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Title:
FLEXIBLE SUBSTRATE
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/131067
Kind Code:
A1
Abstract:
A flexible substrate which is highly flexible and has excellent gas barrier properties. A flexible substrate (100) is provided with a base (20) composed of inorganic glass (10) and resin layers (11, 11') arranged on opposite sides, respectively, of the inorganic glass (10), and also with an inorganic thin film (12) provided to that side of one (11) of the resin layers (11, 11') to which the inorganic glass (10) is not provided. The inorganic thin film (12) is formed on the peripheral edge of at least one side of the base (20).

Inventors:
MURASHIGE TAKESHI (JP)
YAMAOKA TAKASHI (JP)
HATTORI DAISUKE (JP)
SAKATA YOSHIMASA (JP)
NAGATSUKA TATSUKI (JP)
Application Number:
PCT/JP2009/057737
Publication Date:
October 29, 2009
Filing Date:
April 17, 2009
Export Citation:
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Assignee:
NITTO DENKO CORP (JP)
MURASHIGE TAKESHI (JP)
YAMAOKA TAKASHI (JP)
HATTORI DAISUKE (JP)
SAKATA YOSHIMASA (JP)
NAGATSUKA TATSUKI (JP)
International Classes:
B32B17/10; B32B9/00; G09F9/30; H01L51/50; H05B33/02
Foreign References:
JP2002297054A2002-10-09
JP2005342898A2005-12-15
JP2007203474A2007-08-16
JPH07157341A1995-06-20
JP2002542971A2002-12-17
JP2004082598A2004-03-18
JPH11329715A1999-11-30
Attorney, Agent or Firm:
MOMII, Takafumi (JP)
Takafumi Momii (JP)
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Claims:
 無機ガラスと、該無機ガラスの両側それぞれに配置された樹脂層とを備える基材と、
 一方の該樹脂層の該無機ガラスが配置されていない側に配置された無機薄膜とを備え、
 該無機薄膜が該基材の少なくとも片面周縁部に形成されている、可撓性基板。
 前記無機薄膜が前記基材の片面全面に形成されている、請求項1に記載の可撓性基板。
 平滑化層をさらに備え、
 該平滑化層が、前記無機薄膜の前記樹脂層が配置されていない側に配置されている、請求項1または2に記載の可撓性基板。
 別の無機薄膜をさらに備え、
 該別の無機薄膜が、前記平滑化層の前記樹脂層が配置されていない側に配置されている、請求項3に記載の可撓性基板。
 厚み(総厚)が600μm以下である、請求項1から4のいずれかに記載の可撓性基板。
 前記樹脂層が、エポキシ系樹脂および/またはオキセタン系樹脂を主成分とする樹脂組成物から形成されている、請求項1から5のいずれかに記載の可撓性基板。
 前記樹脂層が、一般式(X)および/または(Y)で表される繰り返し単位を有する熱可塑性樹脂を含む、請求項1から6のいずれかに記載の可撓性基板:
式(X)中、R 1 は炭素数6~24の置換または非置換のアリール基、炭素数4~14のシクロアルキレン基または炭素数1~8の直鎖状もしくは分岐状のアルキレン基であり、R 2 は炭素数6~24の置換または非置換のアリール基、炭素数1~8の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基、炭素数1~8の直鎖状もしくは分岐状のアルキレン基、炭素数5~12のシクロアルキル基、炭素数5~12のシクロアルキレン基または水素原子であり、式(Y)中、R 3 およびR 4 はそれぞれ独立して炭素数1~8の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基、水素原子、炭素数1~8の直鎖状もしくは分岐状のアルキレン基、炭素数5~12のシクロアルキル基または炭素数5~12のシクロアルキレン基であり、Aはカルボニル基または炭素数1~8の直鎖状もしくは分岐状のアルキレン基であり、mは0~8の整数を表し、nは0~4の整数を表す。
 前記樹脂層が、1つ以上の一般式(Z)で表される繰り返し単位を有する熱可塑性樹脂を含む、請求項1から7のいずれかに記載の可撓性基板:
式(Z)中、R 1 は炭素数6~24の置換または非置換のアリール基、炭素数1~8の直鎖状もしくは分岐状のアルキレン基、または炭素数4~14のシクロアルキレン基、または酸素原子であり、R 2 は炭素数6~24の置換または非置換のアリール基、炭素数1~8の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基、炭素数1~8の直鎖状もしくは分岐状のアルキレン基、炭素数5~12のシクロアルキル基、炭素数5~12のシクロアルキレン基、または水素原子である。
 前記樹脂層が、ポリエーテルスルホン系樹脂を含む、請求項1から8のいずれかに記載の可撓性基板。
 前記無機薄膜が、酸化物、窒化物、水素化物およびその複合化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種の無機化合物を含む、請求項1から9のいずれかに記載の可撓性基板。
 前記無機化合物がアモルファス構造を有する、請求項10に記載の可撓性基板。
 前記無機薄膜が、無機酸化物層/無機窒化物層/無機酸化物層の3層構成である、請求項1から11のいずれかに記載の可撓性基板。
 透明電極をさらに備え、
 該透明電極が、前記無機薄膜の前記樹脂層が配置されていない側に配置されている、請求項1から12のいずれかに記載の可撓性基板。
 請求項1から13のいずれかに記載の可撓性基板を備える、有機エレクトロルミネッセンス表示装置。
 
Description:
可撓性基板

 本発明は、可撓性基板に関する。より詳 には、本発明は、ガスバリア性に優れた可 性基板に関する。

 近年、映像通信技術の発展により、フラ トパネルディスプレイ(FPD)の薄型化が進め れている。今後、高臨場感を求めた大型パ ルの曲面表示、携帯性および利便性を追求 た巻き取り型携帯端末等のフレキシブル化 実現するには、可撓性と耐衝撃性を兼ね備 た基板が不可欠となる。

 FPD用基板としては、ガラス基板が広く用 られている。しかし、ガラス基板に可撓性 付与するために、ガラス基板の薄型化を図 と、耐衝撃性が不十分となり、FPDの製造工 において割れやすくなる等の問題が生じる

 そこで、ガラス基板にかわり、耐衝撃性 優れ、軽量かつ柔軟性に優れる樹脂フィル を、FPD用基板として用いることが検討され いる。しかし、樹脂フィルムのみでは、FPD 基板に求められるガスバリア性(例えば、酸 素遮断性、水蒸気遮断性)が不十分である。

 ガスバリア性を向上させるため、基材上 金属酸化物膜等と有機層を積層したガスバ ア性積層材を提案されている(特許文献1参 )。しかし、特許文献1の積層材は、FPDの中で も、高いガスバリア性が求められる有機エレ クトロルミネッセンス表示装置においては、 ガスバリア性がいまだ不十分である。

特開2004-82598号公報

 本発明は上記従来の課題を解決するため なされたものであり、その目的とするとこ は、柔軟性に優れ、かつ、ガスバリア性に れた可撓性基板を提供することにある。

 本発明の可撓性基板は、無機ガラスと、 無機ガラスの両側それぞれに配置された樹 層とを備える基材と、一方の該樹脂層の該 機ガラスが配置されていない側に配置され 無機薄膜とを備え、該無機薄膜が該基材の なくとも片面周縁部に形成されている。

