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Patent Searching and Data


Title:
FILTRATION METHOD
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/141965
Kind Code:
A1
Abstract:
Provided is a filtration method for the step of removing viruses in a process of producing a protein preparation during which an intermediate protein preparation with a high protein concentration flows at high pressure to a virus removal filter. The filtration method employs a virus removal filter which has a close fitting nozzle of which the inlet at least has a pressure resistance of 600 kPa or more, and an effective area of the virus removal membrane of at least 0.0001 m2 and no more than 0.03 m2. An intermediate protein preparation with the protein concentration raised to at least 20 mg/ml and no more than 100 mg/ml by means of a purification process flows down to said virus removal filter under conditions in which the inlet pressure of the intermediate protein preparation is at least 150kPa and no more than 600kPa, the average protein filtration speed is at least 1.0 kg/m2/hr, and the filtration time is at least 1 hour and no more than 5 hours, to give an intermediate  protein preparation filtrate with a viral removal rate (LRV) of ≥3.

Inventors:
YAMAGIDA KOICHIRO (JP)
Application Number:
PCT/JP2009/001944
Publication Date:
November 26, 2009
Filing Date:
April 30, 2009
Export Citation:
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Assignee:
ASAHI KASEI MEDICAL CO LTD (JP)
YAMAGIDA KOICHIRO (JP)
International Classes:
A61K38/00; B01D61/14; A61P43/00; B01D61/22; B01D69/08
Domestic Patent References:
WO2008156124A12008-12-24
WO2004035180A12004-04-29
WO2004035180A12004-04-29
WO1991016968A11991-11-14
Foreign References:
JPH0771624B21995-08-02
JP2000001548A2000-01-07
JPH11319522A1999-11-24
JPH09169867A1997-06-30
JPH0771624B21995-08-02
Other References:
MANABE S.: "Removal of virus through novel membrane filtration method", DEV. BIOL. STAND., vol. 88, 1996, pages 81 - 90
BRANDWEIN H. ET AL.: "Membrane filtration for virus removal", DEV BIOL (BASEL), vol. 102, 2000, pages 157 - 63, XP055315724
ARANHA-CREADO ET AL.: "Clearance of murine leukaemia virus from monoclonal antibody solution by a hydrophilic PVDF microporous membrane filter", BIOLOGICALS, vol. 26, no. 2, June 1998 (1998-06-01), pages 167 - 72, XP001543186, DOI: doi:10.1006/biol.1998.0130
L. MOCE-LLIVINA ET AL.: "Comparison of polyvinylidene fluoride and polyether sulfone membranes in filtering viral suspensions", JOURNAL OF VIROLOGICAL METHODS, vol. 109, no. 1, April 2003 (2003-04-01), pages 99 - 101 1
JAPANESE JOURNAL OF TRANSFUSION MEDICINE, vol. 45, no. 3, 1999, pages 357 - 361
See also references of EP 2281624A4
Attorney, Agent or Firm:
MOEGI PATENT OFFICE (JP)
Patent business corporation It burns and is ぎ特許事務所. (JP)
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Claims:
 ウイルス除去フィルターに蛋白製剤中間製品を所定の蛋白質濃度および圧力で流す濾過方法において、
(1)蛋白製剤中間製品の入口と出口を夫々少なくとも一つ有する容器とウイルスを除去するためのウイルス除去膜とを有し、容器内空間がウイルス除去膜によって蛋白製剤中間製品の入口側空間と出口側空間に仕切られており、蛋白製剤中間製品の入口、出口のうち少なくとも入口は600kPa以上の耐圧性を持つ嵌合構造のノズルであり、ウイルス除去膜の有効膜面積が0.0001m 2 以上0.03m 2 以下であるウイルス除去フィルターを用い、
(2)該ウイルス除去フィルターに、精製工程により蛋白質濃度が20mg/ml以上100mg/ml以下に高められた蛋白製剤中間製品を、蛋白製剤中間製品の入口圧力が150kPa以上600kPa以下、平均蛋白濾過速度が1.0kg/m 2 /Hr以上の条件で、濾過時間として1時間以上5時間以下流し、
(3)ウイルス除去率LRV≧3の蛋白製剤中間製品の濾液を得る
濾過方法。
 請求項1に記載のウイルス除去フィルターに、
(4)精製工程により蛋白質濃度が20mg/ml以上100mg/ml以下に高められた蛋白製剤中間製品を、蛋白製剤中間製品の入口圧力が150kPa以上600kPa以下、平均蛋白濾過速度が1.0kg/m 2 /Hr以上の条件で、濾過時間として3時間以上5時間以下流し、
(5)ウイルス除去率LRV≧3の蛋白製剤中間製品の濾液を得る
請求項1に記載の濾過方法。
 ウイルスが、パルボウイルス科、レトロウイルス科、フラビウイルス科、レオウイルス科、パラミクソウイルス科、ヘルペスウイルス科、ピコルナウイルス科、パポーバウイルス科のいずれかより選択されるウイルスである請求項1または2に記載の濾過方法。
 蛋白製剤中間製品中の蛋白質が、免疫グロブリンである請求項1乃至3のいずれかに記載の濾過方法。
 免疫グロブリンが、免疫グロブリンGである請求項4に記載の濾過方法。
 ウイルス除去膜が、親水化された合成高分子よりなる請求項1乃至5のいずれかに記載の濾過方法。
 ウイルス除去膜が、中空糸型ウイルス除去膜である請求項1乃至6のいずれかに記載の濾過方法。
 請求項1乃至7のいずれかに記載の濾過方法の蛋白質濃度および入口圧力条件を、スケールアップしたときの運転条件として採用する方法。
 更に、請求項1乃至7のいずれかに記載の濾過方法の濾過時間を、スケールアップしたときの運転条件として採用する請求項8に記載の方法。
 請求項1乃至7いずれかに記載の濾過方法に用いられるウイルス除去フィルターであって、蛋白製剤中間製品の入口と出口を夫々少なくとも一つ有する容器とウイルスを除去するためのウイルス除去膜とを有し、容器内空間がウイルス除去膜によって蛋白製剤中間製品の入口側空間と出口側空間に仕切られており、蛋白製剤中間製品の入口、出口のうち少なくとも入口は600kPa以上の耐圧性を持つ嵌合構造のノズルであり、ウイルス除去膜の有効膜面積が0.0001m 2 以上0.03m 2 以下であるウイルス除去フィルター。
 ウイルス除去膜が、中空糸型ウイルス除去膜である請求項10に記載のウイルス除去フィルター。
 ウイルス除去膜が、開孔率が大きい粗大構造層と、開孔率が小さい緻密構造層を有する、熱可塑性樹脂を含む微多孔膜であって、該粗大構造層が少なくとも一方の膜表面に存在し、その厚みが5.0μm以上であり、該緻密構造層の厚みが膜厚全体の50%以上であって、かつ該粗大構造層と該緻密構造層が一体化している多層微多孔膜である請求項10または11に記載のウイルス除去フィルター。
Description:
濾過方法

