JM. , Nature, 1986, 323, 349)。ヘアピン型リボザイ からも標的特異的なRNA切断リボザイムを作 できることが示されている(Kikushi Y. & S asaki N., Nucl. Acids Res., 1991, 19, 6751.、菊池 , 化学と生物, 1992, 30, 112)。このように、 リボザイムを用いて上述のER-TR7抗原タンパク 質、合成酵素、修飾酵素、脱修飾化酵素抑制 タンパク質、ER-TR7抗原活性化抑制タンパク質 をコードする遺伝子の転写産物を特異的に切 断することによって、該遺伝子の発現を阻害 することができる。

 内在性遺伝子の発現抑制は、さらに、標 遺伝子配列と同一もしくは類似した配列を する二本鎖RNAを用いたRNA干渉(RNA interference 以下「RNAi」と略称する)によってもおこな ことができる。

 近年のゲノムプロジェクトの完了によっ 、ヒトゲノムの全塩基配列が解読され、数 くの疾患関連遺伝子が盛んに同定されてい 現在、特定の遺伝子を標的とした治療法、 薬開発が盛んに実施されている。中でも、 異的転写後抑制効果を発揮するsmall interferi ng RNA(siRNA)の遺伝子治療への応用が注目され いる。RNAiは二本鎖のRNA(dsRNA)が細胞内に取 込まれると、このdsRNAと相同な配列を持つ遺 伝子の発現が抑制されるという、現在注目さ れている手法である。哺乳類細胞においては 、dsRNAを導入することでRNAiを誘導することが 可能で、RNAiはノックアウトマウスと比較し 効果が安定、実験が容易、費用が安価であ など、多くの利点を有している。

 RNAiは二本鎖RNAと相補的な塩基配列を持っ たmRNAが分解される現象である。RNAiはこの現 を利用して人工的に21~23merの二本鎖RNA(siRNA) 導入することにより任意の遺伝子の発現を 制する方法である。1998年にFireらが線虫を いて二本鎖RNAが配列特異的に遺伝子のサイ ンシングを引き起こすことを発見して以来(F ire A. et al., Nature, 1998, 391, 806-811)、21~23mer にプロセッシングされた二本鎖RNAがmRNAを切 する機構(Zamore PD. et al., Cell, 2000, 101, 25- 33)やRISC(RNA-induced silencing complex)の存在(Hammond  SM. et al., Science, 2001, 293, 1146-1150)、Dicer クローニング(Bernstein E. et al., Nature, 409,  363-366)を経て、2001年にElbashirらによって哺乳 細胞でもsiRNAによる配列特異的な発現抑制 可能であることが証明され(Elbashir SM. et al. , Nature, 2001 411, 494-498)、遺伝子治療応用へ 期待が高まっている。

 RNAi効果による阻害作用を有する核酸は、 一般的にsiRNAもしくはshRNAとも呼ばれる。RNAi 標的遺伝子のmRNAと相同配列からなるセンス RNAとこれと相補的な配列からなるアンチセン スRNAとからなる短鎖二本鎖RNA(以下「dsRNA」と 略称する)を細胞等に導入することにより、 的遺伝子mRNAに特異的かつ選択的に結合して 壊を誘導し、当該遺伝子転写産物を切断す ことにより標的遺伝子の発現を効率よく阻 する(抑制する)現象である。例えば、dsRNAを 細胞に導入すると、そのRNAと相同配列を持つ 遺伝子の発現が抑制(ノックダウン)される。 のようにRNAiは標的遺伝子の発現を抑制し得 ることから、従来の煩雑で効率の低い相同組 み替えによる遺伝子破壊方法(ノックアウト) 変わる簡易な遺伝子ノックアウト方法とし 、または遺伝子治療への応用可能な方法と て注目されている。RNAiに用いるRNAは上述の ER-TR7抗原タンパク質、合成酵素、修飾酵素、 脱修飾化酵素抑制タンパク質、ER-TR7抗原活性 化抑制タンパク質をコードする遺伝子もしく は該遺伝子の部分領域と必ずしも完全に同一 である必要はないが、完全な相同性を有する ことが好ましい。

 siRNAの設計にあたっては、標的としては 述のER-TR7抗原タンパク質、合成酵素、修飾 素、脱修飾化酵素抑制タンパク質、ER-TR7抗 活性化抑制タンパク質をコードする遺伝子 あれば特に限定されるものではなく、任意 領域をすべて標的候補とすることが可能で る。

 siRNAを細胞に導入するには二本のRNAをア ールして導入する方法などを採用すること できる。また、上記二本鎖RNAは一方の端が じたヘアピン構造を有するRNA(shRNA)でもよい shRNAとはショートヘアピンRNA(short hairpin RNA )と呼ばれ、一本鎖の一部の領域が他の領域 相補鎖を形成するためステムループ構造を するRNA分子である。このように分子内で二 鎖RNAを形成得る分子もまた本発明のsiRNAに含 まれる。

 本発明の好ましい態様としては、上述のE R-TR7抗原タンパク質、合成酵素、修飾酵素、 修飾化酵素抑制タンパク質、ER-TR7抗原活性 抑制タンパク質をコードする遺伝子をRNAi効 果によって抑制し得るRNA(siRNA)であって、例 ば1もしくは少数の塩基の欠失あるいは付加 れた構造の二本鎖RNAであっても、該遺伝子 発現を抑制する機能を有するものであれば 本発明のsiRNAに含まれる。

