NAGAYA YASUHIRO (JP)
ISHIKAWA TOMOKO (JP)
SUGIURA TOSHIHIRO (JP)
SAITO TOMOKO (JP)
NAGAYA YASUHIRO (JP)
ISHIKAWA TOMOKO (JP)
SUGIURA TOSHIHIRO (JP)
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JP2000160354A | 2000-06-13 | |||
JP2000160353A | 2000-06-13 | |||
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JP2006028372A | 2006-02-02 | |||
JP2005290551A | 2005-10-20 | |||
JP2006263625A | 2006-10-05 | |||
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JP2005023372A | 2005-01-27 | |||
JP2005320573A | 2005-11-17 | |||
JP2005320405A | 2005-11-17 |
Hirose Shoichi (JP)
陽イオンならびにその塩および配位化合物の少なくとも一種の形態のアルミニウム含有物質、陽イオンならびにその塩および配位化合物の少なくとも一種の形態の亜鉛含有物質、アルミニウムイオンと配位化合物を形成しうるキレート剤、ならびにP,Mo,W,Ce,Mn,Si,Ti,Zr,およびVからなる群から選ばれた第一の元素を有する化学物質である皮膜形成物質を含むことを特徴とする、母材上に設けられた酸化防止層上にオーバーコートを形成するための仕上げ剤。 |
前記皮膜形成物質の濃度が0.1~200g/Lである請求項1記載の仕上げ剤。 |
前記皮膜形成物質が、Ce,Mn,Ti,およびZrからなる群から選ばれた第二の元素を含み、陽イオンならびにその塩および配位化合物の少なくとも一つの形態である請求項1記載の仕上げ剤。 |
前記皮膜形成物質が、Mo,W,SiおよびVからなる群から選ばれた第三の元素を含み、当該第三の元素の酸素酸ならびにその陰イオンおよび塩の少なくとも一種の形態である請求項1記載の仕上げ剤。 |
前記皮膜形成物質が、リンを含有し、リンの酸素酸ならびにその陰イオンおよび塩の少なくとも一種の形態である請求項1記載の仕上げ剤。 |
前記アルミニウム含有物質のアルミニウム換算濃度が0.3~30g/L、前記亜鉛含有物質の亜鉛換算濃度が0.5~65g/L、かつ前記皮膜形成物質の濃度がリン濃度換算で0.1~60g/Lである請求項5記載の仕上げ剤。 |
Mo、W、Ce、Co、Ni、Mg、Ca、Mn、Li、Si、Zr、TiおよびVからなる群から選ばれた元素を含有する化学物質をさらに有する請求項5または6記載の仕上げ剤。 |
前記キレート剤がクエン酸である請求項1から7のいずれかに記載の仕上げ剤。 |
有機バインダーをさらに有する請求項1から8のいずれかに記載の仕上げ剤。 |
前記酸化防止層がクロムフリー化成皮膜である請求項1から9のいずれかに記載の仕上げ剤。 |
前記酸化防止層が3価クロムイオンを含む化合物を含む6価クロムフリー化成皮膜である請求項1から9のいずれかに記載の仕上げ剤。 |
オーバーコートが形成される酸化防止層がアルミニウム、ケイ素、およびチタンを含むクロムフリー化成皮膜である請求項1から9のいずれかに記載の仕上げ剤。 |
請求項3に記載される仕上げ剤を調製するための液状組成物であって、陽イオンならびにその塩および配位化合物の少なくとも一種の形態のアルミニウム含有物質をアルミニウム濃度換算で2~200g/L、陽イオンならびにその塩および配位化合物の少なくとも一種の形態の亜鉛イオンを亜鉛濃度換算で5~500g/L、アルミニウムイオンと錯体を形成可能なキレート剤を0.1~40mol/L、ならびにCe,Mn,Ti,およびZrからなる群から選ばれた元素を含む化学物質である皮膜形成物質を当該選ばれた元素の濃度換算で0.1~10mol/Lからなる群から選ばれた一種または二種以上を含有することを特徴とする液状組成物。 |
請求項4に記載される仕上げ剤を調製するための液状組成物であって、陽イオンならびにその塩および配位化合物の少なくとも一種の形態のアルミニウム含有物質をアルミニウム濃度換算で2~200g/L、陽イオンならびにその塩および配位化合物の少なくとも一種の形態の亜鉛イオンを亜鉛濃度換算で5~500g/L、アルミニウムイオンと錯体を形成可能なキレート剤を0.1~40mol/L、ならびにMo,W,SiおよびVからなる群から選ばれた元素を含む化学物質である皮膜形成物質を当該選ばれた元素の濃度換算で0.1~10mol/Lからなる群から選ばれた一種または二種以上を含有することを特徴とする液状組成物。 |
請求項5から7のいずれかに記載される仕上げ剤を調製するための液状組成物であって、陽イオンならびにその塩および配位化合物の少なくとも一種の形態のアルミニウム含有物質をアルミニウム濃度換算で2~200g/L、陽イオンならびにその塩および配位化合物の少なくとも一種の形態の亜鉛イオンを亜鉛濃度換算で5~500g/L、アルミニウムイオンと錯体を形成可能なキレート剤を0.1~40mol/L、ならびにリンを含有する化学物質である皮膜形成物質をリン濃度換算で5~450g/Lからなる群から選ばれた一種または二種以上を含有することを特徴とする液状組成物。 |
母材と、当該母材上に設けられた酸化防止層と、当該酸化防止層上に設けられ請求項1から12のいずれかに記載される仕上げ剤から形成されたオーバーコートと備えることを特徴とする部材。 |
前記酸化防止層が6価クロムフリー化成皮膜からなる請求項16記載の部材。 |
前記酸化防止層がクロムフリー化成皮膜からなる請求項16記載の部材。 |
母材と、3価クロムイオンを含む6価クロムフリー化成皮膜からなり当該母材上に設けられた酸化防止層と、当該酸化防止層上に設けられ請求項5から7のいずれかに記載される仕上げ剤から形成されたオーバーコートと備えることを特徴とする部材。 |
6価クロムフリー化成皮膜からなる酸化防止層がその表面に設けられた母材を用意する工程と、請求項1から12のいずれかに記載される仕上げ剤を前記酸化防止層に接触させて前記酸化防止層上にオーバーコートを形成する工程とを備えることを特徴とする部材の製造方法。 |
本発明は、仕上げ剤、および仕上げ剤か 形成されたオーバーコートを備える部材に する。本発明は、詳しくは、酸化防止層、 体例を挙げれば6価クロムフリー化成皮膜上 に形成されるオーバーコートのための、クロ ムイオンを使用しない仕上げ剤、そのオーバ ーコートが形成された部材に関する。
近年、RoHS(Restriction of the Use of CertainHaz ardous Substances in Electrical and Electronic Equipme nt、電気・電子機器有害物質使用規制)指令や 、ELV(End of Life Vehicles 使用済み自動車)指 など環境に配慮した指令により、有害物質( 鉛、水銀、カドミウム、6価クロムなど)の使 を規制することが求められてきている。
一方、亜鉛めっき部材などの金属表面を する部材の金属表面は酸化されやすいため その表面には酸化防止層が形成される場合 多い。この酸化防止層の一つに化成皮膜が げられ、化成皮膜の中でもクロメート皮膜 優れた酸化防止機能を有する。
しかしながら、従来の6価クロムイオンを 含む化成処理液により得られるクロメート皮 膜は、皮膜中に可溶性の6価クロムが含まれ ため、上記の指令による規制の対象となる このため、6価クロムイオンを含むクロム酸 を用いる化成処理液ではなく、3価クロムイ オンを含む化成処理液によって化成皮膜を形 成するようになってきている。
