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Title:
FILM, INNER LINER FOR TIRE, AND TIRE USING THE INNER LINER
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/123229
Kind Code:
A1
Abstract:
Disclosed is a film that has excellent gas barrier properties and flex resistance, can reduce the weight of a tire while improving the internal pressure retention in a new tire or a tire after traveling, and can exhibit barrier properties without cracking in traveling at a low temperature, for example, in a winter season. Also disclosed are an inner liner for a tire using the film, and a tire comprising the inner liner for a tire. The film is characterized by comprising at least a layer formed of a resin composition (D) comprising a viscoelastic material (C) dispersed in a resin comprising a modified ethylene-vinyl alcohol copolymer (B) produced by reacting an ethylene-vinyl alcohol copolymer (A), the viscoelastic material (C) having a 100% modulus at -30°C of less than 6 MPa.

Inventors:
TAKAHASHI YUUWA (JP)
NOHARA DAISUKE (JP)
NAKAGAWA DAISUKE (JP)
Application Number:
PCT/JP2009/056735
Publication Date:
October 08, 2009
Filing Date:
March 31, 2009
Export Citation:
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Assignee:
BRIDGESTONE CORP (JP)
TAKAHASHI YUUWA (JP)
NOHARA DAISUKE (JP)
NAKAGAWA DAISUKE (JP)
International Classes:
C08L29/04; B60C5/14; C08F8/08; C08L23/26; C08L101/12
Domestic Patent References:
WO2003072653A12003-09-04
WO2007083785A12007-07-26
Foreign References:
JP2008024217A2008-02-07
JP2007008186A2007-01-18
JP2006248445A2006-09-21
JP2004176048A2004-06-24
JPH11199713A1999-07-27
JPH0640207A1994-02-15
JP2002052904A2002-02-19
JP2004176048A2004-06-24
Other References:
See also references of EP 2267073A4
Attorney, Agent or Firm:
SUGIMURA, Kenji et al. (JP)
Kenji Sugimura (JP)
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Claims:
 エチレン-ビニルアルコール共重合体(A)を反応させて得られる変性エチレンビニルアルコール共重合体(B)を含む樹脂中に粘弾性体(C)を分散させた樹脂組成物(D)からなる層を少なくとも含み、
 前記粘弾性体(C)の-30℃における100%モジュラスが6MPa未満であることを特徴とするフィルム。
 前記粘弾性体(C)が、水酸基と親和性の高い官能基を有する軟質高分子を含んでいることを特徴とする請求項1に記載のフィルム。
 前記粘弾性体(C)が、マレイン酸、無水マレイン酸、イソシアネート、イソチアシアネート、アルコキシシラン、エポキシ、アミン、及びホウ素を含有する官能基を含む化合物からなる群より選択される少なくとも一種の化合物で変性されているか、或いは、ホウ素含有基が導入されている軟質高分子を含んでなることを特徴とする請求項1に記載のフィルム。
 前記樹脂が、エチレン-ビニルアルコール共重合体(A)100質量部に対し、エポキシ化合物(E)1~50質量部を反応させて得られる変性エチレン-ビニルアルコール共重合体(B)を含むことを特徴とする請求項1に記載のフィルム。
 前記エチレン-ビニルアルコール共重合体(A)のケン化度が90%以上であることを特徴とする請求項1に記載のフィルム。
 前記エポキシ化合物(E)の分子量が500以下であることを特徴とする請求項4に記載のフィルム。
 前記エポキシ化合物(E)がグリシドール又はエポキシプロパンであることを特徴とする請求項4に記載のフィルム。
 前記エチレン-ビニルアルコール共重合体(A)のエチレン含有量が25~50モル%であることを特徴とする請求項1に記載のフィルム。
 前記樹脂組成物(D)の-30℃におけるヤング率が1500MPa以下であることを特徴とする請求項1に記載のフィルム。
 前記樹脂組成物(D)における前記粘弾性体(C)の含有率が10~70質量%の範囲であることを特徴とする請求項1に記載のフィルム。
 前記粘弾性体(C)の平均粒径が5μm以下であることを特徴とする請求項1に記載のフィルム。
 前記樹脂組成物(D)からなる層が架橋されていることを特徴とする請求項1に記載のフィルム。
 前記樹脂組成物(D)からなる層は、20℃、65%RHにおける酸素透過量が3.0×10 -12 cm 3 ・cm/cm 2 ・sec・cmHg以下であることを特徴とする請求項1に記載のフィルム。
 前記樹脂組成物(D)からなる層一層あたりの厚さが500μm以下であることを特徴とする請求項1に記載のフィルム。
 前記樹脂組成物(D)からなる層に隣接して、更にエラストマーからなる補助層(F)を一層以上備えることを特徴とする請求項1に記載のフィルム。
 前記エラストマーが、オレフィン系エラストマー、ジエン系エラストマー又はその水素添加物、或いはウレタン系エラストマーであることを特徴とする請求項15に記載のフィルム。
 前記樹脂組成物(D)からなる層が前記補助層(F)に挟まれていることを特徴とする請求項15記載のフィルム。
 前記樹脂組成物(D)からなる層と、当該層に隣接した補助層(F)との間及び互いに隣接した補助層(F)の間の少なくとも一箇所に、一層以上の接着剤層(G)を備えることを特徴とする請求項15に記載のフィルム。
 前記補助層(F)は、20℃、65%RHにおける酸素透過量が3.0×10 -9 cm 3 ・cm/cm 2 ・sec・cmHg以下であることを特徴とする請求項15に記載のフィルム。
 前記補助層(F)がブチルゴム及び/又はハロゲン化ブチルゴムを含むことを特徴とする請求項15に記載のフィルム。
 前記補助層(F)がジエン系エラストマーを含むことを特徴とする請求項15に記載のフィルム。
 前記補助層(F)が熱可塑性ウレタン系エラストマーを含むことを特徴とする請求項15に記載のフィルム。
 前記補助層(F)の厚さの合計が10~2000μmの範囲であることを特徴とする請求項15に記載のフィルム。
 請求項1~23のいずれかに記載のフィルムを用いたタイヤ用インナーライナー。
 請求項24に記載のタイヤ用インナーライナーを備えることを特徴とするタイヤ。
 請求項15~23のいずれかに記載のフィルムを用いたタイヤ用インナーライナーを備えるタイヤであって、
 前記補助層(F)は、ベルト端からビード部までの領域において、少なくとも30mmの幅に相当する部分の補助層(F)の厚さの合計が、ベルト下部に対応する部分の該補助層(F)の厚さの合計より0.2mm以上厚いことを特徴とするタイヤ。
Description:
フィルム、タイヤ用インナーラ ナー及びそれを用いたタイヤ

 本発明は、ガスバリア性及び耐屈曲性に れ、新品時及び走行後のタイヤの内圧保持 を向上させながらタイヤの重量を減少させ ことができ、更に冬場等の低温時の走行に いても割れることなくバリア性を発揮する とが可能なタイヤ用インナーライナーに用 得るフィルムに関するものである。

 従来、タイヤの内圧を保持するためにタ ヤ内面に空気バリア層として配設されるイ ナーライナーには、ブチルゴムやハロゲン ブチルゴム等を主原料とするゴム組成物が 用されている。しかしながら、これらブチ 系ゴムを主原料とするゴム組成物は、空気 リア性が低いため、かかるゴム組成物をイ ナーライナーに使用した場合、インナーラ ナーの厚さを1mm前後とする必要があった。 のため、タイヤに占めるインナーライナー 重量が約5%となり、タイヤの重量を低減し 自動車、農業用車両、及び建設作業用車両 の燃費を向上させる上で障害となっている

 一方、エチレン-ビニルアルコール共重合 体(以下、EVOHと略記することがある)は、ガス バリア性に優れることが知られている。該EVO Hは、空気透過量が上記ブチル系ゴムの100分 1以下であるため、インナーライナーに用い 場合、100μm以下の厚さでもタイヤの内圧保 性を大幅に向上させることができる上、タ ヤの重量を低減することが可能である。