 好ましい実施形態においては、上記無機 膜が上記基材の片面全面に形成されている

 好ましい実施形態においては、平滑化層 さらに備え、該平滑化層が、上記無機薄膜 上記樹脂層が配置されていない側に配置さ ている。

 好ましい実施形態においては、別の無機 膜をさらに備え、該別の無機薄膜が、上記 滑化層の上記樹脂層が配置されていない側 配置されている。

 好ましい実施形態においては、厚み(総厚 )が600μm以下である。

 好ましい実施形態においては、上記樹脂 が、エポキシ系樹脂および/またはオキセタ ン系樹脂を主成分とする樹脂組成物から形成 されている。

 好ましい実施形態においては、上記樹脂層 、一般式(X)および/または(Y)で表される繰り 返し単位を有する熱可塑性樹脂を含む。
式(X)中、R 1 は炭素数6~24の置換または非置換のアリール 、炭素数4~14のシクロアルキレン基または炭 数1~8の直鎖状もしくは分岐状のアルキレン であり、R 2 は炭素数6~24の置換または非置換のアリール 、炭素数1~8の直鎖状もしくは分岐状のアル ル基、炭素数1~8の直鎖状もしくは分岐状の ルキレン基、炭素数5~12のシクロアルキル基 炭素数5~12のシクロアルキレン基または水素 原子であり、式(Y)中、R 3 およびR 4 はそれぞれ独立して炭素数1~8の直鎖状もしく は分岐状のアルキル基、水素原子、炭素数1~8 の直鎖状もしくは分岐状のアルキレン基、炭 素数5~12のシクロアルキル基または炭素数5~12 シクロアルキレン基であり、Aはカルボニル 基または炭素数1~8の直鎖状もしくは分岐状の アルキレン基であり、mは0~8の整数を表し、n 0~4の整数を表す。

 好ましい実施形態においては、上記樹脂層 、1つ以上の一般式(Z)で表される繰り返し単 位を有する熱可塑性樹脂を含む。
式(Z)中、R 1 は炭素数6~24の置換または非置換のアリール 、炭素数1~8の直鎖状もしくは分岐状のアル レン基、または炭素数4~14のシクロアルキレ 基、または酸素原子であり、R 2 は炭素数6~24の置換または非置換のアリール 、炭素数1~8の直鎖状もしくは分岐状のアル ル基、炭素数1~8の直鎖状もしくは分岐状の ルキレン基、炭素数5~12のシクロアルキル基 炭素数5~12のシクロアルキレン基、または水 素原子である。

 好ましい実施形態においては、上記樹脂 は、ポリエーテルスルホン系樹脂を含む。

 好ましい実施形態においては、上記無機 膜が、酸化物、窒化物、水素化物およびそ 複合化合物からなる群から選ばれる少なく も1種の無機化合物を含む。好ましい実施形 態においては、上記無機化合物がアモルファ ス構造を有する。

 好ましい実施形態においては、上記無機 膜が、無機酸化物層/無機窒化物層/無機酸 物層の3層構成である。

 好ましい実施形態においては、透明電極 さらに備え、該透明電極が、上記無機薄膜 上記樹脂層が配置されていない側に配置さ ている。

 本発明の別の局面によれば、有機エレク ロルミネッセンス表示装置が提供される。 の有機エレクトロルミネッセンス表示装置 、上記可撓性基板を備える。

 本発明によれば、無機ガラスと樹脂層と 機薄膜とを有することにより、柔軟性に優 、かつ、ガスバリア性に優れた可撓性基板 提供し得る。具体的には、中央に配置され 無機ガラスはガスバリア層として機能し得 。また、樹脂層端部から侵入するガスや水 は、無機薄膜層により遮断され得る。その 果、ガスバリア性に優れ得る。このような 撓性基板を用いることにより、良好な発光 態を長期間継続し得る(すなわち、優れた保 存性を有する)有機エレクトロルミネッセン (EL)表示装置を実現することができる。一方 、無機ガラスは、高い線膨張係数を有する 脂層の熱膨張を抑制し得、線膨張係数の小 い基板が得られ得る。一般的に、無機ガラ の破断は、表面の微小欠陥への応力集中が 因とされており、厚みを薄くするほど破断 生じやすく薄型化は困難である。本発明の 撓性基板では、無機ガラスの両側に配置さ た樹脂層が、変形時の欠陥への引き裂き方 の応力を緩和するため、無機ガラスの薄型 、軽量化が可能となる。その結果、柔軟性 優れ、二次加工性およびに操作性に優れ得 。

本発明の1つの実施形態による可撓性基 板の概略断面図である。 本発明の別の実施形態による可撓性基 の概略断面図である。 本発明のさらに別の実施形態による可 性基板の概略断面図である。 本発明のさらに別の実施形態による可 性基板の概略断面図である。 本発明の1つの実施形態による有機EL表 装置の概略断面図である。

A.可撓性基板の全体構成
 図1は、本発明の好ましい実施形態による可 撓性基板の概略断面図である。この可撓性基 板100は、基材20と、基材20の少なくとも片面 形成された無機薄膜12とを備える。基材20は 無機ガラス10と、無機ガラス10の両側それぞ れに配置された樹脂層11,11’とを備える。無 薄膜12は、一方の樹脂層11の無機ガラス10が 置されていない側に配置されている。図2は 、本発明の別の好ましい実施形態による可撓 性基板の平面図である。この可撓性基板100で は、無機薄膜12が、基材20の片面周縁部に形 されている。無機薄膜は、図2に示すように 材の片面周縁部にのみ形成されていてもよ し、図1に示すように基材の片面全面に形成 されていてもよい。このような構成を有する ことにより、柔軟性に優れ、かつ、ガスバリ ア性に優れた可撓性基板が得られる。可撓性 基板の有機EL素子を形成する側の樹脂層内に 該樹脂のモノマー、溶剤、水分、添加剤等 アウトガスの原因となる成分が含まれてい 場合には、無機薄膜は、基材の片面全面(実 質的には、樹脂層表面)のみならず、基材全 を覆うように形成することが好ましい。

 図3は、本発明のさらに別の好ましい実施 形態による可撓性基板の概略断面図である。 この可撓性基板100’は、無機ガラス10、樹脂 11,11’および無機薄膜12に加えて、平滑化層 13をさらに備える。平滑化層13は、無機薄膜12 の樹脂層11が配置されていない側に配置され いる。平滑化層を設けることにより、無機 膜表面の凹凸を平滑化し、表面平滑性に優 た可撓性基板を得ることができる。図4は、 本発明のさらに別の好ましい実施形態による 可撓性基板の概略断面図である。この可撓性 基板100”は、平滑化層13の表面に、別の無機 膜12’および別の平滑化層13’をさらに備え る。本実施形態においては、別の無機薄膜12 は、平滑化層13の樹脂層11が配置されていな い側に配置されている。このように、本発明 の可撓性基板は、複数層の無機薄膜を備え得 る。複数層の無機薄膜を設けることにより、 より優れたガスバリア性が得られ得る。また 、本発明の可撓性基板は、複数層の平滑化層 を備え得る。好ましくは、図示例のように、 平滑化層は、隣接する無機薄膜の樹脂層が配 置されていない側に配置される。

 無機ガラス10の両側それぞれに配置され 樹脂層11および11’は、同一の材料で構成さ てもよく、異なる材料で構成されてもよい 好ましくは、同一の材料で構成される。樹 層11および11’は、それぞれ、任意の適切な 厚みに設定され得る。具体的には、略同一の 厚みにしてもよいし、無機薄膜形成工程時の 基材にかかる応力等を考慮して異なる厚みに してもよい。好ましくは、無機薄膜を形成す る側の樹脂層の厚みを厚くする。例えば、無 機薄膜の形成工程で無機薄膜側に凸形状とな ることを防止し得るからである。このような 構成を有することにより、線膨張係数が小さ く、かつ、操作性および二次加工性にきわめ て優れた可撓性基板を得ることができる。

 樹脂層11,11’は、好ましくは、無機ガラ 10に直接形成されている。具体的には、樹脂 層11,11’は、接着層を介することなく無機ガ スに形成されている。このような構成を有 ることにより、より薄型の可撓性基板が得 れ得る。なお、樹脂層11,11’は、接着層を して無機ガラスに固着されていてもよい。 該接着層は、任意の適切な接着剤または粘 剤で形成される。