 本発明は、蛋白製剤製造工程中のウイル 除去工程における蛋白製剤中間製品の濾過 法及びこの方法に用いられるウイルス除去 ィルターに関する。

 抗体医薬、組換え蛋白医薬、血漿製剤、 漿分画製剤、等の蛋白製剤には原料由来、 程由来のウイルスの混入が懸念されるため これらの蛋白製剤を製造する過程でウイル を不活化、あるいは除去する必要がある。

 蛋白製剤に混入するおそれのあるウイル の不活化方法としては、加熱処理や化学薬 による処理などが行なわれているが、それ 単独の処理だけではウイルスの不活化は充 でなく、またこれらの方法では蛋白製剤中 有用蛋白質そのものも変性するおそれがあ 。このような背景から、化学的な変性を伴 ない物理的なウイルス除去手段として、濾 膜によるウイルスの分離除去が実施されて る。

 ウイルス除去用の濾過膜としては、セル ースのような天然素材よりなる膜、あるい ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリエーテル ルホン(PES)のような合成高分子素材よりな ウイルス除去膜が知られている(非特許文献1 ~4)。

 これらのウイルス除去膜を装填したウイ ス除去装置による蛋白製剤中間製品の濾過 、短時間でより多くの量の蛋白質を濾過で 、かつ充分に高いウイルス除去性能をもっ ウイルスを除去できることが理想である。 かし実際には、例えばセルロース膜では20mg /ml以上の蛋白質濃度でも膜の目詰まりを起こ し難く、濾過できるが、耐圧性が低く、実使 用圧力を100kPa程度までしか上げられない、あ るいは合成高分子膜では、耐圧性は高く、実 使用圧力を300kPa程度まで上げても問題ないが 、蛋白質濃度を20mg/ml程度に上げると膜が目 まりを起こし、濾過できなくなってしまう いうような問題があった。そのため、10mg/ml 下の低濃度での濾過が行なわれるのが普通 った(特許文献1)。

 これらの理由から、各種クロマトグラフィ や限外濾過などの精製工程により高められ 、高い蛋白質濃度の蛋白製剤中間製品を高 でウイルス除去装置に流す濾過条件での、 過方法の研究は進んでおらず、またこの方 に適するウイルス除去フィルターの開発も んでいなかった。
 また蛋白製剤中間製品は、蛋白製剤を製造 るための貴重な材料であるため、製造スケ ルでウイルス除去工程の濾過方法、運転条 を決定することは、時間的にも経済的にも 難を伴うため、本発明者は、予め小スケー でウイルス除去工程の濾過方法、蛋白製剤 間製品の蛋白質濃度、ウイルス除去フィル ーの入口圧力、及び/または濾過時間の運転 条件を決定しておき、これをスケールアップ した蛋白製剤の製造工程に適用することの重 要性を強く認識した。

特開2004-277323号公報 Manabe.S、Removal of virus through novel membran e filtration method.、Dev. Biol. Stand.、(1996)88: 81 -90. Brandwein Hら.、Membrane filtration for virus r emoval.、Dev Biol (Basel).、(2000)102: 157-63. Aranha-Creadoら、Clearance of murine leukaemia v irus from monoclonal antibody solution by a hydrophil ic PVDF microporous membrane filter.、Biologicals. (19 98) Jun;26(2):167-72. L. Moce-Llivinaら、Comparison of polyvinylidene  fluoride and polyether sulfone membranes in filtering viral suspensions、Journal of Virological Methods 、 (2003) April、 Vol.109, Issue 1,Pages 99-101.

 上記問題点に鑑み本発明の課題は、高い 白質濃度の蛋白製剤中間製品を高い圧力で イルス除去フィルターに流す条件下での、 白製剤製造工程中のウイルス除去工程の濾 方法を提供することであり、またこの方法 用いられるウイルス除去フィルターを提供 ることである。

 本発明者らは、上記課題を解決するために 意検討を行なった結果、蛋白製剤中間製品 入口と出口を夫々少なくとも一つ有する容 とウイルスを除去するためのウイルス除去 とを有し、容器内空間がウイルス除去膜に って蛋白製剤中間製品の入口側空間と出口 空間に仕切られており、蛋白製剤中間製品 入口、出口のうち少なくとも入口は600kPa以 の耐圧性を持つ嵌合構造のノズルであり、 イルス除去膜の有効膜面積が0.0001m 2 以上0.03m 2 以下であるウイルス除去フィルターを用い、 該ウイルス除去フィルターに、精製工程によ り蛋白質濃度が20mg/ml以上100mg/ml以下に高めら れた蛋白製剤中間製品を、蛋白製剤中間製品 の入口圧力が150kPa以上600kPa以下、平均蛋白濾 過速度が1.0kg/m 2 /Hr以上の条件で、濾過時間として1時間以上5 間以下流し、ウイルス除去率LRV≧3の蛋白製 剤中間製品の濾液を得る濾過方法を用いるこ とにより、工業的スケールにスケールアップ した時の蛋白製剤中間製品の蛋白質濃度、ウ イルス除去フィルターの入口圧力、及び/ま は濾過時間の運転条件を決定することがで 、ウイルス除去工程の設備設計にも有用で ることを見出し、本発明を得るに至った。