 ここで、上記ブチル系ゴムより空気透過 の低い樹脂は数多く存在するが、空気透過 がブチル系ゴムの10分の1程度の場合、100μm 超える厚さでないと、内圧保持性の改良効 が小さい。一方、100μmを超える厚さの場合 タイヤの重量を低減する効果が小さく、ま 、タイヤ屈曲時の変形によりインナーライ ーが破断したり、インナーライナーにクラ クが発生してしまい、バリア性を保持する とが困難となる。そこで、耐屈曲性を向上 せるために、融点170~230℃のナイロン樹脂に 、イソブチレンパラメチルスチレン共重合体 のハロゲン化物を含むエラストマーを配合し たものをインナーライナーに使用する技術が 開示されているが(特開平11-199713号公報)、樹 に対するエラストマーの比率が高いため、 屈曲性は向上するもののナイロン樹脂が有 るバリア性を保持できなくなるという問題 ある。

 これに対し、上記EVOHをインナーライナー に使用した場合、インナーライナーの厚さを 100μm以下にすることができるため、タイヤ転 動時の屈曲変形で破断し難く、また、クラッ クも生じ難くなる。そのため、空気入りタイ ヤの内圧保持性を改良するために、EVOHをタ ヤのインナーライナーに用いることは有効 あるといえる。例えば、特開平6-40207号公報 は、EVOHからなるインナーライナーを備えた 空気入りタイヤが開示されている。

 しかしながら、通常のEVOHをインナーライ ナーとして用いた場合、タイヤの内圧保持性 を改良する効果は大きいものの、通常のEVOH タイヤに通常用いられているゴムに比べ弾 率が大幅に高いため、屈曲時の変形で破断 たり、クラックが生じることがあった。そ ため、EVOHからなるインナーライナーを用い 場合、タイヤ使用前の内圧保持性は大きく 上するものの、タイヤ転動時に屈曲変形を けた使用後のタイヤでは、内圧保持性が使 前と比べて低下することがあった。この問 を解決する手段として、特開2002-52904号公報 には、エチレン含有量20~70モル%、ケン化度85% 以上のエチレン-ビニルアルコール共重合体60 ~99重量%及び疎水性可塑剤1~40重量%からなるコ ンポジットフィルムをインナーライナーに使 用する技術が開示されている。

 更に、特開2004-176048号公報には、エチレ 含有量25~50モル%のエチレン-ビニルアルコー 共重合体100重量部に対してエポキシ化合物1 ~50重量部を反応させて得られる変性エチレン -ビニルアルコール共重合体をインナーライ ーに使用する技術が開示されており、該イ ナーライナーは、従来のEVOHからなるタイヤ インナーライナーと比較して、ガスバリア を保持したまま、より高度な耐屈曲性を有 るとのことである。

 しかしながら、上記特開2004-176048号公報 開示のインナーライナーは、耐屈曲性、及 冬場等の低温走行時における柔軟性が十分 ないため割れやすく、優れたバリア性を発 できない等、依然として改善の余地がある

 そこで、本発明の目的は、ガスバリア性 び耐屈曲性に優れ、タイヤの重量を減少さ ることが可能で、冬場等の低温走行時にお て割れにくいタイヤ用インナーライナーに い得るフィルムを提供することにある。

 本発明者らは、上記目的を達成するため 鋭意検討した結果、エチレン-ビニルアルコ ール共重合体(A)を反応させて得られる変性エ チレン-ビニルアルコール共重合体(B)を含む 脂中に粘弾性体(C)を分散させた、樹脂組成 (D)からなる層を少なくとも含むことを特徴 するフィルムを用いたインナーライナーが 優れたガスバリア性及び耐屈曲性を有し冬 等の低温走行時に割れにくいこと、また、 インナーライナーを配設したタイヤが、新 時及び走行後の内圧保持性に優れることを 出し、本発明を完成させるに至った。

 即ち、本発明のフィルムは、エチレン-ビニ ルアルコール共重合体(A)を反応させて得られ る変性エチレン-ビニルアルコール共重合体(B )を含む樹脂中に粘弾性体(C)を分散させた樹 組成物(D)からなる層を少なくとも含み、
 前記粘弾性体(C)の-30℃における100%モジュラ スが6MPa未満であることを特徴とする。

 また、本発明のフィルムの好適例の一例 おいては、前記粘弾性体(C)が、水酸基と親 性の高い官能基を有する軟質高分子を含ん いる。

 また、本発明のフィルムの好適例の一例 おいて、前記粘弾性体(C)は、マレイン酸、 水マレイン酸、イソシアネート、イソチア アネート、アルコキシシラン、エポキシ、 ミン、及びホウ素を含有する官能基を含む 合物からなる群より選択される少なくとも 種の化合物で変性されているか、或いは、 ウ素含有基が導入されている軟質高分子を んでなる。

 また、本発明のフィルムの好適例の一例 おいては、前記変性エチレン-ビニルアルコ ール共重合体(B)が、前記エチレン-ビニルア コール共重合体100質量部に対し、エポキシ 合物(E)1~50質量部を反応させて得られるもの ある。

 また、本発明のフィルムの好適例の一例 おいては、前記エチレン-ビニルアルコール 共重合体のケン化度が90%以上である。

 また、本発明のフィルムの好適例の一例 おいては、前記エポキシ化合物(E)の分子量 500以下である。

 また、本発明のフィルムの好適例の一例 おいては、前記エポキシ化合物(E)がグリシ ール又はエポキシプロパンである。

 また、本発明のフィルムの好適例の一例 おいては、前記エチレン-ビニルアルコール 共重合体のエチレン含有量が25~50モル%である 。

 また、本発明のフィルムの好適例の一例 おいては、前記樹脂組成物(D)の-30℃におけ ヤング率が1500MPa以下である。

 また、本発明のフィルムの好適例の一例 おいては、前記樹脂組成物(D)における前記 弾性体(C)の含有率が10~70質量%の範囲である

 また、本発明のフィルムの好適例の一例 おいては、前記粘弾性体(C)の平均粒径が5μm 以下である。

 また、本発明のフィルムの好適例の一例 おいては、前記樹脂組成物(D)からなる層が 橋されている。

 また、本発明のフィルムの好適例の一例に いては、前記樹脂組成物(D)からなる層は、2 0℃、65%RHにおける酸素透過量が3.0×10 -12 cm 3 ・cm/cm 2 ・sec・cmHg以下である。

 また、本発明のフィルムの好適例の一例 おいては、前記樹脂組成物(D)からなる層一 あたりの厚さが500μm以下である。

 また、本発明のフィルムの好適例の一例 おいては、前記樹脂組成物(D)からなる層に 接して、更にエラストマーからなる補助層( F)を一層以上備える。

 また、本発明のフィルムの好適例の一例 おいては、前記エラストマーが、オレフィ 系エラストマー、ジエン系エラストマー又 その水素添加物、或いはウレタン系エラス マーである。

 また、本発明のフィルムの好適例の一例 おいては、前記樹脂組成物(D)からなる層が 記補助層(F)に挟まれている。

 また、本発明のフィルムの好適例の一例 おいては、前記樹脂組成物(D)からなる層と 該層に隣接した補助層(F)との間及び互いに 接した補助層(F)の間の少なくとも一箇所に 一層以上の接着剤層(G)を備える。

 また、本発明のフィルムの好適例の一例に いては、前記補助層(F)は、20℃、65%RHにおけ る酸素透過量が3.0×10 -9 cm 3 ・cm/cm 2 ・sec・cmHg以下である。

 また、本発明のフィルムの好適例の一例 おいては、前記補助層(F)がブチルゴム及び/ 又はハロゲン化ブチルゴムを含む。

 また、本発明のフィルムの好適例の一例 おいては、前記補助層(F)がジエン系エラス マーを含む。

 また、本発明のフィルムの好適例の一例 おいては、前記補助層(F)が熱可塑性ウレタ 系エラストマーを含む。

 また、本発明のフィルムの好適例の一例 おいては、前記補助層(F)の厚さの合計が10~2 000μmの範囲である。

 また、本発明のタイヤ用インナーライナ は、前記のいずれかのフィルムを用いたも である。そして、本発明のタイヤは、当該 イヤ用インナーライナーを備える。

 また、本発明のタイヤの好適例の一例にお ては、
 前記のいずれかのフィルムを用いたタイヤ インナーライナーを備え、
 前記補助層(F)は、ベルト端からビード部ま の領域において、少なくとも30mmの幅に相当 する部分の補助層(F)の厚さの合計が、ベルト 下部に対応する部分の該補助層(F)の厚さの合 計より0.2mm以上厚い。