 RNAi機構の詳細については未だに不明な部 分が多いが、DICERと呼ばれる酵素(RNaseIII核酸 解酵素ファミリーの一つ)が二本鎖RNAと結合 し、二本鎖RNAがsiRNAとよばれる小さな断片に 解されるものと考えられている。本発明に けるRNAi効果を有する二本鎖RNAには、このよ うにDICERによって分解される前の二本鎖RNAも まれる。すなわち、そのままの長さではRNAi 効果を有さないような長鎖のRNAであっても、 細胞内においてRNAi効果を有するsiRNAへ分解さ れることが期待されるため、本発明における 二本鎖RNAの長さは、特に制限されない。

 例えば、上述のER-TR7抗原タンパク質、合 酵素、修飾酵素、脱修飾化酵素抑制タンパ 質、ER-TR7抗原活性化抑制タンパク質をコー する遺伝子のmRNAの全長もしくはほぼ全長の 領域に対応する長鎖二本鎖RNAを、例えば、予 めDICERで分解し、その分解産物を本発明の薬 として利用することが可能である。この分 産物にはRNAi効果を有する二本鎖RNAが含まれ ることが期待される。この方法によれば、RNA i効果を有することが期待される領域を特に 択しなくともよい。すなわち、RNAi効果を有 る本発明の上述の遺伝子のmRNA上の領域は、 必ずしも正確に規定される必要はない。

 本発明におけるsiRNAは、必ずしも標的配 に対する一組の二本鎖RNAである必要ではな 、標的配列を含んだ領域に対する複数組の 本鎖RNAの混合物であってもよい。また、本 明のsiRNAには、所謂「カクテルsiRNA」が含ま る。

 また、本発明におけるsiRNAは必ずしもす てのヌクレオチドがリボヌクレオチドでな ともよい。すなわち、本発明において、siRNA を構成する1もしくは複数のリボヌクレオチ は対応するデオキシリボヌクレオチドであ てもよい。この「対応する」とは、糖部分 構造は異なるものの、同一の塩基種(アデニ 、チミン(ウラシル)、グアニン、シトシン) あることを指す。例えば、アデニンを有す リボヌクレオチドに対応するデオキシリボ クレオチドとは、アデニンを有するデオキ リボヌクレオチドのことをいう。また、前 の「複数」とは特に限定されないが、好ま くは2~5個程度の少数を指す。

 さらに、本発明の上記RNAを発現し得るDNA( ベクター)もまた、本発明の上述のER-TR7抗原 ンパク質、合成酵素、修飾酵素、脱修飾化 素抑制タンパク質、ER-TR7抗原活性化抑制タ パク質をコードする遺伝子の発現を抑制し る化合物の好ましい態様に含まれる。例え 、本発明の上記二本鎖RNAを発現し得るDNAは 該二本鎖RNAの一方をコードするDNA、および 二本鎖RNAの他方の鎖をコードするDNAがそれ れ発現し得るようにプロモーターと連結し 構造を有するDNAである。また、標的配列を 当なプロモーターの下流に適当な配列を挟 だ回文構造で導入したDNAでもよい。この場 、前述のshRNAが得られる。

 また、本発明の発現阻害物質には、上述 ER-TR7抗原タンパク質、合成酵素、修飾酵素 脱修飾化酵素抑制タンパク質、ER-TR7抗原活 化抑制タンパク質をコードする遺伝子発現 節領域と結合する転写因子に結合すること より、上述のER-TR7抗原タンパク質、合成酵 、修飾酵素、脱修飾化酵素抑制タンパク質 ER-TR7抗原活性化抑制タンパク質をコードす 遺伝子の発現を阻害する化合物が含まれる