 上記無機ガラスの厚みd g は、好ましくは1~400μmであり、さらに好まし は10~200μm、特に好ましくは30~100μmである。 機ガラスの両側に樹脂層が配置されること よって、無機ガラスの厚みを薄くすること できる。

 上記樹脂層の厚みd r は、好ましくは1~250μmであり、さらに好まし は10~125μmである。樹脂層11,11’それぞれの みは、上述のように、同一であってもよく なっていてもよい。樹脂層の合計厚みd rsum は、好ましくは2~250μmであり、さらに好まし は20~250μmである。

 上記樹脂層の合計厚みd rsum と上記無機ガラスの厚みd g との比d rsum /d g は、好ましくは0.01~10であり、さらに好まし は0.1~5であり、特に好ましくは0.8~2.5である 樹脂層の合計厚みと無機ガラスの厚みがこ ような関係を有することにより、樹脂層の 膨張を無機ガラスにより抑制することと同 に、無機ガラスを補強することができる。 の結果、低線膨張と機械強度の両立が可能 なる。それぞれの樹脂層の厚みd r と上記無機ガラスの厚みd g との差(d r -d g )に対する無機ガラスの厚みd g との比{(d r -d g )/d g }は、好ましくは-0.95~1.5であり、さらに好ま くは-0.6~0.3である。このような関係を有する ことによって、得られる可撓性基板は、加熱 処理されても、無機ガラスの両面に熱応力が 均等に掛かるため、反りやうねりがきわめて 生じ難くなる。

 上記無機薄膜の厚みは、好ましくは1nm~20 m、さらに好ましくは5nm~15μm、特に好ましく 10nm~10μmである。このような厚みを有するこ とにより、より優れたガスバリア性が得られ 得る。

 上記平滑化層の厚みは、好ましくは1nm~20 m、さらに好ましくは5nm~10μm、特に好ましく 10nm~5μmである。このような厚みの平滑化層 設けることにより、無機薄膜表面の凹凸を 滑化し、表面平滑性により優れた可撓性基 が得られ得る。

 上記可撓性基板の厚み(総厚)は、その構 に応じて任意の適切な値に設定され得る。 ましくは600μm以下であり、さらに好ましく 1~400μm、特に好ましくは20~200μmである。

 上記可撓性基板の170℃における平均線膨張 数は、好ましくは20ppm℃ -1 以下であり、さらに好ましくは10ppm℃ -1 以下である。上記の範囲であれば、例えば、 複数の熱処理工程に供されても、画素のずれ や配線の破断・亀裂が生じにくい。

 上記可撓性基板を湾曲させた際の破断直 は、好ましくは30mm以下であり、さらに好ま しくは10mm以下である。

 上記可撓性基板の波長550nmにおける透過 は、好ましくは85%以上であり、さらに好ま くは90%以上である。好ましくは、上記可撓 基板は、180℃で2時間の加熱処理を施した後 光透過率の減少率が5%以内である。このよ な減少率であれば、例えば、FPDの製造プロ スにおいて必要な加熱処理を施しても、実 上許容可能な光透過率を確保できるからで る。樹脂層を採用しながらこのような特性 実現したことが、本発明の効果の1つである

 上記可撓性基板の表面粗度Ra(実質的には 樹脂層、無機薄膜、または、平滑化層の表 粗度Ra)は、好ましくは5nm以下であり、さら 好ましくは2nm以下である。上記可撓性基板 うねりは、好ましくは0.5μm以下であり、さ に好ましくは0.1μm以下である。このような 性の可撓性基板であれば、品質に優れる。

B.無機ガラス
 本発明の可撓性基板に用いられる無機ガラ の形状は、代表的には、板状である。無機 ラスは、組成による分類によれば、例えば ソーダ石灰ガラス、ホウ酸ガラス、アルミ 珪酸ガラス、石英ガラス等が挙げられる。 た、アルカリ成分による分類によれば、無 ルカリガラス、低アルカリガラスが挙げら る。上記無機ガラスのアルカリ金属成分(例 えば、Na 2 O、K 2 O、Li 2 O)の含有量は、好ましくは15重量%以下であり さらに好ましくは10重量%以下である。

 上記無機ガラスの波長550nmにおける透過率 、好ましくは90%以上である。上記無機ガラ の波長550nmにおける屈折率n g は、好ましくは1.4~1.6である。

 上記無機ガラスの平均熱膨張係数は、好ま くは10ppm℃ -1 ~0.5ppm℃ -1 あり、さらに好ましくは5ppm℃ -1 ~0.5ppm℃ -1 ある。上記範囲の無機ガラスであれば、高温 又は低温環境下において、樹脂層の寸法変化 を効果的に抑制し得る。

 上記無機ガラスの密度は、好ましくは2.3g/cm 3 ~3.0g/cm 3 あり、さらに好ましくは2.3g/cm 3 ~2.7g/cm 3 ある。上記範囲の無機ガラスであれば、軽量 の可撓性基板が得られる。

 上記無機ガラスの成形方法は、任意の適 な方法が採用され得る。代表的には、上記 機ガラスは、シリカやアルミナ等の主原料 、芒硝や酸化アンチモン等の消泡剤と、カ ボン等の還元剤とを含む混合物を、1400℃~16 00℃の温度で溶融し、薄板状に成形した後、 却して作製される。上記無機ガラスの薄板 形方法としては、例えば、スロットダウン ロー法、フュージョン法、フロート法等が げられる。これらの方法によって板状に成 された無機ガラスは、薄板化したり、平滑 を高めたりするために、必要に応じて、フ 酸等の溶剤により化学研磨されてもよい。

 上記無機ガラスは、市販のものをそのま 用いてもよく、あるいは、市販の無機ガラ を所望の厚みになるように研磨して用いて よい。市販の無機ガラスとしては、例えば コーニング社製「7059」、「1737」または「EA GLE2000」、旭硝子社製「AN100」、NHテクノグラ 社製「NA-35」、日本電気硝子社製「OA-10」、 ショット社製「D263」または「AF45」等が挙げ れる。

C.樹脂層
 上記樹脂層の波長550nmにおける透過率は、 ましくは85%以上である。上記樹脂層の波長55 0nmにおける屈折率(n r )は、好ましくは1.3~1.7である。上記樹脂層の 折率(n r )と上記無機ガラスの屈折率(n g )との差は、好ましくは0.2以下であり、さら 好ましくは0.1以下である。このような範囲 あれば、無機ガラスと樹脂層との屈折率差 起因する表示特性への悪影響が防止され得 。

 上記樹脂層の弾性率(ヤング率)は、それ れ、好ましくは1GPa以上であり、さらに好ま くは1.5GPa以上である。上記の範囲とするこ によって、無機ガラスを薄くした場合でも 当該樹脂層が変形時の欠陥への引き裂き方 の応力を緩和するので、無機ガラスへのク ックや破断が生じ難くなる。

 上記樹脂層を形成する樹脂組成物として 、任意の適切な樹脂組成物が採用され得る 好ましくは、当該樹脂組成物は、耐熱性に れた樹脂を含む。当該樹脂は、熱硬化型ま は紫外線硬化型の樹脂であってもよく、熱 塑性樹脂であってもよい。熱硬化型または 外線硬化型の樹脂としては、例えば、ポリ リレート系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリ チレンナフタレート系樹脂、ポリエーテル ルホン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、 ポキシ系樹脂、オキセタン系樹脂、アクリ 系樹脂、ポリオレフィン系樹脂が挙げられ 。これらの樹脂は、任意の適切な部位(例え ば、主鎖末端)が任意の適切な様式で変性(例 ば、水酸基変性)されていてもよい。また、 これらの樹脂は、単独で用いられてもよく組 み合わせて用いられてもよい。熱硬化型また は紫外線硬化型の樹脂を用いる場合、特に好 ましくは、上記樹脂層は、エポキシ系樹脂お よび/またはオキセタン系樹脂を主成分とす 樹脂組成物から形成される。表面平滑性に れ、色相が良好な樹脂層が得られるからで る。また、好ましくは、上記樹脂層は、末 水酸基変性されたポリエーテルスルホン系 脂および/またはオキセタン系樹脂を主成分 する樹脂組成物から形成される。