 本発明によれば、ガスバリア性及び耐屈 性に優れ、新品時及び走行後のタイヤの内 保持性を向上させながらタイヤの重量を減 させることができ、更に冬場等の低温時の 行においても割れることなくバリア性を発 することが可能なタイヤ用インナーライナ に用い得るフィルム及びそれを用いたタイ 用インナーライナー、並びにそのタイヤ用 ンナーライナーを備えたタイヤを提供でき 。

本発明の空気入りタイヤの一例の部分 面図である。 本発明の空気入りタイヤの一例の拡大 分断面図である。 本発明の空気入りタイヤの他の例の拡 部分断面図である。 本発明の空気入りタイヤの他の例の部 断面図である。 本発明において使用される押出機の好 なスクリュー構成の実施態様の一例を示す 略図である。

 以下に、本発明を詳細に説明する。本発 のフィルムは、タイヤ用インナーライナー 好適に用いることができるものであり、エ レン-ビニルアルコール共重合体(A)を反応さ せて得られる変性エチレンビニルアルコール 共重合体(B)を含む樹脂中に粘弾性体(C)を分散 させた樹脂組成物(D)からなる層を少なくとも 含み、前記粘弾性体(C)の-30℃における100%モ ュラスが6MPa未満であることを特徴とする。 のように、エチレン-ビニルアルコール共重 合体(A)を反応させて得られる変性エチレン- ニルアルコール共重合体(B)を含む樹脂中に 粘弾性体(C)を分散させた樹脂組成物(D)をイ ナーライナーとして使用することにより、 スバリア性及び耐屈曲性に優れ、新品時及 走行後のタイヤの内圧保持性を向上させな らタイヤの重量を減少させることができ、 に冬場等の低温時の走行においても割れる となくバリア性を発揮することが可能なイ ナーライナーに用い得るフィルムを提供す ことができる。なお、前記粘弾性体(C)の-30 のM100(100%モジュラス)が6MPa以上であると、タ イヤが突起を乗り越す時に生じる大きな歪み によるマトリクス樹脂中のクラック発生を防 ぐことができない。なお、本発明のフィルム はタイヤ用インナーライナー以外のものにも 用いることができる。

 本発明のフィルムにおいては、前記変性 チレン-ビニルアルコール共重合体(B)を含む 樹脂中に、-30℃におけるヤング率が前記変性 エチレン-ビニルアルコール共重合体より小 い粘弾性体(C)を分散させた樹脂組成物(D)か なる層を少なくとも含むことが好ましい。 記エチレン-ビニルアルコール共重合体(A)に 例えば、エポキシ化合物(E)を反応させて得 れる変性エチレン-ビニルアルコール共重合 体(B)は、通常のEVOHに比べて弾性率が低い。 た、上記物性を満たす粘弾性体(C)を分散さ ることで、弾性率を更に低下させることが きる。そのため、上記変性エチレン-ビニル ルコール共重合体を含む樹脂中に上記粘弾 体(C)を分散させてなる樹脂組成物(D)は、弾 率が大幅に低下しており、屈曲時の耐破断 が高く、またクラックも発生し難い。

 また、前記エチレン-ビニルアルコール共重 合体(A)を変性させて、結晶性を発現している 水酸基を下記式(I)に示すような化学構造に変 えることで、前記エチレン-ビニルアルコー 共重合体(A)の結晶性を低下させ、柔軟化す ことができる。
(式中、R 1 、R 2 及びR 3 は、C、H及びOの何れかを含む。)

 本発明のフィルムにおいては、上記粘弾 体(C)が、ジエン系又は非ジエン系ゴムのい れか一方を含むことが好ましい。このよう 、上記粘弾性体(C)がジエン系又は非ジエン ゴムのいずれか一方を含む場合、樹脂組成 (D)が広い温度範囲でエラスティックに振る うことができるので、フィルム(インナーラ イナー)の耐疲労性を向上できる。

 また、前記粘弾性体(C)の主鎖骨格としては ブタジエンゴム(BR)、スチレン-ブタジエン 重合体ゴム(SBR)、水素添加SBR、天然ゴム(NR) ブチルゴム(IIR)、クロロスルフォン化ポリエ チレンゴム(CSM)、エチレンプロピレンゴム(EPM 、EPDM)、エチレン-ブテンゴム、エチレン-オ テンゴム、クロロプレンゴム(CR)、アクリル ム(ACM)、シリコーンゴムや、一部に官能基 持つ変性天然ゴム、ニトリルゴム(NBR)、及び ハロゲン基を含む粘弾性体(例えば、臭素化- チルゴム(Br-IIR)、塩素化ブチルゴム(Cl-IIR)及 び下記式(II)で示される臭素化イソブチレン-p -メチルスチレン)などが挙げられる。

 また、本発明のフィルムにおいて、前記 弾性体(C)は水酸基と親和性の高い、又は反 して前記変性エチレン-ビニルアルコール共 重合体(B)分子と前記粘弾性体(C)分子とを結合 させる様な官能基を有することが好ましい。 上記粘弾性体(C)が水酸基と親和性の高い官能 基を有することで、前記変性エチレン-ビニ アルコール共重合体(B)中における粘弾性体(C )の分散径のバラツキが小さくなり、また、 均粒子径を小さくすることができる。ここ 、水酸基と親和性の高い官能基としては、 ウ素含有基、マレイン酸、無水マレイン酸 水酸基、カルボキシル基、イソシアネート 、イソチアシアネート基、エポキシ基、ア ン、アルコキシシランからなる群より選択 れる少なくとも一種の化合物で変性するこ により導入される官能基、が挙げられる。

 前記官能基は、前記変性エチレン-ビニル アルコール共重合体(B)分子と直接反応できる 、又は親和性の高いものに限られず、他の薬 剤で予備反応させることにより、前記変性エ チレン-ビニルアルコール共重合体(B)分子と 応できるような例も含む(例えば実施例13)。 能基は、前記粘弾性体(C)の重合体の重合時 はポスト重合時の処理によってあらかじめ 与させてもよいし、前記変性エチレン-ビニ ルアルコール共重合体(B)と樹脂組成物(D)とを 混練りする際、又は混練りする直前に、前記 変性エチレン-ビニルアルコール共重合体(B) 他の低分子化合物との反応によって導入し もよい。

 前記ホウ素含有基としては、ボロン酸基 び水の存在下でボロン酸基に転化し得るホ 素含有基からなる群より選ばれる少なくと 1種の官能基が挙げられる。前記ホウ素含有 基のうち、ボロン酸基とは下記式(III)で示さ るものである。

 また、水の存在下でボロン酸基に転化し るホウ素含有基とは、水の存在下で加水分 を受けて上記式(III)で示されるボロン酸基 転化し得るホウ素含有基を指す。より具体 には、水単独、水と有機溶媒(トルエン、キ レン、アセトンなど)との混合物、5%ホウ酸 溶液と前記有機溶媒との混合物などを溶媒 し、室温~150℃の条件下で10分~2時間加水分 したときにボロン酸基に転化し得る官能基 意味する。このような官能基の代表例とし は、下記式(IV)で示されるボロン酸エステル 、下記式(V)で示されるボロン酸無水物基、 記式(VI)で示されるボロン酸塩基などが挙げ られる。

[式中、X及びYは水素原子、脂肪族炭化水素基 (炭素数1~20の直鎖状もしくは分岐状アルキル 、又はアルケニル基など)、脂環式炭化水素 基(シクロアルキル基、シクロアルケニル基 ど)、芳香族炭化水素基(フェニル基、ビフェ ニル基など)を表し、XおよびYは同じであって もよいし異なっていてもよい。ただし、Xお びYがともに水素原子の場合は除かれる。ま 、XとYは結合していてもよい。またR 1 、R 2 およびR 3 は上記XおよびYと同様の水素原子、脂肪族炭 水素基、脂環式炭化水素基、芳香族炭化水 基を表し、R 1 、R 2 およびR 3 は同じでもよいし異なっていてもよい。また Mはアルカリ金属を表す。さらに、上記のX、Y 、R 1 、R 2 およびR 3 は他の基、例えば水酸基、カルボキシル基、 ハロゲン原子などを有していてもよい。]