 本発明は、本発明の「線維化抑制剤」を 験体に投与することによる、被験体の皮膚 臓器等の生体組織における線維化を抑制す 方法にも関する。

 さらに本発明の「線維化抑制剤」は、皮 や臓器等の生体組織の線維化を効果的に抑 できることから、線維化疾患(組織の過剰な 線維化に伴う疾患)の治療および予防のため 有利に使用することができる。本発明にお る線維化疾患の例は限定されるものではな 。本発明にかかわる「線維化疾患」の具体 としては、特に限定されないが、皮膚をは めとする外皮および上皮組織における弾性 維症、強皮症、慢性腹膜炎、後腹膜腔線維 症など、結合組織などの支持組織、筋肉に ける多発性筋炎、皮膚筋炎、結節性多発動 炎、軟組織線維症、慢性関節リウマチ、手 線維腫、腱炎、腱鞘炎、アキレス腱炎、足 腫など、骨髄、心臓などの血液組織、脈管 における骨髄線維症、脾機能亢進症、脈管 、徐脈性不整脈、動脈硬化、閉塞性血栓性 管炎、結節性線維症、狭心症、拡張型うっ 性心筋症、心不全、拘束型心筋症、びまん 非閉塞性心筋症、閉塞性心筋症、肺性心、 帽弁狭窄、大動脈弁狭窄、慢性心膜炎、心 膜線維症、心内膜心筋線維症など、肝臓な の消化器系では慢性膵炎、クローン病、潰 性大腸炎、アルコール性肝炎、慢性B型肝炎 慢性C型肝炎、ウィルソン病、肝硬変、ウイ ルス性肝炎、ゴーシェ病、糖原病、α抗トリ シン欠損、ヘモクロマトーシス、チロシン 症、果糖血症、ガラクトース血症、ゼルウ ガー症候群、先天性肝線維症、門脈圧亢進 、肝肉芽腫症、バッド-キアリ症候群、原発 性硬化性胆管炎、脂肪肝、非アルコール性肝 炎、肝線維症、先天性肝線維症、アルコール 性肝硬変、ウイルス性肝硬変、寄生虫性肝硬 変、中毒性肝硬変、栄養障害性肝硬変、うっ 血性肝硬変、肝硬化症、シャルコー肝硬変、 トッド肝硬変、続発性胆汁性肝硬変、単葉性 肝硬変、慢性非化膿性破壊性胆炎から移行し た肝硬変、閉塞性肝硬変、胆細管性肝硬変、 胆汁性肝硬変、萎縮性肝硬変、壊死後性肝硬 変、肝炎後肝硬変、結節性肝硬変、混合型肝 硬変、小結節性肝硬変、代償性肝硬変、非代 償性肝硬変、大結節性肝硬変、中隔性肝硬変 、突発性肝硬変、門脈周囲性肝硬変、門脈性 肝硬変、原発性胆汁性肝硬変など、肺などの 呼吸系におけるコクシジオイデス症、ブラス トミセス症、アレルギー性気管支肺アスペル ギルス症、グッドパスチャー症候群、成人呼 吸促迫症候群における肺線維症、慢性閉塞性 肺疾患、無気肺、肺炎、珪肺症、石綿肺症、 過敏性肺炎、特発性肺線維症、リンパ球性間 質性肺炎、ランゲルハンス細胞肉芽腫症、嚢 胞性線維症、膿胞性線維症、肺線維症、特発 性肺線維症、線維化性肺胞隔炎、間質性線維 症、びまん性肺線維症、慢性間質性肺炎、気 管支拡張症、細気管支炎線維症、気管支周囲 線維症、胸膜線維症など、腎臓などの泌尿器 、生殖器系における男性性腺機能低下症、筋 強直性ジストロフィー、ペイロニー病などに よる線維症、慢性尿細管間質性腎炎、常染色 体劣性嚢胞腎、骨髄腫腎、水腎症、急速進行 性糸球体腎炎、腎毒性疾患、黄色肉芽腫性腎 盂腎炎、鎌状赤血球腎症、腎性尿崩症、常染 色体優性多発性嚢胞腎疾患、慢性糸球体腎炎 、IgA腎症、腎硬化症、巣状糸球体硬化症、膜 性腎炎、膜増殖性糸球体腎炎、慢性腎盂腎炎 、腎アミロイドーシス、多発性嚢胞腎、後腹 膜線維症、ループス腎炎など膠原病に伴う腎 病変、糖尿病性腎症、慢性前立腺炎、住血吸 虫症による膀胱炎、乳腺線維症、乳腺線維腺 腫など、脊椎などの神経系における先天性斜 頸、強直性脊椎炎、神経線維腫や脊髄損傷後 の神経機能欠損等の脊髄疾患、パーキンソン 病やアルツハイマー病等の脳神経疾患、眼球 における後部水晶体線維化症、増殖性網膜症 など、また、全身に病変の生じるサルコイド ーシス、全身性エリテマトーデスによる線維 症や全身性強皮症、多発性筋炎、皮膚筋炎な どがあげられるが、本発明における「線維化 疾患」はこれらに限定されるものではなく、 皮膚や臓器など各生体組織における線維化に よって生じる疾患を含む。

 本発明の「線維化抑制剤」は「線維化治 薬」、「線維化改善剤」または「抗線維化 」等と表現することも可能である。また、 発明において「抑制剤」は「医薬品」、「 薬組成物」、「治療用医薬」等と表現する ともできる。

 なお、本発明における「治療」には、線 化の発生を予め抑制し得る予防的な効果、 善効果等も含まれる。また、線維化発現組 に対して、必ずしも完全な治療効果を有す 場合に限定されず、部分的な効果を有する 合であっても良い。

 本発明では、本発明の「線維化抑制剤」 被験体に投与することにより、被験体の生 組織の線維化を効果的に抑制することがで る。「線維化抑制剤」の投与経路としては 限定されるものではないが、非経口経路が ましい。非経口経路の好適な例としては、 脈内、動脈内、腹腔内、および皮下経路等 あげられる。本発明の「線維化抑制剤」は 身投与してもよいし、局所投与(例えば肝臓 の線維化組織に直接投与)してもよい。投与 は、被験体の体重や年齢、投与方法などに 存するが、当業者(医師、獣医師、薬剤師等) であれば適当な投与量を適宜選択することが 可能である。

 本発明の「線維化抑制剤」を投与すべき 験体としては、ヒト、家畜、愛玩動物、実 動物を含む哺乳動物が好ましい。特に線維 疾患、例えば肝硬変や肺線維症などの罹患 ている哺乳動物(患者)が本発明にかかわる 験体として好ましい。

 本発明の薬剤は製薬上許容される担体、 形剤、および/または希釈剤等と混合し、医 薬組成物として経口、あるいは非経口的に投 与することができる。本発明における担体、 賦形剤、および/または希釈剤の例としては 、生理食塩水、リン酸緩衝バッファー、ポ ビニルアルコール、ポリビニルピロリドン カルボキシルビニルポリマー、アルギン酸 トリウム、水溶性デキストラン、ペクチン キサンタンガム、アラビアゴム、ゼラチン 寒天、グリセリン、プロピレングリコール ポリエチレングリコール、ワセリン、パラ ィン、ステアリルアルコール、ステアリン 、ヒト血清アルブミン、マンニトール、ソ ビトール、ラクトースなどがあげられるが れらに限定されない。本発明の医薬組成物 は保存剤等の添加物をさらに含んでもよい 本発明の医薬組成物はさらに他の薬理成分 含有していてもよい。