 即ち本発明は以下を含む。
[1]ウイルス除去フィルターに蛋白製剤中間製 品を所定の蛋白質濃度および圧力で流す濾過 方法において、
(1)蛋白製剤中間製品の入口と出口を夫々少な くとも一つ有する容器とウイルスを除去する ためのウイルス除去膜とを有し、容器内空間 がウイルス除去膜によって蛋白製剤中間製品 の入口側空間と出口側空間に仕切られており 、蛋白製剤中間製品の入口、出口のうち少な くとも入口は600kPa以上の耐圧性を持つ嵌合構 造のノズルであり、ウイルス除去膜の有効膜 面積が0.0001m 2 以上0.03m 2 以下であるウイルス除去フィルターを用い、
(2)該ウイルス除去フィルターに、精製工程に より蛋白質濃度が20mg/ml以上100mg/ml以下に高め られた蛋白製剤中間製品を、蛋白製剤中間製 品の入口圧力が150kPa以上600kPa以下、平均蛋白 濾過速度が1.0kg/m 2 /Hr以上の条件で、濾過時間として1時間以上5 間以下流し、
(3)ウイルス除去率LRV≧3の蛋白製剤中間製品 濾液を得る
濾過方法。
[2][1]に記載のウイルス除去フィルターに、
(4)精製工程により蛋白質濃度が20mg/ml以上100mg /ml以下に高められた蛋白製剤中間製品を、蛋 白製剤中間製品の入口圧力が150kPa以上600kPa以 下、平均蛋白濾過速度が1.0kg/m 2 /Hr以上の条件で、濾過時間として3時間以上5 間以下流し、
(5)ウイルス除去率LRV≧3の蛋白製剤中間製品 濾液を得る
 [1]に記載の濾過方法。
[3]ウイルスが、パルボウイルス科、レトロウ イルス科、フラビウイルス科、レオウイルス 科、パラミクソウイルス科、ヘルペスウイル ス科、ピコルナウイルス科、パポーバウイル ス科のいずれかより選択されるウイルスであ る[1]または[2]に記載の濾過方法。
[4]蛋白製剤中間製品中の蛋白質が、免疫グロ ブリンである[1]乃至[3]のいずれかに記載の濾 過方法。
[5]免疫グロブリンが、免疫グロブリンGであ [4]に記載の濾過方法。
[6]ウイルス除去膜が、親水化された合成高分 子よりなる[1]乃至[5]のいずれかに記載の濾過 方法。
[7]ウイルス除去膜が、中空糸型ウイルス除去 膜である[1]乃至[6]のいずれかに記載の濾過方 法。
[8][1]乃至[7]のいずれかに記載の濾過方法の蛋 白質濃度および入口圧力条件を、スケールア ップしたときの運転条件として採用する方法 。
[9]更に、[1]乃至[7]のいずれかに記載の濾過方 法の濾過時間を、スケールアップしたときの 運転条件として採用する[8]に記載の方法。
[10][1]乃至[7]のいずれかに記載の濾過方法に いられるウイルス除去フィルターであって 蛋白製剤中間製品の入口と出口を夫々少な とも一つ有する容器とウイルスを除去する めのウイルス除去膜とを有し、容器内空間 ウイルス除去膜によって蛋白製剤中間製品 入口側空間と出口側空間に仕切られており 蛋白製剤中間製品の入口、出口のうち少な とも入口は600kPa以上の耐圧性を持つ嵌合構 のノズルであり、ウイルス除去膜の有効膜 積が0.0001m 2 以上0.03m 2 以下であるウイルス除去フィルター。
[11]ウイルス除去膜が、中空糸型ウイルス除 膜である[10]に記載のウイルス除去フィルタ 。
[12]ウイルス除去膜が、開孔率が大きい粗大 造層と、開孔率が小さい緻密構造層を有す 、熱可塑性樹脂を含む微多孔膜であって、 粗大構造層が少なくとも一方の膜表面に存 し、その厚みが5.0μm以上であり、該緻密構 層の厚みが膜厚全体の50%以上であって、か 該粗大構造層と該緻密構造層が一体化して る多層微多孔膜である[10]または[11]に記載の ウイルス除去フィルター。

 本発明の濾過方法を用いることにより、高 蛋白質濃度の蛋白製剤中間製品を高い圧力 ウイルス除去フィルターに流す条件下での 蛋白製剤製造工程中のウイルス除去工程の 転条件を決定することができる。即ち予め スケールでウイルス除去工程の濾過方法、 白製剤中間製品の蛋白質濃度、ウイルス除 フィルターの入口圧力、及び/または濾過時 間の運転条件を決定しておき、これをスケー ルアップした蛋白製剤の製造工程に適用する ことができる。スケールアップは、蛋白製剤 中間製品の体積増加割合に比例して、ウイル ス除去フィルターの膜面積を増加させるだけ で良い。
 また付随する効果として、蛋白製剤製造工 中のウイルス除去工程をより改善するため も用いられ、もって、より短時間に、より 量の蛋白製剤を製造できるウイルス除去工 を設計するために用いることができる。