 上記式(IV)で示されるボロン酸エステル基 の具体例としては、ボロン酸ジメチルエステ ル基、ボロン酸ジエチルエステル基、ボロン 酸ジブチルエステル基、ボロン酸ジシクロヘ キシルエステル基、ボロン酸エチレングリコ ールエステル基、ボロン酸プロピレングリコ ールエステル基、ボロン酸1,3-プロパンジオ ルエステル基、ボロン酸1,3-ブタンジオール ステル基、ボロン酸ネオペンチルグリコー エステル基、ボロン酸カテコールエステル 、ボロン酸グリセリンエステル基、ボロン トリメチロールエタンエステル基、ボロン トリメチロールプロパンエステル基、ボロ 酸ジエタノールアミンエステル基などが挙 られる。

 また、上記式(VI)で示されるボロン酸塩基 としては、ボロン酸のアルカリ金属塩基など が挙げられる。具体的には、ボロン酸ナトリ ウム塩基、ボロン酸カリウム塩基などが挙げ られる。

 このようなホウ素含有基のうち、熱安定 の観点からボロン酸環状エステル基が好ま い。ボロン酸環状エステル基としては、例 ば5員環または6員環を含有するボロン酸環 エステル基が挙げられる。具体的には、ボ ン酸エチレングリコールエステル基、ボロ 酸プロピレングリコールエステル基、ボロ 酸1,3-プロパンジオールエステル基、ボロン 1,3-ブタンジオールエステル基、ボロン酸グ リセリンエステル基などが挙げられる。

 本発明のフィルムにおいて、前記粘弾性 (C)を構成する高分子材料は、分子構造がラ ダムであり、Tm(融点)又はTg(ガラス転移点) 50℃以上のブロック又はセグメントを含まな いか、或いは、含んだとしても、その量が少 ないことが好ましい。例えば、前記粘弾性体 (C)がスチレンのブロック又はセグメントを大 量に含むと、室温付近ではスチレン層がガラ ス状態であり、非常に硬く振るまうため、樹 脂組成物(D)の柔軟性が失われる。一方、例え ばスチレンを含んでいても、分子構造がラン ダムであれば、樹脂組成物(D)の柔軟性は確保 できる。ここでTgは示差走査熱量測定(DSC)に り求めた。

 他方、前記粘弾性体(C)を構成する高分子 料は、ペレット形状の保持のために物性を なわない範囲で少量のブロック成分を含ん もよい。例えば、前記粘弾性体(C)を構成す 高分子材料がスチレン-エチレン-ブチレン- チレン共重合体である場合、該共重合体の リスチレン含量は19%以下が好ましく、16%以 がより好ましい。

 また、本発明において、上記変性エチレ -ビニルアルコール共重合体(B)の製造方法は 、特に限定されないが、エチレン-ビニルア コール共重合体(A)100質量部に対し、エポキ 化合物(E)1~50質量部を反応させる製造方法が 適に挙げられる。より詳しくは、エチレン- ビニルアルコール共重合体の溶液に、酸触媒 又はアルカリ触媒存在下、好ましくは酸触媒 存在下、エポキシ化合物(E)を添加し、反応さ せることによって変性エチレン-ビニルアル ール共重合体を製造する。反応溶媒として 、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルム ミド、ジメチルアセトアミド及びN-メチルピ ロリドン等の非プロトン性極性溶媒が挙げら れる。また、酸触媒としては、p-トルエンス ホン酸、メタンスルホン酸、トリフルオロ タンスルホン酸、硫酸及び三フッ化ホウ素 が挙げられ、アルカリ触媒としては、水酸 ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチ ム、ナトリウムメトキシド等が挙げられる なお、触媒量は、エチレン-ビニルアルコー ル共重合体100質量部に対し、0.0001~10質量部の 範囲が好ましい。

 上記エポキシ化合物(E)としては、一価の ポキシ化合物が好ましい。二価以上のエポ シ化合物は、エチレン-ビニルアルコール共 重合体と架橋反応し、ゲル、ブツ等を発生し て、インナーライナーの品質を低下させるこ とがある。なお、変性エチレン-ビニルアル ール共重合体の製造容易性、ガスバリア性 耐屈曲性及び耐疲労性の観点から、前記エ キシ化合物(E)は、一価のエポキシ化合物の でも、分子量が500以下であることが好まし 、グリシドール及びエポキシプロパンが特 好ましい。また、上記エポキシ化合物(E)は エチレン-ビニルアルコール共重合体(A)100質 部に対して1~50質量部を反応させることが好 ましく、2~40質量部を反応させることが更に ましく、5~35質量部を反応させることが一層 ましい。

 上記エチレン-ビニルアルコール共重合体 (A)は、ガスバリア性、耐屈曲性及び耐疲労性 を得る観点から、メルトフローレート(MFR)が1 90℃、2160g荷重下で0.1~30g/10分であることが好 しく、0.3~25g/10分であることが更に好ましく 、0.5~20g/10分であることが一層好ましい。

 また、該エチレン-ビニルアルコール共重 合体(A)は、ケン化度が90%以上であることが好 ましく、95%以上であることが更に好ましく、 99%以上であることが一層好ましい。ケン化度 が90%未満では、インナーライナーのガスバリ ア性及び成形時の熱安定性が不十分となるこ とがある。

 上記エチレン-ビニルアルコール共重合体 (A)は、エチレン含有量が25~50モル%であること が好ましく、30~48モル%であることが更に好ま しく、35~45モル%であることが一層好ましい。 エチレン含有量が25モル%未満では、インナー ライナーの耐屈曲性、耐疲労性及び溶融成形 性が悪化することがあり、一方、50モル%を超 えると、ガスバリア性を十分に確保できない ことがある。

 上記樹脂組成物(D)は、-30℃におけるヤン 率が1500MPa以下であることが好ましい。-30℃ におけるヤング率が1500MPa以下であると、寒 地で使用した際のインナーライナーの耐久 を向上させることができる。

 また、上記樹脂組成物(D)における粘弾性 (C)の含有率は、10~80質量%の範囲であること 好ましく、20~70質量%の範囲であることが更 好ましく、40~70質量%の範囲であることが特 好ましい。粘弾性体(C)の含有率が10質量%未 では、インナーライナーの耐屈曲性を向上 せる効果が小さく、一方、80質量%を超える 、インナーライナーのガスバリア性が低下 ることがある。更に、上記粘弾性体(C)は、 均粒径が5μm以下であることが好ましい。平 均粒径が5μmを超えると、樹脂組成物(D)から る層の耐屈曲性を十分に改善できないおそ があり、インナーライナーのガスバリア性 低下、ひいてはタイヤの内圧保持性の悪化 もたらすことがある。なお、樹脂組成物(D) の粘弾性体(C)の平均粒径は、例えば、サン ルを凍結し、該サンプルをミクロトームに り切片にして、透過電子顕微鏡(TEM)で観察す ることにより求められる。

 上記樹脂組成物(D)は、エチレン-ビニルア ルコール共重合体(A)と粘弾性体(C)とを混練し て調製することができる。また、上記樹脂組 成物(D)は、溶融成形、好ましくはTダイ法、 ンフレーション法等の押出成形により、好 しくは120~270℃の溶融温度でフィルムやシー 等に成形され、インナーライナーとして使 される。

 前記樹脂組成物(D)からなる層は、成形加 時、例えばタイヤ等の加硫時などにおける 熱性を上げるために架橋されていることが ましい。前記樹脂組成物(D)からなる層が架 されていない場合、タイヤの加硫工程でイ ナーライナーが著しく変形して不均一とな 、インナーライナーのガスバリア性、耐屈 性、耐疲労性が悪化することがある。ここ 、架橋方法としては、エネルギー線を照射 る方法が好ましく、該エネルギー線として 、紫外線、電子線、X線、α線、γ線等の電 放射線が挙げられ、これらの中でも電子線 特に好ましい。また、樹脂及び粘弾性体は 子線架橋型が好ましく、電子線崩壊型だと 久性に劣る。電子線の照射は、樹脂組成物(D )をフィルムやシート等の成形体に加工した に行うことが好ましい。ここで、電子線の 量は、2.5~60Mradの範囲が好ましく、5~50Mradの 囲が更に好ましい。電子線の線量が2.5Mrad未 では、架橋が進み難く、一方、60Mradを超え と、成形体の劣化が進み易くなる。また、6 0Mradを超えると成形体が硬くなりすぎ、割れ くなることがある。