このように3価クロムイオンを含む化成処 理液によるクロメート皮膜は一般化しつつあ るが、このような化成処理液によって得られ た化成皮膜の上に、さらなる耐食性の付与、 光沢の付与、色調の均一化、衝突などに起因 する傷つき防止などを目的として、有機系お よび/または無機系のコーティング層を形成 る場合がある。本発明において、化成皮膜 代表される酸化防止層上に形成される仕上 用のコーティング層をオーバーコートとい 、このオーバーコートを形成するための液 組成物を仕上げ剤という。また、酸化防止 とオーバーコートとからなる積層体を表面 理層という。
たとえば、特許文献1には、3価クロム源 燐酸イオン源、亜鉛イオン源、および3価ク ムと錯体を形成することができるキレート を含有する3価クロメート皮膜用仕上げ剤組 成物が開示されている。
また、特許文献2には、リンの酸素酸イオ ンとクロム(III)イオンとを含有する6価クロム を含まない化成皮膜の仕上げ剤が開示されて いる。その好適態様では、リンの酸素酸イオ ンが正リン酸、縮合リン酸、亜リン酸、次亜 リン酸およびこれらの塩よりなる群から選択 される一種または二種以上から供給されるも のであって、さらに、金属イオン、金属酸化 物イオン、カルボン酸およびその塩、ならび にケイ素化合物よりなる群から選択される少 なくとも1種以上を含有する。
さらに、特許文献3には、ポリオレフィン を含有する化成皮膜の仕上げ剤が開示されて いる。その好適態様によれば、このポリオレ フィンは酸性側で凝集する性質を有する微粒 状(平均粒径:0.001~20μm)のポリエチレンおよび/ またはポリプロピレンである。
最近では、環境保護の観点から6価クロム イオンを使用しないだけではなく、3価クロ イオンをも使用しないクロムフリーの表面 理が求められるようになってきている。こ ため、可能な限り3価クロムイオンの使用量 低減させることが重要な課題となってきて る。
その一方で、欧州における車体の20年保 防錆の動きにみられるように、耐食性の要 は年々厳しくなっている。他の部材との衝 によって表面処理層が傷つくと、その部分 耐食性が相対的に低下し、このような厳し 耐食性の要求に対応できなくなる可能性が まる。このため、表面処理層の最外層をな オーバーコートにはさらに高い耐傷付き性( 膜強度)が求められてきている。
しかしながら、これまで開示されたオー ーコートは上記のような要求に対応できて るとはいえない。特許文献1および2に開示 れるオーバーコートは、3価クロムイオンを んでおり、クロムフリーには全く対応でき いない。また、特許文献3に開示されるオー バーコートは有機物のみからなるため、その 実施例に示されるような軽く揺動する程度の 衝撃にしか耐えることができない。また、オ ーバーコートは無色透明であるため、酸化防 止層が上記のように化成皮膜からなる場合に は、化成皮膜の色調がそのまま維持されるこ ととなり、色調の均一性にも問題がある。
そこで、本発明では、クロムフリーに対 しつつ、化成皮膜などの酸化防止層上に形 されるオーバーコートとして求められる基 特性を高次で達成しうる仕上げ剤、および の仕上げ剤により形成されたオーバーコー を備える部材を提供することを目的とする
上記課題に対して本発明者が検討した結 、アルミニウムを含有し特定の形態で液状 成物中に存在する化学物質、亜鉛を含有し 定の形態で液状組成物中に存在する化学物 、特定の元素を含む化学物質およびアルミ ウムイオンと錯体を形成しうるキレート剤 含み、クロムイオンを含有しない液状組成 からなる仕上げ剤が、優れた特性を有する ーバーコートを形成しうるとの新たな知見 得た。この知見に基づき、本発明を完成さ た。
本発明は一態様として、陽イオンならび その塩および配位化合物の少なくとも一種 形態のアルミニウム含有物質、陽イオンな びにその塩および配位化合物の少なくとも 種の形態の亜鉛含有物質、アルミニウムイ ンと配位化合物を形成しうるキレート剤、 らびにP,Mo,W,Ce,Mn,Si,Ti,Zr,およびVからなる群 ら選ばれた第一の元素を有する化学物質で る皮膜形成物質を含むことを特徴とする、 材上に設けられた酸化防止層上にオーバー ートを形成するための仕上げ剤を提供する
「アルミニウム含有物質」とは、アルミ ウムを含有する化学物質であって、本発明 係る仕上げ剤中で陽イオンならびにその塩 よび配位化合物の少なくとも一種の形態で 在するものをいう。「亜鉛含有物質」とは 亜鉛を含有する化学物質であって、本発明 係る仕上げ剤中で陽イオンならびにその塩 よび配位化合物の少なくとも一種の形態で 在するものをいう。「アルミニウム含有物 」はアルミニウムイオンとして、「亜鉛含 物質」は亜鉛イオンとして存在しうること ら、上記の本発明に係る仕上げ剤は中性ま は酸性の液状組成物である。
「皮膜形成物質」とは、上記の第一の元 を有する化学物質を意味する。皮膜形成物 は、上記のアルミニウム含有物質や亜鉛含 物質と同様に皮膜を形成することに直接的 たは間接的に関与していると推測される。 発明において定義される「皮膜形成物質」 具体例として、オルトリン酸、オルトリン イオン、オルトリン酸のアルカリ金属塩、 リブデン酸、モリブデン酸イオン、モリブ ン酸のアルカリ金属塩、およびチタンイオ が挙げられる。以下、この「皮膜形成物質 を、後述する特定の皮膜形成物質と区別す ために、「第一の皮膜形成物質」とも称す 。
なお、第一の皮膜形成物質がアルミニウ または亜鉛を含有する場合もある(例えばリ ン酸アルミニウム)。このような場合には、 一の皮膜形成物質はアルミニウム含有物質 たは亜鉛含有物質でもあることになる。こ ため、本発明に係る仕上げ剤は、具体的な 例として、そのような第一の皮膜形成物質 よび上記のキレート剤のみからなる仕上げ を含む。
上記の皮膜形成物質(第一の皮膜形成物質)
濃度は0.1~200g/Lであることが好ましい。
上記の皮膜形成物質(第一の皮膜形成物質)
、Ce,Mn,Ti,およびZrからなる群から選ばれた第
二の元素を含み、本発明に係る仕上げ剤中で
陽イオンならびにその塩および配位化合物の
少なくとも一つの形態であることが好ましい
。
以下、第一の皮膜形成物質のうち、上記 第二の元素を含有し本発明に係る仕上げ剤 に上記の形態で存在する物質を、他の皮膜 成物質と区別するために「第二の皮膜形成 質」とも称する。この第二の皮膜形成物質 具体例として、セリウムイオン、マンガン オン、チタン(IV)イオン、およびジルコニウ ムイオンが挙げられる。
上記の皮膜形成物質(第一の皮膜形成物質 )が、Mo,W,SiおよびVからなる群から選ばれた第 三の元素を含み、前記第三の元素の酸素酸な らびにその陰イオンおよび塩の少なくとも一 種の形態であることが好ましい。
以下、第一の皮膜形成物質のうち、上記 第三の元素を含有し本発明に係る仕上げ剤 に上記の形態で存在する物質を、他の皮膜 成物質と区別するために「第三の皮膜形成 質」とも称する。この「第三の皮膜形成物 」の具体例として、モリブデン酸、タング テン酸、ケイ酸、およびバナジン酸、およ メタバナジン酸、ならびにこれらのイオン よびアルカリ金属塩が挙げられる。
上記の皮膜形成物質が、リンを含有し、リ
の酸素酸ならびにその陰イオンおよび塩の
なくとも一種の形態であることが好ましい
以下、第一の皮膜形成物質のうち、リンを
有し本発明に係る仕上げ剤中に上記の形態
存在する物質を、他の皮膜形成物質と区別
るために「第四の皮膜形成物質」とも称す
。「第四の皮膜形成物質」の具体例として
オルトリン酸、ポリリン酸、メタリン酸、
スホン酸、およびホスフィン酸、ならびに
れらのイオンおよびアルカリ金属塩が挙げ
れる。