 本発明の医薬組成物は経口製剤または非 口製剤としても提供してもよいが、非経口 剤として提供することがより好ましい。非 口製剤としては、液剤、懸濁剤等の液体製 が好ましく、特に注射剤や点滴剤が好まし 。

 さらに本発明は、本発明の薬剤を個体(例 えば、線維化疾患の患者等)に投与する工程 含む、線維化疾患の治療方法もしくは予防 法を提供する。

 また、上述したER-TR7もしくは同等の機能 持つ物質について、本発明の薬剤(線維化抑 制剤、線維化疾患の治療もしくは予防剤等) 製造のための使用に関する。

 本明細書中で引用した全ての刊行物、特 および特許出願はその全体を参照により本 細書中に組み入れるものとする。

 以下、実施例を用いて本発明をさらに具体 に説明する。ただし、本発明の技術的範囲 これら実施例に限定されるものではない。
〔実施例1〕 マウス肝硬変モデルにおけるER- TR7の治療効果:臨床像

 C57BL/6Jマウス(メス、5~6週令、日本クレア 製)に、四塩化炭素(10μl;Sigma-Aldrich社製)を90 lのミネラルオイル(Sigma-Aldrich社製)に混合し 週2回ずつ4週間にわたり(7回)、腹腔内に注 し、肝線維症を惹起した。さらに四塩化炭 を週2回ずつ2週間にわたって追加投与し(総 11回)、肝硬変を誘導した。この四塩化炭素 導肝線維症モデルは再現性に優れており、 硬変モデルの実験系としても広く使用され いる(Sakaida I., et al., Hepatology, 40: 1304-1311,  2004)。肝硬変が誘導されたマウスにER-TR7(10μ l/200μl PBS)を週2回ずつ2週間にわたり投与し(4 回)、これをER-TR7治療群とした。また、同様 PBSのみを投与したものを未治療群、四塩化 素を投与せず、肝硬変を惹起しなかったも を対照群とした。それぞれの群を屠殺し、 臓を採取した。

 採取した肝臓の第2葉の一部を凍結用包埋 剤OCTコンパウンド(Miles社製)に包埋し、液体 素で凍結ブロックを作製した。その凍結ブ ックからクライオスタット(Microm社製)を用い て厚さ6μmの切片を作製した。

 得られた切片をアセトン(和光純薬社製) 10分間固定後、リン酸緩衝液で洗浄し、さら に一次抗体として抗IV型コラーゲン抗体(ウサ ギ血清、1:2000希釈、LSL社製)を添加し、室温 1時間反応させた。続いて、ペルオキシダー 標識抗ウサギ抗体(MP biomedicals社製;1:200希釈 )を用いて二次抗体反応をおこなった後、DAB 質(ニチレイ社製)を添加した(図1(1))。

 また、得られた切片をbouin' solution(Sigma-Al drich社製)で固定した後、Weigert's Iron Hematoxyli ne Set(Sigma-Aldrich社製)を用いて、取扱説明書 従い、核を染色した。水洗後、Trichrome Masson (Sigma-Aldrich社製)を用いて、取扱説明書に従い 染色をおこなった(図1(2))。光学顕微鏡(LEICA社 製)下で試料を観察した。

 得られた肝組織の染色像の例を図1に示す。 それぞれの染色においてER-TR7治療群の像では 未治療群に比べて線維化の状態が緩和され、 対照群に近い像が得られた。すなわち、ER-TR7 による治療の結果、線維化の症状が緩和され たことが示された。
〔実施例2〕 マウス肝硬変モデルにおけるER- TR7の治療効果:線維化マーカー遺伝子の発現 の測定

 C57BL/6Jマウス(メス、5~6週令、日本クレア 製)に、四塩化炭素(10μl;Sigma-Aldrich社製)を90 lのミネラルオイル(Sigma-Aldrich社製)に混合し 週2回ずつ4週間にわたり(7回)、腹腔内に注 し、肝線維症を惹起した。さらに四塩化炭 を週2回ずつ2週間にわたって追加投与し(総 11回)、肝硬変を誘導した。この四塩化炭素 導肝線維症モデルは再現性に優れており、 硬変モデルの実験系としても広く使用され いる(Sakaida I., et al., Hepatology, 40: 1304-1311,  2004)。肝硬変が誘導されたマウスにER-TR7(10μ l/200μl PBS)を週2回ずつ2週間にわたり投与し(4 回)、これをER-TR7治療群とした。また、同様 PBSのみを投与したものを未治療群、四塩化 素を投与せず、肝硬変を惹起しなかったも を対照群とした。それぞれの群を屠殺し、 臓を採取した。