 上記エポキシ系樹脂は、分子中にエポキ 基を持つものであれば、任意の適切なもの 用いられる。上記エポキシ系樹脂としては 例えば、ビスフェノールA型,ビスフェノー F型、ビスフェノールS型及びこれらの水添加 物等のビスフェノール型;フェノールノボラ ク型やクレゾールノボラック型等のノボラ ク型;トリグリシジルイソシアヌレート型や ダントイン型等の含窒素環型;脂環式型;脂 族型;ナフタレン型、ビフェニル型等の芳香 型;グリシジルエーテル型、グリシジルアミ ン型、グリシジルエステル型等のグリシジル 型;ジシクロペンタジエン型等のジシクロ型; ステル型;エーテルエステル型;およびこれ の変性型等が挙げられる。これらのエポキ 系樹脂は、単独で、又は2種以上を混合して 用することができる。

 好ましくは、上記エポキシ系樹脂は、ビ フェノールA型エポキシ系樹脂、脂環式型エ ポキシ系樹脂、含窒素環型エポキシ系樹脂、 又はグリシジル型エポキシ系樹脂である。上 記エポキシ系樹脂が含窒素環型である場合、 好ましくは、トリグリシジルイソシアヌレー ト型エポキシ系樹脂である。これらのエポキ シ系樹脂は、変色防止性に優れる。

 好ましくは、上記樹脂層は、下記一般式( I)、(II)、(III)および(IV)からなる群から選択さ れる少なくとも1種のエポキシ系プレポリマ の硬化層である。

 上記式(I)中、X 1 及びX 2 は、それぞれ独立して、共有結合、CH 2 基、C(CH 3 ) 2 基、C(CF 3 ) 2 基、CO基、酸素原子、窒素原子、SO 2 基、Si(CH 2 CH 3 ) 2 基、又はN(CH 3 )基を表す。Y 1 ~Y 4 は置換基であり、a~dはその置換数を表す。Y 1 ~Y 4 は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン 原子、炭素数1~4のアルキル基、炭素数1~4の置 換アルキル基、ニトロ基、シアノ基、チオア ルキル基、アルコキシ基、アリール基、置換 アリール基、アルキルエステル基、又は置換 アルキルエステル基を表す。a~dは、0から4ま の整数であり、lは2以上の整数である。

 上記式(II)中、X 3 及びX 4 は、それぞれ独立して、CH 2 基、C(CH 3 ) 2 基、C(CF 3 ) 2 基、CO基、酸素原子、窒素原子、SO 2 基、Si(CH 2 CH 3 ) 2 基、又はN(CH 3 )基を表す。Y 5 ~Y 7 は置換基であり、e~gはその置換数を表す。Y 5 ~Y 7 は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン 原子、炭素数1~4のアルキル基、炭素数1~4の置 換アルキル基、ニトロ基、シアノ基、チオア ルキル基、アルコキシ基、アリール基、置換 アリール基、アルキルエステル基、又は置換 アルキルエステル基を表す。e及びgは0から4 での整数であり、fは0から3までの整数であ 、mは2以上の整数である。

 上記式(III)中、X 5 ~X 7 は、それぞれ独立して、共有結合、CH 2 基、C(CH 3 ) 2 基、C(CF 3 ) 2 基、CO基、酸素原子、窒素原子、SO 2 基、Si(CH 2 CH 3 ) 2 基、又はN(CH 3 )基を表す。Y 8 は、上記式(a)~(d)のいずれかである。

 上記式(IV)中、nおよびmは、それぞれ、1~6の ずれかの整数を表す。Y 9 は、上記式(a)または(b)で表される部分である 。

 上記エポキシ系樹脂としては、好ましく 、下記一般式(V)で表わされるエポキシ樹脂 用いられる。

 上記式(V)中、Rはz個の活性水素を有する有 化合物の残基であって、該有機化合物が活 水素基として水酸基のみを少なくとも1個含 する化合物、又は活性水素基として水酸基 みを少なくとも1個含有し、かつ、不飽和二 重結合含有基を同時に含有する不飽和アルコ ールから選ばれる1種または2種以上の混合物 らなるものであり、n 1 、n 2 、・・・n z
はそれぞれ0又は1~30の整数でその和が1~100で り、zはRの活性水素基の数を表す1~10の整数 あり、Aは置換基Xを有するオキシシクロヘキ サン骨格であり、次式(VI)で表される基であ (式(VI)中、Xはエポキシ基を示す)。

 上記式(V)のRの具体例としては、エチレング リコール、ジエチレングリコール、トリエチ レングリコール、トリメチロールプロパン、 トリメチロールメラミン、イソシアヌル酸の 各残基が挙げられる。これらの中でも、トリ メチロールプロパン残基が入手のしやすさや 樹脂としての取り扱い易さの点で、好ましく 用いられる。n 1 、n 2 、・・・n z の添字の最大値zはRの活性水素基数を表して り、例えば、エチレングリコールでは2、ト リメチロールプロパンでは3の値をとる。zが0 ではエポキシ基を含有出来ないので粘度を高 くする効果は得られず、一方、zが11以上のも のは、骨格となる化合物の入手も難しく、ま た、価格も高くなるので経済的ではない。

 Aで表されるエポキシ基含有シクロヘキシル エーテル基が結合している数(鎖長)n 1 、n 2 、・・・n z はそれぞれ0又は1~30の整数であり、その和は1 ~100である。このn 、n 、・・・n が30を超えて多い場合は、エポキシ樹脂の粘 が高くなり取り扱い性が悪化する。また、n 1 、n 2 、・・・n z の和が0では反応性がなく、100を超えて大き 場合は、溶融混練時の粘度増加の程度の制 が難しくなる。Rがトリメチロールプロパン 基の場合、好ましくは、n 、n 、n はそれぞれ5~30の整数であり、その和が15~90で ある。

 上記エポキシ系樹脂のエポキシ当量(エポ キシ基1個当りの質量)は、好ましくは100g/eqiv. ~1000g/eqiv.である。上記範囲であれば、得られ る樹脂層の柔軟性や強度を高めることができ る。

 上記エポキシ系樹脂の軟化点は、好まし は120度以下である。また、上記エポキシ系 脂は、好ましくは常温(例えば、5~35℃)で液 である。さらに好ましくは、上記エポキシ 樹脂は、塗工温度以下で(特に常温で)液体 二液混合型エポキシ系樹脂である。樹脂層 形成する際の展開性や塗工性に優れるから ある。

 上記オキセタン系樹脂としては、分子中 オキセタン環を有する、任意の適切な化合 が用いられる。具体例としては、下記式(1)~ (5)に示すオキセタン化合物が挙げられる。

 上記樹脂組成物は、目的に応じて任意の 切な添加剤をさらに含有し得る。上記添加 としては、例えば、硬化剤、硬化促進剤、 釈剤、老化防止剤、変成剤、界面活性剤、 料、顔料、変色防止剤、紫外線吸収剤、柔 剤、安定剤、可塑剤、消泡剤等が挙げられ 。樹脂組成物に含有される添加剤の種類、 および量は、目的に応じて適切に設定され る。