 また、上記樹脂組成物(D)からなる層は、20 、65%RHにおける酸素透過量が3.0×10 -12 cm 3 ・cm/cm 2 ・sec・cmHg以下であることが好ましく、1.0×10 -12 cm 3 ・cm/cm 2 ・sec・cmHg以下であることが更に好ましく、5. 0×10 -13 cm 3 ・cm/cm 2 ・sec・cmHg以下であることが一層好ましい。20 ℃、65%RHにおける酸素透過量が3.0×10 -12 cm 3 ・cm/cm 2 ・sec・cmHgを超えると、フィルムをインナー イナーとして用いる際に、タイヤの内圧保 性を高めるために、樹脂組成物(D)からなる を厚くせざるを得ず、タイヤの重量を十分 低減できなくなる。

 更に、上記樹脂組成物(D)からなる層の一 あたりの厚さは、500μm以下であることが好 しく、0.1μm以上であることがより好ましく 0.5~100μmの範囲であることが更に好ましく、 1~70μmの範囲であることが一層好ましい。樹 組成物(D)からなる層の厚さが500μmを超える 、フィルムをインナーライナーとして用い 際に、従来のブチルゴム系のインナーライ ーに対して重量の低減効果が小さくなる上 耐屈曲性及び耐疲労性が低下し、フィルム 用時にかかる屈曲変形により破断・亀裂が じ易くなり、また、亀裂が伸展し易くなる め、フィルムのガスバリア性が使用前に比 て低下することがある。一方、0.1μm未満で 、ガスバリア性が不十分で、タイヤの内圧 持性を十分に確保できないことがある。

 本発明のフィルムは、上記樹脂組成物(D) らなる層に隣接して、更にエラストマーか なる補助層(F)を1層以上備えることが好まし い。ここで、上記補助層(F)に、エチレン-ビ ルアルコール共重合体(A)の水酸基と親和性 高いエラストマーを用いると、補助層(F)が 脂組成物(D)からなる層から剥離し難くなる め好ましい。そして、このように親和性が いエラストマーを用いれば、樹脂組成物(D) らなる層に破断・亀裂が生じても亀裂が伸 し難いので、大きな破断及びクラックのよ な弊害を抑制することができ、タイヤの内 保持性を十分に維持することができる。ま 、本発明のフィルムにおいて、樹脂組成物(D )よりも柔軟性又は耐クリープ性が優れる補 層(F)を1層以上積層すれば、補助層(F)がクッ ョンの役割を担い樹脂組成物(D)への歪入力 緩和するため、本発明のインナーライナー 耐クラック性が向上する。

 本発明のフィルムにおいて、補助層(F)に いる前記エラストマーは、ポリオレフィン ブチル系エラストマー、ジエン系エラスト ー又はウレタン系エラストマーであること 好ましい。本発明のフィルムの補助層がオ フィン系エラストマー、ブチル系エラスト ー、ジエン系エラストマー又はその水素添 物、或いはウレタン系エラストマーである とにより、補助層が樹脂組成物からなる層( バリア層)よりも柔軟であるか又は耐クリー 性があるものとなってクッションの役割を い、樹脂組成物(D)への歪入力を緩和するこ ができ、当該フィルムの耐クラック性が向 する。

 また、本発明のフィルムにおいて、複数 前記樹脂組成物(D)と前記補助層(F)とが積層 れている場合、前記樹脂組成物(D)が前記補 層(F)に挟まれていること(例えば、(F)/(D)/(F) (F)/(D)/(F)/(D)/(F)、(F)/(D)/(F)/(D)/(F)/(D)/(F))が好 しい。なお、積層は、例えばTダイ法、イン レ法などの共押し出しで行うことができる ここで、補助層(F)は、積層することが可能 あり、種々の特性を持つエラストマーから る補助層を多層化することが特に好ましい なお、これらエラストマーは、一種単独で いてもよいし、二種以上を組み合わせて用 てもよい。

 更に、本発明のフィルムは、上記樹脂組 物(D)からなる層と補助層(F)との間及び上記 助層(F)と異なるまたは同じ組成の補助層(F) の間の少なくとも一箇所に、一層以上の接 剤層(G)を備えることもできる。即ち、樹脂 成物(D)からなる層と、該層に隣接する補助 (F)との間や、多層化されている補助層の各 助層間に接着剤層(G)を備えることができる なお、上記接着剤層(G)に使用する接着剤と ては、塩化ゴム・イソシアネート系、変性 レフィン系(例えば、ブチルゴム、ポリエチ レン、ポリプロピレン、エチレン・プロピレ ン、エチレン・ブテン、エチレン・オクテン を変性させたもの)又は変性ジエン系の接着 が挙げられる。

 本発明のフィルムは、上記樹脂組成物(D) らなる層の他、補助層(F)と、必要に応じて 着剤層(G)とを備える場合、積層体(例えば、 (D)/(G)、(F)/(D)/(F)/(G)、(D)/(G)/(F)、(F)/(D)/(F)/(D)/(F ))として形成される。ここで、積層体を製造 る方法としては、例えば、樹脂組成物(D)か なる層と他の層とをTダイ法、インフレ法な どの共押し出しにより積層させる方法、樹脂 組成物(D)からなる層と補助層(F)とを必要に応 じて接着剤層(G)を用いて貼り合わせる方法等 が挙げられる。更に、フィルムをインナーラ イナーとして用いる場合には、タイヤ成形時 にドラム上で樹脂組成物(D)からなる層と補助 層(F)とを必要に応じて接着剤層(G)を用いて貼 り合わせる方法等が挙げられる。

 上記補助層(F)は、20℃、65%RHにおける酸素透 過量が3.0×10 -9 cm 3 ・cm/cm 2 ・sec・cmHg以下であることが好ましく、1.0×10 -9 cm 3 ・cm/cm 2 ・sec・cmHg以下であることが更に好ましい。 こで、酸素透過係数は、ガス透過性の代表 として用いている。20℃、65%RHにおける補助 の酸素透過量が3.0×10 -9 cm 3 ・cm/cm 2 ・sec・cmHg以下であると、フィルムをタイヤ インナーライナーに用いた場合に、インナ ライナーのガスバリア性に対する補強効果 十分に発揮され、タイヤの内圧保持性を高 に維持することが可能となる。また、上述 た積層体は、ガスバリア性の観点から20℃、 65%RHにおける酸素透過量が3.0×10 -9 cm 3 ・cm/cm 2 ・sec・cmHg以下であることが好ましく、1.0×10 -9 cm 3 ・cm/cm 2 ・sec・cmHg以下であることが更に好ましい。

 上記補助層(F)に用いるエラストマーとし は、ブチルゴム、ハロゲン化ブチルゴム、 エン系エラストマー、熱可塑性ウレタン系 ラストマーを好適に挙げることができる。 こで、ガスバリア性の観点からは、ブチル ム及びハロゲン化ブチルゴムが好ましく、 ロゲン化ブチルゴムが更に好ましい。また 樹脂組成物(D)からなる層に亀裂が生じた際 伸展を抑制するには、ブチルゴム及びジエ 系エラストマーが好ましい。更に、補助層( F)を薄層化しつつ、亀裂の発生や伸展を抑制 るには、樹脂組成物(D)からなる層よりも柔 なエラストマー又は耐クリープ性に優れて るエラストマーが好ましく、熱可塑性ウレ ン系エラストマー、ポリオレフィン系エラ トマー及びジエン系エラストマーが特に好 しい。

 上記ジエン系エラストマーとしては、具 的には、天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR) ブタジエンゴム(BR)、スチレン-ブタジエン共 重合体ゴム(SBR)、アクリロニトリル-ブタジエ ンゴム(NBR)、クロロプレンゴム(CR)等が挙げら れ、これらの中でも天然ゴム、SBR、ブタジエ ンゴムが好ましい。これらジエン系エラスト マーは、一種単独で用いてもよいし、二種以 上を組み合わせて用いてもよい。