 蛋白製剤製造工程中のウイルス除去工程 運転条件を決定するにあたって、重要な項 は、蛋白製剤中間製品の平均蛋白濾過速度 、ウイルス除去率である。濾過速度は一般 蛋白質濃度と負の相関があり、蛋白質濃度 高くなると濾過速度が低下するため、濾過 間が長くかかってしまい好ましくない。蛋 質濃度を下げるために希釈工程を付加する とは、設備面でもコストがかかることにな 好ましくない。蛋白質濃度が高濃度のまま 、濾過速度を低下させずに濾過するには、 イルス除去フィルター自体の耐圧が600kPa以 あることが前提であるが、入口と出口を夫 少なくとも一つ有する容器とウイルスを除 するためのウイルス除去膜とを有し、容器 空間がウイルス除去膜によって蛋白製剤中 製品の入口側空間と出口側空間に仕切られ おり、入口の構造が600kPa以上の耐圧性を持 嵌合構造を持つノズルであるウイルス除去 ィルターを用いて濾過すればよい。

 ここで言う600kPa以上の耐圧性を持つ嵌合 造を持つノズルには、例えばルアーロック ノズルや、ワンタッチ接続ノズル(例えばSMC 社製のインチサイズワンタッチミニ、インチ サイズワンタッチ管継手、ワンタッチミニ( 上登録商標)など)、カプラー式ノズル、フェ ルール接続式ノズルなどがあり、これらを使 用できる。これら以外でも、液漏れなく濾液 を送り込むことができる、600kPa以上の耐圧性 を持つ嵌合構造を持つノズルであれば、本発 明に適用できることは言うまでもない。

 また、ウイルス除去膜の有効膜面積は、0.00 01m 2 以上0.03m 2 以下である必要がある。0.03m 2 より大きいと、濾過に必要な蛋白製剤中間製 品の量が大量になってしまうため、評価コス トがかかる問題点が生じる。一方、有効膜面 積が0.0001m 2 未満と小さいと濾過量が少なくなり、ウイル ス除去性能を評価するための蛋白製剤中間製 品の体積が少なすぎてウイルスの定量が困難 になる問題点が生じる。従って、0.0001m 2 以上0.03m 2 以下が適当である。好ましくは0.0003m 2 以上0.02m 2 以下、より好ましくは0.0005m 2 以上0.01m 2 以下であり、最も好ましくは0.0007m 2 以上0.002m 2 以下である。

 なお、ウイルス除去膜の有効膜面積とは ウイルス除去膜の表面積のうち、蛋白製剤 間製品が通過しうる部分の面積をいう。ウ ルス除去膜が中空糸の場合で、中空糸の内 から外側に濾過する場合は、中空糸内側の 面積のうち、蛋白製剤中間製品が通過しう 部分の面積をいい、中空糸の外側から内側 濾過する場合は、中空糸外側の表面積のう 、蛋白製剤が通過しうる部分の面積をいう また、ウイルス除去膜が平膜の場合は、蛋 製剤中間製品を流しこむ側の面の表面積の ち、蛋白製剤中間製品が通過しうる部分の 積をいう。

 ウイルス除去膜の有効膜面積の調整は、 空糸型フィルターでは、中空糸の本数を増 させることによって容易にスケールアップ スケールダウン可能であり、スケールアッ ・スケールダウン時の大きな外乱因子もな ため、スケーラビリティを得ることが容易 あるという特徴がある。すなわち、中空糸 フィルターの場合、膜面積が変わると濾過 積が変わるのみで、濾過性能は維持される 考えてよい。膜面積が変わることによる影 は、濾液が増減することによる影響である 少なすぎると、ウイルスの定量に弊害が生 、多すぎると操作の利便性やコストに影響 でることは前述の通りである。平膜の場合 、著しいスケールアップは膜の形状を変え (円盤型から筒型へ、など)ことになるが、 様の影響しかないと考えられる。蛋白製剤 造工程におけるウイルス除去工程の工程設 が、実生産スケールではなく、小スケール 実施できるのは、このようなスケーラビリ ィの信頼性によるものである。

 ウイルス除去フィルターとしては、前述 構造をもつものが利用できる。膜の形状は 平膜構造や中空糸構造のものが利用できる 、好ましくは中空糸構造のものがよい。膜 材質としては、600kPa以上の耐圧性を有する のが利用できる。例えば、ポリフッ化ビニ デン(PVDF)やポリエーテルスルホン(PES)、ポ スルホン(PS)のような合成高分子を素材とし 親水性を持たせた膜が好ましい。肝要な点 600kPa以上の耐圧性を有するという点である

 合成高分子を素材とする膜に親水性を持た る方法には、ビニル基を1個有する親水性ビ ニルモノマーを微多孔膜の細孔表面に、3%以 、50%以下のグラフト率でグラフト重合する 法(国際公開第2004/035180号パンフレット)や、 架橋剤を介して多官能価アクリレートまたは メタクリレートから形成する高分子を結合さ せる方法(特開2000-1548号公報)、さらに重合開 剤と親水性モノマーを含む溶液を膜に含浸 せ、細孔中で重合させる方法(国際公開第91/ 16968号パンフレット)など多くの方法が知られ る。親水性を持たせる目的は、疎水性の合成 高分子を素材とする膜の蛋白製剤中間製品の 濾過性を向上させることにある。したがって 、親水性を持たせる方法はここに例示した限 りではない。
 なお、ここでいうグラフト率とは、下記式 定義される。
 グラフト率(%)=100×{(グラフト後の膜質量-グ フト前の膜質量)/グラフト前の膜質量}