第四の皮膜形成物質を含有する仕上げ剤 、アルミニウム含有物質のアルミニウム換 濃度が0.3~30g/L、亜鉛含有物質の亜鉛換算濃 が0.5~65g/L、かつ第四の皮膜形成物質の濃度 リン濃度換算で0.1~60g/Lであることが好まし 。
また、第四の皮膜形成物質を含有する仕 げ剤は、Mo、W、Ce、Co、Ni、Mg、Ca、Mn、Li、Si 、Zr、TiおよびVからなる群から選ばれた元素 含有する化学物質をさらに有することが好 しい。
本発明に係る仕上げ剤が含有する上記のキ
ート剤がクエン酸であることが好ましい。
本発明に係る仕上げ剤は、有機バインダー
さらに有することが好ましい。
上記の酸化防止層がクロムフリー化成皮膜
あることが好ましい。
上記の酸化防止層が3価クロムイオンを含む
化合物を含む6価クロムフリー化成皮膜であ
ことが好ましい。
上記のオーバーコートが形成される酸化防
層がアルミニウム、ケイ素、およびチタン
含むクロムフリー化成皮膜であることが好
しい。
本発明は、別の一態様として、上記の本発
に係る仕上げ剤を調製するための液状組成
を提供する。
この液状組成物の具体的な一態様は、陽イ
ンならびにその塩および配位化合物の少な
とも一種の形態のアルミニウム含有物質を
ルミニウム濃度換算で2~200g/L、陽イオンな
びにその塩および配位化合物の少なくとも
種の形態の亜鉛イオンを亜鉛濃度換算で5~500
g/L、アルミニウムイオンと錯体を形成可能な
キレート剤を0.1~40mol/L、ならびにCe,Mn,Ti,およ
Zrからなる群から選ばれた元素(すなわち第
の元素)を含む化学物質である皮膜形成物質
(すなわち第二の皮膜形成物質)をこの選ばれ
元素(すなわち第二の元素)の濃度換算で0.1~1
0mol/Lからなる群から選ばれた一種または二種
以上を含有する液状組成物である。
この液状組成物の別の具体的な一態様は 陽イオンならびにその塩および配位化合物 少なくとも一種の形態のアルミニウム含有 質をアルミニウム濃度換算で2~200g/L、陽イ ンならびにその塩および配位化合物の少な とも一種の形態の亜鉛イオンを亜鉛濃度換 で5~500g/L、アルミニウムイオンと錯体を形成 可能なキレート剤を0.1~40mol/L、ならびにMo,W,Si およびVからなる群から選ばれた元素(すなわ 第三の元素)を含む化学物質である皮膜形成 物質(すなわち第三の皮膜形成物質)をこの選 れた元素(すなわち第三の元素)の濃度換算 0.1~10mol/Lからなる群から選ばれた一種または 二種以上を含有する液状組成物である。
この液状組成物のまた別の具体的な一態 は、陽イオンならびにその塩および配位化 物の少なくとも一種の形態のアルミニウム 有物質をアルミニウム濃度換算で2~200g/L、 イオンならびにその塩および配位化合物の なくとも一種の形態の亜鉛イオンを亜鉛濃 換算で5~500g/L、アルミニウムイオンと錯体を 形成可能なキレート剤を0.1~40mol/L、ならびに ンを含有する化学物質である皮膜形成物質( すなわち第四の皮膜形成物質)をリン濃度換 で5~450g/Lからなる群から選ばれた一種または 二種以上を含有する液状組成物である。
本発明は、また別の一態様として、母材 、この母材上に設けられた酸化防止層と、 の酸化防止層上に設けられ上記の本発明に る仕上げ剤から形成されたオーバーコート 備えることを特徴とする部材を提供する。
酸化防止層が6価クロムフリー化成皮膜から
なることが好ましい。
酸化防止層がクロムフリー化成皮膜からな
ことが好ましい。
本発明は、さらに別の一態様として、母材
、3価クロムイオンを含む6価クロムフリー
成皮膜からなり当該母材上に設けられた酸
防止層と、当該酸化防止層上に設けられ上
の第四の皮膜形成物質を含む本発明に係る
上げ剤から形成されたオーバーコートと備
ることを特徴とする部材を提供する。
本発明は、さらにまた別の一態様として 6価クロムフリー化成皮膜からなる酸化防止 層がその表面に設けられた母材を用意する工 程と、上記の本発明に係る仕上げ剤を酸化防 止層に接触させて酸化防止層上にオーバーコ ートを形成する工程とを備えることを特徴と する部材の製造方法を提供する。
本発明に係る仕上げ剤からなるオーバー ートを形成することにより、化成皮膜に代 される酸化防止層のみを有する場合のみな ず、従来のクロムを含むオーバーコートを する場合や有機系オーバーコートを有する 合に比べて、耐食性が大幅に向上された部 が提供される。
また、この本発明に係るオーバーコート アルミニウムを含むため、有機系オーバー ートに比べて光沢度が向上している。特に 酸化防止層が黒色化成皮膜である場合には 本発明に係るオーバーコートを備えること 表面処理層の黒味およびツヤ(光沢)が向上 、良好な外観を有する部材が提供される。 かも、有機系オーバーコートのように化成 膜のみの場合に比べて摩擦係数が大きく低 することもない。このため、ネジ、ボルト ような締結部材用途に特に好適である。
さらに、本発明に係る仕上げ剤はクロム 一切使用しない。このため、3価クロム化成 皮膜上に形成した場合でも、従来の3価クロ を含むオーバーコートに比べて、表面処理 のクロム使用量を半分以下にすることが容 に実現される。その上、仕上げ剤が3価クロ を使用していないため、酸化防止層として 化成皮膜にクロムが含まれていない、いわ るクロムフリー化成皮膜を用いる場合には 表面処理層全体からクロムを完全に排除す ことが実現される。この完全クロムフリー 表面処理層を自動車に使用される全てのネ やボルトに適用すれば、数gのクロム削減と なり、環境負荷が著しく低減された自動車を 提供することが可能である。
以下、本発明に係る仕上げ剤、仕上げ剤を
整するための液状組成物、その仕上げ剤に
りオーバーコートが形成された部材および
の部材の製造方法ついて説明する。
1.仕上げ剤
本発明に係る仕上げ剤は、陽イオンならび
その塩および配位化合物の少なくとも一種
形態のアルミニウム含有物質、陽イオンな
びにその塩および配位化合物の少なくとも
種の形態の亜鉛含有物質、アルミニウムイ
ンと配位化合物を形成しうるキレート剤、
らびにP,Mo,W,Ce,Mn,Si,Ti,Zr,およびVからなる群
ら選ばれた第一の元素を有する化学物質で
る皮膜形成物質(すなわち第一の皮膜形成物
)を含む。
6価クロムフリー化成皮膜などの酸化防止 層が形成された部材表面にこの仕上げ剤を接 触させ、これを乾燥させると、酸化防止層上 に皮膜(オーバーコート)が形成される。その 膜形成機構は必ずしも明確ではないが、乾 過程において、水を主成分とする溶媒が揮 するのに伴い、仕上げ剤に含まれるアルミ ウムおよび亜鉛が金属-酸素-金属の結合に る架橋構造を形成し、これによって三次元 目状構造を有する皮膜が形成されるものと 測される。
このとき、第一の皮膜形成物質は、上記 結合において金属または金属および酸素の 割をしたり、例えばリン酸亜鉛のように難 性塩を作って酸化防止層上に堆積したりす ことによって、オーバーコートの形成を促 したり、耐食性など物性を向上させたりす ものと推測される。
また、酸化防止層が上記の説明のように 成皮膜の場合には、本発明に係る仕上げ剤 構成する成分と化成皮膜を構成する材料と 間で化学的・物理的な相互作用が発生する 合があり、この場合にはオーバーコートと 成皮膜との間で高い密着性が達成されてい ものと推測される。
このように、本発明に係る仕上げ剤はク ムフリーの金属系仕上げ剤であるため、従 のクロムフリー仕上げ剤、具体的には樹脂 仕上げ剤やシリカ系仕上げ剤が有していた トルクが低下してしまう、耐食性が十分で い、白粉が発生するなど優れた外観が得ら にくい、といった問題点を全て克服するこ が実現されている。
以下、仕上げ剤の構成成分、およびその調
方法等について説明する。