 上記樹脂組成物は、市販品をそのまま用 てもよく、市販品に任意の添加剤および/ま たは樹脂を添加して用いてもよい。市販のエ ポキシ系樹脂(樹脂組成物)としては、例えば ジャパンエポキシレジン社製のグレード827 よびグレード828、アデカ社製のEPシリーズ よびKRシリーズ、ダイセル化学工業社製のセ ロキサイド2021PおよびEHPE3150等が挙げられる 市販のオキセタン系樹脂としては、例えば 東亜合成社製のOXT221等が挙げられる。

 上記熱可塑性樹脂としては、例えば、下記 般式(X)および/または(Y)で表される繰り返し 単位を有する熱可塑性樹脂(A)が挙げられる。 このような熱可塑性樹脂を含むことにより、 上記無機ガラスとの密着性に優れ、かつ靭性 にも優れる樹脂層を得ることができる。その 結果、切断時にクラックが進展し難い可撓性 基板を得ることができる。
式(X)中、R 1 は炭素数6~24の置換または非置換のアリール 、炭素数4~14のシクロアルキレン基または炭 数1~8の直鎖状もしくは分岐状のアルキレン であり、好ましくは炭素数6~20の置換または 非置換のアリール基、炭素数4~12のシクロア キレン基または炭素数1~6の直鎖状もしくは 岐状のアルキレン基であり、さらに好まし は炭素数6~18の置換または非置換のアリール 、炭素数5~10のシクロアルキレン基または炭 素数1~4の直鎖状もしくは分岐状のアルキレン 基である。R 2 は炭素数6~24の置換または非置換のアリール 、炭素数1~8の直鎖状もしくは分岐状のアル ル基、炭素数1~8の直鎖状もしくは分岐状の ルキレン基、炭素数5~12のシクロアルキル基 炭素数5~12のシクロアルキレン基または水素 原子であり、好ましくは炭素数6~20の置換ま は非置換のアリール基、炭素数1~6の直鎖状 しくは分岐状のアルキル基、炭素数1~4の直 状もしくは分岐状のアルキレン基、炭素数5~ 10のシクロアルキル基、炭素数5~10のシクロア ルキレン基または水素原子である。式(Y)中、 R 3 およびR 4 はそれぞれ独立して炭素数1~8の直鎖状もしく は分岐状のアルキル基、水素原子、炭素数1~8 の直鎖状もしくは分岐状のアルキレン基、炭 素数5~12のシクロアルキル基または炭素数5~12 シクロアルキレン基であり、好ましくは炭 数1~5の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基 水素原子、炭素数1~5の直鎖状もしくは分岐 のアルキレン基、炭素数5~10のシクロアルキ ル基または炭素数5~10のシクロアルキレン基 あり、さらに好ましくは炭素数1~4の直鎖状 しくは分岐状のアルキル基、水素原子、炭 数1~4の直鎖状もしくは分岐状のアルキレン 、炭素数5~8のシクロアルキル基または炭素 5~8のシクロアルキレン基である。Aはカルボ ル基または炭素数1~8の直鎖状もしくは分岐 のアルキレン基であり、好ましくはカルボ ル基または炭素数1~6の直鎖状もしくは分岐 のアルキレン基であり、さらに好ましくは ルボニル基または炭素数1~4の直鎖状もしく 分岐状のアルキレン基である。mは0~8の整数 を表し、好ましくは0~6の整数を表し、さらに 好ましくは0~3の整数を表す。nは0~4の整数を し、好ましくは0~2の整数を表す。

 上記熱可塑性樹脂(A)の重合度は、好まし は10~6000、さらに好ましくは20~5000、特に好 しくは50~4000である。

 上記熱可塑性樹脂(A)の具体例としては、 チレン-無水マレイン酸コポリマー、エステ ル基含有シクロオレフィンポリマーが挙げら れる。これらの熱可塑性樹脂は、単独で、又 は2種以上を混合して使用することができる

 上記熱可塑性樹脂(A)のガラス転移温度は 好ましくは110℃以上、さらに好ましくは120 以上、特に好ましくは120~350℃である。この ような範囲であれば、耐熱性に優れる可撓性 基板を得ることができる。

 上記熱可塑性樹脂の別の具体例としては、1 つ以上の下記一般式(Z)で表される繰り返し単 位を有する熱可塑性樹脂(B)が挙げられる。こ のような熱可塑性樹脂を含むことにより、上 記無機ガラスとの密着性に優れ、かつ靭性に も優れる樹脂層を得ることができる。その結 果、切断時にクラックが進展し難い可撓性基 板を得ることができる。
式(1)中、R 1 は炭素数6~24の置換または非置換のアリール 、炭素数1~8の直鎖状もしくは分岐状のアル レン基、または炭素数4~14のシクロアルキレ 基、または酸素原子であり、好ましくは炭 数6~20の置換または非置換のアリール基、炭 素数1~6の直鎖状もしくは分岐状のアルキレン 基、炭素数4~12のシクロアルキレン基、また 酸素原子であり、さらに好ましくは炭素数6~ 18の置換または非置換のアリール基、炭素数1 ~4の直鎖状もしくは分岐状のアルキレン基、 たは炭素数5~10のシクロアルキレン基、また は酸素原子である。R 2 は炭素数6~24の置換または非置換のアリール 、炭素数1~8の直鎖状もしくは分岐状のアル ル基、炭素数1~8の直鎖状もしくは分岐状の ルキレン基、炭素数5~12のシクロアルキル基 炭素数5~12のシクロアルキレン基、または水 素原子であり、好ましくは炭素数6~20の置換 たは非置換のアリール基、炭素数1~6の直鎖 もしくは分岐状のアルキル基、炭素数1~4の 鎖状もしくは分岐状のアルキレン基、炭素 5~10のシクロアルキル基、炭素数5~10のシクロ アルキレン基、または水素原子である。

 上記熱可塑性樹脂(B)の重合度は、好まし は10~6000、さらに好ましくは20~5000、特に好 しくは50~4000である。

 上記熱可塑性樹脂(B)の具体例としては、 リアリレート、ポリエステル、ポリカーボ ートが挙げられる。これらの熱可塑性樹脂 、単独で、又は2種以上を混合して使用する ことができる。

 上記熱可塑性樹脂(B)のガラス転移温度は 好ましくは120℃以上、さらに好ましくは150 以上、特に好ましくは180~350℃である。この ような範囲であれば、耐熱性に優れる可撓性 基板を得ることができる。

D.無機薄膜
 上記無機薄膜は、任意の適切な無機化合物 形成される。無機薄膜は、好ましくは、酸 物、窒化物、水素化物およびその複合化合 からなる群から選ばれる少なくとも1種の無 機化合物を含む。具体的には、無機化合物は 、酸化物、窒化物または水素化物単体である 場合だけでなく、酸化物、窒化物および/ま は水素化物の複合化合物であり得る。この うな化合物を用いることにより、透明性に らに優れ得る。無機薄膜を形成する無機化 物は、任意の適切な構造を有し得る。具体 には、完全な結晶構造を有していてもよい 、アモルファス構造を有していてもよい。

 上記無機化合物を構成する元素としては、 素(C)、ケイ素(Si)、アルミニウム(Al)、マグ シウム(Mg)、カルシウム(Ca)、カリウム(K)、ス ズ(Sn)、ナトリウム(Na)、ホウ素(B)、チタン(Ti) 、鉛(Pb)、ジルコニウム(Zr)、イットリウム(Y) が挙げられる。これらは単独でまたは2種以 上組み合わせて用いられ得る。これらの中で も、炭素、ケイ素、アルミニウムが好ましく 用いられる。無機化合物の具体例としては、 ダイヤモンドライクカーボン(DLC)、SiN x 、SiO y 、AlO z 等が挙げられる。SiN x のxの値としては、好ましくは0.3~2である。SiO y のyの値としては、好ましくは1.3~2.5である。A lO z のzの値としては、好ましくは0.7~2.3である。