 また、本発明のフィルムにおいては、前 補助層(F)が熱可塑性ウレタン系エラストマ を含むことが好ましい。熱可塑性ウレタン エラストマーは、ポリオールと、イソシア ート化合物と、短鎖ジオールとの反応によ て得られる。ポリオール及び短鎖ジオール 、イソシアネート化合物との付加反応によ 、直鎖状ポリウレタンを形成する。ここで ポリオールは、熱可塑性ウレタン系エラス マーにおいて柔軟な部分となり、イソシア ート化合物及び短鎖ジオールは硬い部分と る。なお、熱可塑性ウレタン系エラストマ は、原料の種類、配合量、重合条件等を変 ることで、広範囲に性質を変えることがで る。

 そして、本発明のフィルムの補助層(F)は 樹脂組成物(D)からなる層に隣接する補助層( F1)と、それ以外の補助層(F2)とを異なるエラ トマーで構成しても良い。具体的には、本 明のフィルムは、樹脂組成物(D)からなる層 、樹脂組成物(D)からなる層に隣接する例え 熱可塑性ウレタン系エラストマーを含む補 層(F1)との積層体を、接着剤層(G)を介して例 ばブチル系ゴム等のゴム組成物からなる補 層(F2)と積層した積層体(例えば、(F1)/(D)/(F1)/ (G)/(F2))とすることができる。

 上記補助層(F)の厚さの合計は、10~2000μmの 範囲であることが好ましく、15~1500μmの範囲 あることが更に好ましく、20~800μmの範囲で ることが一層好ましい。補助層(F)の厚さの 計が10μm未満では、補強効果が十分に発揮さ れず、樹脂組成物(D)からなる層に破断・亀裂 が生じた際の弊害を抑制することが困難とな り、フィルムをタイヤ用インナーライナーに 用いた場合に、タイヤの内圧保持性を十分に 維持できないことがある。一方、補助層(F)の 厚さの合計が2000μmを超えると、タイヤの重 の低減効果が小さくなる。

 上記補助層(F)は、300%伸び時における引張 応力が200MPa以下であることが好ましく、100MPa 以下であることが更に好ましく、70MPa以下で ることが一層好ましい。該引張応力が200MPa 超えると、補助層(F)をインナーライナーに いた際の耐屈曲性及び耐疲労性が低下する とがある。

 本発明のタイヤは、カーカスの内側のタ ヤ内面に上述したフィルムからなるインナ ライナーを用いたことを特徴とする。以下 、図を参照しながら本発明のタイヤの一例 詳細に説明する。図1は、本発明のタイヤの 一例の部分断面図である。図1に示すタイヤ 、一対のビード部1及び一対のサイドウォー 部2と、両サイドウォール部2に連なるトレ ド部3とを有し、上記一対のビード部1間にト ロイド状に延在して、これら各部1,2,3を補強 るカーカス4と、該カーカス4のクラウン部 タイヤ半径方向外側に配置された2枚のベル 層からなるベルト5とを備え、更に、該カー カス4の内側のタイヤ内面にはインナーライ ー6が配置されている。

 図示例のタイヤにおいて、カーカス4は、 上記ビード部1内に夫々埋設した一対のビー コア7間にトロイド状に延在する本体部と、 ビードコア7の周りでタイヤ幅方向の内側か ら外側に向けて半径方向外方に巻上げた折り 返し部とからなるが、本発明のタイヤにおい て、カーカス4のプライ数及び構造は、これ 限られるものではない。

 また、図示例のタイヤにおいて、ベルト5 は、2枚のベルト層からなるが、本発明のタ ヤにおいては、ベルト5を構成するベルト層 枚数はこれに限られるものではない。ここ 、ベルト層は、通常、タイヤ赤道面に対し 傾斜して延びるコードのゴム引き層からな 、2枚のベルト層は、該ベルト層を構成する コードが互いに赤道面を挟んで交差するよう に積層されてベルト5を構成する。更に、図 例のタイヤは、上記ベルト5のタイヤ半径方 外側でベルト5の全体を覆うように配置され たベルト補強層8を備えるが、本発明のタイ は、ベルト補強層8を有していなくてもよい 、他の構造のベルト補強層を備えることも きる。ここで、ベルト補強層8は、通常、タ イヤ周方向に対し実質的に平行に配列したコ ードのゴム引き層からなる。

 なお、図示例のタイヤにおいて、インナ ライナー6は、樹脂組成物(D)からなる層を一 層のみ有するが、本発明のタイヤは、樹脂組 成物(D)からなる層の耐屈曲性を改良するため 、図2、図3に示すように補助層(F)を一層以上 することもできる。

 図2及び図3は、図1の枠で囲んだ部分IIに 当する、本発明のタイヤの他の例の拡大部 断面図である。図2に示すタイヤは、図1に示 すインナーライナー6に代えて、樹脂組成物(D )からなる層9と、該樹脂組成物(D)からなる層9 に隣接して配置された二層の補助層(F)10,11と 該補助層(F)11の外側に配置された接着剤層(G )12とからなるインナーライナー13を備える。 た、図3に示すタイヤは、上記図2に示す接 剤層(G)12の外側に、更に補助層(F)14を有する ンナーライナー15を備える。更に、図2及び 3に示すタイヤは、補助層(F)11の外側に接着 層(G)12を一層備えるが、本発明のタイヤは 接着剤層(G)12を有しなくてもよいし、他の層 の間に接着剤層(G)を一層以上備えることもで きる。

 更に、本発明のタイヤにおいて、補助層( F)は、図4に示すように、ベルト端からビード 部までの領域において、少なくとも30mmの幅 相当する部分(例えば、図4中、cで示した部 )の補助層(F)の任意の位置での厚さの合計が ベルト5の存在している領域に対応する該補 助層(F)の部分(図4中、aで示した部分)の任意 位置での厚さの合計より0.2mm以上厚いことが 好ましい。これは、ビード部からベルト端部 までの領域が最も歪が厳しくクラックが発生 し易い領域であり、かかる領域の耐久性を向 上させるためには、上記特定領域における補 助層(F)を厚くするのが効果的であるからであ る。また、この少なくとも30mmの幅に相当す 部分は、30mm以上であれば図4のbで示すどの 域でもよい。

 本発明のタイヤは、インナーライナーに 述した樹脂組成物(D)と、状況に応じて補助 (F)及び接着剤層(G)とを適用し、常法により 造することができる。なお、本発明のタイ において、タイヤ内に充填する気体として 、通常の或いは酸素分圧を変えた空気、又 窒素等の不活性ガス等を用いることができ 。

 本発明のタイヤは、上記構成の本発明の ィルムを用いたインナーライナーを備えて ればその他の構造については特に限定され 、種々の態様をとることができる。また、 発明のタイヤは、乗用車用タイヤ、大型タ ヤ、オフザロード用タイヤ、自動車用タイ 、二輪車用タイヤ、航空機タイヤ、農業用 イヤなどに好適に適用できる。更に、本発 のタイヤは、空気入りタイヤでもソリッド イヤでもよく、空気入りタイヤの場合、タ ヤ内部には空気、窒素、ヘリウム等が充填 れるが、コスト面より空気を充填すること 多い。

[実施例]
 以下、実施例により本発明を更に具体的に 明するが、本発明はこれらの実施例によっ 何ら限定されるものではなく、その要旨を 更しない範囲において適宜変更可能である

(変性エチレン-ビニルアルコール共重合体の 成例1)
 加圧反応槽に、エチレン含量44モル%、ケン 度99.9%のエチレン-ビニルアルコール共重合 (190℃、2160g荷重下でのMFR:5.5g/10分)2質量部及 びN-メチル-2-ピロリドン8質量部を仕込み、120 ℃で2時間加熱撹拌して、エチレン-ビニルア コール共重合体を完全に溶解させた。これ エポキシ化合物(E)としてエポキシプロパン0 .4質量部を添加後、160℃で4時間加熱した。加 熱終了後、蒸留水100質量部に析出させ、多量 の蒸留水で充分にN-メチル-2-ピロリドン及び 反応のエポキシプロパンを洗浄し、変性エ レン-ビニルアルコール共重合体を得た。更 に、得られた変性エチレン-ビニルアルコー 共重合体を粉砕機で粒子径2mm程度に細かく た後、再度多量の蒸留水で十分に洗浄した 洗浄後の粒子を8時間室温で真空乾燥した後 二軸押出機を用いて200℃で溶融し、ペレッ 化した。なお、得られた変性エチレン-ビニ ルアルコール共重合体の23℃におけるヤング は、下記の方法で測定した結果、1300MPaであ った。