(1)アルミニウム含有物質
本発明に係る仕上げ剤は、アルミニウムを
有する化学物質であって、陽イオンすなわ
アルミニウムイオン、ならびにその塩(例え
ばリン酸アルミニウム)および配位化合物(例
ばアルミニウムのクエン酸錯体)の少なくと
も一種の形態をなして本発明に係る仕上げ剤
中に存在するアルミニウム含有物質を含有す
る。
アルミニウム含有物質に由来するアルミ ウムは皮膜を構成する成分であり、アルミ ウムを含有することにより、光沢のある外 、皮膜強度(耐傷付き性)、耐食性、および 擦係数が好適なオーバーコートを得ること 実現されている。
アルミニウム含有物質の濃度は、アルミ ウム濃度換算で0.3g/L以上とすることが好ま い。過度に少ない場合には、上記の好適な 性を有するオーバーコートが得られにくく る。基本傾向として、アルミニウム含有物 の濃度が高いほど皮膜は形成されやすくな 、さらに形成された皮膜の特性(耐食性など )は向上する。このため、アルミニウム含有 質の濃度の上限は特に限定されない。ただ 、アルミニウム含有物質の濃度が過度に高 場合には、これを錯体として安定化させる めのキレート剤の濃度も高くなる。このた 、仕上げ剤を濃縮液(後述するように、典型 な濃縮倍率は5~20倍である。)として保管す ことが困難となる。また、仕上げ剤におけ アルミニウム含有物質の濃度を高めたこと よりもたらされる利益(例えば保管スペース 運送コストの減少)よりも、キレート剤の濃 度が高まることに起因する仕上げ剤コストの 上昇がもたらす不利益の方が優位になる。し たがって、アルミニウム含有物質の濃度の上 限をアルミニウム濃度換算で30g/Lとすること 好ましい。生産性、皮膜特性および経済性 高次にバランスさせる観点から、アルミニ ム含有物質の濃度は、アルミニウム濃度換 で1.5~14g/Lとすることが特に好ましい。
アルミニウム含有物質の具体的な種類は に限定されない。水を主成分とする極性溶 に対する溶解度が実用的な範囲であれば、 かなる化学物質を用いてもよい。好適なア ミニウム化合物を例示すれば、硫酸アルミ ウム、硝酸アルミニウム、塩化アルミニウ 、アルミン酸ナトリウム、ポリ塩化アルミ ウム、リン酸アルミニウム、およびカリミ ウバン(硫酸アルミニウムカリウム)が挙げ れる。リン酸アルミニウムなど特定の酸素 塩の形で供給されると、皮膜形成物質とし も機能するため、効率的である。
(2)亜鉛含有物質
本発明に係る仕上げ剤は、亜鉛を含有する
学物質であって、陽イオンすなわち亜鉛イ
ン、ならびにその塩(例えば塩化亜鉛)およ
配位化合物(例えば亜鉛のクエン酸錯体)の少
なくとも一種の形態をなして本発明に係る仕
上げ剤中に存在する亜鉛含有物質を含有する
。
亜鉛含有物質の濃度は、亜鉛濃度換算で0 .5g/L以上とすることが好ましい。過度に少な 場合には、亜鉛による皮膜の強化が不十分 なり、上記の好適な特性を有するオーバー ートが得られにくくなる。アルミニウム含 物質と同様の理由により亜鉛含有物質の濃 の上限は特に限定されない。ただし、亜鉛 有物質の濃度が過度に高い場合には、オー ーコート中のアルミニウム含有量が相対的 低くなり、外観の劣化など不具合が発生す 可能性が高まる。したがって、亜鉛含有物 の濃度の上限を亜鉛濃度換算で65g/Lとする とが好ましい。生産性、皮膜特性および皮 の均一性を高次にバランスさせる観点から 亜鉛含有物質の濃度は亜鉛濃度換算で3~20g/L することが特に好ましい。
亜鉛含有物質の具体的な種類も特に限定 れない。水を主成分とする極性溶媒に対す 溶解度が実用的な範囲であれば、いかなる 学物質を用いてもよい。好適な亜鉛化合物 例示すれば、塩化亜鉛、酸化亜鉛が挙げら る。
(3)キレート剤
本発明に係る仕上げ剤は、上記のアルミニ
ム含有物質に由来するアルミニウムイオン
配位してアルミニウムの錯体を形成するこ
でアルミニウムイオンの仕上げ剤中の安定
を高めるキレート剤を含有する。
上記のキレート剤としては、例えば、ア ノポリカルボン酸系キレート剤、芳香族ま は脂肪族カルボン酸系キレート剤、アミノ 系キレート剤、エーテルカルボン酸系キレ ト剤、ホスホン酸系キレート剤、リン酸キ ート剤、ヒドロキシカルボン酸系キレート 、高分子電解質(オリゴマー電解質を含む) キレート剤、ポリアルコール、ジメチルグ オキシム、アスコルビン酸、チオグリコー 酸、フィチン酸、グリオキシル酸、グリオ サール酸等が挙げられる。これらのキレー 剤は、それぞれフリーの酸型であっても、 トリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩 の塩の形であってもよい。さらに、それら 、加水分解可能なそれらのエステル誘導体 形であってもよい。
アミノポリカルボン酸系キレート剤とし は、例えば、エチレンジアミンテトラ酢酸( EDTA)、エチレンジアミンジ酢酸、ヒドロキシ チルエチレンジアミン三酢酸(HEDTA)、ジヒド ロキシエチルエチレンジアミン四酢酸(DHEDDA) ニトリロ酸酢酸(NTA)、ヒドロキシエチルイ ノ二酢酸(HIDA)、β-アラニンジ酢酸、シクロ キサンジアミンテトラ酢酸、ニトリロトリ 酸、イミノジ酢酸、N-(2-ヒドロキシエチル) ミノジ酢酸、ジエチレントリアミンペンタ 酸、N-(2-ヒドロキシエチル)エチレンジアミ トリ酢酸、グリコールエーテルジアミンテ ラ酢酸、グルタミン酸ジ酢酸、アスパラギ 酸ジ酢酸、メチルグリシンジ酢酸、イミノ コハク酸、セリンジ酢酸、ヒドロキシイミ ジコハク酸、ジヒドロキシエチルグリシン アスパラギン酸、およびグルタミン酸、な びにこれらの塩類およびエステル類など誘 体が挙げられる。
芳香族または脂肪族カルボン酸系キレー 剤としては、例えば、シュウ酸、マロン酸 コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメ ン酸、セバシン酸、アゼライン酸、イタコ 酸、アコニット酸、ピルビン酸、グルコン 、ピロメリット酸、ベンゾポリカルボン酸 シクロペンタンテトラカルボン酸、サリチ 酸、アセチルサリチル酸、ヒドロキシ安息 酸、アミノ安息香酸(アントラニル酸を含む )、フタル酸、フマル酸、トリメリット酸、 食子酸、およびヘキサヒドロフタル酸、な びにこれらの塩類および誘導体が挙げられ 。
アミノ酸系キレート剤としては、例えば グリシン、セリン、アラニン、リジン、シ チン、システイン、エチオニン、チロシン およびメチオニン、ならびにこれらの塩類 よび誘導体が挙げられる。
エーテルカルボン酸塩としては、カルボ シメチルタルトロネート、カルボキシメチ オキシサクシネート、オキシジサクシネー 、酒石酸モノサクシネート、および酒石酸 サクシネート、ならびにこれらの塩類およ 誘導体が挙げられる。
ホスホン酸系キレート剤としては、例え 、イミノジメチルホスホン酸、アルキルジ スホン酸、ならびに1-ヒドロキシエタン-1,1- ジホスホン酸、ならびにこれらの塩類および 誘導体が挙げられる。
リン酸系キレート剤としては、例えば、 ルトリン酸、ピロリン酸、トリリン酸およ ポリリン酸、ならびにこれらの塩類および 導体が挙げられる。これらのキレート剤は 膜形成物質にも属し、塩類の種類によって アルミニウム含有物質または亜鉛含有物質 も属しうる。このため、本発明に係る仕上 剤において、アルミニウム含有物質、皮膜 成物質、およびキレート剤が実質的に一種 の化学物質で構成される場合もありうる。
ヒドロキシカルボン酸系キレート剤とし は、例えば、リンゴ酸、クエン酸、グリコ ル酸、グルコン酸、ヘプトン酸、酒石酸、 よび乳酸、ならびにこれらの塩類および誘 体が挙げられる。
高分子電解質(オリゴマー電解質を含む) キレート剤としては、例えば、アクリル酸 合体、無水マレイン酸重合体、α-ヒドロキ アクリル酸重合体、イタコン酸重合体、こ らの重合体の構成モノマー2種以上からなる 重合体およびエポキシコハク酸重合体が挙 られる。