 無機薄膜は、任意の適切な構成が採用され る。具体的には、無機薄膜は、単一層で形 されていてもよいし、複数層の積層体であ てもよい。無機薄膜が積層体である場合の 体例としては、無機酸化物層/無機窒化物層 /無機酸化物層(例えば、SiO y 層/SiN x 層/SiO y 層)の3層構成等が挙げられる。

E.平滑化層
 上記平滑化層の形成材としては、任意の適 な形成材で形成される。具体例としては、 滑化層は、任意の適切な樹脂組成物で形成 れる。当該樹脂組成物は、好ましくは、熱 化性樹脂または光硬化性樹脂を含む。

 上記熱硬化性樹脂は、熱エネルギーが付 されることにより硬化し得、硬化後に透明 かつ平坦な面を形成し得る樹脂が挙げられ 。代表例としては、ポリカーボネート、ポ メチルメタクリレート、ポリアクリレート メチルフタレート単独重合体または共重合 、ポリエチレンテレフタレート、ポリスチ ン、ジエチレングリコールビスアリルカー ネート、アクリロニトリル/スチレン共重合 体、ポリ(-4-メチルペンテン-1)、フェノ-ル樹 、エポキシ樹脂、シアナート樹脂、マレイ ド樹脂、ポリイミド樹脂等が挙げられ、ま これらをポリビニルブチラール、アクリロ トリル-ブタジエンゴム、多官能性アクリレ ート化合物等で変性したものや、架橋ポリエ チレン樹脂、架橋ポリエチレン/エポキシ樹 、架橋ポリエチレン/シアナート樹脂、ポリ ェニレンエーテル/エポキシ樹脂、ポリフェ ニレンエーテル/シアナート樹脂等の熱可塑 樹脂で変性した熱硬化性樹脂などが挙げら る。これらは単独でまたは2種以上組み合わ て用いられ得る。

 上記光硬化性樹脂としては、ラジカル反 性不飽和化合物を有するアクリレート化合 によりなる樹脂組成物や、アクリルレート 合物とチオール基を有するメルカプト化合 よりなる樹脂組成物、エポキシアクリレー 、ウレタンアクリレート、ポリエステルア リレート、ポリエーテルアクリレート等の リゴマーを多官能アクリレートモノマーに 解せしめた樹脂組成物等が挙げられる。こ らは単独でまたは2種以上組み合わせて用い られ得る。

 平滑化層を形成する樹脂組成物は、必要 応じて、酸化防止剤、紫外線吸収剤、可塑 等の添加剤を含み得る。また、成膜性向上 よびピンホール防止等を目的として、適切 樹脂や添加剤を含み得る。

F.可撓性基板の製造方法
 本発明の可撓性基板は、代表的には、上記 機ガラスに樹脂組成物を塗工し、当該樹脂 成物を硬化または乾燥・熱処理させて樹脂 を形成する工程と、得られた樹脂層の表面 上記無機薄膜を形成する工程とを含む。ま 、平滑化層を設ける場合、無機薄膜表面に 記平滑化層を形成する工程をさらに含む。

 上記樹脂層の形成における樹脂組成物の 工方法としては、例えば、エアドクターコ ティング、ブレードコーティング、ナイフ ーティング、リバースコーティング、トラ スファロールコーティング、グラビアロー コーティング、キスコーティング、キャス コーティング、スプレーコーティング、ス ットオリフィスコーティング、カレンダー ーティング、電着コーティング、ディップ ーティング、ダイコーティング等のコーテ ング法;フレキソ印刷等の凸版印刷法、ダイ レクトグラビア印刷法、オフセットグラビア 印刷法等の凹版印刷法、オフセット印刷法等 の平版印刷法、スクリーン印刷法等の孔版印 刷法等の印刷法が挙げられる。

 上記塗工に際し、シリコーンオイル等の ベリング剤や硬化剤等の添加剤を必要に応 て樹脂組成物に添加して、塗工液の塗工適 やインクの印刷適性を向上させることがで る。また、無機ガラス表面にコロナ処理や ラン処理を施すことにより、または、樹脂 成物にシランカップリング剤を混合するこ により、無機ガラスと樹脂組成物(最終的に は、樹脂層)との密着性を高めることができ 。

 上記シランカップリング剤としては、例 ば、ビニル系、エポキシ系、スチリル系、 タクリロキシ系、アクリロキシ系、アミノ 、ウレイド系、クロロプロピル系、メルカ ト系、スルフィド系、イソシアネート系が いられる。上記樹脂層を形成する樹脂とし 、上記熱可塑性樹脂(A)および/または(B)が用 いられる場合、好ましくは、アミノ系、エポ キシ系、イソシアネート系が用いられる。

 上記樹脂組成物の硬化方法は、樹脂組成物 含まれる樹脂の種類に応じて選択され得る 熱硬化型の樹脂が用いられる場合、加熱に り硬化される。加熱条件は、任意の適切な 件が採用され得る。具体的には、加熱温度 、好ましくは80~250℃である。加熱時間は、 ましくは1~30分である。紫外線硬化型の樹脂 が用いられる場合、紫外線照射により硬化さ れる。照射条件は、任意の適切な条件が採用 され得る。具体的には、照射量は、好ましく は100~600mJ/cm 2 である。

 上記乾燥は、任意の適切な乾燥方法(例え ば、自然乾燥、送風乾燥、加熱乾燥)が採用 れ得る。例えば、加熱乾燥の場合には、乾 温度は代表的には100~200℃であり、乾燥時間 代表的には1~10分である。上記熱処理は、任 意の適切な熱処理方法が採用され得る。代表 的には、熱処理温度は100℃~300℃であり、熱 理時間は5~45分である。上記シランカップリ グ剤を用いる場合、該熱処理によりカップ ング剤熱可塑性樹脂とを化学結合または相 作用させることができると推測される。

 上記無機薄膜の形成方法としては、任意の 切な方法が採用され得る。例えば、真空蒸 法、酸化反応蒸着法、スパッタリング法、 オンプレーティング法等の物理気相成長法( Physical Vapor Deposition法);プラズマ化学気相成 法(Chemical Vapor Deposition法)等が挙げられる 具体的には、ケイ素化合物を含む無機薄膜 形成する場合、例えば、SiH 4 、テトラメトキシシラン(TMOS)等の有機ケイ素 化合物を原料とするプラズマCVD法を用い得る 。DLCを含む無機薄膜を形成する場合、例えば 、メタン、アセチレン、エチレン、ブタジエ ン等の炭化水素を原料とするプラズマCVD法を 用い得る。

 上記平滑化層の形成方法としては、任意 適切な方法が採用され得る。例えば、スピ コーティング法、スプレー法、ブレードコ ティング法、ディップ法、蒸着法等が挙げ れる。平滑化層を形成する際、代表的には 上記樹脂組成物をエタノール、クロロホル 、テトラヒドロフラン、ジオキサン等の適 な希釈溶媒に溶解または分散させて薄膜を 成する。

G.用途
 本発明の可撓性基板は、代表的には、エレ トロルミネッセンス(EL)ディスプレイ、プラ ズマディスプレイ(PD)、電界放出ディスプレ (FED:Field Emission Display)のような自発光型表 装置や、液晶表示装置等に用いられ得る。 れらの中でも、本発明の可撓性基板は、高 ガスバリア性が求められる有機エレクトロ ミネッセンス(EL)表示装置に好適に用いられ る。