(変性エチレン-ビニルアルコール共重合体の 成例2)
 東芝機械社製TEM-35BS押出機(37mmφ、L/D=52.5)を 用し、図5に示すようにスクリュー構成、ベ ントおよび圧入口を設置した。バレルC1を水 し、バレルC2~C3を200℃、バレルC4~C15を240℃ 設定し、スクリュー回転数400rpmで運転した C1の樹脂フィード口からEVOHを15kg/hrの割合で ィードし、溶融した後、ベント1から水およ び酸素を除去し、C9の液圧入口からグリシド- ルを2.5kg/hrの割合でフィ-ドすることにより( ィード時の圧力:6MPa)、グリシドール変性EVOH 得た。

(変性粘弾性体(無水コハク酸変性SBR)の合成例 3)
 乾燥し、窒素置換された800ミリリットルの 圧ガラス容器に、シクロヘキサン300g、1,3- タジエン41.25g、スチレン8.75g、ジテトラヒド ロフリルプロパン0.38ミリモルを注入し、こ にn-ブチルリチウム(BuLi)0.43ミリモルを加え 後、50℃で1.5時間重合を行った。ここに末端 変性剤として3-トリエトキシシリルプロピル 水コハク酸0.43ミリモルを加えた後、さらに 30分間変性反応を行った。この後、重合系に らに2,6-ジ-t-ブチル-p-クレゾール(BHT)のイソ ロパノール5質量%溶液0.5ミリリットルを加 て反応の停止を行い、さらに常法に従い乾 することにより無水コハク酸変性SBRを得た

(変性粘弾性体(イソシアネート変性BR)の合成 4)
 窒素置換された反応器に、シクロヘキサン2 ,000g、ブタジエン500g、テトラヒドロフラン10g を仕込んだ後、n-ブチルリチウムを添加し、 熱下30~90℃で重合反応を行った。重合転化 が100%に達した後、ジフェニルメタンジイソ アネートをリチウム原子に対し2当量加えて 反応させた。次いで、2,6-ジターシャリーブ ル-P-クレゾールを添加後、シクロヘキサン 加熱除去してイソシアネート変性BRを得た。

(イソシアネート変性SBRの合成例5)
 窒素置換された内容積5Lの反応器に、シク ヘキサン2000g、1,3-ブタジエン450g、スチレン5 0g、及びテトラヒドロフラン25gを仕込んだ後 n-ブチルリチウム0.32gを加えて断熱下30~90℃ 重合反応を行なった。
 重合転化率が100%に達した後、ジフェニルメ タンジイソシアネートをn-ブチルリチウムに して2当量加え反応させた。更に、老化防止 剤としてジ-tert-ブチル-p-クレゾールをゴム100 gに対して0.7g添加して、常法にて脱溶・乾燥 行なった。

(変性エチレン-ビニルアルコール共重合体の 成例6)
 エチレン含有量を32モル%にした以外は合成 1と同様にして変性エチレン-ビニルアルコ ル共重合体を得た。更に、得られた変性エ レン-ビニルアルコール共重合体を粉砕機で 子径2mm程度に細かくした後、再度多量の蒸 水で十分に洗浄した。洗浄後の粒子を8時間 室温で真空乾燥した後、二軸押出機を用いて 200℃で溶融し、ペレット化した。

(-30℃のヤング率の測定方法)
 東洋精機社製二軸押出機によって、下記押 条件で製膜し、厚さ20μmの単層フィルムを 製した。次に該フィルムを用いて、幅15mmの 冊状の試験片を作製し、-36℃、50%RHの条件 で恒温室内に1週間放置した後、株式会社島 製作所製オートグラフ[AG-A500型]を用いて、 ャック間隔50mm、引張速度50mm/分の条件で、- 30℃、50%RHにおけるS-Sカーブ(応力-歪み曲線) 測定し、S-Sカーブの初期傾きからヤング率 求めた。

 スクリュー:20mmφ、フルフライト
 シリンダー、ダイ温度設定:C1/C2/C3/ダイ=200/2 00/200/200(℃)

(酸素透過量の測定方法)
 上記フィルムを、20℃、65%RHで5日間調湿し 。得られた調湿済みのフィルムを2枚使用し 、モダンコントロール社製MOCON OX-TRAN2/20型 用い、20℃、65%RHの条件下でJIS K7126(等圧法) に準拠して、酸素透過量を測定し、その平均 値を求めた。

(内圧保持性の評価方法)
 後述する方法でタイヤを作製し、-30℃の雰 気の中、空気圧140kPaで、80km/hの速度に相当 る回転ドラム上に加重6kNで押し付けて10,000k m走行させた。そして、走行させたタイヤ(試 タイヤ)と未走行タイヤとを6JJ×15のリムに 着した後内圧を240kPaとし、3ヶ月間放置した 3ヶ月後の内圧を測定し、下記式:
 内圧保持性=((240-b)/(240-a))×100
[式中、aは試験タイヤの3ヶ月後の内圧、bは 記比較例1記載の未走行タイヤ(通常のゴムイ ンナーライナーを用いた空気入りタイヤ)の3 月後の内圧である]を用いて内圧保持性を評 価した。また、比較例1の値を100として他の を指数化した。

(樹脂組成物(D)中の粘弾性体(C)の分散性の評 方法)
 サンプルを凍結し、該サンプルをミクロト ムにより切片にして、透過電子顕微鏡(TEM) 形態観察し、粘弾性体の平均粒子径が10μm以 上のもの又は分散していない状態を「悪」と 評価し、10μm以下で分散している状態を「良 と評価した。

(亀裂の有無の評価方法)
 インナーライナーに生じた亀裂の有無に関 ては、ドラム走行後のタイヤのインナーラ ナー外観を目視観察して、亀裂の有無を評 した。これらの結果を表1~3に示す。

(実施例1~15及び比較例1~3のフィルム及び空気 りタイヤの作製)
 合成例1及び2で得られた変性エチレン-ビニ アルコール共重合体または合成例3で得られ た無水コハク酸変性SBRと表中に示す粘弾性体 (C)とを二軸押出機で混練し、表1~3に示す配合 処方の樹脂組成物(D)を得た。ここで、樹脂と して、比較例3ではナイロン(宇部興産製ウベ イロン5033B)を用い、粘弾性体(C)には、エポ シ変性天然ゴム(E-NR)としてMu-ang Mai Guthrie  Pubulic Company Limited社製、EPOXYPRENE 25(ポリマ 1)を、無水マレイン酸変性スチレンエチレン ブチレンスチレン(SEBS)として旭化成製タフテ ックM1943(ポリマー2)を、臭素化イソブチレン- p-メチルスチレンとしてエクソンモービルケ カル製のExxpro89-4(ポリマー3)を、変性ポリエ チレン(変性EP)として三井化学(株)製、タフマ ーMP0620(ポリマー4)を、変性共重合ポリオレフ ィン(変性EB)として三井化学(株)製、タフマー MH7020(ポリマー5)を、未変性共重合ポリオレフ ィン(未変性EB)としてJSR(株)製、1050S(ポリマー 6)を、実施例14で使用した変性オレフィンと てJSR製、ダイナロン8630P(ポリマー7)を、実施 例15で使用した変性オレフィンとしてJSR製、 イナロン8630P(ポリマー7)とダイナロン4630P( リマー8)とをブレンドしたものを、未変性SBR として旭化成製タフデン2000R(ポリマー9)を、 リシジルアミンとして大日本インキ化学製 EPICLON430(化合物1、テトラグリシジルアミン DDM)を使用し、無水コハク酸変性SBR、イソシ アネート変性BR及びイソシアネート変性SBRと て、それぞれ上記合成例3~5により合成した のを使用した。また、上記ヤング率の測定 法を用いて樹脂組成物(D)の-30℃におけるヤ グ率を測定した。更に、粘弾性体の100%モジ ュラスを、JIS3号ダンベル型試験片を用いてJI S K6251-1993に準拠して測定した。結果を表1~3 示す。