ポリアルコールとしては、エチレングリコ
ル、ピロカテコール、ピロガロール、ビス
ェノール、およびタンニン酸、ならびにこ
らの誘導体が挙げられる。
これらは1種または2種以上を組み合わせて
用してもよい。好ましいキレート剤はカル
ン酸系のキレート剤であり、ジカルボン酸
よびヒドロキシカルボン酸ならびにこれら
塩類および誘導体がさらに好ましい。好ま
いカルボン酸の具体例として、クエン酸、
ュウ酸、コハク酸、マロン酸、酒石酸、グ
コール酸およびリンゴ酸が挙げられる。カ
ボン酸系のキレート剤は、アルミニウムイ
ンに配位子して仕上げ剤の安定性を高める
とと良好な膜質の皮膜を形成することとを
立しやすい。特にクエン酸が好ましい。
キレート剤のモル濃度(複数使用する場合 にはその合計濃度)とアルミニウム含有物質 モル濃度との関係は特に限定されない。ア ミニウムイオンの安定性を高める観点で適 設定すればよい。
(4)皮膜形成物質
本発明に係る仕上げ剤は、P,Mo,W,Ce,Mn,Si,Ti,Zr,
およびVからなる群から選ばれた第一の元素
有する化学物質である皮膜形成物質、すな
ち第一の皮膜形成物質を含む。
皮膜形成物質は、アルミニウムイオンお び亜鉛イオンとともに架橋構造を形成した 、第一の元素を含む難溶性の塩を構成して 膜を構成したりしているものと推測される このため、本発明に係る仕上げ剤は、アル ニウム含有物質および亜鉛含有物質のみな ず、皮膜形成物質を含有することにより、 れた耐食性を得る皮膜を形成することが実 されている。
皮膜形成物質の濃度は、0.1~200g/Lとするこ とが好ましい。皮膜形成物質の濃度が過度に 少ない場合には、皮膜形成物質による皮膜の 強化が不十分となり、上記の好適な特性を有 するオーバーコートが得られにくくなる。ア ルミニウム含有物質および亜鉛含有物質と同 様の理由により、皮膜形成物質の上限は特に 限定されない。ただし、皮膜形成物質の濃度 が過度に高い場合には、オーバーコート中の アルミニウム含有量が相対的に低くなり、外 観の劣化など不具合が発生する可能性が高ま る。したがって、皮膜形成物質の濃度の上限 を200g/Lとすることが好ましい。生産性、皮膜 特性および皮膜の均一性を高次にバランスす る観点から、皮膜形成物質の濃度は、0.5~50g/L とすることが特に好ましい。
皮膜形成物質がアルミニウムまたは亜鉛 含有している場合には、その物質はアルミ ウム含有物質または亜鉛含有物質としても 能する。このように一種類の化学物質が本 明に係る仕上げ剤における複数の必須成分 該当する場合には、本発明に係る仕上げ剤 必須成分数はその物質の特性に応じて少な なることになる。
第一の元素がオーバーコートにおいて果た
ていると想定される機能に基づいて皮膜形
物質、すなわち第一の皮膜形成物質の好ま
い態様を以下に列記する。
i)第二の皮膜形成物質
第一の皮膜形成物質が、Ce,Mn,Ti,およびZrか
なる群から選ばれた第二の元素を含む化学
質であって、本発明に係る仕上げ剤中で陽
オンならびにその塩および配位化合物の少
くとも一つの形態である場合、すなわち、
二の皮膜形成物質である場合には、第二の
素は、アルミニウムや亜鉛とともに金属-酸
-金属の結合の金属部分を構成してオーバー
コートの構成要素となり、オーバーコートを
高強度の皮膜とすることに寄与していると推
測される。また、第二の皮膜形成物質は、架
橋構造を形成することを促進する機能も果た
していると推測される。
この第二の皮膜形成物質の具体的な種類 、水を主成分とする極性溶媒に対する溶解 が実用的な範囲であれば、特に限定されな 。第二の皮膜形成物質を具体的に例示すれ 、上記の第二の元素の硝酸塩、塩化物、硫 塩などの無機酸の金属塩が挙げられる。
ii)第三の皮膜形成物質
第一の皮膜形成物質が、Mo,W,SiおよびVから
る群から選ばれた第三の元素を含む化学物
であって、本発明に係る仕上げ剤中で第三
元素の酸素酸ならびにその陰イオンおよび
の少なくとも一種の形態である場合、すな
ち、第三の皮膜形成物質である場合には、
三の皮膜形成物質に基づく酸素酸イオンは
アルミニウムイオンおよび亜鉛イオンと不
性の酸素酸塩(例えば、モリブデン酸亜鉛、
イ酸亜鉛、バナジン酸亜鉛など)を形成する
と推測される。この不溶性塩はオーバーコー
トに含有されて、オーバーコートを高強度の
皮膜とすることに寄与していると推測される
。また、第二の皮膜形成物質と同様に、第三
の皮膜形成物質も架橋構造を形成することを
促進する機能も果たしていると推測される。
この第三の皮膜形成物質の具体的な種類 、水を主成分とする極性溶媒に対する溶解 が実用的な範囲である、または実用的な範 での分散性が得られるのであれば、特に限 されない。第三の皮膜形成物質の具体例と て、第三の元素を有する酸素酸のリチウム ナトリウムなどのアルカリ金属塩、コロイ ルシリカのような酸化物が挙げられる。
iii)第四の皮膜形成物質
第一の皮膜形成物質が、リンを含有する化
物質であって、本発明に係る仕上げ剤中で
ンの酸素酸ならびにその陰イオンおよび塩
少なくとも一種の形態である場合、すなわ
第四の皮膜形成物質である場合には、第三
皮膜形成物質と同様に、アルミニウムイオ
および亜鉛イオンと不溶性塩を形成すると
測される。この不溶性塩もオーバーコート
含有されて、オーバーコートを高強度の皮
とすることに寄与していると推測される。
第四の皮膜形成物質の具体的な種類は、 を主成分とする極性溶媒に対する溶解度が 用的な範囲であれば、特に限定されない。 体例としてはオルトリン酸、亜リン酸、ト ポリリン酸、縮合リン酸、およびこれらの 属塩が挙げられる。仕上げ剤の安定性の観 からは、オルトリン酸が好ましい。
第四の皮膜形成物質の濃度は、リン濃度 算で0.1g/L以上とすることが好ましい。第四 皮膜形成物質の濃度が過度に少ない場合に 、第四の皮膜形成物質を含有する効果が得 れにくくなる。第四の皮膜形成物質も、基 的傾向として、濃度が高いほど皮膜特性は 上するため、その上限は特に限定されない ただし、第四の皮膜形成物質の濃度が過度 高い場合には、第四の化学物質の形態によ ては、仕上げ剤またはその濃縮液の粘度が くなり、作業性の低下やオーバーコートが 一に形成されにくくなるなどの不具合が発 する可能性が高まる。したがって、第四の 膜形成物質の濃度の上限をリン濃度換算で6 0g/Lとすることが好ましい。生産性、皮膜特 および皮膜の均一性を高次にバランスさせ 観点から、第四の皮膜形成物質のリン換算 度は0.5~35g/Lとすることが特に好ましい。
なお、アルミニウム含有物質の濃度およ 第四の皮膜形成物質の濃度の比は、特に限 されない。ただし、生産性、皮膜特性およ 皮膜の均一性を高次にバランスさせる観点 ら、第四の皮膜形成物質のリン濃度換算で モル濃度が、アルミニウム含有物質のアル ニウム濃度換算でのモル濃度の0.1~30倍とす ことが好ましい。また、生産性、皮膜特性 よび皮膜の均一性を高次にバランスさせる 点から、第四の皮膜形成物質のリン濃度換 でのモル濃度は、アルミニウム含有物質の ルミニウム濃度換算でのモル濃度および亜 含有物質の亜鉛濃度換算でのモル濃度の合 の0.1~15倍とすることが好ましい。
第四の皮膜形成物質を用いる場合には、M o、W、Ce、Co、Ni、Mg、Ca、Mn、Li、Si、Zr、Tiお びVからなる群から選ばれた元素を含有する 学物質をさらに含有することが好ましい。 下、この化学物質を他の化学物質と区別す ために、皮膜形成添加物という。皮膜形成 加物を含有させると、その特性に応じて、 膜強度、耐食性、外観等の向上が実現され 。