 図5は、本発明の好ましい実施形態による 有機EL表示装置の概略断面図である。この有 EL表示装置200は、本発明の可撓性基板100と 可撓性基板100上に順次形成された透明電極80 、有機発光層30および対向電極40と、これら 覆うように配された無機保護膜60および樹脂 保護膜70とを備える。透明電極80は、可撓性 板100の無機薄膜の樹脂層が配置されていな 側(図示例では上側)に配置されている。透明 電極80と対向電極40とが重なっている領域に ける透明電極80、有機発光層30および対向電 40が画素50となる。図示しないが、可撓性基 板100の透明電極80が配置されない側にハード ート層が配置されていてもよい。本発明の 機EL表示装置の構成としては、図示例に限 されず、任意の適切な構成が採用され得る 例えば、本発明の可撓性基板を無機保護膜60 および有機保護膜70を覆うように配置して、 止部材として用いてもよい。また例えば、 機EL表示装置は、トップエミッション方式 あってもよく、ボトムエミッション方式で ってもよい。

 有機EL表示装置においては、有機発光層30 の発光を取り出すために、少なくとも1つの 極(代表的には、陽極)が透明であることが必 要とされる。透明電極の形成材としては、イ ンジウム錫酸化物(ITO)、インジウム亜鉛酸化 (IZO)、酸化ケイ素を添加したインジウム錫 化物(ITSO)、酸化タングステンを含むインジ ム酸化物(IWO)、酸化タングステンを含むイン ジウム亜鉛酸化物(IWZO)、酸化チタンを含むイ ンジウム酸化物(ITiO)、酸化チタンを含むイン ジウム錫酸化物(ITTiO)、モリブテンを含む酸 インジウムスズ(ITMO)等が用いられる。一方 電子注入を容易にして発光効率を上げるに 、陰極に仕事関数が小さい物質を用いるこ が重要である。したがって、代表的には、 向電極40は、Mg-Ag、Al-Li等の金属膜から構成 れ、陰極として使用される。

 有機発光層30は、種々の有機薄膜の積層 である。図示例では、有機発光層30は、正孔 注入性有機材料(例えば、トリフェニルアミ 誘導体)からなり、陽極からの正孔注入効率 向上させるべく設けられた正孔注入層31と 発光性有機物質(例えば、アントラセン)から なる発光層32と、電子注入性材料(例えば、ペ リレン誘導体)からなり、陰極からの電子注 効率を向上させるべく設けられた電子注入 33とを有する。有機発光層30は、図示例に限 されず、発光層32において電子と正孔とが 結合して発光を生じさせ得る任意の適切な 機薄膜の組み合わせが採用され得る。例え 、第1正孔輸送層(例えば、銅フタロシアニン )、第2正孔輸送層(例えば、N,N´-ジフェニル-N, N´-ジナフチルベンジジン)および電子輸送層 発光層(例えば、トリス(8-ヒドロキシキノリ ナト)アルミニウム)からなる構成が採用され る。

 透明電極-対向電極間に閾値以上の電圧を 印加すると、陽極から正孔が供給され、正孔 注入層31を経て発光層32に達する。一方、陰 からは電子が供給され、電子注入層33を経て 発光層32に達する。発光層32において正孔と 子とが再結合することによって生じるエネ ギーが、発光層中の発光性有機物質を励起 、励起された発光性有機物質が基底状態に る際に光を放射し、発光する。所望の画素 とに電圧を印加して有機発光層を発光させ ことにより、画像表示が可能となる。カラ 表示を行う場合には、例えば隣接する3つの 素の発光層を、それぞれ赤(R)、緑(G)および (B)の発光を示す発光性有機物質で構成して よく、任意の適切なカラーフィルターを発 層の上に設けてもよい。

 このような有機EL表示装置においては、 機発光層30の厚みは、できる限り薄いことが 好ましい。発光した光を可能な限り透過させ ることが好ましいからである。有機発光層30 、例えば、厚み10nm程度のきわめて薄い膜で 構成され得る。その結果、非発光時(黒状態) おいて、可撓性基板100の下面側から入射し 、透明電極80および有機発光層30を透過し、 対向電極40で反射した光が、再び可撓性基板1 00の下面側へ出る。

 上記ハードコート層は、任意の適切な形 材で形成される。代表的には、上記平滑化 と同様の樹脂組成物で形成される。

 以下、実施例により本発明を具体的に説 するが、本発明はこれら実施例になんら限 されるものではない。

[実施例1]
<基材(樹脂層/無機ガラス/樹脂層)の作製>
 厚み50μmで板状の無機ガラス(ショット社製 「D263」)をメチルエチルケトン(MEK)で洗浄し 、その両面にコロナ処理を施した。その後、 シランカップリング剤(信越化学工業社製、KB M-403)を無機ガラスの両面に塗布し、110℃で5 間熱処理した。
 次に、下記式(a)で表わされるエポキシ樹脂1 (ダイセル化学工業社製、セロキサイド2021P) エポキシ樹脂2(2,2-ビス(ヒドロキシメチル)-1- ブタノールの1,2-エポキシ-4-(2-オキシラニル) クロヘキサン付加物、ダイセル化学工業社 、EHPE3150)と下記式(5)で表わされるオキセタ 樹脂(東亜合成社製、OXT221)と重合開始剤(ア カ製、SP-170)との混合液を調製した。得られ た混合液を無機ガラス表面に塗工した後、UV を300mJ/cm 2 以上照射して樹脂を硬化させて、厚み25μmの 脂層を形成した。同様に、無機ガラス裏面 も厚み25μmの樹脂層を形成した後、150℃で30 分間熱処理した。
 このようにして厚み100μmの基材を作製した

(無機薄膜の形成)
 上記で得られた基材の片面に、SiN x 膜(厚み100nm)をプラズマCVD法により形成した SiN x 膜の形成条件は以下のとおりである。このよ うにして可撓性基板を作製した。
真空度:0.3Pa(2.25×10 -3 Torr)
SiH 4 ガス流量:50sccm
窒素ガス流量:50sccm
周波数:13.56MHz
電力:700W

[実施例2]
 基材の片面に、SiO y 膜(厚み100nm)をプラズマCVD法により形成した と以外は、実施例1と同様にして可撓性基板 作製した。SiO x 膜の形成条件は以下のとおりである。
真空度:0.3Pa(2.25×10 -3 Torr)
SiH 4 ガス流量:10sccm
酸素ガス流量:20sccm
窒素ガス流量:50sccm
周波数:13.56MHz
電力:500W

[実施例3]
 基材の片面に、ダイヤモンドライクカーボ (DLC)膜(厚み100nm)をプラズマCVD法により形成 たこと以外は、実施例1と同様にして可撓性 基板を作製した。DLC膜の形成条件は以下のと おりである。
真空度:0.3Pa(2.25×10 -3 Torr)
CH 4 ガス流量:200sccm
周波数:13.56MHz
電力:1000W
電極直流電圧:300V

[実施例4]
 基材の片面に、SiO y 膜(厚み100nm)、SiN x 膜(厚み100nm)およびSiO y 膜(厚み100nm)をこの順にプラズマCVD法により 成して、SiO y /SiN x /SiO y の積層体を形成したこと以外は、実施例1と 様にして可撓性基板を作製した。なお、SiO y 膜およびSiN x 膜の形成条件は上記のとおりである。

[実施例5]
 以下の基材を用いたこと以外は実施例1と同 様にして可撓性基板を作製した。
(基材)
 スチレン-無水マレイン酸コポリマー(Aldrich 製、重量平均分子量220000)をメチルイソブチ ルケトンに20重量%となるように溶解させた。
 別途、厚み50μm、縦10cm×横4cmの無機ガラス( ョット社製、「D263」)の片面表面をメチル チルケトンで洗浄後、コロナ処理を行い、 けてアミン基含有カップリング剤(KBM-603、信 越化学工業社製)を塗布し、110℃で5分間熱処 した。カップリング処理した上記無機ガラ 表面に上記スチレン-無水マレイン酸溶液を 塗工し、160℃で10分間乾燥後、200℃で30分間 処理を行った。同様の処理を無機ガラスの う一方の表面にも行い、総厚み60μmの無機ガ ラス、アミン基含有カップリング剤層、およ び熱可塑性樹脂層の積層体を得た。
 さらに、該積層体の片面表面に下記参考例1 で合成した7重量%のポリアミドイミドのメチ イソブチルケトン溶液を塗工し、160℃で10 間乾燥後、200℃で30分間熱処理を行った。同 様の処理を無機ガラスのもう一方の表面にも 行い、総厚み120μmの基材を得た。