 膜の構造は、蛋白製剤中間製品を流す方向 従って、上流側に孔径が大きく、空孔率が い粗大構造層が存在し、下流側に孔径が小 くウイルスを除去するのに適した緻密構造 が存在し、粗大構造層と緻密構造層のつな りは連続的に孔径が変化しているグラジエ ト構造であることが好ましい。
 また更に好ましい膜の構造は、開孔率が大 い粗大構造層と、開孔率が小さい緻密構造 を有する、熱可塑性樹脂を含む微多孔膜で って、該粗大構造層が少なくとも一方の膜 面に存在し、その厚みが5.0μm以上であり、 緻密構造層の厚みが膜厚全体の50%以上であ て、かつ該粗大構造層と該緻密構造層が一 化している多層微多孔膜であるものが好ま い。
 さらに、前記粗大構造層は、膜表面から緻 構造層に向かって部分開孔率が連続的に減 する傾斜構造で、一方の膜表面のみに存在 るものが好ましい。この膜は、例えば特開 11-319522号公報や、特開平9-169867号公報、国 公開第2004/035180号パンフレットに開示される 方法で製造することができる。

 評価に使用するウイルスとしては、蛋白 剤に混入する恐れのある関連ウイルスや特 的モデルウイルス、非特異的モデルウイル の中から任意に選択することができる。こ で言う関連ウイルス、特異的モデルウイル 、非特異的モデルウイルスの定義は日米EU 薬品規制調和国際会議(ICH)ガイドラインに記 されているものと同義である。すなわち、関 連ウイルスとは、蛋白製剤の製造工程で使用 される細胞基材、その他の試薬類や各種物質 に混在することが知られているか、あるいは 存在の可能性があるウイルス類と同一または 同種のウイルスと定義される。特異的モデル ウイルスとは、存在が知られている、あるい は疑われているウイルスに密接に関連してい るウイルス。すなわち同一の属または科のも ので、検出されたウイルスまたは存在が疑わ れるウイルスと類似した物理的・化学的性質 を有するものと定義される。非特異的モデル ウイルスは、製造工程がウイルスの除去や不 活化に関して一般にどの程度の能力を有する かを解析する目的、すなわち工程が確実にウ イルスクリアランス能力を発揮するという面 での特性(robustness)を解析する目的で行なうウ イルスクリアランス工程特性解析試験に使用 されるウイルスと定義される。

 例えば、製剤がモノクローナル抗体など ウス由来基材から製造される場合、関連ウ ルスや特異的モデルウイルスとして、マウ 白血病ウイルスなどのレトロウイルス、マ ス最小ウイルスなどのパルボウイルス、牛 痢症ウイルスなどのフラビウイルスを用い ことができる。非特異的モデルウイルスと て、ブタパルボウイルスなどのパルボウイ スを最小サイズのウイルスモデルとして使 することもできる。

 また、製剤が血漿分画製剤など、ヒト血 由来基材から製造される場合は、関連ウイ スとして、ヒトパルボウイルスB19(パルボウ イルス科)やHIVウイルス(レトロウイルス科)な どを、B19の特異的モデルウイルスとしてブタ パルボウイルス(パルボウイルス科)や、C型肝 炎ウイルスの特異的モデルウイルスとしての 牛下痢症ウイルス(フラビウイルス科)などを いることができる。同様に、単純ヘルペス イルス、仮性狂犬病ウイルスなどヘルペス イルス科や、パラインフルエンザウイルス どパラミクソウイルス科、レオウイルス3型 などレオウイルス科、ポリオウイルスなどピ コルナウイルス科、SV40ウイルスなどパポー ウイルス科などから選択して使用すればよ 。使用するウイルスの選択については、ICH どの公知要求事項をもとに決めるべきもの ある。

 これらの、評価に使用するウイルスは、 白製剤中間製品にある一定量添加され、ウ ルス除去フィルターによる濾過前後のウイ ス量を測定して、ウイルス除去性能評価を 定する。このとき添加するウイルス量は、 要となるウイルス除去率から逆算して求め ことができる。しかし、ウイルス溶液に混 している夾雑物(不純物)が原因でフィルタ に目詰まりを起こすことがあり、濾過試験 弊害が生じる可能性があるため、添加ウイ ス量は、そのウイルス溶液の純度によって 整することが望ましい。ウイルス溶液が精 されている場合は、蛋白製剤中間製品の体 に対して10%体積以下、好ましくは5%体積以下 まで、より好ましくは1%体積以下のウイルス 液を添加してもよいが、精製されておらず 雑物を多く含む場合は、1%体積以下、好ま くは0.5%体積以下、より好ましくは0.1%体積以 下の少ない量を添加するのが望ましい。ただ し、LRV≧3が検出可能な必要最低限の量以上 体積のウイルス溶液を添加することが望ま い。

 なお、ここで言うウイルス除去率LRVは、ウ ルス除去フィルターで濾過する前の溶液の イルス量に対する、濾過したあとの溶液の イルス量の低下率を対数値で示したもので る。例えば、下記式で計算することができ 。
 LRV=log 10 A-log 10 B
 ただし A = ウイルス除去フィルターで濾 する前の溶液のウイルス濃度
     B = ウイルス除去フィルターで濾過 た後の溶液のウイルス濃度

 また、ウイルスの調製法によっては、大 の夾雑物を含有し、濾過速度に大きなダメ ジを与える場合がある。その場合は、ウイ スを精製して夾雑物を分離してから使用す ばよい。ウイルスの精製法は超遠心分離を いた方法などがすでに公知である。

 ウイルス除去フィルターのウイルスの除 率LRVは3以上であることを満たす条件を設定 する。ウイルス除去フィルターの孔径よりも 大きなサイズのウイルスの除去率は、通常LRV ≧3となり、一方ウイルス除去フィルターの 径よりも小さなウイルスの除去率は通常LRV&l t;3となる( 泉 浩業ら、血漿分画製剤の安全 に関する検討II.モノクローナル抗体精製乾 濃縮人血液凝固第VIII因子製剤(クロスエイ M(登録商標))及び筋注用人免疫グロブリン製 (抗HBs人免疫グロブリン「日赤」(登録商標), 人免疫グロブリン「日赤(登録商標)」)の製造 工程におけるウイルス除去膜の効果について 、Japanese Journal of Transfusion Medicine 、(1999)  、 Vol.45. No.3, Pages 357-361.)。このとき、決 て除去率は必ずLRV=0となるわけではなく、3 下のある程度の除去率が得られることがあ が、それはウイルス除去フィルターのサイ 分離による本来あるべき除去率ではなく、 イルス分子の部分的凝集や吸着によるもの 考えられる。従って、フィルターの孔径以 のサイズのウイルスを意図して除去しよう する際には、LRV≧3以上の除去率を満たすべ である。