そのような皮膜形成添加物の例としては、 化ニッケル、硝酸コバルト、塩化チタン、 よび硫酸チタニールなどの無機酸の金属塩; モリブデン酸、タングステン酸、シュウ酸チ タン酸、珪酸、およびバナジン酸のアルカリ 金属塩、およびアンモニウム塩などの金属酸 素酸塩;有機チタン化合物などの加水分解性 機金属化合物;テトラメトキシシラン、およ テトラエトキシシランなどの有機シリコン 合物;Y-Si(OR) 3 (ここで、Yは、アミノ基、エポキシ基、およ ビニル基などを含む官能基であり、Rはアル キル基である。)などの有機官能シラン化合 ;ならびにシリカ(特にコロイダルシリカ)、 ルコンなどの酸化物が挙げられる。皮膜形 添加物の中でも、バナジン酸ナトリウムを 有させると安定した耐食性が得られるため ましい。
皮膜形成添加物の濃度は、その皮膜形成 加物の特性およびオーバーコートに求めら る特性に基づいて適宜決定される。上記の ナジン酸ナトリウムを例にすると、0.1~30g/l 度である。
なお、皮膜形成添加物は、上記の皮膜形 物質として定義される化学物質に属するも もある。本発明に係る仕上げ剤が第四の皮 形成物質を含む場合には、そのような化学 質を皮膜形成添加物として定義することと る。
(5)有機バインダー
本発明に係る仕上げ剤は、上記の成分に加
て、有機バインダーを含んでいてもよい。
こで、「有機バインダー」とは、有機物か
なるバインダーのみならず、有機成分に加
無機成分をも含むバインダーも含む。仕上
剤に有機バインダーが成分として含まれる
とで、仕上げ剤からなるオーバーコートの
食性の向上などが実現される。
有機物からなるバインダーとしては、水 性樹脂、水系ディスパージョン、および非 溶性樹脂のいずれを用いてもよい。水溶性 脂は、ポリビニルアルコール、ポリアクリ 酸、ポリビニルピロリドンなど水溶性ポリ ーであってもよいし、モノマーまたはオリ マーの状態で水溶性であって、仕上げ剤に まれる溶媒を除去するために加えられる熱 外部から供給される光などによってこれら 重合してポリマーとなるものであってもよ 。水系ディスパージョンは、ほぼ静置状態 あっても水に分散した状態を所定の期間維 することが可能な樹脂またはその前駆体で って、アクリル系、ウレタン系、エチレン 、エポキシ系の樹脂またはその前駆体が例 される。非水溶性樹脂は、攪拌によって沈 を抑制することで仕上げ剤中での均一分散 維持される樹脂であって、アクリル系、ウ タン系、エチレン系、ブチラール系の樹脂 例示される。このほか、メチルセルロース ヒロドキシエチルセルロースなどの増粘剤 有機バインダーとして添加してもよい。
有機成分に加え無機成分をも含むバイン ーとしては、トリエトシキシラン、γ-グリ ドキシプロピルトリメトキシシランのよう シランカップリング剤などの有機ケイ素化 物、チタンエチルアセトアセテートのよう 有機チタン化合物が例示される。
有機バインダーの濃度は、0.1~20g/Lとするこ
が好ましい。
(6)窒素化合物
本発明に係る仕上げ剤は、窒素化合物を含
でもよい。窒素化合物は、液溜まり外観を
上させるため、含有させることが好ましい
窒素化合物としては、尿素、アミン類な の有機窒素化合物が例示される。好ましい 素化合物として、尿素、アンモニウム塩、 酸塩が挙げられ、これらの特に好ましい濃 は0.5~50g/Lである。
(7)その他の添加物
本発明に係る仕上げ剤は、必要に応じて界
活性剤を添加してもよい。また、潤滑用途
場合には、黒鉛、二硫化モリブデン、フッ
樹脂などの微粒子を分散させて潤滑性を向
させてもよい。逆に、ネジ、ボルトなどの
面処理層のように所定のトルクが必要な場
には、グリセリンなどを分散させてもよい
グリセリンは、潤滑性の制御目的のほか、
観の向上、具体的には表面の光沢改善の目
、すなわち光沢剤として使用してもよい。
の目的の濃度は典型的には2~50g/Lである。
添加可能な界面活性剤は限定されない。 面活性剤の具体例として、陰イオン型界面 性剤、陽イオン型界面活性剤、非イオン型 面活性剤、両性界面活性剤、半極性界面活 剤等が挙げられる。
陰イオン型界面活性剤としては、具体的 は、ポリオキシエチレンアルキル硫酸塩、 ルキルまたはアルケニル硫酸塩、ポリオキ エチレンアルキルまたはアルケニル硫酸エ テル塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、 ルカンスルホン酸塩、アルキルまたはアル ニルエーテルカルボン酸塩、αスルホ脂肪 誘導体、αオレフィンスルホン酸塩、αスル 脂肪酸アルキルエステル塩、スルホコハク 塩、アルキルリン酸エステル塩、天然脂肪 石鹸、アルキルエトキシサルフェート、ア ドエーテルカルボン酸、アミノ酸系アニオ 活性剤等が例示される。
陽イオン型界面活性剤としては、具体的 は、ジ長鎖アルキルジメチル4級アンモニウ ム塩、長鎖アルキルジメチル4級アンモニウ 塩、アルキルアミン塩酸塩、第4級アンモニ ム塩等が例示される。
非イオン型界面活性剤としては、具体的 は、ポリオキシアルキレンアルキルエーテ 、脂肪酸アルカノールアミド、ポリオキシ チレンソルビタンエステル、ソルビタンエ テル、ソルビトールエステル、蔗糖脂肪酸 ステル、メチルグルコシドエステル、メチ マンノシドエステル、エチルグルコシドエ テル、N-メチルグルカミド、環状N-メチルグ ルカミド、アルキルグルコシド、アルキルポ リグルコシド、アルキルグリセリルエーテル 、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ソ ルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレ ンアシルエステル、脂肪酸グリコシドエステ ル、脂肪酸メチルグリコシドエステル、アル キルメチルグルカミド等が例示される。
両性界面活性剤としては、具体的には、 ルボキシベタイン、アミノカルボン酸塩、 ルキルスルホベタイン、ヒドロキシアルキ スルホベタイン、アルキルイミダゾリニウ ベタイン、アルキルベタイン、アルキルア ドプロピルベタイン等が例示される。
半極性界面活性剤としては、具体的には、
ルキルアミンオキシド、アルキルアミドア
ンオキシド、アルキルヒドロキシアミンオ
シド等が例示される。
上記界面活性剤の中で、好ましくは、陰イ
ン型界面活性剤、非イオン型界面活性剤、
よび両性界面活性剤が挙げられる。更に、
ましい界面活性剤の具体例として、アルキ
エーテル硫酸エステルナトリウム、アルキ
ベンゼンスルホン酸ナトリウム、ポリオキ
エチレンアルキルエーテル、ヤシ脂肪酸ア
カノールアミド、および脂肪酸アミドプロ
ルベタインが例示される。
本発明において、上記界面活性剤は一種 独で使用してもよく、また二種以上を任意 組み合わせて使用してもよい。また、添加 度は仕上げ剤の他の成分やオーバーコート 求められる品質にも影響されるが、一般的 は0.1~50g/Lとすることが好ましく、特に好ま いのは1~10g/Lである。0.1g/L未満の場合には界 面活性剤添加の効果が現れにくい。また、50g /Lを超えて添加してもその効果は飽和し、む ろ発泡など仕上げ剤の安定性に対して阻害 因となってしまう場合がある。
(8)pH
本発明に係る仕上げ剤はアルミニウムイオ
や亜鉛イオンを含有することから、中性か
酸性の水系液状組成物である。したがって
仕上げ剤のpHはおおむね7以下となる。具体
なpHは、キレート剤の種類や他に添加され
成分、例えば有機バインダーの種類に依存
て、適宜設定される。なお、pHの調整は任意
の酸・アルカリを用いて行えばよい。これら
の具体例として、硫酸、硝酸、塩酸、酢酸、
水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモ
ニアが挙げられる。
(9)媒体
本発明に係る仕上げ剤の媒体となる液体は
水を主成分とした極性液体である。水以外