 採取した肝臓の一部を1.5 mlチューブにとり わけ、液体窒素で凍結した。組織50 mgに対し 、RNA-Bee(TEL-TEST社製)1 mlを加えてホモジナイ した懸濁液にクロロホルム200μl(Sigma-Aldrich社 製)を加え穏やかに混合後、約5分氷冷し、12,0 00 rpm、4℃、15分間遠心分離機(Centrifuge 5417R eppendolf社製)を用い遠心分離をおこなった。 心分離後の上澄み液500μlを別の1.5 mlチュー ブに移し、上澄み液と同等量のイソプロパノ ール500μl(Sigma-Aldrich社製)を加え、混合後1μl グリコーゲン(Invitrogen社製)を加え、15分間氷 冷した。氷冷15分後、12,000 rpm、4℃、15分間 心し、その後、75%エタノール1000μl(Sigma-Aldric h社製)で3回洗浄して得られたRNA沈殿物を30分~ 1時間、自然乾燥させた後、大塚蒸留水(大塚 薬製)に溶解させ、さらに大塚蒸留水にて100 倍希釈し、UVプレート(コーニングコースター 社製)上でプレートリーダー(POWER Wave XS、BIO- TEK社製)により抽出したサンプル中のRNA濃度 算出した。得られたRNAサンプルを500 ng/20μl 濃度に調整し、68℃、3分間、BLOCK INCUBATOR(AS TEC社製)にて加温し、10分間氷冷した。氷冷後 、予め調整していたRT PreMix液(組成:25 mg MgCl 2  18.64μl(Invitrogen社製)、5×Buffer 20μl(Invitrogen 製)、0.1 M DTT 6.6μl(Invitrogen社製)、10 mM dNTP  mix 10μl(Invitrogen社製)、Rnase Inhibitor 2μl(Invi trogen社製)、MMLV Reverse Transcriptase 1.2μl(Invitro gen社製)、Random primer 2μl(Invitrogen社製)、滅菌 蒸留水(大塚蒸留水;大塚製薬社製))を80μl加え 、BLOCK INCUBATORにて42℃、1時間、99℃、5分間 加熱した後、氷冷しcDNA 100μlを作成した。

 得られたcDNAを用いて、以下の組成でPCR反 応を行った。SYBR Premix EX taq 12.5μl (TAKARA社 製)、滅菌蒸留水11.3μl(大塚蒸留水)、プライ ー0.1μl (50 pmol/μl; 表1)、cDNA1μlを混合させ Real-time PCR Dice (TAKARA社製)により95℃ 5秒 60℃ 30秒で40サイクル反応させた。反応終了 後、36B4遺伝子とGAPDH遺伝子の発現量を内部標 準として各線維化マーカー遺伝子の発現量の 測定をおこなった。

[表1]
NM_007393
Mus musculus actin, beta, cytoplasmic (Actb), mRNA ( -actin)
F: CATCCGTAAAGACCTCTATGCCAAC(配列番号:1)
R: ATGGAGCCACCGATCCACA(配列番号:2)
NM_008084
Mus musculus glyceraldehyde-3-phosphate dehydrogenase, m RNA (GAPDH)
F: AAATGGTGAAGGTCGGTGTG(配列番号:3)
R: TGAAGGGGTCGTTGATGG(配列番号:4)
NM_007475
Mus musculus acidic ribosomal phosphoprotein P0 (Arbp) , mRNA (36B4)
F: TTCCAGGCTTTGGGCATCA (配列番号:5)
R: ATGTTCAGCATGTTCAGCAGTGTG(配列番号:6)
NM_013693
Mus musculus tumor necrosis factor (Tnf), mRNA (TNF- )
F: CAGGAGGGAGAACAGAAACTCCA(配列番号:7)
R: CCTGGTTGGCTGCTTGCTT(配列番号:8)
NM_007743
Mus musculus procollagen, type I, alpha 2 (Col1a2),  mRNA (Type 1 collagen)
F: ACCCGATGGCAACAATGGA(配列番号:9)
R: ACCAGCAGGGCCTTGTTCAC(配列番号:10)
NM_007392
Mus musculus actin, alpha 2, smooth muscle, aorta (A cta2), mRNA (α-SMA)
F: GAGCATCCGACACTGCTGACA(配列番号:11)
R: AGCACAGCCTGAATAGCCACATAC(配列番号:12)

 その結果、対照群に比べてER-TR7治療群で 検定したすべての遺伝子において発現量の 下が見られた。このことにより、ER-TR7を投 することにより線維化が抑制されていると えられる(図2)。

〔実施例3〕 マウス潰瘍性大腸炎モデルにお けるER-TR7の治療効果:肉眼像
 C57BL/6Jマウス(メス、7週令、日本クレア社製 )にデキストラン硫酸ナトリウム(DSS: 和光社 )を3%含有する高塩素水を7日間自由飲水させ ることにより潰瘍性大腸炎モデルを作製した 。また、3%DSS水を給水すると同時に、マウス はER-TR7(0.4 mg/ml、BMA Biomedicals社製)10μlを生 食塩水(大塚製薬社製)190μlに混合したもの または生理食塩水のみ200μlを腹腔内に注射 た。この処置をおこなったマウス群をER-TR7 、対照群と名付け、3%DSS水を飲水させながら 8日間飼育した後、各群の個々のマウスを屠 し、その大腸を採取し長さを測定した。

 その結果、ER-TR7投与群と対照群を比較す と、ER-TR7群は対照群に比べ有意に腸の長さ 保たれていた。(p<0.05、t検定)。このこと よりER-TR7により大腸の線維化変化による萎 が抑制されていると考えられる(図3)。