 本発明の濾過方法に使用される蛋白製剤 間製品としては、抗体医薬中間製品、組換 蛋白医薬中間製品、血漿製剤中間製品、血 分画製剤中間製品などが適用できるが、特 免疫グロブリン製剤中間製品が好ましい。 らに好ましくは、免疫グロブリンG製剤中間 製品であり、最も好ましくは、免疫グロブリ ンGのモノクローナル抗体製剤中間製品であ 。

 これら蛋白製剤中間製品を、まずはウイル 添加を行なわずに、ウイルス除去フィルタ 装置で濾過することにより、蛋白製剤中間 品の平均蛋白濾過速度を評価する。蛋白質 度が20mg/ml以上100mg/ml以下という高濃度で、 つ蛋白製剤中間製品の入口圧力が150kPa以上6 00kPa以下の高圧条件で、1時間以上5時間以下 過することにより、平均蛋白濾過速度(kg/m 2 /Hr)を評価する。平均蛋白濾過速度が1.0kg/m 2 /Hr以上である蛋白質濃度及び圧力の条件を確 認した後、この蛋白質濃度と圧力の範囲内で 、蛋白製剤中間製品に所定量のウイルスを添 加して、ウイルス除去フィルターで濾過する ことにより、ウイルス除去工程のウイルス除 去性能を評価する。

 蛋白製剤の製造工程における1バッチの製造 量は、総重量拡大化の傾向にある。蛋白製剤 の1バッチの総量(総重量)は、例えば抗体医薬 製剤では、生産性向上の研究が進み、1バッ が50kg以上という高い生産能力が示されてい 例もある。このような高い生産能力の蛋白 剤においても、ウイルス除去工程という一 の工程は1日で完了することが、蛋白製剤中 間製品の安定性や、製造工程の効率の面から 望ましい。そのためには、ウイルス除去フィ ルターの平均蛋白濾過速度が1.0kg/m 2 /Hr以上であるべきである。1.0kg/m 2 /Hr以上であれば、50kgの蛋白製剤中間製品の 過を4m 2 フィルター1本で12.5時間以内に、2本で6.25時 以内に濾過することが可能である。

 平均蛋白濾過速度が1.0kg/m 2 /Hr以上である蛋白質濃度及び圧力の条件を確 認した後、この蛋白質濃度と圧力の範囲内で 、蛋白製剤中間製品に所定量のウイルスを添 加して、ウイルス除去フィルターで濾過する ことにより、ウイルス除去工程のウイルス除 去性能を評価する。すなわち、ウイルス除去 率LRV≧3を満たす蛋白製剤中間製品の蛋白質 度条件、及び入口圧力条件を選択する。蛋 質濃度が20mg/ml以上100mg/ml以下という高濃度 、かつ蛋白製剤中間製品の入口圧力が150kPa 上600kPa以下の高圧で濾過した場合に、同様 1.0kg/m 2 /Hr以上の平均蛋白濾過速度が得られ、かつLRV ≧3となるウイルス除去率を確認し、スケー アップした場合の設備、操作条件等を予想 る。なお、ウイルス溶液を添加しないで実 する平均蛋白濾過速度の測定は省略し、ウ ルスを添加した系で同時に測定することも きる。

 また、蛋白質濃度は高濃度で濾過するほ が、濾過装置・容器・配管などのスケール ップによるコストアップを防止することが きるメリットがある。その反面、高濃度に りすぎると、安定性の面から問題が生じる したがって、蛋白質濃度は20mg/ml以上100mg/ml 下で実施するが、好ましくは25mg/ml以上100mg/ ml以下、より好ましくは30mg/ml以上100mg/ml以下 最も好ましくは30mg/ml以上50mg/ml以下である

 濾過の際の入口圧力は、高圧の方が短時間 迅速に濾過を行なえるメリットがあるが、 力が高すぎると、装置への圧力によるダメ ジやリークのリスクが増えるため、入口圧 は、150kPa以上600kPa以下で実施する。好まし は196kPa以上500kPa以下、より好ましくは245kPa 上400kPa以下、さらに好ましくは294kPa以上400k Pa以下、最も好ましくは294~300kPaである。蛋白 質濃度および入口圧力は、上記範囲内で、平 均蛋白濾過速度が1.0kg/m 2 /Hr以上であり、かつLRVがLRV≧3を同時に満た るように数点振って評価することが好まし 。

 また、蛋白製剤中間製品をウイルス除去 ィルターに流す濾過時間は、1時間以上、5 間以下であるが、スケールアップしたとき 蛋白製剤製造工程中のウイルス除去工程を ウイルス除去フィルターの膜面積は大きく っても短時間で完了したい場合は、短時間 、多少長くかかってもウイルス除去膜の有 膜面積を小さくしたい場合には、長時間に 定することができる。また濾過開始後3時間 もLRV≧3であることを満たす条件を決定する ために、蛋白製剤中間製品をウイルス除去フ ィルターに3時間以上5時間以下流すことも好 である。