(参考例1)ポリアミドイミドの合成
 2,2’-ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)ヘキサ フルオロプロパン二無水物(6FDA)と、トリメリ ット酸無水物(TMA)と、2,2’-ビス(トリフルオ メチル)-4,4’-ジアミノビフェニル(TFMB)によ て、ポリアミドイミドを合成した。重量平 分子量は約110000であった。

[実施例6]
 実施例5で用いた基材に、実施例2と同様に 機薄膜を形成して可撓性基板を作製した。

[実施例7]
 実施例5で用いた基材に、実施例3と同様に 機薄膜を形成して可撓性基板を作製した。

[実施例8]
 実施例5で用いた基材に、実施例4と同様に 機薄膜を形成して可撓性基板を作製した。

[実施例9]
 以下の基材を用いたこと以外は実施例1と同 様にして可撓性基板を作製した。
(基材)
 20重量%のポリアリレート(U-ポリマー U-100: ニチカ社製)の塩化メチレン溶液とシクロペ タノンを混合し、14.5重量%のキャスティン 溶液を得た。
 別途、厚み50μmの無機ガラス(ショット社製 「D263」)の片面表面をメチルエチルケトン 洗浄後、コロナ処理を行い、続けてアミン 含有カップリング剤(KBM-603、信越化学工業社 製)を塗布し、110℃で5分間熱処理した。カッ リング処理した上記無機ガラス表面に上記 ャスティング溶液を塗工し、160℃で10分間 燥後、200℃で30分間熱処理を行った。同様の 処理を無機ガラスのもう一方の表面にも行い 、総厚み120μmの基材を得た。

[実施例10]
 実施例9で用いた基材に、実施例2と同様に 機薄膜を形成して可撓性基板を作製した。

[実施例11]
 実施例9で用いた基材に、実施例3と同様に 機薄膜を形成して可撓性基板を作製した。

[実施例12]
 実施例9で用いた基材に、実施例4と同様に 機薄膜を形成して可撓性基板を作製した。

[実施例13]
 以下の基材を用いたこと以外は実施例1と同 様にして可撓性基板を作製した。
(基材)
 末端水酸基変性されたポリエーテルスルホ (スミカエクセル 5003P:住友化学社製)とシク ロペンタノンとジメチルスルホキシドとレベ リング剤(BYK-307:ビックケミー社製)とを重量 140:658:42:0.105の割合で混合し、キャスティン 溶液とした。
 別途、厚み50μm、縦10cm×横4cmの無機ガラス( ョット社製、「D263」)の片面表面をメチル チルケトンで洗浄後、コロナ処理を行い、 けてエポキシ基末端カップリング剤(KBM-403: 越化学工業社製)を塗布した後、110℃で5分間 熱処理をした。上記カップリング処理した無 機ガラス表面に上記キャスティング溶液を塗 工し、160℃で10分間乾燥後、200℃で30分間熱 理を行い、厚み35μmの樹脂層を形成した。
 同様の処理を上記無機ガラスのもう一方の 面にも行い、総厚み120μmの基材を得た。

[実施例14]
 実施例13で用いた基材に、実施例2と同様に 機薄膜を形成して可撓性基板を作製した。

[実施例15]
 実施例13で用いた基材に、実施例3と同様に 機薄膜を形成して可撓性基板を作製した。

[実施例16]
 実施例13で用いた基材に、実施例4と同様に 機薄膜を形成して可撓性基板を作製した。

[実施例17]
 有機EL素子を以下の方法で作製し、実施例11 の可撓性基板を用いて封止して、有機EL表示 置を得た。
 インジウム錫複合酸化物(ITO)層を有するガ ス基板(表面抵抗値:10ω/□)のITO層表面をイソ プロピルアルコールで洗浄した後、15分間UV- ゾン処理を行い、ITO層を透明電極(陽極)と た。真空蒸着法を用いて、陽極上に下記の 機化合物層を順次形成した:
  第1正孔輸送層:銅フタロシアニン(膜厚:10nm )
  第2正孔輸送層:N,N´-ジフェニル-N,N´-ジナ チルベンジジン(膜厚:40nm)
  電子輸送層兼発光層:トリス(8-ヒドロキシ ノリナト)アルミニウム(膜厚:60nm)
 次に、膜厚1nmのフッ化リチウムおよび膜厚1 00nmのアルミニウムを順次蒸着し、対向電極( 極)を形成した。アルミニウム表面を、紫外 線硬化型エポキシ系接着剤を介して、実施例 11で得られた可撓性基板(110℃で15分間のアニ ル処理したもの)で封止し、紫外線を可撓性 基板側から照射することにより接着剤を硬化 させ、有機EL表示装置を得た。

[実施例18]
 実施例15で得られた可撓性基板(110℃で15分 のアニール処理したもの)を用いて封止した と以外は実施例17と同様にして有機EL表示装 置を作製した。

[比較例1]
 無機薄膜(DLC膜)を形成しなかったかったこ 以外は実施例11と同様にして積層体を得た。

[比較例2]
 無機薄膜(DLC膜)を形成しなかったかったこ 以外は実施例15と同様にして積層体を得た。

[比較例3]
 比較例1で得られた積層体(110℃で15分間のア ニール処理したもの)を用いて封止したこと 外は実施例17と同様にして有機EL表示装置を 製した。

[比較例4]
 比較例2で得られた積層体(110℃で15分間のア ニール処理したもの)を用いて封止したこと 外は実施例17と同様にして有機EL表示装置を 製した。

[評価]
(1)水蒸気透過率
 実施例1から16で得られた可撓性基板の水蒸 透過率をJIS K 7129Bに準拠したMOCON測定法に り評価した。具体的には、MOCON社製の水蒸 透過度測定装置「PERMATRAN W3/33MG型(HRH-1D型高 密流量コントロール装置付)」を用いて測定 した。湿度条件は40℃90%RH、ガス流量は10.0±0. 5cc/min、測定時間は20時間以上で行った。
 いずれにおいても、水蒸気透過率は測定限 (10 -2 g/m 2 ・day)より少なかった。

(2)保存性
 実施例17および18、ならびに比較例3および4 有機EL表示装置に、直流電圧7Vを印加して発 光させた。いずれの表示装置においても、ダ ークスポットは観察されず均一な発光状態で あった。その後、常温常圧の大気下にて保存 し、定期的に発光状態を観察した。7日後、30 日後、60日後の発光状態を表1に示す。評価基 準は以下のとおりである。
  ○:均一な発光状態
  △:ダークスポット発生
  ×:非点灯

 表1から明らかなように、本発明の実施例 の可撓性基板を用いた有機EL表示装置は、比 例の有機EL表示装置に比べて保存性が格段 優れる。より具体的には、比較例の有機EL表 示装置が30日後にはダークスポットが発生し 60日後には点灯しなくなったのに対し、実 例の有機EL表示装置は60日後においても均一 発光状態を維持していた。このように、可 性基板に無機薄膜を形成することにより、 存性が顕著に改善されることがわかる。

 本発明の可撓性基板は、有機エレクトロ ミネッセンス(EL)表示装置に好適に用いられ 得る。

 10      無機ガラス
 11、11’  樹脂層
 12      無機薄膜
 13      平滑化層
 20      基材
100      可撓性基板
200      有機EL表示装置