〔実施例4〕 マウス潰瘍性大腸炎モデルにお けるER-TR7の治療効果:線維化マーカー遺伝子 発現量の測定
 C57BL/6Jマウス(メス、7週令、日本クレア社製 )にデキストラン硫酸ナトリウム(DSS: 和光社 )を3%含有する高塩素水を7日間自由飲水させ ることにより潰瘍性大腸炎モデルを作製した 。また、3%DSS水を給水すると同時に、マウス はER-TR7(0.4 mg/ml、BMA Biomedicals社製)10μlを生 食塩水(大塚製薬社製)190μlに混合したもの または生理食塩水のみ200μlを腹腔内に注射 た。この処置をおこなったマウス群をER-TR7 、対照群と名付け、3%DSS水を飲水させながら 8日間飼育した後、各群の個々のマウスを屠 し、その大腸を採取し長さを測定した。

 採取した大腸の長さを測定した後、一部を1 .5 mlチューブにとりわけ、液体窒素で凍結し た。組織50 mgに対し、RNA-Bee(TEL-TEST社製)1 ml 加えてホモジナイズした懸濁液にクロロホ ム200μl(Sigma-Aldrich社製)を加え穏やかに混合 、約5分氷冷し、12,000 rpm、4℃、15分間遠心 離機(Centrifuge 5417R、eppendolf社製)を用い遠心 離をおこなった。遠心分離後の上澄み液500 lを別の1.5 mlチューブに移し、上澄み液と同 等量のイソプロパノール500μl(Sigma-Aldrich社製) を加え、混合後1μlのグリコーゲン(Invitrogen社 製)を加え、15分間氷冷した。氷冷15分後、12,0 00 rpm、4℃、15分間遠心し、その後、75%エタ ール1000μl(Sigma-Aldrich社製)で3回洗浄して得ら れたRNA沈殿物を30分~1時間、自然乾燥させた 、大塚蒸留水(大塚製薬社製)に溶解させ、さ らに大塚蒸留水にて100倍希釈し、UVプレート( コーニングコースター社製)上でプレートリ ダー(POWER Wave XS、BIO-TEK社製)により抽出し サンプル中のRNA濃度を算出した。得られたRN Aサンプルを500 ng/20μlの濃度に調整し、68℃ 3分間、BLOCK INCUBATOR(ASTEC社製)にて加温し、10 分間氷冷した。氷冷後、予め調整していたRT PreMix液(組成:25 mg MgCl 2  18.64μl(Invitrogen社製)、5×Buffer 20μl(Invitrogen 製)、0.1M DTT 6.6μl(Invitrogen社製)、10 mM dNTP  mix 10μl(Invitrogen社製)、Rnase Inhibitor 2μl(Invitr ogen社製)、MMLV Reverse Transcriptase 1.2μl(Invitroge n社製)、Random primer 2μl(Invitrogen社製)、滅菌 留水(大塚蒸留水;大塚製薬社製))を80μl加え BLOCK INCUBATORにて42℃、1時間、99℃、5分間、 熱した後、氷冷しcDNA 100μlを作成した。

 得られたcDNAを用いて、以下の組成でPCR反 応を行った。SYBR Premix EX taq 12.5μl (TAKARA社 製)、滅菌蒸留水11.3μl(大塚蒸留水)、プライ ー0.1μl (50 pmol/μl; 表1)、cDNA 1μlを混合さ 、Real-time PCR Dice (TAKARA社製)により95℃ 5秒 、60℃ 30秒で40サイクル反応させた。反応終 後、β-actin遺伝子の発現量を内部標準とし 各線維化マーカー遺伝子の発現量の測定を こなった。

 その結果、対照群に比べてER-TR7治療群で 検定したすべての遺伝子において発現量の 下が見られた。このことにより、ER-TR7を投 することにより線維化が抑制されていると えられる(図4)。

〔実施例5〕 ヒト正常肺線維芽細胞でのER-TR7 による細胞免疫染色
 ヒト正常肺線維芽細胞(1×10 4 個;CELL APPLICATION社製)を滅菌したギャップカ ーガラス(24×25 mm;松波硝子工業社製)を入れ 6穴プレート(コーニングコースター社製)中 10μg/ml lipopolysaccharide(Escherichia Coli 055:B5; S igma-Aldrich社製)を含む10%牛胎児血清(CELL APPLICA TION社製)含有HLF Growth Medium(CELL APPLICATION社製 )で1日培養した後、PBSで3回洗浄した後、氷冷 メタノール(WAKO社製)を加え、4℃で15分間放置 した。PBSで3回洗浄した後、ブロックエース( 印乳業社製)溶液を加え室温2時間放置した その後、ER-TR7(0.4 mg/ml)をブロックエース溶 に1:500になるように混合し、室温で2時間放 した。PBST(0.05% Tween20)で10分間3回洗浄した後 、Alexa Fluor(R) 488 Goat Anti-rat IgG(Molecular Prob e社製)を1:2000、TO-PRO3(Molecular Probe社製)を1:5000 でPBST中に混合し、この溶液を加え暗所で室 2時間放置した。PBSTで10分間3回洗浄した後、 Fluorescent Mounting Medium(DAKO Cytomation社製)で封 し、蛍光顕微鏡(Leica TCS SPE;Leica社製)で観 した。
 その結果、ヒト正常肺線維芽細胞ではER-TR7 原の発現が確認された(図5)。