 以下実施例により、本発明をより詳細に説 する。
[実施例1]  
 ウイルス除去フィルターとして、国際公開 2004/035180号パンフレット実施例1に示される 法に準じて、すなわち、600kPa以上の耐圧性 持つポリフッ化ビニリデンよりなる微多孔 空糸膜を、親水性ビニルモノマー(ヒドロキ シプロピルアクリレート)でグラフト率10%と るようグラフト重合させた親水化微多孔中 糸膜であって、開孔率が大きい粗大構造層 中空糸膜内表面に存在し、その厚みが7.0μm あり、これと一体化している開孔率が小さ 緻密構造層の厚みが膜厚全体の80%である多 微多孔中空糸膜を有効膜面積0.001m 2 有するフィルターで、フィルター入口に600kPa 以上の耐圧性を持つルアーロック式ノズルを 有し、中空糸膜で容器内空間が入口側空間と 出口側空間に仕切られているウイルス除去フ ィルターを使用した。蛋白製剤中間製品のモ デルとして、濃度30mg/mlのヒト免疫グロブリ G溶液(0.1M食塩水を溶媒とする)を用い、この 液に、ブタパルボウイルス(PPV)液を0.5体積% 加し、35nmの孔径を有する中空糸フィルター (旭化成メディカル社製、PLANOVA(登録商標)35N) 前濾過を行なった。前濾過後の免疫グロブ ン濃度は30mg/ml、PPVの濃度は6.1(TCID 50 /ml)であった。
 このPPVを含む30mg/mlのヒト免疫グロブリンG 液を、上記濾過装置を用いて、294kPaの圧力 デッド-エンド(Dead-end)式濾過を5時間実施し 。このとき、平均蛋白濾過速度は、濾過開 3時間後、4時間後、5時間後において、それ れ1.9、1.9、1.8kg/m 2 /Hrであった。いずれの時点においても、1.0(kg /m 2 /Hr)以上の高速濾過の濾液で、ウイルス除去 を評価することができた。ウイルス除去率 、濾過開始後1時間までの濾液、3時間までの 濾液、5時間までの濾液ともにLRV≧5.6となっ 。
 ウイルス除去工程の運転条件として、蛋白 剤中間製品の蛋白質濃度30mg/ml、ウイルス除 去フィルター入口圧力294kPa、濾過時間5時間 内、という条件を決定できた。

[実施例2~4]
 ウイルス除去フィルターとして、国際公開 2004/035180号パンフレット実施例1に示される 法に準じて、すなわち、600kPa以上の耐圧性 持つポリフッ化ビニリデンよりなる微多孔 空糸膜を、親水性ビニルポリマー(ヒドロキ シプロピルアクリレート)でグラフト率10%と るようグラフト重合させた親水化微多孔中 糸膜であって、開孔率が大きい粗大構造層 中空糸膜内表面に存在し、その厚みが7.0μm あり、これと一体化している開孔率が小さ 緻密構造層の厚みが膜厚全体の80%である多 微多孔中空糸膜を有効膜面積0.001m 2 有するフィルターで、フィルター入口に600kPa 以上の耐圧性を持つルアーロック式ノズルを 有し、中空糸膜で容器内空間が入口側空間と 出口側空間に仕切られているウイルス除去フ ィルターを使用した。蛋白製剤中間製品のモ デルとして、濃度30mg/mlのヒト免疫グロブリ G溶液(0.1M食塩水を溶媒とする)を用い、この 液に、下記の3種のウイルス液をそれぞれ0.5 体積%添加して3種類の溶液を作成した。それ れの溶液を35nmの孔径を有する中空糸フィル ター(旭化成メディカル社製、PLANOVA(登録商標 )35N)で前濾過を行なった。
 ウイルス溶液1) マウス白血病ウイルス(A-MuL V)(実施例2 ウイルス濃度5.0)
 ウイルス溶液2) レオウイルス3型 (Reo-3)(実 例3 ウイルス濃度5.6)
 ウイルス溶液3) マウス最小ウイルス (MVM)( 施例4 ウイルス濃度5.7)
 これら3種の30mg/mlのヒト免疫グロブリンG溶 (ウイルス溶液を含む)を、上記ウイルス除 フィルターを用いて、ウイルス除去フィル ー入口圧力294kPaの圧力でデッド-エンド(Dead-e nd)式濾過を5時間実施した。

 その結果、(実施例2)A-MuLV添加の場合、濾過 始後1時間、2時間、3時間、4時間、5時間ま の濾過速度はそれぞれ、2.2、2.0、1.9、1.7、1. 6kg/m 2 /Hrとなった。いずれの時点においても、1.0(kg /m 2 /Hr)以上の高速濾過の濾液で、ウイルス除去 を評価することができた。ウイルス除去率 、濾過開始後1時間までの濾液、3時間までの 濾液、5時間までの濾液ともにLRV≧4.5となっ 。ウイルス除去工程の運転条件として、蛋 製剤中間製品の蛋白質濃度30mg/ml、ウイルス 去フィルター入口圧力294kPa、濾過時間5時間 以内、という条件を決定できた。
 (実施例3)Reo-3添加の場合、濾過開始後1時間 2時間、3時間、4時間、5時間までの濾過速度 はそれぞれ、2.5、2.3、2.1、2.0、1.8kg/m 2 /Hrとなった。いずれの時点においても、1.0(kg /m 2 /Hr)以上の高速濾過の濾液で、ウイルス除去 を評価することができた。ウイルス除去率 、濾過開始後1時間までの濾液、3時間までの 濾液、5時間までの濾液ともにLRV≧5.1となっ 。ウイルス除去工程の運転条件として、蛋 製剤中間製品の蛋白質濃度30mg/ml、ウイルス 去フィルター入口圧力294kPa、濾過時間5時間 以内、という条件を決定できた。
 (実施例4)MVM添加の場合、濾過開始後1時間、 2時間、3時間、4時間、5時間までの濾過速度 それぞれ、2.4、2.3、2.1、2.0、2.0kg/m 2 /Hrとなった。いずれの時点においても、1.0(kg /m 2 /Hr)以上の高速濾過の濾液で、ウイルス除去 を評価することができた。ウイルス除去率 、濾過開始後1時間までの濾液、3時間までの 濾液、5時間までの濾液ともにLRV≧5.2となっ 。ウイルス除去工程の運転条件として、蛋 製剤中間製品の蛋白質濃度30mg/ml、ウイルス 去フィルター入口圧力294kPa、濾過時間5時間 以内、という条件を決定できた。