 次に、得られた樹脂組成物(D)と、熱可塑 ポリウレタン(TPU)[(株)クラレ製クラミロン31 90]とを使用し、2種3層共押出装置を用いて、 記共押出成形条件で3層フィルムである実施 例1、2、7~11、15(熱可塑性ポリウレタン層/樹 組成物(D)層/熱可塑性ポリウレタン層)を作製 した。各フィルムに使用した各層の厚みを表 1~3に示す。なお、実施例1、2、7~11、15及び比 例1以外は樹脂組成物(D)の単層フィルムとし た。

 次に、日新ハイボルテージ株式会社製電 線照射装置「生産用キュアトロンEBC200-100」 を使用して、加速電圧200kV、照射エネルギー3 0Mradの条件で実施例1~15、比較例2のフィルム 電子線照射して架橋処理を施した。実施例1 7については、得られた架橋フィルムの片面 に接着剤層(G)として東洋化学研究所製メタロ ックR30Mを塗布し、厚さが500μmである補助層(F )の内面に貼り付けてインナーライナーを作 した。また、比較例2については、フィルム 片面に接着剤層(G)として東洋化学研究所製 タロックR30Mを塗布し、厚さが500μmである補 助層(F)の内面に貼り付けてインナーライナー を作製した。

 得られたインナーライナーを用いて、図1 に示す構造でサイズ:195/65R15の乗用車用空気 りタイヤを常法に従って作製した。使用し フィルムの組成等を表1~3に示す。

 なお、前記補助層(F)としては、天然ゴム30 量部及び臭素化ブチルゴム[JSR(株)製,Bromobutyl  2244]70質量部に対して、GPFカーボンブラック [旭カーボン(株)製,#55]60質量部、SUNPAR2280[日本 サン石油(株)製]7質量部、ステアリン酸[旭電 工業(株)製]1質量部、NOCCELER DM[大内新興化 工業(株)製]1.3質量部、酸化亜鉛[白水化学工 (株)製]3質量部及び硫黄[軽井沢精錬所製]0.5 量部を配合して調製したゴム組成物を用い 。また、前記補助層(F)に用いたゴム組成物 、300%伸び時における引張応力が6.5MPa、酸素 透過量が6.0×10 -10 cm 3 ・cm/cm 2 ・sec・cmHgであった。ここで、300%伸び時にお る引張応力は、JIS K6251-1993に準拠して測定 、酸素透過量は上記の方法により測定した

 なお、比較例1の空気入りタイヤは、フィ ルムを使用しないこと及び前記補助層(F)の厚 さを1500μmとしたことを以外は上記方法と同 にして製造した。

 各樹脂の押出条件は以下の通りである。
 各樹脂の押出温度:C1/C2/C3/ダイ=170/170/200/200
 各樹脂の押出機仕様:
  熱可塑性ポリウレタン:25mmφ押出機P25-18AC[ 阪精機工作株式会社製]
  樹脂組成物(D):20mmφ押出機ラボ機ME型CO-EXT[ 式会社東洋精機製]
 Tダイ仕様:500mm幅2種3層用[株式会社プラスチ ック工学研究所製]
 冷却ロールの温度:50℃
 引き取り速度:4m/分

 表1~3から明らかなように、実施例のタイ は、比較例のタイヤに比べて、走行前及び 行後の内圧保持性が大幅に向上している上 走行後のタイヤに亀裂が発生していないこ が分かる。また、実施例のタイヤのゴム組 物層は比較例にくらべて薄く、インナーラ ナーの重量が軽いため、タイヤの重量を軽 化することができる。実施例1及び7は、粘 性体(C)が水酸基と親和性の高いイソシアネ ト基を含むため、樹脂組成物中での粘弾性 の分散性が良く、バリア性の保持とタイヤ 耐亀裂性の確保との両立が可能である。ま 、粘弾性体(C)の-30℃における100%モジュラス 6MPaを超えている比較例2では樹脂組成物(D) 柔軟性が確保できず、タイヤ走行後インナ ライナーに亀裂が生じていた。これに対し 、実施例4ではスチレンがランダムであるた 樹脂組成物(D)の柔軟性を確保できている。 って、本発明のインナーライナーはエチレ -ビニルアルコール共重合体(A)を反応させて 得られる変性エチレンビニルアルコール共重 合体(B)を含む樹脂中に粘弾性体(C)を分散させ た樹脂組成物(D)からなる層を少なくとも含み 、前記粘弾性体(C)の-30℃における100%モジュ スが6MPa未満であることが好ましい。

(実施例16~26及び比較例4~5のフィルム及び空気 入りタイヤの作製)
 合成例1、2及び6で得られた変性エチレン-ビ ニルアルコール共重合体と表中に示す粘弾性 体(C)とを二軸押出機で混練し、表4~6に示す配 合処方の樹脂組成物(D)を得た。ここで、粘弾 性体(C)には、実施例16、24、25、26では、JSR製 ダイナロン8630P(ポリマー7)とダイナロン4630P (ポリマー8)とをブレンドしたものを、実施例 17では、上記合成例5で合成したイソシアネー ト変性SBRと未変性SBR(ポリマー9、JSR製、#1500) をブレンドしたものを、実施例18では、エ キシ変性E-NR(Mu-ang Mai Guthrie Pubulic Company Li mited社製、EPOXYPRENE 25、ポリマー1)とIR2200(ポ マー10、日本ゼオン製)とをブレンドしたも を、実施例19では、エポキシ変性NR-50(Mu-ang M ai Guthrie Pubulic Company Limited社製、EPOXYPRENE 5 0、ポリマー11)とIR2200(ポリマー10、日本ゼオ 製)とをブレンドしたものを、実施例20では 上記合成例4で合成したイソシアネート変性B Rと未変性BR(ポリマー12、JSR製BR01)とをブレン したものを、実施例21では、三井化学(株)製 、タフマーMH7020(ポリマー5)を、実施例22では 未変性共重合ポリオレフィン(未変性EB、JSR( 株)製、1050S、ポリマー6)と変性共重合ポリオ フィン(変性EB、三井化学(株)製、タフマーMH 7020、ポリマー5)とをブレンドしたものを、実 施例23では、臭素化イソブチレン-p-メチルス レン(エクソンモービルケミカル製、Exxpro89- 4、ポリマー3)とグリシジルアミン(大日本イ キ化学製、EPICLON430(テトラグリシジルアミン 、DDM)、化合物1)とをブレンドしたものを、比 較例4ではエポキシ変性SBS(ダイセル製、ポリ ー13)を、比較例5では旭化成製タフテックM19 43(ポリマー2)を使用した。また、上記ヤング の測定方法により樹脂組成物(D)の-30℃にお るヤング率を測定した。更に、粘弾性体の1 00%モジュラスを、JIS3号ダンベル型試験片を いてJIS K6251-1993に準拠して測定した。結果 表4~6に示す。

 次に、得られた樹脂組成物(D)と、熱可塑 ポリウレタン(TPU)[(株)クラレ製クラミロン31 90]とを使用し、2種3層共押出装置を用いて、 記共押出成形条件で3層フィルムである実施 例24(熱可塑性ポリウレタン層/樹脂組成物(D) /熱可塑性ポリウレタン層)を作製した。各フ ィルムに使用した各層の厚みを表4~6に示す。 なお、実施例24以外は樹脂組成物(D)の単層フ ルムとした。因みに、比較例5では製膜する ことができなかった。

 次に、日新ハイボルテージ株式会社製電 線照射装置「生産用キュアトロンEBC200-100」 を使用して、加速電圧200kV、照射エネルギー3 0Mradの条件で実施例16~26および比較例4のフィ ムに電子線照射して架橋処理を施した。実 例16、20、24については、得られた架橋フィ ムの片面に接着剤層(G)として東洋化学研究 製メタロックR30Mを塗布し、厚さが500μmであ る補助層(F)の内面に貼り付けてインナーライ ナーを作製した。また、実施例17~19、21~23、25 ~26および比較例4については、フィルムをそ ままインナーライナーとした。

 得られたインナーライナーを用いて、図1 に示す構造でサイズ:195/65R15の乗用車用空気 りタイヤを常法に従って作製した。使用し フィルムの組成等を表4~6に示す。

 なお、前記補助層(F)としては、上記実施 1、7および比較例2で用いたものと同じゴム 成物を用いた。

 各樹脂の押出条件は上記実施例1~15および 比較例1~3と同一である。