〔実施例6〕 ヒト正常肺線維芽細胞抽出物よ りER-TR7抗原の同定
 ヒト正常肺線維芽細胞をT150フラスコ(コー ングコースター社製)中で10%牛胎児血清含有H LF Growth Mediumで80%コンフレント(約5×10 7 個)まで培養し、PBSで3回洗浄した後、10μg/ml  lipopolysaccharide(Escherichia Coli 055:B5)を含む10%牛 胎児血清含有HLF Growth Mediumを加え、3日間培 した。PBSで3回洗浄した後、M-PER Mammalian Pro tein Extraction Reagent(PIERCE社製)500μlを加え、細 胞抽出物を得た。得られた細胞抽出物8μlと2 Sample Buffer(組成:62.5 mM Tris-HCl(Invitorgen社製)p H6.8、25% glycerol(WAKO社製)、2% SDS(ナカライテ ク社製)、350 mM DTT(Sigma Aldrich社製)、0.01% Br omophenol Blue(Sigma-Aldrich社製))8μlを混合し、BLOC K INCUBATOR(ASTEC社製)にて99℃、5分間加熱した 加熱後、全量をSDS-ポリアクリルアミドゲル 気泳動(泳動槽:AE-6530M ラピタス・ミニスラ 電気泳動槽;アトー社製、濃縮ゲル:125 mM Tr is-HCl(Invitrogen社製)pH6.8、0.01% SDS(ナカライテ ク社製)、3.75%アクリルアミド溶液(29:1=acrylami de(Invitrogen社製): bisacrylamide(Invitrogen社製))、 離ゲル:375 mM Tris-HCl pH8.8、0.01% SDS、7.5%ア リルアミド溶液、泳動バッファー:25 mM Tris- HCl、192 mM Glycine(WAKO社製)、0.1% SDS、pH 8.3)に 100 V、40分間、パワーパックBasic(BIORAD社製)を 用いてかけた。泳動終了後、Immobilon-Pメンブ ン(MILLIPORE社製)へミニトランスブロットセ (BIORAD社製)を用いて100 V、40分かけて転写し 。転写後、メンブレンをブロックエース溶 中で室温1時間放置した後、ER-TR7(0.4 mg/ml)を ブロックエース溶液に1:500になるように混合 、この溶液中で室温2時間放置した。TBST(50  mM Tris、150 mM NaCl、0.01% Tween20)で5分間3回洗 した後、HRP GOAT anti-rat whole A(GE Healthcare  Bioscience社製)をTBST中に1:2000になるように混合 した液中で室温1時間放置した。その後、TBST 5分間3回洗浄し、Donkey Anti-Goat IgG (H+L)(Jacks on ImmunoReseach Laboratories社製)をTBST中に1:2000に なるように混合した液中で室温1時間放置し 。TBSTで5分間3回洗浄した後、SuperSignal West D ura Extended Duration Substrate(PIRCE社製)にメンブ ンを浸した後、FluorChem(AlphaInnotech社製)でシ ナルを検出した。