成分としては、アルコールやケトンなど極
有機液状物質が挙げられる。これらの極性
機液状物質の濃度は、仕上げ剤の安定性の
点から、水に対して約10%以下にすることが
ましい。
2.母材、酸化防止層
(1)母材
本発明に係る仕上げ剤によるオーバーコー
が形成される母材は、その材質および形状
いずれについても限定されない。材質に関
ては、後述する酸化防止層が形成されるの
あればいかなる材質であってもかまわない
酸化防止層が化成皮膜の場合には、その形
過程が母材表面の金属の溶解および化成処
液に含まれる金属の析出を含むことが多い
め、母材の表面は金属を含むことが好まし
。また、形状に関しては、たとえば鋼板の
うに平坦なものであってもよいし、二次加
されたもの(ここで、二次加工とは、塑性加
工や機械加工など、JIS B 0122において規定さ
れる加工方法全てを意味する。)であっても
い。二次加工品を具体的に例示すれば、ネ
、ボルトなどの締結部品、プレス加工品、
造品が挙げられる。その大きさも任意であ
、建設資材のように大きなものでもよく、
計に使用されるような小さなものでもよい
そのような二次加工品が適用される製品も
に限定されず、自動車、船舶などの輸送機
、家電品、建築用品、および電気・電子機
が例示される。
(2)酸化防止層
本発明に係るオーバーコートが形成される
化防止層は、上記の母材を構成する材料を
化または水酸化させる化学物質(たとえば酸
素、水、水素イオン、水酸化物イオンなど)
母材に到達することを抑制するのであれば
いかなる材質、構成であってもよい。以下
詳細に説明する化成皮膜であってもよいし
湿式または乾式により酸化物または水酸化
の形成を抑制しうる材料を堆積させてもよ
。
堆積させる材料の具体例として、後述す 化成皮膜以外では、シロキサン結合(Si-O結 )を有するもの、具体的にはシリカ、有機ケ 素化合物など、Ti、W、Alなど金属の酸化物 よび/または窒化物などが挙げられる。
酸化防止層を構成する材料の少なくとも 部、および/または酸化防止層を構成する材 料と強固な化学結合を作ることができる材料 を本発明に係るオーバーコートが有している 場合には、酸化防止層とオーバーコートとの 界面での密着力が高まることが期待される。 このため、耐食性の観点などから好ましい。
(3)化成皮膜
上記の酸化防止層の典型例の一つとして、
成皮膜について説明する。この化成皮膜の
成は特に限定されないが、近年の環境保護
流れを考慮すると、6価クロムフリーである
ことが実質的に必要である。ここで、3価ク
ムイオンを含む化成処理液から形成された
のであってもよいし、3価クロムイオンを含
ない化成処理液から形成されたものであっ
もよい。今後の環境保護の動向を考慮すれ
3価クロムイオンを含まない、いわゆるクロ
ムフリー化成皮膜であることが好ましい。本
発明に係る仕上げ剤は3価クロムイオンを含
ないため、このようなクロムフリー化成皮
に対して適用すれば、表面処理層全体をク
ムフリーとすることが可能である。
3価クロムイオンを含む化成処理液の例とし
て次のユケン工業株式会社製化成処理液が挙
げられる。
メタスYFB(黒色化成処理剤、Znめっき用)
メタスYFK(黒色化成処理剤、Zn―Feめっき用
)
メタスYFA(白銀化成処理剤、Znめっき用)
メタスCKN(黒色化成処理剤、Zn-高Niめっき
)
メタスCYN(白銀化成処理剤、Zn-高Niめっき
)
3価クロムイオンをも含まないクロムフリー
化成処理液の一例として、アルミニウムイオ
ン、ケイ酸塩およびシリカから選ばれたケイ
素化合物、チタン化合物、硝酸イオン、なら
びにクエン酸を含有する酸性溶液が挙げられ
る。係る酸性溶液から得られる化成皮膜は、
アルミニウム、ケイ素、およびチタンを含み
、本発明に係る仕上げ剤もアルミニウムを含
むため、本発明に係るオーバーコートとの組
み合わせにより特に優れた耐食性を有するク
ロムフリー表面処理層が得られる。
なお、本発明に係る仕上げ剤は、化成皮 を構成する成分と化学的および/または物理 的な相互作用を行う場合がある。この場合に は、この相互作用によって、得られたオーバ ーコートが特に優れた耐食性を示すことがあ る。具体的には、第四の化学物質を含む本発 明に係る仕上げ剤を3価クロムイオンを含む 成皮膜上に適用した場合に、特に優れた耐 性を有するオーバーコートが得られる。
3.仕上げ剤の調製方法、オーバーコートの
造方法
(1)仕上げ剤の調製方法
本発明に係る仕上げ剤の調製方法は、液状
媒体を攪拌しつつ上記の成分を直接、また
後述する濃縮液を適量添加して、溶解・混
させればよく、各成分の配合順序に特に制
はない。
(2)オーバーコートの製造方法
本発明に係るオーバーコートは、母材上に
けられた酸化防止層、具体例を挙げれば化
皮膜に本発明に係る仕上げ剤を所定時間接
させ、その後、仕上げ剤と接触したことに
ってその表面に仕上げ剤が付着した酸化防
層を乾燥させることにより製造される。
酸化防止層に仕上げ剤を接触させる塗布 程は、例えば、ロール塗布、スプレー、刷 塗り、スピンコート、浸漬(ディッピング) の常法により行うことができ、その部材の 態に応じて適当な塗布方法を選択すればよ 。塗布は、乾燥後に形成されるオーバーコ トの厚みが数nm~1μm程度の範囲となるように うことが好ましい。
塗布工程における仕上げ剤の液温は特に 限されない。常温(25℃程度)で行えばよく、 反応を促進する観点で60℃程度まで加温して よい。好ましい温度は10~40℃である。また 仕上げ剤と酸化防止層との接触時間(具体的 はたとえば浸漬時間)は3~60秒程度とすれば い。時間が短すぎる場合にはオーバーコー の形成が不十分になる可能性があり、時間 長すぎる場合にはオーバーコートの形成が 和して生産性が低下してしまう。特に好適 時間は液温との兼ね合いで決定されるべき のであり、一例として液温が25℃の場合には 5~10秒程度である。
続いて行われる乾燥工程は、溶媒を揮発 せることができれば、乾燥方法、温度およ 時間は特に制限されない。母材ごと恒温槽 で乾燥させてもよいし、母材ごと遠心分離 に投入してもよいし、その表面に仕上げ剤 付着した酸化防止層に温風を吹き付けて乾 させてもよい。恒温槽を用いた乾燥の場合 一例を挙げれば80℃で10分である。
4.濃縮液
上記の仕上げ剤の成分の一つ以上を2~200倍
度、典型的には5~20倍に濃縮した組成を有す
液状組成物を仕上げ剤用濃縮液として用意
れば、各成分の濃度を個別に調整する手間
省ける上に、保管が容易である。この液状
成物を調製する場合には、その組成物に含
される成分、具体的にはアルミニウム含有
質、亜鉛含有物質、キレート剤、および皮
形成物質、さらに必要に応じて、上記の皮
形成添加物、窒素化合物、界面活性剤など
添加成分からなる群から選ばれる一種また
二種以上の溶解度を考慮してその濃度に上
が設定される。
各成分の濃度範囲について具体的に示せば
のようになる。
上記のアルミニウム含有化合物を2~200g/L、
記の亜鉛含有化合物を5~500g/L、アルミニウム
イオンと錯体を形成可能なキレート剤を0.1~40
mol/L、および上記の第二の皮膜形成物質を第
の元素濃度換算で0.1~10mol/Lからなる群から
ばれた一種または二種以上を含有する液状
成物は、本発明に係る仕上げ剤のうち、第
の皮膜形成物質を含有するものを調製する
めの濃縮液となる。これらを適宜組み合わ
、必要に応じてその他の添加成分も配合し
、適切な倍率で希釈することにより、本発
に係る仕上げ剤が調製される。