 [比較例1] 
 ウイルス除去フィルターとして、100kPaの耐 性を持つセルロースを材質とする、熱可塑 樹脂を含まない中空糸膜を用い、中空糸膜 入口と出口に600kPa以上の耐圧性を持たない ケノコ型のノズルを有し、有効膜面積0.001m 2 の中空糸膜で容器内空間が入口側空間と出口 側空間に仕切られている濾過装置(旭化成メ ィカル社製、Planova(登録商標)20N)を使用した 蛋白製剤中間製品のモデルとして、濃度30mg /mlのヒト免疫グロブリンG溶液(0.1M食塩水を溶 媒とする)を用い、この溶液に、ブタパルボ イルス(PPV)液を0.5体積%添加し、35nmの孔径を する中空糸フィルター(Planova(登録商標)35N) 前濾過を行なった。前濾過後の免疫グロブ ン濃度は30mg/ml、PPVの濃度は5.9であった。
 この30mg/mlのヒト免疫グロブリンG溶液(PPVを む)を、上記ウイルス除去フィルターを用い て、セルロース膜にかけられる上限圧力98kPa 圧力でデッド-エンド(Dead-end)式濾過を5時間 施した。
 その結果、ウイルス除去率は、濾過開始後1 時間までの濾液、5時間までの濾液ともにLRV 5.4となった。濾過速度は、濾過開始1時間後 5時間後において、それぞれ0.8、0.7kg/m 2 /Hrとなり、1.0kg/m 2 /Hrに満たなかった。結果として、蛋白製剤製 造工程中のウイルス除去工程の運転条件を決 定することができなかった。

 [比較例2]
 ウイルス除去フィルターとして、600kPa以上 耐圧性を持つ親水化ポリフッ化ビニリデン 材質とする、特公平7-71624号公報の例Iに記 されている方法に準じて製造された、表面 緻密なスキン層を持ち、膜の厚さに対して の緻密構造層の厚さが20%以下の平膜を用い 平膜の入口にルアーロック式のノズルを有 る、有効膜面積0.0003m 2 のフィルターで容器内空間が入口側空間と出 口側空間に仕切られている濾過装置を使用し た。蛋白製剤中間製品のモデルとして、濃度 30mg/mlのヒト免疫グロブリンG溶液(0.1M食塩水 溶媒とする)を用い、この溶液に、ブタパル ウイルス(PPV)液を0.5体積%添加し、35nmの孔径 を有する中空糸フィルター(Planova(登録商標)35 N)で前濾過を行なった。前濾過後の免疫グロ リン濃度は30mg/ml、PPVの濃度は5.2であった。
 この30mg/mlのヒト免疫グロブリンG溶液(PPVを む)を、上記ウイルス除去フィルターを用い て、294kPaの圧力でデッド-エンド(Dead-end)式濾 を5時間実施した。その結果、濾過開始後1 間までの濾液は、濾過速度が遅いため濾過 積が少なすぎて、ウイルス濃度の測定がで なかった。濾過開始後3時間までの濾液のウ ルス除去率はLRV≧4.0となった。このとき、 過量は、濾過開始3時間後において0.09kg/m 2 で、1時間平均の濾過速度は0.03kg/m 2 /Hrとなり、1.0kg/m 2 /Hrに満たなかった。
 結果として、蛋白製剤製造工程中のウイル 除去工程の運転条件を決定することができ かった。

 [比較例3]
 ウイルス除去フィルターとして、国際公開 2004/035180号パンフレット実施例1に示される 法に準じてすなわち、600kPa以上の耐圧性を つポリフッ化ビニリデンよりなる微多孔中 糸膜と、親水性ビニルポリマー(ヒドロキシ プロピルアクリレート)でグラフト率10%とな ようグラフト重合させた粗大構造層のみか なる微多孔中空糸膜を有効膜面積0.001m 2 有するフィルターで、フィルター入口に600kPa 以上の耐圧性を持つルアーロック式ノズルを 有し、中空糸膜で容器内空間が入口側空間と 出口側空間に仕切られているウイルス除去フ ィルターを使用した。蛋白製剤中間製品のモ デルとして、濃度30mg/mlのヒト免疫グロブリ G溶液(0.1M食塩水を溶媒とする)を用い、この 液に、ブタパルボウイルス(PPV)液を0.5体積% 加した。PPVの濃度は6.0であった。この30mg/ml のヒト免疫グロブリンG溶液(PPVを含む)を、上 記ウイルス除去フィルターを用いて、294kPaの 圧力でデッド-エンド(Dead-end)式濾過を5時間実 施した。平均蛋白濾過速度は、濾過開始1時 後、3時間後、5時間後において、それぞれ2.3 、2.2、2.0kg/m 2 /Hrであった。濾過開始後1時間までの濾液、3 間前の濾液、5時間までの濾液ともにウイル ス除去率はLRV=0.5となり、LRV≧3を満たさなか た。結果として、蛋白製剤製造工程中のウ ルス除去工程の運転条件を決定することが きなかった。

 本発明の濾過方法は、抗体医薬、組換え 白医薬、血漿製剤、血漿分画製剤、等の蛋 製剤の製造工程中のウイルス除去工程のス ールアップされた実運転条件設定、設備設 等に有用な情報を非常に小さいスケールで 集可能なため、タンパク製剤製造産業に大 有用である。