 その結果、約70 kDaのシグナルを得た。こ の結果、このタンパク質がER-TR7の抗原であり 、線維化の進行に深く関っていることが示唆 された(図6)。

〔実施例7〕 各種組織におけるER-TR7陽性細胞 の存在の確認
(1)肺気腫モデルマウス肺組織におけるER-TR7陽 性細胞の集積
 C57BL/6Jマウス(メス、5~6週令、日本クレア社 )に、ブタ膵臓由来エステラーゼ(PPE、4単位 Calbiochem-Novabiochem社製)を気管内投与する。 与後、3週間飼育し、肺組織を採取した。対 群は同様のマウスでPPE未投与のものを用い 。
 採取された肺組織サンプルを、凍結用包埋 OCTコンパウンド(Miles社製)に包埋し、クライ オスタット(カールツァイス社製)により薄切 た。得られた切片をアセトン(和光純薬社製 )で10分間固定後、リン酸緩衝液で洗浄し、一 次抗体としてER-TR7抗体(ラットモノクローナ 抗体、1μg/ml、BMA社製)を添加し、室温で1時 反応させた。続いて、ペルオキシダーゼ標 坑ラットIgG(1:200希釈)を用いて二次抗体反応 おこなった後、DAB基質(ニチレイバイオサイ エンス社製)を添加し、発色させた。その後 リリー・マイヤーヘマトキシリン(武藤化学 製)により核染色をおこない、光学顕微鏡( イカ社製)下でサンプルを観察し、茶色のシ ナルで可視化された抗体結合を観察した。
 上記結果から、線維化肺組織においてER-TR7 性細胞の存在が確認された。即ち、線維化 組織は本発明の薬剤の治療対象となり得る とが確認された。
(2)2型糖尿病モデルマウス膵臓組織におけるER -TR7陽性細胞の集積
 妊娠14日目のC57BL/6JcLマウス(日本クレア社製 )を飼育、出産させ、出生後2日令のメスにStre ptozotocin 10mg/ml(SIGMA社製)を20μl/head皮下注射し 、4週令までCE-2(日本クレア社製)の飼料、滅 水を与え飼育し、4週令よりHigh Fat Diet食(日 本クレア社製)、滅菌水を与え、2週間飼育し 膵臓組織を採取した。
 ER-TR7抗体による免疫染色は上述と同様の方 でおこなった。その結果、茶色のシグナル 可視化された抗体結合を観察した。
 上記結果から、線維化膵臓組織においてER-T R7陽性細胞の存在が確認された。即ち、線維 膵臓組織は本発明の薬剤の治療対象となり ることが確認された。
(3)パーキンソン病モデルマウスにおける脳内 でのER-TR7陽性細胞の集積
 妊娠14日目C57BL/6JcLマウス(日本クレア社製) 飼育、出産させ、8週令メスに3日連続でドー パミンニューロンのみを選択的に破壊するMPT P(Sigma Aldrich Japan社製)を30mg/kgで体内に投与 たものを飼育した。最初の投与1週間後に脳 摘出し、サンプルとした。
 採取された脳組織サンプルを、凍結用包埋 OCTコンパウンド(Miles社製)に包埋し、クライ オスタット(カールツァイス社製)により薄切 た。得られた切片を4%PFAリン酸緩衝液(ナカ イテスク社製)で10分間固定後、脱イオン水 洗浄し、一次抗体としてER-TR7(1:100希釈、BMA 製)を添加し、4℃で一晩反応させた。次に 次抗体であるAlexa488標識抗ラットIgGヤギ抗体 (I:200希釈、Invitrogen社製)を添加し、室温で30 反応させた。その結果、可視化された抗体 合を観察した。
 上記結果から、線維化脳組織においてER-TR7 性細胞の存在が確認された。即ち、線維化 組織は本発明の薬剤の治療対象となり得る とが確認された。
(4)心筋症モデルマウス心臓組織におけるER-TR7 陽性細胞の集積
 C57BL/6Jマウス(オス、8週令、日本クレア社製 )にDOX(15 mg/kg、協和発酵社製)を腹腔内投与し た。投与後1週間飼育し、心臓組織を採取し 。
 ER-TR7による免疫染色は上述と同様の方法で こなった。その結果、茶色のシグナルで可 化された抗体結合を観察した。
 上記結果から、線維化心臓組織においてER-T R7陽性細胞の存在が確認された。即ち、線維 心臓組織は本発明の薬剤の治療対象となり ることが確認された。
(5)潰瘍性大腸炎モデルマウスの大腸組織にお けるER-TR7陽性細胞の集積
 C57BL/6Jマウス(メス、6週令、日本クレア社製 )にデキストラン硫酸ナトリウム(DSS、和光純 社製)を3%含有する高塩素水を8日間自由飲水 させることにより大腸炎モデルマウスを作製 し、大腸を採取した。
 ER-TR7抗体による免疫染色は上述と同様の方 でおこなった。その結果、茶色のシグナル 可視化された抗体結合を観察した。
 上記結果から、線維化大腸組織においてER-T R7陽性細胞の存在が確認された。即ち、線維 大腸組織は本発明の薬剤の治療対象となり ることが確認された。
(6)腎線維化モデルマウスの腎組織におけるER- TR7陽性細胞の集積
 C57BL/6JcLマウス(♀、8週齢、日本クレア社製) に片側尿管結紮術(UUO)を行い、腎線維化モデ を作成した。この腎線維症モデルマウスは 現性に優れており、マウスの腎線維症の実 系で広く用いられている(American journal of p athology 2003 163;4 1261-1273)。マウスをケタラー ル/キシラジン麻酔下で開腹し、尿管を露出 せ、右尿管を4-0号手術用糸で2カ所結紮し、1 -0号手術用糸にて腹膜、皮膚を縫合した。8日 後、腎組織を採取した。
 ER-TR7抗体による免疫染色は上述と同様の方 でおこなった。その結果、茶色のシグナル 可視化された抗体結合を観察した。
 上記結果から、線維化腎組織においてER-TR7 性細胞の存在が確認された。即ち、線維化 組織は本発明の薬剤の治療対象となり得る とが確認された。
(7)肝硬変モデルマウスの肝臓におけるER-TR7陽 性細胞の集積
 C57BL/6Jマウス(メス、5~6週令、日本クレア社 )に、四塩化炭素(10μl;Sigma-Aldrich社製)を90μl ミネラルオイル(Sigma-Aldrich社製)に混合し、 2回ずつ4週間にわたり(7回)、腹腔内に注射 、肝線維症を惹起した。さらに四塩化炭素 週2回ずつ2週間にわたって追加投与し(総計11 回)、肝硬変を誘導した。その後、2週間飼育 、肝臓を採取した。
 ER-TR7抗体による免疫染色は上述と同様の方 でおこなった。その結果、茶色のシグナル 可視化された抗体結合を観察した。
 上記結果から、線維化肝組織においてER-TR7 性細胞の存在が確認された。即ち、線維化 組織は本発明の薬剤の治療対象となり得る とが確認された。

 本発明に係る、ER-TR7を有効成分として含 する線維化抑制剤は生体組織の線維化を抑 することにより、組織の過剰な線維化を伴 疾患の治療または予防に効果を有する。本 明に係る線維化抑制剤は、繊維化した組織 おいて、線維化マーカー遺伝子であるα-SMA TNFα、I型collagenの発現が抑制されることか 、組織の線維化を抑制する上で非常に有用 ある。本発明の線維化抑制剤を投与するこ による線維化疾患の治療または予防方法は 薬剤療法によって線維化病変を有効に改善 きることから、患者のQOLの向上に役立つ優 た療法となりうる。

 さらに、医療上での利用にとどまらず、 玩動物の慢性線維化疾患の治療や予防、家 動物への投与による疾患予防など、各動物 のER-TR7抗原ホモログに対する抗体の作製に って、ペット産業、畜産産業への利用も期 できる。