上記のアルミニウム含有化合物を2~200g/L 上記の亜鉛含有化合物を5~500g/L、アルミニウ ムイオンと錯体を形成可能なキレート剤を0.1 ~40mol/L、および第三の皮膜形成物質を第三の 素濃度換算で0.1~10mol/Lからなる群から選ば た一種または二種以上を含有する液状組成 は、本発明に係る仕上げ剤のうち、第三の 膜形成物質を含有するものを調製するため 液状組成物となる。これらを適宜組み合わ 、必要に応じてその他の添加成分も配合し 、適切な倍率で希釈することにより、本発 に係る仕上げ剤が調製される。
上記のアルミニウム含有化合物を2~200g/L 上記の亜鉛含有化合物を5~500g/L、アルミニウ ムイオンと錯体を形成可能なキレート剤を0.1 ~40mol/L、および第四の皮膜形成物質をリン濃 換算で5~450g/Lからなる群から選ばれた一種 たは二種以上を含有する液状組成物は、本 明に係る仕上げ剤のうち、第四皮膜形成物 を含有するものを調製するための液状組成 となる。
これらを適宜組み合わせて、適切な倍率 希釈することにより、本発明に係る仕上げ が調製される。これらを適宜組み合わせ、 要に応じてその他の添加成分も配合して、 切な倍率で希釈することにより、本発明に る仕上げ剤が調製される。
以下、本発明の効果を実施例に基づいて 明するが、本発明はこれに限定されるもの はない。
(1)試験片の準備
SPCC鋼板(100mm×50mm×0.8mm、表面積1dm 2
)を公知の方法で洗浄し、亜鉛めっき層また
亜鉛-鉄合金めっき層を形成した。それぞれ
めっきについては、以下の条件等とした。
亜鉛めっき:ジンケート浴(ユケン工業株式
会社製 メタスZSTプロセス)
めっき厚 8μm
亜鉛-鉄合金めっき:ジンケート浴(ユケン
業株式会社製 メタスAZプロセス)
鉄共析率 0.4質量%
めっき厚 8μm
(2)化成処理
めっき層が形成された鋼板を67.5%硝酸3ml/Lに
常温(25℃)で10秒間浸漬させて表面の活性化を
行い、活性化後の鋼板を常温(25℃)で10秒間水
洗した。続いて、表1に示されるいずれかの
成処理を行って化成皮膜を形成し、化成皮
の形成がなされた鋼板を常温(25℃)で10秒間
洗した。
(3)仕上げ処理
引き続いて、上記の化成処理後の水洗が行
れた後の未乾燥の鋼板に対して表2および3
示される仕上げ処理を行った。仕上げ処理
の鋼板を80℃で10分乾燥させて、オーバーコ
トを備える試験片を作製した。なお、一部
鋼板についてはこの仕上げ処理を行わず、
然乾燥させて試験片とした。
ここで、「Al」および「Zn」の行の数値は 、それぞれ、アルミニウム含有物質であるポ リ塩化アルミニウムのアルミニウム換算濃度 、亜鉛含有物質である酸化亜鉛の亜鉛換算濃 度を示している。また、「P」の行は、第四 皮膜形成物質であるオルトリン酸のリン換 濃度を示している。
「Ti」の行の数値は皮膜形成添加物であ 塩化チタン(IV)溶液のチタン換算濃度、「V」 の行の数値は皮膜形成添加物であるメタバナ ジン酸ソーダのバナジウム換算濃度、「Si」 行の数値は皮膜形成添加物であるケイ酸リ ウムのシリコン換算濃度、「Mg」の行の数 は皮膜形成添加物である硝酸マグネシウム マグネシウム換算濃度を、それぞれ示して る。
ここで、成分「Cr 3+ 」の濃度の欄の数値はリン酸クロムの3価ク ムイオン換算濃度を示し、成分「Zn 2+ 」の濃度の欄の数値は酸化亜鉛の亜鉛イオン 換算濃度を示し、成分「PO 4 3- 」の濃度の欄の数値はリン酸クロムのリン換 算濃度を示している。
(4)評価方法
上記の製造方法により鋼板上に化成皮膜お
びオーバーコートが形成された試験片(一部
は化成皮膜のみ)に対して、外観および耐食
の評価を行った。
外観については、試験表面を目視で観察し
光沢性および均一性の観点で評価した。そ
ぞれの評価基準は次のとおりである。
光沢性
◎:非常によい
○:よい
△:やや悪い
×:悪い
均一性
◎:非常によい
○:よい
△:やや悪い
×:悪い
耐食性については、JIS Z2371に準拠して塩水
噴霧試験を行い、白錆発生までの時間を24時
単位で測定した。
評価結果を表4に示す。
(5)トータルクロム量分析
表4における試験番号9および15に係る評価試
験前の試験片の一部(オーバーコートが形成
れた面の表面積:1dm 2
)をそれぞれ希硝酸に浸漬して化成皮膜およ
オーバーコートを剥離・溶解し、これらの
面処理層が溶解した溶液のCr濃度を原子吸光
分析(株式会社リガク製 novAA 300)により測定
た。
その結果、試験番号9、すなわちクロムフリ ーオーバーコートの場合には、Cr濃度は0.082mg /dm 2 であり、試験番号15、すなわちクロム含有オ バーコートの場合には0.67mg/dm 2 であった。この結果は、本発明に係るオーバ ーコートを含む表面処理層を使用することに よって、従来技術に係る3価クロムイオンを むオーバーコートを備える表面処理層に比 て、Cr濃度が87.8%削減されたことを示してい 。
実施例1で準備したものと同じ試験片に対 して、実施例1と同じ前処理(活性化、水洗)を 行い、次に表1のNo.Cの化成処理を行って、化 皮膜の形成がなされた鋼板を常温で10秒間 洗した。
引き続いて、上記の化成処理後の水洗が われた後の未乾燥の鋼板に対して表5に示さ れる仕上げ処理を行い、処理後の鋼板を80℃ 10分乾燥させて、オーバーコートを備える 験片を作製した。なお、一部の鋼板につい はこの仕上げ処理を行わず、自然乾燥させ 試験片とした。
ここで、「Al」および「Zn」の行の数値は 、それぞれ、アルミニウム含有物質である硝 酸アルミニウムのアルミニウム換算濃度、亜 鉛含有物質である酸化亜鉛の亜鉛換算濃度を 示している。また、「P」の行の数値は第四 皮膜形成物質であるオルトリン酸のリン換 濃度、「Ti」の行の数値は第二の皮膜形成物 質である硫酸チタン(IV)溶液のチタン換算濃 、「V」の行の数値は第三の皮膜形成物質で るメタバナジン酸ソーダのバナジウム換算 度、「Si」の行の数値は第三の皮膜形成物 であるケイ酸リチウムのシリコン換算濃度 「Ce」の行の数値は皮膜形成添加物である硝 酸セリウムのセリウムイオン換算濃度を、そ れぞれ示している。
得られた試験片に対して、実施例1と同様 に白錆発生までの時間、光沢性、および均一 性の評価を行った。評価結果を表6に示す。
実施例1で準備したものと同じ試験片に対 して、実施例1と同じ前処理(活性化、水洗)を 行い、次に、表7に示されるように、表1のNo.A ~Cのいずれかの化成処理を行って、化成皮膜 形成がなされた鋼板を常温で10秒間水洗し 。
引き続いて、上記の化成処理後の水洗が われた後の未乾燥の鋼板に対して表7に示さ れる仕上げ処理を行い、処理後の鋼板を80℃ 10分乾燥させて、オーバーコートを備える 験片を作製した。
ここで、「Al」の行の数値は、仕上げ処 No.aaについてはアルミニウム含有物質である 硝酸アルミニウムのアルミニウム換算濃度を 、仕上げ処理No.ab~ajについてはアルミニウム 有物質であるカリミョウバン(硫酸アルミニ ウムカリウム)のアルミニウム換算濃度を示 ている。「Zn」の行の数値は亜鉛含有物質で ある酸化亜鉛の亜鉛換算濃度を示している。 「P」の行の数値は第四の皮膜形成物質であ オルトリン酸のリン換算濃度、「Zr」の行の 数値は第二の皮膜形成物質である炭酸ジルコ ニルアンモニウムのジルコニウム換算濃度、 「Co」の行の数値は皮膜形成添加物である硫 コバルトのコバルト換算濃度、「V」の行の 数値は皮膜形成添加物であるメタバナジン酸 ソーダのバナジウム換算濃度、「Mo」の行の 値は皮膜形成添加物であるモリブデン酸ナ リウムのモリブデン換算濃度、「W」の行の 数値は皮膜形成添加物であるタングステン酸 ナトリウムのタングステン換算濃度を、「Ni の行の数値は皮膜形成添加物である硫酸ニ ケルのニッケル換算濃度を、それぞれ示し いる。
得られた試験片に対して、実施例1と同様 に白錆発生までの時間、光沢性、および均一 性評価を行った。評価結果を表8に示す。